JP2021193431A - 焦点距離可変レンズ装置およびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
Description
前述したレンズシステムでは、外気温の影響または稼働に伴う発熱などにより、レンズシステム内部の液体等の温度が変化し、定在波が得られる交流信号の周波数(レンズシステムの共振周波数)が変化する。このため、レンズシステムに入力される駆動信号の周波数が一定であるとレンズシステムの共振周波数のピークからずれてしまい、定在波を効率的に得ることができない。そこで、特許文献1に開示のレンズシステムでは、共振周波数の変化に対して駆動信号の周波数を自動的に追従させる共振ロック機能が採用されている。
そこで、本発明の焦点距離可変レンズ装置では、レンズシステムの校正時に設定された目標位相差である校正時目標位相差と、レンズシステムの初期設定時に設定された目標位相差である初期設定時目標位相差との差異に応じて、レンズシステムの屈折力制御のための目標有効電力を補正する。なお、レンズシステムの初期設定とは、レンズシステムの校正後、レンズシステムの動作を開始するときに行われる設定である。
このような構成によれば、レンズシステムの校正後、レンズシステムの有効電力とレンズシステムの最大屈折力との関係に経年変化が生じている場合であっても、補正後の目標有効電力に基づいた屈折力制御を行うことにより、レンズシステムの最大屈折力を所望の値に制御することができる。
このような構成によれば、目標有効電力を適切な値に補正することができる。
本発明の焦点距離可変レンズ装置の制御方法によれば、上述した本発明の焦点距離可変レンズ装置の効果と同様の効果を奏する。
図1には、本実施形態にかかる焦点距離可変レンズ装置1の全体構成が示されている。焦点距離可変レンズ装置1は、合焦位置Pfまでの合焦距離Dfを周期的に変化させつつ撮像領域におかれた測定対象物9の表面の画像を検出するものである。
図1に示すように、焦点距離可変レンズ装置1は、測定対象物9の表面に交差する光軸A上に配置された対物レンズ2、液体レンズユニット3および画像検出部4と、測定対象物9の表面をパルス照明するパルス照明部5と、液体レンズユニット3などの動作を制御するレンズ制御部6と、レンズ制御部6を操作するための制御用PC7とを備えている。
液体レンズユニット3は、液体共振式のレンズシステムを内部に構成するものであり、この液体レンズユニット3では、レンズ制御部6から入力される駆動信号Cfに応じて屈折率が変化する。駆動信号Cfは、液体レンズユニット3が有する振動部材を振動させる正弦波状の交流信号である。駆動信号Cfの周波数(加振周波数)が液体レンズユニット3の共振周波数に調整されると、液体レンズユニット3の内部の液体に定在波が生じ、当該液体の屈折率が周期的に変化する。
本実施形態の焦点距離可変レンズ装置1において、合焦位置Pfまでの合焦距離Dfは、対物レンズ2の焦点距離を基本としつつ、液体レンズユニット3の屈折率の変化に従って、周期的に変化する。
図2には、本実施形態のレンズ制御部6および制御用PC7の構成が示されている。
レンズ制御部6は、液体レンズユニット3、画像検出部4およびパルス照明部5の各動作を制御する専用ユニットである。なお、レンズ制御部6は、複数のIC等によってハードウェア的に構成されてもよいし、CPUを備えるコンピュータを中心に構成され、CPUが記憶部64に格納されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。
なお、液体レンズユニット3の振動状態Vfとは、具体的には、駆動信号Cfにより液体レンズユニット3に供給される駆動電圧V、駆動電流Iおよび有効電力P、ならびに、駆動電圧Vと駆動電流Iの位相差である電圧電流位相差θである。
ここで、有効電力Pは、駆動電圧Vの実効値をVe、駆動電流Iの実効値をIeとするとき、以下の式(1)によって算出可能である。
P=Ve・Ie・cosθ ・・・式(1)
共振ロック制御部611は、駆動信号Cfの入力により液体レンズユニット3が動作する間、液体レンズユニット3から検出される電圧電流位相差θが目標位相差θt(例えば校正時目標位相差θtcまたは初期設定時目標位相差θtm)を保つように、駆動信号Cfの周波数(駆動周波数)を調整する。これにより、駆動周波数が液体レンズユニット3の共振周波数にロックされる。なお、共振ロック制御部611の詳細については、特開2018-189700号公報を参照できる。
補正部613は、共振ロック制御部611の初期設定に応じて、目標有効電力Ptを補正する。
屈折力制御部612および補正部613の詳細については後述する。
制御用PC7は、汎用のパーソナルコンピュータで構成され、専用のソフトウェアを実行することで、所期の機能を実現している。すなわち、レンズ操作ソフトウェアを実行することで、レンズ制御部6を制御するレンズ操作部71の機能が実現される。また、画像処理ソフトウェアを実行することで、画像検出部4からの検出画像Imを処理する画像処理部72の機能が実現される。これらのレンズ操作ソフトウェアおよび画像処理ソフトウェアは、制御用PC7の表示画面および入力装置を用いた操作インターフェイス73を介してユーザが操作することができる。
焦点距離可変レンズ装置1では、校正処理により、駆動信号Cfの設定周波数fhtと、目標位相差θtである校正時目標位相差θtcと、目標有効電力Ptとがそれぞれ設定され、記憶部64に記憶される。
また、共振ロック制御部611は、駆動信号Cfの周波数について、電圧電流位相差θが校正時目標位相差θtcになる2つの周波数のうちの一方の周波数(図3の例では低い方の周波数)を求め、当該周波数が液体レンズユニット3の共振周波数であるとして、当該周波数を駆動信号Cfの設定周波数fhtに設定する。
なお、校正時目標位相差θtcは、例えば電圧電流位相差θのピーク値θpに対して所定の比率を有する値であってもよいし、ピーク値θpよりも所定の値だけ小さい値であってもよい。
例えば、液体レンズユニット3から得られる電圧電流位相差θが校正時目標位相差θtcよりも減少した場合には、液体レンズユニット3の共振周波数が増加側に変化したという推測に基づき、駆動信号Cfの設定周波数fhtを現在値よりも増加させる。なお、図3では、液体レンズユニット3の共振周波数が設定周波数fhtから周波数fhuに増加した例を点線で示している。
一方、液体レンズユニット3から得られる電圧電流位相差θが校正時目標位相差θtcよりも増加した場合には、液体レンズユニット3の共振周波数が減少側に変化したという推測に基づき、駆動信号Cfの設定周波数fhtを現在値よりも減少させる。
ここで、図4には、校正時における有効電力Pと最大屈折力Dとの関係が実線L1で示されている。
屈折力制御部612は、液体レンズユニット3の最大屈折力Dが校正者の所望値Dtとなるときの有効電力Pの値を、目標有効電力Ptとして設定し、記憶部64に記憶させる。
焦点距離可変レンズ装置1では、液体レンズユニット3の経年変化により、駆動信号Cfの設定周波数fhtを液体レンズユニット3の共振周波数に制御するための目標位相差θtの値が変化する。この目標位相差θtの変化は、すなわち液体レンズユニット3における電圧電流位相差θの変化となるため、液体レンズユニット3の有効電力Pと液体レンズユニット3の最大屈折力Dとの間の関係に変化を与える。
例えば、図4は、校正時の有効電力Pと最大屈折力Dとの関係を実線L1で示すと共に、経年変化後の有効電力Pと最大屈折力Dとの関係を鎖線L2,L3で示している。
このような変化が生じた場合、液体レンズユニット3に供給される有効電力Pが校正時に設定された目標有効電力Ptに制御されていても、液体レンズユニット3の最大屈折力Dが所望値Dtからずれてしまう(図4の矢印参照)。
そこで、本実施形態の焦点距離可変レンズ装置1は、このような経年変化に対応するために、液体レンズユニット3の屈折力制御に利用する目標有効電力を補正する。
液体レンズユニット3には、最大屈折力Dおよび有効電力Pにより表される駆動効率D2/Pと目標位相差θtとの間に、図5に示すような関係性が存在する。この関係性は、以下の式(2)によって表される。
D2/P=acosθ+b ・・・(2)
なお、式(2)において、a,bは、液体レンズユニット3の構造や液体の特性に由来する固有の値である。
D2=(acosθ+b)P ・・・(3)
(acosθtc+b)Pt=(acosθtm+b)Ptr ・・・(4)
なお、上記式(4)において、θtcは、校正時に設定される校正時目標位相差であり、θtmは、後述する初期設定時に設定される初期設定時目標位相差である。Ptは、校正時に設定される目標有効電力であり、Ptrは、補正後の目標有効電力である。
Ptr=(acosθtc+b)Pt/(acosθtm+b) ・・・(5)
次に、本実施形態の補正処理を含んだ屈折力制御処理について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
例えば、作業者が操作インターフェイス73を操作し、レンズ操作部71が液体レンズユニット3の起動指令を駆動制御部61に入力すると、設定周波数fhtに調整された駆動信号Cfが液体レンズユニット3に印加開始され、図6に示すフローチャートが開始する。
なお、ここでは説明を省略するが、共振ロック制御部611は、ステップS1の後、所定の周期で共振ロック制御を実施する。この共振ロック制御の方法は、校正処理で説明した方法と同様である。
なお、閾値Th1は、検出誤差を考慮して予め設定された値である。
具体的には、補正部613は、校正時に設定された目標有効電力Pt、校正時目標位相差θtc、ステップS1で設定された初期設定時目標位相差θtm、および、所定の定数に基づいて、上述の式(5)により、補正後の目標有効電力Ptrを算出する。
具体的には、屈折力制御部612は、液体レンズユニット3の有効電力Pを所定周期で取得し(ステップS4)、取得された有効電力Pと目標有効電力Ptrとの絶対差を算出し、当該絶対差が閾値Th2以上であるか否かを判定する(ステップS5)。
なお、閾値Th2は、検出誤差を考慮して予め設定された値である。
そして、有効電力Pが減少した場合(ステップS6;Yesの場合)、屈折力制御部612は、駆動信号Cfの電圧(駆動電圧V)を現在値より増加させ(ステップS7)、有効電力Pが増加した際には、駆動電圧Vを現在値より減少させる(ステップS8)。
なお、ステップS7またはS8における駆動電圧Vの変化量は、有効電力Pの検出値と目標有効電力Ptrとの差異に対応してもよい。
また、図7は、説明のために、駆動信号Cfの周波数に対する有効電力Pの変化を示すグラフである。この図7に示す例では、変化前の有効電力Pを実線で示し、減少側に変化した有効電力Pを点線で示している。このような変化が生じた場合には、駆動電圧Vを増加させることで有効電力Pを目標有効電力Ptrに近づける。
以上のステップS5〜ステップS8によれば、液体レンズユニット3における有効電力Pは目標有効電力Ptrに制御される。これにより、液体レンズユニット3の最大屈折力Dが所望の値に安定化される。
本実施形態の焦点距離可変レンズ装置1は、液体レンズユニット3に供給される有効電力Pと目標有効電力Ptrとの比較に基づいて駆動信号Cfの電圧を制御する屈折力制御部612と、目標有効電力Ptの補正を行う補正部613と、を備える。また、補正部613は、共振ロック制御部611により液体レンズユニット3の校正時に設定された目標位相差θtである校正時目標位相差θtcと、共振ロック制御部611により液体レンズユニット3の初期設定時に設定された目標位相差θtである初期設定時目標位相差θtmとに基づいて、目標有効電力Ptを補正する。
このような本実施形態の焦点距離可変レンズ装置1では、液体レンズユニット3の校正後、液体レンズユニット3の有効電力Pと液体レンズユニット3の最大屈折力Dとの関係に経年変化が生じている場合であっても、補正後の目標有効電力Ptrに基づいた屈折力制御が行われることにより、液体レンズユニット3の最大屈折力Dを所望の値に制御することができる。
このような構成によれば、目標有効電力Ptを適切な値に補正することができる。
本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
例えば、共振ロック制御部611は、電圧電流位相差θのピーク値θpを目標位相差θtとして設定してもよい。この場合、共振ロック制御部611は、電圧電流位相差θだけでなく、駆動電流Iを監視することで、共振ロック制御を行うことができる。具体的には、共振ロック制御部611は、電圧電流位相差θが低下している場合、駆動電流Iが低下しているか否かを判定する。そして、共振ロック制御部611は、駆動電流Iが低下している場合、駆動信号Cfの設定周波数fhtを下げ、駆動電流Iが上昇している場合、駆動信号Cfの設定周波数fhtを上げる。これにより、駆動信号Cfの設定周波数fhtが液体レンズユニット3の共振周波数にロックされる。
なお、このような変形例では、共振ロック制御部611の制御中に参照対象が変動することを回避するために、屈折力制御部612が駆動電圧を増減させる間、共振ロック制御部611が待機状態になることが望ましい。
Claims (3)
- 入力される駆動信号に応じて屈折率が変化する液体共振式のレンズシステムと、
前記駆動信号の入力により前記レンズシステムに加えられる駆動電圧と駆動電流との間の位相差である電圧電流位相差について所定の目標位相差を設定し、前記レンズシステムから得られる前記電圧電流位相差と前記目標位相差との比較に基づいて、前記駆動信号の周波数を前記レンズシステムの共振周波数に制御する共振ロック制御部と、
前記レンズシステムの校正時に設定された前記目標位相差である校正時目標位相差と前記校正時に設定された前記レンズシステムの目標有効電力とを記憶する記憶部と、
前記レンズシステムの初期設定時に設定された前記目標位相差である初期設定時目標位相差と前記校正時目標位相差とに基づいて、前記目標有効電力を補正する補正部と、
前記レンズシステムに供給される有効電力と前記補正部により補正された前記目標有効電力との比較に基づいて、前記駆動信号の電圧を制御する屈折力制御部と、を備える
ことを特徴とする焦点距離可変レンズ装置。 - 請求項1に記載の焦点距離可変レンズ装置において、
前記補正部は、前記初期設定時目標位相差が前記校正時目標位相差より増加している場合、前記目標有効電力を減少させ、前記初期設定時目標位相差が前記校正時目標位相差より減少している場合、前記目標有効電力を増加させる
ことを特徴とする焦点距離可変レンズ装置。 - 入力される駆動信号に応じて屈折率が変化する液体共振式のレンズシステムと、
前記駆動信号の入力により前記レンズシステムに加えられる駆動電圧と駆動電流との間の位相差である電圧電流位相差について所定の目標位相差を設定し、前記レンズシステムから得られる前記電圧電流位相差と前記目標位相差との比較に基づいて、前記駆動信号の周波数を前記レンズシステムの共振周波数に制御する共振ロック制御部と、
前記レンズシステムの校正時に設定された前記目標位相差である校正時目標位相差と前記校正時に設定された前記レンズシステムの目標有効電力とを記憶する記憶部と、を備える焦点距離可変レンズ装置の制御方法であって、
前記レンズシステムの初期設定時に設定された前記目標位相差である初期設定時目標位相差と前記校正時目標位相差とに基づいて、前記目標有効電力を補正する補正ステップと、
前記レンズシステムに供給される有効電力と前記補正ステップにより補正された前記目標有効電力との比較に基づいて、前記駆動信号の電圧を制御する屈折力制御ステップと、を含むことを特徴とする焦点距離可変レンズ装置の制御方法。
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