JP2021193088A - チアクマイシン化合物の新規の投薬レジメン - Google Patents
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Abstract
Description
この感染症は通常、抗菌剤使用後の腸内フローラの組成および機能の変化によって引き起こされ、抗生物質関連下痢(AAD)と呼ばれる。C.ディフィシル関連疾患(CDAD)としても公知のクロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)とは、偽膜の有無にかかわらず重症の大腸炎の症例を含めて、この微生物によって産生される毒素によって引き起こされる多岐にわたる下痢疾患をいう。
全ての群の抗生物質がAADを引き起こし得るが、広域の適用範囲を有するもの、特にセファロスポリン、フルオロキノロン、抗菌域拡張性の(extended-coverage)ペニシリン、およびクリンダマイシンが、最も一般的な原因である(Wistrom J, Norrby SR, Myhre E, et al.Frequency of antibiotic-associated diarrhoea in 2462 antibiotic-treated hospitalized patients: a prospective study.J Antimicrob Chemother 2001; 47:43-50)。
治療の選択肢は限られており、高率の再発を伴う。
特にチアクマイシンBおよびCは、当時使用されていた治療目的の抗生物質に抵抗性である株を含むいくつかのグラム陽性細菌に対してin vitroで抗生物質活性を有することが判明した。
米国特許第5,583,115号では、上記のチアクマイシン化合物A〜Fの誘導体であるジアルキルチアクマイシン化合物が、様々な細菌性病原体に対して、特にクロストリジウム種に対してin vitro活性を有することが見出されたことが開示されている。
米国特許第5,767,096号では、やはりチアクマイシン化合物A〜Fの誘導体であるブロモチアクマイシン化合物が開示されているが、これは一部の細菌性病原体に対して、特にクロストリジウム種に対してin vitro活性を有することが見出された。
フィダキソマイシン200mgを含有する錠剤が欧州で(登録商標Dificlirとして)および米国で(登録商標Dificinとして)市販されている。
フィダキソマイシンは、クロストリジウム・ディフィシル関連疾患(CDAD)としても知られるクロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)の治療および再発の防止に適応される。
2つのフェーズIII無作為化二重盲検治験において、フィダキソマイシンは、CDIの最初の臨床的治癒に関してバンコマイシンに非劣性を示した。しかしながら、再発の低減および持続的な臨床応答においては優越性を示した(Crook et al.(2012) in Clin.Infect.Dis.55(Suppl 2): S93-103)。
成人および高齢者(65歳以上)に現在推奨される治療レジメンは、1日2回(q12h:12時間置き)200mgを10日間投与である。
種々のフィダキソマイシン投与レジメンが、CDIまたはCDADをシミュレートするin vitroヒト腸モデルにおいて試験された。しかし、本発明により求められている通りに患者に投与された場合、それらの投与レジメンが効果的であるか否かは不明である(C.H.Chilton et al (2014) in J.Antimicrobial Chemotherapy, 70:2598-2607 and C.H.Chilton (14 May 2014), poster presentation P0797)。
上に引用した投薬レジメンのいずれもCDIまたはCDADの高再発の問題を解決しなかった。本発明では、再発とは、治療終了(EOT)の30日以内で24時間の間に>3の下痢便の再出現、便中のクロストリジウム・ディフィシル毒素Aもしくは毒素B、または両者の存在、およびCDIに対する再治療が必要であることと定義する。
クロストリジウム・ディフィシル感染症を診断するのに単独でまたは組合せてポジティブ性を試験する場合に、利用可能なCDIまたはCDADの種々の指標が存在する。適切な指標は例えば便の硬さ、下痢の頻度、クロストリジウム・ディフィシル毒素A(TcdA毒素)または毒素B(TcdB毒素)の存在、クロストリジウム・ディフィシル毒素A遺伝子(tcdA)またはB遺伝子(tcdB)の存在、およびクロストリジウム・ディフィシル表面抗原(GDH=グルタミン酸脱水素酵素)の存在である。
当業者にとって許容されるモデルは、Scandinavian Journal of Gastroenterology, 1997, Vol.32, No.9, pages 920-924においてS.J.Lewisらにより公開されたブリストル便形状スケールである。この刊行物の表1において、ブリストル便形状スケールの7つのタイプが定義されており、タイプ7は水様便であり、タイプ1は分離した硬い塊である。
本発明によるチアクマイシン化合物は、18員大環状グリコシド構造を有し、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第4,918,174号、第5,583,115号、第5,767,096号、ならびに中国特許出願第201010526416.9号および第201110104051.5号に開示されている化合物である。
oxacyclooctadeca-3,5,9,13,15-pentaen-2-one, 3-[[[6-deoxy-4-O-(3,5-dichloro-2-ethyl-4,6-dihydroxybenzoyl)-2-O-methyl-β-D-mannopyranosyl]oxy]methyl]-12-[[6-deoxy-5-C-methyl-4-O-(2-methyl-l-oxopropyl)-β-D-lyxo-hexopyranosyl]oxy]-11-ethyl-8-hydroxy-18-[(lR)-1-hydroxyethyl]-9,13,15-trimethyl-,(3E,5E,8S,9E,11S,12R,13E,15E,18S))との名称でも知られている。これは、抗菌スペクトルが狭い化合物であり、クロストリジウム・ディフィシル、ならびにブドウ球菌および腸球菌の殆どの株に対する活性があるが、グラム陰性菌および真菌に対する活性は無視し得る。これはダクチロスポランギウムオーランティクムの発酵によって得られ、以下の式(II)
CDIはクロストリジウム・ディフィシル感染症を意味し、CDADはクロストリジウム・ディフィシル関連疾患もしくは下痢を意味する。双方の表現は同一の意味を有し、相互変換が可能である。本発明においてCDIに言及がなされる場合、これはまたCDADを含み、逆も同様である。
「患者」という表現は、CDIまたはCDADに罹患している任意のヒトを意味する。
本発明の別の実施形態は、本発明の投薬レジメンによる患者のクロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)またはクロストリジウム・ディフィシル関連疾患(CDAD)の経口治療における使用のための、チアクマイシン化合物、その立体異性体、その多形体、またはその薬学的に許容される溶媒和物において、CDIまたはCDADの指標が下痢の頻度であるものである。
CDIまたはCDADからの回復をモニタリングするのに適切な指標はまた、腸内細菌科と関連した尿中代謝物の減少および/または尿中の偏性嫌気性菌と関連した尿中代謝物(例えば馬尿酸、4−クレゾール硫酸)の増加といった尿中代謝性バイオマーカーとすることができる。
「最初の治療コース」という句は、疾患の最初の治療に使用される投薬レジメン(または投薬レジメンの部分)をいう。本発明の好ましい1実施形態では、最初の治療コースは3〜10日間、さらにより好ましくは5日間続く。
本発明の別の実施形態は、本発明の投薬レジメンによる患者のクロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)またはクロストリジウム・ディフィシル関連疾患(CDAD)の経口治療における使用のための、チアクマイシン化合物、その立体異性体、その多形体、またはその薬学的に許容される溶媒和物において、さらに間欠的治療コース前に4〜6日間の休止期間を含むものである。
健常個体の腸管細菌叢組成は、食物、年齢および地理などの環境に応じて変化するが、フィルミクテス門(クロストリジア群XIVaおよびIV、ラクノスピラ科(Lachnospiraceae)、ルミノコッカス科(Ruminococcaceae)を含む主要なグラム陽性嫌気性菌、ならびに腸球菌および乳酸菌などの少数派の通性嫌気性菌が含まれる)およびバクテロイデス門(主要なグラム陰性嫌気性菌、例えばバクテロイデス属(Bacteroides)およびプレボテラ属(Prevotella)が含まれる)、ならびにより小さな群、例えば放線菌門(ビフィドバクテリアファミリーが含まれる)および腸内細菌科などのプロテオバクテリア門、といったある特定の微生物が健常個体に通常に見いだされる。
本発明のまた別の実施形態は、請求項に記載の投薬レジメンにおける間欠的治療コースにおいて、腸管細菌叢の回復に関して知られる特定の指標が好ましく変化したとき、間欠的治療コースは中止されるものである。
フィダキソマイシンは、抗菌スペクトルが狭く、クロストリジウム・ディフィシルに対する投与後の抗菌効果も長い。患者に対する明らかな利益に加えて、再発の防止によって、クロストリジウム・ディフィシル感染症のさらなる症状発現を治療する費用が排除され、そしてヒトからヒトへの伝染率が低減するはずである。
新規な投薬レジメンのCDI再発に対する効果は本発明の重要な要因である。また、治療抵抗性CDIに対する新規な投薬レジメンの効果も重要である。
先に公表されたフェーズ3試験における、経口的に投与されたバンコマイシンと比較した経口的に投与されたフィダキソマイシンに関する、CDI患者における10日後の臨床的治癒の非劣性、および副次的評価項目である、治療中止後30日以内の再発率および持続的治癒率に対して示された優位性は、高い臨床的重要性を有すると考えられる。
本発明の新規の投薬レジメンにより、治療が終了して30日後で再発は10%未満に、好ましくは治療が終了して30日後で5%未満に、さらにより好ましくは治療が終了して30日後で3%未満に低減する。
本発明の別の実施形態は、本発明の患者のCDIまたはCDADを治療する方法において、チアクマイシン化合物がフィダキソマイシン(R−チアクマイシンB)である、方法である。
本発明の別の実施形態は、本発明の患者のCDIまたはCDADを治療する方法において、CDIまたはCDADの指標が、(a)下痢の頻度、(b)便の硬さ(c)クロストリジウム・ディフィシル毒素B(TcdB毒素)および/またはクロストリジウム・ディフィシル毒素A(TcdA毒素)、(d)クロストリジウム・ディフィシル毒素B遺伝子(tcdB)、及び(e)クロストリジウム・ディフィシル表面抗原(GDH)からなる群から選択される、方法である。
本発明の患者のCDIまたはCDADを治療する方法の別の実施形態は、CDIまたはCDADの前記指標が下痢の頻度である、方法である。
本発明の患者のCDIまたはCDADを治療する方法の別の実施形態は、前記下痢の頻度が、連続する2日間1日当たり4回未満の形を成さない排便(UBM)に低減することである、方法である。
本発明の本発明の患者のCDIまたはCDADを治療する方法の別の実施形態は、CDIまたはCDADの前記指標が便の硬さである、方法である。
本発明の患者のCDIまたはCDADを治療する方法の別の実施形態は、前記便の硬さが、ブリストル便形状スケールに準拠してタイプ7またはタイプ6から、タイプ4への改善を示すことである、方法である。
本発明の患者のCDIまたはCDADを治療する方法の別の実施形態は、CDIまたはCDADの前記指標がクロストリジウム・ディフィシル毒素B(TcdB)である、方法である。
本発明の患者のCDIまたはCDADを治療する方法の別の実施形態は、前記クロストリジウム・ディフィシル毒素B(TcdB)が存在しない、方法である。
錠剤という用語はまた、急速崩壊性錠剤も含み、その中に分散錠および発泡錠がある。
急速崩壊性錠剤の場合、有効成分の味をマスキングするためにおよび/または光および/もしくは水分によるあり得る悪影響から有効成分を保護するために、ならびにベンダムスチンの場合は、活性化合物により及ぼされる悪影響から口中の粘膜を保護するために、そのような成分に、1種または複数の賦形剤との混合物中でもよいが、コーティングが施されていると有利である。この目的で、粒状物を以下にさらに概略する通り調製および加工することが好ましい。
ペレットは、直径およそ1.0〜1.6mmの、ある特定の密度を有する小粒子として記載することができ、この粒子は、押出しおよび球形化の製薬プロセスを粉末混合物に対して適用することにより調製される。
有効成分は、有効成分の味をマスキングするために、および/または光および/もしくは水分による可能な悪影響から有効成分を保護するために、および/または活性化合物により及ぼされる悪影響から口中の粘膜を保護するために、任意に1種または複数の賦形剤と混合されている状態で、コーティングが施されていることが有利であり得る。
本発明による治療レジメンに従って使用できる剤形に、コーティングが施されているのが好ましい。コーティングには様々な目的があり:これは、組成物において使用する有効成分の味をマスキングするのに役立ち得る一方で、同時に光および/または水分によるあり得る悪影響、例えば、酸化、分解等から有効成分を保護する。さらに、コーティング層は、有効成分による口腔粘膜の損傷からn患者を防ぐことができる。
− ショ糖、フルクトース、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、アスパルテーム、エリスリトール、イソマルト、トレハロース、マルトース、マンノース、ソルボース、キシロース、デキストラン、デキストリン、プルラン、マンニトール、およびラクトースからなる群から選択することができる糖;
− 微結晶性セルロースまたはミクロファインセルロース;
− デンプン、可溶性デンプンまたはデンプン誘導体、例えば、ヒドロキシエチルデンプン;
− 炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸ナトリウム、カルメロースカリウム、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、合成ケイ酸アルミニウム等
である。
微結晶性セルロースの量はできるだけ低くなければならないが、そう重要ではない。糖を使用する場合も同じである。
本発明による治療レジメンに従って使用できる組成物は水性懸濁液とすることができ、好ましくは、緩衝化剤、保存剤、香味剤、甘味剤、および増粘剤などの、賦形剤との混合物中で、水性懸濁液とすることができる。組成物は、チアクマイシン化合物の味をマスキングするための香味剤および甘味剤を含有するのが最も好ましい。
保存剤の例としては、安息香酸およびその塩、エデト酸およびその塩、サリチル酸およびその塩、ジブチルヒドロキシトルエン、ソルビン酸およびその塩、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラヒドロキシ安息香酸、およびその塩、メチルパラベン、プロピルパラベン等、ならびに上記保存剤の組合せである。
甘味剤の例としては、スクラロース、アスパルテーム、フルクトース、キシリトール、グリチルリチン酸およびその塩、サッカリンおよびその塩、ステビア、ショ糖、ソルビトール、グルコース、水素化マルトースデンプンシロップ、マルチトール、マルトース等、ならびに上記甘味剤の組合せである。
あるいは、顆粒外賦形剤との混合物中で本発明による治療レジメンにしたがって使用できる粒状物を、分散錠の調製に使用することができる。
以下の実施例は本発明をさらに説明するものである。当業者であれば、これらの実施例は説明の目的にすぎず、本発明を限定するものとみなしてはならないことが明らかであろう。
高齢者集団でのクロストリジウム・ディフィシル感染症の持続的臨床治癒において、バンコマイシン療法の効能をフィダキソマイシン療法の間欠的投薬レジメンと比較する、フェーズIIIb/IV無作為化、対照、非盲検、並行群試験(延長フィダキソマイシン(FDX)試験、また試験番号2819−MA−1002を有するEXTENDと称する)を実施した。
本試験の目的は、治療が終了して30日後にCDIの持続的臨床治癒においてフィダキソマイシン間欠的投薬レジメン療法が標準バンコマイシン療法よりも優れているか否かを評価すること、および40日目、55日目および90日目のCDI再発を比較することである。
フィダキソマイシン(FDX)は、大腸細菌叢へのより少ない付随的ダメージを主に介して再発を低減させると考えられる。FDXに対する承認された投与レジメン(200mgをq12hrで10日間)は細菌叢の回復に対して最適化はされておらず、バンコマイシンおよびメトロニダゾールに対する既存の実践に基づいて選択された。したがって、投与予定のフィダキソマイシン(Dificlir(商標))の試験投与は、Dificlir(商標)に対する現在承認の製品概要(SmPC)に即せず、CDIを治療する上でこの製品の属性を最大化するために選択された。患者は200mgの1日2回(b.i.d)投与を、1日目から5日目まで5日間受ける。6日目から25日目まで、患者は200mgの1日1回投与を隔日で受ける(第1回の隔日投与は7日目に受ける)。投与をこのように延長すると、保護すべき細菌叢が回復するためにより長い期間が与えられ、そしてクロストリジウム・ディフィシル細胞が抑制される期間が延長され、かつ発芽するあらゆる休眠胞子が殺滅されることになる。投与の延長はまた、フェーズ3試験において記録された早期の再発期間−治療終了後の最初の15日間に再発のほとんどが発現した−を標的としている。この期間をカバーすることにより、この改訂された投与レジメンで再発を<10%に、好ましくは<5%に、さらにより好ましくは<3%に低減させることが可能である。腸管細菌叢に対する影響は制限され、本試験の根拠が支持された。
本試験で投与予定のバンコマイシン(Vancocin(商標))の投与はVancocinに対する製品概要に即している。患者は、125mgの1日4回(q.i.d)投与を1日目から10日目までの10日間受ける。
例1に記載のフェーズIIIb/IVの結果
高齢者集団のクロストリジウム・ディフィシル感染症の持続的臨床治癒において、標準バンコマイシン(VAN)療法の効果をフィダキソマイシン療法の延長された投薬レジメンの効果と比較する、フェーズIIIb/IV無作為化、対照、非盲検、並行群試験(延長フィダキソマイシン(FDX)試験、また試験番号2819−MA−1002を有するEXTENDと称する)を実施した。投薬レジメンは例1の表1に記載の通りとした。
持続的臨床治癒とは、治癒検査で治験責任医師によって判断される臨床反応として定義され、治癒検査から評価時期までにCDIの再発が無いことである。
[1]両者レート間の差(延長フィダキソマイシン−標準バンコマイシン)および当該差の関連95%信頼区間。
[2]無作為化因子(CDI重症度[重症または非重症]、がんの有無、年齢[≧75歳または<75歳]および過去の再発数[0、1、2])に対して調整したコクラン−マンテル−ヘンツェル検定(一般連関)からのp−値。
[3]共通オッズ比(OR)の推定値および95%信頼区間。
[1]両者の割合の間の差(延長フィダキソマイシン−標準バンコマイシン)および当該差の関連95%信頼区間。
[2]無作為化因子(CDI重症度[重症または非重症]、がんの有無、年齢[≧75歳または<75歳]および過去の再発数[0、1、2])に対して調整したコクラン−マンテル−ヘンツェル検定(一般連関)からのP値。
[3]共通オッズ比(OR)の推定値および95%信頼区間。
延長FDX群において、86.7%の患者が、標準VAN群における62.9%と比較して、EOT後30日目に持続的臨床治癒を達成した(23.8%の差)。55日目に、CDI再発率は、VAN群における16.1%(15/94)と比較して延長FDX群において3.5%であった(−12.6%の差)。
ヒト糞便試料中のクロストリジウム・ディフィシル毒素の検出
ヒト糞便試料中のクロストリジウム・ディフィシル(C.diff)毒素AおよびBの検出をELISAにより実施した。分析する試料は治験2819−MA−1002(EXTEND)に由来した。治療が終了して30日後(40日目または55日目)での≧60歳である患者のクロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)の持続的臨床治癒において、延長フィダキソマイシン療法が標準バンコマイシン療法よりも優れているか否かについて調査することを、EXTENDの目的とした。
試料についてはドライアイスでパックしてLGC(Analytical lab in Fordham, Cambridgeshire、英国)に送付し、受け取ると冷凍庫に保存した(名目上−80℃)。患者各々に対して、0日目(スクリーニング)におよび疾患再発または予定外来院の場合にも便試料を採取した。細菌叢(Microbiome)サブ試験に参加した患者については、便試料は、0日目(スクリーニング)、5日目、12日目、27日目、40日目、55日目におよび疾患再発または予定外来院の場合にも便試料を採取した。試験中、計596糞便試料を収集した。
ヒト糞便試料中のC.ディフィシル毒素AおよびBはTECHLAB C.difficile Tox A/B II ELISAキット(製品番号T5015)を使用して検出した。
全てのデータ収集、処理(統計)および保存については一般データ整理ソフトウエアパッケージ、PHERAstar FSリーダーコントロールソフトウエアおよびMARSデータ分析ソフトウエア2.10(BMG Labtech、3.10版)、Watson(商標)v7.2およびMicrosoft(登録商標)Excel(2010年版)を使用して行った。
アッセイリードアウトは、450nmで読み取り、620nmでレファレンスし、吸光単位(AU)で表した分光光度2波長光学濃度(OD)である。全ての試料は2回繰り返しで測定した。毒素の有(+)または無(−)については平均ODと一緒に報告した。
試験試料の各バッチの判定は、下の表5に概略された受入基準を満たしたQC試料からのデータに依存し、ここに、すべての陽性のQCは>0.080 ODのカットオフ値を超えており、陰性QCは≦0.080 ODの範囲内である。全てのバッチは2回繰り返しで測定されるための2つの別々のセットのQC試料を含む。精度については、<20%であることが求められる変動係数(CV)を使用してそれぞれのセットのODの反復値の間で算出した。
クロストリジウム・ディフィシル陽性ヒト糞便試料の分子特性
治験2819−MA−1002(EXTEND)の裏付けでクロストリジウム・ディフィシル陽性便試料の分子特性に関する指定中央検査施設として、LGCを指定した。治療が終了して30日後(40日目または55日目)での≧60歳である患者のCDIの持続的臨床治癒において、延長フィダキソマイシン療法が標準バンコマイシン療法よりも優れているか否かを評価することを、2819−MA−1002の目的とした。
22種の標的の存在について試料を試験した。これらの標的は一般的な消化管病原体であり、ウイルス、細菌および寄生虫が含まれる。解凍した試料を分子生物学グレードの水でホモジナイズし、1試料ずつBioFire FilmArray Instrumentで分析した。
クロストリジウム・ディフィシル毒素AおよびBに対して陽性と試験され(当技術分野で公知の適切なアッセイを使用)かつ1日当たり>5UBMを有する患者を、最初の治療コースにおいてフィダキソマイシン200mgを1日2回で治療する。UMBの回数を日毎にモニタリングして、UMBの回数が1日当たり≦3UMBにポジティブに変化するか否か確認する。最初の治療コースの2日目にUMBは1日当たり2UMBに、3日目に1日当たり1UMBに低減する。UMBは1日当たり4回未満であり、さらには連続する2日間1日当たり3回未満であることから、5日目からクロストリジウム・ディフィシル毒素AおよびBが陰性であると試験されるまで、フィダキソマイシン200mgを隔日で患者に投与する間欠的治療コースに投薬レジメンを切り替える。治療を開始して12日後にクロストリジウム・ディフィシル毒素AおよびBの存在は陰性と試験される(当技術分野で公知の適切なアッセイを使用)。
クロストリジウム・ディフィシル毒素AおよびBに対して陽性と試験され(当技術分野で公知の適切なアッセイを使用)かつ1日当たり>5UBMを有する患者を、最初の治療コースにおいてフィダキソマイシン200mgを1日2回で治療する。UMBの回数を日毎にモニタリングして、UMBの回数が1日当たり≦3UMBにポジティブに変化するか否か確認する。最初の治療コースの9および10日目に、UMBは1日当たり3UMBに低減する。UMBは連続する2日間1日当たり4UMB未満であることから、12日目からクロストリジウム・ディフィシル毒素AおよびBが陰性であると試験されるまで、フィダキソマイシン200mgを隔日で患者に投与する間欠的治療コースに投薬レジメンを切り替える。治療を開始して27日後にクロストリジウム・ディフィシル毒素AおよびBの存在は陰性と試験される(当技術分野で公知の適切なアッセイを使用)。
治療期間を10日から20日または25日に延長することで、患者の大腸細菌叢を回復させる追加の時間が可能となり、これにより、追加の薬物療法を使用せずに後のCDI再燃/再発に対するコロニー形成抵抗性がもたらされる。
Claims (22)
- 投薬レジメンによる患者のクロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)又はクロストリジウム・ディフィシル関連疾患(CDAD)の経口治療における使用のための、チアクマイシン化合物、その立体異性体、その多形体、又はその薬学的に許容される溶媒和物であって、ここに、前記投薬レジメンは、
(1)最初の治療コースにおいてチアクマイシン化合物200mgを1日2回患者に投与する工程と、
(2)CDI又はCDADの1つ又は複数の指標の変化をモニタリングすることによって患者における最初の治療コースの効能をモニタリングする工程と、
(3)前記指標の1つ又は複数にポジティブな変化があるか否かを評価する工程と、及び(4)CDI又はCDADの前記指標の1つ又は複数がポジティブに変化している場合、チアクマイシン化合物200mgを1日おきに患者に投与する間欠的治療コースに切り替える工程と、
を含む。 - 前記チアクマイシン化合物が、フィダキソマイシン(R−チアクマイシンB)である、請求項1に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
- 前記CDI又はCDADの1つ又は複数の指標が、(a)下痢の頻度、(b)便の硬さ、(c)クロストリジウム・ディフィシル毒素B(TcdB毒素)及び/又はクロストリジウム・ディフィシル毒素A(TcdA毒素)、(d)クロストリジウム・ディフィシル毒素B遺伝子(tcdB)、及び(e)クロストリジウム・ディフィシル表面抗原(GDH)からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
- CDI又はCDADの前記指標が、下痢の頻度である、請求項3に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
- 前記下痢の頻度が、連続する2日間1日当たり4回未満の形を成さない排便(UBM)への低減である、請求項4に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
- 前記下痢の頻度が、連続する2日間1日当たり3回未満の形を成さない排便(UBM)への低減である、請求項5に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
- CDI又はCDADの前記指標が、便の硬さである、請求項3に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
- 前記便の硬さが、ブリストル便形状スケールに準拠して、タイプ7又はタイプ6からタイプ4への改善である、請求項7に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
- CDI又はCDADの前記指標が、クロストリジウム・ディフィシル毒素B(TcdB毒素)及び/又はクロストリジウム・ディフィシル毒素A(TcdA毒素)である、請求項3に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
- 前記クロストリジウム・ディフィシル毒素B(TcdB毒素)及び/又は前記クロストリジウム・ディフィシル毒素A(TcdA毒素)が、存在しないことである、請求項9に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
- CDI又はCDADの前記指標が、クロストリジウム・ディフィシル毒素B遺伝子(tcdB)である、請求項3に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
- 前記クロストリジウム・ディフィシル毒素B遺伝子(tcdB)が、存在しないことである、請求項11に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
- CDI又はCDADの前記指標が、クロストリジウム・ディフィシル表面抗原(GDH)である、請求項3に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
- 前記クロストリジウム・ディフィシル表面抗原(GDH)が、存在しないことである、請求項13に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
- 前記最初の治療コースが、5日間続く、請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
- 前記最初の治療コースが、3〜10日間続く、請求項1〜15のいずれか1項に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
- 前記間欠的治療コースが、20日間続く、請求項1〜16のいずれか1項に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
- 前記投薬レジメンが、5)腸管細菌叢の1つ又は複数の指標をモニタリングする工程と、6)腸管細菌叢の前記指標の1つ又は複数が好ましく変化した場合、前記間欠的治療コースを中止する工程とを更に含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
- 腸管細菌叢の前記指標が、腸内細菌科の菌数である、請求項18に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
- 腸管細菌叢の腸内細菌科の総菌数が、前記最初の治療コース前のレベルと比較して、90%の低減である、請求項19に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
- 患者におけるCDI又はCDADの再発が、治療終了から30日後において10%未満である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
- 患者におけるCDI又はCDADの再発が、治療終了から30日後において5%未満である、請求項1〜21のいずれか1項に記載の使用のためのチアクマイシン化合物。
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