JP2021193006A - 電動パワーステアリング装置、およびトルク推定方法 - Google Patents

電動パワーステアリング装置、およびトルク推定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】操舵軸に対してドライバが意図して付与したトルクを精度良く推定する。【解決手段】電動パワーステアリング装置であって、操舵軸の入力側における操舵角を検出する操舵角検出部と、前記操舵軸の出力側における出力軸角を検出する出力軸角検出部と、前記操舵軸に対して加えられているトルクを検出するトルク検出部と、前記電動パワーステアリング装置を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記トルクと前記操舵角に基づいてドライバトルクの推定値を導出する推定部と、前記推定値の高周波成分を抑制するフィルタ処理を行うフィルタ処理部と、前記出力軸角検出部にて検出した出力軸角から導出される角加速度に応じて、前記フィルタ処理部にて用いられるフィルタの特性を変更する変更部を有する。【選択図】図2

Description

本願発明は、電動パワーステアリング装置、およびトルク推定方法に関する。
近年、車両に備えられた電動パワーステアリング装置に対するドライバの操作に基づくトルク(以下、ドライバトルク)に応じて、操舵制御や車両の制御状態を切り替えることが行われている。このとき、センサにより検出されたトルク(以下、検出トルク)は、ステアリング周りの構成や外乱に影響を受けているため、これらの影響を考慮した上で、ドライバトルクを推定する必要がある。
特許文献1では、センサにて検出された検出トルクに対して、ハンドル慣性トルク、トーションバートルク、粘性摩擦トルク、重力トルク、クーロン摩擦トルク、および横加速度トルクによる補正を行うことで、ドライバトルクを推定している。また、特許文献1には、推定したドライバトルクに対してローパスフィルタ処理を行うことも記載されている。
特許文献2では、推定したドライバトルクに対してローパスフィルタ処理を行い、その結果に基づき、ドライバのハンドル操作状態としてハンズオン/ハンズオフの判定を行うことが記載されている。
特開2019−014468号公報 特開2017−114324号公報
しかしながら、外乱等により瞬間的な検出トルクの変化が発生し、その瞬間的なトルクの変化がドライバトルクであるものとして扱われた場合、車両に対する適切な制御が損なわれることとなる。例えば、ドライバが操作を行っていないにもかかわらず外乱等に起因したトルクが検出された場合、車両の制御モードが切り替わってしまうことが挙げられる。特許文献1や特許文献2では、推定したドライバトルクに対してローパスフィルタ処理を行うことで、瞬間的な検出トルクに対応する高周波成分を低減しているが、その処理には改良の余地があった。
上記課題を鑑み、本願発明は、ドライバが意図して付与したトルクを精度良く推定することを目的とする。
上記課題を解決するために本願発明は以下の構成を有する。すなわち、
電動パワーステアリング装置であって、
操舵軸に対して加えられているトルクを検出するトルク検出部と、
前記操舵軸の出力側における出力軸角を検出する出力軸角検出部と、
前記電動パワーステアリング装置を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記トルクに基づいてドライバトルクの推定値を導出する推定部と、
前記推定値の高周波成分を抑制するフィルタ処理を行うフィルタ処理部と、
前記出力軸角検出部にて検出した出力軸角から導出される角加速度に応じて、前記フィルタ処理部にて用いられるフィルタの特性を変更する変更部と
を有する。
また、本願発明の別の形態は以下の構成を有する。すなわち、
電動パワーステアリング装置におけるトルク推定方法であって、
操舵軸に対して加えられているトルクを検出する工程と、
前記操舵軸の出力側における出力軸角を検出する工程と、
前記トルクに基づいてドライバトルクの推定値を導出する工程と、
前記出力軸角から導出される角加速度に応じて、前記推定値の高周波成分を抑制するフィルタ処理に用いられるフィルタの特性を決定する工程と、
決定された特性のフィルタを用いたフィルタ処理を行うことで、前記ドライバトルクの推定値を補正する工程と、
を有する。
また、本願発明の別の形態は以下の構成を有する。すなわち、
軸部材に対するトルク推定方法であって、
前記軸部材に対して加えられているトルクを検出する工程と、
前記軸部材の出力側における回転軸周りの出力軸角を検出する工程と、
前記トルクに基づいて前記軸部材の入力側に入力されたトルクの推定値を導出する工程と、
前記出力軸角から導出される角加速度に応じて、前記推定値の高周波成分を抑制するフィルタ処理に用いられるフィルタの特性を決定する工程と、
前記決定された特性のフィルタを用いたフィルタ処理を行うことで、前記推定値を補正する工程と、
を有することを特徴とするトルク推定方法。
本願発明により、ドライバが意図して付与したトルクを精度良く推定することが可能となる。
本願発明に係る電動パワーステアリング装置の概要構成の例を示す構成図。 本願発明に係る機能構成の一例を示すブロック図。 本願発明に係るカットオフ周波数と角加速度の関係を示す図。 本願発明に係るドライバトルクの推定処理の流れを示すフローチャート。 フィルタを適用する前のドライバトルクの推定値を説明するための図。 フィルタを適用した後のドライバトルクの推定値を説明するための図。 本願発明の変形例に係る機能構成の一例を示すブロック図。
以下、本願発明を実施するための形態について図面などを参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本願発明を説明するための一実施形態であり、本願発明を限定して解釈されることを意図するものではなく、また、各実施形態で説明されている全ての構成が本願発明の課題を解決するために必須の構成であるとは限らない。また、各図面において、同じ構成要素については、同じ参照番号を付すことにより対応関係を示す。
<第1の実施形態>
以下、本願発明の第1の実施形態について説明を行う。
[構成概要]
第1の実施形態に係る電動パワーステアリング装置の構成例を図1に示す。ステアリングホイール1は、ドライバが転舵操作を行うための転舵輪である。ステアリングホイール1の操舵軸2は、減速機構を構成する減速ギア(ウォームギア)3、ユニバーサルジョイント4a、4b、ピニオンラック機構5、タイロッド6a、6bを経て、更にハブユニット7a、7bを介して操向車輪8L、8Rに連結されている。
操舵軸2は、トーションバー9を介して、ステアリングホイール1側の入力軸と、ピニオンラック機構5側の出力軸とが連結して構成される。ピニオンラック機構5は、ユニバーサルジョイント4bから操舵力が伝達されるピニオンシャフト(不図示)に連結されたピニオン5aと、ピニオン5aに噛合するラック5bとを有する。ピニオン5aに伝達された回転運動が、ラック5bで車幅方向の直進運動に変換される。
操舵軸2には、トーションバー9に対して加えられる検出トルクTdctを検出するトルクセンサ10が設けられている。また、操舵軸2には、操舵軸2のステアリングホイール1側(入力軸側)の軸周りの回転角を示す操舵角θを検出する操舵角センサ14が設けられている。また、操舵軸2には、操舵軸2のピニオンラック機構5側(出力軸側)の軸周りの回転角を示す出力軸角θを検出する出力軸角センサ15が設けられている。つまり、操舵角センサ14はトーションバー9に対する入力軸側の回転角を操舵角θとして検出し、出力軸角センサ15はトーションバー9に対する出力軸側の回転角を出力軸角θとして検出する。トルクセンサ10は、操舵角θと出力軸角θの差によって生じるトーションバー9のねじれに基づき、検出トルクTdctを検出する。なお、操舵角センサ14と出力軸角センサ15は、一体となって構成されたセンサであってもよい。また、図1では、説明を容易にするために、操舵軸2とトルクセンサ10を分けて示しているが、これらが一体となった構成であってもよい。トルクセンサ10の構成は特に限定するものではなく、例えば、トーションバー9のねじれからトルクを検出するスリーブタイプやリングタイプなどが用いられてよい。以下の説明において、操舵軸2のステアリングホイール1側を上流側、ピニオンラック機構5側を下流側とも称する。
詳細については後述するが、トルクセンサ10にて検出される検出トルクTdctには、ドライバによるステアリングホイール1に対する操作に基づくドライバトルクの他、外乱等により生じたトルクが含まれる。外乱により生じたトルクを考慮して検出トルクTdctを補正することで、ドライバトルクをより精度良く推定する。
ステアリングホイール1に対する操舵力を補助する操舵補助モータ20が減速ギア3を介して操舵軸2に連結されている。電動パワーステアリング(EPS:Electric Power Steering)装置を制御するコントローラであるEPS−ECU(Electronic Control Unit)30には、バッテリ13から電力が供給されるとともに、イグニッション(IGN)キー11を経てイグニッションキー信号が入力される。なお、操舵補助力を付与する手段は、モータに限るものではなく、様々な種類のアクチュエータを利用可能であってよい。
EPS−ECU30は、トルクセンサ10で検出された検出トルクTdct、操舵角センサ14で検出された操舵角θ、出力軸角センサ15にて検出された出力軸角θに基づいて、ドライバトルクを推定する。さらに、EPS−ECU30は、推定されたドライバトルク、車速センサ12で検出された車速V、および操舵角センサ14で検出された操舵角θに基づいてアシスト制御指令の電流指令値の演算を行う。そして、EPS−ECU30は、電流指令値に補償等を施した電圧制御指令値Vrefによって操舵補助モータ20に供給する電流を制御する。操舵補助モータ20は、EPS−ECU30から入力された電圧制御指令値Vrefに基づき、減速ギア3を動作させ、ステアリングホイール1に対するアシスト制御を行う。
EPS−ECU30は、例えば、プロセッサと、記憶装置等の周辺部品とを含むコンピュータを備えてよい。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro−Processing Unit)であってよい。記憶装置は、半導体記憶装置、磁気記憶装置及び光学記憶装置のいずれかを備えてよい。記憶装置は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを含んでよい。以下に説明するEPS−ECU30の機能は、例えばEPS−ECU30のプロセッサが、記憶装置に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
なお、EPS−ECU30を、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエアにより形成してもよい。例えば、EPS−ECU30は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を備えてもよい。例えば、EPS−ECU30は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field−Programmable Gate Array)等のプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD:Programmable Logic Device)等を有していてもよい。
本実施形態に係る電動パワーステアリング装置は、例えば、自動運転(AD:Autonomous Driving)や先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver−Assistance Systems)により走行制御が可能な車両に搭載可能である。
[機能構成]
図2は、本実施形態に係るドライバトルク推定機能に関するEPS−ECU30の機能構成の概要を説明するための図である。図2では、INGキー11、車速センサ12、バッテリ13、および操舵補助モータ20からの入出力については省略している。
上述したように、EPS−ECU30には、トルクセンサ10にて検出した検出トルクTdct、操舵角センサ14にて検出した操舵角θ、および出力軸角センサ15にて検出した出力軸角θが入力される。
EPS−ECU30は、ドライバトルク推定部201、LPF(Low Pass Filter)処理部202、減算器203、LPF処理部204、ハンドル重心トルク推定部205、ハンドル摩擦トルク推定部206、加算器207、角加速度導出部208、フィルタ係数設定部209、フィルタ処理部210、絶対値算出部211、およびステアリング制御部212を含んで構成される。
ドライバトルク推定部201は、入力された検出トルクTdctおよび操舵角θを用いて、ドライバトルク推定値Tを算出する。本実施形態では、以下の式(1)を用いてドライバトルク推定値Tを算出する。
Figure 2021193006
…(1)
:ドライバトルク推定値
:ハンドル慣性モーメント
θ¨ :角加速度(操舵角θの2階微分値)
:粘性係数
θ :角速度(操舵角θの1階微分値)
dct:検出トルク
・θ¨ は、ハンドル慣性トルクを考慮した補正値であり、ドライバの操作を妨げる方向に作用するハンドル慣性トルクの値を加算している。ハンドル慣性モーメントJは、車両に搭載されたハンドルに応じて予め規定されているものとする。D・θ は、粘性摩擦トルクを考慮した補正値であり、ドライバの操作を妨げる方向に作用する粘性摩擦トルクの値を加算している。粘性係数Dは、車両に搭載された機構部に応じて予め規定されているものとする。ドライバトルク推定部201は、算出したドライバトルク推定値TをLPF処理部202へ出力する。
LPF処理部202は、ドライバトルク推定部201から入力されたドライバトルク推定値Tに対して、LPFを適用する。ここでのLPFは、トルクの所定の高周波成分に対するカットオフ周波数が設定されており、瞬間的なトルクの変動を低減するために用いられる。ここでのカットオフ周波数は、予め規定されているものとする。LPF処理部202は、LPFが適用された後の値を減算器203へ出力する。
LPF処理部204は、操舵角センサ14から入力された操舵角θに対して、LPFを適用する。ここでのLPFは、操舵角θの所定の高周波成分に対するカットオフ周波数が設定されており、瞬間的な操舵角θの変動を低減するために用いられる。なお、操舵角θは、式(1)に示すようにドライバトルク推定部201の処理においても用いられている。そのため、LPF処理部202にて用いられるLPFのフィルタ特性と、LPF処理部204にて用いられるLPFのフィルタ特性とは、操舵角θによる影響を考慮して対応するような構成であってよい。LPF処理部204は、LPFが適用された後の操舵角の値をハンドル重心トルク推定部205およびハンドル摩擦トルク推定部206へ出力する。
ハンドル重心トルク推定部205は、重力に依存してステアリングホイール1に作用する重心トルクを推定する。ステアリングホイール1に作用する重心トルクの推定方法は特に限定するものではないが、例えば、特開2019−14468号公報の手法を用いることができる。より具体的には、ステアリングホイール1の回転平面における重心位置は、ステアリングホイール1の回転中心とは異なる。また、ステアリングホイール1の構成(質量や設置状態など)や、走行中の状態(ステアリングホイール1の回転角や横方向の慣性力)などにより、ステアリングホイール1に作用する重心トルクは異なる。そのため、重心位置に基づいてステアリングホイール1に作用する重心トルクを推定し、ドライバトルクの推定値に反映させる。ハンドル重心トルク推定部205は、推定した重心トルクの値を加算器207へ出力する。
ハンドル摩擦トルク推定部206は、ステアリングホイール1の回転に伴いステアリングホイール1に作用する摩擦トルクを推定する。ステアリングホイール1に作用する摩擦トルクの推定方法は特に限定するものではないが、例えば、摩擦トルクと、角速度との対応関係を示すマップを用いて推定してよい。例えば、摩擦トルクは、角速度の絶対値が増加することに伴って減少(例えば、単調減少)し、角速度がある一定の閾値を超えた場合に一定となるような特性を示すマップを用いてよい。角速度は、LPF処理部204から入力された操舵角に対して1階微分を行うことで得られる。上記のマップは予め規定され、記憶部(不図示)等にて保持されているものとする。ハンドル摩擦トルク推定部206は、推定した摩擦トルクの値を加算器207へ出力する。
加算器207は、ハンドル重心トルク推定部205から入力された重心トルクの推定値と、ハンドル摩擦トルク推定部206から入力された摩擦トルクの推定値とを加算し、減算器203へ出力する。
減算器203は、LPF処理部202から入力されたドライバトルク推定値Tから、加算器207から入力されたトルクの値を減算し、フィルタ処理部210へ出力する。つまり、減算器203は、ステアリングホイール1に作用していると推定される重力トルクと摩擦トルクをドライバトルク推定値Tから除去することで補正する。
角加速度導出部208は、出力軸角センサ15から入力された出力軸角θを用いて、角加速度を導出する。具体的には、角加速度導出部208は、出力軸角θに対して2階微分を行うことで、角加速度を導出する。角加速度導出部208は、導出した角加速度をフィルタ係数設定部209へ出力する。
フィルタ係数設定部209は、角加速度導出部208から入力された角加速度に基づいて、フィルタ処理部210にて用いられるフィルタのフィルタ係数を設定する。フィルタ処理部210にて用いられるフィルタとしては、例えば、加重平均フィルタやLPFを用いることができ、フィルタ係数設定部209にて設定されるフィルタ係数は、用いられるフィルタに応じて異なる。例えば、フィルタ処理部210にて用いられるフィルタが加重平均フィルタである場合、フィルタ係数は、連続して入力される入力値に対する加重値(重み)となる。また、フィルタ処理部210にて用いられるフィルタがLPFである場合、フィルタ係数はカットオフ周波数となる。言い換えると、フィルタ係数設定部209は、角加速度に応じて、フィルタ処理部210にて用いられるフィルタの特性を切り替えるように制御する。なお、LPFを用いる場合に、ゲインを調整することでフィルタの特性を設定するような構成であってもよい。
図3は、フィルタ処理部210にて用いられるフィルタがLPFである場合のフィルタ係数の設定の例を示す図である。図3において、縦軸はカットオフ周波数fを示し、横軸は角加速度の絶対値|α|を示す。図3(a)は、角加速度の絶対値|α|が増加することに応じて、カットオフ周波数が減少しているが、ここでは、非線形にてその変化(単調減少)が規定されている。図3(b)は、角加速度の絶対値|α|が閾値TH1を超えるまではカットオフ周波数fがfc1であり、角加速度の絶対値|α|が閾値TH1を超えた場合にはカットオフ周波数fがfc2である。なお、図3(b)では、1段階の切り替えを示したが、さらに多くの段階にて切り替えるような構成であってもよい。また、図3(b)にて一点鎖線の矢印で示すように、ΔTh(TH1−TH2)のヒステリシスを設定して切り替えのチャタリングを防止するようにしてもよい。図3(c)は、角加速度の絶対値|α|が増加するに伴って、カットオフ周波数fが線形にて減少する例を示している。角加速度が大きいほどカットオフ周波数fを減少(低く)することで、ドライバトルク推定値Tに含まれる外乱等の高周波成分をより抑制することが可能となり、ドライバトルクを精度良く推定できる。
また、フィルタ処理部210にて用いられるフィルタが加重平均フィルタである場合について説明する。連続して入力されるドライバトルク推定値(T(n)、T(n−1)、T(n−2)、…)としたとする。この場合に、現在の角加速度α(n)が所定の閾値より大きい場合には現在のドライバトルク推定値T(n)に対する加重が、直前の推定値(例えば、T(n−1)、T(n−2))に比べて相対的に小さくなるように加重平均フィルタのフィルタ係数を決定する。一方、現在の角加速度α(n)が所定の閾値より小さい場合には、現在のドライバトルク推定値T(n)に対する加重が、直前の推定値(例えば、T(n−1)、T(n−2))に比べて相対的に大きくなるようにフィルタ係数を決定する。このようにすれば、図3(b)に示したLPFの特性と同じような効果を得る。フィルタのサイズは特に限定するものではなく、任意のサイズが用いられてよい。また、フィルタ係数を決定する際に用いる閾値についても特に限定するものではないが、予め規定されて保持されているものとする。また、角加速度に対する閾値を複数設定し、閾値が大きいほどドライバトルク推定値Tの高周波成分がより抑制されるようにフィルタ係数を設定してよい。このようにすれば、図3(a)に示したLPFの特性に近い特性が得られる。
フィルタ処理部210にて用いられるフィルタの特性を出力軸角θの角加速度に基づき変更する理由を説明する。検出トルクTdctは、図1を用いて説明したように操舵軸2の入力軸と出力軸との間に発生する捩じれ角に応じた検出値である。ドライバの意図ではない操舵トルクは主に路面からの周期的な外乱による出力軸の変化分と考えらえる。例えば、ある操舵角でハンドルを保持している状況を考える。ドライバの意図である入力軸角はほぼ変化しないが、外乱により出力軸角は変化し得る。そのため、ドライバの意図である入力軸角の変化が生じていない場合でも、検出トルクTdctは外乱に応じて変化し得る。このような状況を考慮し、出力軸角の変化を検知してフィルタの特性を変更すれば外乱の影響を抑制できる。
出力軸角の変化を検知する方法として、角速度又は角加速度の値を使用できる。ステアリングホイール1を一定操舵角に保持している状況では入力軸角の角速度の大きさは比較的小さい。また、ドライバが操舵している状況では、入力軸角の角速度が大きくなることに伴い、出力軸角の角速度も大きくなり得る。しかしながら、様々な操舵状況を考慮すると、角速度に対して閾値等を定めることは難しく、角速度によるフィルタ特性変化の方法は採用ができない。一方、角加速度は変化のオフセット成分(角速度)が除去された信号であるため、様々な操舵状況に対応できる閾値及び周波数特性を定めることができる。
フィルタ処理部210は、フィルタ係数設定部209にて設定されたフィルタ係数のフィルタを用いて、減算器203から入力されたドライバトルク推定値Tに対してフィルタ処理を行う。上述したように、フィルタ処理部210にて用いられるフィルタの種類は特に限定するものではなく、例えば、加重平均フィルタやLPFを用いることができる。フィルタ処理部210によるフィルタ処理の適用前のドライバトルク推定値をTにて示し、フィルタ処理の適用後のドライバトルク推定値をT’にて示す。本実施形態では、絶対値算出部211による処理がフィルタ処理部210から出力された値に対して行われる。したがって、絶対値算出部211から、ステアリング制御部212に対して入力されるドライバトルク推定値をT’とする。
絶対値算出部211は、フィルタ処理部210から入力されたドライバトルク推定値の絶対値を算出する。ステアリングホイール1の回転方向に応じてトルクの向きが規定される。ここでは、絶対値算出部211は、トルクの大きさを算出するために、ドライバトルク推定値の絶対値を算出する。絶対値算出部211は、ドライバトルク推定値の絶対値をT’としてステアリング制御部212へ出力する。
ステアリング制御部212は、フィルタ処理部210から入力された値及び絶対値算出部211から入力されたドライバトルク推定値T’に基づいて、ステアリングの制御を行う。具体的には、ステアリング制御部212は、絶対値算出部211から入力されたドライバトルク推定値T’から、ドライバがステアリングホイール1を把持しているか否か(ハンズオン状態かハンズオフ状態)を判定してよい。または、ステアリング制御部212は、フィルタ処理部210から入力された値に基づいて、減速ギア3に対する制御のために、操舵補助モータ20に対する制御信号を出力してよい。例えば、ステアリング制御部212は、フィルタ処理部210、操舵角センサ14、および車速センサ12から入力された値に基づき、操舵機構の目標とする回転角(目標操舵角)あるいは操舵機構に与える操舵補助力の目標値であるアシスト目標値を導出する。そして、ステアリング制御部212は、その回転角又はアシスト目標値に追従するように、操舵機構の回転を補助するための制御信号を生成して操舵補助モータ20に出力する。また、例えば、ADASの一つである車線維持支援機能の目標操舵角又は目標操舵角と実操舵角の偏差に応じた制御信号を、フィルタ処理部210から入力された値又は絶対値算出部211から入力された値に基づいて変更するようにしてもよい。操舵補助モータ20が、この制御信号に基づいて減速ギア3を制御する。
なお、図2の例では、絶対値算出部211を設けた構成を示したが、これに限定するものではない。ステアリング制御部212における処理の内容に応じて、絶対値算出部211の処理が省略されてもよい。その場合、絶対値算出部211に入力されていた値が、ステアリング推定値T’として、そのままステアリング制御部212に入力される。
[処理フロー]
図4は、本実施形態に係るEPS−ECU30による処理のフローチャートである。上述したように、本処理フローは、例えば、記憶装置(不図示)に記憶されたプログラムをCPU(不図示)にて読み出して実行することにより実現されてよい。
S401にて、EPS−ECU30は、トルクセンサ10にて検出された検出トルクTdct、操舵角センサ14にて検出された操舵角θ、および出力軸角センサ15にて検出された出力軸角θを取得する。
S402にて、EPS−ECU30は、検出トルクTdct、および操舵角θに基づき、ドライバトルク推定値Tを算出する。本実施形態においてドライバトルク推定値Tは、上述した式(1)にて算出される。さらにEPS−ECU30は、算出したドライバトルク推定値Tに対して、予め規定されたLPFを適用する。
S403にて、EPS−ECU30は、操舵角θに基づき、ステアリングホイール1に対する重心トルクを算出する。まず、EPS−ECU30は、操舵角θに対して、予め規定されたLPFを適用する。さらにEPS−ECU30は、LPF処理後の操舵角を用いて重心トルクを算出する。重心トルクの算出は、上述したように公知の方法を用いてよい。
S404にて、EPS−ECU30は、操舵角θに基づき、ステアリングホイール1に対する摩擦トルクを算出する。まず、EPS−ECU30は、操舵角θに対して、予め規定されたLPFを適用する。さらにEPS−ECU30は、LPF処理後の操舵角を用いて摩擦トルクを算出する。摩擦トルクの算出は、上述したように予め規定して保持しているマップを用いてよい。
S405にて、EPS−ECU30は、S402にて算出したドライバトルク推定値Tから、S403にて算出した重心トルクおよびS404にて算出した摩擦トルクを減算することで、ドライバトルク推定値Tを補正する。
S406にて、EPS−ECU30は、出力軸角θに基づき角加速度を算出する。具体的には、出力軸角θに対して2階微分を適用することで角加速度が得られる。
S407にて、EPS−ECU30は、S406にて得られた角加速度に基づいて、フィルタのフィルタ係数を決定する。本実施形態においてフィルタは、上述したようにLPFや加重平均フィルタなどを用いることが可能であり、フィルタ係数は、これらに対する係数となる。係数の設定方法としては、図3などを用いて説明した方法が挙げられる。
S408にて、EPS−ECU30は、S405にて補正されたドライバトルク推定値Tに対して、S407にてフィルタ係数が設定されたフィルタを用いてフィルタ処理を実行する。フィルタ処理後のドライバトルク推定値T’が、本実施形態に係るドライバトルクの推定結果に相当する。
S409にて、EPS−ECU30は、S408にてフィルタ処理が実行後のドライバトルク推定値T’に基づいて、ステアリング処理を行う。そして、本処理フローを終了する。
なお、図4に示した処理の順序は一例であり、一部の処理が並べ替えられてもよいし、並列に処理されてもよい。また、本処理フローは、各センサにて信号が検知されることに応じて繰り返し実行されることとなる。
[効果]
図5および図6は、本実施形態に係る構成による効果を説明するための図である。図5は、フィルタ処理を適用する前のドライバトルクの推定値を説明するための図である。図6は、フィルタ処理を適用した後のドライバトルクの推定値を説明するための図である。ここで、ドライバは急激なハンドル操作をしていない。ここでは、フィルタとして加重平均フィルタを用いた場合の結果の例を示す。
上述したように、角加速度(すなわち、外乱による出力軸角θの急激な変動)に伴って、検出トルクTdctの値や、ドライバトルク推定値Tの値は影響を受けることとなる。
図5において左縦軸はトルク[Nm]を示し、右縦軸は角加速度[deg/s]を示す。また、横軸は時間[s]を示し、図5において左から右へ時間が経過するものとする。実線にて示す線は、フィルタ処理を適用する前のドライバトルク推定値Tを示す。点線にて示す線は、トルクセンサ10にて検出した検出トルクTdctを示す。二点鎖線にて示す線は、出力軸角センサ15にて検出した出力軸角θを2階微分することで得られる角加速度を示す。ドライバトルク推定値Tと検出トルクTdctの値は、図5の左側の目盛りに対応する。角加速度の値は、図5の右側の目盛りに対応する。
図5に示すように、角加速度が急激に変動している2.9[s]以降においては、これに伴って、検出トルクTdctの急激な変動が生じている。このとき、ドライバトルク推定値Tは、ドライバトルク推定部201〜加算器207の動作により、検出トルクTdctよりも角加速度の変動(すなわち、外乱)による影響が抑制されているものの、なお相当程度大きく変動している。つまり、外乱による影響が無視できない状態となっている。
図6は、図5に対し、フィルタ処理を適用した後のドライバトルク推定値T’が追加されている。図6において、一点鎖線にて示す線は、フィルタ処理を適用した後のドライバトルク推定値T’を示す。ドライバトルク推定値T’の値は、図6の左側の目盛りに対応する。また、図6におけるドライバトルク推定値T’は、絶対値算出部211による処理は行われていないものとする。
図6において、ドライバトルク推定値Tとドライバトルク推定値T’とを参照すると、角加速度が急激に変動した場合でも、ドライバトルク推定値Tに比べてドライバトルク推定値T’の方が、変動が抑制されている。これは、上述したフィルタ処理部210にて外乱に起因する出力軸角θから求められる角加速度に基づくフィルタを用いることで、ドライバトルク推定値T’では外乱による出力軸角θの急激な変動の影響を抑制できているためである。つまり、図6に示すように、本実施形態では、角加速度導出部208〜フィルタ処理部210の構成により、外乱の影響を抑制したドライバトルク推定値T’を精度良く導出することができる。つまり、ドライバの意図に合ったドライバトルクを推定できている。
本実施形態により、ドライバが意図して付与したトルクを精度良く推定することが可能となる。特に、電動パワーステアリング装置におけるドライバトルクを推定する際の精度を向上させることが可能となる。そして、精度の高いドライバトルク推定値に基づいて、電動パワーステアリング装置さらには車両において、ドライバの意図に沿った制御を実現することができる。
なお、上記の実施形態では、電動パワーステアリング装置を例に挙げて説明したが、本願発明の適用範囲はこれに限定するものではない。つまり、軸部材に対して操作者が意図して付与したトルクを、外乱や構成など起因して、センサでは正確に検知できないような状況において、本願発明の構成は適用可能である。また、式(1)に基づいてドライバトルク推定値Tを求める実施形態を説明したが、算出する際に用いる算出式はこれに限定するものではない。例えば、式(1)の第1項(ハンドル慣性トルクに相当)及び第2項(粘性摩擦トルクに相当)のいずれかを省略した構成、または第1項及び第2項の両方を省略した構成としてドライバトルク推定値を求めてもよい。
[変形例]
上記の図2の構成では、LPF処理部202から出力されたドライバトルク推定値に対して、ハンドル重心トルク推定部205にて推定された重心トルクおよびハンドル摩擦トルク推定部206にて推定された摩擦トルクを減算した上で、フィルタ処理部210によるフィルタ処理を行っていた。しかし、この構成に限定するものではなく、例えば、LPF処理部202とフィルタ処理部210が一体となった構成であってもよい。図7に変形例の機能構成の概要を示す。
図7において、ドライバトルク推定部201は、推定したドライバトルク推定値Tをフィルタ処理部701に出力する。フィルタ処理部701は、フィルタ係数設定部209にて設定されたフィルタ係数のフィルタを用いてドライバトルク推定値Tに対してフィルタ処理を行う。フィルタ処理部701は、上述したLPF処理部202とフィルタ処理部210が行う処理と同様の処理を行うような構成であってもよいし、処理の順序の変更に伴って、フィルタ処理の一部が変更されていてもよい。フィルタ処理部701は、フィルタ処理が適用されたドライバトルク推定値を減算器702へ出力する。また、加算器207は、ハンドル重心トルク推定部205から入力されたトルクの値と、ハンドル摩擦トルク推定部206から入力されたトルクの値とを加算し、減算器702に出力する。減算器702は、フィルタ処理部701から入力されたドライバトルク推定値から、加算器207から入力されたトルクの値を減算し、絶対値算出部211へ出力する。その後、絶対値算出部211による処理が減算器702から出力された値に対して行われ、ステアリング制御部212に対してドライバトルク推定値T’が出力される。
図7に示すような構成であっても、本願発明の機能は実現可能である。
また、電動パワーステアリング装置の構成は、図1に示した構成に限定するものではない。例えば、電動パワーステアリング装置は、ステアリングホイール1側と、ピニオンラック機構5側とが機械的に切り離されたステアバイワイヤ(SBW:Steer−By−Wire)機構により構成されていてもよい。この場合において、上記の実施形態と同様、操舵角センサ14は、上述したようにトーションバー9に対する入力軸側の軸周りの回転角を操舵角θとして検出する。また、出力軸角センサ15はトーションバー9に対する出力軸側の軸周りの回転角を出力軸角θとして検出する。この時の出力軸角θは、ピニオンラック機構5側に設けられた転舵角センサ(不図示)や車速センサ12による検知結果に基づいて、EPS−ECU30が操舵補助モータ20を制御することにより行われる回転に伴う回転角を考慮してよい。
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
<その他の実施形態>
また、本願発明において、上述した1以上の実施形態の機能を実現するためのプログラムやアプリケーションを、ネットワーク又は記憶媒体等を用いてシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 電動パワーステアリング装置であって、
操舵軸に対して加えられているトルクを検出するトルク検出部と、
前記操舵軸の出力側における出力軸角を検出する出力軸角検出部と、
前記電動パワーステアリング装置を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記トルクに基づいてドライバトルクの推定値を導出する推定部と、
前記推定値の高周波成分を抑制するフィルタ処理を行うフィルタ処理部と、
前記出力軸角検出部にて検出した出力軸角から導出される角加速度に応じて、前記フィルタ処理部にて用いられるフィルタの特性を変更する変更部と
を有することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
この構成によれば、ドライバが意図して付与したトルクを精度良く推定することが可能となる。
(2) 前記変更部は、前記出力軸角検出部にて検出した出力軸角から導出される角加速度と所定の閾値との比較の結果に基づいて、前記ドライバトルクの推定値に対する前記フィルタの特性を決定する
ことを特徴とする(1)に記載の電動パワーステアリング装置。
この構成によれば、予め規定された閾値を用い、検出した角加速度に応じて、フィルタ処理にて用いられるフィルタの特性を切り替えることができる。
(3) 前記変更部は、前記角加速度と前記フィルタの特性とが対応付けられたマップと、前記出力軸角検出部にて検出した出力軸角から導出される角加速度とを用いて、前記ドライバトルクの推定値に対する前記フィルタの特性を決定する
ことを特徴とする(1)に記載の電動パワーステアリング装置。
この構成によれば、角加速度とフィルタの特性とが対応付けられたマップを参照して、検出した角加速度に応じて、フィルタ処理にて用いられるフィルタの特性を切り替えることができる。
(4) 前記変更部は、前記角加速度が大きいほど前記高周波成分をより抑制するように前記フィルタの特性を決定する
ことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
この構成によれば、ドライバトルクの推定値に含まれる外乱等の高周波成分を角加速度の大きさに応じて抑制することが可能となり、ドライバトルクを精度良く推定できる。
(5) 前記フィルタは、加重平均フィルタであり、
前記フィルタの特性は、前記ドライバトルクの推定値に対する加重値である
ことを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
この構成によれば、加重平均フィルタを用いたフィルタ処理を行って補正することで、ドライバトルクの推定値の精度を向上させることができる。
(6) 前記フィルタは、ローパスフィルタであり、
前記フィルタの特性は、前記ドライバトルクの推定値に対するカットオフ周波数である
ことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
この構成によれば、ローパスフィルタを用いたフィルタ処理を行って補正することで、ドライバトルクの推定値の精度を向上させることができる。
(7) 前記操舵軸の入力側における操舵角を検出する操舵角検出部を更に備え、
前記推定部は、前記操舵角検出部にて検出した操舵角に基づいて、慣性トルク、粘性摩擦トルク、ハンドル重心トルク、およびハンドル摩擦トルクの少なくともいずれかを導出し、導出した値を用いて前記トルク検出部にて検出したトルクを補正することで、前記ドライバトルクの推定値を導出することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
この構成によれば、外的要因を除去して、ドライバトルクの推定を精度良く行うことができる。
(8) 前記操舵軸は、トーションバーを含んで構成され、
前記出力軸角検出部は、前記トーションバーと操向車輪を転舵する転舵機構との間の前記操舵軸の出力側に設けられる
ことを特徴とする(1)〜(7)いずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
この構成によれば、外的要因に起因した操舵軸の出力側における出力軸角を精度良く検出することが可能となる。
(9) 前記操舵軸は、トーションバーを含んで構成され、
前記操舵角検出部は、ドライバが操作する操舵輪と前記トーションバーとの間の前記操舵軸の入力側に設けられる
ことを特徴とする(7)に記載の電動パワーステアリング装置。
この構成によれば、ドライバの操作に起因する操舵軸の入力側における操舵角を精度良く検出することが可能となる。
(10) 前記電動パワーステアリング装置は、前記操舵軸を駆動するアクチュエータを有する転舵機構を備え、
前記制御部は、前記フィルタ処理部によるフィルタ処理が適用された後のドライバトルクの推定値に基づいて、前記転舵機構を制御する
ことを特徴とする(1)〜(9)のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
この構成によれば、より精度良く推定されたドライバトルクの推定値を用いることで、より適切な電動パワーステアリング装置の転舵制御を実現することができる。
(11) 前記制御部は、前記フィルタ処理部によるフィルタ処理が適用された後のドライバトルクの推定値に基づいて、前記転舵機構の目標操舵角を導出し、当該目標操舵角に対応する制御量を用いて前記転舵機構を制御する
ことを特徴とする(10)に記載の電動パワーステアリング装置。
この構成によれば、より精度良く推定されたドライバトルクの推定値を用いることで、より適切な操舵支援制御を実現することができる。
(12) 前記制御部は、前記フィルタ処理部によるフィルタ処理が適用された後のドライバトルクの推定値に基づいて、前記転舵機構の目標操舵角に対応する制御量を調整して前記転舵機構を制御する
ことを特徴とする(10)に記載の電動パワーステアリング装置。
この構成によれば、より精度良く推定されたドライバトルクの推定値を用いることで、より適切な操舵支援制御を実現することができる。
(13) 前記制御部は、前記フィルタ処理部によるフィルタ処理が適用された後のドライバトルクの推定値に基づいて、ステアリングホイールに対するハンズオンまたはハンズオフのいずれであるかの判定を行う
ことを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
この構成によれば、より精度良く推定されたドライバトルクの推定値を用いることで、より適切なハンズオン/ハンズオフの判定制御を実現することができる。
(14) 電動パワーステアリング装置におけるトルク推定方法であって、
操舵軸に対して加えられているトルクを検出する工程と、
前記操舵軸の出力側における出力軸角を検出する工程と、
前記トルクに基づいてドライバトルクの推定値を導出する工程と、
前記出力軸角から導出される角加速度に応じて、前記推定値の高周波成分を抑制するフィルタ処理に用いられるフィルタの特性を決定する工程と、
決定された特性のフィルタを用いたフィルタ処理を行うことで、前記ドライバトルクの推定値を補正する工程と、
を有することを特徴とするトルク推定方法。
この構成によれば、ドライバが意図して付与したトルクを精度良く推定することが可能となる。
(15) 軸部材に対するトルク推定方法であって、
前記軸部材に対して加えられているトルクを検出する工程と、
前記軸部材の出力側における回転軸周りの出力軸角を検出する工程と、
前記トルクに基づいて前記軸部材の入力側に入力されたトルクの推定値を導出する工程と、
前記出力軸角から導出される角加速度に応じて、前記推定値の高周波成分を抑制するフィルタ処理に用いられるフィルタの特性を決定する工程と、
前記決定された特性のフィルタを用いたフィルタ処理を行うことで、前記推定値を補正する工程と、
を有することを特徴とするトルク推定方法。
この構成によれば、軸部材の入力側に付与されたトルクを精度良く推定することが可能となる。
1 ステアリングホイール
2 操舵軸
3 減速ギア
4a,4b ユニバーサルジョイント
5 ピニオンラック機構
6a,6b タイロッド
7a,7b ハブユニット
8L,8R 操向車輪
9 トーションバー
10 トルクセンサ
11 イグニッション(ING)キー
12 車速センサ
13 バッテリ
14 操舵角センサ
15 出力軸角センサ
20 操舵補助モータ
30 EPS(Electric Power Steering)−ECU(Electronic Control Unit))
201 ドライバトルク推定部
202 LPF(Low Pass Filter)処理部
203 減算器
204 LPF処理部
205 ハンドル重心トルク推定部
206 ハンドル摩擦トルク推定部
207 加算器
208 角加速度導出部
209 フィルタ係数設定部
210 フィルタ処理部
211 絶対値算出部
212 ステアリング制御部

Claims (15)

  1. 電動パワーステアリング装置であって、
    操舵軸に対して加えられているトルクを検出するトルク検出部と、
    前記操舵軸の出力側における出力軸角を検出する出力軸角検出部と、
    前記電動パワーステアリング装置を制御する制御部と
    を備え、
    前記制御部は、
    前記トルクに基づいてドライバトルクの推定値を導出する推定部と、
    前記推定値の高周波成分を抑制するフィルタ処理を行うフィルタ処理部と、
    前記出力軸角検出部にて検出した出力軸角から導出される角加速度に応じて、前記フィルタ処理部にて用いられるフィルタの特性を変更する変更部と
    を有することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記変更部は、前記出力軸角検出部にて検出した出力軸角から導出される角加速度と所定の閾値との比較の結果に基づいて、前記ドライバトルクの推定値に対する前記フィルタの特性を決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記変更部は、前記角加速度と前記フィルタの特性とが対応付けられたマップと、前記出力軸角検出部にて検出した出力軸角から導出される角加速度とを用いて、前記ドライバトルクの推定値に対する前記フィルタの特性を決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記変更部は、前記角加速度が大きいほど前記高周波成分をより抑制するように前記フィルタの特性を決定する
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記フィルタは、加重平均フィルタであり、
    前記フィルタの特性は、前記ドライバトルクの推定値に対する加重値である
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
  6. 前記フィルタは、ローパスフィルタであり、
    前記フィルタの特性は、前記ドライバトルクの推定値に対するカットオフ周波数である
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
  7. 前記操舵軸の入力側における操舵角を検出する操舵角検出部を更に備え、
    前記推定部は、前記操舵角検出部にて検出した操舵角に基づいて、慣性トルク、粘性摩擦トルク、ハンドル重心トルク、およびハンドル摩擦トルクの少なくともいずれかを導出し、導出した値を用いて前記トルク検出部にて検出したトルクを補正することで、前記ドライバトルクの推定値を導出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
  8. 前記操舵軸は、トーションバーを含んで構成され、
    前記出力軸角検出部は、前記トーションバーと操向車輪を転舵する転舵機構との間の前記操舵軸の出力側に設けられる
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
  9. 前記操舵軸は、トーションバーを含んで構成され、
    前記操舵角検出部は、ドライバが操作する操舵輪と前記トーションバーとの間の前記操舵軸の入力側に設けられる
    ことを特徴とする請求項7に記載の電動パワーステアリング装置。
  10. 前記電動パワーステアリング装置は、前記操舵軸を駆動するアクチュエータを有する転舵機構を備え、
    前記制御部は、前記フィルタ処理部によるフィルタ処理が適用された後のドライバトルクの推定値に基づいて、前記転舵機構を制御する
    ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
  11. 前記制御部は、前記フィルタ処理部によるフィルタ処理が適用された後のドライバトルクの推定値に基づいて、前記転舵機構の目標操舵角を導出し、当該目標操舵角に対応する制御量を用いて前記転舵機構を制御する
    ことを特徴とする請求項10に記載の電動パワーステアリング装置。
  12. 前記制御部は、前記フィルタ処理部によるフィルタ処理が適用された後のドライバトルクの推定値に基づいて、前記転舵機構の目標操舵角に対応する制御量を調整して前記転舵機構を制御する
    ことを特徴とする請求項10に記載の電動パワーステアリング装置。
  13. 前記制御部は、前記フィルタ処理部によるフィルタ処理が適用された後のドライバトルクの推定値に基づいて、ステアリングホイールに対するハンズオンまたはハンズオフのいずれであるかの判定を行う
    ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
  14. 電動パワーステアリング装置におけるトルク推定方法であって、
    操舵軸に対して加えられているトルクを検出する工程と、
    前記操舵軸の出力側における出力軸角を検出する工程と、
    前記トルクに基づいてドライバトルクの推定値を導出する工程と、
    前記出力軸角から導出される角加速度に応じて、前記推定値の高周波成分を抑制するフィルタ処理に用いられるフィルタの特性を決定する工程と、
    決定された特性のフィルタを用いたフィルタ処理を行うことで、前記ドライバトルクの推定値を補正する工程と、
    を有することを特徴とするトルク推定方法。
  15. 軸部材に対するトルク推定方法であって、
    前記軸部材に対して加えられているトルクを検出する工程と、
    前記軸部材の出力側における回転軸周りの出力軸角を検出する工程と、
    前記トルクに基づいて前記軸部材の入力側に入力されたトルクの推定値を導出する工程と、
    前記出力軸角から導出される角加速度に応じて、前記推定値の高周波成分を抑制するフィルタ処理に用いられるフィルタの特性を決定する工程と、
    前記決定された特性のフィルタを用いたフィルタ処理を行うことで、前記推定値を補正する工程と、
    を有することを特徴とするトルク推定方法。
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