JP2021191833A - バンバリー加工性と保存安定性と耐水性に優れるアクリルゴム - Google Patents

バンバリー加工性と保存安定性と耐水性に優れるアクリルゴム Download PDF

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孝文 川中
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Abstract

【課題】バンバリー加工性と保存安定性と耐水性に優れるアクリルゴムを提供する。【解決手段】本発明に係るアクリルゴムは、反応性基を有し且つ反応性基含有量が0.001〜5重量%のアクリルゴムからなり、メチルエチルケトン不溶解分のゲル量が50重量%以下、pHが6以下、灰分量が0.4重量%以下で灰分中のマグネシウム、リン、カルシウム、ナトリウム及びイオウの合計量が50重量%以上、及び、比重が0.8以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、アクリルゴム及びその製造方法、ゴム組成物及びゴム架橋物に関し、さらに詳しくは、バンバリー加工性、保存安定性及び耐水性に優れるアクリルゴム及びその製造方法、該アクリルゴムを含む架橋性のゴム組成物及びそれを架橋してなるゴム架橋物に関する。
アクリルゴムは、アクリル酸エステルを主成分とする重合体であり、一般に耐熱性、耐油性及び耐オゾン性に優れたゴムとして知られ、自動車関連の分野などで広く用いられている。
例えば、特許文献1(特開平11−12427号公報)には、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、アクリロニトリル、及びアリルメタクリレートやシクロペンテニルオキシエチルアクリレートなどの炭素−炭素二重結合を側鎖に導入する単量体を含んでなる単量体成分100部、ラウリル硫酸ナトリウム4部、有機ラジカル発生剤としてのp−メンタンハイドロパーオキサイド0.25部、硫酸第一鉄0.01部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.025部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.04部、及び連鎖移動剤としてのt−ドデシルメルカプタン0.01〜0.05部をチッソ置換したオートクレープに仕込み、反応温度30度で単量体混合物の転化率が100%に達するまで反応させ、得られたラテックスを0.25%塩化カルシウム水溶液に加えて凝固させ、凝固物を十分に水洗して、約90℃で3時間乾燥させ、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンなどの有機過酸化物で架橋する押し出し加工性やスコーチ特性に優れるアクリルゴム及び架橋組成物が開示されている。しかしながら、本方法で得られるアクリルゴムは、バンバリー加工性やロール加工性が十分でなく、また、保存安定性、耐圧縮永久歪み特性、耐水性、強度特性に劣る問題があった。
また、特許文献2(特開平5−86137号公報)には、有機ラジカル発生剤で重合を開始し連鎖移動剤をモノマー乳化液に添加して連続的に投与するアクリルゴムの製造方法が開示されている。具体的には、アクリル酸2−(−シアノエトキシ)エチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、及び、クロロ酢酸ビニル、アリルグリシジルエーテルなどの架橋性単量体を含むモノマー混合物と適量のn−ドデシルメルカプタンの混合物のうち5分の1をポリオキシエチレンラウリルエーテル1重量部、ラウリル硫酸ナトリウム4重量部、リン酸水素二ナトリウム0.7重量部、リン酸二水素ナトリウム0.3重量部のうちの2分の1と混合撹拌して乳化液とし、15℃とした後にエチレンジアミン四酢酸ナトリウム鉄(II)0.005重量部、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム0.02重量部、ロンガリット0.02重量部及びハイドロサルファイトナトリウム0.02重量部を添加し、有機ラジカル発生剤であるtert−ブチルハイドロパーオキシド0.2重量%水溶液を毎時1.5部の速度で滴下して重合を開始し、温度を15℃に保持しつつ、残りのモノマー及びn−ドデシルメルカプタンの混合物と乳化剤水溶液からなる乳化液を3時間で滴下してモノマー転化率96〜99%まで重合反応を行っている。また、得られた共重合体ラテックスは、85℃の塩化カルシウム水溶液に投入して共重合体を単離し、十分洗浄した後乾燥を行い目的とする共重合体ゴムを得、イオウ架橋することが記載されている。しかしながら、本方法で得られるアクリルゴムは、バンバリー加工性やロール加工性が十分でなく、また、保存安定性、耐水性、強度特性に劣る問題があった。
また、特許文献3(国際公開第2019/188709号パンフレット)には、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシエチル及びフマル酸モノブチルからなる単量体成分、水及びラウリル硫酸ナトリウムを仕込み、減圧脱気及び窒素置換を繰り返した後、ナトリウムアルデヒドスルホキシレートと有機ラジカル発生剤であるクメンハイドロパーオキシドを加えて常圧、常温下で乳化重合を開始させ、重合転化率が95重量%になるまで乳化重合を行ってから塩化カルシウム水溶液で凝固させスクリューを有する押出乾燥機で脱水乾燥してアクリルゴムを製造する方法が開示されている。しかしながら、かかる方法で得られるアクリルゴムは、バンバリー加工性、ロール加工性、保存安定性、及び耐水性に劣る問題があった。
更に、特許文献4(国際公開第2018/117037号パンフレット)には、アクリル酸エチル、フマル酸モノn−ブチルからなる単量体成分、水及びドデシル硫酸ナトリウムを仕込み、減圧脱気及びチッソ置換を3度行って酸素を十分に除去した後、有機ラジカル発生剤であるアゾビス(イソブチロニトリル)とエチル−2−メチル−2−フェニルテラニルプロピネートを加えて、常圧下、温度50度で重合反応を開始し、重合転化率89%に達するまで重合を行った後に塩化カルシウム溶液で凝固させ、水洗、乾燥してアクリルゴムを製造する方法が開示されている。しかしながら、かかる方法で得られるアクリルゴムは、バンバリー加工性、ロール加工性、保存安定性、及び耐水性に劣る問題があった。
一方、無機ラジカル発生剤を用いたアクリルゴムの製造方法としては、例えば、特許文献5(特開2019−119772号公報)には、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシエチル及びマレイン酸モノブチルからなる単量体成分を純水と乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウムとポリオキシエチレンドデシルエーテルを用いて単量体乳化液としたのち、単量体乳化液の一部を重合反応槽に投入し窒素気流下で12℃まで冷却してから、残部の単量体乳化液、硫酸第一鉄、アスコルビン酸ナトリウム及び無機ラジカル発生剤としての過硫酸カリウム水溶液を連続的に3時間かけて連続的に滴下し、その後も23℃に保ち1時間継続して乳化重合を行い重合転化率が97重量%に達してから85℃に昇温させた後に硫酸ナトリウムを連続的に添加することにより凝固濾別し含水クラムを得て、該含水クラムを水洗4回、酸洗浄1回及び純水洗浄1回行った後にスクリューを有する押出乾燥機でシート状にアクリルゴムを連続的に製造し、ヘキサメチレンジアミンカーバメート等の脂肪族多価アミン化合物で架橋する方法が開示されている。しかしながら、本方法で得られるシート状アクリルゴムは、保存安定性や架橋物の耐水性に劣る問題があった。
特許文献6(特開平1−135811号公報)には、アクリル酸エチル、カプロラクトン付加型アクリル酸エステル、シアノエチルアクリレート及びクロロ酢酸ビニルからなる単量体成分と連鎖移動剤としてのn−ドデシルメルカプタンとからなる単量体混合物の1/4量をラウリル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル及び蒸留水で乳化し、亜硫酸ナトリウムと無機ラジカル発生剤としての過硫酸アンモニウムを添加して重合を開始し、温度を60℃に保ちながら残部の単量体混合物と2%過硫酸アンモニウム水溶液を2時間滴下し、滴下後更に2時間重合を継続した重合転化率96〜99%のラテックスを80℃の塩化ナトリウム水溶液に投入し凝固してから十分に水洗後乾燥をしてアクリルゴムを製造しイオウで架橋する方法が開示されている。しかしながら、本方法で得られるアクリルゴムは、バンバリー加工性が十分でなく、また、保存安定性、耐水性に劣る問題があった。
特許文献7(特開昭62−64809号公報)には、アクリル酸アルキルエステル及びアクリル酸アルコキシアルキルエステルのうち少なくとも1種の化合物50〜99.9重量%、不飽和カルボン酸のジヒドロジシクロペンテニル基含有エステル0.1〜20重量%、他のモノビニル系、モノビニリデン系及びモノビニレン系不飽和化合物のうち少なくとも1種0〜20重量%よりなる単量体組成の共重合体であって、そのテトラハイドロフランを展開溶媒にしたポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が20万〜120万であり重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)が10以下であることを特徴とする硫黄加硫が可能なアクリルゴムが開示されている。その具体的な実施例としては、エチルアクリレートやラジカル架橋性のジヒドロジシクロペンテニルアクリレートなどを含む単量体成分、乳化剤のラウリル硫酸ナトリウム、無機ラジカル発生剤としての過硫酸カリウム及び分子量調節剤としてのチオグリコール酸オクチルやt−ドデシルメルカプタンを変量して添加し、数平均分子量(Mn)が53〜115万、重量平均分子量(Mw)が354〜626万及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4.7〜8のアクリルゴムが開示されている。そして、連鎖移動剤の量が少ないと、数平均分子量(Mw)は500万と大きく重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は1.4と狭くなり、連鎖移動剤の量が多いと数平均分子量(Mn)は20万と小さく重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は17と極端に広くなることが実施例比較例に示されている。しかしながら、本方法で得られるアクリルゴムは、バンバリー加工性やロール加工性が十分でなく、架橋反応では、架橋剤としての硫黄と加硫促進剤を加えロールで混錬後に、100kg/cmの加硫プレスにおいて、170℃で15分間、さらにギヤオーブンにおいて、175℃で4時間と長時間の架橋が必要となる問題があり、また、得られる架橋物は耐水性、耐圧縮永久歪み特性及び強度特性に劣り、且つ、熱劣化後の物性変化にも劣る等の問題があった。
特開平11−12427号公報 特開2019−119772号公報 国際公開第2019/188709号パンフレット 国際公開第2018/117037号パンフレット 特開2019−119772号公報 特開平1−135811号公報 特開昭62−64809号公報
本発明は、かかる従来技術の実状に鑑みてなされたものであり、バンバリー加工性、保存安定性及び耐水性に優れるアクリルゴム及びその製造方法、該アクリルゴムを含む架橋性のゴム組成物及びそれを架橋してなるゴム架橋物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究した結果、架橋剤等と反応する反応性基を特定量含有し、特定溶媒不溶解分のゲル量、pH、灰分量、灰分成分量及び比重が特定であるアクリルゴムが、バンバリー加工性、保存安定性及び耐水性が高度にバランスされ優れることを見出した。
本発明者らは、また、バンバリー加工性に関して、アクリルゴムのゲル量、特に特定溶媒に不溶解分のゲル量が大きく影響していることを見出した。また、アクリルゴムの特定溶媒の不溶解分量(ゲル量)は、アクリルゴムの乳化重合中に発生し、特に、強度特性を高めようと重合転化率が高くなると急増してしまうので重合中でのコントロールが難しいが、乳化重合終盤に連鎖移動剤を存在させると多少なりとも改善できること、及び、凝固で生成した含水クラムをスクリュー型二軸押出乾燥機内で実質的に水分を含まない状態(含水量1重量%未満)で溶融混錬し乾燥することで急増した特定溶媒不溶解分のゲル量が消失してバンバリー加工性に格段に優れたアクリルゴムを製造できることを見出した。
本発明者らは、また、保存安定性に関して、アクリルゴムの比重に大きく影響されることを見出した。アクリルゴムそのものの比重は大きいが、製造中に空気を巻き込み、特に、カルボキシル基、エポキシ基または塩素原子等の反応性基を有するアクリルゴムは粘着性で且つ空気との親和性も高くいったん空気を巻き込んでしまうと抜くことが難しいが、高圧力のベーラーでベール化することにより僅かでも比重を大きくし保存安定性を改善できること、及び、減圧下のスクリュー型二軸押出乾燥機等で空気を含まないシート状のアクリルゴムを押し出すことで殆ど空気を含まず比重が高めで且つ格段に保存安定性に優れるアクリルゴムを製造できることを見出した。本発明者らは、また、アクリルゴムの保存安定性は、アクリルゴムのpHにも大きく影響され、pHを低めることで保存安定性が改善できることを見出した。
本発明者らは、また、耐水性に関して、アクリルゴム中の灰分量と灰分成分が大きく影響していることを見出した。アクリルゴムの灰分量は、乳化剤や凝固剤を多量に使用する製造方法からなかなか低減できないが、特定な凝固方法で生成した含水クラムは、温水での洗浄効率や脱水時での灰分除去率が格段に高く、圧倒的にアクリルゴム中の灰分量を低減し耐水性を格段に改善できることを見出した。
本発明者らは、また、反応性基が、架橋剤等と反応するカルボキシル基、エポキシ基または塩素原子であるとき、あるいはイオン性反応性基であるとき、そして、特に、アクリルゴム中の反応性基含有量が特定範囲であるときに、アクリルゴムのバンバリー加工性、保存安定性及び耐水性に優れるとともに耐圧縮永久歪み特性や強度特性にも高度に優れ好適であることを見出した。
本発明者らは、また、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)がアクリルゴムのロール加工性に関係することを見出し、特に、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が特定範囲にあるときに、バンバリー加工性、保存安定性及び耐水性に優れるとともにロール加工性にも優れ好適であることを見出した。本発明者らは、また、かかる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が特定でロール加工性、バンバリー加工性、保存安定性及び耐水性に優れるアクリルゴムが、特定な単量体成分を水と乳化剤とでエマルジョン化した後に過硫酸カリウム等の無機ラジカル発生剤と還元剤とからなるレドックス触媒存在下に乳化重合を開始させ、連鎖移動剤を初期には添加せずに重合途中で回分的に添加して乳化重合を行うこと、得られた乳化重合を特定条件で凝固すること、凝固反応で生成する含水クラムを温水で洗浄すること、及び洗浄後の含水クラムを脱水後に乾燥することにより、製造できるアクリルゴムの高分子量成分と低分子量成分を共存させ広めな分子量分布とし且つと特定成分の灰分量をすることで製造できることを見出した。
また、特定の押出乾燥機を用いて高シェアの条件でアクリルゴムを溶融混錬し乾燥することにより、重量平均分子量(Mw)を落とさず重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)を広げ、アクリルゴムのロール加工性と強度特性を高度にバランスさせることができることを見出した。
本発明者らは、また、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとを有するアクリルゴムが、バンバリー加工性、保存安定性及び耐水性に優れるとともに、耐熱性にも優れることを見出した。特に、炭素数が特定なメタクリル酸エステルを含むことで耐熱性の効果が高度に高められることを見出した。
本発明者らは、これらの知見に基づき本発明を完成させるに至ったものである。
かくして、本発明によれば、反応性基を有し且つ反応性基含有量が0.001〜5重量%のアクリルゴムからなり、メチルエチルケトン不溶解分のゲル量が50重量%以下、pHが6以下、灰分量が0.4重量%以下で灰分中のマグネシウム、リン、カルシウム、ナトリウム及びイオウの合計量が50重量%以上、及び、比重が0.8以上であるアクリルゴムが提供される。
本発明のアクリルゴムにおいて、灰分量が、0.15重量%以下であることが好ましい。
本発明のアクリルゴムにおいて、灰分量の下限値が、0.0001重量%以上であることが好ましい。
本発明のアクリルゴムにおいて、アクリルゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、1.1〜8の範囲であることが好ましい。
本発明のアクリルゴムにおいて、アクリルゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、3.4以上であることが好ましい。
本発明のアクリルゴムにおいて、アクリルゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、3.7〜6.5の範囲であることが好ましい。
本発明のアクリルゴムにおいて、アクリルゴムの重量平均分子量(Mw)が,100万以上であることが好ましい。
本発明のアクリルゴムにおいて、アクリルゴムが、(メタ)アクリル酸エステル由来の結合単位(A)、反応性基含有単量体由来の結合単位(B)及び必要に応じてその他の単量体由来の結合単位(C)からなるものであることが好ましい。
本発明のアクリルゴムにおいて、(メタ)アクリル酸エステル由来の結合単位(A)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明のアクリルゴムにおいて、(メタ)アクリル酸エステル由来の結合単位(A)が、アクリル酸エステル由来の結合単位(A1)とメタクリル酸エステル由来の結合単位(A2)とからなるものであることが好ましい。
本発明のアクリルゴムにおいて、反応性基が、イオン反応性基であることが好ましい。
本発明のアクリルゴムにおいて、反応性基が、カルボキシル基、エポキシ基及び塩素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性基であることが好ましい。
本発明のアクリルゴムにおいて、シート状またはベール状であることが好ましい。
本発明において、また、反応性基含有単量体を含むアクリルゴム単量体成分を水と乳化剤とでエマルジョン化した後にラジカル発生剤と還元剤とからなるレドックス触媒存在下に重合を開始し乳化重合液を得る乳化重合工程と、
得られた乳化重合液を撹拌している凝固剤濃度が1重量%以上の凝固液に添加して凝固し含水クラムを生成する凝固工程と、
生成した含水クラムを温水で洗浄する洗浄工程と、
洗浄した含水クラムを含水量1〜40重量%まで脱水する脱水工程と、
脱水した含水クラムを1重量%未満まで乾燥する乾燥工程と、
を含むアクリルゴムの製造方法が提供される。
本発明のアクリルゴムの製造方法において、乾燥した乾燥ゴムをベール化することが好ましい。
本発明のアクリルゴムの製造方法において、ラジカル発生剤が無機ラジカル発生剤であることが好ましい。
本発明のアクリルゴムの製造方法において、乳化重合途中で連鎖移動剤を回分的に添加するものであることが好ましい。
本発明のアクリルゴムの製造方法において、含水クラムの乾燥をスクリュー型二軸押出乾燥機で行うものであることが好ましい。
本発明のアクリルゴムの製造方法において、脱水及び乾燥工程を、洗浄後の含水クラムを、脱水スリットを有する脱水バレルと減圧下の乾燥バレルと先端部にダイを有するスクリュー型二軸押出乾燥機を用いて脱水バレルで含水量1〜40重量%まで脱水した後に乾燥バレルで1重量%未満まで乾燥してシート状乾燥ゴムをダイから押し出して行うものであることが好ましい。
本発明のアクリルゴムの製造方法において、押し出されたシート状乾燥ゴムを積層してベール化することが好ましい。
本発明のアクリルゴムの製造方法において、アクリルゴム単量体成分が、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルを含むものであることが好ましい。
本発明において、また、上記アクリルゴムを含むゴム成分、充填剤及び架橋剤を含んでなるゴム組成物が提供される。
本発明において、また、上記アクリルゴムと充填剤を混合した後に架橋剤を混合するゴム組成物の製造方法が提供される。
本発明において、また、上記ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物が提供される。
本発明によれば、バンバリー加工性、保存安定性及び耐水性に優れるアクリルゴム及びその効率的な製造方法、該アクリルゴムを含むゴム組成物及びそれを架橋してなるゴム架橋物が提供される。
本発明の一実施形態に係るアクリルゴム製造システムの一例を模式的に示す 図である。 図1のスクリュー型押出機の構成を示す図である。 図1の冷却装置として用いられる搬送式冷却装置の構成を示す図である。
本発明のアクリルゴムは、反応性基を有し且つ反応性基含有量が0.001〜5重量%のアクリルゴムからなり、メチルエチルケトン不溶解分のゲル量が50重量%以下、pHが6以下、灰分量が0.4重量%以下で灰分中のマグネシウム、リン、カルシウム、ナトリウム及びイオウの合計量が50重量%以上、及び、比重が0.8以上であることを特徴とする。
<反応性基>
本発明のアクリルゴムは、反応性基を有することを特徴とする。反応性基としては、架橋剤等と反応する反応性基であれば格別な限定はないが、例えば、カルボキシル基、エポキシ基及び塩素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性基である、あるいはイオン反応に関与するイオン反応性基であるとき、好ましくはエポキシ基、カルボキシル基、特に好ましくはカルボキシル基であるときに短時間の架橋性及び架橋物の耐圧縮永久歪み特性や耐水性を高度に改善でき好適である。
本発明のアクリルゴムの反応性基含有量は、反応性基自体の重量割合で、0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、より好ましくは0.05〜1重量%、特に好ましくは0.1〜0.5重量%の範囲にあるときに加工性や架橋性、及び、架橋物としたときの強度特性、耐圧縮永久歪み特性、耐油性、耐寒性、及び耐水性などの特性が高度にバランスされるので好適である。
本発明の反応性基を有するアクリルゴムは、アクリルゴムに後反応で反応性基を、好ましくはカルボキシル基、エポキシ基及び塩素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性基あるいはイオン反応性基を導入してものでもよいが、好ましくは反応性基含有単量体を共重合したアクリルゴムが好適である。
<単量体成分>
本発明のアクリルゴムの単量体成分は、上記反応性基を有し通常のアクリルゴムを構成する単量体であれば格別な限定はないが、好ましくは反応性基含有単量体を含むアクリルゴム単量体成分、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステル(a)、反応性基含有単量体(b)、及び必要に応じて共重合可能なその他の単量体(c)からなるものである。なお、本発明において「(メタ)アクリル酸エステル」は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸のエステル類を総称する用語として使用される。
(メタ)アクリル酸エステル(a)としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種のものであるときにアクリルゴムの耐候性、耐熱性及び耐油性が高度にバランスされ好適である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に限定されないが、通常炭素数が1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、好ましくは炭素数1〜8のアルキルを有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、より好ましくは炭素数2〜6のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられ、これらの中でも(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチルが好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、特に限定されないが、通常2〜12のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、好ましくは2〜8のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、より好ましくは炭素数2〜6のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルコキシエステルが用いられる。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチルなどが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどが好ましく、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチルがより好ましい。
これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ単独であるいは2種以上が組み合わせて用いられ、単量体全成分中におけるこれらの割合は、通常50〜99.99重量%、好ましくは62〜99.95重量%、より好ましくは74〜99.9重量%、80〜99.5重量%、87〜99重量%の範囲であるときにアクリルゴムの耐候性、耐熱性及び耐油性が高度に優れ好適である。
(メタ)アクリル酸エステル(a)としては、また、アクリル酸エステル(a1)とメタクリル酸エステル(a2)とからなるときにアクリルゴムの耐熱性が格段に優れ好適である。
アクリル酸アルキルエステル(a1)としては、格別な限定はないが、例えば炭素数が1〜12のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルが挙げられ、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、より好ましくは炭素数2〜6のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルである。
アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられ、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチルが好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルがより好ましい。
アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、格別な限定はないが、例えば炭素数が2〜12のアルコキシアルキル基を有するアクリル酸アルコキシアルキルエステルなどが挙げられ、好ましくは炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を有するアクリル酸アルコキシアルキルエステル、より好ましくは炭素数2〜6のアルコキシアルキル基を有するアクリル酸アルコキシエステルである。
アクリル酸アルコキシアルキルエステルの具体例としては、アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシプロピル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸エトキシメチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸プロポキシエチル、アクリル酸ブトキシエチルなどが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸エトキシメチル、アクリル酸メトキシメチルなどが好ましく、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチルがより好ましい。
これらのアクリル酸エステル(a1)由来の結合単位(A1)は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせることができ、アクリルゴム中の結合単位(A1)の結合量は、通常10〜98.9重量%、好ましくは32〜97.7重量%、より好ましくは50〜96.5重量%、特に好ましくは62〜94重量%の範囲である。アクリルゴム中の結合単位(A1)量が、過度に少ないと耐候性、耐熱性、及び耐油性が低下するおそれがあり、また過度に多いと強度特性や耐圧縮永久歪み特性が低下するおそれがあり好ましくない。
メタクリル酸エステル(a2)としては、格別な限定はなく、例えば、メタクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種のメタクリル酸エステルが好適な例として挙げられ、特にメタクリル酸アルキルエステルが好ましい。
メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、炭素数が1〜14のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルなどが挙げられ、好ましくは炭素数2〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル、より好ましくは炭素数2〜6のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルである。
メタクリル酸アルキルエステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸イソトリデシルなどが挙げられ、好ましくはメタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、より好ましくはメタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチルである。
メタクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えば、炭素数が2〜14のアルコキシアルキル基を有するメタクリル酸アルコキシアルキルエステルなどが挙げられ、好ましくは炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を有するメタクリル酸アルコキシアルキルエステル、より好ましくは炭素数2〜6のアルコキシアルキル基を有するメタクリル酸アルコキシアルキルエステルである。
メタクリル酸アルコキシアルキルエステルの具体例としては、メタクリル酸メトキシメチル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシプロピル、メタクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸プロポキシエチル、メタクリル酸ブトキシエチルなどが挙げられる。これらの中でも、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸エトキシエチルなどが好ましく、メタクリル酸メトキシエチルメタクリル酸エトキシエチルがより好ましい。
これらのメタクリル酸エステル(a2)由来の結合単位(A2)は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせることができ、アクリルゴム中の結合量は、通常1〜50重量%、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは3〜30重量%、特に好ましくは5〜25重量%の範囲である。
これらの(メタ)アクリル酸エステル(a)は、それぞれ単独であるいは2種以上が組み合わせて用いられ、単量体全成分中におけるこれらの割合は、通常50〜99.99重量%、好ましくは62〜99.95重量%、より好ましくは74〜99.9重量%、80〜99.5重量%、87〜99重量%の範囲であるときにアクリルゴムの耐候性、耐熱性及び耐油性が高度に優れ好適である。
反応性基含有単量体(b)としては、格別な限定はないが、例えば、カルボキシル基、エポキシ基及びハロゲン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する単量体などが挙げられ、好ましくはイオン反応性の反応性基を有する単量体、より好ましくはカルボキシル基を有する単量体、エポキシ基を有する単量体及び塩素原子を有する単量体であり、特に好ましくはカルボキシル基を有する単量体、エポキシ基を有する単量体である。
カルボキシル基を有する単量体としては、格別な限定はないが、エチレン性不飽和カルボン酸を好適に用いることができる。エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、エチレン性不飽和モノカルボン酸、エチレン性不飽和ジカルボン酸、エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステルなどが挙げられ、これらの中でもエチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステルが、得られるアクリルゴムの耐圧縮永久歪み特性をより高めることができ好ましい。
エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、格別な限定はないが、炭素数3〜12のエチレン性不飽和モノカルボン酸が好ましく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などを挙げることができる。
エチレン性不飽和ジカルボン酸としては、格別な限定はないが、炭素数4〜12のエチレン性不飽和ジカルボン酸が好ましく、例えば、フマル酸、マレイン酸などのブテンジオン酸、イタコン酸、シトラコン酸などを挙げることができる。なお、エチレン性不飽和ジカルボン酸には、無水物として存在しているものも含まれる。
エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステルとしては、格別な限定はないが、通常、炭素数4〜12のエチレン性不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜12のアルキルモノエステル、好ましくは炭素数4〜6のエチレン性不飽和ジカルボン酸と炭素数2〜8のアルキルモノエステル、より好ましくは炭素数4のブテンジオン酸の炭素数2〜6のアルキルモノエステルである。
エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステルの具体例としては、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノn−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノn−ブチル、フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘキセニル、マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシルなどのブテンジオン酸モノアルキルエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノn−ブチル、イタコン酸モノシクロヘキシルなどのイタコン酸モノアルキルエステル;などが挙げられ、好ましくはフマル酸モノn−ブチル、マレイン酸モノn−ブチルで、特に好ましくはフマル酸モノn−ブチルである。
エポキシ基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有ビニルエーテル;などが挙げられる。なお、ここでいう「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を総称する語として用いられ、以下においても同様である。
ハロゲン基を有する単量体としては、例えば、ハロゲン含有飽和カルボン酸の不飽和アルコールエステル、(メタ)アクリル酸ハロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ハロアシロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸(ハロアセチルカルバモイルオキシ)アルキルエステル、ハロゲン含有不飽和エーテル、ハロゲン含有不飽和ケトン、ハロメチル基含有芳香族ビニル化合物、ハロゲン含有不飽和アミド、ハロアセチル基含有不飽和単量体などが挙げられ、特にこれらの塩素原子含有単量体が好適である。
ハロゲン含有飽和カルボン酸の不飽和アルコールエステルとしては、例えば、クロロ酢酸ビニル、2−クロロプロピオン酸ビニル、クロロ酢酸アリルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸ハロアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸1−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸1,2−ジクロロエチル、(メタ)アクリル酸2−クロロプロピル、(メタ)アクリル酸3−クロロプロピル、(メタ)アクリル酸2,3−ジクロロプロピルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸ハロアシロキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−(クロロアセトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(クロロアセトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−(クロロアセトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−(ヒドロキシクロロアセトキシ)プロピルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸(ハロアセチルカルバモイルオキシ)アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−(クロロアセチルカルバモイルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−(クロロアセチルカルバモイルオキシ)プロピルなどが挙げられる。ハロゲン含有不飽和エーテルとしては、例えば、クロロメチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、3−クロロプロピルビニルエーテル、2−クロロエチルアリルエーテル、3−クロロプロピルアリルエーテルなどが挙げられる。ハロゲン含有不飽和ケトンとしては、例えば、2−クロロエチルビニルケトン、3−クロロプロピルビニルケトン、2−クロロエチルアリルケトンなどが挙げられる。ハロメチル基含有芳香族ビニル化合物としては、例えば、p−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、o−クロロメチルスチレン、p−クロロメチル−α−メチルスチレンなどが挙げられる。ハロゲン含有不飽和アミドとしては、例えば、N−クロロメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。ハロアセチル基含有不飽和単量体としては、例えば、3−(ヒドロキシクロロアセトキシ)プロピルアリルエーテル、p−ビニルベンジルクロロ酢酸エステルなどが挙げられる。
これらの反応性基含有単量体(b)は、それぞれ単独であるいは2種以上が組み合わせて用いられ、単量体全成分中におけるこれらの割合は、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜8重量%、より好ましくは0.5〜5重量%、特に好ましくは1〜3重量%の範囲である。
その他の単量体(c)としては、上記単量体(a)(b)以外であって且つこれらと共重合可能であれば格別な限定はなく、例えば、芳香族ビニル、エチレン性不飽和ニトリル、アクリルアミド系単量体、その他のオレフィン系単量体などが挙げられる。芳香族ビニルとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。エチレン性不飽和ニトリルとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。アクリルアミド系単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミドなどが挙げられる。その他のオレフィン系単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどが挙げられる。
これらのその他の単量体(c)は、それぞれ単独であるいは2種以上が組み合わせて用いられ、単量体全成分中におけるこれらの割合は、通常0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0〜10重量%の範囲である。
<アクリルゴム>
本発明のアクリルゴムは、反応性基を有すれば格別な限定はないが、好ましくは上記(メタ)アクリル酸エステル(a)由来の結合単位(A)、反応性基含有単量体(b)由来の結合単位(B)、及び必要に応じてその他の単量体(c)由来の結合単位(C)からなり、それぞれの割合は、結合単位(A)が、通常10〜98.9重量%、好ましくは32〜97.7重量%、より好ましくは50〜96.5重量%、特に好ましくは62〜94重量%の範囲であり、結合単位(B)が、通常1〜50重量%、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは3〜30重量%、特に好ましくは5〜25重量%の範囲であり、結合単位(B)が、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜8重量%、より好ましくは0.5〜5重量%、特に好ましくは1〜3重量%の範囲であり、結合単位(C)が、通常0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%、より好ましくは0〜15重量%、特に好ましくは0〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明のアクリルゴムは上記各結合単位を上述した特定の重量割合で含み、且つ各結合単位の合計が100重量%になるように含む共重合体であり、アクリルゴム中のそれぞれの単量体結合単位がこの範囲にあるときにアクリルゴムの架橋物としたとき、耐熱性、耐水性及び耐圧縮永久歪み特性を高度にバランスさせることができるので好適である。本発明においては、また、結合単位(A)が、アクリル酸エステル(a1)由来の結合単位(A1)が、通常10〜98.9重量%、好ましくは32〜97.7重量%、より好ましくは50〜96.5重量%、特に好ましくは62〜94重量%の範囲であり、メタクリル酸エステル(a2)由来の結合単位(A2)が、通常1〜50重量%、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは3〜30重量%、特に好ましくは5〜25重量%の範囲であり、結合単位(B)が、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜8重量%、より好ましくは0.5〜5重量%、特に好ましくは1〜3重量%の範囲であるときにアクリルゴムの耐熱性を高度に改善でき工程である。
本発明のアクリルゴムの重量平均分子量(Mw)は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常100万以上、このましくは110万以上、より好ましくは120万以上、特に好ましくは150万以上、最も好ましくは160万以上である。本発明のアクリルゴムの重量平均分子量(Mw)が過度に小さいと強度特性や耐圧縮永久歪み特性に劣り好ましくない。本発明のアクリルゴムの重量平均分子量(Mw)は、また、通常100万〜350万、好ましくは120万〜300万、より好ましくは130万〜300万、特に好ましくは150万〜250万、最も好ましくは190万〜210万の範囲であるときにアクリルゴムのロール加工性、強度特性、及び耐圧縮永久歪み特性が高度にバランスされ好適である。
本発明のアクリルゴムの重量平均分子量(Mw)は、また、1、000,000〜5,000,000(100万〜500万)、好ましくは1,100,000〜4,000,000(110万〜400万)、より好ましくは1,150,000〜3,000,000(115万〜300万)、最も好ましくは1,200,000〜2,500,000(120万〜250万)の範囲であるときにアクリルゴムの混合時の加工性、強度特性、及び耐圧縮永久歪み特性が高度にバランスされるので好適である。
本発明のアクリルゴムの数平均分子量(Mn)は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常10万〜50万、好ましくは20万〜48万、より好ましくは25万〜45万、特に好ましくは30万〜40万、最も好ましくは35万〜40万の範囲であるときにアクリルゴムのロール加工性、強度特性及び耐圧縮永久歪み特性が高度にバランスされ好適である。
本発明のアクリルゴムのz平均分子量(Mz)は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常150万〜600万、好ましくは200万〜500万、より好ましくは250万〜450万、特に好ましくは300万〜400万の範囲であるときにアクリルゴムのロール加工性、強度特性、及び耐圧縮永久歪み特性が高度にバランスされ好適である。
本発明の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、格別な限定はないが、通常1.1〜8、好ましくは1.2〜7、より好ましくは1.4〜6の範囲であるときにアクリルゴムの加工性、強度特性及び耐圧縮永久歪み特性が高度にバランスされるので好適である。
本発明のアクリルゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、格別な限定はないが、通常3.4以上、好ましくは3.5以上、より好ましくは3.6以上、特に好ましくは3.7以上である。本発明のアクリルゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が過度に小さいとロール加工性に劣る。本発明のアクリルゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、また、通常3.7〜6.5、好ましくは3.8〜6.2、より好ましくは4〜6、特に好ましくは4、5〜5.7、最も好ましくは4.7〜5.5の範囲であるときにロール加工性と架橋した場合の強度特性及び耐圧縮永久歪み特性を高度にバランスでき好適である。
本発明のアクリルゴムのz平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比(Mz/Mw)は、格別な限定なく使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常1.3〜3、好ましくは1.4〜2.7、より好ましくは1.5〜2.5、特に好ましくは1.8〜2、最も好ましくは1.8〜1.95の範囲であるときにアクリルゴムの加工性と強度特性が高度にバランスされ且つ保存時の物性変化を緩和でき好適である。
本発明のアクリルゴムベールを構成するアクリルゴムの分子量(Mn、Mw、Mz)及び分子量分布(Mw/Mn、Mz/Mw)は、格別な限定はないが、GPC−MALS法による絶対分子量(Mn、Mw、Mz)及び絶対分子量分布(Mw/Mn、Mz/Mw)であるときにより各特性が正確に求められ好適である。
本発明のアクリルゴムベールを構成するアクリルゴムの分子量(Mn、Mw、Mz)及び分子量分布(Mw/Mn、Mz/Mw)を測定するGPC−MALS法の測定溶媒は、本発明のアクリルゴムベールが溶解し測定できるものであれば格別な限定はないが、ジメチルホルムアミド系溶媒が好適である。使用されるジメチルホルムアミド系溶媒としては、ジメチルホルムアミドを主成分とするものであれば格別限定はないが、ジメチルホルムアミド100%あるいはジメチルホルムアミドに極性物質を添加して用いることができる。ジメチルホルムアミド系溶媒中のジメチルホルムアミドの割合が、90重量%以上、好ましくは95重量%以上、より好ましくは97重量%以上である。ジメチルホルムアミドに添加する化合物としては、格別な限定はないが、本発明においては、特に、ジメチルホルムアミドに塩化リチウムが0.05mol/L、37%濃塩酸が0.01%の濃度でそれぞれ添加された溶液が好適である。
本発明のアクリルゴムのメチルエチルケトンの不溶解分のゲル量は、50重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは15重量%以下、特に好ましくは10重量%以下、最も好ましくは5重量%以下であるときに、バンバリー等の混錬時の加工性が高度に改善され好適である。
本発明のアクリルゴムのpHは、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常6以下、好ましくは2〜6、より好ましくは2.5〜5.5、最も好ましくは3〜5の範囲であるときにアクリルゴムの保存安定性が高度に改善され好適である。
本発明のアクリルゴムの灰分量は、0.4重量%以下、好ましくは0.3重量%以下、より好ましくは0.2重量%以下、更に好ましくは0.18重量%以下、特に好ましくは0.15重量%以下、最も好ましくは0.13重量%以下であり、この範囲にあるときアクリルゴムとしての耐水性、強度特性及び加工性が高度にバランスされ好適である。
本発明のアクリルゴムの灰分量の下限値は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常0.0001重量%以上、好ましくは0.0005重量%以上、より好ましくは0.001重量%以上、更に好ましくは0.003重量%以上、特に好ましくは0.005重量%以上、最も好ましくは0.01重量%以上であるときに、ゴムの金属付着性が低減され作業性に優れるようになり好適である。
本発明のアクリルゴムが耐水性、強度特性、加工性及び作業性を高度にバランスされる場合の灰分量は、通常0.0001〜0.4重量%、好ましくは0.0005〜0.3重量%、より好ましくは0.001〜0.2重量%、更に好ましくは0.003〜0.18重量%、特に好ましくは0.005〜0.15重量%、最も好ましくは0.01〜0.13重量%の範囲である。
本発明のアクリルゴムの灰分中のナトリウム、マグネシウム、カルシウム、リン及びイオウの合計量は、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上であるときにアクリルゴムの耐水性が高度に改善され且つ金属付着性が低減され作業性に優れるようになり好適である。
本発明のアクリルゴムの灰分中のマグネシウムとリンとの合計量が、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、最も好ましくは90重量%以上であるときにアクリルゴムの耐水性、強度特性及び加工性が高度にバランスされ且つ金属付着性が低減され作業性に優れるようになり好適である。
本発明のアクリルゴムの灰分中のマグネシウム量は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されるが、通常10重量%以上、好ましくは15〜60重量%、より好ましくは20〜50重量%、特に好ましくは25〜45重量%、最も好ましくは30〜40重量%の範囲である。
本発明のアクリルゴムの灰分中のリン量は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されるが、通常10重量%以上、好ましくは20〜90重量%、より好ましくは30〜80重量%、特に好ましくは40〜70重量%、最も好ましくは50〜60重量%の範囲である。
本発明のアクリルゴムの灰分中のマグネシウムとリンとの比([Mg]/[P])は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されればよいが、重量比で、通常0.4〜2.5、好ましくは0.45〜1.2、より好ましくは0.45〜1、特に好ましくは0.5〜0.8、最も好ましくは0.55〜0.7の範囲であるときに、アクリルゴムの耐水性、強度特性及び加工性が高度にバランスされ好適である。
ここで、アクリルゴム中の灰分は、単量体成分をエマルジョン化して乳化重合する際に用いる乳化剤及び乳化重合液を凝固する際に用いる凝固剤に主として由来するものであるが、全灰分量や灰分中のマグネシウムとリンの含有量などは、乳化重合工程や凝固工程の条件だけでなく、その後の各工程の諸条件によっても変化するものである。
本発明のアクリルゴムの比重は、格別限定されるものではないが、通常0.7以上、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上、特に好ましくは0.95以上、最も好ましくは1以上であるときに殆ど空気を内在させず保存安定性に優れ好適である。本発明のアクリルゴムの比重は、また、通常0.7〜1.6、好ましくは0.8〜1.5、より好ましくは0.9〜1.4、特に好ましくは0.95〜1.3、最も好ましくは1.0〜1.2の範囲であるときに生産性、保存安定性及び架橋物の架橋特性安定性等が高度にバランスされ好適である。
本発明のアクリルゴムのガラス転移温度(Tg)は、アクリルゴムの使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常20℃以下、好ましくは10℃以下、より好ましくは0℃以下であるときに加工性や耐寒性に優れ好適である。アクリルゴムのガラス転移温度(Tg)の下限値は、格別限定されるものではないが、通常−80℃以上、好ましくは−60℃以上、より好ましくは−40℃以上である。ガラス転移温度を前記下限以上とすることにより耐油性と耐熱性により優れたものとすることができ、上記の上限以下とすることにより加工性、架橋性及び耐寒性により優れたものとすることができる。
本発明のアクリルゴムの60℃における複素粘性率([η]60℃)は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常15,000[Pa・s]以下、好ましくは1,000〜10,000[Pa・s]、より好ましくは2,000〜5,000[Pa・s]、特に好ましくは2,500〜4,000[Pa・s]、最も好ましくは2,500〜3,000[Pa・s]の範囲にあるときに加工性、耐油性及び形状保持性に優れ好適である。
本発明のアクリルゴムの100℃における複素粘性率([η]100℃)は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常1,500〜6,000[Pa・s]、好ましくは2,000〜5,000[Pa・s]、より好ましくは2,300〜4,000[Pa・s]、特に好ましくは2,500〜3,500[Pa・s]、最も好ましくは2,500〜3,000[Pa・s]の範囲であるときに加工性、耐油性及び形状保持性に優れ好適である。
本発明のアクリルゴムの100℃における複素粘性率([η]100℃)と60℃における複素粘性率([η]60℃)との比([η]100℃/[η]60℃)は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、特に好ましくは0.8以上、最も好ましくは0.83以上である。本発明のアクリルゴムの100℃における複素粘性率([η]100℃)と60℃における複素粘性率([η]60℃)との比([η]100℃/[η]60℃)は、また、通常0.5〜0.99、好ましくは0.6〜0.98、より好ましくは0.7〜0.97、特に好ましくは0.8〜0.96、最も好ましくは0.85〜0.95の範囲であるときに加工性、耐油性、及び形状保持性が高度にバランスされ好適である。
本発明のアクリルゴムの含水量は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されるが、通常1重量%未満、好ましくは0.8重量%以下、より好ましくは0.6重量%以下であるとき、アクリルゴムの加硫特性が最適化され耐熱性やストランド状耐水性などの特性が高度に改善され好適である。
本発明のアクリルゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常10〜150、好ましくは20〜100、より好ましくは25〜70の範囲であるときに、アクリルゴムの加工性や強度特性が高度にバランスされ好適である。
本発明のアクリルゴムの形状は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されればよく、例えば、粉状、クラム状、ストランド状、シート状、ベール状等いずれでもよいが、好ましくはシート状やベール状であるときに作業性や保存安定性に優れ好適である。
本発明のアクリルゴムがシート状であるときの厚さは、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されるが、通常1〜40mm、好ましくは2〜35mm、より好ましくは3〜30mm、最も好ましくは5〜25mmの範囲であるときに作業性、保存安定性及び生産性が高度にバランスされ好適である。本発明のシート状アクリルゴムの幅は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常300〜1200mm、好ましくは400〜1000mm、より好ましくは500〜800mmの範囲であるときに特に取り扱い性に優れ好適である。本発明のシート状アクリルゴムの長さは、格別限定されるものではないが、通常300〜1200mm、好ましくは400〜1000mm、より好ましくは500〜800mmの範囲であるときに特に取り扱い性に優れ好適である。
本発明のアクリルゴムがベール状であるときの大きさは、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されるが、幅が通常100〜800mm、好ましくは200〜500mm、より好ましくは250〜450mmの範囲であり、長さが通常300〜1,200mm、好ましくは400〜1,000mm、より好ましくは500〜800mmの範囲で、高さ(厚さ)が通常50〜500mm、好ましくは100〜300mm、より好ましくは150〜250mmの範囲にあるのが適当である。また、本発明のベール状アクリルゴムの形状も限定されず、アクリルゴムベールの使用目的に応じて適宜選択されるが、多くの場合、直方体が好適である。
<アクリルゴムの製造方法>
上記アクリルゴムの製造方法は、格別限定されるものではないが、例えば、反応性基含有単量体を含むアクリルゴム単量体成分を水と乳化剤とでエマルジョン化した後にラジカル発生剤と還元剤とからなるレドックス触媒存在下に重合を開始し乳化重合液を得る乳化重合工程と、
得られた乳化重合液を撹拌している凝固剤濃度が1重量%以上の凝固液に添加して凝固し含水クラムを生成する凝固工程と、
生成した含水クラムを温水で洗浄する洗浄工程と、
洗浄した含水クラムを含水量1〜40重量%まで脱水する脱水工程と、
脱水した含水クラムを1重量%未満まで乾燥する乾燥工程と、
を含むアクリルゴムの製造方法で容易に製造することができる。
本発明に使用される反応性基含有単量体を含むアクリルゴム単量体成分は、既に述べた単量体成分の例示及び好ましい範囲と同じである。単量体成分の使用量についても、既に述べたとおりであり、乳化重合においては、各単量体を本発明のアクリルゴムの上記組成になるように適宜選択すればよい。
(乳化剤)
本発明に使用される乳化剤としては、格別な限定はないが、例えば、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤などを挙げることができ、好ましくはアニオン性乳化剤である。
アニオン性乳化剤としては、格別な限定はなく、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノレン酸などの脂肪酸の塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウムなどの硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩などのリン酸エステル塩;アルキルスルホコハク酸塩などを挙げることができる。これらのアニオン性乳化剤の中でも、リン酸エステル塩、硫酸エステル塩が好ましく、リン酸エステル塩が特に好ましく、2価リン酸エステル塩が最も好ましい。
2価リン酸エステル塩としては、乳化重合反応において乳化剤として使用可能なものであれば、格別限定されるものではないが、アルキルオキシポリオキシアルキレンリン酸エステル塩、アルキルフェニルオキシポリオキシアルキレンリン酸エステル塩などが挙げられ、これらの中でもこれらの金属塩が好ましく、これらのアルカリ金属塩がより好ましく、これらのナトリウム塩が最も好ましい。
上記アルキルオキシポリオキシアルキレンリン酸エステル塩としては、例えば、アルキルオキシポリオキシエチレンリン酸エステル塩、アルキルオキシポリオキシプロピレンリン酸エステル塩などが挙げられ、これらの中でも、アルキルオキシポリオキシエチレンリン酸エステル塩が好ましい。
アルキルオキシポリオキシエチレンリン酸エステル塩の具体例としては、オクチルオキシジオキシエチレンリン酸エステル、オクチルオキシトリオキシエチレンリン酸エステル、オクチルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、デシルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、ドデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、トリデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、テトラデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、ヘキサデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、オクタデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、オクチルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、デシルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、ドデシルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、トリデシルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、テトラデシルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、ヘキサデシルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、オクタデシルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、オクチルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、デシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、ドデシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、トリデシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、テトラデシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、ヘキサデシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、オクタデシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、オクチルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、デシルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、ドデシルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、トリデシルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、テトラデシルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、ヘキサデシルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、オクタデシルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステルなどの金属塩が挙げられ、これらの中でも、それらのアルカリ金属塩、とりわけナトリウム塩が好適である。
アルキルオキシポリオキシプロピレンリン酸エステル塩の具体例としては、オクチルオキシジオキシプロピレンリン酸エステル、オクチルオキシトリオキシプロピレンリン酸エステル、オクチルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、デシルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、ドデシルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、トリデシルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、テトラデシルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、ヘキサデシルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、オクタデシルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、オクチルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、デシルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、ドデシルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、トリデシルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、テトラデシルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、ヘキサデシルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、オクタデシルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、オクチルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、デシルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、ドデシルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、トリデシルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、テトラデシルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、ヘキサデシルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、オクタデシルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、オクチルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステル、デシルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステル、ドデシルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステル、トリデシルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、テトラデシルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステル、ヘキサデシルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステル、オクタデシルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステル及びそれらの金属塩などが挙げられ、これらの中でも、それらのアルカリ金属塩、特にナトリウム塩が好適である。
アルキルフェニルオキシポリオキシアルキレンリン酸エステル塩の具体例としては、アルキルフェニルオキシポリオキシエチレンリン酸エステル塩、アルキルフェニルオキシポリオキシプロピレンリン酸エステル塩などが挙げられ、これらの中でも、アルキルフェニルオキシポリオキシエチレンリン酸エステル塩が好ましい。
アルキルフェニルオキシポリオキシエチレンリン酸エステル塩の具体例としては、メチルオキシオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、エチルフェニルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、ブチルフェニルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、ヘキシルフェニルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、ノニルフェニルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、ドデシルフェニルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、オクタデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、メチルフェニルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、エチルフェニルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、ブチルフェニルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、ヘキシルフェニルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、ノニルフェニルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、ドデシルフェニルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、メチルフェニルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、エチルフェニルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、ブチルフェニルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、ヘキシルフェニルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、ノニルフェニルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、ドデシルフェニルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、メチルフェニルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、エチルフェニルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、ブチルフェニルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、ヘキシルフェニルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、ノニルフェニルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、ドデシルフェニルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステルなどの金属塩が挙げられ、これらの中でも、それらのアルカリ金属塩、特にナトリウム塩が好適である。
アルキルフェニルオキシポリオキシプロピレンリン酸エステル塩の具体例としては、メチルフェニルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、エチルフェニルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、ブチルフェニルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、ヘキシルフェニルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、ノニルフェニルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、ドデシルフェニルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、メチルフェニルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、エチルフェニルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、ブチルフェニルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、ヘキシルフェニルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、ノニルフェニルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、ドデシルフェニルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、メチルフェニルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、エチルフェニルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、ブチルフェニルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、ヘキシルフェニルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、ノニルフェニルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、ドデシルフェニルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、メチルフェニルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステル、エチルフェニルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステル、ブチルフェニルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステル、ヘキシルフェニルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、ノニルフェニルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステル、ドデシルフェニルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステルなどの金属塩が挙げられ、これらの中でも、それらのアルカリ金属塩、特にナトリウム塩が好適である。
リン酸エステル塩としては、ジ(アルキルオキシポリオキシアルキレン)リン酸エステルナトリウム塩などの1価リン酸エステル塩を、単独、または2価リン酸エステル塩と組み合わせて用いることができる。
硫酸エステル塩としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ミスチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸ナトリウムなどが挙げられ、好ましくはラウリル硫酸ナトリウムである。
カチオン性乳化剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモニウムクロライド、ベンジルアンモニウムクロライドなどを挙げることができる。
ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンステアリン酸エステルなどのポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンドデシルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル;ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルなどを挙げることができ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテルが好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルがより好ましい。
これらの乳化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、単量体成分100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは1〜3重量部の範囲である。
単量体成分と水と乳化剤との混合方法(混合方式)は、常法に従えばよく、例えば、単量体と乳化剤と水とをホモジナイザーやディスクタービンなどの撹拌機を用いて撹拌する方法などが挙げられる。水の使用量は、単量体成分100重量部に対して、通常1〜1000重量部、好ましくは5〜500重量部、より好ましくは4〜300重量部、特に好ましくは3〜150重量部、最も好ましくは20〜80重量部の範囲である。
(ラジカル発生剤)
本発明で使用する重合触媒としては、ラジカル発生剤と還元剤とからなるレドックス触媒を用いることを特徴とする。ラジカル発生剤としては、格別な限定はなく有機ラジカル発生剤や無機ラジカル発生剤などを使用目的に応じて選択されるが、特に、無機ラジカル発生剤を用いることにより製造されるアクリルゴムのロール等における加工性を高度に改善でき好適である。
有機ラジカル発生剤としては、乳化重合で通常用いられるものであれば格別な限定はなく、例えば、有機系過酸化物、アゾ化合物などが挙げられる。
有機系過酸化物としては、乳化重合で使用される公知のものであれば格別な限定は無く、例えば、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、1−ジ−(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)吉草酸n−ブチル、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラエチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジイソブチリルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジコハク酸パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジイソブチリルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカネート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブイチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどが挙げられ、これらの中でもジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどが好ましい。
アゾ化合物としては、例えば、アゾビスイソプチロニトリル、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン、2,2'−アゾビス(プロパン−2−カルボアミジン)、2,2'−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロパンアミド]、2,2'−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}、2,2'−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)及び2,2'−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロパンアミド}などが挙げられる。
無機ラジカル発生剤としては、乳化重合で通常用いられるものであれば格別な限定はなく、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過酸化水素などが挙げられ、これらの中でも、過硫酸塩が好ましく、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムがより好ましく、過硫酸カリウムが特に好ましい。
これらのラジカル発生剤は、それぞれ単独であるいは2種類以上組み合わせて用いることができ、その使用量は、単量体成分100重量部に対して、通常0.0001〜5重量部、好ましくは0.0005〜1重量部、より好ましくは0.001〜0.25重量部、特に好ましくは0.01〜0.21重量部、最も好ましくは0.1〜0.2重量部の範囲である。
(還元剤)
本発明で使用される還元剤としては、通常乳化重合で用いられるものであれば格別な限定がないが、好ましくは少なくとも2種の還元剤を用いるものであり、還元状態にある金属イオン化合物とそれ以外の還元剤の組み合わせが好適である。
還元状態にある金属イオン化合物としては、特に限定されないが、例えば、硫酸第一鉄、ヘキサメチレンジアミン四酢酸鉄ナトリウム、ナフテン酸第一銅などが挙げられ、これらの中でも硫酸第一鉄が好ましい。これらの還元状態にある金属イオン化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、単量体成分100重量部に対して、通常0.000001〜0.01重量部、好ましくは0.00001〜0.001重量部、より好ましくは0.00005〜0.0005重量部の範囲である。
それらの還元状態にある金属イオン化合物以外の還元剤としては、特に限定されないが、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウムなどのアスコルビン酸またはその塩;エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸カリウムなどのエリソルビン酸またはその塩;ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウムなどのスルフィン酸塩;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、アルデヒド亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウムの亜硫酸塩;ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸水素カリウムなどのピロ亜硫酸塩;チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウムなどのチオ硫酸塩;亜燐酸、亜燐酸ナトリウム、亜燐酸カリウム、亜燐酸水素ナトリウム、亜燐酸水素カリウムの亜燐酸又はその塩;ピロ亜燐酸、ピロ亜燐酸ナトリウム、ピロ亜燐酸カリウム、ピロ亜燐酸水素ナトリウム、ピロ亜燐酸水素カリウムなどのピロ亜燐酸またはその塩;ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどが挙げられる。これらの中でも、アルコルビン酸またはその塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどが好ましく、特にアスコルビン酸またはその塩が好ましい。
これらの還元状態にある金属イオン化合物以外の還元剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、単量体成分100重量部に対し、通常0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.5重量部、より好ましくは0.01〜0.1重量部の範囲である。
還元状態にある金属イオン化合物とそれ以外の還元剤との好ましい組み合わせは、硫酸第一鉄とアスコルビン酸若しくはその塩及び/又はナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートの組み合わせであり、より好ましくは硫酸第一鉄とアスコルビン酸塩及び/又はナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートの組み合わせ、最も好ましくは硫酸第一鉄とアルコルビン酸塩の組み合わせである。このときの硫酸第一鉄の使用量は、単量体成分100重量部に対して、通常0.000001〜0.01重量部、好ましくは0.00001〜0.001重量部、より好ましくは0.00005〜0.0005重量部の範囲であり、アスコルビン酸若しくはその塩及び/又はナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートの使用量は、両成分100重量部に対し、通常0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.5重量部、より好ましくは0.01〜0.1重量部の範囲である。
乳化重合反応における水の使用量は、単量体成分エマルジョン化時に使用した量だけもよいが、重合に用いる単量体成分100重量部に対して、通常10〜1000重量部、好ましくは50〜500重量部、より好ましくは80〜400重量部、最も好ましくは100〜300重量部の範囲になるように調整される。
乳化重合反応の方式は、常法に従えばよく、回分式、半回分式、連続式のいずれでもよい。重合温度及び重合時間は、特に限定されず、使用する重合開始剤の種類などから適宜選択できる。重合時間は通常0.5〜100時間、好ましくは1〜10時間である。
乳化重合反応は、発熱反応で、制御しないと温度が上がり重合反応を短縮することもできるが、本発明においては、乳化重合反応温度を、通常35℃以下、好ましくは0〜35℃、より好ましくは5〜30℃、特に好ましくは10〜25℃で制御することが、製造されるアクリルゴムの強度特性とバンバリー等の混錬時の加工性が高度にバランスされ好適である。
(連鎖移動剤の後添加)
本発明においては、連鎖移動剤を初期に添加せずに重合途中で回分的に後添加することを特徴とし、こうすることにより高分子量成分と低分子量成分が分かれたアクリルゴムが製造でき、且つ、製造されるアクリルゴムの強度特性とロール等混錬時の加工性が高度にバランスされ好適である。
使用される連鎖移動剤としては、乳化重合で通常使用されるものであれば格別限定されるものでなく、例えば、メルカプタン化合物が好適に用いることができる。
メルカプタン化合物としては、通常炭素数2〜20のアルキルメルカプタン化合物、好ましくは炭素数5〜15のアルキルメルカプタン化合物、より好ましくは炭素数6〜14のアルキルメルカプタン化合物を用いることができる。
アルキルメルカプタン化合物としては、n−アルキルメルカプタン化合物、sec−アルキルメルカプタン化合物、t−アルキルメルカプタン化合物のいずれでもよいが、好ましくはn−アルキルメルカプタン化合物、t−アルキルメルカプタン化合物で、より好ましくはn−アルキルメルカプタン化合物であるときに連鎖移動剤の効果が安定的に発揮でき、製造されるアクリルゴムのロール等の加工性を高度に改善でき好適である。
アルキルメルカプタン化合物の具体例としては、n−ペンチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ヘプチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−トリデカンメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、sec−ペンチルメルカプタン、sec−ヘキシルメルカプタン、sec−ヘプチルメルカプタン、sec−オクチルメルカプタン、sec−デシルメルカプタン、sec−ドデシルメルカプタン、sec−トリデカンメルカプタン、sec−テトラデシルメルカプタン、sec−ヘキサデシルメルカプタン、sec−オクタデシルメルカプタン、t−ペンチルメルカプタン、t−ヘキシルメルカプタン、t−ヘプチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、t−デシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−トリデカンメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタン、t−ヘキサデシルメルカプタン、t−オクタデシルメルカプタンなどを挙げることができ、好ましくはn−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、より好ましくはn−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンである。
これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。連鎖移動剤の使用量は、格別限定されるものではないが、単量体成分100重量部に対して、通常0.0001〜1重量部、好ましくは0.0005〜0.5重量部、より好ましくは0.001〜0.5重量部、特に好ましくは0.005〜0.1重量部、最も好ましくは0.01〜0.06重量部の範囲であるときに製造されるアクリルゴムの強度特性とロール加工性が高度にバランスされ好適である。
本発明においては、上記連鎖移動剤を重合初期には添加せずに重合途中で回分的に添加することを特徴とし、製造されるアクリルゴムの高分子量成分と低分子量成分を製造し且つ分子量分布を特定範囲として強度特性とロール等の加工性を高度にバランスさせることができ好適である。
連鎖移動剤の回分的な後添加の回数は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されるが、通常1〜5回、好ましくは2〜4回、より好ましくは2〜3回、特に好ましくは2回であるときに製造されるアクリルゴムの強度特性とロール等の加工性を高度にバランスすることができ好適である。
連鎖移動剤の回分的な後添加時期は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されるが、重合開始してから通常20分以降、好ましくは重合開始後30分以降、より好ましくは重合開始後30〜200分、特に好ましくは重合開始後35〜150分、最も好ましくは40〜120分の範囲であるときに製造されるアクリルゴムの強度特性とロール等の加工性を高度にバランスすることができ好適である。
連鎖移動剤の回分的な1回の添加量は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されるが、単量体成分100重量部に対して、通常0.00005〜0.5重量部、好ましくは0.0001〜0.1重量部、より好ましくは0.0005〜0.05重量部、特に好ましくは0.001〜0.03重量部、最も好ましくは0.002〜0.02重量部の範囲であるときに製造されるアクリルゴムの強度特性とロール加工性を高度にバランスすることができ好適である。
連鎖移動剤の添加後は、格別な限定はないが、通常30分以上、好ましくは45分以上、より好ましくは1時間以上重合反応を継続させてから終了することができる。
(還元剤の後添加)
本発明においては、前記レドックス触媒の還元剤を、重合途中で後添加することができ、そうすることにより製造されるアクリルゴムの強度特性とロール等の加工性が高度にバランスさせることができ好適である。
重合途中で後添加する還元剤としては、前記した還元剤の例示及び好ましい範囲は同じである。本発明において、後添加する還元剤としては、アスコルビン酸またはその塩が好適ある。
重合途中で後添加する還元剤の使用量は、格別限定されるものでなく使用目的に応じて適宜選択されればよいが、単量体成分100重量部に対して、通常0.0001〜1重量部、好ましくは0.0005〜0.5重量部、より好ましくは0.001〜0.5重量部、特に好ましくは0.005〜0.1重量部、最も好ましくは0.01〜0.05重量部の範囲であるときにアクリルゴム製造の生産性に優れるとともに製造されるアクリルゴムの強度特性と加工性を高度にバランスでき好適である。
重合途中で後添加する還元剤は、連続的あるいは回分的のいずれでもよいが、好ましくは回分的である。還元剤を重合途中で回分的に後添加する場合の回数は、格別な限定はないが、通常1〜5回、好ましくは1〜3回、より好ましくは1〜2回である。
重合初期及び重合途中で後添加する還元剤が、アスコルビン酸またはその塩であるときの初期に添加するアスコルビン酸またはその塩の量と後添加するアスコルビン酸またはその塩の量との比は、格別限定されるものではないが、「初期添加アスコルビン酸またはその塩」/「回分的後添加のアスコルビン酸またはその塩」の重量比で、通常1/9〜8/2、好ましくは2/8〜6/4、より好ましくは3/7〜5/5の範囲であるときにアクリルゴム製造の生産性に優れるとともに製造されるアクリルゴムの強度特性と加工性を高度にバランスでき好適である。
還元剤の後添加の時期は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されるが、重合開始してから通常1時間以降、好ましくは重合開始後1〜3時間、より好ましくは1.5〜2.5時間の範囲であるときにアクリルゴム製造の生産性に優れるとともに製造されるアクリルゴムの強度特性とロール等の加工性を高度にバランスすることができ好適である。
還元剤の回分的な1回の添加量は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されるが、単量体成分100重量部に対して、通常0.00005〜0.5重量部、好ましくは0.0001〜0.1重量部、より好ましくは0.0005〜0.05重量部、特に好ましくは0.001〜0.03重量部の範囲であるときに製造されるアクリルゴムの強度特性とロール等の加工性を高度にバランスすることができ好適である。
還元剤の添加後は、格別な限定はないが、通常30分以上、好ましくは45分以上、より好ましくは1時間以上重合反応を継続させてから終了することができる。
乳化重合反応の重合転化率は、格別な限定はないが、通常90重量%以上、好ましくは95重量%以上であり、このときに製造されるアクリルゴムは強度特性に優れ且つ単量体臭も無く好適である。重合停止に当たっては、重合停止剤を使用してもよい。
(凝固工程)
乳化重合後の凝固方法は、上記の乳化重合で得られた乳化重合液を、撹拌している凝固剤濃度が1重量%以上の凝固液に添加して凝固し含水クラムを生成することを特徴とする。
凝固反応で使用される乳化重合液の固形分濃度は、格別な限定はないが、通常5〜50重量%、好ましくは10〜45重量%、より好ましくは20〜40重量%の範囲に調整される。
使用される凝固液の凝固剤としては、特に限定されないが、通常は金属塩が用いられる。金属塩としては、例えば、アルカリ金属、周期表第2族金属塩、その他の金属塩などが挙げられ、好ましくはアルカリ金属塩、周期表第2族金属塩、より好ましくは周期表第2族金属塩、特に好ましくはマグネシウム塩である。
アルカリ金属塩としては、例えば、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム塩;塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム塩;塩化リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウムなどのリチウム塩などが挙げられ、これらの中でもナトリウム塩が好ましく、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムが特に好ましい。
周期表第2族金属塩としては、例えば、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムなどが挙げられ、好ましくは塩化カルシウム、硫酸マグネシウムである。
その他の金属塩としては、例えば、塩化亜鉛、塩化チタン、塩化マンガン、塩化鉄、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化アルミニウム、塩化スズ、硝酸亜鉛、硝酸チタン、硝酸マンガン、硝酸鉄、硝酸コバルト、硝酸ニッケル、硝酸アルミニウム、硝酸スズ、硫酸亜鉛、硫酸チタン、硫酸マンガン、硫酸鉄、硫酸コバルト、硫酸ニッケル、硫酸アルミニウム、硫酸スズなどが挙げられる。
これらの凝固剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、単量体成分100重量部に対し、通常0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは1〜30重量部の範囲である。凝固剤がこの範囲にあるときに、アクリルゴムの凝固を充分なものとしながら、アクリルゴムを架橋した場合の耐圧縮永久歪み特性や耐水性を高度に向上させることができるので好適である。
使用する凝固液の凝固剤濃度は、格別な限定はないが、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、特に好ましくは1.5重量%以上である。凝固液の凝固剤濃度は、また、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%、より好ましくは1〜10重量%、特に好ましくは1.5〜5重量%の範囲であるときに生成する含水クラムの粒径を特定の領域に且つ均一に集束でき好適である。
凝固液の温度は、格別限定はないが、通常40℃以上、好ましくは40〜90℃、より好ましくは50〜80℃の範囲であるときに均一な含水クラムが生成され好適である。
撹拌されている凝固液の撹拌数(回転数)は、すなわち、撹拌装置の撹拌翼の回転数で、格別な限定はないが、通常100rpm以上、好ましくは200rpm以上、より好ましくは200〜1000rpm、特に好ましくは300〜900rpm、最も好ましくは400〜800rpmの範囲である。
回転数はある程度激しく撹拌される回転数である方が、生成する含水クラム粒径を小さく且つ均一にでき好適であり、前記下限以上とすることにより、クラム粒径が過度に大きいものと小さいものとが生成するのを抑制でき、前記上限以下とすることにより、凝固反応の制御をより容易にできる。
撹拌されている凝固液の周速は、すなわち、撹拌装置の撹拌翼の外周の速度は、格別な限定はないが、一定程度まで激しく撹拌されている方が生成する含水クラム粒径を小さく且つ均一にでき好適で、通常0.5m/s以上、好ましくは1m/s以上、より好ましくは1.5m/s以上、特に好ましくは2m/s以上、最も好ましくは2.5m/s以上である。一方周速の上限値は、格別限定されるものではないが、通常50m/s以下、好ましくは30m/s以下、より好ましくは25m/s以下、最も好ましくは20m/s以下であるときに凝固反応の制御が容易になり好適である。
凝固反応の上記条件(添加方法、乳化重合液の固形分濃度、凝固液の濃度及び温度、凝固液の撹拌時の回転数及び周速、など)を特定範囲にすることで、生成する含水クラムの形状及びクラム径が均一で且つ集束化され、洗浄及び脱水時の乳化剤や凝固剤の除去が格段に向上し、結果として製造されるアクリルゴムの耐水性と保存安定性を高度に改善できるので好適である。
(洗浄工程)
本発明のアクリルゴムの製造方法における洗浄工程は、上記凝固反応で生成した含水クラムを温水で洗浄することを特徴とする。
洗浄方法としては、格別限定されるものでなく、例えば、生成した含水クラムを多量の温水と混合して行うことができる。
洗浄のため加える温水の量は、特に限定されないが、単量体成分100重量部に対して、水洗1回当たりの量が、通常50重量部以上、好ましくは50〜15,000重量部、より好ましくは100〜10,000重量部、さらに好ましくは500〜5,000重量部の範囲であるときに、アクリルゴム中の灰分量を効果的に低減することができるので好適である。
使用する温水の温度は、格別限定されないが、通常40℃以上、好ましくは40〜100℃、より好ましくは50〜90℃であり、特に60〜80℃のときに洗浄効率を格段に上げることができ最適である。使用する水の温度を上記した下限以上とすることにより、乳化剤や凝固剤が含水クラムから遊離して洗浄効率がより向上する。
洗浄時間は、格別な限定はないが、通常1〜120分、好ましくは2〜60分、より好ましくは3〜30分の範囲である。
洗浄(水洗)の回数についても、特に限定されず、通常は1〜10回、好ましくは1〜5回、より好ましくは2〜3回である。なお、最終的に得られるアクリルゴム中の凝固剤の残留量を低減させるという観点からは、水洗回数が多い方が望ましいが、上記のように含水クラムの形状及び含水クラム径を特定範囲にすること、及び/又は洗浄温度を上記の範囲にすることで、水洗回数を格段に低減できる。
(脱水工程)
本発明のアクリルゴムの製造方法における脱水工程は、上記洗浄した含水クラムを脱水する工程である。
含水クラムの脱水方法としては、含水クラムから水分を絞り出せる方法であれば格別な限定はなく、通常は脱水機などを用いて行うことができる。これにより、洗浄工程では除去できなかった含水クラムに内在する乳化剤や凝固剤の灰分量を減少させ、アクリルゴムの耐水性を格段に向上でき好適である。
脱水機としては、特に限定されず、例えば、遠心分離機、スクイザー、スクリュー型押出機などを使用することができるが、特に、スクリュー型押出機が含水クラムの含水量を高度に下げることができ好適である。粘着性のアクリルゴムは、遠心分離機などでは、壁面及びスリット間にアクリルゴムが付着して通常45〜55重量%程度までしか脱水できない。これに対して、スクリュー型押出機は、強制的に水分を絞り出していく機構を有しており好適である。
脱水後の含水クラムの含水量は、限定されないが、通常1〜50重量%、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは10〜40重量%、より好ましくは15〜35重量%の範囲である。脱水後の含水量を上記の下限以上とすることにより、脱水時間を短縮できてアクリルゴムの変質を抑制でき、一方、上記の上限以下とすることにより灰分量を十分に低減することができる。
(乾燥工程)
本発明のアクリルゴムの製造方法における乾燥工程は、上記脱水した含水クラムを1重量%未満まで乾燥する工程である。
上記脱水後の含水クラムを乾燥する方法は、格別な限定はないが、例えば、脱水後の含水クラムを直接乾燥等により乾燥することができるが、好適には、スクリュー型二軸押出乾燥機を用いて行うことができる。使用されるスクリュー型二軸押出乾燥機としては、2つのスクリューを有する押出乾燥機であれば格別限定はないが、本発明においては、特に、2つのスクリューを有するスクリュー型二軸押出乾燥機を用いて高シェアの条件で含水クラムを乾燥することにより得られるアクリルゴムのロール加工性、バンバリー加工性及び強度特性を高度にバランスすることができ好適である。
本発明で使用されるスクリュー型二軸押出乾燥機の最大トルクは、格別限定されるものではないが、格別な限定はないが、通常20N・m以上、好ましくは25N・m以上、より好ましくは30N・m以上、特に好ましくは35N・m以上、最も好ましくは40N・m以上である。本発明で使用されるスクリュー型二軸押出乾燥機の最大トルクは、また、通常25〜125N・m、好ましくは30〜100N・m、より好ましくは35〜75N・m、特に好ましくは40〜60N・mの範囲であるときに、製造されるアクリルゴムのロール加工性、バンバリー加工性及び強度特性を高度にバランスすることができ好適である。
本発明で使用されるスクリュー型二軸押出乾燥機の比動力は、格別な限定はないが、通常0.1〜0.25[kw・h/kg]以上、好ましくは0.13〜0.23[kw・h/kg]、より好ましくは0.15〜0.2[kw・h/kg]の範囲であるときに得られるアクリルゴムのロール加工性、バンバリー加工性及び強度特性が高度にバランスされ好適である。
本発明で使用されるスクリュー型二軸押出乾燥機の比電力は、格別な限定はないが、通常0.2〜0.6[A・h/kg/]以上、好ましくは0.25〜0.55[A・h/kg/]、より好ましくは0.35〜0.5[A・h/kg/]の範囲であるときに得られるアクリルゴムのロール加工性、バンバリー加工性及び強度特性が高度にバランスされ好適である。
本発明で使用されるスクリュー型二軸押出乾燥機の剪断速度は、格別な限定はないが、通常40〜150[1/s]以上、好ましくは45〜125[1/s]、より好ましくは50〜100[1/s]の範囲であるときに得られるアクリルゴムの保存安定性、ロール加工性、バンバリー加工性及び強度特性が高度にバランスされ好適である。
本発明で使用されるスクリュー型二軸押出乾燥機内のアクリルゴムの剪断粘度は、格別な限定はないが、通常4000〜8000[Pa・s]以下、好ましくは4500〜7500[Pa・s]、より好ましくは5000〜7000[Pa・s]の範囲であるときに得られるアクリルゴムの保存安定性、ロール加工性、バンバリー加工性及び強度特性が高度にバランスされ好適である。
上記得られた乾燥ゴムは、ベール化することができる。乾燥ゴムのベール化は、常法に従えばよく、例えば、上記乾燥ゴムをベーラーに入れ圧縮して製造することができる。圧縮する圧力は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常0.1〜15MPa、好ましくは0.5〜10MPa、より好ましくは1〜5MPaの範囲である。圧縮時間は、格別限定されるものではないが、通常1〜60秒間、好ましくは5〜30秒間、より好ましくは10〜20秒間の範囲である。
かくして得られる本発明のアクリルゴムは、ロール加工性、強度特性及び耐水性に優れ各種用途に使用することができる。本発明のアクリルゴムの形状としては、格別限定はなく使用目的に応じて選択され、例えば、粉状、クラム状、ストランド状、シート状、ベール状などが挙げられるが、シート状やベールが作業性や保存安定性に優れ好適である。
(シート状またはベール状アクリルゴム製造方法)
本発明のシート状またはベール状アクリルゴムの製造方法は、格別な限定はないが、前記洗浄後の含水クラムを、脱水スリットを有する脱水バレルと減圧下の乾燥バレルと先端部にダイを有するスクリュー型二軸押出乾燥機を用いて脱水バレルで含水量1〜40重量%まで脱水した後に乾燥バレルで1重量%未満まで乾燥してシート状乾燥ゴムをダイから押し出すことで容易にシート状アクリルゴムが製造でき、また、押し出されたシート状乾燥ゴムを積層してベール化することで容易にベール状アクリルゴムを製造することができる。
本発明においては、スクリュー型二軸押出乾燥機に供給される含水クラムは、洗浄後に遊離水を除去(水切り)したものであることが好ましい。
水切り工程
本発明において、洗浄後の含水クラムから水切り機で遊離水を分離する水切り工程を設けることが脱水効率を上げる上で好適である。
水切り機としては、公知のものを格別な限定なく用いることができ、例えば、金網、スクリーン、電動篩機などが挙げられ、好ましくは金網、スクリーンである。
水切り機目開きは、格別限定はないが、通常0.01〜5mm、好ましくは0.1〜1mm、より好ましくは0.2〜0.6mmの範囲であるときに、含水クラム損出が少なく且つ水切りが効率的にでき好適である。
水切り後の含水クラムの含水量、すなわち脱水・乾燥工程に投入される含水クラムの含水量は、格別限定されるものではないが、通常50〜80重量%、好ましくは50〜70重量%、より好ましくは50〜60重量%の範囲である。
水切り後の含水クラムの温度、すなわち脱水・乾燥工程に投入される含水クラムの温度は、格別限定されるものではないが、通常40℃以上、好ましくは40〜100℃、より好ましくは50〜90℃、特に好ましくは55〜85℃、最も好ましくは60〜80℃の範囲であるときに、本発明のアクリルゴムのように比熱が1.5〜2.5KJ/kg・Kと高く温度を上げにくい含水クラムをスクリュー型二軸押出乾燥機を用いて効率よく脱水・乾燥でき好適である。
含水クラムの脱水(脱水バレル部)
含水クラムの脱水は、脱水スリットを有する脱水バレルで行われる。脱水スリットの目開きは、使用条件に応じて適宜選択されればよいが、通常0.01〜5mm、好ましくは0.1〜1mm、より好ましくは0.2〜0.6mmの範囲であるときに、含水クラム損出が少なく且つ含水クラムの脱水が効率的にでき好適である。
スクリュー型二軸押出乾燥機における脱水バレルの数は、格別限定されるものではないが、通常複数個、好ましくは2〜10個、より好ましくは3〜6個であるときに粘着性のアクリルゴムの脱水を効率よく行う上で好適である。
脱水バレルにおける含水クラムからの水の除去は、脱水スリットから液状で除去するもの(排水)、蒸気状で除去するもの(排蒸気)の二通りがあるが、本発明においては、排水は脱水、排蒸気は予備乾燥と定義して区別する。
含水クラムの脱水において脱水スリットから排出される水は、液状(排水)、蒸気状(排蒸気)のいずれの状態でもよいが、脱水バレルを複数個備えるスクリュー型二軸乾燥を用いて行う場合は、排水及び排蒸気を組み合させることで粘着性アクリルゴムの脱水が効率よくでき好適である。脱水バレルを3個以上備えるスクリュー型二軸押出乾燥機の排水型脱水バレルか排蒸気型脱水バレルかの選択は、使用目的に応じて適宜行えばよいが、通常製造されるアクリルゴム中の灰分量を少なくする場合は排水型バレルを多くし、含水量を低減する場合は排蒸気型バレルを多くする。
脱水バレルの設定温度は、アクリルゴムの単量体組成、灰分量、含水量、及び操業条件などにより適宜選択されるが、通常60〜150℃、好ましくは70〜140℃、より好ましくは80〜130℃の範囲である。排水状態で脱水する脱水バレルの設定温度は、通常60〜120℃、好ましくは70〜110℃、より好ましくは80〜100℃である。排蒸気状態で脱水する脱水バレルの設定温度は、通常100〜150℃、好ましくは105〜140℃、より好ましくは110〜130℃の範囲である。
含水クラムから水分を絞り出す排水型脱水の脱水後の含水量としては、格別な限定はないが、通常1〜40重量%、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは5〜35重量%、特に好ましくは10〜35重量%であるときに、生産性と灰分除去効率とが高度にバランスされ好適である。
反応性基を有する粘着性のアクリルゴムの脱水は、遠心分離機などを用いて行うと脱水スリット部にアクリルゴムが付着してしまい殆ど脱水できないが(含水量は約45〜55重量%程度まで)、本発明において、脱水スリットを有しスクリューで強制的に絞られるスクリュー型二軸押出乾燥機を用いることにより、ここまで含水量を低減できるようになった。
排水型脱水バレルと排蒸気型脱水バレルとを備える場合の含水クラムの脱水は、排水型脱水バレル部における排水後の含水量が通常5〜40重量%、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは15〜35重量%、排蒸気型脱水バレル部における予備乾燥後の含水量が、通常1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%である。
脱水後の含水量を前記下限以上とすることにより、脱水時間を短縮できてアクリルゴムの変質を抑制でき、前記上限以下とすることにより灰分量を十分に低減することができる。
含水クラムの乾燥(乾燥バレル部)
上記脱水後の含水クラムの乾燥は、減圧下の乾燥バレル部で行うことを特徴とする。アクリルゴムの乾燥を減圧下で行うことにより、反応性基を有する粘着性アクリルゴムの乾燥効率を上げ、且つ、アクリルゴム中に内在する空気を除去し比重が高く保存安定性に優れるアクリルゴムを製造できるので好適である。
乾燥バレルの減圧度は、適宜選択されればよいが、通常1〜50kPa,好ましくは2〜30kPa、より好ましくは3〜20kPaであるときに効率よく含水クラムを乾燥でき好適である。乾燥バレルの減圧度をこの範囲にすることにより、アクリルゴムの乾燥性に優れ且つ乾燥ゴムの内在する空気を除去し、結果として製造されるアクリルゴムの比重を高め且つ保存安定性を格段に改善できるので好適である。
乾燥バレルの設定温度は、適宜選択されればよいが、通常100〜250℃、好ましくは110〜200℃、より好ましくは120〜180℃の範囲であるときに、アクリルゴムのヤケや変質がなく効率よく乾燥ができ且つシート状またはベール状アクリルゴム中のメチルエチルケトン不溶解分量(メチルエチルケトン不溶解分のゲル量)を低減でき好適である。
スクリュー型二軸押出乾燥機における乾燥バレルの数は、格別限定されるものではないが、通常複数個、好ましくは2〜10個、より好ましくは3〜8個である。乾燥バレルが複数個有する場合の減圧度は、全ての乾燥バレルで近似した減圧度にしてもよいし、変えてもよい。乾燥バレルが複数個有する場合の設定温度は、全ての乾燥バレルで近似した温度にしてもよいし変えてもよいが、導入部(脱水バレルに近い方)の温度よりも排出部(ダイに近い方)の温度の方が高くするのが乾燥効率を上げることができ好適である。
乾燥後の乾燥ゴムの含水量は、通常1重量%未満、好ましくは0.8重量%以下、より好ましくは0.6重量%以下である。本発明においては、特にスクリュー型二軸押出乾燥機内で乾燥ゴムの含水量がこの値(殆ど水が除去された状態)にして溶融押出しされることがシート状またはベール状アクリルゴムのメチルエチルケトン不溶解分量を低減でき好適である。
本発明においては、スクリュー型二軸押出乾燥機の乾燥バレルにおいて上記アクリルゴムが実質的に水を含まない状態でかかる剪断速度は、格別な限定はないが、通常が、10[1/s]以上、好ましくは10〜400[1/s]、より好ましくは50〜250[1/s]の範囲であるときに得られるシート状またはベール状アクリルゴムの保存安定性、ロール加工性、バンバリー加工性、強度特性及び耐圧縮永久歪み特性が高度にバランスされ好適である。
本発明で使用されるスクリュー型二軸押出乾燥機内、特に乾燥バレルにおけるアクリルゴムの剪断粘度は、格別な限定はないが、通常12000[Pa・s]以下、好ましくは1000〜12000[Pa・s]、より好ましくは2000〜10000[Pa・s]、特に好ましくは3000〜7000[Pa・s]、最も好ましくは4000〜6000[Pa・s]の範囲であるときに得られるシート状またはベール状アクリルゴムの保存安定性、ロール加工性、バンバリー加工性及び強度特性が高度にバランスされ好適である。
乾燥ゴム(ダイ部)
上記脱水バレル及び乾燥バレルのスクリュー部で脱水・乾燥された乾燥ゴムは、スクリューの無い整流のダイ部に送られる。スクリュー部とダイ部の間には、ブレーカープレートや金網を設けてもよいし、設けなくてもよい。
押出される乾燥ゴムは、ダイ形状を略長方形状にしてシート状に出すことにより空気の巻き込みが少なく比重の大きい保存安定性に優れる乾燥ゴムが得られ好適である。
ダイ部における樹脂圧は、格別限定されないが、通常0.1〜10MPa、好ましくは0.5〜5MPa、より好ましくは1〜3MPaの範囲としたときに、シート状またはベール状アクリルゴムの空気の巻き込みが少なく(比重が高く)且つ生産性に優れ好適である。
スクリュー型二軸押出乾燥機及び操業条件
使用されるスクリュー型二軸押出乾燥機のスクリュー長(L)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常3000〜15000mm、好ましくは4000〜10000mm、より好ましくは4500〜8000mmの範囲である。
使用されるスクリュー型二軸押出乾燥機のスクリュー径(D)は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50〜250mm、好ましくは100〜200mm、より好ましくは120〜160mmの範囲である。
使用されるスクリュー型二軸押出乾燥機のスクリュー長(L)とスクリュー径(D)との比(L/D)は、格別限定されるものではないが、通常10〜100、好ましくは20〜80、より好ましくは30〜60の範囲であるときに乾燥ゴムの分子量低下や焼けを起こさずに含水量を1重量%未満にでき好適である。
使用されるスクリュー型二軸押出乾燥機の回転数(N)は、諸条件に応じて適宜選択されればよいが、通常10〜1000rpm、好ましくは50〜750rpm、より好ましくは100〜500rpm、最も好ましくは120〜300rpmであるときに、シート状またはベール状アクリルゴムの含水量とメチルエチルケトン不溶解分量を効率よく低減でき好適である。
使用されるスクリュー型二軸押出乾燥機の押出量(Q)は、格別限定されないが、通常100〜1,500kg/hr、好ましくは300〜1200kg/hr、より好ましくは400〜1000kg/hr、最も好ましくは500〜800kg/hrの範囲である。
使用されるスクリュー型二軸押出乾燥機の押出量(Q)と回転数(N)の比(Q/N)は、格別限定されるものではないが、通常2〜10、好ましくは3〜8、より好ましくは4〜6の範囲である。
使用されるスクリュー型二軸押出乾燥機の最大トルクは、格別限定されるものではないが、格別な限定はないが、通常30N・m以上、好ましくは35N・m以上、より好ましくは40N・m以上である。本発明で使用されるスクリュー型二軸押出乾燥機の最大トルクは、また、通常30〜100N・m、好ましくは35〜75N・m、より好ましくは40〜60N・mの範囲であるときに、製造されるシート状またはベール状アクリルゴムのロール加工性、バンバリー加工性及び強度特性を高度にバランスすることができ好適である。本発明においては、二軸のスクリューを有する押出乾燥機を用いることにより高シェアな条件での脱水・乾燥・成形が可能となり好適である。
使用されるスクリュー型二軸押出乾燥機の比動力は、格別な限定はないが、通常0.1〜0.25[kw・h/kg]以上、好ましくは0.13〜0.23[kw・h/kg]、より好ましくは0.15〜0.2[kw・h/kg]の範囲であるときに得られるシート状またはベール状アクリルゴムのロール加工性、バンバリー加工性及び強度特性が高度にバランスされ好適である。
使用されるスクリュー型二軸押出乾燥機の比電力は、格別な限定はないが、通常0.2〜0.6[A・h/kg/]以上、好ましくは0.25〜0.55[A・h/kg/]、より好ましくは0.35〜0.5[A・h/kg/]の範囲であるときに得られるシート状またはベール状アクリルゴムのロール加工性、バンバリー加工性及び強度特性が高度にバランスされ好適である。
使用されるスクリュー型二軸押出乾燥機の剪断速度は、格別な限定はないが、通常40〜150[1/s]以上、好ましくは45〜125[1/s]、より好ましくは50〜100[1/s]の範囲であるときに得られるシート状またはベール状アクリルゴムの保存安定性、ロール加工性、バンバリー加工性及び強度特性が高度にバランスされ好適である。
使用されるスクリュー型二軸押出乾燥機内のアクリルゴムの剪断粘度は、格別な限定はないが、通常4000〜8000[Pa・s]以下、好ましくは4500〜7500[Pa・s]、より好ましくは5000〜7000[Pa・s]の範囲であるときに得られるシート状またはベール状アクリルゴムの保存安定性、ロール加工性、バンバリー加工性及び強度特性が高度にバランスされ好適である。
シート状乾燥ゴム
スクリュー型二軸押出乾燥機から押し出される乾燥ゴムの形状は、シート状であり、この時に空気を巻き込まず比重を大きくでき保存安定性が高度に改善され好適である。スクリュー型二軸押出乾燥機から押し出されるシート状乾燥ゴムは、通常、冷却され切断されてシート状アクリルゴムとして使用される。
スクリュー型二軸押出乾燥機から押し出されるシート状乾燥ゴムの厚さは、格別な限定はないが、通常1〜40mm、好ましくは2〜35mm、より好ましくは3〜30mm、最も好ましくは5〜25mmの範囲であるときに作業性、生産性に優れ好適である。特にシート状乾燥ゴムの熱伝導度が0.15〜0.35W/mKと低いために冷却効率を上げ生産性を格段に向上させる場合のシート状乾燥ゴムの厚さは、通常1〜30mm、好ましくは2〜25mm、より好ましくは3〜15mm、特に好ましくは4〜12mmの範囲である。
スクリュー型二軸押出乾燥機から押し出されるシート状乾燥ゴムの幅は、使用目的に応じて適宜選択されるが、通常300〜1200mm、好ましくは400〜1000mm、より好ましくは500〜800mmの範囲である。
スクリュー型二軸押出乾燥機から押し出される乾燥ゴムの温度は、格別限定されるものではないが、通常100〜200℃、好ましくは110〜180℃、より好ましくは120〜160℃の範囲である。
スクリュー型二軸押出乾燥機から押し出される乾燥ゴムの含水量は、格別な限定は無いが、通常1重量%未満、好ましくは0.8重量%以下、より好ましくは0.6重量%以下である。
スクリュー型二軸押出乾燥機から押し出されるシート状乾燥ゴムの100℃における複素粘性率([η]100℃)は、格別限定されるものではないが、通常1500〜6000[Pa・s]、好ましくは2000〜5000[Pa・s]、より好ましくは2500〜4000[Pa・s]、最も好ましくは2500〜3500[Pa・s]の範囲であるときに、シートとしての押出性と形状保持性とが高度にバランスされ好適である。すなわち、下限以上とすることにより押出性により優れるものとでき、上限以下とすることによりシート状乾燥ゴムの形状の崩れや破断を抑制できる。
スクリュー型二軸押出乾燥機から押し出されたシート状乾燥ゴムは、そのまま折りたたんで使用してもよいが、通常は、切断して用いることができる。
シート状乾燥ゴムの切断は、格別な限定はないが、本発明のアクリルゴムは粘着性が強いことから、空気を巻き込まずに連続的に切断するために、シート状乾燥ゴムを冷却してから行うのが好ましい。
シート状乾燥ゴムの切断温度は、格別な限定はないが、通常60℃以下、好ましくは55℃以下、より好ましくは50℃以下であるときに、切断性と生産性とが高度にバランスされ好適である。
シート状乾燥ゴムの60℃における複素粘性率([η]60℃)は、格別限定されるものではないが、通常15,000[Pa・s]以下、好ましくは2000〜10.000[Pa・s]、より好ましくは2500〜7000[Pa・s]、最も好ましくは2700〜5500[Pa・s]の範囲にあるときに空気を巻き込まずに且つ連続的に切断ができ好適である。
シート状乾燥ゴムの100℃における複素粘性率([η]100℃)と60℃における複素粘性率([η]60℃)との比([η]100℃/[η]60℃)は、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常0.5以上、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、特に好ましくは0.8以上、最も好ましくは0.85以上であり、上限値が、通常0.98以下、好ましくは0.97以下、より好ましくは0.96以下、特に好ましくは0.95以下、最も好ましくは0.93以下であるときに空気巻き込み性が少なく、且つ切断と生産性が高度にバランスされ好適である。
シート状乾燥ゴムの冷却方法としては、格別限定はなく室温に放置してもよいが、シート状乾燥ゴムの熱伝導度が0.15〜0.35W/mKと非常に小さいために、送風あるいは冷房下での空冷方式、水を吹き付ける水かけ方式、水中に浸漬する浸漬方式などの強制冷却が生産性を上げるために好ましく、特に送風あるいは冷下での空冷方式が好適である。
シート状乾燥ゴムの空冷方式では、例えば、スクリュー型押出機からベルトコンベアなどの搬送機上にシート状乾燥ゴムを押し出し、冷風を吹き付ける中で搬送し冷却することができる。冷風の温度は、格別限定されるものではないが、通常0〜25℃、好ましくは5〜25℃、より好ましくは10〜20℃の範囲である。冷却される長さは、格別限定はないが、通常5〜500m、好ましくは10〜200m、より好ましくは20〜100mの範囲である。シート状乾燥ゴムの冷却速度は、格別限定されるものではないが、通常50℃/hr以上、より好ましくは100℃/hr以上、より好ましくは150℃/hr以上であるときに切断が特に容易になり好適である。
シート状乾燥ゴムの切断長さは、格別な限定はなく使用目的に応じて適宜選択されるが、通常100〜800mm、好ましくは200〜500mm、より好ましくは250〜450mmの範囲である。
かくして得られるシート状アクリルゴムは、クラム状アクリルゴムに比べて操作性に優れ、且つ、ロール加工性、架橋性、強度特性及び耐圧縮永久歪み特性に優れるとともに保存安定性、バンバリー加工性及び耐水性にも優れ、そのまま、あるいは積層してベール化されて使用することができる。
積層工程
本発明のベール状アクリルゴムの製造方法は、格別限定されるものではないが、上記シート状アクリルゴムを積層することにより空気の巻き込みの少ない保存安定性に優れるベール状アクリルゴムが得られ好適である。
シート状アクリルゴムの積層温度は、格別限定はないが、通常30℃以上、好ましくは35℃以上、より好ましくは40℃以上であるときに積層時に巻き込まれる空気を逃がすことができ好適である。積層枚数は、前記ベール状アクリルゴムの大きさまたは重量に応じて適宜選択されればよい。本発明のベール状アクリルゴムは、積層したシート状アクリルゴムの自重により一体化される。
かくして得られる本発明のベール状アクリルゴムは、クラム状アクリルゴムに比べ操作性に優れ、且つ、ロール加工性、架橋性、強度特性及び耐圧縮永久歪み特性に優れるとともに保存安定性、バンバリー加工性及び耐水性にも優れ、ベール状アクリルゴムをそのまま、あるいは必要量を切断してバンバリー、ロールなどの混合機に投入して用いることができる。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、前記アクリルゴムを含むゴム成分、充填剤及び架橋剤を含むことを特徴とする。
本発明のゴム組成物の主たる成分となるゴム成分としては、本発明のアクリルゴム単独で用いてもよく、あるいは必要に応じて、本発明のアクリルゴムとその他のゴム成分とを組み合わせて用いてもよい。ゴム成分中における本発明のアクリルゴムの含有量は、使用目的に応じて選択されればよく、例えば、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
本発明のアクリルゴムと組み合わせるその他のゴム成分としては、格別な限定はなく、例えば、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリシロキサン系エラストマーなどを挙げることができる。
これらのその他のゴム成分は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのその他のゴム成分の形状は、クラム状、ストランド状、ベール状、シート状、粉体状などいずれであっても構わない。ゴム成分全体におけるその他のゴム成分の含有量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択され、例えば、通常70重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。
ゴム組成物に含まれる充填剤としては、格別な限定はないが、例えば、補強性充填剤、非補強性充填剤などが挙げられ、好ましくは補強性充填剤である。
補強性充填剤としては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック及びグラファイトなどのカーボンブラック類;湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカなどのシリカ類;などを挙げることができる。非補強性充填剤としては、石英粉末、ケイソウ土、亜鉛華、塩基性炭酸マグネシウム、活性炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、タルク、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどを挙げることができる。
これらの充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択され、ゴム成分100重量部に対して、通常1〜200重量部、好ましくは10〜150重量部、より好ましくは20〜100重量部の範囲である。
ゴム組成物に使用される架橋剤としては、格別な限定はなく従来公知の架橋剤を使用目的に応じて選択され、例えば、硫黄化合物などの無機架橋剤や有機架橋剤などが挙げられ、好ましくは有機架橋剤である。
有機架橋剤としては、格別な限定はないが、イオン架橋性有機化合物が好ましく、多価イオン有機化合物が特に好ましい。イオン架橋性または多価イオンの「イオン」としては、前記アクリルゴムのイオン反応性基含有単量体のイオン反応性基とイオン反応するもので格別な限定はないが、例えば、アミン基、エポキシ基、カルボキシル基、チオール基などが挙げられる。
多価イオン有機化合物の具体例としては、多価アミン化合物、多価エポキシ化合物、多価カルボン酸化合物、多価チオール化合物などが挙げられ、好ましくは多価アミン化合物や多価チオール化合物、より好ましくは多価アミン化合物である。
多価アミン化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、N,N'−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンなどの脂肪族多価アミン化合物;4,4'−メチレンジアニリン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4'−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2'−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4'−ジアミノベンズアニリド、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミンなどの芳香族多価アミン化合物;などが挙げられる。これらの中でも、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、2,2'−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパンなどが好ましい。多価アミン化合物としては、また、これらの炭酸塩を好適に用いることができる。これらの多価アミン化合物は、特に、カルボキシル基含有のアクリルゴム、あるいはエポキシ基含有のアクリルゴムと組み合わせて好適に用いられる。
多価チオール化合物としては、好適にはトリアジンチオール化合物が用いられ、例えば、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−アニリノ−4,6−ジチオール−s−トリアジン、1−ジブチルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジチオール−s−トリアジン、1−フェニルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、1−ヘキシルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジンなどが挙げられる。これらのトリアジンチオール化合物は、特に、塩素原子含有のアクリルゴムと組み合わせて好適に用いられる。
その他の多価有機化合物としては、テトラデカン二酸などの多価カルボン酸化合物、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛などのジチオカルバミン酸金属塩などが挙げられる。これらのその他の多価有機化合物は、特に、エポキシ基含有のアクリルゴムと組み合わせて好適に用いられる。
これらの架橋剤は、それぞれ単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができ、その配合量は、ゴム成分100重量部に対し、通常0.001〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。架橋剤の配合量をこの範囲とすることにより、ゴム弾性を充分なものとしながら、ゴム架橋物としての機械的強度を優れたものとすることができ好適である。
本発明のゴム組成物は、必要に応じて老化防止剤を配合することができる。老化防止剤の種類は、特に限定されないが、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、スチレン化フェノール、2,2'−メチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−6−メチルフェノール、2,2'−チオビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス−(6−t−ブチル−o−クレゾール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノールなどのその他のフェノール系老化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコール・ジホスファイトなどの亜燐酸エステル系老化防止剤;チオジプロピオン酸ジラウリルなどの硫黄エステル系老化防止剤;フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)−ジフェニルアミン、4,4'−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物などのアミン系老化防止剤;2−メルカプトベンズイミダゾールなどのイミダゾール系老化防止剤;6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどのキノリン系老化防止剤;2,5−ジ−(t−アミル)ハイドロキノンなどのハイドロキノン系老化防止剤;などが挙げられる。これらの中でも特にアミン系老化防止剤が好ましい。
これらの老化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができ、その配合量は、ゴム成分100重量部に対して、0,01〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部の範囲である。
本発明のゴム組成物は、上記本発明のアクリルゴムを含むゴム成分、充填剤及び架橋剤を必須成分として、及び必要に応じて老化防止剤を含み、さらに、必要に応じて当該技術分野で通常使用される他の添加剤、例えば、架橋助剤、架橋促進剤、架橋遅延剤、シランカップリング剤、可塑剤、加工助剤、滑材、顔料、着色剤、帯電防止剤、発泡剤などを任意に配合できる。これらのその他の配合剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択される。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、本発明のアクリルゴムを含むゴム成分、充填剤、架橋剤及び必要に応じて含有できる老化防止剤やその他の配合剤を混合する方法が挙げられ、混合には、従来のゴム加工分野において利用されている任意の手段、例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー類などを利用することができる。各成分の混合手順は、ゴム加工の分野において行われている通常の手順で行えばよく、例えば、熱で反応や分解しにくい成分を充分に混合した後、熱で反応や分解しやすい成分である架橋剤などを、反応や分解が起こらない温度で短時間に混合することが好ましい。
<ゴム架橋物>
本発明のゴム架橋物は、上記ゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明のゴム組成物を用い、所望の形状に対応した成形機、例えば、押出機、射出成形機、圧縮機又はロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、ゴム架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常10〜200℃、好ましくは25〜150℃である。架橋温度は、通常100〜250℃、好ましくは130〜220℃、より好ましくは150〜200℃であり、架橋時間は、通常0.1分〜10時間、好ましくは1分〜5時間である。加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、及び熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい。
本発明のゴム架橋物は、ゴム架橋物の形状、大きさなどによっては、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。二次架橋は、加熱方法、架橋温度、形状などにより異なるが、好ましくは1〜48時間行う。加熱方法、加熱温度は適宜選択すればよい。
本発明のゴム架橋物は、引張強度、伸び、硬さなどのゴムとしての基本特性を維持しながら、優れた耐圧縮永久歪み特性及び耐水性を有するものである。
本発明のゴム架橋物は、上記特性を活かして、例えば、O−リング、パッキン、ダイアフラム、オイルシール、シャフトシール、ベアリングシール、メカニカルシール、ウエルヘッドシール、電気・電子機器用シール、空気圧縮機器用シールなどのシール材;シリンダブロックとシリンダヘッドとの連結部に装着されるロッカーカバーガスケット、オイルパンとシリンダヘッドあるいはトランスミッションケースとの連結部に装着されるオイルパンガスケット、正極、電解質板及び負極を備えた単位セルを挟み込む一対のハウジング間に装着された燃料電池セパレーター用ガスケット、ハードディスクドライブのトップカバー用ガスケットなどの各種ガスケット;緩衝材、防振材;電線被覆材;工業用ベルト類;チューブ・ホース類;シート類;などとして好適に用いられる。
本発明のゴム架橋物は、また、自動車用途に用いられる押し出し成形型品及び型架橋製品として、例えば、燃料ホース、フィラーネックホース、ベントホース、ペーパーホース、オイルホースなどの燃料タンクなどの燃料油系ホース、ターボエアーホース、ミッションコントロールホースなどのエアー系ホース、ラジエターホース、ヒーターホース、ブレーキホース、エアコンホースなどの各種ホース類に好適に用いられる。
<アクリルゴムの製造に用いられる装置構成>
次に、本発明の一実施形態に係るアクリルゴムの製造に用いられる装置構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るアクリルゴムの製造に用いられる装置構成を有するアクリルゴム製造システムの一例を模式的に示す図である。本発明に係るアクリルゴムの製造には、例えば、図1に示すアクリルゴム製造システム1を使用することができる。
図1に示すアクリルゴム製造システム1は、不図示の乳化重合反応器、凝固装置3、洗浄装置4、水切り機43、スクリュー型二軸押出乾燥機により構成されている。
乳化重合反応器は、上述した乳化重合工程に係る処理を行うように構成されている。図1には不図示であるが、この乳化重合反応器は、例えば重合反応槽、反応温度を制御する温度制御部、モータ及び撹拌翼を備えた撹拌装置を有する。乳化重合反応器では、アクリルゴムを形成するための単量体成分に水と乳化剤とを混合して撹拌機で適切に撹拌しながらエマルジョン化し、無機ラジカル発生剤と還元剤とからなるレドックス触媒存在下に乳化重合反応を開始し、重合途中で連鎖移動剤を回分的に後添加して乳化重合液を得ることができる。乳化重合反応器は、回分式、半回分式、連続式のいずれであってもよく、槽型反応器、管型反応器のいずれであってもよい。
図1に示す凝固装置3は、上述した凝固工程に係る処理を行うように構成されている。図1に模式的に図示されているように、凝固装置3は、例えば撹拌槽30、撹拌槽30内を加熱する加熱部31、撹拌槽30内の温度を制御する不図示の温度制御部、モータ32及び撹拌翼33を備えた撹拌装置34、撹拌翼33の回転数及び回転速度を制御する不図示の駆動制御部を有する。凝固装置3では、乳化重合反応器で得られた乳化重合液を、凝固液と接触させて凝固させることにより含水クラムを生成することができる。
凝固装置3では、例えば、乳化重合液と凝固液との接触は、乳化重合液を撹拌している凝固液中に添加する方法が採用される。すなわち、凝固装置3の撹拌槽30に凝固液を充填しておき、この凝固液に乳化重合液を添加及び接触させて乳化重合液を凝固させることによって含水クラムが生成される。
凝固装置3の加熱部31は、撹拌槽30に充填された凝固液を加熱するよう構成されている。また、凝固装置3の温度制御部は、温度計で計測された撹拌槽30内の温度を監視しながら加熱部31による加熱動作を制御することで、撹拌槽30内の温度を制御するように構成されている。撹拌槽30内の凝固液の温度は、温度制御部によって、通常40℃以上、好ましくは40〜90℃、より好ましくは50〜80℃の範囲となるよう制御される。
凝固装置3の撹拌装置34は、撹拌槽30に充填された凝固液を撹拌するように構成されている。具体的には、撹拌装置34は、回転動力を生み出すモータ32と、モータ32の回転軸に対して垂直方向に広がる撹拌翼33を備えている。撹拌翼33は、撹拌槽30に充填された凝固液内で、モータ32の回転動力により回転軸を中心として回転することで凝固液を流動させることができる。撹拌翼33の形状や大きさ、設置数などは特に限定されない。
凝固装置3の駆動制御部は、撹拌装置34のモータ32の回転駆動を制御して、撹拌装置34の撹拌翼33の回転数及び回転速度を所定値に設定するように構成されている。凝固液の撹拌数が、例えば、通常100rpm以上、好ましくは200〜1000rpm、より好ましくは300〜900rpm、特に好ましくは400〜800rpmの範囲となるように、駆動制御部によって撹拌翼33の回転が制御される。凝固液の周速が、通常0.5m/s以上、好ましくは1m/s以上、より好ましくは1.5m/s以上、特に好ましくは2m/s以上、最も好ましくは2.5m/s以上となるように、駆動制御部によって撹拌翼33の回転が制御される。さらに、凝固液の周速の上限値が、通常50m/s以下、好ましくは30m/s以下、より好ましくは25m/s以下、最も好ましくは20m/s以下となるように、駆動制御部によって撹拌翼33の回転が制御される。
図1に示す洗浄装置4は、上述した洗浄工程に係る処理を行うように構成されている。図1に模式的に図示されているように、洗浄装置4は、例えば洗浄槽40、洗浄槽40内を加熱する加熱部41、洗浄槽40内の温度を制御する不図示の温度制御部を有する。洗浄装置4では、凝固装置3で生成された含水クラムを多量の水と混合して洗浄することにより、最終的に得られるアクリルゴム中の灰分量を効果的に低減することができる。
洗浄装置4の加熱部41は、洗浄槽40内を加熱するよう構成されている。また、洗浄装置4の温度制御部は、温度計で計測された洗浄槽40内の温度を監視しながら加熱部41による加熱動作を制御することで、洗浄槽40内の温度を制御するように構成されている。上述したように、洗浄槽40内の洗浄水の温度は、通常40℃以上、好ましくは40〜100℃、より好ましくは50〜90℃、最も好ましくは60〜80℃の範囲となるよう制御される。
洗浄装置4で洗浄された含水クラムは、脱水工程及び乾燥工程を行うスクリュー型二軸押出乾燥機5に供給される。このとき、洗浄後の含水クラムは、遊離水を分離することが可能な水切り機43を通ってスクリュー型二軸押出乾燥機5に供給されることが好ましい。水切り機43には、例えば金網、スクリーン、電動篩機などを用いることができる。
また、洗浄後の含水クラムがスクリュー型二軸押出乾燥機5に供給される際、含水クラムの温度は40℃以上、更に60℃以上であることが好ましい。例えば、洗浄装置4における水洗に用いられる水の温度を60℃以上(例えば70℃)とすることで、スクリュー型二軸押出乾燥機5に供給された際の含水クラムの温度を60℃以上に維持することができるようにしてもよく、洗浄装置4からスクリュー型二軸押出乾燥機5に搬送する際に含水クラムの温度が40℃以上、好ましくは60℃以上となるよう加温してもよい。これにより、後工程である脱水工程及び乾燥工程を効果的に行うことが可能となり、最終的に得られる乾燥ゴムの含水率を大幅に低減させることが可能となる。
図1に示すスクリュー型二軸押出乾燥機5は、上述した脱水工程及び乾燥工程に係る処理を行うように構成されている。なお、図1には好適な例としてスクリュー型二軸押出乾燥機5が図示されているが、脱水工程に係る処理を行う脱水機として遠心分離機やスクイザーなどを用いてもよく、乾燥工程に係る処理を行う乾燥機として熱風乾燥機、減圧乾燥機、エキスパンダー乾燥機、ニーダー型乾燥機などを用いてもよい。
スクリュー型二軸押出乾燥機5は、脱水工程及び乾燥工程を経て得られる乾燥ゴムを所定の形状に成形して排出するように構成されている。具体的には、スクリュー型二軸押出乾燥機5は、洗浄装置4で洗浄された含水クラムを脱水する脱水機としての機能を有する脱水バレル部53と、含水クラムを乾燥する乾燥機としての機能を有する乾燥バレル部54とを備えており、さらにスクリュー型二軸押出乾燥機5の下流側に含水クラムを成形する成形機能を有するダイ59を備えて構成されている。
以下、図2を参照しながら、スクリュー型二軸押出乾燥機5の構成について説明する。図2は、図1で示したスクリュー型二軸押出乾燥機5として好適な一具体例の構成を示している。このスクリュー型二軸押出乾燥機5により、上述した脱水・乾燥工程を好適に行うことができる。
図2に示すスクリュー型二軸押出乾燥機5は、バレルユニット51内に不図示の一対のスクリューを備えてなる二軸スクリュー型の押出乾燥機である。スクリュー型二軸押出乾燥機5は、バレルユニット51内の一対のスクリューを回転駆動する駆動ユニット50を有する。この構成によりアクリルゴムに高シェアをかけて乾燥ができ好適である。駆動ユニット50は、バレルユニット51の上流端(図2で左端)に取り付けられている。また、スクリュー型二軸押出乾燥機5は、バレルユニット51の下流端(図2で右端)にダイ59を有する。
バレルユニット51は、上流側から下流側(図2で左側から右側)にわたり、供給バレル部52、脱水バレル部53、乾燥バレル部54を有する。
供給バレル部52は、2つの供給バレル、すなわち、第1の供給バレル52a及び第2の供給バレル52bにより構成されている。
また、脱水バレル部53は、3つの脱水バレル、すなわち、第1の脱水バレル53a、第2の脱水バレル53b及び第3の脱水バレル53cにより構成されている。
また、乾燥バレル部54は、8個の乾燥バレル、すなわち、第1の乾燥バレル54a、第2の乾燥バレル54b、第3の乾燥バレル54c、第4の乾燥バレル54d、第5の乾燥バレル54e、第6の乾燥バレル54f、第7の乾燥バレル54g、第8の乾燥バレル54hにより構成されている。
このようにバレルユニット51は、分割された13個の各バレル52a〜52b,53a〜53c,54a〜54hが上流側から下流側にわたり連結されて構成されている。
また、スクリュー型二軸押出乾燥機5は、上記各バレル52a〜52b,53a〜53c,54a〜54hを個別に加熱して、各バレル52a〜52b,53a〜53c,54a〜54h内の含水クラムをそれぞれ所定温度に加熱する不図示の加熱手段を有する。加熱手段は、各バレル52a〜52b,53a〜53c,54a〜54hに対応する数を備える。そのような加熱手段としては、例えば、各バレル52a〜52b,53a〜53c,54a〜54h内に形成されたスチーム流通ジャケットにスチーム供給手段から高温スチームを供給するなどの構成が採用されるが、これに限定はされない。また、スクリュー型二軸押出乾燥機5は、各バレル52a〜52b,53a〜53c,54a〜54hに対応する各加熱手段の設定温度を制御する不図示の温度制御手段を有する。
なお、バレルユニット51における各バレル部52、53、54をそれぞれ構成する供給バレル、脱水バレル及び乾燥バレルの設置数は、図2に示す態様に限定されるものではなく、乾燥処理するアクリルゴムの含水クラムの含水量などに応じた数に設定することができる。
例えば、供給バレル部52の供給バレルの設置数は例えば1〜3個とされる。また、脱水バレル部53の脱水バレルの設置数は、例えば2〜10個が好ましく、3〜6個とすると、粘着性のアクリルゴムの含水クラムの脱水を効率よく行うことができるのでより好ましい。また、乾燥バレル部54の乾燥バレルの設置数は、例えば2〜10個が好ましく、3〜8個であるとより好ましい。
バレルユニット51内の一対のスクリューは、駆動ユニット50に格納されたモータなどの駆動手段によって回転駆動される。一対のスクリューはバレルユニット51内の上流側から下流側にわたって延在しており、回転駆動されることで、供給バレル部52に供給された含水クラムを混合しながら下流側に搬送することができるようになっている。一対のスクリューとしては、互いに山部と谷部とが噛み合わされる状態とされた二軸噛合型であることが好ましく、これにより、含水クラムの脱水効率及び乾燥効率を高めることができる。
また、一対のスクリューの回転方向は、同方向でも異方向でもよいが、セルフクリーニングの性能面からは同方向に回転する形式のものが好ましい。一対のスクリューのスクリュー形状としては、特に限定されず、各バレル部52、53、54において必要とされる形状であればよく、特に限定されない。
供給バレル部52は、含水クラムをバレルユニット51内に供給する領域である。供給バレル部52の第1の供給バレル52aは、バレルユニット51内に含水クラムを供給するフィード口55を有する。
脱水バレル部53は、含水クラムから、凝固剤などが含まれる液体(セラム水)を分離し排出する領域である。
脱水バレル部53を構成する第1〜第3の脱水バレル53a〜53cは、含水クラムの水分を外部に排出する脱水スリット56a、56b、56cをそれぞれ有する。各脱水スリット56a、56b、56cは、各脱水バレル53a〜53cにそれぞれ複数形成されている。
各脱水スリット56a、56b、56cのスリット幅すなわち目開きは、使用条件に応じて適宜選択されればよく、通常で0.01〜5mmとされ、含水クラムの損出が少なく、且つ含水クラムの脱水が効率的にできる点から、好ましくは0.1〜1mmであり、0.2〜0.6mmであればより好ましい。
脱水バレル部53の各脱水バレル53a〜53cにおける含水クラムからの水分の除去は、それぞれの脱水スリット56a、56b、56cから液状で除去する場合と、蒸気状で除去する場合との二通りがある。本実施形態の脱水バレル部53においては、水分を液状で除去する場合を排水と定義し、蒸気状で除去する場合を排蒸気と定義して区別する。
脱水バレル部53においては、排水及び排蒸気を組み合わせることで、粘着性アクリルゴムの含水率を低下させることが効率よくできるので好適である。脱水バレル部53では、第1〜第3の脱水バレル53a〜53cのうち、どの脱水バレルで排水又は排蒸気を行うかは、使用目的に応じて適宜に設定すればよいが、通常製造されるアクリルゴム中の灰分量を少なくする場合は、排水を行う脱水バレルを多くするとよい。その場合、例えば図2に示すように、上流側の第1及び第2の脱水バレル53a、53bで排水を行い、下流側の第3の脱水バレル53cで排蒸気を行う。また、例えば脱水バレル部53が4つの脱水バレルを有する場合には、例えば上流側の3つの脱水バレルで排水を行い、下流側の1つの脱水バレルで排蒸気を行うといった態様が考えられる。一方、含水量を低減する場合には、排蒸気を行う脱水バレルを多くするとよい。
脱水バレル部53の設定温度は、上述の脱水・乾燥工程で述べたように、通常60〜150℃、好ましくは70〜140℃、より好ましくは80〜130℃の範囲であり、排水状態で脱水する脱水バレルの設定温度は、通常60〜120℃、好ましくは70〜110℃、より好ましくは80〜100℃であり、排蒸気状態で脱水する脱水バレルの設定温度は、通常100〜150℃、好ましくは105〜140℃、より好ましくは110〜130℃の範囲である。
乾燥バレル部54は、脱水後の含水クラムを減圧下で乾燥させる領域である。乾燥バレル部54を構成する第1〜第8の乾燥バレル54a〜54hのうち、第2の乾燥バレル54b、第4の乾燥バレル54d、第6の乾燥バレル54f及び第8の乾燥バレル54hは、脱気のためのベント口58a、58b、58c、58dをそれぞれ有する。各ベント口58a、58b、58c、58dには、不図示のベント配管がそれぞれ接続されている。
各ベント配管の末端には不図示の真空ポンプがそれぞれ接続されており、それら真空ポンプの作動により、乾燥バレル部54内が所定圧力に減圧されるようになっている。スクリュー型押出機5は、それら真空ポンプの作動を制御して乾燥バレル部54内の減圧度を制御する図示せぬ圧力制御手段を有する。
乾燥バレル部54での減圧度は適宜選択されればよいが、上述したように、通常1〜50kPa、好ましくは2〜30kPa、より好ましくは3〜20kPaに設定される。
また、乾燥バレル部54内の設定温度は適宜選択されればよいが、上述したように、通常100〜250℃、好ましくは110〜200℃、より好ましくは120〜180℃に設定される。
乾燥バレル部54を構成する各乾燥バレル54a〜54hにおいては、全ての乾燥バレル54a〜54h内の設定温度を近似した値にしてもよいし、異ならせてもよいが、上流側(脱水バレル部53側)の温度よりも下流側(ダイ59側)の温度の方を高温に設定すると、乾燥効率が向上するので好ましい。
ダイ59は、バレルユニット51の下流端に配置される金型であり、所定のノズル形状の吐出口を有する。乾燥バレル部54で乾燥処理されたアクリルゴムは、ダイ59の吐出口を通過することで、所定のノズル形状に応じた形状に押出成形される。ダイ59を通過するアクリルゴムは、ダイ59のノズル形状に応じて、粒状、柱状、丸棒状、シート状など、種々の形状に成形できるが、本発明においてはシート状に成型される。スクリューとダイ59との間には、ブレーカープレートや金網を設けてもよいし、設けなくてもよい。
洗浄工程を経て得られたアクリルゴムの含水クラムは、フィード口55から供給バレル部52に供給される。供給バレル部52に供給された含水クラムは、バレルユニット51内の一対のスクリューの回転により、供給バレル部52から脱水バレル部53に送られる。脱水バレル部53では、前述したように第1〜第3の脱水バレル53a〜53cにそれぞれ設けられた脱水スリット56a、56b、56cから、含水クラムに含まれる水分の排水や排蒸気が行われて、含水クラムが脱水処理される。
脱水バレル部53で脱水された含水クラムは、バレルユニット51内の一対のスクリューの回転により乾燥バレル部54に送られる。乾燥バレル部54に送られた含水クラムは可塑化混合されて融体となり、発熱して昇温しながら下流側へ運ばれる。そして、このアクリルゴムの融体中に含まれる水分が気化し、その水分(蒸気)が各ベント口58a、58b、58c、58dにそれぞれ接続された不図示のベント配管を通じて外部へ排出される。
上記のように乾燥バレル部54を通過することで含水クラムは乾燥処理されてアクリルゴムの融体となり、そのアクリルゴムはバレルユニット51内の一対のスクリューの回転によりダイ59に供給されダイ59から押し出される。
ここで、本実施形態に係るスクリュー型二軸押出乾燥機5の操業条件の一例を挙げる。
バレルユニット51内の一対のスクリューの回転数(N)は、諸条件に応じて適宜選択されればよく、通常で10〜1000rpmとされ、アクリルゴムの含水量とメチルエチルケトン不溶解分量を効率よく低減できる点から、好ましくは50〜750rpm、より好ましくは100〜500rpmであり、120〜300rpmが最も好ましい。
また、アクリルゴムの押出量(Q)は、格別限定されないが、通常で100〜1500kg/hrとされ、好ましくは300〜1200kg/hr、より好ましくは400〜1000kg/hrであり、500〜800kg/hrが最も好ましい。
アクリルゴムの押出量(Q)とスクリューの回転数(N)との比(Q/N)は、格別限定されないが、通常で1〜20とされ、好ましくは2〜10、より好ましくは3〜8であり、4〜6が特に好ましい。
バレルユニット51内の最大トルクは、格別限定されるものではないが、格別な限定はないが、通常30〜100N・m、好ましくは35〜75N・m、より好ましくは40〜60N・mの範囲である。
バレルユニット51内の比動力は、格別な限定はないが、通常0.1〜0.25[kw・h/kg]以上、好ましくは0.13〜0.23[kw・h/kg]、より好ましくは0.15〜0.2[kw・h/kg]の範囲である。
バレルユニット51内の比電力は、格別な限定はないが、通常0.2〜0.6[A・h/kg]以上、好ましくは0.25〜0.55[A・h/kg]、より好ましくは0.35〜0.5[A・h/kg]の範囲である。
バレルユニット51内の剪断速度は、格別な限定はないが、通常40〜150[1/s]以上、好ましくは45〜125[1/s]、より好ましくは50〜100[1/s]の範囲である。
バレルユニット51内のアクリルゴムの剪断粘度は、格別な限定はないが、通常4000〜8000[Pa・s]以下、好ましくは4500〜7500[Pa・s]、より好ましくは5000〜7000[Pa・s]の範囲である。
図1に示す冷却装置6は、脱水機による脱水工程及び乾燥機による乾燥工程を経て得られた乾燥ゴムを冷却するように構成されている。冷却装置6による冷却方式としては、送風あるいは冷房下での空冷方式、水を吹き付ける水かけ方式、水中に浸漬する浸漬方式などを含む様々な方式を採用することが可能である。また、室温下に放置することで、乾燥ゴムを冷却するようにしてもよい。
上述したように、ダイ59のノズル形状に応じて、スクリュー型押出機5から排出された乾燥ゴムは、粒状、柱状、丸棒状、シート状など、種々の形状に押出成形されるが、本発明においてはシート状に成型される。以下、図3を参照しながら、冷却装置6の一例として、シート状に成形されたシート状乾燥ゴム10を冷却する搬送式冷却装置60について説明する。
図3は、図1で示した冷却装置6として好適な搬送式冷却装置60の構成を示している。図3に示す搬送式冷却装置60は、スクリュー型押出機5のダイ59の吐出口から排出されたシート状乾燥ゴム10を搬送しながら、空冷方式によって冷却するよう構成されている。この搬送式冷却装置60を用いることで、スクリュー型押出機5から排出されたシート状乾燥ゴムを好適に冷却することができる。
図3に示す搬送式冷却装置60は、例えば、図2に示したスクリュー型押出機5のダイ59に直結するか、又はダイ59の近傍に設置して使用される。
搬送式冷却装置60は、スクリュー型押出機5のダイ59から排出されるシート状乾燥ゴム10を図3中矢印A方向に搬送するコンベア61と、コンベア61上のシート状乾燥ゴム10に冷風を吹き付ける冷却手段65とを有する。
コンベア61は、ローラ62、63と、これらローラ62、63に巻架され、シート状乾燥ゴム10がその上に載せられるコンベアベルト64とを有する。コンベア61は、コンベアベルト64上にスクリュー型押出機5のダイ59から排出されたシート状乾燥ゴム10を連続して下流側(図3で右側)に搬送するよう構成されている。
冷却手段65は、特に限定されないが、例えば、不図示の冷却風発生手段から送られてくる冷却風をコンベアベルト64上のシート状乾燥ゴム10の表面に吹き付けることができるような構成を有するものなどが挙げられる。
搬送式冷却装置60のコンベア61及び冷却手段65の長さ(冷却風の吹き付けが可能な部分の長さ)L1は、特に限定されないが、例えば10〜100mであり、好ましくは20〜50mである。また、搬送式冷却装置60におけるシート状乾燥ゴム10の搬送速度は、コンベア61及び冷却手段65の長さL1、スクリュー型押出機5のダイ59から排出されるシート状乾燥ゴム10の排出速度、目標とする冷却速度や冷却時間などに応じて適宜調整すればよいが、例えば10〜100m/hrであり、より好ましくは15〜70m/hrである。
図3に示す搬送式冷却装置60によれば、スクリュー型押出機5のダイ59から排出されるシート状乾燥ゴム10をコンベア61にて搬送しつつ、シート状乾燥ゴム10に対し冷却手段65から冷却風を吹き付けることにより、シート状乾燥ゴム10の冷却が行われる。
なお、搬送式冷却装置60としては、図3に示すような1つのコンベア61及び1つの冷却手段65を備える構成に特に限定されず、2つ以上のコンベア61と、これに対応する2つ以上の冷却手段65とを備えるような構成としてもよい。その場合には、2つ以上のコンベア61及び冷却手段65のそれぞれの総合長さを上記範囲とすればよい。
図1に示すベール化装置7は、スクリュー型押出機5から押出成形され、さらに冷却装置6で冷却された乾燥ゴムを加工して、一塊のブロックであるベールを製造するよう構成されている。上述したように、スクリュー型押出機5は、乾燥ゴムを粒状、柱状、丸棒状、シート状など、種々の形状に押出成形することが可能であり、ベール化装置7は、このように種々の形状に成形された乾燥ゴムをベール化するように構成されている。ベール化装置7によって製造されるベール状アクリルゴムの重さや形状などは特に限定されないが、例えば約20kgの略直方体形状のベール状アクリルゴムが製造される。
ベール化装置7は、例えばベーラーを備え、冷却された乾燥ゴムをベーラーにより圧縮することでベール状アクリルゴムを製造してもよい。
また、スクリュー型押出機5によってシート状乾燥ゴム10を製造した場合には、シート状乾燥ゴム10を積層したベール状アクリルゴムを製造してもよい。例えば、図3に示す搬送式冷却装置60の下流側に配置されるベール化装置7に、シート状乾燥ゴム10を切断するカッティング機構が設けられていてもよい。具体的には、ベール化装置7のカッティング機構は、例えば、冷却されたシート状乾燥ゴム10を連続的に所定の間隔で切断して、所定の大きさのカットシート状乾燥ゴム16に加工するように構成されている。カッティング機構により所定の大きさに切断されたカットシート状乾燥ゴム16を複数枚積層することで、カットシート状乾燥ゴム16を積層したベール状アクリルゴムを製造することができる。
カットシート状乾燥ゴム16を積層したベール状アクリルゴムを製造する場合には、例えば40℃以上のカットシート状乾燥ゴム16を積層することが好ましい。40℃以上のカットシート状乾燥ゴム16を積層することで、更なる冷却及び自重による圧縮によって良好な空気抜けが実現される。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。各例中の「部」、「%」及び「比」は、特に断りのない限り、重量基準である。なお、各種の物性などについては、以下の方法に従って評価した。
[単量体組成]
アクリルゴムにおける単量体組成に関して、アクリルゴム中の各単量体単位の単量体構成はH−NMRで確認し、アクリルゴム中に反応性基の活性が残存していること及びその各反応性基含有量を下記方法で確認した。また、各単量体単位のアクリルゴム中の含有割合は、各単量体の重合反応に用いた使用量及び重合転化率から算出した。具体的には、重合反応は乳化重合反応でその重合転化率は、未反応の単量体がいずれも確認できない略100%であったことから、ゴム中の各単量体単位の含有割合は各単量体の使用量と同一とした。
[反応性基含有量]
アクリルゴム中の反応性基の含有量は、下記方法により測定した。
(1)カルボキシル基量は、試料(アクリルゴム)をアセトンに溶解し水酸化カリウム溶液で電位差滴定を行うことにより算出した。
(2)エポキシ基量は、試料をメチルエチルケトンに溶解し、それに規定量の塩酸を加えてエポキシ基と反応させ、残留した塩酸量を水酸化カリウムで滴定することにより算出した。
(3)塩素量は、試料を燃焼フラスコ中で完全燃焼させ、発生する塩素を水に吸収させ硝酸銀で滴定することにより算出した。
[灰分量]
アクリルゴム中に含まれる灰分量(%)は、JIS K6228 A法に準じて測定した。
[灰分成分量]
アクリルゴム灰分中の各成分量(ppm)は、上記の灰分量測定の際に採取した灰分をΦ20mmの滴定濾紙に圧着し、ZSX Primus(Rigaku社製)を用いてXRF測定した。
[分子量及び分子量分布]
アクリルゴムの分子量(Mw、Mn、Mz)及び分子量分布(Mw/Mn及びMz/Mw)は、溶媒としてジメチルホルムアミドに塩化リチウムが0.05mol/L、37%濃塩酸が0.01%の濃度でそれぞれ添加された溶液を用いたGPC−MALS法により測定される絶対分子量及び絶対分子量分布である。
本装置である、ゲル浸透クロマトグラフィー多角度光散乱光度計の構成は、ポンプ(LC−20ADOpt 島津製作所社製)と、検出器である示差屈折率計(Optilab rEX Wyatt Technology社製)及び多角度光散乱検出器(DAWN HELEOS Wyatt Technology社製)からなる。具体的には、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置に多角度レーザ光散乱光度計(MALS)及び示差屈折率計(RI)を組み入れ、GPC装置でサイズ分別された分子鎖溶液の光散乱強度及び屈折率差を、溶出時間を追って測定することにより、溶質の分子量とその含有率を順次計算し求めた。GPC層装置による測定条件及び測定方法は、以下のとおりである。
カラム:TSKgel α−M 2本(φ7.8mm×30cm、東ソー社製)
カラム温度:40℃
流速:0.8ml/mm
試料調整:試料(アクリルゴム)10mgに溶媒5mlを加え、室温で緩やかに撹拌した(溶解を視認)。その後0.5μmフィルターを用いてろ過を行った。
[ガラス転移温度(Tg)]
アクリルゴムのガラス転移温度(Tg)は、示差走査型熱量計(DSC、製品名「X−DSC7000」、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて測定した。
[メチルエチルケトン不溶解分量(ゲル量)]
アクリルゴムのメチルエチルケトン不溶解分量(%)は、メチルエチルケトンに対する不溶解分(ゲル)の量であり、以下の方法により求めた。
アクリルゴム0.2g程度を秤量(Xg)し、100mlメチルエチルケトンに浸漬させて室温で24時間放置後、80メッシュ金網を用いてメチルエチルケトンに対する不溶解分を濾別した濾液、すなわち、メチルエチルケトンに溶解するゴム成分のみが溶解した濾液を蒸発乾燥固化させた乾燥固形分(Yg)を秤量し、下式により算出した。
メチルエチルケトン不溶解分量(%)=100×(X−Y)/X
[比重]
アクリルゴムの比重は、JIS K6268(1998年):架橋ゴム−密度測定のA法に準じて測定した。
[含水量]
含水量(%)は、JIS K6238−1:オーブンA(揮発分測定)法に準じて測定した。
[pH]
pHは、6g(±0.05g)のアクリルゴムをテトラヒドロフラン100gで溶解後、蒸留水2.0mlを添加し完全に溶解したことを確認後にpH電極で測定した。
[複素粘性率]
複素粘性率ηは、動的粘弾性測定装置「ラバープロセスアナライザRPA−2000」(アルファテクノロジー社製)を用いて、歪み473%、1Hzにて温度分散(40〜120℃)を測定し、各温度における複素粘性率ηを求めた。ここでは、上述の動的粘弾性のうち60℃における動的粘弾性を複素粘性率η(60℃)とし、100℃における動的粘弾性を複素粘性率η(100℃)として、その比率η(100℃)/η(60℃)の値を算出した。
[ムーニー粘度(ML1+4,100℃)]
ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、JIS K6300の未架橋ゴム物理試験法に従って測定した。
[架橋性]
ゴム試料の架橋性は、二次架橋を2時間行ったゴム架橋物の破断強度と4時間行ったゴム架橋物の破断強度との変化率((4時間架橋ゴム架橋物破断強度/2時間架橋ゴム架橋物破断強度)×100)を算出し、下記基準で判断した。
◎:破断強度変化率が10%未満のもの
×:破断強度変化率が10%以上のもの
[ロール加工性]
ゴム試料のロール加工性は、ゴム試料をロール練りした時のロール巻き付け性とゴムの状態を観察し、以下の基準で評価した。
◎:混錬が容易で、ロールに巻き付き易くロールからの離れがみられず、混錬後のゴム組成物の表面が平滑であるもの
〇:混錬が容易で、ロールに巻き付き易くロールからの離れが見られず、且つ混錬後のゴム組成物の表面の一部にわずかに凸凹が見られる
□:混錬が容易で、ロール巻き付き性に優れ、且つ混錬後のゴム組成物の表面が多少凸凹しているもの
△:混錬が容易で、ロール巻き付き性に多少劣り、混錬後のゴム組成物の表面が多少あれているもの
×:混錬に負荷がかかりロール巻き付き性もわるいもの
[バンバリー加工性1]
ゴム試料のバンバリー加工性1は、ゴム試料を50℃に加温されたバンバリーミキサーに投入し1分間素練り後、表1記載のゴム組成物配合の配合剤Aを投入して1段目のゴム混合物が一体化して最大トルク値を示すまでの時間、すなわちBIT(Black Incorporation Time)を測定し、比較例1を100とする指数で評価した(指数が小さいほど加工性に優れる)。
[バンバリー加工性2]
ゴム試料のバンバリー加工性2は、ゴム試料を50℃に加温されたバンバリーミキサーに投入し1分間素練り後、表1記載のゴム組成物配合の配合剤Aを投入して1段目のゴム混合物が一体化して最大トルク値を示すまでの時間、すなわちBIT(Black Incorporation Time)を測定し、比較例2を100とする指数で評価した(指数が小さいほど加工性に優れる)。
[保存安定性評価1]
ゴム試料の保存安定性1は、ゴム試料のゴム混合物を45℃×80%RHの恒温恒湿度槽7日間投入し、試験前後のゴム試料をゴム組成物としてゴム加硫試験機(ムービングダイレオメータMDR;アルファテクノロジー社製)を用いて180℃で10分間の架橋試験を行い、最大トルク(MH)と最小トルク(ML)との差(MH−ML)である架橋密度の変化率を算出し、比較例1を100とする指数で評価した(指数は小さいほど保存安定性に優れる)。
[保存安定性評価2]
ゴム試料の保存安定性2は、ゴム試料を45℃×80%RHの恒温恒湿度槽(ESPEC社製SH−222)に投入し、7日間試験前後の含水量の変化率を算出し、比較例2を100とする指数で評価した(指数が小さいほど保存安定性に優れる)。
[耐水性評価1]
ゴム試料の耐水性1は、JIS K6258に準拠してゴム試料の架橋物を温度85℃の蒸留水中に100時間浸漬させて浸漬試験を行い、浸漬前後の体積変化率を下記の式に従って算出し、比較例1を100とする指数で評価した(指数が小さいほど耐水性に優れる)。
浸漬前後の体積変化率(%)=((浸漬後の試験片体積−浸漬前の試験片体積)/浸漬前の試験片体積)×100
[耐水性評価2]
ゴム試料の耐水性2は、上記同様に浸潤試験及び浸潤前後の体積変化率を算出し、比較例2を100とする指数で評価した(指数が小さいほど耐水性に優れる)。
[耐圧縮永久歪み特性]
ゴム試料の耐圧縮永久歪み特性は、JIS K6262に従いゴム試料のゴム架橋物を25%圧縮させた状態において、175℃で90時間置いた後の圧縮液旧歪率を測定して下記基準で評価した。
◎:圧縮永久歪率が15%未満である
×:圧縮永久歪率が15%以上である
[耐熱性評価]
ゴム試料の耐熱性評価は、ゴム試料の架橋物を175℃で250時間静置する加熱試験を行い、試験前後のゴム架橋物の引張強度をJIS K6251、硬さをJIS K6253に準じて測定し、切断伸びの変化及び硬さの変化を下記の基準で評価した。
切断伸びの変化は、破断伸び変化率が20%以下である場合は「◎」とし、破断伸び変化率が20%を超える場合は「×」として評価した。硬さの変化は、硬さ変化率が20ポイント以下の場合は「◎」とし、硬さ変化率が20ポイントを超えた場合は「×」として評価した。
[常態物性評価]
ゴム試料の常態物性は、JIS K6251に従いゴム試料のゴム架橋物を破断強度、100%引張応力及び破断伸びを測定し以下の基準で評価した。
(1)破断強度は、10MPa以上を◎、10MPa未満を×として評価した。
(2)100%引張応力は、5MPa以上を◎、5MPa未満を×として評価した。
(3)破断伸びは、150%以上を◎、150%未満を×として評価した。
[実施例1]
ホモミキサーを備えた混合容器に、純水46部、単量体成分としてアクリル酸エチル63.25部、アクリル酸n−ブチル17部、アクリル酸メトキシエチル7部、メタクリル酸ブチル11部及びフマル酸モノエチル1.75部、乳化剤としてオクチルオキシジオキシエチレンリン酸エステルナトリウム塩1.8部を仕込み撹拌して単量体エマルジョンを得た。
温度計、撹拌装置を備えた重合反応槽に、純水170部及び上記で得られた単量体エマルジョン3部を投入し、窒素気流下で12℃まで冷却した。次いで、重合反応槽中に、単量体エマルジョンの残部、硫酸第一鉄0.00033部、アスコルビン酸ナトリウム0.264部、及び過硫酸カリウム0.22部を3時間かけて連続的に滴下した。その後、重合反応槽内の温度を23℃に保った状態にて反応を継続し、重合転化率が略100%に達したことを確認し、重合停止剤としてのハイドロキノンを添加して重合反応を停止し、乳化重合液を得た。
次いで、温度計と撹拌装置を備えた凝固槽で、撹拌装置の撹拌翼回転数600回転(周速3.1m/s)で激しく撹拌し且つ80℃に加温した2%硫酸マグネシウム水溶液(凝固剤として硫酸マグネシウムを用いた凝固液)350部中に、上記得られた乳化重合液を80℃に加温して連続的に添加して重合体を凝固させ、凝固物であるアクリルゴムのクラムと水を含む凝固スラリーを得た。得られたスラリーからクラムを濾別しつつ凝固層から水分を排出して含水クラムを得た。
濾別された含水クラムの残った凝固槽内に194部の温水(70℃)を添加して15分間撹拌して含水クラムを洗浄した後に水分を排出させ、再び194部の温水(70℃)を添加して15分間撹拌して含水クラムの洗浄を行った(合計洗浄回数は2回)。洗浄後の含水クラム(クラム温度65℃)をスクリュー型押出機に供給し、脱水・乾燥・成形して幅300mmで厚さ10mmのシート状乾燥ゴム(シート状アクリルゴム成形体)を押し出した。次いで、スクリュー型押出機に直結して設けた搬送式冷却装置を用いて、シート状乾燥ゴムを冷却温度200℃/hrで冷却した。
なお、本実施例1で用いたスクリュー型押出機は、1つの供給バレル、3つの脱水バレル(第1〜第3の脱水バレル)、5つの乾燥バレル(第1〜第5の乾燥バレル)で構成されている。第1の脱水バレルは排水を行い、第2及び第3の脱水バレルは排蒸気を行うようになっている。スクリュー型押出機の操業条件は、以下のとおりとした。
含水量
・第1の脱水バレルでの排水後の含水クラムの含水量:20%
・第3の脱水バレルでの排蒸気後の含水クラムの含水量:10%
・第5の乾燥バレルでの乾燥後の含水クラムの含水量:0.4%
ゴム温度
・供給バレルに供給する含水クラムの温度:65℃
・スクリュー型押出機から排出されるゴムの温度:140℃
各バレルの設定温度:
・第1の脱水バレル:100℃
・第2の脱水バレル:120℃
・第3の脱水バレル:120℃
・第1の乾燥バレル:120℃
・第2の乾燥バレル:130℃
・第3の乾燥バレル:140℃
・第4の乾燥バレル:160℃
・第5の乾燥バレル:180℃
運転条件:
・スクリューの直径(D):132mm
・スクリューの全長(L):4620mm
・L/D:35
・スクリューの回転数:135rpm
・乾燥バレルの減圧度:10kPa
・ダイからのゴムの押出量:700kg/hr
・ダイにおける樹脂圧:2MPa
スクリュー型押出機から押し出されたシート状乾燥ゴムを、50℃まで冷却してからカッターで切断し、シート状乾燥ゴムを得た。
次いで、シート状乾燥ゴムの温度が40℃以下にならないうちに、切断後の複数枚のシート状乾燥ゴムを20部(20kg)になるように積層してベール状アクリルゴム(A)を得た。得られたアクリルゴム(A)の反応性基含有量、ゲル量、比重、灰分量、ガラス転移温度(Tg)、pH、含水量、重量平均分子量、及びムーニー粘度(ML1+4,100℃)を測定してそれらの結果を表2に示した。
次いで、アクリルゴム(A)100部と表1に記載した「配合1」の配合剤Aをバンバリーミキサーに投入し50℃で5分間混合した(1段目混合)。このときのBITを測定してアクリルゴム(A)のバンバリー加工性1を評価しその結果を表2に示した。
さらに、1段目混合で得られた混合物それぞれを、50℃のロールに移して、「配合1」の配合剤Bを配合して混合(2段目混合)し、ゴム組成物を得た。保存安定性試験前後のアクリルゴム(A)を用いたゴム組成物の架橋試験を行い架橋密度(MH−ML)の変化を測定しその結果(保存安定性1)を表2に示した。
Figure 2021191833
こうして得られたゴム組成物を、縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型に入れ、プレス圧10MPaで加圧しながら180℃で10分間プレスすることにより一次架橋し、得られた一次架橋物を、ギヤー式オーブンにて、さらに180℃、2時間の条件で加熱して二次架橋させることにより、シート状のゴム架橋物を得た。そして、得られたシート状のゴム架橋物から3cm×2cm×0.2cmの試験片を切り取って耐水性評価1、耐熱性評価、常態物性評価を行い、その結果を表2に示した。
[実施例2]
単量体成分をアクリル酸エチル4.5部、アクリル酸n−ブチル53.5部、アクリル酸メトキシエチル29.5部、メタクリル酸ヘキシル11部及びフマル酸モノエチル1.5部に変更する以外は実施例1と同様に行い、アクリルゴム(B)を得て各特性(配合剤は「配合2」に変更した)を評価した。それらの結果を表2に示した。
[実施例3]
単量体成分をアクリル酸エチル48.6部、アクリル酸n−ブチル39部、メタクリル酸ブチル11部及びフマル酸モノエチル1.4部に変更する以外は実施例2と同様に行い、アクリルゴム(C)を得て各特性を評価した。それらの結果を表2に示した。
[実施例4]
単量体成分をアクリル酸エチル42.3部、アクリル酸n−ブチル45.3部、メタクリル酸ブチル11部、及びフマル酸モノエチル1.4部に変更する以外は実施例2と同様に行い、アクリルゴム(D)を得て各特性を評価した。それらの結果を表2に示した。
[実施例5]
含水クラムのスクリュー型押出機での脱水後の含水量(排蒸気を行う予備乾燥前までに行われる排水後の含水クラムの含水量)を30%までとする以外は実施例4と同様に行い、アクリルゴム(E)を得て各特性を評価した。それらの結果を表2に示した。
[比較例1]
温度計、撹拌装置を備えた重合反応槽に、窒素気流下で、純水200部、単量体成分としてアクリル酸エチル42.3部、アクリル酸n−ブチル45.3部、メタクリル酸ブチル11部及びフマル酸モノエチル1.4部、乳化剤としてオクチルオキシジオキシエチレンリン酸エステル2.5部とポリオキシエチレンドデシルエーテル0.5部を投入し、過硫酸カリウム0.1部、アスコルビン酸ナトリウム0.1部を仕込み、次いで、過硫酸カリウム0.1部とアスコルビン酸ナトリウム0.1部を添加して反応を開始した。常温で反応を継続し、重合転化率が略100%に達したことを確認し、重合停止剤としてのハイドロキノンを加え重合反応を停止し、乳化重合液を得た。
次いで、撹拌装置の撹拌翼回転数100回転(周速0.5m/s)で撹拌している乳化重合液に0.4%硫酸ナトリウム水溶液(凝固剤として硫酸ナトリウムを用いた凝固液)を添加して重合体を凝固させ、凝固物であるアクリルゴムのクラムと水を含む凝固スラリーを得た。得られたスラリーからクラムを濾別しつつ凝固層から水分を排出して含水クラムを得た。
濾別された含水クラムの残った凝固槽内に194部の25℃の水を添加して15分間撹拌して含水クラムを洗浄した後に水分を排出させ含水クラムの洗浄を行った(洗浄回数は1回)。洗浄後の含水クラムを熱風乾燥機で乾燥して含水量0.4重量%のクラム状のアクリルゴム(F)を得た。このアクリルゴム(F)について、反応性基含有量、ゲル量、比重、灰分量、ガラス転移温度(Tg)、pH、含水量、重量平均分子量、及びムーニー粘度(ML1+4,100℃)を測定し、その結果を表2に示した。
次いで、アクリルゴム(F)100部と表1に記載した「配合2」の配合剤Aをバンバリーミキサーに投入し50℃で5分間混合した(1段目混合)。このときのBITを測定してアクリルゴム(F)のバンバリー加工性1を評価しその結果を表2に示した。さらに、1段目混合で得られた混合物それぞれを、50℃のロールに移して、「配合2」の配合剤Bを配合して混合(2段目混合)し、ゴム組成物を得た。保存安定性試験前後のアクリルゴム(F)を用いたゴム組成物の架橋試験を行い架橋密度(MH−ML)の変化を測定しその結果(保存安定性1)を表2に示した。
得られたゴム組成物を、縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型に入れ、プレス圧10MPaで加圧しながら180℃で10分間プレスすることにより一次架橋し、得られた一次架橋物を、ギヤー式オーブンにて、さらに180℃、2時間の条件で加熱して二次架橋させることにより、シート状のゴム架橋物を得た。そして、得られたシート状のゴム架橋物から3cm×2cm×0.2cmの試験片を切り取って耐水性評価1及び耐熱性評価、常態物性評価を行い、その結果を表2に示した。
Figure 2021191833
表2から、本発明の反応性基を有し且つ反応性基含有量が0.001〜5重量%のアクリルゴムからなり、メチルエチルケトン不溶解分のゲル量が50重量%以下、pHが6以下、灰分量が0.4重量%以下で灰分中のマグネシウム、リン、カルシウム、ナトリウム及びイオウの合計量が50重量%以上、及び、比重が0.8以上であるアクリルゴム(A)〜(E)は、バンバリー加工性、耐水性及び保存安定性に優れ、しかも耐熱性や強度特性含めた常態物性にも優れていることがわかる(実施例1〜5)。
表2から、実施例及び比較例のアクリルゴム(A)〜(F)は、カルボキシル基を有し重量平均分子量(Mw)が大きめであること、及びアクリル酸エステル由来の結合単位(A1)とメタクリル酸エステル由来の結合単位(A2)と反応性基含有単量体由来の結合単位(B)を含んでいることから耐熱性や強度特性含めた常態物性が格段に優れていることがわかる(実施例1〜5及び比較例1)。しかしながら、アクリルゴム(F)は、バンバリー加工性、耐水性及び保存安定性に劣っていることがわかる(比較例1)。
表2からは、アクリルゴムのバンバリーミキサーにおける加工性(BIT)は、アクリルゴム中のメチルエチルケトン不溶解分のゲル量と相関しており、そのゲル量を低減させるためには、第5乾燥バレル部で実質的に水分を含まない状態(含水量が1重量%未満)でアクリルゴムを溶融回転させることが重要であることがわかる。一方、スクリュー型押出機内で長時間アクリルゴムを滞留させるのは分子切断や焼けなどが起こりアクリルゴムの強度特性を含む常態物性、耐熱性、保存安定性などの特性を劣化させ好ましくなく、表2からわかるように、早期に乾燥バレル部で実質的に水分を含まない状態にさせるためには脱水バレル部の脱水を如何に効率よく行うかが課題で、今回は各バレル部の温度や減圧度を調整することでクリアしている。また、乾燥バレル部で実質的に水分を含まない状態で溶融回転されるアクリルゴムの劣化を防ぎ且つアクリルゴムの含水量とゲル量を低減するために、スクリュー型押出機の押出量Q又は押出量Qと回転数Nとの比(Q/N)を特定の範囲内にすることが重要であった。
表2から、また、本発明のアクリルゴム(A)〜(E)は、耐水性が格段に優れていることがわかる(実施例1〜5と比較例1との比較)。また、表2から、乳化重合液を激しく撹拌している濃い目の凝固液に添加して凝固反応を行うこと、洗浄で温水を使用すること、及び脱水(含水クラムから水分を絞り出すこと)を行うことで耐水性が格段に改善されていることがわかる(実施例1〜5と比較例1との比較)。特に、表2には示していないが、乳化重合液を濃い目の激しく撹拌している凝固液に添加して凝固反応を行うことで粒径が710μm〜4.75mmの小さめな範囲に集束した含水クラムを生成することができ、温水での洗浄効率及び脱水時の除去効率が格段に向上しアクリルゴム中の灰分量を格段に低減し耐水性を改善している(実施例1〜5と比較例1との比較)。
表2からは、更に、本発明のアクリルゴム(A)〜(E)は、比重が大きく空気の含まないアクリルゴム成形体になっているために強度特性と加工性と保存安定性が高度に改善されていることがわかる(実施例1〜5と比較例1との比較)。アクリルゴム(F)は、生成した含水クラムを洗浄後に直接乾燥して得ているが、カルボキシル基等の反応性基を有するアクリルゴムは粘着性で且つ空気を抜きづらく比重が小さくなっているが、本発明のアクリルゴム(A)〜(E)は、スクリュー型二軸押出乾燥機で減圧化で乾燥しダイ部の樹脂圧を調整し殆ど空気を含まないシート状乾燥ゴムを押し出し、且つ、押し出したシート状乾燥ゴムの切断及び積層を特定温度で行うことで空気の巻き込みを排除し且つ空気が抜けやすくして殆ど空気を含まない(比重の大きな)状態で得られているので保存安定性が格段に優れていることがわかる(実施例1〜5と比較例1)。
[実施例6]
表4−1に示すように、ホモミキサーを備えた混合容器に、純水46部、単量体成分としてアクリル酸エチル4.5部、アクリル酸n−ブチル64.5部、アクリル酸メトキシエチル29.5部及びフマル酸モノn−ブチル1.5部、乳化剤としてオクチルオキシジオキシエチレンリン酸エステルナトリウム塩1.8部を仕込み撹拌して単量体エマルジョンを得た。
温度計、撹拌装置を備えた重合反応槽に、純水170部及び上記で得られた単量体エマルジョン3部を投入し、窒素気流下で12℃まで冷却した後に、硫酸第一鉄0.00033部、アスコルビン酸ナトリウム0.02部、及び無機ラジカル発生剤の過硫酸カリウム0.2部を仕込み重合反応を開始した。重合反応槽内の温度を23℃に保ち単量体エマルジョンの残部を3時間かけて連続的に滴下し、反応開始50分後にn−ドデシルメルカプタン0.0072部、100分後にn−ドデシルメルカプタン0.0036部、及び120分後にL−アスコルビン酸ナトリウム0.4部を添加し重合反応を継続させ、重合転化率が略100%に達したところで重合停止剤としてのハイドロキノンを添加して重合反応を停止し、乳化重合液を得た。
次いで、温度計と撹拌装置を備えた凝固槽で、80℃に加温し、撹拌装置の撹拌翼回転数600回転(周速3.1m/s)で激しく撹拌した2%硫酸マグネシウム水溶液(凝固剤として硫酸マグネシウムを用いた凝固液)350部中に、上記得られた乳化重合液を80℃に加温して連続的に添加して重合体を凝固させ、凝固物であるアクリルゴムのクラムと水を含む凝固スラリーを得た。得られたスラリーからクラムを濾別しつつ凝固層から水分を排出して含水クラムを得た。
濾別された含水クラムの残った凝固槽内に194部の温水(70℃)を添加して15分間撹拌して含水クラムを洗浄した後に水分を排出させ、再び194部の温水(70℃)を添加して15分間撹拌して含水クラムの洗浄を行った(合計洗浄回数は2回)。洗浄した含水クラム(含水クラム温度65℃)をスクリュー型二軸押出乾燥機15に供給し、脱水・乾燥して幅300mmで厚さ10mmのシート状乾燥ゴムを押し出した。次に、スクリュー型二軸押出乾燥機15に直結して設けた搬送式冷却装置を用いて、シート状乾燥ゴムを冷却速度200℃/hrで冷却した。
なお、本実施例1で用いたスクリュー型二軸押出乾燥機は、1つの供給バレル、3つの脱水バレル(第1〜第3の脱水バレル)、5つの乾燥バレル(第1〜第5の乾燥バレル)で構成されている。第1の脱水バレルは排水を行い、第2及び第3の脱水バレルは排蒸気を行うようになっている。スクリュー型二軸押出乾燥機の操業条件は、以下のとおりとした。
含水量:
・第1の脱水バレルでの排水後の含水クラムの含水量:20%
・第3の脱水バレルでの排蒸気後の含水クラムの含水量:10%
・第5の乾燥バレルでの乾燥後の含水クラムの含水量:0.4%
ゴム温度:
・供給バレルに供給する含水クラムの温度:65℃
・スクリュー型二軸押出乾燥機から排出されるゴムの温度:140℃
各バレルの設定温度:
・第1の脱水バレル:100℃
・第2の脱水バレル:120℃
・第3の脱水バレル:120℃
・第1の乾燥バレル:120℃
・第2の乾燥バレル:130℃
・第3の乾燥バレル:140℃
・第4の乾燥バレル:160℃
・第5の乾燥バレル:180℃
運転条件:
・スクリューの直径(D):132mm
・スクリューの全長(L):4620mm
・L/D:35
・スクリューの回転数:135rpm
・乾燥バレルの減圧度:10kPa
・ダイからのゴムの押出量:700kg/hr
・ダイにおける樹脂圧:2MPa
・スクリュー型二軸押出乾燥機内での最大トルク:15N・m
押し出されたシート状乾燥ゴムを、50℃まで冷却してからカッターで切断して、40℃以下にならない内に20部(20kg)になるように積層してベール状アクリルゴム(G)を得た。得られたアクリルゴム(G)の反応性基含有量、灰分量、灰分成分量、メチルエチルケトン不溶解分量(ゲル量)、pH、比重、ガラス転移温度(Tg)、含水量、分子量、分子量分布、及び100℃と60℃の複素粘性率を測定して表4−2に示した。また、アクリルゴム(G)の保存安定性試験2を行って含水量変化率を求め、その結果を表4−2に示した。
次いで、バンバリーミキサーを用い、アクリルゴム(G)100部と表3に記載の「配合3」の配合剤Aとを投入して、50℃で5分間混合した(1段目混合)。このときのBITを測定してアクリルゴムのバンバリー加工性2を評価しその結果を表4−2に示した。
次に、得られた混合物を50℃のロールに移して、「配合3」の配合剤Bを配合して混合(2段目混合)しゴム組成物を得た。このときのロール加工性を評価しその結果を表4−2に示した。
Figure 2021191833
得られたゴム組成物を、縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型に入れ、プレス圧10MPaで加圧しながら180℃で10分間プレスすることにより一次架橋し、得られた一次架橋物を、ギヤー式オーブンにて、さらに180℃、2時間の条件で加熱して二次架橋させることにより、シート状のゴム架橋物を得た。そして、得られたシート状のゴム架橋物から3cm×2cm×0.2cmの試験片を切り取って耐水性2、耐圧縮永久歪み特性及び常態物性を評価した。また、二次架橋を更に2時間行ったシート状ゴム架橋物の常態物性を測定し架橋性を評価した。それらの結果を表4−2に示した。
[実施例7]
乳化剤をノニルフェニルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステルナトリウム塩1.8部に、無機ラジカル発生剤の過硫酸カリウム量を0.21部に、更に、連鎖移動剤n−ドデシルメルカプタンの後添加を50分後0.017部、100分後0.017部及び120分後0.017部に変更する以外は実施例6と同様に行い、アクリルゴム(H)を得て各特性を評価した。それらの結果を表4−2に示した。
[実施例8]
単量体成分をアクリル酸エチル48.25部、アクリル酸n−ブチル50部及びフマル酸モノn−ブチル1.75部、乳化剤をトリデシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステルナトリウム塩1.8部に変更し、更に、洗浄後の含水クラムを160℃の熱風乾燥機を用いて含水量0.4%まで乾燥を行いクラム状アクリルゴムを得た後に300×650×300mmのベーラーに充填し3MPaの圧力で25秒間押し固めベール状アクリルゴムとする以外は実施例6と同様に行いアクリルゴム(I)を得た。アクリルゴム(I)の各特性を評価し(配合剤は「配合4」に変更した)、それらの結果を表4−2に示した。
[実施例9]
単量体成分をアクリル酸エチル28部、アクリル酸n−ブチル38部、アクリル酸メトキシエチル27部、アクリロニトリル5部及びアリルグリシジルエーテル2部に変更する以外は実施例8と同様に行い、アクリルゴム(J)を得て各特性(配合剤は「配合5」に変更した)を評価した。それらの結果を表4−2に示した。
[実施例10]
単量体成分をアクリル酸エチル42.2部、アクリル酸n−ブチル35部、アクリル酸メトキシエチル20部、アクリロニトリル1.5部及びクロロ酢酸ビニル1.3部に変更する以外は実施例8と同様に行い、アクリルゴム(K)を得て各特性(配合剤は「配合5」に変更した)を評価した。それらの結果を表4−2に示した。
[実施例11]
単量体成分をアクリル酸エチル48.25部、アクリル酸n−ブチル50部及びフマル酸モノn−ブチル1.75部、乳化剤をトリデシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステルナトリウム塩1.8部に変更し、更に、洗浄後の含水クラムを160℃の熱風乾燥機を用いて含水量0.4%まで乾燥を行いクラム状アクリルゴムを得た後に300×650×300mmのベーラーに充填し3MPaの圧力で25秒間押し固めベール状アクリルゴムとする以外は実施例7と同様に行いアクリルゴム(L)を得た。アクリルゴム(L)の各特性を評価し(配合剤は「配合4」に変更した)、それらの結果を表4−2に示した。
[実施例12]
単量体成分をアクリル酸エチル28部、アクリル酸n−ブチル38部、アクリル酸メトキシエチル27部、アクリロニトリル5部及びアリルグリシジルエーテル2部に変更する以外は実施例11と同様に行い、アクリルゴム(M)を得て各特性(配合剤は「配合5」に変更した)を評価した。それらの結果を表4−2に示した。
[実施例13]
単量体成分をアクリル酸エチル42.2部、アクリル酸n−ブチル35部、アクリル酸メトキシエチル20部、アクリロニトリル1.5部及びクロロ酢酸ビニル1.3部に変更する以外は実施例12と同様に行い、アクリルゴム(N)を得て各特性(配合剤は「配合6」に変更した)を評価した。それらの結果を表4−2に示した。
[実施例14]
無機ラジカル発生剤の過硫酸カリウム量を0.22部に変更し、且つ、連鎖移動剤のn−ドデシルメルカプタン0.025部を単量体エマルジョンに連続的に添加し後添加しない以外は実施例13と同様に行い、アクリルゴム(O)を得て各特性を評価した。それらの結果を表4−2に示した。
[比較例2]
連鎖移動剤を添加せず、凝固反応を、乳化重合後の撹拌している乳化重合液(撹拌数100rpm、周速0.5m/s)に0.7%硫酸マグネシウム水溶液を添加して行い且つベーラーによりベール化はせずにクラム状のアクリルゴムを得る以外は実施例14と同様に行い、アクリルゴム(P)を得て各特性を評価した。それらの結果を表4−2に示した。
[比較例3]
乳化剤をラウリル硫酸ナトリウム塩0.709部及びポリオキシエチレンドデシルエーテル1.82部に変更し、凝固反応を、乳化重合後の撹拌している乳化重合液(撹拌数100rpm、周速0.5m/s)に硫酸ナトリウムを添加して行い、含水クラムの洗浄を工業用水194部を添加し、凝固槽内で25℃、5分間撹拌した後、凝固槽から水分を排出する操作を2回行い且つベーラーによりベール化はせずにクラム状のアクリルゴムを得る以外は実施例14と同様に行い、アクリルゴム(Q)を得て各特性を評価した。それらの結果を表4−2に示した。
Figure 2021191833
Figure 2021191833
表4−1及び表4−2から、本発明の反応性基を有し且つ反応性基含有量が0.001〜5重量%のアクリルゴムからなり、メチルエチルケトン不溶解分のゲル量が50重量%以下、pHが6以下、灰分量が0.4重量%以下で灰分中のマグネシウム、リン、カルシウム、ナトリウム及びイオウの合計量が50重量%以上、及び、比重が0.8以上であるアクリルゴム(G)〜(O)は、バンバリー加工性、保存安定性及び耐水性に優れ、更に、ロール加工性、架橋性、耐圧縮永久歪み特性及び強度特性含めた常態物性にも格段に優れていることがわかる(実施例6〜14)。
表4−2から、また、本願実施及び比較例の条件で製造したアクリルゴム(G)〜(Q)は、イオン反応性基、あるいは、カルボキシル基、エポキシ基または塩素原子のいずれかの反応性基を有し、且つ、重量平均分子量(Mw)が大きいために架橋性、耐圧縮永久歪み特性及び強度特性含めた常態物性に優れていることがわかる(実施例6〜14及び比較例2〜3)。しかしながら、アクリルゴム(P)〜(Q)はロール加工性、バンバリー加工性、耐水性及び保存安定性に劣り(比較例2)、また、耐水性と保存安定性に劣っている(比較例3)。
表4−2から、アクリルゴムのバンバリー加工性は、メチルエチルケトン不溶解分のゲル量に相関し、メチルエチルケトン不溶解分が少ない方がバンバリー加工性に優れていることがわかる(実施例6〜14と比較例2との比較)。アクリルゴムのメチルエチルケトン不溶解分量は、連鎖移動剤存在下で乳化重合することで減少させることができ(実施例8〜13及び比較例3)、特に、メチルエチルケトン不溶解分量が、強度特性を高めるために重合転化率を高める重合反応の終盤で急激に増加してくるので、重合反応終盤での連鎖移動剤後添加の実施例8〜13においてメチルエチルケトン不溶解分生成を抑制できていることがわかる。アクリルゴムのメチルエチルケトン不溶解分量は、さらに、含水クラムの乾燥をスクリュー型二軸押出乾燥機で行うことにより格段に減少し製造されるアクリルゴムのバンバー加工性を大幅に改善している(実施例6〜7と実施例8〜13との比較)。本発明においては、本実施例では示していないが、連鎖移動剤を添加せずに乳化重合で急増したメチルエチルケトン不溶解分量が(比較例2)、スクリュー型二軸押出乾燥機内で実質的に水分を含まない状態(含水量1重量%未満)で溶融混錬すること消失しアクリルゴムのバンバリー加工性を大幅に改善できることを確認している。
表4−2から、また、アクリルゴムの保存安定性は、アクリルゴムの比重が大きく関係しており、比重が大きいとアクリルゴムに空気を巻き込んでおらず保存安定性に優れていることがわかる(実施例6〜7、実施例8〜14及び比較例2〜3との比較)。比重の大きなアクリルゴムは、クラム状のアクリルゴムをベーラーで圧縮させてベール化することにより(実施例8〜14)、更に好適にはスクリュー型二軸押出乾燥機で空気をほとんど含まないシート状に押し出して積層してベール化することにより(実施例6〜7)得ることができる。アクリルゴムの保存安定性は、また、灰分量が少ないほど好ましい(実施例6〜14)。また、アクリルゴムの保存安定性は、pHが6以下であることも寄与している。
表4−2から、耐水性に関して、本発明のアクリルゴム(G)〜(O)が圧倒的に優れていることがわかる(実施例6〜14と比較例2〜3との比較)。表4−2からは、また、かかる耐水性が大幅に優れるアクリルゴム(G)〜(O)が、無機ラジカル発生剤を用いて連鎖移動剤を連続あるいは回分的に後添加して乳化重合した乳化重合液の凝固工程において、乳化重合液に凝固液を添加するのではなく、撹拌している凝固液に添加して凝固反応を行うことで、更に好ましくは凝固液を激しく撹拌すること(撹拌数600rpm/周速3.1m/s)及び撹拌している凝固液の凝固剤濃度を上げることで製造できていることがわかる(実施例6〜14と比較例2との比較)。これは、本願実施例ではデータを示していないが、本凝固反応により710μm〜4.75mm範囲のクラム径に集束した含水クラムが生成し、温水での洗浄および脱水工程における乳化剤や凝固剤の除去効率が圧倒的に向上し、アクリルゴム中の灰分量を低減し耐水性を大幅に改善できる。
表4−2から、耐水性に関しては、また、反応性基の中で、カルボキシル基やエポキシ基であるときに塩素原子よりも優れていることがわかる(実施例8〜9及び実施例11〜12と実施例10及び実施例13との比較)。
表4−2から、耐水性に関しては、更に、含水クラムを乾燥する前に脱水した(水分を絞り出した)アクリルゴム(G)〜(H)が、大幅に灰分量が低減され耐水性が改善されていることがわかる(実施例6〜7と実施例8〜14との比較)。また、アクリルゴム(G)〜(H)の灰分中の成分量をみると、殆どが、リン(P)とマグネシウム(Mg)であり、これは、乳化剤のリン酸ナトリウム塩が凝固剤の硫酸マグネシウムと塩交換されリン酸マグネシウムとして含水クラム内に内在し、洗浄工程では十分に除去できないが、脱水する(絞り出す)ことで低減できたことが推察される。また、アクリルゴムの灰分中の成分が、リンとマグネシウムの多いものが耐水性を悪化させていないことがわかる(実施例6〜14及び比較例2と比較例3との比較)。
表4−2から、ロール加工性に関しては、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)の分子量分布が大きくかかわっており、分子量分布が広ければ広いほどロール加工性が要綱なことがわかる(実施例6〜14及び比較例3と比較例2との比較)。また、強度特性とロール加工性を高度にバランスさせるためには、重量平均分子量(Mw)が高めで高分子量領域を重点にした分子量分布(z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比(Mz/Mw)が高めであることが重要であった。
表4−1及び表4−2から、かかる強度特性に優れ且つロール加工性に優れる重量平均分子量(Mw)が大きく且つMw/Mnが広いアクリルゴムが、特定量の無機ラジカル発生剤と連鎖移動剤、特にn−ドデシルメルカプタンを用いることに製造できることがわかる(実施例6〜14)。表4−2からは、また、n−ドデシルメルカプタンを連続的に添加する(実施例14)よりも、無機ラジカル発生剤の使用量を低減し且つn−ドデシルメルカプタンを初期に添加せずに回分的に後添加することにより強度特性を損ねずに更にロール加工性を改善できることがわかる(実施例6〜13)。これは、無機ラジカル発生剤を減量し且つ初期に連鎖移動剤を添加しないことで1本の重合鎖長さを伸ばし、GPCチャートでは明確な二山にはなっていないものの高分子量成分と低分子量成分をバランスよく製造しMwを大きく且つMw/Mnを広くすることで強度特性とロール加工性が高度にバランスさせている。また、Mw/Mnを効率的に広げるためには、連鎖移動剤の回分的な後添加の添加量の違いよりも、回分的な後添加の回数が大きく影響し、回分的な、後添加回数が3回よりも2回の方がMw/Mnが広くなるが(実施例8〜10と実施例11〜13との比較)、連鎖移動剤の連続的な添加はMw/Mnの広がりがある程度限定的になる(実施例14)。また、表4−2には示していないが、本願実施例においては、還元剤のアスコルビン酸ナトリウムを重合開始120分後に添加しており、こうすることにより、アクリルゴムの高分子量成分生成が容易になり連鎖移動剤後添加のMw/Mnを広げる効果を増大している。一方、表4−1には示していないが、有機のラジカル発生剤を用いて重合すると、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が広がらずロール加工性に劣り好ましくなかった。
[実施例15]
表5−1に示すように、単量体成分をアクリル酸エチル74.5部、アクリル酸n−ブチル17部、アクリル酸メトキシエチル7部、及びフマル酸モノn−ブチル1.5部及び乳化剤をトリデシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステルナトリウム塩1.8部に変更する以外は実施例7と同様にして行い、アクリルゴム(R)を得て各特性を評価し、それらの結果を表5−2に示した。また、表5−1には、スクリュー型二軸押出乾燥機の脱水(排水)後含水量、最大トルク、比電力、比動力、剪断速度及び剪断粘度を示した。
[実施例16]
単量体成分をアクリル酸エチル74.5部、アクリル酸n−ブチル17部、アクリル酸メトキシエチル7部、フマル酸モノn−ブチル1.5部及び乳化剤をトリデシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステルナトリウム塩に変更する以外は実施例6と同様にして行い、アクリルゴム(S)を得て各特性を評価し、それらの結果を表5−2に示した。また、表5−1には、スクリュー型二軸押出乾燥機の脱水(排水)後含水量、最大トルク、比電力、比動力、剪断速度及び剪断粘度を示した。
[実施例17]
単量体成分をアクリル酸エチル28部、アクリル酸n−ブチル38部、アクリル酸メトキシエチル27部、アクリロニトリル5部及びアリルグリシジルエーテル2部に、及びスクリュー型二軸押出乾燥機の運転条件を高シェア(最大トルク45N・m)に変更する以外は実施例15と同様にして行い、アクリルゴム(T)を得て各特性(配合剤は「配合5」に変更した)を評価し、それらの結果を表5−2に示した。また、表5−1には、スクリュー型二軸押出乾燥機の脱水(排水)後含水量、最大トルク、比電力、比動力、剪断速度及び剪断粘度を示した。
[実施例18]
単量体成分をアクリル酸エチル48.5部、アクリル酸n−ブチル50部及びフマル酸モノn−ブチル1.5部に変更する以外は実施例17と同様にして行い、アクリルゴム(U)を得て各特性(配合剤は「配合3」に変更した)を評価し、それらの結果を表5−2に示した。また、表5−1には、スクリュー型二軸押出乾燥機の脱水(排水)後含水量、最大トルク、比電力、比動力、剪断速度及び剪断粘度を示した。
[実施例19]
単量体成分をアクリル酸エチル48.25部、アクリル酸n−ブチル50部及びフマルモノ酸n−ブチル1.75部に変更する以外は実施例17と同様にして行い、アクリルゴム(V)を得て各特性(配合剤は「配合4」に変更した)を評価し、それらの結果を表5−2に示した。また、表5−1には、スクリュー型二軸押出乾燥機の脱水(排水)後含水量、最大トルク、比電力、比動力、剪断速度及び剪断粘度を示した。
[実施例20]
単量体成分をアクリル酸エチル28部、アクリル酸n−ブチル38部、アクリル酸メトキシエチル27部、アクリロニトリル5部及びアリルグリシジルエーテル2部に、及びスクリュー型二軸押出乾燥機の運転条件を高シェア(最大トルク45N・m)に変更する以外は実施例16と同様にして行い、アクリルゴム(X)を得て各特性(配合剤は「配合5」に変更した)を評価し、それらの結果を表5−2に示した。また、表5−1には、スクリュー型二軸押出乾燥機の脱水(排水)後含水量、最大トルク、比電力、比動力、剪断速度及び剪断粘度を示した。
[実施例21]
単量体成分をアクリル酸エチル48.5部、アクリル酸n−ブチル50部及びフマル酸モノn−ブチル1.5部に変更する以外は実施例20と同様にして行い、アクリルゴム(Y)を得て各特性(配合剤は「配合3」に変更した)を評価し、それらの結果を表5−2に示した。また、表5−1には、スクリュー型二軸押出乾燥機の脱水(排水)後含水量、最大トルク、比電力、比動力、剪断速度及び剪断粘度を示した。
[実施例22]
単量体成分をアクリル酸エチル48.25部、アクリル酸n−ブチル50部及びフマル酸モノn−ブチル1.75部に変更する以外は実施例20と同様にして行い、アクリルゴム(Z)を得て各特性(配合剤は「配合4」に変更した)を評価し、それらの結果を表5−2に示した。また、表5−1には、スクリュー型二軸押出乾燥機の脱水(排水)後含水量、最大トルク、比電力、比動力、剪断速度及び剪断粘度を示した。
Figure 2021191833
Figure 2021191833
表5−2から、本発明のアクリルゴム(T)〜(Z)は、バンバリー加工性、耐水性、保存安定性、架橋性、耐圧縮永久歪み特性及び強度特性含めた常態物性に優れるとともに格段とロール加工性が改善されていることがわかる(実施例17〜22と実施例15〜16との比較)。これは、連鎖移動剤を後添加して乳化重合した高分子量成分と低分子量成分とからなるアクリルゴムをスクリュー型二軸押出乾燥機を用いて高シェアで乾燥することにより更に分子量と分子量分布がバランスされたアクリルゴムとなりロール加工性を格段に改善できる。
1 アクリルゴム製造システム
3 凝固装置
4 洗浄装置
5 スクリュー型押出機
6 冷却装置
7 ベール化装置

Claims (24)

  1. 反応性基を有し且つ反応性基含有量が0.001〜5重量%のアクリルゴムからなり、メチルエチルケトン不溶解分のゲル量が50重量%以下、pHが6以下、灰分量が0.4重量%以下で灰分中のマグネシウム、リン、カルシウム、ナトリウム及びイオウの合計量が50重量%以上、及び、比重が0.8以上であるアクリルゴム。
  2. 灰分量が、0.15重量%以下である請求項1に記載のアクリルゴム。
  3. 灰分量の下限値が、0.0001重量%以上である請求項1または2に記載のアクリルゴム。
  4. アクリルゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、1.1〜8の範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載のアクリルゴム。
  5. アクリルゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、3.4以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のアクリルゴム。
  6. アクリルゴムの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が、3.7〜6.5の範囲である請求項1〜5のいずれか1項に記載のアクリルゴム。
  7. アクリルゴムの重量平均分子量(Mw)が,100万以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載のアクリルゴム。
  8. アクリルゴムが、(メタ)アクリル酸エステル由来の結合単位(A)、反応性基含有単量体由来の結合単位(B)及び必要に応じてその他の単量体由来の結合単位(C)からなるものである請求項1〜7のいずれか1項に記載のアクリルゴム。
  9. (メタ)アクリル酸エステル由来の結合単位(A)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項8に記載のアクリルゴム。
  10. (メタ)アクリル酸エステル由来の結合単位(A)が、アクリル酸エステル由来の結合単位(A1)とメタクリル酸エステル由来の結合単位(A2)とからなるものである請求項8に記載のアクリルゴム。
  11. 反応性基が、イオン反応性基である請求項1〜10のいずれか1項に記載のアクリルゴム。
  12. 反応性基が、カルボキシル基、エポキシ基及び塩素原子からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性基である請求項1〜11のいずれか1項に記載のアクリルゴム。
  13. シート状またはベール状である請求項1〜10のいずれか1項に記載のアクリルゴム。
  14. 反応性基含有単量体を含むアクリルゴム単量体成分を水と乳化剤とでエマルジョン化した後にラジカル発生剤と還元剤とからなるレドックス触媒存在下に重合を開始し乳化重合液を得る乳化重合工程と、
    得られた乳化重合液を撹拌している凝固剤濃度が1重量%以上の凝固液に添加して凝固し含水クラムを生成する凝固工程と、
    生成した含水クラムを温水で洗浄する洗浄工程と、
    洗浄した含水クラムを含水量1〜40重量%まで脱水する脱水工程と、
    脱水した含水クラムを1重量%未満まで乾燥する乾燥工程と、
    を含むアクリルゴムの製造方法。
  15. 乾燥した乾燥ゴムをベール化する請求項14に記載のアクリルゴムの製造方法。
  16. ラジカル発生剤が、無機ラジカル発生剤である請求項14または15に記載のアクリルゴムの製造方法。
  17. 乳化重合途中で連鎖移動剤を回分的に添加するものである請求項14から16のいずれか1項に記載のアクリルゴムの製造方法。
  18. 含水クラムの乾燥をスクリュー型二軸押出乾燥機で行うものである請求項14〜17のいずれか1項に記載のアクリルゴムの製造方法。
  19. 脱水及び乾燥工程を、洗浄後の含水クラムを、脱水スリットを有する脱水バレルと減圧下の乾燥バレルと先端部にダイを有するスクリュー型二軸押出乾燥機を用いて脱水バレルで含水量1〜40重量%まで脱水した後に乾燥バレルで1重量%未満まで乾燥してシート状乾燥ゴムをダイから押し出して行うものである請求項14〜18のいずれか1項に記載のアクリルゴムの製造方法。
  20. 押し出されたシート状乾燥ゴムを積層してベール化する請求項19に記載のアクリルゴムの製造方法。
  21. アクリルゴム単量体成分が、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルを含むものである請求項14〜20のいずれか1項に記載のアクリルゴムの製造方法。
  22. 請求項1〜13のいずれか1項に記載のアクリルゴムを含むゴム成分、充填剤及び架橋剤を含んでなるゴム組成物。
  23. 請求項1〜13のいずれか1項に記載のアクリルゴムと充填剤を混合した後に架橋剤を混合するゴム組成物の製造方法。
  24. 請求項22に記載のゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物。
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