JP2021191782A - 置換5,6−ジヒドロ−6−フェニルベンゾ[f]イソキノリン−2−アミンを調製するための方法 - Google Patents

置換5,6−ジヒドロ−6−フェニルベンゾ[f]イソキノリン−2−アミンを調製するための方法 Download PDF

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Abstract

【課題】FGFR2を調節する化合物の調製法を提供する。【解決手段】化合物Aまたはその塩、および化合物A二塩酸塩の多形を調製する方法に関する。例えば、出発原料を(R)−4−(2−フルオロフェニル)−3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オンとする方法が示される。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2015年12月17日提出のU.S.S.N. 62/268,758に対する優先権、およびその恩典を主張し、その内容は全体が参照により本明細書に組み入れられる。
背景
癌は、米国における二番目の死因で、これを超えるのは心疾患だけである。癌の診断および処置における最近の進歩にもかかわらず、癌が早期に発見されれば外科手術および放射線療法が有効であり得るが、転移疾患に対する現行の薬物療法はほとんどが待期的で、長期治癒を提供することはめったにない。市場に参入しつつある新しい化学療法でも、第1選択療法として、また耐性腫瘍の処置における第2および第3選択療法として、単剤療法で、または既存の薬剤との併用で有効な新しい薬物が必要とされ続けている。
癌細胞は、定義によれば、不均一である。例えば、単一の組織または細胞型において、複数の変異「メカニズム」が癌の発生を引き起こし得る。したがって、不均一性はしばしば、異なる個体起源の同じ組織および同じ型の腫瘍から得た癌細胞間に存在する。いくつかの癌に関連するよく見られる変異「メカニズム」は、1つの組織型と別の組織型との間で異なり得る(例えば、結腸癌を引き起こすよく見られる変異「メカニズム」は、白血病を引き起こすよく見られる「メカニズム」とは異なり得る)。したがって、特定の癌が特定の化学療法剤に反応するかどうかを予測することは難しいことが多い。
正常細胞の成長および分化を調節する細胞シグナル伝達経路の構成要素は、調節不全になった場合、細胞増殖性障害および癌の発生を引き起こす。細胞シグナルタンパク質の突然変異は、そのようなタンパク質が不適切なレベルまたは細胞周期中の不適切な時期に発現または活性化される原因となり得、これは次いで無制御の細胞成長または細胞-細胞接着特性の変化を引き起こし得る。例えば、受容体およびリガンド両方の突然変異、遺伝子再構成、遺伝子増幅、および過剰発現による受容体チロシンキナーゼの調節不全は、癌の発生および進行に関係があるとされている。
FGFR2は線維芽細胞成長因子受容体ファミリーの一員であり、ここでアミノ酸配列は構成員間および進化を通して高度に保存されている。FGFRファミリー構成員はそれらのリガンド親和性および組織分布において互いに異なる。代表的な全長タンパク質は、3つの免疫グロブリン様ドメイン、1つの疎水性膜貫通領域、および細胞質チロシンキナーゼドメインで構成される細胞外領域からなる。タンパク質の細胞外部分は線維芽細胞成長因子と相互作用して、下流シグナルを設定し、最終的には有糸分裂および分化に影響をおよぼす。
FGFR2遺伝子の活性(発現)の変化は、特定の癌に関連する。変化した遺伝子発現は、細胞増殖、細胞移動、および成長中の腫瘍に栄養供給する新血管の発生などの、いくつかの癌関連事象を増強し得る。FGFR2遺伝子は特定の型の胃癌において異常に活性で(過剰発現され)、この増幅は不良な予後および標準的臨床法に対する反応に関連する。FGFR2の異常な発現は、前立腺癌患者でも見られる。米国の乳癌女性の60%超もまた、この遺伝子の少なくとも1つの変異を有する。
したがって、FGFR2を調節し、癌を含む増殖性障害を処置するための新しい化合物、およびこれらの新しい化合物の調製法(例えば、より高い収率および/もしくは改善された純度、ならびに/またはより大きい生産スケールで)が必要とされている。本出願はこれらの必要性に取り組むものである。
概要
本出願は、以下から選択される1つまたは複数の段階を含む、化合物A:
Figure 2021191782
またはその塩を作製する方法に関する:
段階1:化合物1:
Figure 2021191782
をN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMF-DMA)と反応させて、化合物2:
Figure 2021191782
を形成する段階;
段階2:化合物2:
Figure 2021191782
を化合物3:
Figure 2021191782
と反応させて、化合物4:
Figure 2021191782
を形成する段階;
段階3:化合物4:
Figure 2021191782
を塩化メタンスルホニル(MsCl)と反応させて、化合物5:
Figure 2021191782
を形成する段階;および
段階4:化合物5:
Figure 2021191782
をメトキシエチルアミンと反応させて、化合物A:
Figure 2021191782
を形成する段階。
本出願は、化合物A二塩酸塩:
Figure 2021191782
の多形を作製する方法であって、化合物A:
Figure 2021191782
をHClと反応させて、多形を形成する段階;および任意で多形を再結晶させる段階を含む方法にも関する。
本出願は、本出願の方法によって調製した化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形と薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む薬学的組成物も提供する。
本出願は、細胞増殖性障害を処置する方法であって、それを必要としている対象に、本出願の方法によって調製した化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形を含む組成物の治療的有効量を投与する段階を含む方法も提供する。
本出願は、それを必要としている対象において細胞増殖性障害を処置するための医薬の製造において用いるための、本出願の方法によって調製した化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形も提供する。
本出願は、それを必要としている対象において細胞増殖性障害を処置する際の、本出願の方法によって調製した化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形の使用も提供する。
特に記載がないかぎり、本明細書において用いられるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において、単数形は、文脈が明らかにそうではないと示さないかぎり、複数形も含む。本明細書に記載のものと類似または等価の方法および材料を本出願の実施または試験において用いることができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。本明細書において言及するすべての出版物、特許出願、特許、および他の参照文献は、参照により本明細書に組み入れられる。本明細書において引用する参照文献は、本出願の先行技術であると認められるものではない。矛盾がある場合、定義を含む本明細書が支配することになる。加えて、材料、方法、および実施例は例示にすぎず、限定を意図するものではない。
[本発明1001]
以下から選択される1つまたは複数の段階を含む、化合物A:
Figure 2021191782
またはその塩を作製する方法:
段階1:化合物1:
Figure 2021191782
をN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMF-DMA)と反応させて、化合物2:
Figure 2021191782
を形成する段階;
段階2:化合物2:
Figure 2021191782
を化合物3:
Figure 2021191782
と反応させて、化合物4:
Figure 2021191782
を形成する段階;
段階3:化合物4:
Figure 2021191782
を塩化メタンスルホニル(MsCl)と反応させて、化合物5:
Figure 2021191782
を形成する段階;および
段階4:化合物5:
Figure 2021191782
をメトキシエチルアミンと反応させて、化合物A:
Figure 2021191782
を形成する段階。
[本発明1002]
段階1が以下を含む、本発明1001の方法:
1a. DMF-DMAを、任意でプロトン性溶媒と共に、化合物1に添加する段階;および
1b. 化合物1を、任意でプロトン性溶媒の存在下、100℃未満の温度で、DMF-DMAと反応させる段階。
[本発明1003]
以下をさらに含む、本発明1002の方法:
1c. 化合物1とDMF-DMAとの間の反応物を冷却する段階;および
1d. 炭化水素溶媒を該反応物に添加して、スラリーを生成する段階。
[本発明1004]
以下から選択される1つまたは複数の段階をさらに含む、本発明1003の方法:
1e. 1dからのスラリーを撹拌する段階;
1f. 炭化水素溶媒を1dまたは1eからのスラリーに添加する段階;
1g. 1d、1e、または1fからのスラリーを冷却し、任意でその後該スラリーを撹拌する段階;
1h. 1gからのスラリーをさらに冷却し、任意でその後該スラリーを撹拌する段階;および
1i. 1d、1e、1f、1g、または1hからのスラリーをろ過して固体化合物2を生成する段階。
[本発明1005]
段階2が以下を含む、本発明1001の方法:
2a. 任意で2-MeTHFおよび塩基を化合物3に添加した後、化合物2を化合物3に添加する段階;
2b. 化合物2および化合物3を約75℃〜約80℃の温度で反応させる段階;
2c. 化合物2と化合物3との間の反応の後に、HClを添加する段階;および
2d. 任意でシード化合物4を添加してスラリーを生成する段階。
[本発明1006]
2bの後かつ2cの前に、以下から選択される1つまたは複数の段階をさらに含む、本発明1005の方法:
2ab1. 化合物2と化合物3との間の反応物を冷却し、任意で冷却後に該反応物をNaCl溶液で洗浄する段階;
2ab2. 化合物2と化合物3との間の反応において生じた有機相を蒸留する段階;
2ab3. 2-MeTHFを該有機相に添加し、該有機相を蒸留して、乾燥2-MeTHF溶液を生成する段階;および
2ab4. 水を該乾燥2-MeTHF溶液に添加し、任意で該溶液を加熱する段階。
[本発明1007]
2dの後に、以下から選択される1つまたは複数の段階をさらに含む、本発明1005の方法:
2e. 2dからのスラリーを撹拌する段階;
2f. HClを2dまたは2eからのスラリーに添加する段階;
2g. 2d、2e、または2fからのスラリーを冷却する段階;
2h. 2gからのスラリーを撹拌する段階;および
2i. 2d、2e、2f、2g、または2hからのスラリーをろ過して固体化合物4を生成する段階。
[本発明1008]
段階3が以下を含む、本発明1001の方法:
3a. 任意で2-MeTHF中に化合物4スラリーを形成した後、塩基を化合物4に添加する段階;
3b. トリエチルアミンを添加し、任意で混合物を冷却する段階;および
3c. MsClを添加し、任意で混合物を加熱する段階。
[本発明1009]
3aの後かつ3bの前に、以下から選択される1つまたは複数の段階をさらに含む、本発明1008の方法:
3ab1. 前記塩基を化合物4に添加した後に、得られた混合物を撹拌する段階;
3ab2. 撹拌後に、水相を除去し有機相を維持する段階;および
3ab3. 該有機相を濃縮し、2-MeTHFを該有機相に添加して、該有機相を蒸留する段階。
[本発明1010]
3cの後に、以下から選択される1つまたは複数の段階をさらに含む、本発明1008の方法:
3d. 前記混合物に追加のトリエチルアミンおよびMsClを1回、2回、またはそれより多い回数添加し、トリエチルアミンおよびMsClの各追加添加後に、任意で該混合物を撹拌する段階;
3e. 化合物4とMsClとの間の反応の後に、水を反応混合物に添加し、任意で該混合物を撹拌し、水相を回収する段階;および
3f. 該水相を2-MeTHFで抽出し、有機相を回収する段階。
[本発明1011]
段階4が、メトキシエチルアミンを化合物5に添加し、混合物を加熱する段階を含む、本発明1001の方法。
[本発明1012]
前記混合物を90℃未満の温度まで加熱する、本発明1011の方法。
[本発明1013]
以下から選択される1つまたは複数の段階をさらに含む、本発明1011の方法:
溶媒および水を反応混合物に添加する段階;
水相を回収する段階;
該水相を溶媒で抽出する段階;
有機相を回収する段階;および
該有機相を蒸留してスラリーを形成する段階。
[本発明1014]
以下から選択される1つまたは複数の段階をさらに含む、本発明1013の方法:
非極性炭化水素溶媒を前記スラリーに添加する段階;
該スラリーを撹拌する段階;および
該スラリーをろ過する段階。
[本発明1015]
化合物A二塩酸塩:
Figure 2021191782
の多形を作製する方法であって、段階5a:化合物A:
Figure 2021191782
をHClと反応させる段階を含み、段階5aが、任意で化合物Aをアセトン中に溶解した後、化合物Aの溶液にHClを添加する段階を含む、方法。
[本発明1016]
化合物A二塩酸塩のシード多形を添加して、スラリーを形成する段階をさらに含む、本発明1015の方法。
[本発明1017]
段階5aの後に、段階5b:化合物A二塩酸塩の多形を再結晶させる段階をさらに含む、本発明1015の方法。
[本発明1018]
段階5bが以下を含む、本発明1016の方法:
化合物A二塩酸塩の多形をアセトンおよび水と混合し、任意で混合物を加熱する段階;
アセトンを該混合物に添加し、任意で該混合物を冷却する段階;
化合物A二塩酸塩のシード多形を添加する段階。
[本発明1019]
本発明1001の方法に従って調製した化合物Aまたはその塩を含む、薬学的組成物。
[本発明1020]
本発明1015の方法に従って調製した化合物A二塩酸塩の多形を含む、薬学的組成物。
本発明の他の特徴および利点は以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
本出願の方法によって調製した化合物A二塩酸塩の多形のX線粉末回折パターンを示す。
詳細な説明
本出願の方法
本出願は、以下から選択される1つまたは複数の段階を含む、(R)-6-(2-フルオロフェニル)-N-(3-(2-(2-メトキシエチルアミノ)エチル)フェニル)-5,6-ジヒドロベンゾ[h]キナゾリン-2-アミンである化合物A:
Figure 2021191782
またはその塩の合成方法を提供する:
段階1:化合物1:
Figure 2021191782
をN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMF-DMA)と反応させて、化合物2:
Figure 2021191782
を形成する段階;
段階2:化合物2:
Figure 2021191782
を化合物3:
Figure 2021191782
と反応させて、化合物4:
Figure 2021191782
を形成する段階;
段階3:化合物4:
Figure 2021191782
を塩化メタンスルホニル(MsCl)と反応させて、化合物5:
Figure 2021191782
を形成する段階;
段階4:化合物5:
Figure 2021191782
をメトキシエチルアミンと反応させて、化合物A:
Figure 2021191782
を形成する段階。
1つの態様において、本出願の方法は、段階1:化合物1:
Figure 2021191782
をN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMF-DMA)と反応させて、化合物2:
Figure 2021191782
を形成する段階を含む。
1つの態様において、段階1は、DMF-DMAを化合物1に添加する段階を含む。1つの態様において、段階1は、化合物1を、プロトン性溶媒(例えば、アルコール)の存在下でDMF-DMAと反応させる段階を含む。1つの態様において、プロトン性溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、およびt-ブタノールから選択されるアルコールである。さらなる態様において、アルコールはイソプロパノールである。1つの態様において、段階1は、DMF-DMAをプロトン性溶媒(例えば、イソプロパノールなどのアルコール)と共に化合物1に添加する段階を含む。
1つの態様において、段階1は、化合物1をDMF-DMAと、100℃未満の温度で反応させる段階を含む。1つの態様において、化合物1をDMF-DMAと、約60℃〜約90℃、約70℃〜約90℃、または約80℃〜約85℃の温度で反応させる。
1つの態様において、段階1は、化合物1をDMF-DMAと、40時間未満反応させる段階を含む。1つの態様において、化合物1をDMF-DMAと、36時間未満、30時間未満、24時間未満、または20時間未満反応させる。1つの態様において、化合物1をDMF-DMAと、約20時間、約19時間、約18時間、約17時間、約16時間、または約15時間反応させる。1つの態様において、化合物1をDMF-DMAと、約19時間反応させる。
1つの態様において、段階1は、化合物1をDMF-DMAと、100℃未満の温度で40時間未満反応させる段階を含む。さらなる態様において、段階1は、化合物1をDMF-DMAと、約60℃〜約90℃の温度で36時間未満、30時間未満、24時間未満、または20時間未満反応させる段階を含む。さらなる態様において、段階1は、化合物1をDMF-DMAと、約80℃〜約85℃の温度で20時間未満反応させる段階を含む。さらなる態様において、段階1は、化合物1を、プロトン性溶媒(例えば、イソプロパノールなどのアルコール)の存在下でDMF-DMAと反応させる段階を含む。さらなる態様において、段階1は、DMF-DMAをプロトン性溶媒(例えば、イソプロパノールなどのアルコール)と共に化合物1に添加する段階を含む。
1つの態様において、段階1は、化合物1とDMF-DMAとの間の反応物を冷却(例えば、約50℃〜約55℃の温度まで)する段階をさらに含んでもよい。
1つの態様において、段階1は、炭化水素溶媒を反応物に添加する段階をさらに含んでもよい。1つの態様において、炭化水素溶媒はC6-C12アルカンである。さらなる態様において、炭化水素溶媒はC7-C12アルカン(例えば、C7アルカン、C8アルカン、C9アルカン、C10アルカン、C11アルカン、またはC12アルカン)である。さらなる態様において、炭化水素溶媒はn-ヘプタンである。1つの態様において、炭化水素溶媒(例えば、n-ヘプタンなどのC6-C12アルカン)を、反応物を冷却した後に添加する。1つの態様において、炭化水素溶媒(例えば、n-ヘプタンなどのC6-C12アルカン)を、約50℃〜約55℃の温度で添加する。
1つの態様において、段階1は、化合物1とDMF-DMAとの間の反応物を冷却(例えば、約50℃〜約55℃の温度まで)し、次いで炭化水素溶媒(例えば、n-ヘプタンなどのC6-C12アルカン)を添加(例えば、約50℃〜約55℃の温度で)する段階をさらに含んでもよい。
1つの態様において、炭化水素溶媒(例えば、n-ヘプタンなどのC6-C12アルカン)の添加はスラリーを生じる。1つの態様において、段階1は、炭化水素溶媒(例えば、n-ヘプタンなどのC6-C12アルカン)の添加後に、スラリーを撹拌(例えば、約50℃〜約55℃の温度で)する段階をさらに含んでもよい。
1つの態様において、段階1は、スラリーの撹拌後に、炭化水素溶媒(例えば、n-ヘプタンなどのC6-C12アルカン)をスラリーに添加(例えば、約50℃〜約55℃の温度で)する段階をさらに含んでもよい。
1つの態様において、段階1は、スラリーを冷却する段階をさらに含んでもよい。1つの態様において、冷却は、スラリーを約20℃〜約25℃の温度まで冷却し、次いでスラリーを約0℃〜約5℃の温度まで冷却する段階を含む。1つの態様において、スラリーを約20℃〜約25℃の温度まで冷却した後、スラリーを約20℃〜約25℃の温度で約15分〜約4時間(例えば、15分〜4時間、15分〜3時間、15分〜2時間、15分〜1.5時間、15分〜1時間、30分〜4時間、30分〜3時間、30分〜2時間、30分〜1.5時間、もしくは30分〜1時間、または約1時間)の期間保持する。1つの態様において、スラリーを約0℃〜約5℃の温度まで冷却した後、スラリーを約0℃〜約5℃の温度で約15分〜約4時間(例えば、15分〜4時間、15分〜3時間、15分〜2時間、15分〜1.5時間、15分〜1時間、30分〜4時間、30分〜3時間、30分〜2時間、30分〜1.5時間、もしくは30分〜1時間、または約1時間)の期間保持する。
1つの態様において、段階1は、スラリーをろ過して固体化合物2を形成する段階をさらに含んでもよい。
1つの態様において、段階1は、化合物2を洗浄(例えば、炭化水素溶媒(例えば、n-ヘプタンなどのC6-C12アルカン)で)し、化合物2を乾燥する段階をさらに含んでもよい。
1つの態様において、段階1は以下を含む:
1a. DMF-DMAを、任意でプロトン性溶媒(例えば、イソプロパノールなどのアルコール)と共に、化合物1に添加する段階;および
1b. 化合物1を、任意でプロトン性溶媒(例えば、イソプロパノールなどのアルコール)の存在下、100℃未満(例えば、約80℃〜約85℃)の温度で、40時間未満(例えば、36時間未満、30時間未満、24時間未満、または20時間未満)、DMF-DMAと反応させる段階。
1つの態様において、段階1は以下をさらに含んでもよい:
1c. 化合物1とDMF-DMAとの間の反応物を冷却(例えば、約50℃〜約55℃の温度まで)する段階;および
1d. 炭化水素溶媒(例えば、n-ヘプタンなどのC6-C12アルカン)を反応物に添加(例えば、約50℃〜約55℃の温度で)して、スラリーを形成する段階。
1つの態様において、段階1は、段階1a、1b、1c、および1dに加えて、以下から選択される1つまたは複数の段階をさらに含んでもよい:
1e. 1dからのスラリーを撹拌(例えば、約50℃〜約55℃の温度で)する段階;
1f. 炭化水素溶媒(例えば、n-ヘプタンなどのC6-C12アルカン)を1dまたは1eからのスラリーに添加(例えば、約50℃〜約55℃の温度で)する段階;
1g. 1d、1e、または1fからのスラリーを冷却(例えば、約20℃〜約25℃の温度まで)し、任意でその後スラリーを撹拌(例えば、約20℃〜約25℃の温度で)する段階;
1h. 1gからのスラリーをさらに冷却(例えば、約0℃〜約5℃の温度まで)し、任意でその後スラリーを撹拌(例えば、約0℃〜約5℃の温度で)する段階;および
1i. 1d、1e、1f、1g、または1hからのスラリーをろ過して固体化合物2を生成する段階。
1つの態様において、段階1における化合物2の収率は少なくとも80%、少なくとも85%、または少なくとも87%である。
1つの態様において、本出願の方法は、段階2:化合物2:
Figure 2021191782
を化合物3:
Figure 2021191782
と反応させて、化合物4:
Figure 2021191782
を形成する段階を含む。
1つの態様において、段階2は、化合物2を化合物3に添加する段階を含む。1つの態様において、段階1は、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)および塩基(例えば、エタノール中のナトリウムエトキシド)を化合物3に添加し、次いで化合物2を添加する段階を含む。1つの態様において、化合物3、2-MeTHF、および塩基の混合物を約20℃〜約25℃の温度で、約15分〜約4時間(例えば、30分〜4時間、30分〜3時間、30分〜2.5時間、1時間〜4時間、1時間〜3時間、1時間〜2.5時間、1.5時間〜4時間、1.5時間〜3時間、もしくは1.5時間〜2.5時間、または約2時間)の期間撹拌した後、化合物2を添加する。
1つの態様において、段階2は、化合物2を化合物3と、約75℃〜約80℃の温度で、約24時間〜約48時間(例えば、約24時間、約30時間、約36時間、約42時間、または約48時間)反応させる段階を含む。
1つの態様において、段階2は、化合物2と化合物3との間の反応混合物を冷却(例えば、約20℃〜約25℃の温度まで)する段階をさらに含んでもよい。1つの態様において、反応混合物を任意で、冷却後にNaCl溶液(例えば、3%NaCl)で洗浄する。
1つの態様において、段階2は、化合物2と化合物3との間の反応において生じた有機相を蒸留する段階をさらに含んでもよい。1つの態様において、段階2は、蒸留後に、2-MeTHFを有機相に添加し、さらに蒸留(例えば、0.5%以下の水含有量を達成するため)して、乾燥2-MeTHF溶液を生成する段階をさらに含んでもよい。1つの態様において、段階2は、乾燥2-MeTHF溶液に2-MeTHFを添加し、これをろ過する段階をさらに含んでもよい。
1つの態様において、段階2は、水を乾燥2-MeTHF溶液に添加し、溶液を加熱(例えば、約60℃〜約65℃の温度まで)する段階をさらに含んでもよい。
1つの態様において、段階2は、化合物2と化合物3との間の反応の後に、HClを添加する段階をさらに含んでもよい。1つの態様において、HClは添加前は2-MeTHFの溶液である。1つの態様において、HClを約60℃〜約65℃の温度で添加する。1つの態様において、HClを徐々に添加(例えば、約30分間かけて)する。
1つの態様において、段階2は、HClの添加後にシード化合物4を添加してスラリーを生成する段階をさらに含んでもよい。1つの態様において、スラリーを撹拌(例えば、約1時間)する。1つの態様において、HClをスラリーに添加する。1つの態様において、HClはスラリーへの添加前は2-MeTHFの溶液である。1つの態様において、HClを徐々に添加(例えば、約1.5時間かけて)する。1つの態様において、スラリーをHCl添加後にさらに撹拌(例えば、約60℃〜約65℃の温度で約1時間)する。
1つの態様において、段階2は、スラリーを冷却(例えば、約20℃〜約25℃の温度まで)する段階をさらに含んでもよい。1つの態様において、スラリーを徐々に冷却(例えば、約2時間かけて)する。1つの態様において、スラリーを撹拌する。1つの態様において、スラリーを約20℃〜約25℃の温度で撹拌(例えば、約12時間〜約24時間の期間(例えば、約16時間))する。
1つの態様において、段階2は、スラリーをろ過して固体化合物4を生成する段階をさらに含んでもよい。
1つの態様において、段階2は、化合物4を洗浄(例えば、2-MeTHFで)し、化合物4を乾燥する段階をさらに含んでもよい。
1つの態様において、段階2は以下を含む:
2a. 任意で2-MeTHFおよび塩基(例えば、エタノール中のナトリウムエトキシド)を化合物3に添加した後、化合物2を化合物3に添加する段階;
2b. 化合物2および化合物3を約75℃〜約80℃の温度で約24時間〜約48時間反応させる段階;
2c. 化合物2と化合物3との間の反応の後に、HClを添加(例えば、約60℃〜約65℃の温度で)する段階;および
2d. 任意でシード化合物4を添加してスラリーを生成する段階。
1つの態様において、段階2は、2bの後かつ2cの前に、以下から選択される1つまたは複数の段階をさらに含んでもよい:
2ab1. 化合物2と化合物3との間の反応物を冷却(例えば、約20℃〜約25℃の温度まで)し、任意で冷却後に反応物をNaCl溶液で洗浄する段階;
2ab2. 化合物2と化合物3との間の反応において生じた有機相を蒸留する段階;
2ab3. 2-MeTHFを有機相に添加し、さらに蒸留(例えば、0.5%以下の水含有量を達成するため)して、乾燥2-MeTHF溶液を生成する段階;および
2ab4. 水を乾燥2-MeTHF溶液に添加し、任意で溶液を加熱(例えば、約60℃〜約65℃の温度まで)する段階。
1つの態様において、段階2は、2dの後に、以下から選択される1つまたは複数の段階をさらに含んでもよい:
2e. 2dからのスラリーを撹拌する段階;
2f. HCl(例えば、2-MeTHFの溶液)を2dまたは2eからのスラリーに添加する段階;
2g. 2d、2e、または2fからのスラリーを冷却(例えば、約20℃〜約25℃の温度まで)する段階;
2h. 2gからのスラリーを撹拌(例えば、約20℃〜約25℃の温度で)する段階;および
2i. 2d、2e、2f、2g、または2hからのスラリーをろ過して固体化合物4を生成する段階。
1つの態様において、段階2における化合物3の収率は少なくとも70%、少なくとも75%、または少なくとも80%である。
1つの態様において、本出願の方法は、段階3:化合物4:
Figure 2021191782
を塩化メタンスルホニル(MsCl)と反応させて、化合物5:
Figure 2021191782
を形成する段階を含む。
1つの態様において、段階3は、任意で2-MeTHF中に化合物4スラリーを形成した後、化合物4を塩基(例えば、NaOH)で処理する段階を含む。1つの態様において、段階3は、塩基(例えば、NaOH)を化合物4(例えば、2-MeTHF中の化合物4スラリー)に添加し、得られた混合物を撹拌(例えば、約20℃〜約25℃の温度で)する段階を含む。
1つの態様において、段階3は、撹拌後に、水相を除去し有機相を維持する段階をさらに含んでもよい。1つの態様において、段階3は、有機相を洗浄(例えば、NaCl溶液で)する段階をさらに含んでもよい。
1つの態様において、段階3は、有機相を濃縮する段階をさらに含んでもよい。1つの態様において、段階3は、2-MeTHFを有機相に添加し、さらに蒸留(例えば、0.1%以下の水含有量を達成するため)する段階をさらに含んでもよい。
1つの態様において、段階3は、化合物4を塩基で処理した後に、トリエチルアミンを混合物に添加し、任意で混合物を冷却(例えば、約0℃〜約5℃の温度まで)する段階を含む。
1つの態様において、段階3は、トリエチルアミンの添加後に、MsClを混合物に徐々に添加(例えば、約1時間かけて)する段階を含む。1つの態様において、MsClの添加中に、混合物の温度を約20℃以下に維持する。1つの態様において、MsClの添加後に、混合物を加熱(例えば、約20℃〜約25℃の温度まで)する。1つの態様において、MsClの添加後に、混合物を撹拌(例えば、約20℃〜約25℃の温度で)する。1つの態様において、MsClの添加後に、混合物を撹拌(例えば、約2時間)する。
1つの態様において、段階3は、化合物4とMsClとの間の反応の後に、混合物に追加のトリエチルアミンおよびMsClを1回、2回、またはそれより多い回数添加する段階をさらに含んでもよい。1つの態様において、トリエチルアミンおよびMsClの各追加添加後に、混合物を約1時間〜約4時間(例えば、約1.5時間)撹拌(例えば、約20℃〜約25℃の温度で)する。
1つの態様において、段階3は、化合物4とMsClとの間の反応の後に、水を反応混合物に添加し、任意で混合物を撹拌(例えば、約2.5時間)し、混合物を静置して二相性混合物を形成する段階をさらに含んでもよい。1つの態様において、水相を回収し、2-MeTHFで抽出する。1つの態様において、抽出後に、有機相を回収し、任意で洗浄(例えば、NaCl溶液で)して濃縮する。1つの態様において、追加の2-MeTHFを有機相に添加し、有機相をさらに蒸留する(例えば、水含有量を低減(例えば、0.1%以下まで)する)。
1つの態様において、段階3は以下を含む:
3a. 任意で2-MeTHF中に化合物4スラリーを形成した後、塩基(例えば、NaOH)を化合物4に添加する段階;
3b. トリエチルアミンを添加し、任意で混合物を冷却(約0℃〜約5℃の温度まで)する段階;および
3c. MsClを添加し、任意で混合物を加熱(例えば、約20℃〜約25℃の温度まで)する段階。
1つの態様において、段階3は、3aの後かつ3bの前に、以下から選択される1つまたは複数の段階をさらに含んでもよい:
3ab1. 塩基(例えば、NaOH)を化合物4に添加した後に、得られた混合物を撹拌(例えば、約20℃〜約25℃の温度で)する段階;
3ab2. 撹拌後に、水相を除去し有機相を維持する段階;および
3ab3. 有機相を濃縮し、2-MeTHFを有機相に添加し、有機相を蒸留する段階。
1つの態様において、段階3は、3cの後に、以下から選択される1つまたは複数の段階をさらに含んでもよい:
3d. 混合物に追加のトリエチルアミンおよびMsClを1回、2回、またはそれより多い回数添加し、トリエチルアミンおよびMsClの各追加添加後に、任意で混合物を約1時間〜約4時間(例えば、約1.5時間)撹拌(例えば、約20℃〜約25℃の温度で)する段階;
3e. 化合物4とMsClとの間の反応の後に、水を反応混合物に添加し、任意で混合物を撹拌(例えば、約2.5時間)し、水相を回収する段階;および
3f. 水相を2-MeTHFで抽出し、有機相を回収する段階。
1つの態様において、本出願の方法は、段階4:化合物5:
Figure 2021191782
をメトキシエチルアミンと反応させて、化合物A:
Figure 2021191782
を形成する段階を含む。
1つの態様において、段階4は、メトキシエチルアミンを化合物5に添加して、混合物を加熱(例えば、90℃未満(例えば、約40℃〜約70℃、約50℃〜約60℃、または約50℃〜約55℃)の温度まで)する段階を含む。1つの態様において、混合物を撹拌(例えば、約10時間〜約18時間、約12時間〜約15時間、または約13時間)する。
1つの態様において、段階4は、化合物5とメトキシエチルアミンとの間の反応の後に、溶媒(例えば、酢酸イソプロピル、2-MeTHF、またはジクロロメタン)および水を反応混合物に添加(例えば、90℃未満(例えば、約40℃〜約70℃、約50℃〜約60℃、または約50℃〜約55℃)の温度で)する段階をさらに含んでもよい。1つの態様において、溶媒は酢酸イソプロピルである。1つの態様において、酢酸イソプロピルおよび水の添加後に、混合物を撹拌し、静置して、二相性混合物を形成する。1つの態様において、水相を回収し、溶媒(例えば、酢酸イソプロピル、2-MeTHF、またはジクロロメタン)で抽出する。1つの態様において、溶媒は酢酸イソプロピルである。1つの態様において、抽出後に、有機相を回収し、任意で洗浄(例えば、水で)し、蒸留してスラリーを形成する。1つの態様において、蒸留により酢酸イソプロピルの除去を可能にする溶媒をスラリーに添加する。1つの態様において、溶媒は、酢酸イソプロピルよりも高い沸点を有する非極性炭化水素溶媒である。1つの態様において、非極性炭化水素溶媒はC7-C12アルカン(例えば、C7アルカン、C8アルカン、C9アルカン、C10アルカン、C11アルカン、またはC12アルカン)である。1つの態様において、非極性炭化水素溶媒はn-ヘプタンである。1つの態様において、溶媒(例えば、n-ヘプタンなどのC7-C12アルカン)の添加後に、スラリーを撹拌(例えば、約20℃〜約25℃の温度で)する。1つの態様において、スラリーを約16時間撹拌する。
1つの態様において、段階4は、スラリーをろ過して固体化合物Aを生成する段階をさらに含んでもよい。
1つの態様において、段階4は、化合物Aを洗浄(例えば、C7-C12アルカン(例えば、C7アルカン、C8アルカン、C9アルカン、C10アルカン、C11アルカン、またはC12アルカン)などの非極性炭化水素溶媒で)する段階をさらに含んでもよく、化合物Aを乾燥(例えば、約40℃〜約45℃の温度で)した。
1つの態様において、段階4における化合物Aの収率は少なくとも75%、少なくとも80%、または少なくとも85%である。
本出願は、化合物A二塩酸塩:
Figure 2021191782
の多形を作製する方法であって、段階5a:化合物A:
Figure 2021191782
をHClと反応させる段階を含む方法も提供する。
1つの態様において、化合物Aを本明細書に記載の方法によって調製する。
1つの態様において、段階5aは、任意で化合物Aをアセトン中に溶解(例えば、約50℃〜約55℃の温度で)した後、化合物Aの溶液にHClを添加する段階を含む。1つの態様において、HClを化合物A溶液に約50℃〜約55℃の温度で添加する。1つの態様において、HClを化合物A溶液に徐々に添加(例えば、約60分間かけて)する。1つの態様において、化合物AをHClと約50℃〜約55℃の温度で反応させる。
1つの態様において、段階5aは、化合物AとHClとの間の反応の後に、アセトンを添加(例えば、約50℃〜約55℃の温度で)する段階をさらに含んでもよい。1つの態様において、アセトンを徐々に添加(例えば、約1.75時間かけて)する。
1つの態様において、段階5aは、化合物AとHClとの間の反応の後に、化合物A二塩酸塩のシード多形を添加して、スラリーを形成する段階をさらに含んでもよい。
1つの態様において、段階5aは、アセトンをスラリーに添加(例えば、約50℃〜約55℃の温度で)する段階をさらに含んでもよい。1つの態様において、アセトンを徐々に添加(例えば、約4.25時間かけて)する。
1つの態様において、段階5aは、スラリーを冷却(例えば、約20℃〜約25℃の温度まで)する段階をさらに含んでもよい。1つの態様において、スラリーを徐々に冷却(例えば、約2.5時間かけて)する。
1つの態様において、段階5aは、スラリーを撹拌(例えば、約20℃〜約25℃の温度で)する段階をさらに含んでもよい。1つの態様において、スラリーを約4.5時間撹拌する。
1つの態様において、段階5aは、スラリーをろ過および乾燥して、化合物A二塩酸塩の多形を生成する段階をさらに含む。
1つの態様において、化合物A二塩酸塩の多形を作製する方法は、段階5aの後に、段階5b:化合物A二塩酸塩の多形を再結晶させる段階をさらに含んでもよい。
1つの態様において、段階5bは、化合物A二塩酸塩の多形をアセトンおよび水と混合し、混合物を加熱する段階を含む。1つの態様において、混合物を約40℃〜約55℃(例えば、約45℃〜約52℃、または約50℃)の温度まで加熱する。
1つの態様において、段階5bは、任意で混合物をろ過および加熱した後、アセトンを混合物に添加する段階をさらに含んでもよい。1つの態様において、混合物を加熱(例えば、50℃よりも高温(例えば、約55℃)まで)する。1つの態様において、アセトンの添加後に、混合物を冷却(例えば、55℃未満(例えば、約50℃)まで)する。
1つの態様において、段階5bは、化合物A二塩酸塩のシード多形を添加して、スラリーを生成する段階をさらに含んでもよい。
1つの態様において、段階5bは、スラリーを撹拌(例えば、約50℃で)する段階をさらに含んでもよい。1つの態様において、スラリーを約30分間撹拌する。1つの態様において、スラリーを撹拌後に冷却(例えば、約20℃まで)する。
1つの態様において、段階5bは、スラリーを加熱(例えば、約20℃〜約40℃まで)し、アセトンを添加(例えば、約40℃で)する段階をさらに含んでもよい。1つの態様において、スラリーを、アセトンの添加後に、冷却(例えば、約40℃〜約20℃まで)する。1つの態様において、スラリーを、冷却後に撹拌(例えば、約20℃で)する。1つの態様において、スラリーを約12時間〜約24時間(例えば、約12時間、約16時間、約20時間、または約24時間)撹拌する。
1つの態様において、段階5bは、スラリーを洗浄(例えば、アセトンで)し、スラリーをろ過して化合物A二塩酸塩の多形を生成する段階をさらに含んでもよい。
1つの態様において、化合物A二塩酸塩の多形は、Cu Kα放射線を用いて約14.9、23.1、および23.8°2θにピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。1つの態様において、化合物A二塩酸塩の多形は、Cu Kα放射線を用いて約10.6、14.9、23.1、23.8、および24.8°2θにピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。1つの態様において、化合物A二塩酸塩の多形は、Cu Kα放射線を用いて約10.6、13.9、14.9、21.8、22.3、23.1、23.8、24.8、28.1、および28.7°2θにピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。1つの態様において、化合物A二塩酸塩の多形は、Cu Kα放射線を用いて約10.6、11.6、13.9、14.9、19.0、21.8、22.3、23.1、23.8、24.8、25.3、28.1、28.2、および28.7°2θにピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。1つの態様において、化合物A二塩酸塩の多形は、図1に示すものと実質的に類似のX線粉末回折パターンによって特徴付けられる。
1つの態様において、本出願の方法を以下のスキームIに示す。
Figure 2021191782
1つの態様において、本出願の方法は、化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形を、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の収率で生成する。1つの態様において、本出願の方法は、化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形を、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の収率で生成する。
1つの態様において、本出願の方法は、実質的に純粋な化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形を生成する。本明細書において用いられる「純度」なる用語は、当技術分野において一般に用いられる分析法(例えば、HPLC)に基づく、化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形の量を意味する。純度は、化合物の「有機的」純度に基づき、水、溶媒などのいかなる量の尺度も含まない。1つの態様において、化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形の純度を、参照標準、例えば、化合物Aの既知の試料の純度と、HPLCにおけるピーク下面積を比較することにより比較する。1つの態様において、本出願の方法に従って調製した化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形は、約96%よりも高い純度を有する。1つの態様において、本出願の方法に従って調製した化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形は、約98%よりも高い純度を有する。例えば、本出願の方法に従って調製した化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形の純度は、96.0%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97.0%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9 %、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%である。例えば、本出願の方法に従って調製した化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形の純度は、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%である。例えば、本出願の方法に従って調製した化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形の純度は、98.0%、98.5%、99.0%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または99.9%である。
1つの態様において、本出願の方法は、純度の高い化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形を、大規模(例えば、商業的規模)で生成する。「商業的規模」なる用語は、少なくとも約100gの単一バッチの収量を意味する。1つの態様において、本出願の方法は、純度の高い化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形を、少なくとも100g、少なくとも200g、少なくとも500g、少なくとも1kg、少なくとも2kg、または少なくとも5kgの多量で生成する。
特徴付けの方法およびアッセイ
1H核磁気共鳴(1H NMR)
1H-NMR実験をBruker AV400(振動数:400MHz)で実施した。実験を適切な溶媒中で行い、各試料を約10mM濃度に調製した。
イオンクロマトグラフィ
10mgの試料を秤量し、5mLの水(または水:メタノール{4%})で希釈し、次いで塩化物含有量を以下の実験条件を用いて分析した。
Figure 2021191782
高性能液体クロマトグラフィ-紫外検出(HPLC-UV)
純度を、まず試料をアセトニトリル:水(50%)中で100mg/mLに希釈することにより判定し;溶解度を100μLの飽和溶液を900μLのアセトニトリル:水(50%)中で希釈することにより判定した。次いで、試料を以下の実験条件を用いて分析した。
設定1:
Figure 2021191782
設定2:
Figure 2021191782
生物学的アッセイ
本出願は、本出願の化合物の生物活性を評価するための方法を提供する。1つの方法において、酵素活性に基づくアッセイを用いることができる。1つの具体的な酵素活性アッセイにおいて、酵素活性はキナーゼ(例えば、FGFR)由来である。本明細書において用いられる「キナーゼ」とは、ATPからのγ-リン酸の、タンパク質およびペプチド中のSer/ThrまたはTyrの側鎖上のヒドロキシル基への転移を触媒し、シグナル伝達、分化、および増殖などの、様々な重要な細胞機能の制御に密接に関与する酵素を意味する。好ましくは、アッセイするキナーゼはチロシンキナーゼ(例えば、FGFR)である。
本出願の化合物によって生じる酵素活性の変化を、開示するアッセイにおいて測定することができる。酵素活性の変化は、特定の基質のリン酸化の程度における変化によって特徴付けることができる。本明細書において用いられる「リン酸化」は、タンパク質および有機分子を含む基質へのリン酸基の付加を意味し、タンパク質の生物活性を調節する際に重要な役割を果たす。好ましくは、アッセイし測定したリン酸化は、リン酸基のチロシン残基への付加を含む。基質はペプチドまたはタンパク質であり得る。
いくつかのアッセイにおいて、免疫学的試薬、例えば、抗体および抗原を用いる。蛍光をいくつかのアッセイでの酵素活性の測定において用いることができる。開示する化合物の生物活性を評価するための具体的方法は、実施例において記載する。
当業者であれば、本明細書において論じる公知の技術または等価の技術の詳細な記載について、一般的な参考書を参照してもよい。これらの参考書には、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Inc. (2005);Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2000);Coligan et al., Current Protocols in Immunology, John Wiley & Sons, N.Y.;Enna et al., Current Protocols in Pharmacology, John Wiley & Sons, N.Y.;Fingl et al., The Pharmacological Basis of Therapeutics (1975), Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA, 18th edition (1990)が含まれる。これらの参考書は、当然のことながら、本開示の局面を作製または使用する際にも参照することができる。
薬学的組成物
本開示は、本出願の方法によって調製した化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形を少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤または担体との組み合わせで含む、薬学的組成物も提供する。
「薬学的組成物」は、本出願の化合物を対象への投与に適した形態で含む製剤である。1つの態様において、薬学的組成物はバルクまたは単位剤形である。単位剤形は、例えば、カプセル剤、IVバッグ、錠剤、エアロゾル吸入器の1つのポンプ、またはバイアルを含む、任意の様々な形態である。組成物の単位用量中の活性成分(例えば、化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形の製剤)の量は、有効量であり、関与する特定の処置に応じて変動する。当業者であれば、患者の年齢および状態に応じて、時には日常的に用量に変更を加える必要があることを理解するであろう。用量は、投与経路にも依存する。経口、肺、直腸、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、吸入、口腔、舌下、胸膜内、くも膜下腔内、鼻内などを含む、様々な経路が企図される。本開示の化合物の局所または経皮投与用の剤形には、散剤、噴霧剤、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、液剤、パッチおよび吸入剤が含まれる。1つの態様において、活性化合物を無菌条件下で薬学的に許容される担体、および必要とされる任意の保存剤、緩衝剤または噴射剤と混合する。
本明細書において用いられる「薬学的に許容される」なる語句は、健全な医学的判断の範囲内で、妥当な損益比に見合った、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしにヒトおよび動物の組織と接触しての使用に適した、化合物、材料、組成物、担体、および/または剤形を意味する。
「薬学的に許容される賦形剤」は、一般には安全、非毒性および生物学的にもそれ以外でも有害でない薬学的組成物を調製する際に有用な賦形剤を意味し、獣医学的使用ならびにヒトの薬学的組使用のために許容される賦形剤が含まれる。本明細書および特許請求の範囲において用いられる「薬学的に許容される賦形剤」には、1つおよび2つ以上のそのような賦形剤が含まれる。
本開示の薬学的組成物は、その所期の投与経路に適合するように製剤化する。投与経路の例には、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)、および経粘膜投与が含まれる。非経口、皮内、または皮下適用のために用いる液剤または懸濁剤は以下の構成要素を含むことができる:注射水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒などの、無菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤; アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート化剤、酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩などの緩衝剤、および塩化ナトリウムまたはブドウ糖などの張性調節のための物質。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調節することができる。非経口製剤は、ガラスまたはプラスティック製のアンプル、使い捨てシリンジまたは多用量バイアルに封入することもできる。
本出願の化合物または薬学的組成物を、化学療法処置のために現在用いられる周知の方法の多くにおいて対象に投与することができる。例えば、癌の処置のために、本出願の化合物を腫瘍中に直接注入してもよく、血流もしくは体腔中に注射してもよく、または経口服用もしくはパッチを用いて皮膚に適用してもよい。選択した用量は有効な処置を構成するのに十分でなければならないが、許容されない副作用を引き起こすほど高くてはならない。疾患状態(例えば、癌、前癌など)の状況および患者の健康を、好ましくは処置中および処置後の妥当な期間、綿密にモニターすべきである。
本明細書において用いられる「治療的有効量」なる用語は、特定された疾患もしくは状態を処置、改善、もしくは予防するため、または検出可能な治療もしくは阻害効果を示すための、薬剤の量を意味する。効果は、当技術分野において公知の任意のアッセイ法によって検出することができる。対象のための正確な有効量は、対象の体重、サイズ、および健康;状態の性質および程度;ならびに投与のために選択した治療または治療の組み合わせに依存することになる。所与の状況のための治療的有効量は、医師の技術および判断の範囲内の、日常的実験によって決定することができる。好ましい局面において、処置する疾患または状態は癌である。別の局面において、処置する疾患または状態は細胞増殖性障害である。
任意の化合物について、治療的有効量を、最初は、例えば、新生物細胞の細胞培養アッセイ、または動物モデル、通常はラット、マウス、ウサギ、イヌもしくはブタのいずれかにおいて推定することができる。動物モデルはまた、適切な濃度範囲および投与経路を決定するために用いてもよい。次いで、そのような情報を用いて、ヒトにおける有用な用量および投与経路を決定することができる。治療的/予防的有効性および毒性は、細胞培養または実験動物における標準の薬学的手順、例えば、ED50(集団の50%で治療的に有効な用量)およびLD50(集団の50%に対して致死的な用量)により決定してもよい。毒性と治療効果との間の用量比が治療指数で、これはLD50/ED50なる比で表すことができる。大きい治療指数を示す薬学的組成物が好ましい。用量は、用いる剤形、患者の感受性、および投与経路に応じて、この範囲内で変動し得る。
用量および投与は、活性薬剤の十分なレベルを提供する、または所望の効果を維持するために調節する。考慮にいれ得る因子には、疾患状態の重症度、対象の全般的健康、対象の年齢、体重、および性別、食餌、投与の時間および頻度、薬物組み合わせ、反応感受性、ならびに治療に対する耐容性/反応が含まれる。長期作用型薬学的組成物を、特定の製剤の半減期および排出速度に応じて、3〜4日ごと、毎週、または2週間に1回投与してもよい。
本出願の活性化合物を含む薬学的組成物を、一般に公知の様式で、例えば、通常の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、水ひ、乳化、カプセル化、封入、または凍結乾燥工程により製造してもよい。薬学的組成物を、活性化合物の薬学的に使用し得る製剤への加工を容易にする、賦形剤および/または補助剤を含む、1つまたは複数の薬学的に許容される担体を用いて、通常の様式で製剤化してもよい。当然のことながら、適切な製剤は、選択した投与経路に依存する。
注射使用に適した薬学的組成物には、無菌水性液剤(水溶性の場合)または分散剤および無菌注射液剤または分散剤の即時調製用の無菌散剤が含まれる。静脈内投与のために、適切な担体には、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、N.J.)またはリン酸緩衝化食塩水(PBS)が含まれる。すべての場合に、組成物は無菌でなければならず、容易にシリンジ操作が可能な程度に流動性であるべきである。組成物は製造および保存の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に対して保護されていなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびその適切な混合物を含む、溶媒または分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散剤の場合には必要とされる粒径の維持により、および界面活性剤の使用により、維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって達成することができる。多くの場合、組成物中に等張化剤、例えば、糖類、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。注射組成物の持続吸収は、組成物中に吸収を遅らせる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含むことによってもたらすことができる。
無菌注射液剤は、必要な量の活性化合物を適切な溶媒中に、必要に応じて前述の成分の1つまたは組み合わせと共に組み込み、続いて滅菌ろ過することにより調製することができる。一般に、分散剤は、活性化合物を、基本の分散媒および前述のものから必要とされる他の成分を含む無菌媒体中に組み込むことにより調製する。無菌注射液剤の調製のための無菌散剤の場合、調製法は減圧乾燥および凍結乾燥であり、活性成分に加えてあらかじめ滅菌ろ過したその溶液からの任意の追加の望まれる成分の粉末を生じる。
経口組成物は一般に、不活性希釈剤または食用の薬学的に許容される担体を含む。それらはゼラチンカプセル中に封入するか、または錠剤に圧縮することができる。経口治療的投与のために、活性化合物を賦形剤と共に組み込み、錠剤、トローチ、またはカプセル剤の形で用いることができる。経口組成物は、洗口剤として使用するために液体担体を用いて調製することもでき、ここで液体担体中の化合物を経口適用し、すすぎ、吐出または嚥下する。薬学的に適合性の結合剤、および/または補助材料を、組成物の一部として含むことができる。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチなどは以下の任意の成分、または同様の性質の化合物を含むことができる:微結晶セルロース、トラガカントガムもしくはゼラチンなどの結合剤;デンプンもしくは乳糖などの賦形剤、アルギン酸、プリモゲル、もしくはコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはステロート(Sterotes)などの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などのすべり剤;スクロースもしくはサッカリンなどの甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ香料などの着香剤。
吸入による投与のために、化合物を、適切な噴射剤、例えば、二酸化炭素などのガスを含む加圧容器もしくはディスペンサー、またはネブライザーからエアロゾル噴霧剤の形で送達する。
全身投与は、経粘膜または経皮手段によるものであってもよい。経粘膜または経皮投与のために、浸透する障壁に適した浸透剤を製剤中で用いる。そのような浸透剤は一般に当技術分野において公知であり、例えば、経粘膜投与のためには、界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が含まれる。経粘膜投与は、鼻噴霧剤または坐剤の使用によって達成することができる。経皮投与のために、活性化合物を当技術分野において一般に公知の軟膏、膏薬、ゲル、またはクリームに製剤化する。
活性化合物を、埋込物およびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤などの、体からの急速な排出に対して化合物を保護する薬学的に許容される担体と共に調製することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸などの、生体分解性、生体適合性ポリマーを用いることができる。そのような製剤の調製法は、当業者には明白であろう。材料はAlza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc.からも市販されている。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体により感染細胞を標的とするリポソームを含む)を薬学的に許容される担体として用いることもできる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載のとおり、当業者には公知の方法に従って調製することができる。
投与を容易にし、用量を均一にするために、経口または非経口組成物を単位剤形に製剤化することは特に好都合である。本明細書において用いられる単位剤形とは、処置する対象のための単位用量として適切な物理的に分離した単位を意味し;各単位は、必要とされる薬学的担体と共に、所望の治療効果を生じるように計算された活性化合物の所定の量を含む。本開示の単位剤形の明細は、活性化合物の独特の特性および達成する特定の治療効果によって規定され、それらに直接依存する。
治療適用において、本開示に従って用いる薬学的組成物の用量は、選択した用量に影響する他の因子の中でも、薬剤、受容患者の年齢、体重、および臨床状態、ならびに治療を投与する臨床医または主治医の経験および判断に応じて変動する。一般に、用量は腫瘍の成長の遅延、および好ましくは退縮をもたらし、かつ好ましくは癌の完全な退縮を引き起こすのに十分であるべきである。用量は1日に約0.01mg/kg〜1日に約5000mg/kgの範囲であり得る。薬剤の有効量は、臨床医または他の資格のある観察者によって認められる、客観的に特定可能な改善を提供する量である。例えば、患者における腫瘍の退縮は、腫瘍の直径に関して測定してもよい。腫瘍の直径の減少は退縮を示す。退縮は、処置を停止した後の腫瘍の再発失敗によっても示される。本明細書において用いられる「用量有効様式」なる用語は、対象または細胞において所望の生物効果を生じる活性化合物の量を意味する。
薬学的組成物は容器、パック、またはディスペンサー内に投与の説明書と共に含まれ得る。
本出願の化合物を、経口、鼻、経皮、肺、吸入、口腔、舌下、腹腔内、皮下、筋肉内、静脈内、直腸、胸膜内、くも膜下腔内および非経口投与する。1つの態様において、化合物を経口投与する。当業者であれば、特定の投与経路の利点を理解するであろう。
化合物を用いての投薬法を、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別および医学的状態;処置する状態の重症度;投与経路;患者の腎および肝機能;ならびに用いる特定の化合物を含む、様々な因子に従って選択する。通常の技術を有する医師または獣医師であれば、状態の進行を予防、対抗または阻止するために必要な薬物の有効量を容易に決定し、処方することができる。
本開示の化合物の製剤および投与のための技術は、Remington: the Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, Mack Publishing Co., Easton, PA (1995)において見出すことができる。1つの態様において、本明細書に記載の化合物を薬学的製剤中で薬学的に許容される担体または希釈剤との組み合わせで用いる。適切な薬学的に許容される担体には、不活性固体充填剤または希釈剤および無菌水性および有機溶液が含まれる。化合物は、そのような薬学的組成物中に、本明細書に記載の範囲の所望の投薬量を提供するのに十分な量で存在することになる。
本明細書において用いられるすべてのパーセンテージおよび比率は、特に記載がないかぎり、重量による。本開示の他の特徴および利点は異なる実施例から明らかである。提供する実施例は、本開示を実施する際に有用な異なる構成要素および方法論を例示する。実施例は特許請求される開示を制限するものではない。本開示に基づいて、当業者であれば、本開示を実施するために有用な他の構成要素および方法論を特定し、利用することができる。
処置法
本出願は、それを必要としている対象において細胞増殖性障害を処置するための方法であって、本出願の方法によって調製した化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形の治療的有効量を対象に投与することによる方法を提供する。本出願は、それを必要としている対象において細胞増殖性障害から保護する方法であって、本出願の方法によって調製した化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形の治療的有効量を対象に投与することによる方法も提供する。細胞増殖性障害は癌または前癌状態であり得る。本出願は、細胞増殖性障害の処置または予防のために有用な医薬の調製のための、本出願の方法によって調製した化合物Aもしくはその塩または化合物A二塩酸塩の多形の使用をさらに提供する。
本明細書において用いられる「それを必要としている対象」は、細胞増殖性障害を有する対象、または一般の集団に比べて細胞増殖性障害を発生するリスクが高い対象である。それを必要としている対象は、前癌状態を有し得る。好ましくは、それを必要としている対象は、癌を有する。「対象」には哺乳動物が含まれる。哺乳動物は任意の哺乳動物、例えば、ヒト、霊長類、鳥、マウス、ラット、家禽、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヤギ、ラクダ、ヒツジまたはブタであり得る。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
本明細書において用いられる「細胞増殖性障害」なる用語は、細胞の無制御のもしくは異常な成長、または両方が、望まれない状態または疾患の発生を引き起こし得る状態を意味し、これは癌性であっても癌性でなくてもよい。例示的な細胞増殖性障害は、細胞分裂が制御解除された様々な状態を含む。例示的な細胞増殖性障害には、新生物、良性腫瘍、悪性腫瘍、前癌状態、上皮内腫瘍(in situ tumor)、被包型腫瘍、転移性腫瘍、液性腫瘍、固形腫瘍、免疫学的腫瘍、血液腫瘍、癌、癌腫、白血病、リンパ腫、肉腫、および急速分裂細胞が含まれるが、それらに限定されない。本明細書において用いられる「急速分裂細胞」なる用語は、同じ組織内の隣接または並置細胞の間で予想または観察される速度を上回るまたはそれよりも高い速度で分裂する任意の細胞と定義される。
細胞増殖性障害には、前癌または前癌状態が含まれる。細胞増殖性障害には癌が含まれる。好ましくは、本明細書において提供する方法は、癌の症状を処置または緩和するために用いる。
「癌」なる用語は、固形腫瘍、ならびに血液腫瘍および/または悪性腫瘍を含む。「前癌細胞」または「前癌性細胞」は、前癌または前癌状態である細胞増殖性障害を示す細胞である。「癌細胞」または「癌性細胞」は、癌である細胞増殖性障害を示す細胞である。
例示的な非癌性状態または障害には、関節リウマチ;炎症;自己免疫疾患;リンパ球増殖状態;先端巨大症;リウマチ様脊椎炎;変形性関節炎;痛風、他の関節炎状態;敗血症;敗血性ショック;エンドトキシンショック;グラム陰性菌敗血症;毒素性ショック症候群;喘息;成人呼吸窮迫症候群;慢性閉塞性肺疾患;慢性肺炎症;炎症性腸疾患;クローン病;乾癬;湿疹;潰瘍性大腸炎;膵線維症;肝線維症;急性および慢性腎疾患;過敏性腸症候群;発熱(pyresis);再狭窄;脳性マラリア;脳卒中および虚血傷害;神経外傷;アルツハイマー病;ハンチントン病;パーキンソン病;急性および慢性疼痛;アレルギー性鼻炎;アレルギー性結膜炎;慢性心不全;急性冠動脈症候群;悪液質;マラリア;ハンセン病;リーシュマニア症;ライム病;ライター症候群;急性滑膜炎;筋変性、滑液包炎;腱炎;腱鞘炎;椎間板ヘルニア症候群(herniated, ruptures, or prolapsed intervertebral disk syndrome);大理石骨病;血栓症;再狭窄;珪肺症;肺サルコーシス;骨粗鬆症などの骨吸収疾患;移植片対宿主反応;多発性硬化症;ループス;線維筋痛症;AIDSおよび他のウィルス性疾患、例えば、帯状疱疹、単純ヘルペスIまたはII、インフルエンザウィルスおよびサイトメガロウィルス;ならびに糖尿病が含まれるが、それらに限定されない。
例示的な癌には、副腎皮質癌、AIDS関連癌、AIDS関連リンパ腫、肛門癌、肛門直腸癌、肛門管癌、虫垂癌、小児小脳星細胞腫、小児大脳星細胞腫、基底細胞癌、皮膚癌(非黒色腫)、胆管癌、肝外胆管癌、肝内胆管癌、膀胱癌(bladder cancer)、膀胱癌(uringary bladder cancer)、骨および関節癌、骨肉腫および悪性線維性組織球腫、脳癌、脳腫瘍、脳幹神経膠腫、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍(supratentorial primitive neuroectodeimal tumor)、視覚路および視床下部神経膠腫、乳癌、気管支腺腫/カルチノイド、カルチノイド腫瘍、消化管神経系癌、神経系リンパ腫、中枢神経系癌、中枢神経系リンパ腫、子宮頸癌、小児癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性障害、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、リンパ系腫瘍、菌状息肉腫、セザリー症候群(Seziary Syndrome)、子宮内膜癌、食道癌、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼癌、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫、胆嚢癌、胃(gastric)(胃(stomach))癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍、卵巣胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛性腫瘍神経膠腫、頭頸部癌、肝細胞(肝臓)癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内黒色腫、眼癌、膵島細胞腫瘍(膵内分泌部)、カポジ肉腫、腎臓癌、腎癌、腎臓癌、喉頭癌、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、ヘアリーセル白血病、口唇および口腔癌、肝臓癌、肺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、髄芽腫、黒色腫、眼内(眼)黒色腫、メルケル細胞腫、悪性中皮腫、中皮腫、転移性頸部扁平上皮癌、口腔癌、舌癌、多発性内分泌腫瘍症候群、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄増殖性障害、鼻咽頭癌、神経芽腫、口の癌、口腔癌、口腔咽頭癌、卵巣癌、卵巣上皮癌、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓癌、膵島細胞膵臓癌、副鼻腔および鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体芽腫およびテント上原始神経外胚葉性腫瘍、下垂体部腫瘍、形質細胞新生物/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、前立腺癌、直腸癌、腎盂および尿管の移行上皮癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍(ewing family of sarcoma tumor)、カポジ肉腫、軟部組織肉腫、子宮癌、子宮肉腫、皮膚癌(非黒色腫)、皮膚癌(黒色腫)、メルケル細胞皮膚癌、小腸癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃(stomach)(胃(gastric))癌、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫、胸腺腫および胸腺癌、甲状腺癌、腎盂および尿管および他の泌尿器の移行上皮癌、妊娠性絨毛腫瘍、尿道癌、子宮内膜子宮癌、子宮肉腫、子宮体癌、膣癌、外陰癌、ならびにウィルムス腫瘍が含まれるが、それらに限定されない。
本明細書において用いられる「処置」または「処置する」は、疾患、状態、もしくは障害と闘うための患者の管理およびケアを記載し、疾患、状態もしくは障害の症状もしくは合併症を緩和するため、または疾患、状態もしくは障害を取り除くための、本開示の化合物の投与を含む。
本明細書において用いられる「予防」または「予防する」は、疾患、状態または障害の症状または合併症の発症を低減または除去することを記載する。
本明細書において用いられる「緩和する」なる用語は、障害の徴候または症状の重症度が低減されるプロセスを記載することを意味する。重要なのは、徴候または症状が、除去されずに緩和され得ることである。好ましい態様において、本出願の薬学的組成物の投与は徴候または症状の除去をもたらすが、除去は必要とされない。有効な投薬量は、徴候または症状の重症度を低減すると予想される。例えば、複数の場所で発生し得る癌などの障害の徴候または症状は、複数の場所の少なくとも1つにおいて癌の重症度が低減されれば、緩和される。
本明細書において用いられる「症状」なる用語は、疾患、疾病、損傷、または体内で何かが異常であることの表示であると定義される。症状は、症状を経験している個人によって感じられるかまたは気づかれるが、他者には容易に気付かれないこともある。
本明細書において用いられる「徴候」なる用語も、体内で何かが異常であることの表示であると定義される。しかしながら、徴候は、医師、看護師、または他の医療従事者によって見ることができるものとして定義される。
実施例1. 化合物2の調製
出発原料:(R)-4-(2-フルオロフェニル)-3,4-ジヒドロナフタレン-1(2H)-オン(化合物1)
試薬:N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMF-DMA)
溶媒:イソプロピルアルコール(iPrOH)
n-ヘプタン
50ガロン反応器に化合物1(8.0kg、33.3mol、1.0当量)と、続いてイソプロピルアルコール(iPrOH、19.2kg、24.5L、3倍量)およびN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMF-DMA、15.8kg、133.2mol、4.0当量)を加えた。バッチを19時間加熱還流(80〜85℃)した。反応物を50〜55℃まで冷却し、50〜55℃の温度を維持しながらn-ヘプタン(54.9kg、80.2L、10倍量)を添加した。n-ヘプタンの添加が完了したら、得られたスラリーを100ガロン反応器に移し、50〜55℃で撹拌した。追加のn-ヘプタン(54.9kg、80.2L、10倍量)を、50〜55℃の内部温度を維持しながら、100ガロン反応器に添加した。次いで、混合物を20〜25℃まで冷却し、1時間保持した後、さらに0〜5℃まで冷却した。1時間保持した後、スラリーをろ過し、湿ケークを冷(0〜5℃)n-ヘプタン(218kg、31.8L、8倍量)で洗浄した。固体を減圧下、20〜25℃で19時間乾燥して、化合物2(8.5kg、収率87%、98.4%AUC)を黄色固体で得た。
実施例2. 化合物4の調製
出発原料:(R)-2-((ジメチルアミノ)メチレン)-4-(2-フルオロフェニル)-3,4-ジヒドロナフタレン-1(2H)-オン(化合物2)
メタンスルホン酸1-(3-(2-ヒドロキシエチル)フェニル)グアニジン(化合物3)
試薬:36%塩酸(HCl)
塩化ナトリウム(NaCl)
エタノール中21%ナトリウムエトキシド(NaOEt/EtOH)
溶媒:2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)
100ガロン反応器に化合物3(8.4kg、30.6mol、1.06当量)と、続いて2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF、93.8kg、109.8L、13倍量)およびエタノール中21%ナトリウムエトキシド(9.8kg、11.3L、1.06当量)を加えた。混合物を20〜25℃で2時間撹拌した後、化合物2(8.5kg、28.8mol、1.0当量)を添加した。次いで、反応物を、反応完了の標的規格に達成するまで、36時間加熱還流(75〜80℃)した。反応混合物を20〜25℃まで冷却し、3%NaCl(3×42L、3×5倍量)で洗浄した。有機層を85L(10倍量)まで減圧蒸留し、2-MeTHF(36.2kg、42.4L、5倍量)で5回蒸留をくり返して、≦0.5%の所望の水含有量を達成した(0.52%)。乾燥2-MeTHF溶液(85L、10倍量)を追加の2-MeTHF(72.7kg、85.1L、10倍量)で希釈し、研磨濾過した(polish filtered)。水(0.8kg)を添加して、2-MeTHF中水の1%(v/v)溶液を調製し、混合物を60〜65℃まで加熱した。2-MeTHF中のHClの0.5M溶液(20.8L、10.4mol、0.36当量)を、60〜65℃の温度を維持しながら、0.5時間かけて添加した。得られた溶液に化合物4シード(85g、1重量%)を加え、1時間撹拌した後、追加の、2-MeTHF中のHClの0.5M溶液(41.5L、21.2mol、0.74当量)を1.4時間かけて添加した。60〜65℃で1時間撹拌した後、スラリーを20〜25℃まで2時間かけて冷却し、次いで20〜25℃でさらに16時間撹拌した。スラリーをろ過し、湿ケークを2-MeTHF(29.0kg、34L、4倍量)で2回洗浄した。固体を減圧下、45℃で17.5時間乾燥して、化合物4(10.4kg、81%、99.4%AUC)を黄色固体で得た。
実施例3. 化合物5および化合物Aの調製
出発原料:化合物4
塩化メタンスルホニル(MsCl)[CAS 124-63-0]
2-メトキシエチルアミン[CAS 109-85-3]
試薬:塩化ナトリウム(NaCl)
50%水酸化ナトリウム(NaOH)
トリエチルアミン(Et3N)
溶媒:n-ヘプタン
酢酸イソプロピル(iPrOAc)
2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)
100ガロン反応器に化合物4(10.4kg、23.2mol、1.0当量)および2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF、132.6kg、155.2L、15倍量)を加えた。1.0M NaOHの溶液(48.5L、48.5mol、2.1当量)をスラリーに一度に添加し、得られた二相性混合物を20〜25℃で1.0時間撹拌した。相を沈降させ、下の水層を除去し、有機層を2.5%NaCl(52L、5倍量)で洗浄した。有機層を104L(10倍量)まで濃縮し、2-MeTHF(44.0kg、51.5L、5倍量)で合計5回濃縮をくり返して、≦0.1%の所望の水含有量を達成した(0.08%)。2-MeTHF溶液を清浄な100ガロン反応器中に研磨ろ過した後、トリエチルアミン(Et3N、3.5kg、4.9L、34.8mol、1.5当量)を添加し、混合物を0〜5℃まで冷却した。塩化メタンスルホニル(MsCl、4.0kg、2.7L、34.8mol、1.5当量)を、内部温度≦20℃に維持しながら、1時間かけて添加した。MsClの添加が完了したら、反応温度を20〜25℃に調節し、混合物を2時間撹拌した。HPLCによる分析は、3.7%の化合物4の存在を示した。追加のEt3N(0.4kg、 mL、0.55L、4.0mol、0.2当量)およびMsCl(0.4kg、0.27L、3.5mol、0.15当量)を加え、混合物を20〜25℃で1.5時間撹拌した。この時点で、0.57%の化合物4がHPLCにより検出された。追加のEt3N(0.1kg、 mL、0.14L、1.0mol、0.05当量)およびMsCl(0.1kg、0.07L、1.0mol、0.05当量)を加え、混合物を20〜25℃で1.5時間撹拌した。水(93.5kg、9倍量)を添加し、二相性混合物を2.5時間撹拌した。相を1時間沈降させ、次いで水層を清浄な200ガロン反応器に移した。水層を2-MeTHF(44.6kg、52.2L、5倍量)で逆抽出し、上層を100ガロン反応器に移して有機層を合わせた後、5%NaCl(51.6kg、5倍量)で洗浄した。得られた2-MeTHF溶液を約104L(10倍量)まで濃縮し、次いで2-MeTHF(44.0kg、51.5L、5倍量)で合計5回濃縮をくり返して、≦0.1%の所望の水含有量を達成した(0.02%)。2-MeTHF溶液を清浄な100ガロン反応器中に研磨ろ過した後、化合物5を含む溶液を52L(5倍量)まで濃縮した。2-メトキシエチルアミン(35.8kg、41.4L、4倍量)を添加し、得られた反応混合物を50〜55℃まで加熱した。反応混合物をその温度で13時間撹拌し、HPLC分析は完全な転換を示した。変換が完了したと思われたら、酢酸イソプロピル(iPrOAc、117.8kg、135L、13倍量)および水(104kg、10倍量)を、50〜55℃の温度を維持しながら、反応器に加えた。1.5時間撹拌した後、水層を清浄な200ガロン反応器に移し、iPrOAc(61.8kg、70.9L、7倍量)で抽出した。上層を100ガロン反応器に移して有機層を合わせ、次いで50〜55℃で再度平衡化した。合わせた有機層を水(4×20.8kg、4×2倍量)で洗浄した後、63L(6倍量)まで減圧蒸留した。得られたスラリーをn-ヘプタン(3×85.0kg、3×124L、3×12倍量)で約6倍量まで蒸留をくり返して、≦8.5重量%の残存iPrOAc(1.1重量%)を達成した。スラリーをn-ヘプタン(42.7kg、62.4L、6倍量)で希釈し、20〜25℃で16.0時間撹拌した後、ろ過した。ろ過ケークをヘプタン(2×28.4kg、2×41.5L、2×4倍量)で洗浄し、次いで40〜45℃で30時間乾燥した。化合物Aをクリーム色の固体で得た(9.4kg、収率86%、HPLCにより96.6%AUC)。
実施例4. ARQ 087・2HCl結晶D型の調製
出発原料:化合物A
試薬:36%塩酸(HCl)
溶媒:アセトン
水(H2O)
化合物A(9.3kg、19.8mol、1.0当量)およびアセトン(59.1kg、74.7L、8倍量)を100ガロン反応器に加え、温度を50〜55℃に設定した。澄明溶液が得られたら、1.9M HCl溶液(21.8L、41.4mol、2.1当量)を、50〜55℃の温度を維持しながら、1時間かけて添加した。HCl添加が完了した時点で、混合物を清浄な200ガロン反応器中に研磨ろ過し、温度を50〜55℃に維持した。アセトン(29.5kg、37.3L、4倍量)を200ガロン反応器に1.75時間かけて添加した後、化合物A二塩酸塩の多形(90.9g、1重量%)をシードとして加えた。追加のアセトン(206kg、260.4L、28倍量)を、50〜55℃の温度を維持しながら、4.25時間かけて添加した。スラリーを20〜25℃まで2.5時間かけて冷却し、さらに4.5時間撹拌した後、ろ過した。湿ケークをアセトン(2×29.9kg、2×37.8L、2×4倍量)で洗浄し、40〜45℃で60.0時間乾燥した。化合物A二塩酸塩の多形を黄色固体で得た(9.3kg、87%、HPLCにより99.2%AUC、Lot:4263.D.13.1)。
実施例5. ARQ 087・2HCl(D型)の再結晶:
50L反応器に化合物A二塩酸塩の多形(1.18kg)と、続いてアセトン(6.9kg、8.7L、7.3倍量)および水(2.2kg、1.8倍量)を加えた。混合物を50℃まで加熱して、研磨ろ過を実施した。ろ液を50L反応器に戻し、温度を55℃に調節した。次いで、アセトン(2.8kg、3.6L、3倍量)を、55℃の内部温度を維持するのに適切な速度で添加した。アセトンの添加が完了したら、内部温度を50℃に下げ、溶液に化合物A二塩酸塩の多形(0.018kg、1重量%)をシードとして加えた。得られたスラリーを50℃で30分間撹拌した後、20℃まで1時間かけて冷却した。次いで、内部温度を40℃に上げ、アセトン(22.9kg、29.0L、24.5倍量)を、40℃の内部温度を維持しながら、1.5時間かけて添加した。スラリーを20℃まで2時間かけて冷却し、次いで20℃で16時間撹拌した。得られたスラリーをろ過し、固体をアセトン(2×3.8kg、2×4.8L、2×4.0倍量)で洗浄した。次いで、湿ケークを20℃で19時間減圧下で乾燥した。これにより化合物A二塩酸塩の多形を黄色固体で得た(1.11kg、収率94%、99.7%AUC)。
等価物
当業者であれば、日常の実験だけを用いて、本明細書において具体的に記載する特定の態様に対する多くの等価物を理解し、または確認し得るであろう。そのような等価物は添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。

Claims (20)

  1. 以下から選択される1つまたは複数の段階を含む、化合物A:
    Figure 2021191782
    またはその塩を作製する方法:
    段階1:化合物1:
    Figure 2021191782
    をN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMF-DMA)と反応させて、化合物2:
    Figure 2021191782
    を形成する段階;
    段階2:化合物2:
    Figure 2021191782
    を化合物3:
    Figure 2021191782
    と反応させて、化合物4:
    Figure 2021191782
    を形成する段階;
    段階3:化合物4:
    Figure 2021191782
    を塩化メタンスルホニル(MsCl)と反応させて、化合物5:
    Figure 2021191782
    を形成する段階;および
    段階4:化合物5:
    Figure 2021191782
    をメトキシエチルアミンと反応させて、化合物A:
    Figure 2021191782
    を形成する段階。
  2. 段階1が以下を含む、請求項1記載の方法:
    1a. DMF-DMAを、任意でプロトン性溶媒と共に、化合物1に添加する段階;および
    1b. 化合物1を、任意でプロトン性溶媒の存在下、100℃未満の温度で、DMF-DMAと反応させる段階。
  3. 以下をさらに含む、請求項2記載の方法:
    1c. 化合物1とDMF-DMAとの間の反応物を冷却する段階;および
    1d. 炭化水素溶媒を該反応物に添加して、スラリーを生成する段階。
  4. 以下から選択される1つまたは複数の段階をさらに含む、請求項3記載の方法:
    1e. 1dからのスラリーを撹拌する段階;
    1f. 炭化水素溶媒を1dまたは1eからのスラリーに添加する段階;
    1g. 1d、1e、または1fからのスラリーを冷却し、任意でその後該スラリーを撹拌する段階;
    1h. 1gからのスラリーをさらに冷却し、任意でその後該スラリーを撹拌する段階;および
    1i. 1d、1e、1f、1g、または1hからのスラリーをろ過して固体化合物2を生成する段階。
  5. 段階2が以下を含む、請求項1記載の方法:
    2a. 任意で2-MeTHFおよび塩基を化合物3に添加した後、化合物2を化合物3に添加する段階;
    2b. 化合物2および化合物3を約75℃〜約80℃の温度で反応させる段階;
    2c. 化合物2と化合物3との間の反応の後に、HClを添加する段階;および
    2d. 任意でシード化合物4を添加してスラリーを生成する段階。
  6. 2bの後かつ2cの前に、以下から選択される1つまたは複数の段階をさらに含む、請求項5記載の方法:
    2ab1. 化合物2と化合物3との間の反応物を冷却し、任意で冷却後に該反応物をNaCl溶液で洗浄する段階;
    2ab2. 化合物2と化合物3との間の反応において生じた有機相を蒸留する段階;
    2ab3. 2-MeTHFを該有機相に添加し、該有機相を蒸留して、乾燥2-MeTHF溶液を生成する段階;および
    2ab4. 水を該乾燥2-MeTHF溶液に添加し、任意で該溶液を加熱する段階。
  7. 2dの後に、以下から選択される1つまたは複数の段階をさらに含む、請求項5記載の方法:
    2e. 2dからのスラリーを撹拌する段階;
    2f. HClを2dまたは2eからのスラリーに添加する段階;
    2g. 2d、2e、または2fからのスラリーを冷却する段階;
    2h. 2gからのスラリーを撹拌する段階;および
    2i. 2d、2e、2f、2g、または2hからのスラリーをろ過して固体化合物4を生成する段階。
  8. 段階3が以下を含む、請求項1記載の方法:
    3a. 任意で2-MeTHF中に化合物4スラリーを形成した後、塩基を化合物4に添加する段階;
    3b. トリエチルアミンを添加し、任意で混合物を冷却する段階;および
    3c. MsClを添加し、任意で混合物を加熱する段階。
  9. 3aの後かつ3bの前に、以下から選択される1つまたは複数の段階をさらに含む、請求項8記載の方法:
    3ab1. 前記塩基を化合物4に添加した後に、得られた混合物を撹拌する段階;
    3ab2. 撹拌後に、水相を除去し有機相を維持する段階;および
    3ab3. 該有機相を濃縮し、2-MeTHFを該有機相に添加して、該有機相を蒸留する段階。
  10. 3cの後に、以下から選択される1つまたは複数の段階をさらに含む、請求項8記載の方法:
    3d. 前記混合物に追加のトリエチルアミンおよびMsClを1回、2回、またはそれより多い回数添加し、トリエチルアミンおよびMsClの各追加添加後に、任意で該混合物を撹拌する段階;
    3e. 化合物4とMsClとの間の反応の後に、水を反応混合物に添加し、任意で該混合物を撹拌し、水相を回収する段階;および
    3f. 該水相を2-MeTHFで抽出し、有機相を回収する段階。
  11. 段階4が、メトキシエチルアミンを化合物5に添加し、混合物を加熱する段階を含む、請求項1記載の方法。
  12. 前記混合物を90℃未満の温度まで加熱する、請求項11記載の方法。
  13. 以下から選択される1つまたは複数の段階をさらに含む、請求項11記載の方法:
    溶媒および水を反応混合物に添加する段階;
    水相を回収する段階;
    該水相を溶媒で抽出する段階;
    有機相を回収する段階;および
    該有機相を蒸留してスラリーを形成する段階。
  14. 以下から選択される1つまたは複数の段階をさらに含む、請求項13記載の方法:
    非極性炭化水素溶媒を前記スラリーに添加する段階;
    該スラリーを撹拌する段階;および
    該スラリーをろ過する段階。
  15. 化合物A二塩酸塩:
    Figure 2021191782
    の多形を作製する方法であって、段階5a:化合物A:
    Figure 2021191782
    をHClと反応させる段階を含み、段階5aが、任意で化合物Aをアセトン中に溶解した後、化合物Aの溶液にHClを添加する段階を含む、方法。
  16. 化合物A二塩酸塩のシード多形を添加して、スラリーを形成する段階をさらに含む、請求項15記載の方法。
  17. 段階5aの後に、段階5b:化合物A二塩酸塩の多形を再結晶させる段階をさらに含む、請求項15記載の方法。
  18. 段階5bが以下を含む、請求項16記載の方法:
    化合物A二塩酸塩の多形をアセトンおよび水と混合し、任意で混合物を加熱する段階;
    アセトンを該混合物に添加し、任意で該混合物を冷却する段階;
    化合物A二塩酸塩のシード多形を添加する段階。
  19. 請求項1記載の方法に従って調製した化合物Aまたはその塩を含む、薬学的組成物。
  20. 請求項15記載の方法に従って調製した化合物A二塩酸塩の多形を含む、薬学的組成物。
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