JP2021190633A - コモンモードチョークコイルおよびその製造方法 - Google Patents

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祐二 安岡
Yuji Yasuoka
知宏 藤田
Tomohiro Fujita
竜次 門野
Ryuji Kadono
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Abstract

【課題】高いインダクタンスで、ばらつきも小さく、磁性板と磁性コアの接合強度が大きい信頼性の高いコモンモードチョークコイルを得ることを目的とする。【解決手段】巻芯部11とこの巻芯部11の両端部に設けられた1対の鍔部12、13とを有して成る磁性コア10と、鍔部12、13に形成された外部電極14と、巻芯部11に巻回され且つ端部が外部電極14まで引き出されて接合された1対の巻線15と、1対の鍔部12、13に磁性材を含んだ磁性接着剤17で接合された磁性板16とを備えるコモンモードチョークコイルであって、磁性板16は、鍔部12、13と接合される接合部16aと巻芯部11と対向する対向部16dとを有し、磁性接着剤17は、磁性板16の接合部16aおよび対向部16dの全面に形成されたものである。【選択図】図1

Description

本発明は、磁性コアとワイヤとを備えたコモンモードチョークコイルに関し、特にノイズを除去するコモンモードフィルタに用いる好適なコモンモードチョークコイルに関する。
従来、電源ラインの不要輻射ノイズ対策や高周波信号のコモンモードノイズ対策等に巻線型コモンモードチョークコイルの利用が知られている。
このような従来技術のコモンモードチョークコイルは、巻芯の両側に鍔部が形成されたフェライト磁性コアと、磁性コアの巻芯にバイファイラ巻等によって数ターン〜数十ターン巻回された複数の絶縁被膜銅線からなるワイヤと、磁性コアとほぼ同じ透磁率を有し磁性コアの両方の鍔部間を接着剤により接合した磁性板とによって構成されている。磁性コアおよび磁性板はフェライト粉末に結合剤を混ぜてプレス成型し、これを焼成することによって得られる。さらに、両方の鍔部または一方の鍔部には複数の電極が形成され、ワイヤの巻始めの端部と巻終りの端部はこれらの電極に対してそれぞれ半田付け、熱圧着等によって導電接続されている。そして、このようなコモンモードチョークコイルでは、コアの巻芯に巻回するワイヤの巻回回数を適宜設定することによって所望のインピーダンス値を得ていた。
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特開2014−99587号公報
特許文献1の構成はドラムコアと板状コアとの隙間内に接着剤が配置され、この隙間はドラムコア鍔の縁部から中央に向かって次第に狭くなり、中央部では板状コアと鍔部が直接接触している。この中央に向かって次第に狭くなる隙間に接着剤を介してドラムコアと磁性板とが接合されている。
鍔の中央付近で磁性板と鍔とが直接密着しているので磁気的なギャップによる影響を低減し、しかも鍔縁部には必要最小限の接着剤が存在しているので板状コアとドラムコアの高い接着強度を得ることができる。
しかしながら、この構成を実現するためにはドラムコア両鍔の上面、ならびに板状コアのドラムコア鍔対向面を研磨する必要が生じ、このような研磨に際しては研磨、洗浄、乾燥などの煩雑な工程を経なければならないため生産性が非常に劣ることとなる。
また、所定周波数の信号がコイル部品のコイルに入力されると、ドラムコア中芯、ドラムコア一方の鍔、磁性板、ドラムコア他方の鍔、ドラムコア中芯をループするように信号に対応した磁力線が内部に発生する。磁性板とドラムコア鍔間の隙間部間隔2μm程度であれば、磁性粉を含まない接着剤でも大部分の磁力線の漏れは生じないが、隙間部間隔が大きくなると磁力線漏れも大きくなる。加えて磁力線のループはドラムコア鍔部の磁性板
と対向するドラムコア鍔部の中芯側角部付近も通過しているので、この磁力線のループの軌跡を覆う磁性体がなければここでも磁力線の漏れを生じ、結果的にはインダクタンス値の低下を招く。
本発明は煩雑な工程を経ることなく製造することができ、ドラムコアと板状コアとの固着力の低下を抑制し、かつ磁力線の漏れも抑えたバラツキの少ないインダクタンス値のコモンモードチョークコイルを提供することである。
本発明はこの課題に対して巻芯部及び巻芯部の両端部に設けられた1対の鍔部を有して成る磁性コアと、磁性コアの鍔部に形成された外部電極と、磁性コアの巻芯部に巻回され且つ各端部が外部電極まで引き出されて接合された1対の巻線と、磁性コアの鍔部に接着剤で接合された磁性板とを備えるコモンモードチョークコイルであって、磁性板は、磁性コアの鍔部と接合される接合部と磁性コアの巻芯部と対向する対向部とを有し、接着剤は、磁性板の接合部と対向部の全面に形成したものである。
上記構成により、磁性コアと磁性板との接合部に確実に接着剤を介し、かつ磁性コア鍔部の中芯側角部を完全に包み、磁力線のループ軌跡をも完全にカバーしているのでインダクタンス値の低下もなく、バラツキの少ない安定したものが得られる。更には接着剤が磁性板の接合部および中芯都の対向部にも連続して形成されているので、磁性コアと磁性板との極めて高い接合強度が実現できる。
本発明においては磁性板の対向部に溝部を設けている。接着剤層を形成した磁性板を磁性コア両鍔部に渡るように取り付けるとき余分な接着剤を溝部に収納するためのものである。仮に余分な接着剤が巻線に垂れて付着したままにしておくと、巻線被膜樹脂成分と接着剤の樹脂成分による熱膨張差により、晒される環境下によっては巻線被膜の破壊が懸念されるからである。この溝の形成により巻線被膜の破壊が回避できる。
本発明の接着剤には磁性粉が含まれていることが望ましい。接着剤に磁性粉を含ませることで接着剤の透磁率が高まり磁力線のループを確実に通過させることができる。
本発明の一実施の形態におけるコモンモードチョークコイルの側面図 本発明の一実施の形態における別のコモンモードチョークコイルの側面図 従来の形態におけるコモンモードチョークコイルの側面図 本発明の一実施の形態におけるコモンモードチョークコイルの製造方法を説明する図 本発明の一実施の形態におけるコモンモードチョークコイルの製造方法を説明する図
以下、本発明の一実施の形態におけるコモンモードチョークコイルについて図面を参照しながら説明する。
図1(A)は本発明の一実施例におけるコモンモードチョークコイルの側面図、図1(B)は図1(A)の破線で囲まれた領域の拡大図である。図2(A)は本発明の一実施例における別のコモンモードチョークコイルの側面図、同様に図2(B)は図2(A)の破線で囲まれた領域の拡大図である。磁性コア10は巻芯部11とこの巻芯部11の両端部に設けられた鍔部12と13からなり、この巻芯部11に絶縁被覆された1対の導線が巻
回されることによって巻線15を構成している。それぞれの導線の端部は鍔部12及び13に設けられた外部電極14に電気的に接続されている。
一対の鍔部12および鍔部13の上部には磁性板16が磁性接着剤17を介して接合されている。図1(B)および図2(B)の拡大断面図に、鍔部12と磁性板16の詳細な接合構造を記載している。鍔部12の磁性板16と対向する面には鍔部接合部12a、鍔部巻芯側角部12b、鍔部外側角部12cがあり、磁性接着剤17はこれら領域上に形成されている。
図1(B)の磁性板16には鍔部接合部12aと対向する接合部16a、磁性板外側角部16c、巻芯部11と対向する対向部16dがあり、これら領域上に磁性接着剤17が形成され鍔部接合部12a、鍔部巻芯側角部12b、鍔部外側角部12cと接合されている。
ここで接着剤には樹脂に磁性粉を含有させた磁性接着剤を用いるのが望ましい。接着剤に磁性粉を含まない場合、磁性板と鍔部のギャップが2μm以下であれば磁束の漏れが生じないが、それ以上になると漏れが生じインダクタンス値の低下を招く。ギャップが2μm以上と大きい場合、接着剤に磁性粉を混ぜることで磁束漏れの影響を低く抑えることができる。
本発明ではエポキシ樹脂に1に対して重量比で2の磁性粉を混ぜている。これを用いることでギャップが10μm以上あったとしても磁束の漏れを極力低く抑えることが可能となる。
次に磁性板に溝部を設けた構成を説明する。図2(B)の磁性板16には、接合部16a近傍の対向部16dに溝部16eが形成されている。磁性板16と磁性コア10接合時の押圧力による巻線15側への磁性接着剤17の溢れ出しをこの溝部16eによって吸収するものである。この溝部16eにより磁性接着剤17の巻線15への付着を確実に抑えることが可能となる。磁性接着剤17が巻線15に付着した場合、導線被覆樹脂と磁性接着剤樹脂との熱膨張差により冷熱サイクルで導線被覆樹脂にストレスが負荷され被覆樹脂層破断や高周波特性に影響を及ぼす可能性が高い。これを回避するため磁性板16に溝部16eを設けたものである。
このときの溝部16eの幅は100μm以上、深さは20μm以上であれば良い。好ましくは幅100μm〜300μm、深さは20μm〜50μmが望ましい。例えば溝部幅50μm以下とすると、溢れだした磁性接着剤を収納する体積を確保するには磁性板溝部深さを深くする必要が生じる。その深さを50μm以上とすると、たとえ収納する体積を確保できたとしても溝部切れ込みが鋭角となるため、溢れ出た磁性接着剤が溝部に入り込みにくく空孔が生じやすくなる。また、深い切れ込みを入れることで磁性板そのものに内部クラックを生じさせやすく、更には切れ込み先端部に応力が集中し、磁性板焼成後に磁性板全体の反りを生じさせる原因にもなる。従って、溝部幅は100μm以上であり、その深さは50μm以下が好ましい。
溝幅を広くしすぎると磁性接着剤の漏れ出しを収納する体積も広くなり、磁性接着剤の未充填個所も生じ、磁性板対向部の全面に磁性接着剤層を形成することが困難となる。結果的に磁性接着剤の欠落している部分で磁束の漏れが生じるので広すぎる溝幅は好ましくない。望ましい範囲としては100μm〜300μm程度である。
周波数信号が外部電極14から巻線15に入力されると巻芯部11、鍔部12、磁性接着剤17、磁性板16、磁性接着剤17、鍔部13、巻芯部11を通る信号に対する磁束
ループが発生する。磁性板16と鍔部12および鍔部13の隙間部間隔2μm以下であれば、磁性材を含まない接着剤でも大部分の磁束の漏れは生じないが、隙間部間隔が大きくなると磁束漏れも大きくなる。
ここで特許文献1との違いを比較してみると、特許文献1は磁性材などのフィラーを含まない接着剤を用いている。鍔部中心部は平坦とし、この部分に接着剤を介在させずに磁性板と直接接触させることにより、閉磁路を形成し磁気抵抗を小さくすることで大きなインダクタンスを得ていると記載されている。しかしながら特許文献1は鍔部縁部ではテーパー部が設けられ、このテーパー部では磁性板と非接触であるため磁気的ギャップ部が形成され、磁気抵抗が生じ磁束漏れによるインダクタンス低下を招いている。
本発明の構成を特許文献1に適用する場合は、磁性材を含む接着剤を用いることが必須である。仮に全面に渡って磁性材を含まない接着剤を介在させたとすると大きなインダクタンス低下を招く。しかしながら鍔部テーパー部および平坦部と磁性板との間に磁性材を介在させると磁気抵抗が生じず高いインダクタンスを保つことができる。更には磁性接着剤による接着面積も大きくとることができるので極めて大きな接合力を得ることができる。
磁性コア10はフェライト粉体にバインダーを混ぜてプレス成型し、これを焼結することで形成されたものである。フェライト粉体成形品はフェライト粉体のプレス金型からの抜け性を改善するために磁性コア10のそれぞれの角部を面取りせざるを得ない。従って、磁性接着剤17が形成される鍔部巻芯側角部12b、13b、鍔部外側角部12c、13cにも一定の曲率半径の面取りRが形成されている。磁束のループは鍔部接合部12a、13aの中央領域のみならず、鍔部巻芯側角部12b、13bも通過するのでこの部分に磁性材が存在しない場合には磁束の漏れが生じ、インダクタンス値の低下を招く結果となる。
図3(A)は従来のコモンモードチョークコイルで、図3(B)は鍔部12と磁性板16との磁性接着剤17を介した接合部分の拡大断面図である。この拡大断面図においては鍔部巻芯側角部12bが磁性接着剤で覆われていない。すなわち、この部分では磁束の漏れが生じインダクタンスの低下を招くことになる。それに対し、本発明の構成のコモンモードチョークコイルは磁束が通過する軌跡を、磁性接着剤17でもれなくカバーしていることからインダクタンスの低下はなく、安定したバラツキの特性を確保することが可能となる。
更に、本開示の鍔部12、13と磁性板16との磁性接着剤17を介した接合面積も広いことから、従来のコモンモードチョークコイルに比べ接着強度も強固なものが得られる。
次に本開示の実施の形態におけるコモンモードチョークコイルの製造方法について説明する。
磁性コア10は巻芯部11と、巻芯部の両端に設けられた一対の鍔部12および13からなり、フェライト粉体にバインダーを混ぜてプレス成型し、これを焼結させることにより得られる。鍔部12および13の外側面から底面に渡る一体ものの外部電極14が磁性接着剤17で接合されている。巻芯部11には絶縁被覆された一対の導線を巻回し、外部電極14にレーザー溶接で電気的に接続されている。
図4は上記工程以後の本発明の製造方法を示す概略図である。図4は特に図2に示された磁性板16に溝部16eを形成したコモンモードチョークコイルの製造方法である。磁
性板16はフェライト磁性材をバインダーを含む有機溶剤に分散させたスラリーとし、これをシート状に成型し、フェライトグリーンシートを得る。フェライトグリーンシートの厚さは約30μmとし、これを26枚積層し、本加圧することにより図4(A)の厚さ0.7mmの積層体が得られる。積層体に溝部を形成するための高さ約20μm、幅約100μmの半円弧上突起を複数個設けたスタンパーに押し当て、フェライトグリーンシート積層体に溝部を形成する。
次いで、これを所定寸法に切断したあと、焼成することにより溝部の形成された個片の磁性板16が得られる。この後バレル研磨を行うことにより磁性板16の角部を面取りし、外周全体を粗面化する。これにより磁性板16のチッピングを抑え、アンカー効果により磁性接着剤との接合も強固となる。この時の磁性板16の厚みは約0.6mmとなる。
上記磁性板16を固定治具(図示せず)に並べ、この上に印刷等により磁性接着剤17を図4(B)のように形成する。磁性接着剤17のパターンは磁性板16の溝部16eに相当する箇所には形成されていない。この時の磁性接着剤17の厚みは約30μmである。磁性接着剤の厚みはこの数値に限定されるものではなく、鍔部接合部の平坦度と鍔巻芯側角部の面取りRによって決定される。30μmの厚みは鍔部角部の面取りR半径約20μm、鍔部接合部の平坦度5〜10μmから決定したものである。
外部電極14に周波数信号を入力すると磁束のループは鍔部巻芯側角部も通過する。この部分に磁性材が存在しなければ磁束漏れが生じインダクタンス低下を招くが、少なくとも鍔部巻芯側角部が露出しないよう角部Rより厚い接着剤の層が形成されていれば、鍔部巻芯側角部を通過する磁束ループの漏れを防ぐことができ、高いインダクタンスを確保することができる。
磁性接着剤17の具体的な厚みについては10〜50μm、好ましくは20〜40μmが望ましい。鍔部接合部の平坦度は5〜10μm程度であることから、鍔部接合部と磁性板接合部間を隙間なく磁性接着剤で埋めるためには磁性板平坦度以上の厚さが必要であり、かつ鍔部巻芯側角部の面取りR半径以上の厚みが必要である。
次いで図4(C)のように磁性接着剤17形成面を上方に向けたまま、巻線、レーザー溶接の完了した磁性コア10の鍔部接合部12a、13aを下方に向け、磁性接着剤17の形成面に押し当てる。この押し当てにより、鍔部接合部12a、13aから溢れだした磁性接着剤17の一部は磁性板16の溝部16eに入り込み、巻線15に付着する確率が極めて低くなる。本発明では溝部16eの深さ20μm、幅100μm以上としたがこれに限定されるものではない。鍔部の寸法、平坦度によっては適宜溝部の大きさを変える必要がある。
その後、磁性接着剤硬化温度150℃で1時間処理することで磁性コア10と磁性板16を固着し、コモンモードチョークコイルを完成させる。
図5は磁性コア10がフープなどに固定され鍔部接合部12aおよび13aが上を向いている場合の製造方法である。フェライトシート積層体の溝部16eを形成する方法は図4の製造方法と同一なので説明を省略する。
PET等の樹脂シート19に磁性接着剤17のパターンを形成する。印刷法では磁性板個片に対応した印刷パターンや、溝部を切り込んだブレードでライン状のパターンを形成しても良い。この時の磁性接着剤17の厚みも約30μm程度である。次いで磁性板16の溝部16e面を下方に向け磁性接着剤パターンに押し当て、磁性接着剤17のパターンを磁性板16上に転写する。次いでフープなどに固定され、巻線15が施された磁性コア
10上に磁性接着剤パターンが形成された磁性板16を押し当てる。この押し当てにより、鍔部接合部12a、13aから溢れだした磁性接着剤17の一部は磁性板16の溝部16eに入り込み、巻線15に付着する確率が極めて低くなる。その後、接着剤硬化温度150℃で1時間処理することで磁性コア10と磁性板16を固着し、フープ等から切り離し、コモンモードチョークコイルを完成させる。
従来の接着剤の形成方法についてここで説明する。特許文献1では鍔上に接着剤を形成した後、磁性板をその面に押し当て、接着剤の毛管現象等を利用して伸ばし、固着している。接着剤の塗布方法については記載されていないがピン転写法や、ディスペンサ塗布方法等により形成する手法が一般的である。鍔部の接着剤塗布面の研磨により平坦化を促進させたものであれば磁性板と鍔部を隙間なく接着剤で埋めることは可能であるが、研磨されていないものは接着剤充填不足などの不具合が生じやすい。
磁性粉の粉体成形で作製された磁性コアの各平面は平坦度に劣る。磁性板と対向する鍔接合部の平坦度を測定すると、左右両鍔の巻芯方向と平行な方向で5〜10μm程度凹んでいる。すなわち鍔接合部の外面側が高く、巻芯側が低い状態となっている。この状態の鍔接合部にピン転写やディスペンサで接着剤を塗布し、磁性板を押し当てたとしても接着剤の介在しない個所が発生しやすい。加えて鍔は巻芯側に向かうほど低くなっているので、接着剤の介在しない確率が極めて高くなり、この部分での磁束の漏れが生じることとなる。
従って、本発明の製造方法で述べたように磁性材を含んだ接着剤を磁性板の接合部および対向部の全面に形成すれば、磁束の漏れを抑えることができるのでインダクタンス等を設計通りに実現し、かつそのばらつきも小さくすることが可能となる。加えて磁性板と鍔部の接着剤を介した接合面積が広いので接着強度も高いものが実現できる。
次に具体的な実施例について説明する。
実施例1:3.2mm×2.5mmサイズ、鍔幅600μm、1MHz透磁率880の磁性コアと1MHz透磁率800と、40μm径Cu線を磁性コアの巻芯部に30ターン巻回し、1重量部のエポキシ樹脂に2重量部のNi−Zn系フェライト粉を分散させた磁性接着剤を介して磁性コアと磁性板を接合し図1のコモンモードチョークコイルを10素子作製した。製造方法は図4の方法に則って行った。コモンモードチョークコイル作製後の磁性板と鍔部との間の磁性接着剤の厚みは10μmである。
実施例2:同様に3.2mm×2.5mmサイズ、鍔幅600μm、1MHz透磁率880の磁性コアと1MHz透磁率800と、40μm径Cu線を磁性コアの巻芯部に30ターン巻回し、1重量部のエポキシ樹脂に2重量部のNi−Zn系フェライト粉を分散させた磁性接着剤を介して磁性コアと磁性板を接合し図2のコモンモードチョークコイルを10素子作製した。製造方法は図4の方法に則って行った。この時の磁性板と鍔部との間の磁性接着剤の厚みは10μmである。
比較例1:3.2mm×2.5mmサイズ、鍔幅600μm、1MHz透磁率880の磁性コアと1MHz透磁率800と、40μm径Cu線を磁性コアの巻芯部に30ターン巻回し、1重量部のエポキシ樹脂に2重量部のNi−Zn系フェライト粉を分散させた磁性接着剤を介して磁性コアと磁性板を接合し図3のコモンモードチョークコイルを10素子作製した。製造方法は従来の方法でピン転写により450μm径、高さ60μmの磁性接着剤ドット4点塗布した。この時の磁性板と鍔部間の磁性接着剤の厚みは10μmである。
上記コモンモードチョークコイルの1MHzインダクタンス値とそのバラツキ、磁性板と磁性コアの接合強度をプッシュプルゲージで測定した。磁性コアの両鍔をバイス挟み固定し、磁性板の長手方向から押しピンで押し込み、磁性板が外れる強度又は磁性板と磁性コアが破壊する強度を測定した。これらの結果を表1に示す。
Figure 2021190633
インダクタンスについては、シミュレーションでは1MHz:95μHを想定して設計したものであり、実施例1および実施例2は設計値通りの値が実現できており特性値ばらつきも小さい。比較例は設計値より10μH低い。磁性接着剤が鍔部巻芯側角部を被覆できていないことが原因である。ちなみに比較例1の鍔部巻芯側角部に後付けで磁性接着剤と追塗布し、角部を磁性接着剤で完全に覆うとインダクタンス値は91μHまで高くなった。それでも設計値95μHまで届かなかったのは磁性コアと鍔部の接合部に磁性接着剤未充填部分があったためである。また、磁性板と磁性コアの接着強度も実施例1および2の方が従来の比較例より明らかに高い値を示している。ここでは磁性接着剤を使用した例をあげたが磁性材を含まなければ実施例1でも平均インピーダンスは70μHまで低下する。磁性板接合部と鍔部接合部の磁気抵抗が大きくなったためである。磁性材を含んだ接着剤を用いることが特性的にも優位である。
以上の製造方法において、スタンパーで磁性板に溝部を形成する方法を述べたが、磁性コア鍔部の平坦度は外面が高く、巻芯側が低いのであれば、スタンパーの形状も凹面状に加工し、鍔部の形状に合わせた磁性板を作製することも可能である。これにより磁性コアと磁性板の隙間も小さくできるので、よりバラツキの少ないでインダクタンス値を実現することも可能となる。
本発明のコモンモードチョークコイルおよびその製造方法は高いインダクタンスで、かつ、そのばらつきも小さく、しかも磁性板と磁性コアの接合強度が大きい信頼性の高いコモンモードチョークコイルを得ることができ、産業上有用である。
10 磁性コア
11 巻芯部
12 鍔部
12a 鍔部接合部
12b 鍔部巻芯側角部
12c 鍔部外側角部
13 鍔部
13a 鍔部接合部
13b 鍔部巻芯側角部
13c 鍔部外側角部
14 外部電極
15 巻線
16 磁性板
16a 接合部
16c 磁性板外側角部
16d 対向部
17 磁性接着剤
19 樹脂シート

Claims (6)

  1. 巻芯部とこの巻芯部の両端部に設けられた1対の鍔部とを有して成る磁性コアと、前記鍔部に形成された外部電極と、前記巻芯部に巻回され且つ端部が前記外部電極まで引き出されて接合された1対の巻線と、前記1対の鍔部に磁性接着剤で接合された磁性板とを備えるコモンモードチョークコイルであって、前記磁性板は、前記鍔部と接合される接合部と前記巻芯部と対向する対向部とを有し、前記磁性接着剤は前記磁性板の前記接合部および前記対向部の全面に形成されたコモンモードチョークコイル。
  2. 前記磁性板の対向部に溝部を設けた請求項1記載のコモンモードチョークコイル。
  3. 前記溝部の幅が100μm以上、深さが20μm以上であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコモンモードチョークコイル。
  4. 巻芯部とこの巻芯部の両端部に設けられた1対の鍔部とを有して成る磁性コアと、前記鍔部に形成された外部電極と、前記巻芯部に巻回され且つ端部が前記外部電極まで引き出されて接合された1対の巻線と、前記1対の鍔部に磁性接着剤で接合された磁性板とを備えるコモンモードチョークコイルの製造方法であって、複数の磁性シートを積層、プレスして積層体を作る工程と、少なくとも一方に凸部を設けた平行平板金型により前記積層体をプレスして前記磁性板に溝部を設ける工程と、前記溝部を設けた前記積層体を個片に切断、焼成する工程と、焼成した前記磁性板の溝部を上面にして複数個並べ印刷により磁性材を含む磁性接着剤を形成する工程と、前記磁性接着剤上に前記磁性コアの鍔部を押圧した後、熱硬化させる工程と、を有し、前記磁性接着剤は前記磁性板の前記磁性コアと対向する面全面に形成されているコモンモードチョークコイルの製造方法。
  5. 巻芯部とこの巻芯部の両端部に設けられた1対の鍔部とを有して成る磁性コアと、前記鍔部に形成された外部電極と、前記巻芯部に巻回され且つ端部が前記外部電極まで引き出されて接合された1対の巻線と、前記1対の鍔部に磁性接着剤で接合された磁性板とを備えるコモンモードチョークコイルの製造方法であって、複数の磁性シートを積層、プレスして積層体を作る工程と、少なくとも一方に凸部を設けた平行平板金型により前記積層体をプレスして前記磁性板に溝部を設ける工程と、前記溝部を設けた前記積層体を個片に切断、焼成する工程と、樹脂フィルム上に磁性材を含む接着剤を印刷し、前記溝部を有する前記磁性板の面を前記樹脂フィルム上の接着剤に押し当て、前記溝部を有する磁性板の面に前記磁性接着剤を転写する工程と、前記磁性接着剤を形成した前記磁性板を前記磁性コアの鍔部に押圧した後、熱硬化させる工程と、を有し、前記磁性接着剤は前記磁性板の前記磁性コアと対向する面全面に形成されているコモンモードチョークコイルの製造方法。
  6. 前記磁性板の前記巻芯部に対向する部分に形成された前記磁性接着剤の厚みは、前記鍔部の角部Rより厚い請求項4または請求項5記載のコモンモードチョークコイルの製造方法。
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