JP2021188044A - 被覆材セット、被膜形成方法及び積層体 - Google Patents

被覆材セット、被膜形成方法及び積層体 Download PDF

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道生 川原
Michio Kawahara
遼典 五呂
Ryosuke Goro
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Abstract

【課題】簡便な方法により、鱗片状粒子の模様に偏りが生じにくく、均一な色味を呈する美観性に優れた被膜を形成することができる被覆材を提供する。【解決手段】積層被膜を形成するための被覆材セットであって、上記被覆材セットは、少なくとも第1被覆材及び第2被覆材からなり、上記第1被覆材は、ベース層を形成する被覆材であり、上記第2被覆材は、樹脂成分及び着色粒子を含み、意匠層を形成する被覆材であり、上記着色粒子は、ベース色鱗片状粒子及びアクセント粒子を含み、上記ベース層と、上記ベース色鱗片状粒子の色差(△E)が0.5〜15であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、新規な被覆材セット等に関するものである。
従来、建築物や土木構造物に自然石調の美観性を付与する装飾仕上げ工法が知られている。近年、自然石特有の多彩な色彩等の意匠性を有する装飾仕上げが望まれるケースも増えている。このような工法として、例えば、特許文献1には、下地材上に複数色の着色雲母(鱗片状粒子)を混合した樹脂を塗付する方法が記載されている。このように鱗片状粒子を使用した場合、形成被膜の薄膜化、軽量化等にも有利である。
特開平6−262134号公報
しかしながら、上記特許文献1のように複数色の鱗片状粒子を組み合わせて含む被覆材を塗装した場合、鱗片状粒子どうしの部分的な重りや密集部、あるいは疎ら部等により、形成される模様や色味にムラを生じるおそれがあった。
本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、簡便な方法により、鱗片状粒子の模様に偏りが生じにくく、模様や色味にムラの少ない統一感のある意匠を呈する美観性に優れた被膜を形成することができる被覆材を提供することを目的とするものである。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、少なくとも2種の特定の被覆材からなる被覆材セット等に想到し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の特徴を有するものである。
1.積層被膜を形成するための被覆材セットであって、
上記被覆材セットは、少なくとも第1被覆材及び第2被覆材からなり、
上記第1被覆材は、ベース層を形成する被覆材であり、
上記第2被覆材は、樹脂成分及び着色粒子を含み、意匠層を形成する被覆材であり、
上記着色粒子は、ベース色鱗片状粒子及びアクセント粒子を含み、
上記ベース層と、上記ベース色鱗片状粒子の色差(△E)が0.5〜15であることを特徴とする被覆材セット。
2. 基材に対し、第1被覆材及び第2被覆材を順に塗付する被膜形成方法であって、
上記第1被覆材は、ベース層を形成する被覆材であり、
上記第2被覆材は、樹脂成分及び着色粒子を含み、意匠層を形成する被覆材であり、
上記着色粒子は、ベース色鱗片状粒子及びアクセント粒子を含み、
上記ベース層と、上記ベース色鱗片状粒子の色差(△E)が0.5〜15であることを特徴とする特徴とする被膜形成方法。
3.基材上に、ベース層及び意匠層を順に積層してなる積層体であって、
上記ベース層は、第1被覆材により形成され、
上記意匠層は、樹脂成分及び着色粒子を含む第2被覆材より形成され、
上記着色粒子は、ベース色鱗片状粒子及びアクセント粒子を含み、
上記ベース層と、上記ベース色鱗片状粒子の色差(△E)が0.5〜15であることを特徴とする積層体。
本発明によれば、鱗片状粒子の偏りが生じにくく、模様のバランス(配置)が良好であり、アクセント模様による多彩感を有し、かつ色味にムラの少ない統一感のある意匠を呈する美観性に優れた被膜を形成することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明は、積層被膜を形成するための被覆材セットに関するものであり、少なくとも第1被覆材及び第2被覆材からなることを特徴とする。
<第1被覆材>
本発明の第1被覆材は、ベース層を形成する被覆材である。第1被覆材としては、少なくとも樹脂成分(A)及び着色顔料(B)を含むことが好ましい。樹脂成分(A)(以下「(A)成分」ともいう)としては、特に限定されないが、水溶性樹脂及び水分散性樹脂(樹脂エマルション)から選ばれる1種以上が好適である。樹脂の種類としては、例えば、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。これらは1種または2種以上で使用することができる。本発明では、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂が好ましい。また、これら(A)成分は架橋反応性を有するものであってもよい。架橋反応性を有する(A)成分を使用した場合は、被膜の耐水性、耐候性、耐薬品性等を向上させることができる。
本発明では、(A)成分として、特に、アクリル樹脂が好適である。アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが樹脂骨格の主成分となるものであり、必要に応じその他のモノマーを共重合したものである。なお、本発明では、アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルを合わせて、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと表記している。また、モノマーとは、重合性不飽和二重結合を有する化合物の総称である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
その他のモノマーの具体例としては、例えば、
スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族モノマー;
(メタ)アクリロニトリル、シアン化ビニリデン、α−シアノエチル(メタ)アクリレート等のニトリル基含有モノマー;
マレイン酸アミド、(メタ)アクリルアミド、N−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタクリレート)、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、ビニルアミド等のアミド基含有モノマー;
アクロレイン、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン等のカルボニル基含有モノマー;
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、イソクロトン酸、サリチル酸等のカルボキシル基含有モノマー;
アミノメチルアクリレート、アミノエチルアクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、アミノ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ブチルビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、p−アミノスチレン、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー;
グリシジル(メタ)アクリレート、ジグリシジルフマレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシビニルシクロヘキサン、アリルグリシジルエーテル、ε−カプロラクトン変性グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマー;
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;
フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン系モノマー;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有モノマー;
エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、ビニルエーテル、ビニルケトン、;等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上で使用することができる。
その他のモノマーとして、上記アルコキシシリル基含有モノマーを使用した場合は、アクリルシリコン樹脂を得ることができる。
(A)成分は、上記モノマーを適宜混合したモノマー群を乳化重合することにより製造することができる。重合方法としては公知の方法を採用すればよく、通常の乳化重合の他、ソープフリー乳化重合、フィード乳化重合、シード乳化重合等を採用することもできる。重合時には、乳化剤、開始剤、分散剤、重合禁止剤、重合抑制剤、緩衝剤、連鎖移動剤等を使用することができる。
乳化剤としては、乳化重合に使用可能な各種界面活性剤が使用でき、これらは重合性不飽和二重結合を有する反応性タイプ(反応性界面活性剤)であってもよい。乳化剤としては、好ましくはアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤をそれぞれ単独でまたは組み合わせて用いればよい。
上記(A)成分のガラス転移温度(以下、単に「Tg」という。)は、好ましくは−50℃〜50℃に設定する。Tgがこのような範囲内であれば、本発明の効果を安定して得ることができる。なお、本発明におけるTgは、Foxの計算式により求められる値である。また、上記(A)成分の平均粒子径は、好ましくは300nm以下(より好ましくは20〜200nm)である。平均粒子径がこのような範囲内であれば、被膜の耐水性、耐候性、耐薬品性等を向上させることができる。なお、ここに言う平均粒子径は、動的光散乱法により測定される値である。
着色顔料(B)(以下「(B)成分」ともいう)は、第1被覆材に色彩、隠ぺい性等を付与する成分である。(B)成分としては、例えば、酸化第二鉄(弁柄)、黄色酸化鉄、群青、コバルトグリーン等の無機有彩色顔料;アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機有彩色顔料;カーボンブラック、鉄‐マンガン複合酸化物、鉄‐銅‐マンガン複合酸化物、鉄‐クロム‐コバルト複合酸化物、銅‐クロム複合酸化物、銅‐マンガン‐クロム複合酸化物、黒色酸化鉄等の黒色顔料;酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ等の白色顔料;その他光輝性顔料(パール顔料、アルミニウム顔料、メタリック顔料等)、蓄光顔料、蛍光顔料等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。(B)成分の平均粒子径は、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.01〜0.9μmである。着色顔料の平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置によって測定される。なお、本発明において「α〜β」は「α以上β以下」と同義である。
(B)成分は、(A)成分の固形分100重量部に対し、好ましくは3〜300重量部(より好ましくは5〜250重量部)含まれる。(B)成分がこのような比率であれば、第1被覆材(ベース層)を所望の色彩に着色することができ、美観性等を高めることができる。
さらに、第1被覆材は、着色顔料以外の粉体成分(以下「(C)成分」ともいう)を含むことが好ましい。このような(C)成分としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、珪藻土、含水微粉珪酸、タルク、マイカ、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、シリカ粉、水酸化アルミニウム等の体質顔料;シリカ粒子、寒水石、珪藻土、珪石、珪砂、砂利、ガラスビーズ、樹脂ビーズ、金属粒、または岩石、ガラス、陶磁器、貝殻、焼結体、コンクリート、モルタル、プラスチック、ゴム等の破砕品等の粉粒体等が挙げられる。これらは着色が施されたものであってもよい。これらは1種または2種以上で使用できる。
また、(C)成分は、粒子径1〜1000μm(より好ましくは5〜850μm、さらに好ましくは10〜600μm)であることが好ましい。また、例えば、粒子径が53〜300μmの粉粒体(C1)を、(C)成分総量中に好ましくは40重量%以上(より好ましくは45重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上)含む場合、よりいっそう美観性に優れた被膜を形成することができる。なお、その上限は好ましくは100重量%以下(より好ましくは95重量%以下、さらに好ましくは90重量%以下)である。このような態様は、本発明の効果向上の点でいっそう好ましいものである。なお、(C)成分の粒子径は、20μm超の場合には、JIS Z8801−1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けを行うことにより測定できる。また、20μm以下の場合には、レーザー回折式粒子径分布測定装置を用いて測定できる。
(C)成分は、(A)成分の固形分100重量部に対し、好ましくは10〜600重量部(より好ましくは30〜500重量部、さらに好ましくは50〜400重量部)含まれる。(C)成分をこのような比率で含むことにより、よりいっそう美観性に優れたベース層を形成することができる。また、粒子径が53〜300μmの粉粒体(C1)を含むことにより、ベース層表面に(C1)成分に由来する微細な凹凸を形成することが可能となる。これにより、均質な色味として視認されやすくなり、本発明の効果をよりいっそう高めることができる。さらには、意匠層の鱗片状粒子端部の跳ね上がり等に由来するザラツキ感を抑制することができる。
第1被覆材は、上記成分を公知の方法によって均一に混合することで製造することができるが、必要に応じて、通常被覆材に使用可能なその他の成分を混合することもできる。このような成分としては、例えば、顔料分散剤、乳化剤、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、カップリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、乾燥調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、消泡剤、吸着剤、脱臭剤、繊維類、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒、架橋剤等が挙げられる。
<第2被覆材>
本発明の第2被覆材は、意匠層を形成する被覆材であり、樹脂成分(A)、及び着色粒子(D)を含むことを特徴とする。
第2被覆材における樹脂成分(A)としては、特に限定されず、上記第1被覆材の(A)成分と同様の樹脂から選ばれる樹脂を使用することができる。これらは1種または2種以上で使用することができる。
着色粒子(D)(以下「(D)成分」という)は、意匠性を付与するものである。本発明では、(D)成分として、ベース色鱗片状粒子(d1)及びアクセント粒子(d3)を含むことを特徴とする。これにより、ベース色鱗片状粒子(d1)により形成されたベース模様中に、アクセント粒子(d3)が点在したアクセント模様が形成され、鱗片状粒子に由来する模様や色味にムラが少なく統一感のある意匠層を得ることができる。
本発明において、ベース色鱗片状粒子(d1)(以下「(d1)成分」という)とは、意匠層の基調色(ベースカラー)を呈する1色(1種)の鱗片状粒子であり、(D)成分中に主成分として含まれる(最も含有量の多い)成分である。(d1)成分としては、例えば、鱗片状の基体粒子を着色処理したものが挙げられる。具体的に基体粒子としては、例えば、雲母(マイカ)、セリサイト、クレー、タルク、板状カオリン、硫酸バリウムフレーク、ガラスフレーク、アルミナフレーク、貝殻片、金属片等の無機質片、あるいはゴム片、プラスチック片、木片等が挙げられる。着色処理としては、特に限定されないが、例えば、顔料や染料等を含む着色剤を基体粒子に被覆する(あるいは吸着させる)方法、焼成処理等を基体粒子に施す方法等が挙げられる。本発明では、着色剤で被覆処理された雲母(着色マイカ)を使用することが好適である。このような(d1)成分を主成分として含むことにより、意匠性だけでなく、意匠層の薄膜化、軽量化等にも有利である。
本発明における「鱗片状粒子」としては、その形状が鱗片状(薄片状)であれば特に限定されないが、アスペクト比(「短径/厚み」の比)が、1.5〜2000(より好ましくは2〜500、さらに好ましくは3〜100)の粒子であることが好ましい。また、短径と長径との比(短径/長径)が0.3〜1(より好ましくは0.4〜1、さらに好ましくは0.5〜1)であることが好ましい。鱗片状粒子の大きさが、上記範囲を満たす場合、その形状が視認されやすく、意匠として好適である。さらに、意匠層の薄膜化、軽量化等に優れた意匠層を形成することができる。なお、ここに言う「短径」、「長径」、「厚み」とは、鱗片状粒子を水平面に安定に静置させ、上から顕微鏡を用いて観察し最も短い部分の長さを「短径」、最も長い部分の長さを「長径」、底面からの最大高さを「厚み」として算出されるものであり、マイクロメータにより測定される値である。
本発明では、上記第1被覆材により形成されるベース層と、(d1)成分の色差(△E)が0.5〜15(好ましくは1.0〜10、より好ましくは1.5〜8)であることを特徴とする。このような場合、ベース層と(d1)成分の色相が調和して基調色(ベースカラー)として均一な色相が視認されやすく、色味ムラが少なく統一感のある美観性に優れた積層被膜を得ることができる。特に、色差(△E)が上記範囲を満たす場合、意匠層の厚み(塗付量)等が部分的に不均一であっても、色味ムラの少ない美観性に優れた積層被膜を得ることができる。一方、色差(△E)が0.5未満の場合、色味にムラを生じやすい。また、色差(△E)が15を超える場合には、ベース層と意匠層の色相が調和しにくく意匠性に劣るおそれがある。なお、本発明では、(d1)成分の色を基準とし、ベース層と、(d1)成分の色差を上記範囲に設定することが好ましい。
一方、色差(△E)が0.5未満の場合、色味にムラを生じやすい。この作用機構は、限定されるものではないが、第2被覆材により形成される意匠層は、ベース色鱗片状粒子(d1)により意匠を呈するものであり、その重なり具合や、見る方向、環境(光の照射状況)によっては、微妙な変化を生じる場合がある。また、本発明の意匠層は、ベース色鱗片状粒子(d1)により形成されたベース模様中に、アクセント粒子(d3)が点在している。このような被膜においては、ベース色とアクセント色の対比効果(色彩対比)により、ベース色が本来の色とは異なった色相(例えば、彩度が低く感じる、等)として視認されやすい。色差(△E)が0.5未満のベース層と意匠層を積層した場合には、このような鱗片状粒子の特性に起因して色味ムラが視認されやすくなると考えられる。また、色差(△E)が15を超える場合には、ベース層と意匠層の色相が調和しにくく意匠性に劣るおそれがある。なお、本発明では、(d1)成分の色を基準とし、ベース層と、(d1)成分の色差を上記範囲に設定することが好ましい。
上記色差(△E)は、色差計を用いて測定される値であり、それぞれのL*値、a*値、b*値より下記式にて算出することができる。
<式>△E={(L *1−L *2+(a *1−a *2+(b *1−b *2 0.5
式中、
*1、a *1、b *1はそれぞれベース層のL、a、b
*2、a *2、b *2はそれぞれ(d1)成分のL、a、b
なお、上記ベース層のL*、a*、b*は、標準白紙に、すきま2mmのフィルムアプリケータを用いて第1被覆材を塗り、塗面を水平に置いて標準状態(気温23℃、相対湿度50%。以下同様。)で48時間乾燥したときの被膜のL*値、a*値、b*値(測定点3箇所以上の平均値)から算出することができる。
また、(d1)成分のL*、a*、b*は、ガラス板上に、ガラス面が隠蔽されるまで(d1)成分を載置し、その上にPEフィルム(無色透明)を被せた面を測定することにより、算出することができる。
本発明では、(D)成分として、上記(d1)成分に加えて、(d1)成分の類似色(近似色)鱗片状粒子(以下(d2)成分)を含むことができる。(d2)成分は、(d1)成分とともに意匠層の基調色を構成する成分である。(d2)成分としては、(d1)成分の呈する色以外であり、(d1)成分との色差(△E)が2.5未満(好ましくは0超2.4以下)であることが好ましい。このような(d2)成分としては、上記(d1)成分と同様のものが使用できる。また、(d2)成分として、2色以上含む態様も可能である。
なお、上記(d1)成分、上記(d2)成分の色差(△E)は、色差計を用いて測定される値であり、それぞれのL*値、a*値、b*値より下記式にて算出することができる。
<式>△E={(L *3−L *2+(a *3−a *2+(b *3−b *2 0.5
式中、
*2、a *2、b *2はそれぞれ(d1)成分のL、a、b
*3、a *3、b *3はそれぞれ(d2)成分のL、a、b
なお、(d1)成分、(d2)成分のL*、a*、b*は、ガラス板上に、ガラス面が隠蔽されるまで(D)成分を載置し、その上にPEフィルム(無色透明)を被せた面を測定することにより、算出することができる。
本発明では(D)成分として、アクセント粒子(d3)(以下(d3)成分ともいう)を含むことを特徴とする。アクセント粒子とは、上記(d1)成分(及び(d2)成分)により得られる基調色(ベースカラー)模様中に点在し、アクセント模様を付与する成分である。本発明では、(d3)成分として、上記(d1)成分とは、異種及び/または異色の粒子を少なくとも1種含むことを特徴とする。これにより、アクセント模様を有する美観性に優れた意匠を付与することができる。このような(d3)成分としては、例えば、(d1)成分とは異種の粒子である骨材、光輝性顔料等、あるいは(d1)成分と異色の色相を有する鱗片状粒子(アクセント色鱗片状粒子)等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。
(d3)成分として骨材を含む場合、(d1)成分により形成された平坦な模様中に粒状のアクセント模様を付与することができる。骨材としては、例えば、有機質骨材、無機質骨材のいずれも使用でき、また、透明(半透明)骨材、有色骨材のいずれも使用することができる。このような骨材としては、例えば、天然石粉砕物、陶磁器粉、セラミック粉、金属粒、珪砂、長石、珪石、寒水石、ガラスビーズ、ゴム粒、樹脂ビーズ等が挙げられ、これらは着色が施されたものであってもよい。また、上記(d1)成分と同じ色相のものも使用可能である。着色骨材の粒子径は、0.01mm〜5mm(より好ましくは0.03mm〜4.5mm)である。
さらに、(d3)成分として光輝性顔料を含む場合は、(d1)成分により形成された模様中に、輝度感を付与することができる。光輝性顔料としては、例えば、パール顔料、アルミニウム顔料、メタリック顔料等が挙げられる。光輝性顔料の粒子径は、0.5〜100μm(より好ましくは1〜80μm)であることが好ましい。なお、骨材の粒子径は、JIS Z8801−1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けを行うことにより測定できる。また、光輝性顔料の粒子径は、レーザー回折式粒子径分布測定装置を用いて測定できる。
本発明では、(d3)成分として、アクセント色鱗片状粒子(d31)(以下、「(d31)成分」ともいう。)を含むことが好ましい。(d31)成分は、意匠層の強調色(アクセントカラー)を呈するものであり、上記(d1)成分(及び(d2)成分)により得られる基調色(ベースカラー)模様中に点在し、アクセント模様を付与することができる。(d31)成分としては、(d1)成分(及び(d2)成分)の呈する色以外であり、上記(d1)成分と同様のものが使用できる。なお、(d31)成分としては、無着色のものも使用でき、例えば、上記(d1)成分の鱗片状の基体粒子を未処理のまま使用することもできる。また、(d31)成分として、2色以上(好ましくは2〜6色)含む態様も可能である。これにより、ベース層と意匠層を積層した積層体(積層被膜)に、よりいっそう多彩な色彩等の意匠性を付与することができる。なお、本発明において、「異色」とは、目視により判別可能な程度に異色のものであればよいが、例えば、(d1)成分との色差△Eが2.5以上(より好ましくは3以上)であることが好ましい。
なお、上記(d1)成分、上記(d31)成分の色差(△E)は、色差計を用いて測定される値であり、それぞれのL*値、a*値、b*値より下記式にて算出することができる。
<式>△E={(L *4−L *2+(a *4−a *2+(b *4−b *2 0.5
式中、
*2、a *2、b *2はそれぞれ(d1)成分のL、a、b
*4、a *4、b *4はそれぞれ(d31)成分のL、a、b
なお、(d1)成分、(d31)成分のL*、a*、b*は、ガラス板上に、ガラス面が隠蔽されるまで(D)成分を載置し、その上にPEフィルム(無色透明)を被せた面を測定することにより、算出することができる。
本発明の(D)成分は、(D’)鱗片状粒子(以下「(D’)成分」ともいう)であることが好ましい。(D’)成分としては、ベース色鱗片状粒子(d1)、必要に応じ類似色鱗片状粒子(d2)及び/またはアクセント色鱗片状粒子(d31)を含む態様が好ましい。さらに(D’)成分は、短径2mm超の大粒子(L)(以下「大粒子(L)」という)、短径0.7mm超2mm以下の中粒子(M)(以下「中粒子(M)」という)、及び短径0.7mm以下の小粒子(S)(以下「小粒子(S)」という)を含む態様であることが好ましい。このように大きさの異なる鱗片状粒子を併用することより、鱗片状粒子の偏りが生じにくく、模様のバランス(配置)が良好でザラツキ感の少ない美観性に優れた形成被膜を形成することができ、自然石調等の色彩、及び大柄模様等の意匠性を付与することができる。
具体的に、上記大粒子(L)は、主に、形成被膜に大柄意匠を効果的に付与するのに好適であり、本発明では(d31)成分として大粒子(L)を含むことが好ましい。また、上記中粒子(M)は、主に、形成被膜のベース模様(ベース色)を形成するのに好適であり、本発明では(d1)成分(必要に応じて(d2)成分)として中粒子(M)を含むことが好ましい。さらに、上記小粒子(S)は、形成被膜に小柄な意匠を付与するとともに、形成被膜の隠蔽性等を付与するのに好適であり、本発明では(d1)成分、(d2)成分、(d31)成分から選ばれる1種以上(好ましくは(d1)成分、(d2)成分から選ばれる1種以上)として小粒子(S)を含むことが好ましい。
本発明では、上記大粒子(L)、上記中粒子(M)、上記小粒子(S)を特定重量比率で併用することが好ましく、上記中粒子(M)及び小粒子(S)と上記大粒子(L)との重量比[(M)+(S)]/(L)が、1以上50以下(より好ましくは3以上40以下、さらに好ましくは5以上30以下)であることが好ましい。このような範囲を満たす場合、上記大粒子(L)の偏りが生じにくく、上記中粒子(M)及び小粒子(S)により形成されたベース模様中に、上記大粒子(L)による大柄模様のバランス(配置)が良好な美観性に優れた形成被膜を形成することができる。さらには、上記中粒子(M)及び小粒子(S)によって、上記大粒子(L)の端部跳ね上がりを抑制することができ、ザラツキ感の少ない平坦な被膜を形成することができる。さらに、上記中粒子(M)と小粒子(S)との重量比(M)/(S)が、1以上30以下(より好ましくは1.5以上20以下、さらに好ましくは2以上10以下)であることが好ましい。
このような範囲を満たす場合、上記効果を一層高めることができる。
このような効果が得られる作用機構としては、限定されるものではないが、例えば、大粒子(L)よりも小さい中粒子(M)及び小粒子(S)は、大粒子(L)のスペーサーとして作用し、大粒子(L)の分散性に寄与する。また、中粒子(M)よりも小さい小粒子(S)は中粒子(M)のスペーサーとして作用し、中粒子(M)の分散性に寄与する。これにより、被覆材中に分散する(D’)成分は、大粒子(L)、中粒子(M)、及び小粒子(S)がそれぞれ良好な分散性を保つことができるものと推察される。特に、中粒子(M)を比較的多く含む被覆材中では、中粒子(M)中に、大粒子(L)と小粒子(S)がバランス良く分散されるものと推察される。このような被覆材を塗装することによって、各粒子が偏りを生じ難く、模様のバランスが良好な被膜が形成され、粒子端部の跳ね上がりも十分に抑制することができると推察される。
なお、本発明の(D’)成分の短径は、上述のとおり、鱗片状粒子を水平面に安定に静置させた場合に最も短い部分の長さのことをいうが、上記大粒子(L)、中粒子(M)、小粒子(S)は、JIS Z8801−1:2000に規定される金属製網ふるい(標準篩)を使用して篩分けして分類することができる。この場合、標準篩の目開きを「a」とすると、その対角線の長さ「L=√2a」が短径に相当するとみなすことができる。具体的に、(D’)成分を100g秤量し、JIS K 0069に準拠する試験方法(手動ふるい分け)により10分間篩分けを行い、
・12メッシュ(a=1.4mm、L=2.0mm)の篩を通過しないものを大粒子(L)、
・12メッシュ(a=1.4mm、L=2.0mm)の篩は通過するが、30メッシュ(a=0.5mm、L=0.7mm)の篩は通過しないものを中粒子(M)、
・30メッシュ(a=0.5mm、L=0.7mm)の篩を通過するものを小粒子(S)、
とする。
なお、大粒子(L)の上限は、好ましくは6.5メッシュ(a=2.8mm、L=4.0mm)の篩を通過するもの(短径が4mm以下の粒子)が好ましい。一方、小粒子(S)の下限は、好ましくは70メッシュ(a=0.21mm、L=0.3mm)の篩を通過しないもの(短径が0.3mm超の粒子)が好ましい。
本発明では、上記(A)成分の固形分100重量部に対して、上記(D)成分を5〜200重量部(より好ましくは10〜100重量部、さらに好ましくは15〜80重量部)を含むことが好ましい。また、(D)成分中に主成分として含まれる(d1)成分の含有量としては、(D)成分の総量に対して40〜100重量%(より好ましくは45〜98重量%、さらに好ましくは50〜97重量%)であることが好ましい。このような場合、第2被覆材(意匠層)のベース色として(d1)成分を十分に視認することができ、均質な色味を呈する美観性に優れた被膜を形成することができる。また、(d1)成分以外の成分の含有量は、(D)成分の総量に対して0〜60重量%(より好ましくは2〜55重量%、さらに好ましくは3〜50重量%)含むことが好ましい。このうち、(d2)成分の含有量(複数色の場合は合計)は、(D)成分の総量に対して0〜50重量%(より好ましくは0〜40重量%)であることが好ましい。(d3)成分の含有量(複数色の場合は合計)は、(D)成分の総量に対して1〜60重量%(より好ましくは1.5〜50重量%)であることが好ましい。ただし、(d2)成分、(d3)成分において、1色(1種)の鱗片状粒子(または骨材等)の含有量は、(d1)成分の含有量よりも少ないものである。このような場合、(d1)成分と(d2)成分により形成される基調色中に、(d3)成分のアクセント模様がバランス良く配置され、自然石調等の意匠性を有する被膜を得ることができる。
本発明の第2被覆材は、上記成分を公知の方法によって均一に混合することで製造することができるが、必要に応じて、通常被覆材に使用可能なその他の成分を混合することもできる。このような成分としては、例えば、着色顔料、体質顔料、繊維、造膜助剤、増粘剤、レベリング剤、カップリング剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、水等が挙げられる。
本発明の被覆材は、水性被覆材であることが好ましい。また、被覆材のpHは、好ましくは7〜12(より好ましくは7.5〜11)である。このような範囲の場合、本発明の効果を十分に高めることができる。さらに、被覆材の不揮発分は、好ましくは10〜80重量%(より好ましくは15〜70重量%)である。このような範囲の場合、自然石特有の多彩な色彩等の意匠を容易に形成することができるとともに、ザラツキ感が少なくいっそう美観性に優れる形成被膜を得ることができる。なお、不揮発分は、各成分の配合比率調整等により調整することができる。
<被膜形成方法>
本発明の被膜形成方法は、基材に対し、第1被覆材及び第2被覆材を順に塗付することを特徴とする。例えば、
(1)基材に対し、第1被覆材を塗付し、ベース層を形成する工程、
(2)上記ベース層上に、第2被覆材を塗付し、意匠層を形成する工程、
を含む被膜形成方法等が挙げられる。
基材は、建築物、土木構造物等の表面を構成するものである。このような基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、スレート板、パーライト板、合板、煉瓦、プラスチック板、金属板、ガラス、磁器タイル等が挙げられる。これら基材は、その表面に、既に被膜が形成されたものや、壁紙が貼り付けられたもの等であってもよい。
上記(1)工程において、第1被覆材の塗付前には、必要に応じ、基材の表面処理を行うことができる。表面処理としては、例えば、フィラー処理、パテ処理、サーフェーサー処理、シーラー処理等が挙げられる。
上記(1)の第1被覆材としては、上述の第1被覆材を使用する。第1被覆材の塗付方法としては、例えば、スプレー塗り、ローラー塗り、こて塗り、刷毛塗り等を採用することができる。また、これらを組み合わせてもよい。
第1被覆材は、1回ないし複数回塗付することができる。第1被覆材の塗り回数は、好ましくは1〜2回(より好ましくは2回)である。第1被覆材の塗付け量は、塗付回数1回当たり好ましくは0.05〜1kg/m(より好ましくは0.1〜0.8kg/m)である。第1被覆材をこのような条件で塗付することにより、第2被覆材の塗付に適したべース層が形成でき、本発明の効果が得られやすくなる。
第1被覆材の塗付時には水等の希釈剤を混合して粘性を適宜調製することもできる。希釈割合は、好ましくは0〜20重量%である。塗装に供する第1被覆材の粘度は、好ましくは3〜30Pa・s(より好ましくは4〜20Pa・s)であり、チクソトロピーインデックスは、好ましくは2〜9(より好ましくは3〜8)である。なお、ここで言う粘度、チクソトロピーインデックスは、測定機器としてBH型粘度計を使用して得られる値(測定温度23℃)である。粘度は、回転数を20rpmとした場合の測定値である。チクソトロピーインデックスは、回転数2rpmにおける測定値を、回転数20rpmにおける測定値で除した値である。
第1被覆材の乾燥は、好ましくは常温(0〜40℃)で行えばよい。第1被覆材を複数回塗付する場合は、先の第1被覆材の被膜が乾燥した後、後の第1被覆材を塗付することが望ましい。
上記(2)工程では、上記(1)工程で形成されたベース層上に、第2被覆材を塗付し、意匠層を形成する。第2被覆材としては、上述の第2被覆材を使用する。第2被覆材の塗付方法としては、例えば、スプレー塗り、ローラー塗り、こて塗り、刷毛塗り等を採用することができる。本発明では、スプレー塗り、ローラー塗りが好ましく、特に、スプレーを用いた吹付け塗装により被膜を形成することが好ましい。これにより、着色粒子(D)の偏りが生じにくく、模様のバランス(配置)が良好で、かつザラツキ感の少ない平坦で美観性に優れた形成被膜を簡便に形成することができる。さらには、鱗片状粒子(D’)の場合には、各鱗片状粒子((d1)、(d2)、(d31))の偏りが生じにくく、模様のバランス(配置)が良好で、かつザラツキ感の少ない平坦で美観性に優れた形成被膜を簡便に形成することができる。
本発明の第2被覆材の塗付け量は、特に限定されないが、塗付回数1回当たり好ましくは0.05〜1kg/m(より好ましくは0.1〜0.8kg/m)である。また、塗付回数は、所望の意匠を形成によって設定できるが、好ましくは1〜2回(より好ましくは2回)である。このような場合、本発明の効果を十分に発揮することができる。
第2被覆材の塗付時には水等の希釈剤を混合して粘性を適宜調製することもできる。希釈割合は、好ましくは0〜20重量%である。塗装に供する第2被覆材の粘度は、好ましくは1〜50Pa・s(より好ましくは2〜40Pa・s)であり、チクソトロピーインデックスは、好ましくは3以上(さらに好ましくは3.5〜15)である。
第2被覆材の乾燥は、好ましくは常温(0〜40℃)で行えばよい。第2被覆材を複数回塗付する場合は、先の第2被覆材の被膜が乾燥した後、後の第2被覆材を塗付することが望ましい。
本発明では、上記(1)工程により形成されるベース層と、上記(2)工程の第2被覆材に含まれるベース色鱗片状粒子(d1)の色差(△E)が0.5〜15(好ましくは1.0〜12、より好ましくは1.5〜10)であることを特徴とする。このような場合、均一な色味を呈する美観性に優れた被膜を得ることができる。上記色差(△E)が0.5未満の場合、形成される模様や色味にムラを生じるおそれがある。また、上記色差(△E)が15を超える場合には、ベース層の色相が目立ち意匠性に劣るおそれがある。
本発明の被膜形成方法では、本発明の効果を阻害しない限り、表面保護、耐候性向上、耐汚染性等の目的で、最表面(意匠層の上)にクリヤー被覆材を塗付して、クリヤー層を設けることもできる。このようなクリヤー層は、無色透明、着色透明のいずれであってもよく、また艶有り、艶消し(7分艶、5分艶、3分艶等を含む)のいずれであってもよい。
<積層体>
本発明の積層体は、基材上に、ベース層及び意匠層を順に積層した積層被膜を有する積層体である。基材としては、上述の基材が使用される。ベース層は、上述の第1被覆材により形成され、意匠層は、上述の第2被覆材により形成されることを特徴とする。この積層体(積層被膜)は、ベース層の全面に意匠層が積層されたものであり、意匠層を形成する着色粒子(D)の間隙からベース層を視認することができるものである。本発明の積層体は、ベース層と、意匠層に含まれるベース色鱗片状粒子(d1)の色差(△E)が0.5〜15(好ましくは1.0〜12、より好ましくは1.5〜10)であることを特徴とする。このような場合、ベース色鱗片状粒子(d1)により形成されたベース模様中に、アクセント粒子(d3)が点在したアクセント模様が形成され、鱗片状粒子に由来する模様や色味にムラが少なく統一感のある意匠層を得ることができる。上記色差(△E)が0.5未満の場合、形成される模様や色味にムラを生じるおそれがある。また、上記色差(△E)が15を超える場合には、ベース層の色相が目立ち意匠性に劣るおそれがある。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
<第1被覆材の製造>
下記白色被覆材W1〜3を調製後、各着色顔料(黒色、黄色、赤色等)を添加し、表1に示す色相に調色したものを第1被覆材1〜7とした。
(白色被覆材W1)
アクリルシリコーン樹脂エマルション(固形分:50重量%、媒体:水)200重量部に対し、酸化チタン60重量部、粉体成分[粒子径20〜400μmの珪石粉(粒子径53〜300μmの含有率:75重量%)]200重量部、及び添加剤(増粘剤、分散剤、消泡剤、造膜助剤、等)を常法により混合して白色被覆材1を調製した。
(白色被覆材W2)
上記粉体成分として、粒子径20〜400μmの珪石粉(粒子径53〜300μmの含有率:45重量%)を使用した以外は白色被覆材1と同様にして、白色被覆材W2を調製した。
(白色被覆材W3)
上記粉体成分として、炭酸カルシウム(粒子径20〜38μm)を使用した以外は白色被覆材1と同様にして、白色被覆材W3を調製した。
Figure 2021188044
<第2被覆材の製造>
表2に示す配合に基づき、アクリル樹脂エマルション(固形分50重量%、媒体:水)、着色粒子(D)及び添加剤(増粘剤、消泡剤、造膜助剤、紫外線吸収剤、等)を常法により混合して第2被覆材1〜14を製造した。
なお、着色粒子(D)は、表3に示す配合に基づき、鱗片状粒子を予め混合した鱗片状粒子(D’)を使用した。また、(D’)成分を篩分けし、[(M)+(S)]/(L)、(M)/(S)を算出した。
(D)着色粒子
(D1):薄灰色系マイカ片
[短径:0.3mm超2mm以下、短径/長径(平均値):0.89、短径/厚み(平均値):10.5、L値=88.8、a値=−0.9、b値=4.4]
(D2):薄灰色系マイカ片
[短径:0.3mm超2mm以下、短径/長径(平均値):0.89、短径/厚み(平均値):10.5、L値=88.5、a値=−0.9、b値=5.5]
(D3):薄灰色系マイカ片
[短径:1mm超4mm以下、短径/長径(平均値):0.89、短径/厚み(平均値):10.5、L値=88.8、a値=−0.9、b値=4.4]
(D4):黄色系マイカ片
[短径:1mm超4mm以下、短径/長径(平均値):0.88、短径/厚み(平均値):11.5、L値=86.7、a値=0.7、b値=14.1]
(D5):白マイカ片
[短径:1mm超4mm以下、短径/長径(平均値):0.94、短径/厚み(平均値):11.0、L値=91.5、a値=0.5、b値=4.4]
(D6):黄色系マイカ片
[短径:0.3mm超2mm以下、短径/長径(平均値):0.92、短径/厚み(平均値):10.7、L値=88.7、a値=0.6、b値=14.3]
(D7):灰色系マイカ片
[短径:0.3mm超2mm以下、短径/長径(平均値):0.87、短径/厚み(平均値):15.5、L値=69.3、a値=−0.7、b値=0.2]
Figure 2021188044
Figure 2021188044
(実施例1〜7、比較例1〜2)
基材(スレート板:45×30cm)上に、第1被覆材を塗り付け量0.3kg/mで吹付け塗装し、23℃で5時間乾燥させた。次いで、第2被覆材をスプレーガン(口径:5.5mm)で、半面に塗付け量0.5kg/mで吹付け塗装、残り半面には塗付け量0.8kg/mで吹付け塗装し、23℃で24時間乾燥、硬化させ、積層被膜を形成した。なお、第1被覆材、第2被覆材の組み合わせは、表4に示す。
<評価>
以下の評価を実施し、結果を表4に示す。
・美観性
塗付け量の異なる部分を有する積層体を目視にて観察し、美観性を評価した。評価基準は、視認方向(角度)によらず均一な色味を呈するものを「A」、色ムラが生じたものを「D」とし、A>B>C>Dの4段階で評価した。
Figure 2021188044
実施例1〜7では、(d1)成分により形成された均質な色味を呈する模様層中に、(d3)成分が点在した美観性に優れた積層被膜が得られた。特に、実施例1、2、5においては、視認方向(角度)によらず均質な色味を呈する模様層中に、(d3)成分が点在した美観性に優れた積層塗膜が得られた。一方、比較例1では、塗付け量の異なる部分において異なる色として視認され、色味ムラを生じた。また、比較例3では、ベース層と意匠層の色相の調和に劣るものであった。
(実施例2、8〜17)
実施例1と同様の方法で、積層被膜を形成した。なお、第1被覆材、第2被覆材の組み合わせは、表5に示す。
<評価>
以下の評価を実施し、結果を表5に示す。
・美観性
上記と同様に美観性を評価した。
・意匠性
鱗片状粒子の偏りが少なく、模様のバランスが良好なものを「AA」、劣るものを「D」とし、AA>A>B>C>Dの5段階で評価した。
・質感(手触り感)
形成被膜のザラツキ感が少ないものを「AA」、ザラツキ感があるものを「D」とし、AA>A>B>C>Dの5段階で評価した。
Figure 2021188044
実施例2、8〜17では、(d1)成分により形成された均質な色味を呈する模様層中に、(d3)成分が点在した美観性に優れた積層被膜が得られた。また、実施例10〜実施例12においては、意匠性(大中小の粒子の模様のバランス及びアクセント粒子のバランス)、質感においても優れた積層被膜が得られた。

Claims (3)

  1. 積層被膜を形成するための被覆材セットであって、
    上記被覆材セットは、少なくとも第1被覆材及び第2被覆材からなり、
    上記第1被覆材は、ベース層を形成する被覆材であり、
    上記第2被覆材は、樹脂成分及び着色粒子を含み、意匠層を形成する被覆材であり、
    上記着色粒子は、ベース色鱗片状粒子及びアクセント粒子を含み、
    上記ベース層と、上記ベース色鱗片状粒子の色差(△E)が0.5〜15であることを特徴とする被覆材セット。
  2. 基材に対し、第1被覆材及び第2被覆材を順に塗付する被膜形成方法であって、
    上記第1被覆材は、ベース層を形成する被覆材であり、
    上記第2被覆材は、樹脂成分及び着色粒子を含み、意匠層を形成する被覆材であり、
    上記着色粒子は、ベース色鱗片状粒子及びアクセント粒子を含み、
    上記ベース層と、上記ベース色鱗片状粒子の色差(△E)が0.5〜15であることを特徴とする特徴とする被膜形成方法。
  3. 基材上に、ベース層及び意匠層を順に積層してなる積層体であって、
    上記ベース層は、第1被覆材により形成され、
    上記意匠層は、樹脂成分及び着色粒子を含む第2被覆材より形成され、
    上記着色粒子は、ベース色鱗片状粒子及びアクセント粒子を含み、
    上記ベース層と、上記ベース色鱗片状粒子の色差(△E)が0.5〜15であることを特徴とする積層体。
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