JP2021187653A - 地切り制御装置、及び、移動式クレーン - Google Patents
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Abstract
【課題】荷振れを抑制しつつ、迅速に吊荷を地切りすることのできる地切り制御装置を提供する。【解決手段】地切り制御装置Dは、ブーム14と、ウインチ13と、圧力計測器21と、ブーム14及びウインチ13を制御する制御部としてのコントローラ40であって、ウインチ13を巻上げて吊荷を地切りする際に、計測された荷重の時間変化に基づいてブーム14の起伏角度の変化量を求め、変化量を補うようにブーム14を起仰させる、コントローラ40と、を備え、コントローラ40は、地切り後の起伏動作の緩停止において、吊荷の慣性力を、略一定に維持するように、又は、滑らかに減衰するようになっている。【選択図】図3
Description
本発明は、地面から吊荷を吊り上げる際の荷振れを抑制するための地切り制御装置に関するものである。
従来から、ブームを備えたクレーンにおいて、地面から吊荷を吊り上げる際に、すなわち吊荷を地切りする際に、ブームに生じるたわみによって作業半径が増大することによって、吊荷が水平方向に振れる「荷振れ」が問題となっている(図1参照)。
地切りの際の荷振れを防止することを目的として、例えば、特許文献1に記載された鉛直地切り制御装置は、エンジン回転数センサによってエンジンの回転数を検出し、ブームの起仰作動をエンジン回転数に応じた値に補正するように構成されている。このような構成によって、エンジン回転数の変化を加味した正確な地切り制御を実施できる、とされている。
しかしながら、特許文献1を含む従来の地切り制御装置は、ウインチでワイヤが伸びた分だけ巻上げ、起伏を上げることにより作業半径を一定に保つように、2つのアクチュエータを併用して制御していた。そのため、複雑な制御となることで地切りに時間がかかってしまう、という問題があった。
そこで、本発明は、荷振れを抑制しつつ、迅速に吊荷を地切りすることのできる地切り制御装置と、地切り制御装置を備えた移動式クレーンと、を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の地切り制御装置は、起伏自在に構成されるブームと、ワイヤを介して吊荷を巻上/巻下げるウインチと、前記ブームに作用する荷重を計測する荷重計測手段と、前記ブーム及び前記ウインチを制御する制御部であって、前記ウインチを巻上げて吊荷を地切りする際に、計測された荷重の時間変化に基づいて前記ブームの起伏角度の変化量を求め、該変化量を補うように起伏角速度目標値を計算する、制御部と、を備え、前記制御部は、地切り後の起伏動作の緩停止において、吊荷の慣性力を、略一定に維持するように、又は、滑らかに減衰するようになっている。
このように、本発明の地切り制御装置は、ブームと、ウインチと、荷重計測手段と、制御部であって、ウインチを巻上げて吊荷を地切りする際に、計測された荷重の時間変化に基づいてブームの起伏角度の変化量を求め、該変化量を補うように起伏角速度目標値を計算する、制御部と、を備え、前記制御部は、地切り後の起伏動作の緩停止において、吊荷の慣性力を、略一定に維持するように、又は、滑らかに減衰するようになっている。このような構成であるから、荷振れを抑制しつつ、迅速に吊荷を地切りすることのできる地切り制御装置となる。
以下、本発明に係る実施例について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施例に記載されている構成要素は例示であり、本発明の技術範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
本実施例では、移動式クレーンとしては、例えば、ラフテレーンクレーン、オールテレーンクレーン、トラッククレーン等が挙げられる。以下、本実施例に係る作業車両としてラフテレーンクレーンを例に説明するが、他の移動式クレーンにも、本発明に係る制御装置を適用することができる。さらに、クローラクレーンやタワークレーンにも本発明に係る制御装置を適用することができる。
(移動式クレーンの構成)
まず、図2の側面図を用いて、移動式クレーンの構成について説明する。本実施例のラフテレーンクレーン1は、図2に示すように、走行機能を有する車両の本体部分となる車体10と、車体10の四隅に設けられたアウトリガ11,・・・と、車体10に水平旋回可能に取り付けられた旋回台12と、旋回台12の後方に取り付けられたブーム14と、を備えている。
まず、図2の側面図を用いて、移動式クレーンの構成について説明する。本実施例のラフテレーンクレーン1は、図2に示すように、走行機能を有する車両の本体部分となる車体10と、車体10の四隅に設けられたアウトリガ11,・・・と、車体10に水平旋回可能に取り付けられた旋回台12と、旋回台12の後方に取り付けられたブーム14と、を備えている。
アウトリガ11は、スライドシリンダを伸縮させることによって、車体10から幅方向外側にスライド張出/スライド格納可能であるとともに、ジャッキシリンダを伸縮させることによって車体10から上下方向にジャッキ張出/ジャッキ格納可能である。
旋回台12は、旋回モータ61の動力が伝達されるピニオンギヤを有しており、このピニオンギヤが車体10に設けた円形状のギヤに噛み合うことで旋回軸を中心に回動する。旋回台12は、右前方に配置された操縦席18と、後方に配置されたカウンタウェイト19と、を有している。
さらに、旋回台12の後方には、ワイヤ16を巻上/巻下げるためのウインチ13が配置されている。ウインチ13は、ウインチモータ64を正方向/逆方向に回転させることによって、巻上げ方向(巻き取る方向)/巻下げ方向(繰り出す方向)の2方向に回転するようになっている。
ブーム14は、基端ブーム141と(1つ又は複数の)中間ブーム142と先端ブーム143とによって入れ子式に構成されており、内部に配置された伸縮シリンダ63によって伸縮できるようになっている。先端ブーム143の最先端のブームヘッド144にはシーブが配置され、シーブにワイヤ16が掛け回されてフック17が吊下げられている。
基端ブーム141の付け根部は、旋回台12に設置された支持軸に回動自在に取り付けられており、支持軸を回転中心として上下に起伏できるようになっている。そして、旋回台12と基端ブーム141の下面との間には、起伏シリンダ62が架け渡されており、起伏シリンダ62を伸縮することでブーム14全体を起伏することができるようになっている。
(制御系の構成)
次に、図3のブロック図を用いて、本実施例の地切り制御装置Dの制御系の構成について説明する。地切り制御装置Dは、制御部としてのコントローラ40を中心として構成されている。コントローラ40は、入力ポート、出力ポート、演算装置などを有する汎用のマイクロコンピュータである。コントローラ40は、操作レバー51〜54(旋回レバー51、起伏レバー52、伸縮レバー53、ウインチレバー54)からの操作信号を受けて、図示しない制御バルブを介してアクチュエータ61〜64(旋回モータ61、起伏シリンダ62、伸縮シリンダ63、ウインチモータ64)を制御する。
次に、図3のブロック図を用いて、本実施例の地切り制御装置Dの制御系の構成について説明する。地切り制御装置Dは、制御部としてのコントローラ40を中心として構成されている。コントローラ40は、入力ポート、出力ポート、演算装置などを有する汎用のマイクロコンピュータである。コントローラ40は、操作レバー51〜54(旋回レバー51、起伏レバー52、伸縮レバー53、ウインチレバー54)からの操作信号を受けて、図示しない制御バルブを介してアクチュエータ61〜64(旋回モータ61、起伏シリンダ62、伸縮シリンダ63、ウインチモータ64)を制御する。
さらに、本実施例のコントローラ40には、地切り制御を開始/停止するための地切りスイッチ20Aと、地切り制御におけるウインチ13の速度を設定するためのウインチ速度設定手段20Bと、ブーム14に作用する荷重を計測する荷重計測手段としての圧力計測器21と、ブーム14の姿勢を検出するための姿勢計測手段23と、ウインチ13の回転数を計測する回転数計測器22と、が接続されている。
地切りスイッチ20Aは、地切り制御の開始又は停止を指示するための入力機器であり、例えば、ラフテレーンクレーン1の安全装置に付加する構成とすることが可能であり、操縦席18に配置されることが好ましい。
ウインチ速度設定手段20Bは、地切り制御におけるウインチ13の速度を設定する入力機器であり、あらかじめ設定された速度から適切な速度を選択する方式のものや、テンキーによって入力する方式のものがある。さらに、ウインチ速度設定手段20Bは、地切りスイッチ20Aと同様に、ラフテレーンクレーン1の安全装置に付加する構成とすることが可能であり、操縦席18に配置されることが好ましい。このウインチ速度設定手段20Bによってウインチ13の速度を調整することで、地切り制御に要する時間を調整することができる。
荷重計測手段としての圧力計測器21は、ブーム14に作用する荷重を計測する計測機器であり、例えば、起伏シリンダ62に作用する圧力を計測する圧力計(21)とすることができる。圧力計(21)によって計測された圧力信号は、コントローラ40に伝送される。
回転数計測器22は、ウインチ(ドラム)13の回転軸近傍に設置されて、ウインチ(ドラム)13の回転数(回転速度)を計測する。回転数計測器22によって計測された回転数(回転速度)は、コントローラ40に伝送されて、ウインチ巻上げ速度、及び、ワイヤ長さの計算に利用される。
姿勢計測手段23は、ブーム14の姿勢を計測する計測機器であり、ブーム14の起伏角度を計測する起伏角度計231と、起伏角速度を計測する起伏角速度計232と、から構成される。具体的には、起伏角度計231としては、ポテンショメータを用いることができる。また、起伏角速度計232としては、起伏シリンダ15に取り付けられたストロークセンサを用いることができる。起伏角度計231によって計測された起伏角度信号、及び、起伏角速度計232によって計測された起伏角速度信号は、コントローラ40に伝送される。
コントローラ40は、ブーム14及びウインチ13の作動を制御する制御部であり、地切りスイッチ20AがONにされることでウインチ13を巻上げて吊荷を地切りする際に、荷重計測手段としての圧力計測器21によって計測された荷重の時間変化に基づいて、ブーム14の起伏角度の変化量を予測し、予測された変化量を補うようにブーム14を起仰させる。
より具体的に言うと、コントローラ40は、機能部として、特性テーブル又は伝達関数の選択機能部40aと、実際に地切りされたか否かを判定することによって地切り制御を停止させる地切り判定機能部40bと、を有している。
特性テーブル又は伝達関数の選択機能部40aは、荷重計測手段としての圧力計測器21からの圧力の初期値と、姿勢計測手段としての起伏角度計231からの起伏角度の初期値と、の入力を受けて、適用する特性テーブル又は伝達関数を決定する。ここにおいて、伝達関数としては、以下のように、線形係数aを用いた関係を適用することができる。
まず、図9の荷重−起伏角のグラフに示すように、荷振れが生じないようにブーム先端位置が常に吊荷の真上にくるように調整した場合に、荷重と起伏角(先端対地角度)は線形の関係にあることがわかっている。地切り中に、時刻t1から時刻t2の間に荷重Load1がLoad2へ変化したと仮定すると、
地切り判定機能部40bは、荷重計測手段としての圧力計測器21からの圧力信号から計算した荷重の値の時系列データを監視し、地切りの有無を判定する。地切り判定の手法については、図8を用いて後述する。
(全体のブロック線図)
次に、図4のブロック線図を用いて、本実施例の地切り制御を含む全体の要素間の入力・出力関係を詳細に説明する。まず、荷重変化算出部71において、荷重計測手段としての圧力計測器21によって計測された荷重の時系列データに基づいて荷重変化が計算される。計算された荷重変化は、目標軸速度算出部72に入力される。この目標軸速度算出部72における入力・出力関係については、図5を用いて後述する。
次に、図4のブロック線図を用いて、本実施例の地切り制御を含む全体の要素間の入力・出力関係を詳細に説明する。まず、荷重変化算出部71において、荷重計測手段としての圧力計測器21によって計測された荷重の時系列データに基づいて荷重変化が計算される。計算された荷重変化は、目標軸速度算出部72に入力される。この目標軸速度算出部72における入力・出力関係については、図5を用いて後述する。
目標軸速度算出部72では、起伏角の初期値と、設定ウインチ速度と、入力された荷重変化と、に基づいて、目標軸速度が算出される。目標軸速度は、ここでは、目標起伏角速度(及び、必須ではないが、目標ウインチ速度)である。算出された目標軸速度は、軸速度コントローラ73に入力される。ここまでの前半部分の制御が、本実施例の地切り制御に関する処理である。
その後、軸速度コントローラ73、軸速度の操作量変換処理部74を経て操作量が制御対象75に入力される。この後半部分の制御は、通常の制御に関する処理であり、計測された起伏角速度に基づいてフィードバック制御されている。
(地切り制御のブロック線図)
次に、図5のブロック線図を用いて、特に地切り制御の目標軸速度算出部72における要素の入力・出力関係について説明する。まず、起伏角度の初期値が、特性テーブル/伝達関数の選択機能部81(40a)に入力される。選択機能部81では、特性テーブル(LookupTable)又は伝達関数を使用して、最も適切な定数(線形係数)aが選択されるようになっている。
次に、図5のブロック線図を用いて、特に地切り制御の目標軸速度算出部72における要素の入力・出力関係について説明する。まず、起伏角度の初期値が、特性テーブル/伝達関数の選択機能部81(40a)に入力される。選択機能部81では、特性テーブル(LookupTable)又は伝達関数を使用して、最も適切な定数(線形係数)aが選択されるようになっている。
そして、数値微分部82において、荷重変化の数値微分(時間に関する微分)が実施されて、この数値微分の結果に定数aを乗ずることで、目標起伏角速度が計算される。すなわち、前述した(式3)の計算が実行されることで、目標起伏角速度が計算される。このように、目標起伏角速度の制御は、特性テーブル(又は伝達関数)を用いて、フィードフォワード制御されている。
(慣性力緩停止制御のブロック線図)
次に、図6のブロック線図を用いて、地切り後の起伏動作の緩停止において、慣性力緩停止制御を実行する際の入力・出力関係について説明する。まず、開始指令によって、制御信号生成部91は、ウインチ13の速度を一定の回転速度(すなわち目標ウインチ速度)に維持するように制御対象であるクレーン92(ウインチモータ64)に指示する。このウインチ速度制御は、計測されたロープ長に基づいてフィードバック制御される(不図示)。
次に、図6のブロック線図を用いて、地切り後の起伏動作の緩停止において、慣性力緩停止制御を実行する際の入力・出力関係について説明する。まず、開始指令によって、制御信号生成部91は、ウインチ13の速度を一定の回転速度(すなわち目標ウインチ速度)に維持するように制御対象であるクレーン92(ウインチモータ64)に指示する。このウインチ速度制御は、計測されたロープ長に基づいてフィードバック制御される(不図示)。
その後、制御信号生成部91は、目標起伏角と計測された起伏角速度とに基づいて、PID制御部93に目標起伏角速度を指示する。PID制御部93は、PID制御によって起伏角速度制御信号を生成する。この起伏角速度制御は、計測された荷重と計測された起伏角速度とに基づいてフィードバック制御される(図4、図5参照)。計測された荷重(圧力値)は、他方では、地切り判定に用いられることで、後述する記憶部95の起動のトリガーとなる。
そして、慣性力計算部94では、計測されたロープ長の時系列データに基づいて、又は、計測された荷重(圧力値)の時系列データに基づいて、地切りの有無が判定された後に、地切りしたと判定された場合に、慣性力が計算される。すなわち、圧力計測器21によって計測された圧力値と、回転数計測器22によって計測された回転数と、起伏角速度計32によって計測された起伏角速度と、に基づいて慣性力が計算される。
慣性力は、質量×加速度なので、地切り時の張力Tとすると、吊荷に関する運動方程式で考えるとmα=F=Tになる。地切り時の慣性力は張力Tで表現できる。その後の吊荷加速度は、起伏角加速度θ(2ドット)、ロープ巻き上げ速度r(2ドット)とすると(なお、「2ドット」は2階時間微分を表す)、吊荷の位置はブーム長さと起伏角度、ロープ長さから決まるので、加速度で求めると、
この加速度を、地切り後の加速度α0から滑らかに減少するように、ウィンド回転数、及び、起伏角速度を調整することで、地切り後の上下揺れを低減できる。
そして、地切り時点の慣性力は記憶部95に記憶されて、この慣性力を略一定に維持するように、又は、慣性力が滑らかに減衰するように、起伏角速度とウインチ回転速度とが調和するように制御される(図10を用いて後述する)。慣性力計算部94では、地切りしていないと判定されると、慣性力緩停止制御が実行されないようになっている。
このようにして、ウインチ回転速度制御信号を生成する際に、及び、起伏角速度制御信号を生成する際に、慣性力が略一定となるか、又は、慣性力が徐々に減衰するような制御信号が生成される(図6中、白丸で示すようにプラスで加算される)。
ここで、慣性力緩停止制御の概念を図10の説明図に示す。図10に示すように、吊荷の慣性力Fは、荷重とブーム長さと起伏角速度の変化率(起伏角加速度)を乗じたものと、荷重とウインチ回転速度(ウインチ回転加速度)の変化率を乗じたものと、を足し合わせることによって計算することができる。逆に言うと、起伏角速度の変化率とウインチ回転速度の変化率を制御によって調和させることで、慣性力Fを制御することができるようになる。具体的に言うと、起伏角速度を徐々に減衰(漸減)させるとともに、ウインチ回転速度を徐々に増加(漸増)させることによって、両者の成分を互いに相殺(調和)させることができる。このような制御を実行することによって、慣性力が略一定となるか、又は、慣性力が徐々に減衰するように制御できる。
(フローチャート)
次に、図7のフローチャートを用いて、本実施例の地切り制御の全体の流れについて説明する。
次に、図7のフローチャートを用いて、本実施例の地切り制御の全体の流れについて説明する。
はじめに、オペレータが地切りスイッチ20Aを押して地切り制御が開始される(START)。このとき、地切り制御のあらかじめ開始前に又は開始後に、ウインチ速度設定手段20Bを介して、ウインチ13の目標速度が設定される。そうすると、コントローラ40は、目標速度で、ウインチ制御を開始する(ステップS1)。この目標速度は定速度とされる。
次に、ウインチ13が巻上げられると同時に、荷重計測手段としての圧力計測器21によって吊荷荷重計測(起伏シリンダ圧検出)が開始されて、コントローラ40に荷重値(圧力値)が入力される(ステップS2)。
次に、選択機能部40aでは、荷重値(圧力値)の初期値と、姿勢計測手段としての起伏角度計231からの起伏角度の初期値と、の入力を受けて、適用する特性テーブル又は伝達関数が決定される(ステップS3)。次に、コントローラ40では、適用される特性テーブル又は伝達関数と、荷重変化と、に基づいて、起伏角速度が算出される(ステップS3)。すなわち、フィードフォワード制御によって、起伏角速度制御がなされている。
次に、後の地切り判定で利用するために、ロープ長の時系列変化が検出される(ステップS4)。具体的には、回転数計測器22によって計測された回転数と姿勢計測手段23によって計測された姿勢(起伏角度、起伏角速度、ブーム長)との計測結果がコントローラ40に入力されてロープ長が計算され、その時系列変化が監視される。
次に、後の慣性力緩停止制御で利用するために、吊荷の慣性力が推定される(ステップS5)。具体的には、圧力計測器21によって計測された圧力値と、回転数計測器22によって計測された回転数と、起伏角速度計32によって計測された起伏角速度と、がコントローラ40に入力されて、慣性力が計算される。
そして、コントローラ40において、計測されている荷重及び/又はロープ長の時系列データに基づいて地切りの有無が判定される(ステップS6)。なお、判定手法については後述する。判定の結果、地切りされていない場合は(ステップS6のNO)、ステップS3へ戻って、荷重に基づくフィードフォワード制御を繰り返す(ステップS3〜ステップS6)。
判定の結果、地切りされている場合は(ステップS6のYES)、起伏動作を緩停止する際に、地切り時の慣性力が記憶部95に記憶される(ステップS7)。すなわち、コントローラ40は、地切り後の起伏動作の緩停止において、慣性力を略一定に維持させるか、又は、慣性力を滑らかに減衰させる際の基準となる慣性力を記憶部95に記憶させる。なお、この慣性力緩停止制御が実行されるタイミングは、地切りされたと判定された時刻から、あらかじめ定めた時間だけ、又は、所定回数の振動が計測された間だけ適用することができる。
次に、慣性力緩停止制御によって生成された起伏角速度制御信号を用いて、起伏動作を緩停止する(ステップS8)。すなわち、コントローラ40は、起伏シリンダ62による起伏速度を徐々に減少させるとともに、ウインチモータ64によるウインチ回転速度を徐々に増加させることで、地切り時に記憶された慣性力を略一定に維持しながら、又は、慣性力を滑らかに減衰しながら、起伏動作を停止させる。
最後に、ウインチモータによるウインチ13の回転駆動を、速度を落としながら停止する(ステップS9)。このようにして、地切り制御が終了する(END)。
(地切り判定1)
次に、図8のグラフを用いて、本実施例の地切り判定の手法について説明する。本実施例では、コントローラ40は、地切り制御においてウインチ13を巻き上げている途中に、計測された荷重の時系列データを監視しており、この時系列データの最初の極大値を捉えて地切りしたものと判定するようにされることができる。
次に、図8のグラフを用いて、本実施例の地切り判定の手法について説明する。本実施例では、コントローラ40は、地切り制御においてウインチ13を巻き上げている途中に、計測された荷重の時系列データを監視しており、この時系列データの最初の極大値を捉えて地切りしたものと判定するようにされることができる。
より具体的に言うと、図8に示すように、一般に、荷重データの時系列をとると、地切りした次の瞬間にオーバーシュートし、さらにアンダーシュートし、その後、振動し続けるように推移する。したがって、振動の最初の山の頂点の時刻、すなわち、最初の極大値、を捉えることで、地切りしたことを判定することができる。ただし、実際には、地切りしていると判定した時刻である、最初の極大値を記録した時刻では、慣性力を受けてややオーバーシュートしている状態と考えられる。
(地切り判定2)
このような手法とは別に、本実施例のコントローラ40は、地切り制御において、ウインチ13を巻上げて吊荷を地切りする際に、計測された荷重の時間変化と計測されたロープ長の時間変化に基づいて地切りを判定するように構成することもできる。
このような手法とは別に、本実施例のコントローラ40は、地切り制御において、ウインチ13を巻上げて吊荷を地切りする際に、計測された荷重の時間変化と計測されたロープ長の時間変化に基づいて地切りを判定するように構成することもできる。
具体的に言うと、制御部としてのコントローラ40は、ウインチ13を巻上げて吊荷を地切りする際に、計測された荷重が変化し始めた時刻のロープ長を初期ロープ長とし、ロープ長が初期ロープ長から設定した閾値より短くなったときに、地切りしたと判定するようになっている。
若しくは、制御部としてのコントローラ40は、ウインチ13を巻上げて吊荷を地切りする際に、計測された荷重が変化し始めた時刻のロープ長の時間変化を初期巻上げ速度とし、ロープ長の時間変化である巻上げ速度が初期巻上げ速度から設定した閾値より速くなったときに、地切りしたと判定するようになっている。
(効果)
次に、本実施例の地切り制御装置Dの奏する効果を列挙して説明する。
次に、本実施例の地切り制御装置Dの奏する効果を列挙して説明する。
(1)上述してきたように、本実施例の地切り制御装置Dは、ブーム14と、ウインチ13と、圧力計測器21と、ブーム14及びウインチ13を制御する制御部としてのコントローラ40であって、ウインチ13を巻上げて吊荷を地切りする際に、計測された荷重の時間変化に基づいてブーム14の起伏角度の変化量を求め、変化量を補うようにブーム14を起仰させる、コントローラ40と、を備え、コントローラ40は、地切り後の起伏動作の緩停止において、吊荷の慣性力を、略一定に維持するように、又は、滑らかに減衰するようになっている。このような構成であるから、荷振れを抑制しつつ、迅速に吊荷を地切りすることのできる地切り制御装置Dとなる。
つまり、本実施例の地切り制御装置Dでは、荷重と起伏角補量の関係が線形関係であることに着目し、荷重値の時間変化のみに基づいてフィードフォワード制御を実施することで、従来のように複雑なフィードバック制御を実施することなく、迅速に吊荷を地切りすることができる。
そして、本実施例の地切り制御装置Dでは、特に、地切りしたと判定されて起伏角速度を緩停止する際に、吊荷の慣性力を、略一定に維持するように、又は、滑らかに減衰するようになっているため、ブーム14に生じる加速度変化を滑らかにすることで慣性力を抑制し、撓み振動を発生させないようにすることができる。
(2)また、コントローラ40は、ブーム14の起伏角速度とウインチ13の回転速度とを調和させることによって、吊荷の慣性力を、略一定に維持するように、又は、滑らかに減衰するようになっている。より具体的には、起伏シリンダ62による起伏速度を徐々に減少させるとともに、ウインチモータ64によるウインチ回転速度を徐々に増加させることで、加速度変化を滑らかに制御している。
(3)さらに、コントローラ40は、地切りしたと判定した後に所定の時間だけ、吊荷の慣性力を、略一定に維持するように、又は、滑らかに減衰するようになっている。このような構成であれば、地切り以外の通常作業時にブーム起伏駆動やウインチ回転駆動が抑制されることを防止できる。
(4)また、ブーム14の姿勢を計測する姿勢計測手段23をさらに備え、コントローラ40は、計測されたブーム14の姿勢の初期値と、計測された荷重の初期値と、に基づいて対応する特性テーブル又は伝達関数を選択し、特性テーブル又は伝達関数を使用して、計測された荷重の時間変化からブーム14の起伏角度の変化量を求めるようになっていることが好ましい。
このように構成すれば、地切り制御の開始時に、ウインチ13を一定速度で巻上げ、荷重変化に合わせて特性テーブル(又は伝達関数)から起伏角制御量を算出してフィードフォワード制御を実施することで、荷振れなく迅速に地切りすることができる。加えて、調整するパラメータが少なくなることで、出荷時の調整を迅速かつ容易に実施できる。
(5)さらに、コントローラ40は、ウインチ13を巻上げて吊荷を地切りする際に、ウインチ13を定速で巻上げるようにされていることが好ましい。このように構成すれば、慣性力等の外乱の影響を抑制して、応答(計測された荷重値)を安定させることで、地切り判定を容易にすることができる。
(6)また、コントローラ40は、ウインチ13を巻上げて吊荷を地切りする際に、ウインチ13の速度を調整することによって、地切りに要する時間を調整するようにされていることが好ましい。このように構成すれば、吊荷の重量や環境条件に応じて適切なウインチ13の速度を選択することで、安全かつ効率よく作業することができる。
(7)さらに、本実施例のコントローラ40は、ウインチ13を巻上げて吊荷を地切りする際に、計測された荷重の時系列データを監視し、時系列データの最初の極大値を捉えて地切りしたと判定するようにされている。このように荷重のみに基づいて制御することによって、簡易かつ迅速に地切りを判定することができる。
(8)また、本実施例の移動式クレーンであるラフテレーンクレーン1は、上述したいずれかの地切り制御装置Dを備えることで、荷振れを抑制しつつ、迅速に吊荷を地切りすることのできるラフテレーンクレーン1となる。
以上、図面を参照して、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、実施例では特に説明しなかったが、ウインチ13としてメインウインチを使用して地切りする場合でも、サブウインチを使用して地切りする場合でも、本発明の地切り制御装置Dを適用することができる。
D:地切り制御装置; a:線形係数;
1:ラフテレーンクレーン; 10:車体; 12:旋回台;
13:ウインチ; 14:ブーム; 16:ワイヤ; 17:フック;
20A:地切りスイッチ;
20B:ウインチ速度設定手段;
21:圧力計測器(荷重計測手段); 22:回転数計測器;
23:姿勢検出手段; 231:起伏角度計; 232:起伏角速度計;
40:コントローラ; 40a:選択機能部; 40b:地切り判定機能部;
51:旋回レバー; 52:起伏レバー;
53:伸縮レバー; 54:ウインチレバー;
61:旋回モータ; 62:起伏シリンダ;
63:伸縮シリンダ; 64:ウインチモータ
91:制御信号生成部; 92:クレーン(制御対象);
93:PID制御部; 94:慣性力計算部; 95:記憶部; 96:PID制御部
1:ラフテレーンクレーン; 10:車体; 12:旋回台;
13:ウインチ; 14:ブーム; 16:ワイヤ; 17:フック;
20A:地切りスイッチ;
20B:ウインチ速度設定手段;
21:圧力計測器(荷重計測手段); 22:回転数計測器;
23:姿勢検出手段; 231:起伏角度計; 232:起伏角速度計;
40:コントローラ; 40a:選択機能部; 40b:地切り判定機能部;
51:旋回レバー; 52:起伏レバー;
53:伸縮レバー; 54:ウインチレバー;
61:旋回モータ; 62:起伏シリンダ;
63:伸縮シリンダ; 64:ウインチモータ
91:制御信号生成部; 92:クレーン(制御対象);
93:PID制御部; 94:慣性力計算部; 95:記憶部; 96:PID制御部
Claims (8)
- 起伏自在に構成されるブームと、
ワイヤを介して吊荷を巻上/巻下げるウインチと、
前記ブームに作用する荷重を計測する荷重計測手段と、
前記ブーム及び前記ウインチを制御する制御部であって、前記ウインチを巻上げて吊荷を地切りする際に、計測された荷重の時間変化に基づいて前記ブームの起伏角度の変化量を求め、該変化量を補うように起伏角速度目標値を計算する、制御部と、を備え、
前記制御部は、地切り後の起伏動作の緩停止において、吊荷の慣性力を、略一定に維持するように、又は、滑らかに減衰するようになっている、地切り制御装置。 - 前記制御部は、前記ブームの起伏角速度と前記ウインチの回転速度とを調和させることによって、吊荷の慣性力を、略一定に維持するように、又は、滑らかに減衰するようになっている、請求項1に記載された、地切り制御装置。
- 前記制御部は、地切りしたと判定した後に所定の時間だけ、吊荷の慣性力を、略一定に維持するように、又は、滑らかに減衰するようになっている、請求項1又は請求項2に記載された、地切り制御装置。
- 前記ブームの姿勢を計測する姿勢計測手段をさらに備え、
前記制御部は、計測された前記ブームの姿勢の初期値と、計測された荷重の初期値と、に基づいて対応する特性テーブル又は伝達関数を選択し、該特性テーブル又は伝達関数を使用して、計測された荷重の時間変化から前記ブームの起伏角度の変化量を求めるようになっている、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載された、地切り制御装置。 - 前記制御部は、前記ウインチを巻上げて吊荷を地切りする際に、前記ウインチを定速で巻上げるようにされている、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載された、地切り制御装置。
- 前記制御部は、前記ウインチを巻上げて吊荷を地切りする際に、前記ウインチの速度を調整することによって、地切りに要する時間を調整するようにされている、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載された、地切り制御装置。
- 前記制御部は、前記ウインチを巻上げて吊荷を地切りする際に、計測された荷重の時系列データを監視し、前記時系列データの最初の極大値を捉えて地切りしたと判定するようにされている、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載された、地切り制御装置。
- 請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載された地切り制御装置を備える、移動式クレーン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020097024A JP2021187653A (ja) | 2020-06-03 | 2020-06-03 | 地切り制御装置、及び、移動式クレーン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020097024A JP2021187653A (ja) | 2020-06-03 | 2020-06-03 | 地切り制御装置、及び、移動式クレーン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2021187653A true JP2021187653A (ja) | 2021-12-13 |
Family
ID=78848121
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020097024A Pending JP2021187653A (ja) | 2020-06-03 | 2020-06-03 | 地切り制御装置、及び、移動式クレーン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021187653A (ja) |
-
2020
- 2020-06-03 JP JP2020097024A patent/JP2021187653A/ja active Pending
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