JP2021187050A - 液体供給方法、及び印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】1個のポンプによって複数のヘッドユニットに液体を供給する場合に、各ヘッドユニットに設けられた液体吐出ヘッドから液体が漏れ出さないように、各ヘッドユニットに適切な流量で液体を供給する。【解決手段】液体供給方法は、第1ヘッドユニットへの液体の初期供給時に、所定の駆動率でポンプを駆動して、液体供給ユニットから液体を供給することと、第2ヘッドユニットへの前記液体の初期供給時に、前記所定の駆動率で前記ポンプを駆動して、前記液体供給ユニットから前記液体を供給することと、第1ヘッドユニットへの前記初期供給中における第1初期流量に基づいて、前記ポンプの第1駆動率を決定することと、第2ヘッドユニットへの前記初期供給中における第2初期流量に基づいて、前記ポンプの第2駆動率を決定することと、を含む。【選択図】図3

Description

本発明は、液体を吐出して印刷を行う印刷装置における液体供給方法、及び印刷装置に関する。
従来、図1に示すように、インク供給ユニット200と、インク供給ユニット200と2つの流路を介してそれぞれ接続された2つのヘッドユニット300A、300Bとを備えるインクジェットプリンタ100が知られている。インク供給ユニット200には、タンク210、タンク220、及びポンプ230が設けられている。タンク210及びタンク220の内部はそれぞれ、タンク210及びタンク220にそれぞれ形成された大気連通孔210a及び220aを介して、大気と連通している。ヘッドユニット300Aには、インクジェットヘッド310A、ヘッダタンク320A、ソレノイドバルブ340A、及び流路構造体350Aが設けられている。ヘッドユニット300Bには、インクジェットヘッド310B、ヘッダタンク320B、ソレノイドバルブ340B、及び流路構造体350Bが設けられている。
タンク210とタンク220とは、流路250Aにより連通している。タンク220とヘッダタンク320Aとは、タンク220とポンプ230とを接続する流路250B、及び、ポンプ230とヘッダタンク320Aとを接続する流路250Cを介して連通している。また、タンク220とヘッダタンク320Bとは、タンク220とポンプ230とを接続する流路250B、及び、ポンプ230とヘッダタンク320Bとを接続する流路250Dを介して連通している。そして、ポンプ230は、流路250A〜流路250Dに共通に設けられている。
流路250A〜250Dにはそれぞれ、ソレノイドバルブ240A〜240Dが設けられている。
ヘッドユニット300Aにおいて、ヘッダタンク320Aとインクジェットヘッド310Aとは、流路330Aにより連通している。ヘッドユニット300Bにおいて、ヘッダタンク320Bとインクジェットヘッド310Bとは、流路330Bにより連通している。
インク供給ユニット200において、タンク210からタンク220にインクを供給する際は、ソレノイドバルブ240Aを開き、ソレノイドバルブ240B、240C、240Dを閉じた状態で、ポンプ230を駆動する。これにより、タンク210内のインクが流路250Aを流れて、タンク220に供給される。
インク供給ユニット200のタンク220からヘッドユニット300Aのヘッダタンク320Aにインクを供給する際は、ソレノイドバルブ240B、240Cを開き、ソレノイドバルブ240A、240Dを閉じた状態で、ポンプ230を駆動する。これにより、タンク220内のインクが流路250B及び流路250Cを流れて、ヘッダタンク320Aに供給される。なお、このとき、ヘッドユニット300Aのソレノイドバルブ340Aは開いており、ヘッダタンク320Aはソレノイドバルブ340A及び流路構造体350Aを介して大気と連通している。
インク供給ユニット200のタンク220からヘッドユニット300Bのヘッダタンク320Bにインクを供給する際は、ソレノイドバルブ240B、240Dを開き、ソレノイドバルブ240A、240Cを閉じた状態で、ポンプ230を駆動する。これにより、タンク220内のインクが流路250B及び流路250Dを流れて、ヘッダタンク320Aに供給される。なお、このとき、ヘッドユニット300Bのソレノイドバルブ340Bは開いており、ヘッダタンク320Bはソレノイドバルブ340B及び流路構造体350Bを介して大気と連通している。
上記のインクジェットプリンタ100において、例えば、ヘッドユニット300Bをヘッドユニット300Aよりも高い位置に配置して使用する際、タンク220とヘッダタンク320Bとを接続する流路(即ち、流路250B及び流路250D)の長さが、タンク220とヘッダタンク320Aとを接続する流路(即ち、流路250B及び流路250C)の長さよりも長くなる場合がある。ここで一般に、流路の長さが長くなるほど、その流路の流路抵抗は大きくなる。このため、流路の長さ以外の条件(例えば、流路の径や、流路を流れるインクの粘度等)が同じであると仮定すると、タンク220とヘッダタンク320Bとを接続する流路の流路抵抗は、タンク220とヘッダタンク320Aとを接続する流路の流路抵抗よりも大きくなる。
したがって、ヘッドユニット300Aのヘッダタンク320Aにインクを供給する場合に、ヘッドユニット300Bのヘッダタンク320Bにインクを供給する際の駆動率でポンプ230を駆動すると、ヘッダタンク320Aへのインクの流量(供給速度)が大きくなる。この結果、ヘッダタンク320A内の空気がソレノイドバルブ340A及び流路構造体350Aを介して大気に開放される速度よりも、ヘッダタンク320A内のインクの液面が上昇する速度が速くなり、ヘッダタンク320A内の圧力が増加する。そして、増加した圧力がヘッダタンク320Aと連通するインクジェットヘッド310Aのノズルに逃げる際、ノズルからインクが漏れ出すおそれがあった。
本発明は、1個のポンプによって複数のヘッドユニットに液体を供給する場合に、各ヘッドユニットに設けられた液体吐出ヘッドから液体が漏れ出さないように、各ヘッドユニットに適切な流量で液体を供給することが可能な液体供給方法、及び、その液体供給方法を実現可能な印刷装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に従えば、ポンプを備える液体供給ユニットと、第1流路によって前記液体供給ユニットと接続された第1ヘッドユニットと、第2流路によって前記液体供給ユニットと接続された第2ヘッドユニットと、を備える印刷装置が実行する液体供給方法であって、
前記第1ヘッドユニットへの液体の初期供給時において、所定の駆動率で前記ポンプを駆動して、前記液体供給ユニットから前記第1ヘッドユニットへと前記液体を供給することと、
前記第2ヘッドユニットへの前記液体の初期供給時において、前記所定の駆動率で前記ポンプを駆動して、前記液体供給ユニットから前記第2ヘッドユニットへと前記液体を供給することと、
前記第1ヘッドユニットへの前記初期供給中における第1初期流量を算出することと、
算出した前記第1初期流量に基づいて、前記ポンプの第1駆動率を決定することと、
前記初期供給後においては、決定した前記第1駆動率で前記ポンプを駆動して、前記第1ヘッドユニットに前記液体を供給することと、
前記第2ヘッドユニットへの前記初期供給中における第2初期流量を算出することと、
算出した前記第2初期流量に基づいて、前記ポンプの第2駆動率を決定することと、
前記初期供給後においては、決定した前記第2駆動率で前記ポンプを駆動して、前記第2ヘッドユニットに前記液体を供給することと、を含む液体供給方法が提供される。
本発明の第2の態様に従えば、第1の態様に従うポンプと接続されたコントローラを備え、
前記コントローラが、第1の態様に従う液体供給方法を実行する印刷装置が提供される。
本発明の第1及び第2の態様によれば、1個のポンプによって複数のヘッドユニットに液体を供給する場合に、各ヘッドユニットに設けられた液体吐出ヘッドから液体が漏れ出さないように、各ヘッドユニットに適切な流量で液体を供給することができる。
従来のインクジェットプリンタにおけるインク供給系を示す概略図である。 コントローラ、インク供給ユニット、ヘッドユニット、操作パネル及び外部装置の電気的な接続を略示するブロック図である。 本実施形態のインクジェットプリンタにおけるインク供給系を示す概略図である。 本実施形態のインクジェットプリンタにおけるインク供給系を示す概略図であり、インク供給ユニット内の2つのタンクの間でインクを移動させる際の各バルブの開閉状態を示す。 本実施形態のインクジェットプリンタにおけるインク供給系を示す概略図であり、インク供給ユニット内のタンクからヘッドユニット内のタンクにインクを供給する際の各バルブの開閉状態を示す。 本実施形態のインクジェットプリンタにおけるインク供給系を示す概略図であり、インクジェットヘッドが駆動している際の各バルブの開閉状態を示す。 ポンプの駆動率を決定する手順を示すフローチャートである。 印刷開始後のインク供給手順を示すフローチャートである。 ポンプの駆動率を決定する手順の変形例を示すフローチャートである。 印刷開始後のインク供給手順の変形例を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタについて、図2〜5を参照しつつ説明する。
図2に示すように、インクジェットプリンタ10は、インク供給ユニット20、4個のヘッドユニット30A〜30D、操作パネル40、及びコントローラ50を主に備える。なお、インクジェットプリンタ10は、本発明の印刷装置の一例である。
インク供給ユニット20には、ポンプ23、フロートセンサ22a、及びソレノイドバルブ24A〜24Hが設けられており、これらがコントローラ50と電気的に接続されている。また、ヘッドユニット30A〜30Dにはそれぞれ、インクジェットヘッド31A〜31D、フロートセンサ33A〜33D、及びソレノイドバルブ34A〜34Dが設けられており、これらがコントローラ50と電気的に接続されている。さらに、ユーザに対する入出力インターフェースとしての操作パネル40が、コントローラ50と電気的に接続されている。インクジェットヘッド31としては、例えば、複数のノズルと、複数のノズルとそれぞれ連通する複数の流路と、複数の流路内のインクに吐出圧力を付与する圧電アクチュエータとを備えた、いわゆるピエゾ型インクジェットヘッドを用いることができる。
コントローラ50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、各種制御回路を含むASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を備える。コントローラ50は、ROMに格納されたプログラムに従い、CPU及びASICにより、様々な処理を実行する。例えば、コントローラ50は、外部装置としてのPC60から受信した印刷ジョブに基づいて、インク供給ユニット20やヘッドユニット30等を制御して、紙等の媒体に画像等を印刷する印刷処理を実行する。なお、コントローラ50が、CPU及びASICによって印刷処理を行う例を挙げたが、本発明はこれに限るものではなく、コントローラ50はいかなるハードウェア構成で実現してもよい。例えば、CPUのみ又はASICのみで処理を行ってもよい。また、2つ以上のCPUや、2つ以上のASICに機能を分担して実現してもよい。
次に、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタ10のインク供給系について、図3及び図4a〜4cを参照しつつ説明する。
図3に示すように、インク供給ユニット20には、タンク21、タンク22、及びポンプ23が設けられている。また、ヘッドユニット30A〜30Dにはそれぞれ、インクジェットヘッド31A〜31D、タンク32A〜32Dが設けられている。
タンク21は、インク供給ユニット20に対して着脱可能に装着される。タンク22はインク供給ユニット20に据え付けられている。そして、タンク22の内部には、タンク22に貯留されているインクの量を検出するためのフロートセンサ22aが設けられている。タンク32A〜32Dはそれぞれ、ヘッドユニット30A〜30Dに据え付けられている。そして、タンク32A〜32Dの内部にはそれぞれ、タンク32A〜32Dに貯留されているインクの量を検出するためのフロートセンサ33A〜33Dが設けられている。
タンク21とタンク22とは、流路26Aにより連通するとともに、タンク22からソレノイドバルブ24Cを介してポンプ23に至る流路26C、及びポンプ23からソレノイドバルブ24Bを介してタンク21に至る流路26Bにより連通している。なお、流路26Aには、ソレノイドバルブ24Aが設けられている。タンク22とヘッドユニット30Aのタンク32Aとは、タンク22からソレノイドバルブ24Dを介してポンプ23に至る流路26Dと、ポンプ23からソレノイドバルブ24Eに至る流路26Eと、ソレノイドバルブ24Eからタンク32Aに至る流路36Aにより連通している。以下、タンク22から、ソレノイドバルブ24D、ポンプ23、及びソレノイドバルブ24Eを介してタンク32Aに至る流路を、「第1流路」と呼ぶ。すなわち、「第1流路」は、流路26Dと、流路26Eと、流路36Aとを有する。タンク22とヘッドユニット30Bのタンク32Bとは、タンク22からソレノイドバルブ24Dを介してポンプ23に至る流路26Dと、ポンプ23からソレノイドバルブ24Fに至る流路26Fと、ソレノイドバルブ24Fからタンク32Bに至る流路36Bにより連通している。以下、タンク22から、ソレノイドバルブ24D、ポンプ23、及びソレノイドバルブ24Fを介してタンク32Bに至る流路を、「第2流路」と呼ぶ。すなわち、「第2流路」は、流路26Dと、流路26Fと、流路36Bとを有する。タンク22とヘッドユニット30Cのタンク32Cとは、タンク22からソレノイドバルブ24Dを介してポンプ23に至る流路26Dと、ポンプ23からソレノイドバルブ24Gに至る流路26Gと、ソレノイドバルブ24Gからタンク32Cに至る流路36Cにより連通している。以下、タンク22から、ソレノイドバルブ24D、ポンプ23、及びソレノイドバルブ24Gを介してタンク32Cに至る流路を、「第3流路」と呼ぶ。すなわち、「第3流路」は、流路26Dと、流路26Gと、流路36Cとを有する。タンク22とヘッドユニット30Dのタンク32Dとは、タンク22からソレノイドバルブ24Dを介してポンプ23に至る流路26Dと、ポンプ23からソレノイドバルブ24Hに至る流路26Hと、ソレノイドバルブ24Hからタンク32Dに至る流路36Dにより連通している。以下、タンク22から、ソレノイドバルブ24D、ポンプ23、及びソレノイドバルブ24Hを介してタンク32Dに至る流路を、「第4流路」と呼ぶ。すなわち、「第4流路」は、流路26Dと、流路26Hと、流路36Dとを有する。流路26A〜26H、及び流路36A〜36Dとしては、例えば、可撓性を有するチューブを使用することができる。
ヘッドユニット30A〜30Dにおいて、タンク32A〜32Dとインクジェットヘッド31A〜31Dとはそれぞれ、流路37A〜37Dにより連通している。流路37A〜37Dとしては、流路26A〜26H、及び流路36A〜36Dと同様に、例えば、可撓性を有するチューブを使用することができる。また、タンク32A〜32Dにはそれぞれ、ソレノイドバルブ34A〜34Dが接続されており、ソレノイドバルブ34A〜34Dにはそれぞれ、タンク32A〜32Dを大気に連通させるための流路構造体35A〜35D(以下、ラビリンス35A〜35Dという)が接続されている。
ラビリンス35A〜35Dの各々は、略直方体の外形を有する流路構造体であり、フレーム、流入口、流出口、複数の隔壁、ダンパフィルム、及び半透膜を備える。ラビリンス35A〜35Dの各々において、一方の面はダンパフィルムで形成され、ダンパフィルムと対向する他方の面の開口は半透膜によって封止されている。半透膜は、インクの通過を遮断し、且つ空気の通過を許容する微小な孔を有する多孔質膜である。ラビリンス35A〜35Dの各々の内部には、複数の隔壁が複雑に入り組まれることにより、流入口から流出口に至る流路が形成されている。
次に、図4a〜図4cを参照して、インク供給ユニット20内でタンク21からタンク22にインクを供給するシーケンス、インク供給ユニット20のタンク22から1つのヘッドユニット30Aのタンク32Aにインクを供給するシーケンス、及びヘッドユニット30A内でタンク32Aからインクジェットヘッド31Aにインクを供給するシーケンスについて説明する。なお、図4a〜4cにおいて、ヘッドユニット30B〜30Dと、第2流路〜第4流路の一部は省略されている。また、インク供給ユニット20のタンク22からヘッドユニット30Bのタンク32Bにインクを供給するシーケンス、インク供給ユニット20のタンク22からヘッドユニット30Cのタンク32Cにインクを供給するシーケンス、及び、インク供給ユニット20のタンク22からヘッドユニット30Dのタンク32Dにインクを供給するシーケンスは、インク供給ユニット20のタンク22からヘッドユニット30Aのタンク32Aにインクを供給するシーケンスと同様である。
まず、インク供給ユニット20内でタンク21からタンク22にインクを供給する際、コントローラ50は、図4aに示されるように、ソレノイドバルブ24A、24B、24Cを開き、ソレノイドバルブ24D、24Eを閉じた状態で、ポンプ23を駆動する。なお、このとき、ソレノイドバルブ24F〜24Hは、ソレノイドバルブ24Eと同様に閉じられている。ここで、流路26Cの一端は、タンク22内の上部であって、タンク22のインク量の上限値に相当する位置に配置されている。このため、タンク22内のインクの液面が流路26Bの一端に達していない状態でポンプ23が駆動すると、タンク22内の空気が吸引され、タンク22内は負圧となる。タンク22内から吸引された空気はソレノイドバルブ24Bを介してタンク21内に送られ、タンク21の上部に設けられた大気連通孔21aから排出される。一方、タンク22内は負圧となっているため、タンク21内のインクが流路26Aを介してタンク22内に流れ込む。これにより、タンク21からタンク22にインクが供給される。
上述したように、タンク22内には、タンク22内のインクの量を検出するためのフロートセンサ22aが設けられている。タンク22内のインク量が下限値を下回ったことを示す信号をフロートセンサ22aが出力すると、コントローラ50は、ソレノイドバルブ24A〜24H及びポンプ23を制御して、上述したように、タンク21からタンク22にインクを供給する。また、タンク22内のインク量が上限値に達したことを示す信号をフロートセンサ22aが出力すると、コントローラ50は、ポンプ23の駆動を停止することにより、タンク21からタンク22へのインクの供給を停止する。
次に、インク供給ユニット20からヘッドユニット30Aにインクを供給する際、より詳細には、インク供給ユニット20のタンク22からヘッドユニット30Aのタンク32Aにインクを供給する際、コントローラ50は、図4bに示されるように、ソレノイドバルブ24A、24D、24Eを開き、ソレノイドバルブ24B、24Cを閉じた状態で、ポンプ23を駆動する。なお、このとき、ソレノイドバルブ24F〜24Hは閉じられている。ここで、26Dの一端は、タンク22内の下部であって、タンク22内のインク量の下限値に相当する位置に配置されている。このため、タンク22内のインクのインク量が下限値に達していない状態でポンプ23が駆動すると、タンク22内のインクは流路26D、流路26E、及び流路36Aを介して、ヘッドユニット30Aのタンク32Aに供給される。
このとき、タンク22内のインクが吸引されることにより、タンク22内は負圧となる。そして、ソレノイドバルブ24Aは開いており、タンク21には大気連通孔21aが設けられている。このため、タンク21から流路26Aを介してタンク22にインクが供給される。つまり、本実施形態のインク供給ユニット20では、タンク22からヘッドユニット30Aのタンク32Aにインクを供給することにより、タンク32Aへのインク供給動作を停止することなく、タンク21からタンク22にインクを補充することができる。
そして、ヘッドユニット30Aのタンク32Aにインクが供給された後、インクジェットヘッド31Aからインクを吐出して印刷を行う際、コントローラ50は、図4cに示されるように、インク供給ユニット20の全てのソレノイドバルブ24A〜24Eを閉じ、ヘッドユニット30のソレノイドバルブ34を開いた状態で、インクジェットヘッド31を駆動する。このとき、タンク32Aは、ソレノイドバルブ34A及びラビリンス35Aを介して大気と連通しているので、インクジェットヘッド31Aからインクが吐出されると、それとほぼ同量のインクがタンク32Aから流路37Aを介してインクジェットヘッド31Aに供給される。
なお、印刷をしている最中にタンク32A内のインクが所定量よりも少なくなった場合、コントローラ50は、図4cに示す状態から、図4bに示す状態となるように、インク供給ユニット20を制御する。詳細には、コントローラ50は、閉じている状態のソレノイドバルブ24A、24D、24Eを開き、ソレノイドバルブ24B、24Cを閉じたままとして、ポンプ23を駆動する。このとき、ソレノイドバルブ24F〜24Hは閉じられている。なお、タンク32A内のインクの液面が、タンク32A内のインクの所定量に相当する高さよりも低くなった場合は、タンク32A内のインクが所定量より少なったことを示すEmpty信号が、フロートセンサ33Aからコントローラ50に出力される。これにより、印刷中にタンク32A内のインクが所定量より少なくなった場合でも、印刷を止めることなく、タンク22からヘッドユニット30Aのタンク32Aにインクを補充することができる。そして、さらに、インク供給ユニット20内では、タンク22にタンク21からインクが補充される。このため、印刷中にタンク21内のインクが無くなったとしても、印刷を止めることなく、タンク21を交換することができる。一方、タンク22からタンク32Aにインクが補充され、タンク32A内のインクの液面が、タンク32A内のインク量の上限値に相当する高さに到達した場合は、タンク32A内のインク量が上限値に到達したことを示すFull信号が、フロートセンサ33Aからコントローラ50に出力される。コントローラ50は、フロートセンサ33AからFull信号が入力されると、ポンプ23の駆動を停止する。これにより、タンク22からタンク32Aへのインクの補充が停止される。
また、上述したように、ヘッドユニット30Aのタンク32Aにインクが供給された後、インクジェットヘッド31Aからインクを吐出して印刷を行う場合、インク供給ユニット20の全てのソレノイドバルブ24A〜24Eは閉じられている。このため、本実施形態では、インクジェットヘッド31Aからインクを吐出して印刷を行っている最中に、タンク21をインク供給ユニット20から取り外して交換することができる。
なお、本実施形態では、インクジェットヘッド31A内の増粘したインクを排出するため、あるいは、インクジェットヘッド31A内及び流路37Aに混入した気泡を排出するため、タンク32Aからインクジェットヘッド31Aに、強制的にインクを供給する場合がある。この場合、コントローラ50は、インク供給ユニット20のソレノイドバルブ24A、24D、及び24Eを開き、インク供給ユニット20のソレノイドバルブ24B、24C、及びヘッドユニット30のソレノイドバルブ34Aを閉じた状態で、ポンプ23を駆動する。これにより、タンク22からタンク32Aにインクが供給される。このとき、ヘッドユニット30Aのソレノイドバルブ34Aは閉じているので、タンク32Aの内部が正圧となり、タンク32Aから流路37Aを介してインクジェットヘッド31Aに、インクが強制的に供給される。
ここで、本実施形態では、1つのインク供給ユニット20に対して、4つのヘッドユニット30A〜30Dが接続されている。このため、インク供給ユニット20のタンク22から、1つのポンプ23を用いて、ヘッドユニット30A〜30Dのタンク32A〜32Dのそれぞれに、インクを供給する必要がある。ここで、4つのヘッドユニット30A〜30Dは、インク供給ユニット20に対する配置位置(例えば、高さ位置)がそれぞれ異なっている。このため、タンク22とタンク32Aとを接続する第1流路、タンク22とタンク32Bとを接続する第2流路、タンク22とタンク32Cとを接続する第3流路、及びタンク22とタンク32Dとを接続する第4流路の長さがそれぞれ異なっている。本実施形態では、一例として、第1流路、第2流路、第3流路、第4流路の順に、長くなっている。また、第1流路〜第4流路として、同じ径を有する可撓性のチューブを用いているため、第1流路、第2流路、第3流路、第4流路の順に、流路抵抗が大きくなっている。このような状況において、ポンプ23を一定の駆動率で駆動した場合、流路抵抗が低い流路におけるインクの流量は、流路抵抗が高い流路におけるインクの流量よりも多くなる。そして、例えば、第1流路のインクの流量が所定の上限値を超える場合、タンク32A内の空気がソレノイドバルブ34A及び流路構造体35Aを介して大気に開放される速度よりも、タンク32A内のインクの液面が上昇する速度が速くなり、タンク32A内の圧力が増加する。そして、増加した圧力がタンク32Aと連通するインクジェットヘッド31Aのノズルに逃げる際、インクジェットヘッド31Aのノズルからインクが漏れ出す可能性がある。インクジェットヘッド31Aのノズルからインクが漏れ出すと、インクジェットヘッド31Aのノズルからインク滴が吐出されなくなり、印字不良の原因となる。そこで、本実施形態では、第1流路〜第4流路を流れるインクの流量が上限値を超えない一定量となるように、第1流路〜第4流路にインクを供給するそれぞれの場合において、ポンプ23の駆動率を異ならせている。なお、ポンプ23はパルス波形信号により駆動されており、その駆動率は、単位時間におけるONの時間の長さと、パルス波の高さ(電圧)の積で表される。このため、単位時間におけるONの時間の長さと、パルス波の、いずれか一方又は両方を変更することにより、ポンプ23の駆動率を変更することができる。
次に、図5を参照しつつ、印刷が開始された後に第1流路〜第4流路のそれぞれにインクを供給する際のポンプ23の駆動率を決定する手順について説明する。なお、この手順は、各流路について同じであるため、第1流路についてのみ説明する。
まず、空のタンク32Aに、空の第1流路を介して初めてインクを供給する初期供給を行う際、コントローラ50は、ソレノイドバルブ24D、24Eを開いた状態で、所定の駆動率でポンプ23を駆動し、タンク22からタンク32Aにインクを供給する(ステップS10)。ここで、初期供給を行う際は、印刷は行われていないため、インクジェットヘッド31Aからインクが漏れ出しても印刷に影響はない。このため、所定の駆動率は高めの値(例えば50%程度)に設定することができる。なお、所定の駆動率とは、最も厳しい条件においても、タンク22からヘッドユニットのタンクにインクを供給可能な駆動率を意味する。つまり、あるヘッドユニットのインク供給ユニット20に対する高さがインクジェットプリンタ10において許容される最高の高さであり、タンク22と当該ヘッドユニットのタンクとを接続する流路の長さがインクジェットプリンタ10において許容される最長の長さであり、インクジェットプリンタ10の設置環境の温度がインクジェットプリンタ10において許容される最低の温度(インクの最大粘度)である場合であっても、タンク22から当該ヘッドユニットのタンクにインクを供給可能な駆動率を意味する。
次に、コントローラ50は、タンク32Aのフロートセンサ33Aから出力されたFull信号を受け付けたか判断する(ステップS20)。Full信号を受け付けていないと判断した場合(ステップS20:No)、コントローラ50はステップS10を継続しつつ、Full信号を受け付けるまでステップS20の処理を繰り返す。Full信号を受け付けたと判断した場合(ステップS20:Yes)、コントローラ50は、所定の駆動率でポンプ23の駆動を開始してからFull信号を受け付けるまでに要した時間tを取得する(ステップS30)。
次に、コントローラ50は、ステップS30で取得した時間tに基づいて、所定の駆動率でポンプ23を駆動した場合の初期流量Vを算出する(ステップS40)。ここで、ポンプ23が所定の駆動率で駆動を開始してからタンク32Aのフロートセンサ33AがFull信号を出力するまでにポンプ23によって供給されたインクの量は、タンク32Aにおけるインク量の上限値Vと、第1流路内のインク量Vの和によって表すことができる。タンク32Aにおけるインク量の上限値Vは予め決められている。また、第1流路を構成するチューブの内径d及び長さlが既知の場合、第1流路内のインク量Vは、チューブの内径dと長さlの積により求めることができる。したがって、初期流量Vは以下の式(1)により算出することができる。
=(V+V)/t (1)
そして、コントローラ50は、ステップS40で算出した初期流量Vに基づいて、印刷が開始された後のポンプ23の駆動率である第1駆動率を決定する(ステップS50)。具体的には、目標流量(例えば、20ml/min)と算出した初期流量Vとを比較し、目標流量と初期流量Vとの差が大きいほど、所定の駆動率を大きく補正し、第1駆動率とする。つまり、印刷開始後にタンク32Aに供給されるインクの流量が、目標流量と等しくなるように、ポンプ23の第1駆動率を決定する。ここで、上述したように、初期供給を行う際は印刷が行われておらず、インクジェットヘッド31Aからインクが漏れ出しても印刷への影響はないため、所定の駆動率は高めの値に設定されている。具体的には、上述したように、インクジェットプリンタ100が許容する最も厳しい使用条件においてもタンク22からヘッドユニットのタンクにインクを供給可能な値に設定されている。このため、所定の駆動率でポンプ23を駆動した場合、初期流量Vは、目標流量よりも多くなる場合が多い。初期流量Vが目標流量よりも多い場合は、第1駆動率は所定の駆動率よりも低い値となる。そして、初期流量Vと目標流量との差が大きくなるほど、第1駆動率は低い値に決定される。
コントローラ50は、以上の手順を、第2流路から第4流路の各々についても実行することにより、第2流路を介してタンク32Bにインクを供給する際のポンプ23の駆動率である第2駆動率、第3流路を介してタンク32Cにインクを供給する際のポンプ23の駆動率である第3駆動率、及び、第4流路を介してタンク32Dにインクを供給する際のポンプ23の駆動率である第4駆動率を決定する。なお、上述したように、本実施形態では、第1流路、第2流路、第3流路、第4流路の順に、流路の長さが長くなっており、流路抵抗が大きくなっている。このため、本実施形態において、初期流量Vは、第1流路、第2流路、第3流路、第4流路の順に小さくなっている。したがって、本実施形態において、ポンプ23の駆動率は、第1駆動率、第2駆動率、第3駆動率、第4駆動率の順に大きくなるように決定される。
ここで、本実施形態において、印刷が実行されている最中は、4個のインクジェットヘッド31A〜31Dの全てが同時に駆動している場合があり、インクジェットヘッド31A〜31Dで単位時間あたりに消費されるインクの量は、インクジェットヘッド31A〜31Dが印刷する印字データに依存する。このため、4個のタンク32A〜32Dの全てに上限値のインク量が供給された状態で印刷を開始したとしても、フロートセンサ33A〜33DがEmpty信号を出力するタイミングは、4個のタンク32A〜32Dにおいて同時であるとは限らない。例えば、タンク32Aのフロートセンサ33Aから最初にEmpty信号が出力され、タンク32Aに対してインクの供給を行っている最中に、タンク32Bのフロートセンサ33BからEmpty信号が出力される場合も考えられる。このような場合、タンク32Bにもインクを供給する必要があるが、タンク32Aにインクを供給する際のポンプ23の第1駆動率と、タンク32Bにインクを供給する際のポンプ23の第2駆動率とは異なるため、どちらの駆動率でポンプ23を駆動するかが問題となる。そこで、本実施形態のコントローラ50は、4個のインクジェットヘッド31A〜31Dによる印刷を開始した後は、図6に示されるフローに従って、ポンプ23の駆動を制御する。
まず、印刷を開始すると、コントローラ50は、フロートセンサ33A〜33Dのいずれかから、Empty信号が出力されたか判する(ステップS110)。フロートセンサ33A〜33DのいずれかからEmpty信号を受け付けたと判断した場合(S110:Yes)、コントローラ50は、ステップS120の処理を実行する。一方、フロートセンサ33A〜33DのいずれからもEmpty信号を受け付けていないと判断した場合(S110:No)、コントローラ50は、フロートセンサ33A〜33DのいずれかからEmpty信号を受け付けるまで、ステップS110の処理を繰り返す。
フロートセンサ33A〜33DのいずれかからEmpty信号を受け付けたと判断した場合(S110:Yes)、コントローラ50は、Empty信号を受け付けたフロートセンサとは異なる他のフロートセンサからもEmpty信号を受け付けたか判断する(ステップS120)。他のフロートセンサからもEmpty信号を受け付けたと判断した場合(S120:Yes)、コントローラ50は、同時にEmptyとなった全てのタンクにインクを供給するため、それらのタンクに対応する流路に設けられた全てのソレノイドバルブを開く。そして、それらのタンクに個別にインクを供給する際の駆動率のうち、最も小さい駆動率でポンプ23を駆動し(ステップS130)、それらのタンク全てに対してインクが供給された後、図6に示される処理を終了する。例えば、タンク32Aのフロートセンサ33AからEmpty信号を受け付け、さらに、タンク32Bのフロートセンサ33BからもEmpty信号を受け付けた場合、コントローラ50は、タンク32Aにインクを供給するための第1流路に設けられたソレノイドバルブ24Eと、タンク32Bにインクを供給するための第2流路に設けられたソレノイドバルブ24Fとを開く。そして、タンク32Aにインクを供給する際の第1駆動率とタンク32Bにインクを供給する際の第2駆動率のうち、最も小さい駆動率、即ち、第1駆動率でポンプ23を駆動することにより、タンク32A及びタンク32Bの両方に対して同時にインクを供給する。そして、タンク32Aのフロートセンサ33AからFull信号を受け取ったタイミングで、第1流路に設けられたソレノイドバルブ24Eを閉じ、タンク32Bのフロートセンサ33BからFull信号を受け取ったタイミングで、ポンプ23の駆動を停止するとともに、第2流路に設けられたソレノイドバルブ24Fを閉じる。これにより、コントローラ50は、図6に示される処理を終了する。
一方、Empty信号を受け付けたフロートセンサとは異なる他のフロートセンサからはEmpty信号を受け付けていないと判断した場合(S120:No)、コントローラ50は、Emptyとなったタンクに対して、インクの供給を開始する(ステップS140)。例えば、タンク32Aのフロートセンサ33AのみからEmpty信号を受け付けた場合、コントローラ50は、タンク32Aにインクを供給するための第1流路に設けられたソレノイドバルブ24Eを開き、第1駆動率でポンプ23を駆動する。
そして、Emptyとなった1個のタンクに対してインクの供給を開始している間に、コントローラ50は、他のタンクのフロートセンサからもEmpty信号を受け付けたか判断する(ステップS150)。他のタンクのフロートセンサからEmpty信号を受け付けていないと判断した場合(S150:No)、コントローラ50はEmptyとなった1個のタンクに対するインクの供給を継続し、当該タンクのフロートセンサからFull信号を受け取ったタイミングで、ポンプ23の駆動を停止するとともに、当該タンクにインクを供給するための流路に設けられたソレノイドバルブを閉じる(ステップS160)。これにより、コントローラ50は、図6に示される処理を終了する。
一方、他のタンクのフロートセンサからEmpty信号を受け付けたと判断した場合(S150:Yes)、コントローラ50は当該他のタンクにインクを供給するための流路に設けられたソレノイドバルブを開く(ステップS170)。そして、コントローラ50は、最初にEmptyとなったタンクに個別にインクを供給する際の駆動率と、ステップS150でEmptyが検出された他のタンクに個別にインクを供給する際の駆動率のうち、最も小さい駆動率でポンプ23を駆動する(ステップS130)。例えば、タンク32Aにインクを供給している最中に、タンク32Bのフロートセンサ33BからEmpty信号を受け付けたと判断した場合、コントローラ50は、タンク32Bにインクを供給するための第2流路に設けられたソレノイドバルブ24Fを開く。そして、タンク32Aにインクを供給する際の第1駆動率と、タンク32Bにインクを供給する際の第2駆動率のうち、最も小さい駆動率、即ち、第1駆動率でポンプ23を駆動し、タンク32Aとタンク32Bの両方に対して同時にインクを供給する。そして、タンク32Aのフロートセンサ33AからFull信号を受け取ったタイミングで、第1流路に設けられたソレノイドバルブ24Eを閉じ、タンク32Bのフロートセンサ33BからFull信号を受け取ったタイミングで、ポンプ23の駆動を停止するとともに、第2流路に設けられたソレノイドバルブ24Fを閉じる。
以上説明してきたように、本実施形態では、タンク32A〜32Dのそれぞれに対して初期供給を行った際のインクの流量(換言すればインクの供給速度)に基づいて、ポンプ23の駆動率を、タンク32A〜32Dに対して個別に決定する。そして、インクジェットヘッド31A〜31Dによる印刷が開始された後に、タンク32A〜32Dの各々にインクを供給する際は、個別に決定した駆動率にしたがって、ポンプ23を駆動する。このため、第1流路から第4流路の長さや、タンク32A〜32Dの配置位置(高さ位置)がそれぞれ異なり、流路抵抗が異なる場合であっても、インクジェットヘッド31A〜31Dからインクが漏れ出すことがないように、タンク32A〜32Dに対して適切な流量でインクを供給することができる。
また、上記実施形態では、タンク32A〜32Dのうちの複数のタンクが同時にEmptyとなった場合、コントローラ50は、Emptyとなった複数のタンクに対応するバルブを開き、Emptyとなった複数のタンクの全てに対して同時にインクの供給を開始する。このとき、コントローラ50は、Emptyとなった複数のタンクに個別にインクを供給する際の駆動率のうち、最も小さい駆動率でポンプ23を駆動する。この結果、Emptyとなった複数のタンクの全てに対して、供給されるインクの流量が過剰にならない。このため、Emptyとなった複数のタンクにそれぞれ接続されている複数のインクジェットヘッドから、インクが漏れ出すのを確実に防止することができる。
<変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能である。
ポンプ23の第1駆動率〜第4駆動率はそれぞれ、インクジェットプリンタが使用される環境の温度に応じて、適宜補正されてもよい。これは、インクジェットプリンタが使用される環境の温度に応じてインクの粘度が変わるためである。一般に温度が高くなるにつれてインクの粘度は低くなる。このため、初期供給時と比べて環境温度が高い場合は、第1駆動率〜第4駆動率をそれぞれ減少させてもよく、初期供給時と比べて環境温度が低い場合は、第1駆動率〜第4駆動率をそれぞれ増加させてもよい。
上記実施形態では、タンク32A〜32Dのそれぞれに対する初期流量Vを算出する際、第1流路〜第4流路のそれぞれについて、それらの内部のインク量Vを算出していたが、これには限られない。例えば、インク供給ユニット20内で、タンク22とソレノイドバルブ24E〜24Hのそれぞれとを接続する流路の長さ(即ち、流路26Dと流路26Eの全長、流路26Dと流路26Fの全長、流路26Dと流路26Gの全長、及び流路26Dと流路26Hの全長)が同じであり、流路36A〜36Dの長さが異なっている場合は、流路36A〜36Dのそれぞれについて、それらの内部のインク量を算出してもよい。
上記実施形態では、第1流路〜第4流路を構成するチューブの内径と長さが既知であったが、チューブの内径が既知であっても、チューブの長さが既知ではない場合もあり得る。このような場合は、図5に示されるステップS40において、以下の手順により初期流量Vを算出してもよい。
まず、インク供給ユニット20のタンク22からタンク32Aに供給されるインクの粘度vを取得する。ここで、環境温度とインクの粘度との対応関係は、例えばタンク21に取り付けられた不図示のRFIDタグに記録されている。このため、環境温度を取得することにより、RFIDに記録された対応関係に基づいてインクの粘度vを取得することができる。
次に、第1流路を構成するチューブの長さをlとした場合、第1流路及びタンク32Aの流路抵抗Rは、取得したインクの粘度vを用いて、以下の式(2)で表すことができる。
R=(R+Rl)×v (2)
ここで、R及びRは、インクジェットプリンタ100の仕様(例えば、タンク32Aやソレノイドバルブ24E等、第1流路以外の構成要素の流路抵抗等)によって決定される係数である。
また、第1流路を構成するチューブの内径dが既知の場合、第1流路内のインクの量は、(d/2)πlによって表すことができる。したがって、ポンプ23が所定の駆動率で駆動を開始してからタンク32Aのフロートセンサ33AがFull信号を出力するまでにポンプ23によって供給されたインクの量Iaは、以下の式(3)で表すことができる。
Ia=V+(d/2)πl (3)
ここで、Vはタンク32Aにおけるインク量の上限値である。
そして、上記の式(2)及び式(3)で表されるR及びIaを以下の式(4)に代入し、変数lについての方程式を解くことにより、チューブの長さlを算出することができる。
P/R=Ia/t (4)
ここで、Pはポンプ23の駆動圧力を表し、既知の値である。
したがって、算出されたチューブの長さlを上記の式(3)に代入することにより、Iaの値を算出することができ、算出したIaの値を以下の式(5)に代入することにより、初期流量Vを算出することができる。
=Ia/t (5)
上記実施形態のコントローラ50は、図5に示されるステップS40において、時間tに基づいて初期流量Vを算出し、ステップS50において、初期流量Vに基づいて第1駆動率を決定していたが、これには限られない。例えば、コントローラ50は、図7のステップS40´に示されるように、ステップS30で取得した時間(初期供給時間)tに基づいて、第1駆動率を決定してもよい。この場合、目標供給時間(例えば、15秒)とステップS30で取得した初期供給時間tとを比較し、目標供給時間と初期供給時間との差が大きいほど、所定の駆動率を大きく補正し、第1駆動率としてもよい。つまり、印刷開始後にタンク32Aにインクを供給する際の時間が、目標供給時間と等しくなるように、ポンプ23の第1駆動率を決定してもよい。そして、初期供給時間tが目標供給時間よりも短かくなるほど、第1駆動率が低くなるように、第1駆動率を決定してもよい。コントローラ50は、図7に示される手順を、第2流路から第4流路の各々についても実行することにより、第2駆動率、第3駆動率、及び第4駆動率を決定してもよい。
上記実施形態において、コントローラ50は、4個のインクジェットヘッド31A〜31Dによる印刷を開始した後は、図6に示されるフローに従って、ポンプ23の駆動を制御していたが、これには限られない。コントローラ50は、4個のインクジェットヘッド31A〜31Dによる印刷を開始した後は、例えば、図8に示されるフローに従って、ポンプ23の駆動を制御してもよい。なお、図8におけるステップS210、S220、S240、S250、S260の内容は、上記実施形態の図6におけるステップS110、S120、S140、S150、S160の内容と同じであるため、説明は省略する。
コントローラ50は、フロートセンサ33A〜33DのいずれかからEmpty信号を受け付けた場合(S210:Yes)、タンク32A〜32Dのそれぞれについて、Empty信号が出力されるまでの時間に基づいてインクの減少率を算出し、算出した減少率に基づいて、タンク32A〜32D内のインクの水位が危険水位に到達するまでの時間を算出してもよい(ステップS215)。ここで、危険水位とは、フロートセンサ33A〜33DがEmpty信号を出力する際の水位よりもさらに低い水位である。タンク32A〜32D内のインクが危険水位を下回ると、それぞれのタンク32A〜32Dと、それぞれのインクジェットヘッド31A〜31Dとの間の水頭圧が所定値以上となる。水頭圧が所定値以上になると、インクジェットヘッド31A〜31Dへのインクの供給が困難になる。したがって、危険水位とは、インクジェットヘッド31A〜31Dへのインクの供給が困難になる水位を意味する。
そして、コントローラ50は、ステップS220において、フロートセンサ33A〜33Dのうちの複数から同時にEmpty信号を受け付けたと判断した場合(S220:Yes)、危険水位に到達するまでの時間が最も短いタンクに対して、インクの供給を開始してもよい(ステップS225)。さらに、危険水位に到達するまでの時間が最も短いタンクに対してインクの供給を開始した後、コントローラ50は、当該タンクへのインクの供給が完了する前に他のタンクの水位が危険水位に到達するか判断してもよい(ステップS270)。
そして、当該タンクへのインクの供給が完了する前に他のタンクの水位が危険水位に到達すると判断した場合(ステップS270:Yes)、コントローラ50は、インクの供給を既に開始しているタンクと、当該タンクへのインクの供給が完了する前に危険水位に到達する他のタンクに対して、同時にインクを供給してもよい(ステップS230)。この際、コントローラ50は、それらのタンクに個別にインクを供給する際の駆動率のうち、最も小さい駆動率でポンプ23を駆動してもよい。そして、コントローラ50は、それらのタンクの全てに対してインクが供給された後、図8に示される処理を終了してもよい。
上記実施形態の図6におけるステップS130、及び、図8に示す変形例におけるステップS230では、複数の駆動率のうち最小の駆動率でポンプ23を駆動するが、これには限定れない。複数のタンクに対して同時にインクを供給する際のポンプ23の駆動率は、複数のタンクに対して個別にインクを供給する際の複数の駆動率のうちのうちの最大の駆動率よりも小さい駆動率であればよい。上記実施形態では、タンク32Aとタンク32Bに同時にインクを供給する際は、第1駆動率と第2駆動率のうち最小の駆動率である第1駆動率でポンプ23を駆動したが、第1駆動率には限られず、例えば、第2駆動率よりも小さく第1駆動率よりも大きい駆動率で、ポンプ23を駆動してもよい。この場合、少なくとも、タンク32Bと接続されているインクジェットヘッド31Bからインクが漏れ出すのを防止することができる。
上記実施形態では、第1流路〜第4流路の長さは、第1流路、第2流路、第3流路、第4流路の順に長くなっていたが、この順番には限られず、どのような順番で長くなっていてもよい。また、上記実施形態では、第1流路〜第4流路の長さに伴い、第1流路、第2流路、第3流路、第4流路の順に流路抵抗が大きくなっていたが、この順番には限られない。第1流路〜第4流路の流路抵抗の大きさの順番は、第1流路〜第4流路の長さに応じて変わり得る。また、上記実施形態では、第1流路〜第4流路の流路抵抗の大きさに伴い、第1流路、第2流路、第3流路、第4流路の順で初期流量Vが小さくなっていたが、この順番には限られない。第1流路〜第4流路の初期流量Vの順番は、第1流路〜第4流路の流路抵抗の大きさに応じて変わり得る。さらに、上記実施形態では、第1流路〜第4流路の初期流量Vに伴い、ポンプ23の駆動率は、第1駆動率、第2駆動率、第3駆動率、第4駆動率の順で高くなっていたが、この順番には限られない。第1駆動率〜第4駆動率の順番は、第1流路〜第4流路の初期流量Vに応じて変わり得る。
上記実施形態では、1個のインク供給ユニット20に対して、4個のヘッドユニット30A〜30Dが接続されていたが、これには限定されない。1個のインク供給ユニット20に対して、少なくとも1個のヘッドユニットが接続されていればよく、その数は3個以下であっても5個以上であってもよい。
上記実施形態では、タンク22及びタンク32A〜32D内のインク量を検出するセンサとして、フロートセンサ22a及びフロートセンサ33A〜33Dが用いられていたが、これには限られない。例えば、投光部と受光部とを備える光学式センサを用いてもよい。

印刷を行う媒体は、紙に限定されず、例えば布、基板等であってもよい。
インクジェットヘッドのノズルから吐出される液体は、インクに限定されず、任意の液体(例えば、インク中の成分を凝集又は析出させる処理液等)であってよい。
10 インクジェットプリンタ
20 インク供給ユニット
21 タンク
22 タンク
22a フロートセンサ
23 ポンプ
24A〜24H ソレノイドバルブ
26A〜26H 流路
30A〜30D ヘッドユニット
31A〜31D インクジェットヘッド
32A〜32D タンク
33A〜33D フロートセンサ
34A〜34D ソレノイドバルブ
35A〜35D ラビリンス
36A〜36D 流路
37A〜37D 流路
50 コントローラ

Claims (15)

  1. ポンプを備える液体供給ユニットと、第1流路によって前記液体供給ユニットと接続された第1ヘッドユニットと、第2流路によって前記液体供給ユニットと接続された第2ヘッドユニットと、を備える印刷装置が実行する液体供給方法であって、
    前記第1ヘッドユニットへの液体の初期供給時において、所定の駆動率で前記ポンプを駆動して、前記液体供給ユニットから前記第1ヘッドユニットへと前記液体を供給することと、
    前記第2ヘッドユニットへの前記液体の初期供給時において、前記所定の駆動率で前記ポンプを駆動して、前記液体供給ユニットから前記第2ヘッドユニットへと前記液体を供給することと、
    前記第1ヘッドユニットへの前記初期供給中における第1初期流量を算出することと、
    算出した前記第1初期流量に基づいて、前記ポンプの第1駆動率を決定することと、
    前記初期供給後においては、決定した前記第1駆動率で前記ポンプを駆動して、前記第1ヘッドユニットに前記液体を供給することと、
    前記第2ヘッドユニットへの前記初期供給中における第2初期流量を算出することと、
    算出した前記第2初期流量に基づいて、前記ポンプの第2駆動率を決定することと、
    前記初期供給後においては、決定した前記第2駆動率で前記ポンプを駆動して、前記第2ヘッドユニットに前記液体を供給することと、を含む液体供給方法。
  2. 前記第1駆動率及び前記第2駆動率は、前記所定の駆動率以下である請求項1に記載の液体供給方法。
  3. 前記第1ヘッドユニットへの前記初期供給中における前記第1初期流量が多いほど、前記第1駆動率を低く決定し、
    前記第2ヘッドユニットへの前記初期供給中における前記第2初期流量が多いほど、前記第2駆動率を低く決定する請求項2に記載の液体供給方法。
  4. 前記第1初期流量と所定の目標流量とに基づいて前記第1駆動率を決定し、
    前記第2初期流量と前記所定の目標流量とに基づいて前記第2駆動率を決定する請求項3に記載の液体供給方法。
  5. ポンプを備える液体供給ユニットと、第1流路によって前記液体供給ユニットと接続された第1ヘッドユニットと、第2流路によって前記液体供給ユニットと接続された第2ヘッドユニットと、を備える印刷装置が実行する液体供給方法であって、
    前記第1ヘッドユニットへの液体の初期供給時において、所定の駆動率で前記ポンプを駆動して、前記液体供給ユニットから前記第1ヘッドユニットへと前記液体を供給することと、
    前記第2ヘッドユニットへの前記液体の初期供給時において、前記所定の駆動率で前記ポンプを駆動して、前記液体供給ユニットから前記第2ヘッドユニットへと前記液体を供給することと、
    前記第1ヘッドユニットへの前記初期供給に要した第1初期供給時間を取得することと、
    取得した前記第1初期供給時間に基づいて、前記ポンプの第1駆動率を決定することと、
    前記初期供給後においては、決定した前記第1駆動率で前記ポンプを駆動して、前記第1ヘッドユニットに前記液体を供給することと、
    前記第2ヘッドユニットへの前記初期供給に要した第2初期供給時間を取得することと、
    取得した前記第2初期供給時間に基づいて、前記ポンプの第2駆動率を決定することと、
    前記初期供給後においては、決定した前記第2駆動率で前記ポンプを駆動して、前記第2ヘッドユニットに前記液体を供給することと、を含む液体供給方法。
  6. 前記第1駆動率及び前記第2駆動率は、前記所定の駆動率以下である請求項5に記載の液体供給方法。
  7. 前記第1ヘッドユニットへの前記初期供給中における前記第1初期供給時間が短いほど、前記第1駆動率を低く決定し、
    前記第2ヘッドユニットへの前記初期供給中における前記第2初期供給時間が短いほど、前記第2駆動率を低く決定する請求項6に記載の液体供給方法。
  8. 前記第1初期供給時間と所定の目標供給時間とに基づいて前記第1駆動率を決定し、
    前記第2初期供給時間と前記所定の目標供給時間とに基づいて前記第2駆動率を決定する請求項7に記載の液体供給方法。
  9. 前記第1ヘッドユニット内の前記液体の量を判定し、
    前記第1ヘッドユニット内の前記液体の量が所定量未満と判定した場合、前記第1駆動率で前記ポンプを駆動して、前記第1ヘッドユニットに前記液体を供給し、
    前記第1駆動率で前記ポンプを駆動している間に、前記第2ヘッドユニット内の前記液体の量を判定し、
    少なくとも前記第2ヘッドユニット内の前記液体の量が前記所定量未満と判定した場合、前記第1駆動率及び前記第2駆動率のうち、大きい方よりも小さい駆動率で前記ポンプを駆動して、前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットに前記液体を供給する請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体供給方法。
  10. さらに、前記第1駆動率で前記ポンプを駆動している間に、前記第2ヘッドユニット内の前記液体の減少率を判定し、
    前記第2ヘッドユニット内の前記液体の量が前記所定量未満と判定し且つ前記第2ヘッドユニット内の前記液体の減少率が所定の減少率よりも大きいと判定した場合、前記第1駆動率及び前記第2駆動率のうち、大きい方よりも小さい駆動率で前記ポンプを駆動して、前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットに前記液体を供給する請求項9に記載の液体供給方法。
  11. 前記第1ヘッドユニット内の前記液体の量を判定し、
    前記第1ヘッドユニット内の前記液体の量が所定量未満と判定した場合、前記第2ヘッドユニット内の前記液体の量を判定し、
    少なくとも前記第2ヘッドユニット内の前記液体の量が前記所定量未満と判定した場合、前記第1駆動率及び前記第2駆動率のうち、大きい方よりも小さい駆動率で前記ポンプを駆動して、前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットに前記液体を供給する請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体供給方法。
  12. さらに、前記第1駆動率で前記ポンプを駆動している間に、前記第2ヘッドユニット内の前記液体の減少率を判定し、
    前記第2ヘッドユニット内の前記液体の量が前記所定量未満と判定し且つ前記第2ヘッドユニット内の前記液体の減少率が所定の減少率よりも大きいと判定した場合、前記第1駆動率及び前記第2駆動率のうち、大きい方よりも小さい駆動率で前記ポンプを駆動して、前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットに前記液体を供給する請求項11に記載の液体供給方法。
  13. 前記第1駆動率及び前記第2駆動率のうち、小さい方の駆動率で前記ポンプを駆動して、前記第1ヘッドユニット及び前記第2ヘッドユニットに前記液体を供給する請求項9〜12のいずれか一項に記載の液体供給方法。
  14. 前記初期供給後においては、さらに、
    前記ポンプの駆動環境における温度を測定し、
    測定した前記温度に応じて、前記第1駆動率及び前記第2駆動率を補正することを含む、請求項1又は5に記載の液体供給方法。
  15. 前記ポンプと接続されたコントローラを備え、
    前記コントローラが、請求項1〜14のいずれかの液体供給方法を実行する印刷装置。
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