JP2021181426A - 抗腫瘍剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、顕著に優れた抗腫瘍効果を示す、抗腫瘍剤を提供することである。【解決手段】本発明によれば、内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩が、1回あたり1.0mg/m2体表面積〜240mg/m2体表面積の用量で投与される、がんを治療するための抗腫瘍剤が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、特定の量及び特定のスケジュールによって投与される、ゲムシタビン又はその塩を内包するリポソームを含む抗腫瘍剤に関する。
悪性腫瘍の化学療法において、ゲムシタビンは有用な薬剤として使用されている。ゲムシタビンはDNA合成を阻害する代謝拮抗作用を有する。代謝拮抗作用を有する薬物は、DNA合成期にある一部の細胞だけを攻撃するため、曝露時間が短いと効果的な殺細胞性が得られない。そのような薬物において、投与後の体内代謝が速いと、腫瘍での十分な曝露時間を得ることができず、期待される薬効が得られない場合が多い。
薬物をリポソームの内水相に溶解状態で内包し、リポソーム組成物を高張の条件にすることで、リポソーム組成物からの薬物の放出を適切な速度に設定し、より適したドラッグデリバリーが実現できることが知られている(特許文献1及び2)。
ゲムシタビンの腫瘍での十分な曝露時間ゲムシタビンをリポソームに内包させたリポソーム組成物として特許文献1、2及び3が報告されている。また、ゲムシタビンをリポソームに内包させたリポソーム組成物の製造方法として特許文献4及び5が報告されている。
国際公開第2015/166985号 国際公開第2015/166986号 国際公開第2015/166987号 国際公開第2015/166988号 国際公開第2017/078009号
これまでのところ、ゲムシタビン又はその塩を内包するリポソームをがん患者に対して投与した結果の報告はない。そのため、ゲムシタビン又はその塩を内包するリポソームがどのような血中動態を示すのかは、知られていない。ゲムシタビン又はその塩を内包するリポソームががん患者に対してその薬効を発揮するためには、どのような用量にすればそれが達成できるかは、がん患者に実際に投与してみなければ当業者でも想定できるものではない。また、ゲムシタビン又はその塩を内包するリポソームについて、抗腫瘍効果を示すために必要とされる血中濃度の値についても、これまでのところ検討されていなかった。
本発明の課題は、顕著に優れた抗腫瘍効果を示す、抗腫瘍剤を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の用量及びスケジュールで投与した場合、特に優れた抗腫瘍効果が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記を提供する。
<1> 内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩が、1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与される、がんを治療するための抗腫瘍剤。
<2> 剤形が液状医薬製剤であり、ゲムシタビン又はその塩の濃度が、ゲムシタビンとして0.01mg/mL〜10mg/mLである、<1>に記載の抗腫瘍剤。
<3> 1週間〜1ヵ月ごとに1回の投与を複数回繰り返す、<1>又は<2>に記載の抗腫瘍剤。
<4> がんが進行性の固形がんである、<1>〜<3>のいずれか一項に記載の抗腫瘍剤。
<5> 固形がんが、膵臓がん、子宮がん、虫垂がん、卵巣がん、肺がん、乳がん、胆道がん、膀胱がん、大腸がん、胃がん、非ホジキンリンパ腫から選択される少なくとも一種である、<4>に記載の抗腫瘍剤。
<6> リポソームの平均粒子径が5nm以上100nm以下である、<1>〜<5>のいずれか一項に記載の抗腫瘍剤。
<7> リポソームを構成する脂質の全体に対する配合比率が、水素添加大豆ホスファチジルコリンが50質量%〜90質量%であり、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコールが1質量%〜50質量%であり、コレステロールが1質量%〜20質量%である、<1>〜<6>のいずれか一項に記載の抗腫瘍剤。
<8> 投与経路が静脈内投与である、<1>〜<7>のいずれか一項に記載の抗腫瘍剤。
<9> 1回の投与において、15分間〜240分間にわたる注入によって投与される、<1>〜<8>のいずれか一項に記載の抗腫瘍剤。
<10> 内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、1サイクルを28日間として、第1日目と第15日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第14日目まで、第16日目から第27日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、抗腫瘍剤。
<11> 内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、1サイクルを21日間として、第1日目と第8日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第7日目まで、及び第9日目から第20日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、抗腫瘍剤。
<12> 内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、1サイクルを28日間として、第1日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第27日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、抗腫瘍剤。
<13> 内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、1サイクルを21日間として、第1日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第20日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、抗腫瘍剤。
<A> 内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤を対象に投与することを含むがんを治療するための処置方法であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩を、1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で対象に投与する、がんを治療するための処置方法。
<B> 内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩が、1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与される、がんの治療において使用するための抗腫瘍剤。
<C> がんを治療するための抗腫瘍剤の製造のための、内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する組成物の使用であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩が、1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与される組成物の使用。
<D> 内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤を対象に投与することを含むがんを治療するための処置方法であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、1サイクルを28日間として、第1日目と第15日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第14日目まで、第16日目から第27日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、がんを治療するための処置方法。
<E> 内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、1サイクルを28日間として、第1日目と第15日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第14日目まで、第16日目から第27日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、がんの治療において使用するための抗腫瘍剤。
<F> がんを治療するための抗腫瘍剤の製造のための、内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する組成物の使用であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、1サイクルを28日間として、第1日目と第15日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第14日目まで、第16日目から第27日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、組成物の使用。
<G> 内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤を対象に投与することを含むがんを治療するための処置方法であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、1サイクルを21日間として、第1日目と第8日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第7日目まで、及び第9日目から第20日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、がんを治療するための処置方法。
<H> 内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、1サイクルを21日間として、第1日目と第8日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第7日目まで、及び第9日目から第20日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、がんの治療において使用するための抗腫瘍剤。
<I> がんを治療するための抗腫瘍剤の製造のための、内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する組成物の使用であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、1サイクルを21日間として、第1日目と第8日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第7日目まで、及び第9日目から第20日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、組成物の使用。
<J> 内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤を対象に投与することを含むがんを治療するための処置方法であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、1サイクルを28日間として、第1日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第27日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、がんを治療するための処置方法。
<K> 内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、1サイクルを28日間として、第1日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第27日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、がんの治療において使用するための抗腫瘍剤。
<L> がんを治療するための抗腫瘍剤の製造のための、内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する組成物の使用であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、1サイクルを28日間として、第1日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第27日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、組成物の使用。
<M> 内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤を対象に投与することを含むがんを治療するための処置方法であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、1サイクルを21日間として、第1日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第20日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、がんを治療するための処置方法。
<N> 内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、1サイクルを21日間として、第1日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第20日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、がんの治療において使用するための抗腫瘍剤。
<O> がんを治療するための抗腫瘍剤の製造のための、内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する組成物の使用であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、1サイクルを21日間として、第1日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第20日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、組成物の使用。
本発明の抗腫瘍剤によれば、優れた抗腫瘍効果が得られ、がんの体積の縮小効果が顕著である。また、本発明の抗腫瘍剤により得られる抗腫瘍効果の結果として、無増悪生存期間や全生存期間の延長が期待される。
本発明において「〜」で表す範囲は、特に記載した場合を除き、両端の値を含む。
「腫瘍」とは、本発明では「悪性腫瘍」、「がん(癌)」と同義で用いる。「悪性腫瘍」とは、腫瘍細胞の形態やその配列がその由来する正常細胞と異なっており、浸潤性又は転移性を示す腫瘍を意味する。
「処置」とは、各疾患に対する治療などを意味する。
「対象」とは、その予防もしくは治療を必要とするヒト、マウス、サル、家畜等の哺乳動物であり、好ましくは、その予防もしくは治療を必要とするヒトである。
「予防」とは、発症の阻害、発症リスクの低減又は発症の遅延などを意味する。
「治療」とは、疾患又は状態の改善又は進行の抑制(維持又は遅延)などを意味する。
「無増悪生存期間」とは、治療中(治療後)にがんが進行せず安定した状態である期間を意味する。
「全生存期間」とは、臨床試験において治療法の割り付け開始日もしくは治療開始日から対象の生存した期間のことを意味する。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩が、1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与される、がんを治療するための抗腫瘍剤、である。
(リポソーム)
リポソームとは、脂質を用いた脂質二重膜で形成される閉鎖小胞体であり、その閉鎖小胞の空間内に水相(内水相)を有する。内水相には、水等が含まれる。リポソームは通常、閉鎖小胞外の水溶液(外水相)に分散した状態で存在する。リポソームはシングルラメラ(単層ラメラ又はユニラメラとも呼ばれ、二重層膜が一重の構造である。)であっても、多層ラメラ(マルチラメラとも呼ばれ、タマネギ状の形状の多数の二重層膜の構造である。個々の層は水様の層で仕切られている。)であってもよいが、本発明では、医薬用途での安全性及び安定性の観点から、シングルラメラのリポソームであることが好ましい。
リポソームは、薬物を内包することのできるリポソームであれば、その形態は特に限定されない。「内包」とは、リポソームに対して薬物が内水相に含まれる形態をとることを意味する。例えば、膜で形成された閉鎖空間内に薬物を封入する形態、膜自体に内包する形態などがあげられ、これらの組合せでも良い。
リポソームの大きさ(平均粒子径)は、特に限定されないが、2〜200nmであり、好ましくは5〜150nmであり、より好ましくは5〜120nmであり、さらに好ましくは5〜100nmである。
リポソームの大きさ(平均粒子径)は、以下に述べるEPR(Enhanced permeation and retention effect)効果を期待する場合、実質的に直径が50〜200nmであることが好ましく、実質的に直径が50〜150nmであることがより好ましく、実質的に直径が50〜100nmであることがさらに好ましい。「実質的に」という用語は、リポソームの個数の少なくとも75%が指定された直径の範囲内にあることを意味する。前記の「少なくとも75%」は、少なくとも80%であることがより好ましく、少なくとも90%であることがさらに好ましい。
なお、本発明において、「平均粒子径」とは、特に指定しない限り動的光散乱法を用いて測定される平均粒子径(好ましくはキュムラント平均粒子径)を意味する。「平均粒子径」は光散乱法により平均粒子径を測定できる装置を用いることで測定できる。
リポソームの脂質二重膜を構成する成分は脂質から選ばれる。本発明のリポソームを構成する脂質は、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールである。
本発明のリポソームを構成する脂質の全体に対する配合比率が、水素添加大豆ホスファチジルコリンが50質量%〜90質量%であり、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコールが1質量%〜50質量%であり、コレステロールが1質量%〜20質量%であることが好ましく、水素添加大豆ホスファチジルコリンが55質量%〜80質量%であり、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコールが10質量%〜30質量%であり、コレステロールが1質量%〜10質量%であることがより好ましくい。
(ゲムシタビン又はその塩)
本発明のリポソームは、ゲムシタビン又はその塩を内包する。ゲムシタビンは、化学名が(+)−2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロシチジンであり、代謝拮抗作用を有する抗がん剤である。本発明においてゲムシタビンはゲムシタビンそのものであっても、医薬品として容認される塩であっても良く、生体内でゲムシタビンを遊離するプロドラッグであっても良い。本発明では、ゲムシタビン塩酸塩を用いることが好ましい。
本発明のリポソームに内包されるゲムシタビンは、リポソームの内水相に溶解状態で存在している。ここで、溶解状態とは、リポソームの体積に対して充填した薬物の量が、その内水相の組成液での薬物の飽和溶解度以下の場合、溶解状態で内包されたものとみなす。
また、飽和溶解度以上においても、Cryo−TEMで薬物結晶が観察されない、XRD測定で結晶格子に起因する回折パターンが観察されない場合、ゲムシタビンが溶解状態で内包されたものとみなす。
(リポソームの製造方法)
本発明のリポソームは、リポソームが溶解状態のゲムシタビンを内包するリポソーム組成物を製造できる方法であれば特に限定されないが、例えば、特許文献1(国際公報第2015/166985号)及び特許文献2(国際公報2015/166986号)を参考にして実施できる。
本発明のリポソームは、内水相の浸透圧が外水相の浸透圧に対して2倍〜8倍であり、好ましくは2.5倍〜6倍であり、より好ましくは3倍〜5倍である。リポソームの内水相の浸透圧を外水相の浸透圧に対して2倍〜8倍とすることで、薬物の放出し易さと保管安定性を両立できるリポソームを得ることができる。
リポソームの内水相と外水相の浸透圧は、例えば以下のように測定できるが、これに限定されない。特許文献1及び特許文献2に記載されているリポソームの製造工程において、最終的な薬物ローディング工程後に得られた液は、外水相と内水相の溶質が均一化されており、そのときの浸透圧を測定することで、リポソームの内水相の浸透圧と定義できる。ただし、その後の外水相の透析による置換・浸透圧調整工程において、加熱操作は脂質の相転移以下に抑えるなど、内水相の溶質が十分に保持されている場合に限る。また外水相の浸透圧は、最終的な透析工程に用いる透析液の浸透圧を測定することで定義できる。ただし、透析液にて十分に置換できた場合に限る。また、リポソームの完成液について、遠心分離や限外ろ過を利用し、外水相の組成濃度と内水相の溶質の組成濃度を定量し、その組成液の浸透圧を計測することでも、内水相と外水相の浸透圧を定義することができる。
浸透圧の計測は第十六改正日本薬局方記載の浸透圧測定方法に従えばよい。具体的には、水の凝固点(氷点)降下度測定により、オスモル濃度を求めることができる。また、水の凝固点降下度は溶質モル濃度で定義されるものであり、溶質モル濃度からもオスモル濃度を求めることができる。
本発明のリポソームの外水相の浸透圧は、投与に際して重要な影響を生体に及ぼす。体液の浸透圧から大きく離れる場合は、各組織での水分の移動を原因とした溶血や痛みが発生する。したがって、本発明における外水相の浸透圧は、好ましくは200〜400mOsmol/Lであり、より好ましくは250〜350mOsmol/Lであり、もっとも好ましくは退役と等張である。
(リリース速度)
リリース速度とは、単位時間あたりにリポソームの外部へ出る薬剤量(ここでは、ゲムシタビン)を意味する。本発明のリポソームにおいて、リリース速度は、血漿中37℃において、10質量%/24hr以上70質量%/24hr以下が好ましく、20質量%/24hr以上60質量%/24hr以下がより好ましく、20質量%/24hr以上50質量%/24hr以下がさらに好ましい。
リリース速度は、温度に依存するため、定温条件で測定することが好ましい。例えば、ヒトの場合、温度は特に限定されることはないが、体温(35℃以上38℃以下)の範囲内で測定することが好ましい。
リリース速度が10質量%/24hr未満であると、抗腫瘍剤として十分な体内での曝露時間を得ることができず、期待される薬効が得られない場合が多い。また、場合によってはリポソームが不要に長い時間体内に残留することで、皮膚などの本来分布しにくい組織に集積することで予想外の毒性が発現する場合がある。また70質量%/24hrより大きいと、単位時間あたりの曝露する薬物量が多くなるため、最高血中濃度が高くなることで毒性が大きくなり、また、漏出した薬剤が腫瘍部以外の組織に分布あるいは速やかな退社を受け血中滞留性が低下するために好ましくない。
(抗腫瘍剤)
本発明によれば、がんを治療するための抗腫瘍剤が提供される。
本発明におけるがんは、好ましくは進行性の固形がんである。がんは進行度に応じて、基本的にステージ0〜ステージIVまでの5段階に分類される。進行性と称する場合、ステージIII以上であることが一般的であるが、これに限定されない。また、固形がんとしては、より好ましくは膵臓がん、子宮がん、虫垂がん、卵巣がん、肺がん、胆道がん、膀胱がん、大腸がん、胃がん、非ホジキンリンパ腫、乳がん、肉腫から選択される少なくとも一種であり、さらに好ましくは膵臓がん、子宮がん、虫垂がん、肺がん、膀胱がん、脂肪肉腫、悪性黒色腫、ホジキンリンパ腫、腎細胞がん、食道がん、であり、最も好ましくは膵臓がん、肺がん、膀胱がん、胆道がんである。
肺がんとしては、非小細胞がん(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん)、及び小細胞がんが挙げられる。
膀胱がんとしては、尿路上皮がん、扁平上皮がん、又は腺がんが挙げられる。
本発明の抗腫瘍剤は、ゲムシタビンを用いる療法が有効であるがんの治療に用いることが好ましく、ゲムシタビンに対して耐性を持つがんの治療に用いることがより好ましい。
耐性は、がん細胞が抗がん剤に抵抗性(耐性)を示すことであり、これには治療の始めから抗がん剤が効かない自然耐性と、治療を続けていくうちに最初は有効であった抗がん剤が、効果がみられない又は効果が減弱する状態を指す。具体的には、初期には抗がん剤に反応したが、その後治療中に応答性の低下を示すか、又は細胞が抗がん剤を用いた治療の過程で増殖し続けているという点で抗がん剤に対する適切な応答を示さなかった性質を示す。
本発明の抗腫瘍剤の剤形は、液状医薬製剤が好ましく、例えば注射剤が挙げられる。
本発明の液状医薬製剤に含まれるゲムシタビン又はその塩の濃度は、ゲムシタビンとして0.01mg/mL〜10mg/mLであることが好ましい。より好ましくは0.1mg/mL〜5mg/mLであり、さらに好ましくは0.1mg/mL〜1mg/mLである。
本発明の液状医薬製剤は、通常、乳化剤、界面活性剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、安定化剤および吸収促進剤などの添加剤を含んでいてもよい。
等張化剤としては、特に限定されないが、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムのような無機塩類、グリセロール、マンニトール、ソルビトールのようなポリオール類、グルコース、フルクトース、ラクトース、又はスクロースのような糖類が挙げられる。
安定化剤としては、特に限定されないが、例えば、グリセロール、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、又はスクロースのような糖類が挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、アスコルビン酸、尿酸、トコフェロール同族体(例えば、ビタミンE、トコフェロールα、β、γ、δの4つの異性体)システイン、EDTA等が挙げられる。安定化剤及び酸化防止剤は、それぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、クエン酸、酢酸、トリエタノールアミン、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸ニ水素カリウムなどが挙げられる。
本発明の液状医薬製剤は、医薬的に許容される有機溶媒、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、ジグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、PBS、塩化ナトリウム、糖類、生体内分解性ポリマー、無血清培地、医薬添加物として許容される添加物を含有してもよい。
特に、本発明の液状医薬製剤は、外水相にスクロース、L−ヒスチジン、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウムなどを含むことが好ましい。
本発明の液状医薬製剤の外水相のpHは、中性であることが好ましく、具体的にはpH5.5〜8.5程度であることが好ましい。
本発明の抗腫瘍剤の投与方法は、非経口投与が好ましい。投与経路としては、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、眼内、髄腔内が挙げられるが、静脈内が好ましい。投与方法としては、シリンジ又は点滴による投与が挙げられる。
液状医薬製剤を充填する容器は、特に限定されないが、酸素透過性が低い材質であることが好ましい。例えば、プラスチック容器、ガラス容器、アルミニウム箔、アルミ蒸着フィルム、酸化アルミ蒸着フィルム、酸化珪素蒸着フィルム、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニリデン、等をガスバリア層として有するラミネートフィルムによるバック等が挙げられ、必要に応じて、着色ガラス、アルミニウム箔やアルミ蒸着フィルム等を使用したバック等を採用することで遮光することもできる。
液状医薬製剤を充填する容器において、容器内の空間部に存在する酸素による酸化を防ぐために、容器空間部及び薬液中のガスを窒素などの不活性ガスで置換することが好ましい。例えば、注射液を窒素バブリングし、容器への充填を窒素雰囲気下行うことが挙げられる。
本発明の抗腫瘍剤は、対象とするがんを治療するのに有用な他の作用物質または処置方法と併用することもできる。処置方法としては、放射線治療、粒子線治療などの物理療法、外科手術などの外科的治療、化学療法、分子標的治療、及びがん免疫療法などと併用することができる。他の作用物質としては、化学療法において用いる化学療法剤、分子標的治療において用いる分子標的治療薬、がん免疫療法において用いる細胞製剤や抗体製剤、免疫チェックポイント阻害剤などを併用することができる。化学療法剤としては、例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍性抗生物質、アルカロイド、ホルモン療法剤、白金錯体、血管新生阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、および微小管作用薬などが挙げられる。
(用法用量)
本発明の抗腫瘍剤は、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の1回あたりの投与量として、ゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量である。好ましくは6mg/m体表面積〜120mg/m体表面積の用量であり、より好ましく12mg/m体表面積〜100mg/m体表面積の用量であり、さらに好ましくは30mg/m体表面積〜75mg/m体表面積の用量であり、特に好ましくは40mg/m体表面積〜60mg/m体表面積の用量である。
本発明の抗腫瘍剤は、1週間〜1ヵ月ごとに1回の投与を複数回繰り返すことが好ましい。より好ましくは1週間〜4週間ごとに1回の投与を複数回繰り返すことであり、さらに好ましくは2週間〜4週間ごとに1回の投与を複数回繰り返すことであり、特に好ましくは、3週間〜4週間ごとに1回の投与を複数回繰り返すことである。2週間に1回の投与と1週間に1回の投与を組み合わせた投与を複数回繰り返すことも好ましい。
本発明の抗腫瘍剤は、1回の投与において15分間〜240分間にわたる注入によって投与されることが好ましい。より好ましくは15分間〜180分間であり、さらに好ましくは30分間〜150分間であり、最も好ましくは30分間〜120分間である。
本発明の別の態様としては、内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、1サイクルを28日間として、第1日目と第15日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第14日目まで、第16日目から第27日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、抗腫瘍剤である。
好ましい態様は上述の内容と同様である。
リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の1回あたりの用量は、例えば、ゲムシタビンとして、約1.0mg/m体表面積、約1.2mg/m体表面積、約2.4mg/m体表面積、約4.8mg/m体表面積、約8mg/m体表面積、約12mg/m体表面積、約17mg/m体表面積、約23 mg/m体表面積、約約30mg/m体表面積、約40mg/m体表面積、約55mg/m体表面積、約60mg/m体表面積、約70mg/m体表面積、約75mg/m体表面積、約80mg/m体表面積、約90mg/m体表面積、約100mg/m体表面積、約110mg/m体表面積、約120mg/m体表面積、約130mg/m体表面積、約140mg/m体表面積、約150mg/m体表面積、約160mg/m体表面積、約170mg/m体表面積、約180mg/m体表面積、約190mg/m体表面積、約200mg/m体表面積、約210mg/m体表面積、約220mg/m体表面積、約230mg/m体表面積、約240mg/m体表面積である。
本発明のさらに別の態様としては、内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、1サイクルを21日間として、第1日目と第8日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第7日目まで、及び第9日目から第20日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、抗腫瘍剤である。
リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の1回あたりの用量は、例えば、ゲムシタビンとして、約1.0mg/m体表面積、約1.2mg/m体表面積、約2.4mg/m体表面積、約4.8mg/m体表面積、約8mg/m体表面積、約12mg/m体表面積、約17mg/m体表面積、約23 mg/m体表面積、約30mg/m体表面積、約40mg/m体表面積、約55mg/m体表面積、約60mg/m体表面積、約70mg/m体表面積、約75mg/m体表面積、約80mg/m体表面積、約90mg/m体表面積、約100mg/m体表面積、約110mg/m体表面積、約120mg/m体表面積、約130mg/m体表面積、約140mg/m体表面積、約150mg/m体表面積、約160mg/m体表面積、約170mg/m体表面積、約180mg/m体表面積、約190mg/m体表面積、約200mg/m体表面積、約210mg/m体表面積、約220mg/m体表面積、約230mg/m体表面積、約240mg/m体表面積である。
好ましい態様は上述の内容と同様である。
本発明の別の態様としては、内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、1サイクルを28日間として、第1日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第27日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、抗腫瘍剤である。
好ましい態様は上述の内容と同様である。
リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の1回あたりの用量は、例えば、ゲムシタビンとして、約1.0mg/m体表面積、約1.2mg/m体表面積、約2.4mg/m体表面積、約4.8mg/m体表面積、約8mg/m体表面積、約12mg/m体表面積、約17mg/m体表面積、約23 mg/m体表面積、約30mg/m体表面積、約40mg/m体表面積、約55mg/m体表面積、約60mg/m体表面積、約70mg/m体表面積、約75mg/m体表面積約、80mg/m体表面積、約90mg/m体表面積、約100mg/m体表面積、約110mg/m体表面積、約120mg/m体表面積、約130mg/m体表面積、約140mg/m体表面積、約150mg/m体表面積、約160mg/m体表面積、約170mg/m体表面積、約180mg/m体表面積、約190mg/m体表面積、約200mg/m体表面積、約210mg/m体表面積、約220mg/m体表面積、約230mg/m体表面積、約240mg/m体表面積である。
リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の1回あたりの用量は、好ましくはゲムシタビンとして約17mg/m体表面積〜約60mg/m体表面積であり、より好ましくは約30mg/m体表面積〜約55mg/m体表面積である。
本発明の別の態様としては、内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、1サイクルを21日間として、第1日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第20日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、抗腫瘍剤である。
好ましい態様は上述の内容と同様である。
リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の1回あたりの用量は、例えば、ゲムシタビンとして、約1.0mg/m体表面積、約1.2mg/m体表面積、約2.4mg/m体表面積、約4.8mg/m体表面積、約8mg/m体表面積、約12mg/m体表面積、約17mg/m体表面積、約23 mg/m体表面積、約30mg/m体表面積、約40mg/m体表面積、約55mg/m体表面積、約60mg/m体表面積、約70mg/m体表面積、約75mg/m体表面積約、80mg/m体表面積、約90mg/m体表面積、約100mg/m体表面積、約110mg/m体表面積、約120mg/m体表面積、約130mg/m体表面積、約140mg/m体表面積、約150mg/m体表面積、約160mg/m体表面積、約170mg/m体表面積、約180mg/m体表面積、約190mg/m体表面積、約200mg/m体表面積、約210mg/m体表面積、約220mg/m体表面積、約230mg/m体表面積、約240mg/m体表面積である。
リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の1回あたりの用量は、好ましくはゲムシタビンとして約17mg/m体表面積〜約60mg/m体表面積であり、より好ましくは約30mg/m体表面積〜約55mg/m体表面積である。
以下の実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
<ゲムシタビン内包リポソームを含む液状医薬製剤の調製>
特許文献1(国際公開第2015/166985号)を参考に、下記組成のゲムシタビン内包リポソームを含む液状医薬製剤(以下、A製剤と称す。)を調製した。
ゲムシタビン塩酸塩 0.57mg/mL
水素添加大豆ホスファチジルコリン 11.3mg/mL
MPEG−DSPE(注1) 2.91mg/mL
コレステロール 1.39mg/mL
スクロース 94mg/mL
L−ヒスチジン 1.55mg/mL
塩化ナトリウム 0.188mg/mL
pH調整剤 適量
(注1)N-(carbonyl-methoxypolyethylene glycol 2000)-1,2-distearoyl-
sn -glycerol-3-phosphoethanolamine sodium salt
ゲムシタビン塩酸塩はテバエーピーアイ株式会社より、水素添加大豆ホスファチジルコリン及びMPEG−DSPEは日油株式会社より入手した。その他の試薬は米国薬局方準拠の市販品を使用した。
<A製剤の物性値>
リポソームの内水相の浸透圧は外水相の浸透圧に対して3.8倍であった。
リポソームからのゲムシタビンのリリース速度は、ヒト血漿中37℃において25質量%/24hrであり、平均粒子径は77nmであった。
A製剤は10mLのガラスバイアル瓶に注入され、治療にて使用された。なお、バイアル瓶に注入された製剤中のゲムシタビン塩酸塩の濃度は0.57mg/mLであり、pHは6.5〜8.0であった。
<参考例1:投与量の予測>
A製剤を5%ブドウ糖液で0.1,0.2及び0.3 mg/mLに希釈し、1,2及び3mg/kg(6、12及び18mg/m)で週1回4週間、雄性及び雌性SD系ラット(チャールス・リバー社)各15例(計30例)に静脈内投与した。2mg/kg以下では試験期間中のA製剤に起因する死亡はなかった。3 mg/kgは投与期間中に雌雄計6例(20%)が死亡発見もしくは切迫屠殺された。死亡もしくは切迫屠殺の原因は消化管上皮の変性壊死もしくは委縮、骨髄抑制及び骨髄抑制に起因する敗血症であった。計画剖検個体でのA製剤に関連する変化としては1mg/kg以上で用量反応的な骨髄抑制と摂餌量の減少、胸腺の委縮、消化管上皮の変性壊死もしくは委縮、精子形成上皮の変性壊死もしくは委縮、が認められ、A製剤の細胞増殖阻害効果に対応する変化だと考えられた。以上より、死亡の認められない2mg/kg(12mg/m)を最大耐用量とし、ヒト初回投与量を1.2mg/mとした。
参考例1により予測された投与量をもとに、A製剤を以下の実施例1及び2に示す治療で用いた。なお、治療は、米国アリゾナ州スコッデール市にあるHonorHealth Research Institue、米国コロラド州デンバー市にあるSarah Cannon Research Institute、米国テキサス州シューストン市にあるUniversity of Texas M. D. Anderson Cancer Center、米国テネシー州ナッシュビル市にあるでSarah Cannon Research Institute行われている。
<実施例1:投与試験1>
がん患者に対して、2週間に1回A製剤を投与する投薬サイクルを繰り返した。具体的には、28日間を1サイクルとして、第1日目及び第15日目にA製剤を投与し、この28日間からなるサイクルを繰り返した。
治療の効果は、以下の基準で判定した。
CT又は(コンピュータ断層撮影;Computed tomography)又はMRI(核磁気共鳴画像法;magnetic resonance imaging)による画像診断により評価対象を確認し、以下の基準で判定した。
CR(Complete Response):腫瘍が完全に消失した状態
PR(Partial Response):腫瘍の大きさの和が30%以上減少した状態
SD(Stable Disease):腫瘍の大きさが変化しない状態
PD(Progressive Disease):腫瘍の大きさの和が20%以上増加かつ絶対値でも5mm以上増加した状態、あるいは新病変が出現した状態
なお、固形がんに対する化学療法の目的は症状緩和と延命であるため、治療効果がSDであったとしても薬の効果として有効と判断される。
(膵臓がん患者1)
A製剤を1回の投与当たりゲムシタビンの投与量として1.2mg/mで投与した膵臓がん患者1において、30%の以上の腫瘍縮小効果がみられ、20週間のSDが維持された。
この患者は、前治療として、ゲムシタビン、ゲムシタビン及びシスプラチンの併用療法による化学療法を受けていた。患者の年齢は67歳、性別は女性であった。
(膵臓がん患者2)
A製剤を1回の投与当たりゲムシタビンの投与量として4.8mg/mで投与した膵臓がん患者2において、投与から4週間、8週間目それぞれの日に腫瘍縮小効果の判定を行った結果、PRと判定された。
この患者は、前治療として、ゲムシタビン及びカペシタビンの併用療法による化学療法を受けていた。患者の年齢は57歳、性別は男性であった。
(子宮がん患者1)
A製剤を1回の投与当たりゲムシタビンの投与量として1.2mg/mで投与した子宮がん患者1において、24週間にわたって腫瘍の大きさが変化しないSDと判定された。患者の年齢は73歳、性別は女性であった。
(膵臓がん患者3)
A製剤を1回の投与当たりゲムシタビンの投与量として12 mg/mで投与した膵臓がん患者3において、8週間にわたって腫瘍の大きさが変化しないSDと判定された。
(膵臓がん患者4)
A製剤を1回の投与当たりゲムシタビンの投与量として17 mg/mで投与した膵臓がん患者4において、8週間にわたって腫瘍の大きさが変化しないSDと判定された。
(脂肪肉腫患者1)
A製剤を1回投与当たりゲムシタビンの投与量として30mg/mで投与した肉腫患者1において、12週間以上にわたって腫瘍の大きさが変化しないSDと判定された。
(子宮がん患者2)
A製剤を1回投与当たりゲムシタビンの投与量として30mg/mで投与した肉腫患者1において、8週間以上にわたって腫瘍の大きさが変化しないSDと判定された。
<実施例2:投与試験2>
がん患者に対して、21日間を1サイクルとして、第1日目及び第8日目にA製剤を投与し、この21日間からなるサイクルを繰り返した。
治療の効果は、実施例1と同様の基準で判定した。
(膵臓がん患者5)
A製剤を1回の投与当たりゲムシタビンの投与量として12mg/mで投与した膵臓がん患者5において、10週間以上にわたって腫瘍の大きさが変化しないSDと判定された。
(虫垂がん患者1)
A製剤を1回の投与当たりゲムシタビンの投与量として12mg/mで投与した虫垂がん患者1において、10週間以上にわたって腫瘍の大きさが変化しないSDと判定された。
(肺がん患者1)
A製剤を1回当たりのゲムシタビンの投与として23mg/mで1サイクル目に投与し、2サイクル目の第1日目(1回目の投与から第22日目)から13日間休薬した。その後、2サイクル目の第15日目(1回目の投与から第36日目)に、A製剤を1回当たりのゲムシタビンの投与として17mg/mを投与した肺がん患者1(非小細胞肺がん)において、1回目の投与から8週間以上にわたって腫瘍の大きさが変化しないSDと判定された。
<実施例3:投与試験3>
がん患者に対して、28日間を1サイクルとして、第1日目にA製剤を投与し、この28日間からなるサイクルを繰り返した。
治療の効果は、実施例1と同様の基準で判定した。
(胆道がん患者1)
A製剤を1回の投与当たりゲムシタビンの投与量として40mg/mで投与した胆道がん患者1において、投与から8週目に腫瘍縮小効果の判定を行った結果、PRと判定された。その後、投与から16週間目の判定においてもPRとなった。
(膀胱がん患者1)
A製剤を1回の投与当たりゲムシタビンの投与量として40mg/mで投与した膀胱がん患者1において、16間以上にわたって腫瘍の大きさが変化しないSDと判定された。
<実施例4:投与試験4>
がん患者に対して、21日間を1サイクルとして、第1日目にA製剤を投与し、この21日間からなるサイクルを繰り返した。
治療の効果は、実施例1と同様の基準で判定した。
(膵臓がん患者6)
A製剤を1回の投与当たりゲムシタビンの投与量として40mg/mで投与した膵臓がん患者6において、6週間以上にわたって腫瘍の大きさが変化しないSDと判定された。
本発明の抗腫瘍剤は、優れた抗腫瘍効果が得られた。具体的には、がんの体積の縮小効果や腫瘍の大きさが変化しないといった効果である。これらの結果より、本発明の抗腫瘍剤は、患者の無増悪生存期間や全生存期間の延長が期待され、患者のQOL向上の観点で非常に有用な効果を有する。
本発明の抗腫瘍剤は、優れた抗腫瘍効果を示し有用である。

Claims (13)

  1. 内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、
    リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、
    リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、
    リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩が、1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与される、がんを治療するための抗腫瘍剤。
  2. 剤形が液状医薬製剤であり、ゲムシタビン又はその塩の濃度が、ゲムシタビンとして0.01mg/mL〜10mg/mLである、請求項1に記載の抗腫瘍剤。
  3. 1週間〜1ヵ月ごとに1回の投与を複数回繰り返す、請求項1又は2に記載の抗腫瘍剤。
  4. がんが進行性の固形がんである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗腫瘍剤。
  5. 固形がんが、膵臓がん、子宮がん、虫垂がん、卵巣がん、肺がん、乳がん、胆道がん、膀胱がん、大腸がん、胃がん、非ホジキンリンパ腫から選択される少なくとも一種である、請求項4に記載の抗腫瘍剤。
  6. リポソームの平均粒子径が5nm〜100nmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗腫瘍剤。
  7. リポソームを構成する脂質の全体に対する配合比率が、水素添加大豆ホスファチジルコリンが50質量%〜90質量%であり、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコールが1質量%〜50質量%であり、コレステロールが1質量%〜20質量%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗腫瘍剤。
  8. 投与経路が静脈内投与である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の抗腫瘍剤。
  9. 1回の投与において、15分間〜240分間にわたる注入によって投与される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の抗腫瘍剤。
  10. 内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、
    リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、
    リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、
    1サイクルを28日間として、第1日目と第15日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第14日目まで、第16日目から第27日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、抗腫瘍剤。
  11. 内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、
    リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、
    リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、
    1サイクルを21日間として、第1日目と第8日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第7日目まで、及び第9日目から第20日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、抗腫瘍剤。
  12. 内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、
    リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、
    リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、
    1サイクルを28日間として、第1日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第27日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、抗腫瘍剤。
  13. 内水相を含むリポソームと、外水相を構成するリポソームを分散する水溶液とを有する抗腫瘍剤であって、
    リポソームがゲムシタビン又はその塩を内包し、
    リポソームを構成する脂質が、水素添加大豆ホスファチジルコリン、1,2−ジステアロイル−3−ホスファチジルエタノールアミン−ポリエチレングリコール、及びコレステロールを少なくとも含み、
    1サイクルを21日間として、第1日目に、リポソームに内包されるゲムシタビン又はその塩の量として1回あたりゲムシタビンとして1.0mg/m体表面積〜240mg/m体表面積の用量で投与し、第2日目から第20日目まで休薬する、このサイクルを繰り返す、抗腫瘍剤。
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