JP2021180277A - ペロブスカイト太陽電池およびその太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】発電効率および耐久性の良い太陽電池およびその製造方法を提供する。【解決手段】太陽電池10は、基板12の上に第1電極14、電子輸送層16、n型半導体およびペロブスカイト構造を有する化合物から構成された光電変換層18、正孔輸送層20、第2電極22が順番に積層されている。ペロブスカイト構造を有する化合物のCH3NH3をアルカリ金属で、Pbを遷移元素でそれぞれ置換する。置換するアルカリ金属はLi、Na、K、Rb、CsまたはFrで、遷移元素はCu、Zn、Ni、Co、Mnなどである。たとえば、ペロブスカイト構造を有する化合物に、アルカリ金属ハロゲン化物および遷移金属ハロゲン化物を添加することで、一部のCH3NH3およびPbをそれぞれアルカリ金属、遷移元素で置換する。【選択図】図1

Description

本発明は、ペロブスカイト構造を有する化合物を用いた太陽電池の製造方法および太陽電池に関するものである。
近年、化石燃料に代わる新エネルギーとして、ほぼ無尽蔵でクリーンな太陽光を電気に変えることができる太陽電池が普及している。シリコン系の太陽電池が主流であるが、材料面や製造プロセス面から高価格であり、重量もあり平面構造で割れやすい面がある。
そこで、シリコン系以外の太陽電池の開発も盛んにおこなわれている。たとえば、下記の特許文献1は光吸収層にペロブスカイト化合物を用いたことを説明している。しかし、特許文献1の太陽電池は発電効率および耐久性について記載が無い。ペロブスカイト化合物に含まれるCHNHは不安定であり、特許文献1の太陽電池が安定しているか否か不明である。
特開2020−013982号公報
本発明の目的は、発電効率および耐久性の良い太陽電池およびその製造方法を提供することにある。
本発明の太陽電池は、基板と、前記基板上の第1電極と、前記第1電極上の電子輸送層と、前記電子輸送層の上において、n型半導体およびペロブスカイト構造を有する化合物から構成された光電変換層と、前記光電変換層の上の正孔輸送層と、前記正孔輸送層上の第2電極とを備え、前記ペロブスカイト構造を有する化合物にアルカリ金属および遷移元素が添加されている。
本発明の太陽電池の製造法は、基板を準備する工程と、前記基板の一面上に第1電極を形成する工程と、前記第1電極の上に電子輸送層を形成する工程と、前記電子輸送層の上にn型半導体とペロブスカイト構造を有する化合物を形成し、光電変換層を形成する工程と、前記光電変換層の上に正孔輸送層を形成する工程と、前記正孔輸送層の上に第2電極を形成する工程とを備え、前記ペロブスカイト構造を有する化合物の形成が、ペロブスカイト構造を有する化合物の前駆体溶液にアルカリ金属および遷移元素を添加する工程を含む。
本発明によると、ペロブスカイト構造を有する化合物にアルカリ金属および遷移元素が添加されることで、不安定なCHNHが脱離した後にアルカリ金属が入り、ペロブスカイト構造を有する化合物が安定化する。そのため太陽電池の光電変換効率が高いまま維持されやすくなっている。
本願の太陽電池の構成を示す図である。 本願の太陽電池の外部量子効率を示すグラフである。
本発明の太陽電池およびその製造方法について図面を使用して説明する。
[太陽電池の構成]
図1に示す太陽電池10は、基板12の上に第1電極14、電子輸送層16、光電変換層18、正孔輸送層20、第2電極22が順番に積層されている。
基板12は、ガラス、樹脂、有機系物質などでできた絶縁性の透明基板である。基板12の一面上に第1電極14が形成され、他面が光入射面となる。他面に反射防止膜を設けて、光電変換層18への光の入射効率を高めてもよい。基板12は柔軟性のあるものであってもよい。
第1電極14は、FTO(Fluorine-doped Tin Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)、AZO(Aluminum-doped Zinc Oxide)、GZO(Gallium-doped Zinc Oxide)またはIGZO(Indium-Gallium-doped Zinc Oxide)などの透明電極である。第1電極14が負極になる。1枚の基板12に対して、第1電極14は1つであってもよいし、複数に分割されていてもよい。
電子輸送層16は、電子の流れを良好にし、変換効率を向上させるための層である。また、電子輸送層16は正孔の移動を阻止し、第1電極14と光電変換層18にあるp型半導体層が短絡することを防止する。電子輸送層16は、酸化チタン(TiO)または酸化亜鉛(ZnO)などの透明n型半導体物質で構成される。電子輸送層16の層厚は5〜100nm程度であり、たとえば30nm程度である。
電子輸送層16はScなどの遷移元素が添加されていてもよい。Scが添加されることで、大気中での経時劣化を抑制し、光電変換効率を維持しやすくなる。電子輸送層16がTiOの場合、Scを含む化合物などを添加する。
光電変換層18は、n型半導体の層18aとp型半導体の層18bが規則的もしくは不規則的な形状で接合されたpn半導体混合層である。n型半導体の層18aがメソポーラス(多孔性)になっている場合、不規則な形状の隙間(微細空間)を多数有する。その隙間にp型半導体の層18bの一部が入り込んでいる。そのため、n型半導体の層18aとp型半導体の層18bの接触面積が拡大し電荷分離効率が増加し、光電変換効率(発電効率)を高めることができる。
メソポーラスなn型半導体の層18aはTiOまたはZnO等が用いられる。n型半導体の層18aの層厚は約2000nm以下、好ましくは約500nm以下である。層厚が厚くなればn型半導体の層18aとp型半導体の層18bの接触面積が大きくなり、電荷分離効率が高まるが、電気抵抗が増加し製造効率も悪化する。上記層厚の範囲内で光電変換効率と製造効率の最適なものを選択する。
光電変換層18のメソポーラスなn型半導体の層18aには、Scなどの遷移元素が添加されていてもよい。後述する実験例のように、Scが添加されることで、大気中での経時劣化を抑制し、光電変換効率を維持しやすくなる。光電変換層18のメソポーラスなn型半導体の層18aがTiOの場合、Scを添加する。
p型半導体の層18bはペロブスカイト構造を有する化合物が用いられる。ペロブスカイト構造を有する化合物としては、CHNHPbI、CHNHPb1−xSb、CHNHPb1−xBi、CHNHPb1−xAs、CHNHPb1−xTe、CHNHPb1−xTl、CHNHPb1−xIn、CHNHPb1−xGa、CHNHPb1−xSb3−xBr、CHNHPb1−xSb3−xCl、CHNHPb1−xSbBr3−yCl、CHNHPb1−xSb3−2yBrCl、CHNHPb1−xCu、CHNHPb1−xZn、CHNHPb1−xCu3−xCl、CHNHPb1−xZn3−xCl、CHNHPb1−xCu3−xBr、CHNHPb1−xZn3−xBr、CHNHPb1−xCu3−xClBr、CHNHPb1−xZn3−xClBr、CHNHPb1−xGe、CHNHPb1−xGe3−xCl、CHNHPb1−xGe3−xBr、またはCHNHPb1−xGe3−xClBrなどが挙げられる。CHNHは、HC(NH、CHCHNH、C(NHなどによって、一部もしくは全部置換してもよい。また上記に記される様々な分子とハロゲン元素は混合して添加してもよい。適切な添加元素を選択することで、許容因子Goldschmidt's tolerance factor(t-factor)が1に近づき、ペロブスカイト結晶構造が安定化する。
ペロブスカイト構造を有する化合物の一部のCHNHをアルカリ金属で置換する。置換するアルカリ金属はLi、Na、K、Rb、CsまたはFrである。たとえば、光電変換層18を形成する際に、ペロブスカイト構造を有する化合物の前駆体溶液にアルカリ金属ハロゲン化物を添加することで一部のCHNHの位置にアルカリ金属を置換する。CHNHは不安定であり、時間経過とともに一部のCHNHが元の場所から脱離する。その脱離した位置にアルカリ金属が入り、光電変換層18が安定化する。アルカリ金属ハロゲン化物はNaCl、NaI、KI、RbIなどである。アルカリ金属ハロゲン化物の添加される量は10at%以下、好ましくは1〜5at%である。置換する量が多くなると光電変換効率が下がる場合もあるため、上記の範囲で置換する量を適宜調整することが好ましい。
ペロブスカイト構造を有する化合物のPbを同じ価数の元素で置換する。Pbの価数は2であり、たとえばCuで置換する。たとえば、光電変換層18を形成するときに、ペロブスカイト構造を有する化合物の前駆体溶液にCuBrを添加することで、Pbの一部をCuに置換する。アルカリ金属と遷移元素(Cu)の同時添加によって光電変換層18が安定化する。遷移元素としてはCu以外にZn、Ni、CoまたはMnであってもよい。
ペロブスカイト構造を有する化合物のIの一部を他のハロゲン元素に置換する。置換する元素は、たとえばCl、Br、FまたはAtなどである。上記のようにアルカリ金属ハロゲン化物を添加することで、Iの一部が他のハロゲン元素に置換される。ドーピングする量はたとえば0.01〜50mol%である。ドーピングによって光電変換効率が向上するが、ドーピング量が多くなるとかえって光電変換効率が下がる場合があるため、上記の範囲でドーピングすることが好ましい。
正孔輸送層20は、ホールの流れを良好にし、光電変換効率を高めるための層である。正孔輸送層20に用いる物質として、たとえばspiro-OMeTAD(2,2',7,7'-tetrakis-(N,N-di-pmethoxyphenylamine)9,9'-spirobifluoreneの略称)が挙げられる。また、カーボンペースト、ポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホネート)(通称PEDOT:PSS)、CuSCN、CsSnIまたはポリトリアリルアミン半導体(通称PTAA)等であってもよい。正孔輸送層20の層厚は、約5〜200nm程度である。5nm未満では被覆率が不足するおそれがあり、200nmを超えると電気抵抗が増加するおそれがあるためである。spiro-OMeTADおよびペロブスカイト構造を有する化合物の層の劣化を防ぐために、太陽電池10をカバーガラス、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)もしくはシリコーン樹脂などで封止するのが好ましい。
正孔輸送層20は、spiro-OMeTADに代えて、フタロシアニン、ナフタロシアニン、サブフタロシアニン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリビニルピリジン、MoO、NiO、V、酸化グラフェン、またはWOなどを使用することもできる。フタロシアニン、ナフタロシアニン、サブフタロシアニン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリビニルピリジン、MoO、NiO、V、酸化グラフェン、またはWOは、spiro-OMeTADよりも大気中での安定性が高いため、大気中での長期間の使用に耐えられる。またこれらは、spiro-OMeTADよりも安価であり、太陽電池10のコストを下げられる。
第2電極22は、正極である。第2電極22は、Au、Ag、Cu、Al、またはCなどの仕事関数が5.2eV以下の導電体を使用することができる。第2電極22の層厚は100nm以上あればよく、たとえば150〜500nm程度である。
[太陽電池の製造方法]
太陽電池10の製造方法について説明する。(1)ガラス、有機フィルムなどの透明な基板12を準備する。この準備には、基板12を所望形状に切断したり、洗浄したりすることを含む。
(2)基板12の一面上に第1電極14を形成する。FTOやITOなどの透明電極を、スパッタリング法、熱蒸着法、メッキ法、もしくはスプレー熱分解法などによって成膜する。必要に応じて透明電極を所望形状にパターニング(エッチング)する。
(3)第1電極14の上に電子輸送層16を形成する。TiO前駆体溶液と溶媒とを撹拌した溶液を滴下、スピンコートし、熱処理することにより、TiOの電子輸送層16を形成する。電子輸送層16はメソポーラス構造ではない緻密な構造を有し、層内にペロブスカイト構造を有する化合物が浸入することはない。
TiO前駆体溶液として、Titanium diisopropoxide bis(acetyl acetonate)(ジイソプロポキシチタン(IV)ビス(4-オキソ-2-ペンテン-2-オラート))が使用できるが、Titanium isopropoxide(オルトチタン酸テトライソプロピル)、四塩化チタン等のTi元素を含む溶液またはTiOゾルゲル溶液等も使用できる。溶媒として1-butanol(1−ブタノール)等を使用し、TiO前駆体溶液と溶媒とを撹拌したものを滴下する。
電子輸送層16にScを添加するために、TiO前駆体溶液の中にScを含む化合物などを添加してもよい。先に形成した電子輸送層16の上にScを含む化合物などが添加されたTiO前駆体溶液をスピンコートし、熱処理して製膜してもよい。
(4)電子輸送層16の上にメソポーラス構造を有するn型半導体の層18aを形成する。TiOを含む溶液をスピンコートし、熱処理することにより、メソポーラスTiOのn型半導体の層18aを形成する。
TiO溶液はTiO粉末と高分子化合物に超純水を加えて撹拌し、さらに有機化合物と界面活性剤を加えて撹拌した溶液を使用する。高分子化合物としてPolyethylene glycol(ポリエチレングリコール)やEthyl cellulose(エチルセルロース)が挙げられ、有機化合物としてAcetyl acetone(アセチルアセトン)等が挙げられる。界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの一種の非イオン系界面活性剤が使用でき、たとえばポリエチレングリコール p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニルエーテルなどの化合物を含む界面活性剤を使用する。
電子輸送層16の上のメソポーラス構造を有するn型半導体の層18aにScもしくは遷移元素を添加するために、TiO溶液の中にSc、Sc化合物もしくは遷移元素化合物などを添加してもよい。
(5)ペロブスカイト構造を有する化合物を上記n型半導体の層18aの隙間および上に形成する。n型半導体の層18aはメソポーラスになっており、層内に不規則な隙間を有する。ペロブスカイト化合物前駆体溶液をスピンコートし、熱処理することにより、n型半導体の層18aの隙間およびその上にペロブスカイト構造を有する化合物が形成される。この形成されたペロブスカイト構造を有する化合物はp型半導体の層18bである。n型半導体の層18aとp型半導体の層18bが形成されることで、このn型半導体の層18aとp型半導体の層18bを備えた光電変換層18が形成される。
スピンコートする材料は、ペロブスカイト構造を形成するCHNHPbI前駆体溶液に、アルカリ金属ハロゲン化物を添加する。ペロブスカイト構造を有する化合物のCHNHは不安定であり、CHNHが脱離したとき、その位置にアルカリ金属(Li、Na、K、Rb、CsまたはFr)が入る。アルカリ金属ハロゲン化物はNaCl、NaI、KI、RbIなどである。アルカリ金属ハロゲン化物を添加する量は10at%以下、好ましくは1〜5at%である。
ペロブスカイト構造を有する化合物のPbを鉛と同じ価数の元素であるCuで置換する。たとえば、CuBrをCHNHPbI前駆体溶液に添加することでPbの一部をCuで置換する。アルカリ金属と遷移元素(Cu、Zn、Ni、CoまたはMn)の同時添加によって光電変換層18が安定化する。
上述したアルカリ金属ハロゲン化物およびCuBrによってペロブスカイト構造を有する化合物のIの一部が他のハロゲン元素(ClまたはBrなど)に置換される。
上記溶液のスピンコートは複数回おこなうことが好ましい。メソポーラス構造を有するn型半導体の層18a内の隙間にペロブスカイト構造の化合物が浸入するが、複数回のスピンコートによって、徐々に浸入させ、確実にn型半導体の層18aの中にペロブスカイト構造の化合物が形成されるようにする。
スピンコートを複数回した後に熱処理するが、1回のスピンコートごとに熱処理をおこなってもよい。このときの熱処理温度は50〜300℃程度であり、たとえば140℃である。熱処理時間は5〜60分、たとえば10分である。
ペロブスカイト構造の化合物のスピンコートおよび熱処理は、大気圧下でおこなう。ペロブスカイト構造の化合物の前駆体溶液を大気中でスピンコートしており、容易にスピンコートできる。なお製造方法にこだわらないのであれば、窒素ガス雰囲気中もしくは減圧環境下でスピンコートをおこなってもよい。
スピンコートおよび熱処理する際に、n型半導体の層18a内の隙間と上にペロブスカイト構造を有する化合物の層18bが形成される。このn型半導体の層18aとペロブスカイト構造を有する化合物の層18bを形成することでpn接合となり、光電変換層18が形成される。ペロブスカイト構造を有する化合物の層18bによって、n型半導体が正孔輸送層20に短絡されるのを防止できる。
上述の例では、スピンコートを複数回おこなったが、他の多層積層法を使用してもよい。たとえばエアブロー法、スクリーン印刷、ドクターブレード、メッキ法などの方法でペロブスカイト構造を有する化合物を形成してもよい。
(6)光電変換層18の上に正孔輸送層20を形成する。正孔輸送材料の溶液をスピンコートすることで正孔輸送層20を形成する。正孔輸送層材料を、他の積層法、たとえばスクリーン印刷、ドクターブレード、スプレー法、メッキ法、蒸着法などの方法で積層して、正孔輸送層20を形成してもよい。
(7)正孔輸送層20の上に第2電極22を形成する。蒸着装置によってAuなどの導電体を蒸着し、第2電極22とする。電極形成は、スピンコート、スクリーン印刷、メッキ法などの方法を用いてもよい。第2電極22を形成した段階で太陽電池10の製造が終了する。必要に応じて太陽電池10にカバーや封止をしたり、各電極14、22に配線を接続したりする。
上記のように光電変換層18を製造するために真空成膜装置を使用していないため、太陽電池10の製造は容易である。CHNHの一部が時間経過とともに脱離するが、その脱離した位置にアルカリ金属が入るためペロブスカイト結晶が安定化する。
[実験例]
次に、上記製造方法によって実際に太陽電池10を製造した実験例を説明する。ペロブスカイト構造を有する化合物は、表1に示すペロブスカイト出発組成であるMAI、PbCl、PbIに、CuBr、NaClを添加するか、NaClの代わりにNaI、KIまたはRbIを添加している。なお、MAはCHNHの略称である。ペロブスカイト化合物前駆体溶液の溶媒はDMF(シグマ アルドリッチ社製)を用いている。スピンコートは気温27℃、湿度40%の大気圧下で2000rpm、60秒間おこなった。その後、140℃のホットプレートで10分間熱処理し、ペロブスカイト結晶を生成した。なお、従来のペロブスカイト構造を有する化合物に何ら添加しない太陽電池を比較例として作製した。表1の単位はmol・L−1である。
Figure 2021180277
さらに、実例験5は光電変換層18の中のメソポーラス構造を有するn型半導体の層18aにScO(第一稀元素化学工業株式会社製)を添加してTi(Sc)Oになっており、実験例6はスカンジア安定化ジルコニアScSZ(第一稀元素化学工業株式会社製)を添加してTi(Sc、Zr)Oになっている。実験例5と実験例6の添加量はそれぞれ5wt%である。それ以外の実験例および比較例はTiOである。
実験例および比較例の開放電圧Vocと光電変換効率η、ηを表2に示す。表2はソーラーシミュレータ(株式会社三永電機製作所製)で計測した結果である。光電変換効率は太陽電池10の製造直後(η)と一定期間経過後(η)である。ηは実験例2が5週間後であり、他の実験例および比較例は6週間後である。
Figure 2021180277
いずれの実験例も比較例よりも開放電圧Vocおよび変換効率η、ηが良い。特に一定期間経過後に比較例の太陽電池は大幅に変換効率ηが低下しているが、実験例の太陽電池10においては変換効率ηの低下は小さい。さらに、一部の太陽電池10では、一定期間経過後の変換効率ηが向上している。これは、一部の太陽電池10で時間経過とともにペロブスカイト構造を有する化合物の層18bにおける正孔輸送層20との境界付近でPbIが生成され、電子の移動がブロックされ、ホールが通されるようになったためであると考えられる。特に光電変換層18の中のメソポーラス構造を有するn型半導体の層18aにScが添加された場合、光電変換効率ηが上昇しやすくなっている。
図2に実験例1と比較例の外部量子効率(EQE)の違いを示す。いずれの太陽電池もバンドギャップは1.56eVであるが、実験例1のようにペロブスカイト構造を有する化合物にCuとNaが添加されることで、350〜750nmの波長で光子を電子に変換する外部量子効率が10%向上している。時間とともに、ペロブスカイト構造を有する化合物の極微量のCHNHが脱離し、その欠陥位置にNaが入って安定化する。通常のCHNHPbIの自由エネルギーは946kJ・mol−1であったのに対し、NaとCuを同時添加することで756kJ・mol−1まで低下し、構造が安定化することが示されている。
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
10:太陽電池
12:基板
14:第1電極
16:電子輸送層
18:光電変換層
18a:n型半導体の層
18b:p型半導体の層(ペロブスカイト構造を有する化合物の層)
20:正孔輸送層
22: 第2電極

Claims (10)

  1. 基板と、
    前記基板上の第1電極と、
    前記第1電極上の電子輸送層と、
    前記電子輸送層の上において、n型半導体およびペロブスカイト構造を有する化合物から構成された光電変換層と、
    前記光電変換層の上の正孔輸送層と、
    前記正孔輸送層上の第2電極と、
    を備え、
    前記ペロブスカイト構造を有する化合物にアルカリ金属および遷移元素が添加された太陽電池。
  2. 前記アルカリ金属がリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムまたはフランシウムを含む請求項1の太陽電池。
  3. 前記ペロブスカイト構造を有する化合物に添加された遷移元素が銅、亜鉛、ニッケル、コバルトまたはマンガンを含む請求項1または2の太陽電池。
  4. 前記光電変換層の中のメソポーラス構造を有するn型半導体の層に遷移元素が添加された請求項1から3のいずれかの太陽電池。
  5. 前記光電変換層の中のメソポーラス構造を有するn型半導体の層に添加された遷移元素がスカンジウムを含む請求項4の太陽電池。
  6. 基板を準備する工程と、
    前記基板の一面上に第1電極を形成する工程と、
    前記第1電極の上に電子輸送層を形成する工程と、
    前記電子輸送層の上にn型半導体とペロブスカイト構造を有する化合物を形成し、光電変換層を形成する工程と、
    前記光電変換層の上に正孔輸送層を形成する工程と、
    前記正孔輸送層の上に第2電極を形成する工程と、
    を備え、
    前記ペロブスカイト構造を有する化合物の形成が、ペロブスカイト構造を有する化合物の前駆体溶液にアルカリ金属および遷移元素を添加する工程を含む太陽電池の製造方法。
  7. 前記アルカリ金属がリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムまたはフランシウムを含む請求項6の太陽電池の製造方法。
  8. 前記ペロブスカイト構造を有する化合物に添加された遷移元素が銅、亜鉛、ニッケル、コバルトまたはマンガンを含む請求項6または7の太陽電池の製造方法。
  9. 前記光電変換層の中のメソポーラス構造を有するn型半導体の層を形成する工程が、遷移元素を添加する工程を含む請求項6から8のいずれかの太陽電池の製造方法。
  10. 前記光電変換層の中のメソポーラス構造を有するn型半導体の層に添加される遷移元素がスカンジウムを含む請求項9の太陽電池の製造方法。
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