JP2021180087A - パラ型全芳香族コポリアミド積層膜及び該積層膜が積層された積層多孔質膜 - Google Patents

パラ型全芳香族コポリアミド積層膜及び該積層膜が積層された積層多孔質膜 Download PDF

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Abstract

【課題】溶媒への高い溶解性と無機粒子の担持性に優れたパラ型全芳香族コポリアミドからなる積層膜及び該積層膜が積層された積層多孔質膜を提供する。【解決手段】無機粒子を含有するパラ型全芳香族コポリアミドからなる積層膜であって、該無機粒子の積層膜全質量に対する含有量が60〜95質量%であり、該パラ型全芳香族コポリアミドを構成する全芳香環の7〜67モル%が、芳香環の水素原子がフルオロ基、クロロ基、及びシアノ基のいずれかで置換された芳香環であり、かつ該パラ型全芳香族コポリアミドを構成するジアミン成分の20〜80モル%が、2−(4−アミノフェニル)−5(6)アミノベンズイミダゾール(DAPBI)であり、該パラ型全芳香族コポリアミドの重量平均分子量が40,000〜200,000である積層膜をポリオレフィン多孔膜に積層する。【選択図】なし

Description

本発明は、パラ型全芳香族コポリアミド積層膜、及び該積層膜が積層された積層多孔質膜に関するものであり、さらに詳しくは、パラ型全芳香族コポリアミドを構成する芳香環の一部の水素原子がフルオロ基、クロロ基、及びシアノ基のいずれかで置換され、かつパラ型全芳香族コポリアミドを構成するジアミン成分に2−(4−アミノフェニル)−5(6)アミノベンズイミダゾール(DAPBI)が第3成分として導入されたパラ型全芳香族コポリアミド積層膜及び該積層膜がポリオレフィン多孔膜に積層された積層多孔質膜に関するものである。
リチウムイオンバッテリーに用いられるセパレーターにはポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンの多孔膜が用いられる。そして電池に何らかの異常が発生した場合には電池内部の温度が上昇することがあり、その際ポリオレフィン多孔膜は温度上昇に伴い多孔が閉塞し、電池をシャットダウンさせる(シャットダウン機能)。
更に温度が上昇し、ポリオレフィンの融点を超えると、多孔膜が収縮し、電池が短絡しショートする。その後、電解液や正極の分解反応を伴い、熱暴走反応を引き起こし発火することもある。
このような熱暴走反応を防御するために、ポリオレフィン多孔膜に耐熱性を持たせることが種々提案されており、例えば、ポリフッ化ビニリデンや水系アクリル樹脂などをアルミナ等の無機粒子と共にコーティングする技術で耐熱性が高められてきた。しかしより短時間での充電など、電池に求められる耐熱性は年々高まってきている。
そこでこれらの樹脂の代わりにアラミド樹脂が使用されている(特許文献1)。しかし、ポリパラフェニレンテレフタルアミドを代表とするアラミド樹脂をコーティングするためには樹脂を溶媒に溶解させる必要があり、低分子量化する必要があった。しかしながら、アラミド樹脂は分子間の相互作用が強いため、結晶が析出しやすく、塗工液の安定性が悪く、生産性が悪い。
そこで、第3成分を含むパラ型全芳香族コポリアミドを利用して溶液に溶解可能なアラミドを用いることが検討されている(特許文献2)。しかしこれらの第3成分を含むパラ型全芳香族コポリアミドにおいても塗工液を低粘度化する必要があるため、低分子量化が求められている。さらにパラ配向を有する耐熱性樹脂はその分子間力が高いゆえに、特許文献2においては分子鎖内に電子吸引性基を導入することで斥力を働かせ、分子間の相互作用の影響を弱めることで高い溶媒溶解性と孔径性能を有すると考えられている。
しかしながら、電子吸引性基を有するモノマーは高価であり、コストアップとなる他、これらの第3成分を含むパラ型全芳香族コポリアミド樹脂においてもやはり分子間力は高く、コーティングの際に結晶が析出しやすく、塗工液の安定性が悪く、生産性が悪いという問題があり、その解決策が望まれてきた。
特開2007−299612号公報 特開2017−212201号公報
本発明の目的は、かかる従来技術における問題点を解消し、溶媒への高い溶解性と無機粒子の担持性に優れ、しかも塗工液の塗工粘度、積層膜の収縮率、透過率のバランスに優れたパラ型全芳香族コポリアミドからなる積層膜及び該積層膜が積層された積層多孔質膜を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討をおこなった結果、パラ型全芳香族コポリアミドの溶解性を高めるために第3成分として、2−(4−アミノフェニル)−5(6)アミノベンズイミダゾール(DAPBI)を分子鎖内に導入し、かつ、パラ型全芳香族コポリアミドを構成する芳香環の一部の水素原子を電子吸引性基で置換させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明によれば、
1.無機粒子を含有するパラ型全芳香族コポリアミドからなる積層膜であって、該無機粒子の積層膜全質量に対する含有量が60〜95質量%であり、該パラ型全芳香族コポリアミドを構成する全芳香環の7〜67モル%が、芳香環の水素原子がフルオロ基、クロロ基、及びシアノ基のいずれかで置換された芳香環であり、かつ該パラ型全芳香族コポリアミドを構成するジアミン成分の20〜80モル%が、2−(4−アミノフェニル)−5(6)アミノベンズイミダゾール(DAPBI)であり、該パラ型全芳香族コポリアミドの重量平均分子量が40,000〜200,000であることを特徴とする積層膜、
2.ポリオレフィン多孔膜に、前記1記載の積層膜が積層された積層多孔質膜であって、該積層膜とポリオレフィン多孔膜との透気度の差(Δ透気度)が25〜120秒/100ccであることを特徴とする積層多孔質膜、
が提供される。
本発明によれば、溶媒への高い溶解性と無機粒子の担持性に優れ、しかも塗工液の塗工粘度、積層膜の収縮率、透過率のバランスに優れたパラ型全芳香族コポリアミドからなる積層膜及び該積層膜が積層された積層多孔質膜が安価に得られるので、リチウムイオンバッテリーに用いられるセパレーターなどの用途に好適に用いることができる。
以下、本発明について詳細を説明する。
<パラ型全芳香族コポリアミド>
本発明におけるパラ型全芳香族コポリアミドは、式(1)に示す、1種または2種以上の2価の芳香族基Ar、Arが、アミド結合により直接連結されたポリマーである。そして、該パラ型全芳香族コポリアミドを構成する全芳香環の7〜67モル%が、芳香環の水素原子がフルオロ基、クロロ基、及びシアノ基のいずれかで置換された式(2)の芳香族基であり、また、該パラ型全芳香族コポリアミドを構成するジアミン成分の20〜80モルパーセントが式(3)であらわされる2−(4−アミノフェニル)−5(6)アミノベンズイミダゾール(以降、DAPBIと呼ぶこともある)成分であるパラ型全芳香族コポリアミドである。
尚、本発明においては、パラ型全芳香族アミドが、下記式(1)で表される繰り返し単位からなり、式(1)におけるArが式(2)又は式(3)で表される化合物からなり、式(1)におけるArが式(2)で表される化合物からなり、式(2)中のXがフルオロ基、クロロ基、及びシアノ基のうちのいずれか1種であることが好ましい。
Figure 2021180087
Figure 2021180087
Figure 2021180087
<パラ型全芳香族コポリアミドの製造方法>
本発明におけるパラ型全芳香族コポリアミドは、従来公知の方法にしたがって製造することができる。例えば、アミド系極性溶媒中で、芳香族ジカルボン酸ジクロライド(以下「酸クロライド」ともいう)成分と芳香族ジアミン成分とを低温溶液重合、または界面重合などにより反応せしめることにより得ることができる。
[パラ型全芳香族コポリアミドの原料]
(芳香族ジカルボン酸ジクロライド成分)
パラ型全芳香族コポリアミドの製造において使用される芳香族ジカルボン酸クロライド成分としては、上記式(1)を満たすものとしてテレフタル酸クロライドがあげられる。また芳香環の水素原子がフルオロ基、クロロ基、及びシアノ基のいずれかで置換された芳香族ジカルボン酸クロライド成分として、2−フルオロ−テレフタル酸クロリド、2―クロロ−テレフタル酸クロリド、2−シアノ−テレフタル酸クロリドなどを用いても構わない。これらを第1成分とする。
(芳香族ジアミン成分)
パラ型全芳香族コポリアミドの製造において使用される芳香族ジアミン成分としては、上記式(1)を満たすものとして、p−フェニレンジアミンを用いる。また、p−フェニレンジアミンに加えて、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、もしくはこれらの混合物を使用しても良い。
また芳香環の水素原子がフルオロ基、クロロ基、及びシアノ基のいずれかで置換された芳香族ジアミンとしては2―フルオロ−パラフェニレンジアミン、2−クロロ−パラフェニレンジアミン、2−シアノ−パラフェニレンジアミンなどを用いる。これらを第2成分とする。
また上記式(3)を満たすものとして、2−(4−アミノフェニル)−5(6)アミノベンズイミダゾール(DAPBI)がある。これを第3成分とする。
第1成分、第2成分で用いられる、芳香環の水素原子がフルオロ基、クロロ基、及びシアノ基のいずれかで置換された芳香環は、該パラ型全芳香族コポリアミドを構成する全芳香環の7〜67モル%であることが必要である。該比率が7モル%未満の場合には溶剤への溶解性を上げる効果が上がらない。一方、該比率が67モル%を超えると、塗工液を塗
工し、湿式凝固した際に、凝固速度が低下し、生産速度が低下する。
第3成分は第2成分と混合して用いる。第3成分の比率は、パラ型全芳香族コポリアミドを構成する、全ジアミン成分の20〜80モル%であることが必要であり、30〜70モル%であることが好ましい。該比率が80モル%より大きい場合にはポリマーの結晶が析出し、溶液が不安定となる。また、該比率が20モル%より小さい場合には得られるポリマーのフィルム強度が低下する。
[重合溶媒]
パラ型全芳香族コポリアミドを重合する際の溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−メチルカプロラクタム(NMC)などの有機極性アミド系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの水溶性エーテル化合物、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどの水溶性アルコール系化合物、アセトン、メチルエチルケトンなどの水溶性ケトン系化合物、アセトニトリル、プロピオニトリルなどの水溶性ニトリル化合物などが挙げられる。これらの溶媒は、1種単独であっても、また、2種以上の混合溶媒として使用することも可能である。なお、用いられる溶媒は、脱水されていることが望ましく、水分率が100ppm未満であることが好ましい。100ppm以上の場合にはモノマーの反応率が低下し、目的とする重合度に達しないため、好ましくない。
本発明に用いられるパラ型全芳香族コポリアミドの製造においては、汎用性、有害性、取り扱い性、パラ型全芳香族コポリアミドに対する溶解性等の観点から、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いることが最も好ましい。
[重合体の分子量]
パラ型全芳香族コポリアミドの重量平均分子量(Mw)は40,000〜200,000であることが必要である。重量平均分子量(Mw)が40,000以下の場合には無機粒子と混合した後、ポリオレフィン膜に塗工した後に樹脂が無機粒子を担持することができず粉落ちとなる。一方、重量平均分子量が200,000を超える場合には、塗工液の粘度が高くなりすぎて、生産性が悪化する。
また、重量平均分子量と数平均分子量の比率である多分散度(Mw/Mn)は、塗工液の粘度を適正にコントロールするためには低分散であることが好ましく、1〜4であることが好ましい。多分散度(Mw/Mn)が4より大きいと、粘度のばらつきが大きくなり塗工液がコントロールしにくくなる場合がある。
[その他重合条件等]
重合体の濃度は2〜16質量%が好ましい。2%未満の場合には粘度が低すぎ、紡糸するための強度が得られないため好ましくない。また16質量%を超えるとポリマーが溶解しきれずに析出するため好ましくない。
生成する全芳香族コポリアミド重合体の溶解性を向上させるため、重合前、途中、終了時のいずれかに、一般に公知の無機塩を適当量添加しても差し支えない。このような無機塩としては、例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム等のアルカリ金属の塩化物、および塩化マグネシウム、塩化カルシウム等のアルカリ土類金属の塩化物が挙げられる。このうち塩化リチウム、塩化カルシウムが好ましい。
また、パラ型全芳香族コポリアミドの末端は、封止することもできる。末端封止剤を用いて末端を封止する場合には、例えば、フタル酸クロライドおよびその置換体、アニリンおよびその置換体等を末端封止剤として用いることができる。
また、生成する塩化水素のごとき酸を捕捉するために、脂肪族や芳香族のアミン、第4級アンモニウム塩等を併用することもできる。
反応の終了後は、必要に応じて、塩基性の無機化合物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等を添加し、中和反応を実施してもよい。
中和反応後、析出した塩はフィルトレーションのプロセスを経由し除去することが好ましい。
上記方法により得られた重合体溶液は0〜80℃で溶液状態を維持するため、そのまま、ポリオレフィン多孔膜への塗工液とすることも可能である。また、本発明で得られた、重合体溶液を貧溶剤中に浸漬し、凝固することで、固形物とすることも可能である。
[凝固方法]
パラ型全芳香族コポリアミド、および溶媒を含む重合体溶液(ドープ)を調整する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができる。
重合体溶液(ドープ)の調製に用いられる溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルカプロラクタム(NMC)等を挙げることができる。また、用いられる溶媒は1種単独であっても、2種以上を混合した混合溶媒であってもよい。さらには、パラ型全芳香族コポリアミドの重合に用いた溶媒を、そのまま使用してもよい。
なお、重合体溶液(ドープ)におけるポリマー濃度、すなわちパラ型全芳香族コポリアミドの濃度は、1.0質量%以上16質量%以下の範囲とすることが好ましい。重合体溶液(ドープ)におけるポリマー濃度が1.0質量%未満の場合には、ポリマーの絡み合いが少ないため、凝固時に必要な粘度が得られず、吐出安定性が低下してしまう。一方で、ポリマー濃度が16質量%を超える場合には、ドープの粘性が急激に増加するため、吐出安定性が低下し、凝固が困難となりやすい。
[凝固浴]
本発明の製造方法は、上記のように重合体を湿式凝固するのであるが、その凝固液の組成としてはパラ型全芳香族コポリアミドの貧溶媒であることが好ましい。凝固液の組成は必ずしも単一である必要はなく、例えばNMPと水との混合溶液でもよい。溶剤回収の効率性の観点から凝固浴組成(NMP/水)としてはNMP濃度が高い方が好ましく、NMP濃度は30%以上が好ましい。より好ましくは35%以上である。
[その他の工程]
凝固液から重合体を引き上げた後は、凝固浴中で凝固して形成した重合体を水洗して溶媒を徐々に除去する。そのために水洗浴の温度は60℃以下が好ましい。
水洗後は100℃以上の温度で乾燥してもよい。
[再溶解]
次に、凝固した重合体を溶媒に溶解し、再溶解する。使用する溶媒は特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルカプロラクタム(NMC)等を挙げることができる。また、用いられる溶媒は1種単独であっても、2種以上を混合した混合溶媒であってもよい。これらの内、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)が好ましい。
再溶解には、公知のミキサーを使用することができる、1軸のミキサー、リボンミキサー、プラネタリーミキサーなどを使用することができる。糸条をカットせずに用いることなどを考慮すると、プラネタリーミキサーを選定するのが好ましい。溶解にあたっては、溶媒をミキサー内に投入後、糸条あるいはカットされた糸条、粉末状の重合体を溶媒に分散させる。分散させながら、加温を行う。温度は60℃以上が好ましい。溶解時間を早めることが可能なことから、80℃以上がなお好ましい。昇温後、さらなる溶解性を高めるために、塩化リチウム、塩化カルシウム、臭化リチウムなどのハロゲン化金属塩を混ぜ合わせることも可能である。
[塗工液の調整]
重合して得られた重合体溶液もしくは重合後に凝固させ、再溶解した重合体溶液を用いて、塗工溶液を作成する。使用する溶媒は特に限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルカプロラクタム(NMC)等を挙げることができる。また、用いられる溶媒は1種単独であっても、2種以上を混合した混合溶媒であってもよい。これらの内、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)が好ましい。
この重合体溶液に無機粒子を混ぜ合わせて、塗工液とする。無機粒子としては湿式あるいは乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化ランタン、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、塩基性炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸鉛、硫化亜鉛、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウム及びフッ化カルシウムなどが挙げられる。
無機粒子の含有量は、得られる積層膜全質量に対し60〜95質量%であることが必要である。無機粒子の含有量が60質量%より少ないと、オレフィン膜が収縮する際の収縮応力に抵抗する粒子間の衝突が起こりにくくなる。一方、無機粒子の含有量が95質量%を越える場合には無機粒子に対する重合体の量が少なすぎるため、粒子が担持されずに脱落する、所謂粉落ちが発生する。
塗工液の重合体濃度は1質量%以上10質量%以下が好ましい。重合体の濃度が1質量%未満の場合には重合体の量が少なく、粉落ちが発生する恐れがあり好ましくない。一方、重合体濃度が10質量%を超える場合には塗工液の粘度が高くなりすぎて、生産性が悪化し好ましくない。
[塗工]
ポリオレフィン多孔膜への塗工量は20〜40g/m程度が好ましい。塗工する方法はドクターナイフ法、ナイフコーター法、グラビアコーター法、スクリーン印刷法、スプレー法、ロールコーター法、コンマコーター法、マイヤーバー法などが挙げられる。本発明においては、表面に芳香族コポリアミド重合体組成物が塗工された基材を貧溶剤の凝固液に浸漬することで、前記重合体組成物を湿式凝固させ多孔質層を形成する。凝固の方法としては凝固液をスプレーする方法や凝固液に浸漬する方法などが挙げられる。
凝固液は前記重合体組成物を凝固することのできる液体であればよいが、本発明では水が好ましく、イオン交換樹脂、逆浸透膜、やフィルター等あるいはこれらを直列に配置した複合設備で不純物を取り除いた純水が好ましい。この純水の導電率が1.0μS/cmのものが好ましい。溶剤回収の観点からまた、積層膜の構造を形成する観点から水に重合体組成物に使用している溶剤を0〜30質量%含有しているものが好ましい。さらに好ま
しくは積層膜で構成される膜を安定にするために、段階的に溶剤濃度が変わる凝固浴を使用することが好ましい。第一の凝固浴の溶剤濃度を20〜30%とし、第二凝固浴の溶剤濃度を5〜10%とし、第三凝固浴の溶剤濃度を0〜5%にすることが好ましい。各凝固浴への浸漬時間は10〜300秒が好ましい。300秒以上を超えると、生産速度が遅くなり生産性が悪化するため、好ましくない。
このようにして得られた積層多孔質膜において、積層膜とポリオレフィン多孔膜との透気度の差(Δ透気度)は25〜120秒/100ccであることが肝要である。該透気度の差(Δ透気度)が25秒/100ccより小さい場合は、積層膜の構造がルーズになり低収縮が達成できないばかりか、粉落ちが発生し、セパレーターとして不適である。一方、該透気度の差(Δ透気度)が120秒/100ccより大きい場合は、低収縮かつ粉落ちの無いセパレーターを得ることができるが、正極と負極間のリチウムイオンの移動を阻害し、電池性能を低下させる。
また、得られた積層多孔質膜の150℃での熱収縮率は10%以下であることが好ましい。
該熱収縮率が10%を越える場合は、寸法変化が大きくなり過ぎ、正極と負極が短絡するため、セパレーターとして不適となる場合がある。
以下、実施例および比較例により、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲は、以下の実施例及び比較例に制限されるものではない。また、実施例中の各物性は以下の方法により測定した。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳しく具体的に説明する。ただし、これらの実施例および比較例は本発明の理解を助けるためのものであって、これらの記載によって本発明の範囲が限定されるものではない。
(1)分子量
重量平均分子量(Mw)および分子量多分散度(Mw/Mn)を、以下の測定条件によりゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。
装置名 :高速液体クロマトグラフ LC−20Aシリーズ
カラムオーブン :CTO−20A
移動相 :NMP
オートサンプラ :SIL−20AHT
LCワークステーション:LC solution
流量 :0.3ml/分
示差屈折計検出器 :RID−10A
オーブン温度 :60℃
分子量標準試料 :ポリスチレン
(2)粘度
東機産業製TVB−10型を用いて温度20℃の条件下で粘度を測定した。
(3)積層膜の厚み
基材となるポリオレフィン膜と積層多孔質膜を10cm×10cmのサイズに打ち抜き、それぞれの厚さを9点測定し平均値を算出し、以下の計算式より、厚さを算出した。
積層膜の厚み=(積層多孔質膜の厚さの平均値)−(ポリオレフィン膜の厚さの平均値)
(4)150℃熱収縮率
得られた積層多孔質膜を一定寸法で切り出し、150℃の温度に設定した乾燥機に60分入れ、加熱乾燥前後の寸法変化から熱収縮率を測定した。尚、収縮率測定は、基材送り出し方向と平行方向(MD)と、垂直方向(TD)の2方向でそれぞれ実施し、その平均値を熱収縮率とした。
(5)透気度
基材及び積層膜の通気度の測定は、JIS P8117(ガーレー式透気度測定法)に準じて実施した。ここで、「Δ透気度」とは、積層膜の透気度から基材の透気度を差し引いた値である。
(6)粉落ち
積層膜と黒色の模造紙を重ね合せ、上下方向に10回こすり合せ、その時に黒色の模造紙に粒子が残留しているかどうか目視で判断した。
<実施例1>
[パラ型全芳香族コポリアミドの重合]
水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)200g、塩化カルシウム8g、2−クロローパラフェニレンジアミン3.6381g、DAPBI5.7218gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロリド10.1532gを添加した。引き続き、85℃で60分間重合反応せしめることにより、透明で粘稠なポリマー溶液を得た。次いで、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を14.72g添加し、中和反応を行うことにより重合を終了させ、パラ型全芳香族コポリアミド溶液を得た。
[塗工液の作成]
得られたポリマー溶液をポリマー濃度が4質量%になるようにNMPを加え、ポリマー量100部に対し、400部となるようアルミナを添加(アルミナ80質量%)し、積層用の塗工液を作成した。
[塗工液のコーティング]
膜厚が10μmで通気度が170秒/100ccのポリオレフィン多孔膜の上にマイヤーバーを使用してコーティングした。コーティング後、水に浸漬し、凝固、乾燥させ、積層多孔質膜を得た。得られた積層多孔質膜の厚さは14μmであった。
<実施例2>
[パラ型全芳香族コポリアミドの重合]
水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)200g、パラフェニレンジアミン2.7523g、DAPBI5.7077gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながら2−フルオロ−テレフタル酸クロリド11.0260gを添加した。引き続き、85℃で60分間重合反応せしめることにより、透明で粘稠なポリマー溶液を得た。次いで、水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を用いて中和反応を行うことにより重合を終了させ、パラ型全芳香族コポリアミド溶液を得た。
[塗工液の作成]
実施例1と同様に実施した。
[塗工液のコーティング]
実施例1と同様に実施した。
<実施例3>
[パラ型全芳香族コポリアミドの重合]
水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)200g、2−シアノ−パラフェニレンジアミン3.4492g、DAPBI5.8093gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロリド10.3083gを添加した。引き続き、85℃で60分間重合反応せしめることにより、透明で粘稠なポリマー溶液を得た。次いで、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を用いて中和反応を行うことにより重合を終了させ、パラ型全芳香族コポリアミド溶液を得た。
[塗工液の作成]
実施例1と同様に実施した。
[塗工液のコーティング]
実施例1と同様に実施した。
<実施例4>
[パラ型全芳香族コポリアミドの重合]
水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)200g、2−クロローパラフェニレンジアミン4.0281g、DAPBI4.2235gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながら2ークロローテレフタル酸クロリド10.9574gを添加した。引き続き、85℃で60分間重合反応せしめることにより、透明で粘稠なポリマー溶液を得た。次いで、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を用いて中和反応を行うことにより重合を終了させ、パラ型全芳香族コポリアミド溶液を得た。
[塗工液の作成]
実施例1と同様に実施した。
[塗工液のコーティング]
実施例1と同様に実施した。
<実施例5>
[パラ型全芳香族コポリアミドの重合]
水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)200g、2−クロローパラフェニレンジアミン1.3498g、DAPBI8.4914gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロリド9.4173gを添加した。引き続き、85℃で60分間重合反応せしめることにより、透明で粘稠なポリマー溶液を得た。次いで、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を用いて中和反応を行うことにより重合を終了させ、パラ型全芳香族コポリアミド溶液を得た。
[塗工液の作成]
実施例1と同様に実施した。
[塗工液のコーティング]
実施例1と同様に実施した。
<実施例6>
[パラ型全芳香族コポリアミドの重合]
水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)200g、2−クロロ−パラフェニレンジアミン6.3144g、DAPBI2.4827gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロリド11.0138gを添加した。引き続き、85℃で60分間重合反応せしめることにより、透明で粘稠なポリマー溶液を得た。次いで、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を用いて中和反応を行うことにより重合を終了させ、パラ型全芳香族コポリアミド溶液を得た。
[塗工液の作成]
ポリマー濃度を5%にする以外は実施例1と同様に実施した。
[塗工液のコーティング]
実施例1と同様に実施した。
<実施例7>
[パラ型全芳香族コポリアミドの重合]
水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)200g、2−クロロ−パラフェニレンジアミン3.6381g、DAPBI5.7218gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロリド9.5315gを添加した。引き続き、85℃で60分間重合反応せしめることにより、透明で粘稠なポリマー溶液を得た。次いで、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を用いて中和反応を行うことにより重合を終了させ、パラ型全芳香族コポリアミド溶液を得た。
[塗工液の作成]
ポリマー濃度を5%にする以外は実施例1と同様に実施した。
[塗工液のコーティング]
実施例1と同様に実施した。
<実施例8>
[パラ型全芳香族コポリアミドの重合]
水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)200g、2−クロロ−パラフェニレンジアミン2.7286g、DAPBI4.2914gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロリド7.7003gを添加した。引き続き、85℃で60分間重合反応せしめることにより、透明で粘稠なポリマー溶液を得た。次いで、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を用いて中和反応を行うことにより重合を終了させ、パラ型全芳香族コポリアミド溶液を得た。
[塗工液の作成]
ポリマー濃度を3%にし、ポリマー量100部に対し、233部となるようアルミナを添加(アルミナ70質量%)する以外は、実施例1と同様に実施した。
[塗工液のコーティング]
実施例1と同様に実施した。
<実施例9>
[パラ型全芳香族コポリアミドの重合]
実施例1と同様に実施した。
[塗工液の作成]
ポリマー100部に対し、アルミナを900部添加(アルミナ90質量%)する以外は実施例1と同様に実施した。
[塗工液のコーティング]
実施例1と同様に実施した。
<比較例1>
[パラ型全芳香族コポリアミドの重合]
水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)200g、パラフェニレンジアミン7.2622gを常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながら、テレフタル酸クロリドを12.5431g添加して重合した。ポリマーが析出し、溶解ドープを得ることができなかった。
<比較例2>
[パラ型全芳香族コポリアミドの重合]
水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)200g、パラフェニレンジアミン1.8155gを常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながら、テレフタル酸クロリドを3.3812g添加して重合した。ポリマーが析出し、溶解ドープを得ることができなかった。
<比較例3>
[パラ型全芳香族コポリアミドの重合]
水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)200g、パラフェニレンジアミン1.1855gを常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながら、テレフタル酸クロリドを3.1358g添加して重合した。重合15時間後に、ポリマーが析出し、溶解ドープを得ることができなかった。
<比較例4>
[パラ型全芳香族コポリアミドの重合]
水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)200g、2−クロロ−パラフェニレンジアミン2.7287g、DAPBI4.2915gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロリド7.7624gを添加した。引き続き、85℃で60分間重合反応せしめることにより、透明で粘稠なポリマー溶液を得た。次いで、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を用いて中和反応を行うことにより重合を終了させ、パラ型全芳香族コポリアミド溶液を得た。
[塗工液の作成]
ポリマー濃度を2%にし、ポリマー量100部に対し、233部となるようアルミナを添加(アルミナ70質量%)する以外は実施例1と同様に実施した。
[塗工液のコーティング]
200μmのクリアランスのドクターナイフを使用する以外は実施例1と同様に実施した。
<比較例5>
[パラ型全芳香族コポリアミドの重合]
水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)200g、2−クロロ−パラフェニレンジアミン3.6382g、DAPBI5.7220gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロリド9.3242gを添加した。引き続き、85℃で60分間重合反応せしめることにより、透明で粘稠なポリマー溶液を得た。次いで、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を用いて中和反応を行うことにより重合を終了させ、パラ型全芳香族コポリアミド溶液を得た。
[塗工液の作成]
ポリマー濃度を6%にする以外は実施例1と同様に実施した。
[塗工液のコーティング]
実施例1と同様に実施した。
<比較例6>
[パラ型全芳香族コポリアミドの重合]
水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)200g、2−クロロ−パラフェニレンジアミン0.6590g、DAPBI9.3278gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながらテレフタル酸クロリド9.1949gを添加した。引き続き、85℃で60分間重合反応せしめることにより、透明で粘稠なポリマー溶液を得た。次いで、22.5%の水酸化カルシウムのNMPスラリー溶液を用いて中和反応を行うことにより重合を終了させ、パラ型全芳香族コポリアミド溶液を得た。
[塗工液の作成]
実施例1と同様に実施した。
[塗工液のコーティング]
実施例1と同様に実施した。
<比較例7>
[パラ型全芳香族コポリアミドの重合]
水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)200g、2−クロロ−パラフェニレンジアミン6.5116g、DAPBI1.1379gを、常温下で反応容器に入れ、窒素雰囲気中で溶解混合した後、攪拌しながら2ークロローテレフタル酸クロリド11.8088gを添加し、重合を行った。ポリマーが析出し、溶解ドープを得ることができなかった。
<比較例8>
[パラ型全芳香族コポリアミドの重合]
実施例1と同様に実施した。
[塗工液の作成]
ポリマー量100部に対し、122部となるようアルミナを添加(アルミナ55質量%)する以外は実施例1と同様に実施した。
[塗工液のコーティング]
実施例1と同様に実施した。
結果を表1に示す。
Figure 2021180087
本発明によれば、溶媒への高い溶解性と無機粒子の担持性に優れ、しかも塗工液の塗工粘度、積層膜の収縮率、透過率のバランスに優れたパラ型全芳香族コポリアミドからなる積層膜及び該積層膜が積層された積層多孔質膜を得ることができるので、その工業的価値
は極めて大きい。

Claims (4)

  1. 無機粒子を含有するパラ型全芳香族コポリアミドからなる積層膜であって、該無機粒子の積層膜全質量に対する含有量が60〜95質量%であり、該パラ型全芳香族コポリアミドを構成する全芳香環の7〜67モル%が、芳香環の水素原子がフルオロ基、クロロ基、及びシアノ基のいずれかで置換された芳香環であり、かつ該パラ型全芳香族コポリアミドを構成するジアミン成分の20〜80モル%が、2−(4−アミノフェニル)−5(6)アミノベンズイミダゾール(DAPBI)であり、該パラ型全芳香族コポリアミドの重量平均分子量が40,000〜200,000であることを特徴とする積層膜。
  2. パラ型全芳香族コポリアミドが、下記式(1)で表される繰り返し単位からなり、式(1)におけるArが式(2)又は式(3)で表される化合物からなり、式(1)におけるArが式(2)で表される化合物からなり、式(2)中のXがフルオロ基、クロロ基、及びシアノ基のうちのいずれか1種である請求項1記載の積層膜。
    Figure 2021180087
    Figure 2021180087
    Figure 2021180087
  3. ポリオレフィン多孔膜に、請求項1又は2記載の積層膜が積層された積層多孔質膜であって、該積層膜とポリオレフィン多孔膜との透気度の差(Δ透気度)が25〜120秒/100ccであることを特徴とする積層多孔質膜。
  4. 150℃での熱収縮率が10%以下である請求項3記載の積層多孔質膜。
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