JP2021178609A - ハイブリッド車両 - Google Patents

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友宏 珍部
Tomohiro Chinbe
寛英 小林
Hirohide Kobayashi
祥吾 河合
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Abstract

【課題】内燃機関と回転電機の間の動力伝達経路を断接するクラッチと、回転電機と駆動輪の間の動力伝達経路に設けた自動変速機とを備えるハイブリッド車両において、クラッチの作動油圧の低下の抑制と発進応答性の両立を図る。【解決手段】作動油温度Tが閾値α以上のとき、モータジェネレータ22を力行するとともにATクラッチを係合し(S11)、係合完了後、K0クラッチ12の係合を行う(S15)。作動油温度Tが閾値α未満のとき、モータジェネレータ22を力行するとともにK0クラッチ12の係合を開始し(S17)、所定時間後、ATクラッチをスイープ係合する(S21)。【選択図】図2

Description

本開示は、ハイブリッド車両に関する。
エンジンと、電動機と、エンジンと電動機の間の動力伝達経路を断続する断続クラッチと、電動機と駆動輪の間の動力伝達経路に設けられた自動変速機とを備えるハイブリッド車両が知られている。たとえば、特許文献1に開示されたハイブリッド車両もその一例である。このようなハイブリッド車両において、電動機を駆動力源とするEV走行中は、断続クラッチが開放されることによりエンジンの引き摺りが防止される。一方、エンジンを主駆動力源とするHV走行中は、断続クラッチが係合されることにより駆動輪へエンジンの駆動力が伝達される。
特開2014−151908号公報
このようなハイブリッド車両において、ハイブリッド車両の起動時、あるいは、ハイブリッド車両の停車時であってエンジンが停止している状態(アイドリングストップ)からの再始動時、発進応答性を高めるために、自動変速機の係合要素へ早期に油圧を供給することが望ましい。しかし、断続クラッチと係合要素に同時に油圧を供給すると、油圧が低下し(供給される作動油量が不足し)、電動機を用いたエンジン始動が困難になる、あるいは、ハイブリッド車両の発進応答性が低下する可能性がある。
本開示は、内燃機関と回転電機の間の動力伝達経路を断接するクラッチと、回転電機と駆動輪の間の動力伝達経路に設けた自動変速機とを備えるハイブリッド車両において、クラッチの作動油圧の低下の抑制と発進応答性の両立を図ることを目的とする。
本開示のハイブリッド車両は、内燃機関と、回転電機と、内燃機関と回転電機の間の動力伝達経路を断接するクラッチと、回転電機と駆動輪の間の動力伝達経路に設けた自動変速機と、クラッチと自動変速機の係合要素の係合状態を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、内燃機関の始動時に、クラッチと係合要素の係合開始タイミングが同時にならないようにするとともに、クラッチの油圧応答性が高いときには、油圧応答性が低い場合に比べて、係合要素の係合タイミングを早くするよう構成されている。
この構成によれば、内燃機関の始動時に、クラッチの係合開始タイミングと係合要素の係合開始タイミングが同時にならないよう制御するので、クラッチと係合要素の係合が同時に開始して係合油圧の不足が生じることを抑制できる。クラッチの油圧応答性が高いときには、油圧応答性が低い場合に比べて、係合要素の係合タイミングを早くしているので、クラッチの油圧応答性を確保できる場合には、係合要素の係合タイミングも早くでき、発進応答性を向上できる。また、クラッチの油圧応答性が低い場合には、係合要素の係合タイミングを遅くするので、クラッチと係合要素の係合動作が重なることを抑止可能となり、係合油圧の不足が生じることを抑止できる。
本開示によれば、内燃機関と回転電機の間の動力伝達経路を断接するクラッチと、回転電機と駆動輪の間の動力伝達経路に設けた自動変速機とを備えるハイブリッド車両において、クラッチの作動油圧の低下の抑制と発進応答性の両立を図ることができる。
本実施の形態に係るハイブリッド車両1の全体構成図である。 ECU100で実行される処理を示すフローチャートである。 ECU100で実行される処理を示すフローチャートである。 S9で肯定判定される場合のタイムチャートである。 S9で否定判定される場合のタイムチャートである。 S29で肯定判定される場合のタイムチャートである。 S29で否定判定される場合のタイムチャートである。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、本実施の形態に係るハイブリッド車両1の全体構成図である。ハイブリッド車両1は、エンジン10と、K0クラッチ12と、モータジェネレータ22と、自動変速機23と、トルクコンバータ24と、油圧回路26と、電動式オイルポンプ(以下、「EOP:Electric Oil Pump」とも称する)27と、機械式オイルポンプ(以下、「MOP:Mechanical Oil Pump」とも称する)28と、電力制御装置(PCU:Power Control Unit)40と、高圧バッテリ42と、駆動輪72と、ECU(Electronic Control Unit)100とを備える。本実施の形態に係るハイブリッド車両1は、走行モードとして、HVモードおよびEVモードを少なくとも有する。HVモードは、エンジン10およびモータジェネレータ22を動力源とした走行モードである。EVモードは、エンジン10を停止状態にするとともにモータジェネレータ22を高圧バッテリ42の電力で駆動して走行する走行モードである。走行モードは、たとえば、ハイブリッド車両1に対する要求パワー等に基づいて選択される。
エンジン10は、たとえば、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジン等の内燃機関である。エンジン10はスタータ(セルモータ)11を備えており、低圧バッテリ50の電力を用いてスタータ11でエンジン10をクランキングし、始動可能なように構成されている。エンジン10は、ECU100からの制御信号によって制御される。
モータジェネレータ22は、回転電機であり、たとえば、永久磁石がロータ(図示せず)に埋設された埋込構造永久磁石同期電動機(IPMモータ)である。モータジェネレータ22の回転軸は、K0クラッチ12を介してエンジン10のクランク軸に連結される。モータジェネレータ22は、エンジン10を始動する際に高圧バッテリ42の電力を用いてエンジン10のクランク軸を回転させる。また、モータジェネレータ22はエンジン10の動力を用いて発電することも可能である。モータジェネレータ22によって発電された交流電力は、PCU40により直流電力に変換されて高圧バッテリ42に充電される。モータジェネレータ22の回転軸は、トルクコンバータ24の入力軸に連結される。また、ハイブリッド車両1の制動時には、駆動輪72によりモータジェネレータ22が駆動され、発電機として機能し、回生電力で高圧バッテリ42を充電するようにしてもよい。
トルクコンバータ24は、モータジェネレータ22の回転軸に連結されるポンプインペラー24aと、自動変速機23の入力軸に連結されるタービンインペラー24bと、ポンプインペラー24aとタービンインペラー24bとの間に設けられるステータ24cとを含む。トルクコンバータ24の入力軸と出力軸とは、ロックアップクラッチ24dが係合状態になることにより回転が同期し、ロックアップクラッチ24dが解放状態になることにより回転の同期が解除される。
自動変速機23は、複数のギヤ段を連続的に変更する有段式自動変速機である。自動変速機23は、複数の変速レンジを有する。複数の変速レンジは、たとえば、前進レンジ(以下、「Dレンジ」とも称する)と、後進レンジ(以下、「Rレンジ」とも称する)と、パーキングレンジ(以下、「Pレンジ」とも称する)と、ニュートラルレンジ(以下、「Nレンジ」とも称する)とを含む。変速レンジとしてDレンジが選択される場合には、ハイブリッド車両1の運転状態に応じて、1速から上限のギヤ段までのいずれかのギヤ段が形成される。
自動変速機23は、たとえば、単数あるいは複数の遊星歯車機構を含む変速部と、複数の係合要素とを含む。複数の係合要素は、遊星歯車機構の回転要素の回転を停止させるブレーキ、および他の回転要素と回転を同期させるクラッチを含む。本実施の形態においては、自動変速機23は、C1クラッチ14と、C2クラッチ15と、C3クラッチ16と、C4クラッチ17と、B1ブレーキ18と、B2ブレーキ19とを含む。なお、以下においては、C1クラッチ14、C2クラッチ15、C3クラッチ16、C4クラッチ17、B1ブレーキ18、およびB2ブレーキ19を総称して「ATクラッチ」とも称する。
ハイブリッド車両1の前方への発進時(Dレンジが選択され、かつ、変速段として1速が達成される場合)には、たとえば、C1クラッチ14、C2クラッチ15およびB2ブレーキ19が係合され、C3クラッチ16、C4クラッチ17およびB1ブレーキ18が解放される。また、ハイブリッド車両1の後進時(Rレンジが選択される場合)には、C2クラッチ15、C3クラッチ16およびB2ブレーキ19が係合され、C1クラッチ14、C4クラッチ17およびB1ブレーキ18が解放される。このように、ATクラッチの係合および解放を組み合わせることにより、変速レンジ(Pレンジ、Rレンジ、Nレンジ、Dレンジ、等)と変速段(ギヤ段)を達成することができる。
EOP27は、ECU100からの制御信号に基づいて動作するモータ(図示せず)を動力源として作動する。上記モータは、高圧バッテリ42あるいは低圧バッテリ50の電力を用いて駆動される。MOP28は、エンジン10またはモータジェネレータ22を動力源としてポンプインペラー24aの回転により作動する。EOP27およびMOP28は、いずれもオイルパン(図示せず)に貯留する作動油を油圧回路26に供給する。
油圧回路26は、ECU100からの制御信号に基づいて、K0クラッチ12およびATクラッチ(C1クラッチ14、C2クラッチ15、C3クラッチ16、C4クラッチ17、B1ブレーキ18、およびB2ブレーキ19)のうちの少なくともいずれかに作動油を供給する。
K0クラッチ12、C1クラッチ14、C2クラッチ15、C3クラッチ16、C4クラッチ17、B1ブレーキ18、およびB2ブレーキ19の各々は、動力の受け渡しを行なう2つの回転体(摩擦材が設けられたドライブプレートおよびドリブンプレート)を有する。作動油が供給されると、作動油の供給量に応じた油圧によりクラッチピストンが移動することにより、2つの回転体の間で摩擦が発生する。これにより、上記2つの回転体が互いに相対回転しなくなるように力が働き、K0クラッチ12、C1クラッチ14、C2クラッチ15、C3クラッチ16、C4クラッチ17、B1ブレーキ18、およびB2ブレーキ19の各々が係合する(すなわち、2つの回転体の回転が同期する)。
制御装置としてのECU10は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ(RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory))および各種信号を入出力するための入出力バッファとを含んで構成される(いずれも図示せず)。CPUは、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。ROMに格納されているプログラムには、CPUによって実行される処理が記されている。ECU100は、入出力バッファから入力される各種信号、およびメモリに記憶された情報に基づいて、CPUにより所定の演算処理を実行し、演算結果に基づいてハイブリッド車両1が所望の状態となるように各機器(エンジン10、PCU16、油圧回路26およびEOP27等)を制御する。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で構築して処理することも可能である。
ECU100は、たとえば、運転者のシフトレバーの操作により選択されたシフトポジションに応じて変速レンジを設定する。ECU100は、設定された変速レンジを形成するように、ATクラッチの係合状態(係合および解放)を切り替える。具体的には、ECU100は、設定された変速レンジを形成するように、油圧回路26を制御して、C1クラッチ14、C2クラッチ15、C3クラッチ16、C4クラッチ17、B1ブレーキ18、およびB2ブレーキ19を係合または解放する。
ECU100は、K0クラッチ12の係合状態を制御する。たとえば、EVモードによる走行時にK0クラッチ12を解放し、HVモードによる走行時にはK0クラッチ12を係合する。また、エンジン10の停止時にK0クラッチ12は解放され、モータジェネレータ22の動力によりエンジン10を始動する際には、K0クラッチ12を係合する。
ハイブリッド車両1は、たとえば、変速レンジがPレンジまたはNレンジであり、かつ、ブレーキペダルが踏み込まれた状態で起動スイッチが押下されたときに、起動される。ハイブリッド車両1の起動に伴い、エンジン10が始動される場合、冷間始動(たとえば、冷却水温度THWが所定値以下の場合)であると、エンジン10のフリクションが大きいため、スタータ11を用いてエンジン10が始動される。冷間始動でない場合には、K0クラッチ12が係合され、モータジェネレータ22を用いてエンジン10がクランキングされて、エンジン10が始動される。
本実施の形態において、ハイブリッド車両1は、所謂、アイドリングストップ機能を備える。たとえば、ハイブリッド車両1の走行中に信号待ち等で停車すると、エンジン10が停止するとともにK0クラッチ12が解放される。アイドリングストップ中に、ブレーキペダルの踏み込みが解消されると、あるいは、アクセルペダルが踏みこまれると、エンジン10が再始動される。エンジン10の再始動の際には、K0クラッチ12が係合され、モータジェネレータ22を用いてエンジン10が始動される。高圧バッテリ42のSOC(State Of Charge)が所定値以下の場合は、スタータ11を用いてエンジン10が始動されてもよい。
ハイブリッド車両1の起動時(エンジン10の始動時)、ガレージシフト(Pレンジ、または、Nレンジから、Dレンジ、または、Rレンジへのシフト操作)に備えて、所定のATクラッチを予め係合する、ガレージシフト制御を実行し、ハイブリッド車両1の発進応答性を向上することが好ましい。アイドリングストップの再始動時には、ハイブリッド車両1の発進応答性を向上するために、エンジン10の始動と同時に自動変速機23の発進段(1速)が達成されていることが好ましい。
このように、エンジン10を始動して発進する場合(始動発進時)、ハイブリッド車両1の発進応答性を向上するため、エンジン10の始動と同時にATクラッチに油圧(作動油)を供給することが望ましい。しかし、エンジン10の始動後、HVモードにより走行する場合や、モータジェネレータ22でエンジン10を始動する場合には、K0クラッチ12にも油圧(作動油)を供給する必要がある。このため、ATクラッチとK0クラッチ12へ同時に作動油を供給することとなり、作動油の流量が不足し油圧が低下する可能性がある。油圧が低下すると、各クラッチの係合が不良となり、所望の機能を達成できない可能性がある。
本実施の形態では、エンジン10の始動時に、K0クラッチ12とATクラッチの係合開始タイミングが重ならない(同時にならない)ように制御するとともに、K0クラッチ12の係合応答性(油圧応答性)に応じて、ATクラッチの係合タイミングを制御することにより、作動油の油圧低下を抑止しつつハイブリッド車両1の発進応答性の低下を抑制する。
図2および図3は、制御装置であるECU100で実行される処理を示すフローチャートである。この処理は、エンジン10の始動時に実行される。
ステップ(以下、Sと略す)1では、エンジン10の始動がスタータ11によって実行されるか否かを判定する。たとえば、ハイブリッド車両1の起動時であって、冷間始動時には、スタータ11を用いた始動であると判定され(肯定判定され)、S3へ進み、スタータ11によってエンジン10がクランキングされ、エンジン10が始動される。
S3の次は、S5へ進んで、EOP27が故障しているか否かを判定する。EOP27が故障していない場合は、否定判定されて、S7に進んでEOP27を起動(ON)したあと、S9へ進む。
S9では、作動油の温度Tが閾値α以上か否かが判定される。温度Tが閾値α以上の場合は、肯定判定されてS11へ進み、モータジェネレータ22を力行するとともに、ATクラッチの係合指示を行う。モータジェネレータ22が力行されることにより、トルクコンバータ24の入力軸の回転速度が上昇する。ATクラッチの係合指示により、ガレージシフト制御であれば、所定のATクラッチの係合が行われ、アイドルストップの再始動時であれば、発進段(1速)を達成するためのATクラッチの係合が行われる。
続くS13では、ATクラッチの係合が完了したか否かを判定する。S13でATクラッチの係合が完了したと判定されると、S15へ進んで、K0クラッチ12の係合指示を行い、今回のルーチンを終了する。なお、ATクラッチの係合完了は、たとえば、当該クラッチ(ブレーキ)の作動室(ピストン室)の油圧の大きさに基づいて判定してもよい。
EOP27が故障しており、S5で肯定判定されたとき、作動油温度Tが閾値α未満であり、S9で否定判定したときには、S17へ進む。S17では、モータジェネレータ22を力行するとともに、K0クラッチ12の係合指示を行う。モータジェネレータ22が力行されることにより、トルクコンバータ24の入力軸の回転速度が上昇する。K0クラッチ12の係合指示により、エンジン10の動力がトルクコンバータ24に伝達可能になる。
S17で、モータジェネレータ22を力行するとともに、K0クラッチ12の係合指示を行った後は、S19で所定時間が経過したか否かが判定され、所定時間が経過すると、S21へ進んで、ATクラッチをスイープ係合するよう指示を行い、今回のルーチンを終了する。本実施の形態においてスイープ係合とは、クラッチの係合油圧を漸増し、クラッチの係合を実施するものである。
S1で否定判定された場合、たとえば、アイドルストップの再始動時に、モータジェネレータ22によるエンジン10の始動が行われる場合には、S23に進んでEOP27を起動(ON)したあと、S25でK0クラッチ12の係合指示を行う。続く、S27では、K0クラッチ12の係合が完了したか否かを判定し、K0クラッチ12の係合が完了するとS29へ進んで、作動油の温度Tが閾値α以上か否かが判定される。温度Tが閾値α以上の場合は、肯定判定されてS31へ進み、モータジェネレータ22を力行するとともに、ATクラッチの係合指示を行い、今回のルーチンを終了する。モータジェネレータ22が力行されることにより、エンジン10がクランキングされ、エンジン10が始動する。ATクラッチの係合指示により、アイドルストップの再始動時であれば、発進段(1速)を達成するためのATクラッチの係合が行われ、ガレージシフト制御であれば、所定のATクラッチの係合が行われる。
作動油温度Tが閾値α未満であり、S29で否定判定されたときには、S33へ進み、モータジェネレータ22を力行するとともに、ATクラッチのスイープ係合の指示を行ない、今回のルーチンを終了する。
以上のように、ECU100(制御装置)で処理される、本実施の形態の作用について、タイムチャートを用いて説明する。図4は、S9で肯定判定される場合のタイムチャートである。図4において、横軸は時間であり、縦軸の「始動」は「ON」となることにより、エンジン10の始動が要求されていること(エンジン10の作動が要求されていること)を示す。「回転速度」は、エンジン10の回転速度NEとモータジェネレータ22の回転速度NMを示す。「EOP」は、EOP27の作動状態を示す。トルクは、モータジェネレータ22の出力トルクを示す。
「油圧」は、各クラッチへ供給される作動油の油圧を示し、各クラッチ(ブレーキ)の作動室(ピストン室)の油圧の大きさを示している。PK0はK0クラッチ12の油圧であり、PATはATクラッチの油圧である。なお、実線は、K0クラッチ12およびATクラッチの実際の油圧の大きさであり、破線は指示値(指令値)である。
図4は、S9で肯定判定される場合のタイムチャートであり、時刻t1で始動要求が発生すると、図2および図3の処理が開始され、スタータ11によりエンジン10のクランキングが開始されて(S3)、回転速度NEが上昇しエンジン10が始動される。エンジン10が始動すると、時刻t2で、EOP27が起動される(S7)。同時に、モータジェネレータ22が力行を開始するとともに、ATクラッチの係合が開始される(S11)。ATクラッチの係合が完了すると(S13で肯定判定)、時刻t3でK0クラッチ12の係合が開始される(S15)。
ATクラッチの係合開始タイミングは時刻t2であり、K0クラッチ12の係合開始タイミングは時刻t3であるので、K0クラッチ12とATクラッチの係合開始タイミングが重ならない(同時にならない)ように制御される。したがって、K0クラッチ12とATクラッチの係合が同時に開始されることがないので、油圧(係合油圧)が低下することを抑制できる。
スタータ11によりエンジン10が始動されるので、始動時にK0クラッチ12が係合されていなくとも、エンジン10の始動が可能である。このため、EOP27の起動と同時に、ATクラッチの係合を開始し、その後、K0クラッチ12の係合を開始しても、エンジン10の始動に影響を与えることなく、ATクラッチの早期の係合を実現できる。また、作動油温度Tが閾値α以上(S9で肯定判定)であり、作動油の粘度も低いので(適切であるの)、ATクラッチおよびK0クラッチ12の油圧応答性(係合応答性)も良好である。このため、モータジェネレータ22の力行開始と同時に、すなわち、MOP28の回転速度が上昇する前に、ATクラッチの係合を開始しても、EOP27による油圧(作動油)で応答性良く、係合を完了する。また、ATクラッチの係合を開始し、その後、K0クラッチ12の係合を開始しても、K0クラッチ12は、応答性よく係合されるので、早期に係合完了となり、発進応答性が低下することを抑止できる。したがって、油圧の低下を抑止しつつ、発進応答性の低下を抑止できる。
図5は、S9で否定判定される場合のタイムチャートである。縦軸と横軸は、図4に示すタイムチャートと同じである。図5において、時刻t1で始動要求が発生すると、図2および図3の処理が開始され、スタータ11によりエンジン10のクランキングが開始されて(S3)、回転速度NEが上昇しエンジン10が始動される。エンジン10が始動すると、時刻t2で、EOP27が起動される(S7)。同時に、モータジェネレータ22が力行を開始するとともに、K0クラッチ12の係合が開始される(S17)。その後、所定時間が経過すると(S19で肯定判定)、時刻t5でATクラッチのスイープ係合が開始される(S21)。
作動油温度Tが閾値α未満(S9で否定判定)であり、作動油の粘度が高く、K0クラッチ12の油圧応答性(係合応答性)が悪い。したがって、図4に示すタイムチャートのように、ATクラッチの係合開始後にK0クラッチ12の係合を開始すると、K0クラッチ12の係合完了までに時間がかかり、発進応答性が低下する。そこで、K0クラッチ12の係合応答性(油圧応答性)が低い場合は、K0クラッチ12の係合開始後にATクラッチの係合を開始する。これにより、K0クラッチ12が係合し、K0クラッチ12を介してエンジン10の駆動力でMOP28が駆動され、MOP28によっても油圧が確保できる。また、K0クラッチ12とATクラッチの係合開始タイミングが重ならない(同時にならない)とともに、ATクラッチはスイープ係合されるので、油圧(係合油圧)の低下を抑制しつつ、発進応答性の大幅な悪化を抑制できる。
図6は、S29で肯定判定される場合のタイムチャートである。縦軸と横軸は、図4に示すタイムチャートと同じである。図6において、時刻t1で始動要求が発生すると、図2および図3の処理が開始され、時刻t2で、EOP27が起動され(S23)、K0クラッチ12の係合を開始する(S25)。K0クラッチ12の係合が完了すると(S27で肯定判定)、(S29で肯定判定される場合なので)時刻t5で、モータジェネレータ22の力行を開始し、エンジン10をクランキングして始動するとともに、ATクラッチの係合を開始する(S31)。
K0クラッチ12の係合開始タイミングは時刻t2であり、ATクラッチの係合開始タイミングは時刻t5であるので、K0クラッチ12とATクラッチの係合開始タイミングが重ならない(同時にならない)ように制御される。したがって、K0クラッチ12とATクラッチの係合が同時に開始されることがないので、油圧(係合油圧)が低下することを抑制できる。
モータジェネレータ22によりエンジン10を始動するので、最初に、K0クラッチ12を係合し、モータジェネレータ22でエンジン10をクランキングして始動する。作動油温度Tが閾値α以上(S29で肯定判定)であり、作動油の粘度も低いので(適切であるの)、ATクラッチおよびK0クラッチ12の油圧応答性(係合応答性)も良好である。このため、K0クラッチ12の係合完了後にATクラッチの係合を開始しても、ATクラッチの係合完了までの時間は短くて済む。また、モータジェネレータ22の力行開始と同時、すなわち、MOP28回転速度が上昇する前にATクラッチの係合を開始しても、K0クラッチ12の係合完了後は、油圧応答性が高いので、EOP27で発生する油圧(作動油)でATクラッチの係合油圧を賄うことができ、油圧の低下を抑制できる。したがって、油圧の低下を抑止しつつ、発進応答性の低下を抑止できる。
図7は、S29で否定判定される場合のタイムチャートである。縦軸と横軸は、図4に示すタイムチャートと同じである。図7において、時刻t1で始動要求が発生すると、図2および図3の処理が開始され、時刻t2で、EOP27が起動され(S23)、K0クラッチ12の係合を開始する(S25)。K0クラッチ12の係合が完了すると(S27で肯定判定)、(S29で否定判定される場合なので)時刻t6で、モータジェネレータ22の力行を開始し、エンジン10をクランキングして始動するとともに、ATクラッチのスイープ係合を開始する(S33)。
K0クラッチ12の係合開始タイミングは時刻t2であり、ATクラッチの係合開始タイミングは時刻t6であるので、K0クラッチ12とATクラッチの係合開始タイミングが重ならない(同時にならない)ように制御される。したがって、K0クラッチ12とATクラッチの係合が同時に開始されることがないので、油圧(係合油圧)が低下することを抑制できる。
モータジェネレータ22によりエンジン10を始動するので、最初に、K0クラッチ12を係合し、モータジェネレータ22でエンジン10をクランキングして始動する。作動油温度Tが閾値α未満(S29で否定判定)であり、作動油の粘度が高く、ATクラッチおよびK0クラッチ12の油圧応答性(係合応答性)が悪い。このため、K0クラッチ12の係合完了後にATクラッチをスイープ係合することにより、作動油の供給量が急増することを回避でき、油圧の低下を確実に抑制できる。
なお、S5で肯定判定される場合(EOP27が故障している場合)は、図5のタイムチャートにおいて、EOP27が起動されない点を除いて、図5のタイムチャートと同様な作動を行う。この場合、EOP27が起動されない(EOP27が故障している)ので、EOP27による油圧(作動油)の供給は行われないが、時刻t2においてモータジェネレータ22が起動してMOP28による油圧の供給が開始し、この油圧を用いて、K0クラッチ12およびATクラッチの係合が行われる。
EOP27が作動しないので、K0クラッチ12の油圧応答性(係合応答性)が悪い。したがって、図4に示すタイムチャートのように、ATクラッチの係合開始後にK0クラッチ12の係合を開始すると、K0クラッチ12の係合完了までに時間がかかり、発進応答性が低下する。そこで、K0クラッチ12の係合応答性(油圧応答性)が低い場合は、K0クラッチ12の係合開始後にATクラッチの係合を開始する。これにより、K0クラッチ12が係合し、K0クラッチ12を介してエンジン10の駆動力でMOP28が駆動され、(モータジェネレータ22が力行されなくとも)MOP28によって油圧が確保できる。また、K0クラッチ12とATクラッチの係合開始タイミングが重ならない(同時にならない)とともに、ATクラッチはスイープ係合されるので、油圧(係合油圧)の低下を抑制しつつ、発進応答性の大幅な悪化を抑制できる。
本実施の形態によれば、エンジン10の始動時に、K0クラッチ12の係合開始タイミングとATクラッチの係合開始タイミングが同時にならないよう(重ならないよう)に制御している。このため、K0クラッチ12とATクラッチの係合が同時に開始して係合油圧の不足が生じることを抑制できる。
本実施の形態では、作動油の温度が高く(作動油温度Tが閾値α以上)、K0クラッチ12の油圧応答性(係合応答性)が高いときには、油圧応答性が低い場合(作動油温度Tが閾値α未満の場合)に比べて、ATクラッチの係合タイミングを早くなるよう制御している。S9で肯定判定された場合は、K0クラッチ12の係合に先立ってATクラッチの係合を行う。S29で肯定判定された場合には、スイープ係合を行うことなく、即時係合を実施する。このように、K0クラッチ12の油圧応答性を確保できる場合には、ATクラッチの係合タイミングも早くでき、発進応答性を向上できる。また、K0クラッチ12の油圧応答性が低い場合には、ATクラッチの係合タイミングを遅くする。S9で否定判定された場合は、K0クラッチ12の係合完了後にATクラッチの係合を行う。S29で否定判定された場合には、スイープ係合を実施する。したがって、K0クラッチ12とATクラッチの係合動作が重なることを確実に抑止でき、係合油圧の不足が生じることを抑止できる。
本実施の形態では、エンジン10をスタータ11で始動する場合、EOP27が故障しており、K0クラッチ12の油圧応答性(係合応答性)が低い場合(S5で肯定判定された場合)、K0クラッチ12の係合完了後にATクラッチの係合を行う。EOP27が正常に作動し、K0クラッチ12の油圧応答性が高い場合、K0クラッチ12の係合に先立ってATクラッチの係合を行う。したがって、K0クラッチ12の油圧応答性が低い場合は、K0クラッチ12とATクラッチの係合動作が重なることを確実に抑止でき、係合油圧の不足が生じることを抑止できるとともに、K0クラッチ12の油圧応答性を確保できる場合には、ATクラッチの係合タイミングも早くでき、発進応答性を向上できる。
以上のように、本実施の形態では、K0クラッチ12およびATクラッチの作動油圧の低下の抑制と、ハイブリッド車両1の発進応答性の両立を図ることができる。
なお、本実施の形態では、S9とS29において同一の閾値αを用いたが、閾値は異なる値であってもよい。トルクコンバータ24の入力側にモータジェネレータ22を配置したが、トルクコンバータ24の出力側にモータジェネレータ22を設けてもよく、トルクコンバータ24を備えない構成であってもよい。
本開示における実施態様を例示すると、次のような態様を例示できる。
1)内燃機関(10)と、回転電機(22)と、内燃機関(10)と回転電機(22)の間の動力伝達経路を断接するクラッチ(12)と、回転電機(22)と駆動輪(72)の間の動力伝達経路に設けた自動変速機(23)と、クラッチ(12)と自動変速機(23)の係合要素(14〜19)の係合状態を制御する制御装置(100)と、を備え、制御装置(100)は、内燃機関(10)の始動時に、クラッチ(12)と係合要素(14〜19)の係合開始タイミングが同時にならないようにするとともに、クラッチ(12)の係合応答性が高いときには、係合応答性が低い場合に比べて、係合要素(14〜19)の係合タイミングを早くするよう構成されている、ハイブリッド車両(1)。
2)1において、内燃機関(10)は、スタータ(11)あるいは回転電機(22)の何れかを用いて始動され、スタータ(11)による始動時におけるクラッチ(12)と係合要素(14〜19)の係合タイミングと、回転電機(22)による始動時におけるクラッチ(12)と係合要素(14〜19)の係合タイミングとが異なるよう設定されている。
3)1または2において、作動油温度Tが閾値α以上のとき、クラッチ(12)の係合応答性が高いと判定する。
4)1〜3において、スタータ(11)により内燃機関(10)が始動される場合、電力を用いて駆動され作動油を供給するEOP(27)が故障していないときに、クラッチ(12)の係合応答性が高いと判定する。
5)1〜3において、内燃機関(10)または回転電機(22)によって駆動され作動油を供給するMOP(28)を設け、スタータ(11)を用いて内燃機関(10)を始動する場合、クラッチ(12)の係合応答性が高いときには、EOP(27)の起動後、回転電機(22)を力行するとともに係合要素(14〜19)の係合を開始し、係合要素(14〜19)の係合完了後にクラッチ(12)の係合を開始する。
6)1〜3において、内燃機関(10)または回転電機(22)によって駆動され作動油を供給するMOP(28)を設け、回転電機(22)を用いて内燃機関(10)を始動する場合、クラッチ(12)の係合応答性が高いときには、EOP(27)の起動後、クラッチ(12)の係合を開始し、クラッチ(12)の係合完了後、回転電機(22)を力行するとともに係合要素(14〜19)の係合を開始する。
5または6の構成によれば、MOP(28)の回転速度が上昇する前に係合要素(14〜19)の係合を開始できるので、発進応答性を向上できる。
7)5において、クラッチ(12)の係合応答性が低いときには、EOP(27)の起動後、回転電機(22)を力行するとともにクラッチ(12)の係合を開始し、クラッチ(12)の係合開始から所定時間後、係合要素(14〜19)の係合を開始する。
8)6において、クラッチ(12)の係合応答性が低いときには、EOP(27)の起動後、クラッチ(12)の係合を開始し、クラッチ(12)の係合完了後、回転電機(22)を力行するとともに係合要素(14〜19)のスイープ係合を開始する。
7または8の構成によれば、クラッチ(12)と係合要素(14〜19)の係合動作が同時に実行されることを確実に抑制でき、油圧の低下を抑制できる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 ハイブリッド車両、10 エンジン、11 スタータ、12 K0クラッチ、14 C1クラッチ、15 C2クラッチ、16 C3クラッチ、17 C4クラッチ、18 B1ブレーキ、19 B2ブレーキ、22 モータジェネレータ、23 自動変速機、24 トルクコンバータ、26 油圧回路、27 EOP、28 MOP、40 PCU、42 高圧バッテリ、50 低圧バッテリ、72 駆動輪、100 ECU。

Claims (1)

  1. 内燃機関と、
    回転電機と、
    前記内燃機関と前記回転電機の間の動力伝達経路を断接するクラッチと、
    前記回転電機と駆動輪の間の動力伝達経路に設けた自動変速機と、
    前記クラッチと前記自動変速機の係合要素の係合状態を制御する制御装置と、を備え、
    前記制御装置は、前記内燃機関の始動時に、前記クラッチと前記係合要素の係合開始タイミングが同時にならないようにするとともに、前記クラッチの係合応答性が高いときには、係合応答性が低い場合に比べて、前記係合要素の係合タイミングを早くするよう構成されている、ハイブリッド車両。
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