<第1実施形態>
以下、図面を参照し、本発明のマルチバッテリ装置、マルチバッテリシステム、マルチバッテリ制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。以下の説明においては、本発明のマルチバッテリ装置が電気自動車(EV)(以下、単に、「車両」という)に採用されている場合の一例について説明する。
[マルチバッテリ装置が採用された車両の構成]
図1は、第1実施形態に係るマルチバッテリ装置が採用された車両の構成の一例を示す図である。車両10は、走行用のマルチバッテリ(複数の二次電池)から供給される電力によって駆動される電動機(電動モータ)によって走行するBEV(Battery Electric Vehicle:電気自動車)である。車両10は、例えば、四輪の車両のみならず、鞍乗り型の二輪の車両や、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)の車両、さらには、アシスト式の自転車などであってもよい。車両10は、例えば、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなど、燃料をエネルギー源とする内燃機関の稼働によって供給される電力、或いはマルチバッテリから供給される電力によって駆動される電動モータによって走行するハイブリッド電気自動車(HEV)であってもよい。
車両10は、例えば、モータ12と、駆動輪14と、ブレーキ装置16と、車両センサ20と、PCU(Power Control Unit)30と、マルチバッテリ40と、通信装置50と、表示装置を含むHMI(Human Machine Interface)60と、充電口70と、接続回路72と、を備える。
モータ12は、例えば、三相交流電動機である。モータ12の回転子(ロータ)は、駆動輪14に連結される。モータ12は、マルチバッテリ40が備える蓄電部であるそれぞれのバッテリ(不図示)から供給される電力によって駆動され、回転の動力を駆動輪14に伝達させる。モータ12は、車両10の減速時に車両10の運動エネルギーを用いて回生ブレーキとして動作して発電する。
ブレーキ装置16は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、を備える。ブレーキ装置16は、ブレーキペダル(不図示)に対する車両10の利用者(運転者)による操作によって発生した油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてもよい。ブレーキ装置16は、上記説明した構成に限らず、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
車両センサ20は、例えば、アクセル開度センサと、車速センサと、ブレーキ踏量センサと、を備える。アクセル開度センサは、アクセルペダルに取り付けられ、運転者によるアクセルペダルの操作量を検出し、検出した操作量をアクセル開度としてPCU30が備える制御部36に出力する。車速センサは、例えば、車両10の各車輪に取り付けられた車輪速センサと速度計算機とを備え、車輪速センサにより検出された車輪速を統合して車両10の速度(車速)を導出し、制御部36およびHMI60に出力する。ブレーキ踏量センサは、ブレーキペダルに取り付けられ、運転者によるブレーキペダルの操作量を検出し、検出した操作量をブレーキ踏量として制御部36に出力する。
PCU30は、例えば、変換器32と、VCU(Voltage Control Unit)34と、制御部36と、を備える。図1においては、これらの構成要素をPCU30として一まとまりの構成としたのは、あくまで一例であり、車両10におけるこれらの構成要素は分散的に配置されても構わない。
変換器32は、例えば、AC−DC変換器である。変換器32の直流側端子は、直流リンクDLに接続されている。直流リンクDLには、VCU34を介してマルチバッテリ40が接続されている。変換器32は、モータ12により発電された交流を直流に変換して直流リンクDLに出力する。
VCU34は、例えば、DC―DCコンバータである。VCU34は、マルチバッテリ40から供給される電力を昇圧して直流リンクDLに出力する。
制御部36は、例えば、モータ制御部と、ブレーキ制御部と、バッテリ・VCU制御部と、を備える。モータ制御部、ブレーキ制御部、およびバッテリ・VCU制御部は、それぞれ別体の制御装置、例えば、モータECU(Electronic Control Unit)、ブレーキECU、バッテリECUといった制御装置に置き換えられてもよい。
制御部36や、制御部36が備えるモータ制御部と、ブレーキ制御部と、バッテリ・VCU制御部とは、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、専用のLSIによって実現されてもよい。プログラムは、予め車両10が備えるHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD−ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体が車両10が備えるドライブ装置に装着されることで車両10が備えるHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
制御部36のモータ制御部は、車両センサ20が備えるアクセル開度センサからの出力に基づいて、モータ12の駆動を制御する。制御部36のブレーキ制御部は、車両センサ20が備えるブレーキ踏量センサからの出力に基づいて、ブレーキ装置16を制御する。制御部36のバッテリ・VCU制御部は、マルチバッテリ40が備えるバッテリセンサ(不図示)からの出力に基づいて、例えば、マルチバッテリ40が備えるそれぞれのバッテリ(不図示)のSOC(State Of Charge;以下「バッテリ充電率」ともいう)を算出し、VCU34やHMI60に出力する。制御部36は、車両センサ20により出力された車速の情報をHMI60に出力してもよい。VCU34は、バッテリ・VCU制御部からの指示に応じて、直流リンクDLの電圧を上昇させる。
マルチバッテリ40は、例えば、低容量ではあるが高出力のバッテリ(以下、「出力型バッテリ」という)と、出力型バッテリよりも低出力ではあるが高容量のバッテリ(以下、「容量型バッテリ」という)とを備える。マルチバッテリ40が備える出力型バッテリは、例えば、カセット式のバッテリパックなど、車両10に対して容易に着脱可能な構成である。一方、マルチバッテリ40が備える容量型バッテリは、車両10に対する着脱が容易ではない据付式の構成である。マルチバッテリ40が備えるそれぞれのバッテリは、例えば、リチウムイオン電池など、充電と放電とを繰り返すことができる二次電池である。マルチバッテリ40が備える二次電池としては、例えば、鉛蓄電池、ニッケル・水素電池、ナトリウムイオン電池などの他、電気二重層キャパシタなどのキャパシタ、または二次電池とキャパシタとを組み合わせた複合電池なども考えられる。本発明においては、マルチバッテリ40が備える二次電池の構成に関しては特に規定しない。マルチバッテリ40が備えるそれぞれのバッテリは、車両10の外部の充電器90から導入される電力を蓄え、蓄えた電力を、車両10を走行させるために放電する。マルチバッテリ40が備えるそれぞれのバッテリは、車両10の減速時に回生ブレーキとして動作しているモータ12により発電された電力を蓄え、蓄えた電力を車両10における次の走行(例えば、加速)のために放電することもできる。
車両10では、マルチバッテリ40と制御部36とを合わせた構成が、特許請求の範囲における「マルチバッテリ装置」の一例である。
[マルチバッテリ装置の構成]
図2は、第1実施形態に係るマルチバッテリ装置の構成と使用環境の一例を示す図である。マルチバッテリ装置100は、例えば、マルチバッテリ40と、制御部36と、を備える。マルチバッテリ40は、例えば、出力型バッテリ420と、バッテリセンサ422と、容量型バッテリ440と、バッテリセンサ442と、切り替え部460と、を備える。切り替え部460は、例えば、スイッチ462と、スイッチ464と、スイッチ466と、スイッチ468と、を備える。
図2には、マルチバッテリ装置100に蓄えさせる電力を供給する外部装置である接続回路72と、マルチバッテリ装置100が蓄えた電力を供給する外部装置であるVCU34とのそれぞれも併せて示している。車両10では、モータ12が回生ブレーキとして動作して発電をする場合、VCU34は、マルチバッテリ装置100に蓄えさせる電力を供給する外部装置でもある。
出力型バッテリ420は、特許請求の範囲における「第1バッテリ」の一例であり、容量型バッテリ440は、特許請求の範囲における「第2バッテリ」の一例である。
バッテリセンサ422は、出力型バッテリ420の電圧や、電流、温度などの物理量を検出する。バッテリセンサ442は、容量型バッテリ440の電圧や、電流、温度などの物理量を検出する。バッテリセンサ422とバッテリセンサ442とのそれぞれは、例えば、電圧センサ、電流センサ、温度センサを備える。それぞれのバッテリセンサは、電圧センサによって対応するバッテリを構成する二次電池(以下、単に「バッテリ」という)の電圧を検出し、電流センサによって対応するバッテリの電流を検出し、温度センサによって対応するバッテリの温度を検出する。それぞれのバッテリセンサは、検出した対応するバッテリの電圧値、電流値、温度などの情報を制御部36に出力する。それぞれのバッテリセンサは、例えば、検出するバッテリの複数箇所の温度を検出するために、複数の温度センサ(例えば、四つの温度センサ)を備えることも考えられる。この場合、それぞれのバッテリセンサは、複数の温度センサによって検出したそれぞれの温度の情報を制御部36に出力してもよいし、複数の温度センサによって検出したそれぞれの温度の中で最大の温度を、検出したバッテリの温度の情報として制御部36に出力してもよい。
バッテリセンサ422は、特許請求の範囲における「第1センサ」の一例であり、バッテリセンサ442は、特許請求の範囲における「第2センサ」の一例である。
制御部36は、バッテリセンサ422により出力された出力型バッテリ420の電圧値、電流値、温度などの情報に基づいて、出力型バッテリ420の状態を算出する。制御部36は、バッテリセンサ442により出力された容量型バッテリ440の電圧値、電流値、温度などの情報に基づいて、容量型バッテリ440の状態を算出する。バッテリの状態とは、例えば、単位時間あたりの放電量または充電量(以下、「実電力」という)や、SOC(バッテリ充電率)、充電時の電力(充電時電力)、放電時の電力(放電時電力)などである。制御部36が算出するバッテリの状態には、それぞれのバッテリの劣化の度合いを表す劣化量などを含んでもよい。
制御部36は、算出した出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とのそれぞれの状態とに応じて、出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とのそれぞれからの外部装置への電力の供給と、外部装置から供給された電力の出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とのそれぞれへの充電とを切り替える。言い換えれば、制御部36は、出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とのそれぞれのバッテリの状態に応じて、それぞれのバッテリにおける放電と充電とを制御する。そして、制御部36は、出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とのそれぞれと、電力を供給する外部装置や電力の供給を受ける外部装置との接続を切り替えるための切り替え信号を、切り替え部460に出力する。
制御部36におけるこれらの処理は、例えば、バッテリ・VCU制御部が行う。
切り替え部460は、制御部36により出力された切り替え信号に応じて、出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とのそれぞれと、外部装置との接続を切り替える。スイッチ462は、出力型バッテリ420と接続回路72との間の経路を接続または切断し、スイッチ464は、容量型バッテリ440と接続回路72との間の経路を接続または切断する。スイッチ466は、出力型バッテリ420とVCU34との間の経路を接続または切断し、スイッチ468は、容量型バッテリ440とVCU34との間の経路を接続または切断する。
図2においては、切り替え部460が複数のスイッチを備える構成を示しているが、この構成はあくまで一例である。切り替え部460の構成は、出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とのそれぞれに電力を供給する外部装置(ここでは、接続回路72)と、出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とのそれぞれから電力の供給を受ける外部装置(ここでは、VCU34)とを切り替えることができる構成であれば、いかなる構成であってもよい。切り替え部460は、例えば、電磁接触器(コンタクタ)やコンバータなど(スイッチを含めてもよい)によって、それぞれのバッテリと外部装置との接続を切り替える構成であってもよい。
図1に戻り、通信装置50は、セルラー網やWi−Fi網を接続するための無線モジュールを含む。通信装置50は、Bluetooth(登録商標)など利用するための無線モジュールを含んでもよい。通信装置50は、無線モジュールにおける通信によって、制御部36が算出したそれぞれのバッテリの状態を表す情報を、例えば、車両10に搭載されたマルチバッテリ40の状態を管理するネットワーク(不図示)上の後述するサーバ装置(以下、「バッテリ管理サーバ装置」という)などとの間で送受信してもよい。さらに、通信装置50は、無線モジュールにおける通信によって、車両10に係る種々の情報を、例えば、車両10の走行状態を管理するネットワーク(不図示)上のサーバ装置などとの間で送受信してもよい。
HMI60は、例えば、運転者などの車両10の利用者に対して各種情報を提示すると共に、利用者による入力操作を受け付ける。HMI60が車両10の利用者に対して提示する情報には、例えば、制御部36が算出したそれぞれのバッテリの状態を含んでもよい。HMI60は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)などの表示装置と、入力された操作を検知する入力装置とが組み合わされた、いわゆる、タッチパネルである。HMI60は、表示装置以外の各種表示部や、スピーカ、ブザー、入力装置以外のスイッチや、キーなどを含んでもよい。HMI60は、表示装置や入力装置を、例えば、車載用ナビゲーション装置などの表示装置や入力装置と共有してもよい。
充電口70は、マルチバッテリ40が備えるそれぞれのバッテリを充電するための機構である。充電口70は、車両10の車体外部に向けて設けられている。充電口70は、充電ケーブル92を介して充電器90に接続される。充電ケーブル92は、第1プラグ94と、第2プラグ96と、を備える。第1プラグ94は、充電器90に接続され、第2プラグ96は、充電口70に接続される。充電器90から供給される電気は、充電ケーブル92を介して充電口70に入力(供給)される。
充電ケーブル92は、電力ケーブルに付設された信号ケーブルを含む。信号ケーブルは、車両10と充電器90の間の通信を仲介する。したがって、第1プラグ94と第2プラグ96とのそれぞれには、電力ケーブルを接続する電力コネクタと信号ケーブルを接続する信号コネクタとが設けられている。
接続回路72は、充電口70とマルチバッテリ40との間に設けられる。接続回路72は、充電口70を介して充電器90から導入される電流、例えば直流電流を、マルチバッテリ40に供給するための電流として伝達する。接続回路72は、例えば、直流電流をマルチバッテリ40に対して出力し、マルチバッテリ40が備えるそれぞれのバッテリに蓄えさせる(充電する)電力を供給する。
マルチバッテリ装置100では、制御部36が、マルチバッテリ40が備える出力型バッテリ420および容量型バッテリ440の状態に応じて、それぞれのバッテリからの放電と、それぞれのバッテリへの充電とを切り替える(制御する)。
[バッテリの放電と充電との切り替え処理の第1例]
次に、マルチバッテリ装置100においてそれぞれのバッテリの放電と充電とを切り替える際の処理の流れの一例について説明する。図3は、第1実施形態に係るマルチバッテリ装置100においてバッテリの放電と充電とを切り替える際に実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。以下の説明においては、図3に示したフローチャートの処理を開始する時点で、容量型バッテリ440が、VCU34に電力供給をしている状態であるものとする。
まず、制御部36は、容量型バッテリ440の放電制限ラインを取得する(ステップS100)。放電制限ラインは、容量型バッテリ440に蓄えられている電力の放電(ここでは、VCU34に電力供給をするための放電)をする場合において事前に設けられている放電の制限値に基づく閾値である。容量型バッテリ440における放電の制限値は、例えば、容量型バッテリ440の耐久性を高める(つまり劣化を抑える)ために設定されている。放電制限ラインは、放電の制限値に対して所定の余裕(マージン)を持った値である。
次に、制御部36は、容量型バッテリ440の充電制限ラインを取得する(ステップS102)。充電制限ラインは、容量型バッテリ440に電力の充電(ここでは、VCU34から供給された、回生ブレーキとして動作したモータ12が発電した電力の充電)をする場合において事前に設けられている充電の制限値に基づく閾値である。容量型バッテリ440における充電の制限値は、放電の制限値と同様に、例えば、容量型バッテリ440の耐久性を高める(劣化を抑える)ために設定されている。充電制限ラインは、放電制限ラインと同様に、充電の制限値に対して所定の余裕(マージン)を持った値である。
次に、制御部36は、容量型バッテリ440の実電力(ここでは、単位時間あたりの放電量)を算出する(ステップS104)。このとき、制御部36は、バッテリセンサ442から容量型バッテリ440の電圧値および電流値を取得し、取得した電圧値と電流値とに基づいて、容量型バッテリ440の実電力を算出する。本発明は、主に出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とにおける放電と充電との切り替えの制御に着目したものであるため、電圧値と電流値とに基づいた実電力の算出方法に関するさらに詳細な説明については省略する。
次に、制御部36は、容量型バッテリ440が放電中であるか否かを確認する(ステップS106)。ステップS106において容量型バッテリ440が放電中であることを確認した場合、制御部36は、算出した実電力が放電制限ライン以上であるか否かを判定する(ステップS110)。言い換えれば、ステップS110の処理において、制御部36は、容量型バッテリ440に蓄えられている電力量が放電制限ラインよりも少なくなっているか否かを判定する。ステップS110において実電力が放電制限ライン以上ではないと判定した場合、制御部36は、処理をステップS100(ステップS104であってもよい)に戻して、引き続き容量型バッテリ440の実電力を監視する。
一方、ステップS110において実電力が放電制限ライン以上であると判定した場合、制御部36は、VCU34に電力供給するバッテリを、容量型バッテリ440から出力型バッテリ420に切り替える(ステップS112)。その後、制御部36は、VCU34を介して供給されたモータ12が発電した電力は、容量型バッテリ440に充電させるようにする(ステップS114)。つまり、ステップS114の処理において、制御部36は、VCU34から供給された電力の容量型バッテリ440への充電を継続させる。より具体的には、制御部36は、ステップS112およびステップS114の処理において、VCU34に電力供給するバッテリを出力型バッテリ420とし、VCU34を介して供給された電力を充電するバッテリを容量型バッテリ440とする切り替え信号を、切り替え部460に出力する。
以降、制御部36は、処理をステップS100(ステップS104であってもよい)に戻して、引き続き容量型バッテリ440の実電力を監視し、それぞれのバッテリの放電と充電との切り替えの制御をする。
一方、ステップS106において容量型バッテリ440が放電中ではない(つまり、充電中である)ことを確認した場合、制御部36は、算出した実電力が充電制限ライン未満であるか否かを判定する(ステップS120)。言い換えれば、ステップS120の処理において、制御部36は、容量型バッテリ440に蓄えられている電力量が充電制限ラインに達していないか否かを判定する。ステップS120において実電力が充電制限ライン未満であると判定した場合、制御部36は、処理をステップS100(ステップS104であってもよい)に戻して、引き続き容量型バッテリ440の実電力を監視する。
一方、ステップS120において実電力が充電制限ライン未満ではないと判定した場合、制御部36は、VCU34に電力供給するバッテリを、出力型バッテリ420から容量型バッテリ440に切り替える(ステップS122)。その後、制御部36は、VCU34を介して供給されたモータ12が発電した電力を、出力型バッテリ420に充電させるようにする(ステップS124)。つまり、容量型バッテリ440に蓄えられている電力量が充電制限ラインに達している場合、制御部36は、ステップS122およびステップS124の処理において、容量型バッテリ440にはこれ以上電力を充電させないようにする。より具体的には、制御部36は、ステップS122およびステップS124の処理において、VCU34に電力供給するバッテリを容量型バッテリ440とし、VCU34を介して供給された電力を充電するバッテリを出力型バッテリ420とする切り替え信号を、切り替え部460に出力する。
以降、制御部36は、処理をステップS100(ステップS104であってもよい)に戻して、引き続き容量型バッテリ440の実電力を監視し、それぞれのバッテリの放電と充電との切り替えの制御をする。
このような処理によってマルチバッテリ装置100では、出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とにおける放電と充電とを切り替える(制御する)。これにより、マルチバッテリ装置100では、マルチバッテリ40が備える容量型バッテリ440の耐久性を高める(劣化を抑える)ことができる。
[バッテリの放電と充電との切り替え処理の第2例]
図3に示したバッテリの放電と充電とを切り替える処理の第1例では、制御部36が、事前に設けられた容量型バッテリ440の放電と充電との制限値に基づく放電制限ラインと充電制限ラインとを取得する場合について説明した。しかし、放電制限ラインや充電制限ラインは、バッテリセンサ442により出力された物理量に基づいて求めることもできる。より具体的には、制御部36は、バッテリセンサ442から容量型バッテリ440の電圧値、電流値、および温度を取得し、取得した電圧値と電流値とに基づいて、SOC(バッテリ充電率)を算出する。そして、制御部36は、算出したSOCと取得した温度とに基づいて、容量型バッテリ440の放電制限ラインや充電制限ラインを算出する。本発明は、主に出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とにおける放電と充電との切り替えの制御に着目したものであるため、電圧値と電流値とに基づいたSOCの算出方法に関するさらに詳細な説明については省略する。
ここで、算出したSOCとバッテリセンサ442から取得した温度とに基づいて放電制限ラインや充電制限ラインを求める場合の一例について説明する。図4は、第1実施形態に係るマルチバッテリ装置100において放電制限ラインおよび充電制限ラインを求める方法の一例を示す図である。図4には、横軸を温度Tとし縦軸を電力Pとしたグラフ上にSOCを表す(プロットする)ことにより、温度Tと電力PとSOCとの関係の一例を示している。図4に示したグラフは、使用温度が−10℃〜40℃までの容量型バッテリ440を、SOC(バッテリ充電率)が30%〜70%の間で使用する場合の一例である。
制御部36は、図4に示したグラフに基づいて、容量型バッテリ440の放電制限ラインと充電制限ラインとを求める。例えば、制御部36は、バッテリセンサ442により出力された容量型バッテリ440の現在の温度tと、SOC=30%とが交わる点に対応する電力Pを、放電制限ラインとして求める。例えば、制御部36は、バッテリセンサ442により出力された容量型バッテリ440の現在の温度tと、SOC=70%とが交わる点に対応する電力Pを、充電制限ラインとして求める。
制御部36における放電制限ラインと充電制限ラインとを求める方法は、上述した方法に限定されない。例えば、制御部36は、図4に示したようなグラフを表す温度Tと電力PとSOCとの関係式に基づいて、放電制限ラインと充電制限ラインとのそれぞれを求めてもよい。例えば、制御部36は、図4に示したようなグラフや、温度Tと電力PとSOCとの関係を表すテーブルに基づいて、放電制限ラインと充電制限ラインとのそれぞれを求めてもよい。
制御部36は、算出したSOCと取得した温度とに基づいて算出した容量型バッテリ440の放電制限ラインと充電制限ラインとを、図3に示したバッテリの放電と充電とを切り替える処理の第1例においてステップS100およびステップS102の処理で取得する放電制限ラインと充電制限ラインとして、出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とにおける放電と充電とを切り替える(制御する)。この場合の処理の流れは、図3に示したバッテリの放電と充電とを切り替える処理の第1例におけるステップS100を放電制限ラインを算出する処理に代え、ステップS102を充電制限ラインを算出する処理に代えることにより容易に理解することができる。従って、制御部36がバッテリセンサ442により出力された物理量に基づいて放電制限ラインや充電制限ラインを算出する場合における処理の流れに関する詳細な説明は省略する。
このような処理によってもマルチバッテリ装置100では、出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とにおける放電と充電とを切り替え、マルチバッテリ40が備える容量型バッテリ440の耐久性を高める(劣化を抑える)ことができる。
[バッテリの放電と充電との切り替え処理の第3例]
図3に示したバッテリの放電と充電とを切り替える処理の第1例、および図4を用いて説明したバッテリの放電と充電とを切り替える処理の第2例では、制御部36が、容量型バッテリ440の放電制限ラインや充電制限ラインに基づいて、出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とにおける放電と充電とを切り替える場合について説明した。しかし、制御部36は、放電制限ラインや充電制限ラインを用いずに、出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とにおける放電と充電とを切り替えることもできる。より具体的には、制御部36は、バッテリセンサ442から出力された容量型バッテリ440の電圧値と電流値とに基づいて算出したSOC(バッテリ充電率)や、バッテリセンサ442から出力された容量型バッテリ440の電圧値を用いて、出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とにおける放電と充電とを切り替えることもできる。
ここで、制御部36が、算出したSOCや取得した電圧値を用いて出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とにおける放電と充電とを切り替える場合の一例について説明する。図5は、第1実施形態に係るマルチバッテリ装置100においてバッテリの放電と充電とを切り替える別の方法を説明する図である。図5には、横軸を電圧値Vとし縦軸をSOCとしたグラフにより、電圧値VとSOCとの関係の一例を示している。図5に示したグラフは、容量型バッテリ440を、SOC(バッテリ充電率)が30%〜70%の間、または電圧値v1〜v2までの間で使用する場合の一例である。
制御部36は、例えば、算出したSOCが70%〜30%までの間の範囲内である場合に、VCU34に電力供給するバッテリを容量型バッテリ440とする。そして、制御部36は、例えば、算出したSOCが70%以下である場合に、VCU34を介して供給されたモータ12が発電した電力を容量型バッテリ440に充電させ、算出したSOCが70%を超える場合に、VCU34を介して供給された電力を出力型バッテリ420に充電させるようにする。
制御部36は、例えば、取得した電圧値Vが電圧値v2〜v1までの間の範囲内である場合に、VCU34に電力供給するバッテリを容量型バッテリ440とする。そして、制御部36は、例えば、電圧値Vが電圧値v2以下である場合に、VCU34を介して供給されたモータ12が発電した電力を容量型バッテリ440に充電させ、電圧値Vが電圧値v2を超える場合に、VCU34を介して供給された電力を出力型バッテリ420に充電させるようにする。
SOC=70%は、特許請求の範囲における「第1閾値」の一例であり、SOC=30%は、特許請求の範囲における「第2閾値」の一例である。電圧値v2は、特許請求の範囲における「第3閾値」の一例であり、電圧値v1は、特許請求の範囲における「第4閾値」の一例である。
このような処理によってもマルチバッテリ装置100では、出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とにおける放電と充電とを切り替え、マルチバッテリ40が備える容量型バッテリ440の耐久性を高める(劣化を抑える)ことができる。
上述した放電制限ラインや充電制限ラインを用いずに出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とにおける放電と充電とを切り替える処理では、SOCに対して70%と30%との二つの閾値を用い、電圧値Vに対して電圧値v1と電圧値v2との二つの閾値を用いる場合について説明した。しかし、放電制限ラインや充電制限ラインを用いずにそれぞれのバッテリにおける放電と充電とを切り替える処理で用いる閾値は、上述した四つに限定されない。例えば、制御部36は、SOCと電圧値Vとにおいてそれぞれ一つの閾値を用いて、それぞれのバッテリにおける放電と充電とを切り替えてもよい。
例えば、制御部36は、SOCが70%以下である場合に、VCU34に電力供給するバッテリと、VCU34を介して供給された電力を充電させるバッテリとを容量型バッテリ440とし、算出したSOCが70%を超える場合に、VCU34に電力供給するバッテリと、VCU34を介して供給された電力を充電させるバッテリとを電力を出力型バッテリ420としてもよい。
例えば、制御部36は、電圧値Vが電圧値v2以下である場合に、VCU34に電力供給するバッテリと、VCU34を介して供給された電力を充電させるバッテリとを容量型バッテリ440とし、電圧値Vが電圧値v2を超える場合に、VCU34に電力供給するバッテリと、VCU34を介して供給された電力を充電させるバッテリとを電力を出力型バッテリ420としてもよい。
制御部36が、放電制限ラインや充電制限ラインを用いずに出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とにおける放電と充電とを切り替える場合の処理の流れは、図3に示したバッテリの放電と充電とを切り替える処理の第1例や、上述した説明に基づいて容易に理解することができる。従って、制御部36が放電制限ラインや充電制限ラインを用いずに出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とにおける放電と充電とを切り替える場合の処理の流れに関する詳細な説明は省略する。
[バッテリの温度を制御する処理の一例]
上述したマルチバッテリ装置100における処理の一例では、制御部36が、出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とにおける放電と充電とを切り替える処理について説明した。ところで、バッテリは、温度がある程度上昇していた方が、蓄えた電力をより効率よく放電させることができる。このため、マルチバッテリ装置100では、制御部36が、それぞれのバッテリの放電と充電との切り替えの他に、それぞれのバッテリの温度を制御する。
次に、マルチバッテリ装置100においてそれぞれのバッテリの温度を制御する際の処理の流れの一例について説明する。図6は、第1実施形態に係るマルチバッテリ装置100においてバッテリの温度を制御する際に実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、制御部36は、容量型バッテリ440の温度を取得する(ステップS200)。ここで、バッテリセンサ442が、容量型バッテリ440の温度を検出する温度センサを複数(例えば、四つ)備えている場合、制御部36は、それぞれの温度センサが検出した容量型バッテリ440の複数の温度を取得し、取得した複数の温度の中で最大の温度を、容量型バッテリ440の温度としてもよい。
次に、制御部36は、取得した容量型バッテリ440の温度が所定の温度の閾値以下であるか否かを確認する(ステップS202)。所定の温度の閾値は、例えば、バッテリに蓄えられている電力の放電(ここでは、容量型バッテリ440に蓄えられている電力をVCU34に供給をするための放電)をする場合において、電力を効率よく放電することができる温度である。所定の温度の閾値は、特許請求の範囲における「第5閾値」の一例である。
ステップS202において容量型バッテリ440の温度が所定の温度の閾値以下ではないことを確認した場合、制御部36は、処理をステップS200に戻して、引き続き容量型バッテリ440の温度を監視する。
一方、ステップS202において容量型バッテリ440の温度が所定の温度の閾値以下であることを確認した場合、制御部36は、容量型バッテリ440と出力型バッテリ420との間で電力の充放電を行わせる(ステップS204)。このとき、電力を放電させるバッテリと電力を充電させるバッテリとは、特に定めない。例えば、制御部36は、容量型バッテリ440と出力型バッテリ420とのそれぞれの現在のSOC(バッテリ充電率)を算出し、SOCが高い方のバッテリを電力を放電させるバッテリとし、SOCが低い方のバッテリを電力を充電させる方のバッテリとしてもよい。さらに、制御部36は、容量型バッテリ440と出力型バッテリ420との間の充放電によってSOCが逆転した場合には、電力を放電させるバッテリと電力を充電させるバッテリとを反対(逆)にしてもよい。
ところで、例えば、容量型バッテリ440と出力型バッテリ420との両方が満充電(例えば、SOCが70%)である場合も考えられる。この場合、制御部36は、容量型バッテリ440に蓄えられている電力を、例えば、ブレーキ装置16が備える電動モータや、ブレーキ装置16の機械的な機構部分に放電させるなど、電力を破棄するように制御してもよい。逆に、例えば、容量型バッテリ440と出力型バッテリ420との両方が空の状態(例えば、SOCが30%)である場合も考えられる。この場合、制御部36は、例えば、車両10の利用者に対して充電器90による容量型バッテリ440への充電を要求するようにしてもよいし、車両10がハイブリッド電気自動車である場合には、エンジンを稼働させて容量型バッテリ440を充電させるようにしてもよい。
その後、制御部36は、ステップS204における容量型バッテリ440と出力型バッテリ420との間で所定の充放電を行ったか否かを判定する(ステップS206)。例えば、制御部36は、容量型バッテリ440と出力型バッテリ420との間で充放電を行っている時間が所定の時間以上経過したか否かを判定する。ステップS206において容量型バッテリ440と出力型バッテリ420との間で所定の充放電を行っていないと判定した場合、制御部36は、所定の充放電が行われるまで引き続き監視する。
一方、ステップS206において容量型バッテリ440と出力型バッテリ420との間で所定の充放電を行ったと判定した場合、制御部36は、容量型バッテリ440の温度を取得する(ステップS208)。次に、制御部36は、取得した容量型バッテリ440の温度に基づいて、容量型バッテリ440の温度上昇が基準値以下であるか否かを確認する(ステップS210)。言い換えれば、ステップS210の処理において、制御部36は、容量型バッテリ440と出力型バッテリ420との間の充放電によって容量型バッテリ440が基準値を超える温度上昇をするか否かを確認する。基準値は、例えば、容量型バッテリ440と出力型バッテリ420との間で充放電を所定の時間行った場合に想定される、容量型バッテリ440の温度である。基準値は、例えば、容量型バッテリ440と出力型バッテリ420との間の充放電によって流れる電流の電流値と、容量型バッテリ440の内部抵抗の抵抗値とに基づいて定めることができる。
ステップS210において容量型バッテリ440の温度上昇が基準値以下ではないと判定した場合、制御部36は、処理をステップS200(ステップS202であってもよい)に戻して、容量型バッテリ440の温度が所定の温度の閾値を超えるまで、引き続き容量型バッテリ440と出力型バッテリ420との間で電力の充放電を行わせる。
一方、ステップS210において容量型バッテリ440の温度上昇が基準値以下であると判定した場合、制御部36は、容量型バッテリ440の異常対応の処理を行う(ステップS212)。容量型バッテリ440の異常対応の処理とは、例えば、容量型バッテリ440に接続された電磁接触器(コンタクタ)を切り離すなど、容量型バッテリ440を出力型バッテリ420、つまり、マルチバッテリ装置100から切り離すような処理が含まれてもよい。これは、容量型バッテリ440と出力型バッテリ420との間の充放電によって、容量型バッテリ440が基準値を超える温度上昇をしない場合には、例えば、容量型バッテリ440が故障していることも考えられ、出力型バッテリ420やマルチバッテリ装置100が備える構成要素に悪影響を与えてしまうことも考えられるからである。
ここで、マルチバッテリ装置100では、例えば、容量型バッテリ440や出力型バッテリ420の保温や加熱を行うためのヒーターを備える構成も考えられる。この構成のマルチバッテリ装置100では、ステップS210において容量型バッテリ440の温度上昇が基準値以下であると判定した場合に、まず、制御部36が、ヒーターを作動させて容量型バッテリ440の保温を所定の時間行い、それでも容量型バッテリ440の温度上昇が基準値以下であると判定した場合に、ステップS212における容量型バッテリ440の異常対応の処理を行うようにしてもよい。
このような処理によってマルチバッテリ装置100では、容量型バッテリ440の温度の制御を行う。これにより、マルチバッテリ装置100では、マルチバッテリ40が備える容量型バッテリ440の温度を上昇させて、蓄えた電力をより効率よく放電させることができる状態にすることができる。これは、例えば、長い時間停車させていたことによりバッテリの温度が低温になっている状態の車両10を走行させる場合などにおいて、有効であると考えられる。
ところで、マルチバッテリ装置100では、同様の考え方に基づいて、出力型バッテリ420の温度の制御を行うこともできる。この場合に制御部36において実行される処理の流れは、図6に示した処理の流れと同様である。ただし、ステップS202において制御部36が確認する出力型バッテリ420に対応する所定の温度の閾値は、容量型バッテリ440に対応する所定の温度の閾値と同じ閾値であってもよし、異なる閾値であってもよい。出力型バッテリ420に対応する所定の温度の閾値は、特許請求の範囲における「第6閾値」の一例である。
[バッテリの実電力を制御する処理の一例]
バッテリの耐久性を高める(劣化を抑える)ためには、上述したバッテリの放電と充電との切り替え処理において説明したように、例えば、放電制限ラインと充電制限ラインとの間で放電や充電をさせることが有効である。さらに、バッテリの耐久性を高める(劣化を抑える)ためには、バッテリを放電させる際の放電量や、バッテリを充電させる際の充電量、つまり、実電力を所定の電力量以内に制御することも有効である。このため、マルチバッテリ装置100では、制御部36が、容量型バッテリ440を放電または充電させる際に、容量型バッテリ440の放電量や充電量を制御して、容量型バッテリ440の耐久性をさらに高める(劣化をさらに抑える)ようにする。
次に、マルチバッテリ装置100において容量型バッテリ440の実電力を制御する際の処理の流れの一例について説明する。図7は、第1実施形態に係るマルチバッテリ装置100においてバッテリの実電力を制御する際に実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、制御部36は、容量型バッテリ440の電圧値および電流値を取得する(ステップS300)。そして、制御部36は、取得した電圧値と電流値とに基づいて、容量型バッテリ440のSOC(バッテリ充電率)と実電力とを算出する(ステップS302)。
次に、制御部36は、算出したSOCが目標のSOC(以下、「目標SOC」という)の範囲内で、算出した実電力が所定値未満であるか否かを判定する(ステップS304)。目標SOCの範囲は、例えば、容量型バッテリ440を耐久性を高めた(劣化を抑えた)状態で使用するためのSOCの範囲である。例えば、目標SOCの範囲は、図4を用いて説明したバッテリの放電と充電とを切り替える処理の第2例、または図5を用いて説明したバッテリの放電と充電とを切り替える処理の第3例における、SOCが70%〜30%までの間の範囲である。目標SOCは、例えば、SOC=50%や、SOC=50%を中心とした所定の値の範囲(例えば、±10%など)などとして規定されてもよい。実電力に対する所定値は、例えば、耐久性を高めた(劣化を抑えた)状態で容量型バッテリ440から放電させるための単位時間あたりの放電量や、容量型バッテリ440に充電させるための単位時間あたりの充電量の閾値である。実電力に対する所定値は、容量型バッテリ440からの放電や容量型バッテリ440への充電が急速にならないような閾値(例えば、3kW/secなど)が設定される。実電力に対する所定値は、特許請求の範囲における「第7閾値」の一例である。
ステップS302において算出したSOCが目標SOCの範囲内で、算出した実電力が所定値未満であると判定した場合、制御部36は、処理をステップS300に戻して、引き続き容量型バッテリ440の電圧値および電流値を監視する。
一方、ステップS302において算出したSOCが目標SOCの範囲内で、算出した実電力が所定値未満ではないと判定した場合、制御部36は、容量型バッテリ440における実電力が所定値未満となるように、容量型バッテリ440の実電力を制御する(ステップS306)。より具体的には、容量型バッテリ440が蓄えている電力をVCU34に電力供給する場合、制御部36は、容量型バッテリ440からVCU34への電力の放電量が所定値未満となるように制御する。容量型バッテリ440がVCU34から供給された電力を充電する場合、制御部36は、容量型バッテリ440におけるVCU34から供給された電力の充電量が所定値未満となるように制御する。このとき、VCU34により供給が要求された電力量や、VCU34により供給された電力量が所定値以上であることも考えられる。この場合、制御部36は、容量型バッテリ440における放電量や充電量が所定値未満である状態を維持するように制御し、VCU34からの要求を満足させる(差分を補わせる)ために、出力型バッテリ420における放電量や充電量を制御する。このとき、制御部36は、出力型バッテリ420における放電量や充電量を多くすることができる場合には、容量型バッテリ440における放電量や充電量を、所定値に対してより多くの余裕を持たせる(例えば、2kW/secなどにする)ように制御してもよい。
ここで、容量型バッテリ440からVCU34に電力供給をさせる場合、或いはVCU34により供給された電力を容量型バッテリ440に充電させる場合、SOCを高くすることも考えられる。例えば、VCU34から供給された電力が大きい(つまり、回生ブレーキとして動作したモータ12による発電量が多い)場合、SOCを高くすることも考えられる。このような場合でも、制御部36は、容量型バッテリ440における放電量、或いは容量型バッテリ440における充電量が所定値未満である状態を維持するように制御する。
このような処理によってマルチバッテリ装置100では、容量型バッテリ440における放電量や充電量(実電力)を制御する。これにより、マルチバッテリ装置100では、マルチバッテリ40が備える容量型バッテリ440の耐久性をさらに高める(劣化をさらに抑える)ことができる。言い換えれば、マルチバッテリ装置100では、容量型バッテリ440の長寿命化を実現させることができる。
[バッテリの劣化を管理する処理の一例]
マルチバッテリ装置100では、容量型バッテリ440の耐久性を高める(劣化を抑える)ように、出力型バッテリ420および容量型バッテリ440の状態に応じて、それぞれのバッテリからの放電と、それぞれのバッテリへの充電とを制御している。逆に言えば、マルチバッテリ装置100では、出力型バッテリ420の耐久性を高める(劣化を抑える)ための制御は、容量型バッテリ440よりも重要視していない。これは、マルチバッテリ装置100では、出力型バッテリは、マルチバッテリ40、つまり、車両10に対して容易に着脱可能な構成であり、容量型バッテリは、車両10に対する着脱が容易ではない構成であるためである。このため、マルチバッテリ装置100では、制御部36が、出力型バッテリ420の劣化の状態を判定し、例えば、車両10の利用者に対して出力型バッテリ420の交換を提案する。
次に、マルチバッテリ装置100において出力型バッテリ420の劣化の状態を判定して交換を提案する際の処理の流れの一例について説明する。図8は、第1実施形態に係るマルチバッテリ装置100においてバッテリの劣化の状態を判定する際に実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、制御部36は、出力型バッテリ420に電力を充電するとき(充電時)と出力型バッテリ420に蓄えられている電力を放電するとき(放電時)とにおける電圧値および電流値を取得する(ステップS400)。このとき、制御部36は、バッテリセンサ422により出力された電圧値と電流値とを所定の時間間隔で取得する。そして、制御部36は、取得した電圧値と電流値とに基づいて、出力型バッテリ420の充電時の電力(以下、「充電時電力」という)と、放電時の電力(以下、「放電時電力」という)とを算出する(ステップS402)。このとき、制御部36は、所定の時間間隔で取得した電圧値と電流値とに基づいて、出力型バッテリ420の充電時電力と放電時電力とを所定の時間間隔で算出する。
次に、制御部36は、算出した充電時電力および放電時電力に基づいて、出力型バッテリ420の劣化状態を表す劣化量を算出する(ステップS404)。より具体的には、所定の時間間隔で算出した充電時電力および放電時電力に基づくOCV(Open Circuit Voltage:開回路電圧)と、CCV(Closed Circuit Voltage:閉回路電圧)との関係から逆算して求められる出力型バッテリ420の内部抵抗に基づいて、劣化量を算出する。
制御部36における出力型バッテリ420の劣化量の算出方法は、上述した方法に限定されるものではない。例えば、制御部36は、ステップS400の処理において所定の時間間隔で取得した電圧値と電流値とに基づいて、出力型バッテリ420の内部抵抗の変化を表すI−V特性やP−V特性を求め、求めたI−V特性やP−V特性から出力型バッテリ420の劣化量を算出してもよい。本発明は、主に出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とにおける放電と充電との切り替えの制御に着目したものであるため、電圧値と電流値とに基づいたバッテリの劣化量の算出方法に関するさらに詳細な説明については省略する。
次に、制御部36は、算出した劣化量が所定値以下であるか否かを判定する(ステップS406)。劣化量に対する所定値は、例えば、車両10の走行に支障をきたすことがない性能(電力量など)が十分に確保されているか否かを判定するために、出力型バッテリ420に対して設定された閾値(例えば、出力型バッテリ420の内部抵抗値など)である。劣化量に対する所定値は、例えば、出力型バッテリ420の交換に要すると想定される期間の間、引き続き出力型バッテリ420を使用することができるように、実際に車両10の走行に支障をきたす出力型バッテリ420の劣化量に対して所定の余裕(マージン)を持った閾値であってもよい。劣化量に対する所定値は、特許請求の範囲における「第8閾値」の一例である。
ステップS406において算出した劣化量が所定値以下ではないと判定した場合、制御部36は、処理をステップS400に戻して、引き続き出力型バッテリ420の充電時と放電時とにおける電圧値および電流値を監視する。
一方、ステップS406において算出した劣化量が所定値以下であると判定した場合、制御部36は、出力型バッテリ420が劣化していると判断して、例えば、車両10の利用者に対して出力型バッテリ420の交換を提案する(ステップS408)。このとき、制御部36は、例えば、HMI60に出力型バッテリ420の交換を提案する情報を出力し、出力型バッテリ420の交換を促す画面をHMI60が備える表示装置に表示させてもよいし、出力型バッテリ420の交換を促す音(アラームなど)をHMI60が備えるスピーカやブザーに発音させてもよい。
このような処理によってマルチバッテリ装置100では、出力型バッテリ420の劣化量を算出し、算出した劣化量に基づいて出力型バッテリ420の交換を提案する。これにより、マルチバッテリ装置100では、マルチバッテリ40が備える出力型バッテリ420が、例えば、車両10の走行に支障をきたすまで劣化してしまう前に交換されるようにすることができる。言い換えれば、マルチバッテリ装置100では、マルチバッテリ装置100が採用された車両10において、出力型バッテリ420の保守(メンテナンス)が最適に行われるようにすることができる。
上記に述べたとおり、第1実施形態のマルチバッテリ装置100によれば、マルチバッテリ40が備えるバッテリセンサ422が出力型バッテリ420の物理量を検出し、バッテリセンサ442が容量型バッテリ440の物理量を検出する。そして、第1実施形態のマルチバッテリ装置100によれば、制御部36が、バッテリセンサ422とバッテリセンサ442とのそれぞれから取得した物理量に基づいて、出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とのそれぞれを好適に制御する。より具体的には、第1実施形態のマルチバッテリ装置100では、制御部36が、容量型バッテリ440の耐久性を高めたり(劣化を抑えたり)、それぞれのバッテリに蓄えた電力をより効率よく放電させることができる状態にしたり、出力型バッテリ420の劣化を管理して交換を提案したりする。これにより、第1実施形態のマルチバッテリ装置100が採用された車両10では、マルチバッテリ装置100が備えるそれぞれのバッテリを好適に利用することができる。
第1実施形態において、マルチバッテリ装置100が備える容量型バッテリ440は、出力型バッテリ420と同様の構成のバッテリ(例えば、リチウムイオン電池などの二次電池)である場合について説明した。しかし、マルチバッテリ装置100が備える容量型バッテリ440は、出力型バッテリ420と異なる構成のバッテリであってもよい。例えば、容量型バッテリ440は、燃料電池であってもよい。この場合、容量型バッテリ440が燃料電池であるマルチバッテリ装置100が採用された車両10は、燃料電池から供給される電力によって駆動される電動モータによって走行する電動車両、いわゆる、FCV(Fuel Cell Vehicle:燃料電池自動車)である。この場合におけるマルチバッテリ装置100の構成、動作、処理、およびそれぞれの値の算出方法などは、上述した容量型バッテリ440がバッテリ(二次電池)であるマルチバッテリ装置100の構成、動作、処理、およびそれぞれの値の算出方法と等価なものになるようにすればよい。例えば、上述したSOCは、燃料電池から電力を供給するために消費される燃料(例えば、水素など)の残量に置き換えるようにすればよい。例えば、上述した容量型バッテリ440への電力の充電量は、電力を利用した水の電気分解による燃料(例えば、水素など)の生成量に置き換えるようにすればよい。
以上説明した第1実施形態のマルチバッテリ装置100によれば、出力型バッテリ420と、出力型バッテリ420よりも高容量かつ低出力である容量型バッテリ440と、出力型バッテリ420の状態(物理量)を検出するバッテリセンサ422と、容量型バッテリ440の状態(物理量)を検出するバッテリセンサ442と、出力型バッテリ420の状態および容量型バッテリ440の状態に応じて、出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とのそれぞれからの外部装置(ここでは、VCU34)への電力供給と、外部装置(ここでは、VCU34、接続回路72であってもよい)から供給された電力の出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とのそれぞれへの充電とを切り替える制御部36と、を備えることにより、それぞれのバッテリの放電や充電を好適に制御することができる。これにより、第1実施形態のマルチバッテリ装置100が採用された車両10では、マルチバッテリ装置100が備えるそれぞれのバッテリを好適に利用して走行をすることができる。
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、本発明のマルチバッテリ装置100が車両10(EV:電気自動車)に採用されている場合の一例について説明した。しかしながら、本発明のマルチバッテリ装置100は、車両10以外にも、電力を蓄えて利用する種々のシステムに採用することができる。以下の説明においては、本発明のマルチバッテリ装置100が、自然エネルギーを利用した発電システムに採用されている場合の一例について説明する。
[マルチバッテリ装置が採用された発電システムの構成]
次に、マルチバッテリ装置100とサーバ装置とを含むマルチバッテリシステムの一例について説明する。図9は、第2実施形態に係るマルチバッテリシステムの構成と使用環境の一例を示す図である。マルチバッテリシステム500は、例えば、複数のマルチバッテリ装置100−1〜100−jと、バッテリ管理サーバ装置600と、を備える。
図9には、マルチバッテリシステム500における外部装置である発電装置800と、出力系統900とのそれぞれも併せて示している。
発電装置800は、自然エネルギーを利用した発電装置である。発電装置800は、例えば、太陽光発電の太陽電池や、風力発電の風車などである。発電装置800は、発電した電力をマルチバッテリシステム500が備えるマルチバッテリ装置100−1〜100−jのそれぞれに供給して蓄えさせる。発電装置800は、発電した電力を直接、出力系統900に供給してもよい。
出力系統900は、マルチバッテリシステム500が備えるマルチバッテリ装置100−1〜100−jのそれぞれが蓄えた電力の供給、または発電装置800から直接の電力の供給を受けて消費する種々の装置や機器である。出力系統900は、例えば、電力事業者など、発電装置800を運用する運用者と契約した契約者の家庭に設置された電気機器である。
マルチバッテリシステム500において、マルチバッテリ装置100−1〜100−jと、バッテリ管理サーバ装置600とは、ネットワークNWを介して互いに通信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、プロバイダ装置、無線基地局などを含む無線通信の通信網である。
マルチバッテリ装置100−1〜100−jのそれぞれは、第1実施形態のマルチバッテリ装置100と同様のマルチバッテリ装置である。マルチバッテリ装置100−1〜100−jのそれぞれは、出力型バッテリと容量型バッテリとを複数備えている。ここで、マルチバッテリ装置100−1〜100−jのそれぞれを代表して、マルチバッテリ装置100−1の構成ついて説明する。
以下の説明においては、マルチバッテリシステム500が備えるマルチバッテリ装置100−1〜100−jのそれぞれ、およびそれぞれのマルチバッテリ装置100−1〜100−jが備える構成要素を区別しない場合には、それぞれの構成要素の符号における末尾の「−(ハイフン)」とハイフン以下の符号を省略する。
マルチバッテリ装置100−1は、例えば、マルチバッテリ40−1と、制御部36−1と、を備える。マルチバッテリ40−1は、例えば、複数の出力型バッテリ420−1〜420−mと、バッテリセンサ422と、複数の容量型バッテリ440−1〜440−nと、バッテリセンサ442と、を備える。マルチバッテリ40−1には、第1実施形態のマルチバッテリ40が備える切り替え部460と同様に、出力型バッテリ420−1〜420−mと容量型バッテリ440−1〜440−nとのそれぞれと、外部装置との接続を切り替える構成要素である切り替え部も備えているが、図9においては省略している。
出力型バッテリ420−1〜420−mのそれぞれは、第1実施形態の出力型バッテリ420と同様のバッテリである。出力型バッテリ420−1〜420−mのそれぞれは、蓄えた電力を、例えば、車両10の走行のために利用するには支障があるが、車両10の走行以外の目的であれば十分に利用することができるバッテリであってもよい。つまり、出力型バッテリ420−1〜420−mのそれぞれは、車両10への利用には適さないほど劣化しているため回収された容量型バッテリ440が、マルチバッテリシステム500において再利用(二次利用)されたバッテリであってもよい。容量型バッテリ440−1〜440−nのそれぞれは、第1実施形態の容量型バッテリ440と同様のバッテリである。
バッテリセンサ422は、第1実施形態のバッテリセンサ422と同様のバッテリセンサである。ただし、マルチバッテリ40−1では、複数の出力型バッテリ420を備えているため、バッテリセンサ422は、それぞれの出力型バッテリ420の物理量を検出する。バッテリセンサ422は、それぞれの出力型バッテリ420に対応する複数のバッテリセンサで構成されてもよい。バッテリセンサ442は、第1実施形態のバッテリセンサ442と同様のバッテリセンサである。ただし、マルチバッテリ40−1では、複数の容量型バッテリ440を備えているため、バッテリセンサ442は、それぞれの容量型バッテリ440の物理量を検出する。バッテリセンサ442は、それぞれの容量型バッテリ440に対応する複数のバッテリセンサで構成されてもよい。
制御部36−1は、第1実施形態のマルチバッテリ装置100が備える制御部36と同様の制御部である。ただし、マルチバッテリシステム500では、制御部36−1が、ネットワークNWを介してバッテリ管理サーバ装置600との間で情報の送受信を行う。このため、制御部36−1は、ネットワークNWを介してバッテリ管理サーバ装置600と通信をするための通信部(不図示)を備える。
バッテリ管理サーバ装置600は、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える制御部36との間で通信をし、通信した情報に基づいて、それぞれのマルチバッテリ40が備える出力型バッテリ420と容量型バッテリ440との状態を管理する。バッテリ管理サーバ装置600は、管理した出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とのそれぞれの状態に基づいて、異なるマルチバッテリ装置100の間での電力のやり取りを指示する(制御する)。つまり、バッテリ管理サーバ装置600は、異なるマルチバッテリ装置100が備えるそれぞれのマルチバッテリ40に対する電力の放電や充電を制御する。
[マルチバッテリシステムの処理の一例]
次に、マルチバッテリシステム500において異なるマルチバッテリ装置100の間での電力のやり取りをする際の処理の流れの一例について説明する。図10は、第2実施形態に係るマルチバッテリシステム500において異なるマルチバッテリ装置100の間での電力のやり取りをする際に実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える制御部36は、対応するそれぞれの容量型バッテリ440の電圧値および電流値を取得する(ステップS500)。そして、それぞれの制御部36は、取得した電圧値と電流値とに基づいて、対応するそれぞれの容量型バッテリ440のSOC(バッテリ充電率)を算出する(ステップS502)。
それぞれの制御部36は、算出した対応するそれぞれの容量型バッテリ440のSOCの情報を、ネットワークNWを介してバッテリ管理サーバ装置600に送信する(ステップS504)。
バッテリ管理サーバ装置600は、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える制御部36により送信されたSOCの情報に基づいて、全てのマルチバッテリ装置100が備える容量型バッテリ440が満充電の状態であるか否かを確認する(ステップS506)。つまり、バッテリ管理サーバ装置600は、マルチバッテリシステム500が備える全ての容量型バッテリ440が満充電の状態であるか否かを確認する。容量型バッテリ440が満充電の状態とは、例えば、SOCが70%である。
ステップS506において全ての容量型バッテリ440が満充電の状態であることを確認した場合、バッテリ管理サーバ装置600は、発電装置800が発電した電力を、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える出力型バッテリ420に充電させるように指示する(ステップS510)。このとき、バッテリ管理サーバ装置600は、発電装置800が発電した電力を出力型バッテリ420に充電させること表す指示信号を、ネットワークNWを介してそれぞれの制御部36に送信する。これにより、それぞれの制御部36は、発電装置800が発電して供給された電力を、対応するそれぞれの出力型バッテリ420に充電させるようにする。
ステップS506において全ての容量型バッテリ440が満充電の状態であることを確認した場合、バッテリ管理サーバ装置600は、ステップS510の処理において、発電装置800が発電した電力を出力系統900に直接供給するようにしてもよい。この場合、バッテリ管理サーバ装置600は、発電した電力を出力系統900に直接供給することを表す指示信号を、ネットワークNWを介してそれぞれの制御部36に送信する。これにより、それぞれの制御部36は、発電装置800が発電して供給された電力を、出力型バッテリ420および容量型バッテリ440のいずれにも充電させないようにする。
以降、バッテリ管理サーバ装置600は、処理をステップS500(ステップS506であってもよい)に戻して、引き続きそれぞれのマルチバッテリ装置100が備える制御部36からSOCの情報が送信されてくるのを待つ。つまり、バッテリ管理サーバ装置600は、引き続きそれぞれの容量型バッテリ440のSOCを監視する。
一方、ステップS506において全ての容量型バッテリ440が満充電の状態ではないことを確認した場合、バッテリ管理サーバ装置600は、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える制御部36により送信されたSOCの情報に基づいて、SOCが一定値以下の容量型バッテリ440があるか否かを確認する(ステップS520)。SOCの一定値とは、例えば、SOCが50%である。従って、バッテリ管理サーバ装置600は、ステップS520の処理において、マルチバッテリシステム500が備える全ての容量型バッテリ440の中で、SOCが低い容量型バッテリ440があるか否かを確認する。
ステップS520においてSOCが一定値以下の容量型バッテリ440がないことを確認した場合、バッテリ管理サーバ装置600は、発電装置800が発電した電力を、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える容量型バッテリ440に充電させるように指示する(ステップS522)。このとき、バッテリ管理サーバ装置600は、発電装置800が発電した電力を容量型バッテリ440に充電させること表す指示信号を、ネットワークNWを介してそれぞれの制御部36に送信する。これにより、それぞれの制御部36は、発電装置800が発電して供給された電力を、対応するそれぞれの容量型バッテリ440に充電させるようにする。
以降、バッテリ管理サーバ装置600は、処理をステップS500(ステップS506であってもよい)に戻して、引き続きそれぞれの容量型バッテリ440のSOCを監視する。
一方、ステップS520においてSOCが一定値以下の容量型バッテリ440があることを確認した場合、バッテリ管理サーバ装置600は、SOCが一定値を超える容量型バッテリ440に蓄えた電力を、SOCが一定値以下の容量型バッテリ440に充電させるように指示する(ステップS524)。このとき、バッテリ管理サーバ装置600は、SOCが一定値を超える容量型バッテリ440とSOCが一定値以下の容量型バッテリ440との間で電力の充放電を行わせることを表す指示信号を、ネットワークNWを介してそれぞれの制御部36に送信する。これにより、SOCが一定値を超える容量型バッテリ440に対応する制御部36は、対応する容量型バッテリ440に蓄えた電力を放電させ、SOCが一定値以下の容量型バッテリ440に対応する制御部36は、他の容量型バッテリ440が放電した電力を、対応する容量型バッテリ440に充電させる。これにより、異なるマルチバッテリ装置100が備える容量型バッテリ440の間で電力の充放電が行われる。このとき、異なる容量型バッテリ440の間で電力を伝送させる経路は、図9に示した発電装置800と出力系統900とが接続された経路であってもよいし、それぞれのマルチバッテリ装置100同士を接続した別の経路(例えば、マルチバッテリ装置100間で電力を伝送する専用の経路:不図示)であってもよい。
以降、バッテリ管理サーバ装置600は、処理をステップS500(ステップS506であってもよい)に戻して、引き続きそれぞれの容量型バッテリ440のSOCを監視する。
このような処理によってマルチバッテリシステム500では、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える容量型バッテリ440のSOCをより均一にする均一化する。そして、マルチバッテリシステム500では、SOCを均一化したそれぞれの容量型バッテリ440に、発電装置800が発電した電力を充電させる。これにより、マルチバッテリシステム500では、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える容量型バッテリ440の耐久性を高める(劣化を抑える)ことができる。
[マルチバッテリシステムの処理の別の一例]
図10に示したマルチバッテリシステム500の処理の一例では、それぞれの容量型バッテリ440の耐久性を高める(劣化を抑える)ため、SOCを均一化するように容量型バッテリ440における放電と充電とを制御する場合の処理について説明した。そして、マルチバッテリシステム500では、それぞれの出力型バッテリ420として、例えば、車両10での利用に適さないため回収された出力型バッテリ420を利用することもできる。このため、マルチバッテリシステム500においても、出力型バッテリ420の劣化の状態を判定し、著しく劣化している出力型バッテリ420は、例えば、マルチバッテリシステム500の管理者に対して他の出力型バッテリ420への交換を提案する。
次に、マルチバッテリシステム500においてそれぞれの出力型バッテリ420の劣化の状態を判定して交換を提案する際の処理の流れの一例について説明する。図11は、第2実施形態に係るマルチバッテリシステム500においてそれぞれのマルチバッテリ装置100が備えるバッテリの劣化の状態を判定する際に実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える制御部36は、対応するそれぞれの出力型バッテリ420の充電時と放電時とにおける出力型バッテリ420の電圧値および電流値を取得する(ステップS600)。このとき、それぞれの制御部36が対応するバッテリセンサ422により出力された電圧値と電流値とを取得する時間間隔は、第1実施形態における所定の時間間隔と同様である。そして、それぞれの制御部36は、取得した電圧値と電流値とに基づいて、対応するそれぞれの出力型バッテリ420の充電時電力と放電時電力とを算出する(ステップS602)。このとき、それぞれの制御部36は、第1実施形態と同様に、所定の時間間隔で取得した電圧値と電流値とに基づいて、対応するそれぞれの出力型バッテリ420の充電時電力と放電時電力とを所定の時間間隔で算出する。その後、それぞれの制御部36は、算出した充電時電力および放電時電力に基づいて、対応するそれぞれの出力型バッテリ420の劣化状態を表す劣化量を算出する(ステップS604)。このとき、それぞれの制御部36は、第1実施形態と同様の算出方法で、対応するそれぞれの出力型バッテリ420の劣化量を算出する。
次に、それぞれの制御部36は、対応するそれぞれの出力型バッテリ420に対して、算出した劣化量が所定値以下であるか否かを判定する(ステップS606)。このときの劣化量に対する所定値は、例えば、発電装置800が発電した電力の充電に支障をきたすことがない性能(電力量など)が十分に確保されているか否かを判定するために、それぞれの出力型バッテリ420に対して設定された閾値(例えば、出力型バッテリ420の内部抵抗値など)である。この劣化量に対する所定値も、第1実施形態と同様に、例えば、出力型バッテリ420の交換に要すると想定される期間の間、引き続き出力型バッテリ420を使用することができるように、発電装置800が発電した電力の充電に支障をきたす出力型バッテリ420の劣化量に対して所定の余裕(マージン)を持った閾値であってもよい。
ステップS606において対応するいずれの出力型バッテリ420も劣化量が所定値以下ではないと判定した制御部36は、処理をステップS600に戻して、引き続き対応するそれぞれの出力型バッテリ420の充電時と放電時とにおける電圧値および電流値を監視する。
一方、ステップS606において対応するいずれかの出力型バッテリ420の劣化量が所定値以下である判定した制御部36は、劣化量が所定値以下であると判定した出力型バッテリ420の劣化量の情報を、ネットワークNWを介してバッテリ管理サーバ装置600に送信する(ステップS610)。つまり、制御部36は、劣化していると判断した出力型バッテリ420の劣化量の情報を、バッテリ管理サーバ装置600に送信する。
バッテリ管理サーバ装置600は、いずれかのマルチバッテリ装置100が備える制御部36により劣化量の情報が送信された場合、送信された劣化量の情報に基づいて、劣化量の情報を送信してきた制御部36を備えるマルチバッテリ装置100において交換可能な出力型バッテリ420があるか否かを確認する(ステップS612)。マルチバッテリ装置100において交換可能な出力型バッテリ420とは、例えば、車両10から回収され、劣化量の情報を送信してきた制御部36を備えるマルチバッテリ装置100に対応している倉庫などの保管場所に保管されている出力型バッテリ420である。言い換えれば、交換可能な出力型バッテリ420とは、マルチバッテリ装置100において在庫となっている出力型バッテリ420である。
ステップS612において交換可能な出力型バッテリ420があることを確認した場合、バッテリ管理サーバ装置600は、例えば、マルチバッテリシステム500の管理者や、そのマルチバッテリ装置100の管理者に対して、劣化していると判断された出力型バッテリ420を、在庫の出力型バッテリ420に交換することを提案する(ステップS614)。このとき、バッテリ管理サーバ装置600は、例えば、バッテリ管理サーバ装置600、或いはマルチバッテリ装置100が備える通知装置に出力型バッテリ420の交換を提案する情報を出力し、通知装置に出力型バッテリ420の交換を促す通知を行わせる。この通知は、例えば、通知装置がLCDなどの表示装置である場合には、出力型バッテリ420の交換を促す画面を表示装置に表示させることによって行い、通知装置がスピーカやブザーなどの発音装置である場合には、出力型バッテリ420の交換を促す音(アラームなど)を発音させることによって行う。
以降、バッテリ管理サーバ装置600は、処理をステップS600(ステップS610であってもよい)に戻して、引き続きいずれかのマルチバッテリ装置100が備える制御部36から劣化量の情報、つまり、出力型バッテリ420の劣化状態の判定結果が送信されてくるのを待つ。
一方、ステップS612において交換可能な出力型バッテリ420がないことを確認した場合、バッテリ管理サーバ装置600は、他のマルチバッテリ装置100に交換可能な出力型バッテリ420があるか否かを確認する(ステップS620)。ステップS620において他のマルチバッテリ装置100に交換可能な出力型バッテリ420があることを確認した場合、バッテリ管理サーバ装置600は、例えば、マルチバッテリシステム500の管理者や、劣化していると判断された出力型バッテリ420があるマルチバッテリ装置100の管理者に対して、他のマルチバッテリ装置100の在庫の出力型バッテリ420との交換を提案する(ステップS622)。このときのバッテリ管理サーバ装置600における提案(通知)方法は、上述した通知方法と同様である。
以降、バッテリ管理サーバ装置600は、処理をステップS600(ステップS610であってもよい)に戻して、引き続きいずれかの出力型バッテリ420の劣化状態の判定結果が送信されてくるのを待つ。
一方、ステップS620において他のマルチバッテリ装置100に交換可能な出力型バッテリ420がないことを確認した場合、バッテリ管理サーバ装置600は、劣化していると判断された出力型バッテリ420があるマルチバッテリ装置100が備える複数の容量型バッテリ440のうち、いずれかの容量型バッテリ440を選択する(ステップS630)。このとき、バッテリ管理サーバ装置600は、例えば、複数の容量型バッテリ440の中で最も劣化しているものや、SOCが最も低いもの、容量が最も少ないもの、製造日が最も古いものなど、所定の条件に従って容量型バッテリ440を選択する。
そして、バッテリ管理サーバ装置600は、選択した容量型バッテリ440を出力型バッテリ420として動作させるように指示する(ステップS632)。このとき、バッテリ管理サーバ装置600は、選択した容量型バッテリ440の動作を変更させること表す指示信号を、劣化していると判断された出力型バッテリ420を備えるマルチバッテリ装置100の制御部36に、ネットワークNWを介して送信する。これにより、指示信号を受信した制御部36は、以降、選択された容量型バッテリ440を出力型バッテリ420として動作させるようにする。
以降、バッテリ管理サーバ装置600は、処理をステップS600(ステップS610であってもよい)に戻して、引き続きいずれかの出力型バッテリ420の劣化状態の判定結果が送信されてくるのを待つ。
このような処理によってマルチバッテリシステム500では、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える出力型バッテリ420の劣化状態の判定結果に基づいて出力型バッテリ420の交換を提案する。これにより、マルチバッテリシステム500では、いずれかのマルチバッテリ装置100が備える出力型バッテリ420が、例えば、発電装置800が発電した電力の充電に支障をきたすまで劣化してしまう前に交換されるようにすることができる。言い換えれば、マルチバッテリシステム500では、それぞれのマルチバッテリ装置100において、出力型バッテリ420の保守(メンテナンス)が最適に行われるようにすることができる。
図11に示した出力型バッテリ420の劣化の状態を判定して交換を提案する処理の一例では、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える制御部36が、対応する出力型バッテリ420が劣化しているか否かを判断する場合について説明した。しかし、マルチバッテリシステム500では、バッテリ管理サーバ装置600が、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える車両センサ20と容量型バッテリ440との状態を管理している。このため、バッテリ管理サーバ装置600は、マルチバッテリシステム500が備える全ての出力型バッテリ420に対して劣化しているか否かの判断をしてもよい。この場合、それぞれマルチバッテリ装置100が備える制御部36は、図11に示した出力型バッテリ420の劣化の状態を判定して交換を提案する処理の一例においてステップS604の処理で算出したそれぞれの出力型バッテリ420の劣化量の情報を、ネットワークNWを介してバッテリ管理サーバ装置600に送信する。そして、バッテリ管理サーバ装置600は、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える制御部36により送信された劣化量の情報に基づいて、それぞれの出力型バッテリ420が劣化しているか否かを判定する。このとき、バッテリ管理サーバ装置600は、それぞれのマルチバッテリ装置100における在庫の出力型バッテリ420も管理している。つまり、バッテリ管理サーバ装置600は、それぞれのマルチバッテリ装置100における交換可能な出力型バッテリ420の在庫数も管理している。このため、バッテリ管理サーバ装置600は、マルチバッテリ装置100における出力型バッテリ420の在庫数に応じて、出力型バッテリ420が劣化しているか否かを複数の段階で判断することができる。例えば、マルチバッテリ装置100における出力型バッテリ420の在庫数が充分にある場合には、出力型バッテリ420が劣化しているか否かを判断するための閾値、つまり、劣化量の所定値を高くして、ある程度劣化している出力型バッテリ420を積極的に(早めに)交換するように提案するようにしてもよい。例えば、マルチバッテリ装置100における出力型バッテリ420の在庫数が少ない場合には、出力型バッテリ420が劣化しているか否かを判断するための劣化量の所定値を低くして、発電装置800が発電した電力の充電に支障をきたすことがない範囲内で限界近く(限界ぎりぎり)まで、出力型バッテリ420の交換を提案しないようにしてもよい。このような処理は、図11に示した出力型バッテリ420の劣化の状態を判定して交換を提案する処理の一例において、ステップS606とステップS610との処理の順番を入れ替え、入れ替えた後のステップS606においてバッテリ管理サーバ装置600が上述したような複数段階の判断をすることにより容易に理解することができるため、詳細な説明は省略する。
上記に述べたとおり、第2実施形態のマルチバッテリシステム500によれば、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える制御部36が、第1実施形態のマルチバッテリ装置100と同様に、それぞれの容量型バッテリ440の耐久性を高めたり(劣化を抑えたり)、それぞれのバッテリに蓄えた電力をより効率よく放電させることができる状態にしたり、それぞれの出力型バッテリ420の劣化を管理して交換を提案したりする。さらに、第2実施形態のマルチバッテリシステム500によれば、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える出力型バッテリ420と容量型バッテリ440との物理量を検出し、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える制御部36が、検出した物理量に基づいた出力型バッテリ420と容量型バッテリ440との状態を表す情報をバッテリ管理サーバ装置600に送信する。そして、第2実施形態のマルチバッテリシステム500によれば、バッテリ管理サーバ装置600が、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える制御部36により送信されたそれぞれのバッテリの状態を表す情報に基づいて、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える出力型バッテリ420と容量型バッテリ440とを好適に制御する。より具体的には、第2実施形態のマルチバッテリシステム500では、バッテリ管理サーバ装置600が、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える容量型バッテリ440の耐久性を高めたり(劣化を抑えたり)、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える出力型バッテリ420の劣化を管理して交換を提案したりする。これにより、第2実施形態のマルチバッテリシステム500が採用された発電システムでは、それぞれのマルチバッテリ装置100が備えるそれぞれのバッテリを好適に利用することができる。
以上説明した第2実施形態のマルチバッテリシステム500によれば、複数のマルチバッテリ装置100(第1実施形態のマルチバッテリ装置100)と、それぞれのマルチバッテリ装置100が備えるバッテリ(出力型バッテリ420および容量型バッテリ440)の状態を管理するバッテリ管理サーバ装置600と、を備え、それぞれのマルチバッテリ装置100が備えるバッテリセンサ442は、対応する容量型バッテリ440の電圧値および電流値を検出し、それぞれのマルチバッテリ装置100が備える制御部36は、対応する電圧値および電流値に基づいて対応する容量型バッテリ440の充電率(SOC)を算出し、算出した充電率(SOC)の情報をバッテリ管理サーバ装置600に送信し、バッテリ管理サーバ装置600は、それぞれの容量型バッテリ440の充電率(SOC)に基づいて、異なるマルチバッテリ装置100の間で容量型バッテリ440の電力を伝送させることにより、それぞれのバッテリの放電や充電を好適に制御することができる。これにより、第2実施形態のマルチバッテリシステム500が採用された発電システムでは、それぞれのマルチバッテリ装置100が備えるそれぞれのバッテリを好適に利用して、供給先(例えば、契約した契約者の家庭)に電力を供給することができる。
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
ハードウェアプロセッサと、
プログラムを記憶した記憶装置と、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、
第1バッテリの状態を第1センサにより検出し、
前記第1バッテリよりも高容量かつ低出力である第2バッテリの状態を第2センサにより検出し、
前記第1バッテリの状態および前記第2バッテリの状態に応じて、前記第1バッテリと前記第2バッテリとのそれぞれからの外部装置への電力供給と、外部装置から供給された電力の前記第1バッテリと前記第2バッテリとのそれぞれへの充電とを切り替える、
ように構成されている、マルチバッテリ装置。
上記説明した実施形態では、マルチバッテリ装置100が、車両10または自然エネルギーを利用した発電システムに採用されている場合について説明した。しかし、マルチバッテリ装置100を採用するシステムは、発電された電力を蓄え、蓄えた電力を利用するシステムであれば、いかなるシステムにおいても採用することができる。この場合においても、マルチバッテリ装置100が備えるそれぞれのバッテリの放電や充電を好適に制御することができる。この場合におけるマルチバッテリ装置100の構成、動作、処理、およびそれぞれの値の算出方法などは、上述した実施形態におけるマルチバッテリ装置100の構成、動作、処理、およびそれぞれの値の算出方法と等価なものになるようにすればよく、上述した実施形態に基づいて容易に理解することができる。このため、マルチバッテリ装置100が採用された他のシステムにおける構成、動作、処理、およびそれぞれの値の算出方法などに関する詳細な説明は省略する。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。