JP2021173714A - 材料測定装置および材料測定方法および電極製造装置および電極の製造方法 - Google Patents

材料測定装置および材料測定方法および電極製造装置および電極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の材料が混合している混合材料に対して混合材料中の透光性材料の存在量を非接触で測定可能な材料測定装置および材料測定方法および電極製造装置および電極の製造方法を提供する。【解決手段】材料測定装置は、混合材料M12に光を照射する発光部と、混合材料からの光を受光する受光部と、制御部と、を有する。混合材料は、第1材料M12aと第2材料M12bとを含有する。第1材料は、吸光度のピークを有する透光性材料である。第2材料は、非透光性粒子を有する。第1材料は、第2材料の非透光性粒子の周囲に存在する。制御部は、第1波長の吸光度と第2波長の吸光度との差である吸光度差を算出し、吸光度差と検量線とから第1材料の含有量または含有率を算出する。【選択図】図1

Description

本明細書の技術分野は、材料測定装置および材料測定方法および電極製造装置および電極の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池の電極は、集電体である金属箔に正極活物質または負極活物質を積層させたものである。リチウムイオン二次電池の電極の製造工程においては、集電体である金属箔に正極活物質または負極活物質を含む塗工液を塗工し、その塗工液の層を乾燥させる。また、必要に応じて、乾燥済みの塗工層をプレスする。ここで塗工液は、正極活物質または負極活物質と結着剤とを含む。また塗工液は、必要に応じて導電助剤と増粘剤とを含む。
そのため、原材料等の良否判定をする技術が開発されてきている。例えば、特許文献1には、電極の材料である中空活物質をNMPに浸漬し、その前後の窒素含有率を測定する技術が開示されている(特許文献1の請求項1)。その際に吸光光度法を用いる(特許文献1の段落[0031])。これにより、中空活物質の良否判定を窒素含有率の増分を用いて実施する旨が開示されている(特許文献1の段落[0010])。
特開2018−6188号公報
一般に、乾燥後の電極の塗工層には少量の溶媒が残留する。電極は電解液に浸漬されるため、塗工層には溶媒は残留しないことが好ましい。特許文献1に記載の技術では、塗工して乾燥させた後の電極の塗工層に含まれる溶媒の量を測定し、良否判定をすることは困難である。特許文献1の技術は、そもそも溶媒を測定する技術ではない。また、仮に中空活物質の良否判定をするとしても、電極のうちの一部を抜き出して、電極の塗工層から中空活物質を取り出す必要がある。すなわち、特許文献1の技術では、非破壊検査をすることが困難である。
また、一般に、リチウムイオン二次電池に限らず、複数の材料が混合している混合材料に対して、混合材料中の特定の材料の存在量を非接触で測定することは困難である。
本明細書の技術が解決しようとする課題は、複数の材料が混合している混合材料に対して混合材料中の透光性材料の存在量を非接触で測定可能な材料測定装置および材料測定方法および電極製造装置および電極の製造方法を提供することである。
第1の態様における材料測定装置は、混合材料に光を照射する発光部と、混合材料からの光を受光する受光部と、制御部と、を有する。混合材料は、第1材料と第2材料とを含有する。第1材料は、吸光度のピークを有する透光性材料である。第2材料は、非透光性粒子を有する。第1材料は、第2材料の非透光性粒子の周囲に存在する。発光部は、第1材料が吸収する波長を含む光を照射する。制御部は、受光部により受光された光のうちの第1波長の光強度と第2波長の光強度とを取得する光強度取得部と、光強度取得部により取得された第1波長の光強度と第2波長の光強度とから第1波長の吸光度と第2波長の吸光度との差である吸光度差を算出する吸光度差算出部と、混合材料における第1材料の含有量または含有率と吸光度差との間の関係を示す検量線を記憶する検量線記憶部と、吸光度差算出部により算出された吸光度差と検量線記憶部により記憶された検量線とから第1材料の含有量または含有率を算出する含有量算出部と、を有する。
この材料測定装置は、混合材料における第1材料の含有量または含有率を非接触で測定することができる。このため、例えば、混合材料を破壊する必要がない。また、材料測定装置は、混合材料における第1材料の含有量または含有率をインラインで測定することができる。
本明細書では、複数の材料が混合している混合材料に対して混合材料中の透光性材料の存在量を非接触で測定可能な材料測定装置および材料測定方法および電極製造装置および電極の製造方法が提供されている。
第1の実施形態における測定対象物M10の構造を模式的に示す図である。 第1の実施形態の材料測定装置100の概略構成図である。 第1の実施形態の材料測定装置100の制御系を示すブロック図である。 第1の実施形態における溶媒量と吸光度差との間の関係を例示するグラフである。 NMPの吸光度を示すグラフである。 水の吸光度を示すグラフである。 第1の実施形態の材料測定装置100の制御部140が実行する処理を説明するフローチャートである。 第1の実施形態の変形例における測定対象物M20の構造を模式的に示す図である。 第1の実施形態の変形例における材料測定装置200の概略構成図である。 第2の実施形態の材料測定装置300の概略構成図である。 第2の実施形態の材料測定装置300の制御系を示すブロック図である。 第2の実施形態の材料測定装置300の制御部340が実行する処理を説明するフローチャートである。 第3の実施形態の正極板PEおよび負極板NEの積層構造を示す図である。 第3の実施形態の電極製造装置1000の概略構成図である。 試験片における膜厚および溶媒量の経時変化を示すグラフである。 試験片における溶媒量と吸光度差との間の関係を示すグラフである。 試験片における膜厚を考慮した溶媒量と吸光度差との間の関係を示すグラフである。 試験片の膜厚と回帰式の傾きとの間の関係を示すグラフである。 試験片の膜厚と吸光度差との間の関係を示すグラフである。 試験片における膜厚を考慮しなかった場合の溶媒量の実測値と溶媒量の予測値との間の関係を示すグラフである。 試験片における膜厚を考慮した場合の溶媒量の実測値と溶媒量の予測値との間の関係を示すグラフである。
以下、具体的な実施形態について、材料測定装置および材料測定方法および電極製造装置および電極の製造方法を例に挙げて説明する。しかし、本明細書の技術はこれらの実施形態に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
1.測定対象物
図1は、第1の実施形態における測定対象物M10の構造を模式的に示す図である。測定対象物M10は、基材M11と、混合材料M12と、を有する。基材M11は、混合材料M12を支持するためのものである。混合材料M12は、第1材料M12aと第2材料M12bとを有する。
第1材料M12aは、材料測定装置100が測定の対象とする材料である。第1材料M12aは、吸光度のピークを有する透光性材料である。第1材料M12aは液体である。また、第1材料M12aの吸光度は、波長依存性を有する。第2材料M12bは、非透光性粒子を有する。第1材料M12aは、第2材料M12bの各々の非透光性粒子の周囲に存在する。第1材料M12aおよび第2材料M12bは、このように混合された状態で層状に積層されている。ここで、透光性とは、少なくとも一部の波長の光を透過させる性質である。
図1は、測定対象物M10に光が照射されたときの様子を示している。図1に示すように、光L1は混合材料M12の表面の第2材料M12bで反射されている。光L2は混合材料M12の内部で反射を繰り返しながら混合材料M12の奥まで到達した後に混合材料M12の外部に進んでいる。光L2は、混合材料M12の内部を第2材料M12bに反射されながら第1材料M12aを透過している。
このように入射する光が混合材料M12の内部で複雑な振る舞いをする場合には、混合材料M12の第1材料M12aの含有量または含有率を測定することは決して容易ではない。
2.材料測定装置
図2は、第1の実施形態の材料測定装置100の概略構成図である。材料測定装置100は、複数の材料が混合している混合材料M12における透光性材料の存在量を測定することができる。材料測定装置100は、発光部110と、受光部120と、制御部140と、を有する。
発光部110は、測定対象物M10の混合材料M12に光を照射する光照射部である。発光部110は、ブロードな波長分布をもつ光を照射する。発光部110は、光を局所的に照射可能であるとよい。発光部110は、第1材料M12aが吸収する波長を含む光を照射する。
受光部120は、測定対象物M10の混合材料M12からの光を受光する。受光部120は、受光した光の情報を制御部140に送信することができる。受光部120は、受光した光を波長ごとに分解可能であるとよい。受光部120は、例えば、分光光度計であるとよい。
制御部140は、受光部120により受光された光に基づいて、測定対象物M10に含まれる第1材料M12aの存在量を測定する。制御部140は、受光部120により受光された光の情報を受光部120から取得することができる。また、制御部140は、発光部110の発光状態を制御してもよい。
3.制御系
図3は、第1の実施形態の材料測定装置100の制御系を示すブロック図である。図3に示すように、制御部140は、材料情報取得部141と、受光光情報取得部142と、光強度取得部143と、吸光度差算出部144と、含有量算出部145と、検量線記憶部146と、材料情報記憶部147と、を有する。
材料情報取得部141は、測定対象物M10の混合材料M12がどのような材料を含有しているかの情報を取得する。
受光光情報取得部142は、受光部120により受光された光のスペクトルの情報を取得する。
光強度取得部143は、受光部120により受光された光のうちの第1波長λ1の光強度I(λ1)と第2波長λ2の光強度I(λ2)とを取得する。具体的には、光強度取得部143は、受光光情報取得部142により取得された光のスペクトルから第1波長λ1と第2波長λ2とを選択するとともに、第1波長λ1の光強度I(λ1)と第2波長λ2の光強度I(λ2)とを取得する。
吸光度差算出部144は、吸光度差ΔAを算出する。吸光度差算出部144は、光強度取得部143により取得された第1波長λ1の光強度I(λ1)と第2波長λ2の光強度I(λ2)とから第1波長λ1の吸光度A1と第2波長λ2の吸光度A2との差である吸光度差ΔA(=A1−A2)を算出する。
含有量算出部145は、吸光度差算出部144により算出された吸光度差ΔAと検量線記憶部147により記憶されている検量線とから第1材料M12aの含有量を算出する。
検量線記憶部146は、混合材料M12における第1材料M12aの含有量と吸光度差ΔAとの間の関係を示す検量線を記憶する。検量線記憶部146は、目的変数を第1材料M12aの含有量とし、説明変数を吸光度差ΔAとする回帰分析により決定された検量線を記憶している。
材料情報記憶部147は、検量線記憶部146により記憶されている検量線の材料の種類を記憶している。また、材料情報記憶部147は、混合材料M12の種類に応じて光強度取得部143が選択すべき第1波長λ1の値および第2波長λ2の値を記憶しているとよい。
4.測定原理
4−1.ランベルト・ベールの法則
ランベルト・ベールの法則を用いる。ランベルト・ベールの法則は、次の式(1)で表される。
I=I0 exp(−εlc) ………(1)
I :透過光の強度
0 :入射光の強度
ε :モル吸収係数(m2 /mol)
l :光路長(m)
c :光が透過する物質の濃度(mol/m3
式(1)の常用対数をとることにより、次の式(2)が得られる。
A=−log(I/I0 )=εlc ………(2)
A :吸光度
ランベルト・ベールの法則は、光が物質を透過する際に物質が吸収する光の強度の割合が一定であることを示している。また、式(2)より、吸光度Aは、モル吸光係数εと、光路長lと、光が透過する物質の濃度cと、の積である。モル吸収係数εは物質固有の値であり、光の波長に依存する。吸光度Aは、あらかじめ測定することができ、光の波長に依存する。このため、式(2)から光路長lを決定すれば、光が透過する物質の濃度を求めることができる。
図1で説明したように、混合材料M12を有する測定対象物M10では光の反射や散乱が生じる。この場合には、受光部120に入射しない反射光や散乱光が存在し、その分だけ受光部120によって取得される光の強度が減少する。このように見かけ上の吸光度が増大するため、ランベルト・ベールの法則をそのまま適用することはできない。また、光路長lを特定することは困難である。
4−2.二波長分光測光法
式(2)に散乱項Asを追加し、2つの波長λ1、λ2を代入すると次の式(3)、(4)が得られる。
A(λ1)=−log(I(λ1)/I0 )=ε(λ1)lc+As(λ1)
………(3)
A(λ2)=−log(I(λ2)/I0 )=ε(λ2)lc+As(λ2)
………(4)
2つの波長λ1、λ2がある程度近い波長であると考え、As(λ1)とAs(λ2)とが等しいと近似する。そして、式(3)および式(4)の差をとると、次の式(5)が得られる。
ΔA=A(λ1)−A(λ2)
=−log(I(λ1)/I(λ2))
=(ε(λ1)−ε(λ2))lc ………(5)
ΔA:吸光度差
式(5)を用いても、ランベルト・ベールの法則と同様に光路長lを特定することが困難である。
4−3.検量線
光路長lは未知であるため、その代わりに検量線を用いる。つまり、式(5)と検量線とを用いて、混合材料M12における第1材料M12aの濃度を算出する。そのためにまず、2つの波長λ1、λ2を選定する。そして、予め準備したサンプルの吸光度差ΔA=−log(I(λ1)/I(λ2))を測定する。ここで、吸光度差ΔA=−log(I(λ1)/I(λ2))は入射光の強度I0 を含んでいない。このため、入射光の強度I0 は未知のままであってよい。また、検量線の説明変数が吸光度差ΔAであるため、第1波長λ1の吸光度A1(λ1)および第2波長λ2の吸光度A2(λ2)は未知のままであってよい。
図4は、第1の実施形態における溶媒量と吸光度差ΔAとの間の関係を例示するグラフである。図4の横軸は溶媒量(wt%)である。図4の縦軸は吸光度差ΔA=−log(I(λ1)/I(λ2))である。式(5)では光が透過する物質の濃度cの単位は(mol/m3 )であるが、混合材料M12の種類と大まかな量とが分かっていれば、濃度の単位を容易に(wt%)に変換することができる。
図4に示すように、溶媒量が増加するほど吸光度差ΔAは減少する。また、溶媒量と吸光度差ΔAとの間の関係は直線で近似できる。
なお、検量線は予め導出しておき、記憶させておけばよい。
4−4.波長の例
4−4−1.NMP
図5は、NMPの吸光度を示すグラフである。図5の横軸は光の波長である。図5の縦軸は吸光度である。ここで、NMPとは、N−メチル−2−ピロリドンである。この吸光度のグラフは、物質固有である。つまり、同種の材料について吸光度を測定すると、同様のグラフが得られる。
図5に示すように、1720nm近傍と2280nm近傍とにピークが存在する。吸光度がゼロに近い波長領域では、NMPはその波長の光をほとんど透過させる。上記のピークの近傍では、NMPはその波長領域の光を吸収する。
このため、選択する2つの波長として、ピークに近い波長と、吸光度がゼロに近い波長と、を選択する。例えば、波長λ1として1713nmを選択し、波長λ2として1823nmを選択する。図5に示すように、1713nmの波長の光はNMPにある程度吸収され、1823nmの波長の光はNMPにほとんど吸収されない。このように吸収度に差がある2つの波長λ1、λ2を選択することにより、測定精度は向上する。
原理的には、選択する波長として2280nm近傍の波長を選択してもよい。ただし、2280nmという長波長の光を高精度で測定可能な素子は一般に高価である。そのため、このような素子をインライン計測装置に適用することは現実的ではない。
4−4−2.水
図6は、水の吸光度を示すグラフである。図6の横軸は光の波長である。図6の縦軸は吸光度である。水では、1450nm近傍と1900nm近傍とにピークが存在する。そのため、例えば、波長λ1として1450nmを選択し、波長λ2として1350nmを選択することができる。
4−4−3.波長の選択
上記のように、測定対象である第1材料M12aの吸光スペクトルに応じて、波長を自由に選択することができる。ただし、2つの波長のうちの第1の波長は、吸光度がゼロでない波長を選択する必要がある。2つの波長のうちの第2の波長は、吸光度がゼロに近いことが好ましい。例えば、第1の波長はピーク近傍の波長であり、第2の波長はピーク近傍以外の波長であるとよい。
ここで、発光部110は、第1材料M12aが吸収する波長を含む光を照射する必要がある。また、第1の波長の吸光度A1と第2の波長の吸光度A2とは異なっている必要がある。式(5)においてΔA=0の場合には、第1材料M12aの濃度を測定することが原理的に不可能である。
5.材料測定方法
5−1.S101
図7は、第1の実施形態の材料測定装置100の制御部140が実行する処理を説明するフローチャートである。まず、材料情報取得部141が混合材料M12の情報を取得する(S101)。これにより、材料情報取得部141は、混合材料M12が含む材料の情報を得る。つまり、材料情報取得部141は、混合材料M12が第1材料M12aと第2材料M12bとを含有しているという情報を得る。
5−2.S102
次に、発光部110が第1材料M12aと第2材料M12bとを含有する混合材料M12に第1材料M12aが吸収する波長を含む光を照射し、受光部120が混合材料M12からの光を受光する。そして、受光光情報取得部142が受光部120により受光された光の情報を取得する(S102)。この光の情報には、波長ごとの光強度の情報が含まれている。
5−3.S103
次に、光強度取得部143は光強度を取得する。具体的には、光強度取得部143は、材料情報取得部141により取得された材料の情報から、混合材料M12が第1材料M12aと第2材料M12bとを含有するという情報を得る。そして、光強度取得部143は第1波長λ1と第2波長λ2とを選択する。その際に、材料情報記憶部147に記憶されている情報を参照してもよい。そして、光強度取得部143は、受光部120により受光された光のうちの第1波長λ1の光強度I(λ1)と第2波長λ2の光強度I(λ2)とを取得する(S103)。
5−4.S104
次に、吸光度差算出部144は、吸光度差ΔAを算出する(S104)。吸光度差算出部144は、光強度取得部143により取得された第1波長λ1の光強度I(λ1)と第2波長λ2の光強度I(λ2)とから第1波長λ1の吸光度A1と第2波長λ2の吸光度A2との差である吸光度差ΔAを算出する。
5−5.S105
次に、含有量算出部145は、第1材料M12aの含有量を算出する(S105)。含有量算出部145は、混合材料M12における第1材料M12aの含有量と吸光度差ΔAとの間の関係を示す検量線と、吸光度差ΔAと、から第1材料の含有量を算出する。
6.第1の実施形態の効果
材料測定装置100は、粉体等の粒子状の第2材料M12bの周りに第1材料M12aが存在する場合に、第1材料M12aの存在量を測定することができる。材料測定装置100は、混合材料M12における第1材料M12aの存在量を非接触で測定することができる。
7.変形例
7−1.測定対象物
図8は、第1の実施形態の変形例における測定対象物M20の構造を模式的に示す図である。図8に示すように、測定対象物M20は、基材M21と、混合材料M22と、を有する。基材M21は、混合材料M22を支持するためのものである。混合材料M22は、第1材料M22aと第2材料M22bとを有する。第1材料M22aは透光性粒子である。第2材料M22bは非透光性粒子である。このように、第1材料M22aが固体粒子であっても、第1材料M22aの含有量を測定することができる。
7−2.材料測定装置
図9は、第1の実施形態の変形例における材料測定装置200の概略構成図である。材料測定装置200は、発光部210と、受光部220と、制御部140と、を有する。発光部210は、例えば、ハロゲンランプである。受光部220は、例えば、ハイパースペクトルカメラである。ハイパースペクトルカメラは、光を波長ごとに分光して撮影することができる。材料測定装置200は、材料測定装置100と同様に第1材料M12aの含有量を測定することができる。測定対象物M10として種々の材料を測定するためには、発光部110は幅広い波長の光を照射可能であり、受光部120は幅広い波長の光を受光可能であるとよい。また、受光部120は幅広い波長の光を分解可能であるとよい。
7−3.検量線記憶部
検量線記憶部146は、多数の材料に対する検量線を記憶していることが好ましい。より多くの材料を測定することができるからである。検量線記憶部146は、混合材料M12における第1材料M12aおよび第2材料M12bの複数の組み合わせに対する検量線を記憶しているとよい。
材料測定装置100が利用する検量線は、第1材料M12aのみに対する検量線ではなく、第1材料M12aおよび第2材料M12bを有する混合材料M12に対する検量線であるためである。
7−4.含有率
材料測定装置100は、第1材料M12aの含有率を測定することができる。そのためには、含有量算出部145は、材料情報取得部141または材料情報記憶部147から材料の情報を取得すればよい。含有量算出部145は、混合材料M12の材料の質量比等から第1材料M12aの含有率を算出することができる。検量線記憶部146は、目的変数を第1材料M12aの含有率とし、説明変数を吸光度差ΔAとする回帰分析により決定された検量線を記憶しているとよい。検量線記憶部146は、目的変数を第1材料M12aの含有量または含有率とし、説明変数を吸光度差ΔAとする回帰分析により決定された検量線を記憶している。含有量算出部145は、吸光度差算出部144により算出された吸光度差ΔAと検量線記憶部146により記憶された検量線とから第1材料の含有量または含有率を算出することができる。
7−5.検量線
検量線は、回帰分析以外のその他の方法により導出してもよい。検量線を導出するために、機械学習済みのモデルを用いてもよい。
7−6.基材
材料測定装置100は、基材が存在しない混合材料M12を測定することができる。このため、基材M11は必ずしも必要ではない。
7−7.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてよい。
(第2の実施形態)
第2の実施形態について説明する。
1.材料測定装置
図10は、第2の実施形態の材料測定装置300の概略構成図である。材料測定装置300は、発光部110と、受光部120と、膜厚測定部330と、ロールR1、R2と、制御部340と、を有する。材料測定装置300は、測定対象物M30を測定する。測定対象物M30は、基材M31と混合材料M12とを有する。
膜厚測定部330は、ロールR1、R2により搬送される測定対象物M30の混合材料M12の膜厚を非接触で測定することができる。膜厚測定部330は、例えば、レーザー変位計である。ロールR1、R2は、フリーロールであってもよいし、モーター等から回転駆動を受けてもよい。
2.制御系
図11は、第2の実施形態の材料測定装置300の制御系を示すブロック図である。制御部340は、材料情報取得部141と、受光光情報取得部142と、光強度取得部143と、吸光度差算出部144と、含有量算出部345と、検量線記憶部346と、材料情報記憶部147と、膜厚取得部348と、を有する。
含有量算出部345は、吸光度差算出部144により算出された吸光度差ΔAと、膜厚測定部330により測定された混合材料M12の膜厚と、検量線記憶部346により記憶された検量線と、から第1材料M12aの含有量または含有率を算出する。この算出に先立って、含有量算出部345は、膜厚取得部348から混合材料M12の膜厚を取得する。
検量線記憶部346は、目的変数を第1材料M12aの含有量または含有率とし、説明変数を吸光度差ΔAおよび混合材料M12の膜厚とする回帰分析により決定された検量線を記憶している。
膜厚取得部348は、膜厚測定部330により測定された膜厚を取得する。
3.材料測定方法
図12は、第2の実施形態の材料測定装置300の制御部340が実行する処理を説明するフローチャートである。図12に示すように、各ステップはS201、S102、S103、S104、S205の順に実行される。第1の実施形態と異なる点について説明する。
S201
S201では、材料情報取得部141が混合材料M12の情報を取得するとともに、膜厚取得部348が膜厚測定部330により測定された混合材料M12の膜厚を取得する(S201)。
S205
S205では、含有量算出部345は、吸光度差算出部144により算出された吸光度差ΔAと、膜厚測定部330により測定された混合材料M12の膜厚と、検量線記憶部346により記憶された検量線と、から第1材料M12aの含有量または含有率を算出する(S205)。
4.第2の実施形態の効果
第2の実施形態の材料測定装置300は、吸光度差算出部144により算出された吸光度差ΔAと、膜厚測定部330により測定された混合材料M12の膜厚と、検量線記憶部346により記憶された検量線と、を用いて第1材料M12aの含有量または含有率を測定する。検量線は、目的変数を第1材料M12aの含有量または含有率とし、説明変数を吸光度差ΔAおよび混合材料M12の膜厚とする回帰分析により決定されている。このため、第2の実施形態の材料測定装置300の測定精度は、第1の実施形態の材料測定装置100の測定精度よりも高い。
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、電極製造装置が電極の残留溶媒を測定する。つまり、第3の実施形態では、測定対象物は、電極の残留溶媒である。
1.電極
1−1.電極の構造
電極は、正極板と負極板とがセパレータを介して交互に配置されている。
図13は、第3の実施形態の正極板PEおよび負極板NEの積層構造を示す図である。正極板PEは、リチウムイオン二次電池の正極板である。正極板PEは、集電体P1と、塗工層P2と、を有する。集電体P1は、第1面P1aと第2面P1bとを有する。第2面P1bは第1面P1aの反対側の面である。塗工層P2は、集電体P1の第1面P1aおよび第2面P1bの上に形成されている。
集電体P1は、金属箔である。集電体P1は、例えば、アルミニウム箔である。塗工層P2は、正極活物質と、導電助剤と、結着剤と、を含有する。正極活物質は、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、三元系材料である。導電助剤は、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラックである。結着剤は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)である。
負極板NEは、リチウムイオン二次電池の負極板である。負極板NEは、集電体N1と、塗工層N2と、を有する。集電体N1は、第1面N1aと第2面N1bとを有する。第2面N1bは第1面N1aの反対側の面である。塗工層N2は、集電体N1の第1面N1aおよび第2面N1bの上に形成されている。
集電体N1は、金属箔である。集電体N1は、例えば、銅箔である。塗工層N2は、負極活物質と、結着剤と、を含有する。負極活物質は、例えば、黒鉛などの炭素材料である。結着剤は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)である。
塗工層P2の膜厚は、例えば、30μm以上200μm以下である。車載用のリチウムイオン二次電池における塗工層P2の膜厚は、例えば、35μm以上75μm以下である。負極板NEの塗工層N2の膜厚は正極板PEの塗工層P2の膜厚と同程度である。もちろん、負極板NEの塗工層N2の膜厚は正極板PEの塗工層P2の膜厚と異なっていてもよい。
1−2.残留溶媒
正極板PEは、集電体P1に正極活物質等を溶媒に分散させたスラリーを塗工し、乾燥させることにより製造される。負極板NEは、集電体N1に負極活物質等を溶媒に分散させたスラリーを塗工し、乾燥させることにより製造される。しかしながら、乾燥条件および乾燥時の環境によっては正極板PEの塗工層P2および負極板NEの塗工層N2に微量の溶媒が残留するおそれがある。
リチウムイオン二次電池では、正極板PEおよび負極板NEは電解液等に浸漬される。このため、このような残留溶媒は存在しないほうが好ましい。実際には、前述のように正極板PEの塗工層P2および負極板NEの塗工層N2には、微量の溶媒が残留する。
リチウムイオン二次電池の品質管理のために、正極板PEの塗工層P2および負極板NEの塗工層N2における残留溶媒を測定することが好ましい。活物質等を含む塗工液の溶媒は、例えば、水、NMPである。これらの溶媒は、第1材料M12aに該当する。正極活物質および負極活物質は、第2材料M12bに該当する。塗工層P2および塗工層N2は、溶媒(第1材料)と粒子(第2材料)とを含有する混合材料である。溶媒は、活物資等の非透光性粒子の周囲に存在する。
2.電極製造装置
図14は、第3の実施形態の電極製造装置1000の概略構成図である。電極製造装置1000は、集電体P1に塗工層P2を塗工して乾燥させる塗工乾燥装置である。電極製造装置1000は、塗工部1100と、乾燥炉1200と、材料測定装置300と、を有する。材料測定装置300は、第2の実施形態と同様の構成である。
塗工部1100は、集電体P1の第1面P1aまたは第2面P1bに塗工層を塗工する。塗工部1100は、塗工用ダイ1110と、バックアップロール1120と、を有する。塗工用ダイ1110は、バックアップロール1120に支持されつつ搬送される集電体P1に塗工液を塗工する。塗工液は、活物質と結着剤とを含む。
乾燥炉1200は、集電体P1の上の塗工層P2を乾燥させる乾燥部である。乾燥炉1200は、送風部1210を有する。送風部1210は、集電体P1の搬送方向に対して垂直である上下方向から交互に集電体P1に熱風を吹き付けることができるようになっている。
発光部110は、塗工層P2に光を照射する。受光部120は、塗工層P2からの光を受光する。そして、制御部340の含有量算出部345は、吸光度差算出部144により算出された吸光度差ΔAと、膜厚測定部330により測定された塗工層P2の膜厚と、検量線記憶部346により記憶された検量線と、から溶媒の含有量または含有率を算出する。
電極製造装置1000は、同様にして負極板NEを製造することができる。
3.電極の製造方法
塗工部1100の塗工用ダイ1110は、バックアップロール1120に支持されつつ搬送される集電体P1の第1面P1aに塗工液を塗工する。乾燥炉1200の送風部1210は、集電体P1の上の塗工層P2を乾燥させる。
次に、膜厚測定部330が、塗工層P2の膜厚を測定する。そして、材料測定装置300の発光部110が集電体P1の第1面P1aの側の塗工層P2に光を照射する。受光部120が塗工層P2からの光を受光する。制御部340が、残留溶媒の存在量を測定する。
第2面P1bにも塗工層P2を形成するとともに、材料測定装置300による測定を実施する。これにより、正極板PEが製造される。また、同様に、負極板NEを製造する。
溶媒の含有量または含有率が予め定めた閾値以上である場合に、その塗工層を有する電極を不良品と判断し、溶媒の含有量または含有率が予め定めた閾値未満である場合に、その塗工層を有する電極を良品と判断する。
そして、良品と判断された正極板PEおよび負極板NEを後工程にまわし、不良品と判断された正極板PEおよび負極板NEを後工程にまわさないようにすればよい。
4.第3の実施形態の効果
第3の実施形態の電極製造装置1000は、正極板PEおよび負極板NEを製造することができるとともに塗工層P2および塗工層N2の内部の残留溶媒の含有量または含有率を測定することができる。電極製造装置1000は、正極板PEおよび負極板NEの残留溶媒を非破壊・非接触で測定することができる。
5.変形例
5−1.残留溶媒の含有量または含有率の最大値
電極製造装置1000は、正極板PEおよび負極板NEの位置とその位置での残留溶媒の含有量または含有率との情報を有する。このため、残留溶媒の存在量の最大値を正極板PEおよび負極板NEの良否判定に用いることができる。この場合には、残留溶媒の含有量または含有率の最大値が予め定めた閾値以上である場合には、その正極板PEまたは負極板NEを不良品であると判断し、残留溶媒の含有量または含有率の最大値が予め定めた閾値未満である場合には、その正極板PEまたは負極板NEを良品であると判断する。
5−2.再度の乾燥
残留溶媒の含有量または含有率の最大値が予め定めた閾値以上である場合に、その正極板PEまたは負極板NEを再度乾燥させてもよい。
5−3.正極板および負極板の部分的な切除
電極製造装置1000は、箔状の正極板PEの位置と残留溶媒の存在量との関係性の情報を取得することができる。そのため、正極板PEおよび負極板NEについて残留溶媒が多い部分を部分的に切除してもよい。
5−4.乾燥炉の再設定
乾燥炉1200の内部の露点または炉内温度、送風部1210が噴き出す熱風の温度等、乾燥炉1200の各種の設定を変更してもよい。つまり、材料測定装置300による測定結果を乾燥炉1200の各種の設定にフィードバックするのである。これにより、例えば、電極製造装置1000により製造される正極板PEおよび負極板NEの品質が、気候等の影響を受けにくくすることができる。
5−5.バックアップロール
塗工部は、バックアップロール1120上の集電体P1に塗工する方式でなくともよい。また、乾燥炉は、集電体P1上の塗工液に熱風を吹き付ける方式でなくてもよい。塗工部および乾燥炉については、第3の実施形態以外のものを用いてもよい。
5−6.片面塗工
正極板および負極板は、両面塗工でなく片面塗工であってもよい。片面塗工の電極に対して、材料測定装置300は、同様に残留溶媒を測定することができる。塗工部は、第1面P1aと第2面P1bとを備える集電体P1の少なくとも一方に塗工層を塗工する。
5−7.膜厚測定部
膜厚測定部330は必ずしも必要ではない。もちろん、塗工層P2の膜厚を考慮することにより、材料測定装置300の測定精度は向上する。
5−8.組み合わせ
上記の変形例を自由に組み合わせてよい。
(実施形態の組み合わせ)
第1の実施形態から第3の実施形態までについて変形例を含めて自由に組み合わせてよい。
(実験)
1.試験片の製作
正極板を製作した。集電体として厚さ5mmのアルミニウム板を用いた。アルミニウム板が十分に厚いため、実験においてたわみや傾き等の影響は極力排除される。スラリーは、正極の塗工層となる材料である。スラリーは、正極活物質と導電助剤と結着剤と溶媒とを含む。正極活物質として、ニッケル−マンガン−コバルト酸リチウム(LiNiMnCoO2 )を用いた。導電助剤としてアセチレンブラックを用いた。結着剤(バインダ)として、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いた。溶媒としてNMPを用いた。正極スラリーの固形分濃度は53.5wt%であった。
まず、PVdFをNMPに投入した溶液を作製した。次に、その溶液にアセチレンブラックを投入して混ぜ合わせた。その後、その混合物を自転・公転ミキサーで撹拌した。その混合物にニッケル−マンガン−コバルト酸リチウムを添加し、撹拌してスラリーを製造した。アルミニウム板にスラリーを塗布した。
2.測定方法
発光部としてハロゲンランプを用い、受光部としてハイパースペクトルカメラを用いた。また、膜厚測定部として変位センサを用いた。試験片を載置するステージは、受光部が試験片からの光を受光可能な位置と、膜厚測定部が試験片の膜厚を測定可能な位置と、の間で移動可能なようにした。試験片は、ハロゲンランプにより光を照射されるとともに、熱を与えられて乾燥される。そのため、試験片はハロゲンランプの近くに一定時間毎に配置されることとなる。
3.乾燥プロファイル
図15は、試験片における膜厚および溶媒量の経時変化を示すグラフである。図15の横軸は時間である。図15の縦軸は膜厚または溶媒量である。図15の破線は試験片の膜厚を示している。図15の点線は溶媒量を示している。図15に示すように、溶媒が揮発することにより試験片の膜厚は薄くなり、所定の膜厚で一定値をとる。この実験では、試験片の膜厚が70μm程度で一定になった。一方、溶媒量は膜厚の減少が停止した後にも減少し続けた。この実験では、溶媒量が約18wt%以下の場合に、試験片の膜厚がほぼ一定となった。
4.吸光度差と溶媒量との間の関係
図16は、試験片における溶媒量と吸光度差との間の関係を示すグラフである。図16の横軸は溶媒量である。図16の縦軸は吸光度差である。図16においては、1713nmの波長と1823nmの波長とを2つの波長として採用し、吸光度差を測定した。また、吸光度差と乾燥後期における溶媒量との間の関係について単回帰分析した。説明変数が吸光度差であり、目的変数が溶媒量である。図16に示すように、非常に精度の高い検量線が得られたと考えられる。なお、図16では、試験片の膜厚は考慮されていない。
5.膜厚を考慮した吸光度差と溶媒量との間の関係
図17は、試験片における膜厚を考慮した溶媒量と吸光度差との間の関係を示すグラフである。図17の横軸は溶媒量である。図17の縦軸は吸光度差である。
図18は、試験片の膜厚と回帰式の傾きとの間の関係を示すグラフである。図18の横軸は試験片の膜厚である。図18の横軸は回帰式の傾きである。ここで、試験片の膜厚は乾燥しきった後の膜厚である。
図19は、試験片の膜厚と吸光度差との間の関係を示すグラフである。図19の横軸は試験片の膜厚である。図19の縦軸は吸光度差である。図19に示すように、膜厚と吸光度差との間には相関関係はみられない。このため、吸光度差に加えて試験片の膜厚を説明変数とすることで、精度の向上が期待される。
図20は、試験片における膜厚を考慮しなかった場合の溶媒量の実測値と溶媒量の予測値との間の関係を示すグラフである。図20の横軸は溶媒量の実測値(wt%)である。図20の縦軸は溶媒量の予測値(wt%)である。標準偏差σは2.113であった。
図21は、試験片における膜厚を考慮した場合の溶媒量の実測値と溶媒量の予測値との間の関係を示すグラフである。図20の横軸は溶媒量の実測値(wt%)である。図20の縦軸は溶媒量の予測値(wt%)である。標準偏差σは1.670であった。
図20および図21に示すように、試験片の膜厚を考慮する場合の精度は全体的に高い。また、溶媒量が少ない領域で、試験片の膜厚を考慮する場合の精度は高い傾向にある。なお、図20および図21においては、溶媒量の実測値および予測値が負の値をとることがある。これは、実験上生じる誤差である。
6.実験のまとめ
このように、吸光度差と検量線とを用いることにより、透光性材料と非透光性粒子とを含む混合材料中の透光性材料の存在率を精度よく測定することができる。また、吸光度差および検量線に混合材料の膜厚を考慮することにより、測定精度は向上する。
(付記)
第1の態様における材料測定装置は、混合材料に光を照射する発光部と、混合材料からの光を受光する受光部と、制御部と、を有する。混合材料は、第1材料と第2材料とを含有する。第1材料は、吸光度のピークを有する透光性材料である。第2材料は、非透光性粒子を有する。第1材料は、第2材料の非透光性粒子の周囲に存在する。発光部は、第1材料が吸収する波長を含む光を照射する。制御部は、受光部により受光された光のうちの第1波長の光強度と第2波長の光強度とを取得する光強度取得部と、光強度取得部により取得された第1波長の光強度と第2波長の光強度とから第1波長の吸光度と第2波長の吸光度との差である吸光度差を算出する吸光度差算出部と、混合材料における第1材料の含有量または含有率と吸光度差との間の関係を示す検量線を記憶する検量線記憶部と、吸光度差算出部により算出された吸光度差と検量線記憶部により記憶された検量線とから第1材料の含有量または含有率を算出する含有量算出部と、を有する。
第2の態様における材料測定装置は、混合材料の膜厚を測定する膜厚測定部を有する。含有量算出部は、吸光度差算出部により算出された吸光度差と、膜厚測定部により測定された混合材料の膜厚と、検量線記憶部により記憶された検量線と、から第1材料の含有量または含有率を算出する。
第3の態様における材料測定装置においては、検量線記憶部は、混合材料における第1材料および第2材料の複数の組み合わせに対する検量線を有する。
第4の態様における電極製造装置は、第1面と第2面とを備える集電体の少なくとも一方に塗工層を塗工する塗工部と、塗工層を乾燥させる乾燥部と、塗工層に光を照射する発光部と、塗工層からの光を受光する受光部と、制御部と、を有する。塗工層は、溶媒と活物質とを含有する。溶媒は、吸光度のピークを有する透光性材料である。活物質は、非透光性粒子である。溶媒は、非透光性粒子の周囲に存在する。発光部は、溶媒が吸収する波長を含む光を照射する。制御部は、受光部により受光された光のうちの第1波長の光強度と第2波長の光強度とを取得する光強度取得部と、光強度取得部により取得された第1波長の光強度と第2波長の光強度とから第1波長の吸光度と第2波長の吸光度との差である吸光度差を算出する吸光度差算出部と、塗工層における溶媒の含有量または含有率と吸光度差との間の関係を示す検量線を記憶する検量線記憶部と、吸光度差算出部により算出された吸光度差と検量線記憶部により記憶された検量線とから溶媒の含有量または含有率を算出する含有量算出部と、を有する。
第5の態様における電極製造装置は、塗工層の膜厚を測定する膜厚測定部を有する。含有量算出部は、吸光度差算出部により算出された吸光度差と、膜厚測定部により測定された塗工層の膜厚と、検量線記憶部により記憶された検量線と、から溶媒の含有量または含有率を算出する。
第6の態様における材料測定方法は、第1材料と第2材料とを含有する混合材料に第1材料が吸収する波長を含む光を照射し、混合材料からの光を受光する。第1材料は吸光度のピークを有する透光性材料である。第2材料は非透光性粒子を有する。第1材料は、第2材料の非透光性粒子の周囲に存在する。受光した光のうちの第1波長の光強度と第2波長の光強度とを取得する。第1波長の光強度と第2波長の光強度とから第1波長の吸光度と第2波長の吸光度との差である吸光度差を算出する。混合材料における第1材料の含有量または含有率と吸光度差との間の関係を示す検量線と、吸光度差と、から第1材料の含有量または含有率を算出する。
第7の態様における材料測定方法は、混合材料の膜厚を測定する。吸光度差と、混合材料の膜厚と、検量線と、から第1材料の含有量または含有率を算出する。
第8の態様における電極の製造方法は、第1面と第2面とを備える集電体の少なくとも一方に溶媒と活物質とを含有する塗工層を塗工し、塗工層を乾燥させる。塗工層に溶媒が吸収する波長を含む光を照射し、塗工層からの光を受光する。溶媒は吸光度のピークを有する透光性材料である。活物質は非透光性粒子である。溶媒は、非透光性粒子の周囲に存在する。受光した光のうちの第1波長の光強度と第2波長の光強度とを取得する。第1波長の光強度と第2波長の光強度とから第1波長の吸光度と第2波長の吸光度との差である吸光度差を算出する。塗工層における溶媒の含有量または含有率と吸光度差との間の関係を示す検量線と、吸光度差と、から溶媒の含有量または含有率を算出する。
第9の態様における電極の製造方法は、塗工層の膜厚を測定する。吸光度差と、塗工層の膜厚と、検量線と、から溶媒の含有量または含有率を算出する。
第10の態様における電極の製造方法は、溶媒の含有量または含有率が予め定めた閾値以上である場合に、その塗工層を有する電極を不良品と判断し、溶媒の含有量または含有率が予め定めた閾値未満である場合に、その塗工層を有する電極を良品と判断する。
100…材料測定装置
110…発光部
120…受光部
140…制御部
M10…測定対象物
M11…基材
M12…混合材料
M12a…第1材料
M12b…第2材料

Claims (10)

  1. 混合材料に光を照射する発光部と、
    前記混合材料からの光を受光する受光部と、
    制御部と、
    を有し、
    前記混合材料は、
    第1材料と第2材料とを含有し、
    前記第1材料は、
    吸光度のピークを有する透光性材料であり、
    前記第2材料は、
    非透光性粒子を有し、
    前記第1材料は、
    前記第2材料の前記非透光性粒子の周囲に存在し、
    前記発光部は、
    前記第1材料が吸収する波長を含む光を照射し、
    前記制御部は、
    前記受光部により受光された光のうちの第1波長の光強度と第2波長の光強度とを取得する光強度取得部と、
    前記光強度取得部により取得された前記第1波長の光強度と前記第2波長の光強度とから前記第1波長の吸光度と前記第2波長の吸光度との差である吸光度差を算出する吸光度差算出部と、
    前記混合材料における前記第1材料の含有量または含有率と前記吸光度差との間の関係を示す検量線を記憶する検量線記憶部と、
    前記吸光度差算出部により算出された前記吸光度差と前記検量線記憶部により記憶された前記検量線とから前記第1材料の含有量または含有率を算出する含有量算出部と、
    を含む材料測定装置。
  2. 請求項1に記載の材料測定装置において、
    前記混合材料の膜厚を測定する膜厚測定部を有し、
    前記含有量算出部は、
    前記吸光度差算出部により算出された前記吸光度差と、前記膜厚測定部により測定された前記混合材料の前記膜厚と、前記検量線記憶部により記憶された前記検量線と、から前記第1材料の含有量または含有率を算出すること
    を含む材料測定装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の材料測定装置において、
    前記検量線記憶部は、
    前記混合材料における前記第1材料および前記第2材料の複数の組み合わせに対する前記検量線を有すること
    を含む材料測定装置。
  4. 第1面と第2面とを備える集電体の少なくとも一方に塗工層を塗工する塗工部と、
    前記塗工層を乾燥させる乾燥部と、
    前記塗工層に光を照射する発光部と、
    前記塗工層からの光を受光する受光部と、
    制御部と、
    を有し、
    前記塗工層は、
    溶媒と活物質とを含有し、
    前記溶媒は、
    吸光度のピークを有する透光性材料であり、
    前記活物質は、
    非透光性粒子であり、
    前記溶媒は、
    前記非透光性粒子の周囲に存在し、
    前記発光部は、
    前記溶媒が吸収する波長を含む光を照射し、
    前記制御部は、
    前記受光部により受光された光のうちの第1波長の光強度と第2波長の光強度とを取得する光強度取得部と、
    前記光強度取得部により取得された前記第1波長の光強度と前記第2波長の光強度とから前記第1波長の吸光度と前記第2波長の吸光度との差である吸光度差を算出する吸光度差算出部と、
    前記塗工層における前記溶媒の含有量または含有率と前記吸光度差との間の関係を示す検量線を記憶する検量線記憶部と、
    前記吸光度差算出部により算出された前記吸光度差と前記検量線記憶部により記憶された前記検量線とから前記溶媒の含有量または含有率を算出する含有量算出部と、
    を含む電極製造装置。
  5. 請求項4に記載の電極製造装置において、
    前記塗工層の膜厚を測定する膜厚測定部を有し、
    前記含有量算出部は、
    前記吸光度差算出部により算出された前記吸光度差と、前記膜厚測定部により測定された前記塗工層の前記膜厚と、前記検量線記憶部により記憶された前記検量線と、から前記溶媒の含有量または含有率を算出すること
    を含む電極製造装置。
  6. 第1材料と第2材料とを含有する混合材料に前記第1材料が吸収する波長を含む光を照射し、
    前記混合材料からの光を受光し、
    前記第1材料は吸光度のピークを有する透光性材料であり、
    前記第2材料は非透光性粒子を有し、
    前記第1材料は、前記第2材料の前記非透光性粒子の周囲に存在し、
    受光した光のうちの第1波長の光強度と第2波長の光強度とを取得し、
    前記第1波長の光強度と前記第2波長の光強度とから前記第1波長の吸光度と前記第2波長の吸光度との差である吸光度差を算出し、
    前記混合材料における前記第1材料の含有量または含有率と前記吸光度差との間の関係を示す検量線と、前記吸光度差と、から前記第1材料の含有量または含有率を算出すること
    を含む材料測定方法。
  7. 請求項6に記載の材料測定方法において、
    前記混合材料の膜厚を測定し、
    前記吸光度差と、前記混合材料の前記膜厚と、前記検量線と、から前記第1材料の含有量または含有率を算出すること
    を含む材料測定方法。
  8. 第1面と第2面とを備える集電体の少なくとも一方に溶媒と活物質とを含有する塗工層を塗工し、
    前記塗工層を乾燥させ、
    前記塗工層に前記溶媒が吸収する波長を含む光を照射し、
    前記塗工層からの光を受光し、
    前記溶媒は吸光度のピークを有する透光性材料であり、
    前記活物質は非透光性粒子であり、
    前記溶媒は、前記非透光性粒子の周囲に存在し、
    受光した光のうちの第1波長の光強度と第2波長の光強度とを取得し、
    前記第1波長の光強度と前記第2波長の光強度とから前記第1波長の吸光度と前記第2波長の吸光度との差である吸光度差を算出し、
    前記塗工層における前記溶媒の含有量または含有率と前記吸光度差との間の関係を示す検量線と、前記吸光度差と、から前記溶媒の含有量または含有率を算出すること
    を含む電極の製造方法。
  9. 請求項8に記載の電極の製造方法において、
    前記塗工層の膜厚を測定し、
    前記吸光度差と、前記塗工層の前記膜厚と、前記検量線と、から前記溶媒の含有量または含有率を算出すること
    を含む電極の製造方法。
  10. 請求項8または請求項9に記載の電極の製造方法において、
    前記溶媒の含有量または含有率が予め定めた閾値以上である場合に、
    その塗工層を有する電極を不良品と判断し、
    前記溶媒の含有量または含有率が予め定めた閾値未満である場合に、
    その塗工層を有する電極を良品と判断すること
    を含む電極の製造方法。
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