JP2021173291A - リニアソレノイドバルブ - Google Patents

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Keita Okada
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Abstract

【課題】フィードバックポートから流入した空気の排出性を向上させる。【解決手段】リニアソレノイドバルブ50は、入力ポート111、出力ポート112、および、出力ポートから出力された作動油の一部が入力されるフィードバックポート113を有するスリーブ110と、第1ランド部122、第2ランド部123、および、第2ランド部の外径とは外径の異なる第3ランド部124を有するスプール120と、入力ポートに対する第1ランド部の位置を変更することによって、出力ポートから出力される作動油の圧力を変更するソレノイド部200とを備える。スリーブ内には、フィードバックポートに連通し、第2ランド部と第3ランド部とによって区画されたフィードバック室Rfが設けられ、スリーブは、フィードバック室とスリーブ外とを連通させ、油圧システムに搭載された状態で天方向Zを向くように設けられた排気孔を有する。【選択図】図1

Description

本開示は、リニアソレノイドバルブに関する。
特許文献1には、複数のオイルポートを有するスリーブ内に収容されたスプールの位置を電磁ソレノイドによって変化させることによって、各オイルポートの連通状態と遮断状態とを切り替えるリニアソレノイドバルブが開示されている。リニアソレノイドバルブは、上述した複数のオイルポートとして、作動油が入力される入力ポートや作動油が出力される出力ポートの他に、作動油の圧力を用いてスプールの位置ずれを抑制するために出力ポートから出力された作動油の一部を導入するフィードバックポートを有する場合がある。
特開2017−106580号公報
上述したフィードバックポートを有するリニアソレノイドバルブでは、入力ポートから入力される作動油に空気が混入し、空気が混入した作動油が出力ポートを経由してフィードバックポートからスリーブ内に流入することがある。フィードバックポートから流入した空気がスリーブ内に滞留すると、スプールの移動に伴って空気が膨張または収縮することによって油圧振動が発生して、スプールの位置ずれを抑制できなくなる可能性がある。
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
本開示の一形態によれば、油圧システムに搭載されるリニアソレノイドバルブ(50)が提供される。このリニアソレノイドバルブは、軸方向(X)を有し、作動油が入力される入力ポート(111)、前記作動油が出力される出力ポート(112)、および、前記出力ポートから出力された前記作動油の一部が入力されるフィードバックポート(113)を有する筒状のスリーブ(110)と、前記スリーブ内に配置され、第1ランド部(122)、第2ランド部(123)、および、前記第2ランド部の外径とは外径の異なる第3ランド部(124)を有するスプール(120)と、前記スプールを前記軸方向に沿って移動させて前記入力ポートに対する前記第1ランド部の位置を変更することによって、前記入力ポートから入力されて前記出力ポートから出力される前記作動油の圧力を変更するソレノイド部(200)と、を備える。前記スリーブ内には、前記フィードバックポートに連通し、前記スプールの前記第2ランド部と前記第3ランド部とによって区画されたフィードバック室(Rf)が設けられ、前記スリーブは、前記フィードバック室と前記スリーブ外とを連通させ、前記油圧システムに搭載された状態で天方向(Z)を向くように設けられた排気孔(119)を有する。
この形態のリニアソレノイドバルブによれば、フィードバックポートからフィードバック室内に流入した空気を排気孔から排出できるので、フィードバック室内に空気が滞留することを抑制できる。そのため、フィードバック室内に滞留した空気の膨張や収縮に起因して油圧振動が発生することを抑制できる。
第1実施形態のリニアソレノイドバルブの概略構成を示す第1の断面図。 第1実施形態のリニアソレノイドバルブのII−II線断面図。 第1実施形態のリニアソレノイドバルブの概略構成を示す第2の断面図。
A.第1実施形態:
図1に示す第1実施形態におけるリニアソレノイドバルブ50は、車両の自動変速機のクラッチを駆動させる油圧システムに搭載されている。油圧システムは、リニアソレノイドバルブ50の他に、作動油を貯留するリザーバタンクと、リザーバタンクに貯留された作動油を圧送する油圧ポンプと、油圧ポンプから供給された作動油が流れる迷路状の油路が設けられたバルブボディと、バルブボディから供給された作動油の圧力を用いてクラッチを駆動させる油圧シリンダとを備えている。リニアソレノイドバルブ50は、バルブボディに接続されており、バルブボディの油路を流れる作動油の圧力を調節することによって、油圧シリンダに供給される作動油の圧力を調節する。尚、バルブボディのことを油路部材と呼ぶことがある。
図1には、車両の油圧システムに搭載された状態のリニアソレノイドバルブ50の断面が表されている。図1には、互いに直交するX,Y,Z方向を示す矢印が表されている。Z方向は、車両の天地方向に平行な方向である。車両が水平面に平行な面上で静止した状態では、車両の天地方向は、鉛直方向に平行になり、車両が水平面に対して傾斜した面上で静止した状態では、車両の天地方向は、鉛直方向に対して傾斜する。X,Y,Z方向を示す矢印は、他の図においても、図示の方向が図1と対応するように適宜、図示してある。以下の説明において、向きを特定する場合には、矢印の指し示す方向である正の方向を「+」、矢印の指し示す方向とは反対の方向である負の方向を「−」として、方向表記に正負の符合を併用する。+Z方向のことを天方向と呼ぶことがあり、−Z方向のことを地方向と呼ぶことがある。
リニアソレノイドバルブ50は、作動油が流れる弁部100と、弁部100を駆動させるソレノイド部200とを備えている。本実施形態では、弁部100は、スリーブ110と、スプール120と、バネ130と、バネ荷重調節部140とを備えている。スリーブ110は、中心軸CLを中心とする円筒形状を有している。スリーブ110は、中心軸CLがX方向に平行になるようにバルブボディに接続されている。スリーブ110の+X方向側の端部には、ソレノイド部200が固定されており、スリーブ110の−X方向側の端部には、バネ荷重調節部140が固定されている。尚、中心軸CLに沿った方向のことを軸方向と呼ぶことがある。
スリーブ110には、入力ポート111と、出力ポート112と、フィードバックポート113と、ドレンポート114とが設けられている。本実施形態では、+X方向側から、ドレンポート114と、出力ポート112と、入力ポート111と、フィードバックポート113とがこの順でスリーブ110に設けられている。入力ポート111と出力ポート112とフィードバックポート113とドレンポート114とは、それぞれ、Y方向に沿ってスリーブ110を貫通しており、上述したバルブボディの油路に連通している。バルブボディの油路には、油圧ポンプに連通する入力油路と、油圧シリンダに連通する出力油路と、出力油路から分岐したフィードバック油路と、油圧シリンダを介さずにリザーバタンクに連通するドレン油路とが含まれている。尚、他の実施形態では、入力ポート111と出力ポート112とフィードバックポート113とドレンポート114とは、+X方向側から、上述した順とは異なる順でスリーブ110に設けられてもよい。
入力ポート111は、バルブボディの入力油路に連通している。入力ポート111には、油圧ポンプによって加圧された作動油が入力油路から入力される。出力ポート112は、バルブボディの出力油路に連通している。出力ポート112からは、後述するように、入力ポート111から入力されて、スリーブ110内で圧力が調節された作動油が出力油路に出力される。出力油路に出力された作動油は、油圧シリンダに供給される。油圧シリンダに供給された作動油は、リザーバタンクに排出される。フィードバックポート113は、バルブボディのフィードバック油路に連通している。フィードバックポート113には、出力ポート112から出力された作動油の一部がフィードバック油路から入力される。フィードバック油路から入力された作動油は、後述するように、スリーブ110とスプール120との間のフィードバック室Rf内に貯留される。ドレンポート114は、バルブボディのドレン油路に連通している。ドレンポート114からは、入力ポート111から入力されて、出力ポート112から出力されなかった作動油がドレン油路に排出される。ドレン油路に排出された作動油は、油圧シリンダを介さずにリザーバタンクに排出される。
入力ポート111と出力ポート112とフィードバックポート113とドレンポート114とのそれぞれの開口形状は、円形である。フィードバックポート113の穴径は、入力ポート111と出力ポート112とドレンポート114とのそれぞれの穴径よりも小さい。フィードバックポート113は、オリフィスとしての機能を有している。尚、フィードバックポート113のことをフィードバックオリフィスと呼ぶことがある。他の実施形態では、入力ポート111と出力ポート112とフィードバックポート113とドレンポート114とのそれぞれの開口形状は、楕円形や多角形等であってもよい。
スリーブ110の内壁面には、溝状の内周リセス部116が複数箇所に設けられている。内周リセス部116は、中心軸CLを中心とした環状に設けられている。スリーブ110の内壁面側では、入力ポート111と出力ポート112とフィードバックポート113とドレンポート114とのそれぞれの開口部は、内周リセス部116に設けられている。尚、他の実施形態では、スリーブ110には、内周リセス部116が設けられていなくてもよい。
スリーブ110の外壁面には、溝状の外周リセス部117が複数箇所に設けられている。外周リセス部117は、中心軸CLを中心とした環状に設けられている。スリーブ110の外壁面側では、入力ポート111と出力ポート112とドレンポート114とのそれぞれの開口部は、外周リセス部117に設けられており、フィードバックポート113の開口部は、外周リセス部117が設けられていない部分に設けられている。尚、他の実施形態では、スリーブ110には、外周リセス部117が設けられていなくてもよい。
スリーブ110は、例えば、アルミニウム合金で形成される。本実施形態では、スリーブ110は、合金番号6061のアルミニウム合金からなる棒材に、切削加工を施すことによって形成されている。尚、スリーブ110は、鍛造加工と切削加工とを組み合わせて形成されてもよいし、ダイカスト法等の鋳造加工によって形成されてもよい。
スプール120は、スリーブ110内に、X方向に沿って移動可能に配置されている。本実施形態では、スプール120は、+X方向側から順に並んで配置された、第1端部ランド部121と、第1中間ランド部122と、第2中間ランド部123と、第3中間ランド部124と、第2端部ランド部125とを有している。スプール120は、第1端部ランド部121と第1中間ランド部122との間を接続する第1接続部126と、第1中間ランド部122と第2中間ランド部123との間を接続する第2接続部127と、第2中間ランド部123と第3中間ランド部124との間を接続する第3接続部128と、第3中間ランド部124と第2端部ランド部125との間を接続する第4接続部129とを有している。各ランド部121〜125、および、各接続部126〜129は、中心軸CLを中心とした円柱形状を有している。尚、第1中間ランド部122のことを第1ランド部と呼ぶことがあり、第2中間ランド部123のことを第2ランド部と呼ぶことがあり、第3中間ランド部124のことを第3ランド部と呼ぶことがある。第2接続部127が設けられずに、第1中間ランド部122と第2中間ランド部123とが連続的に設けられてもよい。第4接続部129が設けられずに、第3中間ランド部124と第2端部ランド部125とが連続的に設けられてもよい。
第1端部ランド部121と第1中間ランド部122と第2中間ランド部123とは、相互に同じ外径D1を有している。第3中間ランド部124と第2端部ランド部125とは、相互に同じ外径D2を有している。第3中間ランド部124の外径D2は、第2中間ランド部123の外径D1よりも小さい。尚、各ランド部121〜125の外径の大小関係についてはこれに限られず、例えば、第3中間ランド部124の外径D2は、第2中間ランド部123の外径D1よりも大きくてもよい。
第1接続部126の外径は、第1端部ランド部121の外径、および、第1中間ランド部122の外径よりも小さい。第2接続部127の外径は、第1中間ランド部122の外径、および、第2中間ランド部123の外径よりも小さい。第3接続部128の外径は、第2中間ランド部123の外径、および、第3中間ランド部124の外径よりも小さい。第4接続部129の外径は、第3中間ランド部124の外径、および、第2端部ランド部125の外径よりも小さい。
スプール120がスリーブ110内をX方向に沿って移動する際、各ランド部121〜125は、スリーブ110の内壁面上を摺動する。摺動とは、2つの物体同士が接触した状態で一方の物体が他方の物体の表面上を滑って移動することだけでなく、近接した2つの物体同士の間に流体が介在した状態で一方の物体が他方の物体の表面上を滑って移動することをも意味する。以下の説明では、スリーブ110の内壁面のうちの内周リセス部116が設けられていない面であり、かつ、スプール120のランド部121〜125が摺動する面のことを摺動面118と呼ぶ。本実施形態では、スリーブ110およびスプール120は、ランド部121〜125と摺動面118との間隔が数十マイクロメートルとなり、ランド部121〜125と内周リセス部116との間隔が数百マイクロメートルから1ミリメートルまでの間となるように設けられている。
バネ130は、スプール120とバネ荷重調節部140との間のスリーブ110内に配置されている。本実施形態では、バネ130は、圧縮コイルバネによって構成されている。バネ130の+X方向側の端部は、スプール120の第2端部ランド部125に接触しており、バネ130の−X方向側の端部は、バネ荷重調節部140に接触している。バネ130は、+X方向に向かってスプール120を付勢する。
バネ荷重調節部140は、上述したとおり、スリーブ110の−X方向側の端部に固定されている。バネ荷重調節部140は、中心軸CLを中心とした略円柱形状を有しており、圧入によってスリーブ110内に固定されている。スリーブ110に対するバネ荷重調節部140のX方向における位置を変更することによって、バネ130が+X方向に向かってスプール120を押す力を調節できる。
第1端部ランド部121と第1中間ランド部122との間のスリーブ110内には、連通室Rcが設けられている。スリーブ110に対するスプール120のX方向における位置に応じて、連通室Rcを介して出力ポート112とドレンポート114とが連通した状態と、連通室Rcを介して入力ポート111と出力ポート112とドレンポートとが連通した状態と、連通室Rcを介して入力ポート111と出力ポート112とが連通した状態とが切り替えられる。連通室Rcが入力ポート111に連通した状態では、入力ポート111から連通室Rcに作動油が流入する。
第2中間ランド部123と第3中間ランド部124との間のスリーブ110内には、フィードバック室Rfが設けられている。フィードバック室Rfは、フィードバックポート113に連通している。フィードバック室Rf内には、フィードバックポート113から流入した作動油が貯留される。フィードバック室Rf内に貯留された作動油の圧力は、出力ポート112から出力される作動油の圧力に応じて変化する。第2中間ランド部123の外径D1は第3中間ランド部124の外径D2よりも大きいので、フィードバック室Rf内の作動油が+X方向に向かって第2中間ランド部123を押す力は、フィードバック室Rf内の作動油が−X方向に向かって第3中間ランド部124を押す力よりも大きい。そのため、スプール120は、フィードバック室Rf内の作動油によって、+X方向に向かって押される。
第2端部ランド部125とバネ荷重調節部140との間のスリーブ110内には、バネ収容室Rsが設けられている。バネ収容室Rs内には、上述したバネ130が収容されている。本実施形態では、スリーブ110には、バネ収容室Rsとスリーブ110外に連通し、作動油が供給されるダンパオリフィス115が設けられている。バネ収容室Rs内には、ダンパオリフィス115を介して流入した作動油が貯留される。スプール120の移動によってバネ収容室Rsの容積が縮小された場合、バネ収容室Rs内に貯留された作動油がダンパオリフィス115を介してバネ収容室Rs外に流出し、スプール120の移動によってバネ収容室Rsの容積が拡大された場合、ダンパオリフィス115を介してバネ収容室Rs内に作動油が供給される。そのため、スプール120の移動による衝撃をダンパ効果によって緩和できる。
ソレノイド部200は、スプール120をX方向に沿って移動させて、入力ポート111に対する第1中間ランド部122の位置、および、ドレンポート114に対する第1端部ランド部121の位置を変更することによって、入力ポート111から入力されて出力ポート112から出力される作動油の圧力を変更する。本実施形態では、ソレノイド部200は、ステータコア210と、プランジャ220と、シャフト230と、ボビン240と、コイル250と、リングコア260と、ヨーク270と、コネクタ部280とを備えている。
ステータコア210は、スリーブ110の+X方向側の端部に固定されている。ステータコア210は、磁性材料であるフェライト系ステンレス鋼で形成されており、円筒形状を有している。ステータコア210は、−X方向側から順に、磁気吸引部211と、磁束通過抑制部212と、案内部213とを有している。磁気吸引部211の−X方向側の端部はフランジ状に形成されており、フランジ状に形成された部分がスリーブ110に固定されている。磁気吸引部211は、X方向においてプランジャ220に対向する面を有している。この面には、非磁性材料で形成されたストッパ215が固定されている。
プランジャ220は、ステータコア210の案内部213内に、X方向に沿って移動可能に配置されている。プランジャ220は、磁性材料であるフェライト系ステンレス鋼で形成されており、円柱形状を有している。プランジャ220には、X方向に沿ってプランジャ220を貫通する呼吸孔225が設けられている。
シャフト230は、ステータコア210の磁気吸引部211内に、X方向に沿って移動可能に配置されている。シャフト230は、円柱形状を有している。シャフト230の+X方向側の端部は、プランジャ220に接触しており、シャフト230の−X方向側の端部は、スプール120の第1端部ランド部121に接触している。
ステータコア210の外周には、ボビン240に巻回されたコイル250と、磁性材料で形成されたリングコア260が配置されている。上述したステータコア210、プランジャ220、シャフト230、ボビン240、コイル250、および、リングコア260は、磁性材料で形成されたヨーク270内に収容されている。ヨーク270の外側には、コネクタ部280が設けられている。コネクタ部280には、コイル250に電気的に接続された端子285が設けられている。端子285には、スイッチング素子等を介して、バッテリ等の電源が電気的に接続される。電源からコイル250への電流の供給は、車両のECU等によって制御される。
図2には、リニアソレノイドバルブ50の断面とともに、バルブボディVBの断面の一部が表されている。図2には、技術の理解を容易にするために、図2における上側が+Z方向側になるように、リニアソレノイドバルブ50の断面とバルブボディVBの断面の一部とが表されている。スリーブ110は、フィードバック室Rfとスリーブ110外とを連通させる排気孔119を有している。排気孔119は、リニアソレノイドバルブ50が油圧システムに搭載された状態において天方向を向くように設けられている。天方向を向くとは、スリーブ110の内壁面から外壁面に向かう排気孔119の延伸方向が天方向に一致していることだけでなく、スリーブ110の内壁面から外壁面に向かう排気孔119の延伸方向が天方向に対して−45度から+45度までの範囲内で傾斜していることをも含む意味である。本実施形態では、排気孔119は、天地方向であるZ方向に沿ってスリーブ110を貫通するように設けられている。スリーブ110の内壁面から外壁面に向かう排気孔119の延伸方向は、天方向である+Z方向に一致している。スリーブ110の内壁面には、第2中間ランド部123の+Z方向側の端部、および、第3中間ランド部124の+Z方向側の端部よりも+Z方向側の領域に排気孔119の開口部が設けられている。より具体的には、スリーブ110の内壁面には、中心軸CLの直上、つまり、フィードバック室Rfのうちの最も+Z方向側の部分に排気孔119の開口部が設けられている。排気孔119の開口形状は円形であり、排気孔119の直径は8ミリメートルである。排気孔119は、ドリルを用いて形成されている。尚、スリーブ110の内壁面から外壁面に向かう排気孔119の延伸方向が+Z方向に一致することが好ましいが、スリーブ110の内壁面から外壁面に向かう排気孔119の延伸方向が+Z方向に対して−45度から+45度までの範囲内で傾斜してもよい。排気孔119の開口形状は、楕円形や多角形等であってもよい。排気孔119は、スリーブ110の内壁面から外壁面に向かって穴径が大きくなる漏斗状に設けられてもよい。
排気孔119とフィードバックポート113とは、相互に異なる向きに沿って設けられている。本実施形態では、排気孔119は、上述したとおり、Z方向に沿ってスリーブ110を貫通するように設けられており、フィードバックポート113は、Y方向に沿ってスリーブ110を貫通するように設けられている。フィードバックポート113とフィードバック油路Cfのリニアソレノイドバルブ50側の端部とは、一直線上に設けられている。
図1および図3を用いて、リニアソレノイドバルブ50の動作について説明する。図1には、コイル250への電流の供給がオフにされた状態のリニアソレノイドバルブ50が表されている。図3には、コイル250への電流の供給がオンにされた状態のリニアソレノイドバルブ50が表されている。以下の説明では、コイル250への電流の供給がオフにされた状態のことを初期状態と呼ぶ。本実施形態のリニアソレノイドバルブ50は、コイル250への電流の供給がオフにされた初期状態で出力ポート112からの作動油の出力がオフにされ、コイル250への電流の供給がオンにされた状態で出力ポート112からの作動油の出力がオンにされるノーマルクローズタイプとして構成されている。尚、他の実施形態のリニアソレノイドバルブ50は、コイル250への電流の供給がオフにされた初期状態で出力ポート112からの作動油の出力がオンにされ、コイル250への電流の供給がオンにされた状態で出力ポート112からの作動油の出力がオフにされるノーマルオープンタイプとして構成されてもよい。
図1に示すように、初期状態では、入力ポート111と出力ポート112との間のスリーブ110の摺動面118は、スリーブ110の半径方向においてスプール120の第1中間ランド部122に対向する領域を有している。この領域と第1中間ランド部122との間の作動油の流路のことを第1絞り部T1と呼ぶ。第1絞り部T1の流路断面積は、連通室Rcの流路断面積よりも小さい。一方、初期状態では、出力ポート112とドレンポート114との間のスリーブ110の摺動面118は、スリーブ110の半径方向においてスプール120の第1端部ランド部121に対向する領域を有していない。
コイル250に電流が供給されると、ステータコア210の磁気吸引部211とプランジャ220との間には、コイル250に供給される電流の大きさに応じた磁気吸引力が働くので、プランジャ220は、シャフト230およびスプール120とともに−X方向に向かって移動する。−X方向へのスプール120の移動量が大きくなるほど、バネ130の縮み量が大きくなるため、バネ130が+X方向に向かってスプール120を押す力が大きくなる。また、−X方向へのスプール120の移動量が大きくなるほど、スプール120の第1中間ランド部122とスリーブ110の摺動面118とが対向する領域のX方向における長さL1、換言すれば、第1絞り部T1のX方向における長さL1が減少するため、出力ポート112から出力される作動油の圧力は上昇する。フィードバック室Rf内の作動油の圧力は、出力ポート112から出力される作動油の圧力に応じて上昇するため、−X方向へのスプール120の移動量が大きくなるほど、フィードバック室Rf内の作動油が+X方向に向かってスプール120を押す力が大きくなる。例えば、スプール120の位置が狙った位置よりも−X方向にずれて、出力ポート112から出力される作動油の圧力の大きさが狙った大きさよりも大きくなった場合、フィードバック室Rf内の作動油がスプール120を+X方向に押し戻す。そのため、フィードバック室Rfが設けられることによって、スプール120の位置ずれを抑制できる。
図3に示すように、プランジャ220は、ストッパ215に接触するまで−X方向に向かって移動できる。図3に示す状態では、出力ポート112とドレンポート114との間のスリーブ110の摺動面118は、スリーブ110の半径方向においてスプール120の第1端部ランド部121に対向する領域を有している。この領域と第1端部ランド部121の間の作動油の流路のことを第2絞り部T2と呼ぶ。第2絞り部T2の流路断面積は、連通室Rcの流路断面積よりも小さい。一方、この状態では、入力ポート111と出力ポート112との間のスリーブ110の摺動面118は、スリーブ110の半径方向においてスプール120の第1中間ランド部122に対向する領域を有していない。つまり、この状態では、スリーブ110とスプール120との間には第1絞り部T1は形成されてない。
コイル250に供給される電流の大きさに応じて、スプール120は、図1に示す位置と図3に示す位置との間で移動する。スプール120は、シャフト230が−X方向に向かってスプール120を押す力と、バネ130が+X方向に向かってスプール120を押す力と、作動油が+X方向に向かってスプール120を押す力とが釣り合う位置まで移動する。コイル250に供給される電流が大きくなるほど、第1絞り部T1の長さL1が短くなり、第2絞り部T2の長さL2が長くなる。第1絞り部T1の長さL1が短くなるほど出力ポート112から出力される作動油の圧力は高くなり、第2絞り部T2の長さL2が長くなるほど出力ポート112から出力される作動油の圧力は高くなる。コイル250への電流の供給を停止すると、バネ130によってスプール120が+X方向に向かって押し戻されて、リニアソレノイドバルブ50は初期状態に戻る。
図2に示すように、フィードバックポート113からフィードバック室Rf内に空気が流入することがある。例えば、入力ポート111から入力される作動油に空気が混入して、出力ポート112、バルブボディVBの出力油路、フィードバック油路Cf、フィードバックポート113、フィードバック室Rfの順に空気が流れることがある。作動油は非圧縮性流体であり、空気は圧縮性流体であるため、フィードバック室Rf内に空気が滞留した場合、フィードバック室Rf内において、作動油の圧力が振動する油圧振動が発生しやすくなる。フィードバック室Rf内の作動油の圧力の上昇によって、フィードバック室Rf内に滞留した空気は収縮する。フィードバック室Rf内に滞留した空気の収縮によって、フィードバック室Rf内の作動油の圧力は低下する。フィードバック室Rf内の作動油の圧力の低下によって、フィードバック室Rf内に滞留した空気は膨張する。フィードバック室Rf内に滞留した空気の膨張によって、フィードバック室Rf内の作動油の圧力は再び上昇する。フィードバック室Rf内において油圧振動が発生すると、X方向におけるスプール120の位置が不安定になる。そのため、出力ポート112から出力されて油圧シリンダに供給される作動油の圧力が変動して、自動変速機のシフトショックが大きくなる可能性がある。本実施形態では、図2に矢印で表されたように、フィードバックポート113からフィードバック室Rf内に流入した空気は、フィードバック室Rf内を鉛直方向とは反対の方向に向かって移動し、排気孔119から効率良く排出される。排気孔119から排出された空気は、スリーブ110の外壁面とバルブボディVBとの隙間をX方向に沿って流れて、油圧システム外に放出される。そのため、フィードバック室Rf内に空気が滞留することが抑制される。
以上で説明した本実施形態のリニアソレノイドバルブ50によれば、油圧システムに搭載された状態で+Z方向を向くように排気孔119が設けられることによって、フィードバック室Rf内に空気が滞留することが抑制される。そのため、フィードバック室Rf内において油圧振動が発生して、X方向におけるスプール120の位置が不安定になることを抑制できる。特に、本実施形態では、フィードバックポート113とフィードバック油路Cfのリニアソレノイドバルブ50側の端部とが一直線上に設けられているため、出力ポート112から出力される作動油の圧力に対するフィードバック室Rf内の作動油の圧力の応答性を確保できる。さらに、本実施形態では、フィードバック油路Cfからフィードバックポート113に作動油を導くための外周リセス部をスリーブ110に設けなくてもよく、かつ、単純なドリル加工によって排気孔119を形成できるため、切削加工によって形成されるスリーブ110の加工を容易化できるとともに歩留まりを向上させることができるのでリニアソレノイドバルブ50の製造コストを低減できる。
B.他の実施形態:
(B−1)上述した第1実施形態のリニアソレノイドバルブ50では、フィードバックポート113とフィードバック油路Cfのリニアソレノイドバルブ50側の端部とが一直線上に設けられている。これに対して、フィードバックポート113とフィードバック油路Cfのリニアソレノイドバルブ50側の端部とが一直線上に設けられていなくてもよい。例えば、フィードバック油路Cfのリニアソレノイドバルブ50側の端部は、Y方向に沿って設けられ、フィードバックポート113は、Y方向に対して傾斜した方向に沿って設けられてもよい。この場合、スリーブ110の外壁面に、フィードバック油路Cfのリニアソレノイドバルブ50側の端部とフィードバックポート113とを連通させる外周リセス部117が設けられてもよい。
(B−2)上述した第1実施形態のリニアソレノイドバルブ50では、フィードバックポート113はY方向に沿って設けられており、排気孔119はZ方向に沿って設けられている。つまり、フィードバックポート113と排気孔119とは異なる向きに沿って設けられている。これに対して、フィードバックポート113は、排気孔119と同じZ方向に沿って設けられ、かつ、X方向において排気孔119とは異なる位置に設けられてもよい。
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
50…リニアソレノイドバルブ、100…弁部、110…スリーブ、111…入力ポート、112…出力ポート、113…フィードバックポート、114…ドレンポート、115…ダンパオリフィス、116…内周リセス部、117…外周リセス部、118…摺動面、119…排気孔、120…スプール、121…第1端部ランド部、122…第1中間ランド部、123…第2中間ランド部、124…第3中間ランド部、125…第2端部ランド部、126…第1接続部、127…第2接続部、128…第3接続部、129…第4接続部、130…バネ、140…バネ荷重調節部、200…ソレノイド部、210…ステータコア、215…ストッパ、220…プランジャ、230…シャフト、240…ボビン、250…コイル、260…リングコア、270…ヨーク、280…コネクタ部、Rc…連通室、Rf…フィードバック室、Rs…バネ収容室、T1…第1絞り部、T2…第2絞り部

Claims (2)

  1. 油圧システムに搭載されるリニアソレノイドバルブ(50)であって、
    軸方向(X)を有し、作動油が入力される入力ポート(111)、前記作動油が出力される出力ポート(112)、および、前記出力ポートから出力された前記作動油の一部が入力されるフィードバックポート(113)を有する筒状のスリーブ(110)と、
    前記スリーブ内に配置され、第1ランド部(122)、第2ランド部(123)、および、前記第2ランド部の外径とは外径の異なる第3ランド部(124)を有するスプール(120)と、
    前記スプールを前記軸方向に沿って移動させて前記入力ポートに対する前記第1ランド部の位置を変更することによって、前記入力ポートから入力されて前記出力ポートから出力される前記作動油の圧力を変更するソレノイド部(200)と、
    を備え、
    前記スリーブ内には、前記フィードバックポートに連通し、前記スプールの前記第2ランド部と前記第3ランド部とによって区画されたフィードバック室(Rf)が設けられ、
    前記スリーブは、前記フィードバック室と前記スリーブ外とを連通させ、前記油圧システムに搭載された状態で天方向(Z)を向くように設けられた排気孔(119)を有する、
    リニアソレノイドバルブ。
  2. 請求項1に記載のリニアソレノイドバルブであって、
    前記リニアソレノイドバルブは、前記出力ポートから出力された前記作動油の一部が流れる油路(Cf)が設けられた油路部材(VB)に接続され、
    前記フィードバックポートと前記油路の前記リニアソレノイドバルブ側の端部とが一直線上に設けられる、リニアソレノイドバルブ。
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