以下、図面を参照して、本発明の実施の形態による蒸気タービン弁駆動装置、蒸気タービン弁装置および蒸気タービンプラントについて説明する。
(第1の実施の形態)
図1〜図3を用いて、本実施の形態における蒸気タービン弁駆動装置、蒸気タービン弁装置および蒸気タービンプラントについて説明する。ここではまず、図1を用いて、本実施の形態における蒸気タービン弁駆動装置および蒸気タービン弁装置が適用可能な蒸気タービンプラントの一例について説明する。
図1に示すように、蒸気タービンプラント1は、蒸気を発生させるボイラー2と、ボイラー2で発生した蒸気で回転駆動力を得る蒸気タービン3と、蒸気タービン3から排出された蒸気を凝縮する復水器4と、を備えている。
ボイラー2は、復水器4から供給された復水を加熱して蒸気を発生させる蒸気発生器5と、後述する高圧タービン7で膨張仕事を終えた主蒸気S1を再加熱する再熱器6と、を有している。ボイラー2は、供給される燃料を、空気を混合させて燃焼させて燃焼ガスを生成し、生成された燃焼ガスの熱で、蒸気発生器5において復水から蒸気を発生させるとともに、再熱器6において蒸気を再加熱している。
蒸気タービン3は、高圧タービン7と、中圧タービン8と、低圧タービン9と、を有している。高圧タービン7のタービンロータ、中圧タービン8のタービンロータおよび低圧タービン9のタービンロータ(いずれも図示せず)は、互いに連結されている。
蒸気発生器5において発生した蒸気は、主蒸気S1として、主蒸気ライン10を介して高圧タービン7に供給される。主蒸気ライン10は、主蒸気止め弁20と、主蒸気止め弁20の下流側に設けられた蒸気加減弁21と、を有している。このうち、主蒸気止め弁20は、主に蒸気タービン3の非常時に主蒸気S1の流れを止めるための弁であるが、主蒸気S1の流量を調整する場合もある。蒸気加減弁21は、主に高圧タービン7に供給される主蒸気S1の流量を調整するための弁である。高圧タービン7は、蒸気発生器5から供給される主蒸気S1を用いて回転駆動される。すなわち、高圧タービン7に供給された主蒸気S1は膨張仕事を行い、高圧タービン7は回転駆動力を得る。膨張仕事を終えた主蒸気S1は、逆止弁11を有する低温再熱ライン12を通って再熱器6に供給される。
再熱器6において再加熱された蒸気は、再熱蒸気S2として、再熱蒸気ライン13を介して中圧タービン8に供給される。再熱蒸気ライン13は、再熱蒸気止め弁22と、再熱蒸気止め弁22の下流側に設けられたインターセプト弁23(再熱蒸気加減弁)と、を有している。このうち、再熱蒸気止め弁22は、主に蒸気タービン3の非常時に再熱蒸気S2の流れを止めるための弁であるが、再熱蒸気S2の流量を調整する場合もある。インターセプト弁23は、主に中圧タービン8に供給される再熱蒸気S2の流量を調整するための弁である。中圧タービン8に供給された再熱蒸気S2は膨張仕事を行い、中圧タービン8は回転駆動力を得る。膨張仕事を終えた再熱蒸気S2は、低圧タービン9に供給されて更に膨張仕事を行い、その後、タービン排気として復水器4に供給される。
復水器4に供給されたタービン排気は、凝縮されて復水となる。復水器4とボイラー2の蒸気発生器5は、給水ライン14によって連結されており、この給水ライン14が、給水ポンプ15を有している。このことにより、復水器4内の復水は、給水ポンプ15によって加圧されてボイラー2の蒸気発生器5に供給される。
蒸気タービンプラント1は、蒸気タービン3の回転駆動力で発電を行う発電機16を更に備えている。上述したように、高圧タービン7、中圧タービン8および低圧タービン9の回転駆動力を得ることにより、発電機16が駆動されて、発電が行われる。
上述した主蒸気ライン10のうち主蒸気止め弁20の上流側の部分から、高圧タービンバイパスライン17が分岐している。この高圧タービンバイパスライン17は、高圧タービンバイパス弁24を有し、低温再熱ライン12に合流している。このようにして、主蒸気S1が、高圧タービン7に供給されることなく低温再熱ライン12に供給可能になっている。例えば、タービン起動時等に主蒸気S1の圧力や温度が所定の値に達していない場合、または負荷遮断時等に主蒸気S1の流量が過剰になった場合に、高圧タービンバイパス弁24を開いて、余剰の主蒸気S1を低温再熱ライン12に供給するという運用が行われる。
再熱蒸気ライン13のうち再熱蒸気止め弁22の上流側の部分から、低圧タービンバイパスライン18が分岐している。この低圧タービンバイパスライン18は、低圧タービンバイパス弁25を有し、復水器4に連結されている。このようにして、再熱蒸気S2が、中圧タービン8および低圧タービン9に供給されることなく復水器4に供給可能になっている。例えば、高圧タービンバイパス弁24と同様に、タービン起動時等に再熱蒸気S2の圧力や温度が所定の値に達していない場合、または負荷遮断時等に再熱蒸気S2の流量が過剰になった場合に、低圧タービンバイパス弁25が開いて、余剰の再熱蒸気S2を復水器4に供給するという運用が行われる。
このような高圧タービンバイパスライン17および低圧タービンバイパスライン18が設けられていることにより、蒸気タービン3に蒸気を供給させることなく、ボイラー単独の循環運転が可能になっている。
このように、蒸気タービンプラント1においては、ボイラー2で発生した蒸気の種々の機器に向う流れが形成されている。このような蒸気タービンプラント1における蒸気の流れは、蒸気タービン弁装置30によって制御される。蒸気タービン弁装置30は、図2に示すように、弁体34を有する蒸気タービン弁31と、高圧の作動油を用いて蒸気タービン弁31の弁体34を開閉駆動する蒸気タービン弁駆動装置40と、を備えている。
次に、図2および図3を用いて、本実施の形態による蒸気タービン弁31について説明する。本実施の形態による蒸気タービン弁31の例としては、上述した蒸気タービンプラント1における主蒸気止め弁20、蒸気加減弁21、再熱蒸気止め弁22、インターセプト弁23、高圧タービンバイパス弁24および低圧タービンバイパス弁25などが挙げられる。
図2および図3に示すように、本実施の形態による蒸気タービン弁31は、弁ケーシング32と、弁ケーシング32内に設けられた弁座33と、弁座33に対して接離可能に設けられた弁体34と、を備えている。弁体34には、弁棒35が一体的に接続されている。弁棒35は、カップリング36を介して蒸気タービン弁駆動装置40に連結されている。蒸気タービン弁駆動装置40によって弁体34が弁座33に対して進退可能に移動するようになっている。蒸気タービン弁31の閉状態では、弁体34が弁座33に当接する(図2参照)蒸気タービン弁31の開状態では、弁体34が弁座33から離間し(図3参照)。
弁ケーシング32の上部に、スタンド37が取り付けられている。このスタンド37の上方には、蒸気タービン弁駆動装置40が配置されている。蒸気タービン弁駆動装置40は、スタンド37に取り付けられている。弁棒35は、スタンド37を貫通している。スタンド37には、弁棒リークオフライン38が設けられており、弁棒35とスタンド37との間の隙間に連通している。弁棒リークオフライン38は、図示しない弁棒リークオフ系統に接続されている。このことにより、弁ケーシング32の内部から当該隙間を通って漏洩するリーク蒸気を回収し、リーク蒸気が外部に放出されることを抑制している。
次に、図2および図3を用いて、本実施の形態における蒸気タービン弁駆動装置40について説明する。
ここに示す蒸気タービン弁駆動装置40は、高圧の作動油を用いて蒸気タービン弁31の弁体34を開閉駆動するための油圧駆動装置(油圧アクチュエータ)である。本実施の形態による蒸気タービン弁駆動装置40は、弁棒35を大気側に引き抜くようにして弁体34を弁座33から後退させて蒸気タービン弁31を開くように構成されている。なお、以下では、便宜上、蒸気タービン弁31の上方に蒸気タービン弁駆動装置40が配置され、その上下関係に基づいて蒸気タービン弁駆動装置40の構成について説明する。しかしながら、蒸気タービン弁31と蒸気タービン弁駆動装置40との配置関係は、これに限られることはなく、任意である。例えば、蒸気タービン弁駆動装置40は、蒸気タービン弁31の下方に配置される場合もある。
図2および図3に示すように、本実施の形態による蒸気タービン弁駆動装置40は、ピストン42を有するピストンロッド41と、ピストン42が収容されるシリンダ43と、流体ポンプ44と、を備えている。
ピストンロッド41は、弁棒35を介して弁体34に連結される。ピストンロッド41は、中心軸線に沿って、上下方向に延びている。ピストンロッド41は、シリンダ43を貫通して延びており、シリンダ43から下方に延び出るとともに上方に延び出ている。
ピストンロッド41と弁棒35は、上述したカップリング36を介して連結されている。ピストンロッド41には、ばね受け45が取り付けられている。ばね受け45は、カップリング36よりも上方に配置されている。ばね受け45よりも上方に、閉鎖ばね46が配置されており、ばね受け45は、閉鎖ばね46の荷重を受けている。閉鎖ばね46の荷重は、弁体34を下方に押圧して蒸気タービン弁31を閉じるようにピストンロッド41に作用する。閉鎖ばね46は、ばね箱47に収容されており、ばね箱47の上部には、上述したシリンダ43が取り付けられている。
ピストンロッド41には、開度検出器48が接続されている。開度検出器48は、蒸気タービン弁31の開度を検出する。検出された開度は、検出信号として後述する制御装置65へ送信される。図2および図3においては、ピストンロッド41の上端に開度検出器48が接続されている例が示されているが、開度検出器48が接続される位置は、これに限られることはない。また、開度検出の信頼性や精度を高めるために、複数の開度検出器48を並列若しくは直列に配置してもよい。
シリンダ43は、シリンダ本体49と、弁体34の側に位置する下側シリンダ室50a(第1のシリンダ室の一例)と、弁体34とは反対側に位置する上側シリンダ室50b(第2のシリンダ室の一例)と、を有している。下側シリンダ室50aおよび上側シリンダ室50bは、ピストン42によって区画されている。下側シリンダ室50aおよび上側シリンダ室50bは、シリンダ本体49内に形成されたシリンダ室を、ピストン42によって区画された部分である。下側シリンダ室50aは、ピストン42よりも下方に位置し、上側シリンダ室50bは、ピストン42よりも上方に位置している。シリンダ本体49は、下側シリンダ室50aに連通した第1下側ポート51aaおよび第2下側ポート51abと、上側シリンダ室50bに連通した第1上側ポート51baおよび第2上側ポート51bbと、を含んでいる。第1下側ポート51aaおよび第2下側ポート51abは、下側シリンダ室50aからシリンダ本体49の外表面に側方に延びている。第1上側ポート51baおよび第2上側ポート51bbは、上側シリンダ室50bからシリンダ本体49の外表面に側方に延びている。
シリンダ43は、下側シリンダ室50aから下方に延びる下側貫通孔52a(第1の貫通孔の一例)と、上側シリンダ室50bから上方に延びる上側貫通孔52b(第2の貫通孔の一例)と、を更に有している。
下側貫通孔52aは、シリンダ本体49のうち下側シリンダ室50aよりも下方の部分に設けられている。ピストンロッド41のうちピストン42よりも下方の部分が、下側貫通孔52aを摺動可能に貫通している。
下側貫通孔52aに、下側パッキン53aが設けられている。下側パッキン53aは、下側貫通孔52a内におけるピストンロッド41の周囲の隙間(言い換えると、下側貫通孔52a内におけるピストンロッド41とシリンダ本体49との隙間)から作動油が外部に漏洩することを抑制するための部材である。この下側パッキン53aによって、下側シリンダ室50aからばね箱47内に作動油が漏洩することを抑制している。下側パッキン53aは、後述する下側排油溝62aよりも下方に配置されている。また、下側パッキン53aは、下側貫通孔52aから外周側に突出するように形成された溝に収容されていてもよい。下側パッキン53aは、例えば、ゴム材料等で作製されていてもよい。なお、下側排油溝62aよりも上方に、ピストンロッド41の周囲の隙間から作動油が漏洩することを抑制するためのパッキン(図示せず)が配置されていてもよい。この場合、下側排油溝62aの上下方向両側にパッキンが配置されるため、作動油の漏洩をより一層抑制することができる。
上側貫通孔52bは、シリンダ本体49のうち上側シリンダ室50bよりも上方の部分に設けられている。ピストンロッド41のうちピストン42よりも上方の部分が、上側貫通孔52bを摺動可能に貫通している。
上側貫通孔52bに、上側パッキン53bが設けられている。上側パッキン53bは、上側貫通孔52b内におけるピストンロッド41の周囲の隙間(言い換えると、上側貫通孔52b内におけるピストンロッド41とシリンダ本体49との隙間)から作動油が外部に漏洩することを抑制するための部材である。この上側パッキン53bによって、上側シリンダ室50bから外部に作動油が漏洩することを抑制している。上側パッキン53bは、後述する上側排油溝62bよりも上方に配置されている。また、上側パッキン53bは、上側貫通孔52bから外周側に突出するように形成された溝に収容されていてもよい。上側パッキン53bは、例えば、ゴム材料等で作製されていてもよい。なお、上側排油溝62bよりも下方に、ピストンロッド41の周囲の隙間から作動油が漏洩することを抑制するためのパッキン(図示せず)が配置されていてもよい。この場合、上側排油溝62bの上下方向両側にパッキンが配置されるため、作動油の漏洩をより一層抑制することができる。
流体ポンプ44は、下側シリンダ室50aに接続された下側ポンプポート54a(第1のポンプポートの一例)と、上側シリンダ室50bに接続された上側ポンプポート54b(第2のポンプポートの一例)と、を有している。下側ポンプポート54aは、下側駆動油路55a(第1の駆動油路の一例)を介して下側シリンダ室50aに接続されている。より具体的には、下側駆動油路55aの一端は流体ポンプ44の下側ポンプポート54aに連通し、他端はシリンダ43の第1下側ポート51aaに連通している。上側ポンプポート54bは、上側駆動油路55b(第2の駆動油路の一例)を介して上側シリンダ室50bに接続されている。より具体的には、上側駆動油路55bの一端は流体ポンプ44の上側ポンプポート54bに連通し、他端はシリンダ43の第1上側ポート51baに連通している。このような下側駆動油路55aおよび上側駆動油路55bは、下側シリンダ室50aと上側シリンダ室50bとを接続する閉油圧回路を構成している。
流体ポンプ44は、下側ポンプポート54aと上側ポンプポート54bとの間の作動油の流れを双方向に切り替え可能に構成されている。より具体的には、流体ポンプ44は、後述するモータ56の回転方向を切り替えることにより、作動油の流れ方向を切り替えることができる可逆回転式容積型流体ポンプである。例えば、流体ポンプ44は、上側ポンプポート54bから下側ポンプポート54aへの作動油の流れを形成し、下側ポンプポート54aから作動油を吐出することができる。この場合、下側ポンプポート54aが正圧となり、上側ポンプポート54bが負圧となる。また、例えば、流体ポンプ44は、下側ポンプポート54aから上側ポンプポート54bへの作動油の流れを形成し、上側ポンプポート54bから作動油を吐出することができる。この場合、上側ポンプポート54bが正圧となり、下側ポンプポート54aが負圧となる。このようにして、流体ポンプ44は、下側シリンダ室50aおよび上側シリンダ室50bのうちの一方に作動油を供給するとともに他方から作動油を回収する。また、流体ポンプ44は、後述するモータ56の回転速度を調整することにより、吐出量を調整して、弁体34の速度を調整することができる。流体ポンプ44には、例えばギアポンプまたはアキシャルピストンポンプを用いてもよい。このような流体ポンプ44は、双方向ポンプと称する場合もある。
ここで、作動油は、例えば、加熱による劣化が少なく、毒性が低く、耐酸化性が高く、そして耐圧性に優れる難燃性作動油であってもよい。例えば、作動油には、脂肪酸エステル油を用いてもよい。
流体ポンプ44にはモータ56が連結されており、流体ポンプ44は、モータ56によって駆動される。モータ56の駆動軸と流体ポンプ44の駆動軸は、図示しないカップリングで連結されている。モータ56の駆動軸の回転方向を切り替えることにより、流体ポンプ44の吐出方向を切り替えることができる。これにより、蒸気タービン弁31を開いたり閉じたりすることができる。また、モータ56の駆動軸の回転速度を調整することにより、流体ポンプ44の吐出量を調整することができる。これにより、蒸気タービン弁31の弁体34の位置を調整することができる。モータ56は、インバータモータまたはサーボモータであってもよい。また、モータ56は、サージ圧も吸収できるため、リリーフ弁(安全弁)を省略することができる。
なお、蒸気タービン弁駆動装置40は、図示しないが、予備用の流体ポンプと予備用のモータとを更に備えていてもよい。すなわち、蒸気タービン弁駆動装置40は、流体ポンプ44とモータ56とで構成された駆動機構セットを複数備えていてもよい。このような駆動機構セットは、並列に配置されていてもよい。この場合、運転している駆動機構セットでメンテナンスを行う場合に、他の駆動機構セットに切り替えて運転を継続することができる。
下側駆動油路55aと上側駆動油路55bは、バイパス油路57によって接続されている。バイパス油路57の一端は、下側駆動油路55aのうち下側ポンプポート54aと第1下側ポート51aaとの間の途中位置に連通している。バイパス油路57の他端は、上側駆動油路55bのうち上側ポンプポート54bと第1上側ポート51baとの間の途中位置に連通している。このバイパス油路57によって、下側駆動油路55aから上側駆動油路55bに作動油が流れたり、上側駆動油路55bから下側駆動油路55aに作動油が流れたりすることが可能になっている。バイパス油路57は、オリフィス58を有しており、バイパス油路57を流れる作動油の流量が制限されている。このことにより、下側シリンダ室50aまたは上側シリンダ室50bに充満した作動油の圧力が低下することを抑制している。
下側シリンダ室50aと上側シリンダ室50bとは、非常用油路59によって接続されている。非常用油路59の一端はシリンダ43の第2下側ポート51abに連通し、他端はシリンダ43の第2上側ポート51bbに連通している。この非常用油路59によって、下側シリンダ室50aから上側シリンダ室50bに作動油が流れたり、上側シリンダ室50bから下側シリンダ室50aに作動油が流れたりすることが可能になっている。非常用油路59に、急速作動電磁弁60(非常用弁の一例)が設けられている。急速作動電磁弁60は、非常時に、蒸気タービン弁31を閉じる方向に作動油を急速に移動させるための弁である。急速作動電磁弁60は、非常用油路59を開閉可能になっており、非常用油路59内の作動油の流れを制御する。例えば、急速作動電磁弁60は、常時、励磁されていて閉じていてもよい。一方、急速作動電磁弁60は、非常時に無励磁になって開くようにしてもよい。
図2および図3に示すように、シリンダ43の下側貫通孔52aと流体ポンプ44の上側ポンプポート54bとが、下側排油路61a(第1の排油路の一例)によって接続されていてもよい。
下側排油路61aの一端は、下側排油ポート63aを介して下側排油溝62a(第1の排油溝の一例)に連通している。このため、下側排油路61aは、下側排油溝62aおよび下側排油ポート63aを介して下側貫通孔52aに連通している。下側排油溝62aは、下側貫通孔52aに設けられている。下側排油溝62aは、下側貫通孔52aから外周側に突出するように形成されている。下側排油溝62aは、下側貫通孔52aの全周にわたってリング状に形成されている。下側排油ポート63aは、下側排油溝62aからシリンダ本体49の外表面に延びている。
下側排油路61aの他端は、上側駆動油路55bの途中位置に連通しており、上側駆動油路55bを介して上側ポンプポート54bに連通している。下側排油路61aと上側駆動油路55bとの連通位置は、上側ポンプポート54bの近くに位置している。なお、図示しないが、下側排油路61aは、上側駆動油路55bを介することなく、上側ポンプポート54bに連通していてもよい。
このようにして、下側排油路61aは、下側シリンダ室50aから下側貫通孔52aに漏洩した作動油を上側ポンプポート54bに回収させるように構成されている。
下側排油路61aに、下側排油弁64a(第1の排油弁の一例)が設けられている。下側排油弁64aは、下側貫通孔52aから流体ポンプ44の上側ポンプポート54bに向かう作動油の流れを許可可能であるとともに上側ポンプポート54bから下側貫通孔52aに向かう作動油の流れを遮断可能に構成されている。例えば、下側排油弁64aは、下側貫通孔52aから流体ポンプ44の上側ポンプポート54bに向かう作動油の流れを許可するとともに上側ポンプポート54bから下側貫通孔52aに向かう作動油の流れを遮断する逆止弁であってもよい。
図2および図3に示すように、シリンダ43の上側貫通孔52bと流体ポンプ44の下側ポンプポート54aとが、上側排油路61b(第2の排油路の一例)によって接続されていてもよい。
上側排油路61bの一端は、上側排油ポート63bを介して上側排油溝62b(第2の排油溝の一例)に連通している。このため、上側排油路61bは、上側排油溝62bおよび上側排油ポート63bを介して上側貫通孔52bに連通している。上側排油溝62bは、上側貫通孔52bに設けられている。上側排油溝62bは、上側貫通孔52bから外周側に突出するように形成されている。上側排油溝62bは、上側貫通孔52bの全周にわたってリング状に形成されている。上側排油ポート63bは、上側排油溝62bからシリンダ本体49の外表面に延びている。
上側排油路61bの他端は、下側駆動油路55aの途中位置に連通しており、下側駆動油路55aを介して下側ポンプポート54aに連通していてもよい。上側排油路61bと下側駆動油路55aとの連通位置は、下側ポンプポート54aの近くに位置している。なお、図示しないが、上側排油路61bは、下側駆動油路55aを介することなく、下側ポンプポート54aに連通していてもよい。
このようにして、上側排油路61bは、上側シリンダ室50bから上側貫通孔52bに漏洩した作動油を下側ポンプポート54aに回収させるように構成されている。
上側排油路61bに、上側排油弁64b(第2の排油弁の一例)が設けられている。上側排油弁64bは、上側貫通孔52bから流体ポンプ44の下側ポンプポート54aに向かう作動油の流れを許可可能であるとともに下側ポンプポート54aから上側貫通孔52bに向かう作動油の流れを遮断可能に構成されている。例えば、上側排油弁64bは、上側排油弁64b(第2の排油弁の一例)が設けられている。上側排油弁64bは、上側貫通孔52bから流体ポンプ44の下側ポンプポート54aに向かう作動油の流れを許可するとともに下側ポンプポート54aから上側貫通孔52bに向かう作動油の流れを遮断する逆止弁であってもよい。
上述した流体ポンプ44、モータ56、急速作動電磁弁60、下側排油弁64a、上側排油弁64bおよびその他の機器類は、図示しないマニホールドブロックに取り付けられている。マニホールドブロックは、シリンダ43の側面に取り付けられている。上述した下側駆動油路55a、上側駆動油路55b、バイパス油路57、非常用油路59およびその他の油路は、このマニホールドブロック内に形成されている。
上述したモータ56および急速作動電磁弁60は、制御装置65によって制御されている。制御装置65には、蒸気タービンプラント1内の各種の検出信号が送信され、これらの検出信号に基づいて、蒸気タービン弁31の弁体34の位置を制御する制御信号をモータ56に送信するように構成されている。例えば、制御装置65は、上述した開度検出器48により検出された蒸気タービン弁31の開度に基づいてモータ56を制御してもよい。この場合、検出された蒸気タービン弁31の開度から弁体34の位置を求め、この位置と、目標とする位置との偏差が無くなるように制御信号をモータ56に送信する。
また、制御装置65は、常時、急速作動電磁弁60を閉じるとともに、非常時には急速作動電磁弁60を開くように急速作動電磁弁60を制御してもよい。急速作動電磁弁60を開くことにより、下側シリンダ室50a内の作動油を上側シリンダ室50bに急速に移動させることができる。なお、蒸気タービンプラント1内に、同一の開度制御を行う複数の蒸気タービン弁31が存在する場合には、これらの蒸気タービン弁31を駆動する蒸気タービン弁駆動装置40の各々を、1つの制御装置65で共有化して制御するようにしてもよい。
次に、このような構成からなる本実施の形態による蒸気タービン弁31の駆動方法について説明する。
蒸気タービン弁31を開く場合、制御装置65からモータ56に制御信号が送信される。制御信号を受信したモータ56の駆動軸が、蒸気タービン弁31を開く方向に回転し、流体ポンプ44の駆動軸を同じ方向に回転させる。このことにより、図3に示すように、上側ポンプポート54bから下側ポンプポート54aへの作動油の流れが形成され、下側ポンプポート54aから作動油が吐出される。吐出された作動油は、下側駆動油路55aを通って下側シリンダ室50aに供給される。このため、下側シリンダ室50a内に作動油が充満し、下側シリンダ室50a内の作動油の圧力が増大する。上側シリンダ室50b内の作動油は、上側ポンプポート54bに回収され、上側シリンダ室50b内の作動油の圧力が低減する。このため、下側シリンダ室50a内の作動油の圧力と上側シリンダ室50b内の作動油の圧力とに差圧が生じ、ピストン42に上向きの力が作用する。ここで、ピストンロッド41は、閉鎖ばね46の荷重によって下向きの力を受けている。また、弁体34は、蒸気タービン弁31内を流れる蒸気の圧力を受けて、下向きの力を受けている。ピストン42に作用する上向きの力が、ピストンロッド41に作用する下向きの力よりも大きくなるように、下側シリンダ室50a内の作動油の圧力が流体ポンプ44によって調整されている。このため、下側シリンダ室50a内に作動油が充満すると、ピストンロッド41が上方に移動し、弁体34が弁座33から離間する。このようにして、蒸気タービン弁31が開く。
蒸気タービン弁31が開いている間、上述したように流体ポンプ44の下側ポンプポート54aから作動油が吐出され、吐出された作動油は、下側駆動油路55aを通って下側シリンダ室50aに供給される。下側駆動油路55a内の作動油の一部は、バイパス油路57を通って上側駆動油路55bに流入する。そして、上側ポンプポート54bに吸引されて再び下側ポンプポート54aから吐出される。このようにして、下側駆動油路55a、バイパス油路57および上側駆動油路55bを流れる循環流れが形成される。このことにより、流体ポンプ44の回転方向の変動および回転速度の変動を抑制することができ、流体ポンプ44の吐出量を安定させることができる。このため、下側シリンダ室50a内の作動油の圧力を安定させることができる。
蒸気タービン弁31を閉じる場合、制御装置65からモータ56に制御信号が送信される。制御信号を受信したモータ56の駆動軸が、蒸気タービン弁31を閉じる方向に回転し、流体ポンプ44の駆動軸を同じ方向に回転させる。このことにより、図2に示すように、下側ポンプポート54aから上側ポンプポート54bへの作動油の流れが形成され、上側ポンプポート54bから作動油が吐出される。吐出された作動油は、上側駆動油路55bを通って上側シリンダ室50bに供給される。このため、上側シリンダ室50b内に作動油が充満し、上側シリンダ室50b内の作動油の圧力が増大する。下側シリンダ室50a内の作動油は、下側ポンプポート54aに回収され、下側シリンダ室50a内の作動油の圧力が低減する。このため、上側シリンダ室50b内の作動油の圧力と下側シリンダ室50a内の作動油の圧力とに差圧が生じ、ピストン42に下向きの力が作用する。また、ピストンロッド41は、閉鎖ばね46の荷重による下向きの力と、蒸気タービン弁31内を流れる蒸気の圧力から受ける下向きの力も受けている。このため、ピストンロッド41が下方に移動し、弁体34が弁座33に当接する。このようにして、蒸気タービン弁31が閉じる。
蒸気タービン弁31が閉じている間、上述したように流体ポンプ44の上側ポンプポート54bから作動油が吐出され、吐出された作動油は、上側駆動油路55bを通って上側シリンダ室50bに供給される。上側駆動油路55b内の作動油の一部は、バイパス油路57を通って下側駆動油路55aに流入する。そして、下側ポンプポート54aに吸引されて再び上側ポンプポート54bから吐出される。このようにして、上側駆動油路55b、バイパス油路57および下側駆動油路55aを流れる循環流れが形成される。このことにより、流体ポンプ44の回転方向の変動および回転速度の変動を抑制することができ、流体ポンプ44の吐出量を安定させることができる。このため、上側シリンダ室50b内の作動油の圧力を安定させることができる。
なお、シリンダ43の外表面の面積は一般に大きいため、シリンダ43の外表面からの放熱量は大きい。通常運転時には、蒸気タービン弁31の開閉動作は頻繁には行われないため、モータ56の消費動力だけでは作動油の温度を適正運転温度に維持することは困難になる場合がある。これに対して、本実施の形態では、下側駆動油路55aと上側駆動油路55bとがバイパス油路57で接続されているため、蒸気タービン弁31の開閉状態にはよらずに作動油の循環流れを形成することができる。作動油の循環流れが形成されている間、流体ポンプ44が駆動され続ける。このため、流体ポンプ44が駆動に伴って発する熱によって、作動油の温度を適正運転温度にすることができる。
上述したように、本実施の形態による蒸気タービン弁駆動装置40においては、下側駆動油路55aおよび上側駆動油路55bは、閉油圧回路を構成している。このため、制御装置65によって流体ポンプ44が制御されることにより、作動油は、下側シリンダ室50aおよび上側シリンダ室50bの一方に供給されて他方から回収される。すなわち、下側シリンダ室50aと上側シリンダ室50bとの間で作動油が移動する。この作動油の移動によってピストン42が移動し、蒸気タービン弁31の駆動範囲内で弁体34が移動する。このピストン42の移動に伴って、下側シリンダ室50aの容積と上側シリンダ室50bの容積とが共に変化する。しかしながら、下側シリンダ室50aの容積と上側シリンダ室50bの容積との合計値は、一定である。このため、閉油圧回路内の作動油の量を一定に維持することができ、蒸気タービン弁31の開閉動作に伴う作動油の補充を不要にすることができる。従って、図2および図3に示す例では、閉油圧回路には、補充用の作動油を貯留するための油タンクは接続されていない。
非常時(例えば、蒸気タービンプラントに何らかの異常が発生した場合など)には、制御装置65から急速作動電磁弁60に制御信号が送信される。制御信号を受信した急速作動電磁弁60は、無励磁になって開く。このことにより、下側シリンダ室50a内の作動油が、非常用油路59を通って上側シリンダ室50b内に移動し、ピストン42に作用していた上向きの力が消失される。このため、ピストンロッド41は、閉鎖ばね46の荷重によって、下方に急速に移動する。このようにして、弁体34が弁座33に当接して、流体ポンプ44の吐出方向を切り替える場合よりも蒸気タービン弁31を急速に閉じることができる。非常時には、制御装置65からモータ56に制御信号が送信されて、流体ポンプ44を、蒸気タービン弁31を閉じる方向に回転させてもよい。なお、弁体34が弁座33に当接する際に、弁体34の移動速度を緩慢にしてもよい。例えば、弁体34が弁座33に当接する直前に、急速作動電磁弁60を励磁状態に切り替えてもよい。このことにより、作動油の移動にブレーキを掛けることができ、弁体34の移動速度を低下させることができる。急速作動電磁弁60は、励磁状態に切り替えた後に無励磁状態に切り替えてもよい。このようにして、弁体34が弁座33に当接する際の衝撃を緩和することができる。この結果、蒸気タービン弁駆動装置40の破損を防止でき、蒸気タービン弁31の急速閉鎖を安全に行うことができる。
非常状態が解消されると、リセット動作が行われる。より具体的には、制御装置65から急速作動電磁弁60に制御信号が送信される。制御信号を受信した急速作動電磁弁60は、励磁されて閉じる。このことにより、下側シリンダ室50aから上側シリンダ室50bへの作動油の流れが遮断される。また、制御装置65からモータ56に制御信号が送信されて、流体ポンプ44を、蒸気タービン弁31を開く方向に回転させる。このことにより、下側シリンダ室50aに作動油が充満されて、蒸気タービン弁31が開く。
ところで、機器の劣化などにより、下側シリンダ室50aや上側シリンダ室50bに充満された作動油の一部は、漏洩する場合がある。
例えば、蒸気タービン弁31が開いている間、下側シリンダ室50aに充満された作動油の一部が、下側貫通孔52aに漏洩する場合がある。漏洩した作動油は、下側貫通孔52aに設けられた下側排油溝62aに流入する。ここで、下側貫通孔52aのうち下側排油溝62aの下方に下側パッキン53aが配置されている。また、流体ポンプ44の上側ポンプポート54bから下側ポンプポート54aへの作動油の流れが形成されており、上側ポンプポート54bは負圧になっている。このため、下側排油溝62a内の作動油は、下側排油路61aおよび上側駆動油路55bを通って上側ポンプポート54bに吸引される。この際、下側排油路61aに設けられた下側排油弁64aは、下側貫通孔52aから上側ポンプポート54bに向かう作動油の流れを許可するため、下側排油路61a内の作動油は、下側排油弁64aを通過できる。上側ポンプポート54bに吸引された作動油は、再び下側ポンプポート54aから吐出される。
なお、上側排油路61bに設けられた上側排油弁64bは、上側貫通孔52bに向かう作動油の流れを遮断している。このため、下側駆動油路55aから上側貫通孔52bに向かう作動油の流れが形成されることを抑制でき、上側シリンダ室50bに作動油が供給されることを抑制できる。
蒸気タービン弁31が閉じている間、上側シリンダ室50bに充満された作動油の一部が、上側貫通孔52bに漏洩する場合がある。漏洩した作動油は、上側貫通孔52bに設けられた上側排油溝62bに流入する。ここで、上側貫通孔52bのうち上側排油溝62bの上方に上側パッキン53bが配置されている。また、流体ポンプ44の下側ポンプポート54aから上側ポンプポート54bへの作動油の流れが形成されており、下側ポンプポート54aは負圧になっている。このため、上側排油溝62b内の作動油は、上側排油路61bおよび下側駆動油路55aを通って下側ポンプポート54aに吸引される。この際、上側排油路61bに設けられた上側排油弁64bは、上側貫通孔52bから下側ポンプポート54aに向かう作動油の流れを許可するため、上側排油路61b内の作動油は、上側排油弁64bを通過できる。下側ポンプポート54aに吸引された作動油は、再び上側ポンプポート54bから吐出される。
なお、下側排油路61aに設けられた下側排油弁64aは、下側貫通孔52aに向かう作動油の流れを遮断している。このため、上側駆動油路55bから下側排油路61aに向かう作動油の流れが形成されることを抑制でき、下側シリンダ室50aに作動油が供給されることを抑制できる。
このように本実施の形態によれば、シリンダ43の下側シリンダ室50aから延びる下側貫通孔52aと、流体ポンプ44の上側ポンプポート54bとが、下側排油路61aで接続されている。このことにより、流体ポンプ44が、下側ポンプポート54aから作動油を吐出している場合に、下側シリンダ室50aから下側貫通孔52aに漏洩した作動油を、上側ポンプポート54bに吸引して回収することができる。このため、下側貫通孔52aに漏洩した作動油が、下側貫通孔52aから外部に漏洩することを抑制できる。この結果、シリンダ43から作動油が漏洩することを抑制でき、信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、下側排油路61aは、上側駆動油路55bの途中位置に接続されている。このことにより、流体ポンプ44の上側ポンプポート54bが1つしか存在しない場合であっても、下側排油路61a内の作動油を上側ポンプポート54bに吸引させて回収することができる。このため、下側貫通孔52aに漏洩した作動油が、下側貫通孔52aから外部に漏洩することを抑制できる。
また、本実施の形態によれば、同様にして、上側排油路61bが、下側駆動油路55aの途中位置に接続されている。このため、上側貫通孔52bに漏洩した作動油が、上側貫通孔52bから外部に漏洩することを抑制できる。
また、本実施の形態によれば、下側貫通孔52aに下側排油溝62aが設けられて、下側排油路61aは、下側排油溝62aを介して下側貫通孔52aに接続されている。このことにより、下側シリンダ室50aから下側貫通孔52aに漏洩した作動油を、下側排油溝62aで捕捉することができ、下側貫通孔52a内の作動油が、下側排油溝62aよりも下方に流れることを抑制できる。このため、下側貫通孔52aに漏洩した作動油が、下側貫通孔52aから外部に漏洩することをより一層抑制できる。
また、本実施の形態によれば、同様にして、上側貫通孔52bに上側排油溝62bが設けられて、上側排油路61bは、上側排油溝62bを介して上側貫通孔52bに接続されている。このため、上側貫通孔52bに漏洩した作動油が、上側貫通孔52bから外部に漏洩することをより一層抑制できる。
また、本実施の形態によれば、下側排油路61aに、下側貫通孔52aに向かう作動油の流れを遮断する下側排油弁64aが設けられている。このことにより、上側シリンダ室50bに作動油を充満している間、上側駆動油路55bから下側排油路61aに向かう作動油の流れが形成されることを抑制できる。このため、上側シリンダ室50bに作動油を充満している間に下側シリンダ室50aに作動油が供給されることを抑制でき、蒸気タービン弁駆動装置40の信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、同様にして、上側排油路61bに、上側貫通孔52bに向かう作動油の流れを遮断する上側排油弁64bが設けられている。このため、下側シリンダ室50aに作動油を充満している間に上側シリンダ室50bに作動油が供給されることを抑制でき、蒸気タービン弁駆動装置40の信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、下側排油路61aに設けられた下側排油弁64aが、逆止弁になっている。このため、上側ポンプポート54bから下側貫通孔52aに向かう作動油の流れを遮断するとともに、下側貫通孔52aから上側ポンプポート54bに向かう作動油の流れを許可する弁を容易に構成することができる。また、常時、上側ポンプポート54bから下側貫通孔52aに向かう作動油の流れを遮断するとともに、下側貫通孔52aから上側ポンプポート54bに向かう作動油の流れを許可することができる。このため、下側排油弁64aを、制御装置65などで制御することを不要にできる。
また、本実施の形態によれば、同様にして、上側排油路61bに設けられた上側排油弁64bが、逆止弁になっている。このため、上側排油弁64bを、制御装置65などで制御することを不要にできる。
また、本実施の形態によれば、シリンダ43の上側シリンダ室50bから延びる上側貫通孔52bと、流体ポンプ44の下側ポンプポート54aとが、上側排油路61bで接続されている。このことにより、流体ポンプ44が、上側ポンプポート54bから作動油を吐出している場合に、上側シリンダ室50bから上側貫通孔52bに漏洩した作動油を、下側ポンプポート54aに吸引して回収することができる。このため、上側貫通孔52bに漏洩した作動油が、上側貫通孔52bから外部に漏洩することを抑制できる。この結果、シリンダ43から作動油が漏洩することを抑制でき、信頼性を向上させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、下側排油路61aに設けられた下側排油弁64aが、逆止弁である例について説明した。しかしながら、このことに限られることはない。例えば、図示しないが、下側排油弁64aは、電磁弁で構成されていてもよい。この場合、制御装置65によって、下側排油弁64aは制御されてもよい。例えば、流体ポンプ44の吐出方向に基づいて、下側排油弁64aを制御してもよい。同様に、上側排油路61bに設けられた上側排油弁64bも、電磁弁で構成されていてもよい。流体ポンプ44が下側ポンプポート54aから作動油を吐出している間、下側排油弁64aを開くとともに上側排油弁64bを閉じるようにしてもよい。また、流体ポンプ44が上側ポンプポート54bから作動油を吐出している間、下側排油弁64aを閉じるとともに上側排油弁64bを開くようにしてもよい。
(第2の実施の形態)
次に、図4を用いて、第2の実施の形態による蒸気タービン弁駆動装置、蒸気タービン弁装置および蒸気タービンプラントについて説明する。
図4に示す第2の実施の形態においては、下側排油路に下側開閉弁が設けられている点が主に異なり、他の構成は、図1〜図3に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図4において、図1〜図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図4に示すように、本実施の形態による蒸気タービン弁駆動装置40は、下側排油路61aに設けられた下側開閉弁70a(第1の開閉弁の一例)を更に備えている。下側開閉弁70aは、下側排油路61aを開閉可能になっており、下側排油路61a内の作動油の流れを制御する。例えば、下側開閉弁70aは、電磁弁であってもよい。この場合、制御装置65によって下側開閉弁70aを制御することにより、下側開閉弁70aを遠隔で操作することができる。
下側開閉弁70aは、下側排油弁64aよりも下側貫通孔52aの側に位置していてもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、下側開閉弁70aは、下側排油弁64aよりも上側ポンプポート54bの側に位置していてもよい。
下側開閉弁70aは、常時、無励磁にして閉じるようにしてもよい。そして、作動油の漏洩が確認された場合に、励磁されて開くようにしてもよい。
また、図4に示すように、本実施の形態による蒸気タービン弁駆動装置40は、上側排油路61bに設けられた上側開閉弁70b(第2の開閉弁の一例)を更に備えている。上側開閉弁70bは、上側排油路61bを開閉可能になっており、上側排油路61b内の作動油の流れを制御する。例えば、上側開閉弁70bは、電磁弁であってもよい。この場合、制御装置65によって上側開閉弁70bを制御することにより、上側開閉弁70bを遠隔で操作することができる。
上側開閉弁70bは、上側排油弁64bよりも上側貫通孔52bの側に位置していてもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、上側開閉弁70bは、上側排油弁64bよりも下側ポンプポート54aの側に位置していてもよい。
上側開閉弁70bは、常時、無励磁にして閉じるようにしてもよい。そして、作動油の漏洩が確認された場合に、励磁されて開くようにしてもよい。
このような構成からなる本実施の形態による蒸気タービン弁駆動装置40において、下側開閉弁70aが閉じている間、機器の劣化などにより、下側シリンダ室50aに充満していた作動油の一部は下側貫通孔52aに漏洩する。漏洩した作動油は、下側貫通孔52aに設けられた下側排油溝62aを通って、下側排油路61aに流入する。下側開閉弁70aが閉じているため、流入した作動油は下側排油路61a内に貯留される。漏洩した作動油が下側排油路61aに貯留されると、やがて下側貫通孔52a内にも作動油が貯留される。そして、作動油が、下側パッキン53aから外部(ここでは、ばね箱47内)に漏洩する場合がある。
例えば、蒸気タービン弁31を開いている間、目視点検などにより、下側貫通孔52aから作動油が漏洩していることが確認された場合、下側開閉弁70aを開いてもよい。この場合、図示しないスイッチを押下することにより、制御装置65から下側開閉弁70aに制御信号が送信される。制御信号を受信した下側開閉弁70aが、励磁されて開いてもよい。このことにより、下側排油路61a内に貯留されていた作動油は、負圧になっている上側ポンプポート54bに吸引されて、回収される。このため、下側排油路61a内の作動油が除去されるとともに、下側貫通孔52a内の作動油が除去される。下側パッキン53aから外部への作動油の漏洩が解消された場合には、下側開閉弁70aを閉じるようにしてもよい。
同様に、上側開閉弁70bが閉じている間、機器の劣化などにより、上側シリンダ室50bに充満していた作動油の一部は上側貫通孔52bに漏洩する。漏洩した作動油は、上側貫通孔52bに設けられた上側排油溝62bを通って、上側排油路61bに流入する。上側開閉弁70bが閉じているため、流入した作動油は上側排油路61b内に貯留される。漏洩した作動油が上側排油路61bに貯留されると、やがて上側貫通孔52b内にも作動油が貯留される。そして、作動油が、上側パッキン53bから外部(ここでは、シリンダ43の上面)に漏洩する場合がある。
例えば、蒸気タービン弁31を閉じている間、目視点検などにより、上側貫通孔52bから作動油が漏洩していることが確認された場合、上側開閉弁70bを開いてもよい。この場合、図示しないスイッチを押下することにより、制御装置65から上側開閉弁70bに制御信号が送信される。制御信号を受信した上側開閉弁70bが、励磁されて開いてもよい。このことにより、上側排油路61b内に貯留されていた作動油は、負圧になっている下側ポンプポート54aに吸引されて、回収される。このため、上側排油路61b内の作動油が除去されるとともに、上側貫通孔52b内の作動油が除去される。上側パッキン53bから外部への作動油の漏洩が解消された場合には、上側開閉弁70bを閉じるようにしてもよい。
このように本実施の形態によれば、下側排油路61aに、下側排油路61aを開閉可能な下側開閉弁70aが設けられている。このことにより、異物または外気が、流体ポンプ44の上側ポンプポート54bに吸引されることを抑制できる。すなわち、蒸気タービン弁駆動装置40に劣化が発生していない場合には、下側シリンダ室50aから下側貫通孔52aに作動油が漏洩することが効果的に抑制されている。しかしながら、下側開閉弁70aを開いている場合、下側貫通孔52a内の異物を上側ポンプポート54bに吸引し得る。また、この場合、外部から下側パッキン53aを介して外気を吸引し得る。異物や外気を吸引すると、流体ポンプ44の動作に支障を来す恐れがある。これに対して本実施の形態によれば、下側開閉弁70aを閉じることにより、異物や外気が上側ポンプポート54bに吸引されることを抑制できる。このため、流体ポンプ44の性能低下を抑制して、流体ポンプ44の吐出量を安定させることができ、下側シリンダ室50a内の作動油の圧力を安定させることができる。また、作動油の漏洩が確認された場合には、下側開閉弁70aを開くことにより、下側シリンダ室50aから下側貫通孔52aに漏洩した作動油を吸引して回収することができる。このため、下側貫通孔52aに漏洩した作動油が、下側貫通孔52aから外部に漏洩することを抑制できる。この結果、シリンダ43から作動油が漏洩することを抑制でき、信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、同様にして、上側排油路61bに、上側排油路61bを開閉可能な上側開閉弁70bが設けられている。このため、上側シリンダ室50b内の作動油の圧力を安定させることができるとともに、作動油が外部に漏洩することを抑制できる。この結果、シリンダ43から作動油が漏洩することを抑制でき、信頼性を向上させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、下側開閉弁70aが電磁弁である例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、下側開閉弁70aは、手動操作弁であってもよい。この場合、目視点検などにより、下側貫通孔52aから作動油が漏洩していることが確認された場合、現場で、下側開閉弁70aを直接操作することで開くことができる。同様にして、上側開閉弁70bは、手動操作弁であってもよい。
(第3の実施の形態)
次に、図5を用いて、第3の実施の形態による蒸気タービン弁駆動装置、蒸気タービン弁装置および蒸気タービンプラントについて説明する。
図5に示す第3の実施の形態においては、下側排油路に下側漏洩検出器が設けられ、下側漏洩検出器により検出された作動油の漏洩量が所定量よりも多い場合に、下側開閉弁を開くように下側開閉弁が制御される点が主に異なり、他の構成は、図4に示す第2の実施の形態と略同一である。なお、図5において、図4に示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図5に示すように、本実施の形態による蒸気タービン弁駆動装置40は、下側排油路61aへの作動油の漏洩量を検出する下側漏洩検出器71a(第1の漏洩検出器の一例)を更に備えている。下側漏洩検出器71aは、下側排油路61aに設けられていてもよい。下側漏洩検出器71aは、下側開閉弁70aよりも下側貫通孔52aの側に位置していてもよい。下側漏洩検出器71aにより検出された漏洩量は、検出信号として制御装置65に送信される。
下側漏洩検出器71aには、作動油の漏洩量を検出することができれば、任意の検出器を用いてもよい。
例えば、下側漏洩検出器71aは、下側排油路61aを流れる作動油の流量を検出する流量計を含んでいてもよい。検出された流量を作動油の漏洩量とみなしてもよい。この場合、下側漏洩検出器71aは、漏洩した作動油を貯留するオイルポットを含んでいてもよい。オイルポットの代わりに計測用配管やその他の機材を用いてもよい。また、オイルポットは、流量計よりも上側ポンプポート54bの側に位置していてもよく、あるいは、流量計の両側にオイルポットが位置していてもよい。
また、例えば、下側漏洩検出器71aは、下側排油路61a内の作動油の圧力を検出する圧力計を含んでいてもよい。検出された作動油の圧力を作動油の漏洩量とみなしてもよい。
また、例えば、下側漏洩検出器71aは、下側排油路61a内の作動油の温度を検出する温度計を含んでいてもよい。検出された温度を作動油の漏洩量とみなしてもよい。すなわち、作動油の温度は、流体ポンプ44を通過する際に上昇する。このことにより、下側シリンダ室50aから下側排油路61aに漏洩した作動油の温度は高くなり、作動油が漏洩され続けると下側排油路61a内の作動油の温度が上昇する。このため、下側排油路61a内の作動油の温度を検出することにより、作動油の漏洩量を把握することができる。
また、例えば、下側漏洩検出器71aは、下側排油路61aを流れる作動油の速度を検出する速度計を含んでいてもよい。検出された速度を作動油の漏洩量と見なしてもよい。この場合、下側漏洩検出器71aは、漏洩した作動油を貯留するオイルポットを含んでいてもよい。
また、例えば、下側漏洩検出器71aは、下側排油路61aに漏洩した作動油を貯留するオイルポットと、オイルポットに貯留した作動油の貯留量を検出する貯留量検出器と、を含んでいてもよい。検出された作動油の貯留量を作動油の漏洩量とみなしてもよい。
また、例えば、下側漏洩検出器71aは、下側排油路61aに漏洩した作動油を貯留するオイルポットと、オイルポットに貯留した作動油の重さを検出する重さ検出器と、を含んでいてもよい。検出された作動油の重さを作動油の漏洩量とみなしてもよい。
制御装置65は、下側漏洩検出器71aで検出された作動油の漏洩量に基づいて下側開閉弁70aを制御してもよい。この場合、制御装置65は、漏洩量が所定量よりも多い場合に下側開閉弁70aを開き、漏洩量が所定量以下である場合に下側開閉弁70aを閉じるようにしてもよい。
図5に示すように、本実施の形態による蒸気タービン弁駆動装置40は、上側排油路61bへの作動油の漏洩量を検出する上側漏洩検出器71b(第2の漏洩検出器の一例)を更に備えている。上側漏洩検出器71bは、上側排油路61bに設けられていてもよい。上側漏洩検出器71bは、上側開閉弁70bよりも上側貫通孔52bの側に位置していてもよい。上側漏洩検出器71bにより検出された漏洩量は、検出信号として制御装置65に送信される。
上側漏洩検出器71bには、作動油の漏洩量を検出することができれば、任意の検出器を用いてもよい。例えば、上側漏洩検出器71bは、上述した下側漏洩検出器71aと同様に構成することができる。
制御装置65は、上側漏洩検出器71bで検出された作動油の漏洩量に基づいて上側開閉弁70bを制御してもよい。この場合、制御装置65は、漏洩量が所定量よりも多い場合に上側開閉弁70bを開き、漏洩量が所定量以下である場合に上側開閉弁70bを閉じるようにしてもよい。
下側開閉弁70aが閉じている間、機器の劣化などにより、下側シリンダ室50aに充満していた作動油の一部は、下側貫通孔52aに漏洩する。漏洩した作動油は、下側排油溝62aを通って、下側排油路61aに流入する。すると、下側漏洩検出器71aにより、下側排油路61aに漏洩した作動油の漏洩量が検出される。下側排油路61aへの作動油の漏洩が続くと、作動油の漏洩量が増大する。
制御装置65には、下側漏洩検出器71aから検出信号が送信され、作動油の漏洩量が、所定よりも多いか否かが制御装置65により判断される。作動油の漏洩量が所定量よりも多いと判断した場合、制御装置65から下側開閉弁70aに制御信号が送信される。制御信号を受信した下側開閉弁70aは、励磁されて開く。このことにより、下側排油路61aに漏洩した作動油が上側ポンプポート54bに吸引されて、回収される。このため、下側排油路61a内の作動油が除去されるとともに、下側貫通孔52a内の作動油が除去される。その後、下側漏洩検出器71aにより作動油の漏洩量が検出されない場合には、下側開閉弁70aを閉じるようにしてもよい。
上側開閉弁70bが閉じている間、機器の劣化などにより、上側シリンダ室50bに充満していた作動油の一部は、上側貫通孔52bに漏洩する。漏洩した作動油は、上側排油溝62bを通って、上側排油路61bに流入する。すると、上側漏洩検出器71bにより、上側排油路61bに漏洩した作動油の漏洩量が検出される。上側排油路61bへの作動油の漏洩が続くと、作動油の漏洩量が増大する。
制御装置65には、上側漏洩検出器71bから検出信号が送信され、作動油の漏洩量が、所定よりも多いか否かが制御装置65により判断される。作動油の漏洩量が所定量よりも多いと判断した場合、制御装置65から上側開閉弁70bに制御信号が送信される。制御信号を受信した上側開閉弁70bは、励磁されて開く。このことにより、上側排油路61bに漏洩した作動油が下側ポンプポート54aに吸引されて、回収される。このため、上側排油路61b内の作動油が除去されるとともに、上側貫通孔52b内の作動油が除去される。その後、上側漏洩検出器71bにより作動油の漏洩量が検出されない場合には、上側開閉弁70bを閉じるようにしてもよい。
このように本実施の形態によれば、下側漏洩検出器71aにより検出された作動油の漏洩量が所定量よりも多い場合に、下側開閉弁70aが開く。このことにより、下側排油路61aに漏洩した作動油の漏洩量が多くなった場合に、漏洩した作動油を、流体ポンプ44の上側ポンプポート54bに回収することができる。このため、下側貫通孔52aに漏洩した作動油が、下側貫通孔52aから外部に漏洩することを効率良く抑制できる。また、下側排油路61aに漏洩した作動油の漏洩量が所定量以下である場合には、下側開閉弁70aを閉じる。このことにより、異物または外気が、上側ポンプポート54bに吸引されることを抑制できる。このため、流体ポンプ44の性能低下を抑制して、流体ポンプ44の吐出量を安定させることができ、下側シリンダ室50a内の作動油の圧力を安定させることができる。この結果、シリンダ43から作動油が漏洩することを抑制でき、信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、同様にして、上側漏洩検出器71bにより検出された作動油の漏洩量が所定量よりも多い場合に、上側開閉弁70bが開く。このため、作動油が外部に漏洩することを効率良く抑制できるとともに、上側シリンダ室50b内の作動油の圧力を安定させることができる。この結果、シリンダ43から作動油が漏洩することを抑制でき、信頼性を向上させることができる。
(第4の実施の形態)
次に、図6を用いて、第4の実施の形態による蒸気タービン弁駆動装置、蒸気タービン弁装置および蒸気タービンプラントについて説明する。
図6に示す第4の実施の形態においては、下側漏洩検出器により検出された作動油の漏洩量が所定量よりも多い場合に警報を発報する警報装置を更に備えている点が主に異なり、他の構成は、図5に示す第3の実施の形態と略同一である。なお、図6において、図5に示す第3の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図6に示すように、本実施の形態による蒸気タービン弁駆動装置40は、警報装置72を更に備えている。警報装置72は、下側漏洩検出器71aにより検出された作動油の漏洩量が所定量よりも多い場合に警報を発報するように構成されている。図6においては、下側排油路61aに、下側開閉弁70a(図5参照)は設けられていない例を示しているが、下側開閉弁70aは設けられていてもよい。また、上側排油路61bに、上側開閉弁70b(図5参照)は、設けられていない例を示しているが、上側開閉弁70bは設けられていてもよい。
警報装置72には、警報を発報することができれば、任意の装置を用いてもよい。例えば、警報装置72は、記録計などに作動油の漏洩量が増大した旨の警報を電気信号として送信してもよい。この場合、記録計は、その警報を電気的に記録するように構成されていてもよい。また、警報装置72は、複写機などに作動油の漏洩量が増大した旨の警報を電気信号として送信してもよい。この場合、複写機は、その警報を紙に印刷して出力してもよい。また、警報装置72は、表示装置を含み、作動油の漏洩量が増大した場合に表示装置が警報を意味する表示を行うように構成されていてもよい。例えば、表示装置が、赤色などのランプを含み、警報として、このランプを点灯させてもよい。また、警報装置72は、音発生装置を含み、作動油の漏洩量が増大した場合に音発生装置が警報を意味する音を発生するように構成されていてもよい。例えば、音発生装置がブザーを含み、警報音を発生させてもよい。あるいは、音発生装置は音声を発生させてもよい。
制御装置65は、下側漏洩検出器71aで検出された作動油の漏洩量に基づいて警報装置72を制御してもよい。この場合、制御装置65は、漏洩量が所定量よりも多い場合に警報装置72に警報を発報させるように警報装置72を制御してもよい。漏洩量が所定量以下である場合には、警報装置72に警報を発報させなくてもよい。制御装置65は、下側漏洩検出器71aで検出された作動油の漏洩量が所定量よりも多いか否かを判断し、作動油の漏洩量が所定量よりも多いと判断した場合、制御装置65から警報装置72に制御信号が送信される。制御信号を受信した警報装置72は、作動油の漏洩量が増大した旨の警報を発報する。
同様に、制御装置65は、上側漏洩検出器71bで検出された作動油の漏洩量に基づいて警報装置72を制御してもよい。この場合、制御装置65は、漏洩量が所定量よりも多い場合に警報装置72に警報を発報させるように警報装置72を制御してもよい。漏洩量が所定量以下である場合には、警報装置72に警報を発報させなくてもよい。
このように本実施の形態によれば、下側漏洩検出器71aにより検出された作動油の漏洩量が所定量よりも多い場合に、警報装置72が警報を発報する。このことにより、目視点検などを行わない場合であっても、作動油の漏洩を認識することができる。また、目視点検などで作動油の漏洩を確認できなかった場合であっても、作動油の漏洩を認識することができる。このため、作動油の漏洩に対する処置を迅速に行うことができ、信頼性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、同様にして、上側漏洩検出器71bにより検出された作動油の漏洩量が所定量よりも多い場合に、警報装置72が警報を発報する。このため、作動油の漏洩に対する処置を迅速に行うことができ、信頼性を向上させることができる。
以上述べた実施の形態によれば、油圧シリンダから作動油が漏洩することを抑制でき、信頼性を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、当然のことながら、本発明の要旨の範囲内で、これらの実施の形態を、部分的に適宜組み合わせることも可能である。