JP2021172823A - 硬化性樹脂組成物およびそれを用いた立体物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐衝撃性に優れた硬化物を得ることができる、低粘度の硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】コアシェル型ゴム粒子(A)と、分子内に1個以上のラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物(B)と、ラジカル重合開始剤(C)とを含有する硬化性樹脂組成物であって、コアシェル型ゴム粒子(A)は、コア層と、複素環構造を有する重合体を含有するシェル層を有し、ラジカル重合性化合物(B)の含有量は、硬化性樹脂組成物の全成分の合計を100質量%とした場合、50質量%以上99質量%以下であり、ラジカル重合性化合物(B)は、分子量500以上のラジカル重合性化合物(b−1)を2質量%以上70質量%以下含有する硬化性樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、硬化性樹脂組成物およびそれを用いた立体物の製造方法に関する。
光硬化性樹脂組成物に、三次元モデルの立体形状に基づいて選択的に光照射して硬化樹脂層を形成する工程を繰り返すことにより、当該硬化樹脂層が一体的に積層されてなる造形物を作製する光学的立体造形法(以下、光造形法と記述する)が知られている。
具体的には、作製する三次元モデルの立体形状データから生成したスライスデータに従って、容器内に収容された液状の光硬化性樹脂組成物の液面に紫外線レーザー等の光を照射し、所定の厚み、所望のパターンで硬化させて硬化樹脂層を形成する。次いで、この硬化樹脂層の上に、硬化樹脂層の一層分に相当する量の光硬化性樹脂組成物を供給し、同様に光を照射することにより、先に形成された硬化樹脂層と連続した新しい硬化樹脂層を積層形成する。このように、スライスデータに基づいたパターンで硬化樹脂層を積層していくことで、所望の立体物を得ることができる。このような光造形法によれば、三次元モデルの立体形状データがあれば、複雑な形状の立体物でも容易に作製することが可能となる。
光造形法は、形状確認のための試作品の造形(ラピッドプロトタイピング)や、機能性検証のためのワーキングモデルの造形や型の造形(ラピッドツーリング)への応用が進んでいる。さらに、近年は、光造形法の用途は実製品の製造(ラピッドマニュファクチャリング)にも広がり始めている。
このような背景から、汎用のエンジニアリングプラスチックに匹敵するような高い耐衝撃性を有する立体物の造形が可能な、光硬化性樹脂組成物が求められている。
特許文献1では、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、ラジカル重合性化合物と、ゴム粒子とを含有する硬化性樹脂組成物が開示され、柔軟なウレタンオリゴマー成分とゴム粒子との併用による耐衝撃性の改善が検討されている。
具体的には、作製する三次元モデルの立体形状データから生成したスライスデータに従って、容器内に収容された液状の光硬化性樹脂組成物の液面に紫外線レーザー等の光を照射し、所定の厚み、所望のパターンで硬化させて硬化樹脂層を形成する。次いで、この硬化樹脂層の上に、硬化樹脂層の一層分に相当する量の光硬化性樹脂組成物を供給し、同様に光を照射することにより、先に形成された硬化樹脂層と連続した新しい硬化樹脂層を積層形成する。このように、スライスデータに基づいたパターンで硬化樹脂層を積層していくことで、所望の立体物を得ることができる。このような光造形法によれば、三次元モデルの立体形状データがあれば、複雑な形状の立体物でも容易に作製することが可能となる。
光造形法は、形状確認のための試作品の造形(ラピッドプロトタイピング)や、機能性検証のためのワーキングモデルの造形や型の造形(ラピッドツーリング)への応用が進んでいる。さらに、近年は、光造形法の用途は実製品の製造(ラピッドマニュファクチャリング)にも広がり始めている。
このような背景から、汎用のエンジニアリングプラスチックに匹敵するような高い耐衝撃性を有する立体物の造形が可能な、光硬化性樹脂組成物が求められている。
特許文献1では、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、ラジカル重合性化合物と、ゴム粒子とを含有する硬化性樹脂組成物が開示され、柔軟なウレタンオリゴマー成分とゴム粒子との併用による耐衝撃性の改善が検討されている。
しかしながら、特許文献1では、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有するラジカル重合性化合物自体の粘度が高いため、光造形法による硬化物作製時の作業性を損なわないためには、さらなる粘度上昇を引き起こすゴム粒子の添加量を低く抑える必要があった。そのため、耐衝撃性を十分に改善することが困難であった。
また、樹脂組成物が高粘度であると、一層分の硬化性樹脂組成物の供給性が悪化し、造形の歩留まりが悪化する。
本発明は、耐衝撃性に優れた硬化物を得ることができる、低粘度の硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、樹脂組成物が高粘度であると、一層分の硬化性樹脂組成物の供給性が悪化し、造形の歩留まりが悪化する。
本発明は、耐衝撃性に優れた硬化物を得ることができる、低粘度の硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明の硬化性樹脂組成物は、
コアシェル型ゴム粒子(A)と、
分子内に1個以上のラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物(B)と、
ラジカル重合開始剤(C)とを含有する硬化性樹脂組成物であって、
前記コアシェル型ゴム粒子(A)は、コア層と、複素環構造を有する重合体を含有するシェル層を有し、
前記ラジカル重合性化合物(B)の含有量は、前記硬化性樹脂組成物の全成分の合計を100質量%とした場合、50質量%以上99質量%以下であり、
前記ラジカル重合性化合物(B)は、分子量500以上のラジカル重合性化合物(b−1)を2質量%以上70質量%以下含有することを特徴とする。
コアシェル型ゴム粒子(A)と、
分子内に1個以上のラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物(B)と、
ラジカル重合開始剤(C)とを含有する硬化性樹脂組成物であって、
前記コアシェル型ゴム粒子(A)は、コア層と、複素環構造を有する重合体を含有するシェル層を有し、
前記ラジカル重合性化合物(B)の含有量は、前記硬化性樹脂組成物の全成分の合計を100質量%とした場合、50質量%以上99質量%以下であり、
前記ラジカル重合性化合物(B)は、分子量500以上のラジカル重合性化合物(b−1)を2質量%以上70質量%以下含有することを特徴とする。
本発明によれば、耐衝撃性に優れた硬化物を形成可能であり、粘度が低く抑えられ硬化物作製時の作業性に優れた硬化性樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、あくまでも本発明の実施形態の一つであり、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
<コアシェル型ゴム粒子(A)((A)成分)>
コアシェル型ゴム粒子(A)は、コア層と、複素環構造を有する重合体を含有するシェル層を有する。コアシェル型ゴム粒子(A)のシェル層が、複素環構造を有する重合体を含有することにより、ラジカル重合性化合物(B)中に分散させた際の粘度上昇を著しく抑制することができる。
コアシェル型ゴム粒子(A)は、コア層と、複素環構造を有する重合体を含有するシェル層を有する。コアシェル型ゴム粒子(A)のシェル層が、複素環構造を有する重合体を含有することにより、ラジカル重合性化合物(B)中に分散させた際の粘度上昇を著しく抑制することができる。
コア層となるゴム状弾性体を含有するポリマー粒子の種類は特に限定されるものではない。コア層となるゴム状弾性体を構成する好ましいポリマーとしては、例えば、ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル/ブタジエン共重合ゴム、スチレン/ブタジエン/アクリロニトリル/メチルメタクリレートから選ばれる少なくとも2種を共重合してなる共重合ゴム、これらのジエンゴムを水素添加又は部分水素添加した飽和ゴム、架橋ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、シリコンゴム、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー三元共重合ゴム、アクリルゴム、シリコーン/アクリル複合ゴム、ウレタンゴムなどが挙げられる。これらのポリマーは、単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。中でも、柔軟性の観点から、ブタジエンゴム、架橋ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエン共重合ゴム、スチレン/ブタジエン/アクリロニトリル/メチルメタクリレートから選ばれる少なくとも2種を共重合してなる共重合ゴム、アクリルゴム、シリコーン/アクリル複合ゴム、およびウレタンゴムから選ばれる少なくとも一種が特に好ましい。コア層を構成するポリマーのガラス転移温度は、20℃未満であることが好ましい。ガラス転移温度が20℃未満である場合、室温下の硬化物中において衝撃吸収剤として機能し易くなるため好ましい。
シェル層は、側鎖に複素環基を有する重合体等の複素環構造を有する重合体を含有する。具体的には、コア層となるポリマー粒子の表面が、複素環構造を有するラジカル重合性化合物、重合して複素環構造を形成するジカル重合性化合物等のラジカル重合性化合物の重合体を含むシェル層で被覆された構造を有する。
シェル層を形成する、複素環構造を有する重合体は、コア層の表面に化学結合を介してグラフト重合、もしくは物理結合を介した吸着により、コア層表面の一部または全体を覆っている形態を有することが好ましい。シェル層がコア層にグラフト重合されてなるコアシェル型ゴム粒子は、コア層となる粒子の存在下において、公知の方法でラジカル重合性化合物をグラフト重合させることで形成することができる。例えば、乳化重合やミニエマルション重合、懸濁重合、等で調製され得る、水中に分散されたラテックス粒子に対して、シェル層の構成成分であるラジカル重合性化合物を加えて重合させることで製造することができる。なお、コア層の表面に、シェル層がグラフト重合され得るエチレン性不飽和基等の反応性部位が存在しない、または極めて少ない場合には、反応性部位を含有する中間層をコア層となる粒子の表面に設けてから、シェル層をグラフト重合させてもよい。すなわち、コアシェル型ゴム粒子の形態としては、中間層を介してコア層にシェル層が設けられた形態も含まれる。また、シェル層がコア層に物理吸着してなるコアシェル型ゴム粒子は、コア層となる粒子の存在下において、公知の方法でポリマー被覆して形成することができる。例えば、コア層となる粒子が分散した溶液にポリマーを溶解させ、吸着させることで製造することができる。
シェル層の複素環構造は孤立電子対を有するヘテロ原子を有する。これらのヘテロ原子の効果により、後述する分子量500以上のラジカル重合性化合物(b−1)の溶解性を向上させている。特に、(b−1)成分が、ウレタン結合、エステル結合、カーボネート結合、アミド結合の極性基を有する場合、好ましくは、ウレタン結合、カーボネート結合、エステル結合のうち一種、もしくは複数種を有する場合、これらの結合の配向をヘテロ原子が阻害することにより、粘度が低減する。また、ヘテロ原子が複素環の環状構造に組み込まれることにより、ヘテロ原子が有する孤立電子対の周囲の立体的な嵩高さが減少するため、直鎖状構造に組み込まれる場合と比較して、極性基の配向の阻害が起こりやすい。
シェル層を形成するために用いる、複素環構造を含有するラジカル重合性化合物は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等に代表されるヘテロ原子を一個以上有する環状骨格を有する。シェル層に用いることができるラジカル重合性化合物は、式(1)に示される構造を有することが好ましく、例えば、その複素環上、もしくは置換基上の水素原子を酸素原子、窒素原子、硫黄原子に置き換え、(メタ)アクリロイル基、ビニル基などに代表されるラジカル重合性官能基と連結したものであってもよい。
Hetは、ヘテロ環を示す。
Xは、AとHetを結合する連結基であり、酸素原子、窒素原子、硫黄原子に代表されるヘテロ原子を有することができる炭化水素基を示す。Xはヘテロ原子のみでもよい。)
Xが窒素原子等の3価の原子の場合、A、Hetと結合する結合手以外の結合手は、例えば、水素原子、アルキル基、芳香族基、ヘテロ環、ハロゲン等と結合していてもいいが、特に限定されるものではない。A、Hetと結合する結合手以外の結合手は、重合性の観点から、水素原子、メチル基、エチル基またはフェニル基と結合していることが好ましい。また、窒素上の結合手のうち、Aと結合する結合手以外の二つの結合手が、同一のヘテロ環構造に結合される場合も、式(1)に示される構造に含まれる。
Hetとしての、窒素原子のみをヘテロ原子として含む複素環基としては、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピラゾリン、等の単環系飽和複素環の残基;ピロリン、ピロール、2,5−ジメチルピロール等のピロール、ピラゾール、2−メチルピラゾール、3−メチルピラゾール等のピラゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリドン、トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、等の5員環系不飽和複素環の残基;ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、6−メチルピリミジン等のピリミジン、ピラジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、テトラジン、メラミン等の6員環系不飽和複素環の残基;インダゾール、インドリン、イソインドリン、インドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、キノリン、イソキノリン、5,6,7,8−テトラヒドロ(3−メチル)キノキサリン、3−メチルキノキサリン等のキノキサリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、ナフチリジン、プリン、プテリジン、ベンゾピラゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾピペリジン等の縮合二環系複素環の残基;カルバゾール、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、フェナントリジン等の縮合三環系複素環の残基が挙げられる。
Hetとしての、酸素原子のみをヘテロ原子として含む複素環基としては、オキシラン、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1−シクロペンチルジオキソラン等の単環系飽和複素環の残基;1,4−ジオキサスピロ[4.5]デカン、1,4−ジオキサスピロ[4.5]ノナン等の二環系飽和複素環の残基;α−アセトラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン系複素環の残基;フラン、2,3−ジメチルフラン、2,5−ジメチルヒドロフラン等のフラン等の5員環系不飽和複素環の残基;3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、3,6−ジヒドロ−2H−ピラン等の6員環系不飽和複素環の残基;ベンゾフラン、イソベンゾフラン、4−メチルベンゾピラン等のベンゾピラン、ベンゾジオキソール、クロマン、イソクロマン等の縮合二環系複素環の残基;キサンテン、ジベンゾフラン等の縮合三環系複素環の残基;等が挙げられる。その他、以下に示す、環状エーテルを含む化合物の残基等が挙げられる。
Hetとしての、硫黄原子のみをヘテロ原子として含む複素環基としては、ジチオラン等の5員環系飽和複素環の残基;チアン、1,3−ジチアン、2−メチル1,3−ジチアン等の6員環系飽和複素環の残基;チオフェン、3−メチルチオフェン、2−カルボキシチオフェン、チオフェン1−オキシド、チオフェン1,1−ジオキシド等のチオフェン、4H−チオピラン等の5員環系不飽和複素環の残基;ベンゾチオフェン、ベンゾチオフェンオキシド、ベンゾテトラヒドロチオピラン、ベンゾチオフェンジオキシド等の縮合二環系複素環の残基;チアントレン、ジベンゾチオフェン等の縮合三環系複素環の残基;等が挙げられる。
Hetとしての、窒素原子及び酸素原子をヘテロ原子として含む複素環基としては、モルホリン、2−ピロリドン、2−メチル−2−ピロリドン、2−ピペリドン、2−メチル−2−ピペリドン、ヒダントイン、ピラゾロン、オキサジン等の単環系飽和複素環の残基;オキサゾール、4−メチルオキサゾール等のオキサゾール、イソオキサゾール、2−メチルイソオキサゾール、3−メチルイソオキサゾール等のイソオキサゾール、1,2,4−オキサジアゾール等の単環系不飽和複素環の残基;ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾオキサジン、オキシインドール(2−オキシインドール)、インドキシル(3−オキシインドール)、イサチン等の縮合二環系複素環の残基;フェノキサジン等の縮合三環系複素環の残基;等が挙げられる。
Hetとしての、窒素原子及び酸素原子、硫黄原子をヘテロ原子として含む複素環基としては、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾチアゾール、チアトリアゾール、フェノチアジン、チアジン等の残基が挙げられる。
上記複素環基上の置換基としては、例えば、水酸基、チオール基、アミノ基、カルボキシ基、イソシアネート基、エポキシ基、アルコキシシリル基等が挙げられる。また、このような置換基としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基、ヘキシル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基などのアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子からなる基;シアノ基;アミノ基;芳香族炭化水素基;エステル基;エーテル基;アシル基;チオエーテル基;等も用いることができる。また、これらの置換基の置換位置は特に限定されず、置換基数も限定されない。
また、複素環として、グリシジル、オキセタンは粘度の低減効果はあるが、熱で容易に環状構造が崩れる傾向があるため、樹脂組成物の貯蔵安定性の観点ではあまり好ましくない。
重合して複素環構造を形成するジカル重合性化合物としては、重合することにより、上記Hetとして例示した複素環を形成する化合物が挙げられ、例えば、αアリルオキシメチルアクリル酸メチル等が挙げられる。
また、シェル層を形成するために用いる、その他のラジカル重合性化合物としては、特に限定されないが、分子内に1個のラジカル重合性官能基を有する単官能ラジカル重合性化合物を好適に用いることができる。なお、単官能ラジカル重合性化合物は、コア層との相性や、樹脂組成物中での分散性の観点から適宜選択することができ、後述する(B)成分として例示した化合物の中から、1種、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、シェル層を形成するためのラジカル重合性化合物として、多官能ラジカル重合性化合物を併用してもよい。多官能ラジカル重合性化合物は、シェル層の形成のために用いるラジカル重合性化合物100質量部に対して、0質量部以上40質量部以下であることが好ましい。さらに、0質量部以上30質量部以下がより好ましく、0質量部以上25質量部以下が特に好ましい。多官能ラジカル重合性化合物の含有量が40質量部以下であれば、コアシェル型ゴム粒子(A)の添加による、耐衝撃性の向上効果が得られ易くなる。なお、多官能ラジカル重合性化合物は、コア層との相性や、樹脂組成物中での分散性の観点から適宜選択することができ、後述する(B)成分として例示した化合物の中から、1種、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シェル層を形成するラジカル重合性化合物の重合体における、複素環構造を有するラジカル重合性化合物、重合して複素環構造を形成するジカル重合性化合物の比率は、シェル層を形成するラジカル重合性化合物の重合体100質量部に対して、好ましくは2質量部以上100質量部以下、より好ましくは5質量部以上100質量部以下である。複素環構造を有するラジカル重合性化合物、重合して複素環構造を形成するジカル重合性化合物の比率が上記範囲を満たす場合、硬化性樹脂組成物中に含有させた際の粘度上昇をより効果的に抑制することが可能となる。
コアシェル型ゴム粒子(A)におけるコア層とシェル層の比率としては、コア層100質量部に対して、シェル層が1質量部以上200質量部以下であることが好ましく、より好ましくは2質量部以上180質量部以下である。コア層とシェル層の質量比率が上記範囲内であれば、コアシェル型ゴム粒子(A)を含有させることによる耐衝撃性の向上効果、および粘度上昇の低減効果が十分に得られる。シェル層が1質量部以上である場合、硬化性樹脂組成物中における分散性が十分で、耐衝撃性の向上効果、および粘度上昇の低減効果が得られ易い。また、シェル層が200質量部以下である場合は、多量のコアシェル型ゴム粒子を添加しなくても、十分な耐衝撃性の向上効果が得られるため、硬化性樹脂組成物の粘度が適度であり取り扱いが容易になる。
コアシェル型ゴム粒子(A)は、平均粒径が20nm以上2μm以下であることが好ましく、より好ましくは、50nm以上1μm以下である。平均粒径が20nm以上の場合、添加に伴う粘度上昇や、ゴム粒子の比表面積の増加に伴うゴム粒子間の相互作用が起こりにくく、硬化物の耐熱性や耐衝撃性を十分に得られる。また、平均粒径が2μm以下の場合には、硬化性樹脂組成物中におけるゴム粒子の分散性が十分に得られ、耐衝撃性の向上効果が十分に得られる。コアシェル型ゴム粒子(A)の平均粒径は、動的光散乱法を用いて測定することができる。例えば、適当な有機溶剤にゴム粒子を分散させ、粒度分布計を用いて測定することができる。
硬化性樹脂組成物中におけるコアシェル型ゴム粒子(A)の含有量は、ラジカル重合性化合物(B)100質量部に対して、好ましくは7質量部以上65質量部以下、より好ましくは10質量部以上60質量部以下である。コアシェル型ゴム粒子(A)の含有量が上記の範囲内である場合に、硬化性樹脂組成物の粘度上昇の抑制効果が顕著に発揮される。コアシェル型ゴム粒子(A)の含有量が7質量部以上の場合、樹脂組成物中における粒子間のシェル層を介した絡み合いが起こりにくいため、粒子添加による粘度上昇の影響が小さいのに加え、耐衝撃性の向上効果が得られ易い。コアシェル型ゴム粒子(A)の含有量が65質量部以下の場合は、硬化性樹脂組成物中における粒子間の強制的な近接が起こり難く、シェル層に複素環構造を含有させることによる粘度低減効果が得られ易くなり、適度な粘度により取扱いが容易になる。
<ラジカル重合性化合物(B)((B)成分)>
ラジカル重合性化合物(B)は、分子内に1個以上のラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物である。ラジカル重合性化合物は(B)の含有量は、硬化性樹脂組成物の全成分の合計を100質量%とした場合、50質量%以上99質量%以下である。ラジカル重合性化合物(B)は、ラジカル重合性化合物(B)の合計を100質量%とした場合、分子量500以上のラジカル重合性化合物(b−1)を2質量%以上70質量%以下含有する。また、ラジカル重合性化合物(B)は、分子量500未満のラジカル重合性化合物(b−2)を含有することが好ましい。分子量500未満のラジカル重合性化合物(b−2)としては、例えば、単官能の(メタ)アクリル酸エステル、単官能の(メタ)アクリルアミド誘導体等が挙げられる。尚、ラジカル重合性化合物(b−1)、ラジカル重合性化合物(b−2)が分子量分布を有する化合物である場合、分子量は重量平均分子量であることが好ましい。
ラジカル重合性化合物(B)は、分子内に1個以上のラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物である。ラジカル重合性化合物は(B)の含有量は、硬化性樹脂組成物の全成分の合計を100質量%とした場合、50質量%以上99質量%以下である。ラジカル重合性化合物(B)は、ラジカル重合性化合物(B)の合計を100質量%とした場合、分子量500以上のラジカル重合性化合物(b−1)を2質量%以上70質量%以下含有する。また、ラジカル重合性化合物(B)は、分子量500未満のラジカル重合性化合物(b−2)を含有することが好ましい。分子量500未満のラジカル重合性化合物(b−2)としては、例えば、単官能の(メタ)アクリル酸エステル、単官能の(メタ)アクリルアミド誘導体等が挙げられる。尚、ラジカル重合性化合物(b−1)、ラジカル重合性化合物(b−2)が分子量分布を有する化合物である場合、分子量は重量平均分子量であることが好ましい。
ラジカル重合性官能基としては、エチレン性不飽和基が挙げられる。具体的に、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、マレイミド基などが挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を意味する。
(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド系化合物や(メタ)アクリレート系化合物が挙げられる。
[単官能ラジカル重合性化合物]
分子内にラジカル重合性官能基を1個有する単官能(メタ)アクリルアミド系化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルフォリン、などが挙げられる。
分子内にラジカル重合性官能基を1個有する単官能(メタ)アクリルアミド系化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルフォリン、などが挙げられる。
また、分子内にラジカル重合性官能基を1個有する単官能(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、i−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−オキセタニル−メチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェニルグリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、フェニルセロソルブ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルフォスフェート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性ブチル(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性フタル酸(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸(メタ)アクリレート、アリルオキシアクリル酸メチル(製品名:AO−MA、日本触媒社製)、イミド基を有する(メタ)アクリレート類(製品名:M−140、東亞合成社製)、シロキサン構造を有する単官能(メタ)アクリレート類、などが挙げられる。
また、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。
また、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、などが挙げられる。
(メタ)アクリロイル基以外のエチレン性不飽和基を有する単官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸およびその塩、などのスチレン誘導体、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、などのマレイミド類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどのビニルエステル類、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルモルフォリン、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニル化合物などが挙げられる。
これらの単官能ラジカル重合性化合物は、単独でも、2種以上を組み合せて用いてもよい。
硬化速度を速める観点から、単官能ラジカル重合性化合物を含有させる場合、少なくとも単官能アクリルアミド系化合物、または単官能(メタ)アクリレート系化合物を含有することが好ましい。特に、単官能アクリルアミド系化合物を含有することが好ましい。
[多官能ラジカル重合性化合物]
分子内にラジカル重合性官能基を2個以上有する多官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、多官能(メタ)アクリレート系化合物、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物、多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート系化合物、多官能(メタ)アクリルアミド系化合物、多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物、多官能マレイミド系化合物、多官能ビニルエーテル系化合物、多官能芳香族ビニル系化合物などが挙げられる。
分子内にラジカル重合性官能基を2個以上有する多官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、多官能(メタ)アクリレート系化合物、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物、多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート系化合物、多官能(メタ)アクリルアミド系化合物、多官能ウレタン(メタ)アクリレート系化合物、多官能マレイミド系化合物、多官能ビニルエーテル系化合物、多官能芳香族ビニル系化合物などが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサメチレンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、フッ素原子を有する多官能(メタ)アクリレート、シロキサン構造を有する多官能(メタ)アクリレート、などを挙げることができる。
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、2−ビニロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ビニロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ビニロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−(ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート系化合物としては、例えば、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
多官能(メタ)アクリルアミド系化合物としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N,N’,N’’−トリアクリロイルジエチレントリアミンなどが挙げられる。
多官能マレイミド系化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサンなどが挙げられる。
多官能ビニルエーテル系化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどが挙げられる。
多官能芳香族ビニル系化合物としては、例えば、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
なお、これらの多官能ラジカル重合性化合物は、単独でも2種以上を組み合せて用いてもよい。
[分子量500以上のラジカル重合性化合物(b−1)]
ラジカル重合性化合物(B)は、分子量500以上のラジカル重合性化合物(b−1)を2質量%以上70質量%以下含有する。好ましくは、化合物(b−1)を5質量%以上65質量%以下含有する。化合物(b−1)の割合が2質量%以上の場合、耐衝撃性が十分である。また、化合物(b−1)の割合が70質量%以下の場合には、粘度が十分に低く、硬化物作製時の作業性に優れる。
ラジカル重合性化合物(B)は、分子量500以上のラジカル重合性化合物(b−1)を2質量%以上70質量%以下含有する。好ましくは、化合物(b−1)を5質量%以上65質量%以下含有する。化合物(b−1)の割合が2質量%以上の場合、耐衝撃性が十分である。また、化合物(b−1)の割合が70質量%以下の場合には、粘度が十分に低く、硬化物作製時の作業性に優れる。
化合物(b−1)としては、エチレン性不飽和基を有する従来公知のラジカル重合性化合物を用いることができる。具体的に、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、マレイミド基などが挙げられる。化合物(b−1)としては、(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性化合物、特に分子内に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する多官能ラジカル重合性化合物を好適に用いることができる。例えば、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。これらのうちでも、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー等のウレタンアクリレートが好ましい。また、ウレタン結合、カーボネート結合、エステル結合のうち一種、もしくは複数種を有する化合物であることが好ましい。
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、下記に示すポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得られる。さらに、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、下記に例示する各々に対応するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重合体;テトラヒドロフランとエチレンオキサイドの共重合体;テトラヒドロフランとプロピレンオキサイドの共重合体;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体;ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体等を挙げることができる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールのようなジオール化合物とε−カプロラクタム又はβ−メチル−δ−バレロラクトンとの付加物;上記ジオール化合物とコハク酸、アジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸のような二塩基酸との反応生成物;上記ジオール化合物と上記二塩基酸とε−カプロラクタム又はβ−メチル−δ−バレロラクトンとの三成分の反応生成物等を挙げることができる。これらから成るウレタンアクリレートは市販品を使用することができる。例えば、日本化薬株式会社製、KAYARAD UX−4101が使用することができる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−オクタンジオール、1,4−ビス−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、2−メチルプロパンジオール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ビスフェノールAのようなジオール化合物、あるいはこれらジオール化合物とエチレンオキシド2乃至6モル付加反応物と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の短鎖ジアルキルカーボネートとの反応生成物からなるポリカーボネートポリオールが挙げられる。これらから成るウレタンアクリレートは市販品を使用することができる。例えば、アルケマ株式会社製、CN9001NSが使用することができる。
さらに、これらポリカーボネートポリオールのエチレンオキシド、プロピレンオキシドとε−カプロラクタム又はβ−メチル−δ−バレロラクトン付加反応物であるポリエステルジオール等も用いることができる。
また、上述したイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、水添4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が使用される。
<ラジカル重合開始剤(C)((C)成分)>
ラジカル重合開始剤(C)は、光ラジカル重合開始剤や熱ラジカル重合開始剤を用いることができる。
ラジカル重合開始剤(C)は、光ラジカル重合開始剤や熱ラジカル重合開始剤を用いることができる。
[光ラジカル重合開始剤]
光ラジカル重合開始剤は、主に分子内開裂型と水素引抜き型に分類される。分子内開裂型の光ラジカル重合開始剤では、特定波長の光を吸収することで、特定の部位の結合が切断される。そして、その切断された部位にラジカルが発生し、それが重合開始剤となり(メタ)アクリロイル基を含有するエチレン性不飽和化合物等のラジカル重合性化合物(B)の重合が始まる。一方、水素引き抜き型の場合は、特定波長の光を吸収し励起状態になり、その励起種が周囲にある水素供与体から水素引き抜き反応を起こし、ラジカルが発生し、それが重合開始剤となりラジカル重合性化合物(B)の重合が始まる。
光ラジカル重合開始剤は、主に分子内開裂型と水素引抜き型に分類される。分子内開裂型の光ラジカル重合開始剤では、特定波長の光を吸収することで、特定の部位の結合が切断される。そして、その切断された部位にラジカルが発生し、それが重合開始剤となり(メタ)アクリロイル基を含有するエチレン性不飽和化合物等のラジカル重合性化合物(B)の重合が始まる。一方、水素引き抜き型の場合は、特定波長の光を吸収し励起状態になり、その励起種が周囲にある水素供与体から水素引き抜き反応を起こし、ラジカルが発生し、それが重合開始剤となりラジカル重合性化合物(B)の重合が始まる。
分子内開裂型光ラジカル重合開始剤としては、アルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤、オキシムエステル系光ラジカル重合開始剤が知られている。これらはカルボニル基に隣接した結合がα開裂して、ラジカル種を生成するタイプのものである。アルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤としては、ベンジルメチルケタール系光ラジカル重合開始剤、α−ヒドロキシアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤、アミノアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤等がある。具体的な化合物としては、例えば、ベンジルメチルケタール系光ラジカル重合開始剤としては、2,2’−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア(登録商標)651、BASF社製)等があり、α−ヒドロキシアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤としては2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(ダロキュア1173、BASF社製)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア184、BASF社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(イルガキュア2959、BASF社製)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン(イルガキュア127、BASF社製)等があり、アミノアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤としては、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、BASF社製)あるいは2−ベンジルメチル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(イルガキュア369、BASF社製)等があるが、これに限定されることはない。アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド(ルシリンTPO、BASF社製)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(イルガキュア819、BASF社製)等があるが、これに限定されることはない。オキシムエステル系光ラジカル重合開始剤としては、(2E)−2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1−オン(イルガキュアOXE−01、BASF社製)等が挙げられるが、これに限定されることはない。括弧内に商品名の一例を併記しておく。
水素引き抜き型光ラジカル重合開始剤としては、2−エチル−9,10−アントラキノン、2−t−ブチル−9,10−アントラキノン等のアントラキノン誘導体、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体が挙げられるが、これに限定されることはない。
これらの光ラジカル重合開始剤は、単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、後述する熱ラジカル重合開始剤と併用していてもよい。
光ラジカル重合開始剤の添加量としては、ラジカル重合性化合物(B)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上15質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上10質量部以下である。光ラジカル重合開始剤が0.1質量部以上の場合、重合が十分である。光ラジカル重合開始剤が15質量部以下の場合、分子量が十分に増大し、耐熱性あるいは耐衝撃性が十分に得られる。
[熱ラジカル重合開始剤]
熱ラジカル重合開始剤としては、加熱によりラジカルを発生するものであれば特に制限されず従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、アゾ系化合物、過酸化物および過硫酸塩等を好ましいものとして例示することができる。アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(メチルイソブチレ−ト)、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)等が挙げられる。過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレートおよびジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムおよび過硫酸カリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。
熱ラジカル重合開始剤としては、加熱によりラジカルを発生するものであれば特に制限されず従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、アゾ系化合物、過酸化物および過硫酸塩等を好ましいものとして例示することができる。アゾ系化合物としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(メチルイソブチレ−ト)、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)等が挙げられる。過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレートおよびジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等が挙げられる。過硫酸塩としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムおよび過硫酸カリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。
熱ラジカル重合開始剤の添加量としては、ラジカル重合性化合物(B)100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上15質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上10質量部以下である。熱ラジカル重合開始剤が0.1質量部以上の場合、重合が十分となる。熱ラジカル重合開始剤が15質量部以下の場合、分子量が十分に増大し、耐熱性あるいは耐衝撃性が十分に得られる。
<その他の成分(添加剤)>
本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明の目的、効果を損なわない範囲において、その他の任意成分として各種の添加剤が含有されていてもよい。添加剤の添加量としては、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、0.05質量部以上25質量部以下であることが好ましい。より好ましくは0.1質量部以上20質量部以下である。
本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明の目的、効果を損なわない範囲において、その他の任意成分として各種の添加剤が含有されていてもよい。添加剤の添加量としては、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、0.05質量部以上25質量部以下であることが好ましい。より好ましくは0.1質量部以上20質量部以下である。
例えば、硬化物に所望の物性を付与するための物性改質剤として、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリクロロプレン、ポリエステル、ポリシロキサン、石油樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、セルロース樹脂などの樹脂、あるいはポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリフェニルスルホン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、液晶ポリマー、ポリトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのエンジニアリングプラスチック、フッ素系オリゴマー、シリコーン系オリゴマー、ポリスルフィド系オリゴマー、金、銀、鉛などの軟質金属、黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化リチウム、窒化ケイ素、セレン化モリブデンなどの層状結晶構造物質を添加しても良い。
また、光増感剤として、フェノチアジン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等の重合禁止剤、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、およびキサントン化合物などを添加しても良い。
他の添加剤としては、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、無機充填剤、顔料、染料、酸化防止剤、難燃剤、増粘剤、消泡剤等を挙げることができる。
<硬化性樹脂組成物>
本発明の組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、並びに、必要に応じてその他の任意成分の適量を攪拌容器に仕込んで、通常、20℃以上120℃以下、好ましくは40℃以上100℃以下で攪拌する。そして、必要に応じて揮発性の溶剤等を除去することにより製造することができる。
本発明の組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、並びに、必要に応じてその他の任意成分の適量を攪拌容器に仕込んで、通常、20℃以上120℃以下、好ましくは40℃以上100℃以下で攪拌する。そして、必要に応じて揮発性の溶剤等を除去することにより製造することができる。
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、光造形法に用いる造形材料として好適に用いることができる。すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物に対して、紫外・可視光線、電子線、X線、放射線などの活性エネルギー線を選択的に照射して硬化に必要なエネルギーを供給することにより、所望の形状の造形物を製造することができる。
<硬化物の製造方法>
本発明の硬化性樹脂組成物を、活性エネルギー線照射や熱照射といった公知の方法を用いて硬化せしめることによって硬化物を製造することができる。活性エネルギー線としては、紫外・可視光線、電子線、X線、放射線などを挙げることができる。なかでも、入手が容易な点と、光ラジカル重合開始剤との相性の点で、300nm以上450nm以下の波長を有する紫外・可視光線を好ましく用いることができる。紫外・可視光線の光源としては、紫外・可視光線レーザー(例えばArレーザー、He−Cdレーザーなど)、水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯などを使用することができる。なかでも、レーザー光源が、エネルギーレベルを高めて造形時間を短縮でき、しかも集光性に優れていて高い造形精度を得ることができる点から、好ましく採用される。硬化方法は、硬化性樹脂組成物が含有するラジカル重合開始剤の種類に合わせて適宜選択することができる。また、硬化方法は単独でも、複数組み合わせて用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物を、活性エネルギー線照射や熱照射といった公知の方法を用いて硬化せしめることによって硬化物を製造することができる。活性エネルギー線としては、紫外・可視光線、電子線、X線、放射線などを挙げることができる。なかでも、入手が容易な点と、光ラジカル重合開始剤との相性の点で、300nm以上450nm以下の波長を有する紫外・可視光線を好ましく用いることができる。紫外・可視光線の光源としては、紫外・可視光線レーザー(例えばArレーザー、He−Cdレーザーなど)、水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯などを使用することができる。なかでも、レーザー光源が、エネルギーレベルを高めて造形時間を短縮でき、しかも集光性に優れていて高い造形精度を得ることができる点から、好ましく採用される。硬化方法は、硬化性樹脂組成物が含有するラジカル重合開始剤の種類に合わせて適宜選択することができる。また、硬化方法は単独でも、複数組み合わせて用いてもよい。
<立体物の製造方法>
本発明の硬化性樹脂組成物は、光造形法の造形材料として好適に用いることができる。本発明の硬化性樹脂組成物を硬化せしめてなる立体造形物は、公知の光造形法および装置を用いて作製することができる。好ましい光造形法の代表例としては、(i)光硬化性樹脂組成物を所定の厚さで配置する工程、(ii)三次元モデル(造形モデル)の三次元形状データから生成したスライスデータに基づいて、光硬化性樹脂組成物に光エネルギーを照射して硬化させる工程をそれぞれ複数回含む方法であり、大きく分けて自由液面法と規制液面法の2種類がある。
本発明の硬化性樹脂組成物は、光造形法の造形材料として好適に用いることができる。本発明の硬化性樹脂組成物を硬化せしめてなる立体造形物は、公知の光造形法および装置を用いて作製することができる。好ましい光造形法の代表例としては、(i)光硬化性樹脂組成物を所定の厚さで配置する工程、(ii)三次元モデル(造形モデル)の三次元形状データから生成したスライスデータに基づいて、光硬化性樹脂組成物に光エネルギーを照射して硬化させる工程をそれぞれ複数回含む方法であり、大きく分けて自由液面法と規制液面法の2種類がある。
図1に、自由液面法を用いた光造形装置100の構成例を示す。光造形装置100は、液状の光硬化性樹脂組成物10を満たした槽11を有している。槽11の内側には、造形ステージ12が、駆動軸13によって鉛直方向に駆動可能に設けられている。光源14から射出された、光硬化性樹脂組成物10を硬化するための活性エネルギー線15は、スライスデータに従って制御部18によって制御されるガルバノミラー16で照射位置が変更され、槽11の表面を走査される。図1では、走査範囲を太い破線で示している。
活性エネルギー線15によって硬化される光硬化性樹脂組成物10の厚さdは、スライスデータの生成時の設定に基づいて決まる値で、得られる造形物17の精度(造形する物品の三次元形状データの再現性)に影響を与える。厚さdは、制御部18が駆動軸13の駆動量を制御することによって達成される。
まず、制御部18が設定に基づいて駆動軸13を制御し、ステージ12の上に厚さdで光硬化性樹脂組成物が供給される。ステージ12上の液状の硬化性樹脂組成物に、所望のパターンを有する硬化層が得られるように、スライスデータに基づいて活性エネルギー線が選択的に照射され、硬化層が形成される。次いで、ステージ12を白抜きの矢印の方向に移動させることによって、硬化層の表面に厚さdで未硬化の硬化性樹脂組成物が供給される。そして、スライスデータに基づいて活性エネルギー線15が照射され、先に形成した硬化層と一体化した硬化物が形成される。この層状に硬化させる工程を繰り返すことによって目的とする立体的な造形物17を得ることができる。
製造に用いる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、放射線などを挙げることができる。そのうちでも、300nm以上450nm以下の波長を有する紫外線が経済的な観点から好ましく用いられる。その際の光源としては、紫外線レーザー(例えばArレーザー、He−Cdレーザーなど)、水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、蛍光灯などを使用することができる。そのうちでも、レーザー光源は、エネルギーレベルを高めて造形時間を短縮でき、しかも集光性に優れていて高い造形精度を得ることができる点で好ましい。
硬化性樹脂組成物よりなる未硬化層に活性エネルギー線を照射して、所望の形状パターンを有する各硬化樹脂層を形成するに当たっては、レーザー光のように点あるいは線状に絞られた活性エネルギー線を、点描方式または線描方式で照射してもよい。また、液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッターなどのような微小光シャッターを複数配列して形成した面状描画マスクを通して未硬化層に活性エネルギー線を面状に照射する方式を採用してもよい。
また、規制液面法を用いる光造形装置は、図1の光造形装置100のステージ12が造形物を液面の上方に引き上げるように設けられ、光照射手段が槽11の下方に設けられた構成となる。規制液面法の代表的な造形例は、次のとおりである。まず、昇降自在に設けられた支持ステージの支持面と硬化性樹脂組成物を収容した槽の底面とが所定の距離となるように設置され、支持ステージの支持面と槽の底面との間に硬化性樹脂組成物が供給される。次いで、硬化性樹脂組成物を収容した槽の底面側から、レーザー光源あるいは、プロジェクターによって、ステージ支持面と槽の底面との間の硬化性樹脂組成物に、スライスデータに応じて選択的に光が照射される。光の照射により、ステージ支持面と槽の底面との間の硬化性樹脂組成物が硬化し、固体状の硬化樹脂層が形成される。その後、支持ステージを上昇させて、硬化樹脂層を槽の底面から引きはがす。
次いで、支持ステージの上に形成された硬化層と槽の底面との間が所定の距離となるように支持ステージの高さを調整する。そして、先ほどと同様に選択的に光を照射することによって、硬化樹脂層と槽の底面との間に先に形成した硬化樹脂層と一体化する新しい硬化樹脂層を形成する。そして、光照射されるパターンを変化させながら或いは変化させずに、この工程を所定回数繰り返すことにより、複数の硬化樹脂層が一体的に積層されてなる立体造形物が造形される。
このようにして得られる造形物を容器から取り出し、必要に応じて洗浄するなどして、その表面に残存する未反応の硬化性樹脂組成物を除去する。洗浄剤としては、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類に代表されるアルコール系有機溶剤;アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等に代表されるケトン系有機溶剤;テルペン類に代表される脂肪族系有機溶剤を用いることができる。なお、未反応の硬化性樹脂組成物を除去した後には必要に応じて、活性エネルギー線または熱(熱処理)によるポストキュアーを行っても良い。ポストキュアーを施すことによって、造形物の表面、および内部に残存する未反応の硬化性樹脂組成物を硬化させることができ、造形物の表面のべたつきを抑えることができる他、造形物の初期強度を向上させることができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<材料>
以下、実施例、および比較例にて使用した材料を列記する。
以下、実施例、および比較例にて使用した材料を列記する。
[ラジカル重合性化合物((B)成分)]
B−1−1:二官能ウレタンアクリレート;「CN9001NS」(アルケマ株式会社製、重量平均分子量(実測値):5.4×103)
B−1−2:二官能ウレタンアクリレート;「KAYARAD UX−4101」(日本化薬株式会社製、重量平均分子量(実測値):6.5×103)
B−1−3:二官能ウレタンアクリレート;「UA−122P」(新中村化学工業株式会社製、重量平均分子量(実測値):2.2×103)
B−1−4:二官能ポリカーボネートジオールジアクリレート;「UM−90(1/3)DA」(宇部興産株式会社製、重量平均分子量(実測値):2.7×103)
B−2−1:アクリロイルモルフォリン;「ACMO」(KJケミカルズ社製)
B−2−2:N−ビニル−ε−カプロラクタム ;「NVC」(東京化成工業株式会社製)
B−2−3:ジシクロペンタニルアクリレ−ト;「FA−513AS」(日立化成株式会社製)
B−2−4:イソボルニルアクリレート;「IBA」(東京化成工業株式会社製)
B−1−1:二官能ウレタンアクリレート;「CN9001NS」(アルケマ株式会社製、重量平均分子量(実測値):5.4×103)
B−1−2:二官能ウレタンアクリレート;「KAYARAD UX−4101」(日本化薬株式会社製、重量平均分子量(実測値):6.5×103)
B−1−3:二官能ウレタンアクリレート;「UA−122P」(新中村化学工業株式会社製、重量平均分子量(実測値):2.2×103)
B−1−4:二官能ポリカーボネートジオールジアクリレート;「UM−90(1/3)DA」(宇部興産株式会社製、重量平均分子量(実測値):2.7×103)
B−2−1:アクリロイルモルフォリン;「ACMO」(KJケミカルズ社製)
B−2−2:N−ビニル−ε−カプロラクタム ;「NVC」(東京化成工業株式会社製)
B−2−3:ジシクロペンタニルアクリレ−ト;「FA−513AS」(日立化成株式会社製)
B−2−4:イソボルニルアクリレート;「IBA」(東京化成工業株式会社製)
[ラジカル重合開始剤((C)成分)]
C−1:光ラジカル発生剤;「Irgacure819」(BASF社製)
C−1:光ラジカル発生剤;「Irgacure819」(BASF社製)
<評価・測定方法>
[ラジカル重合性化合物(B)中の分子量500以上の化合物比率]
ゲルパーミエションクロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)装置(東ソー株式会社製、HLC−8220GPC)に、Shodex GPC LF−804カラム(昭和電工株式会社製、排除限界分子量:2×106、分離範囲:300から2×106)を2本直列に配置し、40℃、展開溶媒としてTHFを用い、RI(Refractive Index、示差屈折率)検出器により分子量分布(保持時間−検出強度曲線)を得た。標準ポリスチレン換算の検量線より導かれた分子量500に相当する保持時間で分子量分布を区分し、全領域面積(X)に対する分子量500以上の領域面積(Y)の比率(Y/X×100[%])を算出することによって、分子量500以上の化合物比率を得た。
[ラジカル重合性化合物(B)中の分子量500以上の化合物比率]
ゲルパーミエションクロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)装置(東ソー株式会社製、HLC−8220GPC)に、Shodex GPC LF−804カラム(昭和電工株式会社製、排除限界分子量:2×106、分離範囲:300から2×106)を2本直列に配置し、40℃、展開溶媒としてTHFを用い、RI(Refractive Index、示差屈折率)検出器により分子量分布(保持時間−検出強度曲線)を得た。標準ポリスチレン換算の検量線より導かれた分子量500に相当する保持時間で分子量分布を区分し、全領域面積(X)に対する分子量500以上の領域面積(Y)の比率(Y/X×100[%])を算出することによって、分子量500以上の化合物比率を得た。
[シャルピー衝撃強さ]
JIS K 7111に準じて、切欠き形成機(株式会社東洋精機製作所製、商品名「ノッチングツール A−4」)にて試験片中央部に深さ2mm、45°の切欠き(ノッチ)を入れた。衝撃試験機(株式会社東洋精機製作所製、商品名「IMPACT TESTER IT」)を用い、試験片の切欠きの背面から2Jのエネルギーで破壊する。150°まで振り上げたハンマーが試験片破壊後に振りあがる角度から破壊に要したエネルギーを算出し、それをシャルピー衝撃強さとし、耐衝撃性の指標とした。
JIS K 7111に準じて、切欠き形成機(株式会社東洋精機製作所製、商品名「ノッチングツール A−4」)にて試験片中央部に深さ2mm、45°の切欠き(ノッチ)を入れた。衝撃試験機(株式会社東洋精機製作所製、商品名「IMPACT TESTER IT」)を用い、試験片の切欠きの背面から2Jのエネルギーで破壊する。150°まで振り上げたハンマーが試験片破壊後に振りあがる角度から破壊に要したエネルギーを算出し、それをシャルピー衝撃強さとし、耐衝撃性の指標とした。
[硬化性樹脂組成物の粘度]
粘度は、回転式レオメーター法で測定した。具体的には、粘弾性測定装置(Physica MCR302、アントンパール社製)を用いて、下記のように測定した。
粘度は、回転式レオメーター法で測定した。具体的には、粘弾性測定装置(Physica MCR302、アントンパール社製)を用いて、下記のように測定した。
コーンプレート型測定治具(CP25−2、アントンパール社製;25mm径、2°)を取り付けた測定装置に試料約0.5mLを充填し、25℃に調整する。50s-1の一定せん断速度条件下、データ間隔0.1秒で測定し、0.1秒時の値を粘度とした。
尚、立体造形性の観点から粘度は低い程好ましい。立体造形において、粘度が3,000mPa・sを超えると、造形物に気泡が入る可能性が高くなり好ましくない。そのため、立体造形に用いる硬化性樹脂組成物としては、2,500mPa・s以下であることが好ましい。
<コアシェル型ゴム粒子のアセトン分散液の製造>
[材料]
以下、製造例にて使用した材料を列記する。
ACMO:アクリロイルモルフォリン(KJケミカルズ株式会社製、ACMO(R))
AOMA:αアリルオキシメチルアクリル酸メチル(株式会社日本触媒製、AOMA(R))
OXMA:(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメタクリメチルメタクリレート(宇部興産株式会社製 ETERNACOLL(R)、OXMA)
THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、ビスコート#150、THFA)
CTFA:環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、ビスコート#200、CTFA)
IBMA:イソボルニルメタクリレート(東京化成工業株式会社製)
MMA:メチルメタクリレート(東京化成工業株式会社製)
[材料]
以下、製造例にて使用した材料を列記する。
ACMO:アクリロイルモルフォリン(KJケミカルズ株式会社製、ACMO(R))
AOMA:αアリルオキシメチルアクリル酸メチル(株式会社日本触媒製、AOMA(R))
OXMA:(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメタクリメチルメタクリレート(宇部興産株式会社製 ETERNACOLL(R)、OXMA)
THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、ビスコート#150、THFA)
CTFA:環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(大阪有機化学工業株式会社製、ビスコート#200、CTFA)
IBMA:イソボルニルメタクリレート(東京化成工業株式会社製)
MMA:メチルメタクリレート(東京化成工業株式会社製)
[製造例1]
1Lガラス容器に、ポリブタジエンラテックス(Nipol LX111A2:日本ゼオン株式会社製)185質量部(ポリブタジエンゴム粒子100質量部相当)および脱イオン水315質量部を仕込み、窒素置換を行いながら60℃で撹拌した。エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)0.005質量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.001質量部、およびナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2質量部を加えた。その後、シェル層を形成するラジカル重合性化合物35質量部(メチルメタクリレート(MMA)17.5質量部、アクリロイルモルフォリン(ACMO)17.5質量部)、およびクメンヒドロパーオキサイド0.1質量部の混合物を2時間かけて連続的に添加することにより、ポリブタジエンゴム粒子の表面にラジカル重合性化合物をグラフト重合した。添加終了後、更に2時間撹拌して反応を終了させ、ポリブタジエンゴムをコア層、複素環基を側鎖に有する共重合ポリマーをシェル層として有するコアシェル型ゴム粒子の水分散液を得た。
1Lガラス容器に、ポリブタジエンラテックス(Nipol LX111A2:日本ゼオン株式会社製)185質量部(ポリブタジエンゴム粒子100質量部相当)および脱イオン水315質量部を仕込み、窒素置換を行いながら60℃で撹拌した。エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)0.005質量部、硫酸第一鉄・7水和塩0.001質量部、およびナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2質量部を加えた。その後、シェル層を形成するラジカル重合性化合物35質量部(メチルメタクリレート(MMA)17.5質量部、アクリロイルモルフォリン(ACMO)17.5質量部)、およびクメンヒドロパーオキサイド0.1質量部の混合物を2時間かけて連続的に添加することにより、ポリブタジエンゴム粒子の表面にラジカル重合性化合物をグラフト重合した。添加終了後、更に2時間撹拌して反応を終了させ、ポリブタジエンゴムをコア層、複素環基を側鎖に有する共重合ポリマーをシェル層として有するコアシェル型ゴム粒子の水分散液を得た。
上記のようにして得られたコアシェル型ゴム粒子の水分散液をアセトン450質量部中に投入し、均一に混合した。遠心分離機を用い、回転数12000rpm、温度10℃にて30分間遠心した後、上澄み液を除去した。沈降したコアシェル型ゴム粒子にアセトンを加えて再分散し、上記と同条件で遠心分離、上澄み液の除去を2回繰り返し行うことにより、コアシェル型ゴム粒子A−1のアセトン分散液を得た。コアシェル型ゴム粒子A−1の平均粒径は0.30μmであった。
[製造例2乃至10]
シェル層を形成するラジカル重合性化合物の組成を表1に示す通りに変更した以外は製造例1同様にしてコアシェル型ゴム粒子のアセトン分散液を得た。
シェル層を形成するラジカル重合性化合物の組成を表1に示す通りに変更した以外は製造例1同様にしてコアシェル型ゴム粒子のアセトン分散液を得た。
<実施例1>
コアシェル型ゴム粒子A−1のアセトン分散液(固形分18質量部)と、ラジカル重合性化合物としてB−1−1(30質量部)、B−2−2(40質量部)、B−2−3(30質量部)と、ラジカル重合開始剤としてC−1(2質量部)とを配合し、均一に混合した。回転式の蒸発装置を用いて揮発分であるアセトンを除去することによって硬化性樹脂組成物を得た。
コアシェル型ゴム粒子A−1のアセトン分散液(固形分18質量部)と、ラジカル重合性化合物としてB−1−1(30質量部)、B−2−2(40質量部)、B−2−3(30質量部)と、ラジカル重合開始剤としてC−1(2質量部)とを配合し、均一に混合した。回転式の蒸発装置を用いて揮発分であるアセトンを除去することによって硬化性樹脂組成物を得た。
調製した硬化性樹脂組成物から、下記の方法で硬化物を作成した。まず、二枚の石英ガラスの間に長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの金型を挟み、ここに硬化性樹脂組成物を流し込んだ。流し込んだ硬化性樹脂組成物に対して紫外線照射機(HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社製、商品名「LIGHT SOURCE EXECURE 3000」)で5mW/cm2の紫外線を金型の両面から交互に120秒間ずつ4回照射した。得られた硬化物を50℃の加熱オーブン内に入れて1時間、100℃の加熱オーブン内に入れて2時間熱処理を行うことで、長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの試験片を得た。
表2乃至4に硬化性樹脂組成物の粘度、および硬化物のシャルピー衝撃強さを示した。
<実施例2乃至14、比較例1乃至5>
表2乃至4に示す成分を用いた以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物、および硬化物を得た。表2乃至4に硬化性樹脂組成物の粘度、および硬化物のシャルピー衝撃強さを示した。
表2乃至4に示す成分を用いた以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物、および硬化物を得た。表2乃至4に硬化性樹脂組成物の粘度、および硬化物のシャルピー衝撃強さを示した。
<結果のまとめ>
複素環構造を有するコアシェル型ゴム粒子(A−1乃至A−5)を用い、B−1−1成分を用いた実施例1乃至5は、(B)成分の組成が同じである比較例1乃至3と比較して粘度が大幅に低減されている。また、同様に、B−1−2成分を用いた実施例7も比較例4と比較して粘度が大幅に低減されている。B−1−1はポリカーボネート基を有するウレタンアクリレートであり、B−1−2はポリエステル基を有するウレタンアクリレートであり、どちらの構造を有するb−1成分に対しても粘度低減効果が見られた。
複素環構造を有するコアシェル型ゴム粒子(A−1乃至A−5)を用い、B−1−1成分を用いた実施例1乃至5は、(B)成分の組成が同じである比較例1乃至3と比較して粘度が大幅に低減されている。また、同様に、B−1−2成分を用いた実施例7も比較例4と比較して粘度が大幅に低減されている。B−1−1はポリカーボネート基を有するウレタンアクリレートであり、B−1−2はポリエステル基を有するウレタンアクリレートであり、どちらの構造を有するb−1成分に対しても粘度低減効果が見られた。
10:光硬化性樹脂組成物、11:槽、12:ステージ、13:駆動軸、14:光源、15:活性エネルギー線、16:ガルバノミラー、17:造形物、18:制御部、100:光造形装置
Claims (17)
- コアシェル型ゴム粒子(A)と、
分子内に1個以上のラジカル重合性官能基を有するラジカル重合性化合物(B)と、
ラジカル重合開始剤(C)とを含有する硬化性樹脂組成物であって、
前記コアシェル型ゴム粒子(A)は、コア層と、複素環構造を有する重合体を含有するシェル層を有し、
前記ラジカル重合性化合物(B)の含有量は、前記硬化性樹脂組成物の全成分の合計を100質量%とした場合、50質量%以上99質量%以下であり、
前記ラジカル重合性化合物(B)は、分子量500以上のラジカル重合性化合物(b−1)を2質量%以上70質量%以下含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。 - 前記コアシェル型ゴム粒子(A)の前記シェル層に含まれる前記複素環構造は、環上に酸素、窒素、硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を一個以上有することを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記コアシェル型ゴム粒子(A)の前記コア層と前記シェル層の質量比率は、前記コア層100質量部に対して、前記シェル層が1質量部以上200質量部以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記コアシェル型ゴム粒子(A)の前記シェル層が含有する前記複素環構造を有する重合体は、側鎖に複素環基を有する重合体であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記分子量500以上のラジカル重合性化合物(b−1)は、ウレタンアクリレートであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記分子量500以上のラジカル重合性化合物(b−1)は、ウレタン結合、カーボネート結合、エステル結合のうち一種、もしくは複数種を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ラジカル重合性化合物(B)は、分子量500未満のラジカル重合性化合物(b−2)を含有し、前記分子量500未満のラジカル重合性化合物(b−2)は、単官能の(メタ)アクリル酸エステルもしくは単官能の(メタ)アクリルアミド誘導体であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記ラジカル重合性化合物(B)として、単官能アクリルアミド系化合物、または単官能(メタ)アクリレート系化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記コアシェル型ゴム粒子(A)の平均粒径は、20nm以上2μm以下であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記硬化性樹脂組成物におけるコアシェル型ゴム粒子(A)の含有量が、前記ラジカル重合性化合物(B)100質量部に対して、7質量部以上65質量部以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記コアシェル型ゴム粒子(A)の前記コア層は、ブタジエンゴム、架橋ブタジエンゴム、スチレン/ブタジエン共重合ゴム、スチレン/ブタジエン/アクリロニトリル/メチルメタクリレートから選ばれる少なくとも2種を共重合してなる共重合ゴム、アクリルゴム、シリコーン/アクリル複合ゴム、及びウレタンゴムから選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記光ラジカル重合開始剤の含有量が、前記ラジカル重合性化合物(B)100質量部に対して、0.1質量部以上15質量部以下であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記コアシェル型ゴム粒子(A)と、前記ラジカル重合性化合物(B)と、前記ラジカル重合開始剤(C)の合計100質量部に対して、0.05質量部以上25質量部以下のその他の添加剤を含むことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなることを特徴とする硬化物。
- 光造形法を用いた物品の製造方法であって、
(i)光硬化性樹脂組成物を所定の厚さで配置する工程
(ii)造形モデルのスライスデータに基づいて、前記光硬化性樹脂組成物に光エネルギーを照射して硬化させる工程
をそれぞれ複数回含み、
前記光硬化性樹脂組成物が、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物であることを特徴とする立体物の製造方法。 - さらに、前記(i)と(ii)の工程によって得られた立体物に熱処理を施す工程を有することを特徴とする請求項15に記載の立体物の製造方法。
- 前記光エネルギーが、レーザー光源またはプロジェクターから照射される光であることを特徴とする、請求項15または16に記載の立体物の製造方法。
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