JP2021172780A - インクジェットインクとそれを用いた化粧シート - Google Patents

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Abstract

【課題】硬化後に接着性を有し、基材フィルムと保護フィルムとを、接着層を介さず直接に接着できる模様層のもとになるインクジェットインク、および上記インクジェットインクからなる模様層を有する化粧シートを提供する。【解決手段】インクジェットインクは、(1)イソホロンジイソシアネート構造を有するイソシアネート、カプロラクトン系ポリオールを含むポリオール、および水酸基含有(メタ)アクリレートからなる、重量平均分子量Mwが1000〜10000のウレタン(メタ)アクリレート、(2)炭素数6〜18の直鎖アルキル基を有する単官能のアルキル(メタ)アクリレート、および(3)炭素数6〜18の直鎖アルキル基を有する2官能のアルキル(メタ)アクリレートを含む。化粧シートは、基材フィルムと保護フィルムとを、上記インクジェットインクからなる模様層を介して直接に接着した。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェットインク、および当該インクジェットインクの硬化物からなる模様層を含み、家屋の床等の装飾などに用いられる化粧シートに関するものである。
たとえば、床材等に模様をつけるために、当該模様が印刷された化粧シートを用いる場合がある。
従来の化粧シートは、たとえば、塩化ビニル系樹脂からなる基材フィルムの表面に、グラビア印刷法等によって模様層を印刷して製造されるのが一般的である。
しかし近年、様々な分野で、印刷法として、オンデマンドで任意の模様等を印刷することが可能なインクジェット印刷法が普及しつつあることから、化粧シートの模様層の印刷にも、インクジェット印刷法を利用することが検討されている。
インクジェット印刷法によれば、従来の他の印刷法と同様に、指定数量の化粧シートを量産できるだけでなく、たとえば、複数枚を繋げて一つの大きな絵柄にするような用途のために、1枚ずつ異なる模様の化粧シートを個別に製造することも容易である。
ただし化粧シートには、長期間の使用を考慮して、模様層の耐光性や化粧シートの全体での耐久性等に優れることが求められる。
そこで、化粧シートの模様を印刷するためのインクジェットインクとして、たとえば、紫外線等の照射によって硬化反応する光硬化性のインクジェットインクを用いることが検討されている(特許文献1、2等参照)。
また、模様層を保護するため、当該模様層の上に、塩化ビニル系樹脂のクリアフィルムからなる保護フィルムを積層して一体化させる場合もある(特許文献3等参照)。
特開2018−35369号公報 特開2019−172869号公報 特開平09−300559号公報
しかし、特許文献1、2に記載の模様層を含め、従来の模様層はいずれも、それ自体は硬化後に接着性を有しない。
そのため、当該模様層の上に保護フィルムを積層して一体化させるためには、模様層と保護フィルムとを、特許文献3に記載されているように、任意の接着層を介して接着しなければならない。
そのため、かかる化粧シートにおいては模様層を、保護フィルムだけでなく、接着層をも介して見ることになり、保護フィルム側から見た模様の精細性が低下するという課題がある。
また、接着層を形成する工程が増加する分、化粧シートの生産性が低下したり、製造コストが上昇したりするといった課題もある。
本発明の目的は、それ自体が硬化後にも接着性を有し、基材フィルムと保護フィルムとを、種々の課題を生じる従来の接着層を介さず直接に接着できる模様層のもとになる、新規なインクジェットインクを提供することにある。
また本発明の目的は、上記インクジェットインクからなる模様層を有する化粧シートを提供することにある。
本発明は、ラジカル重合性成分、ラジカル重合開始剤、および着色剤を含み、前記ラジカル重合性成分は、
(1) 分子中にイソホロンジイソシアネート構造を有するイソシアネート、カプロラクトン系ポリオールを含むポリオール、および水酸基含有(メタ)アクリレートからなる、重量平均分子量Mwが1000以上、10000以下のウレタン(メタ)アクリレート、
(2) 分子中に炭素数6以上、18以下の直鎖アルキル基を有する単官能のアルキル(メタ)アクリレート、および
(3) 分子中に炭素数6以上、18以下の直鎖アルキル基を有する2官能のアルキル(メタ)アクリレート、
を少なくとも含むインクジェットインクである。
また本発明は、塩化ビニル系樹脂からなる基材フィルム、塩化ビニル系樹脂のクリアフィルムからなり、前記基材フィルムの上に積層された保護フィルム、および前記本発明のインクジェットインクの硬化物からなり、前記基材フィルムと前記保護フィルムとの間に介在されて、当該両フィルム間を接着した、接着層を兼ねる模様層を含む化粧シートである。
本発明によれば、それ自体が硬化後にも接着性を有し、基材フィルムと保護フィルムとを、種々の課題を生じる従来の接着層を介さず直接に接着できる模様層のもとになる、新規なインクジェットインクを提供することができる。
また本発明によれば、上記インクジェットインクからなる模様層を有する化粧シートを提供することができる。
《インクジェットインク》
本発明のインクジェットインクは、前述したようにラジカル重合性成分、ラジカル重合開始剤、および着色剤を含み、上記ラジカル重合性成分は、
(1) 分子中にイソホロンジイソシアネート構造を有するイソシアネート、カプロラクトン系ポリオールを含むポリオール、および水酸基含有(メタ)アクリレートからなる、重量平均分子量Mwが1000以上、10000以下のウレタン(メタ)アクリレート(以下「ウレタン(メタ)アクリレート(1)」と略記する場合がある。)、
(2) 分子中に炭素数6以上、18以下の直鎖アルキル基を有する単官能のアルキル(メタ)アクリレート(以下「単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)」と略記する場合がある。)、および
(3) 分子中に炭素数6以上、18以下の直鎖アルキル基を有する2官能のアルキル(メタ)アクリレート(以下「2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)」と略記する場合がある。)、
を少なくとも含むインクジェットインクである。
本発明のインクジェットインクからなる模様層は、ウレタン(メタ)アクリレート(1)に基づいて、硬化後に加熱すると接着性(熱接着性)を発現する。
つまり模様層が接着層としても機能するため、本発明のインクジェットインクによれば、基材フィルムと保護フィルムとを、種々の課題を生じる従来の接着層を介さず直接に接着できる模様層を形成することができる。
しかもウレタン(メタ)アクリレート(1)は硬化速度が高い上、硬化後のべたつきが小さいため、基材フィルムと保護フィルムとを、模様層を介して接着する際の作業性や、化粧シートの生産性を向上することもできる。
しかし、ウレタン(メタ)アクリレート(1)は塩化ビニル系樹脂からなる基材フィルムおよび/または保護フィルムの表面に対する濡れ性が低く、接触角が大きいため、インクジェットインクのレベリング性が低下する場合がある。
すなわち、ウレタン(メタ)アクリレート(1)のみを含むインクジェットインクを用いて、塩化ビニル系樹脂からなる表面に、インクジェット印刷法によって模様層を印刷しても、当該模様層を形成するドットが上記表面で濡れ拡がりにくい傾向がある。
そして単位面積あたりの、ドットの占める面積の割合が小さくなって、基材フィルムと保護フィルムとの接着の強度(剥離強度)が不足する場合がある。
これに対し、単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)は界面活性剤のように機能して、インクジェットインクの全体での表面張力を低下させ、基材フィルムおよび/または保護フィルムの表面に対する濡れ性を向上して、接触角を小さくすることができる。
そのため、単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)をウレタン(メタ)アクリレート(1)と併用することで、インクジェットインクの、塩化ビニル系樹脂からなる基材フィルムおよび/または保護フィルムの表面に対するレベリング性を向上することができる。
そして単位面積あたりの、ドットの占める面積の割合を大きくして、基材フィルムと保護フィルムとの剥離強度を向上することができる。
ただし単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)は硬化速度が低い上、硬化後のべたつきが大きいため、基材フィルムと保護フィルムとを、模様層を介して接着する際の作業性や、化粧シートの生産性が低下する場合がある。
2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)は、単官能アルキル(メタ)アクリレートほどではないものの界面活性剤のように機能する上、当該単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)よりも硬化速度が高い。
そのため、さらに2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)を併用することで、インクジェットインクのレベリング性を低下させずに硬化速度を高めることができる。
そして基材フィルムと保護フィルムとを、模様層を介して接着する際の作業性や、化粧シートの生産性を向上することができる。
これらのことは、後述する実施例、比較例、従来例の結果からも明らかである。
なお本発明のインクジェットインクは、ラジカル重合開始剤として光ラジカル重合開始剤を含み、紫外線等の照射によって硬化反応する光硬化性のインクジェットインクとするのが好ましい。
そのため、以下では光硬化性のインクジェットインクについて説明するが、インクジェットインクが、熱硬化性を有する熱硬化性のインクジェットインク等であってもよいことは、言うまでもない。
〈ラジカル重合性成分〉
(ウレタン(メタ)アクリレート(1))
ウレタン(メタ)アクリレート(1)としては、分子中にイソホロンジイソシアネート構造を有するイソシアネート、カプロラクトン系ポリオールを含むポリオール、および水酸基含有(メタ)アクリレートの反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートを用いる。
かかるウレタン(メタ)アクリレート(1)は、重量平均分子量Mwが1000以上、10000以下に限定される。
ウレタン(メタ)アクリレート(1)の重量平均分子量Mwがこの範囲に限定されるのは、下記の理由による。
すなわち、重量平均分子量Mwが上記の範囲未満であるウレタン(メタ)アクリレートでは、模様層の膜強度が低下して、基材フィルムと保護フィルムとの剥離強度が不足する場合がある。
一方、重量平均分子量Mwが上記の範囲を超えるウレタン(メタ)アクリレートでは、インクジェットインクの粘度が高くなりすぎ、インクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性が低下して、ノズルの目詰まり等を生じやすくなる場合がある。
これに対し、重量平均分子量Mwが上記の範囲であるウレタン(メタ)アクリレート(1)を用いることにより、インクジェットインクの粘度の上昇と吐出安定性の低下とを抑制しながら、基材フィルムと保護フィルムとの剥離強度を良好な範囲に維持することができる。
重量平均分子量が上記の範囲であるウレタン(メタ)アクリレート(1)を合成するためには、イソシアネート、ポリオール、および水酸基含有(メタ)アクリレートの種類や割合を調整すればよい。
またウレタン(メタ)アクリレート(1)は、インクジェットインクの硬化物に三次元網目状構造を導入して、より強固な模様層を形成するために2官能以上、つまりアクリル基を2つ以上有している必要があり、とくに3官能であるのが好ましい。
2官能のウレタン(メタ)アクリレート(1)でも三次元網目状構造を形成できるが、3官能のものよりも硬化速度が低いため架橋密度が不足し、模様層の膜強度が不足して、基材フィルムと保護フィルムとの剥離強度を十分に確保できない場合がある。
なお2官能のウレタン(メタ)アクリレート(1)でも、十分にラジカル重合反応させれば、架橋密度を向上して、模様層の膜強度や、基材フィルムと保護フィルムとの剥離強度を向上することはできる。
しかしそのためには、紫外線等の照射時間を長くする等しなければならないため、化粧シートの生産性が低下する場合がある。
一方、4官能以上のウレタン(メタ)アクリレート(1)は、硬化速度は高いもののインクジェットインクの粘度が高くなりすぎ、インクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性が低下して、ノズルの目詰まり等を生じやすくなる場合がある。
これに対し3官能のウレタン(メタ)アクリレート(1)は硬化速度が高い上、4官能以上のものよりも粘度が低いため、インクジェットインクの粘度の上昇と吐出安定性の低下を抑制しながら、基材フィルムと保護フィルムとの剥離強度を良好な範囲に維持できる。
2官能のウレタン(メタ)アクリレート(1)は、イソシアネートとしてイソホロンジイソシアネートを用いて合成することができる。
また、3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート(1)は、たとえばイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体等の、3官能以上、つまり3つ以上のイソシアネート基を有する変性体を用いて合成することができる。
ポリオールとしては、カプロラクトン系ポリオールを用いる。
カプロラクトン系ポリオールとしては、カプロラクトンを出発原料とする、任意の分子量を有し、かつ好ましくは2官能、つまり2個の水酸基を有する種々のカプロラクトン系ポリオールを用いることができる。
また、カプロラクトン系ポリオールとともに、他のポリオールを併用してもよい。
他のポリオールとしては、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の1種または2種以上を用いることができる。
さらに水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、カプロラクトン変性−2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、カプロラクトン変性−2−ヒドロキシエチルメタクリレートの1種または2種以上を用いることができる。
ウレタン(メタ)アクリレート(1)の具体例としては、これに限定されないが、たとえば、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体と、2官能のカプロラクトン系ポリオールと、2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物(3官能)であって、反応条件や原料組成等を調整して合成される、前述した範囲内の任意の重量平均分子量Mwを有するもの等が挙げられる。
上記ウレタン(メタ)アクリレート(1)の1種または2種以上を用いることができる。
(単官能アルキル(メタ)アクリレート(2))
単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)としては、分子中に炭素数6以上、18以下の直鎖アルキル基を有し、かつ当該直鎖アルキル基の一端に(メタ)アクリレート基を1つ有する種々の単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)を用いる。
単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)の直鎖アルキル基の炭素数が上記の範囲に限定されるのは、炭素数が範囲未満、または範囲を超える場合には、前述した効果が得られないためである。
直鎖アルキル基は、たとえば、炭素数1〜3のアルキル基などの、任意の置換基を含んでいてもよい。
分子中に炭素数6以上、18以下の直鎖アルキル基を有する単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)としては、これに限定されないが、たとえば、ヘキシルアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:6〕、2−エチルヘキシルアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:6〕、ラウリルアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:12〕、テトラデシルアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:14〕、ヘキサデシルアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:16〕、ステアリルアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:18〕、ヘキシルメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:6〕、2−エチルヘキシルメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:6〕、ラウリルメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:12〕、テトラデシルメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:14〕、ヘキサデシルメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:16〕、ステアリルメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:18〕等が挙げられる。
中でも単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)としては、前述した効果をより一層向上することを考慮すると、ラウリルアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:12〕が好ましい。
これら単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)の1種または2種以上を用いることができる。
(2官能アルキル(メタ)アクリレート(3))
2官能アルキル(メタ)アクリレートとしては、分子中に炭素数6以上、18以下の直鎖アルキル基を有し、かつ当該直鎖アルキル基の両端に(メタ)アクリレート基を1つずつ、計2つ有する2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)を用いる。
2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)の直鎖アルキル基の炭素数が上記の範囲に限定されるのは、炭素数が範囲未満、または範囲を超える場合には、前述した効果が得られないためである。
直鎖アルキル基は、たとえば、炭素数1〜3のアルキル基などの、任意の置換基を含んでいてもよい。
2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)としては、これに限定されないが、たとえば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:6〕、1,8−オクタンジオールジアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:8〕、1,9−ノナンジオールジアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:9〕、1,10−デカンジオールジアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:10〕、1,11−ウンデカンジオールジアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:11〕、1,12−ドデカンジオールジアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:12〕、1,13−トリデカンジオールジアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:13〕、1,14−テトラデカンジオールジアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:14〕、1,15−ペンタデカンジオールジアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:15〕、1,18−オクタデカンジオールジアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:18〕、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:6〕、1,8−オクタンジオールジメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:8〕、1,9−ノナンジオールジメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:9〕、1,10−デカンジオールジメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:10〕、1,11−ウンデカンジオールジメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:11〕、1,12−ドデカンジオールジメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:12〕、1,13−トリデカンジオールジメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:13〕、1,14−テトラデカンジオールジメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:14〕、1,15−ペンタデカンジオールジメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:15〕、1,18−オクタデカンジオールジメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:18〕等が挙げられる。
中でも2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)としては、前述した効果をより一層向上することを考慮すると、1,9−ノナンジオールジアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:9〕が好ましい。
これら2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)の1種または2種以上を用いることができる。
((1)〜(3)のラジカル重合性成分の割合)
ウレタン(メタ)アクリレート(1)の質量をU、単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)の質量をS、2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)の質量をDとしたとき、質量比(S+D)/Uは1以上であるのが好ましく、8以下であるのが好ましい。
質量比(S+D)/Uがこの範囲未満では、単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)、および2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)の量が不足するため、インクジェットインクのレベリング性が低下する傾向がある。
そのため単位面積あたりの、ドットの占める面積の割合が小さくなって、基材フィルムと保護フィルムとの剥離強度が不足する場合がある。
また、3成分の中では粘度の高いウレタン(メタ)アクリレート(1)の量が多くなるため、インクジェットインクの粘度が上昇し、インクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性が低下して、ノズルの目詰まり等を生じやすくなる場合もある。
一方、質量比(S+D)/Uが上記の範囲を超える場合には、ウレタン(メタ)アクリレート(1)の量が不足するため、硬化後の模様層の熱接着性が低下して、却って、基材フィルムと保護フィルムとの剥離強度が不足する場合がある。
また、相対的に単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)、および2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)の量が多くなるため、硬化後のべたつきが大きくなりやすい。
そして基材フィルムと保護フィルムとを、模様層を介して接着する際の作業性や、化粧シートの生産性が低下する場合がある。
これは、2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)も、単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)ほどではないものの、ウレタン(メタ)アクリレート(1)よりは硬化後のべたつきが大きいためでもある。
これに対し、質量比(S+D)/Uを上記の範囲とすることにより、熱接着性、べたつき、レベリング性、吐出安定性等の各特性のバランスにすぐれたインクジェットインクを得ることができる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、質量比(S+D)/Uは、上記の範囲でも1.5以上であるのが好ましく、5以下であるのが好ましい。
また、単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)の質量Sと、2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)の質量Dの質量比D/Sは0.3以上であるのが好ましく、8以下であるのが好ましい。
質量比D/Sがこの範囲未満では、2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)の量が不足するため、硬化速度が低くなって、基材フィルムと保護フィルムとを、模様層を介して接着する際の作業性や、化粧シートの生産性が低下する場合がある。
一方、質量比D/Sが上記の範囲を超える場合には、単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)の量が不足するため、インクジェットインクのレベリング性が低下する傾向がある。
そのため単位面積あたりの、ドットの占める面積の割合が小さくなって、却って、基材フィルムと保護フィルムとの剥離強度が不足する場合がある。
これに対し、質量比D/Sを上記の範囲とすることにより、レベリング性と硬化速度の両特性のバランスにすぐれたインクジェットインクを得ることができる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、質量比D/Sは、上記の範囲でも0.5以上であるのが好ましく、5以下であるのが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート(1)の割合は、インクジェットインクの総量の3質量%以上、とくに5質量%以上であるのが好ましく、17質量%以下、とくに15質量%以下であるのが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート(1)の割合がこの範囲未満では、硬化後の模様層の熱接着性が低下して、基材フィルムと保護フィルムとの剥離強度が不足する場合がある。
一方、ウレタン(メタ)アクリレート(1)の割合が上記の範囲を超える場合にはインクジェットインクのレベリング性が低下し、単位面積あたりの、ドットの占める面積の割合が小さくなって、基材フィルムと保護フィルムとの剥離強度が不足する場合がある。
これに対し、ウレタン(メタ)アクリレート(1)の割合を上記の範囲とすることにより、熱接着性とレベリング性の両特性をともに向上して、基材フィルムと保護フィルムとの剥離強度を向上することができる。
単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)の割合は、インクジェットインクの総量の2質量%以上、とくに4質量%以上であるのが好ましく、17質量%以下、とくに15質量%以下であるのが好ましい。
また、2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)の割合は、インクジェットインクの総量中5質量%以上、とくに7質量%以上であるのが好ましく、30質量%以下、とくに22質量%以下であるのが好ましい。
(その他のラジカル重合性成分)
ラジカル重合性成分としては、上記(1)〜(3)の3種のみを用いてもよいが、さらに他のラジカル重合性成分を併用してもよい。
併用してもよい他のラジカル重合性成分としては、
(4) 分子中にアクリルアミド構造を有するモノマー(以下「アクリルアミドモノマー(4)」と略記する場合がある。)
が挙げられる。
アクリルアミドモノマー(4)は総じて低粘度であり、(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分を含むインクジェットインクをさらに低粘度化する反応性希釈剤として機能する。
そして模様層の精細性を向上したり、インクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性を向上したりすることができる。
またアクリルアミドモノマー(4)は、
・ プラスチック等に対する溶解性が強すぎないため、インクジェットプリンタのヘッドのプラスチック部品等を溶解したりしにくい特性、すなわちマテリアルコンパチビリティが高いことから、使用できる部材の材質が制限されたりしにくい、
・ 揮発乾燥しにくいため、インクジェットプリンタのヘッドの乾燥を防ぎ、間欠印刷性を向上できる、
・ レベリング性が高い、
といった特性をも有している。
たとえば、インクジェットインクをオンデマンド型のインクジェットプリンタに使用すると、とくに印刷のデキャップタイムにインクジェットプリンタのノズルで目詰まり等して、印刷の再開時にかすれ等を生じやすい場合がある。
デキャップタイムとは、オンデマンド型のインクジェットプリンタに複数設けられたノズルのうち、間欠印刷時に、印刷パターンに応じてインク滴が吐出されない待機状態とされたノズル内のインクジェットインクが、外気にさらされている時間を指す。
インクジェットプリンタには通常、その運転停止時に、ノズル内のインクジェットインクが外気にさらされることで乾燥して、目詰まり等を生じたりしないようにするために、ノズルを閉じる(キャップする)機能が付与されているのが一般的である。
しかし印刷時にはキャップは解除されているため、とくに、間欠印刷時に待機状態となるノズルは、次にインク滴が吐出されるまでの間、ノズルが閉じられていない状態(デキャップの状態)が続く。
そしてその間、ノズル内のインクジェットインクは外気にさらされ続けることになるため、上記時間、つまりデキャップタイムが長いほど、ノズルの目詰まり等を生じやすくなる傾向がある。
デキャップタイムにノズルの目詰まり等を生じにくい特性を、間欠印刷性の良否として評価することとする。
目詰まり等を生じないデキャップタイムが長ければ長いほど、インクジェットインクは、間欠印刷性が良好であると評価することができる。
アクリルアミドモノマー(4)としては、これに限定されないが、たとえば、KHネオケム(株)製のダイアセトンアクリルアマイド(ジアセトンアクリルアミド、DAAM)、KJケミカルズ(株)製のKohshylmer(登録商標)シリーズのうちジメチルアクリルアミド(DMAA)、アクリロイルモルフォリン(ACMO)、ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)、イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)、ジエチルアクリルアミド(DEAA)、ジメチルアミノプロピルアミド(DMAPAA)等が挙げられる。
中でもDEAAが、前述した特性にとくに優れるため、好適に使用される。
これらアクリルアミドモノマー(4)の1種または2種以上を用いることができる。
アクリルアミドモノマー(4)の割合は、インクジェットインクの総量の25質量%以上、とくに30質量%以上であるのが好ましく、55質量%以下、とくに50質量%以下であるのが好ましい。
アクリルアミドモノマー(4)の割合がこの範囲未満では、当該アクリルアミドモノマー(4)を配合することによる前述した効果が十分に得られず、とくに間欠印刷性が低下してデキャップタイムにノズルの目詰まり等を生じやすくなる場合がある。
一方、アクリルアミドモノマー(4)の割合が上記の範囲を超える場合には、相対的に(1)〜(3)のラジカル重合性成分の割合が少なくなるため、熱接着性が低下したり、模様層の膜強度が低下したりしやすくなる。
そして、基材フィルムと保護フィルムとの剥離強度が不足する場合がある。
これに対し、アクリルアミドモノマー(4)の割合を上記の範囲とすることにより、間欠印刷性、熱接着性、および膜強度等の各特性のバランスにすぐれたインクジェットインクを得ることができる。
なお本発明のインクジェットインクを、たとえば、インクジェットインクを加熱して吐出するヘッドを備えたインクジェットプリンタに使用する場合には、当該加熱によって、インクジェットインクの粘度を大きく低下させることができる。
そのため、反応性希釈剤としてのアクリルアミドモノマー(4)を配合しなくてもよい場合もある。
アクリルアミドモノマー(4)以外の、併用してもよい他のラジカル重合性成分としてはたとえば、直鎖アルキル基の炭素数が6〜18以外である単官能のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
かかる単官能のアルキル(メタ)アクリレートとしては、これに限定されないが、たとえば、メチルアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:1〕、エチルアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:2〕、プロピルアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:3〕、ブチルアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:4〕、エイコシルアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:20〕、ベヘニルアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:22〕、メチルメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:1〕、エチルメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:2〕、プロピルメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:3〕、ブチルメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:4〕、エイコシルメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:20〕、ベヘニルメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:22〕等の1種または2種以上を用いることができる。
また、他のラジカル重合性成分としては、たとえば、直鎖アルキル基の炭素数が6〜18以外である2官能のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
かかる2官能のアルキル(メタ)アクリレートとしては、これに限定されないが、たとえば、1,19−ノナデカンジオールジアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:19〕、1,20−エイコサンジオールジアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:20〕、1,19−ノナデカンジオールジメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:19〕、1,20−エイコサンジオールジメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:20〕等の1種または2種以上を用いることができる。
ただし、本発明の効果をより一層向上することを考慮すると、ラジカル重合性成分としては、前述した(1)〜(3)の3種のみ、または(1)〜(4)の4種のみ(それぞれのラジカル重合性成分について2種以上を併用する場合を含む。)を併用するのが好ましい。
〈光ラジカル重合開始剤〉
光ラジカル重合開始剤としては、紫外線等の任意の波長の光の照射によってラジカルを発生させて、前述したラジカル重合性成分をラジカル重合反応させることができる種々の化合物が、いずれも使用可能である。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、たとえば、下記の各種化合物等が挙げられる。
ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、特開2008−280427号公報の一般式(1)で表されるベンゾフェノン化合物等のベンゾフェノン類またはその塩。
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン、特開2008−280427号公報の一般式(2)で表されるチオキサントン化合物等のチオキサントン類またはその塩。
エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン類。
アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシフェニルアセトフェノン、4′−ジメチルアミノアセトフェノン、ジメチルヒドロキシアセトフェノン等のアセトフェノン類。
2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体等のイミダゾール類。
ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ‐1‐(4−モルホリノフェニルブタン)−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、9,10−フェナンスレンキノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル等のベンゾイン類。
9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体。
ビスアシルフォスフィンオキサイド、ビスフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド類。
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリハロメチルトリアジン、ベンジル、メチルベンゾイル、ベンゾイル蟻酸メチル、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルフォリノブチロフェノン等。
これら光ラジカル重合開始剤の1種または2種以上を用いることができる。
光ラジカル重合開始剤の割合は、任意に設定することができる。
ただし、インクジェットインクに良好な光硬化性を付与することを考慮すると、当該インクジェットインクの総量の0.1質量%以上であるのが好ましく、12質量%以下であるのが好ましい。
〈増感剤〉
光硬化性のインクジェットインクには、必要に応じて、任意の増感剤を配合してもよい。
増感剤は、紫外線等の照射によって励起状態となり、光ラジカル重合開始剤と相互作用して、当該光ラジカル重合開始剤におけるラジカルの発生を助けるために機能する。
とくに、光源としてLEDを使用する場合には、その波長域が狭いことから、インクジェットインクが感度を有する波長域を広げて感度を向上する、すなわち増感するために増感剤を配合するのが好ましい。
増感剤としては、上述した光ラジカル重合開始剤のうち、たとえば、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンと4−イソプロピルチオキサントンの混合物などのチオキサントン類またはその塩や、ベンゾフェノンと2,3−および4−メチルベンゾフェノンの共晶混合物、メチル−2−ベンゾフェノン、ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチルフェニルサルファイド、4−メチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン類またはその塩、2−エチルアントラキノン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)などが挙げられる。
また、その他の増感剤としては、たとえば、エチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2−エチル−4−(ジメチルアミノベンゾエート)等のベンゾエート化合物、ナフタレンベンゾオキサゾリル誘導体、チオフェンベンゾオキサゾリル誘導体、スチルベンベンゾオキサゾリル誘導体、クマリン誘導体、スチレンビフェニル誘導体、ピラゾロン誘導体、スチルベン誘導体、ベンゼン及びビフェニルのスチリル誘導体、ビス(ベンザゾールー2−イル)誘導体、カルボスチリル、ナフタルイミド、ジベンゾチオフェン−5,5’−ジオキシドの誘導体、ピレン誘導体、ピリドトリアゾール、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
増感剤としては、以上で説明した各種の増感剤の中から、光源からの光の波長域、および光ラジカル重合開始剤の吸収波長域に応じて増感に適した吸収波長域を有する化合物を、それぞれ1種または2種以上用いることができる。
増感剤の割合は、任意に設定することができる。
〈ラジカル重合禁止剤〉
光硬化性のインクジェットインクには、必要に応じて、ラジカル重合禁止剤を配合してもよい。
ラジカル重合禁止剤は、光硬化性のインクジェットインクを貯蔵中、あるいはパッケージに封入して保管中などに、ラジカル重合性成分がラジカル重合反応してインクジェットインクがゲル化するのを防止するために機能する。
ラジカル重合禁止剤としては、上記の機能を有する種々の化合物がいずれも使用可能である。
ラジカル重合禁止剤としては、たとえば、ニトロソアミン系化合物、ハイドロキノン類、カテコール類、ヒンダードアミン類、フェノール類、フェノチアジン類、縮合芳香族環のキノン類等の1種または2種以上が挙げられる。
このうち、ニトロソアミン系化合物としては、たとえば、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアンモニウム塩(アンモニウム−N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン)、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアルミニウム塩(アルミニウム−N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン)等の1種または2種以上が挙げられる。
ハイドロキノン類としては、たとえば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、1−o−2,3,5−トリメチロールハイドロキノン、2−tert−ブチルハイドロキノン等の1種または2種以上が挙げられる。
カテコール類としては、たとえば、カテコール、4−メチルカテコール、4−tert−ブチルカテコール等の1種または2種以上が挙げられる。
ヒンダードアミン類としては、重合禁止効果を有する任意のヒンダードアミン類の1種または2種以上が好ましい。
フェノール類としては、たとえば、フェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ピロガロール、没食子酸アルキルエステル、ヒンダードフェノール類等の1種または2種以上が挙げられる。
フェノチアジン類としては、たとえば、フェノチアジン等が挙げられる。
さらに縮合芳香族環のキノン類としては、たとえば、ナフトキノン等が挙げられる。
ラジカル重合禁止剤の割合は、インクジェットインクの総量の0.01質量%以上であるのが好ましく、3質量%以下であるのが好ましい。
〈着色剤〉
着色剤としては、インクジェットインクの色味に応じた各色の、種々の顔料、染料等を用いることができる。
とくに、模様層の耐光性等を向上することを考慮すると、種々の無機顔料および/または有機顔料が好ましい。
このうち無機顔料としては、たとえば、酸化チタン、酸化鉄等の金属化合物や、あるいはコンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造された中性、酸性、塩基性等の種々のカーボンブラックが挙げられる。
また有機顔料としては、たとえば、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、またはキレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(たとえば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、またはキノフタロン顔料等)、染料キレート(たとえば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等が挙げられる。
顔料の具体例としては、下記の各種顔料が挙げられる。
(イエロー顔料)
C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、14C、16、17、20、24、73、74、75、83、86、93、94、95、97、98、109、110、114、117、120、125、128、129、130、137、138、139、147、148、150、151、154、155、166、168、180、185、213、214
(マゼンタ顔料)
C.I.ピグメントレッド5、7、9、12、48(Ca)、48(Mn)、49、52、53、57(Ca)、57:1、97、112、122、123、149、168、177、178、179、184、202、206、207、209、242、254、255
(シアン顔料)
C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:3、15:4、15:6、15:34、16、22、60
(ブラック顔料)
C.I.ピグメントブラック7
(オレンジ顔料)
C.I.ピグメントオレンジ36、43、51、55、59、61、71、74
(グリーン顔料)
C.I.ピグメントグリーン7、36
(バイオレット顔料)
C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50
顔料は、インクジェットインクの色味に応じて、1種または2種以上を用いることができる。
たとえば、カーボンブラックで黒色を表現する場合、より青黒く見せるためにシアン顔料を添加してもよい。
顔料は、インクジェットインク中での分散安定性を向上するために、表面を処理してもよい。
また顔料は、前述したアクリルアミドモノマー(4)等を分散媒として用いて、当該分散媒中に分散させた顔料分散液の状態で、インクジェットインクの製造に用いてもよい。
顔料分散液には、顔料を良好に分散させるために、分散剤等を添加してもよい。
分散剤としては、たとえば、高分子系分散剤、界面活性剤等の種々の分散剤が、いずれも使用可能である。
顔料等の着色剤の割合は、当該着色剤の種類やインクジェットインクの色味等に応じて、任意に設定することができる。
〈その他〉
インクジェットインクには、さらに各種の添加剤を配合してもよい。
添加剤としては、たとえば、塩酢ビ系樹脂の安定化剤および/または可塑剤として機能するエポキシ化合物等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、たとえば、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化脂肪酸オクチルエステル、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル等の1種または2種以上を用いることができる。
エポキシ化合物の割合は、インクジェットインクの総量の0.1質量%以上であるのが好ましく、3質量%以下であるのが好ましい。
またインクジェットインクには、上記の各成分を溶解または分散させるために、任意の有機溶剤を配合することも考えられる。しかし、有機溶剤を配合したインクジェットインクは乾燥に時間がかかるため、化粧シートの生産性が低下する場合がある。
前述した(1)〜(4)のラジカル重合性成分は、いずれも硬化前は液状であり、しかもアクリルアミドモノマー(4)は、インクジェットインクの粘度や流動性を調製するための溶剤としても機能するため、有機溶剤を省略することが可能である。
そのためインクジェットインクは、有機溶剤を含まない無溶剤系とするのが好ましい。
インクジェットインクは、上記の各成分を、それぞれ所定の割合で配合し、撹拌して調製することができる。
なおインクジェットインクは、光硬化性には限定されず、前述したように、熱硬化性を有するインクジェットインク等であってもよい。
《化粧シート》
本発明の化粧シートは、
塩化ビニル系樹脂からなる基材フィルム、
塩化ビニル系樹脂のクリアフィルムからなり、上記基材フィルムの上に積層された保護フィルム、および
本発明のインクジェットインクの硬化物からなり、上記基材フィルムと保護フィルムとの間に介在されて、当該両フィルム間を接着した、接着層を兼ねる模様層
を含む。
上記本発明の化粧シートは、基材フィルムと保護フィルムとを、従来の接着層を介さず、接着層を兼ねる模様層を介して直接に接着しているため、保護フィルム側から見た模様の精細性を向上できる。
また、接着層を形成する工程を省略できる分、化粧シートの生産性を向上し、製造コストを抑制することもできる。
基材フィルムとしては、従来同様に、塩化ビニル系樹脂に、可塑剤等の任意の添加剤を配合した樹脂組成物を成形したフィルム等を用いることができる。
基材フィルムの厚みは、化粧シートの用途等に応じて任意に設定できるが、たとえば、3μm以上であるのが好ましく、6mm以下であるのが好ましい。
保護フィルムとしては、従来同様に、塩化ビニル系樹脂に、可塑剤等の任意の添加剤を配合した樹脂組成物を成形したクリアフィルム等を用いることができる。
保護フィルムの厚みは、化粧シートの用途に応じて任意に設定できるが、たとえば、3μm以上であるのが好ましく、6mm以下であるのが好ましい。
模様層は、本発明のインクジェットインクを、インクジェット印刷法によって、基材フィルムの内側面および/または保護フィルムの内側面に直接に印刷したのち、紫外線等の照射によって硬化反応させて形成することができる。
インクジェット印刷法では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色、上記3色にブラック(B)を加えた4色、あるいはそれ以上の多色のインクジェットインクを用いて、フルカラーからモノクロまでの任意の模様層を、オンデマンドで印刷できる。
模様層の厚みは、模様の色味等に応じて適宜、設定できるが、たとえば0.1μm以上であるのが好ましく、20μm以下であるのが好ましい。
模様層の厚みがこの範囲未満では、とくに保護フィルムを通して見た模様の色濃度が不足する場合がある。
一方、模様層の厚みが上記の範囲を超える場合には、模様層を形成するインクジェットインクの硬化物中に未硬化の部分が残りやすく、未硬化の部分が残ると、基材フィルムと保護フィルムとの剥離強度が不足する場合がある。
これに対し、模様層の厚みを上記の範囲とすることにより、保護フィルムを通して見た模様の色濃度を十分に確保しながら、模様層中に未硬化の部分が残るのを抑制して、基材フィルムと保護フィルムとの剥離強度を向上することができる。
基材フィルムと保護フィルムとを、間に模様層を介して直接に接着するためには、従来同様の方法を採用することができる。
具体的には、たとえば、熱プレス法や熱ローラ法などの種々の接着法によって、基材フィルムと保護フィルムとを接着させることができる。
基材フィルムの外側面には、たとえば化粧シートを、床材等の建材の表面に貼り付けるための粘着層、接着層等を積層してもよい。
以下に本発明を、実施例、比較例、従来例に基づいてさらに説明するが、本発明の構成は、これらの例に限定されるものではない。
〈実施例1〉
(顔料分散液の調製)
下記の各成分を、表1に示す割合で配合し、撹拌したのちビーズミルを用いて分散させて顔料分散液を調製した。
顔料:C.I.ピグメントブルー15:4
分散剤:リューブリゾール(Lubrizol)社製のソルスパース(SOLSPERSE、登録商標)32000
分散媒:アクリルアミドモノマー(4)のうちDEAA、
Figure 2021172780
(インクジェットインクの調製)
ラジカル重合性成分のうちウレタン(メタ)アクリレート(1)としては、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体と、2官能のカプロラクトン系ポリオールと、2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物〔組成I、重量平均分子量Mw:2000、3官能〕を用いた。
また、単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)としては、ラウリルアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:12〕を用い、2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)としては、1,9−ノナンジオールジアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:9〕を用いた。
さらにアクリルアミドモノマー(4)としては、ジエチルアクリルアミド(DEAA)を用いた。
これらのラジカル重合性成分と、下記の各成分とを表2に示す割合で配合して十分に溶解するまで撹拌し、次いで、先に調製した顔料分散液を表2に示す割合で加えてさらに撹拌したのち、5μmのメンブランフィルタを用いてろ過してインクジェットインクを調製した。
光ラジカル重合開始剤:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド〔ランブソンジャパン(Lambson Japan)(株)製のSpeedCure(スピードキュア、登録商標)TPO〕
増感剤:2−イソプロピルチオキサントン〔ランブソンジャパン(株)製のスピードキュア2−ITX〕
ラジカル重合禁止剤:Kroachem(クロマケム)社製のFlorstab UV−5
Figure 2021172780
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは3.3、質量比D/Sは2.0であった。
(化粧シートの製造)
先に調製したインクジェットインクを、産業用インクジェットヘッド〔コニカミノルタ(株)製のKM1024iLHE−30〕を装着したインクジェットプリンタに使用して、解像度360dpi×360dpi、印刷速度10m/分の条件で、塩化ビニル系樹脂からなる基材フィルムの内側面に直接に、模様層を連続印刷した。
次いで、模様層を印刷した基材シートを温度23±1℃の環境下、搬送速度10m/分で搬送しながら、LEDランプを通して紫外線を照射して模様層を光硬化させた。
次いで上記基材フィルムと、塩化ビニル系樹脂からなる保護フィルムとを、それぞれの内側面を内側にして、すなわち模様層を間に挟んで重ね合わせた状態で、下記の条件で加熱、加圧することで熱接着したのち、冷却して化粧シートを製造した。
温度:140℃(1分間予熱→5分間加熱プレス→6分間冷却)
圧力:40kgf/cm(≒392.3N/cm
〈実施例2〉
ウレタン(メタ)アクリレート(1)として、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体と、2官能のカプロラクトン系ポリオールと、2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物(組成I、3官能)で、なおかつ重量平均分子量Mwが1000であるものを同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは3.3、質量比D/Sは2.0であった。
〈実施例3〉
ウレタン(メタ)アクリレート(1)として、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体と、2官能のカプロラクトン系ポリオールと、2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物(組成I、3官能)で、なおかつ重量平均分子量Mwが8000であるものを同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは3.3、質量比D/Sは2.0であった。
〈比較例1〉
ウレタン(メタ)アクリレート(1)として、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体と、2官能のカプロラクトン系ポリオールと、2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物(組成I、3官能)で、なおかつ重量平均分子量Mwが12000であるものを同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは3.3、質量比D/Sは2.0であった。
〈比較例2〉
ウレタン(メタ)アクリレート(1)に代えて、ヘキサメチレンジイソシアネートと、2官能のカプロラクトン系ポリオールと、2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物〔組成II、重量平均分子量Mw:2000、2官能〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
〈比較例3〉
ウレタン(メタ)アクリレート(1)に代えて、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体と、2官能のポリエーテル系ポリオールと、2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物〔組成III、重量平均分子量Mw:1000、3官能〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
〈実施例4〉
アクリルアミドモノマー(4)に代えて、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート(VEEA)を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは3.3、質量比D/Sは2.0であった。
〈実施例5〉
単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)として、ヘキシルメタクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:6〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは3.3、質量比D/Sは2.0であった。
〈比較例4〉
単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)として、ブチルアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:4〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは3.3、質量比D/Sは2.0であった。
〈実施例6〉
2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)として、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:6〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは3.3、質量比D/Sは2.0であった。
〈比較例5〉
2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)として、1,4−ブタンジオールジアクリレート〔直鎖アルキル基の炭素数:4〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは3.3、質量比D/Sは2.0であった。
〈実施例7〉
ウレタン(メタ)アクリレート(1)の量を3質量%、アクリルアミドモノマー(4)の量を48.4質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは7.5、質量比D/Sは2.0であった。
〈実施例8〉
ウレタン(メタ)アクリレート(1)の量を5質量%、アクリルアミドモノマー(4)の量を46.4質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは4.5、質量比D/Sは2.0であった。
〈実施例9〉
ウレタン(メタ)アクリレート(1)の量を10質量%、アクリルアミドモノマー(4)の量を41.4質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは2.3、質量比D/Sは2.0であった。
〈実施例10〉
ウレタン(メタ)アクリレート(1)の量を15質量%、アクリルアミドモノマー(4)の量を36.4質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは1.5、質量比D/Sは2.0であった。
〈実施例11〉
ウレタン(メタ)アクリレート(1)の量を17質量%、アクリルアミドモノマー(4)の量を34.4質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは1.3、質量比D/Sは2.0であった。
〈実施例12〉
単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)の量を2.5質量%、2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)の量を20質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは3.3、質量比D/Sは8.0であった。
〈実施例13〉
単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)の量を4質量%、2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)の量を18.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは3.3、質量比D/Sは4.6であった。
〈実施例14〉
単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)の量を6質量%、2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)の量を16.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは3.3、質量比D/Sは2.8であった。
〈実施例15〉
単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)の量を12質量%、2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)の量を10.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは3.3、質量比D/Sは0.9であった。
〈実施例16〉
単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)の量を15質量%、2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)の量を7.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは3.3、質量比D/Sは0.5であった。
〈実施例17〉
単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)の量を17質量%、2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)の量を5.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは3.3、質量比D/Sは0.3であった。
〈実施例18〉
ウレタン(メタ)アクリレート(1)の量を11.4質量%、単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)の量を12.4質量%、2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)の量を24.8質量部、アクリルアミドモノマー(4)の量を25.3質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは3.3、質量比D/Sは2.0であった。
〈実施例19〉
ウレタン(メタ)アクリレート(1)の量を10.2質量%、単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)の量を11.2質量%、2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)の量を22質量部、アクリルアミドモノマー(4)の量を30.5質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは3.3、質量比D/Sは2.0であった。
〈実施例20〉
ウレタン(メタ)アクリレート(1)の量を6質量%、単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)の量を6.6質量%、2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)の量を13.2質量部、アクリルアミドモノマー(4)の量を48.1質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは3.3、質量比D/Sは2.0であった。
〈実施例21〉
ウレタン(メタ)アクリレート(1)の量を4.5質量%、単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)の量を4.9質量%、2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)の量を9.8質量部、アクリルアミドモノマー(4)の量を54.7質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製し、化粧シートを製造した。
(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは3.3、質量比D/Sは2.0であった。
〈従来例1〉
塩化ビニル系樹脂からなる基材フィルムの内側面に、プライマー層を介して、塩酢ビ−アクリル系樹脂インクによって模様層をグラビア印刷し、さらにその上に、塩酢ビ−アクリル系樹脂メジュームによって熱接着層をグラビア印刷した。
次いで、透明アクリル系樹脂からなる保護フィルムを、熱接着層を間に挟んで重ね合わせた状態で加熱、加圧することで、両フィルムを熱接着層によって熱接着したのち、冷却して化粧シートを製造した。
〈剥離強度〉
各実施例、比較例、従来例で製造した化粧シートから、それぞれ幅50mm×長さ150mmの試験片を切り出し、当該試験片の基材フィルムと保護フィルムとをはく離速度200mm/分でT字剥離した際の剥離強度を測定した。
環境条件は、温度23±1℃、相対湿度50±5%とした。
そして下記の基準で、剥離強度を評価した。
○:剥離強度は70N/50mmを超えており、測定機器の測定限界を超える場合もあった。
△:剥離強度は50N/50mmを超え、70N/50mm以下であった。
×:剥離強度は50N/50mm以下であった。
〈吐出安定性〉
各実施例、比較例で化粧シートを製造する各工程のうち、基材シートの内側面に模様層を連続印刷する工程において、印刷した模様層の状態を観察した。
連続印刷の条件、および使用したインクジェットプリンタは、前述したとおりである。
そして下記の基準で、インクジェットインクの吐出安定性を評価した。
○:連続印刷の開始から20分後まで、鮮明な模様層を印刷し続けることができた。
△:連続印刷の開始から20分後には、欠けなどを生じて模様層が不鮮明になったが、10分後までは、鮮明な模様層を印刷しつづけることができた。
×:連続印刷の開始から10分後の時点ですでに欠けなどを生じて、模様層が不鮮明になっていた。
〈硬化速度〉
各実施例、比較例で化粧シートを製造する各工程のうち、内側面に模様層を連続印刷した基材シートを搬送しながら紫外線を照射して模様層を光硬化させる工程において、光硬化直後の模様層を綿棒で擦った際の状態を、基材シートの搬送速度を違えながら観察した。
連続印刷の条件、および使用したインクジェットプリンタは、前述したとおりである。
そして下記の基準で、インクジェットインクの硬化速度を評価した。
○:搬送速度30m/分でも模様層は取れたり掠れたりしなかった。
△:搬送速度30m/分では模様層が取れたり掠れたりしたが、搬送速度20m/分では模様層は取れたり掠れたりしなかった。
×:搬送速度20m/分で模様層が取れたり掠れたりした。
〈間欠印刷性〉
各実施例、比較例で化粧シートを製造する各工程のうち、基材シートの内側面に模様層を連続印刷する工程において、連続印刷を、デキャップの状態で一定時間に亘って停止したのち再開した際の、模様層の状態を観察した。
連続印刷の条件、および使用したインクジェットプリンタは、前述したとおりである。
そして下記の基準で、インクジェットインクの間欠印刷性を評価した。
○:連続印刷を10分間停止しても、再開後に鮮明な模様層を印刷できた。
△:連続印刷を10分間停止したあとは、欠けなどを生じて模様層が不鮮明になったが、5分間の停止であれば、再開後に鮮明な模様層を印刷できた。
×:連続印刷を5分間停止しただけで、欠けなどを生じて模様層が不鮮明になった。
〈模様層の精細性〉
各実施例、比較例、従来例で製造した化粧シートの模様層を、保護フィルムを通して観察して、下記の基準で、模様層の精細性を評価した。
連続印刷の条件、および使用したインクジェットプリンタは、前述したとおりである。
○:模様層は、保護フィルムを熱接着する前と変わらず、濁りやにじみのない鮮明な状態であった。
×:模様層には、保護フィルムを熱接着する前と違って濁りやにじみが見られた。
以上の結果を表3〜表8に示す。
Figure 2021172780
Figure 2021172780
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Figure 2021172780
Figure 2021172780
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表3〜表8の実施例1〜21、比較例2、3、従来例1の結果より、(1)〜(3)の3種、または(1)〜(4)の4種のラジカル重合性成分を含む本発明のインクジェットインクを用いることにより、模様層に熱接着性を付与して接着層を省略して、当該模様層の精細性を向上できることが判った。
ただし実施例1〜21、比較例1の結果より、上記の効果を得るとともに、インクジェットインクの良好な吐出安定性を確保するためにはウレタン(メタ)アクリレート(1)の重量平均分子量Mwが1000以上、10000以下である必要があることが判った。
また、とくに実施例1、5、比較例4の結果より、単官能アルキル(メタ)アクリレート(2)としては、直鎖アルキル基の炭素数が6以上、18以下であるものを用いる必要があることが判った。
実施例1、6、比較例5の結果より、2官能アルキル(メタ)アクリレート(3)としては、直鎖アルキル基の炭素数が6以上、18以下であるものを用いる必要があることが判った。
実施例1、4、18〜21の結果より、反応性希釈剤としては、アクリルアミドモノマー(4)を用いるのが好ましこと、当該アクリルアミドモノマー(4)の割合は、インクジェットインクの総量の25質量%以上、とくに30質量%以上であるのが好ましく、55質量%以下、とくに50質量%以下であるのが好ましいことが判った。
実施例1、7〜11の結果より、(1)〜(3)の3種のラジカル重合性成分の質量比(S+D)/Uは1以上、とくに1.5以上であるのが好ましく、8以下、とくに5以下であるのが好ましいことが判った。
さらに実施例1、12〜17の結果より、(1)(2)の2種のラジカル重合性成分の質量比D/Sは0.3以上、とくに0.5以上であるのが好ましく、8以下、とくに5以下であるのが好ましいこと判った。

Claims (6)

  1. ラジカル重合性成分、ラジカル重合開始剤、および着色剤を含み、前記ラジカル重合性成分は、
    (1) 分子中にイソホロンジイソシアネート構造を有するイソシアネート、カプロラクトン系ポリオールを含むポリオール、および水酸基含有(メタ)アクリレートからなる、重量平均分子量Mwが1000以上、10000以下のウレタン(メタ)アクリレート、
    (2) 分子中に炭素数6以上、18以下の直鎖アルキル基を有する単官能のアルキル(メタ)アクリレート、および
    (3) 分子中に炭素数6以上、18以下の直鎖アルキル基を有する2官能のアルキル(メタ)アクリレート、
    を少なくとも含むインクジェットインク。
  2. さらに、
    (4) 分子中にアクリルアミド構造を有するモノマー
    を含む請求項1に記載のインクジェットインク。
  3. 前記(1)のウレタン(メタ)アクリレートの質量をU、前記(2)の単官能のアルキル(メタ)アクリレートの質量をS、および前記(3)の2官能のアルキル(メタ)アクリレートの質量をDとしたとき、質量比(S+D)/Uは、1以上、8以下である請求項1または2に記載のインクジェットインク。
  4. 前記(2)の単官能のアルキル(メタ)アクリレートと前記(3)の2官能のアルキル(メタ)アクリレートの質量比D/Sは、0.3以上、8以下である請求項3に記載のインクジェットインク。
  5. 塩化ビニル系樹脂からなる基材フィルム、
    塩化ビニル系樹脂のクリアフィルムからなり、前記基材フィルムの上に積層された保護フィルム、および
    前記基材フィルムと前記保護フィルムとの間に介在されて、当該両フィルム間を接着した、接着層を兼ねる模様層
    を含む化粧シートの、前記模様層を形成するために用いる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  6. 塩化ビニル系樹脂からなる基材フィルム、
    塩化ビニル系樹脂のクリアフィルムからなり、前記基材フィルムの上に積層された保護フィルム、および
    前記請求項1ないし5のいずれか1項に記載のインクジェットインクの硬化物からなり、前記基材フィルムと前記保護フィルムとの間に介在されて、当該両フィルム間を接着した、接着層を兼ねる模様層
    を含む化粧シート。
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