JP2021172671A - 粉末状微細セルロース繊維、樹脂組成物、成形体およびその製造方法 - Google Patents

粉末状微細セルロース繊維、樹脂組成物、成形体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は上述の状況を鑑みて為されたものであり、樹脂中での分散性が高い粉末状の化学修飾されたセルロースナノファイバー、およびその製造方法を提供することにある。【解決手段】本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、嵩密度が10〜85g/Lである化学修飾された粉末状微細セルロース繊維とし、これを用いることで、分散剤を用いずとも樹脂中への分散性と樹脂成型時の生産性を両立できることを見出し、本発明を完成させた。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂中への分散性が良好な粉末状微細セルロース繊維、およびその製造方法に関する。
ミクロフィブリル化セルロースやセルロースナノファイバーと呼ばれる微細セルロース繊維は軽量でありながら高弾性率・高強度という特徴から、近年、樹脂の強度や機能性を向上させる目的で微細セルロース繊維と複合化する開発がなされている。また、カーボンニュートラルであることやマイクロプラスチックによる海洋汚染の社会問題から脱プラスチックの動きが盛んになっており、植物由来の材料という点でも注目されている。この樹脂との複合化において、微細セルロース繊維は親水性が極めて高く、汎用の樹脂材料である疎水性のポリプロピレンやポリエチレンなどには特に分散性が悪いという問題がある。
そこで、特許文献1では、木材パルプをアセチル化したのち、樹脂との混錬と同時にパルプの解繊を進行させることで、アセチル化微細セルロース繊維が均一に分散した樹脂を得る手法が提案されている。アセチル化はセルロースの耐熱性向上にも寄与し、また解繊工程と混錬を同時に行うため、低コストで製造できるという効果があるものの、得られる材料は必ず樹脂と複合化した樹脂組成物の形である。そのため、様々な樹脂、用途への応用を考えた場合、樹脂組成物の形態ではなく微細セルロース繊維単独の形態のみである方が応用への自由度が高いのは明白である。また、解繊が進行していない状態でアセチル化するため、解繊後にはアセチル化されてない微細セルロース繊維も含まれるため、微細セルロース繊維との複合化による効果が十分に発揮できていない恐れがある。
一方、特許文献2では、セルロースナノファイバーのスラリーに予め分散剤を添加し、凍結乾燥を経てナノファイバーを粉体化する方法および粉体化させたナノファイバーと樹脂とを混練させた組成物が提案されている。しかしながら、この手法では樹脂中のセルロースナノファイバーの分散性が向上するものの、分散剤とセルロースナノファイバーが結合していないため、分散剤がブリードアウトしてしまい、例えば混練後の樹脂組成物を利用する場面で他部材との接着性や密着性に不具合が生じる恐れがある。また、その分散剤が酸型の場合、樹脂組成物に含まれるセルロースナノファイバーの耐熱性が悪くなる。さらに、分散剤の対イオンが金属イオンの場合、セルロースナノファイバーが黄変したり、樹脂組成物を劣化させたり、樹脂組成物をプリント基板等の電子・電気部品に利用すると配線を腐食する恐れがある。
特開2017−25338号公報 特開2017−210596号公報
本発明は上述の状況を鑑みて為されたものであり、樹脂と複合化させた際に樹脂中での分散性が良好な微細セルロース繊維を単独の形態で得ることを課題とする。また、化学修飾された微細セルロース繊維と樹脂からなる組成物を成形する際の生産効率や他部材との接着性や密着性に優れた粉末状微細セルロース繊維を提供すること、および、当該微細セルロース繊維を容易に化学修飾することを可能とする製造方法を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、嵩密度が10〜85g/Lである化学修飾された粉末状微細セルロース繊維とし、これを用いることで、分散剤を用いずとも樹脂中への分散性と樹脂成型時の生産性を両立できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、嵩密度が10〜85g/Lであり、化学修飾されていることを特徴とする粉末状微細セルロース繊維に関する。
前記粉末状微細セルロース繊維の平均繊維径は3〜1000nmであることが好ましい。
前記粉末状微細セルロース繊維には分散剤を含まないことが好ましい。また、分散剤は陰イオン分散剤を含まないことがより好ましい。
前記粉末状微細セルロース繊維には特に対イオンが金属イオンである分散剤を含まないことが好ましい。
また、本発明は、前記粉末状微細セルロース繊維及び樹脂を含む、樹脂組成物に関する。
さらに、本発明は、前記樹脂組成物を含む成形体に関する。
よりさらに、本発明は、微細セルロース繊維のペーストを凍結乾燥する工程と粉砕する工程とを有し、前記ペーストの固形分濃度が5.1〜9.0質量%未満である、粉末状微細セルロース繊維の製造方法にも関する。
前記ペーストの分散媒は水と有機溶媒の混合物であることが好ましい。
前記有機溶媒がアルコール類、カーボネート類のうち、少なくとも1種を含むことが好ましい。
前記ペーストにセルロースの化学修飾成分を含むことが好ましい。
前記凍結乾燥する工程の後にセルロースを化学修飾する工程を有することが好ましい。
前記製造方法で得られる粉末状微細セルロース繊維の嵩密度は10〜85g/Lであることが好ましい。
本発明では、十分に化学修飾された粉末状微細セルロース繊維が得られることから、樹脂に対して均一に分散することができ、また混錬時の粘度が低いことから樹脂の成型性や生産効率にも優れ、さらに微細セルロース繊維が単独で得られるため、多様な種類の樹脂と複合させた樹脂組成物を様々な用途に使用することができる。
[粉末状微細セルロース繊維]
本発明の第1の態様は、嵩密度が10〜85g/Lであり、化学修飾されていることを特徴とする粉末状微細セルロース繊維である。
粉末状微細セルロース繊維の嵩密度は10〜85g/Lである必要がある。嵩密度の値は、JIS K7365に従って測定される。嵩密度が10g/L未満では粉末状微細セルロース繊維の比表面積が大きすぎるため、当該粉末状微細セルロース繊維を樹脂と混錬する際の粘度が著しく上昇し、混錬時にローターにかかるトルクが高くなる。この混錬トルクが高くなると、良好な分散状態を得るために投入されるエネルギーや時間を過分に要してしまい、生産効率が悪くコストがかかる。嵩密度が85g/Lを超えると混錬トルクの上昇は低く抑えることができるが、当該粉末状微細セルロース繊維の樹脂中への分散性が悪く大きな粒子として存在するおそれがある。また、樹脂との複合化の際に粉末状微細化セルロースにより期待される引張強度、弾性率、靭性といった強度物性の向上や耐熱性、低い線熱膨張率といった熱安定性の向上などの効果が乏しくなるおそれがある。
粉末状微細セルロース繊維は化学修飾されている。ここでの「化学修飾」とは、微細セルロース繊維の水酸基のすべて、もしくは部分的に水酸基とは異なる官能基に置換する任意の処理を意味する。粉末状微細セルロース繊維は、混練等の樹脂との複合化の際に使用する樹脂に応じて適切な官能基があるため、置換する官能基は任意に設計することができ、例えば汎用樹脂として代表的であるポリプロピレンやポリエチレンには水酸基とアシル化やエステル化させてアルキル基、シリル基、フェニル基等の疎水性を付与する官能基で化学修飾することが好ましい。セルロースの水酸基とのアシル化、エステル化は当該技術分野で周知・慣用であり、また微細セルロース繊維が粉末、水分散体、有機溶媒分散体といった状態ごとに適用できる化学修飾方法が異なるため、使用する化学修飾材料は特に限定されるものではない。特に、化学修飾としては、疎水化剤を用いてセルロースの水酸基を疎水性基に置換することが好ましい。このような疎水化の処理としては、アシル化、エステル化、アルキル化、エーテル化、トシル化、エポキシ化等の任意の疎水化が挙げられる。
粉末状微細セルロース繊維の「粉末状」とは、固体状の形態を有する微細セルロースが細かく砕かれた状態をいう。微細セルロース繊維の一部が粉末状でなくてもよい。
本発明の微細セルロース繊維は、セルロース繊維を微細化処理して得られる。セルロース繊維を微細化処理する装置は特に限定されるものではないが、例えば、高圧ホモジナイザー処理(マントン・ゴーリン型分散機による高圧分散処理)、ラニエタイプ圧力式ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー処理(アルテマイザーTM(スギノマシン株式会社製))、ビーズミルや流星ミル等の分散装置、マスコロイダー(増幸産業株式会社製)等のホモジナイザー等が挙げられる。また、叩解度は特に限定しないが、微細化処理する前にダブルディスクリファイナー、ビーター等製紙用で使用している叩解機を前処理に使用することも可能である。特に高圧ホモジナイザーなどのオリフィスを通すタイプの微細化処理装置の場合、前処理で叩解をしないと原料が詰まったり、安定した微細化処理ができなくなる恐れがある。また、前記微細化処理装置は、一般的に生産効率が低いため、叩解機であらかじめ前処理を施した方が生産効率が高くなるため好ましい。さらに、TEMPO酸化触媒を用いる化学処理によってナノファイバー化されたセルロースナノファイバー(TOCN)を用いることも可能ではあるが、叩解機で前処理を行い、ホモジナイザーで微細化する機械処理が好ましい。
微細化処理にあたり、使用可能なセルロース繊維は、特に限定はなく公知のものが使用でき、例えば、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)等の木材漂白化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミカルサーモメカニカルパルプ(BCTMP)等の機械パルプ;麻、竹、藁、ケナフ、三椏、楮、木綿等の非木材パルプ;古紙パルプが使用できる。これらのセルロース繊維の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明では、特にセルロースI型、セルロースII型等のセルロースの型は限定されないが、好ましくはコットン、コットンリンター、木材パルプに代表されるような、セルロースI型の天然繊維である。さらに好ましくは、繊維の解繊時に切断よりもフィブリル化が進行しやすい針葉樹由来の漂白木材パルプのNBKPである。再生セルロースに代表されるセルロースII型の繊維はセルロースI型の繊維に比べ結晶化度が低くフィブリル化処理を行う際に、短繊維化しやすく、樹脂と複合化した際の強度向上の効果が低くなるおそれがあるため好ましくない。
前記セルロース繊維を主体とするが、必要に応じてこれにカチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ、レーヨン、ビニロン、ナイロン、アクリル、ポリエステル、ポリオレフィン、カーボン、アラミド等の合成繊維や化学繊維、またはミクロフィブリル化パルプを単独で、あるいは混合して併用することができる。
セルロース繊維はセルロース分子の持つ水酸基により、水に均一に分散することが可能であるが、そのスラリーの粘度は、セルロース繊維の繊維長と表面積に依存する。セルロース繊維が細くなることは、それだけセルロースの表面積が増えるため、スラリーの粘度も必然的に上昇することになる。TOCNなどの化学処理によって得られる微細セルロース繊維はシングルナノオーダーの繊維径で得られるが、上記の理由から極めて粘度が高いため濃度を高くすることができない。粉末状の化学修飾微細セルロース繊維を得る本発明においては、濃度はコストに大きく影響を受けるため、好ましくない。
本発明における、化学修飾された微細セルロース繊維の平均繊維径は3nm〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは3nm〜500nm、さらに好ましくは3nm〜300nm、よりさらに好ましくは3nm〜200nm、最も好ましくは30nm〜200nmである。繊維径がこの範囲であることで樹脂と混錬した際の分散性が良好となり、後述するような、微細セルロース繊維により期待される種々の効果が発現する。平均繊維径の測定は以下の手順で行う。まず、化学修飾された繊維セルロース繊維の粉末を試料台に載せ、高分解能電子顕微鏡(FE−SEM)で観察し、得られたSEM画像の水平方向、および垂直方向にラインを引く。次に、二つのラインで交差するすべての繊維の繊維径を拡大画像から実測し、測定結果から数平均繊維径を算出する。さらに、試料台に載せた粉末の表面の少なくとも2箇所について同様に数平均繊維径を算出し、全ての数平均繊維径の平均値を平均繊維径とする。
セルロース繊維はその水酸基により、脱水工程において繊維同士が水素結合を行う性質を持っている。この水素結合形成の工程において例えば紙などのシートの場合は強度が発現する一方で、繊維間が相互作用により乾燥工程における収縮が生じる。特に繊維径が細くなるに従い繊維の剛度が下がり、また繊維間に働く凝集力が大きくなるため、この収縮が顕著に見られる。また極度にフィブリル化が進んだ繊維を用いて作成したシートは繊維間が完全に密着するために作成したフィルムは透明化することが知られている。つまり、通常の脱水や乾燥方法では微細セルロース繊維を単離することは困難である。このため、微細セルロース繊維を単離するには乾燥時の収縮を抑えること、または繊維間の水素結合を阻害させることが必要となる。これまでに提案されている具体的な手法は、微細セルロース繊維をアセトンのような親水性の溶媒に置換した後、更にトルエンとアセトンの混合溶媒といったより疎水性の高い溶媒に置換して乾燥させる等の方法が提案されている。しかしながら、この手法は2つの問題点がある。まず一つは分散溶媒の水からアセトンに溶媒置換する作業である。セルロース繊維は、繊維径が細くなるに従い保水性が高くなるため、水から溶媒への置換は非常に時間のかかる作業となっており実生産の面で生産性を下げる要因となっている。また、疎水性の高い溶媒で置換されているため、水素結合は阻害されており、溶媒の表面張力も低いため、凝集力も水に比べれば小さくなるものの、収縮は生じるため、微細セルロース繊維が本来有していた大きな比表面積の低下は免れない。
そこで、微細化処理後の微細セルロース繊維を収縮、および凝集することなく水を除去するために凍結乾燥することが好ましい。凍結乾燥とは、セルロース繊維と分散媒の混合物を凍結状態のまま減圧して分散媒を昇華させることによって材料を収縮させることなく乾燥することができる手法である。本発明では、前記微細化処理後の微細セルロース繊維と分散媒からなるペーストを凍結乾燥することが好ましい。凍結乾燥におけるペーストの凍結方法は特に限定されないが、例えば、液体窒素などの冷媒の中にペーストを入れて凍結させる方法、大気圧化でペーストを低温雰囲気に置いて凍結させる方法、減圧下でペーストを低温雰囲気下に置いて凍結させる方法がある。好ましくは、大気圧下でペーストを低温雰囲気に置いて凍結させる方法である。ペーストの凍結温度は、分散媒の凝固点以下にする必要があり、−20℃以下が好ましく、−30℃以下であることがより好ましい。凍結乾燥は凍結後に昇華させるが、減圧下でなければ乾燥が遅くなる。減圧時の圧力は0.10kPa以下が好ましく、0.05kPa以下がより好ましい。
本発明において、前記微細セルロース繊維のペーストに用いる分散媒は、水と有機溶媒の混合物とすることが好ましく、有機溶媒としてアルコール類、カーボネート類のうち少なくとも一種を含む混合ペーストとすることがより好ましい。このような有機溶媒を混合させることで、乾燥時の微細セルロース繊維の凝集を抑制することができる。アルコール類およびカーボネート類としては、水と均一に混和できれば特に限定はされないが、昇華した有機溶媒を凍結することで回収できるt−ブチルアルコール、およびエチレンカーボネートが特に好ましい。分散溶媒中の前記有機溶媒の含有量は、10%以上が好ましく、さらに好ましくは20%以上である。
本発明において、前記混合ペースト中の微細セルロース繊維の濃度は5.1%以上9.0%未満であることが好ましい。混合ペースト中の微細セルロース繊維が5.1%未満の場合、混合ペーストの分散媒中での微細セルロース繊維の分散性は良好だが、凍結乾燥後に高い比表面積となるため、樹脂と混錬する際の粘度が高くなり、樹脂組成物を成形する際の作業効率、生産効率が悪くなり、実用性に欠けるため好ましくない。さらに、その高い比表面積のため、化学修飾する際に部分的に修飾されない繊維が増えることにより、樹脂中で分散しない凝集物を発生させてしまうおそれがある。また、混合ペースト中の微細セルロース繊維が9.0%以上になると、後工程の粉砕工程や樹脂との混錬工程でも粉砕・分散しきれない微細セルロース繊維の凝集物が多くなり、樹脂と複合化した際の微細セルロース繊維の分散性が悪くなり、樹脂の透明度の低下や強度向上効果が得難いため好ましくない。
微細セルロース繊維の凍結乾燥後の乾燥物を粉末状にするにあたっては、粉砕する工程を必要とする。粉砕する工程で使用する粉砕機としては、カッターミル、ボールミル、ディスクミル、気流式粉砕機などが挙げられ、その中で凍結乾燥後の微細セルロース繊維を塊状に凝集させない条件設定ができる装置であれば特に限定されないが、カッターミルでプレ粉砕したのち、気流式粉砕機を用いることが好ましい。気流式粉砕機は、原料同士を衝突させる衝撃で粉砕するため、原料に必要以上の圧縮力がかからず、粉末の嵩密度を低くすることができるため好ましい。気流式粉砕機としては、例えば、スーパージェットミル(日清エンジニアリング株式会社製)やドライバースト(スギノマシン株式会社製)等が挙げられる。
本発明では、凍結乾燥後の乾燥物である多孔質体の密度が0.051g/cm以上0.090g/cm未満であることが好ましい。多孔質体の密度が0.051g/cm未満の場合、微細セルロース繊維の比表面積が大きいため、粉砕後の嵩密度が低くなりすぎてしまい、樹脂組成物の生産効率に影響する樹脂トルクが上昇してしまうことや化学修飾工程セルロースの水酸基を十分に別の官能基に置換できないおそれがあるため好ましくない。また、0.090g/cm以上の場合は、粉砕後の嵩密度が低くなるため、樹脂トルクの上昇は抑制できるが、微細セルロース繊維を樹脂中に均一に分散することができなくなるため好ましくない。多孔質体の密度は、前記ペーストの濃度に依存するため、多孔質体の密度は前記ペーストの固形分濃度で調整することができる。
粉末状微細セルロース繊維は化学修飾されている。化学修飾する工程は凍結乾燥する工程と同時に行ってもよく、凍結乾燥工程の後でも構わない。凍結乾燥する工程と同時に行う微細セルロース繊維の化学修飾方法は、混合ペースト中の水の存在下で微細セルロース繊維を処理することができ、樹脂と混錬する際に分散性が良好で混錬時の粘度が著しく向上しない限りは特に限定されないが、例えばシランカップリング剤が好適に用いられる。シランカップリング剤は、ビニル基、エポキシ基、メタクリル基、フェニル基、アミノ基、フルオロ基、イソシアネート基など様々な官能基を有する化合物が工業的に製造されており、化学修飾の設計の幅が広い。そのため、複合化する樹脂に合わせて化学修飾微細セルロース繊維の設計することができるため好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、トリメトキシフェニルシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。また、イソシアネート化合物もシランカップリング剤と同様に様々な官能基を有する化合物が工業的に製造されており、化学修飾の幅が広く、安価な材料であるため、コスト面でも優れている。ただし、イソシアネート基は水酸基との反応性が非常に高いため、凍結乾燥工程中で化学修飾する場合は、イソシアネート基をブロック化しているトリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)などが好ましい。化学修飾工程を凍結乾燥工程と同時に実施することは工程を削減することができるため、低コストであるというメリットがあるが、混合ペーストには水が含まれているため、水との反応性が高い試薬を用いての修飾や低極性の溶媒中で反応させる手法をとることができないというデメリットがある。
本発明では、凍結乾燥工程中で化学修飾を行わない場合、粉砕工程後に化学修飾工程を行う。凍結乾燥工程と粉末工程を経た微細セルロース繊維粉末であれば、トルエンやヘキサンなどの低極性溶媒中での化学修飾が可能となるが、樹脂と混錬する際に分散性が良好で混錬時の粘度が著しく向上しない限りはこれに限定されないが、水を含む反応は処理後に水を除去しない限り微細セルロース繊維粉末を再凝集させてしまうため好ましくない。
例えば、シランカップリング剤を使う場合は加水分解水溶液ではなく、シラン原液、もしくは有機溶媒の希釈液を用いるか蒸着などの気相法で化学修飾することが好ましい。また、イソシアネート化合物については凍結乾燥工程で水分を除去しているため、イソシアネート基をブロック化していないオクタデシルイソシアネート、フェニルイソシアネートなどを用いることができる。ブロック化していないイソシアネートは水酸基との反応性が極めて高いため、ブロック化したイソシアネートよりも低温で反応が進行するため好ましい。さらに、簡便な方法で製造コストも低く、化学修飾後でも高い耐熱性を維持できるアセチル化も好ましく用いることができる。
粉末状微細セルロース繊維は、分散剤を含まないことが好ましい。分散剤を含むと、粉末状微細セルロース繊維と樹脂とを混合して樹脂の組成物を形成する工程においては、樹脂中での粉末状微細セルロース繊維の分散性が向上し、樹脂組成物の力学的性能が向上するなどの効果が得られるが、得られた樹脂組成物を実際に使用する場面においては、他部材と組み合わせて、また接着、複合化させて使用することがある。このような場面では、他部材との接着性や密着性に不具合が生じるおそれがあるため好ましくない。ここでの分散剤とは、粉末状微細セルロース繊維を水に分散する際に分散性が向上するものであれば特に限定はなく、公知のものを指すが、特に、分散剤が陰イオン分散剤では対イオンの影響を受けて樹脂組成物に含まれる微細セルロース繊維に悪影響をおよぼす。例えば、対イオンがプロトンになるリン酸基、カルボン酸基、スルホン酸基などを構造にもつ分散剤の場合、pHが酸性になるため、微細セルロース繊維の耐熱性や強度が劣化する。さらに、それら分散剤の対イオンが金属イオン、特にNaなどのアルカリ金属の場合は、セルロースの加熱や経時での黄変を促進させるため、外観や意匠性の問題によりパソコン、スマートフォン、家電製品、玩具などの部材・筐体の用途に適さない。また、対イオンがアンモニウム塩の場合は、加熱時にアンモニアガスとして脱離することがある。具体的にはアンモニウム塩型のカルボキシメチルセルロースは150℃程度の加熱により、アンモニアが脱離して酸型になることが知られている。熱可塑性樹脂と混錬する場合、少なくとも200℃程度の熱をかけるため、アンモニアが発生する条件に容易に達する。発生したアンモニアガスは、樹脂の劣化を促進する。例えば、航空機・自動車など輸送機器、電気・電子光学・医療機器、防弾ガラスの材料など幅広く使用されているポリカーボネートは、アンモニアにより加水分解して劣化することが知られている。また、分散剤には製造過程で除去しきれずに残留する塩素などのハロゲン系元素が不純物として含まれることがあり、これらハロゲン系元素はプリント基板などの電子・電気部品の配線を腐食するおそれがある。
本発明の樹脂組成物には熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴムを用いることができる。使用できる樹脂の種類に特に制限はないが、熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル− ブタジエン− スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル− スチレン(AS)樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリケトン樹脂、および環状ポリオレフィン樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂の例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。ゴムの例としては天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン− ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム(Q)など挙げられる。その他、本発明の性能を損なわない範囲で、樹脂組成物には消泡剤、防腐剤、充填剤、着色剤、可塑剤、レベリング剤、導電剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、消臭剤、耐熱材等の助剤等や強化繊維、導電繊維、耐熱繊維等の繊維材料を適宜混合することできる。
本発明の樹脂組成物は、様々な成形方法で成形品として得ることができる。樹脂の種類や求める成形品の形によって適切な成形方法は適宜使い分ける必要があるが、例えば、押出成形、射出成形、熱プレス成形、溶融押出成形、ブロー成形、真空成型、加熱成形などが挙げられる。
[樹脂組成物]
本発明の第2の態様は、前記の粉末状微細セルロース繊維及び樹脂を含む、樹脂組成物である。
粉末状微細セルロース繊維、樹脂及び樹脂組成物は、本発明の第1の態様における上記説明が第2の態様にも当てはまる。
粉末状微細セルロース繊維及び樹脂を複合化させる手法としては特に限定はなく、溶融混練、乾式混合等の公知の手法が挙げられるが、溶融混練をすることが好ましい。混練にあたり、粉末状微細セルロース繊維が粉末状であることにより、樹脂と均一に分散することができる。また、樹脂の種類に応じた化学修飾を付与しておくことができる。混練には、押出機、ミキシングローラ、ニーダ、ミキサー等の公知の混練機を用いることができる。
[成形体]
本発明の第3の態様は、樹脂組成物を含有する成形体である。
樹脂組成物は、本発明の第2の態様における上記説明が第3の態様にも当てはまる。
成形体とは、フィルム状、シート状、構造体等の任意の形態を指し、樹脂組成物を用いて作製される。成形体を作製する方法は特に限定はなく公知の手法が用いられ、例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形等が適用できる。
成形体は、使用目的に応じて、その形態や作製方法を選択できる。電子機器、家電製品、各種の容器、建材、家具、文具、自動車、家庭用品に使用されている部材に代えて用いることができる。例えば、電子機器や家電製品の筐体および外装部品、各種の収納ケース、食器類、建材のインテリア部材、自動車の内装材、その他の日常生活用品にも使用することができる。
[粉末状微細セルロース繊維の製造方法]
本発明の第4の態様は、微細セルロース繊維のペーストを凍結乾燥する工程と粉砕する工程とを有し、前記ペーストの固形分濃度が5.1〜9.0質量%未満であることを特徴とする、粉末状微細セルロース繊維の製造方法である。
微細セルロース繊維、ペースト、凍結乾燥、粉砕、粉末状微細セルロース繊維には、本発明の第1〜3の態様における上記説明が第4の態様にも当てはまる。
ペーストの固形分濃度を5.1質量%以上とすることで嵩密度は大きくなるものの、化学修飾されない微細セルロース繊維を少なくすることができ、樹脂との混錬時に分散不良が発生しにくくなる。また、固形分濃度を9.0質量%未満とすることで前記嵩密度を満たすことができる。
本発明の粉末状微細セルロース繊維の製造方法により、樹脂と混練等の複合化をする際に良好な分散性をもって樹脂の組成物を作製でき、さらに樹脂組成物が良好な成形性を発揮することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
[実施例中の測定項目および試験方法]
(混錬試験)
混錬試験には混錬機(商品名:ラボプラストミル、型式:4C−150、株式会社東洋精機製)、ミキサー(型番:R60、株式会社東洋精機製)を用いた。ポリプロピレン樹脂(型番:J105G、株式会社プライムポリマー製)を41g計量し、220℃に加熱したミキサーに投入し、10rpmで予備混錬を行った。その後、30rpmに回転数を変更し、微細セルロース繊維粉末を1g計量して投入し、投入が完了したのちは50rpmに回転数を変更し、10分間混錬した。混錬終了時のトルク値を読み取り、以下の基準で〇以上を合格とした。
◎:樹脂のみのトルク値の1.2倍以下
〇:樹脂のみのトルク値の1.5倍以下
△:樹脂のみのトルク値の2.0倍以下
×:樹脂のみのトルク値の3.0倍以下

(分散性評価)
複合樹脂を30mg計量し、スライドガラスにのせ、240℃のホットスターラー(商品名:REXIM、型番:RSH−6DN、株式会社アズワン製)で加熱する。樹脂が溶融したところで、もう一枚のスライドガラスをかぶせてプレスし、冷却することで分散評価用サンプルが得られる。
分散性評価には微分干渉装置と位相差装置を備えた生物顕微鏡(商品名:エクリプス、型番:Ni−U、株式会社ニコン製)を用いた。倍率200倍でランダムに10視野を観察し、10μm以上の粗大物をカウントし、10視野の合計数をもとに以下の基準で〇以上を合格とした。
◎:粗大物がない。
〇:粗大物が10個未満。
△:粗大物が10〜100個
×:粗大物が100個以上

(多孔質体の密度測定)
多孔質体を10cm四方に裁断し、重さは電子天秤(型番:FZ−3000iWp、メトラー・トレド株式会社製)を用い、厚さはシックネスゲージ(型番:547−401、株式会社ミツトヨ製)で10点測定し、その平均値を算出した。この重さと厚さから密度を算出した。

(粉体の嵩密度測定)
JIS K7365に従って測定した。
(実施例1)
[微細セルロース繊維の調成工程]
針葉樹晒クラフトパルプをイオン交換水中に2重量%濃度になるように分散させ、ダブルディスクリファイナーを用いて叩解し、さらに高圧ホモジナイザー(エスエムテー株式会社製、LAB1000)を用いて750barの圧力に調整して10回処理することにより微細セルロース繊維を得た。
[微細セルロース繊維の濃縮工程]
上記調成工程で得られた微細セルロース繊維を420メッシュのポリエステル製メッシュ(型番:T−No.420T、NBCメッシュテック社製)と吸水紙で挟み、プレス脱水して固形分濃度15%の微細セルロース繊維ペーストに調整した。
[混合ペースト調成工程]
上記濃縮工程得られた微細セルロース繊維ペーストに微細セルロース繊維の固形分濃度が5.5%、t−ブチルアルコールの濃度が20%になるよう、t−ブチルアルコールとイオン交換水を加え、プラネタリーミキサー(型番:PVM−5、淺田鉄工株式会社製)を用い、均一になるまで混錬し、混合ペーストを得た。
[凍結乾燥工程]
凍結乾燥には真空凍結乾燥装置(型番:SF−4KB、三庄インダストリー株式会社製)を用いた。得られた混合ペーストをステンレス製のバットに敷き詰め、−35℃で6時間の予備凍結し、その後、0.1kPa以下になるよう真空度を調整しながら段階的に昇温することで微細セルロース繊維の多孔質体が得られた。
[粉砕工程]
上記多孔質体をホモミキサー(型番:CM−100、株式会社アズワン製)で予備粉砕後、気流式粉砕機(商品名:ドライバースト、型番:DB−100S、株式会社スギノマシン製)を用い、回転数18,000rev/minで粉砕し、粉末状微細セルロース繊維が得られた。
[化学修飾工程1]
200mlビーカーにアセトン100mlと0.75gのトリメトキフェニルシシラン(東京化成工業株式会社製)を入れてマグネチックスターラーで撹拌後、上記微細セルロース繊維粉末1.5gを加えて、2時間撹拌する。その後、PTFEタイプのメンブランフィルター(商品名:オムニポア、径:1.0μm、メルクミリポア社製)を備えたろ過器でろ過し、残渣を120℃で2時間乾燥することで化学修飾した粉末状微細セルロース繊維E1が得られた。
(実施例2)
[化学修飾工程2]
2.5Lのステンレス製密閉容器に、2.5gのフェニルトリメトキシシランを入れた50mlビーカーを入れ、隙間に上記微細セルロース繊維粉末を敷き詰める。120℃のオーブンに入れて2時間反応させることで化学修飾した粉末状微細セルロース繊維E2が得られた。
(実施例3)
[化学修飾工程3]
200mlビーカーにアセトン100mlと0.75gのフェニルイソシアネート(東京化成工業株式会社製)を入れてマグネチックスターラーで撹拌後、上記微細セルロース繊維粉末1.5gを加えて、2時間撹拌する。その後、PTFE製のメンブランフィルター(商品名:オムニポア、径:1.0μm、メルクミリポア社製)を備えたろ過器でろ過し、さらにシクロヘキサンで1回、アセトンで1回、ろ過洗浄を繰り返したのち、残渣を105℃で4時間乾燥することで化学修飾微細セルロース繊維粉末E3が得られた。
(実施例4)
[化学修飾工程4]
混合ペースト調成工程において微細セルロース繊維100重量部に対し、フェニルトリメトキシシラン50重量部を配合して実施例1と同様の手法で凍結乾燥を実施した。得られた多孔質体を120℃のオーブンで2時間処理し、実施例1と同様の手法で粉砕工程を行った。得られた粉末をPTFE製のメンブランフィルター(商品名:オムニポア、径:1.0μm、メルクミリポア社製)を備えたろ過器を用い、シクロヘキサンで1回、アセトンで1回、ろ過洗浄したのち、残渣を105℃で4時間乾燥することで化学修飾した粉末状微細セルロース繊維E4が得られた。
(実施例5)
混合ペーストの調成工程において、微細セルロース繊維の固形分濃度を8.5%とする以外は実施例1と同様の手法で化学修飾した微細セルロース繊維E5が得られた。
(比較例1)
混合ペーストの調成工程において、微細セルロース繊維の固形分濃度を4.5%とする以外は実施例1と同様の手法で化学修飾した粉末状微細セルロース繊維CE1が得られた。
(比較例2)
混合ペーストの調成工程において、微細セルロース繊維の固形分濃度を9.5%とする以外は実施例1と同様の手法で化学修飾した粉末状微細セルロース繊維CE2が得られた。
(比較例3)
混合ペーストの調成工程において、微細セルロース繊維の固形分濃度を1.0%とする以外は実施例1と同様の手法で化学修飾した粉末状微細セルロース繊維CE3が得られた。
(比較例4)
粉砕工程において、50mlのステンレス製粉砕ジャーと25mm径のステンレス製ボールを備えた粉砕機(商品名:ミキサーミル、型番:MM400、株式会社レッチェ製)を用い、25Hzで3分処理する以外は実施例1と同様の手法で化学修飾微細セルロース繊維CE4が得られた。
(比較例5)
混合ペースト調成工程において微細セルロース繊維100重量部に対し、分散剤(商品名:アロンA−6114、東亜合成株式会社製)を10重量部添加し、後工程の化学修飾工程を行わないこと以外は実施例1と同様の手法で粉末状微細セルロース繊維CE5が得られた。
[表1]
Figure 2021172671
実施例1〜5の結果から、本発明の粉末状微細セルロース繊維が樹脂との複合化において、分散性が良好でありながらも効率よく成形できることが分かる。一方で、比較例の結果より、嵩密度が本発明の範囲外では分散性または成形性に不具合があることが分かる。

Claims (13)

  1. 嵩密度が10〜85g/Lであり、化学修飾されていることを特徴とする粉末状微細セルロース繊維。
  2. 前記粉末状微細セルロース繊維の平均繊維径が3〜1000nmであることを特徴とする、請求項1記載の粉末状微細セルロース繊維。
  3. 分散剤を含まないことを特徴とする、前記請求項1または2に記載の粉末状微細セルロース繊維。
  4. 前記分散剤が陰イオン分散剤であることを特徴とする、請求項3記載の粉末状微細セルロース繊維。
  5. 前記陰イオン分散剤の対イオンが金属イオンであることを特徴とする、請求項4記載の粉末状微細セルロース繊維。
  6. 請求項1〜5に記載の粉末状微細セルロース繊維及び樹脂を含む、樹脂組成物。
  7. 請求項6の樹脂組成物を含有することを特徴とする、成形体。
  8. 微細セルロース繊維のペーストを凍結乾燥する工程と粉砕する工程とを有し、前記ペーストの固形分濃度が5.1〜9.0質量%未満であることを特徴とする、粉末状微細セルロース繊維の製造方法。
  9. 前記ペーストの分散媒が水と有機溶媒の混合物であることを特徴とする、請求項8記載の粉末状微細セルロース繊維の製造方法。
  10. 前記有機溶媒がアルコール類、カーボネート類のうち、少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項9記載の粉末状微細セルロース繊維の製造方法。
  11. 前記ペーストにセルロースの化学修飾成分を含むことを特徴とする、請求項8〜10のいずれかに記載の粉末状微細セルロース繊維の製造方法。
  12. 前記凍結乾燥する工程の後にセルロースを化学修飾する工程を有する、請求項8〜11のいずれかに記載の粉末状微細セルロース繊維の製造方法。
  13. 前記粉末状微細セルロース繊維の嵩密度が10〜85g/Lである、請求項8〜12のいずれかに記載の製造方法。
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