JP2021172637A - 焙煎茶葉の抽出物由来の抗酸化剤および抗菌剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】焙煎茶葉の抽出物が持つ作用に着目し、当該抽出物に由来する成分を有効成分とする剤を提供する。【解決手段】焙煎茶葉の抽出物のうちカテキン類を除く非カテキン成分を有効成分とする抗酸化剤および焙煎茶葉の抽出物のうちカテキン類を除く非カテキン成分を有効成分とする抗菌剤を提供する。【選択図】図4
Description
本発明は、焙煎茶葉の抽出物由来の抗酸化剤および抗菌剤に関するものである。
近年、茶飲料に関する嗜好の多様化から、種々の茶飲料が多数上市されている。その中でも、ほうじ茶に代表される焙煎茶葉を抽出した茶飲料は、煎茶のような一般的な茶とは異なる香ばしい香りが特徴的であり、人気を博している。この香りは焙煎茶葉を製造する際の茶葉を焙煎する工程によって得られるものであり、その香りの成分であるピラジンにはリラックス効果や血行促進効果が認められ、健康促進の面からも焙煎茶葉を抽出した茶飲料は注目を集めている。
他方、煎茶のような一般的な茶飲料に認められる効果として、抗酸化作用や抗菌作用が挙げられる。これらの効果は、茶に含まれるカテキン類に由来していることが知られており、一般的な茶の作用やこれらの成分は広く研究の対象とされてきた。また、これらの成分に着目した種々の抗菌剤(特許文献1)や抗酸化剤(特許文献2)が知られている。
しかしながら、一般的な茶と異なり、焙煎茶は製造時に茶葉を焙煎処理する工程を経るため、上記の抗酸化作用や抗菌作用を持つカテキン類が加熱により変質してしまうことが知られている。そのため焙煎茶葉やその抽出物は研究対象とされてこなかったことから、その作用は不明なままとなっており、その解明・解析が待たれていた。
そこで、本発明は、焙煎茶葉の抽出物が持つ作用に着目し、当該抽出物に由来する成分を有効成分とする剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく研究を行った結果、焙煎茶葉の抽出物中に抗酸化作用および抗菌作用を有する非カテキン成分が含まれていることを見出し、本発明を完成させるに至った。
具体的には、本発明は以下の通りである。
〔1〕 焙煎茶葉の抽出物のうちカテキン類を除く非カテキン成分を有効成分とする抗酸化剤。
〔2〕 焙煎茶葉の抽出物のうちカテキン類を除く非カテキン成分を有効成分とする抗菌剤。
〔3〕 前記焙煎茶葉の抽出物は、水、親水性有機溶媒またはこれらの混合溶媒を抽出溶媒とする抽出物である、〔1〕または〔2〕に記載の剤。
〔4〕 抽出温度が20〜100℃で抽出された抽出物である、〔1〕〜〔3〕に記載の剤。
〔5〕 前記焙煎茶葉は、焙煎前と焙煎後の茶葉の色差ΔEが10以上である、〔1〕〜〔4〕に記載の剤。
〔6〕 前記非カテキン成分は、前記抽出物を以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーに付し、31分以降に溶出される画分に含まれる成分である、〔1〕〜〔5〕に記載の剤。
(高速液体クロマトグラフィーの条件)
カラム : J’sphere ODS−H80 φ3.0×250mm(ワイエムシィ社製)
カラム温度:40℃
移動相A:水
移動相B:アセトニトリル
移動相C : 1%リン酸水溶液
流速:0.43mL/min
検出波長:230nm
グラジエントプログラム:
[分析開始〜5分 条件1(A相:B相:C相=82.7:7.3:10)を維持]→
[5分〜10分 条件1から条件2へ直線的に変化]→
[10分〜15分 条件2(A相:B相:C相=80.5:9.5:10)を維持]→
[15分〜25分 条件2から条件3へ直線的に変化]→
[25分〜40分 条件3(A相:B相:C相=76:14:10)を維持]→
[40分〜45分 条件3から条件4へ直線的に変化]→
[45分〜55分 条件4(A相:B相:C相=49:41:10)を維持]→
[55分〜60分 条件4から条件5に直線的に変化]→
[60分〜74分 条件5(A相:B相:C相=82.7:7.3:10)を維持]
〔7〕 前記焙煎茶葉がほうじ茶である、〔1〕〜〔6〕に記載の剤。
〔1〕 焙煎茶葉の抽出物のうちカテキン類を除く非カテキン成分を有効成分とする抗酸化剤。
〔2〕 焙煎茶葉の抽出物のうちカテキン類を除く非カテキン成分を有効成分とする抗菌剤。
〔3〕 前記焙煎茶葉の抽出物は、水、親水性有機溶媒またはこれらの混合溶媒を抽出溶媒とする抽出物である、〔1〕または〔2〕に記載の剤。
〔4〕 抽出温度が20〜100℃で抽出された抽出物である、〔1〕〜〔3〕に記載の剤。
〔5〕 前記焙煎茶葉は、焙煎前と焙煎後の茶葉の色差ΔEが10以上である、〔1〕〜〔4〕に記載の剤。
〔6〕 前記非カテキン成分は、前記抽出物を以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーに付し、31分以降に溶出される画分に含まれる成分である、〔1〕〜〔5〕に記載の剤。
(高速液体クロマトグラフィーの条件)
カラム : J’sphere ODS−H80 φ3.0×250mm(ワイエムシィ社製)
カラム温度:40℃
移動相A:水
移動相B:アセトニトリル
移動相C : 1%リン酸水溶液
流速:0.43mL/min
検出波長:230nm
グラジエントプログラム:
[分析開始〜5分 条件1(A相:B相:C相=82.7:7.3:10)を維持]→
[5分〜10分 条件1から条件2へ直線的に変化]→
[10分〜15分 条件2(A相:B相:C相=80.5:9.5:10)を維持]→
[15分〜25分 条件2から条件3へ直線的に変化]→
[25分〜40分 条件3(A相:B相:C相=76:14:10)を維持]→
[40分〜45分 条件3から条件4へ直線的に変化]→
[45分〜55分 条件4(A相:B相:C相=49:41:10)を維持]→
[55分〜60分 条件4から条件5に直線的に変化]→
[60分〜74分 条件5(A相:B相:C相=82.7:7.3:10)を維持]
〔7〕 前記焙煎茶葉がほうじ茶である、〔1〕〜〔6〕に記載の剤。
本発明によれば、焙煎茶葉の抽出物に由来した非カテキン成分を有効成分とする抗酸化剤および抗菌剤を提供することができる。
〔有効成分〕
本発明の一実施形態に係る抗酸化剤および抗菌剤は、焙煎茶葉の抽出物のうち、カテキン類を除く非カテキン成分を有効成分とするものである。
本発明の一実施形態に係る抗酸化剤および抗菌剤は、焙煎茶葉の抽出物のうち、カテキン類を除く非カテキン成分を有効成分とするものである。
(非カテキン成分)
本実施形態において、カテキン類を除く非カテキン成分とは、焙煎茶葉の抽出物に含まれる成分のうち、カテキン類に該当しない成分である。
ここで、本明細書において「カテキン類」とは、カテキン(C)、ガロカテキン(GC)、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、カテキンガレート(Cg)、ガロカテキンガレート(GCg)、エピカテキンガレート(ECg)、エピガロカテキンガレート(EGCg)の8種をいうものとする。
本実施形態において、カテキン類を除く非カテキン成分とは、焙煎茶葉の抽出物に含まれる成分のうち、カテキン類に該当しない成分である。
ここで、本明細書において「カテキン類」とは、カテキン(C)、ガロカテキン(GC)、エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、カテキンガレート(Cg)、ガロカテキンガレート(GCg)、エピカテキンガレート(ECg)、エピガロカテキンガレート(EGCg)の8種をいうものとする。
(茶葉)
茶葉は、ツバキ科ツバキ属の常緑樹であるチャノキ(茶の木、学名:Camellia sinensis)の生葉や生茎を飲料用に加工したものである。チャノキには中国種(var.sinensis)、アッサム種(var.assamica)やそれらの雑種が含まれる。
茶葉は、ツバキ科ツバキ属の常緑樹であるチャノキ(茶の木、学名:Camellia sinensis)の生葉や生茎を飲料用に加工したものである。チャノキには中国種(var.sinensis)、アッサム種(var.assamica)やそれらの雑種が含まれる。
本実施形態に係る焙煎茶葉の原料となる茶葉は、チャノキの葉を加工したものであれば特に制限されないが、特に荒茶および煎茶を好適に用いることができる。
(焙煎茶葉)
本発明における焙煎茶葉は、上記の茶葉を焙煎処理したものをいう。かかる焙煎処理の方法は、本発明の効果を奏する焙煎茶葉が得られる限りにおいて特に制限されない。
本発明における焙煎茶葉は、上記の茶葉を焙煎処理したものをいう。かかる焙煎処理の方法は、本発明の効果を奏する焙煎茶葉が得られる限りにおいて特に制限されない。
焙煎処理の程度は、特に限定されるものではないが、焙煎前の茶葉と焙煎後の茶葉との色差ΔEが10以上であることが好ましく、12以上であることが更に好ましく、20以上であることが特に好ましい。色差ΔEを上記範囲とすることで、抗菌作用および抗酸化作用を有する非カテキン成分が得やすくなる。焙煎前後の茶葉の色差ΔEの上限は特に制限されないが、焙煎茶葉の抽出物の香味を保つ観点から、34以下であってよい。また、焙煎茶葉は、入手の容易性の観点から、ほうじ茶を用いても良い。
(焙煎茶葉の抽出物)
焙煎茶葉の抽出物は、焙煎茶葉を抽出原料として得られる抽出物である。ここで、本実施形態において使用する「焙煎茶葉の抽出物」には、焙煎茶葉を抽出原料として得られる抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物またはこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
焙煎茶葉の抽出物は、焙煎茶葉を抽出原料として得られる抽出物である。ここで、本実施形態において使用する「焙煎茶葉の抽出物」には、焙煎茶葉を抽出原料として得られる抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物またはこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
焙煎茶葉の抽出物は、例えば、後述する工程(a)により、抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物等として得ることができる。
以上のようにして得られた抽出液、当該抽出液の濃縮物または当該抽出液の乾燥物から非カテキン成分を精製する場合、その方法は、特に限定されるものではなく、常法により行うことができる。具体的な方法としては、例えば、後述する工程(b)又は(c)が挙げられる。
工程(a)
工程(a)は、焙煎茶葉を水、親水性有機溶媒またはこれらの混合溶媒による抽出処理に供して、焙煎茶葉の抽出物を得る工程である。
工程(a)は、焙煎茶葉を水、親水性有機溶媒またはこれらの混合溶媒による抽出処理に供して、焙煎茶葉の抽出物を得る工程である。
焙煎茶葉の抽出物は、焙煎茶葉をそのまま又は粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。
焙煎茶葉から抽出物を抽出するための抽出溶媒としては、極性溶媒を使用することが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの溶媒を使用することで効率的に抽出物を得ることができる。
焙煎茶葉から抽出物を抽出する際の抽出温度としては目的成分が抽出される限りにおいて特に限定されないが、大気圧下においては20℃〜100℃であることが好ましく、50℃〜100℃であることがより好ましく、70℃〜99℃は更に好ましく、90℃〜99℃であることが最も好ましい。上記の温度範囲で抽出を行うことで、効率的に抽出物を得ることができる。抽出pHとしては2.0〜8.0で抽出することが好ましく、3.0から7.5で行うことが更に好ましい。
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等のほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本実施形態において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトンのような非プロトン性極性溶媒;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコール等が挙げられるが、アルコール類を用いるのが好ましい。
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水とアルコール等(低級脂肪族アルコールや多価アルコールなど、水と混合可能なもの)の混合液を抽出溶媒として使用する場合には、任意の比率、すなわち0:100超、100:0未満(容量比)の間で混和して用いることができ、その比率は作業効率や、目的成分または除去すべき成分の抽出効率を考慮するなどして、適切な混合比率を選択することができる。例えば、水とアルコールとの混合溶媒を使用する場合には、水とアルコールとの混合比を90:10(容量比,以下同様に表記)以上、さらには70:30以上とすることができ、あるいは10:90以下、15:85以下とすることができる。また、低脂肪族ケトンなどの非プロトン性極性溶媒は、水、または水とアルコールの混合溶媒に適宜混和することができる。混合比率は、作業効率や、目的成分または除去すべき成分の抽出効率を考慮するなどして、適切な混合比率を選択する。
抽出処理は、抽出原料である焙煎茶葉に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法、例えばバッチ式や連続式(ドリップ式)など、様々な方法に従って行うことができる。例えば、バッチ式の場合、抽出原料の10〜50倍量(質量比)、好ましくは15〜30倍量、さらに好ましくは15〜25倍量の抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温、加温または還流加熱下で攪拌または静置して可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。また抽出液から溶媒を全て留去せずに濃縮液あるいはペーストの状態にして次分離工程に進めても良い。
工程(b)
工程(b)は、上記工程(a)で得られた焙煎茶葉の抽出物を粗分けする工程であり、抽出物における非カテキン成分の含量を高めるとともに、活性向上や不要物の除去等を目的として精製する工程である。工程(b)で用いられる方法としては、液液分配を用いる方法のほか、吸着剤を用いて、水、水溶性溶媒またはこれらの混合溶媒で吸脱着する方法などが挙げられる。
工程(b)は、上記工程(a)で得られた焙煎茶葉の抽出物を粗分けする工程であり、抽出物における非カテキン成分の含量を高めるとともに、活性向上や不要物の除去等を目的として精製する工程である。工程(b)で用いられる方法としては、液液分配を用いる方法のほか、吸着剤を用いて、水、水溶性溶媒またはこれらの混合溶媒で吸脱着する方法などが挙げられる。
吸着剤による方法を用いた工程の場合、焙煎茶葉の抽出物に含まれ得る親水性有機溶媒は、吸着剤に付す前に、必要に応じて留去する。親水性有機溶媒を留去した抽出物は、例えば、水、水溶性溶媒またはこれらの混合溶媒に溶解または懸濁させた後、吸着剤に付す。吸着剤に焙煎茶葉抽出物を接触させた後、水、水溶性溶媒またはこれらの混合溶媒を用いて吸脱着させる。
溶解、懸濁または吸脱着に使用し得る水溶性溶媒としては、上記した親水性有機溶媒が挙げられるが、上記した炭素数1〜5の低級アルコール、この中でも特にメタノール、エタノール等を溶解液、懸濁液または溶出液として使用するのが好ましい。水と水溶性溶媒との混合溶媒を使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。混合比は特に限定されるものではないが、例えば、水とエタノールとの混合溶媒を使用する場合、水とエタノールとの混合比を99:1〜1:99(容量比)、好ましくは40:60〜10:90(容量比)とすることができる。
吸着剤は、焙煎茶葉の抽出物における非カテキン成分を吸脱着し得る限り特に限定されるものではないが、イオン交換樹脂、合成吸着樹脂、活性炭、キレート樹脂、シリカゲル、アルミナゲル系吸着剤、多孔質ガラス、等の公知の吸着剤を単独で又は組み合わせて用いることができる。好ましくは、多孔性合成吸着樹脂であるダイヤイオンHP−20(三菱化学社製)等の多孔性合成吸着剤を使用し、当該多孔性合成吸着剤を充填剤としたカラムクロマトグラフィーに焙煎茶葉の抽出物を付し、溶出液により溶出させる。
工程(c)
工程(c)は、工程(b)で得られた溶出液を各種クロマトグラフィーに付して、その溶出液に含まれる非カテキン成分をさらに精製する工程である。
工程(c)は、工程(b)で得られた溶出液を各種クロマトグラフィーに付して、その溶出液に含まれる非カテキン成分をさらに精製する工程である。
溶出液からの非カテキン成分の精製には、例えば、オープンカラムクロマトグラフィー、フラッシュクロマトグラフィーとして中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)や高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、担体を用いない遠心液液分配クロマトグラフィーなどの装置を用いることができる。また、分離に用いる担体としては、逆相カラムクロマトグラフィー、順相カラムクロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、イオン交換クロマトグラフィーなどの各種クロマトグラフィーに用いるもののほか、合成吸着剤等の各種クロマトグラフィーによる処理を組み合わせて行うことができる。溶出液の各種クロマトグラフィーによる処理の順番は、特に限定されるものではない。
各種クロマトグラフィーにおける展開溶媒または移動相としては、特に限定されるものではないが、水、水溶性溶媒、低極性溶媒若しくはこれらの混合溶媒または無極性溶媒を使用することができる。水溶性溶媒としては、上記した親水性有機溶媒、アセトニトリル等を使用することができるが、上記した炭素数1〜5の低級アルコール、この中でも特にメタノール、エタノール等を使用することが好ましい。なお、順相カラムクロマトグラフィーにおいては、移動相として、特に限定されるものではないが、クロロホルムと水とメタノールとの混合溶媒、n−ヘキサン等の無極性溶媒等のほか、中間溶媒として酢酸エチルやアセトン、2−ブタノンなどの溶媒を適宜選択して使用することができる。
各種クロマトグラフィーにおける充填剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、オクタデシル化シリカゲル(ODS)、フェニル化シリカゲル、シリカゲル、ヒドロキシプロピル化デキストラン、ポリビニルアルコール(PVA)系ポリマ等を使用することができる。なお、逆相カラムクロマトグラフィーにおいては、ODS又はフェニル化シリカゲルを使用するのが好ましく、順相カラムクロマトグラフィーにおいては、シリカゲルを使用するのが好ましく、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)においては、ヒドロキシプロピル化デキストラン又はPVA系ポリマを使用するのが好ましい。
各種クロマトグラフィーを利用して非カテキン成分を含有する画分を分画することにより、精製された非カテキン成分を得ることができる。
(非カテキン成分の特定)
本実施形態に係る非カテキン成分は、上記のようにして得られた焙煎茶葉抽出物(工程(a)のみであってもよく、さらに工程(b)及び/又は(c)により粗精製されたものでもよい)を、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーに付し、31分以降に溶出される画分に含まれる成分として、特定することができる。
なお、下記条件における溶出時間は、31分以降であればよいが、35分以降〜60分のもの、さらに46分〜55分のものに特定してもよい。
本実施形態に係る非カテキン成分は、上記のようにして得られた焙煎茶葉抽出物(工程(a)のみであってもよく、さらに工程(b)及び/又は(c)により粗精製されたものでもよい)を、以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーに付し、31分以降に溶出される画分に含まれる成分として、特定することができる。
なお、下記条件における溶出時間は、31分以降であればよいが、35分以降〜60分のもの、さらに46分〜55分のものに特定してもよい。
(高速液体クロマトグラフィーの条件)
カラム : J‘sphere ODS−H80 φ3.0×250mm(ワイエムシィ社製)
カラム温度:40℃
移動相A:水
移動相B:アセトニトリル
移動相C:1% リン酸水溶液
流速:0.43mL/min
検出波長:230nm
グラジエントプログラム:
[分析開始〜5分 条件1(A相:B相:C相=82.7:7.3:10)を維持]→
[5分〜10分 条件1から条件2へ直線的に変化]→
[10分〜15分 条件2(A相:B相:C相=80.5:9.5:10)を維持]→
[15分〜25分 条件2から条件3へ直線的に変化]→
[25分〜40分 条件3(A相:B相:C相=76:14:10)を維持]→
[40分〜45分 条件3から条件4へ直線的に変化]→
[45分〜55分 条件4(A相:B相:C相=49:41:10)を維持]→
[55分〜60分 条件4から条件5に直線的に変化]→
[60分〜74分 条件5(A相:B相:C相=82.7:7.3:10)を維持]
カラム : J‘sphere ODS−H80 φ3.0×250mm(ワイエムシィ社製)
カラム温度:40℃
移動相A:水
移動相B:アセトニトリル
移動相C:1% リン酸水溶液
流速:0.43mL/min
検出波長:230nm
グラジエントプログラム:
[分析開始〜5分 条件1(A相:B相:C相=82.7:7.3:10)を維持]→
[5分〜10分 条件1から条件2へ直線的に変化]→
[10分〜15分 条件2(A相:B相:C相=80.5:9.5:10)を維持]→
[15分〜25分 条件2から条件3へ直線的に変化]→
[25分〜40分 条件3(A相:B相:C相=76:14:10)を維持]→
[40分〜45分 条件3から条件4へ直線的に変化]→
[45分〜55分 条件4(A相:B相:C相=49:41:10)を維持]→
[55分〜60分 条件4から条件5に直線的に変化]→
[60分〜74分 条件5(A相:B相:C相=82.7:7.3:10)を維持]
〔抗酸化剤および抗菌剤の用途〕
本実施形態の抗酸化剤および抗菌剤は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。また、抗酸化剤および抗菌剤は、他の組成物に配合して使用することができる。
本実施形態の抗酸化剤および抗菌剤は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。また、抗酸化剤および抗菌剤は、他の組成物に配合して使用することができる。
本実施形態の抗酸化剤および抗菌剤を製剤化した場合、非カテキン成分の含有量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜設定することができる。なお、本実施形態の抗酸化剤および抗菌剤は、必要に応じて、抗酸化作用または抗菌作用を有する他の天然抽出物等とともに配合して有効成分として用いることができる。
本実施形態の抗酸化剤は、有効成分である上記非カテキン成分が有するラジカル消去作用を通じて、フリーラジカルが関与する各種疾患の予防、治療または改善用途に用いることができる。フリーラジカルが関与する疾患としては、関節リウマチやベーチェット病等の組織障害、各種動脈硬化症(虚血性心疾患,心筋梗塞,脳虚血,脳梗塞等)、神経変性疾患(アルツハイマー病,パーキンソン病,ハンチントン舞踏病等)、癌、喫煙等が原因の肺疾患、白内障、糖尿病、肩凝り、冷え性、しわ形成や弾力低下等の皮膚の老化、皮膚の黒化、シミ、ソバカス等の色素沈着、などを挙げることができる。ただし、本実施形態の抗酸化剤は、これらの用途以外にも上記非カテキン成分が有するラジカル消去作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
本実施形態の抗菌剤は、有効成分である上記非カテキン成分が有する抗菌作用を通じて、各種細菌の発育を阻害することができる。対象となる細菌としては、例えば、スタフィロコッカス属菌(Staphylococcus)、ポルフィロモナス属菌(Porphyromonas)、レンサ球菌属菌(Streptococcus)などが挙げられる。特に、食中毒の原因菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、う蝕の原因菌であるストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、歯周病の原因菌であるポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)などは、本実施形態に係る抗菌剤の対象として特に好適である。ただし、本実施形態の抗菌剤は、これら以外にも上記非カテキン成分が有する抗菌作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
(飲食品)
本実施形態の抗酸化剤および抗菌剤は、飲食品や化粧品、洗剤等に含入させて幅広く利用することができるが、上記非カテキン成分が飲食品としての安全性が確認されている焙煎茶葉抽出物由来の成分であることから、特に飲食品に配合するのに好適である。この場合、上記非カテキン成分をそのまま配合してもよいし、これらの成分から製剤化した抗酸化剤および抗菌剤を配合してもよい。
本実施形態の抗酸化剤および抗菌剤は、飲食品や化粧品、洗剤等に含入させて幅広く利用することができるが、上記非カテキン成分が飲食品としての安全性が確認されている焙煎茶葉抽出物由来の成分であることから、特に飲食品に配合するのに好適である。この場合、上記非カテキン成分をそのまま配合してもよいし、これらの成分から製剤化した抗酸化剤および抗菌剤を配合してもよい。
ここで、飲食品とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口または消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品等の区分に制限されるものではない。したがって、本実施形態における「飲食品」は、経口的に摂取される一般食品、健康食品、機能性食品、保健機能食品(特定保健用食品,機能性表示食品、栄養機能食品)、医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものである。本実施形態に係る飲食品は、当該飲食品またはその包装に、焙煎茶葉抽出物の非カテキン成分が有する好ましい作用を表示することのできる飲食品であることが好ましく、保健機能食品(特定保健用食品,機能性表示食品、栄養機能食品)、医薬部外品および医薬品であることが特に好ましい。
本実施形態の抗酸化剤および抗菌剤を飲食品に配合する場合、それらにおける有効成分の配合量は、使用目的、症状、性別等を考慮して適宜変更することができるが、添加対象となる飲食品の一般的な摂取量を考慮して、成人1日あたりの抽出物摂取量が約1〜1000mgになるようにするのが好ましい。なお、添加対象飲食品が顆粒状、錠剤状またはカプセル状の飲食品の場合、抗酸化剤および抗菌剤の添加量は、添加対象飲食品に対して通常0.1〜100質量%であり、好ましくは5〜100質量%である。
本実施形態の飲食品は、抗酸化剤および抗菌剤をその活性を妨げないような任意の飲食品に配合したものであってもよいし、これらの成分を主成分とする栄養補助食品であってもよい。
本実施形態の飲食品を製造する際には、そのまま粉末化、あるいは水溶液として飲食品とすることもできるほか、例えば、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類などの任意の助剤を添加して任意の形状の飲食品にすることができる。
本実施形態の抗酸化剤および抗菌剤を配合し得る飲食品は特に限定されないが、その具体例としては、菓子、パン、キャンディー、チューインガム、グミ、ゼリー、チョコレート、錠菓、清涼飲料、その他種々の形態の健康・栄養補助食品、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤などが挙げられる。これらの飲食品に抗酸化剤および抗菌剤を配合するときには、通常用いられる補助的な原料や添加物を併用することができる。
なお、本実施形態の抗酸化剤および抗菌剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば,マウス,ラット,ハムスター,イヌ,ネコ,ウシ,ブタ,サル等)に対して適用することもできる。
以下、製造例、試験例等を示すことにより本実施形態をさらに詳細に説明するが、本実施形態は下記の製造例、試験例等に何ら限定されるものではない。
(試験例1:ほうじ茶(焙煎茶葉)の製造)
荒茶を焙煎することでほうじ茶を作成した。具体的には、表面温度200℃に熱したフライパンで荒茶を乾煎りし、焙煎の強度を4段階に分けて、4つのサンプルを作成し、焙煎強度が弱い側から焙煎強度1(サンプル1)、焙煎強度2(サンプル2)、焙煎強度3(サンプル3)、焙煎強度4(サンプル4)とした。焙煎強度は焙煎前後の茶葉の色差ΔEにより判断した。結果を表1に示す。
色差ΔEは茶葉を粉砕機(岩谷産業社製 サイレントミルサー IFM-S30G)にて5乃至10秒間粉砕したものを用い、分光式色差計(日本電色工業社製、装置名SE7700)を用いて表面色L*a*b*を求め、下記の計算式1により求めた。焙煎前の荒茶をp、焙煎後のほうじ茶をqの添え字で示す。
(式1)ΔE = [(L*q-L*p)2 + (a*q-a*p)2 + (b*q-b*p)2 ] 1/2
荒茶を焙煎することでほうじ茶を作成した。具体的には、表面温度200℃に熱したフライパンで荒茶を乾煎りし、焙煎の強度を4段階に分けて、4つのサンプルを作成し、焙煎強度が弱い側から焙煎強度1(サンプル1)、焙煎強度2(サンプル2)、焙煎強度3(サンプル3)、焙煎強度4(サンプル4)とした。焙煎強度は焙煎前後の茶葉の色差ΔEにより判断した。結果を表1に示す。
色差ΔEは茶葉を粉砕機(岩谷産業社製 サイレントミルサー IFM-S30G)にて5乃至10秒間粉砕したものを用い、分光式色差計(日本電色工業社製、装置名SE7700)を用いて表面色L*a*b*を求め、下記の計算式1により求めた。焙煎前の荒茶をp、焙煎後のほうじ茶をqの添え字で示す。
(式1)ΔE = [(L*q-L*p)2 + (a*q-a*p)2 + (b*q-b*p)2 ] 1/2
(試験例2:ほうじ茶(焙煎茶葉)の抽出工程)
上記の荒茶および上記で作成したほうじ茶(サンプル1〜4)をそれぞれ100gずつ測りとった。3Lのステンレス製寸胴容器(内径 約150mm)に95℃の熱水2L(20倍加水)を加え、前述の茶葉を投入し、水温を95℃に保ちながら抽出した。攪拌は、投入直後,5分,10分に各30秒ずつ、攪拌棒を用いて手動で約1rpmで行った。投入15分後、静かに篩(1段目 16メッシュ、2段目 80メッシュ)にあけて5分間水切りし、残渣(茶殻)と濾過液を濾別した。
得られた濾過液は約40〜50℃程度になるまで放冷後、ネル布を用いて濾過し細かい茶葉などの夾雑物を除去した。次に、得られたネル布通過液を3000rpmで10分間遠心分離することでさらに細かい夾雑物を除去した。なお遠心分離中は30度以下にならぬよう温度調整した。遠心分離後の上澄を分取し、エバポレーターで減圧濃縮後、凍結乾燥機に付し、ほうじ茶および荒茶の抽出物を得た。荒茶およびサンプル1〜4の抽出効率を表2に示す。
抽出効率は下記式2より、算出した。
(式2)
抽出効率(%)=可溶性固形分(Brix)(%)× 抽出液量 / 原料使用量(g)
なお、可溶性固形分(Brix)は、光学屈折率計(アタゴ社製、装置名RX-5000α-Bev)を用いて測定した。
上記の荒茶および上記で作成したほうじ茶(サンプル1〜4)をそれぞれ100gずつ測りとった。3Lのステンレス製寸胴容器(内径 約150mm)に95℃の熱水2L(20倍加水)を加え、前述の茶葉を投入し、水温を95℃に保ちながら抽出した。攪拌は、投入直後,5分,10分に各30秒ずつ、攪拌棒を用いて手動で約1rpmで行った。投入15分後、静かに篩(1段目 16メッシュ、2段目 80メッシュ)にあけて5分間水切りし、残渣(茶殻)と濾過液を濾別した。
得られた濾過液は約40〜50℃程度になるまで放冷後、ネル布を用いて濾過し細かい茶葉などの夾雑物を除去した。次に、得られたネル布通過液を3000rpmで10分間遠心分離することでさらに細かい夾雑物を除去した。なお遠心分離中は30度以下にならぬよう温度調整した。遠心分離後の上澄を分取し、エバポレーターで減圧濃縮後、凍結乾燥機に付し、ほうじ茶および荒茶の抽出物を得た。荒茶およびサンプル1〜4の抽出効率を表2に示す。
抽出効率は下記式2より、算出した。
(式2)
抽出効率(%)=可溶性固形分(Brix)(%)× 抽出液量 / 原料使用量(g)
なお、可溶性固形分(Brix)は、光学屈折率計(アタゴ社製、装置名RX-5000α-Bev)を用いて測定した。
(試験例3:カテキン類の定量)
荒茶およびサンプル1〜4の抽出物5mgを蒸留水1mLに溶解させ、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いてそれぞれに含まれるカテキン類(カテキン8種合計)量を定量した。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は以下の条件で実施し、検量線法により定量して抽出物100mgあたりの含有量として求めた。結果を図1に示す。
<HPLC条件>
装置名:Waters Alliance 2695セパレーションモジュール
カラム : Wakosil-II 3C18HG φ3.0×250mm(和光純薬工業社製)
カラム温度:40℃
移動相A:1% ギ酸水溶液
移動相B:メタノール
流速:0.5mL/min
検出器:Waters 2487 デュアル波長吸光度検出器 または Waters 2996 PDA検出器
検出波長:230nm
グラジエントプログラム:
[送液開始 条件I(A相:B相=85:15)]→
[0分〜12分 条件Iから条件IIへ直線的に変化]→
[12分 条件II(A相:B相=65:35)]→
[12分〜15分 条件IIから条件IIIへ直線的に変化]→
[15分 条件III(A相:B相=20:80)]→
[15分〜15.5分 条件IIIから条件IVへ直線的に変化]→
[15.5分〜25分 条件IV(A相:B相=85:15)を維持]
荒茶およびサンプル1〜4の抽出物5mgを蒸留水1mLに溶解させ、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いてそれぞれに含まれるカテキン類(カテキン8種合計)量を定量した。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は以下の条件で実施し、検量線法により定量して抽出物100mgあたりの含有量として求めた。結果を図1に示す。
<HPLC条件>
装置名:Waters Alliance 2695セパレーションモジュール
カラム : Wakosil-II 3C18HG φ3.0×250mm(和光純薬工業社製)
カラム温度:40℃
移動相A:1% ギ酸水溶液
移動相B:メタノール
流速:0.5mL/min
検出器:Waters 2487 デュアル波長吸光度検出器 または Waters 2996 PDA検出器
検出波長:230nm
グラジエントプログラム:
[送液開始 条件I(A相:B相=85:15)]→
[0分〜12分 条件Iから条件IIへ直線的に変化]→
[12分 条件II(A相:B相=65:35)]→
[12分〜15分 条件IIから条件IIIへ直線的に変化]→
[15分 条件III(A相:B相=20:80)]→
[15分〜15.5分 条件IIIから条件IVへ直線的に変化]→
[15.5分〜25分 条件IV(A相:B相=85:15)を維持]
<図1の結果についての考察>
上記図1に記載のカテキン総量の測定の結果から、サンプル4は荒茶と比べ、カテキン総量は大きく減少し、およそ1/3になっていた。またサンプル1〜3と比べても、サンプル4のカテキン総量は半分以下と大きく減少していた。焙煎によりサンプル4中のカテキンが大きく減少したことが示された。
上記図1に記載のカテキン総量の測定の結果から、サンプル4は荒茶と比べ、カテキン総量は大きく減少し、およそ1/3になっていた。またサンプル1〜3と比べても、サンプル4のカテキン総量は半分以下と大きく減少していた。焙煎によりサンプル4中のカテキンが大きく減少したことが示された。
(試験例4:抗酸化活性の測定)
荒茶および各サンプルの抽出物の抗酸化活性を、J.A. Macedo et al., Food Chemistry, 126, 491(2011).に準拠して、ラジカル捕捉活性を求めることで比較した。
具体的には、荒茶および各サンプルの抽出物を蒸留水またはメタノール/水混合溶媒に1%w/wの濃度になるように溶解させ、さらに適宜段階希釈した測定用溶液を50μL採取して96穴プレートに配置し、そこにDPPH(1,1−diphenyl−2−picrylhydrazyl)0.2mMメタノール溶液を150μL添加した。添加後90分間反応させた後に、520nmにおける吸光度を測定した。このとき、コントロールとしてTrolox(CALBIOCHEM,US)を用いて検量線を作成した。抗酸化活性は、抽出物1gあたりのDPPH捕捉活性のTrolox当量(μmol/g)で表した。結果を図2に示す。
荒茶および各サンプルの抽出物の抗酸化活性を、J.A. Macedo et al., Food Chemistry, 126, 491(2011).に準拠して、ラジカル捕捉活性を求めることで比較した。
具体的には、荒茶および各サンプルの抽出物を蒸留水またはメタノール/水混合溶媒に1%w/wの濃度になるように溶解させ、さらに適宜段階希釈した測定用溶液を50μL採取して96穴プレートに配置し、そこにDPPH(1,1−diphenyl−2−picrylhydrazyl)0.2mMメタノール溶液を150μL添加した。添加後90分間反応させた後に、520nmにおける吸光度を測定した。このとき、コントロールとしてTrolox(CALBIOCHEM,US)を用いて検量線を作成した。抗酸化活性は、抽出物1gあたりのDPPH捕捉活性のTrolox当量(μmol/g)で表した。結果を図2に示す。
<図2の結果についての考察>
上記図2に記載のラジカル捕捉活性の測定の結果から、サンプル4(焙煎強度4)は荒茶やサンプル1〜3と比べ、抗酸化活性はやや減少していることがわかる。しかしながら、図1に記載したカテキン総量の大幅な減少量と比較すると、抗酸化活性の減少割合は緩やかであることがわかる。このことから、カテキン類以外に抗酸化活性を示す成分が存在していることが示唆された。
上記図2に記載のラジカル捕捉活性の測定の結果から、サンプル4(焙煎強度4)は荒茶やサンプル1〜3と比べ、抗酸化活性はやや減少していることがわかる。しかしながら、図1に記載したカテキン総量の大幅な減少量と比較すると、抗酸化活性の減少割合は緩やかであることがわかる。このことから、カテキン類以外に抗酸化活性を示す成分が存在していることが示唆された。
(試験例5:抗菌活性の測定)
荒茶および各サンプルの抽出物の抗菌活性を、下記の方法で比較した。
107〜108CFU/mlに調整した各菌液(黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、う蝕原因菌(Streptococcus mutans)、歯周病原因菌(Porphyromonas gingivalis))を寒天培地(黄色ブドウ球菌およびう蝕原因菌についてはMueller Hinton II Agar 寒天培地(BD社製)、歯周病原因菌については変法GAM寒天培地(日水製薬社製))に均等に植菌した。その上に、荒茶及び各サンプルの抽出物を0.5質量%、1質量%、2質量%の濃度で蒸留水に溶解した抽出物溶液100μLを含浸した直径8mmのペーパーディスクを配置した。その後、該寒天培地を培養器内に移し、黄色ブドウ球菌については36±2℃で18〜24時間、う蝕原因菌については36±2℃で2日間、歯周病原因菌については嫌気条件化において36±2℃で4日間培養した。細菌の発育が認められなかった濃度をMIC(Minimum Inhibitory concentration、最小発育阻止濃度)として求め、また阻止円(ペーパーディスク周りの菌の発育が認められない範囲)の直径をノギスで測定した。結果を表3に示す。
荒茶および各サンプルの抽出物の抗菌活性を、下記の方法で比較した。
107〜108CFU/mlに調整した各菌液(黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、う蝕原因菌(Streptococcus mutans)、歯周病原因菌(Porphyromonas gingivalis))を寒天培地(黄色ブドウ球菌およびう蝕原因菌についてはMueller Hinton II Agar 寒天培地(BD社製)、歯周病原因菌については変法GAM寒天培地(日水製薬社製))に均等に植菌した。その上に、荒茶及び各サンプルの抽出物を0.5質量%、1質量%、2質量%の濃度で蒸留水に溶解した抽出物溶液100μLを含浸した直径8mmのペーパーディスクを配置した。その後、該寒天培地を培養器内に移し、黄色ブドウ球菌については36±2℃で18〜24時間、う蝕原因菌については36±2℃で2日間、歯周病原因菌については嫌気条件化において36±2℃で4日間培養した。細菌の発育が認められなかった濃度をMIC(Minimum Inhibitory concentration、最小発育阻止濃度)として求め、また阻止円(ペーパーディスク周りの菌の発育が認められない範囲)の直径をノギスで測定した。結果を表3に示す。
<表3の結果についての考察>
上記表3に記載の抗菌活性の測定の結果から、サンプル4は黄色ブドウ球菌、う蝕原因菌に対し荒茶や他のサンプルと同等の抗菌活性を有していることが分かった。また歯周病原因菌に対してもサンプル4は荒茶、サンプル1、サンプル2からは若干劣るものの、サンプル3と同等の抗菌活性を有していることが分かった。図1に示した通り、サンプル4においてカテキン総量が減少していることを鑑みると、サンプル4がカテキン類以外に抗菌活性を示す成分を有していることが示唆された。
上記表3に記載の抗菌活性の測定の結果から、サンプル4は黄色ブドウ球菌、う蝕原因菌に対し荒茶や他のサンプルと同等の抗菌活性を有していることが分かった。また歯周病原因菌に対してもサンプル4は荒茶、サンプル1、サンプル2からは若干劣るものの、サンプル3と同等の抗菌活性を有していることが分かった。図1に示した通り、サンプル4においてカテキン総量が減少していることを鑑みると、サンプル4がカテキン類以外に抗菌活性を示す成分を有していることが示唆された。
(試験例6:分離精製1及び抗菌活性の測定)
サンプル1の抽出物61.1g,サンプル2の抽出物60.7g,サンプル4の抽出物60.0gをそれぞれ蒸留水に溶解させ、それぞれダイヤイオンHP−20(三菱化学社製,φ50×180mm)に吸着させた後、0%EtOH、80%EtOH、100%EtOH各1L(流速 SV=1.5〜2.0)で溶出させ、0%EtOH溶出部、80%EtOH溶出部、100%EtOH溶出部を得た。それぞれの回収量を表4に示す。
サンプル1の抽出物61.1g,サンプル2の抽出物60.7g,サンプル4の抽出物60.0gをそれぞれ蒸留水に溶解させ、それぞれダイヤイオンHP−20(三菱化学社製,φ50×180mm)に吸着させた後、0%EtOH、80%EtOH、100%EtOH各1L(流速 SV=1.5〜2.0)で溶出させ、0%EtOH溶出部、80%EtOH溶出部、100%EtOH溶出部を得た。それぞれの回収量を表4に示す。
次に、各サンプルの0%EtOH溶出部および80%EtOH溶出部の回収物を用いて抗菌活性の測定を行った。測定方法は、各サンプルの抽出物を0.25質量%、0.5質量%、1質量%、2質量%の濃度で蒸留水に溶解した以外は、試験例5に記載した抗菌活性の測定の方法に従った。結果を表5に示す。なお、表5中の該当なしとは上記の濃度(0.25質量%、0.5質量%、1質量%、2質量%)で細菌の発育阻止が認められなかったことを意味する。
<表5の結果についての考察>
上記表5に記載の抗菌活性の測定の結果から、それぞれのサンプルに含まれる抗菌活性を持つ成分は80%EtOH溶出部の画分に集中していることがわかった。また、各サンプル間において、抗菌活性に大きな差はなかった。
上記表5に記載の抗菌活性の測定の結果から、それぞれのサンプルに含まれる抗菌活性を持つ成分は80%EtOH溶出部の画分に集中していることがわかった。また、各サンプル間において、抗菌活性に大きな差はなかった。
(試験例7:分離精製2)
次に、上述のサンプル4の80%EtOH溶出部500mgを中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)によってさらに分離・精製した。分画は分離中のカラムからの溶出量76mLごとに1フラクションとして試験管に分取し、各フラクション毎にHPLCによる成分分析を行い、その結果をもとに同一傾向をもつフラクションをまとめた。すなわち、Et80−1は図3に示すフラクション番号(以下同様)2〜12を、Et80−2はフラクション13〜24を、Et80−3はフラクション25〜28をまとめたものである。またEt80−1、Et80−2及びEt80−3に含まれる成分量(回収量)を表6に示す。
MPLCの条件は以下の通りである。
<MPLC条件>
装置名:AI−700中圧クロマトグラフ装置(山善社製)
カラム:YMC−DispoPackAT ODS−25 40g(ワイエムシィ社製)
移動相A:H2O
移動相B:EtOH
流速:40ml/min
フラクション:76ml/フラクション
検出器:PREP-UV-10V(山善社)
検出波長:230nm
グラジエントプログラム:
[送液開始〜5分 条件a(A相:B相=99:1)を維持]→
[5分〜7分 条件aから条件bへ直線的に変化]→
[7分〜27分 条件b(A相:B相=95:5)を維持]→
[27分〜29分 条件bから条件cへ直線的に変化]→
[29分〜39分 条件c(A相:B相=90:10)を維持]→
[39分〜47分 条件cから条件dへ直線的に変化]→
[47分〜51分 条件d(A相:B相=60:40)を維持]
次に、上述のサンプル4の80%EtOH溶出部500mgを中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)によってさらに分離・精製した。分画は分離中のカラムからの溶出量76mLごとに1フラクションとして試験管に分取し、各フラクション毎にHPLCによる成分分析を行い、その結果をもとに同一傾向をもつフラクションをまとめた。すなわち、Et80−1は図3に示すフラクション番号(以下同様)2〜12を、Et80−2はフラクション13〜24を、Et80−3はフラクション25〜28をまとめたものである。またEt80−1、Et80−2及びEt80−3に含まれる成分量(回収量)を表6に示す。
MPLCの条件は以下の通りである。
<MPLC条件>
装置名:AI−700中圧クロマトグラフ装置(山善社製)
カラム:YMC−DispoPackAT ODS−25 40g(ワイエムシィ社製)
移動相A:H2O
移動相B:EtOH
流速:40ml/min
フラクション:76ml/フラクション
検出器:PREP-UV-10V(山善社)
検出波長:230nm
グラジエントプログラム:
[送液開始〜5分 条件a(A相:B相=99:1)を維持]→
[5分〜7分 条件aから条件bへ直線的に変化]→
[7分〜27分 条件b(A相:B相=95:5)を維持]→
[27分〜29分 条件bから条件cへ直線的に変化]→
[29分〜39分 条件c(A相:B相=90:10)を維持]→
[39分〜47分 条件cから条件dへ直線的に変化]→
[47分〜51分 条件d(A相:B相=60:40)を維持]
MPLCによって得た各フラクションの含有成分の確認は、試験例3に示したカテキン類の定量分析条件を用いて行った。これにより、カフェインおよびカテキン類を含む画分と、それ以外の成分が主である画分に分けることができる。具体的には、分析の結果に基づき、カフェインの保持時間以前に溶出されるフラクション(フラクション番号2〜12)をEt80−1、カフェインおよびカテキン類を多く含むフラクション(フラクション番号13〜24)をEt80−2、カテキン類の溶出後に現われる成分群を含むフラクション(フラクション番号25〜28)をEt80−3とした。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による各フラクションに含まれるカテキン類(カテキン8種合計)量、カフェイン量、その他の成分のピーク面積の合計結果と、各フラクションのEt80−1、2及び3への帰属の一覧を図3に示す。
<図3の結果についての考察>
上記図3に記載のMPLCによる各フラクションの測定の結果に示すように、Et80−3、すなわちフラクション25〜28はカテキン類以外の成分を主に含むように分画された。Et80−1、2及び3に含まれる成分をさらに分析するため、HPLCを用いて成分分析を行なった。
上記図3に記載のMPLCによる各フラクションの測定の結果に示すように、Et80−3、すなわちフラクション25〜28はカテキン類以外の成分を主に含むように分画された。Et80−1、2及び3に含まれる成分をさらに分析するため、HPLCを用いて成分分析を行なった。
(試験例8:Et80−1、Et80−2及びEt80−3の成分分析)
Et80−1、Et80−2及びEt80−3の各画分に含まれる成分を下記の条件に従い高速液体クロマトグラフィ(HPLC)により分析した。結果を図4に示す。
<HPLC条件>
装置名:Waters Alliance 2695セパレーションモジュール
カラム : J’sphere ODS−H80 φ3.0×250mm(ワイエムシィ社製)
カラム温度:40℃
移動相A:水
移動相B:アセトニトリル
移動相C:1%リン酸水溶液
流速:0.43mL/min
検出器:Waters 2487 デュアル波長吸光度検出器 または Waters 2996 PDA検出器
検出波長:230nm
グラジエントプログラム:
[分析開始〜5分 条件1(A相:B相:C相=82.7:7.3:10)を維持]→
[5分〜10分 条件1から条件2へ直線的に変化]→
[10分〜15分 条件2(A相:B相:C相=80.5:9.5:10)を維持]→
[15分〜25分 条件2から条件3へ直線的に変化]→
[25分〜40分 条件3(A相:B相:C相=76:14:10)を維持]→
[40分〜45分 条件3から条件4へ直線的に変化]→
[45分〜55分 条件4(A相:B相:C相=49:41:10)を維持]→
[55分〜60分 条件4から条件5に直線的に変化]→
[60分〜74分 条件5(A相:B相:C相=82.7:7.3:10)を維持]
Et80−1、Et80−2及びEt80−3の各画分に含まれる成分を下記の条件に従い高速液体クロマトグラフィ(HPLC)により分析した。結果を図4に示す。
<HPLC条件>
装置名:Waters Alliance 2695セパレーションモジュール
カラム : J’sphere ODS−H80 φ3.0×250mm(ワイエムシィ社製)
カラム温度:40℃
移動相A:水
移動相B:アセトニトリル
移動相C:1%リン酸水溶液
流速:0.43mL/min
検出器:Waters 2487 デュアル波長吸光度検出器 または Waters 2996 PDA検出器
検出波長:230nm
グラジエントプログラム:
[分析開始〜5分 条件1(A相:B相:C相=82.7:7.3:10)を維持]→
[5分〜10分 条件1から条件2へ直線的に変化]→
[10分〜15分 条件2(A相:B相:C相=80.5:9.5:10)を維持]→
[15分〜25分 条件2から条件3へ直線的に変化]→
[25分〜40分 条件3(A相:B相:C相=76:14:10)を維持]→
[40分〜45分 条件3から条件4へ直線的に変化]→
[45分〜55分 条件4(A相:B相:C相=49:41:10)を維持]→
[55分〜60分 条件4から条件5に直線的に変化]→
[60分〜74分 条件5(A相:B相:C相=82.7:7.3:10)を維持]
<図4の結果についての考察>
Et80−3の画分には約31分以降、詳しくはおよそ35分から60分にかけて、特に46分から55分にかけて、カテキン類とは異なる特徴的なピークが見られた。一方で、カテキン類やカフェインのピークは、Et80−1およびEt80−2の画分に見られた。特に、煎茶や荒茶などに含まれるカテキン類の主成分であるエピガロカテキンガレート(EGCg 保持時間26.8分)とその熱異性化体ガロカテキンガレート(GCg 保持時間29.5分)はEt80−3にはほとんど含まれていない。つまり、Et80−3において31分以降に溶出される画分に含まれる成分が、煎茶や荒茶などに含まれるカテキン類の主成分以外の、抗菌活性および抗酸化活性を持つ非カテキン成分であるといえる。
Et80−3の画分には約31分以降、詳しくはおよそ35分から60分にかけて、特に46分から55分にかけて、カテキン類とは異なる特徴的なピークが見られた。一方で、カテキン類やカフェインのピークは、Et80−1およびEt80−2の画分に見られた。特に、煎茶や荒茶などに含まれるカテキン類の主成分であるエピガロカテキンガレート(EGCg 保持時間26.8分)とその熱異性化体ガロカテキンガレート(GCg 保持時間29.5分)はEt80−3にはほとんど含まれていない。つまり、Et80−3において31分以降に溶出される画分に含まれる成分が、煎茶や荒茶などに含まれるカテキン類の主成分以外の、抗菌活性および抗酸化活性を持つ非カテキン成分であるといえる。
(試験例9:各画分の抗酸化活性の測定)
Et80−1画分、Et80−2画分およびEt80−3画分の抗酸化活性を、ラジカル捕捉活性を求めることで比較した。ラジカル捕捉活性は、DPPH Antioxidant Assay Kit(同仁化学研究所社製)を用い、同キット記載の手法にて試験した。結果を表7に示す。
Et80−1画分、Et80−2画分およびEt80−3画分の抗酸化活性を、ラジカル捕捉活性を求めることで比較した。ラジカル捕捉活性は、DPPH Antioxidant Assay Kit(同仁化学研究所社製)を用い、同キット記載の手法にて試験した。結果を表7に示す。
(試験例10:Et80−3の抗菌活性の測定)
次に、Et80−3画分の回収物を用いて抗菌活性の測定を行った。
107〜108CFU/mlに調整した各菌液(黄色ブドウ球菌、歯周病原因菌)を寒天培地に均等に植菌した。その上に、各サンプルの抽出物を0.25質量%、0.5質量%、1質量%の濃度で1%DMSO溶液に溶解した抽出物溶液100μgを含浸したペーパーディスクを配置した。その後、該寒天培地を培養器内に移し、黄色ブドウ球菌については36±2℃で18〜24時間、歯周病原因菌については嫌気条件化において36±2℃で4日間培養した。細菌の発育が認められなかった濃度をMIC(Minimum Inhibitory concentration、最小発育阻止濃度)として求め、また阻止円(菌の発育が認められない範囲)の直径をノギスで測定した。結果を表8に示す。
次に、Et80−3画分の回収物を用いて抗菌活性の測定を行った。
107〜108CFU/mlに調整した各菌液(黄色ブドウ球菌、歯周病原因菌)を寒天培地に均等に植菌した。その上に、各サンプルの抽出物を0.25質量%、0.5質量%、1質量%の濃度で1%DMSO溶液に溶解した抽出物溶液100μgを含浸したペーパーディスクを配置した。その後、該寒天培地を培養器内に移し、黄色ブドウ球菌については36±2℃で18〜24時間、歯周病原因菌については嫌気条件化において36±2℃で4日間培養した。細菌の発育が認められなかった濃度をMIC(Minimum Inhibitory concentration、最小発育阻止濃度)として求め、また阻止円(菌の発育が認められない範囲)の直径をノギスで測定した。結果を表8に示す。
<表7および8の結果についての考察>
表7の結果より、カテキン類を含まないEt80−3画分も、Et80−1およびEt80−2と同様にDPPHラジカル捕捉能を有していることがわかる。また、表8の結果より、Et80−3画分は抗菌活性も有していることがわかる。すなわち、Et80−3画分には、抗酸化活性および抗菌活性を有する非カテキン成分が含まれていることがわかる。
表7の結果より、カテキン類を含まないEt80−3画分も、Et80−1およびEt80−2と同様にDPPHラジカル捕捉能を有していることがわかる。また、表8の結果より、Et80−3画分は抗菌活性も有していることがわかる。すなわち、Et80−3画分には、抗酸化活性および抗菌活性を有する非カテキン成分が含まれていることがわかる。
本発明によれば、焙煎茶葉の抽出物に由来した非カテキン成分を有効成分とする抗酸化剤および抗菌剤を提供することができる。
Claims (7)
- 焙煎茶葉の抽出物のうちカテキン類を除く非カテキン成分を有効成分とする抗酸化剤。
- 焙煎茶葉の抽出物のうちカテキン類を除く非カテキン成分を有効成分とする抗菌剤。
- 前記焙煎茶葉の抽出物は、水、親水性有機溶媒またはこれらの混合溶媒を抽出溶媒とする抽出物である、請求項1または2に記載の剤。
- 抽出温度が20〜100℃で抽出された抽出物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の剤。
- 前記焙煎茶葉は、焙煎前と焙煎後の茶葉の色差ΔEが10以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の剤。
- 前記非カテキン成分は、前記抽出物を以下に示す条件の高速液体クロマトグラフィーに付し、31分以降に溶出される画分に含まれる成分である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の剤。
(高速液体クロマトグラフィーの条件)
カラム : J’sphere ODS−H80 φ3.0×250mm(ワイエムシィ社製)
カラム温度:40℃
移動相A:水
移動相B:アセトニトリル
移動相C : 1%リン酸水溶液
流速:0.43mL/min
検出波長:230nm
グラジエントプログラム:
[分析開始〜5分 条件1(A相:B相:C相=82.7:7.3:10)を維持]→
[5分〜10分 条件1から条件2へ直線的に変化]→
[10分〜15分 条件2(A相:B相:C相=80.5:9.5:10)を維持]→
[15分〜25分 条件2から条件3へ直線的に変化]→
[25分〜40分 条件3(A相:B相:C相=76:14:10)を維持]→
[40分〜45分 条件3から条件4へ直線的に変化]→
[45分〜55分 条件4(A相:B相:C相=49:41:10)を維持]→
[55分〜60分 条件4から条件5に直線的に変化]→
[60分〜74分 条件5(A相:B相:C相=82.7:7.3:10)を維持] - 前記焙煎茶葉がほうじ茶である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の剤。
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JP2020080356A JP2021172637A (ja) | 2020-04-30 | 2020-04-30 | 焙煎茶葉の抽出物由来の抗酸化剤および抗菌剤 |
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