JP2021172625A - ペプチド及びペプチド誘導体 - Google Patents

ペプチド及びペプチド誘導体 Download PDF

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Abstract

【課題】抗CD63抗体と結合する新規なペプチド及びペプチド誘導体を提供する。【解決手段】(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)のペプチド又はペプチド誘導体;(a)配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチド、(b)配列番号1に1残基又は2残基の改変を有するアミノ酸配列からなるペプチド、(c)配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドのN末端及びC末端の一方又は両方に親水性基を有するペプチド誘導体、(d)配列番号1に1残基又は2残基の改変を有するアミノ酸配列からなるペプチドのN末端及びC末端の一方又は両方に親水性基を有するペプチド誘導体、(e)(a)、(b)、(c)及び(d)からなる群から選ばれる少なくとも1種が多量化したペプチド又はペプチド誘導体。【選択図】なし

Description

本開示は、抗CD63抗体と結合する新規なペプチド及びペプチド誘導体に関する。
エクソソームが各種のがん細胞、免疫細胞などから分泌されることが報告されており、エクソソーム内の核酸又はタンパク質を分析することによって病気の早期発見又は予後予測をすることが期待されている。エクソソームを生体試料から分離する方法の一つに、エクソソームの表面抗原であるCD63に対する抗CD63抗体を用いる方法が知られている(例えば、特許文献1)。
特開2018−186739号公報
抗体は、その抗原を発現している生体物質の単離又は分析の手段として重要である。また、抗体の性能を適切に評価するために、抗体の精製、抗体の力価の測定などに用いることのできるペプチドも、医学、薬学、生化学及び分子細胞学の研究手段として重要である。
本開示の実施形態は、上記状況のもとになされた。
本開示は、抗CD63抗体と結合する新規なペプチド及びペプチド誘導体を提供することを課題とする。
課題を解決するための具体的手段は、下記の(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)のペプチド又はペプチド誘導体である。
(a)配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチド。
(b)配列番号1に1残基又は2残基の改変を有するアミノ酸配列からなるペプチド。
(c)配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドのN末端及びC末端の一方又は両方に親水性基を有するペプチド誘導体。
(d)配列番号1に1残基又は2残基の改変を有するアミノ酸配列からなるペプチドのN末端及びC末端の一方又は両方に親水性基を有するペプチド誘導体。
(e)(a)、(b)、(c)及び(d)からなる群から選ばれる少なくとも1種が多量化したペプチド又はペプチド誘導体。
本開示によれば、抗CD63抗体と結合する新規なペプチド及びペプチド誘導体が提供される。
以下に、本開示の実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示は、抗CD63抗体と結合する新規なペプチド又はペプチド誘導体として、下記の(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)のペプチド又はペプチド誘導体を開示する。
(a)配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチド。
(b)配列番号1に1残基又は2残基の改変を有するアミノ酸配列からなるペプチド。
(c)配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドのN末端及びC末端の一方又は両方に親水性基を有するペプチド誘導体。
(d)配列番号1に1残基又は2残基の改変を有するアミノ酸配列からなるペプチドのN末端及びC末端の一方又は両方に親水性基を有するペプチド誘導体。
(e)(a)、(b)、(c)及び(d)からなる群から選ばれる少なくとも1種が多量化したペプチド又はペプチド誘導体。
本開示のペプチド及びペプチド誘導体は、抗CD63抗体の精製又は定量に使用する物質、抗CD63抗体の力価の測定に使用する物質などとして有用である。
本開示のペプチド又はペプチド誘導体が結合する抗CD63抗体の形態例として、抗ヒトCD63抗体が挙げられる。抗ヒトCD63抗体は、ヒトCD63を抗原にし、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ)を免疫動物にして作製された抗体である。抗CD63抗体のある形態例はモノクローナル抗体であり、ある形態例はポリクローナル抗体である。抗CD63抗体は、ヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメントでもよい。
本開示においてアミノ酸配列の改変は、置換、欠失、挿入及び付加から選択される少なくとも1種を意味する。すなわち、アミノ酸配列の改変は、置換、欠失、挿入、付加、又はこれらの任意の組合せである。配列番号1に対する1残基又は2残基の改変としては、1残基の置換、2残基の置換、1残基の欠失、2残基の欠失、1残基の挿入、2残基の挿入、1残基の付加、2残基の付加、1残基の置換かつ1残基の欠失、1残基の置換かつ1残基の挿入、1残基の置換かつ1残基の付加、1残基の欠失かつ1残基の挿入、1残基の欠失かつ1残基の付加、1残基の挿入かつ1残基の付加が挙げられる。
本開示においてペプチドは、N末端及びC末端の一方又は両方が保護又は安定のために修飾されたペプチドも含む。ペプチドの末端の保護又は安定のための修飾としては、N末端のアセチル化、C末端のアミド化が挙げられる。
(a)は、配列番号1のアミノ酸配列(すなわち、MWMDIWLQAFYKQSAA)からなるペプチドである。
(b)は、配列番号1に対して置換、欠失、挿入及び付加から選択される少なくとも1種の改変がなされたアミノ酸配列からなるペプチドであり、改変されたアミノ酸残基の合計が1残基又は2残基である。
(a)のアミノ酸配列(配列番号1)と、(b)のアミノ酸配列の具体例(配列番号2〜50)とを、表1に示す。配列番号2〜50は、(b)のアミノ酸配列の例示であり、(b)の実施形態を限定するものではない。
Figure 2021172625
表1に示すペプチドは、本発明者がcDNAディスプレイ法によって見出したペプチドである。本発明者が行ったcDNAディスプレイ法の詳細は[実施例]項に記載のとおりである。
(b)のある形態例は、配列番号1〜50のいずれかのN末端のメチオニン残基が欠失したアミノ酸配列からなるペプチドである。
(b)のアミノ酸配列において、配列番号1に対する改変の位置及び改変後のアミノ酸残基の種類は特に制限されないが、(b)のアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列との配列同一性が高いほど好ましい。
(b)のアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有することが好ましく、配列同一性は95%以上であることがより好ましい。アミノ酸配列の配列同一性は、例えば、BLAST (Basic Local Alignment Search Tool)(https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)を使用して算出する。
(c)は、(a)のN末端及びC末端の一方又は両方に親水性基が結合した構造を有するペプチド誘導体である。(d)は、(b)のN末端及びC末端の一方又は両方に親水性基が結合した構造を有するペプチド誘導体である。
ペプチド誘導体が有する親水性基の種類及び個数は、特に制限されず、水性媒体(例えば、水、生理食塩水、リン酸緩衝液、トリス緩衝液)に対するペプチド誘導体の溶解性又は分散性を調節する目的で選択すればよい。親水性基としては、例えば、側鎖に親水性基を有するアミノ酸残基、側鎖に親水性基を有するアミノ酸残基2個以上からなるペプチド(例えば、FLAGタグ、FLAGタグを含むペプチド)、糖鎖、核酸、ポリエチレングリコール、リン酸基、スルホン酸基、カルボン酸基、アミノ基、ヒドロキシ基、グアニジノ基、イミダゾリル基、ピリジル基、これらの組合せが挙げられる。
(e)は、(a)、(b)、(c)及び(d)からなる群から選ばれる少なくとも1種が多量化したペプチド又はペプチド誘導体である。多量化とは、例えば、共有結合(例えば、ペプチド結合、ジスルフィド結合)による連結;イオン結合、ファンデルワールス力、水素結合による会合;スペーサー(例えば、ポリエチレングリコール)を介した連結;これらの組合せである。
(e)のある形態例は、(a)、(b)、(c)及び(d)からなる群から選ばれる少なくとも1種を、任意の組み合わせで、2個、3個、4個、5個、6個、7個又は8個有する。
本開示のペプチド及びペプチド誘導体は、使用目的に応じて、ビオチン標識したり、磁性粒子に固定化したりして使用してもよい。
本開示のペプチド及びペプチド誘導体は、化学合成してもよく、生合成してもよい。ペプチドの化学合成法は、固相合成法、液相合成法、及び今後開発される化学合成法のいずれを適用してもよい。
本開示は、本開示のペプチドを生合成する目的で、下記の(a)、(b)又は(f)のペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。
(a)配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチド。
(b)配列番号1に1残基又は2残基の改変を有するアミノ酸配列からなるペプチド。
(f)(a)及び(b)からなる群から選ばれる少なくとも1種が繰り返すペプチド。
(a)のペプチドは先述のとおりである。(b)のペプチドは先述のとおりである。
(f)は、(a)及び(b)からなる群から選ばれる少なくとも1種が繰り返すペプチドである。すなわち、(f)は、(a)及び(b)からなる群から選ばれる1種又は2種以上が繰返し単位であり、繰返し単位が2個以上連なったペプチドである。繰返し単位の間には、(a)及び(b)と相違するアミノ酸残基又はペプチドが存在していてもよい。(a)及び(b)と相違するアミノ酸残基又はペプチドとしては、例えば、側鎖に親水性基を有するアミノ酸残基、側鎖に親水性基を有するアミノ酸残基2個以上からなるペプチド(例えば、FLAGタグ、FLAGタグを含むペプチド)が挙げられる。
本開示は、目的のペプチドをコードするポリヌクレオチド(具体的には、(a)、(b)又は(f)のペプチドをコードするポリヌクレオチド)を有する発現ベクターを提供する。発現ベクターとは、宿主細胞中で目的のペプチドを発現する組み換えベクターを意味する。発現ベクターは、目的のペプチドをコードするポリヌクレオチドと、挿入されたポリヌクレオチドを発現させる発現調節要素(例えば、開始コドン、終止コドン、プロモーター、オペレーター)とを有する。
本開示の発現ベクターは、目的のペプチドの検出を容易にするために、目的のペプチドをコードするポリヌクレオチドに連続して、標識タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質)をコードするポリヌクレオチドをさらに有していてもよい。
本開示の発現ベクターの構築に用いられるベクターとしては、プラスミドDNA、ファージDNA、動物ウイルスベクター、昆虫ウイルスベクター等が挙げられる。
本開示は、発現ベクターを含む形質転換体、及び形質転換体を用いて目的のペプチドを作製する方法を提供する。形質転換体を用いたペプチドの作製は、形質転換体を培養し、培養物からペプチドを回収することで実現される。
本開示の形質転換体は、本開示の発現ベクターで宿主を形質転換して作製する。形質転換体の作製に用いられる宿主は、細菌細胞、酵母細胞、真菌細胞、昆虫細胞、動物細胞又は植物細胞のいずれでもよい。
以下、実施例を挙げて発明の実施形態をさらに説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。
下記において、物質濃度に関し、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
[ディスプレイライブラリーに用いるDNAライブラリーの調製]
合成オリゴDNA1(配列番号51)と合成オリゴDNA2(配列番号52)とを用いて、KOD−plus−(東洋紡社製)により伸長反応を行った。94℃で3分間変性した後、55℃で1分、72℃で2分のサイクルを5回繰り返した。次いで、この伸長反応産物を鋳型に、合成オリゴDNA2(配列番号52)と合成オリゴDNA3(配列番号53)とを用いて、KOD−plus−(東洋紡社製)によりPCRを行った。94℃で2分間変性した後、94℃で1分、50℃で1分、68℃で1分のサイクルを5回繰り返し、配列番号54のDNAライブラリーを構築した。
Nはそれぞれ独立にA、G、C又はTであり、Kはそれぞれ独立にG又はTである。
配列番号51 AAGAAGGAGATATACATATGNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKGGCGGTTCTGGCGGTAGC
配列番号52 ATACTCAAGCTTATTTATTTACCCCCCGCCGCCCCCCGTCCTGCTACCGCCAGAACCGCC
配列番号53 GAAATTAATACGACTCACTATAGGGAGACCACAACGGTTTCCCTCTAGAAATAATTTTGTTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATG
配列番号54 GAAATTAATACGACTCACTATAGGGAGACCACAACGGTTTCCCTCTAGAAATAATTTTGTTTAACTTTAAGAAGGAGATATACATATGNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKGGCGGTTCTGGCGGTAGCAGGACGGGGGGCGGCGGGGGGTAAATAAATAAGCTTGAGTAT
[mRNA−ピューロマイシンリンカー複合体の調製]
配列番号54のDNAライブラリーを鋳型に、Thermo T7 RNA Polymerase(東洋紡社製)を用いて、配列番号55のmRNAを調製し、エタノール沈殿により精製した。2.8μmol/LのmRNAに、5μmol/Lのピューロマイシンリンカー(つくばオリゴサービス社製、構造を下記に示す。)、TBS(Tris-Buffered Saline、25mmol/L Tris、500mmol/L NaCl、pH7.5)を加え、90℃で5分間反応させた後、反応系の温度を25℃まで低下させた。次いで、365nmのUVを2分間照射した後、RNeasy MinElute Cleanup Kit(QIAGEN社製)により精製し、mRNA−ピューロマイシンリンカー複合体を得た。
Nはそれぞれ独立にA、G、C又はUであり、Kはそれぞれ独立にG又はUである。
配列番号55 GGGAGACCACAACGGUUUCCCUCUAGAAAUAAUUUUGUUUAACUUUAAGAAGGAGAUAUACAUAUGNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKNNKGGCGGUUCUGGCGGUAGCAGGACGGGGGGCGGCGGGGGGUAAAUAAAUAAGCUUGAGUAU
Figure 2021172625
[抗体固定化ビーズの作製]
500μLのダイナビーズ M−280 ストレプトアビジン(invitrogen社製)をTBS(20mmol/L Tris、150mmol/L NaCl、pH7.4)+0.05% Tween−20で1回洗浄し、945μLのTBS+0.05% Tween−20、55μLの抗体溶液(抗CD63モノクローナル抗体(3−13)、ビオチン結合、富士フイルム和光純薬社製、抗原由来動物:ヒト、免疫動物:マウス、クローンNo.3−13、タンパク質濃度:1mg/mL)を加えて室温で30分間回転混和し、抗体をビーズに結合させた。ビーズを回収してTBS+0.05% Tween−20で4回洗浄し、抗体固定化ビーズを得た。
[抗体非固定化ビーズの作製]
500μLのダイナビーズ M−280 ストレプトアビジン(invitrogen社製)をTBS(20mmol/L Tris、150mmol/L NaCl、pH7.4)+0.05% Tween−20で4回洗浄し、1mLのビオチン溶液(50μmol/L)を加えて室温で10分間回転混和し、ビオチンをビーズに結合させた。ビーズを回収してTBS+0.05% Tween−20で4回洗浄し、抗体非固定化ビーズを得た。
[パニングに使用する翻訳液]
PUREfrex 2.0(ジーンフロンティア社製、「PUREfrex」は登録商標)を使用し、10μLの反応液に対して終濃度0.6μmol/LになるようにmRNA−ピューロマイシンリンカー複合体を添加した。
[ラウンド1のパニングを行うための翻訳、パニング、逆転写反応及びPCR]
翻訳液を調製し、37℃で30分間反応させた。この翻訳液10μLに対して、2.5μLのEDTA水溶液(Ethylenediaminetetraacetic acid、100mmol/L)を加え、室温で数分間放置し、次いで、PD SpinTrap G−25(GEヘルスケア社製)を用いて脱塩を行った。得られた溶液に20μLの抗体固定化ビーズ及びTBS+0.05% Tween−20を加え、4℃で45分間回転混和を行った。上清を取り除き、TBS+0.05% Tween−20で4回、TBSで1回、純水で1回洗浄した。次いで、ビーズ溶液に、ReverTra Ace(東洋紡社製)、5×RT buffer(東洋紡社製)、dNTPs(25mmol/L)、プライマー1(配列番号56、10μmol/L)を加えた。調製した溶液を30℃で10分、42℃で30分保温し、逆転写反応を行い、ペプチド−mRNA複合体溶液を含むビーズ溶液を得た。
得られたビーズ溶液3μLにPCR反応用の2×buffer(東洋紡社製)及び純水を加え、95℃で5分間加熱した後、反応系の温度を25℃まで低下させた。上清を回収し、得られた上清にプライマー2(配列番号57、100μmol/L)、プライマー3(配列番号58、100μmol/L)、及びKOD−Multi&Epi−(東洋紡社製)を加え、PCRによってcDNAを増幅後、QIAquick PCR purification kit(QIAGEN社製)によりDNAを精製した。
配列番号56 GCTACCGCCAGAACCGCC
配列番号57 GAAATTAATACGACTCACTATAGGGAGACCACAACGGTTTCCCTC
配列番号58 ATACTCAAGCTTATTTATTTACCCCCCGCCGCCCCCCGTCCTGCTACCGCCAGAACCGCC
[ラウンド2のパニングを行うための転写、mRNA−ピューロマイシンリンカー複合体の調製、翻訳、パニング、逆転写反応及びPCR]
ラウンド1で増幅したcDNAから、Thermo T7 RNA Polymerase(東洋紡社製)を用いてmRNAを合成し、RNeasy MinElute Cleanup Kit(QIAGEN社製)により精製した。次いで、mRNAに、ピューロマイシンリンカー(つくばオリゴサービス社製、構造は先述のとおり。)を加え、90℃で5分間反応させた後、反応系の温度を25℃まで低下させた。次いで、365nmのUVを2分間照射した後、RNeasy MinElute Cleanup Kit(QIAGEN社製)により精製し、mRNA−ピューロマイシンリンカー複合体とした。終濃度として0.6μmol/LのmRNA−ピューロマイシンリンカー複合体を含む翻訳液10μLを調製し、37℃で30分間保温した。この溶液に対して、2.5μLのEDTA溶液(100mmol/L)を加え、室温で数分間放置した。この溶液に対して、ReverTra Ace(東洋紡社製)、5×RT buffer(東洋紡社製)、dNTPs(25mmol/L)、プライマー1(配列番号56、10μmol/L)を加え、30℃で10分、42℃で30分保温し、逆転写反応を行った。次いで、得られた溶液をPD SpinTrap G−25(GEヘルスケア社製)により脱塩を行い、ペプチド−mRNA複合体溶液を得た。
上記で得られたペプチド−mRNA複合体溶液に対して、20μLの抗体非固定化ビーズ及びTBS+0.05% Tween−20を加え、室温で10分間回転混和を行い、上清を回収した。回収した上清に対して20μLの抗体非固定化ビーズを加え、室温で10分間回転混和を行い、上清を回収した。その後、上清に対して20μLの抗体固定化ビーズを加え、4℃で45分間回転混和を行った。上清を取り除き、TBS+0.05% Tween−20で4回、TBSで1回、純水で1回洗浄し、ペプチド−mRNA複合体溶液を含むビーズ溶液を得た。
得られたビーズ溶液3μLにPCR反応用の2×buffer(東洋紡社製)及び純水を加え、95℃で5分間加熱した後、25℃まで低下させた。上清を回収し、得られた上清にプライマー2(配列番号57、100μmol/L)、プライマー3(配列番号58、100μmol/L)、及びKOD−Multi&Epi−(東洋紡社製)を加え、PCRによってcDNAを増幅後、QIAquick PCR purification kit(QIAGEN社製)によりDNAを精製した。
ラウンド3以降もラウンド2と同じ操作を繰り返し、合計6回同様の操作を行って抗体に特異的な結合を示すcDNAの濃縮を行った。濃縮されたDNAプールの塩基配列解析を行い、DNAプールに含まれるペプチドのアミノ酸配列を同定した。同定したアミノ酸配列のうち出現頻度の高い50個を、出現頻度の高い順に、表1に示す。
[ペプチド及びペプチド誘導体の化学合成]
ペプチド自動合成装置(Biotage社製 SyroI)を用いて、常法に従い、ペプチド固相合成を行なった。合成装置にH−Rink Amide−ChemMatrix(登録商標)(Biotage社製)、Fmocアミノ酸(0.5mol/L)のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液、シアノ(ヒドロキシイミノ)酢酸エチルエステル(1.0mol/L)及びジイロプロピルエチルアミン(0.1mol/L)のNMP溶液、ジイソプロピルカルボジイミド(1.0mol/L)のNMP溶液、ピペリジン(20%v/v)のNMP溶液、及び無水酢酸(20%v/v)のNMP溶液をセットし、合成を行った。Fmoc脱保護(20分間)、NMPによる洗浄、Fmocアミノ酸の縮合(1時間)、NMPによる洗浄を1サイクルとし、このサイクルを繰り返すことで、ペプチド鎖を伸長させた。
合成したペプチドを、HPLC(High Performance Liquid Chromatography)で精製し、質量分析法(MS,Mass Spectrometry)で同定した。
HPLCは、1260InfinityバイナリLCシステム(Agilent社製)又はLCシステム(Waters社製)を使用した。
カラム:Waters社製 X Select CSH130 C18(10×250mm)又はWaters社製 X Select CSH130 C18(19×250mm)
カラム温度:40℃
流速:4.0mL/min(Agilent社製)、20mL/min(Waters社製)
検出波長:220nm、254nm
MSは、ACQUITY SQD LC/MS System(Waters社、イオン化法:ESI(Electrospray Ionization、エレクトロスプレーイオン化))、又は、LCMS−2010EV(島津製作所、イオン化法:ESI及びAPCI(Atomospheric Pressure Chemical Ionization、大気圧化学イオン化)を同時に行う。)を用いて測定した。保持時間(RT)は、SQD(Waters社)を用いて測定し、分(min)で示した。
カラム:Waters社製BEH C18 1.7μm,2.1×30mm
溶媒:A液:0.1%ギ酸−水
B液:0.1%ギ酸−アセトニトリル
グラジエントサイクル:0.00min(A液/B液=95/5)、2.00min(A液/B液=5/95)、3.00min(A液/B液=5/95)
流速:0.5mL/min
カラム温度:室温
検出波長:254nm
(1)ペプチド1
配列番号1のアミノ酸配列からなり、N末端がアセチル化され、C末端がアミド化されているペプチドを、以下の手順で合成した。
H−Rink Amide−ChemMatrix(登録商標)(Biotage社製)(0.45mmol/g)111mgを出発原料として用いて、ペプチド固相合成を行った。N−α−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−アラニン(Fmoc−L−Ala−OH)、Fmoc−L−Ala−OH、N−α−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−O−(t−ブチル)−L−セリン(Fmoc−L−Ser(tBu)−OH)、N−α−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−N5−トリチル−L−グルタミン(Fmoc−L−Gln(Trt)−OH)、N−α−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−N−ε−(t−ブトキシカルボニル)−L−リシン(Fmoc−L−Lys(Boc)−OH)、N−α−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−O−(t−ブチル)−L−チロシン(Fmoc−L−Tyr(tBu)−OH)、N−α−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−フェニルアラニン(Fmoc−L−Phe−OH)、Fmoc−L−Ala−OH、Fmoc−L−Gln(Trt)−OH、N−α−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−ロイシン(Fmoc−L−Leu−OH)、N−α−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−トリプトファン(Fmoc−L−Trp(Boc)−OH)、N−α−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−イソロイシン(Fmoc−L−Ile−OH)、N−α−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−アスパラギン酸 β−t−ブチル エステル(Fmoc−L−Asp(OtBu)−OH)、N−α−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)−L−メチオニン(Fmoc−L−Met−OH)、Fmoc−L−Trp(Boc)−OH、Fmoc−L−Met−OHの順に縮合を行った。ペプチド鎖を伸長後、ピペリジン(20%v/v)のNMP溶液を加え、20分間反応させることでFmoc基の脱保護を行い、無水酢酸(20%v/v)のNMP溶液を加え10分間反応させることでN末端のアミノ基をアセチル化した。レジンをジクロロメタンで洗浄したのち、減圧下溶媒を留去した。反応溶液にTFA:3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール:トリイソプロピルシラン:水(=92.5:2.5:2.5:2.5、3.0mL)を加え、ペプチドの切り出しと脱保護を行った。2時間後、レジンをろ別し、ろ液にメチル−t−ブチルエーテル(12mL)を加え、固体を生じさせた。遠心分離を行い、固体を沈殿させた後、上澄みを除去した。メチル−t−ブチルエーテルで固体を洗浄後、減圧下溶媒を留去した。得られた固体をHPLC(0.1%ギ酸水溶液:0.1%ギ酸アセトニトリル溶液)にて精製した後、減圧下溶媒を留去することで、白色固体のペプチド1を9.17mg得た。ペプチド1の構造式を下記に示す。
Figure 2021172625

MS(ESI m/z):1015.6((M+2H)2+
RT(min):1.19
(2)ペプチド2
ペプチド1の合成方法と同様の合成方法で、ただし、C末端側のモノマーとしてC末端側からFmoc−L−Lys(Boc)−OH、Fmoc−L−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−L−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−L−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−L−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−L−Lys(Boc)−OH、Fmoc−L−Tyr(tBu)−OH、Fmoc−L−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−L−Ser(tBu)−OH、N−α−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)グリシン(Fmoc−Gly−OH)の順で余分に使用してペプチド2を得た。
ペプチド2は、ペプチド1のC末端に、親水性基であるところの配列番号59のアミノ酸配列(GSDYKDDDDK)からなるペプチドが付加したペプチドである。
ペプチド2の構造式を下記に示す。下記の構造式において「*」は連結部である。
Figure 2021172625

MS(ESI m/z):1056.7((M+3H)3+
RT(min):1.01
(3)ペプチド3
ペプチド1の合成方法と同様の合成方法で、ただし、C末端側のモノマーとしてC末端側から9−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニルアミノ]−4,7−ジオキサノナン酸、9−[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニルアミノ]−4,7−ジオキサノナン酸の順で余分に使用してペプチド3を得た。
ペプチド3の構造式を下記に示す。下記の構造式において「*」は連結部である。
Figure 2021172625

MS(ESI m/z):1174.6((M+2H)2+
RT(min):1.10
(4)ペプチド4
ペプチド1の合成方法と同様の合成方法で、ただし、C末端側のモノマーとして(Fmoc−アミノ)−PEG6−カルボン酸を余分に使用してペプチド4を得た。ペプチド4の構造式を下記に示す。下記の構造式において「*」は連結部である。
Figure 2021172625

MS(ESI m/z):1183.6((M+2H)2+
RT(min):1.11
(5)ペプチド5
ペプチド1の合成方法と同様の合成方法で、ただし、C末端側のモノマーとしてC末端側から(Fmoc−アミノ)−PEG6−カルボン酸、(Fmoc−アミノ)−PEG6−カルボン酸の順で余分に使用してペプチド5を得た。ペプチド5の構造式を下記に示す。下記の構造式において「*」は連結部である。
Figure 2021172625

MS(ESI m/z):1350.8((M+2H)2+
RT(min):1.11
[SPRを利用した合成ペプチドの標的タンパク質への結合評価]
合成したペプチドと抗CD63抗体との相互作用をSPR(Surface plasmon resonance)によって解析した。SPRは、Biacore T100(GEヘルスケア社製)を用いて、25℃にて実施した。固定化した抗CD63抗体に合成したペプチドを添加し、相互作用を評価した。ランニングバッファーとしては以下の組成のものを使用した。
ランニングバッファーの組成
25mmol/L 4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES、pH7.4)
150mmol/L 塩化ナトリウム(NaCl)
0.05vol% Tween−20
1.0vol% ジメチルスルホキシド(DMSO)
ビアコア用センサーチップ Sensor Chip SA(GEヘルスケア社製)上に抗CD63モノクローナル抗体(3−13)(ビオチン結合、富士フイルム和光純薬社製)を固定化させた。解離定数(KD)を測定するため、合成したペプチドを複数の濃度で添加し、固定化抗体に対する結合のセンサーグラムを得た。
得られたセンサーグラムの解析は、T100 evaluation software(GEヘルスケア社製)を用いて行った。DMSOに対する溶媒補正を行い、次に抗体が固定化されていないフローセルへのセンサーグラムを差し引いたセンサーグラムを用いて、平衡値解析によりKDを決定した。解析して得られた結果を表2に示す。
Figure 2021172625

Claims (1)

  1. 下記の(a)、(b)、(c)、(d)又は(e)のペプチド又はペプチド誘導体。
    (a)配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチド。
    (b)配列番号1に1残基又は2残基の改変を有するアミノ酸配列からなるペプチド。
    (c)配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドのN末端及びC末端の一方又は両方に親水性基を有するペプチド誘導体。
    (d)配列番号1に1残基又は2残基の改変を有するアミノ酸配列からなるペプチドのN末端及びC末端の一方又は両方に親水性基を有するペプチド誘導体。
    (e)前記(a)、(b)、(c)及び(d)からなる群から選ばれる少なくとも1種が多量化したペプチド又はペプチド誘導体。
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