JP2021170999A - 追肥量演算装置、追肥量演算方法および追肥量演算プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
追肥の可変施肥に必要な機械は実用化されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特許文献2は、基本施肥を施した圃場の一部に追肥を行って、生育量の比較を行い、追肥区で生育量が多い場合に、生育量の差に相当する追肥を行う施肥法が開示されている。
従来の追肥量決定方法は手間が掛かる上に、個別の圃場への適用が必ずしも上手くいかないという問題があった。
例えば、従来の技術では、試験場等限られた場所で品種毎の生育量に対する追肥量の関係を解明し、追肥量決定のための生育診断基準を決めていた。
本発明の一観点によれば、圃場への追肥量の演算処理を行う追肥量演算装置であって、前記圃場への追肥量と作物の特定の生育ステージの生育量との関係を表す追肥量関数を、作物の特定の生育ステージの生育量と作物の生育に依存する測定項目データに基づいて補正し、前記追肥量関数を補正する追肥量関数補正部と、前記追肥量関数補正部により補正された追肥量関数を次回の補正前追肥量関数とする追肥量関数更新部と、を有し、追肥、生育結果である測定項目の測定、追肥関数の補正の手順を繰り返すことにより、適切な追肥量関数に収束させることを特徴とする追肥量演算装置が提供される。尚、生育量とは正規化植生指数(NDVI)や、茎葉部NDVI×植被率等といった面積当たりの作物の窒素吸収量の指標を示すこととし、追肥量とは追肥に含まれる窒素量を示すこととする。
各測定項目の種類は目標項目、上限項目、下限項目のいずれかに指定することができる。目標項目は、それに基づく補正により次回の追肥量関数の基本となる基本追肥量関数が決定され、上限値や下限値ではない目標値を有し、一つ設定することが好ましい。例えば収量は目標項目に指定できる。上限項目は、それに基づく補正により追肥量の上限となる上限追肥量関数が決定され、上限値または下限値の目標値を有する。例えば、倒伏程度や穀粒タンパク質含有率(上限値がある場合)は上限項目に指定できる。下限項目は、それに基づく補正により追肥量の下限となる下限追肥量関数が決定され、上限値または下限値の目標値を有する。例えば、穀粒タンパク質含有率(下限値がある場合)は下限項目に指定できる。
本発明によれば、複数年をかけて漸近的に適切な追肥量関数に近づけるため、その地点の地力データ等を必要としない。
1)追肥の根拠となった前記生育量に対する収量(例えば目標項目とした場合)が、目標より少ない場合は、前記生育量に対応する追肥量を増やし、
2)追肥の根拠となった前記生育量に対する倒伏程度(例えば上限項目とした場合)が上限より大きい場合は前記生育量に対応する追肥量の上限を減らし、上限より小さい場合は前記生育量に対応する追肥量の上限を増やす、
3)追肥の根拠となった前記生育量に対する穀粒タンパク質含有率(例えば上限項目とした場合)が、上限より高い場合は前記生育量に対応する追肥量の上限を減らし、上限より低い場合は前記生育量に対応する追肥量の上限を増やす、
4)追肥の根拠となった前記生育量に対する穀粒タンパク質含有率(例えば下限項目の場合)が、下限より低い場合は前記生育量に対応する追肥量の下限を増やし、下限より高い場合は前記生育量に対応する追肥量の下限を減らす、
のうちの目標項目を対象とする方法を含む少なくともいずれか1の方法により前記追肥量関数の補正を行うことが好ましい。
本発明によれば、追肥量関数の補正処理において、測定項目に対応した適切な補正を行うことができる。
追肥量を計算する単位は、追肥時期以降の地力窒素発現等の条件が均一で複数の測定地点を含む必要がある。
第1追肥は、翌年のNDVI値等が当年の値と異なることから、位置に依存しないNDVI値等−追肥量関数を補正するものである。
一方、本発明の第2追肥は、追肥量0とする最小のNDVI値等を固定して、1地点毎の追肥の補正量を元に、1地点毎に追肥量関数を補正するものである。
前記追肥量関数補正部は、前記生育量と補正量により実績追肥量関数を補正し、次回の追肥量関数を決めることが好ましい。尚、補正量とは、生育結果である測定項目の測定値とその目標値との差より判断された適切な追肥量と実績追肥量の差を示す。
追肥量0とする最小のNDVI値等を固定して前記追肥量関数を補正することで、1地点毎の追肥量を計算することができる。
これにより、圃場の位置に依存した追肥量の補正を行うことができる。
作物が小麦である場合には、例えば収量を前記目標項目、圃場における作物の倒伏程度の一指標であるコンバイン標準化速度を前記上限項目、穀粒タンパク質含有率を前記下限項目と設定することが考えられる。
本発明によれば、複数年をかけて漸近的に適切な追肥量関数に近づけるため、その地点の地力データ等を必要としない。
前記圃場への追肥量と作物の特定の生育ステージの生育量との関係を表す追肥量関数を、作物の特定の生育ステージの生育量と作物の生育に依存する測定項目に基づいて補正し、前記追肥量関数を補正・更新する追肥量関数補正ステップと、前記追肥量関数補正ステップにより更新された追肥量関数を次回の追肥量関数とする追肥量関数更新ステップと、を有し、追肥、生育結果である測定項目の測定、追肥関数の補正の手順を繰り返すことにより適切な追肥量関数に収束させる処理をコンピュータに実行させることを特徴とする追肥量演算プログラムであっても良い。
尚、追肥量関数を適切に収束させるとは、目標収量、倒伏程度上限、タンパク質含有量上限、下限を満たす生育になる追肥量関数に収束させるということである。
また、コンバイン標準化速度とは、その地点のコンバイン収穫速度を、倒伏していない標準地点のコンバイン収穫速度で除した値である。その値が小さいほど倒伏程度が大きいことを示す。コンバイン標準化速度の代わりにコンバイン収穫速度そのものを用いてもよい。
以下に、本発明の実施の形態による追肥量演算技術について図面を参照しながら詳細に説明する。
第1の実施の形態では、翌年のNDVI値等が当年の値と異なることから、NDVI値等−追肥量関数を補正するものである。
まず、NDVI値等を追肥量関数等に利用した従来の追肥量演算技術の手順について簡単に記載する。
1)品種毎に生育診断指標を作成
試験場等の限られた場所で数年間生育量や追肥量を数段階設けた試験を実施し、生育量に対応する追肥量を求め、生育診断基準を作成する。リモートセンシングによるNDVI値(正規化植生指数)等を用いる場合は、NDVI値等から生育診断指標を推定する方法や、NDVI値等に対する追肥量関数を作成する方法がある。
2)対象圃場の生育診断結果から追肥量を決定
対象圃場で生育調査を行い、1)の生育診断基準に当てはめて追肥量を決定する。あるいは、NDVI値等から生育診断指標を推定し、生育診断基準により追肥量を決定する、または追肥量関数に当てはめて追肥量を決定する。
2−1)生育後半の地力窒素の出方や気象条件等の違いにより、試験場で作成した生育診断法が対象圃場に当てはまらない場合がある。
2−2)新品種が出る度に、上記1)の生育診断指標を作成しなくてはならず、手間が掛かる。
2−3)生育診断に用いる生育調査データは労力がかかるということと、点データに限定されるという問題がある。
2−4)リモートセンシングの場合は、NDVI値等から追肥量を決める標準的な方法が存在しない。
図1に示す追肥量演算技術は、以下のような考え方に基づく。
1)図1に示すように、NDVI値等と追肥量の関数を栽培結果により補正していくものである。
NDVI値は、植物など生育量を示す指標であり、(IR−R)/(IR+R)で求めることができる。
ここで、Rは赤色光の反射率、IRは近赤外光の反射率、であり、NDVI値は+1〜−1の間の値である。
nは、年に相当し、1年目はn=1、2年目はn=2である。
追肥量関数T1とデータT2とから、演算により追肥地図NP1を作成する(T3)。
演算された追肥地図NP1より、追肥実績である実績追肥地図N1を作成する(T4)。例えば、施肥実績量/施肥計画量(m1)が0.8であれば、圃場全体に0.8を乗算する。上限追肥量(NUL)を決めておくこともできる(T0)。
1)コンバインなどで測定することができる倒伏データ1
2)コンバインなどで測定することができる収量データ1
3)コンバインなどで測定することができる穀粒タンパク質含有率データ1
尚、ここで挙げた3つの測定項目は例示であり、他の項目の使用を排除するものではない。
g1 (NDVI等)=m1×f1 (NDVI等)
ここで、実績追肥量が得られない場合は、m1=1とする。
測定項目データT5に基づいて実績追肥量関数T6を補正することにより、新たな追肥量関数f2(NDVI等)を求める(T7)。
この新たな追肥量関数f2(NDVI等)を、T1の追肥量関数として与えて(n=n+1)、次回の栽培時に同様の手順を行う(フィードバックする)。この追肥量関数の補正演算を例えば数回(n回)続けることにより、NDVI値等と追肥量関数を収束させて最適値に近づけることができる。
尚、本実施の形態では、追肥量を計算する単位は、地域でも、圃場でもよいが、追肥時期以降の地力窒素発現等の条件が単位内において均一で複数の測定地点を含むことが必要である。
追肥量関数補正部15は、圃場への追肥量と作物の特定の生育ステージの生育量との関係を表す追肥量関数を、作物の特定の生育ステージの生育量と作物の生育に依存する測定項目データに基づいて補正する。
追肥量関数更新部17は、追肥量関数補正部15により補正された追肥量関数を次回の追肥量関数として更新する。
このように、追肥、生育結果である測定項目の測定、追肥関数の補正の手順を繰り返すことにより適切な追肥量関数に収束させることができる。
尚、実績値が得られない場合には、実績追肥地図作成部7の地図を追肥地図で代用することができる。
ステップS2において、図2の追肥量関数設定部1が、追肥量関数f1(NDVI)を例えば初期値として設定し、NDVI地図作成部3が、測定したNDVI地図を入力し、追肥地図作成部5が追肥地図NP1を作成する(図1のT3)。そして、実績追肥地図作成部7が、実績追肥量を考慮して追肥地図NP1を実績追肥地図N1に変換する(図1のT3→T4)。尚、T5の測定項目とその種類と目標は、初回に設定する。目標は毎回設定してもよい。
1)ステップS1で設定された測定項目が収量(ステップS3)である場合には、ステップS4において、追肥量関数補正部15が、目標収量から収量を減算した値に所定の係数を乗算し、その演算値を目安に、そのNDVI値に対応する追肥量を増やすように関数を修正(補正)する。すなわち、追肥の根拠となったNDVI値等に対する収量の値に基づいて追肥量関数を補正する(ステップS4)。そして、ステップS5において収量補正基本追肥量関数を決定する。
尚、収量は気象変動により年次変動するので、目標収量をその年の平均収量や中央値、第三四分位数のような年次により変動する相対的な値にしてもよい。
そして、ステップS8において倒伏程度補正上限追肥量関数を決定する。
3−2)ステップS1で設定された測定項目が穀粒タンパク質含有率(ステップS9)であって、かつ、下限項目である場合には、ステップS12において、追肥量関数補部15が、(下限−タンパク質含有率)×係数を目安に追肥量関数を補正する。
そして、ステップS13においてタンパク質含有率補正下限追肥量関数を決定する。
上記の処理において、上限追肥量関数と下限追肥量関数、基本追肥量関数から次回(次年度)の追肥量関数を決める。上限追肥量関数>基本追肥量関数>下限追肥量関数であれば基本追肥量関数をとり、上限追肥量関数≦基本追肥量関数であれば上限追肥量関数を、基本追肥量関数≦下限追肥量関数であれば下限追肥量関数を採用することを基本とする。
そして、ステップS15から、ステップS16で次年度のサイクルとし(n=n+1)、ステップS2に戻る。尚、ステップS2ではなくステップS1に戻って測定項目の目標を設定し直しても良い。
上記図1のT1からT7のサイクルを数回続けることにより、NDVI等に対する追肥量の関数を最適なものに収束させる。
尚、追肥量を計算する単位は地域でも、圃場でもよいが、追肥時期以降の地力窒素発現等の条件が均一で複数の測定地点を含む必要がある。
以下に、本発明の第1の実施の形態の具体的な補正手法について例示的に説明する。
1)収量補正
図4Aは、本実施の形態において用いた、収量(左縦軸)、追肥窒素量(右縦軸)のNDVI値依存の実測値の一例を示す図である。黒塗りの丸印が追肥、白抜きの丸印が無追肥の収量のデータである。実線は、実際の追肥窒素量とNDVI値との関係を示す実績追肥量関数gn=mn×fnである。
図4Aに示す例では、無追肥区、追肥区いずれも、どのNDVI値でもほぼ目標収量570g/m2を達成している。従って、追肥量の増量はしない。
しかしながら、例えば目標収量が650g/m2、図4Aの無追肥区の点も追肥区であったと仮定した場合は、どのNDVI値でも目標収量に届いておらず、NDVI値が大きい場合に目標収量との差が大きかったので、NDVI値が大きいほど上方への補正量が大きくなるように追肥量関数を補正すると良い(図4A点線参照)。図4Aには上限NULの線も明示した。
以下に、図4Aにおける実績追肥量関数の補正方法の一例について説明する。
図4Bは、収量と窒素吸収量の関係を示す図である。図中の回帰直線は収量を1g/m2増加させるには窒素吸収量を0.0176g/m2増加させる必要があることを示している。
例えば、図4Aで目標収量650g/m2、無追肥区の点も追肥区と仮定した場合、NDVI=0.5の時の実際の収量が640g/m2程度であるため、NDVI=0.5の追肥窒素量を(650−640)×0.0176/肥料効率(k)だけ増加させるのが目安となる。kは追肥窒素量の吸収割合で通常0.7程度だが、過剰補正を避けるため1としてもよい。NDVI=0.6の実際の収量が570g/m2程度であるため、NDVI=0.6の追肥窒素量を(650−570)×0.0176/kだけ増加させるのが目安となる。NDVIに対する収量の回帰直線と目標収量の差に0.0176を乗じた値を元の追肥量関数に加えた補正追肥量関数の目安の線をグラフに書き込むようなシステムにすると追肥量関数の補正の目安とすることができる。
目標収量600g/m2として、実際の収量の回帰直線がL1であった場合、目標収量との差に係数0.0176を乗じた値を線L2の実績追肥量関数に加えたものが破線L3の補正目安追肥量関数となる。実際の補正後追肥量関数は補正目安追肥量関数を参考に手動で設定することができる。図4Cには上限NULの線も明示した。
図4Dは、倒伏程度の一指標であるコンバイン標準化速度と窒素吸収量の関係を示す図である。
図4Eは、本実施の形態において用いた、NDVI値に対するコンバイン標準化速度(左縦軸)、および追肥量(右縦軸)の関係の一例を示す図である。黒塗りの丸印が追肥、白抜きの丸印が無追肥のデータである。コンバイン標準化速度は、倒伏程度の指標で、倒伏程度と負の関係がある。図4Eには上限NULの線も明示した。
無追肥区ではNDVI値が0.62以上でコンバイン標準化速度が下限の0.7よりも小さくなっている。
従って、NDVI=0.62で追肥量が0になるように追肥量を減した(点線)。追肥区の標準化速度は目標の0.7を超えているので、追肥量が上限になるNDVI値(ここでは、0.4)と上限追肥量(ここでは、2.3)はそのままとした。
上記1)、2)と同様の考え方により、穀粒タンパク質含有率補正をすることができる(ステップS9〜S13)。
本実施の形態において測定項目の種類を決める必要がある。
収量は目標項目、倒伏程度は上限項目、穀粒タンパク質含有率は米の場合は上限項目、小麦の場合は下限項目とする場合が多いと推定される。次回の追肥量関数は、基本的には目標項目とした収量で補正した基本追肥量関数L11を使う。但し、収量で補正した基本追肥量関数L11が倒伏程度による上限追肥量関数L12を超えるNDVIの範囲、および穀粒タンパク質含有率による下限追肥量関数L13を下回るNDVIの範囲では上限追肥量関数や下限追肥量関数が採用されることになる。また、上限追肥量L14を超える場合は、L14となる。最終的には、追肥量を太点線で示す関数L15にする。
そのシステムの中に本実施の形態による装置等が組み込まれることにより、個人的技術に頼らずに、例えば、図4A,図4Eのような測定データに基づいて追肥量関数を補正することが可能となる。補正方法としては、図4A、図4Eに図4CのL3のような補正目安追肥量関数を追加して、参照しながら補正を行うことができる。
第1の実施の形態では、翌年のNDVI値等が当年の値と異なることから、位置に依存しないNDVI値等−追肥量関数を補正するものである。
一方、本発明の第2の実施の形態では、追肥量0とする最小のNDVI値等を固定して、1地点毎の追肥の補正量を元に、1地点毎に追肥量関数を補正するものである。
この技術によれば、グラフを見て追肥量関数を修正することなく演算処理の自動化をすすことができる。また、地点毎に追肥量関数を決めることができる。尚、追肥量0の最小のNDVI値等は経験などにより決めるこができる。
図6に示す追肥量演算技術は、以下のような考え方に基づく。図6に示すように、NDVI値等と位置iに依存する追肥量の関数fni(NDVI)を栽培結果により補正していくものである。
nは、年に相当し、1年目はn=1、2年目はn=2である。
iは、位置、すなわち、地点または圃場を区別する番号である。
追肥量関数T11とデータT12とから、演算により追肥地図NP1iを作成する(T13)。追肥量が上限追肥量を超える場合は上限追肥量に補正される。
演算された追肥地図NP1iより、追肥実績である実績追肥地図Nniを作成する(T14)。例えば、実績追肥量/計画追肥量(m1i)が0.8であれば、圃場全体に0.8を乗算する。
追肥量=(NA(NDVIX(0))−NA(NDVIX))/k
ここで、NA(NDVIX)は1次関数を含む他の関数でも良い。またkは、通常0.7程度であるが、過剰補正を回避するために1としてもよい。
1)コンバインなどで測定することができる倒伏データ1
2)コンバインなどで測定することができる収量データ1
3)コンバインなどで測定することができる穀粒タンパク質含有率データ1
尚、ここで挙げた3つの測定項目は例示であり、他の項目を排除するものではない。
gni (ΔNDVI等)=mni×fni (ΔNDVI等)
ここで、追肥実績量が得られない場合は、mni=1とする。
この新たな追肥量関数f2i(ΔNDVI等)を、T11の追肥量関数として与えて、2回目の栽培時に同様の手順を行う(フィードバックする)。この追肥量関数の補正演算を例えば数回(n回)続けることにより、ΔNDVI値等に対する追肥量関数を収束させて最適値に近づけることができる。
尚、本実施の形態では、追肥量を計算する単位は、地域でも、圃場でも、測定地点でもよい。
図7に示すように、本実施の形態による追肥量演算処理手順は、処理を開始すると(Start)、まず、ステップS11で測定項目(図6のT16)を設定する。
ステップS12において、図2の追肥量関数設定部1が、追肥量関数f1i(NDVI)を例えば初期値として設定し、NDVI地図作成部3が、測定したNDVI地図を入力し、追肥地図作成部5が追肥地図を作成する(図6のT13)。そして、実績追肥地図作成部7が、計画追肥量に対する実績追肥量の割合m1i用いて追肥地図NP1iを実績追肥地図N1iに変換する(図6のT13→T14)。尚、T15の測定項目とその種類、目標値は、初回に設定する。目標値は毎回設定してもよい。
そして、測定項目測定部11が測定項目の測定を行う(ステップS13)。
1)ステップS11で設定された測定項目が収量である場合には、ステップS14−1において、追肥量関数補正部15が、目標収量から収量を減算した値に所定の係数を乗算し、そのΔNDVI値等に対応する基本補正量を算出する。
尚、収量は気象変動により年次変動するので、目標収量をその年の平均収量や中央値、第三四分位数のような年次により変動する相対的な値にしてもよい。
3−2)ステップS11で設定された測定項目が穀粒タンパク質含有率であって、かつ、下限項目である場合には、ステップS14−3において、追肥量関数補部15が、(下限−穀粒タンパク質含有率)×係数により下限補正量を算出する。例えば小麦タンパク質含有率が該当する。
上記図1のT11からT17のサイクルを数回続けることにより、NDVI等に対する追肥量の関数を最適なものに収束させる。
尚、追肥量を計算する単位は地域であっても、圃場であっても、1測定地点(メッシュ: 10m×10mなど)であってもよい。
以下に、具体的な補正手法について例示的に説明する。
1−1)測定項目の決定
栽培目標や利用できる機械に基づいて、追肥量補正の判断に用いる測定項目を決める。測定項目としては、収量、倒伏程度、穀粒タンパク質含有率等が考えられる。
各測定項目の種類として、目標項目、上限項目、下限項目、上下限項目のいずれかを指定する
1−2−1)目標項目: 基本補正量(ΔNBni)を決める関数と上限値、下限値でない目標値をもつ。このΔNBniを補正量の基本とし、上限補正量、下限補正量、上限ΔN、下限ΔNで補正してΔNを決定する。一つ指定することが好ましい。目標項目は、例えば、収量などである。
1−2−2)上限項目: 上限補正量(ΔNUni)の関数と上限値または下限値の目標値をもつ。例えば、倒伏程度(指標としてのコンバイン標準化速度等)や玄米タンパク質含有率などである。
1−2−3)下限項目: 下限補正量(ΔNLni)の関数と上限値または下限値の目標値をもつ。例えば、小麦タンパク質含有率などである。
1−2−4)上下限項目: 上限補正量関数、下限補正量関数、上限値と下限値の目標値をもつ上下限項目を設定しても良い。
ここで、目標項目は1つ作ることが好ましい。
関数は、直線、階段状、折れ線、曲線などで良い。例えば、目標未満の場合補正量=1、目標以上の場合補正量=0という関数でもよい。すなわち、必ずしも実験に基づく関数でなくてもよい。
また、上限項目と下限項目がある場合、ΔNUni<ΔNLniと対立した場合の対立処理を決めておくと良い(ステップS16−3)。対立処理としては、優先する項目を決めておく、ΔNUniとΔNLniの平均値を採用する、等が考えられる。
次いで、実績追肥地図作成部7が実績基肥量を考慮して基肥地図NPniを実績基肥地図Nniに変換する(n=1,2、3、…)。
次いで、測定項目測定部11がステップS13において、測定項目を測定する。ステップS14(S4−1,S4−2,S4−3)において、測定項目測定部7により測定された測定項目に基づいて以下のように補正量を算出する。
3−1)目標項目(ステップS14−1): 目標値−測定値を、ΔNBniを決める関数に当てはめΔNBniを算出する。
3−2)上限項目(ステップS14−2): 目標値−測定値を、ΔNUniを決める関数に当てはめΔNUniを算出する。
3−3)下限項目(ステップS14−3): 目標値−測定値を、ΔNLniを決める関数に当てはめΔNLniを算出する。
3−4)図示していないが、例えば、上下限項目:目標値−測定値を、ΔNUniを決める関数とΔNLniを決める関数に当てはめ、ΔNUniとΔNLniを算出するようにしても良い(ステップS14)。
以下に、上記の補正量ΔNniの演算処理について説明する。
4−1)暫定補正量ΔNni(1)の決定
ΔNBni,ΔNUni,ΔNLniを比較し(ステップS15)、暫定補正量ΔNni(1)を決定する(S16−1〜S16−4)。
ΔNLni≦ΔNBni≦ΔNUniの場合には、ΔNBniを採用する(ステップS16−1)。
ΔNBni>ΔNUniの場合には、ΔNUniを採用する(ステップS16−2)。
ΔNBni<ΔNLniの場合には、ΔNLniを採用する(ステップS16−3)。
ΔNUni<ΔNLniの場合には、対立処理を行う(ステップS16−4)。
4−1)で決定したΔNni(1)を、必要に応じて、最終的な上限ΔN、下限ΔNに当てはめる。上限ΔN、下限ΔNは過剰補正を避けるためあらかじめ設定した値であり、測定項目の測定値により変動するΔNUniやΔNLniとは異なる。
下限ΔN≦ΔNni(1)≦上限ΔNであれば、ΔNni(1)を採用する。
ΔNni(1)>上限ΔNであれば、上限ΔNを採用する。
ΔNni(1)<下限ΔNであれば、下限ΔNを採用する。
そして、ステップS19において、以下のように関数を補正する。
fn+1(ΔNDVI等)= (gni(ΔNDVI等ni)+ΔNni)/ gni(ΔNDVI等ni)× gni(ΔNDVI等)
ステップS19の後の処理は、図7では省略しているが、図6のT7(追肥量関数)からT1(新たな追肥量関数)に戻る処理に対応する。
以下に、上記の手順に沿った暫定補正量ΔNni(1)の演算の具体例について説明する。
適宜、図6,図2,図7と、上記1.測定項目の設定例から上記4.暫定補正量ΔNni(1)の決定までの決定の説明を参照する。
1−1)測定項目は、図6のT15において例示した項目等の組み合わせである。
1−2)後述する表などに例示させるように、測定項目毎に、種類、関数、目標値などを設定する。
測定項目の特性に応じて、目標項目、上限項目等の種類を指定する。
設定項目としての関数は、実験データに基づいて適切な関数を設定することが望ましい。但し、実験データに基づかない関数、例えば、階段状関数を設定しても良い。例えば、収量を目標項目とし、目標未満は補正量=1、目標以上は補正量=0というような簡単な関数を設定しても良い点が本発明の1つの特徴である。
1−3)測定項目毎に補正量を演算する。
1−4)ΔNBni、ΔNUni、ΔNLniを比較して暫定補正量ΔNni(1)を決定する。
尚、ΔNni(1)は、目標項目の値ΔNBniを採用するのが基本であり、ΔNUni、ΔNLniで補正する。ステップS14〜S16までのように、測定項目の種類により算出された補正値の扱いを変えている。
2−1)測定項目
測定項目は、収量、コンバイン標準化速度(倒伏程度の一指標)、穀粒タンパク質含有率とすることができる。主食用水稲の場合は倒伏程度と穀粒タンパク質含有率とが上限以下の範囲内で目標収量を目指すのが好ましい。
収量を目標項目とする。そして、目標収量より実際の測定収量が少ない場合、収量差に相当する窒素量だけ基肥量を増やす。
図8は、収量と窒素吸収量、及び収量と基本補正量ΔNByの関係の一例を示す図である。
窒素吸収量NAは、収量Y(g/m2)に対して以下の式3に示すように単回帰することができることがわかった。
NA(g/m2)=0.0176×Y+0.6476 (式3)
目標収量(下向き黒矢印参照)を570g/m2とし、肥料効率を1とすると、図8のように、
Y<570の場合:
ΔNByni=0.0176×(570−Yni)/k=0.0176×(570−Yni) (式4)
Yni≧570の場合:
ΔNByni=0
である。
収量は、その年の気象条件等の影響を受けるため、目標収量は絶対値だけでなく、その年の平均値、中央値、第三四分位数等の相対的な値を用いても良い。
コンバイン標準化速度(本明細書では、倒伏していない基準圃場のコンバイン速度に対する対象箇所のコンバイン速度の相対値と定義する。)は、農作物の倒伏程度の指標として用いることができる。倒伏程度が大きいほどコンバイン速度は小さくなるからである。倒伏程度は、上限の目標を持ち、補正量の上限を決める項目であるため、上限項目である。一方、コンバイン標準化速度は、倒伏程度と負の関係があるため、下限の目標を持つ上限項目である(図9の下向き黒矢印=0.7を下限目標とする)。
NA=−7.1321×V +17.159(式5)
ここで、目標標準化速度を0.7、肥料効率を1とすると、ΔNUvniは以下の式6で表される。
ΔNUvni=−7.1321×(0.7−Vni) (式6)
以上のように、コンバイン標準化速度による上限補正量ΔNUvを回帰式を利用して求めることができる。
追肥窒素量が多いと穀粒タンパク質含有率が高くなる。
ところで、作物によって、品質上求められる穀粒タンパク質含有率に上限や下限がある場合がある。
例えば、玄米タンパク質含有率が高いと食味が落ちるため、良食味米栽培では玄米タンパク質含有率に上限が定められている場合がある。ここでは玄米タンパク質含有率を上限項目とした例を示す。
図10は、玄米タンパク質含有率と窒素吸収量、及び玄米タンパク質含有率と上限補正量ΔNUpの関係の一例を示す図である。図10に示すように、窒素吸収量は玄米タンパク質含有率で単回帰できることがわかる。
図10より、玄米タンパク質含有率をPとすると、窒素吸収量NAは以下の式で求まる。
NA=3.1395×P−8.9885 (式7)
また、玄米タンパク質含有率の目標値を6.0(下向き黒矢印の値を上限目標とする)、肥料効率を1とすると、式8が求まる。
ΔNUpni=3.1395×(6.0−Pni) (式8)
以上のように、穀粒タンパク質含有率による上限補正量ΔNUpniを、回帰式を利用して求めることができる。
以下に、主食用水稲の場合のΔNの演算例について説明する。
例1は、収量を目標項目としたものである。
例2は、NDVI×植被率を目標項目としたものである。
例3は、収量を目標項目とし、NDVI×植被率を上限項目としたものである。
例4は、収量を目標項目とし、コンバイン標準速度、穀粒タンパク質含率を上限項目としたものである。
以下では、表1の例4の組み合わせを用いて、様々な収量、タンパク質含有率、コンバイン標準化速度の組み合わせについて、ΔNni(1)を計算した例を示す。
各項目の網掛けの意味を最終行に示した。
ΔNByniは上限補正量ΔNUvniやΔNUpniより小さいので、事例1における選択される補正量はΔNByni=0.0であり、ΔNni(1)=0.0となる。
ΔNByniは上限補正量ΔNUvniやΔNUpniより小さいので、事例2における選択される補正量はΔNByni=1.2であり、ΔNni(1)=1.2となる。
ΔNUpni<ΔNByni<ΔNUvniなので、事例3における選択される補正量はΔNUpni=1.6であり、ΔNni(1)=1.6となる。
ΔNUvni<ΔNUpni<ΔNByniなので、事例4における選択される補正量はΔNUvni=1.4であり、ΔNni(1)=1.4となる。
ΔNUvni<ΔNByni<ΔNUpniであるため、事例5における選択される補正量はΔNUvni=−1.4であり、ΔNni(1)=−1.4となる。
ΔNUpni<ΔNUvni<ΔNByniであるため、事例6における選択される補正量はΔNUpni=−1.6であり、ΔNni(1)=−1.6となる。
ΔNUvni<ΔNUpni<ΔNByniであるため、事例7における選択される補正量はΔNUvni=−2.9であり、ΔNni(1)=−2.9となる。
ΔNUpini<ΔNByni=ΔNUvni、事例8における選択される補正量はΔNUpni=−1.6であり、ΔNni(1)=−1.6となる。
以上に説明したように、様々な事例において、適切な補正量を求めることができる。
表3は、図7のステップS13からS16−1〜S16−3までの処理により暫定補正量ΔNni(1)を求める演算処理の結果を示す。それ以降の演算処理により得られた結果は省略している。
各項目の網掛けの意味を最終行に示した。
尚、目標項目である収量は作物や品種、栽培地等に依存するが、主食用水稲などでは420が好ましく、より好ましくは720である。
また、上限項目であるコンバイン標準化速度は、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.8以上が好ましい。
また、上限項目であるタンパク質含有量は、7.0以下が好ましく、6.0以下がより好ましい。
1)g1i ≦m1i ×NULの場合(図12)
図12の1年目の実績追肥量関数g1iは図11の追肥量曲線をΔNDVIX(追肥0とするNDVIX(NDVIX(0))とNDVIの差)の2次関数に書き直したものである。ΔNDVIX2i=ΔNDVIX1iとなる場合、追肥量がΔN1i増えるようにg1iを補正してf2iを求める。ΔNDVIX1iが上限追肥量に達するΔNDVIXより小さい場合、補正係数をc1iとすると、以下のようになる。
f2i=c1i×g1i
ただし、c1i=(g1i(ΔNDVIX1i)+ ΔN1i)/g1i(ΔNDVIX1i)
f1i=−104.67×ΔNDVIX2+(2×104.67×0.3−21.216)×ΔNDVIX,m1i=0.9、ΔNDVIX1i=0.05、ΔN1i=0.8、NUL=3とすると、
g1i= m1i×f1i =0.9×(−104.67×ΔNDVIX2+(2×104.67×0.3−21.213)×ΔNDVIX)
f2i = c1i×g1i
= (0.8 +1.636)/1.636×g1i
=1.340×(−104.67×ΔNDVIX2+(2×104.67×0.3−21.216)×ΔNDVIX)
上限適用後追肥量関数をF2iとすると、次のようになる。
f2i≦上限追肥量NULの場合、F2i=f2i
f2i>NULの場合、F2i=NUL
f2i=c1i×g1i
ただし、c1i=(m1i×NUL+ΔN1i)/(m1i×NUL)
f2i= c1i×g1i
= (0.8 + 2.7)/ 2.7×g1i
=1.167×(−104.67×ΔNDVIX2+(2×104.67×0.3−21.216)×ΔNDVIX)
f2i≦NULの場合、F2i=f2i
f2i>NULの場合、F2i=NUL
第2の実施の形態では、追肥量0とする最小のNDVI等値を固定して、追肥量関数を補正すれば1地点毎に追肥量関数を補正することができる。
本発明は追肥窒素量関数を補正するものであるが、補正を加える元になる実績追肥量の測定は手間が掛かる。本発明の第3の実施の形態では、実績追肥量を使用しないために、追肥量の代わりに、追肥機設定値を用いる。追肥機設定値とは、追肥機の施肥量の設定値のことである。例えば施肥量を肥料の重量で10kg/10a計画する場合に施肥量を調整するつまみや開度の値を3にする機械なら、追肥機設定値は3となる。
ここで、Dを追肥機設定値、その設定値における取扱説明書上の肥料散布量に肥料の窒素成分割合を乗じた値をNDとし、その関数を
D=p(ND)
とする。実施形態1,2における窒素吸収量と追肥量を全て設定値に置き換え、設定値を補正の対象とすることができる。または、関数pにより窒素吸収量や追肥量を設定値に変換することにより、設定値自体を補正の対象とすることができる。
この関数は、肥料の比重、粒度、粒径等により係数が変動するが、標準的な関数、より好ましくは比重による補正をする程度の精度でよい。
関数pを用いて補正量ΔN1iを設定値の補正量ΔD1iに変換する場合、
q=dP/dND(微分値、または差分値)とすると、ΔD1i=q×ΔN1i
追肥機設定値関数r1i(ΔNDVIX)=p(f1i(ΔNDVIX))
(実績値は使わないのでg1i(ΔNDVIX)=f1i(ΔNDVIX),m1i=1)
をΔD1iで補正して、2回目の追肥機設定値関数r2iを求める。
r2i(ΔNDVIX)=(r1i(ΔNDVIX1i)+ΔD1i)/r1i(ΔNDVIX1ii)・r1i(ΔNDVIX)
図12,図13のg(=f)をrに、追肥量を設定値に置き換えることにより、実測追肥量を使わずに、追肥機の設定値自体の関数を補正の目的関数とすることができる。
この場合、例えば実施形態1、2における追肥量関数更新部を追肥機設定値関数更新部とすることができる。
尚、この技術は実施形態1,2に適用できる。
また、本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれるものである。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
1 追肥量関数設定部
3 NDVI地図作成部
5 追肥地図作成部
7 実績追肥地図作成部
11 測定項目測定部
15 追肥量関数補正部
17 追肥量関数更新部
Claims (12)
- 圃場への追肥量の演算処理を行う追肥量演算装置であって、
前記圃場への追肥量と作物の特定の生育ステージの生育量との関係を表す追肥量関数を、
作物の特定の生育ステージの生育量と作物の生育に依存する測定項目データに基づいて補正し、前記追肥量関数を補正する追肥量関数補正部と、
前記追肥量関数補正部により補正された追肥量関数を次回の追肥量関数とする追肥量関数更新部と、を有し、
追肥、生育結果である測定項目の測定、追肥関数の補正の手順を繰り返すことにより適切な追肥量関数に収束させることを特徴とする追肥量演算装置。 - 前記追肥量関数補正部は、
次回の追肥量関数の基本となる基本追肥量関数と追肥量の上限となる上限追肥量関数、追肥量の下限となる下限追肥量関数から次回追肥量関数を決め、
下限追肥量関数≦基本追肥量関数≦上限追肥量関数であれば基本追肥量関数を参照して前記次回追肥量関数を決定し、
基本追肥量関数>上限追肥量関数であれば上限追肥量関数を参照して前記次回追肥量関数を決定し、
基本追肥量関数<下限追肥量関数であれば下限追肥量関数を参照して前記次回追肥量関数を決定する
請求項1に記載の追肥量演算装置。 - 前記追肥量関数補正部は、
1)追肥の根拠となった前記生育量に対する目標項目の測定値が、目標より少ない場合は、前記生育量に対応する追肥量を増やし、
2)追肥の根拠となった前記生育量に対する上限項目の測定値が、上限の目標を持ち上限より大きい場合は前記生育量に対応する追肥量の上限を減らし、上限の目標を持ち上限より小さい場合は前記生育量に対応する追肥量の上限を増やし、下限の目標を持ち下限より小さい場合は前記生育量に対応する追肥量の上限を減らし、下限より大きい場合は前期生育量に対応する追肥量の上限を増やす、
3)追肥の根拠となった前記生育量に対する下限項目の測定値が、上限の目標を持ち上限より大きい場合は前記生育量に対応する追肥量の下限を増やし、上限の目標を持ち上限より小さい場合は前記生育量に対応する追肥量の下限を減らし、下限の目標を持ち下限より小さい場合は前記生育量に対応する追肥量の下限を増やし、下限より大きい場合は前記生育量に対応する追肥量の下限を減らす、
のうち少なくともいずれか1の方法により前記追肥量関数の補正を行う請求項1に記載の追肥量演算装置。 - 前記追肥量関数補正部は、
位置測定部により測定された位置毎あるいは圃場毎に前記圃場の将来の同一作物への追肥量を演算することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の追肥量演算装置。 - 前記追肥量関数補正部は、前記生育量と補正量により実績追肥量関数を補正し、次回の追肥量関数を決める請求項1に記載の追肥量演算装置。
- 前記測定項目は、上限値、下限値でない目標値を有し補正の基本となる目標項目を必須項目とし、上限値又は下限値の目標値を有し、補正量の上限を決める上限項目と、上限値又は下限値の目標値を有し、補正量の下限を決める下限項目と、を任意の項目として有し、前記目標項目に関して補正量を決める関数と前記目標項目の目標値と測定値の差に基づく基本補正量を、前記上限項目と前記下限項目の目標値と測定値の差に基づく上限補正量と下限補正量と比較して前記補正量を決定することを特徴とする請求項5に記載の追肥量演算装置。
- 前記上限項目による補正量の上限値が前記下限項目による補正量の下限値より小さい場合の対立処理方法が決められていることを特徴とする請求項6に記載の追肥量演算装置。
- 作物が水稲である場合には、収量を前記目標項目、圃場における作物の倒伏程度の一指標であるコンバイン標準化速度と穀粒タンパク質含有率を前記上限項目と設定する請求項6に記載の追肥量演算装置。
- 作物が小麦である場合には、収量を前記目標項目、圃場における作物の倒伏程度の一指標であるコンバイン標準化速度を前記上限項目、穀粒タンパク質含有率を前記下限項目と設定する請求項6に記載の追肥量演算装置。
- 圃場への追肥量の演算処理を行う追肥量演算装置であって、
前記圃場への追肥機設定値と作物の特定の生育ステージの生育量との関係を表す追肥機設定値関数を、
作物の特定の生育ステージの生育量と作物の生育に依存する測定項目データに基づいて補正し、前記追肥機設定値関数を補正する追肥機設定値関数補正部と、
前記追肥機設定値関数補正部により補正された追肥機設定値関数を次回の追肥機設定値関数とする追肥機設定値関数更新部と、を有し、
追肥、生育結果である測定項目の測定、追肥機設定値関数の補正の手順を繰り返すことにより適切な追肥機設定値関数に収束させることを特徴とする追肥量演算装置。 - 圃場への追肥量の演算処理を行う追肥量演算方法であって、
前記圃場への追肥量と作物の特定の生育ステージの生育量との関係を表す追肥量関数を、追肥量と作物の生育に依存する測定項目データに基づいて補正し、前記追肥量関数を補正する追肥量関数補正ステップと、
前記追肥量関数補正ステップにより補正された追肥量関数を次回の追肥量関数とする追肥量関数更新ステップと、を有し、
追肥、生育結果である測定項目の測定、追肥関数の補正の手順を繰り返すことにより適切な追肥量関数に収束させることを特徴とする追肥量演算方法。 - 圃場への追肥量の演算処理を行う追肥量演算プログラムであって、
前記圃場への追肥量と作物の特定の生育ステージの生育量との関係を表す追肥量関数を、追肥量と作物の生育に依存する測定項目データに基づいて補正し、前記追肥量関数を補正・更新する追肥量関数補正ステップと、
前記追肥量関数補正ステップにより更新された追肥量関数を次回の追肥量関数とする追肥量関数更新ステップと、を有し、
追肥、生育結果である測定項目の測定、追肥関数の補正の手順を繰り返すことにより適切な追肥量関数に収束させる処理をコンピュータに実行させることを特徴とする追肥量演算プログラム。
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