JP2021169569A - 樹脂成形用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】バイオマス原料を配合した組成物であって、インフレーション成形以外の方法で成形しても、抗菌性を有し得る樹脂成形物が得られる新規な樹脂成形用組成物を提供すること。【解決手段】本発明として、例えば、ポリオレフィン系樹脂;デンプン質物質;抗菌性物質;キレート剤;ならびに常温で液体の多価アルコールおよび/または常温で液体の非イオン性界面活性剤を含む原料からなることを特徴とする樹脂成形用組成物、またはその樹脂成形用組成物を成形して得られる樹脂成形物を挙げることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂成形用組成物に係る技術分野に属する。本発明は、バイオマス原料を配合した樹脂成形用組成物に関するものである。また、本発明は、かかる樹脂成形用組成物を成形して得られる、抗菌性を有する樹脂成形物に関するものである。
地球温暖化に関与する炭酸ガスの排出量削減の観点から、様々な技術分野でセルロースやデンプン等の再生産可能で安価な植物由来成分の利用可能性が検討されている。樹脂成形技術の分野においても植物由来成分を、例えばフィラーにして樹脂組成物に配合することが古くから行われてきたが、特に近年では、デンプンに適当な可塑剤を配合して溶融加工が可能な熱可塑化デンプン(Thermoplastic Starch(TPS))とし、これと汎用の熱可塑性合成樹脂を溶融混練したいわゆるポリマーブレンドの検討が進んでいる。
一方、米は日本国内で広く栽培されているデンプンを主成分とする農作物の一つであり、主食として食される他、酒や味噌、菓子といった食品の主原料・副原料として利用されている。近年、生活スタイルの変化等の理由から米の消費量が減少し、供給過剰な状態が続いている。供給過剰となった米(過剰米)は家畜の飼料として利用されるが、それでも過剰な米は一定期間備蓄された後、廃棄される。過剰米の廃棄量を減らすため、食用や飼料以外の用途が模索されている。また、酒造業界では精米歩合を低くした高品質酒の消費が増加していることもあり、米糠の有効利用が望まれている。
その一つとして、米をα化して熱可塑性樹脂であるポリオレフィン樹脂に配合して成形加工品を製造することが提案されている(例えば、特許文献1)。米のようなバイオマス原料を配合することにより、化石燃料から製造される熱可塑性樹脂の使用量を減らすことができる。
また、米(特に米糠部分)には、γ−オリザノールやフェルラ酸、フィチンといった抗菌作用、抗酸化作用を有する成分が含まれることが知られている(例えば、特許文献2)。それ故、米(特に米糠部分)を熱可塑性樹脂に配合することにより、得られる成形加工品に抗菌作用や抗酸化作用を付加することが期待される。本出願人は、実際に、米糠の抗菌作用や抗酸化作用を利用し、ポリオレフィン樹脂に米糠を配合し成形した、米糠配合の樹脂フィルムについて特許出願した(特許文献3)。
ポリオレフィン系樹脂とデンプンとを主原料として用いた樹脂成形用組成物も提案されている(特許文献4)。この樹脂成形用組成物は、良好な機械的特性と帯電防止性能とを併せ持つ熱可塑性樹脂成形物に加工し得るものである。当該樹脂成形用組成物には、他に常温で液体の多価アルコール、界面活性剤、相溶化剤などが原料として含まれている。
特関2005−330402号公報 特開平5−331101号公報 特開2015−65829号公報 特開2016−210824号公報
近年、衛生指向が進行し、製品表面での菌の繁殖を抑える効果を有する抗菌製品が広く消費者に受け入れられつつある。これら抗菌製品は主として高分子樹脂成型品に抗菌効果を有する薬剤を練り込んだ物であり、抗菌剤を一定量添加した樹脂を加熱溶融して、成形品とされる。
抗菌剤は、無機系抗菌剤と有機系抗菌剤に大別できる。ポリオレフィン樹脂を用いた樹脂成形品では高温で成形加工されるため、耐熱性に問題のない無機系抗菌剤を成型品全体に練り込む方式で使用されることが多い。しかし、無機系抗菌剤は、樹脂内における拡散性に乏しく、製品表面の抗菌性発現のためには多量の配合を要することや、製品の着色の面で問題がある。有機系にはイソチアゾロン系やフェノール系、界面活性剤系などの抗菌剤がある。有機系抗菌剤は即効性があり、抗菌スペクトルがブロードなものが多い反面、耐熱性や安全性面が問題となる。また、成形物の表面にブリードアウトすることにより性能を発揮するので、樹脂との相溶性を考慮することが重要となる。最近では、安全性の点から食品添加物として使用される天然系の抗菌性物質を使うことも行われるようになってきた。
上記のような状況において、本発明者らは、先に、ポリオレフィン系樹脂、米糠、セルロースナノファイバーを必須成分として含有する樹脂ペレットを熱流動下に押出し、延伸するインフレーション成形によって薄膜化した抗菌性フィルムを開発した(特許文献3)。この抗菌性フィルムは、米糠に含まれる抗菌性成分が延伸薄膜化の際にフィルム表面に出ることによって抗菌性を発現すると考えられる。しかしながら、この樹脂ペレットを用いて押出成形、ブロー成形、射出成形等によって成形しても成形物表面に抗菌性は発現しない。
本発明は、バイオマス原料を配合した組成物であって、押出成形、ブロー成形、射出成形といったインフレーション成形以外の方法で成形しても抗菌性を有し得る樹脂成形物が得られる新規な樹脂成形用組成物を提供することを主な課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、上記課題を解決しうる新規な樹脂成形用組成物を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明として、例えば、下記のものを挙げることができる。
[1]ポリオレフィン系樹脂;デンプン質物質;抗菌性物質;キレート剤;ならびに常温で液体の多価アルコールおよび/または常温で液体の非イオン性界面活性剤を含む原料からなることを特徴とする、樹脂成形用組成物。
[2]前記デンプン質物質が、米、米糠、およびデンプンからなる群から選択される1種以上である、上記[1]に記載の樹脂成形用組成物。
[3]米が、籾、玄米、精米からなる群から選択される1種以上であるか、または米糠が、中糠、白糠、中白糠、および上白糠からなる群から選択される1種以上である、上記[2]に記載の樹脂成形用組成物。
[4]前記抗菌性物質が、籾、玄米、精米歩合が75%以上である精米、米糠、および界面活性剤からなる群から選択される1種以上である、上記[1]に記載の樹脂成形用組成物。
[5]米糠が、赤糠、中糠、白糠、および中白糠からなる群から選択される1種以上である、上記[4]に記載の樹脂成形用組成物。
[6]界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である、上記[4]に記載の樹脂成形用組成物。
[7]前記常温で液体の多価アルコールが、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロパンジオール、またはブタンジオールであり、前記常温で液体の非イオン性界面活性剤がソルビタンラウレート、ソルビタンオレート、またはジグリセリンモノミリステートである、上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の樹脂成形用組成物。
[8]前記キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩またはフィチン酸である、上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の樹脂成形用組成物。
[9]さらに相溶化剤を含む、上記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の樹脂成形用組成物。
[10]上記[1]〜[9]のいずれか一項に記載の樹脂成形用組成物を成形して得られる、樹脂成形物。
[11]前記成形が、押出成形、ブロー成形、射出成形、またはインフレーション成形である、上記[10]に記載の樹脂成形物。
[12]押出成形して得られる上記[11]に記載の樹脂成形物を、さらに二次加工して得られる、樹脂成形物。
[13]前記二次加工が、真空成形、またはプレス成形である、上記[12]に記載の樹脂成形物。
[14]前記樹脂成形物が、グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して抗菌性を有する、上記[10]〜[13]のいずれか一項に記載の樹脂成形物。
本発明によれば、米糠やデンプンといったバイオマスが配合された樹脂成形用組成物について、インフレーション成形以外の方法で成形加工しても、抗菌性を有する樹脂成形物を得ることができる。
以下、本発明について詳述する。
1 本発明の樹脂成形用組成物について
本発明の樹脂成形用組成物(以下、「本発明組成物」という。)は、ポリオレフィン系樹脂;デンプン質物質;抗菌性物質;キレート剤;ならびに常温で液体の多価アルコールおよび/または常温で液体の非イオン性界面活性剤を含む原料からなることを特徴とする。本発明組成物は、原料としてさらに相溶化剤を含むことができる。
本発明組成物は、ポリオレフィン系樹脂、デンプン質物質、抗菌性物質、キレート剤、常温で液体の多価アルコール、常温で液体の非イオン性界面活性剤などを原料としてこれらを溶融混練し、製造される。
1.1 ポリオレフィン系樹脂
本発明組成物は、ポリオレフィン系樹脂を含む。かかるポリオレフィン系樹脂は、主としてオレフィンをモノマーとして重合してなる合成樹脂であって、押出成形、射出成形、インフレーション成形、またはブロー成形等の成形技術において通常用いられ、成形加工されるものであれば特に制限されないが、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、もしくは1−オクテン等のホモ重合体、またはこれらの共重合体、多段重合体を挙げることができる。本発明においては、当該ポリオレフィン系樹脂を1種または2種以上併用することができる。
具体的な当該ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、ポリブテン、エチレンプロピレンエラストマー、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、炭素数4以上のα−オレフィンを主な成分とするα−オレフィン樹脂を挙げることができる。これらの中から目的とする成形物の特性に合わせて適宜選択することができる。
本発明組成物において、ポリオレフィン系樹脂の割合としては、用いるポリオレフィン系樹脂や他の成分などにより異なるが、10〜95重量%の範囲内が適当であり、20〜90重量%の範囲内がより好ましい。ポリオレフィン系樹脂の割合が95重量%より多いと、バイオマス利用の観点から好ましくなく、また、抗菌性に問題を生じるおそれがあり、10重量%より少ないと、成形物の良好な機械的特性が得られないおそれがある。
1.2 デンプン質物質
本発明組成物は、デンプン質物質を含む。ここで「デンプン質物質」とは、デンプンを30重量%以上(好ましくは60重量%以上)含んでいる物質をいう。デンプンそのものでも、デンプンと他の成分との組成物でもよい。
当該デンプン質物質としては、例えば、米、米糠、デンプン、加工デンプンを挙げることができる。米は、稲の種子である籾でもそこから籾殻を除去した玄米でもよい。玄米の組織は、果皮、種皮、胚および胚乳からなり、胚乳は、外層のデンプン層および内層のデンプン貯蔵組織からなる。玄米の各組織の質量割合は、外側から、赤糠が5〜7%、胚が2〜3%、胚乳が90〜93%である。
一般に、玄米の精米過程において、精米度合を精米歩合で表現する。精米歩合とは玄米質量に対する白米質量の割合をいい、下記式(1)で示される。
精米歩合(%)=(白米質量÷玄米質量)×100・・・(1)
ご飯として食べる飯米の精米歩合は一般に92〜90%程度である。この精米歩合を93〜97%程度におさえた精米(7分搗き〜3分搗き)も飯米として用いられている。また、清酒醸造には精米歩合が70〜50%の白米が通常使用されており、一般に精米歩合を低くすれば生成酒の品質が向上する。
本発明においては、当該デンプン質物質としての米としては、玄米の他に、例えば、籾や精米も挙げることができる。精米は、いずれの精米度合のものでもよい。
精米の際に発生する米糠には、例えば、赤糠、中白糠(中糠、白糠)、上白糠がある。赤糠は精米歩合が90%程度以上で発生する米糠であり、中白糠は90〜75%程度で発生する米糠(中糠は90〜85%程度、白糠は85〜75%程度)、上白糠は75〜50%程度で発生する米糠である。上白糠は精米を粉砕した上新粉に近いものである。
米糠の主成分はデンプンであり、本発明に係るデンプン質物質としての米糠は、上記いずれの米糠であってもよいが、デンプンを50重量%以上含む米糠が好ましい。赤糠部分は、酸化安定性が低い成分を多く含むため、加熱による着臭、着色を起こしやすく、赤糠部分を用いると成形物の着臭着色が問題となることがある。また、精米歩合が大きいものほど脂質、タンパク質、灰分等のデンプン以外の成分含有量が多くなる(丹羽ら、愛知県食品工業技術センター年報、第41号、22(2000))。従って、当該デンプン質物質としての米糠としては、中糠、白糠、中白糠、上白糠が好ましい。
なお、米糠には、脂質として油脂(トリアシルグリセロール)以外に、γ−オリザノール(フェルラ酸とトリテルペンアルコール、植物ステロールとのエステル)、植物ステロール、トリテルペンアルコール、トコフェロール、トコトリエノール、スクワレン等も含まれており、これらが抗菌性や抗酸化性に寄与していると考えられる。従って、米糠は、後述する抗菌性物質ともなりうる。
デンプン質物質としてのデンプンは、工業的に流通しているいずれも使用可能である。また天然起源の精製デンプン、加工デンプンのいずれでもよい。天然起源の精製デンプンとしては、例えば、コーンスターチ、小麦澱粉、ジャガイモ澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉等が挙げられるが、流通量が多く品質が安定している点でコーンスターチが好ましい。また、加工デンプンとしては、アセチル化デンプン、リン酸化デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン等が挙げられる。
なお、デンプン質物質は、通常10〜15重量%の水分を含んでいる。本発明においては、デンプン質物質に含まれる水分を予め乾燥除去してもよいが、含水状態のものをそのまま使用することが可能である。
本発明においては、デンプン質物質として、粒径が10000μm程度以下の範囲内のものを用いることが適当であり、さらに微細化処理したより微細な粒径の、例えば、2〜80μm程度の粒径のデンプン質物質を用いることが好ましい。また、例えば、コーンスターチであれば2〜30μm程度の粒径のものを好適に用いることができ、米デンプンであれば2〜5μm程度の粒径のものを好適に用いることができる。微細な粒径のデンプン質物質を用いることにより、本発明組成物により得られる樹脂成形物の表面の粗さが小さくなり、良好な樹脂成形物が得られうる。
当該デンプン質物質は、いずれか1種を用いても2種以上併用してもよい。
本発明組成物において、デンプン質物質の割合としては、用いるデンプン質物質や他の成分などにより異なるが、5〜90重量%の範囲内が適当であり、10〜80重量%の範囲内がより好ましい。デンプン質物質の割合が90重量%より多いと、成形物の良好な機械的特性が得られないおそれがあり、5重量%より少ないと、バイオマス利用の観点から好ましくなく、また、抗菌性に問題を生じるおそれがある。
1.3 抗菌性物質
本発明組成物は、抗菌性物質を含む。ここで「抗菌性物質」とは、菌、特にグラム陽性菌および/またはグラム陰性菌の増殖を抑制する効果を有するものをいう。本発明においては、グラム陽性菌およびグラム陰性菌の両方に対して抗菌作用を有するものが好ましい。
当該抗菌性物質としては、上記のような抗菌性を有する物質であれば特に制限されないが、例えば、籾、玄米、精米歩合が75%以上(好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは97%以上)である精米、米糠、界面活性剤を挙げることができる。
当該米糠としては、例えば、赤糠、中糠、白糠、中白糠を挙げることができる。この中、中糠、白糠、ないし中白糠が好ましい。
なお、籾、玄米、精米、および米糠は、デンプンを含んでおり、本発明に係るデンプン質物質を兼ねることができる。そのため、本発明においては、当該抗菌性物質として籾、玄米、精米、および/または米糠を採用する場合には、他のデンプン質物質を含んでも、含まなくてもよい。
当該界面活性剤は、抗菌性を有する限り、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤のいずれでもよい。この中、非イオン性界面活性剤が好ましい。
上記陰イオン性界面活性剤としては、例えば、N−アシルアミノ酸アルカリ金属塩、C4−C18脂肪酸アルカリ金属塩を挙げることができる。陽イオン性界面活性剤としては、例えば、ジアルキルジベンジルアンモニウムハライド、ジアルキルジメチルアンモニウムハライド、アルキルトリメチルアンモニウムハライドを挙げることができる。両性界面活性剤としては、例えば、塩酸アルキルポリアミノエチルグリシン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシンを挙げることができる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、しょ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを挙げることができる。非イオン性界面活性剤の中でも、グリセリン、ジグリセリン、ソルビタンの炭素数8〜20脂肪酸のモノエステルが好ましい。かかる脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられる。
これらの非イオン性界面活性剤は食品添加物としても使用される安全性の高いものである。これら非イオン性界面活性剤には、グラム陽性菌に対して抗菌性を示すものがあるが、グラム陰性菌に対しては効果がないとされる(Antimicrobial Agents and Chemotherapy,Nov.1973,p.501−506)。本発明では、態様によってグラム陰性菌に対しても抗菌作用を有しうる。
上記抗菌性物質は、いずれか1種を用いても2種以上を併用してもよい。
本発明組成物において、抗菌性物質の割合としては、米糠または籾、玄米もしくは精米歩合が75%以上の精米を抗菌性物質とする場合、その種類や他の成分などにより異なるが、5〜90重量%の範囲内が適当であり、10〜80重量%の範囲内がより好ましい。界面活性剤(陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、または非イオン性界面活性剤)を抗菌性物質とする場合、その種類や他の成分などにより異なるが、0.5〜7重量%の範囲内が適当であり、1〜5重量%の範囲内が好ましく、1.5〜3重量%の範囲内がより好ましい。抗菌性物質がこれらより少ないと、成形物の抗菌性が十分に得られないおそれがある。抗菌性物質がこれらより多いと、成形物の良好な機械的特性が得られないおそれがある。
1.4 常温で液体の多価アルコールおよび/または常温で液体の非イオン性界面活性剤
本発明組成物は、常温で液体の多価アルコールおよび/または常温で液体の非イオン性界面活性剤を含む。かかる多価アルコールおよび/または常温で液体の非イオン性界面活性剤は、可塑剤としての機能を有すると共に、前記抗菌性物質のブリードを促進するブリード補助剤としての機能も有しうる。
ここで、本発明において「常温」とは、例えば、5〜35℃の範囲内の温度をいう。「常温で液体の多価アルコール」、「常温で液体の非イオン性界面活性剤」とは、例えば、融点が5〜35℃の温度範囲にあるか、または融点が5℃よりも低く、沸点が35℃よりも高い多価アルコールないし非イオン性界面活性剤をいう。これらには、例えば、ペースト状等の粘性体も含まれる。
常温で液体の多価アルコールとしては、分子中に水酸基を2個以上もつアルコールであって、常温で液体のものであれば特に制限されないが、具体的には、例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(#200、#300、#400、#600)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールが挙げられる。この中、グリセリンが好ましい。
また、常温で液体の非イオン性界面活性剤としてはソルビタンの炭素数8〜20脂肪酸(例、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、リノール酸)モノエステル、ポリグリセリンのラウリン酸モノエステル、モノグリセライドのエチレンオキサイド付加物、ソルビタン脂肪酸モノエステルのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。この中、ソルビタンの炭素数8〜12脂肪酸のモノエステルが好ましい。
グリセリンやソルビタンの炭素数8〜12脂肪酸のモノエステルは、以下の点から好ましく用いることができる。
・分子量が小さく、デンプンに対する浸透性・溶解性に優れる。
・加工・使用温度域における蒸気圧が低く、揮散し難い。
・水酸基価が大きい。水素結合能が高く、デンプン及び水との親和性が高い。
・ヤシ油やパーム油等由来の脂肪酸やグリセリン、デンプン由来の糖アルコール等の天然由来原料が利用可能である。
上記多価アルコール、非イオン性界面活性剤は、いずれか1種を用いても2種以上を併用してもよい。
当該多価アルコールおよび/または非イオン性界面活性剤とデンプンとの加熱混練によりTPS(Thermoplastic Starch、熱可塑化デンプン)を形成することができる。本発明では、このTPSが成形物中での抗菌性物質の保留、成形物表面への徐放(ブリード)に寄与することが考えられる。
また、得られる成型物の機械的物性と抗菌性物質の保留性の調整を目的として、必要に応じて当該多価アルコールおよび/または非イオン性界面活性剤に加えて室温で固体の多価アルコールを使用することができる。室温で固体の多価アルコールとしては、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、トレハロース等が使用でき、特にソルビトールを好ましく使用できる。
本発明組成物において、当該多価アルコールおよび/または非イオン性界面活性剤の割合としては、用いる多価アルコールおよび/または非イオン性界面活性剤や他の成分などにより異なるが、合わせて0.5〜12重量%の範囲内が適当であり、1〜10重量%の範囲内が好ましく、1.5〜8重量%の範囲内がより好ましい。当該多価アルコールおよび/または非イオン性界面活性剤の割合が12重量%より多いと、成形物の良好な機械的特性が得られないおそれがあり、0.5重量%より少ないと、可塑性やブリード促進性が十分に得られないおそれがある。
1.5 キレート剤
本発明組成物は、キレート剤を含む。EDTA等のキレート剤は、グラム陰性菌に対して細胞壁構成成分に影響して抗菌作用を示すことが知られている。しかしながら、その作用はグラム陰性菌に限られるとされる(木田ら、日本細菌学雑誌,47,625(1992))。本発明では、キレート剤と抗菌性物質を併用することで抗菌性が増強でき、態様によってグラム陽性菌に対しても抗菌作用を有しうる。
本発明に係る「キレート剤」としては、アミノカルボン酸系キレート剤が好適であり、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸(DHEDDA)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(1,3PDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIMDA)、L−アスパラギン酸−N,N−二酢酸(ASDA)およびこれらのアルカリ金属塩等が挙げられる。この中、エチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩が好ましい。また、フィチン酸やそのアルカリ金属塩も好ましい。なお、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、フィチン酸は、日本において食品添加物に指定されている。
上記キレート剤は、いずれか1種を用いても2種以上を併用してもよい。
1.6 相溶化剤
本発明組成物は、相溶化剤を含み得る。かかる相溶化剤は、ポリオレフィン系樹脂とTPSとの相溶性を高める機能を有しうる。
当該相溶化剤としては、例えば、エチレン/アクリレート/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体またはエチレン/メタクリル酸共重合体、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン、スチレン−無水マレイン酸共重合体を挙げることができる。この中、比較的低分子量のポリオレフィンに無水マレイン酸を付加したものが、低添加量でも相溶化作用を発現できるため好ましい。このような低分子量ポリオレフィンへの無水マレイン酸付加物は市販されており、例えば、三洋化成工業株式会社製の「ユーメックス1001」および「ユーメックス1010」(商品名)、三菱化学株式会社製の「モディック−APP908」(商品名)等が挙げられる。低分子量ポリオレフィンへの無水マレイン酸付加物における酸変性基の量は特に制限されないものの、酸価が15〜80程度の比較的高いものが好ましい。また、低分子量ポリオレフィンの分子量は特に制限されないが、重量平均分子量において10,000〜200,000の範囲内、更には10,000〜100,000の範囲内と比較的低分子量であることが好ましい。このような低分子量ポリオレフィンへの無水マレイン酸付加物を用いることにより、相溶化剤の添加量を抑制しつつ高い添加効果を得ることができる。
上記相溶化剤は、いずれか1種を用いても2種以上を併用してもよい。
本発明組成物において、当該相溶化剤の割合としては、用いる相溶化剤や他の成分などにより異なるが、0.5〜10重量%の範囲内が適当であり、1〜5重量%の範囲内がより好ましい。相溶化剤の割合が10重量%より多いと、成形物の良好な機械的特性が得られないおそれがあり、0.5重量%より少ないと、ポリオレフィン系樹脂とデンプン質物質との相溶性が十分に得られないおそれがある。
1.7 その他
本発明組成物には、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、酸化安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、無機または有機充填剤、染料や顔料などの着色剤を任意に適量配合することができる。
本発明組成物の形態としては、例えば、ペレット、フレーク、粉体を挙げることができる。
2 本発明組成物の製造方法について
本発明組成物は、例えば、デンプン質物質と常温で液体の多価アルコールおよび/または常温で液体の非イオン性界面活性剤とを、また必要に応じて常温で固体の多価アルコール(例えば、ソルビトール、トレハロース)を追加して、ポリオレフィン系樹脂、抗菌性物質、および必要に応じて相溶化剤やその他添加物と共に溶融混練することにより製造することができる。また、本発明組成物は、まずデンプン質物質と常温で液体の多価アルコールおよび/または常温で液体の非イオン性界面活性剤とを、また必要に応じて常温で固体の多価アルコールを追加して80〜230℃の温度で混練し、あらかじめTPS(熱可塑化デンプン)を製造し、製造されたTPSとポリオレフィン系樹脂、抗菌性物質、および必要に応じて相溶化剤やその他添加物を溶融混練することにより製造することもできる。デンプンを多価アルコールおよび/または非イオン性界面活性剤とともに加熱混練すると、当該多価アルコールおよび/または非イオン性界面活性剤がデンプンの内部に進入して、非晶領域のアミロースと結晶領域のアミロペクチンの規則正しい構造を壊し、均質で熱流動性のあるTPSが得られる。
本発明においては、本発明組成物の製造が一つの工程で行われ、工程を簡略化でき、工程時間を短縮できる、前者の製造方法が好ましい。
具体的には、次のようにして本発明組成物を製造することができる。
混練装置(例えば、ボールミル、混練押出機、2軸ロール混練機等の2軸混練機)に原料を投入し、例えば80〜230℃の温度で混練し、本発明組成物を製造することができる。混練装置への原料の投入は、定量フィーダと定量ポンプにより行うことができる。混練に続いて、例えば80〜230℃に設定されたストランドダイより前記本発明組成物をチューブ状に押出し、そしてペレタイズ化することにより、ペレット状の本発明組成物を製造することができる。
玄米や精米などの原料については、あらかじめ水道水などに1夜浸漬し、その後脱水するなど含水処理を施して用いてもよい。
4 本発明の樹脂成形物について
本発明の樹脂成形物(以下、「本発明成形物」という。)は、本発明組成物を成形して得られる。本発明成形物は、本発明組成物を用いること以外は常法により製造することができる。
成形方法としては、当該技術分野において用いられている方法であれば特に制限されないが、例えば、プレス成形、押出成形ないしシート押出成形、ブロー成形、射出成形、インフレーション成形、カレンダー成形を挙げることができる。これらの成形方法を常法により本発明組成物に施すことにより本発明成形物を得ることができる。
本発明成形物は、さらに二次加工を施してもよい。かかる二次加工の方法としては、例えば、真空成形、プレス成形を挙げることができる。当該二次成形された本発明成形物も本発明に含まれる。
本発明成形物は、グラム陽性菌および/またはグラム陰性菌に対して抗菌性を有しうる。グラム陽性菌としては、例えば、黄色ブドウ球菌、肺炎レンサ球菌、 表皮ブドウ球菌、 枯草菌、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、レンサ球菌、腸球菌を挙げることができる。グラム陰性菌としては、例えば、大腸菌、 緑膿菌、 クレブシエラ・ニューモニエ、サルモネラ菌を挙げることができる。
本発明成形物の具体例としては、自動車部品(エアーコンプレッサー用・パワーステアリング用・テンショナー用の各種プーリ等)、電気・電子・重電部品(プリント配線基板、配電盤ブレーカー、マグネットスイッチ、コンセントプラグ等として)、歯車、摺動ライニング、軸受などの機械部品をはじめ日用雑貨(お椀、トレイ、茶卓、鍋・やかんの把手・つまみ、アイロンハンドル、灰皿等)、包装用品(容器、トレイ、シート、フィルム、袋)等を挙げることができる。
以下に実施例、試験例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら限定されるものではない。
(1)原料
使用した原料は、次のとおりである。
A ポリオレフィン系樹脂
A1:ポリプロピレンランダム共重合体「WINTEC WSX03」(日本ポリプロ社製)
A2:ポリプロピレンランダム共重合体「WINTEC WXK1233」(日本ポリプロ社製)
A3:LLDPE「エボリューSP0510」(プライムポリマー社製)
A4:LLDPE「Exceed2018」(Exxon Mobil社製)
A5:プロピレン系エラストマー「Vistamaxx6202」(Exxon Mobil社製)
B デンプン質物質
[デンプン系]
B1:PO付加デンプン「HTP−1」(日本コーンスターチ社製)
B2:リン酸化デンプン「馬澱の代わり」(日本コーンスターチ社製)
B3:コーンスターチ「Y−3P」(日本コーンスターチ社製)
[米糠系]
B4:中白糠(京丹後市産米を自家製精米機にて精米し作製)
[玄米、精米系]
B5:玄米(京丹後市産米)
B6:三分搗き米(京丹後市産米を自家製精米機にて精米し作製)
C 界面活性剤
C1:グリセリンモノステアレート「リケマールS−100A」(理研ビタミン社製)
C2:ソルビタンラウレート「リケマールL−250A」(理研ビタミン社製)
C3:ソルビタンオレート「リケマールOV−250」(理研ビタミン社製)
C4:ジグリセリンモノミリステート「ポエムDM−100」(理研ビタミン社製)
D 多価アルコール
D1:精製グリセリン(阪本薬品工業社製)
D2:ソルビトール「ソルビトールFP」(物産フードサイエンス社製)
E キレート剤
E1:EDTA「キレストB」(キレスト社製)
E2:EDTA「キレストC」(キレスト社製)
E3:フィチン酸「フィチン酸(IP6)」(築野食品工業社製)
F 相溶化剤
F1:酸無水物変性ポリプロピレン「ユーメックス1001」(三洋化成工業社製)
G 滑剤
G1:オレイン酸モノアミド「アルフローE−10」(日油社製)
(2)樹脂成形用組成物の製造
下記表1に示す原料の配合で、樹脂成形用組成物を以下の手順で製造した。ここで、各成分の重量は乾燥重量であり、配合割合(重量%)算出の際の全体量(100重量%)には、添加した水分を含めていない。但し、実施例20および21の原料であるB5(玄米)およびB6(三分搗き米)に関しては、後述の通り水を浸漬させて用いており、表1では、水含浸後に測定した水分率(含水量)を差し引いた、いわゆる絶乾相当量を示している。なお、水分は、デンプンのα化促進のために添加している。
以下、上記B成分(デンプン質物質)が中白糠、デンプン系である場合と、玄米、精米系である場合とに分けて説明する。
[B成分が中白糠、デンプン系の場合]
混練装置として二軸押出機(テクノベル社製KZW25TWIN、スクリュー径48mm、L/D=60、ベントポート2箇所(水蒸気解放機構、大気圧へ水蒸気を解放するタイプ))を用いて、シリンダー温度60〜200℃、スクリュー回転数100〜200回転にて原料を混練し、混練組成物(本発明に係る樹脂成形用組成物に相当)とした。原料であるポリオレフィン系樹脂、米糠等のデンプン質物質、界面活性剤、多価アルコール等の可塑剤、キレート剤、相溶化剤、および水の投入には、定量フィーダ、および定量ポンプを用いた。
混練に続いて、140〜180℃に設定されたストランドダイより前記混練組成物を直径約3mmのチューブ状に押出し、約4mm長にペレタイズ化し、ペレット状の本発明組成物および比較樹脂成形用組成物(本発明組成物ペレット等)を得た(実施例1〜19、比較例1〜4)。
[B成分が玄米、精米系の場合]
玄米、および三分搗き米を使用した。玄米、および、精米は、あらかじめ水道水(15℃)に1夜浸漬後、遠心脱水を約20分間行うことにより含水処理して用いた。
中白糠系、デンプン系と同一条件にて混練、ペレタイズ化し、ペレット状の本発明組成物を得た(実施例20および21)。
(3)樹脂成形物の製造
得られた本発明組成物ペレット等を用いて、樹脂成形物(本発明成形物等)を製造した。成形方法としては、プレスフィルム成形、インフレーション成形、射出成形、シート押出成形、または真空成形を用い、それぞれの実施例および比較例につき、少なくともいずれかの成形方法による本発明成形物等を得た。プレスフィルム成形は実施例6、8、10〜21および比較例1〜4について行い、射出成形は実施例1、2、および9につき行った。また、シート押出成形は実施例4、5、および7につき行い、インフレーション成形は実施例3につき行った。
具体的な成形方法は以下の通りである。
(3−1)プレスフィルム成形
前記で製造したペレット状の本発明組成物等を用いてプレスフィルム成形を行った。
フィルムの成形にはテスター産業(株)社製の加熱プレス機(50t)を用い、170℃、2〜5MPaにて溶融、加圧し、目標厚さ0.2〜0.5mmになるよう成形を行った。
(3−2)インフレーション成形
前記で製造したペレット状の本発明組成物等を用いて空冷インフレーションフィルムの成形を行った。インフレーション成形には(株)東洋精器製作所製の一軸押出機(D=20mm、L/D=25、リングダイ直径25mm)を用い、スクリュー回転数42rpm、設定温度140〜180℃、ブローアップ比約3.0で目標厚み45μmの条件にて成形を行った。
(3−3)射出成形
前記で製造したペレット状の本発明組成物等を用いて射出成型を行った。射出成型には東洋機械金属(株)製の射出成形機(PLASTAR TP−80G2H1S、型締力80t)を用い、シリンダー設定温度150〜180℃、型温40℃でダンベル型試験片を得た。
(3−4)シート押出成形
前記で製造したペレット状の本発明組成物等を用いてシート押出成形を行った。押出成形には(株)東洋精器製作所社製の一軸押出機(D=20mm、L/D=25、Tダイ)を用い、スクリュー回転数50rpm、設定温度140〜180℃、目標厚み250〜330μm、目標幅155〜165mmの条件にて成形を行った。
(3−5)真空成形
実施例7で製造したシートを250℃で30秒間予備加熱後、真空成形でトレイに賦形した。縦310mm、横410mm内に、縦287×横91mm、深さ50mmの凹部が4つある形状のトレイを得た。真空成形性に問題はなかった。
(4)抗菌性試験
上記(3−1〜5)で得られた本発明成形物等の表面の抗菌活性を、JIS Z 2801の試験方法にて評価した。試験には、黄色ぶどう球菌(Staphylococcus aureus NBRC 12732)、および大腸菌(Escherichia coli NBRC 3972)を用いた。抗菌活性は、市販のポリエチレンフィルムを対照試料とし、対照試料と試験試料の細菌接種培養後の生菌数の対数値の差を抗菌活性値として評価した。その基準としては、当該抗菌活性値が1.5以上のものを良好(〇)、それ未満のものを不良(×)としている。結果を表1に示す。

Figure 2021169569
表1から明らかな通り、抗菌性物質(中白糠、玄米、三分搗き米、または界面活性剤)、多価アルコール、およびキレート剤のいずれをも含んだ本発明成形物は、これら3つの少なくともいずれかを含まない樹脂成形物に比べて優れた抗菌活性を有した。
本発明組成物によれば、プレスフィルム成形、インフレーション成形、射出成形、シート押出成形、真空成形等、成形の種類を問わず、抗菌性の高い樹脂成形物(本発明成形物)を得ることができる。
本発明組成物によれば、種々の成形法において抗菌性の高い樹脂成形物を提供することができ、また、本発明成形物によれば、抗菌性の高い種々の樹脂製品を提供することができる。したがって、本発明は、樹脂を利用する多くの産業において広く有用である。

Claims (14)

  1. ポリオレフィン系樹脂;デンプン質物質;抗菌性物質;キレート剤;ならびに常温で液体の多価アルコールおよび/または常温で液体の非イオン性界面活性剤を含む原料からなることを特徴とする、樹脂成形用組成物。
  2. 前記デンプン質物質が、米、米糠、およびデンプンからなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の樹脂成形用組成物。
  3. 米が、籾、玄米、精米からなる群から選択される1種以上であるか、または米糠が、中糠、白糠、中白糠、および上白糠からなる群から選択される1種以上である、請求項2に記載の樹脂成形用組成物。
  4. 前記抗菌性物質が、籾、玄米、精米歩合が75%以上である精米、米糠、および界面活性剤からなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の樹脂成形用組成物。
  5. 米糠が、赤糠、中糠、白糠、および中白糠からなる群から選択される1種以上である、請求項4に記載の樹脂成形用組成物。
  6. 界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である、請求項4に記載の樹脂成形用組成物。
  7. 前記常温で液体の多価アルコールが、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロパンジオール、またはブタンジオールであり、前記常温で液体の非イオン性界面活性剤が、ソルビタンラウレート、ソルビタンオレート、またはジグリセリンモノミリステートである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂成形用組成物。
  8. 前記キレート剤が、エチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩またはフィチン酸である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂成形用組成物。
  9. さらに相溶化剤を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の樹脂成形用組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の樹脂成形用組成物を成形して得られる、樹脂成形物。
  11. 前記成形が、押出成形、ブロー成形、射出成形、またはインフレーション成形である、請求項10に記載の樹脂成形物。
  12. 押出成形して得られる請求項11に記載の樹脂成形物を、さらに二次加工して得られる、樹脂成形物。
  13. 前記二次加工が、真空成形、またはプレス成形である、請求項12に記載の樹脂成形物。
  14. 前記樹脂成形物が、グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して抗菌性を有する、請求項10〜13のいずれか一項に記載の樹脂成形物。

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