JP2021167614A - 建設機械の油圧システム - Google Patents

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Abstract

【課題】安価な構成で、制御弁が作動していないときにポンプから吐出される作動油を絞りの上流側からタンクへ逃すことができる建設機械の油圧システムを提供する。【解決手段】一実施形態に係る油圧システム1Aは、可変容量型のポンプ22,24からタンクまで延びるセンターバイパスライン31,41上に配置された複数の制御弁5A,5Bと、センターバイパスライン31,41に設けられた絞り34,44をバイパスするリリーフライン35,45に設けられたリリーフ弁36,46を含む。さらに、油圧システム1Aは、制御弁5A,5Bを作動させるための複数の操作装置5のいずれもが操作されていないときはリリーフ弁36,46のリリーフ圧を実質的にゼロである第1設定値に切り換え、操作装置5のいずれかが操作されているときはリリーフ弁36,46のリリーフ圧を第2設定値に切り換える制御装置8を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、建設機械の油圧システムに関する。
油圧ショベルや油圧クレーンのような建設機械に搭載される油圧システムでは、主ポンプと複数の油圧アクチュエータとの間に複数の制御弁が介在する。各制御弁は、対応する油圧アクチュエータに対する作動油の供給および排出を制御する。
例えば、特許文献1には、第1吐出口および第2吐出口を有するスプリットポンプを用いた建設機械の油圧システムが開示されている。スプリットポンプは傾転角が変更可能な可変容量型のポンプであり、スプリットポンプの傾転角はレギュレータにより調整される。スプリットポンプの吐出流量は、ネガティブコントロール方式で制御される。
具体的に、第1吐出口からタンクまで延びる第1センターバイパスライン上および第2吐出口からタンクまで延びる第2センターバイパスライン上には、複数の制御弁が配置されている。レギュレータには、第1センターバイパスラインにおける制御弁の下流側に設けられた絞りの上流側のネガティブコントロール圧と第2センターバイパスラインにおける制御弁の下流側に設けられた絞りの上流側のネガティブコントロール圧のうちの低い方が供給される。
なお、第1センターバイパスラインには絞りをバイパスするようにリリーフラインが接続されており、このリリーフラインにリリーフ弁が設けられている。同様に、第2センターバイパスラインには絞りをバイパスするようにリリーフラインが接続されており、このリリーフラインにリリーフ弁が設けられている。
また、特許文献1に開示された油圧システムでは、第1センターバイパスライン上および第2センターバイパスライン上の制御弁が作動していないとき(制御弁へパイロット圧を出力するパイロット操作弁が操作されていないとき)に、スプリットポンプから吐出される作動油を絞りの上流側からタンクへ逃すための構成が採用されている。具体的には、第1センターバイパスラインの制御弁の上流側に第1アンロード弁が設けられ、第2センターバイパスラインの制御弁の上流側に第2アンロード弁が設けられている。
特開2014−59015号公報
しかしながら、特許文献1に開示された油圧システムのようにアンロード弁を用いた構成では、コストが高くなる。
そこで、本発明は、安価な構成で、制御弁が作動していないときにポンプから吐出される作動油を絞りの上流側からタンクへ逃すことができる建設機械の油圧システムを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の建設機械の油圧システムは、傾転角が変更可能な可変容量型のポンプと、前記ポンプからタンクまで延びるセンターバイパスライン上に配置された、油圧アクチュエータに対する作動油の供給および排出を制御する複数の制御弁と、前記複数の制御弁の下流側で前記センターバイパスラインに設けられた絞りと、前記絞りをバイパスするように前記センターバイパスラインに接続されたリリーフラインに設けられた、リリーフ圧が、実質的にゼロである第1設定値と前記第1設定値よりも大きな第2設定値との間で変更可能なリリーフ弁と、ポンプ信号圧が高くなるほど前記ポンプの吐出流量が減少するように前記ポンプの傾転角を調整する、前記センターバイパスラインにおける前記絞りの上流側の圧力であるネガティブコントロール圧が前記ポンプ信号圧として供給されるレギュレータと、前記複数の制御弁を作動させるための複数の操作装置と、前記複数の操作装置のいずれもが操作されていないときは前記リリーフ弁のリリーフ圧を前記第1設定値に切り換え、前記複数の操作装置のいずれかが操作されているときは前記リリーフ弁のリリーフ圧を前記第2設定値に切り換える制御装置と、を備える、ことを特徴とする。
上記の構成によれば、操作装置のいずれもが操作されていないときはリリーフ弁のリリーフ圧が実質的にゼロである第1設定値に切り換えられるので、ポンプから吐出された作動油は絞りよりもリリーフ弁を優先的に通過する。換言すれば、リリーフ弁をアンロード弁として働かせることができる。従って、安価な構成で、制御弁が作動していないときにポンプから吐出される作動油を絞りの上流側からリリーフラインを通じてタンクへ逃すことができる。一方、操作装置のいずれかが操作されているときはリリーフ弁のリリーフ圧が第2設定値に切り換えられるので、リリーフ弁を通常のネガティブコントロール用のリリーフ弁として働かせることができる。
本発明によれば、安価な構成で、制御弁が作動していないときにポンプから吐出される作動油を絞りの上流側からタンクへ逃すことができる。
本発明の第1実施形態に係る建設機械の油圧システムの概略構成図である。 建設機械の一例である油圧ショベルの側面図である。 レギュレータに供給されるポンプ信号圧と主ポンプの吐出流量との関係を示すグラフである。 (a)は馬力制御特性を示すグラフ、(b)は主ポンプの吐出圧とポンプ用電磁比例弁の二次圧との関係を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係る建設機械の油圧システムの概略構成図である。 リリーフ弁用電磁比例弁の二次圧の経時的変化を示すグラフである。 本発明の第3実施形態に係る建設機械の油圧システムの概略構成図である。 ポンプ用電磁比例弁の二次圧の経時的変化を示すグラフである。 第3実施形態の変形例の油圧システムの概略構成図である。
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態に係る建設機械の油圧システム1Aを示し、図2に、その油圧システム1Aが搭載された建設機械10を示す。図2に示す建設機械10は油圧ショベルであるが、本発明は油圧クレーンなどの他の建設機械にも適用可能である。
図2に示す建設機械10は自走式であり、走行体11を含む。また、建設機械10は、走行体11に旋回可能に支持された旋回体12と、旋回体12に対して俯仰するブームを含む。ブームの先端には、アームが揺動可能に連結されており、アームの先端には、バケットが揺動可能に連結されている。旋回体12には、運転席が設置されたキャビン16が設けられている。なお、建設機械10は自走式でなくてもよい。
具体的に、油圧システム1Aは、油圧アクチュエータ20として、図2に示すブームシリンダ13、アームシリンダ14およびバケットシリンダ15を含むとともに、図示しない走行左モータ、走行右モータおよび旋回モータを含む。ブームシリンダ13はブームを俯仰させ、アームシリンダ14はアームを揺動させ、バケットシリンダ15はバケットを揺動させる。
また、油圧システム1Aは、図1に示すように、上述した油圧アクチュエータ20へ作動油を供給する第1主ポンプ22および第2主ポンプ24を含む。第1主ポンプ22および第2主ポンプ24は、エンジン21により駆動される。また、エンジン21は、副ポンプ26も駆動する。ただし、第1主ポンプ22、第2主ポンプ24および副ポンプ26は電動機によって駆動されてもよい。
第1主ポンプ22からは、タンクまで第1センターバイパスライン31が延びており、この第1センターバイパスライン31上に複数の制御弁5Aが配置されている。また、第1センターバイパスライン31には、全ての制御弁5Aの下流側に絞り34が設けられている。さらに、第1センターバイパスライン31には、絞り34をバイパスするようにリリーフライン35が接続されており、このリリーフライン35に第1リリーフ弁36が設けられている。
全ての制御弁5Aは、パラレルライン32により第1主ポンプ22と接続されている。パラレルライン32と第1センターバイパスライン31の上流側部分は互いに合流して共通の流路となっている。また、全ての制御弁5Aは、タンクライン33によりタンクと接続されている。
同様に、第2主ポンプ24からは、タンクまで第2センターバイパスライン41が延びており、この第2センターバイパスライン41上に複数の制御弁5Bが配置されている。また、第2センターバイパスライン41には、全ての制御弁5Bの下流側に絞り44が設けられている。さらに、第2センターバイパスライン41には、絞り44をバイパスするようにリリーフライン45が接続されており、このリリーフライン45に第2リリーフ弁46が設けられている。
全ての制御弁5Bは、パラレルライン42により第2主ポンプ24と接続されている。パラレルライン42と第2センターバイパスライン41の上流側部分は互いに合流して共通の流路となっている。また、全ての制御弁5Bは、タンクライン43によりタンクと接続されている。
第1リリーフ弁36および第2リリーフ弁46のそれぞれは、リリーフ圧が、実質的にゼロである第1設定値P1(例えば、0.5MPa以下)と、第1設定値P1よりも大きな第2設定値P2との間で変更可能なものである。第2設定値P2は、通常のネガティブコントロールで設定される値(例えば、3.0〜4.0MPa)である。なお、第1リリーフ弁36および第2リリーフ弁46のそれぞれの構成は、後述にて詳細に説明する。
制御弁5A,5Bのそれぞれは、対応する油圧アクチュエータ20に対する作動油の供給および排出を制御する。本実施形態では、第1センターバイパスライン31上に配置された制御弁5Aが走行左制御弁51、ブーム制御弁52およびバケット制御弁53を含み、第2センターバイパスライン41上に配置された制御弁5Bが走行右制御弁54、旋回制御弁55およびアーム制御弁56を含む。
すなわち、第1主ポンプ22は、走行左制御弁51を介して図略の走行左モータへ作動油を供給し、ブーム制御弁52を介してブームシリンダ13へ作動油を供給し、バケット制御弁53を介してバケットシリンダ15へ作動油を供給する。第2主ポンプ24は、走行右制御弁54を介して図略の走行右モータへ作動油を供給し、旋回制御弁55を介して図略の旋回モータへ作動油を供給し、アーム制御弁56を介してアームシリンダ14へ作動油を供給する。ただし、第1主ポンプ22と第2主ポンプ24のどちらがどの油圧アクチュエータ20へ作動油を供給するかは適宜変更可能である。
より詳しくは、第1センターバイパスライン31上に配置された各制御弁5Aは、一対の給排ラインにより対応する油圧アクチュエータ20と接続されている。また、各制御弁5Aは、図略のスプールと、スプールを軸方向の一方および他方に移動させるための一対のパイロットポートを含む。各制御弁5Aは、中立位置では第1センターバイパスライン31上の開口面積を最大とするとともに、パラレルライン32、タンクライン33および一対の給排ラインをブロックする。これにより、第1リリーフ弁36のリリーフ圧が第2設定値P2に切り換えられているときは、第1センターバイパスライン31における絞り34の上流側の圧力である第1ネガティブコントロール圧Pn1が最大となる。
一方、各制御弁5Aは、どちらかのパイロットポートにパイロット圧が供給されると、そのパイロット圧が大きくなるほど、第1センターバイパスライン31上の開口面積を小さくするとともに、パラレルライン32と一方の給排ラインの間の開口面積および他方の給排ラインとタンクライン33の間の開口面積を大きくする。このため、第1リリーフ弁36のリリーフ圧が第2設定値P2に切り換えられているときは、どちらかのパイロットポートに供給されるパイロット圧が大きくなるほど、第1ネガティブコントロール圧Pn1が小さくなる。
同様に、第2センターバイパスライン41上に配置された各制御弁5Bは、一対の給排ラインにより対応する油圧アクチュエータ20と接続されている。また、各制御弁5Bは、図略のスプールと、スプールを軸方向の一方および他方に移動させるための一対のパイロットポートを含む。各制御弁5Bは、中立位置では第2センターバイパスライン41上の開口面積を最大とするとともに、パラレルライン42、タンクライン43および一対の給排ラインをブロックする。これにより、第2リリーフ弁46のリリーフ圧が第2設定値P2に切り換えられているときは、第2センターバイパスライン41における絞り44の上流側の圧力である第2ネガティブコントロール圧Pn2が最大となる。
一方、各制御弁5Bは、どちらかのパイロットポートにパイロット圧が供給されると、そのパイロット圧が大きくなるほど、第2センターバイパスライン41上の開口面積を小さくするとともに、パラレルライン42と一方の給排ラインの間の開口面積および他方の給排ラインとタンクライン43の間の開口面積を大きくする。このため、第2リリーフ弁46のリリーフ圧が第2設定値P2に切り換えられているときは、どちらかのパイロットポートに供給されるパイロット圧が大きくなるほど、第2ネガティブコントロール圧Pn2が小さくなる。
キャビン16内には、制御弁5A,5Bを作動させるための複数の操作装置5が配置されている。本実施形態では、各操作装置5が、一次圧ライン57により副ポンプ26と接続され、副ポンプ26の吐出圧が一次圧として供給されるパイロット操作弁である。このため、図示は省略するが、制御弁5A,5Bのそれぞれの一対のパイロットポートが一対のパイロットラインにより対応する操作装置5と接続されている。
具体的に、操作装置5であるパイロット操作弁は、対応する油圧アクチュエータ20を可動させるための操作を受ける操作部(操作レバーまたはフットペダル)を含み、操作部の操作量(例えば、操作レバーの傾倒角)に応じたパイロット圧を出力する。
第1主ポンプ22および第2主ポンプ24は、傾転角が変更可能な可変容量型のポンプ(斜板ポンプまたは斜軸ポンプ)である。第1主ポンプ22の傾転角は第1レギュレータ23により調整され、第2主ポンプ24の傾転角は第2レギュレータ25により調整される。
第1レギュレータ23は、ポンプ信号圧を受け、図3に示すように、そのポンプ信号圧が高くなるほど第1主ポンプ22の吐出流量が減少するように第1主ポンプ22の傾転角を調整する。同様に、第2レギュレータ25は、ポンプ信号圧を受け、そのポンプ信号圧が高くなるほど第2主ポンプ24の吐出流量が減少するように第2主ポンプ24の傾転角を調整する。
第1レギュレータ23は、出力ライン27により高圧選択弁61の出力ポートと接続されている。高圧選択弁61の一対の入力ポートの一方は、第1入力ライン37により全ての制御弁5Aの下流側であって絞り34の上流側で第1センターバイパスライン31と接続されており、他方は、第2入力ライン62によりポンプ用第1電磁比例弁63と接続されている。すなわち、高圧選択弁61は、第1ネガティブコントロール圧Pn1とポンプ用第1電磁比例弁63の二次圧のうちの高い方をポンプ信号圧として第1レギュレータ23へ供給する。
同様に、第2レギュレータ25は、出力ライン28により高圧選択弁64の出力ポートと接続されている。高圧選択弁64の一対の入力ポートの一方は、第1入力ライン47により全ての制御弁5Bの下流側であって絞り44の上流側で第2センターバイパスライン41と接続されており、他方は、第2入力ライン65によりポンプ用第2電磁比例弁66と接続されている。すなわち、高圧選択弁64は、第2ネガティブコントロール圧Pn2とポンプ用第2電磁比例弁66の二次圧のうちの高い方をポンプ信号圧として第2レギュレータ25へ供給する。
ポンプ用第1電磁比例弁63およびポンプ用第2電磁比例弁66は、一次圧ライン67により副ポンプ26と接続されている。この一次圧ライン67と上述した一次圧ライン57の上流側部分は互いに合流して共通の流路となっている。副ポンプ26の吐出圧は、リリーフ弁68により一定に保たれる。
ポンプ用第1電磁比例弁63およびポンプ用第2電磁比例弁66は、制御装置8により制御される。ただし、図1では、図面の簡略化のために一部の信号線のみを描いている。例えば、制御装置8は、ROMやRAMなどのメモリと、HDDやSSDなどのストレージと、CPUを有し、ROMまたはストレージに格納されたプラグラムがCPUにより実行される。
制御装置8は、ポンプ用第1電磁比例弁63を制御することにより、第1主ポンプ22の負荷が想定した第1出力を超えないように第1主ポンプ22の吐出流量を制限する馬力制御を行う。同様に、制御装置8は、ポンプ用第2電磁比例弁66を制御することにより、第2主ポンプ24の負荷が想定した第2出力を超えないように第2主ポンプ24の吐出流量を制限する馬力制御を行う。通常、第1出力および第2出力は、それらの合計がエンジン21の出力以下となるように設定される。
具体的に、制御装置8は、第1主ポンプ22の吐出圧を検出する圧力センサ83および第2主ポンプ24の吐出圧を検出する圧力センサ84と電気的に接続されている。制御装置8には、図4(a)に示すような主ポンプの吐出圧が高くなるほど主ポンプの吐出流量が減少する馬力制御特性を示す主ポンプの吐出圧と電磁比例弁の二次圧との関係が予め記憶されている。
従って、制御装置8は、図4(b)に示すように、圧力センサ83で検出される第1主ポンプ22の吐出圧が高くなるほどポンプ用第1電磁比例弁63の二次圧が高くなるようにポンプ用第1電磁比例弁63を制御する。同様に、制御装置8は、圧力センサ84で検出される第2主ポンプ24の吐出圧が高くなるほどポンプ用第2電磁比例弁66の二次圧が高くなるようにポンプ用第2電磁比例弁66を制御する。
上述した第1リリーフ弁36および第2リリーフ弁46のそれぞれは、本実施形態では、切換圧αよりも高いオンロード信号圧Poを受けたときにリリーフ圧が第1設定値P1から第2設定値P2に切り換わるように構成されている。
具体的に、第1リリーフ弁36は、リリーフ圧を規定するスプリング36aと、スプリング36aの一端に連結されたピストンにスプリング36aと反対側から面する作動室36bを含む。上記の切換圧αは、スプリング36aを正常に機能させるか否かを切り換える圧力である。すなわち、作動室36bの圧力が切換圧αよりも低いときは、スプリング36aがほぼ自然長がほぼ自然長となり、リリーフ圧が第1設定値P1となる。一方、作動室36bにオンロード信号圧Po(Po>α)が導入されると、スプリング36aが所定量圧縮され、リリーフ圧が第2設定値P2となる。なお、リリーフ時にスプリング36aによってピストンが移動しないように、オンロード信号圧Poが作用するピストンの面積は十分大きく設定される。
同様に、第2リリーフ弁46は、リリーフ圧を規定するスプリング46aと、スプリング46aの一端に連結されたピストンにスプリング46aと反対側から面する作動室46bを含む。上記の切換圧αは、スプリング46aを正常に機能させるか否かを切り換える圧力である。すなわち、作動室46bの圧力が切換圧αよりも低いときは、スプリング46aがほぼ自然長となり、リリーフ圧が第1設定値P1となる。一方、作動室46bにオンロード信号圧Po(Po>α)が導入されると、スプリング46aが所定量圧縮され、リリーフ圧が第2設定値P2となる。なお、リリーフ時にスプリング46aによってピストンが移動しないように、オンロード信号圧Poが作用するピストンの面積は十分大きく設定される。
本実施形態では、第1リリーフ弁36の作動室36bおよび第2リリーフ弁46の作動室46bが、信号圧ライン93によりリリーフ弁用電磁比例弁92と接続されている。リリーフ弁用電磁比例弁92は、一次圧ライン91により副ポンプ26と接続されている。
本実施形態では、リリーフ弁用電磁比例弁92が、指令電流と二次圧が正の相関を示す正比例型である。ただし、リリーフ弁用電磁比例弁92は、指令電流と二次圧が負の相関を示す逆比例型であってもよい。
リリーフ弁用電磁比例弁92は、第1リリーフ弁36の作動室36bおよび第2リリーフ弁46の作動室46bへオンロード信号圧Poを出力するか否かを切り換える。リリーフ弁用電磁比例弁92は、制御装置8により制御される。制御装置8は、操作装置5のいずれもが操作されていないかいずれかが操作されているかに応じてリリーフ弁用電磁比例弁92を制御する。
本実施形態では、操作装置5のいずれもが操作されていないかいずれかが操作されているかを判定するための構成として、走行用検出ライン73および非走行用検出ライン71が採用されている。
走行用検出ライン73は、副ポンプ26から走行右制御弁54および走行左制御弁51を経由してタンクまで延びている。なお、走行用検出ライン73が制御弁54,51を経由する順は特に限定されるものではない。走行用検出ライン73には、最も上流に位置する走行右制御弁54の上流側に、副ポンプ26の吐出圧の保持用の絞り74が設けられるとともに、走行右制御弁54と絞り74の間に圧力センサ82が設けられている。
走行用検出ライン73は、走行右制御弁54および/または走行左制御弁51が作動したときに遮断されるように構成されている。つまり、走行右制御弁54と走行左制御弁51のどちらもが作動していなければ、圧力センサ82で検出される圧力が実質的にゼロであり、走行右制御弁54および/または走行左制御弁51が作動すれば、圧力センサ82で検出される圧力が副ポンプ26の吐出圧(リリーフ弁68のリリーフ圧)となる。
非走行用検出ライン71は、副ポンプ26からブーム制御弁52、バケット制御弁53、アーム制御弁56および旋回制御弁55を経由してタンクまで延びている。なお、非走行用検出ライン71が制御弁52,53,56,55を経由する順は特に限定されるものではない。非走行用検出ライン71には、最も上流に位置するブーム制御弁52の上流側に、副ポンプ26の吐出圧の保持用の絞り72が設けられるとともに、ブーム制御弁52と絞り72の間に圧力センサ81が設けられている。
非走行用検出ライン71は、ブーム制御弁52、バケット制御弁53、アーム制御弁56および旋回制御弁55の少なくとも1つが作動したときに遮断されるように構成されている。つまり、ブーム制御弁52、バケット制御弁53、アーム制御弁56および旋回制御弁55の全てが作動していなければ、圧力センサ81で検出される圧力が実質的にゼロであり、ブーム制御弁52、バケット制御弁53、アーム制御弁56および旋回制御弁55の少なくとも1つが作動すれば、圧力センサ81で検出される圧力が副ポンプ26の吐出圧(リリーフ弁68のリリーフ圧)となる。
制御装置8は、圧力センサ82で検出される圧力と圧力センサ81で検出される圧力の双方が閾値よりも低ければ、操作装置5のいずれもが操作されていないと判定し、圧力センサ82で検出される圧力と圧力センサ81で検出される圧力の少なくとも一方が前記閾値よりも高ければ、操作装置5のいずれかが操作されていると判定する。
ただし、操作装置5のいずれもが操作されていないかいずれかが操作されているかを判定するための構成は、上述したものに限られるものではない。例えば、1本の検出ラインが全ての制御弁51〜56を経由していてもよい。あるいは、各パイロット操作弁から出力されるパイロット圧が圧力センサにより検出され、そのパイロット圧に基づいて操作装置5のいずれもが操作されていないかいずれかが操作されているかが判定されてもよい。この場合、制御弁を経由する検出ラインは不要である。
制御装置8は、操作装置5のいずれもが操作されていないときは、リリーフ弁用電磁比例弁92がオンロード信号圧Poを出力しないようにリリーフ弁用電磁比例弁92を制御する。上述したように、リリーフ弁用電磁比例弁92は正比例型であるので、制御装置8はリリーフ弁用電磁比例弁92へ指令電流を送給しない。これにより、リリーフ弁用電磁比例弁92の二次圧がゼロとなり、第1リリーフ弁36および第2リリーフ弁46のリリーフ圧が第1設定値P1に切り換えられる。
このとき、第1主ポンプ22および第2主ポンプ24の吐出圧はほぼゼロとなる。従って、制御装置8は、操作装置5のいずれもが操作されていないとき、ポンプ用第1電磁比例弁63の二次圧が第1主ポンプ22の吐出流量を最小とする圧力以上となり、かつ、ポンプ用第2電磁比例弁66の二次圧が第2主ポンプ24の吐出流量を最小とする圧力以上となるように、ポンプ用第1電磁比例弁63およびポンプ用第2電磁比例弁66を制御する。
一方、操作装置5のいずれかが操作されているときは、制御装置8は、リリーフ弁用電磁比例弁92がオンロード信号圧Poを出力するように、換言すればリリーフ弁用電磁比例弁92の二次圧がオンロード信号圧Poとなるように、リリーフ弁用電磁比例弁92を制御する(リリーフ弁用電磁比例弁92へ指令電流を送給する)。これにより、第1リリーフ弁36および第2リリーフ弁46のリリーフ圧が第2設定値P2に切り換えられる。
なお、操作装置5のいずれかが操作されているとき、制御装置8は、上述したように、圧力センサ83で検出される圧力に基づいてポンプ用第1電磁比例弁63を制御するとともに、圧力センサ84で検出される圧力に基づいてポンプ用第2電磁比例弁66を制御する。
以上説明したように、本実施形態の油圧システム1Aでは、操作装置5のいずれもが操作されていないときは第1リリーフ弁36および第2リリーフ弁46のリリーフ圧が実質的にゼロである第1設定値P1に切り換えられる。それ故、第1主ポンプ22から吐出された作動油は絞り34よりも第1リリーフ弁36を優先的に通過し、第2主ポンプ24から吐出された作動油は絞り44よりも第2リリーフ弁46を優先的に通過する。換言すれば、第1リリーフ弁36および第2リリーフ弁46をアンロード弁として働かせることができる。従って、安価な構成で、制御弁5A,5Bが作動していないときに、第1主ポンプ22から吐出される作動油を絞り34の上流側からリリーフライン35を通じてタンクへ逃すことができるとともに、第2主ポンプ24から吐出される作動油を絞り44の上流側からリリーフライン45を通じてタンクへ逃すことができる。一方、操作装置5のいずれかが操作されているときは第1リリーフ弁36および第2リリーフ弁46のリリーフ圧が第2設定値P2に切り換えられるので、第1リリーフ弁36および第2リリーフ弁46を通常のネガティブコントロール用のリリーフ弁として働かせることができる。
さらに、本実施形態では、ポンプ用第1電磁比例弁63およびポンプ用第2電磁比例弁66を用いた電気的な制御によって馬力制御が行われる。すなわち、ネガティブコントロール圧に応じて作動する流量制御ピストンおよびポンプの吐出圧に応じて作動する馬力制御ピストンを含むレギュレータに比べて、第1レギュレータ23および第2レギュレータ25を簡素な構造とすることができる。
<変形例>
リリーフ弁用電磁比例弁92の代わりに、単なる電磁切換弁(オンオフ弁)を用いてもよい。あるいは、リリーフ弁用電磁比例弁92と電磁切換弁のどちらも用いずに、第1リリーフ弁36および第2リリーフ弁46として電磁リリーフ弁を用い、制御装置8がそれらの電磁リリーフ弁を直接的に制御してもよい。
ただし、リリーフ弁用電磁比例弁92または電磁切換弁が用いられれば、電磁リリーフ弁を用いるよりもコストを低減することができる。
(第2実施形態)
図5に、本発明の第2実施形態に係る油圧システム1Bを示す。なお、本実施形態および後述する第3実施形態において、第1実施形態と同一構成要素には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
本実施形態では、操作装置5であるパイロット操作弁が、一次圧ライン57により信号圧ライン93と接続されている。すなわち、パイロット操作弁には、リリーフ弁用電磁比例弁92の二次圧が一次圧として供給される。
また、本実施形態では、制御装置8が、キャビン16内に配置された選択装置85とも電気的に接続されている。選択装置85は、操作装置5に対する操作を無効とする操作ロックの選択、または操作装置5に対する操作を有効とする操作ロック解除の選択を受け付ける。
例えば、選択装置85は、安全レバーの移動または揺動により操作ロックか操作ロック解除かを選択可能なマイクロスイッチやリミットスイッチであってもよい。あるいは、選択装置85は、ボタンを押すか否かで操作ロックか操作ロック解除かを選択可能な押しボタンスイッチであってもよい。
図6に示すように、制御装置8は、選択装置85が操作ロックの選択を受け付けている間は、リリーフ弁用電磁比例弁92の二次圧が実質的にゼロとなるようにリリーフ弁用電磁比例弁92を制御する。本実施形態では、制御装置8がリリーフ弁用電磁比例弁92へ指令電流を送給しない。これにより、リリーフ弁用電磁比例弁92の二次圧がゼロとなり、第1リリーフ弁36および第2リリーフ弁46のリリーフ圧が第1設定値P1に切り換えられる。また、操作装置5であるパイロット操作弁の一次圧もゼロとなるので、操作装置5に対する操作が無効となる。
一方、選択装置85が操作ロック解除の選択を受け付けている間は、操作装置5の操作状況によりリリーフ弁用電磁比例弁92の制御が異なる。
具体的に、操作装置5のいずれもが操作されていないときは、リリーフ弁用電磁比例弁92の二次圧が操作装置5であるパイロット操作弁の上限圧βよりも高くなるとともに切換圧αよりも低くなるようにリリーフ弁用電磁比例弁92を制御する。これにより、第1リリーフ弁36および第2リリーフ弁46のリリーフ圧が第1設定値P1に維持されたままで、操作装置5に対する操作が有効となる。
なお、パイロット操作弁の上限圧βは、各制御弁のスプールが移動し始めるのに必要なパイロット圧以上の圧力である。望ましくは、上限圧βは、各制御弁のスプールがフルストロークまで移動可能なパイロット圧である。
逆に、操作装置5のいずれかが操作されているときは、制御装置8は、リリーフ弁用電磁比例弁92がオンロード信号圧Poを出力するように、換言すればリリーフ弁用電磁比例弁92の二次圧がオンロード信号圧Poとなるように、リリーフ弁用電磁比例弁92を制御する。これにより、第1リリーフ弁36および第2リリーフ弁46のリリーフ圧が第2設定値P2に切り換えられる。
本実施形態でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、リリーフ弁用電磁比例弁92に、第1リリーフ弁36および第2リリーフ弁46をアンロード弁として働かせるか通常のネガティブコントロール弁として働かせるかを切り換える機能と、操作装置5に対する操作を無効とするか有効とするかを切り換える機能という2つの機能を具備させることができる。従って、第1リリーフ弁36および第2リリーフ弁46用の電磁弁と選択装置85用の電磁弁とを用いた場合に比べて、コストを低減することができる。
(第3実施形態)
図7に、本発明の第3実施形態に係る油圧システム1Cを示す。本実施形態では、第1リリーフ弁36および第2リリーフ弁46のそれぞれが、切換圧γよりも高いアンロード信号圧Puを受けたときにリリーフ圧が第2設定値P2から第1設定値P1に切り換わるように構成されている。
具体的に、第1リリーフ弁36は、スプリング36aの一端に連結されたピストンにスプリング36a側から面する作動室36cと、上記のピストンをスプリング36aと反対側から付勢するスプリング36dを含む。上記の切換圧γは、スプリング36aを正常に機能させるか否かを切り換える圧力である。すなわち、作動室36cの圧力が切換圧γよりも低いときは、スプリング36dの付勢力によりスプリング36aが所定量圧縮され、リリーフ圧が第2設定値P2となる。一方、作動室36cにアンロード信号圧Pu(Pu>γ)が導入されると、スプリング36aがほぼ自然長となり、リリーフ圧が第1設定値P1となる。作動室36cは、信号圧ライン94により第2入力ライン62と接続されている。
同様に、第2リリーフ弁46は、スプリング46aの一端に連結されたピストンにスプリング46a側から面する作動室46cと、上記のピストンをスプリング46aと反対側から付勢するスプリング46dを含む。上記の切換圧γは、スプリング46aを正常に機能させるか否かを切り換える圧力である。すなわち、作動室46cの圧力が切換圧γよりも低いときは、スプリング46dの付勢力によりスプリング46aが所定量圧縮され、リリーフ圧が第2設定値P2となる。一方、作動室46cにアンロード信号圧Pu(Pu>γ)が導入されると、スプリング46aがほぼ自然長となり、リリーフ圧が第1設定値P1となる。作動室46cは、信号圧ライン95により第2入力ライン65と接続されている。
本実施形態では、ポンプ用第1電磁比例弁63が第1リリーフ弁36へアンロード信号圧Puを出力するか否かを切り換え、ポンプ用第2電磁比例弁66が第2リリーフ弁46へアンロード信号圧Puを出力するか否かを切り換える。
制御装置8は、操作装置5のうちの第1センターバイパスライン31上に配置された制御弁5Aに対応する第1操作装置5a(走行左操作装置、ブーム操作装置およびバケット操作装置)のいずれもが操作されていないかいずれかが操作されているかに応じてポンプ用第1電磁比例弁63を制御するとともに、操作装置5のうちの第2センターバイパスライン41上に配置された制御弁5Bに対応する第2操作装置5b(走行右操作装置、旋回操作装置およびアーム操作装置)のいずれもが操作されていないかいずれかが操作されているかに応じてポンプ用第2電磁比例弁66を制御する。
本実施形態では、第1操作装置5aのいずれもが操作されていないかいずれかが操作されているかを判定するための構成として第1検出ライン75が採用されており、第2操作装置5bのいずれもが操作されていないかいずれかが操作されているかを判定するための構成として第2検出ライン77が採用されている。
第1検出ライン75は、副ポンプ26から制御弁5Aを経由してタンクまで延びている。なお、第1検出ライン75が制御弁5Aを経由する順は特に限定されるものではない。第1検出ライン75には、最も上流に位置する走行左制御弁51の上流側に、副ポンプ26の吐出圧の保持用の絞り76が設けられるとともに、走行左制御弁51と絞り76の間に圧力センサ86が設けられている。
第1検出ライン75は、制御弁5Aの少なくとも1つが作動したときに遮断されるように構成されている。つまり、全ての制御弁5Aが作動していなければ、圧力センサ86で検出される圧力が実質的にゼロであり、制御弁5Aの少なくとも1つが作動すれば、圧力センサ86で検出される圧力が副ポンプ26の吐出圧(リリーフ弁68のリリーフ圧)となる。
第2検出ライン77は、副ポンプ26から制御弁5Bを経由してタンクまで延びている。なお、第2検出ライン77が制御弁5Bを経由する順は特に限定されるものではない。第2検出ライン77には、最も上流に位置する走行右制御弁54の上流側に、副ポンプ26の吐出圧の保持用の絞り78が設けられるとともに、走行右制御弁54と絞り78の間に圧力センサ87が設けられている。
第2検出ライン77は、制御弁5Bの少なくとも1つが作動したときに遮断されるように構成されている。つまり、全ての制御弁5Bが作動していなければ、圧力センサ87で検出される圧力が実質的にゼロであり、制御弁5Bの少なくとも1つが作動すれば、圧力センサ87で検出される圧力が副ポンプ26の吐出圧(リリーフ弁68のリリーフ圧)となる。
制御装置8は、圧力センサ86で検出される圧力が閾値よりも低ければ、第1操作装置5aのいずれもが操作されていないと判定し、圧力センサ86で検出される圧力が前記閾値よりも高ければ、第1操作装置5aのいずれかが操作されていると判定する。同様に、制御装置8は、圧力センサ87で検出される圧力が閾値よりも低ければ、第2操作装置5bのいずれもが操作されていないと判定し、圧力センサ87で検出される圧力が前記閾値よりも高ければ、第2操作装置5bのいずれかが操作されていると判定する。
制御装置8は、図8に示すように、第1操作装置5aのいずれもが操作されていないときは、ポンプ用第1電磁比例弁63がアンロード信号圧Puを出力するように、換言すればポンプ用第1電磁比例弁63の二次圧がアンロード信号圧Puとなるように、ポンプ用第1電磁比例弁63を制御する。これにより、第1リリーフ弁36のリリーフ圧が第1設定値P1に切り換えられる。
また、アンロード信号圧Puは、第1主ポンプ22の吐出流量を最小とする圧力以上である。従って、第1操作装置5aのいずれもが操作されていないときは、第1主ポンプ22の吐出流量が最小となる。
一方、第1操作装置5aのいずれかが操作されているときは、制御装置8は、ポンプ用第1電磁比例弁63がアンロード信号圧Puを出力しないようにポンプ用第1電磁比例弁63を制御する。より詳しくは、制御装置8は、ポンプ用第1電磁比例弁63の二次圧が切換圧γよりも低い状態で、第1実施形態で説明したのと同様に圧力センサ83で検出される圧力が高くなるほどポンプ用第1電磁比例弁63の二次圧が高くなるように、ポンプ用第1電磁比例弁63を制御する。ポンプ用第1電磁比例弁63の二次圧が切換圧γよりも低いために、第1リリーフ弁36のリリーフ圧が第2設定値P2に切り換えられる。また、第1主ポンプ22の吐出圧が高くなるほどポンプ用第1電磁比例弁63の二次圧が高くなるために、第1実施形態と同様に馬力制御を行うことができる。
制御装置8は、第2操作装置5bのいずれもが操作されていないときは、ポンプ用第2電磁比例弁66がアンロード信号圧Puを出力するように、換言すればポンプ用第2電磁比例弁66の二次圧がアンロード信号圧Puとなるように、ポンプ用第2電磁比例弁66を制御する。これにより、第2リリーフ弁46のリリーフ圧が第1設定値P1に切り換えられる。
また、アンロード信号圧Puは、第2主ポンプ24の吐出流量を最小とする圧力以上である。従って、第2操作装置5bのいずれもが操作されていないときは、第2主ポンプ24の吐出流量が最小となる。
一方、第2操作装置5bのいずれかが操作されているときは、制御装置8は、ポンプ用第2電磁比例弁66がアンロード信号圧Puを出力しないようにポンプ用第2電磁比例弁66を制御する。より詳しくは、制御装置8は、ポンプ用第2電磁比例弁66の二次圧が切換圧γよりも低い状態で、第1実施形態で説明したのと同様に圧力センサ84で検出される圧力が高くなるほどポンプ用第2電磁比例弁66の二次圧が高くなるように、ポンプ用第2電磁比例弁66を制御する。ポンプ用第2電磁比例弁66の二次圧が切換圧γよりも低いために、第2リリーフ弁46のリリーフ圧が第2設定値P2に切り換えられる。また、第2主ポンプ24の吐出圧が高くなるほどポンプ用第2電磁比例弁66の二次圧が高くなるために、第1実施形態と同様に馬力制御を行うことができる。
本実施形態でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、第1操作装置5aのいずれもが操作されていないときは第1リリーフ弁36をアンロード弁として働かせることができ、第1操作装置5aのいずれかが操作されているときは第1リリーフ弁36を通常のネガティブコントロール用のリリーフ弁として働かせることができる。同様に、第2操作装置5bのいずれもが操作されていないときは第2リリーフ弁46をアンロード弁として働かせることができ、第2操作装置5bのいずれかが操作されているときは第2リリーフ弁46を通常のネガティブコントロール用のリリーフ弁として働かせることができる。さらに、ポンプ用第1電磁比例弁63およびポンプ用第2電磁比例弁66を用いた電気的な制御によって馬力制御が行われるため、第1レギュレータ23および第2レギュレータ25を簡素な構造とすることができる。
しかも、ポンプ用第1電磁比例弁63に、第1リリーフ弁36をアンロード弁として働かせるか通常のネガティブコントロール弁として働かせるかを切り換える機能と、馬力制御を行う機能という2つの機能を具備させることができる。従って、第1リリーフ弁36用の電磁弁と馬力制御用の電磁比例弁とを用いた場合に比べて、コストを低減することができる。
同様に、ポンプ用第2電磁比例弁66に、第2リリーフ弁46をアンロード弁として働かせるか通常のネガティブコントロール弁として働かせるかを切り換える機能と、馬力制御を行う機能という2つの機能を具備させることができる。従って、第2リリーフ弁46用の電磁弁と馬力制御用の電磁比例弁とを用いた場合に比べて、コストを低減することができる。
<変形例>
第1検出ライン75および第2検出ライン77の代わりに、図9に示す変形例の油圧システム1Dのように、第1実施形態で説明した走行用検出ライン73および非走行用検出ライン71が採用されてもよい。この場合、制御装置8は、操作装置5のいずれかが操作されたときに、第1リリーフ弁36および第2リリーフ弁46の双方のアンロード状態を解除する。
第1リリーフ弁36および第2リリーフ弁46の双方のアンロード状態を解除するには、制御装置8が、図7に示す構成においてポンプ用第1電磁比例弁63およびポンプ用第2電磁比例弁66の双方を制御してもよい。あるいは、図9に示すように、第1リリーフ弁36の作動室36cおよび第2リリーフ弁46の作動室46cを信号圧ライン96によりポンプ用第2電磁比例弁66(ポンプ用第1電磁比例弁63でも可)と接続し、制御装置8がポンプ用第2電磁比例弁66を制御してもよい。
さらには、図示は省略するが、第1リリーフ弁36の作動室36cを信号圧ラインにより副ポンプ26と接続し、その信号圧ラインに電磁弁(電磁比例弁または電磁切換弁)を設け、制御装置8がその電磁弁を制御することで第1リリーフ弁36へアンロード信号圧Puを出力するか否かを切り換えてもよい。同様に、第2リリーフ弁46の作動室46cを信号圧ラインにより副ポンプ26と接続し、その信号圧ラインに電磁弁(電磁比例弁または電磁切換弁)を設け、制御装置8がその電磁弁を制御することで第2リリーフ弁46へアンロード信号圧Puを出力するか否かを切り換えてもよい。
あるいは、第1リリーフ弁36および第2リリーフ弁46として電磁リリーフ弁を用い、制御装置8がそれらの電磁リリーフ弁を直接的に制御してもよい。ただし、前記実施形態または上述した変形例のように電磁弁が用いられれば、電磁リリーフ弁を用いるよりもコストを低減することができる。
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、各操作装置5は、必ずしもパイロット操作弁である必要はなく、操作部の操作量に応じた電気信号を出力する電気ジョイスティックであってもよい。この場合、制御弁を経由する検出ラインは不要である。また、各操作装置5が電気ジョイスティックである場合、制御弁5A,5Bのそれぞれの一対のパイロットポートには、一対の電磁比例弁が接続される。
また、主ポンプの数は1つであってもよい。この場合、馬力制御では、例えばポンプの負荷が当該ポンプを駆動するエンジンの出力を超えないようにポンプの吐出流量が制限される。
(まとめ)
本発明の建設機械の油圧システムは、傾転角が変更可能な可変容量型のポンプと、前記ポンプからタンクまで延びるセンターバイパスライン上に配置された、油圧アクチュエータに対する作動油の供給および排出を制御する複数の制御弁と、前記複数の制御弁の下流側で前記センターバイパスラインに設けられた絞りと、前記絞りをバイパスするように前記センターバイパスラインに接続されたリリーフラインに設けられた、リリーフ圧が、実質的にゼロである第1設定値と前記第1設定値よりも大きな第2設定値との間で変更可能なリリーフ弁と、ポンプ信号圧が高くなるほど前記ポンプの吐出流量が減少するように前記ポンプの傾転角を調整する、前記センターバイパスラインにおける前記絞りの上流側の圧力であるネガティブコントロール圧が前記ポンプ信号圧として供給されるレギュレータと、前記複数の制御弁を作動させるための複数の操作装置と、前記複数の操作装置のいずれもが操作されていないときは前記リリーフ弁のリリーフ圧を前記第1設定値に切り換え、前記複数の操作装置のいずれかが操作されているときは前記リリーフ弁のリリーフ圧を前記第2設定値に切り換える制御装置と、を備える、ことを特徴とする。
上記の構成によれば、操作装置のいずれもが操作されていないときはリリーフ弁のリリーフ圧が実質的にゼロである第1設定値に切り換えられるので、ポンプから吐出された作動油は絞りよりもリリーフ弁を優先的に通過する。換言すれば、リリーフ弁をアンロード弁として働かせることができる。従って、安価な構成で、制御弁が作動していないときにポンプから吐出される作動油を絞りの上流側からリリーフラインを通じてタンクへ逃すことができる。一方、操作装置のいずれかが操作されているときはリリーフ弁のリリーフ圧が第2設定値に切り換えられるので、リリーフ弁を通常のネガティブコントロール用のリリーフ弁として働かせることができる。
前記リリーフ弁は、切換圧よりも高いオンロード信号圧を受けたときにリリーフ圧が前記第1設定値から前記第2設定値に切り換わるように構成されており、上記の油圧システムは、前記リリーフ弁へ前記オンロード信号圧を出力するか否かを切り換える電磁弁をさらに備え、前記制御装置は、前記複数の操作装置のいずれもが操作されていないときは前記電磁弁が前記オンロード信号圧を出力せず、前記複数の操作装置のいずれかが操作されているときは前記電磁弁が前記オンロード信号圧を出力するように、前記電磁弁を制御してもよい。この構成によれば、リリーフ弁として電磁リリーフ弁を用いるよりもコストを低減することができる。
前記電磁弁は、電磁比例弁であり、前記複数の操作装置のそれぞれは、前記電磁比例弁の二次圧が一次圧として供給されるパイロット操作弁であり、上記の油圧システムは、前記複数の操作装置に対する操作を無効とする操作ロックの選択、または前記複数の操作装置に対する操作を有効とする操作ロック解除の選択を受け付ける選択装置をさらに備え、前記制御装置は、前記選択装置が操作ロックの選択を受け付けている間は前記電磁比例弁の二次圧が実質的にゼロとなるように前記電磁比例弁を制御し、前記選択装置が操作ロック解除の選択を受け付けている間は、前記複数の操作装置のいずれもが操作されていないときは前記電磁比例弁の二次圧が前記パイロット操作弁の上限圧よりも高くなるとともに前記切換圧よりも低くなり、前記複数の操作装置のいずれかが操作されているときは前記電磁比例弁の二次圧が前記オンロード信号圧となるように、前記電磁比例弁を制御してもよい。この構成によれば、電磁比例弁に、リリーフ弁をアンロード弁として働かせるか通常のネガティブコントロール弁として働かせるかを切り換える機能と、操作装置に対する操作を無効とするか有効とするかを切り換える機能という2つの機能を具備させることができる。従って、リリーフ弁用の電磁弁と選択装置用の電磁弁とを用いた場合に比べて、コストを低減することができる。
上記の油圧システムは、ポンプ用電磁比例弁と、前記ポンプ用電磁比例弁の二次圧と前記ネガティブコントロール圧のうちの高い方を前記ポンプ信号圧として前記レギュレータへ供給する高圧選択弁と、前記ポンプの吐出圧を検出する圧力センサと、をさらに備え、前記制御装置は、前記圧力センサで検出される圧力が高くなるほど前記ポンプ用電磁比例弁の二次圧が高くなるように前記ポンプ用電磁比例弁を制御してもよい。この構成によれば、電気的な制御によって、ポンプの負荷が想定した出力を超えないようにポンプの吐出流量を制限する馬力制御を行うことができる。すなわち、ネガティブコントロール圧に応じて作動する流量制御ピストンおよびポンプの吐出圧に応じて作動する馬力制御ピストンを含むレギュレータに比べて、レギュレータを簡素な構造とすることができる。
前記リリーフ弁は、切換圧よりも高いアンロード信号圧を受けたときにリリーフ圧が前記第2設定値から前記第1設定値に切り換わるように構成されており、上記の油圧システムは、前記リリーフ弁へ前記アンロード信号圧を出力するか否かを切り換える電磁弁をさらに備え、前記制御装置は、前記複数の操作装置のいずれもが操作されていないときは前記電磁弁が前記アンロード信号圧を出力し、前記複数の操作装置のいずれかが操作されているときは前記電磁弁が前記アンロード信号圧を出力しないように、前記電磁弁を制御してもよい。この構成によれば、リリーフ弁として電磁リリーフ弁を用いるよりもコストを低減することができる。
前記電磁弁は、電磁比例弁であり、上記の油圧システムは、前記電磁比例弁の二次圧と前記ネガティブコントロール圧のうちの高い方を前記ポンプ信号圧として前記レギュレータへ供給する高圧選択弁と、前記ポンプの吐出圧を検出する圧力センサと、をさらに備え、前記制御装置は、前記複数の操作装置のいずれもが操作されていないときは前記電磁比例弁の二次圧が前記アンロード信号圧となり、前記複数の操作装置のいずれかが操作されているときは、前記電磁比例弁の二次圧が前記切換圧よりも低い状態で、前記圧力センサで検出される圧力が高くなるほど前記電磁比例弁の二次圧が高くなるように、前記電磁比例弁を制御してもよい。この構成によれば、電気的な制御によって、ポンプの負荷が想定した出力を超えないようにポンプの吐出流量を制限する馬力制御を行うことができる。すなわち、レギュレータを、ネガティブコントロール圧に応じて作動する流量制御ピストンおよびポンプの吐出圧に応じて作動する馬力制御ピストンを含むレギュレータに比べて、簡素な構造とすることができる。
しかも、電磁比例弁に、リリーフ弁をアンロード弁として働かせるか通常のネガティブコントロール弁として働かせるかを切り換える機能と、馬力制御を行う機能という2つの機能を具備させることができる。従って、リリーフ弁用の電磁弁と馬力制御用の電磁比例弁とを用いた場合に比べて、コストを低減することができる。
1A〜1D 油圧システム
10 建設機械
20 油圧アクチュエータ
22,24 主ポンプ
23,25 レギュレータ
31,41 センターバイパスライン
34,44 絞り
36,46 リリーフ弁
5 操作装置
5A,5B 制御弁
61,64 高圧選択弁
63,66 ポンプ用電磁比例弁
92 リリーフ弁用電磁比例弁
8 制御装置
81〜84,86,87 圧力センサ
85 選択装置

Claims (6)

  1. 傾転角が変更可能な可変容量型のポンプと、
    前記ポンプからタンクまで延びるセンターバイパスライン上に配置された、油圧アクチュエータに対する作動油の供給および排出を制御する複数の制御弁と、
    前記複数の制御弁の下流側で前記センターバイパスラインに設けられた絞りと、
    前記絞りをバイパスするように前記センターバイパスラインに接続されたリリーフラインに設けられた、リリーフ圧が、実質的にゼロである第1設定値と前記第1設定値よりも大きな第2設定値との間で変更可能なリリーフ弁と、
    ポンプ信号圧が高くなるほど前記ポンプの吐出流量が減少するように前記ポンプの傾転角を調整する、前記センターバイパスラインにおける前記絞りの上流側の圧力であるネガティブコントロール圧が前記ポンプ信号圧として供給されるレギュレータと、
    前記複数の制御弁を作動させるための複数の操作装置と、
    前記複数の操作装置のいずれもが操作されていないときは前記リリーフ弁のリリーフ圧を前記第1設定値に切り換え、前記複数の操作装置のいずれかが操作されているときは前記リリーフ弁のリリーフ圧を前記第2設定値に切り換える制御装置と、
    を備える、建設機械の油圧システム。
  2. 前記リリーフ弁は、切換圧よりも高いオンロード信号圧を受けたときにリリーフ圧が前記第1設定値から前記第2設定値に切り換わるように構成されており、
    前記リリーフ弁へ前記オンロード信号圧を出力するか否かを切り換える電磁弁をさらに備え、
    前記制御装置は、前記複数の操作装置のいずれもが操作されていないときは前記電磁弁が前記オンロード信号圧を出力せず、前記複数の操作装置のいずれかが操作されているときは前記電磁弁が前記オンロード信号圧を出力するように、前記電磁弁を制御する、請求項1に記載の建設機械の油圧システム。
  3. 前記電磁弁は、電磁比例弁であり、
    前記複数の操作装置のそれぞれは、前記電磁比例弁の二次圧が一次圧として供給されるパイロット操作弁であり、
    前記複数の操作装置に対する操作を無効とする操作ロックの選択、または前記複数の操作装置に対する操作を有効とする操作ロック解除の選択を受け付ける選択装置をさらに備え、
    前記制御装置は、前記選択装置が操作ロックの選択を受け付けている間は前記電磁比例弁の二次圧が実質的にゼロとなるように前記電磁比例弁を制御し、
    前記選択装置が操作ロック解除の選択を受け付けている間は、前記複数の操作装置のいずれもが操作されていないときは前記電磁比例弁の二次圧が前記パイロット操作弁の上限圧よりも高くなるとともに前記切換圧よりも低くなり、前記複数の操作装置のいずれかが操作されているときは前記電磁比例弁の二次圧が前記オンロード信号圧となるように、前記電磁比例弁を制御する、請求項2に記載の建設機械の油圧システム。
  4. ポンプ用電磁比例弁と、
    前記ポンプ用電磁比例弁の二次圧と前記ネガティブコントロール圧のうちの高い方を前記ポンプ信号圧として前記レギュレータへ供給する高圧選択弁と、
    前記ポンプの吐出圧を検出する圧力センサと、をさらに備え、
    前記制御装置は、前記圧力センサで検出される圧力が高くなるほど前記ポンプ用電磁比例弁の二次圧が高くなるように前記ポンプ用電磁比例弁を制御する、請求項1〜3の何れか一項に記載の建設機械の油圧システム。
  5. 前記リリーフ弁は、切換圧よりも高いアンロード信号圧を受けたときにリリーフ圧が前記第2設定値から前記第1設定値に切り換わるように構成されており、
    前記リリーフ弁へ前記アンロード信号圧を出力するか否かを切り換える電磁弁をさらに備え、
    前記制御装置は、前記複数の操作装置のいずれもが操作されていないときは前記電磁弁が前記アンロード信号圧を出力し、前記複数の操作装置のいずれかが操作されているときは前記電磁弁が前記アンロード信号圧を出力しないように、前記電磁弁を制御する、請求項1に記載の建設機械の油圧システム。
  6. 前記電磁弁は、電磁比例弁であり、
    前記電磁比例弁の二次圧と前記ネガティブコントロール圧のうちの高い方を前記ポンプ信号圧として前記レギュレータへ供給する高圧選択弁と、
    前記ポンプの吐出圧を検出する圧力センサと、をさらに備え、
    前記制御装置は、前記複数の操作装置のいずれもが操作されていないときは前記電磁比例弁の二次圧が前記アンロード信号圧となり、前記複数の操作装置のいずれかが操作されているときは、前記電磁比例弁の二次圧が前記切換圧よりも低い状態で、前記圧力センサで検出される圧力が高くなるほど前記電磁比例弁の二次圧が高くなるように、前記電磁比例弁を制御する、請求項5に記載の建設機械の油圧システム。
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