JP2021167248A - 転写装置および箔押し装置 - Google Patents

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正樹 葉山
Masaki Hayama
幸孝 樋口
Yukitaka Higuchi
英毅 山田
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Abstract

【課題】箔保持フィルム等の転写ウェブの無駄な消費を低減できる箔押し装置等の転写装置を提供する。【解決手段】転写装置は、基体シートが転写用物質を保持する転写ウェブをロール・ツー・ロールで搬送するウェブ搬送システムと、転写用物質を転写ウェブから被転写物に転写する転写手段と、を備える。ウェブ搬送システムは、巻出しロールに転写ウェブを巻き戻すことなく、転写区間の上流端を過ぎた転写ウェブの少なくとも一部を当該上流端よりも上流に戻す送り戻しを実行可能に構成される。【選択図】図14

Description

本発明は、転写装置および箔押し装置に関する。
ロール・ツー・ロールで搬送される転写ウェブから箔などの転写用物質をシートなどの被転写物に対して転写する転写装置が知られている。
特開2007−276472号公報
転写装置では、転写ウェブの無駄な消費をより低減できることが好ましい。
本発明はこうした状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、転写ウェブの無駄な消費を低減できる転写装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の転写装置は、基体シートが転写用物質を保持する転写ウェブをロール・ツー・ロールで搬送するウェブ搬送システムと、転写用物質を転写ウェブから被転写物に転写する転写手段と、を備える。ウェブ搬送システムは、巻出しロールに転写ウェブを巻き戻すことなく、転写区間の上流端を過ぎた転写ウェブの少なくとも一部を当該上流端よりも上流に戻す送り戻しを実行可能に構成される。
本発明の別の態様もまた、転写装置である。この装置は、基体シートが転写用物質を保持する転写ウェブをロール・ツー・ロールで搬送するウェブ搬送システムと、転写区間において転写用物質を転写ウェブから被転写物に転写する転写手段と、を備える。ウェブ搬送システムは、巻出しロールからの転写ウェブの巻き出しが停止された状態で、当該巻出しロールから転写区間までの転写ウェブの搬送経路長を増加させるウェブ搬送経路変更機構を備える。
本発明のさらに別の態様は、箔押し装置である。この装置は、フィルムに箔が積層された箔保持フィルムから被転写物に箔を転写して箔押しを行う箔押し装置であって、箔保持フィルムから被転写物に箔を転写する構成として、上述のいずれかの転写装置の構成を備える。
本発明によれば、転写ウェブの無駄な消費をより低減できる。
実施の形態の印刷システムを模式的に示す図である。 実施の形態の印刷システムを模式的に示す図である。 レジスト部24の詳細を示す上面図である。 図3におけるA−A断面図である。 図5(a)〜(d)は、比較例に係る箔押し装置による箔押しの様子を示す図である。 図1の箔押し装置の側面図である。 図1の箔押し装置の側面図である。 箔押し区間の周辺を拡大して示す図である。 図8に示すシート搬送ガイド82の周辺をさらに拡大して示す図である。 箔押し区間の周辺を拡大して示す図である。 図10に示すシート搬送ガイド82の周辺をさらに拡大して示す図である。 箔押し区間の周辺を拡大して示す図である。 ニップローラ62、64が上昇位置にあるときの、箔押し区間の周辺を拡大して示す図である。 図14(a)〜(f)は、図1の箔押し装置による送り戻しを説明する図である。 図15(a)、(b)は、箔押しの様子を示す図である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。
図1、2は、実施の形態に係る箔押し装置(転写装置)16が用いられる印刷システム10を模式的に示す図である。図1は側面図であり、図2は平面図である。印刷システム10は、シートを搬送しながらシートに所定の印刷を施す装置である。シートの素材は、紙、布、樹脂、金属などさまざまである。以降、シートが搬送される方向(図1、2において右から左に向かう方向)を搬送方向Y、搬送方向Yと直交する方向(図1において紙面に直交する方向であって図2の上下方向)を幅方向Xと呼ぶ。
印刷システム10は、シートを1枚ずつ給紙する給紙装置12と、1枚ずつ給紙されるシートにニスを塗布するニス塗布装置14と、ニスのタック性を利用してシート上のニスに箔を転写することで箔押しを行う箔押し装置16と、シートを蓄積するスタッカ18と、印刷システム10を統合的に制御する制御装置20と、を備える。給紙装置12、ニス塗布装置14、箔押し装置16、スタッカ18は、搬送方向Yに上流側(図1、2では右側)からこの順に一列に並ぶ。制御装置20は、給紙装置12、ニス塗布装置14、箔押し装置16およびスタッカ18とネットワーク2を介して接続される。
給紙装置12は、フィーダ22と、コロナ処理部26と、レジスト部24と、を備える。フィーダ22は、テーブル28と、吸着ヘッド30と、を含む。テーブル28にはシートが積載される。テーブル28は、昇降可能に構成される。吸着ヘッド30は、テーブル28に積載されたシートを上から順に1枚ずつ送り出す。
コロナ処理部26(表面改質部)は、搬送路34の上方に配置される電極36(印加電極)と、電極36と上下で対向するように搬送路34の下方に配置される誘電ローラ38(対向電極)と、を含む。コロナ処理部26は、電極36と誘電ローラ38との間のコロナ放電により、フィーダ22が送り出したシートの表面改質を行う。具体的には、シートの表面に親水基を生成させ、濡れ性を改善する。なお、エア吸引部40によってシートを搬送路34に吸着させた状態で搬送すると、電極36とシートとの距離が一定となり、コロナ放電が安定する。エア吸引部40は、不図示の排気用ブロワーの吸引口の一つを配置して負圧を発生させるものであるが、吸引ファンを配置して負圧を発生させる構成としてもよい。
レジスト部24は、レジスト基準ガイド32に突き当てることによって、フィーダ22が送り出したシートの幅方向Xの位置を揃える。
ニス塗布装置14は、シートセンサ42と、一対のCCDセンサ44と、少なくとも1つのニス吐出部46と、半硬化用紫外線ランプ48と、本硬化用紫外線ランプ50と、を含む。一対のCCDセンサ44、ニス吐出部46、半硬化用紫外線ランプ48、本硬化用紫外線ランプ50は、この順に上流側から並ぶように配置される。図示の例では、ニス塗布装置14は3つのニス吐出部46を含んでいるが、これには限定されず、ニス塗布装置14は幅方向Xの全域にわたって延在する1つのニス吐出部46を含んでもよいし、2つまたは4つ以上のニス吐出部46を含んでもよい。半硬化用紫外線ランプ48および本硬化用紫外線ランプ50には紫外線を照射するLEDを用いるが、紫外線を照射するものであれば、電球や蛍光灯などの他の光源であってもよい。光源は出力調整可能なものが望ましい。
シートセンサ42は、給紙装置12から給紙されたシートを検出する。
ニス吐出部46は、特に限定しないがライン型のインクジェットヘッドである。ニス吐出部46は、シートセンサ42によるシートの先端エッジの検出をトリガとして、ニス吐出データに従って紫外線硬化性ニスを吐出し、シートに紫外線硬化性ニスを塗布する。ニス吐出データは、シートのどこにニスを塗布するのかを示すデータである。
給紙装置12が給紙するシートには、予め、下地画像と、下地画像の位置を特定する基準となる複数のレジストレーションマークと、が印刷されていてもよい。ニス塗布装置14は、シートにおけるニスの塗布部分を規定するニス吐出データに従って、下地画像と所定の関係を有するようにニスを塗布するものであり、例えば下地画像に重なるように、ニスを塗布してもよい。
ここで、シートの下地画像がずれていたり歪んでいたりすることもあり得る。したがって、下地画像と所定の関係を有するようにニスを塗布する場合は、ずれや歪みを考慮してニス吐出データを補正しておく必要がある。例えば、CCDセンサ44が、シートセンサ42によるシートの検出をトリガとしてシートを撮像し、制御装置20がCCDセンサ44による撮像データを画像解析し、複数のレジストレーションマークの理論位置との相違により、レジストレーションマークに囲まれた領域のニス吐出データを補正してもよい。なお、当該補正には、本出願人が先に出願した特開2016−083898号公報に記載の方法を適用できる。
半硬化用紫外線ランプ48は、シート上のニスに出力の比較的弱い紫外線を照射し、ニスを半硬化させる。半硬化は、ニスの流動性を低下させつつも完全には硬化させない程度に軽く(例えばさらに硬化させることができる状態に)硬化させることをいう。ニスの少なくとも表面を半硬化することにより、ニスのタック性を維持しつつも、ニスがシート上を流れるのを防止してニスのシート上での位置を安定させることができる。半硬化状態のニスは、箔押し装置16において本硬化される。シートに箔を転写しない(箔押ししない)場合は、通常、半硬化用紫外線ランプ48をオフにする。なお、箔押ししない場合に半硬化用紫外線ランプ48を使用してもよい。例えば、シート上に塗布したニスが滲みやすい場合、半硬化用紫外線ランプ48をオンにしてニスの少なくとも表面を半硬化させる。これにより、ニスの滲みを抑えることができる。
本硬化用紫外線ランプ50は、シートに塗布されたニスに紫外線を照射し、ニスを本硬化させる。シートに箔を転写する(箔押しする)場合は、本硬化用紫外線ランプ50をオフにする。
つまり、シートに箔押しする場合は、半硬化用紫外線ランプ48によってニスを半硬化させ、箔押し装置16の箔押し用紫外線ランプ66によって半硬化状態のニスを本硬化させる。この場合、本硬化用紫外線ランプ50はオフにする。シートに箔押ししない、すなわちシートにニスを塗布するだけの場合は、本硬化用紫外線ランプ50でニスを本硬化させる。この場合、半硬化用紫外線ランプ48および箔押し装置16の箔押し用紫外線ランプ66はオフにする。なお、上述したように、半硬化用紫外線ランプ48は、箔押ししない場合でもオンにすることがある。また、箔押し用紫外線ランプ66の光源には紫外線を照射するLEDを用いるが、紫外線を照射するものであれば他の光源でもよい。
なお図1は、ニス吐出部46、本硬化用紫外線ランプ48、半硬化用紫外線ランプ50に対向する部分において、シートが一本の周回ベルト上を搬送されるように描かれているが、ニス吐出部46に対向する部分、本硬化用紫外線ランプ48対向する部分、半硬化用紫外線ランプ50に対向する部分が、各々すべて、あるいは一部が個別の周回ベルトで搬送されるように構成してもよい。
箔押し装置16は、ウェブ(転写ウェブ)52をロール・ツー・ロールで搬送する。本実施の形態のウェブ52は、長尺なフィルム(基体シート)に例えば金属箔などの箔が保持(積層)された箔保持フィルムである。箔押し装置16では、ウェブ52とシートとを搬送しながら接触させる。シート上の半硬化状態のニスには、そのタック性により、ウェブ52が保持する箔が接着する。この状態、すなわち箔がウェブ52に保持されつつも半硬化状態のニスに接着した状態で、箔押し用紫外線ランプ66が当該ニスに紫外線を照射し、ニスを本硬化させる。ニスが本硬化すると、ウェブ52が箔を保持する力よりも本硬化したニスが箔を接着する力の方が強い状態となる。この状態で、シートを搬送してシートとウェブ52とを分離させると、ウェブ52に保持されていた箔は、シート上のニスが塗布された部分に転写される。
スタッカ18は、箔押し装置16から搬出されたシートを蓄積する。
制御装置20は、例えばPCなどの情報処理端末である。制御装置20は、印刷ジョブの定義についての入力を受け付ける。制御装置20は、所定のジョブ管理画面を表示し、当該ジョブ管理画面を介して、ジョブの定義についての入力を受け付けてもよい。ジョブの定義には、例えば、印刷を施すシートの枚数(印刷部数)、印刷を施すシートのシートサイズ、ニス吐出データ、コロナ処理の有無、箔押しの有無およびピニングの強度(半硬化の硬化度合い)の調節等、が含まれる。制御装置20は、ジョブの定義に基づいて、給紙装置12、ニス塗布装置14および箔押し装置16を制御する。
以上が印刷システム10の基本構成である。
変形例として、印刷システム10は、給紙装置12に代えて、シートに下地画像とレジストレーションマークを印刷するプリンタを備え、プリンタから1枚ずつシートを給紙してもよい。
また、印刷システム10は、箔押し装置16とスタッカ18との間に、シートを切断したり綴じたりする後処理装置を備えてもよい。
図3はレジスト部24の詳細を示す上面図であり、図4は図3におけるA−A断面図である。レジスト部24は、レジスト基準ガイド32と、斜送機構102と、入口ガイド104と、搬送ガイド106と、出口ガイド108と、を備える。Sa、Sbはレジスト部24を搬送されるシートを示す。
レジスト基準ガイド32は、幅方向Xにおいて図3における上側(搬送方向Yに向かって右側、図4における左側、以下「基準側」という)に、設けられる。レジスト基準ガイド32は、搬送方向Yに延在する。
レジスト基準ガイド32は、水平に設けられた支持面32aと、支持面32aから直角に上方に立ち上がった基準面32bと、支持面32aに対し平行かつ高さ方向に対向する天井面32cを有する(図4参照)。基準面32bは、搬送方向Yに平行に設けられ、レジスト部24の略全域にわたって搬送方向Yに延在する。
斜送機構102は、幅方向Xにおいて、レジスト基準ガイド32側に設けられる。斜送機構102は、斜送ベルト110と、サクションチャンバ112とで構成される。斜送ベルトは下流側ほどレジスト基準ガイド32に近づくように、搬送方向Yに対して角度を有して周回駆動する。本実施形態では、4本の斜送ベルト110が幅方向Xに間隔をあけて設けられている。なお、斜送ベルト110の数は4本に限定されない。
サクションチャンバ112は、周回する斜送ベルト110の内側に設けられる(図4参照)。サクションチャンバ112には、幅方向に間隔をあけて並ぶ複数の斜送ベルト110の隙間に対応する部分に、言い換えると平面視で斜送ベルト110を避けた部分に、さらに言い換えると平面視で斜送ベルト110に塞がれずに露出する部分に、複数の開口110aが設けられている。開口112aは、斜送ベルト110の幅方向Xの端部の外側に沿うように所定間隔で配置されている。不図示の吸引ファンをONにすると、サクションチャンバ112内に負圧が形成され、開口112aからエアが吸引される。
入口ガイド104は、レジスト部24の搬送方向Yの上流側端部、すなわちコロナ処理部26に隣接して、幅方向Xに延在する。出口ガイド108は、レジスト部24の搬送方向Yの下流側端部、すなわちニス塗布装置14に隣接して、幅方向Xに延在する。
搬送ガイド106は、斜送機構102が設けられた基準側とは幅方向で反対側(以下「反基準側」という)寄りの部分に設けられた板部材である。入口ガイド104、搬送ガイド106、出口ガイド108は、搬送されるシートの下面を受ける。入口ガイド104、搬送ガイド106、出口ガイド108は、例えばステンレスの平板であり、好ましくはすべり性の良いランナーステンレス板等で構成される。
コロナ処理部26を通過したシート、入口ガイド104に下面をガイドされてレジスト部24に入る。斜送ベルト110は上面が図3の右から左へ向かう方向に周回している。開口112aからのエア吸引により、シートの下面は斜送ベルト110に吸着され、斜送ベルト110により搬送される。シートは斜送ベルト110の周回方向に沿って搬送されながら、その幅方向Xの位置が、基準面32bから離れた位置(シートSa)から、シートの基準側端縁が基準面32bに当接した位置(シートSb)となる。その後は基準側端縁が基準面32bに当接したまま基準面32bに沿って搬送され、出口ガイド108に下面をガイドされてニス塗布装置14に送り込まれる。したがってシートの基準側端縁の幅方向Xの位置は、基準面32bにより規定された定位置にレジストされて、ニス塗布装置14に送られる。
レジスト基準ガイド32は幅方向Xの位置が、装置の基準側寄りに固定されている。したがって、シートは常に基準側端縁の幅方向X位置が、基準面32bが位置する固定位置にレジストされることになる。すなわちシートは基準側端縁を基準としてニス塗布装置14に送られる。これに対し、シートの幅方向Xの中央位置が、常に装置の幅方向Xの所定位置となるように、シートの幅方向Xのサイズに応じて、レジスト基準ガイド32の幅方向Xの位置が調整されるようにしてもよい。そうすれば、シートの幅方向Xの中央位置を基準とした装置に適用することが可能となる。またこの場合、斜送ベルト110もレジスト基準ガイド32とともに移動可能とするのが望ましい。
斜送ベルト110の上面は、レジスト基準ガイド32の支持面32aと略同一高さである。したがって搬送ベルト110に下面が吸着されたシートは、下方に撓むことなく支持面32a上を移動して基準面32bに当接する。また、幅方向Xで基準面32bの近傍において天井面32cが形成されているので、シートの上方への撓みも抑制される。したがって、シートの基準側端縁が基準面32bに当接する際に座屈するなどの不具合を防ぐことができる。
搬送ガイド106の上面は、斜送ベルト110の上面よりも低い。したがって斜送ベルト110に吸着搬送されるシートは搬送ガイド106との摩擦の影響を受けにくく、安定した搬送とレジストが可能となるとともに、搬送ガイド106との摩擦によりシートに傷がつくのを防ぐことができる。搬送ガイド106の上面は、斜送ベルト110の上面よりも、例えば2〜3mm低く形成されている。
コロナ処理部16(表面改質部)はコロナ放電を利用してシート表面に親水基を生成し、濡れ性を高めるので、ニスのハジキを効果的に防ぐことができる。しかし、ニス塗布部14の近くにコロナ処理部16が配置された場合は、ニス塗布部14へのコロナ放電の影響が懸念される。特にニス塗布部14にインクジェットヘッドを採用した場合は、コロナ放電の影響により耐久性が著しく低下する。一方で、レジスト部24は斜送ベルト110で搬送しながら基準面32bに当接させてレジストするため、シートを停止させない分、処理効率が良いが、ある程度の搬送長さが必要である。本実施形態においては、このレジスト部24がコロナ処理部16とニス塗布部14との間に配置されているので、その分、ニス塗布部14をコロナ処理部16から離間させることができ、コロナ放電の影響によるニス塗布部14の耐久性の低下を抑制できる。したがって、レジスト部でのシートの処理効率がよく、且つ耐久性に優れた装置を得ることができる。
つづいて、比較例を用いて、本実施の形態に係る箔押し装置16によって解決しようとする課題について説明する。以下では、ウェブ52の搬送経路であるウェブ搬送経路のうち、シートに箔を転写するための区間を「箔押し区間」と呼ぶ。
図5(a)〜(d)は、比較例に係る箔押し装置による箔押しの様子を示す図である。図5(a)〜(d)には、箔押しシーンが時系列で示される。図5(a)〜(d)において、実線で示されるウェブ52は未使用のウェブ(すなわち箔が保持されているウェブ)を示す。点線で示されるウェブ52は使用済みのウェブ(すなわちシートS1への箔の転写によって箔の少なくとも一部が剥がれたウェブ、または箔押し区間PにおいてシートS1上のニス塗布領域Rと対向しているウェブであってシートS1への箔の転写が始まっているウェブ)を示す。
図5(a)では、シートS1が箔押し装置区間Pを通過中であり、ウェブ52からシートS1上のニス塗布領域Rに箔が転写されている。図5(b)に示すように、シートS1の後端が箔押し区間Pの下流端に到達するタイミングで、すなわちシートS1が箔押し区間Pを通り過ぎるタイミングで、ウェブ52の送り出しが停止される。図5(c)に示すように、次のシートS2が箔押し区間Pに到達すると、ウェブ52の送り出しが再開される。図5(d)では、シートS2が箔押し区間Pを通過中であり、ウェブ52からシートS2上のニス塗布領域Rに箔が転写される。特に、図5(c)において箔押し区間Pよりも上流側に位置していたウェブ52から箔が転写される。図5の例では、ウェブ52の送り出しが停止するタイミングは、シートS1の後端が箔押し区間Pの下流端に到達するタイミングであるが(図5(b))、シート上のニス塗布領域Rの後端が箔押し区間Pの下流端に到達するタイミングであってもよい。同様に、ウェブ52の送り出しが再開されるタイミングも、シート上のニス塗布領域Rが箔押し区間Pに到達したタイミングであってもよい。
ここで、ウェブ52は、シートが箔押し区間Pを通過している間だけ、またはシート上のニス塗布領域Rが箔押し区間Pを通過している間だけ送り出される。これにより、未使用のまま巻取りロール76に巻き取られるウェブ52を少なくできる。しかしながら、そのようにしても、シートS1が箔押し転写区間Pを通り過ぎたとき、すなわち図5(c)のときに箔押し区間Pに存在するウェブ52は、次のシートS2への転写にも使用されないため、未使用のまま巻取りロール76に巻き取られることになる。つまり、箔保持フィルムの無駄な消費となる。
次のシートS2が箔押し区間Pに到達する前に、図5(c)のときに箔押し区間Pに存在するウェブ52を箔押し区間Pよりも上流側に戻せば、次のシートS2への転写に使用されるため、無駄な消費を低減できる。その実現のために、巻出しロールを逆回転させてウェブ52を巻き戻すことも考えられるが、巻出しロールに巻き戻された箔にしわが生じうる。また、本実施の形態に係る箔押し装置16は、後述のように巻出し軸および巻取り軸にフリクションシャフトを使用し、巻出し軸のフリクションシャフトの軸芯部を装置の筐体に固定し、逆転させる駆動モータを備えていないため、そもそも巻出しロールを逆回転させることができない。そこで、本実施の形態に係る箔押し装置16は、巻出しロールにウェブ52を巻き戻すことなく、箔押し区間Pの上流端を過ぎたウェブ52の少なくとも一部すなわち箔押し区間Pに存在するウェブ52の少なくとも一部を、箔押し区間Pよりも上流側に戻す「送り戻し」を実現する。
つづいて、箔押し装置16の構成について詳細に説明する。図6、7は、箔押し装置16を示す図である。図6、7は側面図である。図6は、ニップローラ等が下降位置にあるときを示し、図7は、ニップローラ等が上昇位置にあるときを示す。
箔押し装置16は、複数の搬送ローラ54と、巻出し軸56と、巻取り軸58と、複数のガイドローラ60と、第1ニップローラ62と、第2ニップローラ64と、箔押し用紫外線ランプ66と、シート検知センサ77と、を備える。
複数の搬送ローラ54は、紙押さえコロ72、ニップローラ62,64または紙押さえローラ73との間でシートを挟みつつ、シートを搬送方向下流側(図6、図7では左側)に向けて搬送する。
紙押さえコロ72は、球状であり、一つの搬送ローラ54に対して幅方向Xに離間した一対の紙押さえコロ72が配置される。一対の紙押さえコロ72のうちの少なくとも一方は、搬送するシートの幅に応じて幅方向Xに移動可能な構成となっている。この構成により、搬送するシートの幅方向Xの両端部のみを紙押さえコロ72と搬送ローラ54とで挟んで搬送する。一対の紙押さえコロ72の一方のみが幅方向Xに移動可能な場合は、幅方向Xに移動しない他方の紙押さえコロ72の代わりにローラ状の紙押さえ部材を用いてもよい。箔押し区間Pよりも搬送方向Yの上流側(図6では右側)では、シート上の半硬化状態のニスは露出する。露出したニスに搬送部材が接触すると、ニスの塗布状態が乱れたり、搬送部材が汚れたりする不具合が生じうる。これに対して、紙押さえコロ72がシートの幅方向Xの両端部のみを押さえることで、この不具合の発生を抑止できる。
紙押さえローラ73は、幅方向Xに延びる一本の回転軸73bに対して複数のローラ部73aが間欠的に配置された部材である。複数のローラ部73aは、幅方向(軸方向)Xに移動しない構成となっている。箔押し区間Pよりも搬送方向Yの下流側では、シート上のニスは本硬化されているため、紙押さえローラ73のローラ部73aが接触しても上述のような不具合が生じることなく、シートを搬送できる。
巻出し軸56は、未使用のウェブのロール(以下、巻出しロール74と呼ぶ)を支持する。巻出し軸56および巻取り軸58は、フリクションシャフトにより構成される。このフリクションシャフトは、巻出しロール74や巻取りロール76の芯となる紙管を保持する外周環と、外周環を回転可能に保持する軸芯部とを備え、軸芯部に対して外周環を回転させるときの抵抗となる保持トルクが調節可能な構成である。軸芯部に対して外周環を回転させようとする外力が作用したときに、この外力による回転トルクが保持トルクよりも大きい場合は外周環が軸芯部に対して回転し、回転トルクが保持トルクよりも小さい場合には、外周環は軸芯部に対して停止した状態を維持する。巻き出し軸56の軸芯部は装置の筐体に固定されており、巻取り軸58の軸芯部は不図示の駆動源によって回転駆動する。巻出し軸56は、箔押し区間Pでウェブ52がシートまたは搬送ローラ54に連れ回る力が作用して、巻出しロール74からウェブ52を引き出す力が作用すると、固定された軸芯部に対して外周環が回転するように、保持トルクを設定している。
複数のガイドローラ60、第1ニップローラ62および第2ニップローラ64は、巻出しロール74から巻取りロール76への略U字状のウェブ搬送経路を規定する。第2ニップローラ64は、ウェブ搬送経路の下流側において第1ニップローラ62に隣接する。第1ニップローラ62と第2ニップローラ64は、ウェブ搬送経路の水平に延びる区間を規定する。当該区間は、本実施の形態では、箔押し区間Pに相当する。
箔押し区間Pよりも上流側のウェブ搬送経路を規定する複数のガイドローラ60のうちの1つのガイドローラ(以下、ガイドローラ60aとも呼ぶ)と、下流側のウェブ搬送経路を規定する複数のガイドローラ60のうちの1つのガイドローラ(以下、ガイドローラ60bとも呼ぶ)は、搬送方向Yに移動可能に構成される。ガイドローラ60aは、箔押し区間Pよりも上流側のウェブ搬送経路の区間であって、ウェブ52が概ね鉛直下方に向かって進むウェブ搬送経路の区間において他のガイドローラ60よりも搬送方向Yの上流側に設けられる。ガイドローラ60bは、箔押し区間Pよりも下流側のウェブ搬送経路の区間であって、ウェブ52が概ね鉛直上方に向かって進むウェブ搬送経路の区間において他のガイドローラ60よりも搬送方向Yの下流側に設けられる。
ガイドローラ60aおよびガイドローラ60bは、いずれもブラケット80に接続される。したがって、ガイドローラ60aとガイドローラ60bは連動する。不図示の駆動装置によってブラケット80を搬送方向Yの上流側(図6および図7における右側)に移動させると、ガイドローラ60a,60bも搬送方向Yの上流側に移動し、ブラケット80を搬送方向Yの下流側(図6および図7における右側)に移動させると、ガイドローラ60a,60bも搬送方向Yの下流側に移動する。
ガイドローラ60a,60bを搬送方向Yの上流側に移動させると、ウェブ搬送経路における箔押し区間Pよりも上流側の搬送経路が長くなるとともに下流側の搬送経路が短くなる。また、ガイドローラ60a,60bを搬送方向Yの下流側に移動させると、ウェブ搬送経路における箔押し区間Pよりも上流側の搬送経路が短くなるとともに下流側の搬送経路が長くなる。好ましくは、ガイドローラ60a,60bを搬送方向Yに移動させると、ウェブ搬送経路における箔押し区間Pよりも上流側の搬送経路と下流側の搬送経路とが相補的に増減する。ガイドローラ60a,60bを搬送方向Yの上流側に移動させる際、巻出し軸56のフリクションシャフトの保持トルクを大きくする制御を行い、軸芯部に対して外周環が回転しないようにして巻出しロール74からの巻き出しを停止させる。これにより、箔押し区間Pの上流端を過ぎたウェブ52の少なくとも一部すなわち箔押し区間Pに存在するウェブ52の少なくとも一部が、箔押し区間Pよりも上流側に戻される。つまり、巻出しロール74から巻き出したウェブ52を巻出しロール74に巻き戻すことなく、箔押し区間Pに到達したウェブ52の送り戻しが実現される。なお、送り戻しでウェブ52を移動させるときの抵抗が巻出し軸56の保持トルクよりも小さい場合は、保持トルクを大きくする制御を行うことなく、巻出しロール74からの巻き出しを停止した状態での送り戻しが可能である。
第1ニップローラ62と第2ニップローラ64との間で、ウェブ52とシートとが接触する。このとき、シート上の半硬化状態のニスに、ウェブ52から箔が転写される。なお、転写中は、シート上のニスとウェブ52とが一時的に接着するため、ウェブ52はシートと同じ速度で送られる。なお、第2ニップローラ64を回転駆動させ、シートと同じ速度でウェブ52を送るようにしてもよい。ここで、ニップローラ62,64を回転駆動させる駆動源を設け、対向する搬送ローラ54との間で表面移動速度の速度差が生じると、箔を保持するウェブ52であってニップローラ62,64に接触するウェブ52と、箔が転写されるシートであって搬送ローラ54に接触するシートとの間に速度差が生じ、箔にしわが生じる原因となる。これに対し本実施の形態では、ニップローラ62,64を回転駆動させる駆動源を設けず、ニップローラ62,64がウェブ52の移動に対して従動回転する構成とすることで、箔にしわが生じることを抑制している。
巻取り軸58は、巻出しロール74から巻き出されたウェブ52をロール状に巻き取る。以下、巻取り軸58が巻き取ったロール状のウェブ52を、巻取りロール76と呼ぶ。巻取り軸58は、フリクションシャフトにより構成される。巻取り軸58の保持トルクは巻出し軸56の保持トルクよりも小さく設定されており、巻取り軸58の軸芯部は、不図示の駆動源に駆動されて回転する。また、フリクションシャフトは、軸方向に複数の外周環を備え、その軸方向(すなわち幅方向X)の位置により、回転速度が異なることを許容する構造を有する。具体的には、複数の外周環の一部のみが回転し、他の外周環が停止してもよく、さらに、回転する外周環同士の回転速度が異なっていてもよい。
ガイドローラ60のうちの少なくとも一つに、その回転数を検出するためのエンコーダ(不図示)が取り付けられる。エンコーダが取り付けられたガイドローラ60は、表面に摩擦係数の高い材質を用いる等、ウェブ52との滑りを少なくすることが望ましい。箔押し区間Pでは、ウェブ52は、その外周面の箔がシートまたは搬送ローラ54の表面に接触し、これらの表面との連れ回りによって、シートの搬送方向Yの下流側に移動する。制御装置20は、エンコーダによる検出結果に基づいてウェブ52の移動速度を算出し、巻出しロール74からのウェブ52の送り出し速度が算出されたウェブ52の移動速度よりも遅くなるように巻出し軸56の回転数を制御する。このとき、巻出し軸56の回転による送り出しよりもウェブ52の移動速度の方が速くなるが、フリクションシャフトからなる巻出し軸56の周面が駆動入力軸に対して回転し、周面が駆動入力軸よりも速く回転することで、ウェブ52を張った状態を保ちつつ、箔押し区間Pでのシートの移動速度と同速となるように、ウェブ52を送り出すことができる。
また、制御装置20は、ウェブ52の移動速度よりも巻取りロール76によるウェブ52の巻取り速度が速くなるように巻取り軸58の軸芯部の駆動回転の回転数を制御する。このとき、巻出し軸56の回転による巻取りよりもウェブ52の移動速度の方が遅くなるが、フリクションシャフトからなる巻取り軸58の周面を形成する外周環が駆動入力軸である軸芯部に対して回転し、周面に対して駆動入力軸が空回りする状態となる。これにより、ウェブ52を張った状態を保ちつつ、箔押し区間Pでのシートの移動速度と同速となるように、ウェブ52を巻き取ることができる。
箔押し用紫外線ランプ66は、第1ニップローラ62と第2ニップローラ64との間のウェブ搬送経路の上方に設けられる。
第1ニップローラ62、第2ニップローラ64、箔押し用紫外線ランプ66および一部のガイドローラ60はそれぞれ、図6の下降位置と、図7の上昇位置との間を上下動可能に構成される。上昇位置は、ウェブ52が搬送中のシートと接触し得ない位置である。下降位置は、ウェブ52が搬送中のシートであってウェブ52に隣接並行するシートと接触し得る位置である。制御装置20は、例えば、シートに箔押ししない場合(すなわちシートにニスを塗布するだけの場合)はニップローラ等を上昇位置に位置させ、シートに箔押しする場合はニップローラ等を下降位置に位置させる。
箔押し区間Pよりも上流側のウェブ搬送経路を規定する複数のガイドローラ60のうち、第1ニップローラ62のすぐ上流側に位置するガイドローラ(以下、ガイドローラ60cとも呼ぶ)は、第1ニップローラ62に近接配置され、図6に示す下降位置と図7に示す上昇位置との間を第1ニップローラ62とともに上下動する。また、箔押し区間Pよりも下流側のウェブ搬送経路を規定する複数のガイドローラ60のうち、第2ニップローラ64のすぐ下流側に位置するガイドローラ(以下、ガイドローラ60dとも呼ぶ)は、第2ニップローラ64に近接配置され、図6に示す下降位置と図7に示す上昇位置との間を第2ニップローラ64とともに上下動する。ガイドローラ60cやガイドローラ60dのように、ニップローラ62,64に近接配置され、ニップローラ62,64とともに上下動するガイドローラ60を備えることで、このようなガイドローラ60を備えない構成と比べて、ウェブ52にしわが生じることを抑止できる。
シート検知センサ77は、箔押し区間Pでの転写タイミングを検出するセンサである。シート検知センサ77は、検知位置でのシートの有無を検知するものであり、検知結果に基づいて、シートの先端の通過タイミングや後端の通過タイミングを検出できる。ニップローラ等が上昇位置にあるときに、箔押しを行うシートの先端がシート検知センサ77の検知位置を通過したことを検出した後の所定のタイミングで、ニップローラ等を下降位置に向けて移動させる。また、箔押しを行うシートの後端がシート検知センサ77の検知位置に通過したことを検出した後、必要に応じて、所定のタイミングでニップローラ等を下降位置から上昇位置に向けて移動させる。
図8は、箔押し区間Pの周辺を拡大して示す図である。図6、7では表示を省略したが、箔押し装置16はシートを支持してシートの搬送をガイドするシート搬送ガイドを備える。箔押し区間Pに対応する(すなわち箔押し区間Pの下方に設けられた)シート搬送ガイド82は、その少なくとも一部が、箔押し区間Pの上流端における第1ニップ点N1と下流端における第2ニップ点N2とを通るニップラインLよりも上方に突出している。第1ニップ点N1は、下降位置にある第1ニップローラ62とそれに上下で対向する搬送ローラ54との間の点であり、下降位置にあるときの第1ニップローラ62の回転軸とそれに上下で対向する搬送ローラ54の回転軸とを結ぶ線分上に存在する。第2ニップ点N2は、下降位置にある第2ニップローラ64とそれに上下で対向する搬送ローラ54との間の点であり、下降位置にあるときの第2ニップローラ64の回転軸とそれに上下で対向する搬送ローラ54の回転軸とを結ぶ線分上に存在する。
上述したように、半硬化状態のニスはタック性を有するため、第1ニップローラ62と搬送ローラ54とに挟まれて、ウェブ52が保持する箔がニスに接着する。しかしながら、例えばシートのコシによって、箔押し区間Pを搬送中にシートがウェブ52から離間すると、接着できていなかった箔がニスから剥がれた状態でニスが硬化し、転写が失敗するおそれがある。これに対し、シート搬送ガイド82の少なくとも一部がニップラインLよりも上方に突出していることにより、箔押し区間Pにおいてシートがウェブ52に押し付けられ、シートとウェブ52の密着度が増し、箔がニスから剥がれるのが抑止される。
シート搬送ガイド82の素材は特に限定しないが、箔押し用紫外線ランプ66からの紫外線が照射されるため、金属などの放熱性および耐熱性が高い素材が好ましい。箔押し用紫外線ランプ66に用いることができる紫外線を照射する光源の中には、照射する紫外線の波長の種類によっては、照射時にオゾンが発生するものがある。箔押し用紫外線ランプ66として照射時にオゾンが発生する光源を用いる場合には、シート搬送ガイド82の素材には対オゾン性を備えるものが好ましい。
シート搬送ガイド82は、シートを支持するガイドであれば特に限定されず、プレートであっても、ブロックであっても、ローラであってもよい。図示の例では、シート搬送ガイド82は、上に凸に湾曲したプレートである。シート搬送ガイド82は、好ましくは、箔押し用紫外線ランプ66の照射範囲において、少なくとも一部がニップラインLよりも上方に突出する。
図9は、図8に示すシート搬送ガイド82の周辺をさらに拡大して示す図である(箔押し用紫外線ランプ66は図9においては省略)。シート搬送ガイド82が無い状態でウェブ52を張った場合、箔押し区間P(転写区間)の上流端における第1ニップ点N1と下流端におけるとの間のウェブ52の経路すなわち張架ラインは、ニップラインLと一致する。すなわちシート搬送ガイド82は、その少なくとも一部が、この張架ラインよりも上方に突出している。したがって、ウェブ52はシート搬送ガイド82に押し上げられるので、実際には図9の太線で示した経路となる。
シート搬送ガイド82は上向きに凸の曲面で形成された上面82xを有する。ウェブ52は、この上面82xに接触している範囲C1では、上面82xと同様に上向きに凸の曲面となる。シートはこの範囲C1において、ウェブ52と上面82xとの間を通過する。すると、シートの先端は、この範囲C1において常に、上面82xを形成する曲面のシートの搬送方向Yにおける接線方向を向くことになる。この接線方向は上面82xを形成する曲面の外側に向かう方向となり、すなわちウェブ52の経路に交差する方向となる。例えばシートの先端が、範囲C1のうちの所定の位置D1に達した時、シートの先端は接線方向D2を向いている。したがってこの範囲C1全体にわたり、シートの先端側が、箔押し区間Pにおける転写ウェブの経路に交差する方向を向くようにする先端側指向部が形成されている。
また、シートの後端は、この範囲C1において常に、上面82xを形成する曲面のシートの搬送方向Yにおける接線方向を向くことになる。この接線方向は上面82xを形成する曲面の外側に向かう方向となり、すなわちウェブ52の経路に交差する方向となる。例えばシートの後端が、範囲C1のうちの所定の位置D3に達した時、シートの後端は接線方向D4を向いている。したがってこの範囲C1全体にわたり、シートの後端側が、箔押し区間Pにおける転写ウェブの経路に交差する方向を向くようにする後端側指向部が形成されている。
第1ニップローラ62、第2ニップローラ64が上昇位置にあるときは、図13(a)に示すように、ウェブ52がシート搬送ガイド82から離間している。下降位置に移動すると図9に示すように、ウェブ52がシート搬送ガイド82に当接する。先端側指向部、後端側指向部はこの下降位置にあるときに形成される。
この下降位置への移動が、シートの先端寄りの一部が箔押し区間Pに入った後に行われることがある。例えば、シートの後端寄りのみに形成されたニス塗布領域Rが箔押し区間Pに入るタイミングに合わせて下降位置に移動させた場合等である。このような場合は、シートの一部がすでに箔押し区間Pに入っている状態で、第1ニップローラ62、第2ニップローラ64が下降位置へ移動し、先端側指向部が形成される。その時点で位置D1においては通過中のシートの先端側が接線方向D2を向く。したがって、先端側指向部においては通過中のシートの先端側がウェブ52の経路と交差する方向に向く。
また、上昇位置への移動が、シートの後端寄りの一部が箔押し区間Pから出る前に行われることがある。例えば、シートの前端寄りのみに形成されたニス塗布領域Rが箔押し区間Pから出るタイミングに合わせて上昇位置に移動させた場合等である。このような場合は、シートの一部がまだ箔押し区間Pに残っている状態で、第1ニップローラ62、第2ニップローラ64が上昇位置へ移動し、後端側指向部が解消される。その解消直前まで位置D3においては通過中のシートの後端側が接線方向D4を向く。したがって、後端側指向部においては通過中のシートの後端側をウェブ52の経路と交差する方向に向く。
図10は、箔押し区間Pの周辺を拡大して示す図であり、シート搬送ガイド82の別の例を示す。この例では、シート搬送ガイド82は、ブロックであり、箔押し用紫外線ランプ66の照射範囲においてニップラインLよりも上方に突出した平坦な上面(水平面)82aを有する。
図11は、図10に示すシート搬送ガイド82の周辺をさらに拡大して示す図である(箔押し用紫外線ランプ66は図11においては省略)。シート搬送ガイド82が無い状態でウェブ52を張った場合、箔押し区間P(転写区間)の上流端における第1ニップ点N1と下流端における第2ニップ点N2との間のウェブ52の経路すなわち張架ラインは、ニップラインLと一致する。したがってシート搬送ガイド82の上面(水平面)82aは、張架ラインよりも上方に突出する。
シート搬送ガイド82はさらに、上面82aの搬送方向Yの上流側端部に連続して、搬送方向Yに向かって上り勾配を形成する上り斜面82bを有する。また、シート搬送ガイド82は、上面82aの搬送方向Yの下流側端部に連続して、搬送方向Yに向かって下り勾配を形成する下り斜面82cを有する。
ウェブ52はシート搬送ガイド82に押し上げられて、図11の太線で示した経路となる。すなわちウェブ52は、第1ニップ点N1から第2ニップ点N2に向かって、まず上り勾配52aを形成して上面82aの搬送方向Yの上流端に達する。続いて、上面82aの搬送方向Yの下流端まで、上面82aに接触したまま水平経路を形成する。続いて、下り勾配52bを形成して第2ニップ点N2に達する。
比較的腰の弱いシートであって、シートの先端付近のシート上に半硬化状態のニスが付与されている場合、ニスのタック性により、シートはウェブ52に接着されるので、シートの先端はウェブ52の上り勾配52aに沿って進む。その際にシートが所定の位置D5に達した時、シートの先端は上り勾配52aと同じ方向D6を向いている。ウェブ52はその搬送方向Yの下流側で水平になっているため、方向D6はウェブ52の経路と交差する。したがって、この上り勾配52aにおいて、搬送されるシートの搬送方向先端側が、ウェブ52の経路に交差する方向を向くようにする先端側指向部が形成されている。
比較的腰の強いシートであるか、あるいは比較的腰の弱いシートであってもシートの先端付近のシート上に半硬化状態のニスが付与されていない場合、シート先端はニップラインLに沿って進み、上り斜面82bに当接する。その後、シート先端は上り斜面82bに沿って斜面を上る。その際にシートが所定の位置D7に達した時、シートの先端は、第1ニップ点N1と位置D7とを結ぶラインを延長した方向D8を向いている。方向D8を延長するとウェブ52の経路と交差する。したがって、この上り斜面82bにおいて、搬送されるシートの搬送方向先端側が、ウェブ52の経路に交差する方向を向くようにする先端側指向部が形成されている。
比較的腰の弱いシートであって、シートの後端付近のシート上に半硬化状態のニスが付与されている場合、ニスのタック性により、シートはウェブ52に接着されるので、シートの後端はウェブ52の下り勾配52bに沿って進む。その際にシートが所定の位置D9に達した時、シートの後端は下り勾配52bと同じ方向D10を向いている。ウェブ52はその搬送方向Yの上流側で水平になっているため、方向D10はウェブ52の経路と交差する。したがって、この下り勾配52bにおいて、搬送されるシートの搬送方向後端側が、ウェブ52の経路に交差する方向を向くようにする後端側指向部が形成されている。
比較的腰の強いシートであるか、あるいは比較的腰の弱いシートであってもシートの後端付近のシート上に半硬化状態のニスが付与されていない場合、シート後端は上面82aの搬送方向Yの下流端を通過すると、ウェブ52から離間して下り斜面82cに沿って斜面を下る。その際にシートが所定の位置D11に達した時、シートの後端は、位置D11と第2ニップ点N2とを結ぶラインを延長した方向D12を向いている。方向D12を延長するとウェブ52の経路と交差する。したがって、この下り斜面82cにおいて、搬送されるシートの搬送方向後端側が、ウェブ52の経路に交差する方向を向くようにする後端側指向部が形成されている。
第1ニップローラ62、第2ニップローラ64が上昇位置にあるときは、図13(b)に示すように、ウェブ52がシート搬送ガイド82から離間している。下降位置に移動すると図11に示すように、ウェブ52がシート搬送ガイド82に当接する。先端側指向部、後端側指向部はこの下降位置にあるときに形成される。
この下降位置への移動が、シートの先端寄りの一部が箔押し区間Pに入った後に行われても、下降時点でシートの先端が上面82a上に到達していれば、位置D5においては通過中のシートの先端側が方向D6を向く。したがって、先端側指向部においては通過中のシートの先端側がウェブ52の経路と交差する方向に向く。下降時点でシートの先端が上面82a上に到達していなければ、シートの先端は斜面82bに当接して斜面82bを上り、位置D7に達した時に方向D8を向く。したがって、先端側指向部においてはシートの先端側がウェブ52の経路と交差する方向に向く。
また、上昇位置への移動が、シートの後端寄りの一部が箔押し区間Pから出る前に行われても、その時点でシートの後端が上面82a上に残っていれば、その直前まで位置D9においては通過中のシートの後端側が方向D10を向く。したがって、後端側指向部においては通過中のシートの後端側をウェブ52の経路と交差する方向に向く。上昇時点でシートの先端が上面82a上に到達していなければ、シートの後端は斜面82cに当接して斜面82cを下り、位置D11に達した時に方向D12を向く。したがって、後端側指向部においてはシートの後端側がウェブ52の経路と交差する方向に向く。
図9、図11の例において、シート搬送ガイド82に代えて、ローラ部材で構成してもよい。すなわち、その少なくとも一部が、箔押し区間Pの上流端における第1ニップ点N1と下流端における第2ニップ点N2とを通るニップラインLよりも上方に突出するように、ローラ部材を配置する。その結果、その外周面でウェブ52を押し上げる。
例えば、ローラ部材は、搬送方向Yに間隔をおいて、互いに同じ高さに同径のローラを配置してもよい。この場合は、搬送方向Yにおける上流側に配置されたローラ部材の外周面が、ウェブ52を押し上げている部分に先端側指向部が形成され、搬送方向Yにおける下流側に配置されたローラ部材の外周面が、ウェブ52を押し上げている部分に後端側指向部が形成される。
また、ローラ部材は、比較的大径のローラを1個、第1ニップ点N1と第2ニップ点N2の中間に配置してもよい。この場合は図9の例と同様に、ローラ部材の外周面の曲面のうち、ウェブ52に接触して押し上げている部分全体にわたって、先端側指向部及び後端側指向部が形成される。
図12は、さらに別の例の箔押し区間Pの周辺を拡大して示す図である(箔押し用紫外線ランプ66は図12においては省略)。この例では、シート支持ガイド83が設けられている。シート支持ガイド83は、平坦な上面83aを有する。この上面83aは水平面であり、ニップローラ62、64と各々対向した搬送ローラ54の外周面の最上位同士を結んだ搬送下面ラインL2と一致する。なお図12の例では、ニップローラ62の下方に対向した搬送ローラ54を搬送ローラ54a、ニップローラ64の下方に対向した搬送ローラ54を搬送ローラ54bとも呼ぶこととする。
シート支持ガイド83はさらに、上面83aの搬送方向Yの上流側端部に連続して、搬送方向Yに向かって上り勾配を形成する上り斜面83bを有する。また、シート搬送ガイド83は、上面83aの搬送方向Yの下流側端部に連続して、下方かつ搬送方向Yとは逆方向に折り曲げた曲げ返し部83cを有する。
ウェブ52は図12の太線で示した経路となる。すなわちウェブ52は、ニップローラ62、64の間で水平に張架されている。ニップローラ62、64は、ウェブ52がシート支持ガイド83の上面83aに対して隙間D13を空けて張架されるように、その高さ位置が設定されている。この隙間D13は、被転写物であるシートの厚さよりもわずかに小さい値となっている。適用されるシートの厚さに応じて、ニップローラ62、64の高さが調整可能であってもよい。
搬送ローラ54aの軸心は、ニップローラ62の軸心に対して、距離D14だけ搬送方向Yの下流側にオフセットしている。搬送ローラ54aの軸心とニップローラ62の軸心との高さの差D15は、搬送ローラ54aの半径と、ニップローラ62の半径との合計に、距離D13を加えた値である。
シートの先端が搬送ローラ54aとニップローラ62とで加圧挟持されたとき、搬送ローラ54aとニップローラ62との搬送方向Yにおけるオフセットにより、シートの先端は、搬送ローラ54aとニップローラ62との軸心を結ぶラインD16に対して略直交する方向D17を向く。方向D17はウェブ52の経路と交差する。したがって、この搬送ローラ54aとニップローラ62とで挟まれた領域において、搬送されるシートの搬送方向先端側が、ウェブ52の経路に交差する方向を向くようにする先端側指向部が形成されている。
搬送ローラ54bの軸心は、ニップローラ64の軸心に対して、距離D18だけ搬送方向Yの上流側にオフセットしている。図12の例では、距離D18は距離D14と同一とされているが、同一に限定されない。搬送ローラ54bの軸心とニップローラ64の軸心との高さの差D19は、搬送ローラ54bの半径と、ニップローラ64の半径との合計に、距離D13を加えた値である。
シートの後端が搬送ローラ54bとニップローラ64との加圧挟持から抜ける直前、搬送ローラ54bとニップローラ64との搬送方向Yにおけるオフセットにより、シートの後端は、搬送ローラ54bとニップローラ64との軸心を結ぶラインD20に対して略直交する方向D21を向く。方向D21はウェブ52の経路と交差する。したがって、この搬送ローラ54bとニップローラ64とで挟まれた領域において、搬送されるシートの搬送方向後端側が、ウェブ52の経路に交差する方向を向くようにする後端側指向部が形成されている。
距離D13はシートの厚さよりも小さく、かつ、シートが搬送ローラ54a、54bとニップローラ62、64との間に入ると、搬送ローラ54a、54bとニップローラ62、64との外側に沿ったウェブ52との間に加圧挟持されながらも、その間を搬送方向Yに向かって前進することが可能な程度に設定されている。また、ニップローラ62とニップローラ64との間の部分では、シート支持ガイド83によりシートを下方から支持するので、シートが下方に逃げるのが防止される。したがって箔押し区間P全体において、シートとウェブ52との接触を促すことができる。
第1ニップローラ62、第2ニップローラ64が上昇位置にあるときは、図13(c)に示すように、ウェブ52がシート支持ガイド83から大きく離間している。下降位置に移動すると図12に示すように、ウェブ52とシート支持ガイド83の上面83aとが距離D13だけ隔てた位置となる。先端側指向部、後端側指向部はこの下降位置にあるときに形成される。
この下降位置への移動が、シートの先端寄りの一部が箔押し区間Pに入った後に行われても、位置D16においては通過中のシートの先端側が方向D17を向く。したがって、先端側指向部においては通過中のシートの先端側がウェブ52の経路と交差する方向に向く。
また、上昇位置への移動が、シートの後端側の一部が箔押し区間Pから出る前に行われても、その直前まで位置D20においては通過中のシートの後端側が方向D21を向く。したがって、後端側指向部においては通過中のシートの後端側をウェブ52の経路と交差する方向に向く。
図12の例の変形例として、搬送ローラ54aを図12の例よりも若干上方に配置してもよい。すなわち、搬送ローラ54aの軸心とニップローラ62の軸心との高さの差D15が、搬送ローラ54aの半径と、ニップローラ62の半径との合計に、距離D13を加えた値よりも若干小さくなるようにしてもよい。このように配置することにより、搬送ローラ54aとニップローラ62との間に入ったシートの先端は、方向D17よりもさらに上方を向く。したがって、先端側指向部の指向性を高めることができる。
同様に、搬送ローラ54bを図12の例よりも若干上方に配置してもよい。すなわち、搬送ローラ54bの軸心とニップローラ64の軸心との高さの差D19が、搬送ローラ54bの半径と、ニップローラ64の半径との合計に、距離D13を加えた値よりも若干小さくなるようにしてもよい。このように配置することにより、搬送ローラ54bとニップローラ64との間に入ったシートの後端は、方向D21よりもさらに上方を向く。したがって、後端側指向部の指向性を高めることができる。
ウェブ52の張架ラインと、箔が転写されるべきシートの上面とが完全に平行である場合、シート上面にウェブ52が接触するように設計されていても、部品誤差等によりわずかに離間してしまったり、接触していても接触圧が十分でなく、転写不良が起きたりするという問題がある。しかし、図9、図11、図12の各々の例においては、先端側指向部においてシートの先端側が箔の経路を交差する方向を向くので、シートの先端側においてシートと箔との圧接が促される。また後端側指向部においてシートの後端側が箔の経路と交差する方向を向くので、シートの後端側においてシートと箔との圧接が促される。したがって、シートと箔とを確実に圧接させ、確実に箔をシートに転写させることができる。
なお先端側指向部と後端側指向部とは、両方有していてもよいし、いずれか一方のみを有していてもよい。また、薄いシートの場合には、隙間D13をゼロ、すなわち、ウェブ52がシート支持ガイド83の上面83aに接触した状態でシートを待機してもよい。また、隙間D13がシートの厚みよりも小さければ、上面83aが搬送下面ラインL2より低くてもよい。
以上が箔押し装置16の詳細構成である。つづいて、箔押し装置16の動作を説明する。
図14(a)〜(f)は、箔押し装置16による送り戻しを説明する図である。図14(a)〜(f)には、送り戻しシーンが時系列で示される。図14(a)〜(d)において、実線でされるウェブ52は未使用のウェブを示し、点線で示されるウェブ52は使用済みのウェブを示す。
図14(a)では、シートS1が箔押し区間Pを通過中であり、ウェブ52からシートS1上のニス塗布領域Rに箔が転写されている。図14(b)に示すように、シートS1上のニス塗布領域Rの後端(搬送方向Yにおける上流端)が箔押し区間Pの下流端に到達するタイミングでウェブ52の送り出しが停止される。制御装置20は、ニス吐出データに基づいて、シートS1上のニス塗布領域Rの後端が箔押し区間Pの下流端に到達するタイミングを特定すればよい。
図14(c)に示すように、ニップローラ等を上昇位置に移動させ、ウェブ52をシートS1や不図示の搬送ローラ54から離間させる。図14(d)では、ガイドローラ60a,60bを搬送方向Yの上流側に移動させる。図14(e)に示すように、次のシートS2のニス塗布領域Rの前端が箔押し区間Pの上流端に到達するタイミングで下降位置に位置するようにニップローラ等を移動させる。図14(c)〜図14(e)の動作により、箔押し区間Pに存在するウェブ52の少なくとも一部が箔押し区間Pよりも上流側に戻される。つまり、送り戻しが実現される。好ましくは、箔押し区間Pに存在する未使用のウェブ52のすべてが箔押し区間Pよりも上流側に戻されるように、具体的には箔押し区間Pの下流端に位置していたウェブ52が箔押し区間Pの上流端に位置するように、送り戻しが実現される。
図14(f)では、シートS2が箔押し区間Pを通過中であり、ウェブ52からシートS1上のニス塗布領域Rに箔が転写されている。この際、まずガイドローラ60a,60bを搬送方向Yの下流側に移動させることによって、箔押し区間Pよりも上流に存在するウェブ52であって、図14(b)および図14(c)において箔押し区間Pに存在していたウェブ52を箔押し区間Pに送る。ガイドローラ60a,60bを所定位置(例えば搬送方向Yの下流側の可動範囲の限界)まで移動させたら、巻出しロール74(図14では不図示)からウェブ52を巻き出すことによって箔押し区間Pにウェブを送る。
なお、図14(c)においてニップローラ等を上昇させるとウェブ搬送経路が短くなるため、それによってウェブ52が弛まないように巻取りロール76でウェブ52を巻取りながらニップローラ等を上昇させてもよい。この場合、図14(e)においてニップローラ等を下降させるすなわち搬送経路が長くなるときに、巻出しロール74からウェブ52を巻き出せばよい。なお、この巻き出しによって、未使用のウェブ52が箔押し区間Pにわずかに送り出されてしまうため、その分も考慮して、図14(d)においてガイドローラ60a,60bを移動させてもよい。
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
(変形例1)
図15(a)、(b)は、箔押しの様子を示す図である。この例では、シート上には複数のニス塗布領域R−i(i=1,…N)が存在する。この場合、図15(a)、(b)に示すように、ニス塗布領域R−k(k=1,…N−1)とニス塗布領域R−k+1との間の領域Rb−kに接触していたウェブ52は未使用になる。
図15(a)では、領域Rb−1の搬送方向Yにおける長さは、箔押し区間Pの長さ以下である。この場合、ニス塗布領域R−1の後端が箔押し区間Pの下流端に到達したとき、ニス塗布領域R−2はすでに箔押し区間Pに到達している。この場合、送り戻しできないため、領域Rb−kと接触していたウェブ52は未使用のまま巻取りロール76に巻き取られる。
図15(b)では、領域Rb−1の搬送方向Yにおける長さは、箔押し区間Pの長さを超えている。この場合、ニス塗布領域R−1の後端が箔押し区間Pの下流端に到達したとき、ニス塗布領域R−2は未だ箔押し区間Pに到達していない。この場合、領域Rb−kと接触していたウェブ52を送り戻しにより使用することができる。
具体的には制御装置20は、ジョブの開始の所定のタイミングで、ニス吐出データに基づいて、2つのニス塗布領域R−1,R−2が存在することを特定する。次に、2つのニス塗布領域R−1,R−2の間の領域Rb−1の長さが箔押し区間Pの長さを超えているか否かを確認する。領域Rb−1の長さが箔押し区間の長さ以下である場合、領域Rb−1に関して送り戻ししない。領域Rb−1の長さが箔押し区間の長さを超えている場合、ニス塗布領域R−1の後端が箔押し区間Pの下流端に到達したタイミングでウェブ52の送り出しを停止し、領域Rb−1に対応するウェブ52を送り戻す。
本変形例によれば、箔の無駄な消費をより低減できる。
(変形例2)
実施の形態では、ガイドローラ60aとガイドローラ60bとがブラケット80を介して接続され、単一の駆動装置で駆動される場合について説明したが、これには限定されていない。ガイドローラ60aとガイドローラ60bとが互いに接続されず、別々の駆動装置で駆動されてもよい。この場合、箔押し区間Pよりも上流側の搬送経路が長くなるようガイドローラ60aを移動させるとともに、下流側の搬送経路が短くなるようガイドローラ60bを移動させるように、ガイドローラ60aとガイドローラ60bとを連動させればよい。
(変形例3)
実施の形態では、箔押し区間Pよりも上流側のガイドローラ60aと下流側のガイドローラ60bとを移動させることによって送り戻しを実現したが、上流側のガイドローラ60aのみを移動させることによって、すなわち上流側の搬送経路のみを増減させることによって送り戻しを実現してもよい。より具体的には、上流側の搬送経路が長くなるようにガイドローラ60aを移動させつつ、巻取りロール76から使用済みのウェブ52を巻き出すことによって送り戻しを実現すればよい。この場合は、巻取り軸58のフリクションシャフトの外周環は巻取り時とは逆方向に回転する。
(変形例4)
ガイドローラ60a、60bの代わりに、回転しない単なるガイドを設けてもよい。この場合、ガイド面は、好ましくは低摩擦に形成される。
(変形例5)
実施の形態の技術思想は、箔をシートに転写する場合に限定されない。つまり、箔押し装置16が箔を転写する被転写物はシート以外であってもよい。
(変形例6)
ウェブ52によって保持され、箔押し区間P等の転写区間で転写される転写用物質は、「箔」と呼ばれる金属を薄く伸ばしたものに限らず、金属以外の薄層でもよい。また、インクリボンのように基体であるウェブにインク等の転写用物質を塗布したものでもよい。また、転写用物質を担持する長尺な基材シートは、フィルムに限らず、帯状の織布等、転写用物質を保持し、転写区間で被転写物に転写できるものであればよい。
上述した実施の形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。例えば請求項に記載の搬送システムは、巻出し軸56、巻取り軸58、複数のガイドローラ60、ニップローラ62,64およびシート検知センサ77の組み合わせにより実現される。また、請求項に記載の転写手段は、ニップローラ62,64、ニップローラ62,64と対向する搬送ローラ54、および箔押し用紫外線ランプ66の組み合わせにより実現される。また、請求項に記載のウェブ搬送経路変更機構は、ガイドローラ60a,60b、ブラケット80およびブラケット80を移動させる不図示の駆動装置の組み合わせにより実現される。
10 印刷システム
16 箔押し装置
52 ウェブ
74 巻出しロール
82 シート搬送ガイド
83 シート支持ガイド

Claims (7)

  1. 基体シートが転写用物質を保持する転写ウェブをロール・ツー・ロールで搬送するウェブ搬送システムと、
    前記転写用物質を前記転写ウェブから被転写物に転写する転写手段と、を備え、
    前記ウェブ搬送システムは、巻出しロールに前記転写ウェブを巻き戻すことなく、転写区間の上流端を過ぎた前記転写ウェブの少なくとも一部を当該上流端よりも上流に戻す送り戻しを実行可能に構成されることを特徴とする転写装置。
  2. 前記搬送システムは、前記送り戻しにおいて、前記転写区間よりも上流側の搬送経路長を増加させることを特徴とする請求項1に記載の転写装置。
  3. 前記搬送システムは、前記送り戻しにおいて、前記転写区間よりも上流側の搬送経路長と下流側の搬送経路長とを相補的に増減させることを特徴とする請求項1または2に記載の転写装置。
  4. 前記搬送システムは、前記転写区間よりも上流側の搬送経路の一部を規定する第1ガイドと、下流側の搬送経路の一部を規定する第2ガイドと、を備え、
    前記搬送システムは、前記送り戻しにおいて、上流側の搬送経路が長くなるよう第1ガイドが移動するとともに、下流側の搬送経路が短くなるよう第2ガイドが移動するように、第1ガイドと第2ガイドとを連動させることを特徴とする請求項3に記載の転写装置。
  5. 前記転写区間に対応する被転写物搬送ガイドの少なくとも一部は、当該転写区間の上流端におけるニップ点と、下流端におけるニップ点とを通るニップラインよりも上方に突出していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の転写装置。
  6. 基体シートが転写用物質を保持する転写ウェブをロール・ツー・ロールで搬送するウェブ搬送システムと、
    転写区間において前記転写用物質を前記転写ウェブから被転写物に転写する転写手段と、を備え、
    前記ウェブ搬送システムは、巻出しロールからの前記転写ウェブの巻き出しが停止された状態で、当該巻出しロールから前記転写区間までの前記転写ウェブの搬送経路長を増加させるウェブ搬送経路変更機構を備えることを特徴とする転写装置。
  7. フィルムに箔が積層された箔保持フィルムから被転写物に箔を転写して箔押しを行う箔押し装置であって、
    前記箔保持フィルムから前記被転写物に箔を転写する構成として、請求項1から6のいずれかに記載の転写装置の構成を備えることを特徴とする箔押し装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023074632A1 (ja) * 2021-10-29 2023-05-04 株式会社デュプロ 放電処理装置及びシート材処理システム

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