JP2021165315A - フッ化メタンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
従来知られている、触媒の存在下で含フッ素メチルエーテルを熱分解することによりフッ化メタンを製造する方法において、触媒の寿命を延長させる。
【解決手段】
触媒の存在下において、一般式(1)で表される含フッ素メチルエーテルを気相熱分解させることにより、フッ化メタンを製造する方法であって、
フッ化水素、塩素、塩化水素及び空気からなる群より選択される少なくとも一種のガスの存在下で熱分解させることを特徴とする方法
Figure 2021165315

(式中、R及びRは、同一又は異なって、置換されていてもよい、直鎖状若しくは分岐状の一価の脂肪族炭化水素基、一価の芳香族炭化水素基若しくは一価の環状脂肪族炭化水素基;水素原子又はハロゲン原子である)。
【選択図】なし

Description

本発明は、ドライエッチングガスとして有用なフッ化メタンを製造する方法に関する。
ハイドロフルオロカーボンは、半導体、液晶などの微細加工用のエッチングガスとして有用であり、特にフッ化メタン(CHF)は、最先端の微細構造を形成するためのエッチングガスとして注目されている。
フッ化メタンの製造方法としては、触媒の存在下で含フッ素メチルエーテルを熱分解する方法が知られている(特許文献1及び2)。
国際公開第2011/102268号 特開2014−114277号公報
本発明は、従来知られている、触媒の存在下で含フッ素メチルエーテルを熱分解することによりフッ化メタンを製造する方法において、触媒の寿命を延長させることを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねてきた。その結果、フッ化水素、塩素、塩化水素及び空気からなる群より選択される少なくとも一種のガスの存在下で熱分解させることにより、触媒の寿命を延長できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、完成されたものである。
すなわち、本発明は、下記の態様を含む。
項1. 触媒の存在下において、一般式(1)で表される含フッ素メチルエーテルを気相熱分解させることにより、フッ化メタンを製造する方法であって、
フッ化水素、塩素、塩化水素及び空気からなる群より選択される少なくとも一種のガスの存在下で熱分解させることを特徴とする方法
Figure 2021165315
(式中、R及びRは、同一又は異なって、置換されていてもよい、直鎖状若しくは分岐状の一価の脂肪族炭化水素基、一価の芳香族炭化水素基若しくは一価の環状脂肪族炭化水素基;水素原子又はハロゲン原子である)。
項2. 前記含フッ素メチルエーテル1に対して容量比で0.03以上の前記ガスの存在下で熱分解させる、項1に記載の方法。
項3. 熱分解の前又は同時に反応系にフッ化水素、塩素、塩化水素及び空気からなる群より選択される少なくとも一種のガスを添加する工程を含む、項1又は2に記載の方法。項4. 前記工程が、前記含フッ素メチルエーテル1に対して容量比で0.03以上の前
記ガスを添加する工程である、項3に記載の方法。
項5. 触媒が、金属酸化物、フッ素化された金属酸化物、及び金属フッ化物からなる群から選ばれる少なくとも一種である、項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
項6. 触媒が、アルミナ、酸化クロム、酸化チタン、酸化亜鉛、フッ素化されたアルミナ、フッ素化された酸化クロム、フッ素化された酸化チタン、フッ素化された酸化亜鉛、AlF、TiF、CrF及びZnFからなる群から選ばれる少なくとも一種である、項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
項7. 触媒が、アルミナである、項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
項8. アルミナが、γ-アルミナである、項6又は項7に記載の方法。
項9. 触媒の細孔容積が0.5ml/g以上である、項5〜8のいずれか一項に記載の方法。
項10. 熱分解反応の反応温度が100〜400℃である、項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
項11. 熱分解反応時の圧力が、0.05〜1MPaである、項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
項12. 前記熱分解を、水分濃度100ppm以下で行う、項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
項13. 前記熱分解の前又は同時に反応系の水分を除去する工程を含む、項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
本発明によれば、触媒の存在下で含フッ素メチルエーテルを熱分解することによりフッ化メタンを製造する方法において、触媒の寿命を延長させることができる。言い換えれば、従来の方法と比較して、同じ量のフッ化メタンをより少ない触媒使用量で得ることができ、有利である。
1. 原料化合物
本発明では、原料としては、一般式(1)で表される含フッ素メチルエーテルを用いる。
Figure 2021165315
(式中、R及びRは、同一又は異なって、置換されていてもよい、直鎖状若しくは分岐状の一価の脂肪族炭化水素基、一価の芳香族炭化水素基若しくは一価の環状脂肪族炭化水素基;水素原子又はハロゲン原子である)。
原料として用いる含フッ素メチルエーテルの製造方法については特に限定はなく、任意の方法で得られた化合物を用いることができる。
上記一般式(1)において、好ましくはR及びRは、同一又は異なって、置換されていてもよい、炭素数1〜30の直鎖状若しくは分岐状の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の一価の芳香族炭化水素基又は炭素数6〜12の一価の環状脂肪族炭化水素基である。より好ましくは、R及びRは、同一又は異なって、置換されていてもよい、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜10の一価の芳香族炭化水素基又は炭素数6〜10の一価の環状脂肪族炭化水素基である。
上記において、炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状の一価の脂肪族炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜10のアルキル基等が挙げられる。
具体的には、炭素数1〜10のアルキル基として、メチル基、エチル基、トリメチル基、プロピル基、2−メチルエチル基、ヘキシル基及びオクチル基等が挙げられる。
炭素数1〜10のアルキル基の中では、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がさらに好ましい。
炭素数6〜10の一価の芳香族炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、フェニル基、メチルフェニル基及びエチルフェニル基等が挙げられる。
炭素数6〜10の一価の環状脂肪族炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基及びエチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
上記において、一価の脂肪族炭化水素基、一価の芳香族炭化水素基又は一価の環状脂肪族炭化水素基はフッ素原子、塩素原子、臭素原子からなる群より選択される少なくとも一種のヘテロ原子で、水素原子の少なくとも一つが置換されていてもよく、また全ての水素原子が置換されていてもよい。
上記において、ハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子、塩素原子又は臭素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
特に理論に束縛されないが、上記含フッ素メチルエーテルを熱分解する際に生じる副生成物が原因で触媒の劣化が進行している可能性が、本発明者らの検討の結果から示唆されている。具体的には、この副生成物が触媒表面で炭素化する結果、触媒活性の低下につながっている可能性が示唆されている。フッ化水素、塩素、塩化水素及び空気からなる群より選択される少なくとも一種のガスの存在下で熱分解させることにより、この副生成物の生成が抑制されているとみられる。このような副生成物は、特定の不飽和フッ化物であり、一般式(1)で表される含フッ素メチルエーテルを原料として使用する限り共通して生成するものであるとみられる。
特に限定されないが、原料として用いることができる具体的な化合物の例として、1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-トリフルオロメチルプロピルメチルエーテル等が挙げられる。
特に、フッ素樹脂の原料として使用するヘキサフルオロプロペンを製造する際に副生するパーフルオロイソブチレン((CF)C=CF))は、従来不要物として廃棄さ
れていたが、これをメタノールと反応させることによって1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテルを得ることができ、これを本発明方法の原料として用いることによって、廃棄物の有効利用を図ることができ、低コストの原料を用いて、安価に目的物を得ることが可能となる。なお、本発明において、原料とする1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテルが、「パーフルオロイソブチレンとメタノールを反応させて得られるものである」というときは、その1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテルが、かかる反応により得られたものに限定され、他の反応により得られたものではないことを意味する。パーフルオロイソブチレンとメタノールとを反応させて1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテルを得る方法は、公知の方法であり、公知の反応条件に従えばよい。例えば、特表20011−506261号公報に記載の方法に従って反応を行えばよい。
2. 熱分解反応方法
本発明の方法は、上記した含フッ素メチルエーテルを原料として、触媒の存在下で、気相において熱分解反応を行う方法である。
(1)触媒
触媒としては、気相における熱分解反応に対して活性を有する触媒であれば特に限定無く用いることができる。この様な触媒としては、金属酸化物、フッ素化された金属酸化物、金属フッ化物等を挙げることができ、これらを一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
これらの内で、金属酸化物としては、アルミナ、酸化クロム、酸化チタン、酸化亜鉛、等が好ましい。また、これらの金属酸化物の一部をフッ素化したフッ素化金属酸化物を用いることもできる。前記フッ素化金属酸化物触媒は、あらかじめ金属酸化物触媒をフッ化水素などを用いてフッ素化したものであってもよく、本発明の製造方法の反応過程において、その一部がフッ素化された金属酸化物触媒を使用してもよい。金属フッ化物としては、AlF3,TiF4, CrF3、ZnF2等が好ましい。
金属酸化物の中でも、アルミナが好ましく、α-アルミナ及び活性アルミナなどを使用
できる。活性アルミナとしては、ρ-アルミナ、χ-アルミナ、κ-アルミナ、η-アルミナ、擬γ-アルミナ、γ-アルミナ、δ-アルミナ及びθ-アルミナなどが使用される。これらの中でもγ-アルミナ及びη-アルミナが好ましく、γ-アルミナが特に好ましい。また、
複合酸化物としてシリカアルミナ(SiO/Al)も触媒として用いることがで
きる。シリカアルミナのシリカSiOの組成は、20重量%〜90重量%が好ましく、50重量%〜80重量%がより好ましい。
触媒の細孔容積は大きいほど活性が高く、0.4 ml/g以上であることが好ましく、0.5ml/g以上であることが特に好ましい。触媒の細孔容積の上限は特に限定されな
いが、通常、5ml/g以下であり、反応速度および触媒強度の点で、好ましくは2ml/g以下である。細孔容積は、ガス吸着法、水銀圧入法などで測定できる。
また、触媒にKF、NaF及びMgFなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属のフッ化物を担持してもよい。
上記したフッ素化された金属酸化物を得る方法については特に限定はないが、例えば、加熱下において、上記した金属酸化物を無水フッ化水素またはフロンと接触させることによって、フッ素化反応が進行してフッ素化された金属酸化物を得ることができる。金属酸化物とフッ化水素とを接触させる方法については特に限定的ではなく、触媒を充填した反応管中にフッ化水素を流通させる連続法でもよく、触媒を収容した容器にフッ化水素またはフロンを封入するバッチ式でもよい。特に、流通方式は、処理時間が短い点で好ましい。
フロンは、フッ素原子の数が多く、炭素原子の数が少ないものが好ましい。例えば、トリフルオロメタン、ジフルオロクロロメタン、オクタフルオロエタンなどがあげられる。
金属酸化物のフッ素化の程度については、特に限定的ではないが、フッ素化された金属酸化物全体の重量を基準として、フッ素含有率が5〜50重量%程度であることが好ましい。
金属酸化物のフッ素化処理の温度は、後述する熱分解反応より高温であることが好ましく、例えば、150〜500℃程度が好ましく、200℃〜400℃程度がより好ましく、250℃〜350℃程度が更に好ましい。フッ素化処理の温度が低すぎるとフッ素化が
不十分であるために触媒の効果が小さく、処理温度が高すぎると耐熱材料が特別に必要になるために実用的でない。
(2)熱分解反応条件
含フッ素メチルエーテルの熱分解反応は、上記した触媒の存在下で、含フッ素メチルエーテルを気相状態で触媒に接触させることによって進行させることができる具体的な方法については特に限定的ではないが、例えば、管型の流通型反応器を用い、該反応器に上記した触媒を充填し、原料として用いる含フッ素メチルエーテルを該反応器に導入して、気相状態で触媒に接触させる方法を挙げることができる。
熱分解反応の温度については、低すぎると原料の転化率が低下し、高すぎると不純物が多くなる傾向がある。このため、100℃〜400℃程度とすることが好ましく、100℃〜300℃程度とすることがさらに好ましく、120℃〜200℃程度とすることが特に好ましい。
熱分解反応時の反応管内の圧力は、低すぎると空気の混入の可能性などがあるので操作上煩雑になり、高すぎると機器の耐圧を考慮する必要があり、漏えいの可能性も高くなる。これらの点から、0.05〜1MPa程度とすることが好ましく、0.1〜0.5MPa程度とすることが好ましく、特に、反応操作上、大気圧(約0.1MPa)程度の圧力が好ましい。
反応させるための接触時間については特に限定的ではないが、反応管に供給する原料ガスである含フッ素メチルエーテルの流量F (0度、一気圧(約0.1 MPa)での流量
:cc/sec)に対する触媒の充填量W (g)の比率:W/F (g・sec/cc)で表さ
れる接触時間を、1〜100g・sec/cc程度とすることが好ましく、1〜50g・
sec/cc程度とすることがより好ましく、5〜30g・sec/cc程度とすることが更に好ましい。接触時間が長すぎると、生成物を得るのに長時間を要するので、生産量を上げるためには接触時間を短くすることが好ましいが、接触時間が短すぎると、転化率が下がる傾向がある。このため、使用する触媒の種類、触媒量、反応条件などに応じて、原料の転化率と目的物の選択率の点から最も生産性が高くなる接触時間を選べばよい。通常は、使用する触媒の種類、触媒量、反応条件などに応じて、転化率が100%になる接触時間を選択して反応を行うことが望ましい。
(3)フッ化水素、塩素、塩化水素及び空気からなる群より選択される少なくとも一種のガス
本発明の効果を得るためには、フッ化水素、塩素、塩化水素及び空気からなる群より選択される少なくとも一種のガスの存在下で熱分解させることが必要である。
この目的で使用するフッ化水素は、好ましくは無水フッ化水素である。
本発明の効果が得られればよく、特に限定されないが、好ましくは、含フッ素メチルエーテル1に対して容量比で0.03以上、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.10以上の前記ガスの存在下で熱分解させる。
また、本発明の効果は、所定要件下、含フッ素メチルエーテル1に対する前記ガスの容量比がより高いほど向上する傾向がある。したがって、上記した最終的な容量比にかかわらず、その熱分解の前又は同時に反応系に前記ガスを添加することによって発明の効果が得られると捉えることもできる。このとき、本発明の方法は、熱分解の前又は同時に反応系に前記ガスを添加する工程を含む方法であると定義することができる。この工程は、好ましくは含フッ素メチルエーテル1に対して容量比で0.03以上、より好ましくは0.
05以上、さらに好ましくは0.10以上の前記ガスを添加する工程である。
上記において、厳密には反応系は閉鎖空間であり、反応容器等を意味する。
(4)水分濃度又は水分除去工程
本発明においてはさらに、水分濃度が低い条件、具体的には水分濃度100ppm以下で、熱分解させてもよい。これによっても、触媒の寿命を延長させることができる。
触媒寿命の延長効果が得られればよく、特に限定されないが、好ましくは、水分濃度が50ppm以下、より好ましくは30ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下で熱分解させる。
また、触媒寿命の延長効果は、所定要件下、水分濃度がより低いほど向上する傾向がある。したがって、上記した最終的な水分濃度にかかわらず、その熱分解の前又は同時に反応系から水分を除去することによって発明の効果が得られると捉えることもできる。このとき、本発明の方法は、熱分解の前又は同時に反応系から水分を除去する工程を含む方法であると定義することができる。この工程は、好ましくは反応系から水分を90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上除去する工程である。
上記において、水分濃度を上記範囲内にまで抑制する方法、又は水分を除去する方法としては、特に限定されないが、例えば、脱水剤であるゼオライトを使用する方法、及び精留して水分を除去する方法等が挙げられる。あるいは、水分濃度を上記範囲内にまで抑制するために、最初から水分濃度が所定範囲内に調整されている(すなわち脱水されている)原料化合物を使用してもよい。
上記において、厳密には反応系は閉鎖空間であり、反応容器等を意味する。
(5)触媒再生処理
本発明方法では、反応時間が経過すると、触媒活性が低下することがある。この場合には、原料の有機物が触媒表面で炭素化している可能性がある。触媒活性が低下した場合には、触媒を加熱した状態で反応管に酸素を含む気体を流通させて、触媒表面に付着した炭素と酸素とを反応させて、二酸化炭素や一酸化炭素などのガス状にして除去することによって触媒を再生することができる。触媒再生時の反応管内の温度は、200℃〜500℃程度とすることが好ましく、300℃〜400℃程度とすることがより好ましい。酸素を含む気体としては、純度が高い気体を用いることが効率的であるが、酸素を含んでいれば同様の効果を得ることができるので、経済的には空気を用いることが好ましい。
触媒再生の時間については、触媒の種類や使用時間によって異なり、十分な触媒活性を再現できる時間とすればよいが、通常は、1時間〜12時間程度とすればよい。
3. 生成物
上記した方法によって、上記含フッ素メチルエーテルの熱分解反応が生じて、目的とするフッ化メタン及び含フッ素化合物を得ることができる。
得られた生成物に含まれるフッ化メタンと含フッ素化合物を分離する方法については特に限定的ではないが、例えば、熱分解反応後の生成ガスを冷却することによって、フッ化メタン(沸点−79℃)を主成分とする低沸点成分からなるガス成分と、前記含フッ素化合物を主成分として、さらに未反応原料を含むことのある高沸点成分からなる液成分とに分離できる場合がある。この場合、冷却温度については両者の沸点の違いに応じて適宜設定すればよい。
これにより、フッ化メタンを含む成分をガス成分として分離することができる。ガス成
分には、不純物として、プロペン(沸点−47.7℃)、五フッ化プロペン(沸点−21.
1℃)、プロパン(沸点−1.4℃)などが含まれることがあるが、フッ化メタンとは沸点
差が大きいため、蒸留によってこれらの不純物を容易に分離できる。
また、液成分として得られる上記含フッ素化合物を主成分とする高沸点成分に未反応原料等が含まれる場合にも、蒸留操作によって、未反応原料等を容易に分離することができる。
また、フッ化メタンを選択的に得る方法としては、熱分解反応後の生成物を水またはアルカリ水溶液等と接触させて上記含フッ素化合物を水相中に溶解させて除去してもよい。これによって、フッ化メタンを選択的に得ることができる。
上記において、水およびアルカリ水溶液の代わりに、アルコールを用いてもよい。アルコールは安価なものであればコスト面で好ましく、例えば、メタノール、エタノール及びプロパノールなどを使用できる。これらの中でも特にメタノールが好ましい。アルコールを接触させてエステルを生成させることにより、燃焼処理しやすくなる。
また、熱分解生成物から選択的に上記含フッ素化合物を得る方法としては、熱分解による生成物を直接蒸留操作に供して、塔頂成分としてフッ化メタンを除去すればよい。これによって、塔底成分として、上記含フッ素化合物を得ることができる場合がある。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
<実施例1>
触媒として、フッ素化処理を行っていないγ-アルミナ(Al)を用い、これを
金属製管状反応器に充填した。この反応管を150℃に加熱して、原料である1,1,3,
3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテル(OIME)
を15ccm/minの流速で、フッ化水素を3.9ccm/minの流速で反応管に供給した(OIME/HFモル比=0.26)。
表1に、触媒1gあたりのOIMEの処理量と転化率の推移を示す。
反応管からの流出ガスをガスクロマトグラフィーで分析した結果を表1に示す。表1に記載の数値は、ガスクロマトグラフィーで得られた各ピークの面積比率に、それぞれのガスの感度を補正する係数を乗じて得られた成分比率(%)である。
尚、各記号は次の化合物を示す。
CH3F:フッ化メタン:
C3H6:プロペン
HFC-1225zc:CF2=CHCF
HFC-236fa:CF3CH2CF3
OIME:1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-トリフルオロメチルプロピルメチルエーテル
fluoride:3,3,3-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロパノイルフルオライド
表1において分析結果はCHFを含む低沸点成分とfluorideを含む高沸点成分を別々に分析し、これらの全成分に対する割合を百分率で表したものである。また、表1においてg−OIME/g−cat.は触媒1グラムあたりが処理したOIME量を、
conv.は転化率をそれぞれ表す。
Figure 2021165315
<実施例2>
実施例1と同じ方法で、原料である1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテルを15ccm/minの流速で、フッ化水素を1.04ccm/minの流速で反応管に供給した(OIME/HFモル比=0.07)。実施例1と同じ方法で、反応管からの流出ガスをガスクロマトグラフィーで分析した結果を表2に示す。
Figure 2021165315
<比較例1>
実施例1と同じ方法で、原料である1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテルを15ccm/minの流速で、フッ化水素を反応管に供せずに、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテルのみを反応管に供した。実施例1と同じ方法で、反応管からの流出ガスをガスクロマトグラフィーで分析した結果を表3に示す。
Figure 2021165315
以上の通り、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテルにHFを同伴させると(表1及び2)、HFを同伴させなかった場合(表3)と比較して、転化率の低下が緩やかになることが判った。この結果より、1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテルにHFを同伴させると触媒の寿命を延長できることが明らかになった。
<実施例3>
1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−トリフルオロメチルプロピルメチルエーテル(OIME)にモレキュラーシーブ4Aを500g加え攪拌して脱水を行った。適宜、OIME中の水分をカールフィッシャーにて測定し、水分量が100ppmまで減少するまで脱水を行った。
触媒として、フッ素化処理を行っていないγ-アルミナ(Al)Aを用い、これ
を金属製管状反応器に充填した。この反応管を150℃に加熱して、100ppmまで脱水をしたOIMEを反応管に供給した。表1に、触媒1gあたりのOIMEの処理量と転化率の推移を示す。
反応管からの流出ガスをガスクロマトグラフィーで分析した結果を表3に示す。表3に記載の数値は、ガスクロマトグラフィーで得られた各ピークの面積比率に、それぞれのガスの感度を補正する係数を乗じて得られた成分比率(%)である。また、表3において「g−OIME/g−cat.」は触媒1グラムあたりが処理したOIME量を、「con
v.」は転化率をそれぞれ表す。
表4において分析結果はCHFを含む低沸点成分とfluorideを含む高沸点成分を別々に分析し、これらの全成分に対する割合を百分率で表したものである。
Figure 2021165315
<実施例4>
実施例3と同じ方法でOIMEを5ppmまで脱水した。この脱水したOIMEを用いて実施例3と同じ方法で反応管に供給した。
下記表5に、反応管からの流出ガスをガスクロマトグラフィーで分析した結果を示す。
Figure 2021165315
<比較例2>
実施例3と同じ方法でOIMEを500ppmまで脱水した。この脱水したOIMEを用いて実施例3と同じ方法で反応管に供給した。
下記表6に、反応管からの流出ガスをガスクロマトグラフィーで分析した結果を示す。
Figure 2021165315
以上の結果から、原料であるOIME中の水分量が少ないほど、触媒の劣化速度が遅くなることが判った。

Claims (11)

  1. 触媒(ただし、アルミナを除く)の存在下において、一般式(1)で表される含フッ素メチルエーテルを気相熱分解させることにより、フッ化メタンを製造する方法であって、フッ化水素の存在下で熱分解させることを特徴とする方法
    Figure 2021165315
    (式中、R及びRは、同一又は異なって、置換されていてもよい、直鎖状若しくは分岐状の一価の脂肪族炭化水素基、一価の芳香族炭化水素基若しくは一価の環状脂肪族炭化水素基;水素原子又はハロゲン原子である)。
  2. 前記含フッ素メチルエーテル1に対して容量比で0.03以上の前記ガスの存在下で熱分解させる、請求項1に記載の方法。
  3. 熱分解の前又は同時に反応系にフッ化水素を添加する工程を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記工程が、前記含フッ素メチルエーテル1に対して容量比で0.03以上の前記ガスを添加する工程である、請求項3に記載の方法。
  5. 触媒が、金属酸化物、フッ素化された金属酸化物、及び金属フッ化物からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 触媒が、酸化クロム、酸化チタン、酸化亜鉛、フッ素化された酸化クロム、フッ素化された酸化チタン、フッ素化された酸化亜鉛、AlF、TiF、CrF及びZnFからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 触媒の細孔容積が0.5ml/g以上である、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 熱分解反応の反応温度が100〜400℃である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 熱分解反応時の圧力が、0.05〜1MPaである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記熱分解を、水分濃度100ppm以下で行う、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記熱分解の前又は同時に反応系の水分を除去する工程を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
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