JP2021163767A - プリント配線板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】多段積層により形成した絶縁層を有するプリント配線板であっても、歩留まりを低下させることのないプリント配線板の製造方法を提供する。【解決手段】プリント配線板の製造方法は、第1の支持体2と、第1の支持体上に設けられている第1の樹脂組成物層3とを含む第1の樹脂シート1を、第1の樹脂組成物層3が内層基板10と接合するように、該内層基板に積層する工程、第1の樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程、第1の支持体を除去する工程及び第2の支持体と、該第2の支持体上に設けられている第2の樹脂組成物層とを含む第2の樹脂シートを、第2の樹脂組成物層を絶縁層側に向けて絶縁層上に積層、熱硬化し、第2の支持体を除去する工程、をこの順で含む。前記第2の支持体を除去する工程は、2回以上繰り返して行い、第1及び第2の支持体は、第1及び第2の余白部4を、第1及び第2の支持体の2以上の端部に有する。【選択図】図3

Description

本発明は、プリント配線板の製造方法に関する。
プリント配線板の製造方法として、絶縁層と導体層とを交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。ビルドアップ方式による製造方法においては、一般に、支持体上に設けられた樹脂組成物層を有する樹脂シートの樹脂組成物層を熱硬化することにより絶縁層を形成する。
熱硬化して絶縁層を形成するにあたって、支持体が加熱により膨張することで、支持体の端縁部近傍で樹脂組成物が支持体に押されて、樹脂組成物が盛り上がる。この盛り上がった樹脂組成物は、支持体上に乗り上げるか、又は支持体の厚さを超えるほどに盛り上がってしまい、その後のビルドアップ工程において形成される絶縁層の平坦性が損なわれる結果として製造されるプリント配線板の歩留まりが低下してしまう。
例えば、特許文献1には、樹脂組成物層の熱硬化時に収縮特性を示す支持体を含む樹脂シートを用い、プリント配線板の歩留まりを向上させることが開示されている。
特開2016−86195号公報
特許文献1に記載のように、加熱により収縮する支持体を用いることで、支持体の端縁部近傍で樹脂組成物が支持体に押されることを抑制でき、樹脂組成物の盛り上がりを抑制することができる。その結果、樹脂組成物が支持体の厚さを超えるほどに盛り上がってしまうことを抑制できる。
しかし、本発明者らの鋭意研究の結果、加熱により樹脂組成物が流動しブリードアウトするため、加熱により収縮する支持体を用いても、支持体の端縁部近傍で樹脂組成物がわずかに盛り上がることを知見した。すなわち、内層基板に樹脂シートをラミネートする際、樹脂組成物層には圧力が加えられうる。この圧力により、樹脂組成物層に含まれる樹脂組成物が流動し、ブリードアウトを生じうる。ブリードアウトによれば、支持体の無いエリアにまで、樹脂組成物が流出する。この流出した樹脂組成物は、支持体の端縁部に押されなくても、盛り上がることがありうる。例えば、支持体の無いエリアでは、厚み方向への樹脂組成物の流動が支持体によって抑制されないので、わずかな盛り上がりが生じうる。よって、絶縁層に盛り上がりが生じうる。
近年、プリント配線板のさらなる微細化等に伴って、絶縁層を複数回積層させる多段積層(多層積層)を行うことでプリント配線板を製造することがある。絶縁層の盛り上がりがわずかでも、多段積層するとその盛り上がりが増幅されて、積層させた絶縁層の表面凹凸の差(アンジュレーション)が発生してしまい、その結果、絶縁層を多段積層して絶縁層を形成するプリント配線板の歩留まりが低下してしまう。特に、絶縁層を3層以上積層する場合にアンジュレーションが顕著に発生してしまい、絶縁層の積層数が増大するほどこの課題は大きく顕在化する。
本発明の課題は、多段積層により形成した絶縁層を有するプリント配線板であっても、歩留まりの低下を抑制可能なプリント配線板の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、樹脂組成物が塗布されていない余白部を有する樹脂シートを用いることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (A)第1の支持体と、該第1の支持体上に設けられている第1の樹脂組成物層とを含む第1の樹脂シートを、該第1の樹脂組成物層が内層基板と接合するように、該内層基板に積層する工程、
(B)第1の樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程、
(C)第1の支持体を除去する工程、及び
(D)第2の支持体と、該第2の支持体上に設けられている第2の樹脂組成物層とを含む第2の樹脂シートを、第2の樹脂組成物層を絶縁層側に向けて絶縁層上に積層し、第2の樹脂組成物層を熱硬化し、第2の支持体を除去する工程、をこの順で含み、
工程(D)は、2回以上繰り返して行い、
第1の支持体は、第1の樹脂組成物層が設けられていない第1の余白部を、第1の支持体の2以上の端部に有し、
第2の支持体は、第2の樹脂組成物層が設けられていない第2の余白部を、第2の支持体の2以上の端部に有する、プリント配線板の製造方法。
[2] 工程(D)を3回以上繰り返して行う、[1]に記載のプリント配線板の製造方法。
[3] 第1の支持体が、厚み方向から見て矩形であり、第1の余白部が、第1の支持体の2辺以上の端部に形成されている、[1]又は[2]に記載のプリント配線板の製造方法。
[4] 第1の余白部が、第1の支持体の一辺の端部と、この辺とは反対側の辺の端部とに形成されている、[1]〜[3]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[5] 第1の余白部が、第1の支持体の一辺の端部と、この辺とは反対側の辺の端部とに形成されており、これら2つの第1の余白部の幅が略同一である、[1]〜[4]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[6] 第1の余白部の幅が、0.1mm以上10mm以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[7] 第1の樹脂組成物層の最低溶融粘度が、10poise以上1000000poise以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[8] 第2の支持体が、厚み方向から見て矩形であり、第2の余白部が、第2の支持体の2辺以上の端部に形成されている、[1]〜[7]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[9] 第2の余白部が、第2の支持体の一辺の端部と、この辺とは反対側の辺の端部とに形成されている、[1]〜[8]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[10] 第2の余白部が、第2の支持体の一辺の端部と、この辺とは反対側の辺の端部とに形成されており、これら2つの第2の余白部の幅が略同一である、[1]〜[9]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[11] 第2の余白部の幅が、0.1mm以上10mm以下である、[1]〜[10]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
[12] 第2の樹脂組成物層の最低溶融粘度が、10poise以上1000000poise以下である、[1]〜[11]のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
本発明によれば、多段積層により形成した絶縁層を有するプリント配線板であっても、歩留まりの低下を抑制可能なプリント配線板の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂シートを模式的に示す上面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る樹脂シートを、図1のA−A一点鎖線で示される位置で切断した切断断面を模式的に示す断面図である。 図3は、内層基板に樹脂シートを接合した様子の一例を示した断面図である。 図4は、本発明の別の実施形態に係る樹脂シートを模式的に示す上面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図面は、発明が理解できる程度に、構成要素の形状、大きさ及び配置が概略的に示されているに過ぎない。本発明は以下の実施形態によって限定されるものではなく、各構成要素は適宜変更可能である。また、本発明の実施形態にかかる構成は、必ずしも図示例の配置により、製造されたり、使用されたりするとは限らない。
本発明のプリント配線板の製造方法について説明する前に、本発明の樹脂シート、及びその製造方法について説明する。
[樹脂シート]
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂シート1を模式的に示す上面図である。図1に示すように、樹脂シート1は、支持体2と、該支持体2上に設けられた、樹脂組成物を含む樹脂組成物層3とを含む。支持体2は、樹脂組成物層3が設けられていない余白部4を、支持体2の2以上の端部21及び22に有する。
支持体2は、厚み方向から見て、多角形状を有しうるので、複数の辺を有しうる。本実施形態では、厚み方向から見て矩形の支持体2を例示して説明するので、その支持体2は、4つの辺23〜26を有する。前記の余白部4は、支持体2が有する辺のうち、2以上の辺の端部21及び22に設けられていることが好ましい。「支持体の辺の端部」とは、支持体の辺の近傍にある当該支持体の端部を表し、具体的には、前記の辺から連続する特定の幅を有する部分を表す。
図2は、本発明の一実施形態に係る樹脂シート1を、図1のA−A一点鎖線で示される位置で切断した切断断面を模式的に示す断面図である。図2に示すように、支持体2は、厚み方向に垂直なある一の方向において、一の端部21の余白部4、樹脂組成物層3、及び、別の端部22の余白部4が、この順に並ぶことが好ましい。本実施形態のように支持体2が厚み方向から見て矩形である場合、余白部4は、一辺23の端部21と、この辺23とは反対側の辺24の端部22とに形成されていることが好ましい。この場合、厚み方向に垂直で且つ辺23に交差する方向において、端部21の余白部4、樹脂組成物層3、及び、端部22の余白部4が、この順に並ぶ。また、一辺23の端部21と、この辺23とは反対側の辺24の端部22とに形成されている余白部4は、幅が互いに略同一であることが好ましい。双方の余白部4の幅が略同一であることにより、樹脂組成物層の硬化時に発生する応力が均等になりアンジュレーションの発生の効果的な抑制が可能となる。本明細書において、「略」とは、寸法誤差、設計誤差、及び製造誤差等の誤差を含みうるという意味である。例えば、±5%、±4%、±3%、±2%、±1%、±0.5%の誤差範囲とすることができる。
図3は、本発明の一実施形態に係る樹脂シート1を内層基板10に接合した場合の、支持体1の辺23の近傍を拡大して模式的に示す断面図である。通常、樹脂シート1は、樹脂組成物層3が内層基板10に接合するように、内層基板10に積層される。そして、支持体2が設けられた状態で樹脂組成物層3を熱硬化させて、絶縁層を形成する。
積層の際、樹脂組成物層3には圧力が加えられうるので、その樹脂組成物層3に含まれていた樹脂組成物は流動しうる。しかし、樹脂シート1は余白部4を有するので、流動した樹脂組成物は、内層基板10と支持体2との間隙に留まりうる。よって、流動した樹脂組成物の厚み方向への移動が支持体2の余白部4によって抑制されるので、樹脂組成物層3の盛り上がりが抑制される。したがって、絶縁層の盛り上がりを抑制できる。その結果、絶縁層を多段積層してもアンジュレーションの発生の抑制が可能であるので、プリント配線板の歩留まりを向上させることができる。
図4は、本発明の別の実施形態に係る樹脂シート11を模式的に示す上面図である。図4に示すように、樹脂シート11は、支持体2の3以上の端部に余白部4が形成されていてもよく、支持体2のすべての端部に余白部が形成されていてもよい。例えば、図4に示す例のように、厚み方向から見て矩形の支持体2の4つの辺23〜26の端部21、22、27及び28すべてに余白部4が形成されていてもよい。この場合、余白部4の幅はそれぞれ略同一であることが好ましい。
樹脂シートは、例えば、長手形状を有する支持体を用いたロールトゥロール方式により、長手形状の樹脂シートとして製造されうる。そして、このように製造された樹脂シートから、必要に応じて適切な形状(矩形等)に切り出されて使用されうる。この方法で製造される樹脂シートでは、余白部は、通常、長手方向に連続的に形成される。よって、例えば図1に示すように、余白部4は、支持体2の長手方向に連続的に形成されることが好ましく、支持体2の長手方向に延びる2以上の端部21及び22に連続的に形成されることがより好ましい。
余白部4は、流動化した樹脂組成物が内層基板10と支持体2の余白部4との間に高い確実性で留まるようにする観点から、所定の幅aを有することが好ましい。余白部21の幅aとしては、アンジュレーションの発生を抑制する観点、および樹脂組成物硬化時に支持体の剥離を抑制し、形成される絶縁層の表面状態を均一にする観点から、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上、又は0.6mm以上であり、好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下、さらに好ましくは7mm以下、さらに好ましくは5mm以下、特に好ましくは5mm未満である。
支持体2の厚みとしては、特に限定されないが、5μm〜75μmの範囲が好ましく、10μm〜60μmの範囲がより好ましい。なお、後述する離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
樹脂組成物層3の最低溶融粘度は特に限定されないが、樹脂組成物のブリードアウトを抑制する観点から、好ましくは10poise以上、より好ましくは50poise以上、さらに好ましくは100poise以上である。樹脂組成物層3の最低溶融粘度の上限は、良好な積層性を達成する観点から、好ましくは1000000poise以下、より好ましくは100000ポイズ以下、さらに好ましくは10000poise以下である。
ここで樹脂組成物層の「最低溶融粘度」とは、樹脂組成物層の樹脂が溶融した際に樹脂組成物層が呈する最低の粘度をいう。詳細には、一定の昇温速度で樹脂組成物層を加熱して樹脂を溶融させると、初期の段階は溶融粘度が温度上昇とともに低下し、その後、ある温度を超えると温度上昇とともに溶融粘度が上昇する。「最低溶融粘度」とは、かかる極小点の溶融粘度をいう。樹脂組成物層の最低溶融粘度及び最低溶融粘度温度は、動的粘弾性法により測定することができる。
樹脂組成物層3の厚さは、アンジュレーションの発生を抑制する観点から、好ましくは5μm〜100μmであり、より好ましくは7.5μm〜90μmであり、さらに好ましくは10μm〜80μmである。
以下、樹脂シートを構成する各層について詳細に説明する。
<支持体>
樹脂シートは、支持体を有する。支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
一般に、支持体は、支持体の種類によって加熱時の膨張及び/又は収縮の程度は異なるが、加熱されると膨張するか、又は収縮する。支持体の膨張又は収縮の方向は、その製造工程(例えば、支持体の構成材料の選択、搬送される支持体の巻き取り時(搬送時)に加わる張力等)に起因して異なるが、TD方向、又はMD方向である。
ここで、MD方向(Machine Direction)」とは、支持体の長手方向、すなわち製造時における長尺の支持体の搬送方向をいう。また、TD方向(Transverse Direction)」とは、支持体の幅方向をいい、MD方向に直交する方向である。なお、MD方向及びTD方向はいずれも、支持体の厚さ方向に対して直交する方向である。
支持体の調製方法としては、加熱時の膨張又は収縮を抑制する観点から、予備加熱処理をすることが好ましい。予備加熱処理は、プラスチック材料の種類、製造時に加わる張力(延伸)の有無、延伸の軸方向、延伸の程度、延伸後の熱処理条件等に応じて条件を調整して行うことができる。
プラスチック材料からなるフィルムとして長尺のプラスチック材料からなるフィルムを用いる場合に、予備加熱処理としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルムのMD方向及びTD方向のうちの一方又は両方の方向に張力をかけつつ加熱する処理が挙げられる。
長尺のプラスチック材料からなるフィルムを用いる場合には、通常、製造時の搬送ロール等のロールを用いる搬送によりMD方向には所定の張力が加わるため、TD方向のみに張力をかけつつ加熱することにより、加熱時の膨張又は収縮を抑制された支持体を得ることができる場合がある。
MD方向に張力をかけるにあたっては、複数のロール間に張り渡されたプラスチック材料からなるフィルムにかかる張力を調整することにより所定の張力をかけることができる。またTD方向に張力をかけるにあたっては従来公知の任意好適な手段により実施することができる。TD方向に張力をかけるにあたっては従来公知の構成を有するテンターなどを用いて所定の張力をかけることができる。
また、例えば錘の重量及び重力を利用してプラスチック材料からなるフィルムのMD方向又はTD方向に所定の張力をかけることができる。具体的にはTD方向及びMD方向のうちの調整されるべき方向が鉛直方向に一致するようにプラスチック材料からなるフィルムの調整されるべき方向の一方の側の端縁部を例えば支持棒などに任意好適な接着部材(例えばカプトン粘着テープ、PTFE粘着テープ、ガラスクロス粘着テープ)により固定し、プラスチック材料からなるフィルム全体に均一に張力がかかるように吊るす。その後、対向する調整されるべき方向の他方の側の端縁部にプラスチック材料からなるフィルム全体に均一に張力がかかるように任意好適な接着部材により金属板などの錘を接続して錘の重量により張力をかけながら加熱することにより予備加熱処理を行うことができる。
プラスチック材料からなるフィルムにかける張力の大きさは、プラスチック材料からなるフィルムの材料、膨張率、樹脂組成物の組成等を勘案して任意好適な張力に設定することができる。例えば、張力を3gf/cm〜30gf/cmとする条件が挙げられる。
一実施形態において、予備加熱処理の加熱温度は、プラスチック材料からなるフィルムのガラス転移温度をTgとするとき、好ましくは(Tg+50)℃以上、より好ましくは(Tg+60)℃以上、さらに好ましくは(Tg+70)℃以上、さらにより好ましくは(Tg+80)℃以上又は(Tg+90)℃以上である。加熱温度の上限は、プラスチック材料からなるフィルムの融点未満である限りにおいて、好ましくは(Tg+115)℃以下、より好ましくは(Tg+110)℃以下、さらに好ましくは(Tg+105)℃以下である。
支持体が、例えば、PETフィルムである場合、予備加熱処理の加熱温度は、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは150℃以上、さらにより好ましくは160℃以上又は170℃以上である。加熱温度の上限は、好ましくは195℃以下、より好ましくは190℃以下、さらに好ましくは185℃以下である。予備加熱処理の加熱時間は、好ましくは1分間以上、より好ましくは2分間以上、さらに好ましくは5分間以上、10分間以上又は15分間以上である。加熱時間の上限は、加熱温度にもよるが、好ましくは120分間以下、より好ましくは90分間以下、さらに好ましくは60分間以下である。
予備加熱処理を実施する際の雰囲気は特に限定されず、例えば、大気雰囲気、不活性ガス雰囲気(窒素ガス雰囲気、ヘリウムガス雰囲気、アルゴンガス雰囲気等)が挙げられ、簡便に支持体を調製し得る観点から、大気雰囲気が好ましい。
予備加熱処理は、減圧下、常圧下、加圧下のいずれで実施してもよいが、簡便に支持体を調製し得る観点から、常圧下で実施することが好ましい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK−1」、「AL−5」、「AL−7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
<樹脂組成物層>
樹脂シートは、樹脂組成物を含む樹脂組成物層を有する。樹脂組成物層は、通常、支持体と接合している。樹脂組成物は特に限定されず、その硬化物が十分な硬度と絶縁性を有するものであればよい。斯かる樹脂組成物としては、例えば、硬化性樹脂とその硬化剤を含む組成物が挙げられる。硬化性樹脂としては、プリント配線板の絶縁層を形成する際に使用されるエポキシ樹脂が好ましい。したがって一実施形態において、樹脂組成物はエポキシ樹脂及び硬化剤を含む。樹脂組成物は、必要に応じて、さらに無機充填材、熱可塑性樹脂、硬化促進剤、及びその他の添加剤を含んでいてもよい。
−エポキシ樹脂−
樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含有する。エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。良好な機械強度、及び絶縁信頼性を示す絶縁層を得る観点から、エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含んでいてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP−4700」、「HP−4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP−7200」、「HP−7200HH」、「HP−7200H」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA−7311」、「EXA−7311−G3」、「EXA−7311−G4」、「EXA−7311−G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN−502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG−100」、「CG−500」;三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂がより好ましい。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX−721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB−3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4−グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂として液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、好ましくは1:0.1〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:15、特に好ましくは1:1〜1:10である。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比が斯かる範囲にあることにより、本発明の所望の効果を顕著に得ることができる。さらに、通常は、樹脂シートの形態で使用する場合に、適度な粘着性がもたらされる。また、通常は、樹脂シートの形態で使用する場合に、十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する。さらに、通常は、十分な破断強度を有する硬化物を得ることができる。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.〜5000g/eq.、より好ましくは50g/eq.〜3000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.〜2000g/eq.、さらにより好ましくは110g/eq.〜1000g/eq.である。この範囲となることで、樹脂組成物層の硬化物の架橋密度が十分となり、表面粗さの小さい絶縁層をもたらすことができる。エポキシ当量は、1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量である。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは100〜5000、より好ましくは250〜3000、さらに好ましくは400〜1500である。
樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
エポキシ樹脂の含有量は、良好な機械強度、及び絶縁信頼性を示す絶縁層を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。エポキシ樹脂の含有量の上限は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、特に好ましくは35質量%以下である。
なお、本発明において、樹脂組成物中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値である。
−硬化剤−
樹脂組成物は、硬化剤を含有する。硬化剤は、通常、エポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させる機能を有する。硬化剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させることができる化合物を用いることができ、例えば、活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤などが挙げられる。中でも、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤が好ましい。
フェノール系硬化剤及びナフトール系硬化剤の具体例としては、明和化成社製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」、「MEH−8000H」;日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」;新日鉄住金化学社製の「SN−170」、「SN−180」、「SN−190」、「SN−475」、「SN−485」、「SN−495」、「SN−495V」、「SN−375」、「SN−395」;DIC社製の「TD−2090」、「TD−2090−60M」、「LA−7052」、「LA−7054」、「LA−1356」、「LA−3018」、「LA−3018−50P」、「EXB−9500」、「HPC−9500」、「KA−1160」、「KA−1163」、「KA−1165」;群栄化学社製の「GDP−6115L」、「GDP−6115H」、「ELPC75」等が挙げられる。
活性エステル系硬化剤としては、1分子中に1個以上の活性エステル基を有する硬化剤が挙げられる。中でも、活性エステル系硬化剤としては、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましい。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に、耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。
カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
活性エステル系硬化剤の好ましい具体例としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が挙げられる。中でも、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン−ジシクロペンチレン−フェニレンからなる2価の構造を表す。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000」、「HPC−8000H」、「HPC−8000−65T」、「HPC−8000H−65TM」、「HPC−8150−62T」、「EXB−8000L」、「EXB−8000L−65TM」、「EXB−8150−65T」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB−8100L−65T」、「EXB−8150L−65T」、「EXB9416−70BK」(DIC社製);フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系硬化剤として「YLH1026」(三菱ケミカル社製)、「YLH1030」(三菱ケミカル社製)、「YLH1048」(三菱ケミカル社製);等が挙げられる。
フェノール系硬化剤としては、芳香環(ベンゼン環、ナフタレン環等)に結合した水酸基を1分子中に1個以上、好ましくは2個以上有する硬化剤が挙げられる。中でも、ベンゼン環に結合した水酸基を有する化合物が好ましい。また、耐熱性及び耐水性の観点からは、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤が好ましい。さらに、密着性の観点からは、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。特に、耐熱性、耐水性、及び密着性を高度に満足させる観点からは、トリアジン骨格含有フェノールノボラック硬化剤が好ましい。
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、昭和高分子社製の「HFB2006M」、四国化成工業社製の「P−d」、「F−a」が挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、日清紡ケミカル社製の「V−03」、「V−05」、「V−07」;ラインケミー社製のスタバクゾール(登録商標)P等が挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、1分子内中に1個以上の酸無水物基を有する硬化剤が挙げられる。酸無水物系硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’−4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−C]フラン−1,3−ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。酸無水物系硬化剤は市販品を用いてもよく、例えば、新日本理化社製の「MH−700」等が挙げられる。
アミン系硬化剤としては、1分子内中に1個以上のアミノ基を有する硬化剤が挙げられ、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられ、中でも、本発明の所望の効果を奏する観点から、芳香族アミン類が好ましい。アミン系硬化剤は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。アミン系硬化剤の具体例としては、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、ジフェニルジアミノスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、等が挙げられる。アミン系硬化剤は市販品を用いてもよく、例えば、日本化薬社製の「KAYABOND C−200S」、「KAYABOND C−100」、「カヤハードA−A」、「カヤハードA−B」、「カヤハードA−S」、三菱ケミカル社製の「エピキュアW」等が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル、等の2官能シアネート樹脂;フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂;これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマー;などが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂);「ULL−950S」(多官能シアネートエステル樹脂);「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー);等が挙げられる。
硬化剤の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは35質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
エポキシ樹脂のエポキシ基数を1とした場合、硬化剤の活性基数は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上であり、好ましくは2以下、より好ましくは1.8以下、更に好ましくは1.6以下、特に好ましくは1.4以下である。ここで、「エポキシ樹脂のエポキシ基数」とは、樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂の不揮発成分の質量をエポキシ当量で除した値を全て合計した値である。また、「硬化剤の活性基数」とは、樹脂組成物中に存在する硬化剤の不揮発成分の質量を活性基当量で除した値を全て合計した値である。エポキシのエポキシ基数を1とした場合の硬化剤の活性基数が前記範囲にあることにより、本発明の所望の効果を顕著に得ることができる。
−無機充填材−
樹脂組成物は、任意の成分として、無機充填材を含有していてもよい。無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。無機充填材の材料の例としては、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でもシリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては、球状シリカが好ましい。無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
無機充填材の市販品としては、例えば、電化化学工業社製の「UFP−30」;新日鉄住金マテリアルズ社製の「SP60−05」、「SP507−05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C−MJE」、「YA010C」;デンカ社製の「UFP−30」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS−3N」、「シルフィルNSS−4N」、「シルフィルNSS−5N」;アドマテックス社製の「SC2500SQ」、「SO−C4」、「SO−C2」、「SO−C1」、「SC2050−SXF」;などが挙げられる。
無機充填材の平均粒径は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、特に好ましくは0.1μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。
無機充填材の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出する。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA−960」等が挙げられる。
無機充填材の比表面積は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは1m/g以上、より好ましくは2m/g以上、特に好ましくは3m/g以上である。上限に特段の制限は無いが、好ましくは60m/g以下、50m/g以下又は40m/g以下である。比表面積は、BET全自動比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM−1210)を使用して、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで無機充填材の比表面積を測定することで得られる。
無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。また、表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM−4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM−7103」(3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量部は、0.2質量部〜5質量部の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量部〜3質量部で表面処理されていることが好ましく、0.3質量部〜2質量部で表面処理されていることが好ましい。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m以上が好ましく、0.1mg/m以上がより好ましく、0.2mg/m以上が更に好ましい。一方、樹脂ワニスの最低溶融粘度及びシート形態での最低溶融粘度の上昇を抑制する観点から、1mg/m以下が好ましく、0.8mg/m以下がより好ましく、0.5mg/m以下が更に好ましい。
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA−320V」等を使用することができる。
無機充填材の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。
−熱可塑性樹脂−
樹脂組成物は、任意の成分として、熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。中でも、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、フェノキシ樹脂が好ましい。また、熱可塑性樹脂は、1種類単独で用いてもよく、又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種類以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。
フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「FX280」及び「FX293」;三菱ケミカル社製の「YL7500BH30」、「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」;等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業社製の「電化ブチラール4000−2」、「電化ブチラール5000−A」、「電化ブチラール6000−C」、「電化ブチラール6000−EP」;積水化学工業社製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ(例えばBX−5Z)、KSシリーズ(例えばKS−1)、BLシリーズ、BMシリーズ;等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化社製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006−37083号公報記載のポリイミド)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002−12667号公報及び特開2000−319386号公報等に記載のポリイミド)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡社製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成社製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「PES5003P」等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル樹脂の具体例としては、三菱ガス化学社製のオリゴフェニレンエーテル・スチレン樹脂「OPE−2St 1200」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ社製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは8,000以上、より好ましくは10,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは70,000以下、より好ましくは60,000以下、特に好ましくは50,000以下である。
熱可塑性樹脂の含有量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。
−硬化促進剤−
樹脂組成物は、任意の成分として、硬化促進剤を含有していてもよい。硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられる。硬化促進剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン等が挙げられ、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱ケミカル社製の「P200−H50」等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
硬化促進剤の含有量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、さらに好ましくは0.05質量%以上であり、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。
−その他の添加剤−
樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、更にその他の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤等の樹脂添加剤などが挙げられる。これらの添加剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。それぞれの含有量は当業者であれば適宜設定できる。
本発明の樹脂組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく、例えば、配合成分を、必要により溶媒等を添加し、回転ミキサーなどを用いて混合・分散する方法などが挙げられる。
<その他の層>
樹脂シートは、必要に応じて、その他の層を含んでいてもよい。斯かるその他の層としては、例えば、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)に設けられた、支持体に準じた保護フィルム等が挙げられる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm〜40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを抑制することができる。
[ロール状樹脂シート]
樹脂シートは、ロール状に巻き取ることで保存することが可能である。樹脂シートについては上述したとおりである。
[樹脂シートの製造方法]
樹脂シートは、例えば、支持体の余白部以外の部分に樹脂組成物を塗布することを含む製造方法によって、製造できる。支持体及び樹脂組成物については上述したとおりである。よって、例えば、図1に示す樹脂シート1は、支持体2上の余白部4以外の部分に樹脂組成物を塗布することを含む製造方法により、製造できる。
詳細には、樹脂シートは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等の塗布装置を用いて、支持体上の余白部以外の部分に塗布し、必要に応じて乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類;セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶剤等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%〜60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃〜150℃で3分間〜10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
[プリント配線板、プリント配線板の製造方法]
本発明のプリント配線板は、本発明の樹脂シートまたはロール状樹脂シートの樹脂組成物層の硬化物により形成された絶縁層を含む。
プリント配線板は、本発明の樹脂シートを用いて、
(A)第1の支持体と、該第1の支持体上に設けられている第1の樹脂組成物層とを含む第1の樹脂シートを、該第1の樹脂組成物層が内層基板と接合するように、該内層基板に積層する工程
(B)樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程、
(C)支持体を除去する工程、及び
(D)第2の支持体と、該第2の支持体上に設けられている第2の樹脂組成物層とを含む第2の樹脂シートを、第2の樹脂組成物層を絶縁層側に向けて絶縁層上に積層し、第2の樹脂組成物層を熱硬化し、第2の支持体を除去する工程、
をこの順で含み、工程(D)は、2回以上繰り返して行う方法によって、製造できる。
プリント配線板の製造方法では、工程(D)を2回以上繰り返して行い、3層以上の多段積層した絶縁層を形成する。従来は、絶縁層を形成するにあたって、ブリードアウトした樹脂組成物が支持体の端部近傍でわずかに盛り上がり、その盛り上がりが3層以上の多段積層によって増幅されて、アンジュレーションの原因となっていた。これに対し、本発明のプリント配線板の製造方法では、本発明の樹脂シートを用いて絶縁層を形成することにより、絶縁層を3層以上の多段積層を行っても形成される絶縁層のアンジュレーションの発生の抑制が可能となる。また、プリント配線板の製造方法は、その他の工程を含んでいてもよい。例えば、後述する工程(E)、工程(F)及び工程(G)を含んでいてもよい。工程(E)〜工程(G)等の任意の工程は、工程(C)と工程(D)との間に行ってもよく、工程(D)と別の工程(D)との間に行ってもよい。
工程(D)を繰り返す回数としては、2回以上であり、好ましくは3回以上、より好ましくは4回以上、さらに好ましくは5回以上であり、好ましくは50回以下、より好ましくは30回以下、さらに好ましくは20回以下である。
以下、プリント配線板を製造するにあたっての上記の工程について詳細に説明する。以下の説明では、工程(A)で使用される樹脂シートと、工程(D)で使用される樹脂シートとを区別するため、樹脂シート及び当該樹脂シートに含まれる要素に番号を付すことがある。例えば、工程(A)で使用される樹脂シートを「第1の樹脂シート」と呼び、それが含む支持体、樹脂組成物層及び余白部をそれぞれ「第1の支持体」、「第1の樹脂組成物層」及び「第1の余白部」と呼ぶことがある。また、工程(D)で使用される樹脂シートを「第2の樹脂シート」と呼び、それが含む支持体、樹脂組成物層及び余白部をそれぞれ「第2の支持体」、「第2の樹脂組成物層」及び「第2の余白部」と呼ぶことがある。
<工程(A)>
工程(A)では、第1の支持体と、該第1の支持体上に設けられている第1の樹脂組成物層とを含む第1の樹脂シートを、該第1の樹脂組成物層が内層基板と接合するように、該内層基板に積層する。工程(A)において使用される第1の樹脂シートは上記したとおりである。
工程(A)で用いる「内層基板」とは、プリント配線板の基板となる部材であって、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。また、該基板は、その片面又は両面に導体層を有していてもよく、この導体層はパターン加工されていてもよい。基板の片面または両面に導体層(回路)が形成された内層基板は「内層回路基板」ということがある。またプリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も本発明でいう「内層基板」に含まれる。プリント配線板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用し得る。
内層基板と第1の樹脂シートの接合(積層)は、例えば、第1の支持体側から第1の樹脂シートを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。第1の樹脂シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を第1の樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に第1の樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
内層基板と第1の樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃〜160℃、より好ましくは80℃〜140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa〜1.77MPa、より好ましくは0.29MPa〜1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間〜400秒間、より好ましくは30秒間〜300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施する。
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された第1の樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
<工程(B)>
工程(B)では、第1の樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する。第1の樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は好ましくは120℃〜240℃、より好ましくは150℃〜220℃、さらに好ましくは170℃〜210℃である。硬化時間は好ましくは5分間〜120分間、より好ましくは10分間〜100分間、さらに好ましくは15分間〜100分間とすることができる。
第1の樹脂組成物層を熱硬化させる前に、第1の樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、第1の樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上115℃以下、より好ましくは70℃以上110℃以下)の温度にて、第1の樹脂組成物層を5分間以上(好ましくは5分間〜150分間、より好ましくは15分間〜120分間、さらに好ましくは15分間〜100分間)予備加熱してもよい。
<工程(C)>
工程(C)では、第1の支持体を除去する。
第1の支持体の除去は、従来公知の任意好適な方法により剥離除去することができ、自動剥離装置により機械的に剥離除去してもよい。かかる工程(C)の実施により、形成された絶縁層の表面が露出する。
<工程(D)>
工程(D)では、第2の樹脂シートを、第2の樹脂組成物層を絶縁層側に向けて絶縁層上に積層し、第2の樹脂組成物層を熱硬化し、第2の支持体を除去する。この際、絶縁層と第2の樹脂組成物層との間に導体層等の任意の層が設けられていてもよい。工程(D)を実施することで、第2の樹脂組成物層が硬化して別の絶縁層がさらに得られるので、絶縁層を多段積層することが可能となる。工程(D)において使用される第2の樹脂シートは本発明の樹脂シートであり、上記したとおりである。第2の樹脂シートは、第1の樹脂シートと同一であってもよく、異なっていてもよい。また、工程(D)を2回以上繰り返して行うにあたって、工程(D)にてそれぞれ用いる第2の樹脂シートは同一であってもよく、異なっていてもよい。
工程(D)における、絶縁層と第2の樹脂シートの接合(積層)は、工程(A)における内層基板と第1の樹脂シートの接合と同様である。また、第2の樹脂組成物層の熱硬化条件は、工程(B)における第1の樹脂組成物層の熱硬化条件と同様である。さらに、第2の支持体の除去は、第1の支持体と同じ方法で行いうる。工程(D)は、2回以上繰り返し、3回以上繰り返すことが好ましく、4回以上繰り返すことがより好ましく、5回以上繰り返すことが特に好ましい。
前記の工程(D)は、工程(A)から工程(C)によって形成された絶縁層の端部と、当該工程(D)でその絶縁層上に積層される第2の樹脂シートの第2の樹脂組成物層の端部とが、略重なるように行うことが好ましい。具体的には、工程(A)から工程(C)によって形成された絶縁層の端部と、工程(D)で積層される第2の樹脂組成物層の端部との距離が、厚み方向から見て、特定の範囲にあることが好ましい。前記の範囲は、好ましくは0〜10mm、より好ましくは0〜5mm、特に好ましくは0〜3mmである。このような場合、従来の技術では、アンジュレーションが特に大きくなり易かった。しかし、本発明の製造方法によれば、このように絶縁層の端部と第2の樹脂組成物層の端部とが略重なるように多段積層を行った場合でも、アンジュレーションの効果的な抑制が可能である。
<その他の工程>
プリント配線板を製造するに際しては、工程(E)絶縁層に穴あけする工程、工程(F)絶縁層を粗化処理する工程、工程(G)絶縁層表面に導体層を形成する工程をさらに実施してもよい。これらの工程(E)乃至工程(G)は、プリント配線板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。
また、工程(E)から工程(G)を、工程(C)と工程(D)との間に実施し、繰り返し実施してもよい。工程(E)から工程(G)を繰り返す回数は、工程(C)から工程(D)を繰り返す回数と同様である。
工程(E)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホールを形成することができる。穴あけする工程は、例えば、ドリル、レーザー(炭酸ガスレーザー、YAGレーザー等)、プラズマ等を使用して実施することができる。
工程(F)は、絶縁層を粗化処理する工程である。通常、この工程(F)において、スミアの除去も行われる。粗化処理の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。粗化処理に用いる膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」、「スウェリングディップ・セキュリガントP」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃〜90℃の膨潤液に絶縁層を1分間〜20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃〜80℃の膨潤液に絶縁層を5分間〜15分間浸漬させることが好ましい。粗化処理に用いる酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃〜100℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間〜30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%〜10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、粗化処理に用いる中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃〜80℃の中和液に1分間〜30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃〜70℃の中和液に5分間〜20分間浸漬する方法が好ましい。
一実施形態において、粗化処理後の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは300nm以下、より好ましくは250nm以下、さらに好ましくは200nm以下である。下限については特に限定されないが、好ましくは30nm以上、より好ましくは40nm以上、さらに好ましくは50nm以上である。絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)は、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
工程(G)は、導体層を形成する工程であり、絶縁層上に導体層を形成する。導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に3μm〜35μm、好ましくは5μm〜30μmである。
一実施形態において、導体層は、めっきにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にめっきして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができ、製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法により形成することが好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
まず、絶縁層の表面に、無電解めっきによりめっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
本発明のプリント配線板の製造方法は、樹脂シートの代わりに本発明のロール状樹脂シートを用いてプリント配線板を製造してもよい。
上述した製造方法によれば、多段積層してもアンジュレーションが抑制された絶縁層を備えるプリント配線板を得ることができる。上述した製造方法によって製造されるプリント配線板の絶縁層のアンジュレーションは、好ましくは2μm以下、より好ましくは1.5μm以下、特に好ましくは1μm以下である。下限は特に制限はないが、0μm以上等としうる。
[半導体装置]
本発明の製造方法により得られたプリント配線板を用いて、かかるプリント配線板を含む半導体装置を製造することができる。
半導体装置の例としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
<最低溶融粘度の測定>
下記の実施例及び比較例で作製された樹脂シートの樹脂組成物層について、動的粘弾性測定装置(ユー・ビー・エム社製「Rheosol−G3000」)を使用して溶融粘度を測定した。樹脂組成物1gを試料として、直径18mmのパラレルプレートを使用して、開始温度60℃から200℃まで昇温速度5℃/分にて昇温し、測定温度間隔2.5℃、振動1Hz、歪み1degの測定条件にて動的粘弾性率を測定し、最低溶融粘度(ポイズ)を確認した。
<ブリードアウト量の測定>
評価基板Bの絶縁層の端部の形状の観察は、下記の手順に従って行った。支持体の端部近傍のCCD観察を行い、支持体端部からブリードアウトした樹脂の端部までの距離(mm)を測定した。
<アンジュレーションの測定>
評価基板Bの絶縁層の端部の形状の観察は、下記の手順に従って行った。支持体の端部近傍の絶縁層について、絶縁層を切断した断面のSEM観察を行い、絶縁層の最上部、すなわち支持体の最下部の高さから絶縁層の支持体と接合している表面までの距離(高さ)を算出した(μm)。SEM観察は、日立ハイテクノロジーズ社製「S−4800」を用いて行った。
また、ブリードアウト量及びアンジュレーションの測定において、以下の基準で評価した。
〇:ブリードアウト量が0mm、且つアンジュレーションが2μm以下
△:ブリードアウト量が0mm、又はアンジュレーションが2μm以下
×:ブリードアウト量が0mmを超える、且つアンジュレーションが2μmを超える
<実施例1>
(1)支持体の調製
アルキド樹脂系離型層付きPETフィルム(リンテック社製「AL−5」、厚さ38μm、以下「離型PETフィルム」という。)を、PETフィルムのTD方向が鉛直方向に沿う方向となるようにTD方向の一方の側の端縁を固定し、PETフィルム全体に均一に張力がかかるように吊るした後、TD方向の他方の側の端縁にPETフィルム全体に均一に張力がかかるように金属板を錘として設置した。その際、金属板の重量を調整して、20gf/cmの張力がかかるようにした。大気雰囲気で常圧下、予備加熱温度130℃、加熱時間30分にて20gf/cmの張力をかけながら加熱する予備加熱処理を行うことにより、支持体を得た。
(2)樹脂ワニスAの調製
ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量約290g/eq.、日本化薬社製「NC3000H」)30部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量162g/eq.、DIC社製「HP−4700」)5部、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180g/eq.、三菱ケミカル社製「jER828EL」)15部、及びフェノキシ樹脂(重量平均分子量35000、三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、不揮発成分30質量%のメチルエチルケトン(MEK)溶液)2部を、MEK8部及びシクロヘキサノン8部の混合溶剤に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、トリアジン骨格含有フェノールノボラック系硬化剤(フェノール性水酸基当量約124g/eq.、DIC社製「LA−7054」、不揮発成分60質量%のMEK溶液)32部、リン系硬化促進剤(北興化学工業社製「TBP−DA」、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩)0.2部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学社製「KBM573」)で表面処理した球状シリカ(アドマテックス社製「SOC2」、平均粒径0.5μm)160部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(重量平均分子量27000、ガラス転移温度105℃、積水化学工業社製「KS−1」、不揮発成分15質量%のエタノールとトルエンとの質量比が1:1の混合溶液)2部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスAを調製した。樹脂ワニスA中の不揮発成分の合計質量を100質量%としたとき、無機充填材(球状シリカ)の含有量は、69.4質量%であった。
(3)樹脂シートの作製
上記(1)で調製した支持体の離型層上に、上記(2)で調製した樹脂ワニスAをダイコーターにて端部の余白部が幅方向に幅0.5mm、樹脂組成物層の幅が506mm、中央余白部が1mm、樹脂組成物層の幅が506mm、余白部が0.5mmになるように樹脂ワニスAを均一に塗布した。塗布後、80℃〜120℃(平均100℃)で6分間乾燥させて支持体に接合している樹脂組成物層を形成した。得られた樹脂組成物層の厚さは40μmであり、残留溶剤量は約2質量%であった。次いで、樹脂組成物層に、保護フィルムとしてポリプロピレンフィルム(厚さ15μm)を貼り合わせながらロール状に巻き取った。得られたロール状の樹脂シートの長さ方向(長手方向)を、中央余白部の中央でスリットし、幅方向は幅336mmにスリットして、両端部に0.5mmの余白部があり寸法507mm×336mmの樹脂シートを得た。
[評価基板の作製]
(1)内層基板の準備
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅層の厚さ18μm、基板の厚さ0.8mm、パナソニック電工社製「R1515A」)を内層基板として用意した。内層基板の両面を、マイクロエッチング剤(メック社製「CZ8100」)に浸漬することにより銅層の表面の粗化処理を行った。
(2)樹脂シートの積層
樹脂シートを、バッチ式真空加圧ラミネーター(名機製作所社製「MVLP−500」)を用いて、樹脂組成物層が内層基板と接合するように、内層基板の両面にラミネート処理した。ラミネート処理は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、100℃、圧力0.74MPaで30秒間圧着することにより行った。なお、樹脂シートは、保護フィルムを剥離してから用いた。
(3)樹脂組成物層の熱硬化
樹脂シートの積層後、支持体を付けたまま、100℃で30分間加熱し、次いで180℃で30分間加熱する条件で樹脂組成物層を熱硬化することにより絶縁層を形成した。得られた絶縁層の銅層の直上の厚さは40μmであった。得られた構造体を評価基板Aと称する。
(4)2層目以降の絶縁層の形成
上記(3)で得られた評価基板Aから支持体を剥離した後、硬化した絶縁層と同じ大きさの樹脂シートを、上記(2)及び(3)と同様にして3回繰り返し、絶縁層を4層形成した。得られた構造体を評価基板Bと称する。
<実施例2>
実施例1において、樹脂シートの両端の余白部の幅を0.5mmから1mmに変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
<実施例3>
実施例1において、樹脂シートの両端の余白部の幅を0.5mmから2mmに変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
<実施例4>
実施例1において、樹脂シートの両端の余白部の幅を0.5mmから4mmに変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
<実施例5>
実施例1において、樹脂ワニスAを以下のように調製した樹脂ワニスBに変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
−樹脂ワニスBの調製−
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量180g/eq.、三菱ケミカル社製「jER828EL」)28部、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂(エポキシ当量163g/eq.、DIC社製「HP−4700」)28部を、メチルエチルケトン(MEK)15部及びシクロヘキサノン15部の混合溶剤に撹拌しながら加熱溶解させた。そこへ、ノボラック構造を有するナフトール系硬化剤(フェノール性水酸基当量215g/eq.、新日鉄住金化学社製「SN−485」、不揮発成分50%のMEK溶液)110部、硬化促進剤(四国化成工業社製「2E4MZ」)0.1部、球形シリカ(アドマテックス社製「SOC2」、平均粒径0.5μm)70部、ポリビニルブチラール樹脂溶液(積水化学工業社製「KS−1」、ガラス転移温度105℃、不揮発成分15%のエタノールとトルエンの1:1の混合溶液)35部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスBを調製した。樹脂ワニスB中の無機充填材の含有量は、樹脂ワニスB中の不揮発成分を100質量%としたとき、38質量%であった。
<実施例6>
実施例5において、樹脂シートの両端の余白部の幅を0.5mmから1mmに変えた。以上の事項以外は実施例5と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
<実施例7>
実施例5において、樹脂シートの両端の余白部の幅を0.5mmから2mmに変えた。以上の事項以外は実施例5と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
<実施例8>
実施例5において、樹脂シートの両端の余白部の幅を0.5mmから4mmに変えた。以上の事項以外は実施例5と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
<実施例9>
実施例1において、積層数を4層から5層に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
<実施例10>
実施例9において、樹脂シートの両端の余白部の幅を0.5mmから4mmに変えた。以上の事項以外は実施例9と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
<実施例11>
実施例5において、積層数を4層から5層に変えた。以上の事項以外は実施例5と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
<実施例12>
実施例11において、樹脂シートの両端の余白部の幅を0.5mmから4mmに変えた。以上の事項以外は実施例11と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
<実施例13>
実施例1において、積層数を4層から6層に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
<実施例14>
実施例13において、樹脂シートの両端の余白部の幅を0.5mmから4mmに変えた。以上の事項以外は実施例13と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
<実施例15>
実施例5において、積層数を4層から6層に変えた。以上の事項以外は実施例5と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
<実施例16>
実施例15において、樹脂シートの両端の余白部の幅を0.5mmから4mmに変えた。以上の事項以外は実施例15と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
<比較例1>
実施例1において、樹脂シートの両端の余白部の幅を0.5mmから0mmに変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
<比較例2>
実施例5において、樹脂シートの両端の余白部の幅を0.5mmから0mmに変えた。以上の事項以外は実施例5と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
<比較例3>
実施例9において、樹脂シートの両端の余白部の幅を0.5mmから0mmに変えた。以上の事項以外は実施例9と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
<比較例4>
実施例11において、樹脂シートの両端の余白部の幅を0.5mmから0mmに変えた。以上の事項以外は実施例11と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
<比較例5>
実施例13において、樹脂シートの両端の余白部の幅を0.5mmから0mmに変えた。以上の事項以外は実施例13と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
<比較例6>
実施例15において、樹脂シートの両端の余白部の幅を0.5mmから0mmに変えた。以上の事項以外は実施例15と同様にして樹脂シートの作製、積層を行った。
Figure 2021163767
Figure 2021163767
Figure 2021163767
実施例1〜16は、ブリードアウト量が0mmであり、また、アンジュレーションが2μm以下であることがわかる。これにより、絶縁層を3層以上の多段積層して製造したプリント配線板の歩留まりが向上することがわかる。これに対し、余白部がない比較例1〜6は、ブリードアウト量が0mmを超え、また、アンジュレーションが2μmを超えていることから、実施例1〜16よりも歩留まりが劣ったことがわかる。
1 樹脂シート
11 樹脂シート
2 支持体
3 樹脂組成物層
4 余白部
21、22、27、28 端部
23、24、25、26 辺
10 内層基板

Claims (12)

  1. (A)第1の支持体と、該第1の支持体上に設けられている第1の樹脂組成物層とを含む第1の樹脂シートを、該第1の樹脂組成物層が内層基板と接合するように、該内層基板に積層する工程、
    (B)第1の樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程、
    (C)第1の支持体を除去する工程、及び
    (D)第2の支持体と、該第2の支持体上に設けられている第2の樹脂組成物層とを含む第2の樹脂シートを、第2の樹脂組成物層を絶縁層側に向けて絶縁層上に積層し、第2の樹脂組成物層を熱硬化し、第2の支持体を除去する工程、をこの順で含み、
    工程(D)は、2回以上繰り返して行い、
    第1の支持体は、第1の樹脂組成物層が設けられていない第1の余白部を、第1の支持体の2以上の端部に有し、
    第2の支持体は、第2の樹脂組成物層が設けられていない第2の余白部を、第2の支持体の2以上の端部に有する、プリント配線板の製造方法。
  2. 工程(D)を3回以上繰り返して行う、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
  3. 第1の支持体が、厚み方向から見て矩形であり、第1の余白部が、第1の支持体の2辺以上の端部に形成されている、請求項1又は2に記載のプリント配線板の製造方法。
  4. 第1の余白部が、第1の支持体の一辺の端部と、この辺とは反対側の辺の端部とに形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  5. 第1の余白部が、第1の支持体の一辺の端部と、この辺とは反対側の辺の端部とに形成されており、これら2つの第1の余白部の幅が略同一である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  6. 第1の余白部の幅が、0.1mm以上10mm以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  7. 第1の樹脂組成物層の最低溶融粘度が、10poise以上1000000poise以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  8. 第2の支持体が、厚み方向から見て矩形であり、第2の余白部が、第2の支持体の2辺以上の端部に形成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  9. 第2の余白部が、第2の支持体の一辺の端部と、この辺とは反対側の辺の端部とに形成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  10. 第2の余白部が、第2の支持体の一辺の端部と、この辺とは反対側の辺の端部とに形成されており、これら2つの第2の余白部の幅が略同一である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  11. 第2の余白部の幅が、0.1mm以上10mm以下である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
  12. 第2の樹脂組成物層の最低溶融粘度が、10poise以上1000000poise以下である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
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