JP2021163540A - 発熱シートおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】柔軟性があり、発熱効率が高い発熱シートの提供。【解決手段】樹脂製支持体と、前記支持体の上に形成された、厚さ10〜150μmの発熱層と相互に離間して前記発熱層に接続された複数の電極とを具備し、前記電極の外部回路への接続部以外が、絶縁性被覆で封止され、全体の最大厚さが500μm以下であることを特徴とする、発熱シート。このシートの発熱層は、コロナ放電処理された樹脂製支持体の上に導電性材料を含む水性組成物を塗布することで形成される。【選択図】図1
Description
本発明は、発熱シートおよびその製造方法に関するものである。より詳細には、発熱効率が高い発熱シートと、その発熱シートを歩留まりよく、簡便に製造する方法に関するものである。
従来、各種の発熱シートが開発され、建築用途、土木用途、暖房器具、工業材料の加熱または保温などに用いられている。具体的には、家屋の屋根や壁面、あるいは路面下などに融雪用の発熱シートが埋設されたり、ドラム缶など巻き付けられて、内部の液状材料の凍結防止に用いられている。これらの発熱シートは、その多くがゴム状支持体または金属板支持体を具備するものである。しかし、そのようなゴム状支持体を具備する発熱シートは、鋭利な形状を有する硬質材料に接触すると破損することがあり、金属板支持体を具備するものは、配置の自由度が低く、取り扱い性が悪いことがあった。また、発熱シートの体積が大きくなるため、単位体積あたりの発熱量も十分高くすることも困難であった。
このような観点から、柔軟性樹脂を支持体とする発熱シートが検討されている。しかしながら、樹脂支持体上に水性組成物を均一に塗布することが困難であるため、樹脂支持体上に均一な発熱層を形成するために、有機溶剤や有機材料を用いていることが一般的であった。この結果、有機溶剤等が樹脂支持体にダメージを与えて、電流リークの原因となったり、発熱層に有機材料など導電性を低下させる材料が比較的多量に存在して発熱効率が不十分となったりすることがあった。
このような観点から、柔軟性があり、単位体積あたりの発熱量が高い発熱シート、およびそのような発熱シートを簡便かつ低コストで製造する方法が望まれていた。
本発明による発熱シートは、
樹脂製支持体と、
前記支持体の上に形成された、厚さ10〜150μmの発熱層と
離間して前記発熱層に接続された複数の電極と
を具備し、前記電極の外部回路への接続部以外が、絶縁性被覆で封止され、全体の最大厚さが500μm以下であることを特徴とするものである。
樹脂製支持体と、
前記支持体の上に形成された、厚さ10〜150μmの発熱層と
離間して前記発熱層に接続された複数の電極と
を具備し、前記電極の外部回路への接続部以外が、絶縁性被覆で封止され、全体の最大厚さが500μm以下であることを特徴とするものである。
また、本発明による発熱シートの製造方法は、
樹脂製支持体を準備し、
前記樹脂製支持体の表面をコロナ処理し、
コロナ処理後の前記樹脂製支持体の表面に導電性物質を含む水性組成物を塗布して発熱層を形成し、
複数の電極を相互に離間して前記発熱層に接続し、
前記支持体、前記発熱層、および前記電極を絶縁性被覆で封止することを含むものである。
樹脂製支持体を準備し、
前記樹脂製支持体の表面をコロナ処理し、
コロナ処理後の前記樹脂製支持体の表面に導電性物質を含む水性組成物を塗布して発熱層を形成し、
複数の電極を相互に離間して前記発熱層に接続し、
前記支持体、前記発熱層、および前記電極を絶縁性被覆で封止することを含むものである。
本発明によれば、柔軟性があり、発熱効率が高い発熱シートが提供される。このような発熱シートは、建築材料として、融雪用途あるいは暖房用途など、広い範囲に高い自由度で利用することができる。また、土木用途においては、静的破砕方法に採用することで、効率のよい静的破砕が可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
[発熱シート]
図1は、本発明による発熱シートの一例の斜視図である。この発熱シート100は、樹脂製の支持体101と、その上に形成された発熱層102と、発熱層に接続された複数の電極103と、これらを封止する絶縁性被覆104を具備している。以下、これらの各部材について詳述する。
図1は、本発明による発熱シートの一例の斜視図である。この発熱シート100は、樹脂製の支持体101と、その上に形成された発熱層102と、発熱層に接続された複数の電極103と、これらを封止する絶縁性被覆104を具備している。以下、これらの各部材について詳述する。
(a)樹脂製支持体
発熱シートに使用する樹脂製支持体101は、柔軟性がある樹脂であれば特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETということがある)、ポリエチレンナフタレート、ポリエステル、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。これらのうち、耐熱性やコストの観点から、PETが好ましい。
発熱シートに使用する樹脂製支持体101は、柔軟性がある樹脂であれば特に限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETということがある)、ポリエチレンナフタレート、ポリエステル、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。これらのうち、耐熱性やコストの観点から、PETが好ましい。
樹脂製支持体の厚さは、発熱シート全体の厚さを考慮して決定される。樹脂製支持体の厚さが薄いほど、発熱シート全体の厚さも薄くなるので好ましい。一方で、樹脂製支持体は、その表面に発熱層を形成させ、またそれを担持する必要がある。また、後述するように、樹脂製支持体が発熱層などを封止する絶縁性被覆としての役割を有することもある。これらの観点から、樹脂製支持体の厚さは50〜300μmであることが好ましく、100〜200μmであることがより好ましい。
また、樹脂製支持体は、その表面の濡れ性が高いものが好ましい。具体的には、25℃における水の接触角が80°以下であることが好ましく、60°以下であることがより好ましく、45°以下であることが特に好ましい。このような樹脂製支持体は、樹脂製支持体の表面をコロナ処理することで得ることができる。ここで、コロナ処理とは、コロナ放電照射により物質(基材)の表面を改質させる表面処理技術である。コロナ処理によって、支持体表面に極性官能基を導入させることで親水性を向上させ、水の接触角を小さくすることができる。このような支持体を用いることで、厚さが均一な発熱層を形成させることができる。
(b)発熱層
本発明において発熱層102は、電圧を印加することによって発熱する導電性物質を含む。このような導電性物質としては、炭素系導電粒子(黒鉛、グラフェン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ)、金属粒子(ニッケル、銀、銅等)、セラミック系導電粒子(炭化タングステン、窒化チタン、窒化ジルコニウム、炭化チタン)等が挙げられる。これらのうち、耐久性や耐腐食性に優れる点や超微粒子として使用しやすい点から、炭素系導電粒子が好ましい。
本発明において発熱層102は、電圧を印加することによって発熱する導電性物質を含む。このような導電性物質としては、炭素系導電粒子(黒鉛、グラフェン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ)、金属粒子(ニッケル、銀、銅等)、セラミック系導電粒子(炭化タングステン、窒化チタン、窒化ジルコニウム、炭化チタン)等が挙げられる。これらのうち、耐久性や耐腐食性に優れる点や超微粒子として使用しやすい点から、炭素系導電粒子が好ましい。
本発明において、発熱層は、前記導電性物質の含有量が多いことが好ましく、それ以外の成分、例えば有機材料の含有率が低いことが好ましい。有機材料の含有率が高いと、通電時の電気抵抗が高くなり発熱効率が低くなるためである。具体的には、導電性物質の含有量が、発熱層の総質量を基準として、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。導電性物質として、それ自身が堅牢な膜を形成することが困難な材料、例えば炭素系導電粒子やセラミック系導電粒子を用いると、発熱層の堅牢性が低くなる傾向にある。従来の発熱シートでは、発熱層の堅牢性を保つために接着剤やバインダーを混合することが一般的に行われるが、本発明においては、発熱層が絶縁性被覆によって封止されるので、発熱層そのものの堅牢性は問題とはならないため、導電性物質以外の材料は積極的に除外される。
発熱層の厚さは、発熱シート全体の厚さと、発熱効率とを考慮して決定される。本発明においては、単位体積あたりの発熱量を高く維持するために、発熱層の厚さは10〜150μmであり、好ましくは10〜100μnmであり、より好ましくは10〜50μmである。
(c)電極
本発明における発熱シートは、発熱層102に電圧を印加するための電極103を複数有している。図1に記載された発熱シートは直線上の電極を2つ具備しているものであるが、電極の形状は特に限定されない。例えば、櫛形の電極を2つ組み合わせることや、同心円状に電極を配置すること有効である。しかしながら、発熱層全体にわたって、平均的に発熱させるためには、図1に示されるように、直線上の電極が平行に配置されることが好ましい。また、電極を3つ以上、平行に配置し、隣接する電極間に相互に電圧を印加することもできる。
本発明における発熱シートは、発熱層102に電圧を印加するための電極103を複数有している。図1に記載された発熱シートは直線上の電極を2つ具備しているものであるが、電極の形状は特に限定されない。例えば、櫛形の電極を2つ組み合わせることや、同心円状に電極を配置すること有効である。しかしながら、発熱層全体にわたって、平均的に発熱させるためには、図1に示されるように、直線上の電極が平行に配置されることが好ましい。また、電極を3つ以上、平行に配置し、隣接する電極間に相互に電圧を印加することもできる。
図1において、電極は発熱層の表面に配置されている。この断面形状は図2に示されるものである。これに対して、電極を図3に示すように、発熱層の側面に配置することも可能である。
電極は、金属の薄板またはテープを貼り付けて形成させたり、導電性塗料を塗布して形成させたりすることができる。具体的には、導電性片面銅箔テープ、銀ペースト等が用いられる。
電極は、発熱層に電圧を印加するために外部回路に接続される。本発明による発熱シートは、後述する絶縁樹脂によって、全体的に封止されているが、電極の一部を、絶縁性樹脂の被覆の外部に露出させたり、電極に接続されたリード線の端部が絶縁性樹脂の被覆の外部に露出させたりすることで、外部回路との接続を実現している。
(c)絶縁性被覆
絶縁性被覆104は、樹脂製支持体、発熱層、および電極を被覆するものである。この被覆は、主として発熱シートからの漏電を防ぐものであるが、同時に、発熱シートに耐水性をもたせるために、防水機能を併せ持つものが好ましい。具体的には、絶縁性被覆を構成する絶縁性材料は、前記した樹脂製支持体にあげたものと同様の樹脂から選択することができる。具体的には、PETが好ましく用いられる。なお、図1においては、便宜的に絶縁性材料は透明であり、内部構造が外部から視認可能なものとしているが、不透明なものであってもよい。
絶縁性被覆104は、樹脂製支持体、発熱層、および電極を被覆するものである。この被覆は、主として発熱シートからの漏電を防ぐものであるが、同時に、発熱シートに耐水性をもたせるために、防水機能を併せ持つものが好ましい。具体的には、絶縁性被覆を構成する絶縁性材料は、前記した樹脂製支持体にあげたものと同様の樹脂から選択することができる。具体的には、PETが好ましく用いられる。なお、図1においては、便宜的に絶縁性材料は透明であり、内部構造が外部から視認可能なものとしているが、不透明なものであってもよい。
絶縁性被覆は、2枚の絶縁性材料からなるシートに、前記の支持体、発熱層、および電極からなる複合体(以下、単に複合体ということがある)を挟み込んで貼り合わせたり、溶融した絶縁性材料中に複合体を浸漬したりすることで形成することができる。また、さらに、樹脂製支持体を絶縁性被覆の一部とすることができる。すなわち、図4に示すように、樹脂製支持体の上に発熱層と電極を形成し、さらにその上を絶縁性被覆で覆うことによって、本発明による発熱シートとすることができる。
なお、絶縁性材料として、樹脂製支持体と同じ材料を用いることで、支持体との親和性を向上させ、発熱シートの一体性を改善させることもできる。
(d)接着層
本発明による発熱シートは、必要に応じて、接着層105をさらに具備することができる。この接着層は、発熱層、電極、または樹脂製支持体、特に発熱層、と、絶縁性被覆との密着性、あるいは絶縁性被覆(絶縁性材料からなるシート)同士の密着性を改善するための層である。このような接着層を設けることで、本発明による発熱シートの堅牢性がさらに改善される。図5に、発熱層の上に接着層を設けた発熱シートの断面図を示す。
本発明による発熱シートは、必要に応じて、接着層105をさらに具備することができる。この接着層は、発熱層、電極、または樹脂製支持体、特に発熱層、と、絶縁性被覆との密着性、あるいは絶縁性被覆(絶縁性材料からなるシート)同士の密着性を改善するための層である。このような接着層を設けることで、本発明による発熱シートの堅牢性がさらに改善される。図5に、発熱層の上に接着層を設けた発熱シートの断面図を示す。
接着層は、特に複合体を絶縁性材料からなるシートで挟み込んだり、複合体に絶縁性シートを貼り合わせる場合に有用である。このような接着層は、接着剤により形成されるが、耐熱性及び耐水性に優れ、かつ柔軟性の高い接着層を形成できる材料を用いることが好ましい。このような材料としてウレタン系高分子材料が好ましく用いられる。ウレタン系高分子材料からなる接着層は、一般的なウレタン系接着剤により形成することができるが、空気中の水分と反応して硬化する一液型接着剤で形成させるのが便利である。
本発明による発熱シートは、上記した構成を有するものであるが、その最大厚さが薄いことを1つの特徴とする。具体的には、最大厚さが500μm以下であり、好ましくは200μm以下である。そして、一般的には厚さが薄いほど発熱量が少なくなるが、本発明による発熱シートは、単位体積あたりの温度上昇速度が高く、好ましくは0.20℃/mm3・min以上、より好ましくは0.25℃/mm3・min以上であるため、全体の発熱量は従来の発熱シートよりも優れている。
ここで発熱シートの単位体積あたりの温度上昇速度は、室温、例えば20℃の環境下において、発熱シートに電力15Wを通電した際の発熱温度(4分割)をサーモグラフィカメラにより1分経過時の温度を測定し、4点の発熱温度を平均することで温度上昇幅を測定し、その温度上昇幅を発熱シートの体積で除することで決定することができる。
[発熱シートの製造方法]
本発明による発熱シートは、任意の方法により製造することができるが、例えば、
樹脂製支持体を準備し、
前記樹脂製支持体の表面をコロナ処理し、
コロナ処理後の前記樹脂製支持体の表面に導電性物質を含む水性組成物を塗布して発熱層を形成し、
複数の電極を相互に離間して前記発熱層に接続し、
前記支持体、前記発熱層、および前記電極を絶縁性被覆で封止することにより製造することができる。
本発明による発熱シートは、任意の方法により製造することができるが、例えば、
樹脂製支持体を準備し、
前記樹脂製支持体の表面をコロナ処理し、
コロナ処理後の前記樹脂製支持体の表面に導電性物質を含む水性組成物を塗布して発熱層を形成し、
複数の電極を相互に離間して前記発熱層に接続し、
前記支持体、前記発熱層、および前記電極を絶縁性被覆で封止することにより製造することができる。
樹脂製支持体は、一般的に市販されているものから、柔軟性、厚さ、色など任意のものを用いることができる。
この樹脂製支持体の濡れ性を改良し、水性組成物が均一に塗布できるように、その表面をコロナ処理する。コロナ処理は、高周波電源装置によって、指示体表面にコロナ放電照射することにより行われるものであり、電圧や周波数は、目的に応じて任意に調整することができる。
次いで、導電性物質を含む水性組成物を支持体表面に塗布する。水性組成物は、導電性物質と水とを含むものであり、固形分含有量の90質量%以上が導電性物質であることが好ましい。この水性組成物は、接着剤やバインダーなどの有機材料の含有量が少ないことが好ましく、例えば有機材料の含有率が20質量%以下であることが好ましい。特に、導電性物質に不可避的に含まれる有機材料以外の有機材料を含まないことが好ましい。
塗布方法として、例えば、ハケ塗り、ローラー塗り、バーコーター、スプレー吹付、スクリーン印刷、グラビア印刷、コーティング印刷が挙げられる。水溶性発熱塗料の塗布厚としては、乾燥後の発熱層の厚さで10〜150μmとなるように調整されることが好ましい。
必要に応じて、加熱して乾燥した後、発熱層に電極を接続する。電極は、金属テープを貼り付けたり、銀ペーストを塗布することにより形成させる。
次いで、必要に応じて接着層を設けた後、絶縁性被覆で封止することで、本発明による発熱シートを得ることができる。絶縁性被覆は、樹脂フィルムを用いてラミネート加工することによって形成させたり、樹脂材料を塗布して硬化させて形成させたりすることで形成させることができる。
[発熱シートの利用方法]
本発明による発熱シートは、発熱させるに際して、外部回路に接続する必要がある。
具体的には、発熱シートに、例えば安定化電源装置やDCアダプターによる直流電流または、交流電流によって電力が供給されることで、発熱させることができる。このとき温度コントローラーを使用して、発熱シートの温度を制御することもできる。例えば熱電対などを発熱シートに密着させ、温度を観測しながら電圧を調整したり、あらかじめ電圧に対する発熱または温度の検量線を作成しておき、それに応じて電流を調整することで、所望の発熱量を得ることができる。
本発明による発熱シートは、発熱させるに際して、外部回路に接続する必要がある。
具体的には、発熱シートに、例えば安定化電源装置やDCアダプターによる直流電流または、交流電流によって電力が供給されることで、発熱させることができる。このとき温度コントローラーを使用して、発熱シートの温度を制御することもできる。例えば熱電対などを発熱シートに密着させ、温度を観測しながら電圧を調整したり、あらかじめ電圧に対する発熱または温度の検量線を作成しておき、それに応じて電流を調整することで、所望の発熱量を得ることができる。
本発明の発熱シートは、耐水性に優れている。このため、水やスラリー中でも使用することができる。また、柔軟性を有するため、曲面形状を有する箇所にも効率良く加熱することができる。発熱シートの厚さは用途によっても異なるが、本発明の発熱シートは、薄くても効率良く発熱させることが可能である。従って、床、壁等の暖房等の建築用途、土木融雪・凍結防止用、静的破砕方法用等の土木用途等各種用途に活用することができる。特に、単位体積あたりの発熱量が多く、また温度制御が可能であるため、静的破砕方法に有効に利用することができる。
[実施例]
(発熱シート1および2の製造)
導電性炭素系粒子を含む発熱塗料Carbo e−ThermACR−120 1W(商品名、Future Carbon社製、使用温度範囲120℃以下)を、コロナ処理を施したPETフィルム上にグラビア印刷により塗工して、乾燥させて、発熱層を形成させた。乾燥後の発熱層の厚さは25μm、表面抵抗値は8.3Ω/□であった。
(発熱シート1および2の製造)
導電性炭素系粒子を含む発熱塗料Carbo e−ThermACR−120 1W(商品名、Future Carbon社製、使用温度範囲120℃以下)を、コロナ処理を施したPETフィルム上にグラビア印刷により塗工して、乾燥させて、発熱層を形成させた。乾燥後の発熱層の厚さは25μm、表面抵抗値は8.3Ω/□であった。
塗布後のフィルムを裁断し、導電性銅箔テープ(3M社製、テープ厚さ0.07mm)を電極として貼り付け、さらに、絶縁・防水加工としてラミネート(150μm)加工によりPETフィルムで全体を被覆し、発熱シート1および2を得た。得られた発熱シート1は短冊状(幅:20mm×長さ:290mm)、発熱シート2はシート状(幅:210mm×長さ:290mm)とした。これらの発熱シートの厚さはいずれも0.18mmであった。
(比較用発熱シート)
比較用発熱シートとして、発熱シート1および2と同程度の大きさであるシリコンラバーヒーターR1およびR2(株式会社八光電機製、厚さ1.5mm)を準備した。
比較用発熱シートとして、発熱シート1および2と同程度の大きさであるシリコンラバーヒーターR1およびR2(株式会社八光電機製、厚さ1.5mm)を準備した。
(発熱シートの評価)
各発熱シートを使用し、非接触式温度測定器で発熱特性(電圧・電流と発熱量の関係)を確認した。得られた結果は表1および図6および7に示すとおりであった。なお、発熱シート1およびR1の単位体積あたりの温度上昇速度はそれぞれ、0.25℃/mm3・minおよび、0.0024℃/mm3・minであった。
各発熱シートを使用し、非接触式温度測定器で発熱特性(電圧・電流と発熱量の関係)を確認した。得られた結果は表1および図6および7に示すとおりであった。なお、発熱シート1およびR1の単位体積あたりの温度上昇速度はそれぞれ、0.25℃/mm3・minおよび、0.0024℃/mm3・minであった。
発熱シート1およびR1を比較すると、本発明による発熱シート1は、比較発熱シートR1に比べて短時間で高温に達することがわかる。具体的には、低電力(5〜15W)程度で40〜110℃程度まで発熱しており、特に15Wの電力を発熱シートに印加することにより60秒で、用いられた発熱塗料の最高使用温度の100℃に達することが確認された。また、面積が広いシート状の発熱シート2およびR2も同様の傾向であり、本発明による発熱シートは短時間で高温に達し、到達温度も高いことが確認された。
また、発熱シート1およびR1に消費電力15Wの電力を印加したときの温度分布をサーモグラフィーカメラが観察した。得られた結果は図8に示すとおりであった。本発明による発熱シートは、シート全体が均一に発熱していることが確認された。さらに、発熱シート2およびR2に消費電力60Wの電力を印加したときの温度分布は図9に示すとおりであった。シートの面積が広い場合でも、本発明による発熱シートは均一に発熱することが確認された。
100 発熱シート
101 樹脂製支持体
102 発熱層
103 電極
104 絶縁性被覆
105 接着層
101 樹脂製支持体
102 発熱層
103 電極
104 絶縁性被覆
105 接着層
Claims (8)
- 樹脂製支持体と、
前記支持体の上に形成された、厚さ10〜150μmの発熱層と
相互に離間して前記発熱層に接続された複数の電極と
を具備し、前記電極の外部回路への接続部以外が、絶縁性被覆で封止され、全体の最大厚さが500μm以下であることを特徴とする、発熱シート。 - 前記発熱シートに15Wの電力を印加したときの単位体積あたりの温度上昇速度が、0.20℃/mm3・min以上である、請求項1に記載の発熱シート。
- 前記発熱層が、炭素系導電粒子を含んでなる、請求項1または2に記載の発熱シート。
- 前記電極が帯状であり、相互に平行に配置されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発熱シート。
- 前記絶縁性被覆が防水性樹脂フィルムであり、前記支持体、前記発熱層、および前記電極が、2枚の前記防水性樹脂フィルムに挟み込まれて貼り合わされた構造を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の発熱シート。
- 前記防水性樹脂フィルムと、前記支持体または前記発熱層との間に接着層をさらに具備する、請求項5に記載の発熱シート。
- 前記樹脂製支持体が、ポリエチレンテレフタレートからなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発熱シート。
- 樹脂製支持体を準備し、
前記樹脂製支持体の表面をコロナ処理し、
コロナ処理後の前記樹脂製支持体の表面に導電性物質を含む水性組成物を塗布して発熱層を形成し、
複数の電極を相互に離間して前記発熱層に接続し、
前記支持体、前記発熱層、および前記電極を絶縁性被覆で封止する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発熱シートの製造方法。
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JP2020061283A JP2021163540A (ja) | 2020-03-30 | 2020-03-30 | 発熱シートおよびその製造方法 |
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