JP2021162932A - 走行制御装置および走行制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の外側側方を通過して前に出ようとする二輪車が車両の側方もしくは前方で転倒するリスクを低減し、車両が事故に巻き込まれるリスクを低減し、車両の安全な走行を支援する。【解決手段】走行制御装置は、車両の走行環境の情報を取得する環境情報取得部と、走行環境の情報に基づいて、車両の周辺に位置する二輪車の検知情報を取得する検知処理部と、走行環境の情報および二輪車の検知情報に基づいて、二輪車の側方通過に伴うリスク状況の有無を判定する状況判定部と、車両が走行している道路の車線内の横位置を少なくとも制御する車両制御部と、を備える。車両制御部は、二輪車の検知情報およびリスク状況がある場合に、二輪車が車両に並ぶ走行の牽制を行う制御を行う。【選択図】図1

Description

本開示は、走行制御装置および走行制御方法に関する。
近年、自動車などの車両には、車両の走行を制御する走行制御装置が広く搭載されるようになった。その従来技術の1つとして、車両の外界情報を取得し、この車両の外界情報に基づいて車両の縦方向(車両前後方向)および横方向(車両幅(左右)方向)の移動を制御する走行制御装置が知られる(例えば特許文献1参照)。
特許文献1の走行制御装置は、車両が特定シーンに位置し、かつ車両の外界情報に基づいて車両の側方および後方の少なくともいずれかに移動物を認識した場合と、車両が特定シーンに位置し、かつ車両の外界情報に基づいて車両の側方および後方のいずれにも移動物を認識しなかった場合との間で、その特定シーンにおける車両の縦方向および横方向の移動の制御を異ならせている。
特開2019−53476号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、自車両が特定シーン(例えば十字路などの複数の道路が交差する場所に接近した状況)に位置した時に限定して、自車両の後方もしくは側方に移動物(例えば自動二輪車)が認識された場合、その移動物に接触する可能性を低減させるための縦方向および横方向の移動が行われる。自車両が上述の特定シーンに位置しない場合(例えば通常の直線道路)でも自車両の後方もしくは側方に移動物が位置する場面(ケース)があり、特許文献1ではこのようなケースが考慮されていない。そのため、特許文献1の構成は、自車両が移動物に接触する可能性を低減させる方策としては不十分であり、改善の余地があった。
本開示は、自車両の外側側方(道路法令上、左側通行の場合には左側、右側通行の場合には右側)を通過して前に出(いわゆるすり抜け)ようとする二輪車が自車両の側方もしくは前方で転倒するリスクを低減し、自車両が事故に巻き込まれるリスクを低減し、自車両の安全な走行を支援する走行制御装置および走行制御方法を提供する。
本開示は、自車両に搭載される走行制御装置であって、前記自車両の走行環境の情報を取得する環境情報取得部と、前記走行環境の情報に基づいて、前記自車両の周辺に位置する二輪車の検知情報を取得する二輪車情報取得部と、前記走行環境の情報および前記二輪車の検知情報に基づいて、前記二輪車の側方通過に伴うリスク状況の有無を判定するリスク状況判定部と、前記自車両が走行している道路の車線内の横位置を少なくとも制御する車両制御部と、を備え、前記車両制御部は、前記二輪車の検知情報および前記リスク状況がある場合に、前記二輪車が前記自車両に並ぶ走行の牽制を行う制御を行う、走行制御装置を提供する。
また、本開示は、車両の走行を制御する走行制御方法であって、自車両の走行環境の情報を取得するステップと、前記走行環境の情報に基づいて、前記自車両の周辺に位置する二輪車の検知情報を取得するステップと、前記走行環境の情報および前記二輪車の検知情報に基づいて、前記二輪車の側方通過に伴うリスク状況の有無を判定するステップと、前記自車両が走行している道路の車線内の横位置を少なくとも制御するステップと、を有し、前記リスク状況の有無の判定では、前記二輪車の検知情報および前記リスク状況がある場合に、前記二輪車が前記自車両に並ぶ走行の牽制を行う制御を行う、走行制御方法を提供する。
本開示によれば、自車両の外側側方(道路法令上、左側通行の場合には左側、右側通行の場合には右側)を通過して前に出(いわゆるすり抜け)ようとする二輪車が自車両の側方もしくは前方で転倒するリスクを低減でき、自車両が事故に巻き込まれるリスクを低減でき、自車両の安全な走行を支援できる。
実施の形態に係る車両の機能的構成を例示するブロック図 図1に示すカメラ群それぞれの車両での配置を例示する上面図 図1に示すHMIの表示画像を例示する模式図 図1に示す車両と後方の二輪車との位置関係を模式的に例示する上面図 図1に示すカメラ群で二輪車を撮像した際の撮像情報を例示する撮像画像を示す図 図2に示す状況判定部で実行される処理フローを例示するフローチャート 図6に示すステップS20での内部処理フローを例示するフローチャート 図6に示すステップS30での内部処理フローを例示するフローチャート 図6に示すステップS40での内部処理フローを例示するフローチャート
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る走行制御装置および走行制御方法を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
例えば、実施の形態でいう「部」または「装置」とは単にハードウェアによって実現される物理的構成に限らず、その構成が有する機能をプログラムなどのソフトウェアにより実現されるものも含む。また、1つの構成が有する機能が2つ以上の物理的構成により実現されても、または2つ以上の構成の機能が例えば1つの物理的構成によって実現されていてもかまわない。
また、本開示に係る走行制御装置は、自動車などの車両に搭載されるものであり、そしてこの車両は、その車両が走行する領土の国の道路交通法規を遵守しなければならない。以下の説明では、一例として、日本国道路交通法に則して左側通行を前提として自動二輪車(例えばオートバイであり、以下「二輪車」と称する)の位置を、自車両を基準としてその「左」および「右」の用語で説明する。すなわち、本開示では、四輪車または二輪車などの車両が自車両に対し追い越しまたは追い抜きを行う際、先行車両の右側の車線、または対向車線に出て右側から追い越しまたは追い抜きを行うのが通常であることを前提とする。従って、車両が右側通行を採用する道路交通法規の場合、以下の説明での「左」および「右」を逆に読み替えて理解されるものとする。
そして、本開示に係る走行制御装置は、二輪車が例えば走行制御装置が搭載された四輪車である自車両が走行する車線と同一の車線内の左側(外側側方)を通過して自車両の前方に出る場合を中心に想定する。本開示では、このような二輪車の行為を「すり抜け」と称する。つまり、本開示ではすり抜けは、最も左側(具体的には、路側帯側または路肩側)の車両通行帯に位置する四輪車である自車両のさらに左側、かつ自車両の側方を通過して自車両の前方に移動する行為を意味するものとする。一般的には、複数の車両通行帯のそれぞれを走行する複数の四輪車の間を、二輪車が通過して前進することも同様にすり抜けと呼ばれるが、本開示ではこのすり抜けを本開示のすり抜けの概念には含めない。
また、日本国道路交通法では、車両が通行する時に端に寄り過ぎると危険であるため、車道外側線は、この線の右側を通る目安を示すことを目的とする区画線とされる。車道外側線の領域は独立した歩道がない場合、路側帯とされている。その路側帯には歩行者が通行することが定められており、自動車および二輪車などの車両の通行は禁止されている。その一方、独立した歩道がある場合、車道外側線の外側は路側帯には当たらないので路肩とされる。
本開示では、車道外側線の外側部分を「路側帯または路肩」と称する。上述したように独立した歩道がなければ車道外側線の外側は路側帯であり自動車の通行が禁止されるが、路側帯であるか路肩であるかに関係なく、車道外側線の左側(外側)をすり抜ける二輪車が多く見られるのが道路交通の実態である。また、自転車は路側帯の通行が認められており自動車などの車両を上回る速度で走行する場合もある。本開示はこのような二輪車のすり抜けの実態に対応するためのものであるので、路側帯および路肩の用語は同様な意味で用いられる。
このように、本開示では二輪車のすり抜けを技術的課題の主な対象としており、この二輪車のすり抜けには次のような複数のリスク(交通事故の蓋然性)が例示される。
(1)自車両の左側方を通過する際、二輪車が横ブレして自車両と接触し転倒する。
(2)自車両の左側方を通過する際、自車両が左折または幅寄せして、二輪車に接触し転倒させる。
(3)二輪車が、すり抜けをして前に出た後で、自車両の先行車と接触して転倒する。
(4)二輪車が、すり抜けをして前に出た後で、自車両の先行車が左折し、接触して転倒する。
(5)二輪車が、すり抜けをして前に出た後で、右折または横断する対向車と接触し転倒する。
(6)二輪車が、すり抜けをして前に出た後で、(他車両との接触無しに)転倒する。
二輪車は四輪車とは異なり転倒する可能性が高く、転倒するとその運転者が路上に投げ出されるため、重大な事故に繋がることがある。また、自車両との直接の接触がない場合でも、二輪車が自車両の前方または側方で転倒すると運転者や転倒車両を回避することは困難であり、自車両がその事故に巻き込まれる可能性もある。また、二輪車が自車両の後方に接近して位置する場合、自車両の運転者はその二輪車に注意(意識)を向ける必要があるので、前方への注意が低下する(散漫となる)可能性がある。また、二輪車の挙動を意識することが自車両の運転者の過度なストレスとなり、安全運転が損なう可能性もある。
本開示に係る走行制御装置は、上述した二輪車のすり抜けに関するリスクを回避するためになされたものであり、そのため以下に説明する複数の特別な構成を有する。
<車両および走行制御装置の構成の概要について>
先ず、図1〜図3を参照して、実施の形態1に係る車両1の構成について説明する。図1は、実施の形態1に係る車両1の機能的構成を例示するブロック図である。図2は、図1に示すカメラ群20それぞれの車両1での配置を例示する上面図である。図3は、図1に示すHMI3の表示画像を例示する模式図である。なお、以下の説明において、車両1は、本開示に係る走行制御装置が搭載される自車両のことを示す。
図1に示すように、車両1は、実施の形態1に係る走行制御装置10と、カメラ群20(環境情報取得部の一例)と、無線通信部2(環境情報取得部の一例、通信部の一例)と、ナビゲーション装置8(環境情報取得部の一例)と、HMI3(Human Machine Interface)と、ウインカ4と、車速制御装置5と、舵角制御装置6と、センサ群30と、駆動原動機(不図示)と、制動機構(不図示)と、を含んで構成される。カメラ群20およびセンサ群30は、車両1の走行環境の情報を取得する。ウインカ4は、点滅式の方向指示灯であり、車両1の車体の前後左右のそれぞれに分散して配置される。
車両1は4つの車輪を有する四輪車であり、前車軸で回転支持される一対の前車輪と、後車軸で回転支持される一対の後車輪と、を有する。また、実施の形態1に係る車両1は、カメラモニタリングシステム(CMS:Camera Monitoring System)を採用している。すなわち、車両1はいわゆるミラーレス車両として構成され、後方を確認する従来のバックミラー、および車両1の左右方向を確認するためのサイドミラーが配設されていない。その代わり、車両1はカメラ群20によって車両1の前方、後方および左右方向を撮影し、車体の内部に配置されるHMI3によって視認可能に構成される。なお、実施の形態1に係る車両1において、上述した従来のバックミラーおよびサイドミラーが配設されてもかまわない。また、実施の形態1では、二輪車7(図4および図5参照)との対比から四輪車を例に挙げるが、トレーラートラックのような6つ以上の車輪を有する車両も四輪車の範疇に含まれるとしてよい。また、実施の形態1に係る車両1は、自動運転レベル1以上の車両であり、実施の形態1を分かり易く説明するために、以下の説明では、自動運転レベル3の車両1が想定される。
駆動原動機の一例は電動モータであるが、これに限定されず内燃機関またはそれの組み合わせであってもよい。駆動原動機は、回転機構を有し、その回転機構を回転駆動することで車両1に運動エネルギを付加して車両1を走行させる。制動機構は、車輪を制動させるための機構であり、例えばブレーキ機構などである。制動機構は、車輪の駆動軸(不図示)に減速用のトルク(制動力)を付加することで車両1を減速または停止させる。
図1および図2に示すように、カメラ群20は、複眼カメラ24と、後方カメラ23と、右カメラ21と、左カメラ22と、を少なくとも含んで構成される。複眼カメラ24、後方カメラ23、右カメラ21および左カメラ22のそれぞれは、例えばCCD(Charge Coupled Device)もしくはCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)などの撮像素子を有して構成され、所定の撮像対象物を撮像して得られる撮像情報を走行制御装置10に送る。
複眼カメラ24は、前方カメラとして、例えば車両1の車体のフロントガラスの上端部に近接して車両1の車体の内部に配設される。複眼カメラ24は、その光軸が車両1の前方の路面を向けて配置され、車両1の前方に向けて所定角範囲で広がる視野で前方に位置する撮像対象物を撮像する。また、複眼カメラ24は右カメラ24Aおよび左カメラ24Bが左右方向に所定の距離を置いて光軸のそれぞれが互いに略平行になるように設置されたカメラモジュールである。複眼カメラ24は、右カメラ24Aと左カメラ24Bの視点の違いにより、右カメラ24Aが撮影した右画像と左カメラ24Bが撮影した左画像の間に、視差が発生するように構成されている。撮像対象物の右カメラ24Aおよび左カメラ24Bに対する方向は、右画像の中での撮像対象物の像の位置と、左画像の中での撮像対象物の像の位置と、に反映されている。そのため、複眼カメラ24は、右画像と左画像から、三角測量の原理に基づいて車両1の前方の撮像対象物までの距離を計測することが可能である。すなわち、複眼カメラ24は、異なる視点位置から同じ物体(撮像対象物)を撮像し、右カメラ24Aおよび左カメラ24Bのそれぞれの撮像画像上での結像点が物体の距離によって変化することを利用して物体の距離および位置を特定することが可能である。
後方カメラ23は、例えば車両1の後部のバンパよりも上方に配設される。後方カメラ23は、その光軸が車両1の車体の後方の路面を向けて配置され、車両1の後方に向けて所定角範囲で広がる視野で後方に位置する撮像対象物を撮像する。
右カメラ21および左カメラ22それぞれは、サイドドアの前端部に車幅方向外方に突設される一対のカメラ支持部によって固定支持される。右カメラ21および左カメラ22のそれぞれは、その光軸が車両1の左右方向でかつ後方、つまり斜め後ろに向けて配置される。右カメラ21および左カメラ22のそれぞれは、車両1の左右方向に所定角範囲で広がる視野で車両1の左右方向に位置する撮像対象物を撮像する。
このように、実施の形態1に係る車両1には、複眼カメラ24、後方カメラ23、左カメラ22および右カメラ21が配置され、車両1は、車両1の周囲に関する走行環境の情報を取得する。これにより、車両1は、二輪車7のすり抜けの行為を少なくとも後方カメラ23および左カメラ22で捕捉することが可能となる(図4および図5参照)。
また、車両1は、カメラ群20の撮像情報によって、二輪車7および他車両の挙動(例えば位置、加減速の状況など)および障害物情報の他、さらには車両1と二輪車7を含む他車両との車間距離、車線境界線などを把握することが可能となる。
なお、車両1と車両1の後方の二輪車7との車間距離は、例えば車両1の後端位置を基準位置(0)にしてその基準位置からの距離とされる。そして、車両1と車両1の後方の二輪車7との車間距離は、基準位置から車両1の後方に向けて離間する場合には正(+)の符号が、基準位置から車両1の前方に向けて離間する場合には負(−)の符号が付されて算出される。
無線通信部2は、インターネットまたはデータ放送などの通信網に無線回線で接続されており、この通信網と車両1との双方向で通信可能とする。走行制御装置10は、この無線通信部2を通じて気象情報および路面情報などを適宜取得することが可能である。
ナビゲーション装置8は、車両1の走行時に車両1の位置および目的地までの経路を、車両1の運転者に対して例えば車載ディスプレイ装置に表示してガイドする。この経路のガイドは、地図情報あるいは矢印情報などが車載ディスプレイ装置に同時に表示されて行われる。また、ナビゲーション装置8は、車両1の進路と進行方向の道路の幅と車線構成、回転半径および高低の変化などの道路情報も含めた地理情報を走行制御装置10に送る。
HMI3は、上述したようにカメラモニタリングシステムの一部分を構成し、例えばその1つとして車両1の車体の内部に配置されるディスプレイ装置を有して構成される。このHMI3のディスプレイ装置は、従来の車両ではバックミラーが配置される箇所に、そのバックミラーの代わりに車体のルーフから懸下される支持具を介して固定支持される。
HMI3のディスプレイ装置は、後方カメラ23、左カメラ22および右カメラ21の撮像情報(撮像画像)を一箇所に集約して車両1の運転者に表示する。具体的には、図3に示すように、HMI3のディスプレイ装置は、従来のバックミラーの形状と同様に、車両幅方向(左右方向)に延在する長尺板状に形成され、その表示画面は左右方向で3分割される。
具体的には、左側の画面には左カメラ22の撮像情報IMG1が表示される。右側の画面には右カメラ21の撮像情報IMG3が表示される。中央の画面には後方カメラ23の撮像情報IMG2が表示される。これら3つの画面は、単に撮像情報それぞれが表示されてもよいし、後方カメラ23、左カメラ22および右カメラ21間の重畳領域が合成されてあたかも1つの広範囲な画角を捉えたような画像となるように表示されてよい。このような合成画像により、車両1の運転者は、車両1の左右方向および後方の状況を容易かつ即時に把握することが可能となる。
車速制御装置5は、駆動制御装置(不図示)および制動制御装置(不図示)に接続され、それぞれに指令値を送信することで車両1の車速および制動を制御する。駆動制御装置は、駆動原動機の駆動ドライバなどの動作を制御してその回転タイミングや回転速度などを適宜操作し、駆動原動機の回転数を制御する。制動制御装置は、車両1に制動力を付加するために制動機構を駆動制御する。すなわち、車速制御装置5は、車両1の加速または減速を含めて制御することが可能である。
舵角制御装置6は、操舵アクチュエータ(不図示)に接続されており、操舵アクチュエータに指令値を送信することで車両1の操舵を制御する。操舵アクチュエータは、車両1のステアリングの操舵軸(不図示)などに配設され、舵角制御装置6の指令値に従ってその軸を所定の軸回りに所定角度で回転させて車両1の操舵角を決定または変更する。これにより、車両1は、走行している道路の車線内での横位置を適宜決定または調整することが可能である。
センサ群30は、少なくとも雨滴センサ31と、気温センサ32と、車速センサ33と、を含んで構成される。また、センサ群30には、その他、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、レーダもさらに含まれる。また、レーダは、例えばミリ波レーダ、ソナーレーダ、ライダ(LiDAR:Laser Detection and Ranging)を用いて構成される。なお、通常、車速は車速制御装置5によってフィードバックされるが、車速センサ33によって直接測定される構成にしてもよい。
なお、レーダは、超音波もしくはミリ波等の電磁波を限られた角度範囲で走査しながら照射し、その反射光を受光して照射の開始時点と反射光の受光時点との時間差を測定する。これにより、レーダは、車両1と障害物と距離、さらには車両1から見た障害物の方向を検知できる。
雨滴センサ31は、フロントガラスへの雨滴の付着度合いを測定し、その測定結果を、車内通信部15(下述参照)を通じて走行制御装置10に送信する。雨滴センサ31は、車体のフロントガラスに向けて発光する発光素子とフロントガラスによって反射した反射光を受光する受光素子とを有する光学式のセンサである。
気温センサ32は、車両1の車体の外部の気温を測定し、その測定結果を同じく車内通信部15を通じて走行制御装置10に送信する。気温センサ32は、例えばサーミスタの電気回路により構成される。サーミスタは、温度によって抵抗値が変化する。
車速センサ33は、車両1の車輪の回転速度を測定する。車速センサ33は、車輪の回転速度を測定し、その測定結果を走行制御装置10に送信する。例えば、車速センサ33は、車輪または駆動軸とともに回転するロータのパルス周期を測定し、その測定したパルス周期(つまり、パルスの単位時間当たりの数)に基づいて車輪の回転速度を測定する。
実施の形態1に係る走行制御装置10は、画像処理部11と、検知処理部12(二輪車情報取得部の一例)と、状況判定部13(リスク状況判定部の一例)と、車両制御部14と、車内通信部15と、を含んで構成される。走行制御装置10は、車両1の車体の内部に搭載され、車両1の自動運転レベル1以上の自動運転時の制御機能が実装された自動運転コントローラ(いわゆるADAS:Advanced Driver−Assistance System)であり、自動運転中の車両1の挙動を決定する。走行制御装置10は、カメラ群20、無線通信部2、ナビゲーション装置8およびセンサ群30などから送信された各種のデータおよび情報に基づいて、HMI3、車速制御装置5および舵角制御装置6を制御することにより車両1の自動運転を実現する。
また、走行制御装置10はECU(Electronic Control Unit)により構成され、処理部および記憶部を含み、処理部が記憶部に記憶保持される各種プログラムを読み出して実行することにより、実施の形態1に係る機能を適宜実現する。処理部は、実施の形態1ではプロセッサであるが、その他、コントローラ、CPU(Central Processing Unit)といった他の用語に読み替えられてもよい。記憶部は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)またはこれらの組み合わせによって構成され、ECUが有する機能を実現するためのプログラムおよびデータなどの情報を記憶保持する。RAMは、例えば揮発性メモリによって構成される。
なお、走行制御装置10は実施の形態1に係る機能を実現すればよく、その他マイコン、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)によって構成されてもよい。また、上述したナビゲーション装置8、車速制御装置5および舵角制御装置6の一部または全部のそれぞれも走行制御装置10と同様に個別のECUによって構成される。あるいは、これら走行制御装置10、ナビゲーション装置8、車速制御装置5および舵角制御装置6が1つのECUによって構成されてもよい。
画像処理部11は、カメラ群20の撮像情報を取得してカメラ群20の間の重畳領域を合成してその撮像情報をHMI3のディスプレイ装置に集約して表示させる。その結果、画像処理部11は、運転者に対しカメラ群20のそれぞれで撮像した複数の撮像情報(撮像画像)をあたかも1つの画像に見えるように変換して表示できる。この表示により、運転者は、自らの視線を大きく変更することなく車両1の周辺状況を一見して容易かつ即時に把握することが可能である。また、画像処理部11では、撮像情報が検知処理部12および状況判定部13などで利用可能なようにその前処理などの画像処理が実行される。
検知処理部12は、カメラ群20の撮像情報およびセンサ群30の測定情報を取得する。検知処理部12は、これら撮像情報および測定情報に基づいて走行環境の情報を把握し、車両1の周辺に位置する二輪車7および他車両の検知情報を取得する。例えば、検知処理部12は、カメラ群20のうち後方カメラ23、左カメラ22および右カメラ21の撮像情報を取得して処理し、二輪車7および他車両の位置、および白線から車線区分線を検知する。また、検知処理部12は、複眼カメラ24の撮像情報を取得して処理し、車両1の前方における障害物の有無を検知する。
状況判定部13は、カメラ群20の撮像情報、センサ群30の測定情報および無線通信部2の気象情報などを走行環境の情報として取得するとともに、検知処理部12から二輪車7の検知情報も同時に取得する。状況判定部13は、これら取得した各種のデータおよび情報に基づいて、車両1の周囲にいると検知された二輪車7の側方通過に伴うリスク状況の有無を判定する。具体的には、状況判定部13は、ナビゲーション装置8、無線通信部2、センサ群30およびカメラ群20から地理情報、交通情報、気象情報、路面情報、測定情報、障害物情報などを適宜取得して処理する。状況判定部13は、これら各種のデータおよび情報のうち少なくとも1つを走行環境の情報として用いて、上述のリスク状況(例えば、二輪車7の走行が不安定化する高リスク状況)の有無を判定する。
その判定において、車両1の位置から進行方向上の所定距離の範囲が、状況判定部13が実際に判定を行う判定区間に設定される。判定区間の一例は、車両1が二輪車7に追い越されるか追い抜かれると想定した場合に、この間に車両1が走行すると想定される距離を基準とするが、これに所定のマージン(距離)を加えたり、状況に応じた調整を適宜行ったりしてもよい。また、この判定区間において、状況判定部13は、二輪車7の転倒、直進性の低下、車線からの逸脱あるいは車幅方向の移動、二輪車7の車体を傾ける動作が強いられる事態、意図外の操舵あるいは制動が強いられる事態のうち、いずれかが発生する可能性が高い場合は、上述の高リスク状況があると判定する。二輪車7の走行が不安定化する高リスク状況とは、要するに二輪車7が単独で転倒したり、二輪車7が大きく蛇行したりして、車両1を巻き込む事故を起こす可能性がある状況である。二輪車7が単独で転倒した場合に、その転倒が車両1の後方で起きれば車両1を巻き込む事故にはならないが、車両1の前方や側方で起きれば車両1を巻き込む事故になる。二輪車7が車両1の前方に出た後で急制動した場合も、車両1は回避できない可能性がある。二輪車7が車両1の側方に位置する時に大きく蛇行すると、車両1が二輪車7との側方間隔を十分に取っていても、巻き込まれて事故となる可能性がある。つまり、二輪車7の走行が不安定化する可能性が高い時は、二輪車7が車両1の側方を通過すると車両1を巻き込む事故が起きる可能性が高い時であるので、その時は高リスク状況であると判定する。これに対し、二輪車7の走行が不安定化する可能性が低い時は、車両1が二輪車7との側方間隔を十分に取ることが出来れば比較的安全であると考えられるので、例えば、状況判定部13は、側方間隔を十分に取れない場所に位置する場合にはリスク状況であると判定する。同様に、状況判定部13は、車両1が二輪車7との側方間隔を十分に取れる場所に位置する場合にはリスク状況ではないと判定する。以上はリスクの程度による区分であるが、高リスク状況でも二輪車7の側方通過に伴うリスクがある点は変わりないので、包含関係としては、高リスク状況は二輪車7の側方通過に伴うリスク状況に含まれると言ってよい。
高リスク状況と判定する一例として、状況判定部13は、無線通信部2の気象情報およびナビゲーション装置8の道路情報を取得し、判定区間における道路情報および気象情報に基づいて二輪車7の側方通過に伴うリスク状況の有無を判定する。無線通信部2の気象情報およびナビゲーション装置8の道路情報の具体例として、注意報以上の強風、強風と地形変化点との組み合わせ、路面の凍結あるいは積雪、路面の凍結あるいは積雪と急カーブとの組み合わせが挙げられる。これらが検知される場合、状況判定部13は、高リスク状況があると判定する。また、状況判定部13は、カメラ群20の撮像情報も合わせて総合的にリスク状況を検知し、例えば雨、雪、雹、霧、スモッグ、煤煙による視程低下と障害物との組み合わせを検知する時も同様に高リスク状況があると判定する。
例えば、路面が凍結していて道路がカーブしている時、および/または暴風雨である時などは、二輪車7の走行が不安定となり、二輪車7が単独で走行していた場合でも転倒したり横滑りしたりする可能性がある。このように、状況判定部13は、二輪車7の走行が不安定となる状況を、高リスク状況と判定する。すなわち、高リスク状況である時、二輪車7の側方や後方に車両1が位置することは危険なので、状況判定部13は、高リスク状況を判定することですり抜けを牽制して車両1が事故に巻き込まれるリスクを回避する。高リスク状況でない場合も、例えば、二輪車7がすり抜ける時に車両1に接近することが予想されるような道幅である時には、一定のリスクがあるとみなすことが可能である。また、路面が凍結している可能性があるが、他に悪条件(強風や急カーブなど)が重ならない場合も、高リスク状況でないと判定してもよい。紛らわしくなることを回避するため、状況判定部13は前者を高リスク状況と判定し、後者を単にリスク状況と判定する。つまり、実施の形態1では、状況判定部13が判定するリスク状況の判定結果は、高リスク状況がある、リスク状況がある、リスクがない、の3つのレベルに設定される。なお、リスク状況があると判定した時には、リスク状況を超えるリスクがある高リスク状況がある場合も含むことがある。
また、判定区間よりさらに長い距離の範囲が拡大判定区間として設定されており、状況判定部13は、この拡大判定区間も同様に上記のリスク状況の有無を判定する。そして、状況判定部13は、その拡大判定区間の全区間に亘って上述のリスク状況があると判定する場合、牽制の要否判定に用いる閾値(例えば下述する第8の閾値など)を下げる調整を行う。
その一例として、高リスク状況に当たらないリスク状況がある時は、二輪車7がすり抜ける時だけ危険であるので、道幅が狭く、かつすり抜けを許容し難い場所では牽制し、道幅が広がってすり抜けを許容し易くなった場所では牽制を解除して二輪車7を先に行かせる。これにより、車両1は二輪車7に接近されている状況から解放される。その一方、ナビゲーション装置8などから取得される地理情報を参照して道幅が上述の牽制の要否判定に用いる閾値を越えない状況が続く場合には、車両1は牽制を長時間、継続することになる。この場合、二輪車7の運転者に過度のストレスを与えて無理なすり抜けを誘発することも懸念される。そこで、拡大判定区間の全区間に亘ってリスク状況がある時は、状況判定部13は閾値を下げる調整を行う。状況判定部13は閾値を下げた直後にリスク状況の判定を再実行してもよいし、しなくてもよい。リスク状況の判定は定期的に実行するので、閾値の変更は次のリスク判定に反映されるからである。閾値を下げても拡大判定区間の全区間に亘ってリスク状況があると判定された場合には、状況判定部13はさらに閾値を下げてもよい。この場合、状況判定部13は、リスクが拡大判定区間の他の地点よりも比較的に低い地点でリスク状況がないと判定するようになる。このように閾値を適宜調整することにより、比較的リスクが低い場所ですり抜けを許容するので、車両1は、二輪車7を長い区間に亘って牽制し続ける事態を回避することが可能となる。その一方、高リスク状況がある時は、二輪車7がすり抜ける時だけでなく二輪車7が車両1の前に出た後も、二輪車7が転倒して車両1が巻き込まれる危険性がある。よって、高リスク状況がある時は、二輪車7が車両1と並走したり車両1の前に出たりさせないためにすり抜けを無条件に牽制する。
車両制御部14は、舵角制御装置6に指令値を送信して車両1を所定の操舵角で操舵させて、車両1が走行している道路の車線内の横位置を調整する。また、車両制御部14は、車速制御装置5に指令値を送信して車両1を加速または減速して、二輪車7を追い越したり二輪車7にすり抜けさせたりして二輪車7との距離、つまり縦位置も調整する。すなわち、車両制御部14は、車速制御装置5および舵角制御装置6を制御して、車両1の横位置および縦位置を車両1の後方の二輪車7の位置に応じて調整する。この調整により、例えば、車両制御部14は、車両1の側面と車線境界線との間隔が所定距離を下回らない範囲で車両1の中心の横位置を車両1の後方の二輪車7の中心の横位置に近づける。これにより、車両制御部14は、車両1の左側方(横)をすり抜けようとする二輪車7に対してそのすり抜けの牽制を実現することが可能となる。つまり、車両制御部14は、状況判定部13が二輪車7の検知情報およびリスク状況(例えば上述した高リスク状況)があると判定する場合、二輪車7が車両1に並ぶ走行の牽制を行う制御を行う。
ここで、実施の形態1での牽制の概念について説明する。
後方から車両1に接近する二輪車7が車両1の左側方に位置する場合、その二輪車7が車両1と接触する可能性がある。つまり、実施の形態1に係る牽制は、このような二輪車7との接触を防止するため、二輪車7が車両1の後方の位置を維持するように促すことを主な目的とする。そのため、実施の形態1に係る牽制では、その牽制の一例として上述したように車両制御部14が車両1の中心の横位置を車両1の後方の二輪車7の中心の横位置に近づけて、車両1を二輪車7の前方に横位置を調整する。この横位置の調整により、実施の形態1に係る車両1は、二輪車7の運転者に対し車両1のすり抜けの再考を促す。
そして、その再考の結果、二輪車7の運転者が車両1の後方の位置を維持すると意思決定する場合、車両制御部14は、二輪車7に対する車両1の相対位置を維持するように車速制御装置5および舵角制御装置6を制御する。その一方、二輪車7の運転者が実施の形態1に係る牽制を無視して車両1の側方に位置しようとする場合、車両1は牽制を行わない、または牽制を解除する。
なお、実施の形態1では、上述の牽制を行うべきか否かの決定は、状況判定部13によって行われるがこれに限定されない。その決定は、車両制御部14などの他の機能部が適宜行うように構成されてもよい。
より具体的には、走行制御装置10の記憶部(図示略)には、車両1と後方の二輪車7との車間距離に関し、第1の閾値および第2の閾値が記憶保持される。第1の閾値は、第2の閾値よりも大きく設定される。第1の閾値および第2の閾値は、車両1の後方の二輪車7との車間距離で牽制の要否を判定するのに使用される値である。さらに、記憶部には、二輪車7の車線中央に対するオフセット量に関する第3の閾値、気象情報に関する第4の閾値、第5の閾値および第6の閾値、遠心力に関する第7の閾値、および車線幅(道路幅)に関する第8の閾値も同様に記憶保持される。
なお、第4の閾値および第5の閾値は風速に関する値であり、第4の閾値は第5の閾値よりも大きく設定される。第6の閾値は気温に関する値である。また、第3〜第8の閾値の詳細については下述する処理フローで説明する。
車両制御部14は、車両1と車両1の後方の二輪車7との車間距離が第1の閾値以上である時、および、その車間距離が第2の閾値未満である時のうち少なくとも一方を満たす場合には、状況判定部13の決定に従いその二輪車7に対して牽制を行わない。車両1と車両1の後方の二輪車7との車間距離が第1の閾値以上である時は、二輪車7から見て車両1が遠い時である。つまり、第1の閾値は、仮に車両1が牽制を行ったとしても、二輪車7の運転手が牽制されたと感じないような距離として設定されている。また、車両1と車両1の後方の二輪車7との車間距離が第2の閾値未満である時は、二輪車7が車両1の直近まで接近した時である。このとき、後方の二輪車7が車両1に近接してすり抜けようとしていると推測され、牽制を強引に行う場合、二輪車7との接触する可能性があるからである。あるいは、車両制御部14は、車両1の後方の二輪車7の横位置が車線中央から右側に向かって所定距離以上オフセットしている(外れている)時も牽制を行わない。車両1の右側での追い越しまたは追い抜きは日本国道路交通法では許されており、このとき、後方の二輪車7は車両1を追い越しまたは追い抜こうとしていると推測され、牽制を行う必要がないからである。その一方、車両制御部14は、その車間距離が第1の閾値および第2の閾値の間の範囲にあり、かつ車間距離が減少傾向にある時、二輪車7に対して牽制を行う。なお、実施の形態1では、その牽制の要否の判定は状況判定部13によって主に行われる。
また、このとき、状況判定部13は、第1の閾値あるいは第2の閾値を、車両1の車速、車両1の後方の二輪車7の車速、ならびに、車両1および二輪車7が走行する道路の路面のうち少なくとも1つに応じて決定あるいは調整(更新)する。例えば、車両1の車速が速くなる場合、第1の閾値および第2の閾値は車速が低い場合に比べて長く決定あるいは調整される(下述参照)。
また、車両制御部14は、二輪車7が車両1の後方に位置し、かつ二輪車7との車間距離が所定値未満である時、つまり二輪車7が車両1の側面を近接してすり抜けようとする場合、牽制を解除する。そして、車両制御部14は、車両1の側面と車線境界線との間隔が所定距離を下回らない範囲で、車両1の中心の横位置が車両1の後方の二輪車7の中心の横位置から遠ざける制御を行う。この制御により、車両制御部14は、二輪車7と車両1の間の側方での離間距離を可能な限り大きくして二輪車7との接触のリスクを低減できる。
このように、実施の形態1での牽制の対象は、車両1の左側方を通過する二輪車7のすり抜けに設定される。そして、実施の形態1に係る牽制は、本質的には二輪車7の前方に車両1を位置させることにあり、車両1の横位置を左側に調整して牽制する態様に限定されない。例えば、車両1の後方の二輪車7が車線中央に位置する場合、車両1を車線中央に位置させることも実施の形態1に係る牽制の概念に含まれる。
また、実施の形態1に係る牽制での車両1の横位置を調整する範囲は、車両1が走行している車線内に限定される。つまり、実施の形態1に係る牽制では、車両制御部14は車線を跨(また)ぐ制御は行わない。実施の形態1に係る牽制は、上述したように二輪車7が車両1の後方を走行する場合、車両1の車線内の横位置を、後方の二輪車7の車線内の横位置とほぼ同じに制御するとともに、車線境界から所定の範囲(例えば0.5[m])に車体が進入しない制御を行う。例えば、後方の二輪車7が車道外側線寄りに位置した場合、車両1は車道外側線から所定の範囲で離間して走行する。なお、後方の二輪車7が車線内の右側寄りに位置した場合、状況判定部13は牽制を行わないと決定する(言い換えると、車両制御部14は牽制をしない)。
また、実施の形態1に係る牽制で対象とする二輪車7は、車両1が走行している車線内を走行する二輪車7であり、別の車線を走行する二輪車7はその対象とされない。当初は車両1が走行している車線内を走行していた二輪車7の場合でも、その後、車線変更して車両1が走行している車線を出た場合、実施の形態1に係る牽制の対象から除外される。
また、車両1が最外側の車線を走行している際、二輪車7が車道外側線の外側を通過して接近したり、車道外側線の外側に出てすり抜けようとしたりする場合がある。しかしながら、この場合、車道外側線の外側も車両1が走行している車線の外であるので、同様に実施の形態1に係る牽制の対象から除外される。つまり、二輪車7が車道外側線の外側に位置する場合、車両制御部14は牽制の制御を行わない。二輪車7が絡む事故に巻き込まれる可能性があるとしても、それは可能性であって事故の予見ではないので、交通法規に従わない理由にならないからである。その代わり、車両制御部14は、二輪車7が車両1の側方を通過して近接する際、二輪車7の横位置から離間する方向に車両1の横位置を調整する制御を行う。これは、二輪車7が絡む事故に巻き込まれる可能性を少しでも低くするための制御である。
さらにここで、実施の形態1でのすり抜けの牽制と、二輪車7による車両1の右側の追い越しまたは追い抜きの誘導と、の関係について説明する。
上述したように、二輪車7が車両1の左側をすり抜けようとした時に、リスク状況があると状況判定部13が判定する場合、車両制御部14は、車両1の中心の横位置を車両1の後方の二輪車7の中心の横位置に近づける。その結果、車両制御部14は、二輪車7の前方で車両1がその車体を左側に寄せて二輪車7のすり抜けを牽制する動作をする。この牽制により車両1の後方に位置する二輪車7が車線内の右寄りに位置を変更した場合、車両制御部14は、車線中央まで横位置を戻した時点で横位置の調整を停止し、そして車線の右側を塞がない制御を行う。この制御により、二輪車7の運転者に対し、実施の形態1に係る車両1は左側でのすり抜けを牽制する一方、右側での追い越しまたは追い抜きは許容するとの意思を伝えることが可能となる。
そのため、このような一連の制御は、車両1の右側から追い越しまたは追い抜きするように誘導しているとも解釈され得る。二輪車7のすり抜けによるリスクがある場合でも、実施の形態1に係る車両制御部14は、結果的に二輪車7が法令に従って車両1の右側の車線に車線変更して追い越しまたは追い抜きをするように誘導することが可能である。この場合、走行制御装置10は、すり抜けされる場合と比べて二輪車7との間でより広く側方距離を確保して車両1の挙動を安全側にすることが可能となる。
また、すり抜けの際に車両1と二輪車7とが並走する場合、その並走の時間帯が長いほど接触のリスクが増加すると考えられる。この接触のリスクを低減するため、車両制御部14は、二輪車7が車両1の左側方に位置する場合、車両1を減速する制御を行う。あるいは、二輪車7が車両1の右側で追い抜きまたは追い越しをしようとする場合(つまり、二輪車7の横位置が車両1の側方の横位置から外側に所定値以上離れている場合)も同様に、車両制御部14は、車両1を減速する制御を行う。この減速制御により、車両制御部14は、車両1と二輪車7との並走時間を短縮するとともに二輪車7を車両1の左前方に早期に位置させることで、接触のリスクの発生を低減したり車両1の運転者の心理的ストレスを解放したりすることが可能となる。
なお、牽制の対象が自転車である場合、自転車は車道の左端を走行するように義務づけられている。そのため、原則的に車両1の右側で追い越しまたは追い抜きをことはないと考えられる。つまり、牽制の対象が自転車である場合、車両制御部14は、すり抜け牽制の制御のみを行う。
また、上述したような牽制の処理が行われている状況から、牽制を行わないと判定する状況に変わった場合、車両制御部14は、車両1の側面と車線境界線との間隔が所定距離を下回らない範囲で、車両1の中心の横位置を車両1の後方の二輪車7の中心の横位置から遠ざける制御を行う。あるいは、車両制御部14は、車両1を減速する制御を行う。このような制御により、二輪車7が車両1の後方を走行している際、牽制を行わない状態になった場合には、走行制御装置10は、追い越しを促して二輪車7を車両1の前方に進ませるように誘導して、車両1の挙動をより安全側にすることが可能となる。また、このとき、車両1は、車両1のウインカ4(方向報知器の一例)を点滅させて二輪車7への追い越しを促す。
なお、車両制御部14が牽制を行っていない状況から牽制を開始する場合、または、牽制を行っている状況から牽制を終了する場合に、車両1は車線内で横位置の移動が発生することがあるので、その時に、車両1は車両1のウインカ4を点滅させてその移動を二輪車7に報知するようにも構成される。
車内通信部15は、通信ネットワーク(例えばCAN:Controller Area Network)を介するデータの送受信を制御して、車両1の構成部品間を双方向で通信可能に接続する。例えば、車内通信部15は、通信ネットワークを通じてカメラ群20およびセンサ群30それぞれから撮像情報および測定情報を送受信する。そして、車内通信部15は、その受信した撮像情報および測定情報を走行制御装置10の画像処理部11、検知処理部12、状況判定部13および車両制御部14に適宜送信する。走行制御装置10の画像処理部11、検知処理部12、状況判定部13および車両制御部14は、その送信された測定値および画像情報に基づいて車両1の走行支援に関する各種の処理または制御を行う。
<車両後方の撮像情報に対する検知処理部の検知処理について>
次に、図4および図5を参照して、後方カメラ23および左カメラ22で撮像して取得された撮像情報に対する検知処理部12の検知処理の一例について説明する。図4は、図1に示す車両1と後方の二輪車7との位置関係を模式的に例示する上面図である。図5は、図1に示すカメラ群20により二輪車7を撮像した際の撮像情報を例示する撮像画像を示す図である。
図4および図5に示すように、検知処理部12は、後方カメラ23、左カメラ22および右カメラ21の撮像情報を取得し、先ず左カメラ22および右カメラ21の撮像情報から車線の白線を抽出する。検知処理部12は、その白線の抽出に基づいて車両1と左右の白線の距離および車線幅を算出する。また、検知処理部12は、車線が連続しているか不連続であるのか、および線の色は何色かを判定して、車線区分線か車道外側線かなどを識別する。
後方カメラ23および左カメラ22によって撮像する後方の二輪車7を含む撮像情報について、その後方の二輪車7の領域は例えばオプティカルフローによって背景と分離される。背景の領域は無限遠方に向かって移動するのに対して後方の二輪車7の領域は動きベクトルが異なっているため、検知処理部12は背景と二輪車7の領域とを分離することが可能である。また、検知処理部12は、その分離された後方の二輪車7の領域にパターンマッチングを適用して二輪車7の存在を認識する。撮像画像上、四輪車の形状は横幅が広いのに対し二輪車7の形状は縦長の領域となるので、検知処理部12はその形状の違いから後方の車両1が四輪車または二輪車7なのかなどを認識する。
なお、実施の形態1では、三輪バイクあるいはサイドカーのような横幅な車両1は、基本的にすり抜けをしないので、牽制の対象から除外してもよい。また、後方に位置する場合でも遠方の場合には、検知処理部12はその二輪車7を検知不能となることがあるが、遠方の場合、実施の形態1に係る牽制の対象としないので問題とならない。
そして、図4に示すように、二輪車7が車両1の後方かつ左側に位置する場合、左のカメラと後方のカメラでその二輪車7の画像を捕捉することが可能である。そのため、後方カメラ23および左カメラ22の撮像情報において、検知処理部12は、その2つの撮影情報での二輪車7の画像の位置のそれぞれに基づいて、後方カメラ23および左カメラ22の光軸方向に対する二輪車7の角度を算出する。その算出後、検知処理部12は、三角測量の原理により相対位置を特定し、車両1と後方の二輪車7との車間距離を測定する。また、二輪車7が後方カメラ23にのみ撮像される場合、検知処理部12は二輪車7の高さが標準サイズであると仮定してその撮像情報の二輪車7の画像(像)の高さを距離に対応付けて車間距離の概略値を測定する。また、二輪車7が接近する過程で後方カメラ23および左カメラ22の撮像情報から車間距離を測定できていた場合には、検知処理部12は二輪車7の像の高さと車間距離から二輪車7の高さを推定し、後方カメラ23にのみ撮像される状態になった時には、上記の推定値を車間距離の測定に用いてもよい。一般的に、二輪車7が左カメラ22および右カメラ21に写らない真後ろに位置する時は、すり抜けを意図していないと考えられるので、車間距離の精度が低くても実用上、問題ない。
<状況判定部のメインの処理フローについて>
次に、図6を参照して状況判定部13のメインの処理フローの一例について説明する。図6は、図2に示す状況判定部13で実行される処理フローを例示するフローチャートである。なお、図2に示す複数のステップのそれぞれはサブルーチンを示し、下述するようにその具体例それぞれは図7〜図9を参照して説明する。
上述したように状況判定部13は、ナビゲーション装置8の地理情報(道路情報を含む)、カメラ群20の撮像情報(障害物情報を含む)、センサ群30の測定情報および無線通信部2の気象情報および路面情報などを走行環境の情報として取得する。また、状況判定部13は、検知処理部12から二輪車7の検知情報も同時に取得している。
図6に示すように、状況判定部13は、これら取得した各種のデータおよび情報に基づいて車両1が危険な状態にあるか否かを判定する(S10)。その判定の結果、車両1が危険な状態にあると判定する場合(S10、YES)、状況判定部13は、牽制を行わないと決定し、その決定の結果を車両制御部14に送信する(S50)。ここで、車両1が危険な状態にある場合は、例えば、車両1の前方に落下物を検知していて、これを回避する必要がある場合が相当する。前方に落下物があって前進を続ければ衝突することが予見されるので、これは顕在する危険な状態である。この場合には、仮に後方の二輪車に絡まれるリスクがあるとしても、それは潜在的なリスクに過ぎないので、顕在する危険である前方の落下物を回避する動作を優先して行うべきことは明らかである。つまり、状況判定部13は、車両1に具体的な危険が迫っていない場合に限って牽制の要否を判断する。
車両1が危険な状態にないと判定する場合(S10、NO)、状況判定部13は、取得した各種データおよび情報に基づいて、牽制の要否を判断すべき後続の二輪車7がいるか否かを判定する(S20)。その判定の結果、牽制の要否を判断すべき後続の二輪車7がいないと判定する場合(S20、NO)、状況判定部13は牽制を行わないと決定する(S50)。その一方、考慮すべき後続の二輪車7が存在すると判定する場合(S20、YES)、状況判定部13は、取得した各種のデータおよび情報のうち少なくとも1つを走行環境の情報として用いてその二輪車7の側方通過に伴うリスク状況(例えば、上述した二輪車7の走行が不安定化する高リスク状況、または、高リスク状況よりはリスクが低いリスク状況、または、リスクが無い、のいずれに相当するか)を判定する(S30)。具体的には、状況判定部13は、二輪車7の転倒、直進性の低下、車線からの逸脱あるいは車幅方向の移動、二輪車7の車体を傾ける動作が強いられる事態、意図外の操舵あるいは制動が強いられる事態のうちいずれかが発生する可能性が高い状況の有無を上述の高リスク状況の有無として判定する(例えばステップS30での高リスク状況の判定)。ここで、上述の可能性が高い状況としては、注意報以上の強風、強風と地形変化点との組み合わせ、路面の凍結あるいは積雪、路面の凍結あるいは積雪と急カーブとの組み合わせ、雨、雪、雹、霧、スモッグ、煤煙による視程低下と障害物との組み合わせ、などが例示される。
その二輪車7が高リスク状況にあると判定する場合(S30、高リスク状況)、状況判定部13は牽制を行うと決定し、その決定の結果を車両制御部14に送信する(S60)。車両制御部14は、上述したように車両1が走行している道路の車線内の横位置などを制御してその二輪車7に対し牽制する。その一方、その二輪車7がリスク状況にないと判定する場合(S30、リスクなし)、状況判定部13は牽制を行わないと決定する(S50)。高リスク状況ほどではないが、それよりも低い一定のリスクがあるリスク状況であると判定する場合(S30、リスク状況)、状況判定部13は、取得した各種のデータおよび情報に基づいてすり抜けの許容に適した道路状況であるか否かを判定する(S40)。その判定の結果、すり抜けの許容に適した道路状況でないと判定する場合(S40、NO)、状況判定部13は牽制を行うと決定する(S60)。牽制を行うと決定された場合、車両制御部14は、上述したように車両1が走行している道路の車線内の横位置などを制御してその二輪車7に対し牽制する。その一方、すり抜けの許容に適した道路状況であると判定する場合(S40、YES)、状況判定部13は牽制を行わないと決定する(S50)。
また、下述するように、すり抜けの許容に適した道路状況の判定として、車線の幅から車両の幅を引いた左右余地が大きい場合、つまり、車線の幅が十分に広い場合は、状況判定部13はすり抜けの許容に適した道路状況であると判定する。すり抜けを許容する場合、二輪車は車両1の側面と車線境界線との間を通過すると考えられるので、すり抜けを促すために車両1を右側に寄せた時に、車両1の側面と車線境界線との間隔が所定距離を下回らない範囲になるか否か、の判定などが例示される。また、道路が直線であればすり抜けの許容に適しており、道路がカーブしている方がすり抜けの許容に適さないので、道路の曲率を道路状況の判定の要因(基準)に加えてもよい。
このように一連のステップS10〜S60を実行することにより、状況判定部13は、上述の牽制の要否を決定する。また、このような処理フローの構成により、状況判定部13は、ステップS10〜S40のそれぞれの判定基準に対し優先順位を付けて実行することが可能となる。具体的には、ステップS10は車両1の危険情報の有無の判定に関する基準、ステップS20は二輪車7の位置関係の判定に関する基準といえる。ステップS30は二輪車7のリスク状況の有無の判定に関する基準、ステップS40は道路状況などの良否に判定に関する基準といえる。ステップS10、S20、S30およびS40の順で優先順位が高く設定されており、ステップS10が最高位、ステップS40が最下位に設定される。
上位のステップでの判定基準で牽制の要否が決定された場合、下位のステップでの判定基準によってその決定が覆ることはない。例えば、ステップS10で車両1が危険な状態にあると判定する場合、状況判定部13はステップS20〜S40のそれぞれでの判定基準に関係なく牽制を行わないと決定する。また、ステップS30で二輪車7がリスク状況にあると判定する場合、状況判定部13は、ステップS40での判定基準に関係なく牽制を行うと決定する。
なお、これらステップS10〜S40は並行して実行されてもよい。例えば、道路状況などの良否を常時監視して判定すれば(S40)、走行制御装置10は二輪車7が急接近したり後続する4輪車の陰から現れたりする場合にも遅滞なく対応することが可能となる。
<状況判定部のステップS10での内部処理フローについて>
次に、上述したステップS10での処理フローの一例について説明する。
検知処理部12は、上述したようにカメラ群20のうち複眼カメラ24の撮像情報を取得し、車両1の前方に障害物があるか否かを検知する。この検知情報に基づいて、状況判定部13は車両1が危険状態にあるか否かを判定する。
危険な状態として、車両1の前方の他車両との車間距離が短い、車両1が走行する車線上に障害物(落下物、停車車両または逆行車両など)がある、あるいは車両1が積雪などで滑りやすい状況にあるなどが例示される。また、その他に、危険な状態として、走行はしているがブレーキランプまたはハザードランプを点灯している車両1がある、ウインカ4を点灯して減速している車両1があるなども例示される。さらには、車両1が走行する車線に進入する他車両がある場合も危険状態にあると判定され、より具体的には合流または車線変更してくる他車両、右折のため車両1の車線上を横断する他車両、縦列駐車から発車してくる他車両などが例示される。
なお、車両1が危険な状態にあると判定する場合、状況判定部13は牽制を行わないと決定し、例えば、車両制御部14は車両1を減速するとともに適宜操舵して障害物との衝突を回避する制御などを行う。また、車両1の後方に二輪車7が走行し、二輪車7の中心の横位置が車両1の中心の横位置から左右方向でオフセットし、かつ障害物との衝突を回避する上で車両1の横位置について左右方向に十分な幅寄せの空間がある場合、車両制御部14は、二輪車7の横位置から遠ざかる制御、つまり車両1の横位置を変更する操舵制御を加える。この場合、車両制御部14は、二輪車7に追突されるリスクを低減させるとともに二輪車7の運転者の前方の視界を開けて回避行動を促すことが可能となる。
なお、車両1が危険な状態にある時に牽制のための制御を行わないことは、牽制の解除ではないので、車両制御部14は車両1の横位置を維持することを優先してもよい。減速する際に操舵を同時に行うと、車体姿勢の安定が失われる恐れがあり、凍結した路面や雪道では、その傾向が強い。車両1の前方の障害物、または先行車との衝突が避けられない場合は、車両1の乗員(例えば運転者、同乗者)が受けるダメージを軽減する上で、車両1の車体姿勢を維持することは非常に重要であるので、後続する二輪車7に配慮しなくてもよい。上述したような、後続する二輪車7に配慮した横位置の制御が不可能な時は、二輪車7の安全は二輪車7の運転者に委ねられることになる。
<状況判定部でのステップS20の内部処理フローについて>
次に、図7を参照して、上述したステップS20での内部処理フローの一例について説明する。図7は、図6に示すステップS20での内部処理フローを例示するフローチャートである。
図7に示すように、検知処理部12は、カメラ群20のうち後方カメラ23、左カメラ22および右カメラ21の撮像情報を取得し、後方に二輪車7が走行しているか否かを検知する。その検知情報に基づいて、状況判定部13は後方に二輪車7がいるか否かを判定する(S21)。その判定の結果、後方に二輪車7がいないと判定する場合(S21、NO)、状況判定部13は危険を考慮すべき、後続の二輪車7がないと決定する(S26)。その一方、後方に二輪車7がいると判定する場合(S21、YES)、状況判定部13は、車両1が走行している車線の外に二輪車7が位置しているか否かを判定する(S22)。
その判定の結果、車両1の車線の外に二輪車7が位置していると判定する場合(S22、YES)、状況判定部13は考慮すべき後続の二輪車7はいないと決定する(S26)。その一方、車両1の車線の外に二輪車7が位置していない場合(S22、NO)、状況判定部13は記憶部から第3の閾値(例えば1[m])を読み込む。そして、状況判定部13は、二輪車7が車線中央より右側にオフセットし、かつそのオフセット量がその第3の閾値を超えているか否かを判定する(S23)。その判定の結果、二輪車7がオフセットしてそのオフセット量が第3の閾値を超えている場合(S23、YES)、状況判定部13は考慮すべき後続の二輪車7はいないと決定する(S26)。この場合、二輪車7は車両1の右側で追い越しまたは追い抜きを意図している、またはその傾向があるとみなすことが可能であり、二輪車7と車両1とが接触するリスクは低いと推測されるからである。
その一方で、そのオフセット量が第3の閾値を越えていない場合(S23、NO)、状況判定部13は、カメラ群20または検知処理部12が算出する二輪車7との車間距離の情報を取得する(S24)。つまり、二輪車7が車両1と同じ車線で後方にいない場合(S21,S22)、または二輪車7のオフセット量が第3の閾値を超えている場合(S23)などの接触するリスクが低いと推測される場合、車間距離に関する判定(S24,S25)は不要である。そのため、このような場合、状況判定部13はステップS24以降を実行せずにステップS26を直接実行する。
そして、車両1と二輪車7との車間距離の情報を取得した後、状況判定部13は、記憶部から第1の閾値および第2の閾値を読み出す。そして、状況判定部13はその車間距離が第1の閾値および第2の閾値との間の範囲にあり、かつその車間距離が減少傾向にあるか否かを判定する(S25)。
その判定の結果、この判定に該当しない場合、つまり二輪車7との車間距離が第1の閾値よりも大きいと判定する場合(S25、NO)、状況判定部13は考慮すべき後続の二輪車7はいないと決定する(S26)。あるいは、二輪車7との車間距離が第2の閾値よりも小さい場合(S25、NO)、または車間距離が増大傾向にある場合(S25、NO)も同様に、状況判定部13は考慮すべき後続の二輪車7はいないと決定する(S27)。その一方、車間距離が第1の閾値および第2の閾値との間の範囲にあり、かつその車間距離が減少傾向にあると判定する場合(S25、YES)、状況判定部13は牽制の要否を判断すべき後続の二輪車7がいると決定する(S27)。
このようにして、ステップS20で状況判定部13は、牽制の要否を判断すべき後続の二輪車7がいると決定する場合、その後リスク状況に対応する判定を行う。牽制の要否を判断すべき後続の二輪車7はいないと決定する場合、状況判定部13は牽制を行わないと決定することになる。なお、車間距離が第2の閾値よりも小さくなった二輪車7は、牽制の要否を判断すべき対象ではなくなるが、回避すべき対象になる。例えば、二輪車7がすり抜けを開始した時には、車両制御部14は、二輪車7の横位置から遠ざかる制御を行う。
また、上述したように、第1の閾値は車両1の車速に応じて決定または調整され、例えば車速が50[km/h]以上であれば30[m]、時速50[km/h]未満であれば20[m]に決定または調整される。また、第2の閾値も同様に車両1の車速に応じて決定または調整され、例えば50[km/h]以上であれば6[m]、時速50[km/h]未満であれば4[m]に決定または調整される。このような決定または調整により、車速が高い場合、状況判定部13はより安全側にリスク状況を判定することが可能となる。
また、実施の形態1では、第1の閾値および第2の閾値は、気象情報または路面情報に応じても決定または調整される。積雪または道路凍結の際、二輪車7が車両1の横に並行した場合、車両1が二輪車7の転倒に巻き込まれる可能性がある。そのため、二輪車7に並行されないように上述の牽制が行われるべきであるが、その牽制によって二輪車7が減速した際に二輪車7の両輪がロックしてしまい路面のグリップを失って転倒する可能性もある。さらに、転倒した二輪車7がスリップした状態で車両1に追突する可能性もある。
すなわち、積雪または道路凍結の際でも二輪車7の運転者が上述の牽制に的確かつ安全に対応できるように、積雪または道路凍結の際など道路環境が悪いと判断される場合、第1の閾値は通常よりも長く設定される。この設定により、二輪車7が車両1の牽制に対して急制動してしまうのを抑制するとともに、仮に二輪車7がスリップした場合でも車両1への追突リスクを低減することが可能となる。
また、二輪車7が車両1の牽制に関係なく接近を続けた場合、接触リスクを回避するために車間距離が所定の閾値を下回った時点で牽制を解除する必要がある。しかしながら、後続の四輪車の陰から二輪車7が現れるなどして、二輪車7を検知した時点ですでに車間距離が所定の閾値を下回っている場合も想定される。
この場合、上述したように車両1の牽制を直ちに解除すべきであるが、積雪または道路凍結の際に直ちに解除した場合、二輪車7が的確に対応できずに転倒またはスリップする可能性もある。そのため、実施の形態1では、二輪車7の転倒あるいはスリップが万が一に発生した場合でも車両1にその被害が及ばないように、制動距離が長くなることも踏まえ、積雪または道路凍結の際など道路環境が悪いと判断される場合、第2の閾値も同様に長く設定される。なお、道路環境が悪いと判断される場合には雨天または豪雨の時なども含まれ、同様に制御距離の増加が予想される場合、第1の閾値および第2の閾値は通常よりも長く設定される。
<状況判定部のステップS30での内部処理フローについて>
次に、図8を参照して、上述したステップS30での内部処理フローの一例について説明する。図8は、図6に示すステップS30での内部処理フローを例示するフローチャートである。
図8に示すように、上述したように状況判定部13は、ナビゲーション装置8の地理情報、および無線通信部2の気象情報および路面情報などを走行環境の情報として取得するとともに、記憶部に記憶保持される第4の閾値,第5の閾値,第6の閾値をそれぞれ読み込む。そして、状況判定部13は、これらの各種の情報、データおよび閾値に基づいて車両1の周囲の風速が第4の閾値(例えば風速20[m/s])以上か否かを判定する(S31)。その判定の結果、風速が第4の閾値以上であると判定する場合(S31、YES)、状況判定部13は高リスク状況であると判定する(S34)。
ここで、一般的には、実施の形態1の二輪車7を含む二輪車は横風を受けると、風に流されて車線内の横位置が大きく変わることがあり、自転車のように安定性が低い二輪車の場合は横風に煽られて転倒することもある。二輪車は横風に対応するために、風上に向けて少しその車体を傾けたり舵角を切ったりすることで、車体姿勢と車線内の横位置を維持しようとするが、暴風の時は風速が変動するため、車線内の横位置を一定に保つことは極めて困難である。よって、暴風の時は、状況判定部13は二輪車7に横に並ばれるとリスク状況がある、もしくは高リスク状況がある、と判定し、また風速によってリスク状況がある、もしくは高リスク状況がある、とそのレベルを識別して判定する。例えば、状況判定部13は、風速20[m/s]以上の場合は、風速が暴風のレベルであることだけを理由に高リスク状況がある、と判定してもよい。
風速が第4の閾値以下と判定する場合(S31、NO)、状況判定部13は風速が第5の閾値(例えば10[m/s])以上、かつ判定区間内に所定の屋内設備(例えばトンネルなど)の出入り口があるか否かを判定する(S32)。その判定の結果、風速が第5の閾値以上であり、かつ判定区間内に所定の屋内設備の出入り口があると判定する場合(S32、YES)、状況判定部13は車両1が高リスク状況にあると判定する(S34)。つまり、気象の影響と地形の影響とが重なる場合は、状況判定部13は、単独の場合よりリスクがより高まると評価して、高リスク状況がある、と判定してもよい。
ここで、上述したように、二輪車7は横風に対応するために、風上に向けて少し車体を傾けたり舵角を切ったりすることで、車体姿勢と車線内の横位置を維持しようとする傾向があるが、屋内設備、例えばトンネルの中では横風がないので、二輪車7は横風に対応する態勢を取らない(取れない)。その状態で二輪車7がトンネルの外に出ると、横風に逆らう態勢が取れていない状態で横風を受けるので、転倒したり、横方向に大きく流されたりする可能性がある。よって、暴風の時にトンネルの出口で二輪車7に横に並ばれていると、車両1の側面に衝突される危険性があり、二輪車7の直後に続いてトンネルを出ると、転倒した二輪車7に衝突する危険性があるので、状況判定部13は高リスク状況があると判定する。また、横風に逆らう態勢でトンネル内に入った時も、横風が急になくなったことによって車線内の横位置が大きく変わる場合がある。よって、トンネルの入り口も、状況判定部13は高リスク状況があると判定してよい。
そして、風速が第5の閾値未満であるか、または判定区間内に所定の屋内設備の出入り口がないと判定する場合(S32、NO)、状況判定部13は外部の気温が第6の閾値未満であり、かつ道路が滑りやすい状況であるか否かを判定する(S33)。その判定の結果、気温が第6の閾値未満であり、かつ道路が滑りやすいと判定する場合(S33、YES)、状況判定部13は、車両1がリスク状況にあると判定する(S36)。その一方、気温が第6の閾値以上であるか、または道路が滑りやすい状況ではないと判定する場合(S33、NO)、状況判定部13は、車両1がリスク状況にないと決定する(S35)。
道路が凍結して路面が滑りやすい状況となる事象は、橋や高架道路で発生することが多く、トンネルなどの屋内設備の内部で発生することはまれである。そのため、上述の一連のステップS31〜S35を状況判定部13が実行することにより、状況判定部13は、気象情報および地理情報などに基づいて車両1が滑りやすい状況、または転倒しやすい状況を事前に推定する。その推定に基づいて、状況判定部13は、二輪車7に対する牽制の要否、および車両1のリスク状況の有無を決定する。なお、この例において暴風の時には高リスク状況があると判定し、路面が滑りやすい時には一段低いリスク状況があると判定した基準は、二輪車7に後続することにリスクがあるかないか、である。暴風の時に前方で二輪車7が転倒すると、路上の二輪車や乗員に車両1が急接近して回避が困難であるのに対し、路面が滑りやすい時に前方で二輪車7が転倒すると、二輪車は路面を滑って急には減速しないため、暴風の時と比べてリスクが低いと考えられる。無論、以上のリスク状況の判定の基準は一例を示したものに過ぎないので、状況判定部13は、別の尺度と別のアルゴリズムで判定を行ってもよい。
なお、実施の形態1において暴風の時には高リスク状況があると判定し、路面が滑りやすい時には一段低いリスク状況があると判定した基準は、二輪車7に後続することにリスクがあるかないか、である。暴風の時に前方で二輪車7が転倒すると、路上の二輪車7やその運転者に車両1が急接近して回避が困難であるのに対し、路面が滑りやすい時に前方で二輪車7が転倒すると、二輪車7は路面を滑って急には減速しないため、暴風の時と比べて車両1が巻き込まれるリスクが低いと考えられる。また、上述したリスク判定の基準は一例を示したものに過ぎず、状況判定部13は、別の尺度と別のアルゴリズムで判定を行ってもよい。
以上説明したステップS31〜S36のリスク状況の判定結果に従って走行制御が行われる。その具体例として、状況判定部13は、道路が滑りやすい状況にあると判定する場合、橋や高架道路の上ではすり抜けを牽制することになる。その一方、状況判定部13は、所定の長さ以上の、トンネルなどの所定の屋内設備の中ではその牽制を解除することになる。また、暴風や強風の時、または降雪時や道路が氷結している時は、二輪車7はトンネルの外よりも中の方が安定して走行できるので、車両1が二輪車7に接近されている状況を解消するために、すり抜けを容認すべき場所として好適であり、すり抜けを促すような制御をさらに加えても良い。これにより、車両1は、二輪車7が後続する状態を早期に解消することが可能となる。
また、上述したように、道路の状況判定は事前に設定される判定区間において行われる。判定区間は、車両1が二輪車7に追い越されるあるいは二輪車7に追い抜かれる間に車両1が走行すると想定される距離、換言すれば、車両1が走行している地点から所定時間(例えば10秒)後に走行している地点までの区間に設定される。この設定により、車両制御部14が牽制を解除してからその所定時間後には二輪車7はすり抜けを完了することになる。
<状況判定部でのステップS40の内部処理フローについて>
次に、図9を参照して、上述したステップS40での内部処理フローの一例について説明する。図9は、図6に示すステップS40での内部処理フローを例示するフローチャートである。
例えば、道路のカーブ路では二輪車7は車体を傾けてその遠心力に逆らうが、落ち葉あるいは水たまりでタイヤのグリップが低下すると車体が車線の外側に膨らむ可能性がある。また、二輪車7は、その側方に並走する車両1がある場合、その落ち葉あるいは水たまりを回避しようとしてその車両1に接触する可能性がある。このような接触のリスクを低減するため、上述した判定区間での評価項目に道路幅、カーブ路、交差路、および見通しなどの地理情報も加えられており、すり抜けの許容に適した道路状況か否かが総合的に判定される。
また、車両制御部14が牽制を解除した場合、二輪車7がすり抜けを開始して判定区間で二輪車7が車両1と並走する可能性がある。このとき、車道外側線の付近に障害物(例えば、低速で走行する他車両、または停止した他車両)があると、車両1の左側を走行する二輪車7がその障害物に衝突する可能性がある。二輪車7の運転者が前方の障害物を早い段階で視認することが可能であれば減速するなどして衝突を回避することが可能である。
しかしながら、道路が左カーブ路であったり、または路側に街路樹があったりする場合など、車道外側線の付近からでは二輪車7の運転者は遠方を見通せないことがある。特に路側に街路樹がある場合、車両1の運転者はその街路樹から左右方向で離間した位置から前方を見るので、車両1の左側を走行する二輪車7からの見通しが悪いことに気付かないことがある。また、車両1の前方に先行車両があり、かつその先行車両が車両1の複眼カメラ24の視界を塞いでいる場合、車両1の運転者は前方の判定区間に障害物があるかいなかを判定するのは困難である。
このようなことを踏まえて、状況判定部13は、上述したステップS40で見通しが悪い状況を具体的に判定して、牽制を行うか否かの最終決定を行う。
すなわち、図9に示すように、状況判定部13は、ナビゲーション装置8の地理情報を取得して、判定区間内にカーブ路があるか否かを判定する(S41)。その判定の結果、判定区間内にカーブ路があると判定する場合(S41、YES)、状況判定部13はナビゲーション装置8の地理情報から判定区間にある道路のカーブ路の曲率半径を取得する。同時に、状況判定部13は、車速センサ33の測定情報から車速を取得する。
そして、状況判定部13は、そのカーブ路の曲率半径の地理情報および車速の測定情報に基づいて二輪車7に加わる遠心力を推定する(S43)。状況判定部13は、記憶保持部から第7の閾値を読み込み、その推定した遠心力が第7の閾値以上か否かを判定する(S44)。その判定の結果、その遠心力が第7の閾値以上であると判定する場合(S44、YES)、状況判定部13は牽制を行うと決定する(S48)。
ここで、一般的には、実施の形態1の二輪車7を含む二輪車はカーブでは車体を自ら傾けることによって遠心力に逆らい、大きく減速することなくカーブを通過できる特徴がある。しかしながら、何らかの要因で二輪車の車輪(タイヤ)が路面をグリップする力が弱まると、車体を自ら傾けていたために転倒したり、転倒を免れたとしても外側に大きく膨らんだりする(車線内で大きく横移動する)可能性がある。転倒する危険性や横移動の幅は遠心力が大きくなるほど大きいので、状況判定部13がカーブの曲率半径だけでなく、車速を加味して遠心力に換算して判定することは合理的である。
また、判定区間内にカーブ路がないと判定する場合(S41、NO)、状況判定部13は、カメラ群20の撮像情報またはナビゲーション装置8の地理情報から車線幅のデータを取得するとともに記憶部から第8の閾値を読み込む。
また、判定区間内にカーブ路がなく道路が直線であっても車両1の車幅と車線幅との相対的関係で車線幅が狭く車両1の左側方に十分な通過空間が取れない場合がある。このような場合、二輪車7がすり抜けようとすると車両1と二輪車7との接触が発生する可能性がある。そのため、このようなリスクを事前に回避するため、状況判定部13は、車線幅が第8の閾値を下回るか否かを判定する(S42)。その判定の結果、車線幅が第8の閾値未満であると判定する場合、状況判定部13は牽制を行うと決定する(S48)。
そして、推定された遠心力が第7の閾値未満であると判定する場合(S44、NO)、または車線幅が第6の閾値を上回ると判定する場合(S42、NO)、判定区間は急カーブ路ではなく、または判定区間内の車線幅は十分な通過空間を有するとされる推定される。そのため、このような場合、状況判定部13は、検知処理部12の検知情報を取得して、その検知情報に基づいて判定区間内に先行車両がいるか否かを判定する(S45)。その判定の結果、判定区間内に先行車両がいると判定する場合(S45、YES)、状況判定部13は牽制を行うと決定する(S48)。この決定により、二輪車7がすり抜けた際に先行車両と接触するリスクを事前に低減させることが可能となる。
判定区間内に先行車がいないと判定する場合(S45、NO)、状況判定部13は判定区間内の道路が左カーブ路であるか、かつ視界を妨げる障害物があるか否かを判定する(S46)。その判定の結果、その道路が左カーブ路であり、かつ視線を妨げる障害物があると判定する場合(S46、YES)、状況判定部13は牽制を行うと決定する(S48)。その一方、判定区間内の道路が左カーブ路ではない、または視界を妨げる障害物がないと判定する場合(S46、NO)、状況判定部13は判定区間内の道路に峠部があるか否かを判定する(S47)。その判定の結果、その道路に峠部があると判定する場合(S47、YES)、状況判定部13は牽制を行うと決定する(S48)。その一方、その道路に峠部がないと判定する場合(S47、NO)、状況判定部13は牽制を行わないと決定する(S49)。
ここで、図示してはいないが、車両1に先行車がいる場合、その先行車によって視線を妨げられることに対応する処理を、上述したステップにさらに加えるように構成してもよい。前方の車線中央に障害物があれば、先行車の動きから察知できる可能性があるが、車道外側線付近の障害物であれば、先行車の動きに影響しないかもしれない。道外側線付近の障害物は先行車に隠されて車両1のカメラ群20またはセンサ群30などの検知装置で検知するのは困難な場合もあるが、二輪車7が車両1の側方をすり抜ける時や、すり抜けた直後に障害物に接触したり、接触を回避するための操舵や減速をしたりすると、転倒したり車両1と接触したりする可能性があるからである。つまり、車両1に先行車がいて、前方の状況を検知しにくい場合は、上述したステップに前方の状況を検知しにくいことを条件として牽制を行うと決定する判定をさらに加えてもよい。
<二輪車への牽制に効果がなかった場合について>
次に、上述の処理フローの他に適宜実行される、上述の牽制を後方に二輪車7に対して実行したにもかかわらず二輪車7の運転者がその牽制を無視して車両1に接近し続けた場合の走行制御について説明する。
上述したように、状況判定部13が後方の二輪車7の走行にリスク状況があると判定する時、車両制御部14は二輪車7が車両1に並行するのを牽制する制御を行う。この牽制の走行制御によって二輪車7の運転者がすり抜けを止めることが期待されるが、二輪車7の運転者によってはその牽制を無視してすり抜けを試みる場合も想定される。実施の形態1に係る走行制御は、二輪車7との接触あるいは二輪車7の転倒によるリスクを低減する目的ですり抜けを牽制するものであり、例えば車両1の横位置を車線の左側に寄せる牽制によって二輪車7と接触するリスクが発生するのは望ましくはない。
仮に二輪車7がすり抜けて車両1の前方に出ると対抗右折車と衝突する可能性がある場合であっても、車両1に追突させて二輪車7を停止させることは過剰な対応である。そこで、実施の形態1では、車両1の横位置を車線の左側に寄せて二輪車7のすり抜けを牽制している際に二輪車7がさらに接近して車間距離が第2の閾値を下回った場合、車両制御部14は車両1の横位置を逆方向の右側に移動させる。つまり、車両制御部14は、二輪車7が車両1の後方に位置し、かつ二輪車7との車間距離が第2の閾値未満である時、車両1の側面と車線境界線との間隔が所定距離を下回らない範囲で、車両1の中心の横位置が車両1の後方の二輪車7の中心の横位置から遠ざける制御を行う。この制御により、車両制御部14は、すり抜ける二輪車7との間の側方間隔を大きくして、二輪車7と接触するリスクを低減することが可能となる。
また、このとき、車両1の横位置を右側に移動させる制御によって、二輪車7から視て前方の有効視界が広がるので、前方に落下物などの直進走行を妨げる障害物があった際に、二輪車7の運転者はその障害物を発見し易くなる。その結果、二輪車7がすり抜けを中止したり路側帯または路肩を利用するなどして障害物を回避したりして、二輪車7の転倒の発生を可能な限り抑制することが可能となる。
また、上述したように状況判定部13が、高リスク状況があると判定する場合、車両制御部14は車両1を加速する制御を行うように構成されてもよい。具体的には、車両制御部14は、高リスク状況であると判定され、二輪車7が車両1の後方に位置し、かつ二輪車7の車両1への接近速度が所定値以上である時、車両1を加速する制御を行う。この場合、高リスク状況下で車両1が加速することにより車間距離を維持、または増加させ、二輪車7に並行するのを避けることにより、車両1と二輪車7とが接触するリスク(危険が生じる可能性)を可能な限り低減することが可能となる。
<二輪車が並走する場合の追加の走行制御について>
次に、上述した処理フローの他に適宜実行される、二輪車7が並走する場合の追加の走行制御、より具体的には、牽制をすべきリスク状況にあるにもかかわらず二輪車7が車両1の左側を進入した場合に追加的に実行される走行制御について説明する。
車両1の横位置を左側に移動させ二輪車7のすり抜けを牽制している時に、車両1の側方に二輪車7が進入しても牽制を継続していると、二輪車7と接触するリスクがある。車間距離が第2の閾値よりも小さくなった二輪車7は、牽制の要否を判断すべき対象ではなくなり、回避すべき対象になる。具体的には、二輪車7との車間距離が第2の閾値よりも小さくなった時には、車両制御部14は、車両1の横位置を二輪車7の横位置から遠ざける制御を行う。二輪車7がさらに前進すると、車両1の側方に入り込み、車間距離がマイナスになる。二輪車7が車両1の側方に位置する状態が継続することは安全上、回避すべきである。そのため、牽制をすべきリスク状況である時に二輪車7が車両1の側方に進入しようとする場合、または二輪車7が車両1の側方に進入している場合、車両制御部14は車両1を減速する制御を行う。この減速の制御により、その並走状態を早期に解消することが可能となる。
また、二輪車7が車両1の後端よりも後方に位置している状態で車両制御部14が車両1を急に減速させる場合、二輪車7に追突されるリスクもある。このような場合にも備えて、車両制御部14は、車両1の横位置を右側に移動させて追突される位置関係を回避した時点、または二輪車7の先端が車両1の後端よりも前に出た時点で減速する制御を行う。
なお、状況判定部13が、高リスク状況があると判定する場合、二輪車7が車両1の右側で追い越しまたは追い抜きで車両1に並行することもリスクである。そのため、車両制御は、二輪車7が車両1の右側に並んだ時点で車両1を減速して二輪車7と並走するリスク状況が発生する時間を短縮する制御機能をさらに有するように構成されてもよい。
<拡大判定範囲での道路情報を考慮した第8の閾値の調整に関する走行制御について>
次に、上述した処理フローの他に適宜実行される、拡大判定範囲の道路情報を考慮した第8の閾値の調整に関する走行制御について説明する。
農道などの狭隘(きょうあい)な道路が続くところは、二輪車7が先行する車両1を追い越しまたは追い抜きが困難な状況が続く。このような状況で前方の視界を塞がれることが二輪車7の運転者の心理的ストレスをかけることになり、その結果、無理なすり抜けが行われる可能性がある。
このような無理なすり抜けの発生を抑制するため、実施の形態1に係る状況判定部13には、判定区間よりさらに長い距離の範囲が拡大判定区間として設定されており、状況判定部13は、この拡大判定区間も同様に上記のリスクの状況の有無を判定する。すなわち、状況判定部13はナビゲーション装置8から地理情報を取得し、この地理情報からその拡大判定区間の道路情報を抽出する。その拡大判定区間の道路情報に基づいて、状況判定部13は狭隘(きょうあい)な道路が続くところであると判定する場合、車線幅(道路幅)に関する第8の閾値を一時的に下げる調整を行う。この調整により、状況判定部13は、他の地点よりも道路幅が比較的広い地点で牽制を解除して、二輪車7を先行させるように制御することが可能となる。
なお、ナビゲーション装置8の地理情報に基づいて二輪車7のすり抜けや追い越しに適した地点が車両1の前方にあると判定する場合、状況判定部13はその第8の閾値を下げる調整を行わずに、すり抜けや追い越しに適した時点まで牽制を継続するように構成されてもよい。
その具体例として、道路幅から車両1の車幅を引いた左右方向の通過空間の余地の合計が所定の閾値未満である狭隘(きょうあい)な道路が続く場合、状況判定部13は道路が直線になる区間を地理情報から抽出する。そして、その抽出された直線区間までは状況判定部13は牽制を行うと決定し、その直線区間となった時点で車両制御部14は左側に左右方向で所定値以上の通過空間を有するように車両1の横位置を移動する制御する。また、その横位置の制御と同時に、車両制御部14は車両1を減速して二輪車7の通過を促したり、あるいは所定の距離内で道路幅が拡幅する場合、状況判定部13はその先まで牽制を継続すると決定したりする。
<実施の形態1に係る走行制御装置および走行制御方法の利点>
実施の形態1に係る走行制御装置10および走行制御方法は、自動運転または操舵支援を含む運転支援において実装される。自動運転または操舵支援の基本は車線維持であり、車両1の横位置が走行車線の中央になるように制御される。このとき、車両1と車道外側線の間に、後方の二輪車7からは通過可能に見受けられる通過空間が発生する場合がある。自動運転中であっても、車両1の運転車は手動操舵を適宜開始することが可能であるが、車両1の運転者は基本的に車両1の前方を意識(注視)しているので、後方から二輪車7が接近した際にその存在に気付くのが遅れる可能性がある。
その具体例として、後方の二輪車7が車両1の左側方に進入した後、前方の車道外側線の上にタイヤなどの落下物があることに気付いた場合、二輪車7が落下物に接触して転倒し、車両1が二輪車7の運転者に接触したり、二輪車7が落下物を回避しようとして車両1に接触したりする可能性がある。しかしながら、車両1は、二輪車7が車両1の左側方に進入した後では回避動作などの対応を行うのは困難である。また、リスク状況に気付いた時点が、二輪車7が車両1の左側方に進入しようとする直前であると車両1の左側方に二輪車7が進入しないように車両1の中心の横位置を左側に移動させた場合、二輪車7が車両1に追突する可能性もある。つまり、すり抜けようとする二輪車7への対応は、車両1の左側方でのすり抜けが開始する前に行うことが求められる。
以上により、実施の形態1に係る走行制御装置10は、車両1の走行環境の情報を取得するセンサ群30、無線通信部2およびナビゲーション装置8と、走行環境の情報に基づいて、車両1の周辺に位置する二輪車7の検知情報を取得する検知処理部12とを有する。走行制御装置10は、走行環境の情報および二輪車7の検知情報に基づいて、二輪車7の側方通過に伴うリスク状況の有無を判定する状況判定部13と、車両1が走行している道路の車線内の横位置を少なくとも制御する車両制御部14と、を備える。また、車両制御部14は、二輪車7の検知情報およびリスク状況がある場合に、二輪車7が車両1に並ぶ走行の牽制を行う制御を行う。
これにより、走行制御装置10は、車両1の外側側方(道路法令上、左側通行の場合には左側、右側通行の場合には右側)を通過して前に出(いわゆるすり抜け)ようとする二輪車7が車両1の側方もしくは前方で転倒するリスクを低減し、車両1が事故に巻き込まれるリスクを低減し、車両1の安全な走行を支援することができる。
また、状況判定部13は、側方通過時の車両間隔の不足、二輪車7の転倒、直進性の低下、車線からの逸脱あるいは車幅方向の移動、二輪車7の車体を傾ける動作が強いられる事態、意図外の操舵あるいは制動が強いられる事態のうちいずれかが発生する可能性が高い状況の有無をリスク状況の有無として判定する。これにより、走行制御装置10は、車両1の周辺に位置する二輪車7の走行状態を高精度に検知できるので、二輪車7の走行が不安定化するリスク状況の有無を的確に判定できる。
また、状況判定部13は、地理情報、気象情報、路面情報、障害物情報のうち少なくとも1つを走行環境の情報として用いて、リスク状況の有無を判定する。これにより、走行制御装置10は、地理情報、気象情報、路面情報、障害物情報のうち少なくとも1つを有する走行環境の情報を利用して、車両1の周辺に位置する二輪車7の側方通過に伴うリスク状況の有無を的確に判定できる。
また、状況判定部13は、車両1の位置から進行方向上の所定距離の範囲を判定区間として、リスク状況の有無を判定する。これにより、走行制御装置10は、二輪車7の側方通過に伴うリスク状況の有無を、車両1の周囲の判定区間を対象として的確に判定できる。
また、状況判定部13は、二輪車7に追い越されるあるいは二輪車7に追い抜かれる間に車両1が走行すると想定される距離を基準として所定距離を設定する。これにより、走行制御装置10は、判定区間の距離を車両1が二輪車7に対する牽制を解除してから所定時間が経過した時点で二輪車7が車両1のすり抜けが完了している距離として評価できるので、二輪車7の側方通過に伴うリスク状況の有無をより的確に判定できる。
また、状況判定部13は、判定区間より長い距離の範囲を拡大判定区間としてリスク状況の有無を判定し、拡大判定区間の全区間でリスク状況があると判定した場合、牽制の要否判定に用いる閾値を下げる調整を行う。これにより、走行制御装置10は、車両1の前方にすり抜けあるいは追い越しに適した地点がない場合などに、二輪車7の運転者に無理なすり抜けを行わせることを抑制できる。
また、車両制御部14は、牽制として、車両1の横位置を車両1の後方の二輪車7の位置に応じて調整し、車両1の側面と車線境界線との間隔が所定距離を下回らない範囲で、車両1の中心の横位置を車両1の後方の二輪車7の中心の横位置に近づける。これにより、走行制御装置10は、車両1の車線と同一の車線を走行している二輪車7の運転者に左側からのすり抜けの実行を抑制できる。
また、車両制御部14は、車両1と車両1の後方の二輪車7との車間距離が第1の閾値以上である時、車間距離が第2の閾値未満である時、あるいは、車両1の後方の二輪車7の横位置が車線中央から右側に向かって所定距離以上オフセットしている時、牽制を行わない。これにより、走行制御装置10は、車両1と一定の間隔を空けて安全に走行している二輪車7、車両1と非常に接近している二輪車7、車両1の右車線に出て追い越しを行おうとしている二輪車7に敢えて牽制しないことで、車両1の走行の安全性を担保できる。
また、状況判定部13は、第1の閾値あるいは第2の閾値を、車両1の車速、車両1の後方の二輪車7の車速、および、車両1および二輪車7が走行する道路の路面の状況のうち少なくとも1つに応じて決定あるいは調整する。これにより、走行制御装置10は、二輪車7の側方通過に伴うリスク状況の有無を適応的に判定できる。
また、状況判定部13は、判定区間における地理情報、気象情報、路面情報、障害物情報に基づいて、二輪車の走行が不安定化する高リスク状況の有無を判定する。車両制御部14は、高リスク状況であると判定され、二輪車7が車両1の後方に位置し、かつ、二輪車7の車両1への接近速度が所定値以上である時、車両1を加速する制御を行う。これにより、走行制御装置10は、判定区間中の道路状況および気象情報も加味して二輪車7の走行が不安定化する高リスク状況の有無を的確に判定でき、二輪車7と車両1との接触の発生を抑制できる。
また、状況判定部13は、注意報以上の強風、強風と地形変化点との組み合わせ、路面の凍結あるいは積雪、路面の凍結あるいは積雪と急カーブとの組み合わせ、雨、雪、雹、霧、スモッグ、煤煙による視程低下と障害物との組み合わせが検知された時、高リスク状況であると判定する。これにより、走行制御装置10は、車両1および二輪車7が走行している道路状況だけでなく様々な気象情報も加味して二輪車7の走行が不安定化する高リスク状況の有無を的確に判定できる。
また、車両制御部14は、二輪車7が車両1の後方に位置し、かつ、二輪車7との車間距離が所定値未満である時、車両1の側面と車線境界線との間隔が所定距離を下回らない範囲で、車両1の中心の横位置を車両1の後方の二輪車7の中心の横位置から遠ざける制御を行う。これにより、走行制御装置10は、二輪車7が車両1の側方をすり抜けようとしている場合などに二輪車7への牽制を行わずに二輪車7を先に行かせるように避けることで、二輪車7との接触の発生を抑制できる。
また、車両制御部14は、二輪車7が車両1の側方に位置している場合、または、二輪車7の横位置が車両1の側面の横位置から外側に所定値以上離れている場合に、車両1を減速する制御を行う。これにより、走行制御装置10は、車両1の側方に既に存在している二輪車7がすり抜けようとしている場合などに車両1を減速させて二輪車7を先に行かせるように避けることで、二輪車7との並走時間を短縮できて二輪車7との接触の発生を抑制でき、車両1の運転者の心理的ストレスを解放できる。
また、車両制御部14は、牽制が行われている状況から、牽制を終了する時に、車両1の側面と車線境界線との間隔が所定距離を下回らない範囲で、車両1の中心の横位置を車両1の後方の二輪車7の中心の横位置から遠ざける制御を行う。これにより、走行制御装置10は、牽制を終了する場合に、車線境界線からの一定距離を保つようにして車両1の走行の安全性を担保できるとともに、走行している車線の横位置を二輪車7と合わせることで二輪車7への無用な牽制を抑制できる。
また、車両制御部14は、牽制が行われている状況から、牽制を終了する時に、車両1を減速する制御を行う。これにより、走行制御装置10は、牽制を終了する場合などに、車両1を減速することで二輪車7との接触を抑制できる。
また、車両制御部14は、牽制の行われている状況から、牽制を終了する時に、ウインカ4を点滅させて二輪車7への追い越しを促す。これにより、走行制御装置10は、牽制を終了する場合に、二輪車7の運転者への追い越しなどの先行運転を促すことで二輪車7との接触を抑制できる。
以上、図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
本開示は、自動車などの車両において、車両の外側側方(道路法令上、左側通行の場合には左側、右側通行の場合には右側)を通過して前に出(いわゆるすり抜け)ようとする二輪車が車両の側方もしくは前方で転倒するリスクを低減し、車両が事故に巻き込まれるリスクを低減し、車両の安全な走行を支援する走行制御装置および走行制御方法として有用である。
1 車両
2 無線通信部
3 HMI
4 ウインカ
5 車速制御装置
6 舵角制御装置
7 二輪車
8 ナビゲーション装置
10 走行制御装置
11 画像処理部
12 検知処理部
13 状況判定部
14 車両制御部
15 車内通信部
20 カメラ群
21 右カメラ
22 左カメラ
23 後方カメラ
24 複眼カメラ
24A 右カメラ
24B 左カメラ
30 センサ群
31 雨滴センサ
32 気温センサ
33 車速センサ

Claims (17)

  1. 車両に搭載される走行制御装置であって、
    前記車両の走行環境の情報を取得する環境情報取得部と、
    前記走行環境の情報に基づいて、前記車両の周辺に位置する二輪車の検知情報を取得する二輪車情報取得部と、
    前記走行環境の情報および前記二輪車の検知情報に基づいて、前記二輪車の側方通過に伴うリスク状況の有無を判定するリスク状況判定部と、
    前記車両が走行している道路の車線内の横位置を少なくとも制御する車両制御部と、を備え、
    前記車両制御部は、前記二輪車の検知情報および前記リスク状況がある場合に、前記二輪車が前記車両に並ぶ走行の牽制を行う制御を行う、
    走行制御装置。
  2. 前記リスク状況判定部は、前記側方通過時の車両間隔の不足、前記二輪車の転倒、直進性の低下、車線からの逸脱あるいは車幅方向の移動、前記二輪車の車体を傾ける動作が強いられる事態、意図外の操舵あるいは制動が強いられる事態のうちいずれかが発生する可能性が高い状況の有無を前記リスク状況の有無として判定する、
    請求項1に記載の走行制御装置。
  3. 前記リスク状況判定部は、地理情報、気象情報、路面情報、障害物情報のうち少なくとも1つを前記走行環境の情報として用いて、前記リスク状況の有無を判定する、
    請求項1に記載の走行制御装置。
  4. 前記リスク状況判定部は、前記車両の位置から進行方向上の所定距離の範囲を判定区間として、前記リスク状況の有無を判定する、
    請求項1に記載の走行制御装置。
  5. 前記リスク状況判定部は、前記二輪車に追い越されるあるいは前記二輪車に追い抜かれる間に前記車両が走行すると想定される距離を基準として前記所定距離を設定する、
    請求項4に記載の走行制御装置。
  6. 前記リスク状況判定部は、前記判定区間より長い距離の範囲を拡大判定区間として前記リスク状況の有無を判定し、前記拡大判定区間の全区間で前記リスク状況があると判定した場合、前記牽制の要否判定に用いる閾値を下げる調整を行う、
    請求項4に記載の走行制御装置。
  7. 前記車両制御部は、前記牽制として、前記車両の横位置を前記車両の後方の前記二輪車の位置に応じて調整し、前記車両の側面と車線境界線との間隔が所定距離を下回らない範囲で、前記車両の中心の横位置を前記車両の後方の前記二輪車の中心の横位置に近づける、
    請求項1に記載の走行制御装置。
  8. 前記車両制御部は、前記車両と前記車両の後方の前記二輪車との車間距離が第1の閾値以上である時、前記車間距離が第2の閾値未満である時、あるいは、前記車両の後方の前記二輪車の横位置が車線中央から右側に向かって所定距離以上オフセットしている時、前記牽制を行わない、
    請求項1に記載の走行制御装置。
  9. 前記リスク状況判定部は、前記第1の閾値あるいは前記第2の閾値を、前記車両の車速、前記車両の後方の前記二輪車の車速、および前記車両および前記二輪車が走行する道路の路面の状況のうち少なくとも1つに応じて決定あるいは調整する、
    請求項8に記載の走行制御装置。
  10. 前記リスク状況判定部は、前記判定区間における地理情報、気象情報、路面情報、障害物情報に基づいて、前記二輪車の走行が不安定化する高リスク状況の有無を判定し、
    前記車両制御部は、前記高リスク状況であると判定され、前記二輪車が前記車両の後方に位置し、かつ、前記二輪車の前記車両への接近速度が所定値以上である時、前記車両を加速する制御を行う、
    請求項4に記載の走行制御装置。
  11. 前記リスク状況判定部は、注意報以上の強風、強風と地形変化点との組み合わせ、路面の凍結あるいは積雪、路面の凍結あるいは積雪と急カーブとの組み合わせ、雨、雪、雹、霧、スモッグ、煤煙による視程低下と障害物との組み合わせが検知された時、前記高リスク状況であると判定する、
    請求項10に記載の走行制御装置。
  12. 前記車両制御部は、前記二輪車が前記車両の後方に位置し、かつ、前記二輪車との車間距離が所定値未満である時、前記車両の側面と車線境界線との間隔が所定距離を下回らない範囲で、前記車両の中心の横位置を前記車両の後方の前記二輪車の中心の横位置から遠ざける制御を行う、
    請求項1に記載の走行制御装置。
  13. 前記車両制御部は、前記二輪車が前記車両の側方に位置している場合、または、前記二輪車の横位置が前記車両の側面の横位置から外側に所定値以上離れている場合に、前記車両を減速する制御を行う、
    請求項1に記載の走行制御装置。
  14. 前記車両制御部は、前記牽制が行われている状況から、前記牽制を終了する時に、前記車両の側面と車線境界線との間隔が所定距離を下回らない範囲で、前記車両の中心の横位置を前記車両の後方の前記二輪車の中心の横位置から遠ざける制御を行う、
    請求項1に記載の走行制御装置。
  15. 前記車両制御部は、前記牽制が行われている状況から、前記牽制を終了する時に、前記車両を減速する制御を行う、
    請求項1に記載の走行制御装置。
  16. 前記車両制御部は、前記牽制が行われている状況から、前記牽制を終了する時に、方向報知器を点滅させて前記二輪車への追い越しを促す、
    請求項1に記載の走行制御装置。
  17. 車両の走行を制御する走行制御方法であって、
    車両の走行環境の情報を取得するステップと、
    前記走行環境の情報に基づいて、前記車両の周辺に位置する二輪車の検知情報を取得するステップと、
    前記走行環境の情報および前記二輪車の検知情報に基づいて、前記二輪車の側方通過に伴うリスク状況の有無を判定するステップと、
    前記車両が走行している道路の車線内の横位置を少なくとも制御するステップと、を有し、
    前記リスク状況の有無の判定では、前記二輪車の検知情報および前記リスク状況がある場合に、前記二輪車が前記車両に並ぶ走行の牽制を行う制御を行う、
    走行制御方法。
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