JP2021162198A - 熱交換器およびその外包体 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面に有害な凹凸変形部が形成されない熱交換器を提供する。【解決手段】本発明は、入口および出口が設けられ,かつ一対の対向壁111,151を有する外包体1と、一対の対向壁間に配置され、かつ凹部25および凸部26が設けられるインナーフィン2とを備え、入口から流入した熱交換媒体が前記外包体内のインナーフィン設置部を通って出口から流出するようにした熱交換器を対象とする。外包体1が、金属製の伝熱層51の内面側に樹脂製の熱融着層52が設けられた外包ラミネート材L1によって構成されるとともに、その外包ラミネート材L1の伝熱層51は、ビッカース硬さが40HV〜200HV、伸びが0.1%〜20%であり、インナーフィン2における凹部底面および凸部頂面と、一対の対向壁111,151とが接合されている。【選択図】図2

Description

この発明は、金属製の伝熱層に樹脂製の熱融着層が積層されたラミネートシート等のラミネート材を用いて製作される熱交換器およびその外包体に関する。
スマートフォンやパーソナルコンピュータ等の電子機器における小型高性能化に伴い、電子機器のCPU回りの発熱対策も重要となり、機種によっては水冷式冷却器やヒートパイプを組み込んで、CPU等の電子部品に対する熱負荷を軽減するとともに、筐体内に熱をこもらせないようにして、熱による悪影響を回避する技術が従来より提案されている。
また電気自動車やハイブリッド車に搭載される電池モジュールは、充電と放電とを繰り返し行うために電池パックの発熱が大きくなる。このため電池モジュールにおいても上記の電子機器と同様に、水冷式冷却器やヒートパイプを組み込んで、熱による悪影響を回避する技術が提案されている。
さらにシリコンカーバイト(SiC)製等のパワーモジュールも発熱対策として冷却板やヒートシンクを組み付ける等の対策が提案されている。
従来、小型の電子機器に組み込まれるヒートパイプ等の薄型の冷却器は、複数の金属製の構成部品をろう付け等で接合する金属製のものが主流であった(特許文献1〜3)。
しかしながら、金属製の冷却器は、各構成部品が、鋳造や鍛造等の塑性加工や、切削等の除去加工等の面倒な金属加工(機械加工)によって製作されるため、現行以上の薄型化は困難である。
特開2015−59693号公報 特開2015−141002号公報 特開2016−189415号公報
そこで近年において、ケーシングとしての外包体やインナーフィン(内芯材)をラミネート材によって構成した冷却器が提案されている。ラミネート材は、金属箔層に樹脂製の熱融着層が積層されて構成されており、外包体用のラミネート材の熱融着層が、インナーフィン用のラミネート材の熱融着層にヒートシール(熱融着)されて、冷却器が形成されている。
このようなラミネート材製の冷却器は、面倒な金属加工が不要で、製作の容易化、コストの削減、薄型化等を図ることができる。
しかしながら、ラミネート材を用いた冷却器等の熱交換器は、外包体をインナーフィンに確実に熱融着するために、高温かつ高圧でヒートシールを実施するのが一般的である。そうすると、ラミネート材である外包体の表面に内芯材との接触部、非接触部の応力の違いによる有害な凹凸変形部、例えば型付等が発生し、外観不良や、場合によっては、電池等の冷却対象部材との接触面積を減少させて、熱交換性能を低下させるという課題が発生する。
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、ラミネート材を用いた熱交換器であって、表面に有害な凹凸変形部が発生するのを防止できて、外観が良好で熱交換性能も向上できる熱交換器およびその外包体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
[1]入口および出口が設けられ,かつ一対の対向壁を有する外包体と、前記一対の対向壁間に配置され、かつ凹部および凸部が設けられるインナーフィンとを備え、前記入口から流入した熱交換媒体が前記外包体内のインナーフィン設置部を通って前記出口から流出するようにした熱交換器であって、
前記外包体が、金属製の伝熱層の内面側に樹脂製の熱融着層が設けられた外包ラミネート材によって構成されるとともに、その外包ラミネート材の伝熱層は、ビッカース硬さが40HV〜200HV、伸びが0.1%〜20%であり、
前記インナーフィンが、金属製の伝熱層の両面側に熱融着層が設けられた内芯ラミネート材によって構成され、
前記インナーフィンにおける凹部底面および凸部頂面と、前記一対の対向壁とが接合されていることを特徴とする熱交換器。
[2]前記外包ラミネート材の伝熱層がアルミニウム箔によって構成されている前項1に記載の熱交換器。
[3]前記外包ラミネート材の伝熱層は、加工硬化させたH材によって構成されている前項2に記載の熱交換器。
[4]前記外包ラミネート材の伝熱層は、厚さが30μm〜200μmである前項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換器。
[5]前記インナーフィンは、凹部および凸部が交互に連続して設けられる波状であって、その凹部底壁および凸部頂壁が前記一対の対向壁に対し平行に配置された角波形状に形成されている前項1〜4のいずれか1項に記載の熱交換器。
[6]入口および出口が設けられ,かつ一対の対向壁を有し、前記入口から流入した熱交換媒体が前記一対の対向壁間を通って前記出口から流出するようにした熱交換器の外包体であって、
前記一対の対向壁間に、凹部および凸部を有するインナーフィンがその凹部底面および凸部頂面を前記一対の対向壁に接合した状態に配置可能に構成され、
金属製の伝熱層の内面側に樹脂製の熱融着層が設けられた外包ラミネート材によって構成されるとともに、その外包ラミネート材の伝熱層は、ビッカース硬さが40HV〜200HV、伸びが0.1%〜20%であることを特徴とする熱交換器の外包体。
発明[1]の熱交換器によれば、外包体の伝熱層として、所定の伸びや硬度に調整された金属箔を用いているため、過酷で厳しいヒートシール条件で熱融着しても、その融着時のシール圧力を外包体の全周面に分散できて、部分的に応力が集中するのを回避することができる。このため外包体の外表面に型付等の有害な凹凸変形部が形成されるのを防止でき、良好な外観を得ることができて、製品価値を向上できるとともに、電池等の熱交換対象部材との接触面積を十分に確保できて、熱交換性能を向上させることができる。
発明[2][3]の熱交換器によれば、上記の効果を安価により確実に得ることができる。
発明[4]の熱交換器によれば、外包ラミネート材の伝熱層が硬質であっても、外包ラミネート材を確実に熱成形することができ、良好な成形性を維持でき、所望の形状の外包体を確実に形成することができる。
発明[5]の熱交換器によれば、外包体の一対の対向壁と、インナーフィンの凹部底面および凸部頂面とを面接触させて溶着できるため、ヒートシール時におけるシール圧力の分散性をより一層向上できて、上記の型付防止効果をより一層確実に得ることができて、美観および熱交換性能をより一層確実に向上させることができる。その上さらに外包体の一対の対向壁とインナーフィンとの接触面積を十分大きく確保できて、インナーフィンの外包体に対する取付強度を向上でき、接触不良の発生等をより確実に防止することができる。
発明[6]の熱交換器の外包体によれば、上記と同様の効果を奏する熱交換器を確実に製作することができる。
図1はこの発明の実施形態である熱交換器を示す斜視図である。 図2は実施形態の熱交換器を示す図であって、図(a)は平面図、図(b)は図(a)のB−B線断面に相当する側面断面図、図(c)は図(a)のC−C線断面に相当する正面断面図である。 図3は実施形態の熱交換器を分解して示す斜視図である。 図4は実施形態の熱交換器に適用された外包体およびインナーフィンを説明するための正面断面図である。 図5はこの発明の第1変形例である熱交換器を示す図であって、図(a)は平面図、図(b)は図(a)のB−B線断面に相当する側面断面図である。 図6はこの発明の第2変形例である熱交換器を分解して模式的に示す正面断面図である。 図7はこの発明の熱交換器に採用可能なインナーフィンの変形例を示す正面図である。
図1〜図3はこの発明の実施形態である熱交換器を示す図である。以下の説明においては発明の理解を容易にするため、図2(a)の左右方向を「前後方向」として説明し、さらに図2(b)の上下方向を「上下方向(厚さ方向)」として説明する。
図1〜図3に示すように、本実施形態の熱交換器は、伝熱パネルや伝熱チューブ等として用いられるものであり、ケーシング(容器)としての外包体1と、外包体1の内部に収容されるインナーフィン(内芯材)2と、外包体1の両端部内に収容される一対(両側)のヘッダー(ジョイント部材)3,3とを備えている。
外包体1は、平面視矩形状のトレイ部材10と、平面視矩形状のカバー部材15とによって構成されている。
トレイ部材10は、外包ラミネート材L1の成形品によって構成されており、外周縁部を除く中間領域全域が下方に深絞り成形や、押出成型等の冷間成形の手法を用いて凹陥形成されて、平面視矩形状の凹陥部11が形成されるとともに、凹陥部11の開口縁部外周に外方に突出するフランジ部12が一体に形成されている。
またカバー部材15は、トレイ部材10における凹陥部11の前後両端部に対応して一対の出入口16,16が形成されている。言うまでもなく本実施形態においては、一対の出入口16のうち、一方の出入口16が入口として構成され、他方の出入口16が出口として構成されている。
トレイ部材10およびカバー部材15は、柔軟性および可撓性を有するラミネートシートである外包ラミネート材L1によって構成されている。
図4に示すように外包ラミネート材L1は、金属(金属箔)製の伝熱層51と、その伝熱層51の一面(内面)に接着剤を介して積層された熱融着性の樹脂フィルムないし熱融着性の樹脂シート製の熱融着層52と、伝熱層51の他面(外面)に接着剤を介して積層された耐熱性の樹脂フィルムないし耐熱性の樹脂シート製の保護層53とを備えている。なお本実施形態において、「箔」という用語は、フィルム、薄板、シートも含む意味で用いられている。
外包ラミネート材L1における伝熱層51としては、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、ニッケル箔、ニッケルメッキ加工した銅箔、ニッケルと銅箔からなるクラッドメタル等を用いることができるが、中でもアルミニウム箔、銅箔を用いるのが好ましく、特にJIS H0001で定義される、加工硬化させた質別「H」のアルミニウムのH材(硬質材)を用いるのが好ましい。なお本実施形態において、「銅」「アルミニウム」「ニッケル」「チタン」という用語は、それらの合金も含む意味で用いられている。
伝熱層51の厚さは、30μm〜300μmに設定するのが良く、より好ましくは40μm〜200μmに設定するのが良い。なお本実施形態において30μm〜300μmという場合の符号「〜」は、30μm等の下限値および300μm等の上限値も含むものである。
さらに本実施形態において、伝熱層51は、JIS Z 2244に準拠したビッカース硬さが40HV〜200HVのものを用いる必要がある。ビッカース硬さが200HVを超えて硬過ぎる場合には、ハンドリング性や、成形加工性が悪くなり、加工適性が低下するので好ましくない。逆にビッカース硬さが40HV未満で硬さが不十分な場合には、後述するように外包体1の表面において有害な凹凸変形部が形成されるのを確実に防止するのが困難になるおそれがあり、好ましくない。
さらに本実施形態において、伝熱層51は、JIS K 7127に準拠した伸びが、0.1%〜20%のものを用いる必要がある。伸びが0.1%未満の場合には、硬くなり過ぎて、ハンドリング性や、成形加工性が悪くなり、加工適性が低下するので好ましくない。逆に伸びが20%を超える場合には、硬さが不十分となり、後述するように外包体1の表面において応力による有害な凹凸変形部が形成されるのを確実に防止するのが困難になるおそれがあり、好ましくない。
また伝熱層51は、熱融着層52や保護層53としての樹脂フィルムを、接着層としての2液硬化型接着剤でラミネート加工するときは予め、伝熱層51としてのアルミニウム箔等に対し、洗浄処理、脱脂処理を行い、化成処理を施すことによって、耐腐食性や良好な接着性を得ることができるので、これらの処理を行うのが好ましい。
熱融着層52としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂またはそれらの変性樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル樹脂等によって構成されるフィルムないしシートを好適に用いることができる。中でも特に、無延伸ポリプロピレン(CPP)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)によって構成されるフィルムないしシートを用いるのが好ましい。
熱融着層52としては、厚みが20μm〜5000μmのものを用いるのが良く、より好ましくは30μm〜80μmのものを用いるのが良い。
また保護層53としては、耐熱性樹脂であるポリエステル樹脂(PET)、ポリアミド樹脂(ONY)等によって構成されるフィルムないしシートを好適に用いることができる。
さらに保護層53としては、厚みが6μm〜100μmのものを用いるのが良い。
また外包ラミネート材L1を構成する伝熱層51、熱融着層52および保護層53の各間を接着するための接着剤としては、厚みが1μm〜5μmのウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、オレフィン系接着剤等を好適に用いることができる。
なお本実施形態においては、外包体1を構成するラミネート材L1として、3層構造のシートを用いるようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、4層以上の構造のシートを用いるようにしても良い。例えば保護層と伝熱層との間に他の層を介在させたり、伝熱層と熱融着層との間に他の層を介在したりして、4層以上の構造のシートを採用するようにしても良い。
また本発明においては、トレイ部材10を構成するラミネート材L1と、カバー部材15を構成するラミネート材L1とは必ずしも同じ性状のものを用いる必要はなく、異なる性状のものを用いても良い。
以上の構成の外包ラミネート材L1によって、外包体1のトレイ部材10およびカバー部材15が構成されている。そして後に詳述するようにカバー部材15がトレイ部材10にその凹陥部11の開口を閉塞するように取り付けられることによって、外包体1が形成されるものである。
なお本実施形態においては、トレイ部材10における凹陥部11の底壁(下壁)111と、トレイ部材10に取り付けられたカバー部材15における凹陥部11に対応する部分の天壁(上壁)151とによって、一対の対向壁が構成されるものである。
図1〜図4に示すように外包体1の中空部(凹陥部)11内に収容されるインナーフィン2は、柔軟性ないし可撓性を有するラミネートシートである内芯ラミネート材L2によって構成されている。
図4に示すように内芯ラミネート材L2は、金属箔製の伝熱層61と、伝熱層61の両面に接着剤を介して積層された樹脂フィルムないし樹脂シート製の熱融着層62,62とを備えている。
内芯ラミネート材L2における伝熱層61としては、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔、ニッケル箔、ニッケルメッキ加工した銅箔、ニッケルと銅箔からなるクラッドメタル等を用いることができるが、中でも特に、軟化させた質別「O」のアルミニウムのO材(軟質材)を用いるのが好ましい。
伝熱層61の厚さは、30μm〜300μmに設定するのが良く、より好ましくは40μm〜200μmに設定するのが良い。
熱融着層62としては、上記外包ラミネート材L1の熱融着層52と同様の構成のものを好適に用いることができる。
また内芯ラミネート材L2を構成する伝熱層61および熱融着層62の各間を接着するための接着剤としては、上記外包ラミネート材L1の接着剤と同様の構成のものを好適に用いることができる。
なお本実施形態においては、インナーフィン2を構成するラミネート材L2として、3層構造のシートを用いるようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、外包ラミネート材L1と同等に、4層以上の構造のシートを用いるようにしても良い。例えば熱融着層と伝熱層との間に他の層を介在させることによって、4層以上の構造のシートを採用するようにしても良い。
またインナーフィン2の加工方法は、切削加工、射出成型、シート成形(真空成形、圧空成形等)の他、コルゲート加工やエンボス加工を用いることができる。なお言うまでもなく、インナーフィン2の加工方法は限定されるものではない。
図2〜図4に示すようにインナーフィン2は、凹部25および凸部26が交互に連続して形成された角波形状(矩形波形状)、いわゆるデジタル信号波形に形成されている。すなわち本実施形態のインナーフィン2における凹部底面(底壁)および凸部頂面(頂壁)は、平坦に形成され、かつ熱交換器組付状態において、トレイ部材10の底壁(下壁)111およびカバー部材15の天壁(上壁)151に対し平行に配置されている。さらにインナーフィン2は、隣り合う凹部底壁および凸部頂壁間を連結する立ち上がり壁が、凹部底壁および凸部頂壁に対し、または熱交換器組付状態における外包体1の上下壁111,151に対し垂直に配置されている。
このインナーフィン2が、トレイ部材10の凹陥部11内に収容される。この場合、インナーフィン2は、トレイ部材10の凹陥部11における前後両端部を除いた中間部に収容される。さらにインナーフィン2は、その山筋方向および谷筋方向がトレイ部材10の前後方向(図1の左右方向)に一致するように配置される。これにより、インナーフィン2の山筋部および谷筋部によって形成されるトンネル部および溝部が、熱交換流路として構成されている。この熱交換流路は、トレイ部材10の前後方向(長さ方向)に沿うように配置され、かつ幅方向(左右方向)に並列に複数配置されており、熱交換媒体(熱媒体)が各熱交換流路を通って均等に分散しながら外包体1の前後方向一端側から他端側に向けてスムーズに流通できるように構成されている。
一方図2および図3に示すように、外包体1の両端部に配置される一対のヘッダー3,3は、合成樹脂の成形品によって構成されている。
ヘッダー3を構成する樹脂としては、上記外包体1およびインナーフィン2の熱融着層52,62を構成する樹脂と同種の樹脂を用いるのが好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂またはそれらの変性樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル樹脂等を好適に用いることができる。
ヘッダー3は、一側面に開口部32を有する箱状の取付箱部31と、取付箱部31の上壁に設けられたパイプ部33とを備えている。パイプ部33は取付箱部31内に連通しており、パイプ部33の内部と取付箱部31の内部との間で熱交換媒体が往来できるように構成されている。
このヘッダー3の取付箱部31がトレイ部材10の凹陥部11におけるインナーフィン2の両側に配置される。さらにヘッダー3のパイプ部33が上向き配置されるとともに、取付箱部31の開口部32が内側に向けて、つまりインナーフィン2に対向して配置される。
こうしてヘッダー3,3をトレイ部材10内に収容して、カバー部材15をトレイ部材10にその開口部を閉塞するように配置する。この場合、カバー部材15の出入口16内に、ヘッダー3,3の上向きのパイプ部33,33を挿通配置する。
こうして仮組された熱交換器仮組品を加熱することによって、接触し合う部材同士を熱融着して接合一体化する。この場合本実施形態においては以下に示すように、外包体融着工程と、フィン融着工程との2段のシール工程で熱融着処理が行われる。
まず、外包体1におけるトレイ部材10のフランジ部12と、カバー部材15の外周縁部との重ね合わせ部分を、上下一対の加熱シール型によって挟み込みながら加熱する(外包体融着工程)。これにより、トレイ部材10のフランジ部12と、カバー部材15の外周縁部との熱融着層52同士を熱融着(熱接着)して、外包体1の中空部を気密ないし液密状態に封止する。
続いて、外周縁部を熱溶着した外包体1の中間領域(下壁111および上壁151)を上下一対の加熱板によって挟み込みながら加熱する。これにより、インナーフィン2の山頂部および谷底部の熱融着層62と、トレイ部材10の底壁111およびカバー部材15の中間領域(上壁)151の熱融着層52とを熱接着(熱融着)により接合一体化して、液密ないし気密状態に封止する(フィン融着工程)。さらにこのフィン融着工程においては、ヘッダー3,3の取付箱部31,31の外周面と、それに対応するトレイ部材10およびカバー部材15の熱融着層52とを熱融着(熱接着)により接合一体化して、液密ないし気密状態に封止する。
こうして組み付けられた熱交換器は、外包体1における両端部の上壁(カバー部材15)からヘッダー3,3のパイプ部33,33が上方に突出するように配置されている。
ここでインナーフィン2およびヘッダー3,3と、外包体1との熱融着部を同種の樹脂によって構成している場合には、両者を十分な取付強度で確実に固着することができる。
なお本実施形態において、熱融着処理(加熱処理)を減圧下で行うことで、トレイ部材10とカバー部材15との間、トレイ部材10およびカバー部材15とそれらと接触しているインナーフィン2およびヘッダー3,3との間の密着性が高い状態で熱接着を強く行うことができ、接着面積を広くすることができる。従って熱融着処理を減圧下で行うのが好ましい。
本実施形態において、熱融着処理時の加熱温度(溶着温度)は、140℃〜250℃に設定するのが良く、より好ましくは160℃〜200℃に設定するのが良い。さらに熱融着時の圧力(溶着圧力)は、0.1MPa〜0.5MPaに設定するのが良く、より好ましくは0.15MPa〜0.4MPaに設定するのが良い。さらに融着時間(溶着時間)は、2秒〜10秒に設定するのが良く、より好ましくは3秒〜7秒に設定するのが良い。
また本実施形態においては、トレイ部材10のフランジ部12と、カバー部材15の外周縁部とを熱融着する外包体融着工程と、インナーフィン2およびヘッダー3,3と外包体1とを熱融着するフィン融着工程とを別々の熱処理(2段シール)で行うようにしているが、それだけに限られず、本発明においては、外包体融着工程と、フィン融着工程とを同じ熱処理で同時に行うようにしても良い。
また本実施形態では、融着工程特に、フィン融着工程においては、外包体1の下壁111および上壁151を挟み込む一対の加熱板における外包体1との接触面に、伝熱性ゴム層を配置しておくことによって、外包体1の下壁111および上壁151と、インナーフィン2の凹部底面および凸部頂面とを確実に接触させることができ、高精度で熱融着処理を行うことができる。
以上の構成の熱交換器は、電池等を冷却対象部材(熱交換対象部材)として冷却する冷却器(冷却装置)として用いられる。すなわち熱交換器の一方のパイプ部33に、熱交換媒体(冷媒)としての冷却液(冷却水、不凍液等)を流入するための流入管が連結されるとともに、他方のパイプ部33に、冷却液を流出するための流出管が連結される。さらに熱交換器の外包体1における下壁111および/または上壁151に冷却対象部材としての電池を接触させた状態に配置する。そしてその状態で一方のパイプ部33から冷却液を一方のヘッダー3を介して外包体1の内部に流入し、その冷却液をインナーフィン2の部分を流通させて、他方のヘッダー3を介して他方のパイプ部33から流出させる。こうして冷却液を外包体1に循環させることにより、その冷却液と電池との間でインナーフィン2および外包体1の上下壁を介して熱交換されて、電池が冷却されるものである。
本実施形態の熱交換器は、その使用形態は特に限定されるものではなく、1つだけで使用することもできるし、2つ以上で使用することもできる。1つでの使用は、既述した通り、熱交換器の上下面に熱交換対象部材を接触させて使用するものである。2つで使用する場合には、例えば2つの熱交換器によって熱交換対象部材を挟み込むように配置して使用することができる。さらに2つ以上で使用する場合、熱交換器と熱交換対象部材とを交互に重ね合わせるように配置して使用することもできる。
以上のように本実施形態の熱交換器によれば、外包体1の伝熱層51として、所定の伸びや硬度に調整されたアルミニウム箔を用いているため、外包体融着工程やフィン融着工程において、過酷で厳しいヒートシール条件で熱融着しても、その際のシール圧力を外包体1の全周面に分散できて、部分的に応力が集中するのを回避することができる。このため外包体1の外面に型付等の有害な凹凸変形部が発生するのを防止でき、良好な外観を得ることができて、製品価値を向上させることができるとともに、電池等の冷却対象部材との接触面積を十分に確保できて、熱交換性能を向上させることができる。
参考までに、外包体1とインナーフィン2との熱融着を確実に実施するためには、熱融着層52,62を構成する樹脂の融点よりも20℃〜40℃高めのシール温度で、かつ大気圧の2倍〜5倍の圧力をかけて、数秒間ヒートシール処理を行うのが好ましいが、このような過酷なヒートシール条件の熱融着であっても、既述した通り、型付の発生を確実に防止できて、美観の向上および熱交換性能の向上を確実に図ることができる。
また本実施形態において、外包体1およびインナーフィン2の伝熱層51,61として、軽量かつ高熱伝導率のアルミニウム箔を用いる場合には、ラミネート材L1,L2の薄型化、ひいては熱交換器自体の薄型化、小型軽量化を図ることができるとともに、コスト的にも有利となる。
さらに外包体1の伝熱層51として、アルミニウム箔のH材(硬質箔)を用いる場合には、ヒートシール時におけるシール圧力の分散性をより確実に向上できて、上記の型付防止効果をより確実に得ることができて、美観および熱交換性能をより一層向上させることができる。
また本実施形態において、外包ラミネート材L1の伝熱層51が硬質であるものの、伝熱層51の厚さを30μm〜200μmに調整する場合には、外包ラミネート材L1を確実に熱成形することができ、良好な成形性を維持でき、所望の形状の外包体1を確実に形成することができる。
また本実施形態においては、インナーフィン2として角波形状のものを用いているため、外包体1の底壁111および上壁151と、インナーフィン2の谷底部および山頂部とを面接触させて溶着することができる。このためヒートシール時におけるシール圧力の分散性をより一層向上できて、上記の型付防止効果をより一層確実に得ることができて、この点からも、美観および熱交換性能をより一層確実に向上させることができる。
さらに角波形状のインナーフィン2を採用しているため、外包体1とインナーフィン2との接触面積を十分大きく確保できて、インナーフィン2の外包体1に対する取付強度を向上でき、接触不良の発生等をより確実に防止することができる。
またインナーフィン2を角波形状に形成しているため、凹部底壁と凸部頂壁との間を連結する立ち上がり壁が、外包体1の対向する上下壁111,151に対し直交した状態で多数配置される。このためインナーフィン2が補強部材としての機能を十分に発揮でき、例えば外圧による圧縮方向の応力に対しては突っ張るように作用し、内圧による膨張方向の応力に対しては引っ張るように作用するため、内圧および外圧のいずれの圧力に対しても高い強度を確保でき、変形を防止できて安定した形状を確実に維持でき、動作信頼性をより一層向上させることができる。特に熱交換器を複数重ね合わせて使用するような場合には、十分な耐圧性を確保でき、安定した形態(形状)を確実に維持でき、高い熱交換性能を確実に得ることができる。その上さらに、十分な耐圧性を確保できるため、補強部材を別途設ける必要がなく、その分、部品点数を省略できて、構造の簡素化およびコストの削減を図ることができる。
また本実施形態の熱交換器においては、インナーフィン2の位置をヘッダー3,3によって規制することができるため、熱交換媒体の流通によってインナーフィン2が揺れ動いたり、ばたついたりすることがなく、その動きによって発生する熱交換媒体の滞留を防止することができる。このため熱交換媒体の流動性を向上させることができ、熱交換性能を一層向上させることができる。
また本実施形態の熱交換器によれば、構成部材としてのトレイ部材10、カバー部材15、インナーフィン2およびヘッダー3が合成樹脂を基に製作されているため、各構成部材を適宜熱融着するだけで簡単に製作することができる。このため本実施形態の熱交換器は、ろう付け接合等の難易度が高くて面倒な接合加工によって製作する従来の金属製の熱交換器に比べて、コストの削減および生産性の向上を図ることができる。
さらに本実施形態の熱交換器は、金属の塑性加工や切削加工等の面倒かつ制約のある金属加工を用いる場合と異なり、より一層生産効率の向上およびコストの削減を図ることができる。
また本実施形態の熱交換器は、薄型のラミネートシート(ラミネート材)L1からなるトレイ部材10およびカバー部材15を貼り合わせて形成するものであるため、十分な薄肉化および軽量化を確実に図ることができる。
さらに本実施形態の熱交換器は、外包体1がラミネート材L1であるため、熱交換器自体の形状や大きさを簡単に変更できるとともに、既述した通り、厚みや強度、熱交換性能等も簡単に変更できるので、熱交換器取付位置等に合わせて適切な構成に簡単に仕上げることができ、設計の自由度が増し、汎用性も向上させることができる。
図5はこの発明の第1変形例の熱交換器を示す図であって、同図(a)は平面図、同図(b)は側面断面図である。
図5に示すようにこの第1変形例の熱交換器は、袋状の外包体1と、その外包体1の内部に配置されるインナーフィン2とを備え、外包体1の前端および後端に、出入口16,16が設けられている。
外包体1は、矩形状に形成された一対(2枚)のシート状の外包体基材である外包ラミネート材L1によって構成されている。この2枚の外包ラミネート材L1が、インナーフィン2を介して上下に重ね合わされて、外包ラミネート材L1の外周縁部の熱融着層52同士が熱融着(ヒートシール)によって接合一体化されることにより、この第1変形例の熱交換器が形成されている。
またこの第1変形例において、外包体1における出入口16,16にはジョイントパイプ33が設けられる。このジョイントパイプ33は、外包体1を構成する2枚の外包ラミネート材1aの前端部間および後端部間に挟み込まれるように配置されて、各ジョイントパイプ33,33の外周面(熱融着層)が、それに対応する外包ラミネート材L1の熱融着層52に熱融着によって接合一体化されている。これによりジョイントパイプ33,33が外包体1の出入口16,16の位置において外包体1の前端部および後端部を貫通した状態で外包体1に固定されている。
この第1変形例の熱交換器において、外包体1を構成するラミネート材L1、インナーフィン2を構成する内芯ラミネート材L2は、上記図1〜図4に示す実施形態のラミネート材L1,L2と実質的に同様の素材によって構成されており、第1変形例のインナーフィン2は上記実施形態と同様、角波形状に形成されている。さらに第1変形例のジョイントパイプ33は、上記実施形態のヘッダー3と同様な素材によって構成されている。
この第1変形例の熱交換器において、一対の外包ラミネート材L1における対向し合う一対の中間領域、換言するとインナーフィン2の設置領域によって一対の対向壁1a,1aが形成されている。
この熱交換器においては、一方のジョイントパイプ33から冷却液等の熱交換媒体を外包体1内に流入させて、他方のジョイントパイプ33から流出させることにより、冷却液を外包体1内に循環させるとともに、循環する冷却液と、外包体1の外表面に接触させた熱交換対象部材との間で熱交換させて、熱交換対象部材を冷却するものである。
この変形例の熱交換器においても、上記実施形態の熱交換器と同様の効果を得ることができる。
図6はこの発明の第2変形例である熱交換器を分解して模式的に示す正面断面図である。同図に示すようにこの第2実施形態の熱交換器において、カバー部材15は、トレイ部材10の凹陥部11に対応する中間領域全域が上方に膨出成形されて、平面視矩形状の膨出部18が形成されるとともに、膨出部18の開口縁部外周に外側に突出するフランジ部17が形成されている。なおこの第2変形例において、カバー部材15は、トレイ部材10を反転させた形状となり、トレイ部材10およびカバー部材15は実質的に同じ形状となっている。さらにトレイ部材10の凹陥部11の深さ寸法およびカバー部材15の膨出部18の高さ寸法(内部高さ寸法)は、インナーフィン2の高さ寸法Hfの半分に設定されている。
この熱交換器においては、トレイ部材10およびカバー部材15の互いのフランジ部12,17同士が熱融着されて接合一体化され、さらにトレイ部材10の底壁111およびインナーフィン2の凹部底壁間が熱融着されて接合一体化されるとともに、カバー部材15の膨出部上壁151およびインナーフィン2の凸部頂壁間が熱融着されて接合一体化される。
この第2変形例の熱交換器においては、トレイ部材10の底壁111およびカバー部材15の膨出部上壁151が一対の対向壁を構成するものである。
この第2変形例において他の構成は、上記第1実施形態と実質的に同様である。例えば図示は省略するが、トレイ部材10の凹陥部11およびカバー部材15の膨出部18間にヘッダーが収容されており、そのヘッダーのパイプ部がカバー部材10の出入口を介して外部に配置されている。
この第2変形例の熱交換器においても上記第1実施形態と同様にして同様の効果を得ることができる。
その上さらにこの第2変形例の熱交換器においては、トレイ部材10とカバー部材15とを実質的に同じ構成であるため、構成部品の共通化によって部品点数を削減できて、部品作製の容易化およびコストの削減等を図ることができる。
なおこの第2変形例においては、トレイ部材10の凹陥部11の深さと、カバー部材15の膨出部18の高さとを同じ寸法に設定しているが、それだけに限られず、本発明においては、トレイ部材10の凹陥部深さと、カバー部材15の膨出部高さとを異なる寸法に設定するようにしても良い。
ところで上記実施形態等においては、角波形状のインナーフィン2を用いる場合を例に挙げて説明したが、図7に示すようにインナーフィン2として、円弧状の凹部25および凸部26が交互に連続して形成された一般的な波形状(正弦波形状)、いわゆるアナログ信号波形に形成されたものを用いても良い。もっとも本発明において、インナーフィンは、外包体の内周面に接合される凹部および凸部が設けられていれば、どのようなものでも使用することができる。
Figure 2021162198
<実施例1>
(1)構成部材の準備
実施例1では図6に示す第2変形例の熱交換器(冷却器)と同様な構成の熱交換器を作製するものである。
表1に示すようにトレイ部材10の外包ラミネート材L1における伝熱層51用の金属箔として、JIS H4000の合金番号A3004のアルミニウム合金からなり、質別「H38」のH材(硬質箔)である厚さ100μmのアルミニウム箔を準備した。このアルミニウム箔は、JIS K 7127に準拠した伸びが5%、JIS Z 2244に準拠したビッカース硬さが77HVである。なお表1の「伸び」および「ビッカース硬さ」の項目名の欄には、本発明における「伸び」および「ビッカース硬さ」の必須範囲を記載している。
このアルミニウム箔製の伝熱層51の一面(内面)にウレタン系接着剤を介して、厚さ40μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルムを貼り合わせるとともに、伝熱層(アルミニウム箔)の他面(外面)にウレタン系接着剤を介して、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)を貼り合わせて、トレイ部材10用の外包ラミネート材(ラミネートシート)L1を作製した。
この外包ラミネート材L1を深絞り成形して裁断することによって、深さ2mm×幅65mm×長さ120mmの凹陥部11を有し、かつ凹陥部11の開口縁部外周に幅10mmのフランジ部(外周縁部)12を有する成形品(トレイ部材10)を作製した。
また伸びが6%、ビッカース硬さが75HVであるアルミニウム箔を伝熱層51として用いた以外は、上記と同様にして、外包ラミネート材L1を作製し、その外包ラミネート材L1を、上記トレイ部材と同様に加工し、それを反転させることによって、カバー部材15を作製した。なおこのカバー部材15の膨出部上壁151の両端部には、直径12mmの円形の出入口が形成されている。
また表1に示すように内芯ラミネート材L2における伝熱層61用の金属箔として、JIS H4160の合金番号A8021のアルミニウム合金からなり、質別「O」のO材(軟質箔)である厚さ100μmのアルミニウム箔を準備した。
このアルミニウム箔製の伝熱層61の両面にウレタン系接着剤を介して、厚さ40μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルムを貼り合わせた内芯ラミネートL2を作製した。
この内芯ラミネート材L2をコルゲート加工して裁断することによって、フィン高さHf(図6参照)4mm、凹部間隙間Sまたは凸部間隙間S(図6参照)3mmの角波形状を有し、かつ幅65mm×長さ60mmのコルゲートフィン(インナーフィン2)を作製した。
一方、LLDPE製の樹脂材を射出成型することによって、高さ4mm×長さ65mm×幅30mmの取付箱部31に、内径φ10mm、外径φ12mm、長さ3mmのパイプ部33が一体に形成されたヘッダー3(図2および図3参照)を作製した。
(2)熱交換器の組立
トレイ部材10の凹陥部11における両端部にヘッダー3,3を、各パイプ部33が上方に向くようにして収容した。さらに凹陥部11内におけるヘッダー3,3間に上記のインナーフィン2を収容した。この収容状態では、インナーフィン2およびヘッダー3,3の下側半分が凹陥部11に収容されて、上側半分は上方に突出した状態となっている。
次にトレイ部材10にその上からカバー部材15を配置した。この際、カバー部材15の膨出部18内にインナーフィン2およびヘッダー3,3の上側半分を収容するとともに、カバー部材15の上記出入口にヘッダー3,3のパイプ部33,33を挿通してカバー部材15の上壁151の上方に突出させた。さらにトレイ部材10およびカバー部材15の両フランジ部12,17が互いに重なり合うように配置した。
こうして非接合状態の熱交換器仮組品を作製し、その仮組品に対し上記実施形態と同様に2段シール方式で熱融着した。
すなわち仮組品の形状に適合する上下の金属製シール金型(伝熱性ゴム無し)を用いて、1段目のシールにおいて、180℃×0.3MPa×7秒間のヒートシール(溶着処理)を行って、トレイ部材10およびカバー部材15の互いのフランジ部(外周縁部)12,17同士を熱融着した。さらに2段目のシールにおいて、190℃×0.3MPa×7秒間のヒートシール(溶着処理)を行って、インナーフィン2およびヘッダー3,3と、トレイ部材10およびカバー15との接触部同士を熱融着した。これにより実施例1の熱交換器を作製した。
<実施例2>
実施例2では図1〜図3に示す実施形態の熱交換器と同様な構成の熱交換器を作製するものである。
表1に示すようにトレイ部材10の外包ラミネート材L1における伝熱層51用の金属箔として、JIS H4160の合金番号A1100のアルミニウム合金からなり、質別「H18」のH材(硬質箔)である厚さ120μmのアルミニウム箔を準備した。このアルミニウム箔は、伸びが15%、ビッカース硬さが44HVである。
このアルミニウム箔を伝熱層51として、実施例1と同様にトレイ部材10用の外包ラミネート材L1を作製した。
この外包ラミネート材L1を深絞り成形して裁断することによって、深さ4mmの凹陥部11を有し、それ以外は、実施例1と同様のトレイ部材10を作製した。
また H4160JISの合金番号A3003のアルミニウム合金からなり、伸びが10%、ビッカース硬さが55HVであるアルミニウム箔を伝熱層51として用いた以外は、上記と同様にして、外包ラミネート材L1を作製した。その外包ラミネート材L1を裁断して、上記トレイ部材10の上面全域を覆い得る大きさの平面視矩形状のシート状カバー部材15を作製した。なおこのカバー部材15の所定位置には、直径12mmの円形の出入口16,16が形成されている(図3等参照)。
伝熱層62の厚さが120μmである点以外は、実施例1と同様に内芯ラミネート材L2を作製し、その内芯ラミネート材L2を用いて、実施例1と同様にインナーフィン2を作製した。
また実施例1と同様のヘッダー3を準備した。
トレイ部材10の凹陥部11内にヘッダー3,3およびインナーフィン2を収容して、トレイ部材10の全域を上から覆うようにカバー部材15を配置して、非接合状態の仮組品を作製した。さらにその仮組品に対し、実施例1と同様に2段シール方式で熱融着して、実施例2の熱交換器を作製した。
<実施例3>
表1に示すように、厚さが100μmのアルミニウム箔を用いた以外は、実施例2と同様にして、トレイ部材10用の外包ラミネート材L1を作製し、その外包ラミネート材L1を用いて実施例2と同様にトレイ部材10を作製した。
カバー部材15の外包ラミネート材L1における伝熱層51用の金属箔として、JIS H4000の合金番号A5052のアルミニウム合金からなり、質別「H38」のH材(硬質箔)である厚さ80μmのアルミニウム箔を準備した。このアルミニウム箔は、伸びが7%、ビッカース硬さが105HVである。このアルミニウム箔を伝熱層51として、実施例2と同様にカバー部材用の外包ラミネート材L1を作製し、そのラミネート材L1を用いて実施例2と同様にカバー部材15を作製した。
伝熱層62の厚さが80μmである点以外は、実施例1と同様に内芯ラミネート材L2を作製し、その内芯ラミネート材L2を用いて、実施例1と同様にインナーフィン2を作製した。
これらのトレイ部材10、カバー部材15およびインナーフィン2と、実施例1と同様のヘッダー3とを用いて、実施例2と同様に仮組して熱融着することによって、実施例3の熱交換器を作製した。
<実施例4>
表1に示すようにトレイ部材10の外包ラミネート材L1の伝熱層51用の金属箔として、質別「H18」のH材(硬質箔)である厚さ80μmのアルミニウム箔を準備した。このアルミニウム箔は、伸びが2%、ビッカース硬さが94HVである。
このアルミニウム箔を伝熱層51として実施例1と同様に、トレイ部材10用の外包ラミネート材L1を作製し、そのラミネート材L1を用いて、実施例1と同様にトレイ部材10を作製した。
カバー部材15の外包ラミネート材L1の伝熱層51用の金属箔として、質別「H18」のH材(硬質箔)である厚さ80μmのアルミニウム箔を準備した。このアルミニウム箔は、伸びが1%、ビッカース硬さが95HVである。
このアルミニウム箔を伝熱層51として実施例1と同様に、カバー部材15用の外包ラミネート材L1を作製し、そのラミネート材L1を用いて、実施例1と同様にカバー部材15を作製した。
これらのトレイ部材10、カバー部材15および実施例3と同様のインナーフィン2を用いた以外は、実施例1と同様に仮組して熱融着することによって、実施例4の熱交換器を作製した。
<実施例5>
表1に示すようにトレイ部材10の外包ラミネート材L1における伝熱層51用の金属箔として、JIS H4160の合金番号A3003のアルミニウム合金からなり、質別「H18」のH材(硬質箔)である厚さ60μmのアルミニウム箔を準備した。このアルミニウム箔は、伸びが10%、ビッカース硬さが55HVである。
このアルミニウム箔を伝熱層51として、実施例2と同様にトレイ部材10用の外包ラミネート材L1を作製し、そのラミネート材L1を用いて、実施例2と同様にトレイ部材10を作製した。
カバー部材15の外包ラミネート材L1における伝熱層51用の金属箔として、JIS H4160の合金番号A3004のアルミニウム合金からなり、質別「H18」のH材(硬質箔)である厚さ60μmのアルミニウム箔を準備した。このアルミニウム箔は、伸びが2%、ビッカース硬さが94HVである。
このアルミニウム箔を伝熱層51として、実施例2と同様にカバー部材15用の外包ラミネート材L1を作製し、そのラミネート材L1を用いて、実施例2と同様にカバー部材15を作製した。
伝熱層62の厚さが60μmである点以外は、実施例2と同様に内芯ラミネート材L2を作製し、その内芯ラミネート材L2を用いて、実施例2と同様にインナーフィン2を作製した
これらのトレイ部材10、カバー部材15およびインナーフィン2を用いた以外は、実施例2と同様に仮組して熱融着することによって、実施例5の熱交換器を作製した。
<比較例>
表1に示すようにラミネート材L1,L2における伝熱層51,61用の金属箔として、JIS H4160の合金番号A8021のアルミニウム合金からなり、質別「O」のO材(軟質箔)である厚さ120μmのアルミニウム箔を準備した。このアルミニウム箔は、伸びが25%、ビッカース硬さが27HVである。
この金属箔を伝熱層51,61として、実施例2と同様に外包ラミネート材L1および内芯ラミネート材L2を作製し、その外包ラミネート材L1を用いて、実施例2と同様にトレイ部材10およびカバー部材15を作製するとともに、内芯ラミネート材L2を用いて、実施例2と同様にインナーフィン2を作製した。
これらのトレイ部材10、カバー部材15およびインナーフィン2を用いた以外は、実施例2と同様に仮組して熱融着することによって、比較例の熱交換器を作製した。
<耐圧試験>
実施例1〜5および比較例1の各熱交換器において、一方のパイプ部33から冷却水を導入し、外包体1内に流通させて他方のパイプ部33から流出させるように、冷却水を内圧1MPaで5分間を循環させた。そして各熱交換器において、外包体とインナーフィンとの剥がれ(接着破壊箇所)の有無を目視により観察した。さらに参考として、内圧が1.5MPaまで過剰に上昇させた場合の試験も行った。
そして内圧1.5MPaまで、剥がれ、膨れ等の接着破壊箇所の発生がないものを「◎(優)」と評価し、内圧1MPaまでは、剥がれ、膨れ等の接着破壊箇所の発生がないものの、内圧1MPaを超えると、内圧1.5MPa未満で剥がれ、膨れ等の接着破壊箇所の発生が認められたものを「○(良)」と評価し、内圧1MPa未満で剥がれ、膨れ等の接着破壊箇所の発生が認められたものを「×(不良)」と評価した。その結果を表1に併せて示す。
<シール後の外観試験>
熱融着後において、外包体1の外観を目視で観察し、外包体1の表面の状態を評価した。
そして、外包体1の表面が平坦であり、有害な凹凸変形部や型付が認められなかったものを「○(良)」と評価し、外包体1の表面のほぼ全域に、凹凸変形部等の型付が認められたものを「×(不良)」と評価した。その結果を表1に併せて示す。
<評価結果>
表1から明らかなように、耐圧性に関しては、実施例および比較例の熱交換器は全て良好であり、遜色はなかった。
一方、シール後の外観試験において、実施例の熱交換器は型付等の有害な凹凸変形部がなく、表面の平坦性が良好に維持されていた。従って良好な外観を得ることができ、製品価値を向上させることができる。さらに表面が平坦であるため、電池等の冷却対象部材との接触面積を十分に確保できて、熱交換性能を確実に向上させることができると判断できる。
これに対し、比較例の熱交換器は型付等の有害な凹凸変形部が認められるため、良好な外観を得ることができず、製品価値が低下するおそれがある。さらに表面に有害な凹凸変形部があるため、冷却対象部材との接触面積が少なくなるおそれがあり、熱交換性能が低下するおそれがある。
この発明の熱交換器は、スマートフォンやパーソナルコンピュータのCPU回り、電池回りの発熱対策、液晶テレビ、有機ELテレビ、プラズマテレビのディスプレイ回りの発熱対策、自動車のパワーモジュール回り、電池回りの発熱対策に用いられる冷却器(冷却装置)の他、床暖房、除雪に用いられる加熱器(加熱装置)として利用することができる。
1:外包体
1a:一対の対向壁
10:トレイ部材
111:底壁(対向壁)
15:カバー部材
151:上壁(対向壁)
16:出入口
2:インナーフィン
25:凹部
26:凸部
51:伝熱層
52:熱融着層
61:伝熱層
62:熱融着層
L1:外包ラミネート材
L2:内芯ラミネート材

Claims (6)

  1. 入口および出口が設けられ,かつ一対の対向壁を有する外包体と、前記一対の対向壁間に配置され、かつ凹部および凸部が設けられるインナーフィンとを備え、前記入口から流入した熱交換媒体が前記外包体内のインナーフィン設置部を通って前記出口から流出するようにした熱交換器であって、
    前記外包体が、金属製の伝熱層の内面側に樹脂製の熱融着層が設けられた外包ラミネート材によって構成されるとともに、その外包ラミネート材の伝熱層は、ビッカース硬さが40HV〜200HV、伸びが0.1%〜20%であり、
    前記インナーフィンが、金属製の伝熱層の両面側に熱融着層が設けられた内芯ラミネート材によって構成され、
    前記インナーフィンにおける凹部底面および凸部頂面と、前記一対の対向壁とが接合されていることを特徴とする熱交換器。
  2. 前記外包ラミネート材の伝熱層がアルミニウム箔によって構成されている請求項1に記載の熱交換器。
  3. 前記外包ラミネート材の伝熱層は、加工硬化させたH材によって構成されている請求項2に記載の熱交換器。
  4. 前記外包ラミネート材の伝熱層は、厚さが30μm〜200μmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換器。
  5. 前記インナーフィンは、凹部および凸部が交互に連続して設けられる波状であって、その凹部底壁および凸部頂壁が前記一対の対向壁に対し平行に配置された角波形状に形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱交換器。
  6. 入口および出口が設けられ,かつ一対の対向壁を有し、前記入口から流入した熱交換媒体が前記一対の対向壁間を通って前記出口から流出するようにした熱交換器の外包体であって、
    前記一対の対向壁間に、凹部および凸部を有するインナーフィンがその凹部底面および凸部頂面を前記一対の対向壁に接合した状態に配置可能に構成され、
    金属製の伝熱層の内面側に樹脂製の熱融着層が設けられた外包ラミネート材によって構成されるとともに、その外包ラミネート材の伝熱層は、ビッカース硬さが40HV〜200HV、伸びが0.1%〜20%であることを特徴とする熱交換器の外包体。
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