JP2021162087A - 流体サーボバルブ及び流体サーボ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】可動板が磁気吸引作用を発揮する電磁石から離れている場合でもバルブ駆動電流に対する制御圧力特性を線形化できる流体サーボバルブを提供する。
【解決手段】供給側流路12に連絡し、先端部から流体が吐出される供給ノズル11と、排気側流路22に連絡し、先端部から流体が吸引される排気ノズル21と、前記供給ノズル11及び前記排気ノズル21のそれぞれの先端部の間に設けられた可動板3と、前記可動板3の少なくとも一部を変形させ、前記供給ノズル11と前記排気ノズル22との間で変位させる電磁石4と、を備え、前記供給ノズル11の有効断面積と、前記排気ノズル21の有効断面積とを異ならせた。
【選択図】図2
【解決手段】供給側流路12に連絡し、先端部から流体が吐出される供給ノズル11と、排気側流路22に連絡し、先端部から流体が吸引される排気ノズル21と、前記供給ノズル11及び前記排気ノズル21のそれぞれの先端部の間に設けられた可動板3と、前記可動板3の少なくとも一部を変形させ、前記供給ノズル11と前記排気ノズル22との間で変位させる電磁石4と、を備え、前記供給ノズル11の有効断面積と、前記排気ノズル21の有効断面積とを異ならせた。
【選択図】図2
Description
本発明は、一対のノズル間で可動板を変位させることで、流体の圧力又は流量を制御する流体サーボバルブ及び流体サーボバルブを備えた流体サーボ装置に関するものである。
例えば超精密機器等の微振動制御においては、空気圧アクチュエータを用いたアクティブ除振台が用いられている。このようなアクティブ除振台は、超精密機器等が載置されるステージの位置、速度、加速度が各種センサで検出され、各センサの出力信号に基づいて空気圧アクチュエータの内圧が制御される。
また、空気圧アクチュエータの内圧制御のために、流体サーボバルブの電磁石に印加するバルブ駆動電流を変化させ、一対のノズル間における可動板の位置を変位させることで、圧縮空気の流量が調節される。
上述したようなアクティブ除振台に用いられる流体サーボバルブでは、広範囲のバルブ駆動電流に対して、発生する流量又は圧力が直線的な比例関係を有していることが求められる。
これは、流体サーボバルブがバルブ駆動電流に対して流量又は圧力が非線形特性を有していると、ゲイン余裕を過剰に設定せざるを得ず、アクティブ除振台の本来の性能を十分発揮できないからである。加えて、アクティブ除振台のステージを加速度信号に基づいてフィードフォワード制御する場合、非線形性によりバルブ駆動電流に対して相似形の発生圧力を流体サーボバルブから得られないと、忠実に逆位相で発生力を与えて外乱を相殺することが難しくなる。様々な特性を有した外乱を相殺できるようには、バルブ駆動電流の動作点を中心に、電流値又は電圧値に対する発生圧力(発生力)の特性が線形性を保つことができる領域は出来るだけ広いほうが好ましい。
本出願人は、バルブ駆動電流に対する制御圧力又は制御流量が従来よりも優れた線形性を有する流体サーボバルブを既に提案している(特許文献1参照)。この流体サーボバルブは、流体を供給する供給ノズルと、供給ノズルと同軸で対向するように設けられた排気ノズルと、前記供給ノズルと前記排気ノズルの間に配置された可動板であり、所定値以下の厚みを有したディスクと、前記排気ノズル側に設けられ、前記ディスクを吸引する電磁石と、を備えたものである。さらにこの流体サーボバルブは、バルブ駆動電流の印加範囲内において前記ディスクで磁束の磁気飽和現象が生じるように構成されている。
すなわち、従来であればバルブ駆動電流の値が所定値よりも大きい場合には電流の変化に対して可動板の変位が指数関数的に急峻に変化していた。これに対して既に提案している流体サーボバルブでは磁気飽和現象を利用することで、図16のグラフに示すように前述したような電流値の範囲でもバルブ駆動電流に対する可動板の変位特性(圧力又は流量特性)を線形化できる。
ところで、既に提案している流体サーボバルブについて本願発明者らが詳細に検討したところ、このような流体サーボバルブは従来よりも線形性を改善できているものの、その効果は図16に示すようにバルブ駆動電流の最大値をImaxとした場合に、I>Imax/2の範囲に限定されていることに注目した。
言い換えると、このサーボバルブは、可動板が電磁石のある側へ近づいている場合にはバルブ駆動電流に対する可動体の変位特性を線形化できているので、可動板が電磁石から離れている場合でも制御圧力・流量特性を線形化できる方策を見出すことができれば、さらに流体サーボバルブの性能を向上させられる点に本願発明者らは着目した。
言い換えると、このサーボバルブは、可動板が電磁石のある側へ近づいている場合にはバルブ駆動電流に対する可動体の変位特性を線形化できているので、可動板が電磁石から離れている場合でも制御圧力・流量特性を線形化できる方策を見出すことができれば、さらに流体サーボバルブの性能を向上させられる点に本願発明者らは着目した。
本発明は上述したような問題に鑑みてなされたものであり、可動板が磁気吸引作用を発揮する電磁石から離れている場合でもバルブ駆動電流に対する制御圧力特性を線形化できる流体サーボバルブ、及び、そのような流体サーボバルブを備えた流体サーボ装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明に係る流体サーボバルブは、供給側流路に連絡し、先端部から流体が吐出される供給ノズルと、排気側流路に連絡し、先端部から流体が吸引される排気ノズルと、前記供給ノズル及び前記排気ノズルのそれぞれの先端部の間に設けられた可動板と、前記可動板の少なくとも一部を変形させ、前記供給ノズルと前記排気ノズルとの間で変位させる電磁石と、を備え、前記供給ノズルの有効断面積と、前記排気ノズルの有効断面積とが異なっていることを特徴とする。
このようなものであれば、前記供給ノズルの有効断面積と、前記排気ノズルの有効断面積とが異なっているので、前記可動板が前記電磁石に対して離れていることにより、当該可動板に対する磁気吸引作用が急激に小さくなる範囲においても、バルブ駆動電流に対する制御圧力特性及び流量特性の線形化を図ることができる。
すなわち、前記電磁石に印加されるバルブ駆動電流に対するバルブ変位特性が非線形となる領域において、前記供給ノズルと前記排気ノズルの流量特性を非対称にすることで、バルブ変位特性の非線形性がもたらす影響を「相殺」することができることに着眼したものである。
制御対象に流体を供給するための制御流路等を形成しても前記供給ノズル側の構成を容易に小型化できるとともに、前記可動板が前記電磁石に対して離れた位置にある場合でも、前記電磁石に印加されるバルブ駆動電流に対する流体の流量又は圧力の線形性を向上させるには、前記電磁石が、前記可動板に対して前記排気ノズル側に設けられており、前記供給ノズルの有効断面積が、前記排気ノズルの有効断面積よりも大きくすればよい。
前記供給ノズルの先端部の内径が、前記排気ノズルの先端部の内径よりも大きいものであれば、各ノズルの外径寸法を揃えつつ、前記電磁石から遠い方に配置された前記供給ノズルの有効断面積を前記排気ノズルの有効断面積よりも大きくできる。
前記排気側流路に絞りが設けられたものであれば、前記供給ノズル及び前記排気ノズルが同型のものであっても、前記排気ノズルの有効断面積を小さくして相対的に前記供給ノズルの有効断面積を大きくできる。
前記可動板が前記供給ノズル側にある場合でもバルブ駆動電流に対する流量又圧力の線形性を向上させることができる具体的な構成例としては、前記可動板が前記供給ノズル側に変位している場合においても、前記前記供給ノズルの有効断面積をAin 、前記排気ノズルの有効断面積をAoutとした場合に、1.8≦Ain/Aout≦4.9を満たすように構成されたものが挙げられる。
微小振幅入力に対して忠実に比例した制御圧力を得られるより好ましい態様としては、前記供給ノズルの有効断面積をAin 、前記排気ノズルの有効断面積をAoutとした場合に、2.5≦Ain/Aout≦4.0を満たすように構成されたものが挙げられる。
例えば故障や停電等によって前記電磁石に対して通電できなくなった場合には、前記供給ノズルから流体が供給されないようにしてフェイルセーフを実現できるようにするには、前記可動板が、前記電磁石の吸引力により前記供給ノズル及び前記排気ノズルのそれぞれの先端部の間で変位する変位部と、前記供給ノズル及び前記排気ノズルに対して位置が固定された被固定部と、を具備し、前記供給ノズルの先端が、前記被固定部よりも前記排気ノズル側に所定の突き出し量だけ突き出して配置されていればよい。
前記可動板に対して圧力差により加わる力の大きさに応じて適切なフェイルセーフが実現されるようにするには、前記供給ノズルの有効断面積をAin 、前記排気ノズルの有効断面積をAoutとした場合に、Ain/Aoutが大きくなるほど、前記突き出し量が大きく設定されていればよい。
Ain/Aoutが大きくなるほど、前記可動板の剛性が大きく設定されていれば、前記可動板に加わる圧力差による力が大きくなっても前記可動板が降伏したり、破損したりするのを防ぐことができる。
バルブ駆動電流に対する流量又は圧力の線形性を実現しつつ、停電時等に前記供給ノズルからの流体の供給が自動的に遮断されるフェイルセーフを実現する具体的な構成例としては、前記突き出し量をX0、前記可動板の剛性をkとした場合に、1.0≦Ain/Aout≦3.0の範囲において、28μm≦X0≦56μm、2.75×104 N/m≦k≦3.30×104 N/mに設定されたものが挙げられる。
前記可動板が前記供給ノズル側にある場合だけでなく、前記排気ノズル側にある場合でも、前記電磁石に印加されるバルブ駆動電流に対する流量又は圧力の線形性が保たれるようにし、ほぼ全範囲で良好な線形性が得られるようにするには、前記電磁石により発生する磁束のうち、少なくとも前記可動板内を通るように形成された閉ループ磁気回路において、前記閉ループ磁気回路を形成する磁性材料部品の磁気特性が、磁化力に対する磁束密度の特性が概略比例関係にある線形領域と、磁化力に対する磁束密度の傾斜角が前記線形領域と比べて小さく変化する領域を磁気飽和領域とを有し、前記可動板の変位可能範囲で前記電磁石に通電する電流を増大させたときに、前記磁性材料部品を流れる磁束の磁束密度が前記磁気飽和領域に入るように構成されたものであればよい。
例えば部品形状や寸法を調節することで容易に磁気飽和現象を利用できるようにするには、前記可動板において磁束の磁束密度が前記磁気飽和領域に入るように構成されていればよい。
本発明に係る流体サーボバルブと、前記流体サーボバルブに接続される空気圧アクチュエータと、制御対象物の変位又は振動状態を検出するセンサと、前記センサの出力に基づいて前記流体サーボバルブを制御する制御器と、を備えた流体サーボ装置であれば、前記流体サーボバルブは広範囲のバルブ駆動電流に対して流量又は圧力の線形性を実現できるので、(1)動作点を中心に広い制御範囲が得られ、(2)外乱をキャンセルする精度の高いフィードフォワード信号を生成して、高精度の制振制御を実現でき、(3)動作点近傍でのゲイン・位相特性の振幅依存性も小さくできる。
このように本発明に係る流体サーボバルブによれば、前記可動板が前記電磁石から離れている領域においても、バルブ駆動電流に対する流体の流量又は圧力の線形性を向上させることができる。この結果、バルブ駆動電流の全範囲において良好な線形性を実現できる。また、このような線形性の良い流体サーボバルブを利用した流体サーボ装置であれば、広い制御範囲、高精度のFF制御が実現できる。また入力に対する出力の伝達特性(ゲイン・位相特性)が入力振幅の大きさに依存しない特性が得られる。
本発明の第1実施形態における流体サーボバルブ100について各図を参照しながら説明する。
<流体サーボバルブ100の構成>
この流体サーボバルブ100は、例えばアクティブ除振台に設けられた空気圧アクチュエータの内圧を制御するために、圧縮空気の流量を制御するために用いられる。図1の分解斜視図に示すように流体サーボバルブ100は、概略直方体状に形成され、流体サーボバルブ100の内部に圧縮空気を供給するための供給側流路12が形成された供給側バルブボディと、概略二段円筒状をなし、供給された圧縮空気の一部を外部に排気するための排気側流路22が形成された排気側バルブボディ2と、供給側バルブボディ1と排気側バルブボディ2との間に挟持される可動板3と、を備えている。
この流体サーボバルブ100は、例えばアクティブ除振台に設けられた空気圧アクチュエータの内圧を制御するために、圧縮空気の流量を制御するために用いられる。図1の分解斜視図に示すように流体サーボバルブ100は、概略直方体状に形成され、流体サーボバルブ100の内部に圧縮空気を供給するための供給側流路12が形成された供給側バルブボディと、概略二段円筒状をなし、供給された圧縮空気の一部を外部に排気するための排気側流路22が形成された排気側バルブボディ2と、供給側バルブボディ1と排気側バルブボディ2との間に挟持される可動板3と、を備えている。
図2の断面図に示すように供給側バルブボディ1は、中心軸に沿って形成された貫通穴である供給側流路12と、中心軸から所定距離半径方向外側に偏位させて供給側流路12と並行に貫通させた貫通穴である制御流路13を具備している。供給側バルブボディ1の内側面には概略薄円盤状の凹部が形成されており、可動板3との間に供給側空隙部14を形成する。また、供給側流路12において可動板3と対向する側には供給ノズル11が設けられている。
一方、排気側バルブボディは中心軸に沿って形成された貫通穴である排気側流路22を備えている。排気側流路22において排気側バルブボディ2の内面側には排気ノズル21が可動板3と対向するように設けられている。すなわち、供給ノズル11及び排気ノズル21は同軸上に並んで配置されており、各ノズルの先端部の間に可動板3の中心部が配置される。また排気側バルブボディ2は、概略円柱状をなすとともに中心軸に前述した排気ノズル21及び排気側流路22が形成された電磁石4と、この電磁石4を内部に収容するとともに、供給側バルブボディ1に対して固定されて可動板3を挟持する概略円筒状の外側カバー2Cと、からなる。
ここで、図2の供給ノズル11と排気ノズル21の各先端部の拡大図に示すように供給ノズル11の先端部の内径は、排気ノズル21の内径よりも大きく形成されている。すなわち、可動板3を基準として電磁石4とは反対側に配置されている供給ノズル11の有効断面積は、可動板3に対して電磁石4と同じ側に配置されている排気ノズル21の有効断面積よりも大きくなるように構成されている。このように、供給ノズル11と排気ノズル21は各ノズルの中点に対してその特性が非対称に構成されている。
図3に示すように電磁石4は、コイルボビン41と、コイルボビン41に巻回されたコイル42と、コイル42に対してバルブ駆動電流が印加されることによって発生する磁束の閉ループ磁気回路MCを形成するヨーク43と、を備えている。コイルボビン41は非磁性体材料で形成されており、ヨーク43は磁性体材料で形成されている。
ヨーク43は、概略円筒状をなし、その外側周面にコイルボビン41が嵌合される中心軸部44と、中心軸部44の基端側から半径方向外側に広がって薄肉円板状をなし、外側カバーとボルトによって固定される底面部45と、底面部45の外周から軸方向に延びる概略薄肉円筒状の外周部46と、外周部46の先端側から半径方向内側に広がって概略薄肉二段円筒状をなす天面部47と、からなる。天面部47と可動板3との間には排気側空隙部23が形成される。
より具体的には、中心軸部44は中空円筒状をなしており、内部の空洞によって排気側流路22が形成される。また、中心軸部44の先端部には前述した排気ノズル21が形成されている。さらに、この排気ノズル21の周囲を囲むように3箇所の切り欠きが形成された円環状の突条により第1磁極48が形成されている。加えて、天面部47は中心部に可動板3側に近接するように突出させた円環状の突条により第2磁極49が形成されている。すなわち、コイル42によって発生する磁束は「中心軸部44内→第1磁極48→排気側空隙部23→可動板3→排気側空隙部23→第2磁極49→天面部47→外周部46→底面部45→中心軸部44」の経路を経て、磁束が循環するように閉ループ磁気回路MCが形成される。また、可動板3の材質、又は、その厚みや形状等によって磁束の可動板3内において磁束の磁束密度が磁気飽和を生じるように構成されている。
より具体的には閉ループ磁気回路MCを形成する磁性材料部品の磁気特性は、磁化力に対する磁束密度の特性が概略比例関係にある線形領域と、磁化力に対する磁束密度の傾斜角が線形領域と比べて小さく変化する領域を磁気飽和領域とを有している。閉ループ磁気回路MCの一部を形成する可動板3の厚みや形状は、バルブ駆動電流が所定の範囲である場合に、可動板3において磁化力に対する磁束密度の特性が前述した磁気飽和領域に入るように設定されている。供給ノズル11と排気ノズル21との間において可動板3が所定位置よりも電磁石4側に近づいている場合に、バルブ駆動電流の変化に対して可動板3の変位が概略比例して変化するように可動板3では磁気飽和を生じさせている。
可動板3は、図1及び図2に示すように薄肉円板状をなすディスクであって、電磁石4の磁気吸引力によって供給ノズル11と排気ノズル21の各先端部の間で変位するように構成されている。より具体的には可動板3は、外縁部は供給側バルブボディ1と排気側バルブボディ2との間に挟まれて固定されおり、固定されていない部分の弾性変形により中央部に最大の変位が発生するように構成されている。
すなわち、可動板3の中央部である変位部31が電磁石4の磁気吸引力により最大変位する箇所である。また、可動板3の外縁部は供給ノズル11及び排気ノズル21に対して位置が固定された被固定部32である。具体的には被固定部32は、供給側バルブボディ1と排気側バルブボディ2との間に押圧挟持されている部分であり、可動板3において固定端支持されている部分である。
また、図1に示すように可動板3の面板部には供給側空隙部14から排気側空隙部23へと流体である圧縮空気を通過させる流体流通孔33が4つ形成されており、各流体流通孔33は可動板3の中心に対して螺旋状に配置されている。また、流体流通孔33は外縁側から中央側に進むに従ってスリット幅が小さくなるように形成されている。流体流通孔33の螺旋形状によって、可動板3の軸方向ばね剛性を任意に設定できる。
加えて、図2及び図4に示すように電磁石4にバルブ駆動電流が印加されていない状態では、可動板3の変位部31は供給ノズル11の先端部に対して接触し、その開口を塞いだ状態となるように構成されている。なお、図4は分かりやすさのため、可動板3の半径方向の長さについてはデフォルメして記載している。図4の模式図に示すように可動板3の被固定部32に対して供給ノズル11の先端は所定の突き出し量だけ排気ノズル21側へと突き出してある。したがって、可動板3に対して磁気吸引力が作用していない状態では、可動板3の被固定部32に対して変位部31は排気ノズル21側に突出するように可動板3は微小変形している。
このように構成された流体サーボバルブ100は、供給ノズル11から供給される圧縮空気は、供給側空隙部14へ流入して、一部は制御流路13から空気圧アクチェータへ流出する。また供給側空隙部14に流入した圧縮空気の残りは可動板3の流体流通孔33を通って排気側空隙部23へと流入する。排気側空隙部23内の圧縮空気は排気ノズル21から吸引され、排気側流路22をとって外部へと排気される。また、供給ノズル11と排気ノズル21との間における可動板3の位置が電磁石4の磁気吸引力で制御されることにより、制御流路13から空気圧アクチュエータに供給される圧縮空気の流量が制御される。
また、可動板3の位置は、電磁石の吸引力と可動板のばねの復元力が平衡した箇所で決まる。定常時において、供給ノズル11から制御室(供給側空隙部14)に流入する流量Qinと、制御室(排気側空隙部23)から排気ノズル21に流出する流量Qoutが等しくなるように、すなわちQin=Qoutとなる圧力が制御流路13から出力される制御圧力Paとなる。このとき、供給ノズル11の開口面積が大きく、排気ノズル21の開口面積が小さい程、Qin=Qoutの条件を満足する制御圧力Paは大きな値となる。
第1実施形態の流体サーボバルブ100は、バルブ駆動電流に対するバルブ変位特性が非線形となる領域において、供給ノズル11と排気ノズル21の流量特性を非対称にすることで、バルブ変位特性の非線形性がもたらす影響を「相殺」している。例えば、可動板3が電磁石4から離れた位置、つまり可動板3が供給ノズル11に近い状態においても、制御圧力Paは大きな値を保つ。この非対称ノズル効果により、I<Imax/2の領域においても、従来バルブの電流に対する制御圧力特性の非線形性を解消できる。
<解析及び実験結果>
次に本実施形態の流体サーボバルブ100に関する解析結果について図5のグラフを参照しながら説明する。なお、以下の説明において動作点とは、例えば流体サーボバルブ100に印加されるバルブ駆動電流又はバルブ駆動電圧の印加範囲において中央値の電流値又は電圧値に設定される値である。なお、中央値からずらして動作点を設定しても構わない。
次に本実施形態の流体サーボバルブ100に関する解析結果について図5のグラフを参照しながら説明する。なお、以下の説明において動作点とは、例えば流体サーボバルブ100に印加されるバルブ駆動電流又はバルブ駆動電圧の印加範囲において中央値の電流値又は電圧値に設定される値である。なお、中央値からずらして動作点を設定しても構わない。
図5のグラフは、排気ノズル21の開口面積Aoutに対して、供給ノズル11の開口面積Ain を変えて、Ain/Aoutをパラメータとして、電磁石4に対して印加される電圧(バルブ駆動電流)に対する制御圧力(制御流路13から流出する流体の圧力)を求めたものである。この場合、Ain の大きさに対応して次のパラメータも同時に変える必要があることが分かった。
(1)供給ノズル11の突き出し量(図4のX0 )
(2)可動板3の剛性
(1)供給ノズル11の突き出し量(図4のX0 )
(2)可動板3の剛性
図5に示す特性曲線図は、上記(1)(2)を考慮して得られたものである。この理由は、前述したようにバルブ駆動電流値I=0(電圧V=0)において供給ノズル11は可動板3によって遮断された状態になるように、供給側ノズルと可動板3の位置を設定する必要があるからである。すなわち、電磁石4に印加される電圧V=0のとき、図4に示すように可動板3は微小量変形した状態で、供給ノズル11に押し当てられている。これは停電時、アクティブ制御が不能となった場合に、空気圧アクチュエータ(図示せず)への高圧空気の流入を遮断する安全機能(フェイルセーフ機能)である。
Ain が大きくなると、供給ノズル11先端面において、可動板3に作用する力(= Ain ×圧力差)も増大する。そのため、Ain の大きさに対応して、上記(1)(2)の再調整が必要となるのである。このようなフェイルセーフ機能を実現するための設定パラメータ例は以下のようになる。
すなわち、ノズル開口面積比Ain/Aoutが大きくなるほど、突き出し量が大きく設定されるともに、可動板3の剛性が大きく設定される。好ましくは、突き出し量をX0、可動板3の剛性をkとした場合に、1.0≦Ain/Aout≦3.0の範囲において、28μm≦X0≦56μm、2.75×104 N/m≦k≦3.30×104 N/mに設定すればよい。
図6のグラフは、 Ain/Aout=1.5、及び、 Ain/Aout=4.0の場合について、電圧に対する制御圧力特性を、図5のグラフから抽出したものである。各特性曲線(実線で図示)に包絡線(二点鎖線により図示)を描くと次のことが分かる。
(1)制御圧力が大気圧に近い低気圧の領域、及び、供給圧に近い高気圧の領域では、電圧に対する制御圧力特性は非線形となる。
(2)制御圧力が中間領域では、広い範囲で電圧に対する制御圧力特性は線形である。
(3)すなわち、特性曲線は電圧Vが印加されると最初は非線形領域に入り、その後線形領域に入り、再び非線形領域に突入する。
(4) Ain/Aoutが変わると、電圧に対する制御圧力特性はX軸(電圧)上を、平行移動する。各特性曲線のプロフィルはほぼ同一である。
(1)制御圧力が大気圧に近い低気圧の領域、及び、供給圧に近い高気圧の領域では、電圧に対する制御圧力特性は非線形となる。
(2)制御圧力が中間領域では、広い範囲で電圧に対する制御圧力特性は線形である。
(3)すなわち、特性曲線は電圧Vが印加されると最初は非線形領域に入り、その後線形領域に入り、再び非線形領域に突入する。
(4) Ain/Aoutが変わると、電圧に対する制御圧力特性はX軸(電圧)上を、平行移動する。各特性曲線のプロフィルはほぼ同一である。
図7のグラフは、バルブ駆動電圧を入力信号として流体サーボバルブ100に入力した場合における出力信号である制御圧力の波形をモデル化して表現したものである。ここで、流体制御バルブは、Ain/Aout=1.5の条件で構成されている。この例では、動作点Gにおける電圧信号の中心値は、最大電圧の中心値(実施例では5V)に設定してある。
この解析結果からAin/Aout=1.5の条件では、動作点Gにおける制御圧力は非線形領域にある事がわかる。また、入力信号の振幅の大きさに応じて、出力される圧力波形にも以下のような特徴がされる。すなわち、
(1)微小振幅入力の場合、出力圧力波形は上下非対称となる。すなわち、高調波歪を伴う波形となる。
(2)大振幅入力の場合、出力圧力波形はリミッタ特性、すなわち、波形が飽和するため、制御入力の下限値の大きさには限界が生じる。
(1)微小振幅入力の場合、出力圧力波形は上下非対称となる。すなわち、高調波歪を伴う波形となる。
(2)大振幅入力の場合、出力圧力波形はリミッタ特性、すなわち、波形が飽和するため、制御入力の下限値の大きさには限界が生じる。
図8は上述した研究によって見出された、それぞれ有効断面積の異なる供給ノズル11及び排気ノズル21からなる非対称ノズルの開口面積比 Ain/Aoutの適正値を求めるグラフである。
第1実施形態の流体サーボバルブ100をアクティブ除振台の空気圧アクチュエータに搭載して検証実験を行った。その結果、次のことが明らかとなった。
(1) 1.8<Ain/Aout<4.9の範囲に設定すれば、微小振幅入力に対して忠実に比例した制御圧力が得られる。微振動しか扱わない除振制御に好適であった。
(2) 2.5<Ain/Aout<4.0の範囲に設定すれば、大振幅入力にも対応できる。大きな荷重変動を逆位相の圧力波形でキャンセルするフィードフォワード制御に適用して、充分な効果が得られた。
言い換えると、大振幅入力であっても、出力される制御圧力波形には図7に示したようなリミッタ特性が表れないようにできる。
(1) 1.8<Ain/Aout<4.9の範囲に設定すれば、微小振幅入力に対して忠実に比例した制御圧力が得られる。微振動しか扱わない除振制御に好適であった。
(2) 2.5<Ain/Aout<4.0の範囲に設定すれば、大振幅入力にも対応できる。大きな荷重変動を逆位相の圧力波形でキャンセルするフィードフォワード制御に適用して、充分な効果が得られた。
言い換えると、大振幅入力であっても、出力される制御圧力波形には図7に示したようなリミッタ特性が表れないようにできる。
<流体サーボバルブ100の効果>
このように第1実施形態の流体サーボバルブ100であれば、可動板3に対して電磁石4とは反対側に設けられている供給ノズル11の有効断面積を可動板3に対して電磁石4と同じ側に設けられている排気ノズル21の有効断面積よりも大きく設定しているので、可動板3が電磁石4から最も離れた位置、すなわち、可動板3が供給ノズル11から離脱する初期状態においてもバルブ駆動電流に対する制御圧力特性を線形化できる。
このように第1実施形態の流体サーボバルブ100であれば、可動板3に対して電磁石4とは反対側に設けられている供給ノズル11の有効断面積を可動板3に対して電磁石4と同じ側に設けられている排気ノズル21の有効断面積よりも大きく設定しているので、可動板3が電磁石4から最も離れた位置、すなわち、可動板3が供給ノズル11から離脱する初期状態においてもバルブ駆動電流に対する制御圧力特性を線形化できる。
また、第1実施形態の流体サーボバルブ100は可動板3内を流れる磁束の磁気飽和現象を利用しているので、可動板3が排気ノズル21側にある場合にもバルブ駆動電流に対する制御圧力特性を線形化できる。
したがって、可動板3の全変位領域においてバルブ駆動電流に対する制御圧力特性を線形化できる。
この結果、図7及び図8の解析結果に示すように入力されるバルブ駆動電流又は電圧に対して制御流路13から出力される流体の流量又は圧力を忠実に比例させることができる。このため、例えばアクティブ除振台の制御にこのような流体サーボバルブ100を用いることによって、高精度のフィードフォワード制御を実現し、搭載物等の制御対象の振動を正確に制御できる。
また、この流体サーボバルブ100は、電磁石4による磁気吸引力のみで可動板3が駆動される。したがって、供給側バルブボディ1及び排気側バルブボディ内には永久磁石は設けられていない。このため、供給側バルブボディ1、可動板3、排気側バルブボディ2を中心軸に沿って並べた状態で、供給側バルブボディ1及び排気側バルブボディとの間をボルトによって固定するだけで組み立てることができる。したがって、永久磁石と電磁石4を用いるとともに、可動板3として磁気吸引力により供給ノズル11と排気ノズル21との間を揺動するフラッパを用いた流体サーボバルブと比較して組み立てが容易である。
すなわち、従来の永久磁石及びノズルフラッパを用いた流体サーボバルブであれば、3次元的な部品配置のため、高精度の部品を多数必要とする。このため、製造コストが高くなり、ノズルフラッパ部分での累積誤差が大きくなるため、各流体サーボバルブ間で均一な性能を得るのが難しかった。
これに対して第1実施形態の流体サーボバルブ100は、供給側バルブボディに対して排気側バルブボディ2を固定する際に、間に薄板ディスクとして形成された可動板3を挟み込むだけでよい。したがって、可動板3に対する組み立ての累積誤差は発生しにくく、各部品に求められる精度を低減できる。また、簡素な構造で組み立てが容易なので各流体サーボバルブ100間の性能を均一化しやすい。
次に第2実施形態における流体サーボバルブ100について図9を参照しながら説明する。なお、第1実施形態において説明した部材と対応する部材には同じ符号を付すこととする。
<流体サーボバルブ100の構成>
第2実施形態の流体サーボバルブ100は、第1実施形態の流体サーボバルブ100と比較して以下の点で異なっている。すなわち、第2実施形態の流体サーボバルブ100は、供給バルブと排気バルブの内径は同じ直径に設定されているのに対して、排気側流路22中に絞り5が設けられている点が異なっている。この絞り5は、例えば排気側流路22中を塞ぐように設けられた閉塞板と、排気ノズル21の先端部の内径よりも小さい直径の孔とからなる。
第2実施形態の流体サーボバルブ100は、第1実施形態の流体サーボバルブ100と比較して以下の点で異なっている。すなわち、第2実施形態の流体サーボバルブ100は、供給バルブと排気バルブの内径は同じ直径に設定されているのに対して、排気側流路22中に絞り5が設けられている点が異なっている。この絞り5は、例えば排気側流路22中を塞ぐように設けられた閉塞板と、排気ノズル21の先端部の内径よりも小さい直径の孔とからなる。
<流体サーボバルブ100の効果>
すなわち、第2実施形態の流体サーボバルブ100であれば、供給ノズル11及び排気ノズル21の構成は共通化しつつ、排気側流路22に設けられた絞り5によって供給ノズル11と排気ノズル21の特性を変化させることができる。この結果、第2実施形態でも供給ノズル11の有効断面積を、排気ノズル21の有効断面積よりも大きく設定できる。
すなわち、第2実施形態の流体サーボバルブ100であれば、供給ノズル11及び排気ノズル21の構成は共通化しつつ、排気側流路22に設けられた絞り5によって供給ノズル11と排気ノズル21の特性を変化させることができる。この結果、第2実施形態でも供給ノズル11の有効断面積を、排気ノズル21の有効断面積よりも大きく設定できる。
したがって、このような第2実施形態の流体サーボバルブ100であっても第1実施形態と同様に可動板3の全変位範囲においてバルブ駆動電流に対して制御圧力特性を線形化できる。
また、排気側流路22に設けられる絞り5の孔の直径を変更して、例えば各ノズルの製造誤差等を吸収させて所望の有効断面積の比を実現できる。また、絞り5を変更するだけで、様々な特性の流体サーボバルブ100を実現できるので、部品の種類数を抑えながら製品のバリエーションを実現しやすい。
ここで、ノズルの有効断面積(有効流量面積)の定義について補足する。第1実施形態の流体サーボバルブ100のように排気側流路22に絞りを設けない場合、あるいは、第2実施形態の流体サーボバルブ100のように排気側流路22に絞りを設ける場合のいずれであっても、以下に説明する実験方法によって供給ノズル11及び排気ノズル21の有効断面積を実測できる。
図10に示すように供給ノズル11の有効断面積Ain を実測する場合、バルブ駆動電圧を最大にして排気ノズル21を可動板3で閉塞した状態にする。このときの供給ノズル11の供給圧Psと大気開放されている制御流路13を流れる流体の実測流量とに基づいて有効断面積Ain が算出される。同様に排気ノズル21の有効断面積Aoutを実測する場合、バルブ駆動電圧をゼロにして供給ノズル11を可動板3で閉塞した状態にする。このときの制御流路13の供給圧Psと排気側流路22を流れる流体の実測流量とに基づいて有効断面積Aoutが算出される。図11に示すような実験装置及び有効断面積の算出式は例えばJIS B 8390に規定されているものを用いればよい。
実験装置は、図11に示すように流体サーボバルブ100の供給側流路12又は制御流路13に接続される調圧器P1と圧力センサP2を具備する圧力測定機構PMと、流体サーボバルブ100の制御流路13又は排気側流路22に接続される流量測定機構FMとからなる。
また、前述した第2実施形態では、排気側流路22に絞りを付けた場合のみを説明したが、供給側流路12にも同様に絞りを付けることもできる。この場合でも、有効断面積Ain は上述した実測方法で算出すればよい。
次に第3実施形態における流体サーボバルブ100について図12を参照しながら説明する。なお、第1実施形態において説明した部材と対応する部材には同じ符号を付すこととする。
第1実施形態の流体サーボバルブ100は、軸対称部品のみで構成されたものであった。これに対して第3実施形態の流体サーボバルブ100は、軸対称部品以外に、角柱、円柱、馬蹄形、環状等の各種鉄心、長方形の薄板材、角型ブロックなどの組み合わせで閉ループ磁気回路MC、及び流体回路を形成したものである。
より具体的には、図12において上側に配置されたブロックが供給側流路12及び制御流路13が形成された供給側バルブボディ1であり、下側に配置されたブロックが排気側バルブボディ2である。第3実施形態では各バルブボディにおいて外縁部に圧縮空気の流れる供給側流路12と排気側流路22が同軸となるように配置されている。また、可動板3については供給側バルブボディ1に対して一端が固定された長方形状の薄板であり、片持ち梁の状態で自由端側が供給側ノズルと排気ノズル21の各先端部間に配置されている。加えて、排気側バルブボディ2は、ヨーク43において可動板3の中央部と磁極が対向するように設けられたアーム部4Aと、アーム部4A及び供給側バルブボディ1にボルト固定された芯材部4Bとからなる。
また、供給ノズル11の内径は排気ノズル21の内径よりも大きく形成されており、非対称ノズルとして構成されている。加えて、可動板3を含む閉ループ磁気回路MCは芯材部4B、アーム部4A、可動板3内、芯材部4Bの順番で磁束が循環数量に構成されている。そして、閉ループ磁気回路MCを構成する各部材のうち最も厚みが薄く形成されている可動板3において可動板3の変位範囲内で磁気飽和現象が発生するように構成されている。
このような第3実施形態の流体サーボバルブ100であっても、磁気飽和現象を利用しつつ、供給ノズル11と排気ノズル21を非対称ノズルとして構成することによって、可動板3の変位範囲全体に対して、バルブ駆動電流に対する制御圧力特性を線形化できる。
第3実施形態の変形例について図13及び図14を参照しながら説明する。
図13及び図14に示すように電磁石4のコイル42については供給側バルブボディ1と排気側バルブボディ2の間に形成される収容空間内から外側に露出するように構成してもよい。また、図13に示すように排気側バルブボディ2の芯材部4Bの形状を変更して、排気側バルブボディ2に対して可動板3の固定端がボルト固定されてもよい。図14に示すように可動板3の一部に薄肉部又は切り欠き34を形成し、電磁石4の磁気吸引力に対して変位部31がより大きく変位するようにしてもよい。
第4実施形態の流体サーボ装置200について説明する。図15に示すように前述した各実施形態において説明した流体サーボバルブ100を用いて流体サーボ装置200であるアクティブ除振台を構成してもよい。具体的にアクティブ除振台は、アクティブ除振台は除振又は制振の対象となる搭載物が載せられるテーブルSTと、テーブルSTの脚部に設けられ、流体サーボバルブ100に接続される空気圧アクチュエータASと、制御対象物であるテーブルSTの変位又は振動状態を検出するセンサSNと、センサSNの出力に基づいて流体サーボバルブ100を制御する制御器CNと、を備えている。また、テーブルSTの位置、速度、加速度は、テーブルSTや基礎に対して設けられた複数のセンサSNによって検出され、それらの出力信号は制御器CNへと入力される。制御器CNは例えばコンピュータを利用してその機能が実現されるものであり、入力される各センサSNの出力に基づいて例えば基礎の振動等の外乱影響がキャンセルされるように流体サーボバルブ100をフィードフォワード制御によって制御する。すなわち、制御器CNは圧縮空気の供給源と接続された流体サーボバルブ100から制御流路13を介して空気圧アクチュエータASに供給される圧縮空気の圧力又は流量を制御する。
このような流体サーボ装置200であれば、流体サーボバルブ100が広範囲のバルブ駆動電流に対して出力される流体の圧力又は流量が線形性を有しているので、テーブルSTに対する各種外乱をキャンセルできるように高精度のフィードフォワード制御を実現できる。
その他の実施形態について説明する。流体サーボバルブは、供給側バルブボディに電磁石が設けられていてもかまわない。このような場合には、可動板に対して電磁石とは反対側に設けられている排気ノズルの有効断面積を供給側ノズルの有効断面積よりも大きくすればよい。すなわち、可動板を基準として電磁石から離れている側のノズルの有効断面積を他方のノズルの有効断面積よりも大きくすることで、可動板が電磁石から動作点よりも離れた位置に変位している状態で制御圧力特性を線形化できる。
可動板は薄肉円板状のディスク、薄肉直方体状の板部材に限られるものではなく、様々な形状であってもよい。また、本発明に係る流体サーボバルブは、閉ループ磁気回路において、磁気飽和現象が発生しないように構成してもよい。
供給側ノズル、及び、排気側ノズルの各有効断面積を非対称にするには、例えば供給側流路又は排気側流路の流路径を細くして、流路抵抗として作用させることで調整してもよい。
電磁石にバルブ駆動電流が印加されていない状態における可動板の位置は、供給ノズルを閉塞できる位置に限られない。例えば別のフェイルセーフ機構を設けるのであれば、電磁石にバルブ駆動電流が印加されていない状態で供給ノズルの先端に対して可動板が離間していてもよい。
本発明に係る流体サーボバルブは、空気圧アクチュエータを制御するために用いられるものに限られない。その他の流体の圧力や流量の制御を必要とする用途に用いても構わない。
本発明に係る流体サーボ装置は、アクティブ除振台に限られるものではなく、例えばフィードバック制御のみが行われるパッシブ除振台やその他の装置であっても構わない。
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な変形を行ったり、各実施形態の一部同士を組み合わせたりしても構わない。
200・・・流体サーボ装置
100・・・流体サーボバルブ
11 ・・・供給バルブ
21 ・・・排気バルブ
3 ・・・可動板
4 ・・・電磁石
100・・・流体サーボバルブ
11 ・・・供給バルブ
21 ・・・排気バルブ
3 ・・・可動板
4 ・・・電磁石
Claims (13)
- 供給側流路に連絡し、先端部から流体が吐出される供給ノズルと、
排気側流路に連絡し、先端部から流体が吸引される排気ノズルと、
前記供給ノズル及び前記排気ノズルのそれぞれの先端部の間に設けられた可動板と、
前記可動板の少なくとも一部を変形させ、前記供給ノズルと前記排気ノズルとの間で変位させる電磁石と、を備え、
前記供給ノズルの有効断面積と、前記排気ノズルの有効断面積とが異なっていることを特徴とする流体サーボバルブ。 - 前記電磁石が、前記可動板に対して前記排気ノズル側に設けられており、
前記供給ノズルの有効断面積が、前記排気ノズルの有効断面積よりも大きい請求項1記載の流体サーボバルブ。 - 前記供給ノズルの先端部の内径が、前記排気ノズルの先端部の内径よりも大きい請求項2記載の流体サーボバルブ。
- 前記排気側流路に絞りが設けられた請求項2記載の流体サーボバルブ。
- 前記供給ノズルの有効断面積をAin 、前記排気ノズルの有効断面積をAoutとした場合に、1.8≦Ain/Aout≦4.9を満たすように構成された請求項2記載の流体サーボバルブ。
- 前記供給ノズルの有効断面積をAin 、前記排気ノズルの有効断面積をAoutとした場合に、2.5≦Ain/Aout≦4.0を満たすように構成された請求項2記載の流体サーボバルブ。
- 前記可動板が、
前記電磁石の吸引力により前記供給ノズル及び前記排気ノズルのそれぞれの先端部の間で変位する変位部と、
前記供給ノズル及び前記排気ノズルに対して位置が固定された被固定部と、を具備し、
前記供給ノズルの先端が、前記被固定部よりも前記排気ノズル側に所定の突き出し量だけ突き出して配置されている請求項2記載の流体サーボバルブ。 - 前記供給ノズルの有効断面積をAin 、前記排気ノズルの有効断面積をAoutとした場合に、
Ain/Aoutが大きくなるほど、前記突き出し量が大きく設定される請求項7記載の流体サーボバルブ。 - Ain/Aoutが大きくなるほど、前記可動板の剛性が大きく設定される請求項8記載の流体サーボバルブ。
- 前記突き出し量をX0、前記可動板の剛性をkとした場合に、
1.0≦Ain/Aout≦3.0の範囲において、28μm≦X0≦56μm、2.75×104 N/m≦k≦3.30×104 N/mに設定された請求項9記載の流体サーボバルブ。 - 前記電磁石により発生する磁束のうち、少なくとも前記可動板内を通るように形成された閉ループ磁気回路において、
前記閉ループ磁気回路を形成する磁性材料部品の磁気特性が、磁化力に対する磁束密度の特性が概略比例関係にある線形領域と、磁化力に対する磁束密度の傾斜角が前記線形領域と比べて小さく変化する領域を磁気飽和領域とを有し、
前記可動板の変位可能範囲で前記電磁石に通電する電流を増大させたときに、前記磁性材料部品を流れる磁束の磁束密度が前記磁気飽和領域に入るように構成された請求項1記載の流体サーボバルブ。 - 前記可動板において磁束の磁束密度が前記磁気飽和領域に入るように構成された請求項11記載の流体サーボバルブ。
- 請求項1乃至12いずれかに記載の流体サーボバルブと、
前記流体サーボバルブに接続される空気圧アクチュエータと、
制御対象物の変位又は振動状態を検出するセンサと、
前記センサの出力に基づいて前記流体サーボバルブを制御する制御器と、を備えた流体サーボ装置。
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