JP2021160608A - 移動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】旋回半径の変化を抑制する【解決手段】移動装置は、ボディと、N個(Nは3以上の整数)の車輪と、傾斜装置と、傾斜装置を駆動する第1力を生成するように構成されている第1力生成装置と、移動装置のヨー角速度を変化させる第2力を生成するように構成されている第2力生成装置と、制御装置と、を備える。旋回の目標方向と目標程度とのそれぞれが一定である状態を、一定目標状態と呼ぶ。制御装置は、ボディを旋回の内側に傾斜させる。制御装置は、一定目標状態において、速度が第1速度範囲内である場合には、速度が速いほどボディのロール角の大きさを大きくする。制御装置は、速度の少なくとも一部の範囲において、ヨー角速度を旋回の目標方向側に向かって変化させる旋回成分を含む1以上の成分の合成力である第2力を、第2力生成装置に生成させる。【選択図】 図9
Description
本明細書は、車輪を備える移動装置に関する。
車輪を備える種々の移動装置が利用されている。例えば、車体と車輪とを備える車両が利用されている。また、旋回時に旋回の内側に傾斜する車両が提案されている。
移動装置が旋回する場合、移動装置に遠心力が作用する。遠心力は、旋回半径を変化させ得る。例えば、速度が大きい場合に、旋回半径が大きくなる場合があった。
本明細書は、旋回半径の変化を抑制する技術を開示する。
本明細書に開示された技術は、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
移動装置であって、
ボディと、
1以上の前輪と1以上の後輪とを含むN個(Nは3以上の整数)の車輪であって、前記N個の車輪は前記移動装置の幅方向に互いに離れて配置された一対の車輪を含み、前記N個の車輪は前記幅方向に回動可能な1以上の回動輪を含む、前記N個の車輪と、
前記一対の車輪と前記ボディとを連結する連結装置であって、前記連結装置は前記ボディを前記幅方向に傾斜させるように構成されている傾斜装置を含む、前記連結装置と、
前記傾斜装置を駆動する第1力を生成するように構成されている第1力生成装置と、
前記移動装置のヨー角速度を変化させる第2力を生成するように構成されている第2力生成装置と、
旋回の目標方向と旋回の目標程度とを示す旋回目標情報を取得するように構成されている旋回目標情報取得装置と、
前記第1力生成装置と前記第2力生成装置とを制御するように構成されている制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記旋回目標情報が旋回を示す場合に、前記第1力生成装置を制御することによって、前記ボディを前記旋回の内側に傾斜させる第1処理と、
前記旋回目標情報が前記旋回を示す場合に、前記速度の少なくとも一部の範囲において、前記ヨー角速度を前記旋回の前記目標方向側に向かって変化させる旋回成分を含む1以上の成分の合成力である前記第2力を、前記第2力生成装置に生成させる第2処理と、
を実行するように構成されており、
前記目標方向と前記目標程度とのそれぞれが一定である状態を、一定目標状態と呼び、
前記制御装置は、
前記一定目標状態において、前記移動装置の速度が第1速度範囲内である場合に、前記速度が大きいほど前記ボディのロール角の大きさを大きくする処理を含む前記第1処理と、
前記第1速度範囲の第1上限速度以上の範囲である第2速度範囲を含む対象速度範囲内で前記速度が一定であり、かつ、前記目標程度が第1程度範囲内である場合に、前記目標程度が大きいほど前記旋回成分の大きさを大きくする処理を含む前記第2処理と、
を実行するように構成されている、移動装置。
移動装置であって、
ボディと、
1以上の前輪と1以上の後輪とを含むN個(Nは3以上の整数)の車輪であって、前記N個の車輪は前記移動装置の幅方向に互いに離れて配置された一対の車輪を含み、前記N個の車輪は前記幅方向に回動可能な1以上の回動輪を含む、前記N個の車輪と、
前記一対の車輪と前記ボディとを連結する連結装置であって、前記連結装置は前記ボディを前記幅方向に傾斜させるように構成されている傾斜装置を含む、前記連結装置と、
前記傾斜装置を駆動する第1力を生成するように構成されている第1力生成装置と、
前記移動装置のヨー角速度を変化させる第2力を生成するように構成されている第2力生成装置と、
旋回の目標方向と旋回の目標程度とを示す旋回目標情報を取得するように構成されている旋回目標情報取得装置と、
前記第1力生成装置と前記第2力生成装置とを制御するように構成されている制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記旋回目標情報が旋回を示す場合に、前記第1力生成装置を制御することによって、前記ボディを前記旋回の内側に傾斜させる第1処理と、
前記旋回目標情報が前記旋回を示す場合に、前記速度の少なくとも一部の範囲において、前記ヨー角速度を前記旋回の前記目標方向側に向かって変化させる旋回成分を含む1以上の成分の合成力である前記第2力を、前記第2力生成装置に生成させる第2処理と、
を実行するように構成されており、
前記目標方向と前記目標程度とのそれぞれが一定である状態を、一定目標状態と呼び、
前記制御装置は、
前記一定目標状態において、前記移動装置の速度が第1速度範囲内である場合に、前記速度が大きいほど前記ボディのロール角の大きさを大きくする処理を含む前記第1処理と、
前記第1速度範囲の第1上限速度以上の範囲である第2速度範囲を含む対象速度範囲内で前記速度が一定であり、かつ、前記目標程度が第1程度範囲内である場合に、前記目標程度が大きいほど前記旋回成分の大きさを大きくする処理を含む前記第2処理と、
を実行するように構成されている、移動装置。
この構成によれば、一定目標状態において、第1速度範囲と第2速度範囲とを含む速度の範囲内で、制御装置は、旋回半径の変化を抑制できる。
[適用例2]
適用例1に記載の移動装置であって、
前記制御装置は、前記速度が前記第1速度範囲の第1下限速度より大きく、かつ、前記速度が一定であり、かつ、前記目標程度が第2程度範囲内である場合に、前記目標程度が大きいほど前記ロール角の大きさを大きくする処理を含む前記第1処理を実行するように、構成されている、
移動装置。
適用例1に記載の移動装置であって、
前記制御装置は、前記速度が前記第1速度範囲の第1下限速度より大きく、かつ、前記速度が一定であり、かつ、前記目標程度が第2程度範囲内である場合に、前記目標程度が大きいほど前記ロール角の大きさを大きくする処理を含む前記第1処理を実行するように、構成されている、
移動装置。
この構成によれば、移動装置は、目標程度に適した旋回半径で旋回できる。
[適用例3]
適用例1または2に記載の移動装置であって、
前記制御装置は、前記一定目標状態において、前記対象速度範囲のうち前記対象速度範囲の下限を含む少なくとも一部である第3速度範囲内で、前記速度の変化に対して前記旋回成分の大きさを一定に維持する処理を含む前記第2処理を実行するように、構成されている、
移動装置。
適用例1または2に記載の移動装置であって、
前記制御装置は、前記一定目標状態において、前記対象速度範囲のうち前記対象速度範囲の下限を含む少なくとも一部である第3速度範囲内で、前記速度の変化に対して前記旋回成分の大きさを一定に維持する処理を含む前記第2処理を実行するように、構成されている、
移動装置。
この構成によれば、第3速度範囲内において、移動装置の走行安定性が、向上する。
[適用例4]
適用例1から3のいずれかに記載の移動装置であって、
前記制御装置は、前記一定目標状態において、前記速度が前記第1速度範囲の前記第1上限速度以上である場合に、前記速度の変化に対して前記ボディの前記ロール角を一定に維持する処理を含む前記第1処理を実行するように、構成されている、
移動装置。
適用例1から3のいずれかに記載の移動装置であって、
前記制御装置は、前記一定目標状態において、前記速度が前記第1速度範囲の前記第1上限速度以上である場合に、前記速度の変化に対して前記ボディの前記ロール角を一定に維持する処理を含む前記第1処理を実行するように、構成されている、
移動装置。
この構成によれば、速度が第1上限速度以上である場合に、ロール角の過度の増大は、抑制される。
[適用例5]
適用例4に記載の移動装置であって、
前記一定目標状態において、前記第1速度範囲の前記第1上限速度以下の下限速度以上、前記第1上限速度よりも大きい上限速度以下の範囲を、第4速度範囲と呼び、
前記制御装置は、前記一定目標状態において、前記速度が前記第4速度範囲内である場合に、前記速度が大きいほど前記旋回成分の大きさを大きくする処理を含む前記第2処理を実行するように、構成されている、
移動装置。
適用例4に記載の移動装置であって、
前記一定目標状態において、前記第1速度範囲の前記第1上限速度以下の下限速度以上、前記第1上限速度よりも大きい上限速度以下の範囲を、第4速度範囲と呼び、
前記制御装置は、前記一定目標状態において、前記速度が前記第4速度範囲内である場合に、前記速度が大きいほど前記旋回成分の大きさを大きくする処理を含む前記第2処理を実行するように、構成されている、
移動装置。
この構成によれば、制御装置は、速度の変化に対する旋回半径の変化を、抑制できる。
[適用例6]
適用例5に記載の移動装置であって、
前記第4速度範囲の前記下限速度は、前記第1速度範囲の前記第1上限速度よりも小さい、
移動装置。
適用例5に記載の移動装置であって、
前記第4速度範囲の前記下限速度は、前記第1速度範囲の前記第1上限速度よりも小さい、
移動装置。
この構成によれば、速度が第1上限速度より小さい速度から第1上限速度より大きい速度へ増大する場合に、制御装置は、移動装置の動きを滑らかにすることができる。
[適用例7]
適用例5または6に記載の移動装置であって、
前記第1速度範囲の前記第1上限速度は、前記目標程度が小さいほど大きく、
前記第4速度範囲の前記下限速度は、前記目標程度が小さいほど大きい、
移動装置。
適用例5または6に記載の移動装置であって、
前記第1速度範囲の前記第1上限速度は、前記目標程度が小さいほど大きく、
前記第4速度範囲の前記下限速度は、前記目標程度が小さいほど大きい、
移動装置。
この構成によれば、制御装置は、目標程度が小さい場合と大きい場合とに、速度の変化に対する旋回半径の変化を抑制できる。
[適用例8]
適用例1から7のいずれかに記載の移動装置であって、
前記対象速度範囲は、前記第1速度範囲を含む、
移動装置。
適用例1から7のいずれかに記載の移動装置であって、
前記対象速度範囲は、前記第1速度範囲を含む、
移動装置。
この構成によれば、第1速度範囲を含む対象速度範囲において、制御装置は、旋回半径の変化を抑制できる。
なお、本明細書に開示の技術は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、移動装置、車両、移動装置の制御装置、車両の制御装置、移動装置の制御方法、車両の制御方法、等の態様で実現することができる。
A.第1実施例:
A1.車両10の構成:
図1(A)−図1(C)、図2は、移動装置の一実施例である車両10を示す説明図である。図1(A)は、車両10の右側面図を示し、図1(B)は、車両10の上面図を示し、図1(C)は、車両10の下面図を示し、図2は、車両10の背面図を示している。図1(A)−図1(C)、図2には、水平な地面GL(図1(A))上に配置され、傾斜していない状態の車両10が、示されている。図1(A)−図1(C)、図2には、6つの方向DF、DB、DU、DD、DR、DLが示されている。前方向DFは、車両10の前方向(すなわち、前進方向)であり、後方向DBは、前方向DFの反対方向である。上方向DUは、鉛直上方向であり、下方向DDは、鉛直下方向(すなわち、上方向DUの反対方向)である。鉛直下方向は、重力の方向である。右方向DRは、前方向DFに走行する車両10から見た右方向であり、左方向DLは、右方向DRの反対方向である。方向DF、DB、DR、DLは、いずれも、水平な方向である。右と左の方向DR、DLは、前方向DFに垂直である。
A1.車両10の構成:
図1(A)−図1(C)、図2は、移動装置の一実施例である車両10を示す説明図である。図1(A)は、車両10の右側面図を示し、図1(B)は、車両10の上面図を示し、図1(C)は、車両10の下面図を示し、図2は、車両10の背面図を示している。図1(A)−図1(C)、図2には、水平な地面GL(図1(A))上に配置され、傾斜していない状態の車両10が、示されている。図1(A)−図1(C)、図2には、6つの方向DF、DB、DU、DD、DR、DLが示されている。前方向DFは、車両10の前方向(すなわち、前進方向)であり、後方向DBは、前方向DFの反対方向である。上方向DUは、鉛直上方向であり、下方向DDは、鉛直下方向(すなわち、上方向DUの反対方向)である。鉛直下方向は、重力の方向である。右方向DRは、前方向DFに走行する車両10から見た右方向であり、左方向DLは、右方向DRの反対方向である。方向DF、DB、DR、DLは、いずれも、水平な方向である。右と左の方向DR、DLは、前方向DFに垂直である。
本実施例では、車両10は、一人乗り用の小型車両である。車両10(図1(A)、図1(B))は、車体90と、前輪12Fと、左後輪12Lと、右後輪12Rと、を有する三輪車である。前輪12Fは、回動輪の例であり、車両10の幅方向の中心に配置されている。回動輪は、車両10の幅方向(すなわち、右方向と左方向)に回動可能な車輪である。回動輪の進行方向は、前方向DFから右と左とに回転可能である。本実施例では、前輪12Fは、回動可能であるように、車体90に支持されている。後輪12R、12Lは、駆動輪である。後輪12R、12Lは、車両10の幅方向の中心に対して対称に、互いに離れて配置されている。
車体90(図1(A))は、本体部20を有している。本体部20は、底部20bと、底部20bの前方向DF側に接続された前壁部20aと、底部20bの後方向DB側に接続された後壁部20cと、後壁部20cの上端から後方向DBに向かって延びる支持部20dと、を有している。本体部20は、例えば、金属製のフレームと、フレームに固定されたパネルと、を有している。
車体90は、さらに、底部20b上に固定された座席11と、座席11の前方向DF側に配置されたアクセルペダル45とブレーキペダル46と、底部20bに固定された制御装置100とバッテリ120と、前壁部20aの上方向DU側の端部に固定された前輪支持装置41と、前輪支持装置41に取り付けられたハンドル41aと、を有している。図示を省略するが、本体部20には、他の部材(例えば、屋根、前照灯など)が固定され得る。車体90は、本体部20に固定された部材を含んでいる。
前輪支持装置41(図1(A))は、回動軸Ax1を中心に回動可能に前輪12Fを支持する装置である。前輪支持装置41は、前フォーク17と、軸受68と、操舵モータ65と、を有している。前フォーク17は、前輪12Fを回転可能に支持しており、例えば、コイルスプリングとショックアブソーバとを有するテレスコピックタイプのフォークである。軸受68は、本体部20の前壁部20aと、前フォーク17と、を連結している。軸受68は、回動軸Ax1を中心に、前フォーク17(ひいては、前輪12F)を、車体90に対して左右に回転可能に支持している。前フォーク17の回転可能範囲は、予め決められた角度範囲(例えば、180度未満の範囲)であってよい。例えば、前フォーク17が車体90の他の部分に接触することによって、角度範囲が制限されてよい。操舵モータ65は、電気モータであり、本体部20の前壁部20aと前フォーク17とに接続されている。操舵モータ65は、前フォーク17(ひいては、前輪12F)を幅方向(すなわち、右方向と左方向)に回動させるトルクを生成する。このように、操舵モータ65は、前輪12Fの幅方向の回動を制御するトルクである回動トルクを前輪12Fに付与するように構成されている(以下、回動駆動装置65とも呼ぶ)。
ハンドル41aは、右方向と左方向とに回転可能な部材である。直進を示す所定の回転位置(直進回転位置と呼ぶ)に対するハンドル41aの回転角度(入力角とも呼ぶ)は、旋回の目標方向と旋回の目標程度とを表す旋回目標情報の例である。本実施例では、「入力角=ゼロ」は、直進を示し、「入力角>ゼロ」は、右旋回を示し、「入力角<ゼロ」は、左旋回を示している。入力角の大きさ(すなわち、絶対値)は、旋回の目標程度を示している。運転者は、ハンドル41aを操作することによって、旋回目標情報を入力できる。
なお、本実施例では、ハンドル41aと前フォーク17とは、機械的には接続されていない。ただし、弾性体(例えば、コイルバネや板バネなどのバネ、ゴムやシリコンなどの樹脂)が、ハンドル41aと前フォーク17とを接続してもよい。
車輪角Aw(図1(B))は、車体90に対する前輪12Fの方向を示す角度である。本実施例では、車輪角Awは、前方向DFを基準とする、前輪12Fの進行方向D12の角度である。車輪角Awは、車体90の上方向(車体90が鉛直上方向DUに対して傾斜していない場合には、鉛直上方向DUと同じ)に平行な軸まわりの角度を示している。進行方向D12は、前輪12Fの回転軸Axw1に垂直な方向である。本実施例では、「Aw=ゼロ」は、「方向D12=前方向DF」を示している。「Aw>ゼロ」は、方向D12が右方向DR側を向いていることを示している(旋回方向=右方向DR)。「Aw<ゼロ」は、方向D12が左方向DL側を向いていることを示している(旋回方向=左方向DL)。車輪角Awは、前輪12Fの回動の角度を示している。前輪12Fが操舵される場合、車輪角Awは、いわゆる操舵角に対応する。
操舵モータ65は、制御装置100(図1(A))によって制御される。操舵モータ65によって生成される回動トルクが小さい場合、前輪12Fの方向D12が入力角とは独立に左または右に回動することが許容される。操舵モータ65の制御の詳細については、後述する。
図1(A)中の角度CAは、いわゆるキャスター角である。キャスター角CAは、車体90の上方向(車体90が鉛直上方向DUに対して傾斜していない場合には、鉛直上方向DUと同じ)と、回動軸Ax1に沿って鉛直上方向DU側へ向かう方向と、のなす角度である。本実施例では、キャスター角CAがゼロよりも大きい。従って、回動軸Ax1に沿って鉛直上方向DU側へ向かう方向は、斜め後ろに傾斜している。
図1(A)に示すように、本実施例では、前輪支持装置41の回動軸Ax1と地面GLとの交点P2は、前輪12Fの地面GLとの接触中心P1よりも、前方向DF側に位置している。これらの点P1、P2の間の後方向DBの距離Ltは、トレールと呼ばれる。正のトレールLtは、接触中心P1が交点P2よりも後方向DB側に位置していることを示している。なお、図1(A)、図1(C)に示すように、接触中心P1は、前輪12Fと地面GLとの接触領域Ca1の重心である。接触領域の重心は、接触領域内に質量が均等に分布していると仮定する場合の重心の位置である。右後輪12Rと地面GLとの接触領域CaRの接触中心PbRと、左後輪12Lと地面GLとの接触領域CaLの接触中心PbLとも、同様に決定される。
図2に示すように、2つの後輪12R、12Lは、後輪支持部80に回転可能に支持されている。後輪支持部80は、リンク機構30と、リンク機構30の上部に固定されたリーンモータ25と、リンク機構30の上部に固定された第1支持部82と、リンク機構30の前部に固定された第2支持部83(図1(A))と、を有している。説明のために、図1(A)では、後輪支持部80のうちの右後輪12Rに隠れている部分も実線で示されている。図1(B)では、本体部20に隠れている後輪支持部80と後輪12R、12Lと後述する連結棒75とが、実線で示されている。図1(A)〜図1(C)では、リンク機構30が簡略化して示されている。
第1支持部82(図2)は、後輪12R、12Lの上方向DU側において、右方向DRに平行に延びる板状の部分を含んでいる。第2支持部83(図1(A)、図1(B))は、リンク機構30の前方向DF側の、左後輪12Lと右後輪12Rとの間に配置されている。
右後輪12R(図1(B)、図2)は、右駆動モータ51Rに接続されている。右駆動モータ51Rは、電気モータであり、後輪支持部80の右側の部分に固定されている。右駆動モータ51Rの回転軸Axw2(図2)は、右後輪12Rの回転軸と同じである。左後輪12Lと左駆動モータ51Lとの構成は、右後輪12Rと右駆動モータ51Rとの構成と、それぞれ同様である。これらの駆動モータ51L、51Rは、後輪12R、12Lを直接的に駆動するインホイールモータである。以下、左駆動モータ51Lと右駆動モータ51Rとの全体を、駆動システム51Sとも呼ぶ。
図1(A)−図1(C)、図2には、車体90が水平な地面GL上で傾斜せずに直立している状態(後述するロール角Arがゼロである状態)が、示されている。以下、この状態を、直立状態と呼ぶ。直立状態で、左後輪12Lの回転軸Axw3(図2)と右後輪12Rの回転軸Axw2とは、同じ直線上に位置しており、右方向DRに平行である。
リンク機構30(図2)は、いわゆる、平行リンクである。リンク機構30は、右方向DRに向かって順番に並ぶ3つの縦リンク部材33L、21、33Rと、下方向DDに向かって順番に並ぶ2つの横リンク部材31U、31Dと、を有している。水平な地面GL上で車体90が傾斜せずに直立している場合、縦リンク部材33L、21、33Rは、鉛直方向に平行であり、横リンク部材31U、31Dは、水平方向に平行である。2つの縦リンク部材33L、33Rと、2つの横リンク部材31U、31Dとは、平行四辺形リンク機構を形成している。中縦リンク部材21は、横リンク部材31U、31Dの中央部分を連結している。これらのリンク部材33L、33R、31U、31D、21は、互いに回転可能に連結されている。本実施例では、回転軸は、前方向DFに平行である。互いに連結された2個のリンク部材は、予め決められた角度範囲(例えば、180度未満の範囲)内で、回転軸を中心に相対的に回転可能であってよい。左縦リンク部材33Lには、左駆動モータ51Lが固定されている。右縦リンク部材33Rには、右駆動モータ51Rが固定されている。中縦リンク部材21の上部には、第1支持部82と第2支持部83(図1(A))とが、固定されている。リンク部材33L、21、33R、31U、31Dと、支持部82、83とは、例えば、金属で形成されている。
本実施例では、リンク機構30は、複数のリンク部材を回転可能に連結するための軸受けを有している。例えば、軸受38は、下横リンク部材31Dと中縦リンク部材21とを回転可能に連結し、軸受39は、上横リンク部材31Uと中縦リンク部材21とを回転可能に連結している。説明を省略するが、他の複数のリンク部材も、軸受けによって連結されている。
リーンモータ25は、リンク機構30を駆動するように構成されている傾斜駆動装置の例であり、本実施例では、電気モータである。リーンモータ25は、中縦リンク部材21と上横リンク部材31Uとに接続されている。リーンモータ25は、上横リンク部材31Uを、中縦リンク部材21に対して、回転させる。これにより、車両10は、幅方向(すなわち、右方向、または、左方向)に向かって傾斜する。このように傾斜する運動は、ロール運動とも呼ばれる。なお、リーンモータ25と中縦リンク部材21とは、ギヤを介して接続されてよい。また、リーンモータ25と上横リンク部材31Uとは、ギヤを介して接続されてよい。以下、リーンモータ25によって出力されるトルクを、リーンモータトルクとも呼ぶ。リーンモータトルクは、車体90をロールさせる。
図3(A)、図3(B)は、水平な地面GL上の車両10の状態を示す概略図である。図中には、車両10の簡略化された背面図が示されている。図3(A)は、車両10が直立している状態を示し、図3(B)は、車両10が傾斜している状態を示している。図3(A)に示すように、上横リンク部材31Uが中縦リンク部材21に対して直交する場合、全ての車輪12F、12R、12Lが、水平な地面GLに対して直立する。そして、車体90を含む車両10の全体は、地面GLに対して、直立する。図中の車体上方向DVUは、車体90の上方向である。車両10が傾斜していない状態では、車体上方向DVUは、上方向DUと同じである。本実施例では、車体90に対して予め決められた上方向が、車体上方向DVUとして用いられる。
図3(B)に示すように、背面図上で、中縦リンク部材21が上横リンク部材31Uに対して時計回り方向に回転することによって、車体90に対して相対的に、右後輪12Rが車体上方向DVU側に移動し、左後輪12Lが反対側に移動する。この結果、全ての車輪12F、12R、12Lが地面GLに接触した状態で、これらの車輪12F、12R、12Lは、地面GLに対して右方向DR側に傾斜する。そして、車体90を含む車両10の全体は、地面GLに対して、右方向DR側に傾斜する。図示を省略するが、中縦リンク部材21が上横リンク部材31Uに対して反時計回り方向に回転することによって、車両10は、左方向DL側に傾斜する。
このように、リンク機構30は、左後輪12Lと右後輪12Rとのそれぞれの車体上方向DVUの相対位置を変化させることが可能である。なお、本実施例では、横リンク部材31U、31Dは、車体90に回転可能に支持されている(中縦リンク部材21と第1支持部82と後述するサスペンションシステム70とを介して)。そして、後輪12R、12Lは、横リンク部材31U、31Dを含む複数の部材を介して、車体90に接続されている。従って、車体90に対して横リンク部材31U、31Dを回転させることによって、車体90に対する後輪12R、12Lの車体上方向DVUの位置が変化する。また、横リンク部材31U、31Dの回転軸(軸受39、38)は、右後輪12Rと左後輪12Lとの間に配置されている。従って、横リンク部材31U、31Dが回転する場合、右後輪12Rの移動方向は、左後輪12Lの移動方向とは反対の方向である。
図3(B)では、車体上方向DVUは、上方向DUに対して、右方向DR側に傾斜している。以下、前方向DFを向いて車両10を見る場合の、上方向DUと車体上方向DVUとの間の角度を、ロール角Ar、または、傾斜角Arと呼ぶ。ここで、「Ar>ゼロ」は、右方向DR側への傾斜を示し、「Ar<ゼロ」は、左方向DL側への傾斜を示している。車体90のロール角Arは、車体90を有する車両10のロール角Arであるということができる。
図3(B)には、リンク機構30の制御角Acが示されている。制御角Acは、上横リンク部材31Uの向きに対する中縦リンク部材21の向きの角度を示している。図3(B)の背面図において、「Ac=ゼロ」は、上横リンク部材31Uに対して中縦リンク部材21が垂直であることを、示している。「Ac>ゼロ」は、中縦リンク部材21が、上横リンク部材31Uに対して、「Ac=ゼロ」の状態から時計回り方向に回転した状態を示している。図示を省略するが、「Ac<ゼロ」は、中縦リンク部材21が、上横リンク部材31Uに対して、「Ac=ゼロ」の状態から反時計回り方向に回転した状態を示している。図示するように、車両10が、水平な地面GL(すなわち、鉛直上方向DUに垂直な地面GL)上に位置している場合、制御角Acは、ロール角Arと、おおよそ同じである。
図3(A)、図3(B)中の地面GL上の軸AxLは、傾斜軸AxLである。リンク機構30とリーンモータ25とは、車体90を、傾斜軸AxLを中心に、右と左とに傾斜させることができる。以下、傾斜軸AxLを、ロール軸とも呼ぶ。本実施例では、ロール軸AxLは、前輪12Fと地面GLとの接触中心P1を通り、前方向DFに平行な直線である。リンク機構30は、車体90を車両10の幅方向に傾斜させるように構成されている傾斜装置の例である(傾斜装置30とも呼ぶ)。
図3(C)、図3(D)は、図3(A)、図3(B)と同様に、車両10の簡略化された背面図を示している。図3(C)、図3(D)では、地面GLxは、鉛直上方向DUに対して斜めに傾斜している(右側が高く、左側が低い)。図3(C)は、制御角Acがゼロである状態を示している。この状態では、全ての車輪12F、12R、12Lが、地面GLxに対して直立する。そして、車体上方向DVUは、地面GLxに対して垂直であり、また、鉛直上方向DUに対して左方向DL側に傾斜している。
図3(D)は、ロール角Arがゼロである状態を示している。この状態では、上横リンク部材31Uは、地面GLxにおおよそ平行であり、中縦リンク部材21に対して反時計回りの方向に傾斜している。また、車輪12F、12R、12Lは、地面GLに対して傾斜している。
このように、地面GLxが傾斜している場合、車体90のロール角Arは、リンク機構30の制御角Acと、異なり得る。
なお、後輪支持部80は、リンク機構30の動きを止める図示しないロック機構を有している。ロック機構を作動させることによって、制御角Acが固定される。例えば、車両10の駐車時に、制御角Acはゼロに固定される。
図1(B)、図2に示すように、本実施例では、本体部20は、サスペンションシステム70と連結棒75とによって、後輪支持部80に連結されている。サスペンションシステム70は、左サスペンション70Lと右サスペンション70Rとを有している。サスペンション70L、70Rは、それぞれ、本体部20の支持部20dと後輪支持部80の第1支持部82とに接続されている。サスペンション70L、70Rは、コイルスプリング71L、71Rとショックアブソーバ72L、72Rとを有しており、伸縮可能である。サスペンションシステム70は、後輪支持部80と本体部20との間の相対的な動きを、許容する。
連結棒75は、図1(A)、図1(B)に示すように、前方向DFに延びる棒である。連結棒75は、車両10の幅方向の中心に配置されている。連結棒75の前方向DF側の端部は、本体部20の後壁部20cに、回転可能に連結されている(例えば、玉継ぎ手)。連結棒75の後方向DB側の端部は、後輪支持部80の第2支持部83に、回転可能に連結されている(例えば、玉継ぎ手)。
このように、後輪12R、12Lと車体90とは、駆動モータ51R、51Lと、傾斜装置30と、第1支持部82と、第2支持部83と、サスペンションシステム70と、を用いて、連結されている。以下、これらの部材51R、51L、30、82、83、70の全体を、連結装置800とも呼ぶ。
図4は、旋回時の力のバランスの説明図である。図中には、旋回方向が右方向である場合の後輪12R、12Lの背面図が示されている。後述するように、旋回方向が右方向である場合、制御装置100(図1(A))は、後輪12R、12L(ひいては、車体90)が地面GLに対して右方向DRに傾斜するように、操舵モータ65とリーンモータ25を制御する場合がある。このように、車両10は、旋回時に旋回の内側に傾斜する。
図4には、車体90の重心90cが示されている。重心90cは、車体90が乗員(可能なら荷物も)を積んだ状態での重心である。
図中の第1力F1は、車体90に作用する遠心力である。第2力F2は、車体90に作用する重力である。以下、車体90に作用する力は、車体90の重心90cに作用することとする。ここで、車体90の質量をM(kg)とし、重力加速度をg(おおよそ、9.8m/s2)とし、鉛直方向に対する車両10のロール角をAr(度)とし、旋回時の車両10の速度(車速とも呼ばれる)をV(m/s)とし、旋回半径をR(m)とする。第1力F1と第2力F2とは、以下の式1、式2で表される。
(式1)F1=(M*V2)/R
(式2)F2=M*g
ここで、*は、乗算記号(以下、同じ)。
(式1)F1=(M*V2)/R
(式2)F2=M*g
ここで、*は、乗算記号(以下、同じ)。
また、図中の力F1bは、第1力F1の、車体上方向DVUに垂直な方向の成分である。力F2bは、第2力F2の、車体上方向DVUに垂直な方向の成分である。力F1bと力F2bとは、以下の式3、式4で表される。
(式3)F1b=F1*cos(Ar)
(式4)F2b=F2*sin(Ar)
ここで、「cos()」は、余弦関数であり、「sin()」は、正弦関数である(以下、同じ)。
(式3)F1b=F1*cos(Ar)
(式4)F2b=F2*sin(Ar)
ここで、「cos()」は、余弦関数であり、「sin()」は、正弦関数である(以下、同じ)。
力F1bは、車体上方向DVUを左方向DL側に回転させる成分であり、力F2bは、車体上方向DVUを右方向DR側に回転させる成分である。車両10がロール角Ar(さらには、速度Vと旋回半径R)を保ちつつ旋回を続ける場合には、F1bとF2bとの関係は、以下の式5で表される
(式5)F1b=F2b
式5に上記の式1〜式4を代入すると、旋回半径Rは、以下の式6で表される。
(式6)R=V2/(g*tan(Ar))
ここで、「tan()」は、正接関数である(以下、同じ)。
式6は、車体90の質量Mに依存せずに、成立する。
(式5)F1b=F2b
式5に上記の式1〜式4を代入すると、旋回半径Rは、以下の式6で表される。
(式6)R=V2/(g*tan(Ar))
ここで、「tan()」は、正接関数である(以下、同じ)。
式6は、車体90の質量Mに依存せずに、成立する。
図5は、車輪角Awと旋回半径Rとの簡略化された関係を示す説明図である。図中には、下方向DDを向いて見た車輪12F、12R、12Lが示されている。ここで、説明を簡略化するために、ロール角Arがゼロであることとする(すなわち、車体上方向DVUは、下方向DDに平行)。図中では、前輪12Fの進行方向D12は、右方向DRに回動しており、車両10は、右方向DRに旋回する。図中の前中心Cfは、前輪12Fの接触中心P1(図1(C))である。下方向DDを向いて車両10を見る場合、前中心Cfは、前輪12Fの回転軸Axw1を含む直線上に位置している。後中心Cbは、2つの後輪12R、12Lの接触中心PbR、PbL(図1(C))の間の中心である。直立している車両10を下方向DDを向いて見る場合、後中心Cbは、後輪12R、12Lの回転軸Axw2、Axw3を含む直線上の、後輪12R、12Lの間の中央に位置している。車両10の右方向DR側に位置する中心Crは、旋回の中心である。車両10の旋回運動は、車両10の公転運動と、車両10の自転運動と、を含んでいる。中心Crは、公転運動の中心である(公転中心Crとも呼ぶ)。なお、本実施例では、後輪12R、12Lは回動輪ではなく、前輪12Fが回動輪である。従って、自転中心は、後中心Cbとおおよそ同じである。ホイールベースLhは、前中心Cfと後中心Cbとの間の前方向DFの距離である。図1(A)に示すように、ホイールベースLhは、前輪12Fの回転軸Axw1と、後輪12R、12Lの回転軸Axw2、Axw3との間の前方向DFの距離と同じである。
図5に示すように、前中心Cfと後中心Cbと公転中心Crとは、直角三角形を形成する。点Cbの内角は、90度である。点Crの内角は、車輪角Awと同じである。従って、車輪角Awと旋回半径Rとの関係は、以下の式7で表される。
(式7)Aw=arctan(Lh/R)
ここで「arctan()」は、正接関数の逆関数である(以下、同じ)。
(式7)Aw=arctan(Lh/R)
ここで「arctan()」は、正接関数の逆関数である(以下、同じ)。
上記の式6、式7は、車両10が、速度Vと旋回半径Rとが変化しない状態で、旋回している場合に成立する関係式である。具体的には、式6、式7は、遠心力に起因する力F1b(図4)と重力に起因する力F2bとが釣り合う静的な状態を示している。式7は、車輪角Awと旋回半径Rとの関係を示す良い近似式として、利用可能である。なお、現実の車両10の動きと、図5の簡略化された動きと、の間には、種々の差異が存在する。例えば、車両に作用する現実の力は、動的に変化する。現実の車輪12F、12L、12Rは、地面に対して滑り得る。現実の車輪12F、12L、12Rは、地面に対して傾斜し得る。従って、現実の旋回半径は、式7の旋回半径Rと異なり得る。ただし、式7は、車輪角Awと旋回半径Rとの関係を示す良い近似式として、利用可能である。
また、本実施例では、以下に説明するように、操舵モータ65(図1(A))のトルクが小さい場合、前輪12Fの方向(例えば、進行方向D12(図1(B)))は、ロール角Arの変化に続いて、自然に、ロール角Arの変化の方向へ変化可能である。力F1b、F2b(図4)が釣り合う場合、力F1b、F2bが釣り合わない場合と比べて、車両10の動きの安定性が向上する。ロール角Arで旋回する車両10は、式6で表される旋回半径Rで旋回しようとする。また、車両10(図1(A)、図1(B))が正のトレールLtを有するので、前輪12Fの進行方向D12は、自然に、車両10の進行方向と同じになる。以上により、車両10がロール角Arで旋回する場合、車輪角Awは、式6で表される旋回半径Rと式7とから決定される車輪角Awに近づき得る。
また、本実施例では、車体90のロールは、種々のメカニズムによって、前輪12Fに回動トルクを作用させる。図6(A)、図6(B)は、第1回動トルクTqaの説明図である。図6(A)は、下方向DDを向いて見た車両10の概略を示し、図6(B)は、前方向DFを向いて見た前輪12Fの概略を示している。これらの図は、水平な地面GL上で前進中に、車体90が右方向DR側へ傾斜している状態を、示している。
図1(A)で説明したように、本実施例では、前輪支持装置41は、車体90に固定されている。従って、車体90がロールする場合、前輪支持装置41の回動軸Ax1は、車体90とともにロールする。図6(B)に示すように、車体90が右方向DR側へ傾斜している場合、回動軸Ax1は右方向DR側へ傾斜しており、前輪12Fも右方向DR側へ傾斜している。この状態で、前輪12Fは、地面GLに接触して、車両10の質量の一部を、支えている。従って、前輪12Fは、地面GLから、上方向DUの力Fpaを受ける。力Fpaは、前輪12Fの接触中心P1を含む接地部分に、作用する。力Fpaは、前輪支持装置41の回動軸Ax1に平行な成分Fpaxと、回動軸Ax1に垂直な成分Fpa1と、を含んでいる。垂直成分Fpa1は、左方向DL側を向いており、前輪12Fの接触中心P1に作用する。
本実施例では、トレールLt(図1(A))が正である。従って、図6(A)に示すように、前輪12Fの回動軸Ax1と地面との交点P2は、接触中心P1よりも、前方向DF側に位置している。この結果、垂直成分Fpa1は、前輪12Fの方向D12を右方向DR側に回動させる第1回動トルクTqaを、前輪12Fに作用させる。この力Fpa1は、ロール角Arの絶対値がゼロから増大することに応じて、大きくなる。従って、力Fpa1に起因する第1回動トルクTqaは、ロール角Arの絶対値が大きいほど、大きい。図示を省略するが、車体90が左方向DL側へ傾斜している場合には、前輪12Fには、前輪12Fの方向D12を左方向DL側に回動させる第1回動トルクが、作用する。
また、本実施例では、車体90のロールは、トレールLtに依存せずに、前輪12Fに回動トルクを作用させる。図6(C)は、第2回動トルクTqbの説明図である。第2回動トルクTqbは、いわゆるジャイロモーメントによるトルクである。図中には、前輪12Fの斜視図が示されている。図中には、前輪支持装置41の回動軸Ax1と、前輪12Fの回転軸Axw1と、前軸Ax3と、の概略図が示されている。前軸Ax3は、前輪12Fの重心12Fcを通り、前輪12Fの方向D12に平行な軸である。図6(C)では、前輪12Fの方向D12は、前方向DFと同じである。
車体90がロールする場合には、回動軸Ax1(ひいては、前輪12F)は、車体90とともに、ロールする。車体90が右方向DR側へロールする場合、前輪12Fも、車体90とともに、右方向DR側へロールする。すなわち、前輪12Fには、前軸Ax3を中心に前輪12Fを回転させるトルクTqxが、作用する。また、車両10(図1(A))の前進中、前輪12Fは、回転軸Axw1を中心に回転している。このように回転する物体に回転軸に垂直な軸を中心とする外部トルクが印加される場合、物体には、回転軸と外部トルクの軸とに垂直な軸を中心とするトルクが作用する(ジャイロモーメントとも呼ばれる)。図6(C)の例では、前輪12Fには、回動軸Ax1を中心に進行方向D12を右方向DRへ回動させる第2回動トルクTqbが作用する。そして、前輪12Fは、右方向DRへ回動する。
第2回動トルクTqbの大きさは、前輪12Fの角運動量が大きいほど、すなわち、速度が大きいほど、大きい。このように、速度Vが大きい場合には、車輪12Fは、車体90のロール方向に、自然に回動し得る。
また、車体90のロールは、前輪12Fに別の回動トルクを作用させる。回転する車輪が地面に対して傾斜している場合、車輪の接地部分には、キャンバスラストとも呼ばれる横力が作用し得る。この横力は、車輪を、傾斜方向に旋回させる。例えば、車体90が右方向DR側に傾斜している場合、キャンバスラストは、前輪12Fを右方向DR側へ旋回させる。これにより、前輪12Fの進行方向D12は、右方向DR側へ回動し得る。
図7は、車両10の制御に関する構成を示すブロック図である。車両10は、速度センサ122と、入力角センサ123と、車輪角センサ124と、方向センサ126と、アクセルペダルセンサ145と、ブレーキペダルセンサ146と、制御装置100と、右駆動モータ51Rと、左駆動モータ51Lと、リーンモータ25と、操舵モータ65と、を有している。
速度センサ122は、車両10の速度を検出するセンサである。本実施例では、速度センサ122は、前フォーク17(図1(A))の下端に取り付けられており、前輪12Fの回転速度を検出する。回転速度は、車両10の速度(速度とも呼ぶ)と相関を有している。従って、回転速度を検出するセンサ122は、速度を検出しているということができる。
入力角センサ123は、ハンドル41aの向き(すなわち、入力角)を検出するセンサである。本実施例では、入力角センサ123は、ハンドル41a(図1(A))に取り付けられている。入力角センサ123は、入力角AI(旋回目標情報の例)を取得するように構成されている旋回目標情報取得装置の例である。
車輪角センサ124は、前輪12Fの車輪角を検出するセンサである。本実施例では、車輪角センサ124は、本体部20の前壁部20a(図1(A))に取り付けられている。車輪角センサ124は、回動軸Ax1まわりの車輪角を検出する(検出角Awxとも呼ぶ)。回動軸Ax1は、車体90とともに、ロールする。また、回動軸Ax1に平行な方向(回動軸Ax1の方向とも呼ぶ)は、車体上方向DVUとは異なり得る。この場合、車体上方向DVUに平行な軸まわりの車輪角Awは、回動軸Ax1の方向と車体上方向DVUとの間の差を用いて検出角Awxを補正することによって、算出される。例えば、車体上方向DVUに対するキャスター角CAがゼロではない場合、近似式「Aw=cos(CA)*Awx」に従って、車輪角Awが算出されてよい。車体上方向DVUに対するキャンバー角がゼロではない場合も、同様である。
方向センサ126は、ロール角Arとヨー角速度を測定するセンサである。本実施例では、方向センサ126は、車体90(図1(A))に固定されている(具体的には、後壁部20c)。また、本実施例では、方向センサ126は、加速度センサ126aと、ジャイロセンサ126gと、制御部126cと、を含んでいる。加速度センサは、任意の方向の加速度を検出するセンサであり、例えば、3軸の加速度センサである。以下、加速度センサ126aによって検出される加速度の方向を、検出方向と呼ぶ。車両10が停止している状態では、検出方向は、鉛直下方向DDと同じである。ジャイロセンサ126gは、任意の方向の回転軸を中心とする角速度を検出するセンサであり、例えば、3軸の角速度センサである。制御部126cは、加速度センサ126aからの信号とジャイロセンサ126gからの信号と速度センサ122からの信号とを用いて、ロール角Arとヨー角速度とを特定する。制御部126cは、例えば、コンピュータを含むデータ処理装置である。
制御部126cは、速度センサ122によって測定される速度Vを用いることによって、車両10の加速度を算出する。そして、制御部126cは、加速度を用いることによって、車両10の加速度に起因する現実の鉛直下方向DDに対する検出方向のずれを検出する(例えば、検出方向の前方向DFまたは後方向DBのずれが検出される)。また、制御部126cは、ジャイロセンサ126gによって測定される角速度を用いることによって、車両10の角速度に起因する現実の鉛直下方向DDに対する検出方向のずれを検出する(例えば、検出方向の右方向DRまたは左方向DLのずれが、検出される)。制御部126cは、検出されたずれを用いて検出方向を修正することによって、鉛直下方向DDを特定する。このように方向センサ126は、車両10の種々の走行状態において、適切な鉛直下方向DDを特定できる。そして、制御部126cは、鉛直下方向DDの反対の鉛直上方向DUを特定し、鉛直上方向DUと予め決められた車体上方向DVUとの間のロール角Arを算出する。このように、方向センサ126と速度センサ122との全体は、ロール角Arを測定するように構成されたロール角センサの例である(以下、ロール角センサ930とも呼ぶ)。なお、ロール角センサの構成は、公知の他の種々の構成であってよい。また、制御部126cは、ジャイロセンサ126gによって測定される角速度から車体上方向DVUに平行な軸を中心とする角速度の成分を特定し、特定した角速度をヨー角速度として採用する。
アクセルペダルセンサ145は、アクセルペダル45(図1(A))に取り付けられており、アクセル操作量を検出する。ブレーキペダルセンサ146は、ブレーキペダル46(図1(A))に取り付けられており、ブレーキ操作量を検出する。
各センサ122、123、124、145、146は、例えば、レゾルバ、または、エンコーダを用いて構成されている。
制御装置100は、主制御部110と、駆動装置制御部300と、リーンモータ制御部400と、操舵モータ制御部500と、を有している。制御装置100は、バッテリ120(図1(A))からの電力を用いて動作する。本実施例では、制御部110、300、400、500は、それぞれ、コンピュータを有している。具体的には、制御部110、300、400、500は、プロセッサ110p、300p、400p、500p(例えば、CPU)と、揮発性記憶装置110v、300v、400v、500v(例えば、DRAM)と、不揮発性記憶装置110n、300n、400n、500n(例えば、フラッシュメモリ)と、を有している。不揮発性記憶装置110n、300n、400n、500nには、対応する制御部110、300、400、500の動作のためのプログラム110g、300g、400g、500gが、予め格納されている。また、主制御部110の不揮発性記憶装置110nには、マップデータMAr、MAw、Mw2が、予め格納されている。プロセッサ110p、300p、400p、500pは、それぞれ、対応するプログラム110g、300g、400g、500gを実行することによって、種々の処理を実行する。
制御装置100は、センサ122、123、124、126、128、145、146からの信号を受信する。そして、主制御部110は、受信した信号によって表される情報を用いて、駆動装置制御部300とリーンモータ制御部400と操舵モータ制御部500とに指示を出力する。
本実施例では、主制御部110は、デジタル信号を処理する。図示を省略するが、制御装置100は、アナログ信号をデジタル信号に変換するコンバータを有している。センサがアナログ信号を出力する場合、センサからのアナログ信号は、コンバータによって、デジタル信号に変換される。
駆動装置制御部300のプロセッサ300pは、主制御部110からの指示に従って、駆動モータ51L、51Rを制御する。リーンモータ制御部400のプロセッサ400pは、主制御部110からの指示に従って、リーンモータ25を制御する。操舵モータ制御部500のプロセッサ500pは、主制御部110からの指示に従って、操舵モータ65を制御する。これらの制御部300、400、500は、それぞれ、制御対象のモータ51L、51R、25、65にバッテリ120からの電力を供給する電力制御部300c、400c、500cを有している。電力制御部300c、400c、500cは、電気回路(例えば、インバータ回路)を用いて、構成されている。
以下、車両10が前進する場合の制御について説明する。
A2.リーンモータの制御:
図8は、リーンモータ25の制御処理の例を示すフローチャートである。本実施例では、ロール角Arを目標のロール角に近づけるリーンモータトルクを生成するように、リーンモータ25が制御される。S510では、制御装置100(図7)は、センサ122−146から、信号を取得する。そして、主制御部110のプロセッサ110pは、現行の情報、具体的には、速度Vと、入力角AIと、車輪角Awと、ロール角Arと、ヨー角速度Ay’と、アクセル操作量Paと、ブレーキ操作量Pbとを、特定する。なお、図8の処理に用いられないパラメータの特定は、省略されてよい。なお、本明細書では、変数の後ろに付された1個のクォーテーションマーク「’」は、時間に関する1階微分を示している。例えば、Ay’は、ヨー角Ayの時間に関する一階微分、すなわち、ヨー角速度を示している。
図8は、リーンモータ25の制御処理の例を示すフローチャートである。本実施例では、ロール角Arを目標のロール角に近づけるリーンモータトルクを生成するように、リーンモータ25が制御される。S510では、制御装置100(図7)は、センサ122−146から、信号を取得する。そして、主制御部110のプロセッサ110pは、現行の情報、具体的には、速度Vと、入力角AIと、車輪角Awと、ロール角Arと、ヨー角速度Ay’と、アクセル操作量Paと、ブレーキ操作量Pbとを、特定する。なお、図8の処理に用いられないパラメータの特定は、省略されてよい。なお、本明細書では、変数の後ろに付された1個のクォーテーションマーク「’」は、時間に関する1階微分を示している。例えば、Ay’は、ヨー角Ayの時間に関する一階微分、すなわち、ヨー角速度を示している。
S522では、プロセッサ110pは、速度Vと入力角AIを用いて、目標ロール角Artを決定する。速度Vと入力角AIとの組み合わせと目標ロール角Artとの対応関係は、マップデータMAr(図7)によって、予め決められている。プロセッサ110pは、マップデータMArを参照して、速度Vと入力角AIとの組み合わせに対応付けられた目標ロール角Artを採用する。本実施例では、入力角AIの絶対値が大きいほど、目標ロール角Artの絶対値が大きい。また、目標ロール角Artの方向(右、または、左)は、入力角AIによって示される旋回方向と同じである。目標ロール角Artの詳細については、後述する。S524では、プロセッサ110pは、目標ロール角Artから現行のロール角Arを減算することによって、ロール角差dArを算出する。
S526では、プロセッサ110pは、ロール角差dArを用いて、制御値CL1を決定する。制御値CL1は、リーンモータ25によって出力されるトルクを制御するための値である。本実施例では、制御値CL1は、リーンモータ25に供給すべき電流の向きと大きさとを示している。制御値の絶対値は、電流の大きさ(すなわち、トルクの大きさ)を示している。制御値の正負の符号は、電流の向き(すなわち、トルクの方向)を示している(例えば、正は右ロールを示し、負は左ロールを示す)。
本実施例では、プロセッサ110pは、ロール角差dArとPゲインGprとを用いる比例制御によって、制御値CL1を決定する(CL1=Gpr*dAr)。本実施例では、PゲインGprは、予め決められた値である。これに代えて、プロセッサ110pは、種々のパラメータ(例えば、速度V)を用いて、PゲインGprを調整してよい。
S570では、プロセッサ110pは、制御値CL1を示すデータを、リーンモータ制御部400に供給する。リーンモータ制御部400のプロセッサ400pは、制御値CL1を示すデータを、電力制御部400cに供給する。電力制御部400cは、制御値CL1に従って、リーンモータ25に供給される電力を制御する。リーンモータ25は、供給された電力に応じて、リーンモータトルクを出力する。そして、図8の処理が終了する。制御装置100は、図8の処理を繰り返し実行する。これにより、制御装置100は、車両10の状態に適したリーンモータトルクを出力するように、リーンモータ25を制御し続ける。リーンモータ25は、ロール角Arを目標ロール角Artに近づけるリーンモータトルクを出力する。
図9は、速度Vと入力角AIと目標ロール角Artとの対応関係の例を示すグラフである。横軸は、速度Vを示し、縦軸は、目標ロール角Artを示している。図中には、第1速度範囲R1と第2速度範囲R2とが示されている。第1速度範囲R1は、第1下限速度Va以上、第1上限速度Vb以下の範囲である(ゼロ<Va<Vb)。第2速度範囲R2は、第1上限速度Vb以上、最大速度Vx以下の範囲である(Vb<Vx)。最大速度Vxは、車両10に許容された最大速度である。以下、第1下限速度Vaを、単に第1下限Vaとも呼び、第1上限速度Vbを、単に第1上限Vbとも呼び、第1速度範囲R1を、単に第1範囲R1とも呼び、第2速度範囲R2を、単に第2範囲R2とも呼ぶ。
図中には、6個のグラフArt0−Art5が示されている。これらのグラフArt0−Art5は、それぞれ、入力角AIが一定である状態(一定目標状態とも呼ぶ)における対応関係を示している。一定目標状態は、入力角AIによって示される旋回の目標方向と目標程度とのそれぞれが一定である状態である。6個のグラフArt0−Art5には、入力角AIの6個の値AI0−AI5が、それぞれ対応している。ゼロ番の値AI0はゼロであり、AI0<AI1<AI2<AI3<AI4<AI5である。第5値AI5は、入力角AIの大きさの許容範囲の最大値である。入力角AIがゼロである場合(AI=AI0)、目標ロール角Art0は、速度Vに拘わらず、ゼロである。
V<Vaの場合、すなわち、低速時には、高速時と比べて、車両10の進行方向は頻繁に変更される。本実施例では、速度Vが、第1下限Va未満の範囲である低速範囲RL内である場合、入力角AIに拘わらず、目標ロール角Artはゼロである。V<Vaの場合、ロール角Arの変化が抑制されるので、進行方向の頻繁な変更を伴う走行は、安定化される。なお、第1下限Vaは、予め決められた値であってよい。また、第1下限Vaは、例えば、ゼロより大きく、時速10km以下であってよい。
一定目標状態において、速度Vが、第1範囲R1内である場合、目標ロール角Artは、速度Vが大きいほど大きい。この理由は、以下の通りである。釣合状態(図4)では、上記式6に示すように、速度Vの増大によって、旋回半径Rが増大し得る。ここで、式6に示すように、旋回半径Rは、tan(Ar)に反比例する。一定目標状態において、速度Vの増大に応じて目標ロール角Art(すなわち、ロール角Ar)が増大する場合、旋回半径Rの増大が抑制される。逆に、一定目標状態において、速度Vの低減に応じて目標ロール角Art(すなわち、ロール角Ar)が低減する場合、旋回半径Rの低減が抑制される。本実施例では、目標ロール角Artは、第1範囲R1内において、速度Vの変化に対して直線的に変化する。ただし、速度Vと目標ロール角Artとの対応関係は、他の関係であってよい。例えば、目標ロール角Artは、速度Vの変化に対して曲線を描くように変化してもよい。目標ロール角Artを速度Vの関数で表す場合に、その関数は、速度Vのべき乗(例えば、Vの2乗)を含んでよい。
一定目標状態において、速度Vが第1上限Vb以上である場合、目標ロール角Artは、速度Vに拘わらず一定である。従って、ロール角Arの過度の増大は抑制される。
速度Vが第1下限Vaより大きく、かつ、速度Vが一定である場合、目標ロール角Artは、入力角AIが大きいほど、大きい。図4で説明した遠心力と重力とが釣り合う状態(釣合状態とも呼ぶ)では、上記式6に示すように、傾斜角Arの大きさが大きいほど、旋回半径Rは小さい。従って、入力角AIがより大きい場合に、車両10は、より小さい旋回半径Rで旋回できる。なお、本実施例では、速度Vが一定である場合、目標ロール角Artは、入力角AIに比例する。目標ロール角Artと入力角AIとの対応関係は、比例関係とは異なる他の関係であってよい。例えば、目標ロール角Artは、入力角AIの変化に対して曲線を描くように変化してもよい。目標ロール角Artを入力角AIの関数で表す場合に、その関数は、入力角AIのべき乗(例えば、AIの2乗)を含んでよい。なお、本実施例では、目標ロール角Artが変化可能であるような入力角AIの大きさの範囲RI2(第2程度範囲RI2とも呼ぶ)は、入力角AIの大きさの許容範囲と同じである。
ロール角Arのとり得る範囲(許容範囲とも呼ぶ)は、傾斜装置30の構造によって制限される。第1範囲R1内では、目標ロール角Artは、ロール角Arの許容範囲内で変化可能である。第1上限Vbは、第1範囲R1内で、速度Vと入力角AIとが大きい場合に、目標ロール角Artが速度Vと入力角AIとに適した大きい値に変化できるように、決定される。第1上限Vbは、予め決められた値であってよい。また、第1上限Vbは、例えば、時速10km以上、時速30km以下であってよい。
本実施例では、目標ロール角Artは、速度Vの変化に対して連続的に変化する(すなわち、目標ロール角Artは、速度Vの変化に対して滑らかに変化する)。また、第1範囲R1内においては、速度Vが小さいほど、目標ロール角Artが小さい。第1範囲R1内の低速側では、第1範囲R1内の高速側と比べて、入力角AIの変化に対するロール角Arの変化が小さい。第1範囲R1内の低速側では、進行方向の頻繁な変更を伴う走行は、安定化される。従って、第1下限Vaはゼロであってよい。
なお、図9は、入力角AIがゼロ以上である場合の対応関係を示している。図示を省略するが、AI<ゼロの場合、目標ロール角Artは負値に設定される。そして、入力角AIの絶対値と速度Vとの組み合わせと目標ロール角Artの絶対値との対応関係は、「AI<ゼロ」の場合と「AI>ゼロ」の場合との間で、共通である。
A3.操舵モータの制御:
図10は、操舵モータ65の制御処理の例を示すフローチャートである。S210では、制御装置100(図7)は、センサ122−146から、信号を取得する。そして、主制御部110のプロセッサ110pは、現行の情報、具体的には、速度Vと、入力角AIと、車輪角Awと、ロール角Arと、ヨー角速度Ay’と、アクセル操作量Paと、ブレーキ操作量Pbとを、特定する。なお、図10の処理に用いられないパラメータの特定は、省略されてよい。
図10は、操舵モータ65の制御処理の例を示すフローチャートである。S210では、制御装置100(図7)は、センサ122−146から、信号を取得する。そして、主制御部110のプロセッサ110pは、現行の情報、具体的には、速度Vと、入力角AIと、車輪角Awと、ロール角Arと、ヨー角速度Ay’と、アクセル操作量Paと、ブレーキ操作量Pbとを、特定する。なお、図10の処理に用いられないパラメータの特定は、省略されてよい。
S222−S226では、プロセッサ110pは、第1制御値Cw1を決定する。S236では、プロセッサ110pは、第2制御値Cw2を決定する。プロセッサ110pは、S222−S226の処理と、S236の処理とを、並列に実行する。各制御値Cw1、Cw2は、操舵モータ65によって出力される回動トルクを制御するための値である。本実施例では、各制御値Cw1、Cw2は、操舵モータ65に供給すべき電流の向きと大きさとを示している。制御値の絶対値は、電流の大きさ(すなわち、回動トルクの大きさ)を示している。制御値の正負の符号は、電流の向き(すなわち、回動トルクの方向)を示している。本実施例では、正の制御値は右回転を示し、負の制御値は左回転を示す。
後述するように、第1制御値Cw1は、車輪角Awを、入力角AIに適した目標車輪角Awtに近づける回動トルクを示している。第2制御値Cw2は、速度Vに変化に対する旋回半径Rの変化を抑制するための追加の制御値である。これらの制御値Cw1、Cw2の詳細(ひいては、S222−S226の処理と、S236の処理との詳細)については、後述する。
図10のS260では、プロセッサ110pは、制御値Cw1、Cw2の合計値である駆動制御値Cwを算出する。S270では、プロセッサ110pは、駆動制御値Cwを示すデータを、操舵モータ制御部500に供給する。操舵モータ制御部500のプロセッサ500pは、駆動制御値Cwを示すデータを、電力制御部500cに供給する。電力制御部500cは、駆動制御値Cwに従って、操舵モータ65に供給される電力を制御する。操舵モータ65は、供給された電力に応じて、回動トルクを出力する。そして、図10の処理が終了する。制御装置100は、図10の処理を繰り返し実行する。これにより、制御装置100は、車両10の状態に適した回動トルクを出力するように、操舵モータ65を制御し続ける。
次に、第1制御値Cw1(図9:S222−S226)について、説明する。S222では、プロセッサ110pは、速度Vと入力角AIとを用いて、目標車輪角Awtを決定する。速度Vと入力角AIとの組み合わせと目標車輪角Awtとの対応関係は、マップデータMAw(図7)によって、予め決められている。プロセッサ110pは、マップデータMAwを参照して、速度Vと入力角AIとの組み合わせに対応付けられた目標車輪角Awtを採用する。本実施例では、入力角AIの絶対値が大きいほど、目標車輪角Awtの絶対値が大きい。また、目標車輪角Awtによって示される旋回方向(右、または、左)は、入力角AIによって示されるされる旋回方向と同じである。また、目標車輪角Awtは、目標ロール角Art(図9)と釣り合う車輪角とのズレが過度に大きくならないように、速度Vに応じて変化してよい。このように、目標車輪角Awtは、入力角AIによって示される旋回に適した車輪角Awを示している。
S224では、プロセッサ110pは、目標車輪角Awtから現行の車輪角Awを減算することによって、車輪角差dAwを算出する。S226では、プロセッサ110pは、車輪角差dAwを用いて、第1制御値Cw1を決定する。本実施例では、プロセッサ110pは、車輪角差dAwとPゲインG1とを用いる比例制御によって、第1制御値Cw1を決定する(Cw1=G1*dAw)。このような第1制御値Cw1は、車輪角Awを目標車輪角Awtに近づける回動トルクを示している。
なお、本実施例では、プロセッサ110pは、速度Vが大きいほど、PゲインG1が小さくなるように、PゲインG1を調整する。すなわち、速度Vが大きいほど、操舵モータ65のトルクが小さくてよい。この理由は、以下の通りである。本実施例では、前輪支持装置41(図1(A))が車体90に固定されているので、車体90がロールする場合、前輪12Fの回動軸Ax1も、車体90とともにロールする。この場合、いわゆるジャイロモーメント、キャンバスラストなどの種々のメカニズムによって、回動トルクが前輪12Fに作用する。このような回動トルクにより、前輪12Fの進行方向D12は、ロール角Arの変化に続いて、自然に、ロール角Arの変化の方向へ回動可能である。また、本実施例では、トレールLt(図1(A))は、ゼロよりも大きい。従って、進行方向D12(ひいては、車輪角Aw)は、自然に、車両10の進行方向と同じになる。従って、速度Vが大きい場合には、操舵モータ65のトルクは小さくてよい。なお、第1制御値Cw1は、車輪角差dAwを用いる種々のフィードバック制御(例えば、比例制御と微分制御と積分制御とのうちの少なくとも1つを含む制御)によって、決定されてよい。
次に、第2制御値Cw2(図10:S236)について、説明する。S236では、プロセッサ110pは、入力角AIを用いて、第2制御値Cw2を決定する。入力角AIと第2制御値Cw2との対応関係は、マップデータMw2(図7)によって、予め決められている。プロセッサ110pは、マップデータMw2を参照して、入力角AIに対応付けられた第2制御値Cw2を採用する。
図11は、速度Vと入力角AIと第2制御値Cw2との対応関係の例を示すグラフである。横軸は、速度Vを示し、縦軸は、第2制御値Cw2を示している。図中には、6個のグラフCw20−Cw25が示されている。これらのグラフCw20−Cw25は、それぞれ、入力角AIが一定である一定目標状態における対応関係を示している。6個のグラフCw20−Cw25には、図9で説明した入力角AIの6個の値AI0−AI5が、それぞれ対応している。グラフCw20−Cw25によって示されるように、本実施例では、AI>ゼロの場合、Cw2>ゼロである。すなわち、目標の旋回方向が右方向である場合、第2制御値Cw2は、右方向の回動トルクを示している。後述するように、目標の旋回方向が左方向である場合、第2制御値Cw2は、左方向の回動トルクを示している。このように、第2制御値Cw2によって示される回動トルクは、前輪12Fを目標の旋回方向へ回動させる。第2制御値Cw2によって示される回動トルクは、旋回半径Rの増大を抑制できる。なお、入力角AIがゼロである場合(AI=AI0)、第2制御値Cw20は、速度Vに拘わらず、ゼロである。
速度Vが一定である場合、第2制御値Cw2の大きさは、入力角AIの大きさが大きいほど、大きい。このような第2制御値Cw2は、入力角AIの大きさが大きい場合に、旋回半径Rの増大を抑制できる。なお、本実施例では、第2制御値Cw2が変化可能であるような入力角AIの大きさの範囲RI1(第1程度範囲RI1とも呼ぶ)は、入力角AIの大きさの許容範囲と同じである。
また、車両10が旋回する場合、種々のメカニズムによって、旋回半径Rは増大し得る。例えば、釣合状態(図4)では、上記式6に示すように、速度Vの増大によって、旋回半径Rが増大し得る。また、車両10が旋回する場合、車体90には遠心力が作用する。車両10が右方向DRへ旋回する場合、左方向DLの遠心力が車体90に作用する。左方向DLの遠心力は、車体90を左方向DL側へロールさせ得る。図6(A)−図6(C)で説明したように、車体90が左方向DL側へロールする場合、前輪12Fは、種々のメカニズムによって、左方向DLへ自然に回動し得る。また、左方向DLの遠心力は、車体90(図1(A))を前輪12Fに対して左方向DLへ移動させ得る。この移動により、回動軸Ax1の交点P2は、前輪12Fの接触中心P1に対して左方向DLへ移動し得る。本実施例では、車両10は、正のトレールLtを有している。従って、交点P2の移動に起因して、前輪12Fは、左方向DLへ回動し得る。以上により、車両10が旋回する場合、車両10の軌道は、旋回の外側へ変化し得る(すなわち、旋回半径Rが増大し得る)。第2制御値Cw2は、前輪12Fの回動を抑制でき、旋回半径Rの増大を抑制できる。
なお、本実施例では、速度Vが一定である場合、第2制御値Cw2は、入力角AIに比例する。第2制御値Cw2と入力角AIとの対応関係は、比例関係とは異なる他の関係であってよい。例えば、第2制御値Cw2は、入力角AIの変化に対して曲線を描くように変化してもよい。第2制御値Cw2を入力角AIの関数で表す場合に、その関数は、入力角AIのべき乗(例えば、AIの2乗)を含んでよい。
なお、図11は、入力角AIがゼロ以上である場合の対応関係を示している。図示を省略するが、AI<ゼロの場合、第2制御値Cw2は負値に設定される。そして、入力角AIの絶対値と第2制御値Cw2の絶対値との対応関係は、「AI<ゼロ」の場合と「AI>ゼロ」の場合との間で、共通である。
図中の範囲Rtは、入力角AIの大きさが大きいほど第2制御値Cw2の大きさが大きくなる範囲である(対象速度範囲Rtとも呼ぶ)。本実施例では、対象速度範囲Rtは、速度Vの許容範囲と同じであり、第1範囲R1と第2範囲R2と低速範囲RLとを含んでいる。制御装置100は、第1範囲R1を含む広い範囲において、旋回半径の変化を抑制できる。一定目標状態においては、対象速度範囲Rtの全体に亘って、第2制御値Cw2は、速度Vに拘わらず一定である。
以上のように、本実施例では、制御装置100(図7)は、図9の対応関係に従って、リーンモータ25を制御する。リーンモータ25は、傾斜装置30を駆動するリーンモータトルクを生成するように構成されている力生成装置の例である。制御装置100は、入力角AIが旋回を示す場合(すなわち、入力角AIの大きさがゼロよりも大きい場合)、リーンモータ25を制御することによって、車体90を旋回の内側に傾斜させる。そして、制御装置100は、入力角AIが一定である一定目標状態において、速度Vが第1速度範囲R1内である場合に、速度Vが速いほど車体90の目標ロール角Artの大きさ(ひいては、ロール角Arの大きさ)を大きくする。
また、制御装置100は、操舵モータ65を制御する。操舵モータ65は、前輪12Fの幅方向の回動を制御する回動トルクを生成するように構成されている。前輪12Fが右方向DRへ回動する場合、車両10の進行方向が右方向DRへ変化するので、車両10のヨー角速度が変化する(逆も同様)。このように、回動トルクは、車両10のヨー角速度を変化させる力の例である。操舵モータ65は、ヨー角速度を変化させる力を生成するように構成されている力生成装置の例である。
図10で説明したように、制御装置100は、操舵モータ65の制御のための駆動制御値Cwは、第1制御値Cw1と第2制御値Cw2との合計値である。駆動制御値Cwによって示される回動トルクは、第1制御値Cw1によって示される回動トルクと、第2制御値Cw2によって示される回動トルクと、の合成トルクを示している。上述の通り、第2制御値Cw2は、車輪角Awを旋回の目標方向側に向かって変化させる回動トルクの成分を示している。第2制御値Cw2によって示される回動トルクの成分は、車両10のヨー角速度を旋回の目標方向側に向かって変化させる成分を示している。以下、第2制御値Cw2によって示される回動トルクの成分を、旋回成分、または、追加回動トルクとも呼ぶ。
制御装置100は、図11の対応関係に従って、第2制御値Cw2を決定する。制御装置100は、対象速度範囲Rt内で速度Vが一定である場合に、入力角AIの大きさ(すなわち、旋回の目標程度)が大きいほど第2制御値Cw2の大きさ(ひいては、旋回成分の大きさ)を大きくする。
以上のように、速度V(図9)が第1範囲R1内である場合には、速度Vの増大に応じてロール角Arが増大するので、速度Vの変化に対する旋回半径Rの変化は抑制される。また、図11に示すように、速度Vが対象速度範囲Rt内である場合には、入力角AIの大きさ(すなわち、旋回の目標程度)が大きいほど第2制御値Cw2の大きさ(ひいては、旋回成分の大きさ)が大きい。従って、旋回の目標程度が大きい場合に、旋回半径Rは適切に小さくなる。また、対象速度範囲Rtは、第1範囲R1の第1上限Vb以上の範囲である第2範囲R2を含んでいる。従って、第1範囲R1と第2範囲R2とを含む広い範囲において、第2制御値Cw2によって示される回動トルクは、旋回の目標程度が大きい場合に、旋回半径Rの増大を抑制できる。
また、図9に示すように、速度Vが第1速度範囲R1の第1下限Vaより大きく、かつ、速度Vが一定である場合に、入力角AIの大きさが大きいほど、目標ロール角Artの大きさが大きい。すなわち、制御装置100は、リーンモータ25を制御することによって、入力角AIの大きさが大きいほど、ロール角Arの大きさを大きくする。従って、車両10は、入力角AIに適した旋回半径Rで旋回できる。例えば、速度Vが一定である場合に、入力角AIの大きさが大きいほど、旋回半径Rは小さくなる。
また、図11に示すように、一定目標状態において、対象速度範囲Rt内で、速度Vの変化に対して、第2制御値Cw2は一定である。すなわち、制御装置100は、速度Vの変化に対して、第2制御値Cw2によって示される回動トルク(旋回成分)を一定に維持する。従って、車両10の走行安定性は、向上する。
また、図9に示すように、一定目標状態において、速度Vが第1速度範囲R1の第1上限Vb以上である場合、目標ロール角Artは、速度Vの変化に対して一定に維持される。すなわち、制御装置100は、リーンモータ25を制御することによって、ロール角Arを一定に維持する。従って、ロール角Arの過度の増大は抑制される。
なお、主制御部110(図7)と駆動装置制御部300とは、駆動モータ51R、51Lを制御する駆動制御装置900として機能する。駆動制御装置900は、アクセル操作量Paに適した加速と、ブレーキ操作量Pbに適した減速と、を行うように、駆動モータ51R、51Lを制御する。
B.第2実施例:
図12は、速度Vと入力角AIと第2制御値Cw2との別の対応関係を示すグラフである。横軸は、速度Vを示し、縦軸は、第2制御値Cw2を示している。図中のグラフCw20−Cw25は、図11のグラフCw20−Cw25に、それぞれ対応している。図11の対応関係との差異は、一定目標状態において、対象速度範囲Rtの一部の範囲R4内で、第2制御値Cw2の大きさが、速度Vが大きいほど大きくなる点である。図中には、範囲R4の下限速度Vsと上限速度Veとが示されている。後述するように、上限速度Veは、入力角AIに応じて変化する。
図12は、速度Vと入力角AIと第2制御値Cw2との別の対応関係を示すグラフである。横軸は、速度Vを示し、縦軸は、第2制御値Cw2を示している。図中のグラフCw20−Cw25は、図11のグラフCw20−Cw25に、それぞれ対応している。図11の対応関係との差異は、一定目標状態において、対象速度範囲Rtの一部の範囲R4内で、第2制御値Cw2の大きさが、速度Vが大きいほど大きくなる点である。図中には、範囲R4の下限速度Vsと上限速度Veとが示されている。後述するように、上限速度Veは、入力角AIに応じて変化する。
第3速度範囲R3は、対象速度範囲Rtのうちの下限速度Vs以下の範囲である(以下、単に、第3範囲R3とも呼ぶ)。第3範囲R3は、対象速度範囲Rtの下限(ここでは、ゼロ)を含んでいる。第3範囲R3内では、図11の実施例と同様に、一定目標状態において、第2制御値Cw2は、速度Vに拘わらず一定である。すなわち、制御装置100は、速度Vの変化に対して第2制御値Cw2の大きさ(ひいては、回動トルクの旋回成分の大きさ)を一定に維持する。また、速度Vが一定である場合、第2制御値Cw2の大きさは、入力角AIの大きさが大きいほど、大きい。また、本実施例では、下限速度Vsは、入力角AIに拘わらず、一定である。また、下限速度Vsは、第1下限Vaよりも大きく、第1上限Vbよりも小さい。
一定目標状態において、速度Vが下限速度Vs以上である場合、第2制御値Cw2は、速度Vの増大に応じて増大する。すなわち、制御装置100は、速度Vが大きいほど、回動トルクの旋回成分の大きさを大きくする。このような第2制御値Cw2は、速度Vの変化に対する旋回半径Rの変化を適切に抑制できる。
本実施例では、第2制御値Cw2は、上限値Cw2mによって制限されている。速度Vの増大に応じて第2制御値Cw2が上限値Cw2mに到達する。この状態から、速度Vが更に増大する場合、第2制御値Cw2は上限値Cw2mに維持される。第2制御値Cw2の大きさが上限値Cw2mによって制限される理由は、以下の通りである。
第2制御値Cw2の大きさが大きい場合、車輪角Awの大きさが大きくなり得る。車輪角Awの大きさが大きい場合、旋回半径Rが小さくなるので、遠心力が強くなる。この結果、車両10の動きが不安定になり得る。上限値Cw2mは、車両10が安定して走行できるように、予め実験的に決定される。一般的には、車両10の幅方向に互いに離れて配置された一対の車輪(ここでは、後輪12R、12L)の間の距離が大きいほど、車両10の走行安定性が高い。従って、一対の車輪の間の距離が大きいほど、大きい上限値Cw2mが許容される。
図中の上限速度Veは、速度Vがゼロから増大する場合に、第2制御値Cw2が上限値Cw2mに到達する速度Vを示している。このような上限速度Veは、入力角AIによって変化する。図中の上限速度Veは、AI=AI5の場合の上限速度を示している。本実施例では、速度Vが一定である場合、第2制御値Cw2は、入力角AIが大きいほど、大きい。従って、上限速度Veは、入力角AIが大きいほど、小さい。
第4範囲R4は、下限速度Vs以上、上限速度Ve以下の範囲である。以下、下限速度Vsを、変化下限Vsとも呼び、上限速度Veを、変化上限Veとも呼ぶ。本実施例では、変化上限Veは、第1上限Vbよりも大きい。一定目標状態において、速度Vが第1上限Vbよりも大きい場合(具体的には、速度Vが第4範囲R4内である場合)、速度Vが大きいほど第2制御値Cw2の大きさは大きくなる。従って、第2制御値Cw2によって示される回動トルクは、速度Vの変化に対する旋回半径Rの変化を抑制できる。図9に示すように、速度Vが第1上限Vbよりも小さい場合(具体的には、速度Vが第1範囲R1内である場合)、速度Vが大きいほど目標ロール角Artの大きさは大きくなる。このような目標ロール角Art(ひいては、ロール角Ar)は、速度Vの変化に対する旋回半径Rの変化を抑制できる。このように、第1範囲R1と第4範囲R4とを含む広い範囲おいて、速度Vの変化に対する旋回半径Rの変化は抑制される。
なお、変化上限Veが入力角AIに応じて変化するので、第4範囲R4も入力角AIに応じて変化する。また、入力角AIが小さい場合、グラフCw21、Cw22によって示されるように、第2制御値Cw2の大きさは、速度Vの許容範囲の全体に亘って、上限値Cw2mよりも小さい。グラフCw21、Cw22に関しては、変化上限は、最大速度Vxと同じである。
第4範囲R4内における速度Vと第2制御値Cw2との対応関係は、種々の関係であってよい。例えば、第2制御値Cw2を速度Vの関数で表す場合に、その関数は、速度Vのべき乗(例えば、V、または、Vの2乗)を含んでよい。いずれの場合も、図12に示すように、速度Vの変化量に対する第2制御値Cw2の大きさの変化量の比率(すなわち、グラフの傾き)は、入力角AIが大きいほど、大きくてよい。
なお、本実施例では、第2制御値Cw2の大きさは、上限値Cw2mによって制限されている。速度Vが一定である場合、入力角AIの大きさがゼロから増大することに応じて、第2制御値Cw2の大きさがゼロから増大する。そして、第2制御値Cw2は、上限値Cw2mに到達し得る。この状態から、入力角AIの大きさが更に増大する場合、第2制御値Cw2は、上限値Cw2mに維持される。このように、第2制御値Cw2が変化可能であるような入力角AIの大きさの範囲である第1程度範囲は、入力角AIの大きさの許容範囲の一部の範囲であり得る。図12の参照速度Vrは、AI=AI3の場合の変化上限である。速度Vが参照速度Vrである場合、第1程度範囲RI1aは、ゼロ以上、第3値AI3以下の範囲である。このように第1程度範囲RI1aは、入力角AIの大きさの許容範囲の内のゼロを含む一部の範囲である。速度Vが第3範囲R3内である場合、第1程度範囲RI1bは、入力角AIの大きさの許容範囲と同じである。
なお、図12は、入力角AIがゼロ以上である場合の対応関係を示している。図示を省略するが、AI<ゼロの場合、第2制御値Cw2は負値に設定される。そして、入力角AIの絶対値と速度Vとの組み合わせと第2制御値Cw2の絶対値との対応関係は、「AI<ゼロ」の場合と「AI>ゼロ」の場合との間で、共通である。
また、図9に示すように、一定目標状態において、速度Vが第1上限Vbより小さい速度から第1上限Vbより大きい速度へ増大する場合、ロール角Arの増大は、第1上限Vbで停止する。従って、車両10の動きを滑らかにするためには、第2制御値Cw2による回動トルクの増大は、第1上限Vbで遅れずに始まることが好ましい。操舵モータ65(図1(A))によって生成される回動トルクは、種々の部材(例えば、前フォーク17)を介して、前輪12Fへ伝達される。このような中間の部材の変形によって、操舵モータ65から前輪12Fへの回動トルクの伝達が、遅れ得る。また、操舵モータ65と前フォーク17とは、ギヤを介して連結され得る。この場合、バックラッシュによって、トルクの伝達が遅れ得る。従って、第2制御値Cw2が増大し始める下限速度Vsが、小さいことが好ましい。例えば、下限速度Vsは、第1上限Vb以下であることが好ましく、第1上限Vbより小さいことが特に好ましい。これにより、制御装置100は、速度Vが第1上限Vbより小さい速度から第1上限Vbより大きい速度へ増大する場合に、車両10の動きを滑らかにすることができる。
C.第3実施例:
図13は、速度Vと入力角AIと第2制御値Cw2との別の対応関係を示すグラフである。横軸は、速度Vを示し、縦軸は、第2制御値Cw2を示している。図中のグラフCw20−Cw25は、図12のグラフCw20−Cw25に、それぞれ対応している。参照速度Vsfは、図12の変化下限Vsと同じである。図12の対応関係との差異は、一定目標状態において、参照速度Vsf以下の範囲内で、速度Vが大きいほど第2制御値Cw2が大きくなる点だけである。速度Vが参照速度Vsf以上である場合の対応関係は、図12の対応関係と同じである。図示するように、第4範囲R4は、ゼロ以上、変化上限Ve以下の範囲である。第4範囲R4は、第1範囲R1を含んでいる。このように、一定目標状態において、変化上限Ve以下の範囲の全体に亘って、速度Vが大きいほど、第2制御値Cw2が大きくてよい。
図13は、速度Vと入力角AIと第2制御値Cw2との別の対応関係を示すグラフである。横軸は、速度Vを示し、縦軸は、第2制御値Cw2を示している。図中のグラフCw20−Cw25は、図12のグラフCw20−Cw25に、それぞれ対応している。参照速度Vsfは、図12の変化下限Vsと同じである。図12の対応関係との差異は、一定目標状態において、参照速度Vsf以下の範囲内で、速度Vが大きいほど第2制御値Cw2が大きくなる点だけである。速度Vが参照速度Vsf以上である場合の対応関係は、図12の対応関係と同じである。図示するように、第4範囲R4は、ゼロ以上、変化上限Ve以下の範囲である。第4範囲R4は、第1範囲R1を含んでいる。このように、一定目標状態において、変化上限Ve以下の範囲の全体に亘って、速度Vが大きいほど、第2制御値Cw2が大きくてよい。
なお、速度Vの変化量に対する第2制御値Cw2の大きさの変化量の比率(すなわち、グラフの傾き)は、V<Vsfの範囲内では、V>Vsfの範囲内と比べて、小さい。従って、V<Vsfの範囲では、第2制御値Cw2の変化に起因する旋回半径Rの意図しない変化は、抑制される。また、V>Vsfの範囲では、速度Vの変化に対する第2制御値Cw2の変化によって、旋回半径Rの変化は抑制される。ここで、図12の変化下限Vsと同様に、参照速度Vsfは、第1上限Vb以下であることが好ましく、第1上限Vbより小さいことが特に好ましい。
なお、図13は、入力角AIがゼロ以上である場合の対応関係を示している。図示を省略するが、AI<ゼロの場合、第2制御値Cw2は負値に設定される。そして、入力角AIの絶対値と速度Vとの組み合わせと第2制御値Cw2の絶対値との対応関係は、「AI<ゼロ」の場合と「AI>ゼロ」の場合との間で、共通である。
D.第4実施例:
図14(A)は、速度Vと入力角AIと目標ロール角Artとの別の対応関係を示すグラフである。横軸は、速度Vを示し、縦軸は、目標ロール角Artを示している。図中のグラフArt0−Art5は、図9のグラフArt0−Art5に、それぞれ対応している。図9の対応関係との差異は、一定目標状態において、速度Vに応じて目標ロール角Artが変化する第1速度範囲の上限速度Vb1−Vb5が、入力角AIに応じて変化する点である。上限速度Vb1−Vb5は、グラフArt1−Art5に、それぞれ対応している。第1速度範囲の第1下限速度Vaは、入力角AIに拘わらず、一定である。なお、第1下限Vaは、ゼロより大きくてよく、ゼロであってよい。
図14(A)は、速度Vと入力角AIと目標ロール角Artとの別の対応関係を示すグラフである。横軸は、速度Vを示し、縦軸は、目標ロール角Artを示している。図中のグラフArt0−Art5は、図9のグラフArt0−Art5に、それぞれ対応している。図9の対応関係との差異は、一定目標状態において、速度Vに応じて目標ロール角Artが変化する第1速度範囲の上限速度Vb1−Vb5が、入力角AIに応じて変化する点である。上限速度Vb1−Vb5は、グラフArt1−Art5に、それぞれ対応している。第1速度範囲の第1下限速度Vaは、入力角AIに拘わらず、一定である。なお、第1下限Vaは、ゼロより大きくてよく、ゼロであってよい。
図中には、AI=AI5の場合の第1範囲R1と第2範囲R2とが示されている。第1範囲R1は、第1下限Va以上、第1上限Vb5以下の範囲である。速度Vが第1下限Vaから第1上限Vb5へ増大する場合、目標ロール角Art5は、ゼロから最大ロール角Artmへ増大する。従って、速度Vに変化に対する旋回半径Rの変化は、抑制される。なお、最大ロール角Artmは、ロール角Arの大きさの許容範囲の最大値である。
第2範囲R2は、第1上限Vb5以上、最大速度Vx以下の範囲である。速度Vが第1上限Vb5から更に増大する場合、目標ロール角Art5は、最大ロール角Artmに維持される。
入力角AIが第5値AI5とは異なる場合も、速度Vと目標ロール角Artとの対応関係は、同様である。ただし、上限速度Vb1−Vb5は、入力角AIの大きさが大きいほど、小さい。すなわち、第1範囲(例えば、第1範囲R1)は、入力角AIの大きさに応じて、変化する。また、速度Vが一定である場合、目標ロール角Artの大きさは、入力角AIの大きさが大きいほど、大きい。入力角AIが小さい場合、グラフArt1によって示されるように、目標ロール角Artの大きさは、速度Vの許容範囲の全体に亘って、最大ロール角Artmよりも小さい。グラフArt1に関しては、第1上限速度Vb1は、最大速度Vxと同じである。
第1範囲(例えば、第1範囲R1)内における速度Vと目標ロール角Artとの対応関係は、種々の関係であってよい。例えば、目標ロール角Artを速度Vの関数で表す場合に、その関数は、速度Vのべき乗(例えば、V、または、Vの2乗)を含んでよい。いずれの場合も、図14に示すように、速度Vの変化量に対する目標ロール角Artの大きさの変化量の比率(すなわち、グラフの傾き)は、入力角AIが大きいほど、大きいことが好ましい。
速度Vが第1下限Vaより大きく、かつ、速度Vが一定である場合、目標ロール角Artの大きさは、入力角AIの大きさが大きいほど、大きい。従って、車両10は、入力角AIに適した旋回半径Rで旋回できる。また、本実施例では、目標ロール角Artの大きさは、最大ロール角Artmによって制限されている。速度Vが一定である場合、入力角AIの大きさがゼロから増大することに応じて、目標ロール角Artの大きさがゼロから増大する。そして、目標ロール角Artの大きさは、最大ロール角Artmに到達し得る。この状態から、入力角AIの大きさが更に増大する場合、目標ロール角Artの大きさは、最大ロール角Artmに維持される。このように、目標ロール角Artが変化可能であるような入力角AIの大きさの範囲である第2程度範囲は、入力角AIの大きさの許容範囲のうち一部の範囲であり得る。図14(A)の第1上限Vb3は、AI=AI3の場合の変化上限である。速度Vが第1上限Vb3である場合、第1程度範囲RI2aは、ゼロ以上、第3値AI3以下の範囲である。このように、第1程度範囲RI2aは、入力角AIの大きさの許容範囲の内のゼロを含む一部の範囲である。
なお、図14(A)は、入力角AIがゼロ以上である場合の対応関係を示している。図示を省略するが、AI<ゼロの場合、目標ロール角Artは負値に設定される。そして、入力角AIの絶対値と速度Vとの組み合わせと目標ロール角Artの絶対値との対応関係は、「AI<ゼロ」の場合と「AI>ゼロ」の場合との間で、共通である。
図14(B)は、速度Vと入力角AIと第2制御値Cw2との別の対応関係を示すグラフである。横軸は、速度Vを示し、縦軸は、第2制御値Cw2を示している。図中のグラフCw20−Cw25は、図12のグラフCw20−Cw25に、それぞれ対応している。図12の対応関係との差異は、一定目標状態において、速度Vに応じて第2制御値Cw2が変化する第4範囲(例えば、第4範囲R4)が、入力角AIに応じて変化する点である。変化下限Vs1−Vs5は、第4範囲の下限であり、変化上限Ve1−Ve5は、第4範囲の上限である。変化下限Vs1−Vs5と変化上限Ve1−Ve5とは、グラフCw21−Cw25に、それぞれ対応している。第1速度範囲の第1下限速度Vaは、入力角AIに拘わらず、一定である。なお、第1下限Vaは、ゼロより大きくてよく、ゼロであってよい。
図中には、AI=AI5の場合の第3範囲R3と第4範囲R4とが示されている。第3範囲R3は、変化下限Vs5以下の範囲である。一定目標状態において、第3範囲R3内では、図12の実施例と同様に、第2制御値Cw2は、速度Vに拘わらず一定である。
第4範囲R4は、変化下限Vs5以上、変化上限Ve5以下の範囲である。一定目標状態において、第4範囲R4内では、図12の実施例と同様に、速度Vが大きいほど、第2制御値Cw2の大きさは大きくなる。速度Vが変化上限Ve5から更に増大する場合、第2制御値Cw2は上限値Cw2mに維持される。
入力角AIが第5値AI5とは異なる場合も、速度Vと第2制御値Cw2との対応関係は、同様である。ただし、変化下限Vs1−Vs5と変化上限Ve1−Ve5とは、入力角AIの大きさが大きいほど、小さい。また、速度Vが一定である場合、第2制御値Cw2の大きさは、入力角AIの大きさが大きいほど、大きい。入力角AIが小さい場合、グラフCw21、Cw22によって示されるように、第2制御値Cw2の大きさは、速度Vの許容範囲の全体に亘って、上限値Cw2mよりも小さい。グラフCw21、Cw22に関しては、変化上限Ve1、Ve2は、最大速度Vxと同じである。
図中の範囲RI1cは、第2制御値Cw2が変化可能であるような入力角AIの大きさの範囲である第1程度範囲である。この第1程度範囲RI1cは、V=Ve4の場合の範囲であり、ゼロ以上、第4値AI4以下の範囲である。
また、本実施例では、一定目標状態において、第1範囲(例えば、図14(A)の第1範囲R1)では、目標ロール角Artの制御が、速度Vの変化に対する旋回半径Rの変化を抑制できる。第4範囲(例えば、図14(B)の第4範囲R4)では、第2制御値Cw2(すなわち、回動トルクの旋回成分)の制御が、速度Vの変化に対する旋回半径Rの変化を抑制できる。そして、以下の説明するように、第4範囲は、第1範囲よりも大きい速度Vの範囲を含んでいる。従って、制御装置100は、第1範囲と第4範囲とを含む広い範囲で、速度Vの変化に対する旋回半径Rの変化を抑制できる。
入力角AIが第5値AI5である場合、第4範囲R4の変化上限Ve5は、第1範囲R1の上限速度Vb5よりも大きい。入力角AIが異なる場合も、同様である。すなわち、一定目標状態において、第4範囲の上限(例えば、変化上限Ve1−Ve5(図14(B))は、第1範囲の上限速度(例えば、Vb1−Vb5(図14(A))よりも大きい。以上により、第4範囲は、第1範囲よりも大きい速度Vの範囲を含んでいる。
また、入力角AIが第5値AI5である場合、第4範囲R4(図14(B))の下限速度Vs5は、第1範囲R1(図14(A))の上限速度Vb5以下である。入力角AIが異なる場合も、同様である。すなわち、一定目標状態において、第4範囲の下限速度(例えば、Vs1−Vs5(図14(B))は、第1範囲の上限速度(例えば、Vb1−Vb5(図14(A))以下である。これにより、制御装置100は、第1範囲の上限の低速側から高速側へ速度Vが変化する場合に、車両10の動きを滑らかにすることができる。ここで、第4範囲の下限速度は、第1範囲の上限速度よりも小さいことが好ましい。
また、本実施例では、第1範囲の上限速度(例えば、Vb1−Vb5(図14(A))は、入力角AIの大きさが小さいほど、大きい。そして、第4範囲の下限速度(例えば、Vs1−Vs5(図14(B))は、入力角AIの大きさが小さいほど、大きい。入力角AIの大きさが小さい場合には、第1範囲(例えば、第1範囲R1(図14(A)))が広い。従って、制御装置100は、広い第1範囲において、目標ロール角Art(ひいては、リーンモータ25)を制御することによって、速度Vに変化に対する旋回半径Rの変化を抑制できる。また、入力角AIの大きさが大きい場合には、変化下限(例えば、変化下限Vs5(図14(B)))が小さい。従って、制御装置100は、小さい速度Vを含む第4範囲において、第2制御値Cw2(ひいては、操舵モータ65)を制御することによって、速度Vの変化に対する旋回半径Rの変化を抑制できる。
また、図14(A)の対応関係では、入力角AIが、AI2−AI5を含む入力角AIの範囲内である場合、入力角AIに拘わらず、目標ロール角Artは、最大ロール角Artmに増大可能である。すなわち、互いに異なる複数の入力角AIを含む入力角AIの範囲において、ロール角Arの大きさは、最大ロール角Artmに増大可能である。従って、制御装置100は、入力角AIの広い範囲において、ロール角Arの制御によって、速度Vに変化に対する旋回半径Rの変化を抑制できる。
E.第5実施例:
図15は、速度Vと入力角AIと第2制御値Cw2との別の対応関係を示すグラフである。図11の対応関係との差異は、2点ある。第1の差異は、速度Vが第1下限速度Va以下である場合に、入力角AIに拘わらず、第2制御値Cw2がゼロである点である。第2の差異は、第1速度範囲R1において、速度Vが大きいほど、第2制御値Cw2の大きさが大きくなる点である。なお、6個のグラフCw20−Cw25には、図11のグラフCw20−Cw25と同様に、入力角AIの6個の値AI0−AI5が、それぞれ対応している。本実施例においても、第2制御値Cw2は、他のパラメータ(例えば、V、AI)の変化に対して連続的に変化する(すなわち、第2制御値Cw2は、他のパラメータの変化に対して滑らかに変化する)。図中の対象速度範囲Rtは、入力角AIの少なくとも一部の範囲で、入力角AIの大きさが大きいほど第2制御値Cw2の大きさが大きくなるような、速度Vの範囲である。本実施例では、対象速度範囲Rtは、第1下限速度Va以上、最大速度Vx以下の範囲である。このような対応関係は、図11の対応関係の代わりに、利用されてよい。なお、第1下限速度Vaは、ゼロであってよい。
図15は、速度Vと入力角AIと第2制御値Cw2との別の対応関係を示すグラフである。図11の対応関係との差異は、2点ある。第1の差異は、速度Vが第1下限速度Va以下である場合に、入力角AIに拘わらず、第2制御値Cw2がゼロである点である。第2の差異は、第1速度範囲R1において、速度Vが大きいほど、第2制御値Cw2の大きさが大きくなる点である。なお、6個のグラフCw20−Cw25には、図11のグラフCw20−Cw25と同様に、入力角AIの6個の値AI0−AI5が、それぞれ対応している。本実施例においても、第2制御値Cw2は、他のパラメータ(例えば、V、AI)の変化に対して連続的に変化する(すなわち、第2制御値Cw2は、他のパラメータの変化に対して滑らかに変化する)。図中の対象速度範囲Rtは、入力角AIの少なくとも一部の範囲で、入力角AIの大きさが大きいほど第2制御値Cw2の大きさが大きくなるような、速度Vの範囲である。本実施例では、対象速度範囲Rtは、第1下限速度Va以上、最大速度Vx以下の範囲である。このような対応関係は、図11の対応関係の代わりに、利用されてよい。なお、第1下限速度Vaは、ゼロであってよい。
F.第6実施例:
図16は、速度Vと入力角AIと第2制御値Cw2との別の対応関係を示すグラフである。図12の対応関係との差異は、速度Vが変化下限Vs以下である場合に、入力角AIに拘わらず、第2制御値Cw2がゼロである点である。なお、6個のグラフCw20−Cw25には、図12のグラフCw20−Cw25と同様に、入力角AIの6個の値AI0−AI5が、それぞれ対応している。本実施例においても、第2制御値Cw2は、他のパラメータ(例えば、V、AI)の変化に対して連続的に変化する(すなわち、第2制御値Cw2は、他のパラメータの変化に対して滑らかに変化する)。図中の対象速度範囲Rtは、入力角AIの少なくとも一部の範囲で、入力角AIの大きさが大きいほど第2制御値Cw2の大きさが大きくなるような、速度Vの範囲である。本実施例では、対象速度範囲Rtは、変化下限Vs以上、最大速度Vx以下の範囲である。このような対応関係は、図12の対応関係の代わりに、利用されてよい。なお、変化下限Vsは、ゼロであってよい。
図16は、速度Vと入力角AIと第2制御値Cw2との別の対応関係を示すグラフである。図12の対応関係との差異は、速度Vが変化下限Vs以下である場合に、入力角AIに拘わらず、第2制御値Cw2がゼロである点である。なお、6個のグラフCw20−Cw25には、図12のグラフCw20−Cw25と同様に、入力角AIの6個の値AI0−AI5が、それぞれ対応している。本実施例においても、第2制御値Cw2は、他のパラメータ(例えば、V、AI)の変化に対して連続的に変化する(すなわち、第2制御値Cw2は、他のパラメータの変化に対して滑らかに変化する)。図中の対象速度範囲Rtは、入力角AIの少なくとも一部の範囲で、入力角AIの大きさが大きいほど第2制御値Cw2の大きさが大きくなるような、速度Vの範囲である。本実施例では、対象速度範囲Rtは、変化下限Vs以上、最大速度Vx以下の範囲である。このような対応関係は、図12の対応関係の代わりに、利用されてよい。なお、変化下限Vsは、ゼロであってよい。
E.変形例:
(1)車両10の制御に用いられる複数のパラメータの間の対応関係は、上記実施例の対応関係に代えて、他の種々の対応関係であってよい。例えば、図9、図14(A)の実施例では、第1範囲(例えば、第1範囲R1)内において、速度Vの増大に応じて目標ロール角Artの大きさが増大する。このような第1範囲の下限は、他のパラメータの変化に応じて、変化してよい。例えば、第1範囲の下限は、入力角AIの大きさが大きいほど、小さくてよい。また、入力角AIの大きさが予め決められた閾値を超える場合には、目標ロール角Artは、入力角AIに拘わらず、一定であってよい。図12、図14(B)の実施例で、速度Vが第4範囲の下限速度(例えば、下限速度Vs、Vs1−Vs5)以下である場合に、第2制御値Cw2はゼロであってよい。この場合、対象速度範囲Rtの下限は、第4範囲の下限速度と同じである(例えば、最大の入力角AIに対応付けられた第4範囲の下限速度)。そして、速度Vが一定である場合に、目標ロール角Artが変化可能であるような入力角AIの大きさの範囲は、ゼロを含まない範囲であり得る。また、第4範囲の下限速度は、ゼロであってよい。また、一定目標状態において、速度Vが所定の閾値以上である場合には、速度Vが大きいほど第2制御値Cw2の大きさが小さくてもよい。これにより、速度Vが大きい場合に、車両10の走行安定性の低下を抑制できる。また、制御に用いられる対応関係は、予め実験的に決められてよい。
(1)車両10の制御に用いられる複数のパラメータの間の対応関係は、上記実施例の対応関係に代えて、他の種々の対応関係であってよい。例えば、図9、図14(A)の実施例では、第1範囲(例えば、第1範囲R1)内において、速度Vの増大に応じて目標ロール角Artの大きさが増大する。このような第1範囲の下限は、他のパラメータの変化に応じて、変化してよい。例えば、第1範囲の下限は、入力角AIの大きさが大きいほど、小さくてよい。また、入力角AIの大きさが予め決められた閾値を超える場合には、目標ロール角Artは、入力角AIに拘わらず、一定であってよい。図12、図14(B)の実施例で、速度Vが第4範囲の下限速度(例えば、下限速度Vs、Vs1−Vs5)以下である場合に、第2制御値Cw2はゼロであってよい。この場合、対象速度範囲Rtの下限は、第4範囲の下限速度と同じである(例えば、最大の入力角AIに対応付けられた第4範囲の下限速度)。そして、速度Vが一定である場合に、目標ロール角Artが変化可能であるような入力角AIの大きさの範囲は、ゼロを含まない範囲であり得る。また、第4範囲の下限速度は、ゼロであってよい。また、一定目標状態において、速度Vが所定の閾値以上である場合には、速度Vが大きいほど第2制御値Cw2の大きさが小さくてもよい。これにより、速度Vが大きい場合に、車両10の走行安定性の低下を抑制できる。また、制御に用いられる対応関係は、予め実験的に決められてよい。
(2)車両10を制御するための処理は、上記実施例の処理に代えて、他の種々の処理であってよい。例えば、図8の処理において、制御値CL1に、他の種々の制御値が加算されてよい。図10の処理において、駆動制御値Cwに、制御値Cw1、Cw2以外の種々の制御値が加算されてよい。
例えば、ロール角Arを目標ロール角Artに近づける回動トルクを示す制御値が、駆動制御値Cwに加算されてよい(ロール制御値とも呼ぶ)。以下に説明するように、前輪12Fが右方向DRへ回動する場合、車体90には、左方向DLのロールトルクが作用し得る(逆も同様)。従って、前輪12Fの回動を用いて、ロール角Arを目標ロール角Artに近づけることができる。
図5の上面図において、前輪12Fが右方向DRへ回動する場合、車両10は、後中心Cbを中心に、時計回り方向に自転する。すなわち、時計回り方向のヨー角加速度が生じる。図1(A)に示すように、車体90の重心90cは、通常は、前輪12Fと後輪12R、12Lとの間に位置している。すなわち、重心90cと自転中心Cbとの間で、前方向DFの位置が異なっている。従って、自転中心Cb(図5)を中心とするヨー角加速度が生じる場合、重心90cに慣性の力が作用する。図5の上面図で時計回り方向のヨー角加速度が生じる場合、重心90cには左方向DLの慣性の力が作用する。この力は、車体90を左方向DLへロールさせる。このように、車体90に作用するロールトルクの方向は、前輪12Fの回動の方向とは反対である。従って、ロール制御値によって示される回動トルクの方向が、ロール角Arから目標ロール角Artへ向かうロール方向とは反対である場合、その回動トルクは、ロール角Arを目標ロール角Artへ近づけることができる。
ここで、ロールトルクの大きさは、ヨー角加速度の大きさが大きいほど、大きい。ヨー角加速度の大きさは、車輪角Awの角速度の大きさが大きいほど、大きい。車輪角Awの角速度の大きさは、操舵モータ65の回動トルクの大きさが大きいほど、大きい。以上により、ロール制御値によって示される回動トルクの大きさは、ロール角Arと目標ロール角Artとの間の差が大きいほど、大きいことが好ましい。このようなロール制御値の決定方法は、種々の方法であってよい。例えば、ロール制御値は、ロール角Arと目標ロール角Artとの差分を用いるフィードバック制御(例えば、比例制御と微分制御と積分制御の少なくとも1つを含む)によって、決定されてよい。
駆動制御値Cwには、ロール制御値が加算されてよい。ここで、ロール制御値の大きさが大きい場合、駆動制御値Cwによって示される回動トルクの方向は、第2制御値Cw2によって示される回動トルクの方向とは反対になり得る。ただし、車両10が安定して旋回する状態では、駆動制御値Cwによって示される回動トルクの方向は、第2制御値Cw2によって示される回動トルクの方向と同じになり得る。そして、回動トルクは、旋回半径Rの増大を抑制できる。
なお、後輪が、回動輪であってよい。この場合、以下に説明するように、後輪の回動方向とは反対方向のロールトルクが、車体に作用する。後輪が回動輪である場合、車両の自転中心は、前輪の近くに位置する。図5のような上面図において、後輪が右方向DRへ回動する場合、後輪は右方向DR側に移動し、車両は左方向DLへ旋回する。この結果、車体の重心には、左方向DLの慣性の力が作用する。この慣性の力は、車体を左方向DLへロールさせる。
駆動制御値Cwは、第2制御値Cw2を含む1以上の制御値の合計値であってよい。一般的には、制御装置100は、第2制御値Cw2によって示される回動トルク成分を含む1以上の成分の合成トルクを操舵モータ65に生成させてよい。例えば、第1制御値Cw1は、省略されてよい。また、駆動制御値Cwは、ロール制御値を含んでよい。
(3)ヨー角速度を変化させる力を生成する力生成装置は、操舵モータ65(図1(A))に代えて、種々の装置であってよい。例えば、右駆動モータ51R(図2)と左駆動モータ51Lは、右駆動モータ51Rと左駆動モータ51Lとの間のトルクの比率を変化させることによって、ヨー角加速度を変化させることができる(このようなトルクの比率の制御は、トルクベクタリングとも呼ばれる)。また、車両10は、右後輪12R用のブレーキ装置と、左後輪12L用のブレーキ装置を備えてよい。右のブレーキ装置と左のブレーキ装置は、右後輪12Rと左後輪12Lとの間のブレーキ力の比率を変化させることによって、ヨー角加速度を変化させることができる。
(4)幅方向に互いに離れて配置された一対の車輪(例えば、後輪12R、12L)と、車体90と、を連結する連結装置の構成は、連結装置800(図1(A)、図2)の構成に代えて、他の種々の構成であってよい。例えば、リンク機構30(図2)が台に置換されてよい。台には、駆動モータ51L、51Rが固定される。そして、第1支持部82は、軸受によって、幅方向に回転可能に台に連結される。リーンモータ25は、台に対して、第1支持部82を、幅方向に回転させる。これにより、車体90は、幅方向にロール可能である。また、図示を省略するが、左スライド装置が、左後輪12Lと車体90とを接続し、右スライド装置が、右後輪12Rと車体90とを接続してもよい。各スライド装置は、車体90に対する車輪の車体上方向DVUの相対位置を変化させることができる。傾斜装置は、このような2個のスライド装置を含んでよい。
一般的には、車両は、一対の車輪とボディとを連結する連結装置を備えることが好ましい。連結装置は、ボディを幅方向に傾斜させるように構成されている傾斜装置を含むことが好ましい。傾斜装置は、「幅方向に互いに離れて配置された一対の車輪のうちの1つの車輪または2つの車輪に直接的または間接的に接続された第1部材」と、「車体に直接的または間接的に接続された第2部材」と、「第1部材を第2部材に可動(例えば、回転可能、スライド可能など)に接続する接続装置」を含んでよい。図2の実施例では、上横リンク部材31Uは、縦リンク部材33L、33Rとモータ51L、51Rを介して車輪12L、12Rに接続された第1部材の例である。中縦リンク部材21は、第1支持部82とサスペンションシステム70とを介して車体90に接続された第2部材の例である。軸受39は、第1部材を第2部材に回転可能に接続する接続装置の例である。
(5)傾斜装置を駆動する力(すなわち、車体90を幅方向にロールさせる力)を生成する力生成装置は、リーンモータ25(図2)に代えて、種々の装置であってよい。例えば、力生成装置は、傾斜装置30を駆動する油圧シリンダと、油圧シリンダに油圧を供給するポンプと、を含んでよい。また、車体90と後輪12R、12Lを接続する上述の右スライド装置と左スライド装置とが油圧シリンダを用いて構成されている場合、力生成装置は、スライド装置に油圧を供給するポンプを含んでよい。
(6)制御装置の構成は、図7の制御装置100の構成に代えて、他の種々の構成であってよい。例えば、制御装置は、センサから取得される情報に含まれるノイズを低減するノイズフィルタを備えてよい。これにより、車両の制御に対するノイズの影響が、緩和される。ノイズフィルタとしては、例えば、種々のローパスフィルタを採用可能である。
また、上記実施例では、運転者が、車両10(図7)を制御するための種々の指示情報(例えば、入力角AI、アクセル操作量Pa、ブレーキ操作量Pb)を制御装置100に入力する。これに代えて、制御装置100は、無線通信によって外部装置から指示情報を取得するように構成された無線装置を含んでよい。このように、移動装置は、遠隔操作される車両であってよい。入力角AIを取得する無線装置は、旋回目標情報取得装置の例である。また、制御装置100は、自動操縦を行うように構成されてよい。例えば、制御装置100は、図示しないGPS(Global Positioning System)を用いて特定される車両10の位置を参照して、予め決められた経路に沿って走行する処理を実行してよい。この場合、制御装置100は、車両10の位置と経路とを用いて、旋回目標情報を特定する。制御装置100のうち旋回目標情報を特定する部分は、旋回目標情報取得装置の例である。
(7)車両の構成は、車両10(図1(A)等)の構成に代えて、他の種々の構成であってよい。複数の車輪の総数と配置としては、種々の構成を採用可能である。例えば、前輪の総数が2であり、後輪の総数が1であってもよい。前輪の総数が2であり、後輪の総数が2であってもよい。前輪が駆動輪であってよい。回動輪の総数は、1以上の任意の数であってよい。後輪が、回動輪であってよい。
(8)幅方向に回動可能に回動輪(例えば、前輪12F(図1(B)))を支持する回動輪支持装置の構成は、前輪支持装置41(図1(A))の構成に代えて、他の種々の構成であってよい。回動輪を回転可能に支持する支持部材は、前フォーク17に代えて、片持ちの部材であってよい。また、支持部材を車体に対して幅方向に回動可能に支持する回動装置は、軸受68に代えて、他の種々の装置であってよい。例えば、回動装置は、車体と支持部材とを連結するリンク機構であってよい。
一般的には、回動輪支持装置は、車体に固定されていることが好ましい。この構成によれば、回動輪の回動軸(例えば、回動軸Ax1(図1(A)))は、車体とともに傾斜する。従って、図6(A)−図6(C)等で説明したように、回動輪の方向(例えば、方向D12(図1(B)))は、車体のロール角Arの変化に追随して変化できる。ここで、回動輪支持装置は、K個(Kは1以上の整数)の支持部材を備えてよい。各支持部材は、1以上の回動輪を回転可能に支持してよい。そして、回動輪支持装置は、車体に固定されたK個の回動装置を備えてよい。K個の回動装置は、K個の支持部材を、それぞれ幅方向に回動可能に支持してよい。
(9)回動トルクを生成する操舵駆動装置の構成は、操舵モータ65の構成に代えて、他の種々の構成であってよい。例えば、操舵駆動装置は、ポンプを含み、ポンプからの液圧(例えば、油圧)を用いて回動トルクを生成してよい。
(10)上記各実施例の制御処理は、車両10(図1(A))に代えて、ボディと車輪とを備える種々の移動装置に適用されてよい。例えば、駆動輪を駆動する駆動装置は、電気モータと内燃機関の少なくとも1つを含んでよい。最大定員数は、1人に代えて、2人以上であってよい。ここで、移動装置は、人を乗せずに荷物を載せて移動する無人車両であってよい。また、移動装置は、人も荷物も載せずに移動する無人車両であってよい。また、移動装置は、小型の模型自動車であってよい。
(11)制御装置100は、1つのコンピュータを用いて構成されてもよい。制御装置100の少なくとも一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用のハードウェアによって、構成されてよい。制御装置100は、種々の電気回路であってよく、例えば、コンピュータを含む電気回路であってよく、コンピュータを含まない電気回路であってもよい。いずれの場合も、制御値(例えば、制御値CL1、Cw1、Cw2など)を決定する制御値決定処理は、種々の処理であってよい。制御値決定処理は、フィードバック制御(例えば、比例制御と微分制御と積分制御とのうちの少なくとも1つを含む制御)を含んでよく、フィードフォワード制御を含んでよい。
上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図7の制御装置100の機能を、専用のハードウェア回路によって実現してもよい。
また、本発明の機能の一部または全部がコンピュータプログラムで実現される場合には、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)に格納された形で提供することができる。プログラムは、提供時と同一または異なる記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に格納された状態で、使用され得る。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、メモリーカードやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種ROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスクドライブ等のコンピュータに接続されている外部記憶装置も含み得る。
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
10…車両、11…座席、12F…前輪、12L…左後輪、12R…右後輪、12Fc…重心、17…前フォーク、20…本体部、20a…前壁部、20b…底部、20c…後壁部、20d…支持部、21…中縦リンク部材、25…リーンモータ、30…リンク機構(傾斜装置)、31D…下横リンク部材、31U…上横リンク部材、33L…左縦リンク部材、33R…右縦リンク部材、38、39…軸受、41…前輪支持装置、41a…ハンドル、45…アクセルペダル、46…ブレーキペダル、51L…左駆動モータ、51R…右駆動モータ、51S…駆動システム、65…操舵モータ(回動駆動装置)、68…軸受、70…サスペンションシステム、70L…左サスペンション、70R…右サスペンション、71L、71R…コイルスプリング、72L、72R…ショックアブソーバ、75…連結棒、80…後輪支持部、82…第1支持部、83…第2支持部、90…車体、90c…重心、100…制御装置、110…主制御部、300…駆動装置制御部、400…リーンモータ制御部、500…操舵モータ制御部、110p、300p、400p、500p…プロセッサ、、110v、300v、400v、500v…揮発性記憶装置、、110n、300n、400n、500n…不揮発性記憶装置、、110g、300g、400g、500g…プログラム、、300c、400c、500c…電力制御部、、120…バッテリ、122…速度センサ、123…入力角センサ、124…車輪角センサ、126…方向センサ、126a…加速度センサ、126c…制御部、126g…ジャイロセンサ、145…アクセルペダルセンサ、146…ブレーキペダルセンサ、800…連結装置、900…駆動制御装置、930…ロール角センサ、Axw1、Axw2、Axw3…回転軸、、DF…前方向、DB…後方向、DD…鉛直下方向、DU…鉛直上方向、DR…右方向、DL…左方向
Claims (8)
- 移動装置であって、
ボディと、
1以上の前輪と1以上の後輪とを含むN個(Nは3以上の整数)の車輪であって、前記N個の車輪は前記移動装置の幅方向に互いに離れて配置された一対の車輪を含み、前記N個の車輪は前記幅方向に回動可能な1以上の回動輪を含む、前記N個の車輪と、
前記一対の車輪と前記ボディとを連結する連結装置であって、前記連結装置は前記ボディを前記幅方向に傾斜させるように構成されている傾斜装置を含む、前記連結装置と、
前記傾斜装置を駆動する第1力を生成するように構成されている第1力生成装置と、
前記移動装置のヨー角速度を変化させる第2力を生成するように構成されている第2力生成装置と、
旋回の目標方向と旋回の目標程度とを示す旋回目標情報を取得するように構成されている旋回目標情報取得装置と、
前記第1力生成装置と前記第2力生成装置とを制御するように構成されている制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記旋回目標情報が旋回を示す場合に、前記第1力生成装置を制御することによって、前記ボディを前記旋回の内側に傾斜させる第1処理と、
前記旋回目標情報が前記旋回を示す場合に、前記速度の少なくとも一部の範囲において、前記ヨー角速度を前記旋回の前記目標方向側に向かって変化させる旋回成分を含む1以上の成分の合成力である前記第2力を、前記第2力生成装置に生成させる第2処理と、
を実行するように構成されており、
前記目標方向と前記目標程度とのそれぞれが一定である状態を、一定目標状態と呼び、
前記制御装置は、
前記一定目標状態において、前記移動装置の速度が第1速度範囲内である場合に、前記速度が大きいほど前記ボディのロール角の大きさを大きくする処理を含む前記第1処理と、
前記第1速度範囲の第1上限速度以上の範囲である第2速度範囲を含む対象速度範囲内で前記速度が一定であり、かつ、前記目標程度が第1程度範囲内である場合に、前記目標程度が大きいほど前記旋回成分の大きさを大きくする処理を含む前記第2処理と、
を実行するように構成されている、移動装置。 - 請求項1に記載の移動装置であって、
前記制御装置は、前記速度が前記第1速度範囲の第1下限速度より大きく、かつ、前記速度が一定であり、かつ、前記目標程度が第2程度範囲内である場合に、前記目標程度が大きいほど前記ロール角の大きさを大きくする処理を含む前記第1処理を実行するように、構成されている、
移動装置。 - 請求項1または2に記載の移動装置であって、
前記制御装置は、前記一定目標状態において、前記対象速度範囲のうち前記対象速度範囲の下限を含む少なくとも一部である第3速度範囲内で、前記速度の変化に対して前記旋回成分の大きさを一定に維持する処理を含む前記第2処理を実行するように、構成されている、
移動装置。 - 請求項1から3のいずれかに記載の移動装置であって、
前記制御装置は、前記一定目標状態において、前記速度が前記第1速度範囲の前記第1上限速度以上である場合に、前記速度の変化に対して前記ボディの前記ロール角を一定に維持する処理を含む前記第1処理を実行するように、構成されている、
移動装置。 - 請求項4に記載の移動装置であって、
前記一定目標状態において、前記第1速度範囲の前記第1上限速度以下の下限速度以上、前記第1上限速度よりも大きい上限速度以下の範囲を、第4速度範囲と呼び、
前記制御装置は、前記一定目標状態において、前記速度が前記第4速度範囲内である場合に、前記速度が大きいほど前記旋回成分の大きさを大きくする処理を含む前記第2処理を実行するように、構成されている、
移動装置。 - 請求項5に記載の移動装置であって、
前記第4速度範囲の前記下限速度は、前記第1速度範囲の前記第1上限速度よりも小さい、
移動装置。 - 請求項5または6に記載の移動装置であって、
前記第1速度範囲の前記第1上限速度は、前記目標程度が小さいほど大きく、
前記第4速度範囲の前記下限速度は、前記目標程度が小さいほど大きい、
移動装置。 - 請求項1から7のいずれかに記載の移動装置であって、
前記対象速度範囲は、前記第1速度範囲を含む、
移動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020065386A JP2021160608A (ja) | 2020-03-31 | 2020-03-31 | 移動装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023054264A1 (ja) | 2021-09-30 | 2023-04-06 | セントラル硝子株式会社 | 炭化ケイ素単結晶ウエハ及び炭化ケイ素単結晶インゴット |
-
2020
- 2020-03-31 JP JP2020065386A patent/JP2021160608A/ja active Pending
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