JP2021155662A - ゴム組成物 - Google Patents

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工 西森
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Abstract

【課題】取り扱い性に優れると共に、長期保管における着色を低減したゴム組成物を提供すること。【解決手段】エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴム、フェノール系酸化防止剤、及びリン系酸化防止剤を含有するゴム組成物であって、共重合体ゴムにおけるエチレン単位の含有量が、エチレン単位、α−オレフィン単位及び非共役ポリエン単位の合計量に対して65〜99質量%であり、共重合体ゴムの含有量100質量部に対して、フェノール系酸化防止剤の含有量が0.01〜0.05質量部であり、リン系酸化防止剤の含有量が0.07〜0.20質量部である。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物に関する。
エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムは、自動車部品、建築材等の用途に広く使用されている。エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムを含むゴム組成物には、熱、紫外線、酸素等による劣化を防ぐために、酸化防止剤を添加することが知られている(例えば、特許文献1)。
特開2013−28810号公報
酸化防止剤を含むゴム組成物を長期保管した場合、酸化防止剤に由来するゴム組成物の着色が進行することがある。一方、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムは高温条件下で高分子量化し易いため、酸化防止剤の添加量が少ないと、ゴム組成物を作製する際の加熱によりエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムが高分子量化してしまい、ゴム組成物の取り扱い性が低下する傾向にある。
本発明の目的は、取り扱い性に優れると共に、長期保管における着色を低減したゴム組成物を提供することにある。
本発明の一側面は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴム、フェノール系酸化防止剤、及びリン系酸化防止剤を含有するゴム組成物に関する。本発明に係るゴム組成物において、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムにおけるエチレン単位の含有量が、エチレン単位、α−オレフィン単位及び非共役ポリエン単位の合計量に対して65〜99質量%であり、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムの含有量100質量部に対して、フェノール系酸化防止剤の含有量が0.01〜0.05質量部であり、リン系酸化防止剤の含有量が0.07〜0.20質量部である。
エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムに対するフェノール系酸化防止剤の量を所定の範囲に調整することで、ゴム組成物の長期保管における着色を低減することができる。エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムに対するリン系酸化防止剤の量を所定の範囲に調整することで、ゴム組成物を作製する際のエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムの高分子量化を抑制して、ゴム組成物の取り扱い性を向上することができる。
本発明によれば、取り扱い性に優れると共に、長期保管における着色を低減したゴム組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
[ゴム組成物]
一実施形態に係るゴム組成物は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴム、フェノール系酸化防止剤、及びリン系酸化防止剤を含有する。
(エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴム)
一実施形態に係るエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムは、エチレン単位、α−オレフィン単位、及び非共役ポリエン単位を主な単量体単位として含む。エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴム(以下、単に「共重合体ゴム」という場合がある。)における、エチレン単位、α−オレフィン単位及び非共役ポリエン単位の合計の含有量は、共重合体ゴムの全体質量に対して、60質量%以上100質量%以下、又は80質量%以上100質量%以下であってもよい。本明細書において、「エチレン単位」、「α−オレフィン単位」、「非共役ポリエン単位」のように「モノマー名+単位」という用語は、各モノマーに由来する単量体単位を意味する。
エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムを構成するα−オレフィンの炭素原子数は、3以上20以下であってもよい。α−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等の直鎖状オレフィン;3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等の分岐鎖状オレフィン;ビニルシクロヘキサン等の環状オレフィンが挙げられる。これらは単独で又は組み合わせて用いてもよい。α−オレフィンは、プロピレン及び/又は1−ブテンであってもよく、プロピレンであってもよい。
非共役ポリエンは、炭素原子数3以上20以下の非共役ポリエンであってもよい。非共役ポリエンは、鎖状非共役ジエン、環状非共役ジエン、トリエン又はこれらの組み合わせであってもよい。
鎖状非共役ジエンの例としては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、及び7−メチル−1,6−オクタジエンが挙げられる。
環状非共役ジエンの例としては、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、及び6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネンが挙げられる。
トリエンの例としては、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、5,9,13−トリメチル−1,4,8,12−テトラデカジエン、4−エチリデン−12−メチル−1,11−ペンタデカジエン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン、1,3,7−オクタトリエン、6,10−ジメチル−1,5,9−ウンデカトリエン、5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、13−エチル−9−メチル−1,9,12−ペンタデカトリエン、5,9,8,14,16−ペンタメチル−1,7,14−ヘキサデカトリエン、及び1,4,9−デカトリエンが挙げられる。
非共役ポリエンが、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−ビニルノルボルネン、又はこれらから選ばれる2種以上の組合せであってもよい。非共役ポリエンが、5−エチリデン−2−ノルボルネン及びジシクロペンタジエンの組み合わせ、又は5−エチリデン−2−ノルボルネンのみであってもよい。
本実施形態に係る共重合体ゴムは、エチレン単位の含有量が、エチレン単位、α−オレフィン単位及び共役ポリエン単位の合計量に対して65〜99質量%である。エチレン単位の含有量がこのような範囲にあると、ゴム組成物の作製する際の共重合体ゴムの高分子量化を抑制し易くなる。同様の観点から、エチレン単位の含有量が、エチレン単位、プロピレン単位及び非共役ポリエン単位の合計量に対して65〜95質量%、66〜90質量%、68〜85質量%、又は70〜80質量%であってもよい。
本実施形態に係る共重合体ゴムの具体例として、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−1,4−ヘキサジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−1,6−オクタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−2−メチル−1,5−ヘキサジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−6−メチル−1,5−ヘプタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−7−メチル−1,6−オクタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−シクロヘキサジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−5−ビニルノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−5−(6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−5−メチレン−2−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−5,9,13−トリメチル−1,4,8,12−テトラデカジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−4−エチリデン−12−メチル−1,11−ペンタデカジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−1,3,7−オクタトリエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−6,10−ジメチル−1,5,9−ウンデカトリエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−5,9−ジメチル−1,4,8−デカトリエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−13−エチル−9−メチル−1,9,12−ペンタデカトリエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−5,9,8,14,16−ペンタメチル−1,7,14−ヘキサデカトリエン共重合体ゴム、及びエチレン−プロピレン−1,4,9−デカトリエン共重合体ゴムが挙げられる。これらから選ばれる2種以上の共重合体ゴムを組み合わせてもよい。
本実施形態に係る共重合体ゴムは、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−5−ビニルノルボルネン共重合体ゴム又はこれらの組み合わせであってもよく、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体ゴムであってもよい。
本実施形態に係る共重合体ゴムは、25℃におけるシクロヘキサン不溶分の割合が、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムの質量に対して0.2〜50質量%であってよい。上記シクロヘキサン不溶分の割合を満たす共重合体ゴムは、高い引張強さ等の良好な機械強度を有する成形体を与えることができる。同様の観点から、共重合体ゴムの25℃におけるシクロヘキサン不溶分の割合は、共重合体ゴムの質量に対して0.2〜40質量%、0.2〜35質量%、0.3〜30質量%、又は0.5〜15質量%であってもよい。シクロヘキサン不溶分の割合が上記範囲内にある共重合体ゴムは、例えば、エチレン単位の含有量を調節することによって、得ることができる。
2種以上の共重合体ゴムを組み合わせる場合、上述のエチレン単位の含有量、α−オレフィン単位の含有量及びヨウ素価は、それら2種以上の組合せの全体における値である。
エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムに、パラフィン系オイル及びナフテン系オイル等のプロセスオイルを添加して、油展ゴムを形成してもよい。
本実施形態に係る共重合体ゴムの135℃のテトラリン中で測定した極限粘度は、0.5〜5.0dL/gであってもよい。極限粘度がこの範囲内にあると、混練時の加工性が向上するという効果が得られる。優れた加工性の共重合体ゴムを用いると、例えば、均一に混錬された混練物をより容易に得ることができる。同様の観点から、共重合体ゴムの極限粘度が、0.9〜3.0dL/g、0.9〜2.0dL/g、又は1.0〜1.5dL/gであってもよい。
本実施形態に係る共重合体ゴムの分子量分布(Mw/Mn)は、1.5〜5.0であってもよい。共重合体ゴムの分子量分布がこの範囲内にあると、混練時の加工性と機械物性とをより高いレベルで両立できるという効果が得られる。同様の観点から、共重合体ゴムの分子量分布が1.6〜4.0、1.8〜3.5、又は2.0〜3.0であってもよい。
本明細書において、分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)によって測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と、数平均分子量(Mn)とから算出される比(Mw/Mn)である。
Mw、Mn及びMzを測定するためのGPC法の測定条件は、例えば、以下のとおりである。
・GPC装置:東ソー株式会社製、商品名HLC−8121GPC/HT
・カラム:東ソー株式会社製、商品名TSKgel GMHHR−H(S)HT
・分子量標準物質:分子量500以上20,000,000以下のポリスチレン
・溶出溶媒流速:1.0mL/分
・試料濃度:1mg/mL
・測定温度:140℃
・溶出溶媒:オルトジクロロベンゼン
・注入量:500μL
・検出器:示差屈折計
本実施形態に係る共重合体ゴムのガラス転移温度は、−55〜−30℃であってもよい。共重合体ゴムのガラス転移温度がこの範囲内にあると、低温で優れた物性を有する成形体が得られ易い。同様の観点から、共重合体ゴムのガラス転移温度は、−55〜−35℃、−50〜−35℃、又は−45〜−35℃であってもよい。ここでのガラス転移温度は、昇温速度5℃/分の示差走査熱量測定によって得られるサーモグラムにおける、ガラス転移部の中点の温度である。
ゴム組成物における本実施形態に係る共重合体ゴムの含有量は、ゴム組成物の全体質量に対して、10〜90質量%、20〜90質量%、10〜80質量%、又は20〜80質量%以下であってもよい。
(共重合体ゴムの製造方法)
本実施形態に係る共重合体ゴムは、例えば、所謂チーグラーナッタ触媒、又はメタロセン触媒などの触媒の存在下で、エチレン、α−オレフィン、及び非共役ポリエンを含むモノマー混合物を共重合させる工程を含む方法により得ることができる。
共重合のための触媒として、下式(1)で表されるバナジウム化合物と下式(2)で表される有機アルミニウム化合物を接触させて得られる触媒を用いることができる。
VO(OR)X’3−h (1)
式中、Rは炭素原子数が1以上8以下の直鎖状炭化水素基を表し、X’はハロゲン原子を表し、hは0<h≦3を充足する数を表す。
R’’AlX’’3−j (2)
式中、R’’は炭化水素基を表し、X’’はハロゲン原子を表し、jは0<j≦3を充足する数を表す。
式(2)におけるR’’は炭素原子数1〜10のアルキル基であってもよい。炭素原子数1〜10のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ペンチル基、及びヘキシル基が挙げられる。X’’としては、フッ素原子、塩素原子等が挙げられる。jは、0<j≦2を充足する数であってもよい。
式(2)で表される有機アルミニウム化合物の具体例として、(CAlCl、(n−CAlCl、(iso−CAlCl、(n−C13AlCl、(C1.5AlCl1.5、(n−C1.5AlCl1.5、(iso−C1.5AlCl1.5、(n−C131.5AlCl1.5、CAlCl、(n−C)AlCl、(iso−C)AlCl、及び(n−C13)AlClが挙げられる。有機アルミニウム化合物が、(CAlCl、(C1.5AlCl1.5、又はCAlClであってもよい。これらは単独で又は組み合わせて用いてもよい。
式(2)の有機アルミニウム化合物と式(1)のバナジウム化合物との使用量のモル比(有機アルミニウム化合物のモル/バナジウム化合物のモル)は、0.1〜50、1〜30以下、2〜15、又は3〜10であってもよい。当該モル比を調整することにより、共重合体ゴムの極限粘度、Mw/Mn等を調整することができる。例えば、当該モル比が大きいと、共重合体ゴムの極限粘度が高くなる傾向、並びに、Mw/Mnが小さくなる傾向がある。
重合反応は、例えば、1つの重合槽で行ってもよいし、直列に連結された2つの重合槽中で2段階で行ってもよい。重合槽にモノマー、触媒、及び必要により他の成分を供給し、重合槽中でモノマーを重合することができる。
重合反応は、通常、溶媒中で行われる。重合に用いる溶媒としては、例えば、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素等の不活性溶媒が挙げられる。これらは単独で又は組み合わせて用いてもよい。溶媒が脂肪族炭化水素を含んでもよい。
重合温度は、0〜200℃、20〜150℃、又は30〜120℃であってもよい。重合圧力は、0.1〜10MPa、0.1〜5MPa、又は0.1〜3MPaであってもよい。重合温度を調整することにより、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムのMw/Mn等を調整することができる。例えば、重合温度が低いと、Mw/Mnが小さくなる傾向がある。
重合に際しては、必要に応じて、分子量調節剤として水素を重合槽に供給してもよい。重合槽に供給される水素の量は、重合槽に供給される溶媒1kgあたり、0.001〜0.1NL、0.005〜0.05NL、又は0.01〜0.04NLであってもよい。水素の供給量を調整することにより、共重合体ゴムのMw/Mn、及び極限粘度等を調整することができる。例えば、水素の供給量が多いと、Mw/Mnが小さくなる傾向がある。水素の供給量が少ないと、極限粘度が大きくなる傾向がある。
重合槽に供給されるバナジウム化合物の量は、重合槽に供給される溶媒100質量部あたり、0.002〜0.2質量部、又は0.003〜0.1質量部であってもよい。溶媒に対するバナジウム化合物の量比が大きいと、極限粘度が大きくなることができる傾向がある。
(フェノール系酸化防止剤)
本実形態に係るゴム組成物におけるフェノール系酸化防止剤の含有量は、ゴム組成物の長期保管における着色を低減する観点から、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムの含有量100質量部に対して0.01〜0.05質量部である。同様の観点から、フェノール系酸化防止剤の含有量は、0.01〜0.04質量部、又は0.02〜0.04質量部であってもよい。フェノール系酸化防止剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係るフェノール系酸化防止剤としては特に限定されない。一実施形態に係るフェノール系酸化防止剤として、下記式(I)又は(II)で表されるフェノール系酸化防止剤を用いてもよい。
Figure 2021155662
式(I)中、R13は炭素数1〜8のアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1−メチルシクロヘキシル基等の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられる。R13は、メチル基又t−ブチル基であってもよい。Cは、t−ブチル基であってもよい。
式(I)中、Xはヘテロ原子及び/又は環状基を含んでいてもよいn価の炭素数1〜18のアルコール残基を示し、nは1〜4の整数である。アルコール残基とは、アルコールのOHを除いた部分を示す。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、及びイオウ原子が挙げられる。環状基としては、例えば、2,4,6,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン環、ベンゼン環、及びシクロヘキサン環が挙げられる。
としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、2エチル−ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、オクタデシルアルコール等の1価アルコールの残基;エチレングリコール、トリエチレングリコール、2,2’−チオジエタノール、3,9−ビス−(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8−テトラスピロ[5.5]ウンデカン等の2価のアルコールの残基;グリセリン、N,N’−N’’−トリヒドロキシエチルイソシアヌル酸等の3価のアルコール残基;及びペンタエリスリトール等の4価のアルコール残基が挙げられる。
Figure 2021155662
式(II)中、R14は炭素数1〜8のアルキル基を示す。R14における炭素数1〜8のアルキル基としては、上述の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられる。R14は、メチル基又t−ブチル基であってもよい。
式(II)中、R15及びR16はそれぞれ独立に水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜18のアルキル基を示す。ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜18のアルキル基としては、例えば、上述の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、オクチルチオメチレン基、2−エチルヘキシルチオメチレン基、及びN,N’−ジメチルアミノメチレン基が挙げられる。
式(II)中、Yは、m価の基を示し、mは1〜3の整数である。mが1の場合、Yは、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜18のアルキル基を、mが2の場合、Yは、イオウ原子、酸素原子、又は炭素数1〜4のアルキリデン基を、mが3の場合、Yは、イソシアヌル酸−N,N’−N”−トリメチレン基又は1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4,6−トリメチレン基を示す。ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜18のアルキル基としては、例えば、上述の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基、オクチルチオメチレン基、2−エチルヘキシルチオメチレン基、及びN,N’−ジメチルアミノメチレン基が挙げられる。炭素数1〜4のアルキリデン基としては、例えば、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、及びブチリデン基が挙げられる。Yは、水素原子、メチレン基、ブチリデン基、硫黄原子、又は1,3,5−トリメチルベンゼン−2,4,6−トリメチレン基であってもよい。
式(I)で表されるフェノール系酸化防止剤としては、例えば、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、及びトリス[2−(3’,5’−)−t−ブチル−4’−ヒドロキシヒドロ−シンナモイロキシル)エチル]イソシアヌレートが挙げられる。
式(II)で表されるフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−シクロヘキシル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−ベンジル)イソシアネート、及び1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)イソシアネートが挙げられる。
本実施形態に係るフェノール系酸化防止剤として、下記式(III)で表されるフェノール系酸化防止剤を用いてもよい。
Figure 2021155662
本実施形態に係るフェノール系酸化防止剤として、下記式(IV)で表されるフェノール系酸化防止剤を用いてもよい。
Figure 2021155662
式(IV)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、又はフェニル基を示す。
炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、及び1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル基が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、及びα,α−ジメチルベンジル基が挙げられる。
及びRは、それぞれ独立に、t−ブチル基、t−ペンチル基及びt−オクチル基等のt−アルキル基、シクロヘキシル基、又は1−メチルシクロヘキシル基であってもよい。Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、又はt−ペンチル基であってもよく、メチル基、t−ブチル基、又はt−ペンチル基であってもよい。Rは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、又はt−ペンチル基であってもよい。
式(IV)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルキル基としては、上述のアルキル基が挙げられる。Rは、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であってもよく、水素原子又はメチル基であってもよい。
式(IV)中、Xは、単結合、硫黄原子、又は「−CH(R)−」で表される基を示し、Rは、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルキル基としては、上述のアルキル基が挙げられる。Xは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基が置換したメチレン基、又は単結合であってもよく、単結合であることが好ましい。
式(IV)中、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基、又は「*−C(=O)−R−」で表される基を示す。Rは、単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を示し、「*」は酸素原子側の結合手であることを表す。炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、及び2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基が挙げられる。Rは、単結合又はエチレン基であってもよい。Aは、プロピレン基であってよい。
式(IV)中、Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を示し、他の一方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、及びブトキシ基が挙げられる。炭素数1〜8のアルキル基としては、上述のアルキル基が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、α−メチルベンジルオキシ基及びα,α−ジメチルベンジルオキシ基が挙げられる。
式(IV)で表されるフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、及び6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシンが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤として、例えば、Irganox 1010、1035、1076、1135、1330(BASF社製)、スミライザー(登録商標) GM、スミライザー(登録商標) GP(住友化学社製)等の市販品を用いてもよい。
(リン系酸化防止剤)
本実形態に係るゴム組成物におけるリン系酸化防止剤の含有量は、ゴム組成物を作製する際の共重合体ゴムの高分子量化を抑制する観点から、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムの含有量100質量部に対して0.07〜0.20質量部である。同様の観点から、リン系酸化防止剤の含有量は、0.07〜0.15質量部、又は0.08〜0.13質量部であってもよい。リン系酸化防止剤は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、及びテトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、及びトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが挙げられる。
リン系酸化防止剤として、例えば、Irgafos 168(BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
(その他の成分)
本実施形態のゴム組成物は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴム、フェノール系酸化防止剤、及びリン系酸化防止剤に加えて、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴム以外のその他のゴム成分、補強剤、軟化剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤、加工助剤、老化防止剤、及びシランカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも1種のその他の成分を更に含有してもよい。ゴム組成物が、補強剤、加硫剤又はこれらの両方を更に含有してもよい。ゴム組成物が、加硫剤と、加硫促進剤、加硫助剤又はこれらの両方とを含有してもよい。
ゴム組成物が含み得る、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴム以外のその他のゴム成分は、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、及びブチルゴムから選ばれる少なくとも1種であってもよい。
ゴム組成物におけるその他のゴム成分の含有量は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムの含有量100質量部に対して、10〜40質量部、又は15〜30質量部であってもよい。
補強剤は、便覧ゴム・プラスチック配合薬品(1981年4月20日(株)ラバーダイジェスト社発行)に記載のとおり、ゴム組成物の加硫物の機械物性を向上させる添加剤である。補強剤は、例えば、カーボンブラック、乾式法シリカ、湿式法シリカ、合成ケイ酸塩系シリカ、コロイダルシリカ、塩基性炭酸マグネシウム、活性化炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、マイカ、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、リグニン、水酸化アルミニウム、及び水酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。
ゴム組成物における補強剤の含有量は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムの含有量100質量部に対して、20〜250質量部、30〜200質量部、又は40〜180質量部であってもよい。
軟化剤は、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、石油アスファルト、ワセリン、コールタールピッチ、ヒマシ油、アマニ油、サブ、密ロウ、及びリシノール酸から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。軟化剤がプロセスオイル又は潤滑油であってもよい。
ゴム組成物における軟化剤の含有量は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムの含有量100質量部に対して、5〜250質量部、5〜150質量部、又は5〜80質量部であってもよい。
加硫剤は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムを架橋させて加硫物を形成するための成分である。加硫剤は、硫黄、硫黄系化合物、有機過酸化物又はこれらの組み合わせであってもよい。
硫黄は、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、又は不溶性硫黄であってもよい。
ゴム組成物における硫黄及び硫黄系化合物の合計の含有量は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムの含有量100質量部に対して、0.01〜10質量部、又は0.1〜5質量部であってもよい。
有機過酸化物の例としては、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、及びt−ブチルヒドロパーオキサイドが挙られる。有機過酸化物が、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキサイド−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン又はこれらの組み合わせであってもよく、ジクミルパーオキサイドであってもよい。
ゴム組成物における有機過酸化物の含有量は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムの含有量100質量部に対して、0.1〜15質量部、又は1〜8質量部であってもよい。
加硫促進剤は、加硫剤による架橋反応を促進し、架橋反応の時間を短縮する成分である。加硫促進剤は、例えば、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラムジスルフィド、N,N’−ジオクタデシル−N,N’−ジイソプロピルチウラムジスルフィド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾール−スルフエンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾール−スルフエンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフエンアミド、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,4−ジニトロフエニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフイド、ジフエニルグアニジン、トリフエニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジン、オルソトリル−バイ−グアナイド、ジフエニルグアニジン−フタレート、n−ブチルアルデヒドアニリン、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒドアンモニア、2−メルカプトイミダゾリン、チオカルバニリド、ジエチルチオユリア、ジブチルチオユリア、トリメチルチオユリア、ジオルソトリルチオユリア、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフエニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフエニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジブチルキサントゲン酸亜鉛、及びエチレンチオウレアから選ばれる少なくとも1種の化合物を含んでもよい。
ゴム組成物における加硫促進剤の含有量は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムの含有量100質量部に対して、0.05〜20質量部、又は0.1〜8質量部であってもよい。
加硫助剤は、加硫促進剤との併用または単独での使用によって、加硫剤による架橋反応を促進し加硫物の架橋密度を向上させる成分である。加硫助剤は、例えば、トリアリルイソシアヌレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、メタアクリロキシエチルホスフェート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、N−メチロールメタクリルアミド、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、メタクリル酸アルミニウム、メタクリル酸亜鉛、メタクリル酸カルシウム、メタクリル酸マグネシウム、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、酸化亜鉛、及び酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種の化合物を含んでもよい。
ゴム組成物における加硫助剤の含有量は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムの含有量100質量部に対して、0.05〜15質量部、又は0.1〜8質量部であってもよい。
加工助剤は、例えば、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル、グリコール又はこれらの組み合わせを含む。脂肪酸の例としては、オレイン酸、パルミチン酸及びステアリン酸が挙げられる。脂肪酸金属塩の例としては、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、及びステアリン酸カルシウムが挙げられる。グリコールの例としては、エチレングリコール及びポリエチレングリコールが挙げられる。
ゴム組成物における加工助剤の含有量は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムの含有量100質量部に対して、0.2〜10質量部、又は0.3〜8質量部であってもよい。
シランカップリング剤は、例えば、シラン系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤、メタクリル系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、サルファー系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、ウレイド系シランカップリング剤、及びイソシアネート系シランカップリング剤から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
ゴム組成物におけるシランカップリング剤の含有量は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムの含有量100質量部に対して、0.1〜10質量部、又は0.5〜8質量部であってもよい。
老化防止剤は、アミン系老化防止剤、イオウ系老化防止剤又はこれらの両方を含んでもよい。ゴム組成物における老化防止剤の含有量は、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムの含有量100質量部に対して、0.1〜40質量部、又は0.1〜30質量部であってもよい。
アミン系老化防止剤としては、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミン(例えば、オクチル化ジフェニルアミン)、ジオクチル化ジフェニルアミン(例えば、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン)、ジフェニルアミンとアセトンとの高温反応生成物、ジフェニルアミンとアセトンとの低温反応生成物、ジフェニルアミンとアニリンとアセトンとの低温反応生成物、ジフェニルアミンとジイソブチレンとの反応生成物等のジフェニルアミン系老化防止剤;N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−ヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−オクチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン等のp−フェニレンジアミン系老化防止剤が挙げられる。これらは単独で又は組み合わせて用いてもよい。
アミン系老化防止剤が、ジフェニルアミン系老化防止剤であってもよい。ジフェニルアミン系老化防止剤は、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン又はこれらの組み合わせであってもよい。
イオウ系老化防止剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルイミダゾールの亜鉛塩等のイミダゾール系老化防止剤;ジミリスチルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(β−ラウリル−チオプロピオネート)等の脂肪族チオエーテル系老化防止剤が挙げられる。これらは単独で又は組み合わせて用いてもよい。
イオウ系老化防止剤が、イミダゾール系老化防止剤であってもよい。イミダゾール系老化防止剤は、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾール、2−メルカプトメチルベンゾイミダゾールの亜鉛塩、又はこれらの組み合わせであってもよい。
[成形体]
一実施形態に係る成形体は、上述の実施形態に係るゴム組成物を所定の形状に成形したものである。成形体は、通常、加硫されたゴム組成物である。ゴム組成物から本実施形態に係る成形体を製造する方法は、ゴム組成物を成形して成形体を形成することと、ゴム組成物を加硫することとを含むことができる。成形体を形成しながらゴム組成物を加硫してもよいし、成形体を形成した後、成形体を形成しているゴム組成物を加硫してもよい。
ゴム組成物は、例えば、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴム、フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤と、必要に応じて加えられる他の成分とを含む混合物を混練することにより、得ることができる。混練は、ミキサー、ニーダー及び二軸押出機等の密閉式混練機を用いて行うことができる。混練時間は、例えば1〜60分である。混練温度は、例えば40〜200℃である。
混練工程で得られた加硫可能なゴム組成物が、例えば、射出成形機、圧縮成形機、熱空気加硫装置等の成形機で成形される。成形のための加熱温度は、120〜250℃、又は140〜220℃であってもよい。成形に要する時間は、例えば1〜60分である。成形の際の加熱によりゴム組成物を加硫し、加硫された成形体を得ることができる。
このような方法で得られた成形体を用いて、通常の方法により、ホース、ベルト、自動車部品、建材、防振ゴム等の各種製品を製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴム)
共重合体ゴムとして、表1に示すエチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネ共重合体(EPDM−1)を準備した。EPDM−1について以下の評価を行った。
(1)エチレン単位、α−オレフィン単位及び非共役ポリエン単位の含有量
EPDM−1をホットプレス機により成形して、厚み約0.1mmのフィルムを作製した。このフィルムの赤外吸収スペクトルを、赤外分光光度計(日本分光社製IR−810)により測定した。得られた赤外吸収スペクトルから、参考文献(「赤外吸収スペクトルによるポリエチレンのキャラクタリゼーション」、高山、宇佐美等著、又はDie Makromolekulare Chemie,177,461(1976)Mc Rae,M.A.,MaddamS,W.F.等著)に記載の方法に従って、エチレン単位、α−オレフィン単位及び非共役ポリエン単位の含有量を求めた。
(2)分子量
下記条件のゲルパーミエイションクロマトグラフ(GPC)法によって、EPDM−1の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及びZ平均分子量(Mz)の標準ポリスチレン換算値を測定した。
・GPC装置:東ソー株式会社製、商品名HLC−8121GPC/HT
・カラム:東ソー株式会社製、商品名TSKgel GMHHR−H(S)HT
・分子量標準物質:分子量500以上20,000,000以下のポリスチレン
・溶出溶媒流速:1.0mL/分
・試料濃度:1mg/mL
・測定温度:140℃
・溶出溶媒:オルトジクロロベンゼン
・注入量:500μL
・検出器:示差屈折計
(3)極限粘度[η]
ウベローデ粘度計を用いて、135℃のテトラリン中で、濃度が既知である共重合体溶液の還元粘度(粘度数)を測定した。その測定結果から「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年、共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法に従ってEPDM−1の極限粘度を求めた。
(4)シクロヘキサン不溶分の割合
固形のEPDM−1の側面から厚さ1mmの部分をはさみで切り取った。切り取られた小片を更に切断して、1mm角の略立方体状の試料を得た。得られた約0.5gの試料の質量(A)を電子天秤で精秤した。次いで、試料を容積500mLの共栓付三角フラスコに入れた。そこに、250mLのシクロヘキサンをメスシリンダーで量り入れ、試料をシクロヘキサンに浸漬させた。シクロヘキサンには、濃度0.1質量%の6−ビス(tert−ブチル)−4−メチルフェノール(スミライザー(登録商標)BHT)を予め溶解させておいた。三角フラスコを25℃の恒温水槽中に24時間放置した。恒温水槽から取り出した三角フラスコを、栓止めしてから、振とう機で1時間振とうした。振とうスピードは120rpmとした。
120メッシュの金網の質量(B)を電子天秤で精秤した。この金網でフラスコ内の溶解液を濾過した。濾過の際、三角フラスコ内の残留物を、新しいシクロヘキサン約20mLで金網に向けて洗い流した。濾過後の金網を、濾別された金網上の固形分とともに、60〜90℃のホットプレート上で3時間乾燥した。乾燥後の金網を、デシケータ―中で約30分かけて室温まで冷却した。冷却後の金網の質量(C)を電子天秤で精秤した。
シクロヘキサンに浸漬する前の試料の質量A、金網の質量B(風袋)、及び、濾過及び乾燥後の金網の質量Cを下記式に代入して、シクロヘキサン不溶分の割合(質量%)を算出した。
シクロヘキサン不溶分の割合=[(C−B)/A]×100
Figure 2021155662
[ゴム組成物の溶液]
100質量部のEPDM−1と、2000質量部のヘキサンと、表2に示す酸化防止剤とをオートクレープに投入し、ゴム組成物の溶液を調製した。ゴム組成物の溶液を195℃で昇温して20分間保持した後、室温へ戻した。オートクレーブ内の壁面に付着していた共重合体ゴムを回収して、真空乾燥した。上記条件のGPC法によって、乾燥後の共重合体ゴムのMw、Mn及びMzの標準ポリスチレン換算値を測定した。
[ゴム組成物]
100質量部のEPDM−1と、表2に示す酸化防止剤とを、ラボプラストミル(東洋精機製作所製)を用い、150℃、ローター回転数60rpmで5分間混練し、ゴム組成物を得た。
加熱式二段プレス成型機を用いて、ゴム組成物を150℃、10MPaで10分間加熱プレスして、50mm×50mm×1mmの成形体を作製した。成形体の黄色度(Yellow Index:YI値)を、JIS K 7373:2006に準拠して、スガ試験機(株)製分光測色計SC−T45を用いて測定した。成形体がない状態でバックグランド測定を行った後、成形体をサンプルホルダーにセットして、300〜800nmの光に対する透過率測定を行い、3刺激値(X、Y、Z)を求めた。YI値を下記式に基づいて算出した。
YI=100×(1.2769X−1.0592Z)/Y
JIS L 0855に準拠して、純水375mL、リン酸7.5mL、及び亜硝酸ナトリウム500mgをセパラブルフラスコへ投入し、70℃へ昇温してNOxを含む蒸気を発生させた。蒸気に成形体を4時間暴露した後、暴露後のYI値を測定した。NOxによる暴露前後のYI値からΔYIを算出した。
ΔYI=(NOx暴露後のYI値)−(NOx暴露前のYI値)
Figure 2021155662

Claims (4)

  1. エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴム、フェノール系酸化防止剤、及びリン系酸化防止剤を含有するゴム組成物であって、
    前記エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムにおけるエチレン単位の含有量が、エチレン単位、α−オレフィン単位及び非共役ポリエン単位の合計量に対して65〜99質量%であり、
    前記エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムの含有量100質量部に対して、前記フェノール系酸化防止剤の含有量が0.01〜0.05質量部であり、前記リン系酸化防止剤の含有量が0.07〜0.20質量部である、ゴム組成物。
  2. 前記リン系酸化防止剤の含有量が0.07〜0.15質量部である、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムの25℃におけるシクロヘキサン不溶分の割合が、当該エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムの質量に対して、0.2〜50質量%である、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 前記エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体ゴムの135℃のテトラリン中で測定される極限粘度が、0.5〜5.0dL/gである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のゴム組成物。
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