JP2021155466A - 樹脂組成物、硬化膜、硬化膜の製造方法、有機el表示装置 - Google Patents

樹脂組成物、硬化膜、硬化膜の製造方法、有機el表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】相溶性に優れ、硬化膜とした際に、凹凸を埋め平坦にする平坦化性および耐薬品性に優れた樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、これらいずれかの前駆体およびそれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種類のアルカリ可溶性樹脂(a)、並びにカゴ型構造を含むポリシロキサン(b)を含有する樹脂組成物であって、該ポリシロキサン(b)における(メタ)アクリロイル基、メチロール基、エポキシ基、およびオキセタニル基の合計の割合が、該ポリシロキサン(b)のSi原子の総量100mol%に対して50mol%以上、100mol%以下である樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、半導体素子の表面保護膜や層間絶縁膜、有機エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence:以下ELと記す)表示装置の駆動用薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下TFTと記す)基板の平坦化膜、回路基板の配線保護絶縁膜、固体撮像素子のオンチップマイクロレンズや各種ディスプレイ・固体撮像素子用平坦化膜などの用途に適した樹脂組成物に関する。
ポリイミドやポリベンゾオキサゾールなどの耐熱性樹脂は、優れた耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性を有することから、LSIなどの半導体装置の表面保護膜、層間絶縁膜、有機EL表示装置の絶縁層、表示装置用TFT基板の平坦化膜などに用いられている。
近年、有機EL表示装置や半導体装置において、画素や配線の高密度化が進み、パターンの微細加工や、凹凸面を持った物体表面の平坦化に適した材料が求められている。
高平坦化材の一例として、樹脂組成物にポリシロキサンを添加した材料が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2)。また、かご型シルセスキオキサン構造を有する樹脂を、半導体などの電気的固体装置の絶縁膜や保護膜として用いた例がある(例えば、特許文献3および特許文献4参照)。
特開2019−101440号公報 国際公開第2017/057281号 国際公開第2013/099460号 特開2011−150276号公報
しかし、特許文献1〜2の技術はアルカリ可溶性樹脂とポリシロキサンの極性の違いから相溶性が悪く相分離が起こり、硬化膜の平坦化性が不十分とである課題がある。また、特許文献3の技術はアルカリ可溶性樹脂の耐薬品性に課題がある。さらに、特許文献4の技術は、ポリシロキサンの架橋性基の割合がSi原子に対して少ないため耐薬品性に課題があった。
上記課題を解決するため、本発明は下記の構成を有する。
ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、これらいずれかの前駆体およびそれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種類のアルカリ可溶性樹脂(a)、並びにカゴ型構造を含むポリシロキサン(b)を含有する樹脂組成物であって、該ポリシロキサン(b)における(メタ)アクリロイル基、メチロール基、エポキシ基、およびオキセタニル基の合計の割合が、該ポリシロキサン(b)のSi原子の総量100mol%に対して50mol%以上、100mol%以下である樹脂組成物。
本発明の樹脂組成物は、相溶性に優れ、硬化膜とした際に、凹凸を埋め平坦にする平坦化性および耐薬品性に優れる。
有機EL表示装置の断面図である。 平坦性評価サンプルの断面図
本発明の実施形態について説明する。
ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、これらいずれかの前駆体およびそれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種類のアルカリ可溶性樹脂(a)、並びにカゴ型構造を含むポリシロキサン(b)を含有する樹脂組成物であって、該ポリシロキサン(b)における(メタ)アクリロイル基、メチロール基、エポキシ基、およびオキセタニル基の合計の割合が、該ポリシロキサン(b)のSi原子の総量100mol%に対して50mol%以上、100mol%以下である樹脂組成物。
<アルカリ可溶性>
本発明におけるアルカリ可溶性とは、樹脂をγ−ブチロラクトンに溶解した溶液をシリコンウエハ上に塗布し、120℃で4分間プリベークを行って膜厚10μm±0.5μmのプリベーク膜を形成し、該プリベーク膜を23±1℃の2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に1分間浸漬した後、純水でリンス処理したときの膜厚減少から求められる溶解速度が50nm/分以上であることをいう。
<アルカリ可溶性樹脂(a)>
本発明の樹脂組成物は、(a)ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、それらいずれかの前駆体およびそれらの共重合体から選択される少なくとも1種類のアルカリ可溶性樹脂(a)(以下、樹脂(a)と呼ぶ場合がある)を含有する。
ポリイミド前駆体としては、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸アミド、ポリイソイミドなどを挙げることができる。例えば、ポリアミド酸の合成方法の第1の方法は、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得て、その後、縮合剤の存在下でアミンと反応させる方法が挙げられる。第2の方法は、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得て、その後、残りのジカルボン酸を例えば塩化チオニルで酸クロリド化し、アミンと反応させる方法などが挙げられる。
ポリイミドは、例えば、上記の方法で得たポリアミド酸を、加熱あるいは酸や塩基などの化学処理で脱水閉環することで得ることができる。
ポリベンゾオキサゾール前駆体としては、ポリヒドロキシアミドを挙げることができる。例えば、ポリヒドロキシアミドは、ビスアミノフェノールとジカルボン酸、対応するジカルボン酸クロリド、ジカルボン酸活性エステルなどを反応させて得ることができる。
ポリベンゾオキサゾールは、例えば、上記の方法で得たポリヒドロキシアミドを、加熱あるいは無水リン酸、塩基、カルボジイミド化合物などの化学処理で脱水閉環することで得ることができる。
また、上記脱水閉環の過程で反応時間や反応温度を調整する等、たとえば、ポリイミドを重合した後に、ポリアミド酸やポリベンゾオキサゾール前駆体を引き続き重合させることで共重合体とすることもできる。共重合体は、ブロック共重合体であっても、ランダム共重合体であっても良い。さらに、樹脂(a)は重合終了後にメタノールや水などポリマーに対する貧溶媒中にて沈殿化した後、洗浄、乾燥して得られるものであることがより好ましい。再沈することで、ポリマーの低分子量成分などが除去できるため、組成物の加熱硬化後の機械特性が大幅に向上する。
樹脂(a)は、式(1)〜(4)で表される構造単位の少なくともいずれかを有することが好ましい。これらの構造単位を有する2種以上の樹脂を含有してもよいし、2種以上の構造単位を共重合してもよい。樹脂(a)は、式(1)〜(4)で表される構造単位の少なくともいずれかを3個〜1000個有するものが好ましい。これらの中でも感度の観点で樹脂(a)は、式(1)の構造単位を有することが特に好ましい。樹脂(a)は、樹脂(a)の全構造単位総数100mol%に対して、式(1)で表される構造単位を30mol%以上含むことが好ましく、50mol%以上含むことがより好ましく、70mol%以上含むことがさらに好ましく、90mol%以上含むことが特に好ましい。
Figure 2021155466
式(1)〜(4)中、Rは炭素数1以上100以下の2〜4価の有機基、Rは炭素数1以上100以下の2〜12価の有機基を示す。RおよびRは炭素数1以上100以下の4価の有機基を示し、R、RおよびRは炭素数1以上100以下の2価の有機基を示し、Rは炭素数1以上100以下の3価の有機基を示す。Rは水素原子または炭素数1〜20の1価の炭化水素基、tは0〜2の整数、uは0〜10の整数を表す。
式(1)〜(4)中、R(COOR)t、R、R、およびRは酸または酸誘導体の残基を示す。
(COOR)t、R、R、およびRを構成する酸成分としては、ジカルボン酸の例として、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビフェニルジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、トリフェニルジカルボン酸などが挙げられる。
トリカルボン酸の例として、トリメリット酸、トリメシン酸、ジフェニルエーテルトリカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸などが挙げられる。
テトラカルボン酸の例として、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン酸や、ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族テトラカルボン酸などを挙げることができる。
これらのうち、式(1)においては、トリカルボン酸、テトラカルボン酸のそれぞれ1つまたは2つのカルボキシル基がCOOR基に相当する。これらの酸成分は、そのまま、あるいは酸無水物、活性エステルなどとして使用できる。また、これら2種以上の酸成分を組み合わせて用いてもよい。
式(1)〜(4)中、R(OH)、R、R、およびRは、ジアミンまたはジアミン誘導体の残基を示す。
(OH)、R、R、およびRを構成するジアミン成分の例としては、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メチレン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ)ビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどのヒドロキシル基含有ジアミン、3−スルホン酸−4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどのスルホン酸含有ジアミン、ジメルカプトフェニレンジアミンなどのチオール基含有ジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルなどの芳香族ジアミンや、これらの芳香族環の水素原子の一部を、炭素数1〜10のアルキル基やフルオロアルキル基、ハロゲン原子などで置換した化合物、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン(グアナミン)、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン(アセトグアナミン)、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(ベンゾグアナミン)などの含窒素複素芳香族環を有するジアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(p−アミノフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(p−アミノフェネチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,7−ビス(p−アミノフェニル)−1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサンなどのシリコーンジアミン、シクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミンなどの脂環式ジアミンなどの他、脂肪族ジアミンを用いてもよく、例えば、ポリエチレンオキサイド基を含有するジアミンとして、“ジェファーミン”(登録商標)KH−511、ジェファーミンED−600、ジェファーミンED−900、ジェファーミンED−2003、ジェファーミンEDR−148、ジェファーミンEDR−176、ポリオキシプロピレンジアミンのD−200、D−400、D−2000、D−4000(以上、商品名、HUNTSMAN(株)から入手できる)などを挙げることができる。
これらのジアミンは、そのまま、あるいは対応するジイソシアネート化合物、トリメチルシリル化ジアミンとして使用できる。また、これら2種以上のジアミン成分を組み合わせて用いてもよい。樹脂(a)において耐熱性が要求される用途では、樹脂(a)が、樹脂(a)が中の全ジアミン残基100mol%に対して、芳香族ジアミン残基を50mol%以上有することが好ましい。
式(1)〜(4)のR、R、およびR〜Rは、その骨格中にフェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基などを含むことができる。樹脂(a)が、フェノール性水酸基、スルホン酸基またはチオール基を適度に有することで、樹脂組成物のアルカリ溶解性とパターン形成性を両立することができる。
樹脂(a)は、アルカリ溶解性をもつために構造単位中にフェノール性水酸基を有することが好ましい。樹脂(a)に対するフェノール性水酸基の導入量は、アルカリ溶解性付与の観点で、1.0mol/kg以上が好ましく、1.5mol/kg以上がより好ましく、2.0mol/kg以上がさらに好ましく、2.2mol/kg以上が特に好ましく、硬化膜の耐薬品性の観点で、5.0mol/kg以下が好ましく、4.0mol/kg以下がより好ましく、3.5mol/kg以下がさらに好ましく、3.2mol/kg以下が特に好ましい。
また、樹脂(a)の構造単位中にフッ素原子を有することが好ましい。フッ素原子により、アルカリ現像の際に膜の表面に撥水性が付与され、表面からのしみこみなどを抑えることができる。
樹脂(a)に対する、フッ素原子の含有量は、界面のしみこみ防止効果を十分得るために0.5mol/kg以上が好ましく、また、アルカリ水溶液に対する溶解性の点から20mol/kgが好ましい。
樹脂(a)はSi原子を含有することが好ましい。
また、ポリシロキサン(b)との相溶性を向上させる範囲で、R、RおよびR〜Rの少なくともいずれかにSi原子を有する脂肪族の基を共重合してもよく、基板との接着性を向上させることができる。具体的には、ジアミン成分として、KF−8010、X−22−161A、X−22161B、KF,8012、KF−8008、X−22−1660B−3、X−22−9409(以上、商品名、信越化学工業(株)から入手できる)、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノフェニル)オクタメチルペンタシロキサンなど、酸無水物成分としてはX−22−2290AS、X−22−168A、X−22−168B、X−22−168−P5−B(以上、商品名、信越化学工業(株)から入手できる)などを挙げることが出来る。
また、所望のジアミンが入手できない場合は、公知の方法を用いて合成することができる。例えば、環状シロキサンにヒドロシリル化反応を用いて、オレフィン、ケトン、イミンなどの不飽和結合を有する官能基を側鎖構造として導入することで、置換基を有する環状シロキサンを合成する。その後、触媒量の塩基と末端となるアミンを加えて加熱することで環構造の開裂重合と末端へのアミンの付加し合成できる(高分子論文集、VOl49、No11、943頁参照)。また、ジアルコキシシランを加水分解縮合してポリシロキサンを重合する際に、3−アミノプロピルジメチルメトキシシランのような、アミノ基を有するモノアルコキシシランを末端として導入することでも合成することができるが、これに限らない。この際に所望の側鎖を有するジアルコキシシランが入手できない場合は、ジアルコキシジヒドロシランに前述のヒドロシリル化反応を利用して側鎖構造を導入する方法や、導入したい官能基のBr体にマグネシウムを作用させてグリニャール試薬化し、ジアルコキシジクロロシランやテトラアルコキシシランに付加させる方法でも合成できる。
樹脂(a)へのSi原子の導入量は、ポリシロキサン(b)との相溶性向上の観点で好ましくは0.005mol/kg以上、より好ましくは0.01mol/kg以上、さらに好ましくは0.05mol/kg以上、樹脂(a)内での相溶性向上の観点で、好ましくは10mol/kg以下、より好ましくは5mol/kg以下、さらに好ましくは3mol/kg以下である。
また、樹脂組成物の保存安定性を向上させるため、樹脂(a)は主鎖末端をモノアミン、酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物などの末端封止剤で封止することが好ましい。焼成して得られる樹脂硬化膜の耐薬品性を向上させる目的で、これらの末端封止剤としてアルケニル基またはアルキニル基を少なくとも1個有するモノアミン、酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物を用いることもできる。
末端封止剤として用いられるモノアミンの導入割合は、樹脂(a)中の全アミン成分に対して、好ましくは0.1mol%以上、特に好ましくは5mol%以上であり、好ましくは60mol%以下、特に好ましくは50mol%以下である。末端封止剤として用いられる酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物またはモノ活性エステル化合物の導入割合は、全アミン成分に対して、好ましくは0.1mol%以上、特に好ましくは5mol%以上である。一方、樹脂(a)の分子量を高く維持する点で好ましくは100mol%以下、特に好ましくは90mol%以下である。複数の末端封止剤を反応させることにより、複数の異なる末端基を導入してもよい。
モノアミンとしては、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、2−アミノ−m−クレゾール、2−アミノ−p−クレゾール、3−アミノ−o−クレゾール、4−アミノ−o−クレゾール、4−アミノ−m−クレゾール、5−アミノ−o−クレゾール、6−アミノ−m−クレゾール、4−アミノ−2,3−キシレノール、4−アミノ−3,5−キシレノール、6−アミノ−2,4−キシレノール、2−アミノ−4−エチルフェノール、3−アミノ−4−エチルフェノール、2−アミノ−4−tert−ブチルフェノール、2−アミノ−4−フェニルフェノール、4−アミノ−2,6−ジフェニルフェノールなどが挙げられるが特にこれに限定されない。また、これらを2種以上用いてもよい。
酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸無水物、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物などの酸無水物、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸などのモノカルボン酸類およびこれらのカルボキシル基が酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレンなどのジカルボン酸類の一方のカルボキシル基だけが酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、モノ酸クロリド化合物とN−ヒドロキシベンゾトリアゾールやN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物などが好ましい。これらを2種以上用いてもよい。
樹脂(a)が式(1)で表される構造単位を10個以上1000個以下有することが好ましい。また、樹脂(a)が式(2)〜(4)のいずれかで表される構造単位の合計で3個以上200個以下有することが好ましい。樹脂(a)が式(2)〜(4)の構造をこの範囲で有していれば、厚膜を容易に形成することができる。
樹脂(a)は、式(1)〜(4)のいずれかで表される構造単位のみからなるものであってもよいし、他の構造単位との共重合体であってもよい。その際、樹脂(a)は、樹脂(a)中の全構造単位100mol%に対して、式(1)〜(4)のいずれかで表される構造単位の合計を10mol%以上含有することが好ましく、30mol%以上がより好ましい。共重合に用いられる構造単位の種類および量は、最終加熱処理によって得られる薄膜の機械特性を損なわない範囲で選択することが好ましい。
<ポリシロキサン(b)>
本発明の樹脂組成物はカゴ型構造を含むポリシロキサン(b)(以下、ポリシロキサン(b)と呼ぶ場合がある)を含有する。ポリシロキサン(b)を含有することで樹脂組成物から得られる硬化膜の平坦化性を向上させることができる。
カゴ型構造を含むポリシロキサン(b)とは、公知のカゴ型シルセスキオキサンを指し、例えば下記式で表される、(5−1)略四角柱体における8個の各頂点にSiが存在してなる六面体、(5−2)略五角柱体における10個の各頂点にSiが存在してなる七面体、(5−3)略六角柱体の12個の各頂点にSiが存在してなる八面体等を主骨格としているものであれば特に限定されない。このような、カゴ型の構造のものは合成時に通常残存シラノールが発生せず、得られる薄膜の平坦化性や疎水性に影響を与えないため好ましい。
Figure 2021155466
上記式(5−1)〜(5−3)中、Yは、水素原子、ハロゲン原子、もしくは、ケイ素に炭素原子で結合する、炭素数1〜20の1価の有機基を示す。
また、カゴ型構造を有するポリシロキサンはナノサイズのコンパクトな構造ために、直鎖状のポリマーとは異なり、樹脂(a)等、他のポリマーとの絡み合いが無く、ポリマー鎖間隙への浸透・分散が可能となり樹脂(a)との相溶性を高める事ができる。これにより、樹脂(a)とポリシロキサン(b)が相分離することなく樹脂組成物中に均一に存在でき、その結果、樹脂組成物全体としてシロキサン骨格由来の低温における柔軟性や高温における熱安定性が発現し、高い平坦化性を有する材料とすることができる。
ポリシロキサン(b)の具体例としては、AC−SQ TA−100、MAC−SQ TM−100、AC−SQ SI−20、MAC−SQ SI−20、MAC−SQ HDM、OX−SQ TX−100、OX−SQ SI−20、OX−SQ HDX(以上、商品名、東亞合成(株)から入手できる)、MA0736、EP0408、EP0409、EP0435、EP3F09.01、MA0435、OL1170(以上、商品名、Hybrid Plastics, Incから入手できる)などが挙げられる。
ポリシロキサン(b)の合成方法としては公知の方法を用いることができる。例えば、市販のトリアルコシキシランを窒素気下で少量の酸またはアルカリ触媒を用いて加水分解縮合させることで反応進行中に窒素により触媒が系中に排出され縮合速度が低下し、縮合が安定化し、ゲル化すること無くカゴ型構造を含むポリシロキサンを合成する方法や、塩化鉄存在下でトリクロロシランの加水分解により合成する方法がある。また、所望のトリアルコキシシランが入手できない場合は、ヒドロシリル化反応を利用して合成することができる。具体的には、トリアルコキシヒドロシランに、フェノール性水酸基など所望の官能基を有するオレフィン、ケトン、イミンなどの化合物を、白金触媒を用いて反応させて合成する。その後、同様に加水分解縮合してポリシロキサンが得られるが、これに限らない。
ポリシロキサン(b)における(メタ)アクリロイル基、メチロール基、エポキシ基、およびオキセタニル基の合計の割合が、該ポリシロキサン(b)のSi原子の総量100mol%に対して、50mol%以上100mol%以下である。この範囲とすることで、アミン系など薬品を用いた薬液処理に対して十分な耐薬品性を付与することができる。また、耐薬品性向上の観点で、好ましくは60mol%以上、より好ましくは70mol%以上、さらに好ましくは80mol%以上である。
ポリシロキサン(b)がオキセタニル基を有するポリシロキサン(b−1)を含有する事が好ましい。オキセタニル基を有するポリシロキサン(b−1)を含有することで、前述の耐薬品性付与に加えて加熱硬化時の脱離成分膜収縮が小さくなり、平坦性が向上する。
オキセタニル基を有するポリシロキサン(b−1)におけるオキセタニル基の割合が、オキセタニル基を有するポリシロキサン(b−1)のSi原子の総量100mol%に対して、平坦性向上の観点で、好ましくは60mol%以上、より好ましくは70mol%以上、さらに好ましくは80mol%以上である。
ポリシロキサン(b)の含有量は、樹脂(a)100質量部に対して、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは2〜40質量部、さらに好ましくは3〜30質量部、特に好ましくは5〜20質量部である。ポリシロキサン(b)の含有量を、樹脂(a)に対してこの範囲とすることで硬化膜の耐薬品性を向上させることができ、平坦化性も向上させることができるため好ましい。
<感光剤>
本発明の樹脂組成物は感光剤を含有することができる。
感光剤としては、光酸発生剤や、光重合開始剤およびエチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物の組み合わせが挙げられる。光酸発生剤を含有することで、光照射部に酸が発生して光照射部のアルカリ水溶液に対する溶解性が増大し、光照射部が溶解するポジ型のパターンを得ることができる。
また、光酸発生剤とエポキシ化合物または後述する熱架橋剤を含有することで、光照射部に発生した酸がエポキシ化合物や熱架橋剤の架橋反応を促進し、光照射部が不溶化するネガ型のパターンを得ることができる。また、光重合開始剤およびエチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物を含有することで、ラジカル照射部に発生した活性ラジカルがエチレン性不飽和結合のラジカル重合を進行させ、光照射部が不溶化するネガ型のパターンを得ることができる。
樹脂組成物は、感光剤として光酸発生剤を含み、ポジ型の感光性を示すものが好ましい。ポジ型感光性樹脂組成物は、露光・現像工程により微細パターンを得た後、焼成することにより、順テーパー形状のパターンを容易に形成することができる。この順テーパー形状パターンは、有機EL表示装置の絶縁膜として用いる際に上部電極の被覆性に優れ、断線を防止し有機EL表示装置の信頼性を高めることができる。
光酸発生剤としては、キノンジアジド化合物、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩などが挙げられる。
<キノンジアジド化合物(c)>
本発明の樹脂組成物は、キノンジアジド化合物(c)(以下、化合物(c)と呼ぶ場合がある)を含有することが好ましい。
化合物(c)としては、フェノール性水酸基を有する化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステルで結合したもの、ポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がスルホンアミド結合したもの、ポリヒドロキシポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステル結合および/またはスルホンアミド結合したものなどが挙げられる。これらフェノール性水酸基を有する化合物やポリアミノ化合物の官能基全体の50mol%以上がキノンジアジドで置換されていることが好ましい。また、光酸発生剤を2種以上含有することが好ましく、高感度な樹脂組成物を得ることができる。
ここで用いられるフェノール性水酸基を有する化合物としては、Bis−Z、BisP−EZ、TekP−4HBPA、TrisP−HAP、TrisP−PA、TrisP−SA、TrisOCR−PA、BisOCHP−Z、BisP−MZ、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisOCP−IPZ、BisP−CP、BisRS−2P、BisRS−3P、BisP−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PCHP、DML−PC、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP,DML−POP、ジメチロール−BisOC−P、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MTrisPC、TriML−P、TriML−35XL、TML−BP、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP、HML−TPPHBA、HML−TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)から入手できる)、BIR−OC、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−PCHP、BIP−BIOC−F、4PC、BIR−BIPC−F、TEP−BIP−A、46DMOC、46DMOEP、TM−BIP−A(以上、商品名、旭有機材工業(株)から入手できる)、2,6−ジメトキシメチル−4−tert−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾール、ナフトール、テトラヒドロキシベンゾフェノン、没食子酸メチルエステル、ビスフェノールA、ビスフェノールE、メチレンビスフェノール、BisP−AP(以上、商品名、本州化学工業(株)から入手できる)などの化合物が挙げられる。
化合物(c)の好適な例として、これらのフェノール性水酸基を有する化合物に4−ナフトキノンジアジドスルホン酸あるいは5−ナフトキノンジアジドスルホン酸をエステル結合で導入したものを挙げることができるが、これら以外の化合物を使用することもできる。
4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のi線領域に吸収を持っており、i線露光に適している。5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のg線領域まで吸収が伸びており、g線露光に適している。本発明は、4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物、5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物のどちらも好ましく使用することが出来るが、露光する波長によって4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物、または5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を選択することが好ましい。また、同一分子中に4−ナフトキノンジアジドスルホニル基、5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を併用した、ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を得ることもできるし、4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を混合して使用することもできる。
上記ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は、フェノール性水酸基を有する化合物と、ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物とのエステル化反応によって、合成することが可能であって、公知の方法により合成することができる。
化合物(c)の含有量は、樹脂(a)100質量部に対して、パターン形成の観点で、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上で、加熱硬化時の収縮低減の観点で、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下、特に好ましくは20質量部以下である。
<光重合開始剤>
本発明の樹脂組成物は、公知の光重合開始剤を含有してもよい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンジルケタール系光重合開始剤、α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤、α−アミノケトン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤、アクリジン系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、芳香族ケトエステル系光重合開始剤又は安息香酸エステル系光重合開始剤が好ましく、露光時の感度向上の観点から、α−ヒドロキシケトン系光重合開始剤、α−アミノケトン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤、アクリジン系光重合開始剤又はベンゾフェノン系光重合開始剤がより好ましく、α−アミノケトン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤がさらに好ましい。
光重合開始剤の含有量は、樹脂(a)100質量部において、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、0.7質量部以上がさらに好ましく、1質量部以上が特に好ましい。光重合開始剤の含有量が上記範囲内であると、露光時の感度を向上させることができる。一方、光重合開始剤の含有量は、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、17質量部以下がさらに好ましく、15質量部以下が特に好ましい。光重合開始剤の含有量が上記範囲内であると、現像後の解像度を向上させることができるとともに、低テーパーのパターン形状を得ることができる。
<ラジカル重合性化合物>
本発明の樹脂組成物は、光重合開始剤を含む場合は、さらに、公知のラジカル重合性化合物を含有することが好ましい。
ラジカル重合性化合物とは、分子中に2以上のエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物をいう。露光時、前述の光重合開始剤から発生するラジカルによって、ラジカル重合性化合物のラジカル重合が進行し、樹脂組成物の膜の露光部がアルカリ現像液に対して不溶化することで、ネガ型のパターンを形成することができる。
ラジカル重合性化合物を含有させることで、露光時のUV硬化が促進されて、露光時の感度を向上させることができる。加えて、熱硬化後の架橋密度が向上し、硬化膜の硬度を向上させることができる。
ラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合の進行しやすい、(メタ)アクリル基を有する化合物が好ましい。露光時の感度向上及び硬化膜の硬度向上の観点から、(メタ)アクリル基を分子内に二つ以上有する化合物がより好ましい。ラジカル重合性化合物の二重結合当量としては、露光時の感度向上及び硬化膜の硬度向上の観点から、80〜400g/molが好ましい。
<アルキレンオキサイド鎖構造を有する化合物(d)>
本発明の樹脂組成物は、アルキレンオキサイド鎖構造を有する化合物(d)(以下、化合物(d)と呼ぶ場合がある)を含有することが好ましい。
樹脂組成物に化合物(d)を含有させることでキュア時のリフロー性が向上し平坦化性に優れた硬化膜を得ることができる。
化合物(d)の構造は、式(6)で表される物が好ましい。
Figure 2021155466
上記一般式(6)中、nおよびpは、それぞれ独立に1〜20の整数、mおよびqは、m+p=1〜40を満たす正の整数を示す。R10、およびR12はそれぞれ独立に、水素原子、−OH基、−SH基、COOH基または置換されていてもよい炭素数1〜20の1価の有機基を示す。R11は、単結合または置換されていてもよい炭素数1〜20の2価の有機機を示す。
化合物(d)の分子量は、5000以下であることが好ましい。分子量が5000以下であることで、樹脂(a)および/またはポリシロキサン(b)と相溶性がよく、平坦化性を向上させる。また、分子量は200以上であることが、熱重量減少を小さくする点、およびキュア時における膜収縮を小さくする点から好ましい。
化合物(d)の具体例としては、ポリエチレングリコール#300、ポリエチレングリコール#400、ポリエチレングリコール#600、ポリエチレングリコール#1000、ポリエチレングリコール#1500(以上、商品名、ナカライテスク(株)から入手できる)、IAA、EC−A、MTG−A、EHDG−AT、130A、PO−A、P2H−A、P−200A、HOA−HH(N)、BA−104、P−1A(N)、3EG−A、4EG−A、9EG−A、14EG−A、1.6HX−A、1.9HX−A、DCP−A、G−201P、TMP−A、NP−A、MPD−A、BP−4EAL、BP−4PA、G−201P、TMP−A、PE−3A、PE−4A、DP−6A、BP−10EA、BP−6EM(以上、ライトアクリレートシリーズ商品名、共栄化学(株)から入手できる)、M−1230、40E、100E、200E、400E、200P、400P、4000(以上、エポライトシリーズ商品名、共栄化学(株)から入手できる)、BA2、BA4JU、BA6U(以上、商品名、日本乳化剤(株)から入手できる)、FA−124AS、FA−129AS、FA−222A、FA−222A、FA−321A、FA−124M、FA−220M、FA−240M、FA−321M、FA−3218M、FA−512AS、FA−310A、FA−310M(以上、商品名、日立化成(株)から入手できる)、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ブチン、テレフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル)、フタル酸ビス(2−メトキシエチル)(以上、商品名、東京化成(株)から入手できる)などが好ましい。
化合物(d)の含有量は、樹脂(a)成分100質量部に対して、平坦化性向上の観点から好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上、パターン形成の観点から、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは35質量部以下であることが好ましい。化合物(d)の含有量は、樹脂(a)に対してこの範囲内であれば、ポジ型感光性樹脂組成物のキュア後のパターン形状を保ち、平坦化性をより向上させることができる。
<架橋剤>
本発明の樹脂組成物は、さらに熱架橋剤を含有することができる。
熱架橋剤とは、ポリシロキサン(b)以外のアルコキシメチル基、メチロール基、エポキシ基、オキセタニル基をはじめとする熱反応性の官能基を分子内に少なくとも2つ有する化合物を指す。ポリシロキサン(b)以外にSi−0結合を含まない熱架橋剤を樹脂組成物に添加することで、樹脂組成物の相溶性を維持しつつ、樹脂またはその他添加成分と架橋し、熱硬化後の膜の耐薬品性をさらに高めることができる。
アルコキシメチル基またはメチロール基を少なくとも2つ有する化合物の好ましい例としては、例えば、DMOM−PC、TriML−P、TMOM−BP、HML−TPPHBA、HMOM−TPPHBA、(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、NIKALAC MX−270、(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)など公知のものが挙げられる。
エポキシ基またはオキセタニル基を有する化合物としては、“エポライト”(登録商標)40E、“エポライト”100E、“エポライト”200E、(以上商品名、共栄社化学(株)製)、VG3101L(商品名、(株)プリンテック製)、“テピック”(登録商標)S、“テピック”G、“テピック”P(以上商品名、日産化学工業(株)製)、OXT−121、OXT−221、OX−SQ−H、OXT−191、PNOX−1009、RSOX(以上商品名、東亜合成(株)製)、など公知のものが挙げられる。
熱架橋剤の含有量は、樹脂(a)100質量部に対して、5質量部以上であると、架橋密度が高くなり、耐薬品性が向上するため好ましい。さらに10質量部以上であるとより高い機械特性が得られる。一方、組成物の保存安定性、機械強度の観点から、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましい。
<フェノール化合物>
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を奏する範囲においてアルカリ現像性を補う目的で、フェノール性水酸基を有する化合物を含有することができる。フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、Bis−Z、BisOC−Z、BisOPP−Z、BisP−CP、Bis26X−Z、BisOTBP−Z、BisOCHP−Z、BisOCR−CP、BisP−MZ、BisP−EZ、Bis26X−CP、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisCRIPZ、BisOCP−IPZ、BisOIPP−CP、Bis26X−IPZ、BisOTBP−CP、TekP−4HBPA(テトラキスP−DO−BPA)、TrisPHAP、TrisP−PA、TrisP−PHBA、TrisP−SA、TrisOCR−PA、BisOFP−Z、BisRS−2P、BisPG−26X、BisRS−3P、BisOC−OCHP、BisPC−OCHP、Bis25X−OCHP、Bis26X−OCHP、BisOCHP−OC、Bis236T−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X、BisRS−OCHP、(以上、商品名、本州化学工業(株)から入手できる)、BIR−OC、BIP−PCBIR−PC、BIR−PTBP、BIR−PCHP、BIP−BIOC−F、4PC、BIR−BIPC−F、TEP−BIP−A(以上、商品名、旭有機材工業(株)から入手できる)、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシキノリン、2,6−ジヒドロキシキノリン、2,3−ジヒドロキシキノキサリン、アントラセン−1,2,10−トリオール、アントラセン−1,8,9−トリオール、8−キノリノールなどが挙げられる。これらのフェノール性水酸基を有する化合物を含有することで、得られる樹脂組成物は、露光前はアルカリ現像液にほとんど溶解せず、露光すると容易にアルカリ現像液に溶解するために、現像による膜減りが少なく、かつ短時間で現像が容易になる。そのため、感度が向上しやすくなる。
このようなフェノール性水酸基を有する化合物は、樹脂(a)100質量部に対して、1質量部以下が好ましい。
<着色剤>
本発明の樹脂組成物は、さらに、着色剤を含有してもよい。
着色剤とは、特定波長の光を吸収する化合物であり、特に、可視光線の波長(380〜780nm)の光を吸収することで、着色する化合物をいう。
着色剤を含有させることで、樹脂組成物から得られる膜を着色させることができ、樹脂組成物の膜を透過する光、又は、樹脂組成物の膜から反射する光を、所望の色に着色させる、着色性を付与することができる。また、樹脂組成物の膜を透過する光、又は、樹脂組成物の膜から反射する光から、着色剤が吸収する波長の光を遮光する、遮光性を付与することができる。
着色剤としては、可視光線の波長の光を吸収し、白、赤、橙、黄、緑、青又は紫色に着色する化合物が挙げられる。二色以上を組み合わせることで、樹脂組成物の所望の樹脂組成物の膜を透過する光、又は、樹脂組成物の膜から反射する光を、所望の色座標に調色する、調色性を向上させることができる。
<溶剤>
本発明の樹脂組成物は、溶剤を含有することができる。
溶剤の好ましい例としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの極性の非プロトン性溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートなどのエステル類、乳酸エチル、乳酸メチル、ジアセトンアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
溶剤の含有量は、樹脂(a)100質量部に対して、樹脂溶解の観点で、好ましくは70質量部以上、より好ましくは100質量部以上であり、適度な膜厚を得る観点で、好ましくは2500質量部以下、より好ましくは2000質量部以下である。
<密着改良剤>
本発明の樹脂組成物は、密着改良剤を含有することができる。
密着改良剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、チタンキレート剤、アルミキレート剤、芳香族アミン化合物とアルコキシ基含有ケイ素化合物を反応させて得られる化合物などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。密着改良剤を含有することにより、感光性樹脂膜を現像する場合などに、シリコンウエハ、ITO、SiO、窒化ケイ素などの下地基板との密着性を高めることができる。また、洗浄などに用いられる酸素プラズマ、UVオゾン処理に対する耐性を高めることができる。
密着改良剤の含有量は、樹脂(a)100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下が好ましい。
<界面活性剤>
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて基板との濡れ性を向上させたり、樹脂膜の膜厚均一性を向上させたりする目的で、界面活性剤を含有することができる。
界面活性剤は市販の化合物を用いることができ、具体的にはシリコーン系界面活性剤としては、東レ・ダウコーニング(株)のSHシリーズ、SDシリーズ、STシリーズ、ビックケミー・ジャパン(株)のBYKシリーズ、信越化学工業(株)のKPシリーズ、日油(株)のディスフォームシリーズ、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社のTSFシリーズなどが挙げられ、フッ素系界面活性剤としては、DIC(株)の“メガファック”(登録商標)シリーズ、スリーエム ジャパン(株)のフロラードシリーズ、旭硝子(株)の“サーフロン”(登録商標)シリーズ、“アサヒガード”(登録商標)シリーズ、三菱マテリアル電子化成(株)のEFシリーズ、オムノバ・ソリューションズ社のポリフォックスシリーズなどが挙げられ、アクリル系および/またはメタクリル系の重合物からなる界面活性剤としては、共栄社化学(株)のポリフローシリーズ、楠本化成(株)の“ディスパロン”(登録商標)シリーズなどが挙げられる。
界面活性剤の含有量は、樹脂(a)100質量部に対して0.001質量部以上1質量部以下が好ましい。上述の範囲とすることで、気泡やピンホールなどの不具合を生じることなく、基板との濡れ性や樹脂膜の膜厚均一性を高めることができる。
<熱酸発生剤>
本発明の樹脂組成物は、公知の熱酸発生剤を含有してもよい。熱酸発生剤は、加熱により酸を発生し、熱架橋剤の架橋反応を促進する他、樹脂(a)に未閉環のイミド環構造、オキサゾール環構造を有している場合はこれらの環化を促進し、硬化膜の機械特性をより向上させることができる。
熱酸発生剤の熱分解開始温度は、50℃〜270℃が好ましく、250℃以下がより好ましい。また、本発明の樹脂組成物を基板に塗布した後の乾燥(プリベーク:約70〜140℃)時には酸を発生せず、その後の露光、現像でパターニングした後の最終加熱(キュア:約100〜500℃)時に酸を発生するものを選択すると、現像時の感度低下を抑制できるため好ましい。
熱酸発生剤から発生する酸は強酸が好ましく、例えば、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などのアリールスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸やトリフルオロメチルスルホン酸などのハロアルキルスルホン酸などが好ましい。これらはオニウム塩のような塩として、またはイミドスルホナートのような共有結合化合物として用いられる。これらを2種以上含有してもよい。
熱酸発生剤の含有量は、樹脂(a)100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下が好ましい。上述の範囲とすることで、高い耐熱性を維持した上で上述の熱酸発生剤添加による効果を発現させることができる。
<その他成分>
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を奏する範囲において分散剤、増感剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、無機粒子等を適宜含有してもよい。
<樹脂組成物の製造方法>
次に、本発明の樹脂組成物の製造方法について説明する。例えば、前記樹脂(a)およびポリシロキサン(b)成分と、必要により、化合物(c)、化合物(d)、架橋剤、フェノール性水酸基を有する化合物、界面活性剤、熱酸発生剤などを有機溶媒に混合させることにより、樹脂組成物を得ることができる。混合方法としては、撹拌や加熱が挙げられる。加熱する場合、加熱温度は樹脂組成物の性能を損なわない範囲で設定することが好ましく、通常、室温〜80℃である。また、各成分の混合順序は特に限定されず、例えば、溶解性の低い化合物から順次溶解させる方法が挙げられる。
得られた樹脂組成物は、濾過フィルターを用いて濾過し、ゴミや粒子を除去することが好ましい。フィルター孔径は、例えば0.5μm、0.2μm、0.1μm、0.07μm、0.05μm、0.02μmなどがあるが、これらに限定されない。濾過フィルターの材質には、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン(NY)、ポリテトラフルオロエチエレン(PTFE)などがあり、ポリエチレンやナイロンが好ましい。
<硬化膜>
本発明の硬化膜は、樹脂組成物を硬化した硬化膜である。
硬化膜は、樹脂組成物を加熱硬化することで得られる。加熱硬化の方法はホットプレート、オーブン、赤外線を用いる方法等の公知の方法を用いることができる。加熱硬化温度は、硬化膜の耐熱性向上の観点で、200℃以上が好ましく、220℃以上がより好ましく、230℃以上がさらに好ましく、240℃以上が特に好ましい。一方、硬化膜の膜靭性を向上させる観点から、400℃以下が好ましく、350℃以下がより好ましく、320℃以下がさらに好ましい。この温度範囲において、段階的に昇温してもよいし、連続的に昇温してもよい。加熱硬化時間は、硬化膜の耐熱性向上の観点から、30分間以上が好ましい。また、硬化膜の膜靭性を向上させる観点から3時間以下が好ましい。例えば、150℃、250℃で各60分間ずつ熱処理する方法や、室温から250℃まで2時間かけて直線的に昇温しながら熱処理する方法などが挙げられる。
<硬化膜の製造方法>
次に、本発明の樹脂組成物を硬化した硬化膜を製造する方法について説明する。
硬化膜を製造する方法は、樹脂組成物を基板上に塗布し樹脂膜を形成する工程、該樹脂膜を乾燥する工程、樹脂膜を加熱処理する工程を含む。
まず、樹脂組成物を基板上に塗布し樹脂膜を形成する工程について説明する。
塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スリットコート法、ディップコート法、スプレーコート法、印刷法などが挙げられる。これらの中でも、少量の塗布液で塗布を行うことができる、コスト低減に有利であることから、スリットコート法が好ましい。スリットコート法に必要とされる塗布液の量は、例えば、スピンコート法と比較すると、1/5〜1/10程度である。塗布に用いるスリットコーターとしては、例えば、(株)SCREENファインテックソリューションズ製「リニアコーター」、東京応化工業(株)製「スピンレス」、東レエンジニアリング(株)製「TSコーター」、中外炉工業(株)製「テーブルコータ」、東京エレクトロン(株)製「CSシリーズ」「CLシリーズ」、サーマトロニクス貿易(株)製「インライン型スリットコーター」、平田機工(株)製「ヘッドコーターHCシリーズ」などを選択することができる。スリットコーターを用いる場合の塗布速度は、10mm/秒〜400mm/秒の範囲であればよい。樹脂膜の膜厚は、樹脂組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が0.1〜10μm、好ましくは0.3〜5μmになるように塗布される。
基板としてはシリコン、セラミックス類、ガリウムヒ素などのウエハ、または、その上に金属が電極、配線として形成されているものが用いられるが、これらに限定されない。
塗布に先立ち、樹脂組成物を塗布する基板を、予め前述した密着改良剤で前処理してもよい。前処理方法としては、例えば、密着改良剤をイソプロパノール、エタノール、メタノール、水、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、アジピン酸ジエチルなどの溶媒に0.5〜20質量%溶解させた溶液を用いて、基板表面を処理する方法が挙げられる。基板表面の処理方法としては、スピンコート法、スリットダイコート法、バーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、蒸気処理法などの方法が挙げられる。
次に基板上に樹脂膜を乾燥する工程について説明する。
乾燥方法はホットプレート、オーブン、赤外線などを使用する方法など公知の方法を行うことができる。また、樹脂膜を形成した基板ごと減圧乾燥してもよい。加熱温度および加熱時間は樹脂膜の種類や目的により様々であるが、加熱温度は50℃〜180℃、加熱時間は1分間〜数時間が好ましい。
次に、樹脂組成物が感光性を有する場合の樹脂膜を露光する露光する工程について説明する。
樹脂組成物が感光性を有する場合には、所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射することにより露光し、現像することにより、所望のパターンを形成することができる。
露光に用いられる化学線としては、紫外線、可視光線、電子線、X線などが挙げられる。本発明においては、水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いることが好ましい。ポジ型の感光性を有する場合、露光部が現像液に溶解する。ネガ型の感光性を有する場合、露光部が硬化し、現像液に不溶化する。
次に、樹脂組成物が感光性を有する場合の露光された樹脂膜を現像する工程について説明する。
ポジ型の場合は露光部を、現像液により除去することによって所望のパターンを形成する。ネガ型の場合は未露光部を、現像液により除去することによって所望のパターンを形成する。現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。これらのアルカリ水溶液に、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを1種以上添加してもよい。現像方式としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が挙げられる。
次に、現像によって形成したパターンを、純水によりリンス処理することが好ましい。エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを純水に加えてリンス処理してもよい。
現像後の樹脂膜を加熱硬化することにより、硬化膜を得ることができる。加熱硬化することにより、耐熱性の低い成分を除去できるため、耐熱性および耐薬品性をより向上させることができる。加熱硬化温度は、硬化膜の耐熱性向上の観点で、200℃以上が好ましく、220℃以上がより好ましく、230℃以上がさらに好ましく、240℃以上が特に好ましい。一方、硬化膜の膜靭性を向上させる観点から、400℃以下が好ましく、350℃以下がより好ましく、320℃以下がさらに好ましい。この温度範囲において、段階的に昇温してもよいし、連続的に昇温してもよい。加熱硬化時間は、硬化膜の耐熱性向上の観点から、30分間以上が好ましい。また、硬化膜の膜靭性を向上させる観点から3時間以下が好ましい。例えば、150℃、250℃で各60分間ずつ熱処理する方法や、室温から250℃まで2時間かけて直線的に昇温しながら熱処理する方法などが挙げられる。
<有機EL表示装置>
本発明の有機EL表示装置は、基板上に、駆動回路、平坦化層、第1電極、絶縁層、発光層および第2電極を有し、平坦化層および/または絶縁層が本発明の硬化膜を含む。アクティブマトリックス型の表示装置を例に挙げると、ガラスや樹脂フィルムなどの基板上に、TFTと、TFTの側方部に位置しTFTと接続された配線とを有し、その上に凹凸を覆うようにして平坦化層を有し、さらに平坦化層上に表示素子が設けられている。表示素子と配線とは、平坦化層に形成されたコンタクトホールを介して接続される。本発明の感光性樹脂組成物を硬化した硬化物は平坦化性とパターン寸法安定性に優れるため、平坦化層に好ましく用いられる。特に、近年、有機EL表示装置のフレキシブル化が主流になっており、前述の駆動回路を有する基板が樹脂フィルムからなる有機EL表示装置であってもよい。
図1に有機EL表示装置の一例の断面図を示す。基板6上に、ボトムゲート型またはトップゲート型のTFT(薄膜トランジスタ)1が行列状に設けられており、このTFT1を覆う状態で絶縁層3が形成されている。また、この絶縁層3上にTFT1に接続された配線2が設けられている。さらに絶縁層3上には、配線2を埋め込む状態で平坦化層4が設けられている。平坦化層4には、配線2に達するコンタクトホール7が設けられている。そして、このコンタクトホール7を介して、配線2に接続された状態で、平坦化層4上にITO(透明電極)5が形成されている。ここで、ITO5は、表示素子(例えば有機EL素子)の電極となる。そしてITO5の周縁を覆うように絶縁層8が形成される。有機EL装置は、基板6と反対側から発光光を放出するトップエミッション型でもよいし、基板6側から光を取り出すボトムエミッション型でもよい。さらにその上には有機EL層9と第二電極10が形成される。このようにして、各有機EL装置にこれを駆動するためのTFT1を接続したアクティブマトリックス型の有機EL表示装置が得られる。
かかる絶縁層3、平坦化層4および/または絶縁層8は、前述の通り本発明の樹脂組成物からなる感光性樹脂組成物を基板に塗布して感光性樹脂膜を形成する工程、該感光性樹脂膜を乾燥する工程、乾燥した感光性樹脂膜を露光する工程、露光した感光性樹脂膜を現像する工程および現像した感光性樹脂膜を加熱処理して硬化物を得る工程により形成することができる。これらの工程を有する製造方法より、有機EL表示装置を得ることができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、ファンアウトウエハレベルパッケージ(ファンアウトWLP)にも好適に用いられる。ファンアウトWLPは、半導体チップの周辺にエポキシ樹脂等の封止樹脂を用いて拡張部分を設け、半導体チップ上の電極から該拡張部分まで再配線を施し、拡張部分にもはんだボールを搭載することで必要な端子数を確保した半導体パッケージである。ファンアウトWLPにおいては、半導体チップの主面と封止樹脂の主面とが形成する境界線を跨ぐように配線が設置される。すなわち、金属配線が施された半導体チップおよび封止樹脂という2種以上の材料で構成される基材の上に層間絶縁膜が形成され、該層間絶縁膜の上に配線が形成される。これ以外にも、半導体チップをガラスエポキシ樹脂基板に形成された凹部に埋め込んだタイプの半導体パッケージでは、半導体チップの主面とプリント基板の主面との境界線を跨ぐように配線が設置される。この態様においても、2種以上の材料で構成される基材の上に層間絶縁膜が形成され、該層間絶縁膜の上に配線が形成される。本発明の感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化物は、金属配線が施された半導体チップに高い密着力を有するとともに、エポキシ樹脂等へ封止樹脂にも高い密着力を有するため、2種以上の材料で構成される基材の上に設ける層間絶縁膜として好適に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。まず、各実施例および比較例における樹脂組成物(以下、ワニスとも記載する)の評価方法について説明する。
合成例、実施例、比較例に示す酸二無水物、ジアミン、その他試薬の略記号の名称は下記の通りである。
BAHF:2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン
DFA:N、N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール
GBL:γ−ブチロラクトン
GMA:メタクリル酸グリシジル
SiDA:1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン
MAA:メタクリル酸
MAP:3−アミノフェノール;メタアミノフェノール
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
ODPA:4,4’−オキシジフタル酸二無水物
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
STR:スチレン
TCDM:メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.0]デカン−8−イル;ジメチ
ロール−トリシクロデカンジメタアクリレート
TMAH:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液。
(1)相溶性評価
実施例および比較例で作製したワニスを、塗布現像装置を用いて、5cm×5cmのガラス基板上にスピンコート法によりスピンコーター(Opticoat MS−B150;ミカサ(株)製)で回転塗布し、120℃2分間ベークをして膜厚約2.0μmのプリベーク膜を作製した。得られたプリベーク膜のヘーズを分光式ヘーズメータ((株)村上色彩技術研究所製HSP−150Vis)でヘーズ測定規格(ISO14782)を満たす条件で測定した。プリベーク膜のヘーズが0以上、0.5%未満のものをきわめて良好(5点)、0.5%以上、5%未満のものを良好(4点)、5%以上、15%未満のものを良好(3点)、15%以上、20%未満のものを(2点)、20%以上のものを不良(1点)と判定した。
(2)平坦化性評価
図2に平坦性評価サンプルの断面図を示す。実施例および比較例で作製したワニスを、塗布現像装置(東京エレクトロン(株)製ACT−8)を用いて、厚さ1.2μm、幅5μmラインパターンが、5μm間隔で平行に5本パターニングされている段差基板15上にスピンコート法により塗布し、120℃で2分間ベークをして膜厚約3.7μmのプリベーク膜を作製した。その後、前記ACT−8の現像装置を用いて、2.38質量%のTMAHを現像液として、膜減り量が0.5μmになるまで現像した後、純水でリンスを行い、振り切り乾燥し、膜厚約3.2μmの現像膜を得た。続いて、現像膜を、高温イナートガスオーブン(INH−9CD−S;光洋サーモシステム(株)製)を用いて、酸素濃度20ppm以下で5℃/分で250℃まで昇温し、250℃で1時間加熱処理するキュア工程を行い、膜厚約2.5μmの硬化膜を作製した。得られた硬化膜の表面段差を表面プロファイラー(P・15;ケーエルエー・テンコール株式会社)で測定し、h1〜h3の平均値を表面段差hとした。キュア工程後の表面段差hが、0.1μm未満のものをきわめて良好(5点)、0.1μm以上0.25μm未満のものを良好(4点)、0.25μm以上0.4μm未満のものを良好(3点)、0.4μm以上0.5μm未満のものを不良(2点)、0.5μm以上のものを不良(1点)と判定した。
(3)耐薬品性
実施例および比較例で作製したワニスを、塗布現像装置(東京エレクトロン(株)製ACT−8)を用いて、8インチシリコンウエハ上にスピンコート法により塗布し、120℃で2分間ベークをして膜厚約2.4μmのプリベーク膜を作製した。続いて、現像膜を、高温イナートガスオーブン(INH−9CD−S;光洋サーモシステム(株)製)を用いて、酸素濃度20ppm以下で5℃/分で250℃まで昇温し、250℃で1時間加熱処理するキュア工程を行い、膜厚が約1.8μmとなる硬化膜1を作製した。この硬化膜1付きシリコンウエハを、60℃の2−(2−アミノエトキシ)エタノール/NMP/N−メチルホルムアミド/ジメチルアセトアミド=10/15/30/50(重量比)の混合溶液に硬化膜を30秒間浸漬させた。純水に30秒浸漬させて洗浄し、高温イナートガスオーブン(INH−9CD−S;光洋サーモシステム(株)製)を用いて、酸素濃度20ppm以下で5℃/分の昇温条件で250℃まで昇温しながら加熱し、さらに250℃で1時間再焼成し、硬化膜2を得た。硬化膜1および硬化膜2の膜厚を測定し、硬化膜1に対する硬化膜2の膜厚変化量を算出した。膜厚変化量が小さいほど耐薬品性は良好である。膜厚変化量が0.15μm未満のものをきわめて良好(5点)、0.15μm以上0.30μm未満のものを良好(4点)、0.30μm以上0.45μm未満のものを良好(3点)、0.45μm以上0.6μm未満のものを不良(2点)、0.6μm以上のものを不良(1点)とした。
[合成例1]ジアミン化合物(HA)の合成
2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン164.8g(0.45mol)をアセトン900mL、プロピレンオキシド156.8g(2.7mol)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここに3−ニトロベンゾイルクロリド183.7g(0.99mol)をアセトン900mLに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させ、その後室温に戻した。析出した白色固体を濾別し、50℃で真空乾燥した。
固体270gを3Lのステンレスオートクレーブに入れ、メチルセロソルブ2400mLに分散させ、5%パラジウム−炭素を5g加えた。ここに水素を風船で導入して、還元反応を室温で行なった。2時間後、風船がこれ以上しぼまないことを確認して反応を終了させた。反応終了後、濾過して触媒であるパラジウム化合物を除き、ロータリーエバポレーターで濃縮し、下記式で表されるジアミン化合物(以下、HAとも記載する)を得た。
Figure 2021155466
[合成例2]ポリイミド前駆体樹脂(A−1)の合成
乾燥窒素気流下、ODPA155.1g(0.5mol)をNMP2000gに溶解させた。次に、BAHF128.1g(0.35mol)とSiDA6.2g(0.025mol)をNMP100gとともに加えて、40℃で2時間反応させた。ここに、末端封止剤としてMAP27.3g(0.25mol)をNMP5gとともに加え、40℃で2時間反応させた。DFA143g(1.2mol)をNMP100gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、50℃で3時間撹拌した。撹拌終了後、溶液を室温まで冷却した後、溶液を水6Lに投入して白色沈殿を得た。この沈殿を濾過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で24時間乾燥し、目的のポリイミド前駆体樹脂(A−1)を得た。
[合成例3]ポリイミド―ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂(A−2)の合成
乾燥窒素気流下、ODPA31.0g(0.1mol)をNMP500gに溶解させた。ここに合成例1で得られたジアミン化合物HA45.4g(0.075mol)とSiDA1.3g(0.005mol)をNMP100gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で2時間反応させた。次に末端封止剤としてMAP4.4g(0.04mol)をNMP5gとともに加え、50℃で2時間反応させた。その後、DFA28.6g(0.28mol)をNMP100gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、50℃で3時間撹拌した。撹拌終了後、溶液を室温まで冷却した後、溶液を水6Lに投入して白色沈殿を得た。この沈殿を濾過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で24時間乾燥し、目的のポリイミド―ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂(A−2)を得た。
[合成例4]ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂(A−3)の合成
乾燥窒素気流下、BAHF31.0g(0.1mol)、SiDA1.3g(0.005mol)、および末端封止剤として、4−アミノフェノール3.3g(0.03mol)をNMP500gに溶解させた。この液を氷浴および撹拌しながら、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド28.0g(0.095mol)をNMP400gに溶解させた液を、30分かけて滴下し、さらに1時間撹拌した後、氷浴から水浴に替え、50℃で2時間撹拌した。撹拌終了後、溶液を室温まで冷却した後、溶液を水10Lに投入して沈殿を得た。この沈殿を濾過で集めて、10Lの水を加えた上で濾過をして沈殿を集める洗浄操作を3回行った後、80℃の真空乾燥機で20時間乾燥し、ポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂(A−3)を得た。
[合成例5]ポリイミド(A−4)の合成
乾燥窒素気流下、BAHF29.3g(0.08mol)、SiDA1.24g(0.005mol)、末端封止剤として、3−アミノフェノール3.27g(0.03mol)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)150gに溶解した。ここにODPA31.0g(0.1mol)をNMP50gとともに加えて、20℃で1時間撹拌し、次いで50℃で4時間撹拌した。その後、キシレンを15g添加し、水をキシレンとともに共沸しながら、150℃で5時間撹拌した。撹拌終了後、溶液を水6Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で24時間乾燥し、目的のポリイミド(A−4)を得た。
[合成例6]ポリイミド前駆体(A−5)
乾燥窒素気流下、ODPA31.0g(0.1mol)をNMP500gに溶解させた。次に、BAHF27.5g(0.075mol)をNMP100gとともに加えて、40℃で2時間反応させた。ここに、末端封止剤としてMAP5.46g(0.05mol)をNMP5gとともに加え、40℃で2時間反応させた。DFA14.3g(0.24mol)をNMP100gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、50℃で3時間撹拌した。撹拌終了後、溶液を室温まで冷却した後、溶液を水6Lに投入して白色沈殿を得た。この沈殿を濾過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で24時間乾燥し、目的のポリイミド前駆体樹脂(A−5)を得た。
[合成例7]アクリル樹脂(A’−1)
乾燥窒素気流下、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を0.821g(0.01mol)、PGMEAを29.29g仕込んだ。次に、MAAを21.52g(0.5mol)、TCDMを22.03g(0.2mol)、STRを15.62g(0.3mol)仕込み、室温でしばらく攪拌して、70℃で5時間攪拌した。次に、得られた溶液に、PGMEAを59.47gにGMAを14.22g(0.2mol)、ジベンジルアミンを0.676g(0.01mol)、4−メトキシフェノールを0.186g(0.003mol)溶かした溶液を添加し、90℃で4時間攪拌して、アクリル樹脂溶液(A’−1)を得た。
[合成例8]ポリシロキサン(B’−1)
乾燥窒素気流下、フタル酸14.8g(0.1mol)をジクロロメタン100mlに溶解し、10℃に冷却した。ここにジクロロメタン100mlに溶解した3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン19.1g(0.1mol)を滴下し、10℃で1.5時間、その後室温に戻して4時間撹拌した。ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、透明オイル(中間体(1))33.4gを得た。
中間体(1)13.6g(0.04mol)をガンマブチロラクトン(以後、GBL)15gに溶解し、40℃に昇温した。ここに蒸留水2.1gを加えて70℃に昇温して30分撹拌し、その後110℃に昇温して2時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し、ロータリーエバポレーターで、低沸点の脱離成分を留去しポリシロキサン(B’−1)を得た。
[合成例9]キノンジアジド化合物(C−1)の合成
乾燥窒素気流下、TrisP−PA(商品名、本州化学工業(株)製)42.45g(0.1mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニルクロリド(NAC−5、東洋合成工業(株)製)75.23g(0.28mol)を1,4−ジオキサン1000gに溶解させた。反応容器を氷冷しながら、1,4−ジオキサン150gとトリエチルアミン30.36g(0.3mol)を混合した液を系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を純水7Lに投入して沈殿を得た。この沈殿を濾過で集めて、さらに1質量%塩酸2Lで洗浄した。その後、さらに純水5Lで2回洗浄した。この沈殿を50℃の真空乾燥機で24時間乾燥し、Qのうち平均して2.8個が5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化された下記式で表されるキノンジアジド化合物であるキノンジアジド化合物(C−1)を得た。
Figure 2021155466
以下、表1で使用する化合物について説明する。
カゴ型構造を有するポリシロキサン(b)である(B−1)〜(B−4)は下記式で表される。
(B−1)〜(B−4)、および(B−6)は、オキセタニル基を有するシルセスキオキサンとしてOX−SQ TX−100(B−1)およびOX−SQ SI−20(B−5)、アクリル基を有するシルセスキオキサンとしてAC−SQ TA−100(B−3)、メタクリル基を有するシルセスキオキサンとしてMAC−SQ TM−100(B−4)(いずれも商品名、東亞合成(株)製)、エポキシ基を有するシルセスキオキサンとしてPSS−オクタ[(3−グリシジルオキシプロピル)ジメチルシロキ]置換体(B−2)(Sigma−Aldrich社から入手できる)、を使用した。また、実施例に記載のポリシロキサン(b)のSi原子の総量に対する架橋性基の割合は、(B−1)100mol%、(B−1)100mol%、(B−2)100mol%、(B−3)100mol%、(B−4)100mol%および(B−5)80mol%である。
Figure 2021155466
(メタ)アクリロイル基、メチロール基、エポキシ基またはオキセタニル基のいずれも有しないカゴ型構造を有するポリシロキサン(b)である(B’−2)は下記式で表され、Si原子の総量に対する架橋性基の割合は0mol%である。(B’−2)は、PSS−オクタメチル置換体(B’−2)(Sigma−Aldrich社から入手できる)を使用した。
Figure 2021155466
(D−1)は、9EG−A(商品名、共栄化学(株)製)を使用した。
表1中の光重合性開始剤NCI−831は、“アデカアークルズ”(登録商標)(以下NCI−831、(株)ADEKA製;1−(9−エチル−6−ニトロ−9H−カルバゾール−3−イル)−1−[2−メチル−4−(1−メトキシプロパン−2−イルオキシ)フェニル]メタノン−1−(O−アセチル)オキシム)を使用した。
表1中のDPHAは、“KAYARAD”(登録商標)(以下DPHA、日本化薬(株)製;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)を使用した。
[ワニスの作製]
容量100mLのポリプロピレンバイアルに表1の組成で各成分を入れ、撹拌脱泡装置((株)シンキー製ARE−310)を用いて、撹拌10分、脱泡1分の条件で混合し、溶解した後、0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製のフィルター(住友電気工業(株)製)で濾過して、ワニス(V−1〜20)を作製した。
Figure 2021155466
[実施例1〜21、比較例1〜4]
作製したワニスを用い、上記の方法で相溶性、平坦化性、耐薬品性を評価した結果を表2に示す。各評価項目でいずれも3点以上のものを合格、いずれかが2点以下の評価項目を含むものを不合格と判定した。
Figure 2021155466
実施例1〜21に示すものは、いずれも相溶性が3点以上の良好な結果であり、平坦化性が、0.4μm以下であり、膜厚変化量が0.45μm以下の良好な結果であった。(d)化合物を添加した実施例10〜21に関しては、平坦化性がより向上する傾向が見られた。ポリシロキサン(b)がオキセタニル基を有するB−を用いた実施例11は他の官能基のポリシロキサン(b)を用いた実施例14〜16と比較して、相溶性および平坦性ともに、特に好ましい結果であった。
一方、ポリシロキサン(b)を添加していない比較例4は、相溶性および耐薬品性は良好であったが、平坦化性が不良であった。また、ポリシロキサン(b)の代わりにカゴ型構造を有さないポリシロキサンであるB’−1を使用した比較例1は、感度、平坦化性が不良であった。
1 TFT(薄膜トランジスタ)
2 配線
3 TFT絶縁層
4 平坦化層
5 ITO(透明電極)
6 基板
7 コンタクトホール
8 絶縁層
9 有機EL層
10 第2電極
11 段差基板
12 硬化物

Claims (10)

  1. ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、これらいずれかの前駆体およびそれらの共重合体からなる群より選択される少なくとも1種類のアルカリ可溶性樹脂(a)、並びにカゴ型構造を含むポリシロキサン(b)を含有する樹脂組成物であって、該ポリシロキサン(b)における(メタ)アクリロイル基、メチロール基、エポキシ基、およびオキセタニル基の合計の割合が、該ポリシロキサン(b)のSi原子の総量100mol%に対して50mol%以上、100mol%以下である樹脂組成物。
  2. 前記樹脂(a)がSi原子を含有する請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記樹脂(a)100質量部に対し、前記ポリシロキサン(b)を1質量部以上100質量部以下含有する、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. さらに、キノンジアジド化合物(c)を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. さらに、アルキレンオキサイド鎖構造を有する化合物(d)を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 前記樹脂(a)100質量部に対し、前記化合物(d)を1質量部以上50質量部以下含有する、請求項5に記載の樹脂組成物。
  7. 前記ポリシロキサン(b)がオキセタニル基を有するポリシロキサン(b−1)を含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物を硬化した硬化膜。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物を基板上に塗布し樹脂膜を形成する工程、該樹脂膜を乾燥する工程、樹脂膜を加熱処理する工程を含む、硬化膜の製造方法。
  10. 基板上に、駆動回路、平坦化層、第1電極、絶縁層、発光層、第2電極を有する有機EL表示装置であって、該平坦化層および/または該絶縁層が請求項8に記載の硬化膜を含む有機EL表示装置。
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