JP2021154707A - 孔版印刷用原紙の製版方法および孔版印刷方法 - Google Patents

孔版印刷用原紙の製版方法および孔版印刷方法 Download PDF

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【課題】樹脂フィルムにレーザーで製版しても製版部にテーパーや隆起部が発生することなく、非浸透メディアに印刷した場合であっても連続画像を印刷することが出来る孔版印刷用原紙の製版方法、およびこれにより得られた版を用いた孔版印刷方法を提供する。【解決手段】インク通過用の貫通孔を備えた樹脂フィルムからなる版を用いて印刷を行なう孔版印刷用原紙の製版方法であって、前記樹脂フィルムは、印刷時に印刷媒体に重ねる側の表面と、インクを供給する側の裏面とを備え、前記樹脂フィルムの表面側からレーザー光を照射して、前記樹脂フィルムの表面に、所望する印刷パターンを投影した形状の溝状のインク充填部を形成し、続いて前記溝状のインク充填部にインク通過用の貫通孔を形成する製版方法において、前記樹脂フィルムが空隙率30%以上の微多孔性樹脂フィルムであることを特徴とする、孔版印刷用原紙の製版方法。【選択図】 図1

Description

本発明は、レーザーを用いた孔版印刷用原紙の製版方法、およびこれにより得られた版を用いた孔版印刷方法に関する。
孔版印刷用版は、多孔性支持体に熱可塑性樹脂フィルムが積層された原紙(マスタ)を用い、サーマルヘッドにより熱可塑性樹脂フィルムを熱溶融させて穿孔を形成し製造するのが一般的である。穿孔はドット状に独立して形成され、この孔をインクが通過することで画像が形成される。
印刷媒体が紙、布等の場合は、ドット状にパターニングされたインクが媒体内に浸透し拡散するため、たとえば線やベタ画像もドット状に途切れることなく、連続して形成することができる。
しかし、こうしたインクの浸透性を備えた印刷媒体(浸透メディア)に対し、プラスチックフィルム、コート紙、ガラス、金属などのインクが浸透しにくい印刷媒体(非浸透メディア)の場合、連続した線やベタ画像がきれいに形成できない(断線する)という問題があった。
そこで、特許文献1として、孔版印刷用原紙となる樹脂フィルムにレーザーで所望する印刷パターンの形状の溝部とその溝部にインク通過用の貫通孔を形成して印刷することにより、非浸透メディアにも連続画像を形成する技術が開示されている。
特開2010−83136号公報
しかしながら、特許文献1のように樹脂フィルムにレーザー加工で溝状のインク充填部を形成すると、樹脂フィルム表面から深部にいくにつれて溶融したフィルムが行き場を失い、その場で再凝固することで、樹脂フィルム表面から溝状のインク充填部の深部に従い幅が狭くなる「テーパー」が発生し、所望のインク充填部の形状を得ることが出来ず、インク充填量が想定より少なくなる、または、テーパーのばらつきによりインク充填量にばらつきが生じるといった問題がある。
さらに、樹脂フィルム表面付近では、溶融したフィルムが溝状のインク充填部の両側に堆積する「隆起部」が発生し、隆起部によってフィルムと印刷媒体との密着性が悪化し、インクの漏れ等が発生する。
そこで本発明は、非浸透メディアに印刷した場合であってもテーパーや隆起部が発生することなく、連続画像を印刷することが出来る孔版印刷用原紙の製版方法、およびこれにより得られた版を用いた孔版印刷方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面によれば、インク通過用の貫通孔を備えた樹脂フィルムを含む版を用いて印刷を行なう孔版印刷用原紙の製版方法であって、前記樹脂フィルムは、印刷時に印刷媒体に重ねる側の表面と、インクを供給する側の裏面とを備え、前記樹脂フィルムの表面側からレーザー光を照射して、前記樹脂フィルムの表面に、所望する印刷パターンを投影した形状の溝状のインク充填部を形成し、続いて前記溝状のインク充填部にインク通過用の貫通孔を形成する製版方法において、前記樹脂フィルムが空隙率30%以上の微多孔性樹脂フィルムであることを特徴とする、孔版印刷用原紙の製版方法が提供される。
本発明の別の側面によれば、上記本発明に係る孔版印刷用原紙の製版方法により得られた版の前記樹脂フィルムの表面側を印刷媒体に重ねて前記樹脂フィルムの裏面側からインクを供給し、前記貫通孔を通過したインクを前記溝状のインク充填部に充填させて、前記溝状のインク充填部の形状を投影したパターンを前記印刷媒体に印刷することを特徴とする孔版印刷方法が提供される。
本発明によれば、空隙率30%以上の微多孔性樹脂フィルムにレーザー光を照射し、所望する印刷パターンを投影した形状の溝状のインク充填部を形成する際に、レーザー照射により溶融した樹脂フィルムが、隣接するレーザー未照射部の樹脂フィルムの細孔部に侵入することで、テーパーの発生と隆起部の発生を抑制することが出来る。また、樹脂フィルムが空隙率30%以上の微多孔を有していることで、樹脂フィルムとしての性能は保ちながら、溶融した際の溶融フィルムの体積は少なくなるため、その点からもテーパーや隆起部が発生しにくくなる。
本発明によれば、樹脂フィルムにレーザーで溝状のインク充填部と貫通孔を形成する際に、樹脂フィルム表面のテーパーや隆起部が発生しにくく、インク充填量が均一となり、精細な画像を形成することが出来る。
本発明による孔版印刷用原紙の製版方法により得られた版の一例を、部分的に拡大して示した模式図である。 本発明による孔版印刷用原紙の製版方法により得られた版の断面からテーパーの大きさを評価する際の模式図である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明がこれらの実施形態に限定されることはなく、様々な修正や変更を加えてもよいことはいうまでもない。
図1は、製版された原紙(版)の一例を部分的に拡大して模式的に示したものである。
原紙である樹脂フィルム10は、印刷時に印刷媒体に重ねる側の表面(図1においてA面)と、インクを供給する側の裏面(同B面)とを備える。樹脂フィルムのA面側には、A面側からレーザー光を照射することにより溝状のインク充填部11が形成される。さらに、この溝状のインク充填部11領域内には、複数の貫通孔12が形成される。貫通孔12形成の際のレーザー光の照射は、特に限定はされないが、テーパーが生じるためインクの抜け性が良い、同一面側からの加工であるため作業効率が良いという観点から、樹脂フィルム10のA面側から行なわれることが好ましい。
微多孔性樹脂フィルムは、その内部および表面に多数の気孔を有する樹脂からなる。テーパーや隆起部の発生抑制の観点から、空隙率は30%以上が好ましい。より好ましくは空隙率が40%以上であり、さらに好ましくは50%以上である。印刷時に未製版部のインクの通過を抑制する観点から、空隙率は90%以下が好ましく、より好ましくは80%以下であり、さらに好ましくは75%以下である。例えば空隙率は30〜90%が好ましく、より好ましくは40〜80%であり、さらに好ましくは50〜75%である。
微多孔性樹脂フィルムは、孔版印刷時において未製版部からはインクが通過しない孔径や形状であることが好ましい。具体的な形状としては、微多孔性樹脂フィルム中の気孔が、微多孔性樹脂フィルムの厚み方向に連続していない構造をしているものが好ましい。
微多孔性樹脂フィルムに含まれる気孔の平均孔径は、特に限定されないが、0.01〜30μmであることが好ましい。平均孔径が0.01μm以上であることで、テーパーや隆起部の発生抑制効果を得やすくなる。一方、平均孔径が30μm以下であることで、孔版印刷時に未製版部からはインクが通過することなく、印刷することが可能となる。
微多孔性樹脂フィルムの厚みH1は特に限定されないが、30〜500μmであることが好ましく、50〜100μmであることがより好ましい。微多孔性樹脂フィルムの厚みが30μm以上であることで、孔版印刷原紙としての強度を得ることが可能となり、また、レーザー製版によって溝状のインク充填部を形成する際に、微多孔性樹脂フィルムを貫通することなく製版することが可能となる。また、500μm以下であることで、製版後のインク通過性を得ることが可能となる。
微多孔性樹脂フィルムの材料としては、特に制限はないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリ乳剤、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリテトラフルオロエチレン等を好ましく使用できる。レーザー加工性の観点から、熱可塑性樹脂フィルムであることが好ましい。
空隙率30%以上の微多孔性樹脂フィルムの市販品としては、旭化成株式会社製のハイポアシリーズ、株式会社トクヤマ製のNFシートシリーズ、住友電工ファインポリマー株式会社製のポアフロンメンブレンFPシリーズ、ポアフロンメンブレンWPシリーズ等を使用することができる。
微多孔性樹脂フィルムには、必要に応じてフィラー等の添加剤、帯電防止剤、スティック防止剤、界面活性剤、防腐剤、消泡剤等が添加されていても良い。
また、微多孔性樹脂フィルム10の印刷媒体と重ねる表面(A面)側には、シリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、リン酸エステル型界面活性剤等の公知の材料からなる剥離剤層を設けても良い。
従来の孔版印刷用原紙としては、和紙繊維や紗等からなる高価な多孔性支持体に、数μmから厚くても十数μm程度の薄い樹脂フィルムを積層したものを使用していたが、本発明では厚手のフィルム単膜で版を構成することもでき、多孔性支持体を用いる必要がない。この場合は、版の生産工程が簡易である。さらに、従来の支持体には、貫通孔(穿孔部)からのインク通過を阻害するとの弊害があったが、これを使用しなければ、画像再現性を向上させることもできる。本発明は特にスクリーン印刷の用途に好適に使用することが出来る。
スクリーン印刷の場合は、支持体となるスクリーンに感光剤を塗布してからポジフィルムを焼き付け、アナログ方式で現像処理して版を製造するのが一般的であるので、これに比べて本発明によれば、その工程を著しく簡便にすることができる。
レーザー源は、特に限定されず、ルビーレーザー、YAGレーザーなどの固体レーザー;炭酸ガスレーザー、アルゴンイオンレーザー等の気体レーザー;エキシマレーザー、色素レーザーなど、任意のビーム波長を有する各種のレーザーを利用できる。
具体的なレーザー装置に関しては、特に限定されることはなく、デジタル画像信号の入力方式、レーザービームの操作方式などは公知のものを使用できる。
レーザーの発振モードは、微細加工が容易であることから、連続波よりもパルス波であることが好ましく、パルス波発振レーザーを用いることが好ましい。
レーザーの出力は、加工性の観点から、0.1〜500Wが好ましく、1〜200Wがより好ましい。
その他、パルス幅(1パルスあたりの照射時間)、パルス周期、パルス(ショット)数、スキャン速度などの照射条件は、所望する画像パターンに従って溝状のインク充填部と貫通孔を形成できるよう、適宜設定・変調すればよく、特に限定されることはない。
レーザー光の波長については、特に限定されないが、波長の長さにより、非熱加工と熱加工のどちらが支配的になるかが決定される。すなわち、紫外線レーザー等の波長の短いレーザー光は、照射箇所の樹脂フィルムの分子一つ一つを励起させ、それらを飛散させて(レーザーアブレーションまたはレーザースパッタリング)溝あるいは孔を形成する非熱加工が支配的になる。この非熱加工によれば、所望する形状に、細密な溝状のインク充填部あるいは貫通孔を形成することができる。一方、波長の長い赤外線レーザーの場合は、熱的な要素が大きく、熱加工が支配的になる。
レーザー光の波長が可視光領域以上であると、樹脂フィルムに対し化学反応のみならず熱反応ももたらされる。その結果、樹脂フィルムの一部が熱溶融し、それが溝状のインク充填部の周縁で固まり、溝状のインク充填部の周縁に隆起部が形成されてしまうことがある。版の表面(印刷媒体と重ねる側)に形成されたこの溝状のインク充填部周縁の隆起は、印刷時に印刷媒体との密着性を悪化させてしまうため、画質の低下を招く。しかし、空隙率30%以上の微多孔性樹脂フィルムを使用することで、熱溶融したフィルム成分が、細孔部に侵入することにより、溝状のインク充填部の周縁での隆起部の形成を抑制することが可能となる。
一方、レーザー光の熱効果が大きすぎると、樹脂フィルムの溶融または収縮が過剰に進行して溝状のインク充填部の形状が乱れ、その結果印刷パターンの細密度合いによっては、その再現性が低下する恐れがある。また、レーザー光照射部における樹脂フィルムの過剰な溶融または収縮がフィルム全体へ影響を及ぼし、その結果、版が収縮するなど変形し、また版の平面性が低下し、印刷パターンの再現性が低下する恐れがある。
こうした点も考慮し、化学反応の持つ細密性と熱反応がもたらす隆起形成の双方の利点をバランスよく生かして細密な印刷パターンにも十分に対応するため、400nm〜830nmの可視光領域のレーザー光を使用することがさらに好ましい。
溝11の深さH2は、フィルム厚みに対し、版の耐久性とインク膜厚制御の観点から5〜80%であることが好ましく、10〜70%がより好ましく、15〜60%がさらに好ましい。
この溝11の深さH2は、印刷に使用する印刷媒体の特性、印刷されるパターンの利用方法、所望するインク層の厚みなどに応じて選択すればよい。一般には、溝状のインク充填部が浅すぎるとインクを充填させることが困難となるため、溝の深さは2μm以上であることが好ましい。それにより、充分な厚みを備えたインク層を形成することができる。たとえば、金属表面等に導体パターンを形成する場合などには、断線の恐れが生じないよう、溝の深さは5〜60μm程度であることが好ましい。このように、原紙となる樹脂フィルムは、形成する溝の深さに適した厚みのものを選択することが好ましい。
なお、1回の印刷動作で印刷される印刷パターンに応じた溝状のインク充填部11のうちの少なくとも一部が、他の部分とは深さが異なるようにしてもよい。つまり、1つの連続した溝状のインク充填部11の中で部分的に深さを変化させたり、離間して形成される複数の溝状のインク充填部11の深さを互いに異ならせるようにしたりしてもよい。このようにすれば、1回の印刷で、溝状のインク充填部11の深さに応じて異なるインク膜厚(インク層の厚み)を有する印刷物を得ることができる。
溝状のインク充填部の貫通孔12の形状および密度は、溝状のインク充填部に十分にインクを充填することができるだけの量のインクが通過できるように、溝状のインク充填部の形状と体積、インクの特性(粘度等)、種類等に応じて適宜設定される。溝状のインク充填部としては、例えば図1に示すような、フィルムの断面が凹字状になる凹字状、U字状、V字状、台形状があげられる。溝状のインク充填部の形状を調整することで、インク膜のシャープさやインク量を調整することが出来る。シャープな画像を形成する観点からは、凹字状が好ましい。
貫通孔の大きさは、レーザー光のエネルギー密度および/または照射パルス数を変更することで任意に変更可能である。
溝状のインク充填部に対する貫通孔の開孔率、すなわち溝状のインク充填部面積に対する貫通孔部面積の比率は、20%以上であることが、細線およびベタ部エッジの滑らかさを向上させる観点から好ましい。一方、この開孔率は、版の耐久性の観点から50%以下であることが好ましい。ここで、細線の滑らかさとは、細線の線幅の最も太い部分と最も細い部分との差の程度を意味し、ベタ部エッジの滑らかさとはエッジラインの凹凸の差の程度を意味し、どちらも小さいときに「滑らか」である。
溝状のインク充填部へのインクの充填量を適切に確保する観点から、具体的には、溝状のインク充填部の幅L(μm)、貫通孔の孔径D(μm)、および貫通孔間のピッチ(中心間距離)P(μm)が、P<2D<2P、L<2D<2L、の関係にあることが好ましい。貫通孔間のピッチPは、パルス周期とスキャン速度に対応して変更可能である。
印刷に使用するインクの種類は、特に限定されず、エマルション、油性、水性等の各種孔版印刷用インク(スクリーンインク)に加えて、エッチングレジストインク、ソルダーレジストインク、メッキレジストインク、マーキングインクといったプリント基板用インクや、電子精密部品用の導電性インクなども使用できる。それらの具体的な組成は、特に限定されない。
インクの粘度は、特に限定されないが、版上でインクを保持させ且つ貫通孔を通過させる観点から0.01〜100Pa・sの範囲であることが好ましく、0.1〜50Pa・sの範囲であることがより好ましく、0.5〜30Pa・sの範囲であることが一層好ましい。粘度は、温度23℃、せん断速度100/sで測定される値である。
印刷媒体(被印刷材またはメディア)の種類は、特に限定されることはなく、紙、布、皮革、プラスチックフィルム、金属製品、木製品、ゴム製品、窯業製品(陶磁器、ガラス、ほうろう)などを任意に選択できる。本発明では、非浸透メディアに対しても、良好な画像を形成できるのが有利な点である。
本発明に係る孔版印刷方法の一工程例としては、版(製版物)10の表面側を印刷媒体に重ね、裏面側からインクを供給する。インクは貫通孔12を通過して溝状のインク充填部に充填する(溝状のインク充填部にインクが充填した状態は図示していない)。そして、溝状のインク充填部に充填したインクが印刷媒体に転写されて、その溝状のインク充填部の形状を投影したパターンが印刷される。
使用する印刷機は、平台スクリーン印刷機でもロータリースクリーン印刷機でもよく、特に限定されない。
以下に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)原版の作製
スクリーン印刷版用アルミ枠(550×650mm)に、原紙となる各樹脂フィルムを接着して固定し、スクリーン印刷用原版を作製した。
(2)製版
上記原版に対し、TEA CO2レーザー(住友重機械メカトロニクス(株)製LUMONICS IMPACT L500)を用いて、レーザーパワー100%、スキャン速度6000mm/s、周波数20kHzの条件でレーザー加工を行い、版を得た。溝形状は凹字状、溝幅は約150μm、貫通孔径Dは約80μm、貫通孔間ピッチPは約100μmとした。
(3)製版形状の測定・評価
<テーパー>
カラー3Dレーザー顕微鏡 VK−8710((株)キーエンス製)を用いて、倍率500倍で製版物の溝状のインク充填部を観察し、フィルム面13の近似線に対する、溝状のインク充填部側面の近似線の角度a’を測定した(5箇所の平均値)。所望のフィルム面の近似線に対する溝状のインク充填部側面の近似線の角度をaとし、(a−a’)/a×100から、aに対するa’の角度変化量(%)を求めた。本実施例ではa=90°となる。
○:20%以内
△:40%以内
×:40%超
<隆起高さ>
カラー3Dレーザー顕微鏡 VK−8710((株)キーエンス製)を用いて、倍率500倍で製版物の溝状のインク充填部におけるフィルム面と隆起部の最頂部の高さを測定し、両者の差から隆起高さを得た(5箇所の平均値)。
○:隆起なし
△:2μm以内
×:2μm超
(4)印刷
製版したスクリーン印刷用版(製版物)の表面を非浸透メディアであるフィルム(東レ株式会社製ルミラー)に重ね、両者の間隙を3.0mmとなるように版枠を固定した。次に、裏面側の版上に銀ペースト(藤倉化成(株)製ドータイトFA−353N)を供給し、スキージ(ウレタンゴム)を用い、スキージを版に対し45°傾けて加圧して印刷を行った。5枚目の印刷物をサンプリングした。
《実施例1》
樹脂フィルムとして、ポリエチレン製微多孔製樹脂フィルム(商品名ハイポア2100、厚み100μm、空隙率70%:旭化成株式会社製)を使用し、上記の方法で製版、評価を行なった。その結果、テーパー:○、隆起高さ:○であった。
《実施例2》
樹脂フィルムとして、ポリプロピレン製微多孔製樹脂フィルム(商品名NFシート NN100、厚み100μm、空隙率35%:株式会社トクヤマ製)を使用し、上記の方法で製版、評価を行なった。その結果、テーパー:△、隆起高さ:△であった。
《比較例1》
樹脂フィルムとして、ポリプロピレン製微多孔製樹脂フィルム(ルミラー♯100−E20、厚み100μm、空隙率0%:東レ株式会社製)を使用し、上記の方法で製版、評価を行なった。その結果、テーパー:×、隆起高さ:×であった。
実施例1、2で形成された版を用い印刷を行なった結果、インク膜厚が均一で精細な画像を形成することが出来た。
10 樹脂フィルム
11 溝状のインク充填部
12 貫通孔
13 フィルム面の近似直線
14 溝状のインク充填部側面の近似直線

Claims (3)

  1. インク通過用の貫通孔を備えた樹脂フィルムを含む版を用いて印刷を行なう孔版印刷用原紙の製版方法であって、前記樹脂フィルムは、印刷時に印刷媒体に重ねる側の表面と、インクを供給する側の裏面とを備え、前記樹脂フィルムの表面側からレーザー光を照射して、前記樹脂フィルムの表面に、所望する印刷パターンを投影した形状の溝状のインク充填部を形成し、続いて前記溝状のインク充填部にインク通過用の貫通孔を形成する製版方法において、前記樹脂フィルムが空隙率30%以上の微多孔性樹脂フィルムであることを特徴とする、孔版印刷用原紙の製版方法。
  2. 前記微多孔性樹脂フィルムの空隙率が60%以上である、請求項1に記載の孔版印刷用原紙の製版方法。
  3. 請求項1または2に記載の孔版印刷用原紙の製版方法により得られた版の前記樹脂フィルム表面側を印刷媒体に重ねて前記樹脂フィルム裏面側からインクを供給し、前記貫通孔を通過したインクを前記溝状のインク充填部に充填させて、前記溝状のインク充填部の形状を投影したパターンを前記印刷媒体に印刷することを特徴とする孔版印刷方法。
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