JP2021154289A - ペレット選別方法、ペレット製造方法、ペレット選別装置及びペレット製造システム - Google Patents
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しかしながら、そもそもの原料や、ペレットの製造過程等において、磁性不純物が混入することがあるため、磁性不純物を含有するペレット(不良品)を、取り除く必要がある。そのため、各種選別装置が使われている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、良品ペレットと不良品ペレットの選別を効率良く行うことができるペレット選別方法、ペレット製造方法、ペレット選別装置及びペレット製造システムを提供することを目的とする。
前記ペレット選別方法は、前記移送ベルトの移送速度と前記磁性ローラの磁束密度に応じて、前記分離板の位置を上下及び/又は前後に移動することが好ましい。
前記ペレット選別方法は、前記移送ベルト表面の磁束密度を前記磁性ローラの表面温度の変化に対応させて、該移送ベルト表面の磁束密度の変動を決定し、前記分離板の位置を移動させることが好ましい。
また、前記目的を達成するために本発明のペレット製造方法は、前記ペレット選別方法を用いてペレットを製造することができる。
前記磁性ローラの前方に、前記良品ペレットと前記不良品ペレットとを分離する可動可能な分離板を設け、前記移送ベルトの移送速度と前記磁石の磁束密度に応じて、前記分離板の位置を適宜移動し、前記移送ベルトの移送速度による慣性力によって、前記良品ペレットと不良品ペレットは移送ベルトから前方に投下され、一方の前記良品ペレットは、前記分離板を越えて該分離板よりも前方側に分離され、他方の前記不良品ペレットは、前記磁性ローラの吸引力によって、前記分離板の後方側に分離されるようにした。
前記ペレット選別装置は、前記磁性ローラ面上の前記移送ベルト表面の磁束密度を踏まえて、前記分離板の位置を決定することができる。
前記ペレット選別装置は、前記磁性ローラの内部側又は外周面側に冷却手段を設け、前記磁性ローラの磁石を冷却手段によって冷却することができる。
前記ペレット選別装置は、前記移送ベルトの搬送面上で上下に重なり合っている前記樹脂ペレットの重なりを防止するための拡散手段を設けることができる。
また、本発明のペレット製造システムは、前記いずれかに記載のペレット選別装置と、
樹脂材料をペレット状に裁断するペレット化装置と、該ペレット化装置と前記ペレット選別装置との間に設けられ、裁断された樹脂ペレットを冷却する冷却装置とを備え、冷却後の樹脂ペレットを前記ペレット選別装置に連続工程によって供給するようにした。
また、磁性体を吸引する磁石を備え前方側に位置する回転可能な磁性ローラと、該磁性ローラの後方側に位置する回転可能なサブローラと、これらの磁性ローラとサブローラとの周りに巻装された搬送用の移送ベルトとを備え、該移送ベルトによって搬送されるペレット状の樹脂材料ついて、磁性体を含まない良品ペレットと磁性体を含む不良品ペレットとに選別するペレット選別装置において、前記磁性ローラの前方に、前記良品ペレットと前記不良品ペレットとを分離する可動可能な分離板を設け、前記移送ベルトの移送速度と前記磁石の磁力に応じて、前記分離板の位置を適宜移動するようにしたので、良品ペレットと不良品ペレットとを容易に効率良く選別することができる。
また、磁性ローラの内部側又は外周面側に冷却手段を設け、前記磁性ローラの磁石を冷却手段によって冷却するようにし、又は移送ベルトに供給される前に樹脂ペレットを冷却することによって、磁束密度の減磁を防止できる効果があり、安定して良品ペレットと不良品ペレットとを分離できる。
図1は、本発明に係る樹脂ペレット製造システムを示す、この樹脂ペレット製造システム1は、樹脂タンク2、原材料ホッパー群3〜7、原材料フィーダ8〜12、押出機14、コンベア15(又は水槽)、ペレタイザー16、スクリーン17、樹脂ペレット選別装置18、製品タンク19、包装機20を備えている。
押出機14の先端にある吐出口24にはコンベア15(又は水槽)が接続され、吐出口24から押し出された溶融樹脂のストランドがコンベア15(又は水槽)に供給される。コンベア15(又は水槽)では樹脂ストランドが冷却され、溶融樹脂はコンベア15(又は水槽)と接続されているペレタイザー16に供給される。ペレタイザー16は、樹脂ストランドを裁断してペレット化するものであり、ペレタイザー16の下流側にはスクリーン17が配設されている。スクリーン17は、ペレタイザー16で溶融樹脂裁断しペレット化したときに生じるカスなどを取り除く役割を果たす。スクリーン17の下流側には樹脂ペレット選別装置18が配設されている。
樹脂ペレット選別装置18は磁性体を吸着する磁石を備え、前方側に位置する回転可能な磁性ローラ30と、磁性ローラ30の後方側に位置する回転可能なサブローラ31と、これらの磁性ローラ30とサブローラ31との周りに巻装された搬送用の移送ベルト32と、磁性ローラ30の前方に間隔を空けて配設されている分離板33と、分離板33の前方側に良品ペレット収容部34と、分離板33の手前側に不良品ペレット収容部35とを備えている。
磁性ローラ30は、外周面に永久磁石が設けられ、中心軸36には、図示しない駆動モータが連結され、磁性ローラ30を予め設定された回転数で回転させる。サブローラ31は一般の従動ローラを用いることができる。移送ベルト32は、永久磁石の磁界を遮蔽しないものを使用し、耐熱性を有しできるだけ薄くて強度のある材質が好ましい。
詳しくは、分離板33は取付板37の面上に配設され、移送ベルト32の搬送方向(前後)に移動可能であって、さらに上下方向に昇降可能な移動板38に取付けられる。また、取付板37は移動板38に形成した回転軸39を中心に回転可能に取付けられ、分離板33の傾斜角を変更できる。分離板33の傾斜方向は、分離板33の上方側が磁性ローラ30から離れる方向に傾斜するように配置している。
分離版33は、上記した形態の他、分離版の高さを延長するための単純な脱着式の板を備えた形態であってもよく、脱着式の方が使用後の洗浄の際に都合がよい。
また、移送ベルト32内の空間部には磁性ローラ30の表面の温度を検出する温度センサー42が配設され、温度センサー42は制御部43と接続されている。制御部43は、温度センサー42によって、磁性ローラ30の表面温度を検知し、また、磁性ローラ30の回転数から移送ベルト32の移送速度を検知し、また、分離板33の位置を制御することができる。
図1に戻って、樹脂ペレット選別装置18の下流側には、良品ペレット収納部34から樹脂ペレットが供給される製品タンク19が設けられ、製品タンク19は樹脂ペレットを商品化させる包装機20と接続されている。
上述したように、樹脂ペレットの製造に至るまでの製造過程において、各装置において、外部から鉄分などの磁性体が含まれることがある。この結果、押出機14によって加熱混練、溶融され溶融樹脂に鉄などが混入することがある。そのような溶融樹脂から形成された樹脂材料である樹脂ペレットには、鉄分を混入しない樹脂ペレットと鉄分を混入する樹脂ペレットが含まれる。本実施形態の樹脂ペレット選別装置18は、磁石に吸着されない鉄分を含まない樹脂ペレットを良品ペレットとし、磁石に吸着される鉄分を含む樹脂ペレットを不良品ペレットとして、これらの樹脂ペレットを分離する働きをする。
なお、以下、磁性体として、ペレットに鉄成分が含まれているものを対象として説明するが、磁性体には、鉄以外に、ニッケル、コバルトの磁性体や、これらの磁性体(鉄も含む)を含む合金も含む。
よって、良品ペレットは移送ベルト32の移送速度による慣性力と重力作用によって、移送ベルト32から前方へ放物線aを描いて投下され、分離板33を越えて良品ペレット収容部34に収容される。一方、不良品ペレットは、移送ベルト32の移送速度による慣性力と重力作用に加えて、磁性ローラ30の吸引力との力のバランスから、移送ベルト32の前方へ投下されるが、分離板33を越えることはできず、放物線b、cように分離板33に当たって、不良品ペレット収容部35に収容される。
樹脂ペレット選別装置を用い、分離板の位置と移送ベルトの移送速度との関連を試すため、以下の試験を行った。
樹脂材料としてポリカーボネート樹脂を用いて、直径2mm、高さ3mmの、鉄製不純物を練り込んだ試料(不良品ペレット)と、鉄製不純物を含まない試料(良品ペレット)とを作製し、樹脂ペレット選別装置を用いて良品ペレットと不良品ペレットを選別した。
表1に示すベルト回転速度は、インバータ値であり、それをm/sに変換した。分離板は角度調整ができるよう回転が可能であり、水平方向に対する回転角度α(図3参照)を115°と120°として試験を行った。結果を磁性ペレット捕集率で表している。磁性ローラの磁石は、磁束密度約4000G(ベルト越し)のものを用いている。
試験結果を表1に示す。
なお、移送ベルトの移送速度は、良品ペレットと不良品ペレットとの分離ができる範囲であれば、処理能力から速い方が好ましい。ただし、移送速度が速いと前方へ進む慣性力が大きくなるので、磁性ローラの磁束密度を大きく保つ必要がある。
よって、移送ベルトの移送速度が高速になった場合は、良品ペレットと不良品ペレットの軌道の相違から、分離板の位置を移送ベルトの速度に応じて前後又は上下に移動させればよい。
次に、樹脂ペレット選別装置について、温度変化による磁界の影響について以下の試験を行った。
一般的には、マグネットの種類によって異なるが、例えば本実施形態におけるネオジム磁石では、60℃以上で磁力低下が始まり、100℃になると約12%磁力が低下する。
表2は、本実施形態で使用している樹脂ペレット分離装置18の移送ベルト32の幅方向の左右と中央の3カ所を、室温での状態と作業後の加熱された状態での変化を示す。その結果、室温時の平均から高温時(53℃〜62℃)の平均を引くと1464G(約1500G)の減磁が生じ、減磁率は、22.6%〜28.8%であり、予想以上に温度による減磁が大きく、60℃以下(53℃)でも減磁が生じていた。これは、長期における磁性ローラの加熱、冷却の繰り返しにより、磁石に悪影響を及ぼしたものと推測している。
表4は、移送ベルトの厚みが磁界にどのように影響を及ぼすかの試験結果である。磁束密度が小さいと、微弱な鉄分を含む不良品ペレットを分離することができない。磁性ローラ30の磁束密度は、13000Gであり、磁性ローラのベルト越しの磁力を測定した。測定点は磁性ローラの幅方向へ左から右へ向かって、順次、測定点1〜5を5カ所設け、これらのうち測定点3がベルト中央になる。
また、樹脂ペレットは、実際には、移送ベルトのベルト表面上の磁束密度によって磁石による吸引力が及ぼされるので、ベルト面上の磁束密度を知ることが樹脂ペレットの選別に有利である。
なお、樹脂ペレットは、搬送中に多層の重なりがある場合、移送ベルトの速度が遅いと重なりが崩れにくく、移送ベルトの移送速度が75Hz(9.6m/s)以上であると、磁性ローラに達するときには、1層になることが確認できた。
ペレットの選別には、移送ベルトの移送速度、磁性ローラの温度、磁性ローラ上の移送ローラ表面の磁束密度が大きな影響を及ぼす。
磁性ローラの磁束密度13000Gのものを使用している場合、上述したように、移送ベルトが0.8mmであれば、磁束密度は4000Gほど減磁する。移送ベルトを1.1mmのものを使用すると、ベルト厚が0.3mm増え(表4参照)、さらに約1000G減磁するので、1.1mmの移送ベルトを使用すると約5000G減磁することになる。よって、作業の開始時において、8000Gで樹脂ペレットの分離作業を実行するが、表2から磁性ローラの高温時では室温よりも約1500G減磁するので(表2参照)、実際には、6500Gで作業することになる。そして、期間の経過にしたがって、さらに減磁が大きくなり、磁性ローラの磁力は変化し、1日の作業の間でも作業温度や樹脂ペレットの移送速度によって変化する。したがって、分離板の位置が固定されているものは分離作業に精度がでない。
さらに、樹脂ペレットを冷却手段によって所定温度に下げ、その後樹脂ペレットを供給すれば、薄いベルトの使用が可能で、併せて、磁性ローラの昇温の防止を同時に行うことができ、磁気密度の減少を効果的に防止することができる。
特に、作業の開始直後、磁性ローラは室温から作業に応じて温度変化するので、磁束密度もそれに応じて急激に変化する。よって、その温度変化に伴う磁束密度の変化にしたがって、分離板の位置を前後、左右に移動し、さらには分離板の傾斜角度を移動させてもよい。
例えば、上記実施形態では、磁性体を含む不良品樹脂ペレットは、磁性体を含まない原料で形成され、樹脂材料の製造過程において、該樹脂材料の製造装置から発生した意図しない磁性体が樹脂材料に混入したものを用いて説明したが、意図的に磁性体を樹脂ペレットなどに混入させたものや廃材などから形成された磁性成分が含まれている樹脂ペレットなどにも本発明は適用が可能である。
分離板33については、磁性ローラ30の磁界に影響を及ぼさない限り、分離板33に磁石を設け、さらに分離板によって不良品ペレットを吸引してもよい。
本実施形態では、樹脂ペレット製造システムにおいて、樹脂ペレットを原料から連続工程で選別するようにしたが、樹脂ペレット選別装置の単体でも本発明は適応することができる。すなわち、システムに付帯しない単体の樹脂ペレット選別装置によって、他の樹脂ペレット製造システムにおいて成形された樹脂ペレットを選別することができる。この場合は、常温で貯蔵されているので樹脂ペレットによる熱の影響は小さい。
14 押出機
16 ペレタイザー(ペレット化装置)
17 スクリーン
18 樹脂ペレット選別装置
30 磁性ローラ
31 サブローラ
32 移送ベルト
33 分離板
34 良品ペレット収容部
35 不良品ペレット収容部
40 冷却手段
41 噴出ノズル
Claims (10)
- 磁石を備えた磁性ローラによって回転可能な移送ベルトから、該移送ベルトによって搬送される磁性材料を含まない良品ペレットと磁性材料を含む不良品ペレットを投下させ、
前記不良品ペレットの投下軌道を前記磁性ローラの磁力によって変動させ、
分離板をそれらのペレットの分離した投下軌道の間に配置させることによって、前記ペレットを良品と不良品に分離するペレット選別方法において、
前記磁性ローラの表面を外側から冷却する冷却工程と、
該冷却工程によって前記移送ベルトの左右幅方向における中央温度を80℃以下にする工程と、
前記分離板の上端位置を前記良品ペレットの投下軌道の5〜10mm直下に配置する工程とを含み、
前記移送ベルトのベルト厚みが0.8〜1.1mmであるペレット選別方法。 - 前記移送ベルトの移送速度と前記磁性ローラの磁束密度に応じて、前記分離板の位置を上下及び/又は前後に移動するようにした請求項1に記載のペレット選別方法。
- 前記移送ベルト表面の磁束密度を前記磁性ローラの表面温度の変化に対応させて、該移送ベルト表面の磁束密度の変動を決定し、前記分離板の位置を移動させるようにした請求項2に記載のペレット選別方法。
- 前記請求項1〜3のいずれかに記載のペレット選別方法によって、ペレットを製造するペレットの製造方法。
- 磁性体を吸引する磁石を備え前方側に位置する回転可能な磁性ローラと、該磁性ローラの後方側に位置する回転可能なサブローラと、これらの磁性ローラとサブローラとの周りに巻装された搬送用の移送ベルトとを備え、
該移送ベルトによって搬送される樹脂ペレットについて、磁性体を含まない良品ペレットと磁性体を含む不良品ペレットとに選別するペレット選別装置において、
前記移送ベルトのベルト厚みが0.8〜1.1mmであり、
前記磁性ローラの前方に、前記良品ペレットと前記不良品ペレットとを分離する可動可能な分離板を設け、前記移送ベルトの移送速度と前記磁石の磁束密度に応じて、前記分離板の位置を適宜移動し、
前記移送ベルトの移送速度による慣性力によって、前記良品ペレットと不良品ペレットは移送ベルトから前方に投下され、
一方の前記良品ペレットは、前記分離板を越えて該分離板よりも前方側に分離され、他方の前記不良品ペレットは、前記磁性ローラの吸引力によって、前記分離板の後方側に分離されるようにしたことを特徴とするペレット選別装置。 - 前記磁性ローラ面上の前記移送ベルト表面の磁束密度を踏まえて、前記分離板の位置を決定するようにした請求項5に記載のペレット選別装置。
- 前記移送ベルト表面の磁束密度を前記磁性ローラの表面温度の変化に対応させて、該移送ベルト表面の磁束密度の変動を決定し、前記分離板の位置を移動させるようにした請求項6に記載のペレット選別装置。
- 前記磁性ローラの内部側又は外周面側に冷却手段を設け、前記磁性ローラの磁石を冷却手段によって冷却するようにした請求項5〜7のいずれかに記載のペレット選別装置。
- 前記移送ベルトの搬送面上で上下に重なり合っている前記樹脂ペレットの重なりを防止するための拡散手段を設けた請求項5〜8のいずれかに記載のペレット選別装置。
- 前記請求項5〜9のいずれかに記載のペレット選別装置と、
樹脂材料をペレット状に裁断するペレット化装置と、
該ペレット化装置と前記ペレット選別装置との間に設けられ、裁断された樹脂ペレットを冷却する冷却装置とを備え、冷却後の樹脂ペレットを前記ペレット選別装置に連続工程によって供給するようにしたペレット製造システム。
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