JP2021154221A - アンモニア含有ガスの処理方法、処理材および処理材の製造方法 - Google Patents

アンモニア含有ガスの処理方法、処理材および処理材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】マイルドな反応温度で有害なNOxやNOを発生させることなく高い分解率でアンモニア含有ガスを分解できるアンモニア含有ガスの処理方法、処理材および処理材の製造方法を提供する。
【解決手段】触媒層を150℃以上300℃以下に加熱する工程と、加熱された触媒層にアンモニア含有ガスを通し、アンモニアを窒素ガスと水に酸化分解する工程と、を含み、触媒層には、γ−アルミナまたはθ−アルミナおよびアルミノシリケートからなる複合体と、複合体により担持される金属と、を備える処理材を用いる。このようにして、マイルドな反応温度で有害なNOxやNOを発生させることなく高い分解率でアンモニア含有ガスを分解できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、工場の排ガス処理に関連し、特にアンモニア含有ガスの処理方法、処理材および処理材の製造方法に関する。
一般に、排ガス中に存在するアンモニアを処理する方法として、酸水溶液による吸収法、活性炭やゼオライト等の吸着材を用いる方法、触媒による分解方法等の化学処理法が用いられている。このうち、特に触媒による分解方法は、高温条件下で排ガスを触媒と接触させ、連続的に大量の排ガスを無害な窒素ガスに分解できる。そして、酸素とアンモニアを接触させて窒素ガスと水蒸気ガスに変換する方法(酸化分解)や水素へ転化する方法が提案されている(特許文献1〜3参照)。
一方、排水処理技術として、γ−アルミナまたはθ−アルミナから選択されるアルミナおよび各種粘土を原料とするアルミノシリケートを含むアンモニア含有水処理材が提案されており、処理材に金属を担持させることも提案されている(特許文献4、5)。
特開2006−289211号公報 特開2006−167493号公報 特開2013−237045号公報 特開2017−164671号公報 特開2019−171311号公報
上記のように排ガス処理の方法は様々であるが、通常、アンモニア含有ガスを酸化燃焼した場合、副生成物として有害なNOxやNO等の窒素酸化物が生成する。そのため、アンモニア酸化触媒の後段で、NOx還元触媒塔等によるNOx除去処理が必要となる。その結果、処理設備は複雑かつ高価となりがちである。
一方、すでにあるアンモニア含有ガス処理材を排ガス処理に転用することも考えられるが、液体と気体とでは密度や処理対象を取り巻く状態が異なり、要求される水準も異なる。また、排水処理では、過酸化水素水の添加や高圧下での反応が必要になり、処理条件も大きく異なる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、マイルドな反応温度で有害なNOxやNOを発生させることなく高い分解率でアンモニア含有ガスを分解できるアンモニア含有ガスの処理方法、処理材および処理材の製造方法を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明のアンモニア含有ガスの処理方法は、触媒層を150℃以上300℃以下に加熱する工程と、加熱された前記触媒層にアンモニア含有ガスを通し、アンモニアを窒素ガスと水に酸化分解する工程と、を含み、前記触媒層には、γ−アルミナまたはθ−アルミナおよびアルミノシリケートを含む複合体と、前記複合体により担持される金属と、を備える処理材を用いることを特徴としている。このように、マイルドな反応温度で有害なNOxやNOを発生させることなく高い分解率でアンモニア含有ガスを分解できる。
(2)また、本発明のアンモニア含有ガスの処理方法は、前記複合体に、前記γ−アルミナが30wt%以上70wt%以下含まれていることを特徴としている。これにより、十分な比表面積を維持できるとともに、強アルカリ性の水滴と空気を含む霧状体に曝されても変質しない。
(3)また、本発明のアンモニア含有ガスの処理方法は、前記金属が、白金、パラジウム、ルテニウム、ニッケル、ロジウムおよび銅からなる群より選ばれる1または複数の組み合わせであることを特徴としている。これにより、高い分解率でアンモニアの分解を達成できる。
(4)また、本発明のアンモニア含有ガスの処理方法は、前記複合体に対し、前記金属が0.001wt%以上0.1wt%以下であることを特徴としている。これにより、低コストで高いアンモニア分解率を達成できる。
(5)また、本発明のアンモニア含有ガスの処理材は、γ−アルミナおよびアルミノシリケートを含む複合体と、前記複合体により担持される金属と、を備え、前記複合体に対し、前記金属が0.001wt%以上0.1wt%以下であることを特徴としている。これにより、低コストで高いアンモニア分解率を達成できる。
(6)また、本発明のアンモニア含有ガスの処理材の製造方法は、γ−アルミナとケイ酸塩水和物とを前記γ−アルミナの含有量が30wt%以上70wt%以下となるように混錬して混錬物を得る工程と、前記混錬物を成形する工程と、前記成形で得られた成形体を900℃以上1200℃以下で焼成する工程と、前記焼成により得られた焼成体に対し、0.001wt%以上0.1wt%以下の金属を担持させる工程と、を含むことを特徴としている。これにより、マイルドな反応温度で有害なNOxやNOを発生させることなく高い分解率でアンモニア含有ガスを分解できる処理材を製造できる。
本発明によれば、マイルドな反応温度で有害なNOxやNOを発生させることなく高い分解率でアンモニア含有ガスを分解できる。
(a)〜(d)Ptを1wt%担持した試料にNH/Heガスを吸着後、O/Heガスを流通させてアンモニアガス分解を行った。触媒層温度100、200、300℃において発生した、それぞれN、NO、NOおよびNOガスのイオン強度の経時変化を示すグラフである。 (a)〜(d)それぞれPt、Pd、およびRhを1wt%担持した試料ならびに金属未担持の試料にNH/HeとO/Heガスを交互に流通させた際に、触媒層温度100、200、300℃において発生したm/z=28(N)のイオン強度変化を測定した結果を示すグラフである。 アンモニア分解試験に用いる装置の概略図である。 各種金属を0.1wt%担持した試料を用いて触媒層温度250℃、空気供給量100ml/minの条件で行ったアンモニア分解ガス試験の結果を示す表である。 PtおよびPd担持試料のアンモニア分解率に及ぼす反応温度の影響を示す表である。 (a)0.1wt%Ptへ100、300、500ml/minで空気供給したときの24時間後のアンモニア分解率の変化を示す表である。(b)0.1wt%Pd担持試料へ100、300、500ml/minで空気供給したときの48時間後のアンモニア分解率の変化を示す表である。 Pt担持量を0、0.001、0.01、0.05、0.1wt%とした試料のアンモニア分解性能を示す表である。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
[処理材の構成]
アンモニア含有ガスの処理材は、γ−アルミナまたはθ−アルミナおよびアルミノシリケートを含む。γ−アルミナは、スピネル型の結晶構造を有しており、その粒子の比表面積は、α−アルミナに比べて大きい。処理材の比表面積が大きいとアンモニア分解性能を高めることができる。
アンモニア含有ガスの処理材のアルミナの含有量が少なすぎると、その比表面積を十分に高めることができない。一方、アルミナの含有量が多すぎると、耐アルカリ性が低下する。これらの理由から、処理材におけるアルミナの含有量は、30wt%〜70wt%、好ましくは、35wt%〜65wt%、より好ましくは40wt%〜60wt%である。
アルミノシリケートは、Al(アルミナ)とSiO(シリカ)とからなる複合酸化物(二元酸化物)である。アルミノシリケートとしては、例えば、Al・2SiO、Al・4SiO等が挙げられる。処理材に含有されるアルミノシリケートは、単一の種類であっても、2種以上の混合物であってもよい。これらは、γ−アルミナの焼結促進およびアンモニア水による水和抑制に効果がある。
アンモニア含有ガスの処理材は、さらにシリカを含み得る。シリカは、二酸化ケイ素(SiO)であり、原料であるケイ酸塩水和物中に含まれている石英、焼成により生成するクリストバライトやシリカとアルカリ成分と反応したガラス状のシリカ等が挙げられる。これらのシリカは、処理材中に1種以上に含有される。処理材においては、γ−アルミナ、アルミノシリケートおよびシリカが複合体を形成し、複合体が金属の担体となっている。
複合体におけるアルミノシリケートの含有量は、アルミナの量に応じて適宜調整できる。例えば、複合体中のアルミナの含有量を30wt%〜70wt%にする場合、アルミノシリケートの含有量(シリカを含む場合はシリカとの合計量)を70wt%〜30wt%に調整できる。
複合体は、活性成分として金属を担持している。担持される金属としては、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、インジウム、イリジウム、金、銀、コバルト、銅、ニッケル、タングステンおよびこれらの金属の水不溶性または水難溶性の化合物が挙げられる。具体的には、一酸化コバルト、一酸化ニッケル、二酸化ルテニウム、三酸化二ロジウム、一酸化パラジウム、二酸化イリジウム、酸化第二銅、二酸化タングステン等の酸化物、二塩化ルテニウム、二塩化白金等の塩化物、硫化ルテニウム、硫化ロジウム等の硫化物、硝酸ロジウム、硝酸ニッケル、硝酸銅、硝酸銀等の硝酸塩、へキサクロロ白金酸六水和物、塩化ヘキサアンミンルテニウム、ジアンミン亜硝酸パラジウム等の錯体等を挙げられる。金属の担持量は、アンモニア分解性能とコストのバランスから、担体の重量の0.001wt%〜0.1wt%であることが好ましい。
アンモニア含有ガス処理材は、様々な形状とすることができる。アンモニア含有ガス処理材の形状としては、球状、ペレット状、円柱状、直方体状、筒状、破砕片状、ハニカム状、粉末状等が挙げられる。
[処理材の製造方法]
アンモニア含有ガス処理材は、γ−アルミナまたはθ−アルミナを与える化合物と、ケイ酸塩水和物を混練して混練物を得る工程と、混練物を成形した後、成形物を900℃〜1200℃の温度で焼成する工程を含む製造方法により製造される。
「γ−アルミナを与える化合物」とは、γ−アルミナ、または焼成によってγ−アルミナを生成する化合物のことを意味する。焼成によってγ−アルミナを生成する化合物としては、特に限定されないが、ギブサイト、ダイアスポア、ベーマイト等の水酸化物、硝酸アルミニウム等の硝酸塩、塩化アルミニウム等の塩化物等が挙げられる。γ−アルミナを与える化合物は、単一または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、「θ−アルミナを与える化合物」とは、θ−アルミナ、又は焼成によってθ−アルミナを生成する化合物のことを意味する。焼成によってθ−アルミナを生成する化合物としては、特に限定されないが、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
原料として添加されるケイ酸塩水和物は焼成されて、アルミノシリケートを構成する。ケイ酸塩水和物としては、特に限定されないが、カオリン(カオリナイト)、ハロイサイト、パイロフィライト、イモゴライト、アロフェン等が挙げられる。なお、これらのケイ酸塩水和物を含有する蛙目粘土、木節粘土、信楽土等の陶土を原料として用いてもよい。これらは、単一または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、高いアンモニア分解能が得られることから、蛙目粘土を用いることが好ましい。
上記の原料を混練して混練物を得る場合、混練性およびその後の成形性を確保する観点から、水、1,3−ブタンジオール等の溶剤を混練物に配合してもよい。混練方法としては、通常用いられる混練機等を用いて行なうことができる。
原料の配合割合としては、アンモニア含有ガス処理材中のγ−アルミナの含有量を30wt%〜70wt%、好ましくは、35wt%〜65wt%、より好ましくは40wt%〜60wt%とするために、混練物の固形分中のγ−アルミナを与える化合物の含有量を30wt%〜70wt%、好ましくは、35wt%〜65wt%、より好ましくは40wt%〜60wt%に設定する。
一方、混練物の固形分中のケイ酸塩水和物の含有量は、γ−アルミナの含有量に応じて30wt%〜70wt%、好ましくは35wt%〜65wt%、より好ましくは、40wt%〜60wt%とすることができる。なお、ケイ酸塩水和物が、蛙目粘土等の陶土を用いる場合も、混練物の固形分中の含有量は上記と同様である。
混練物の成形方法としては、作製する処理材の形状に応じて適切な方法を選択できる。例えば、混練物を球状の成形体に成形する場合、造粒機等を用いて成形すればよい。また、混練物を円柱状、直方体状、筒状、ハニカム状等の成形体に成形する場合、押出成形機等を用いて成形すればよい。混練物を成形した後、成形体を直ぐに焼成しでもよいが、クラック等の発生を防止する観点から、必要に応じて焼成前に乾燥を行ってもよい。
成形物の焼成は、900℃から1200℃の温度で行う。このような温度範囲で焼成を行うことにより、強度を高めつつ、γ−アルミナの比表面積を維持したアンモニア含有ガス処理材を得ることが可能になる。
焼成温度が900℃未満であると、アンモニア含有ガスの処理材の強度が低下し、形状が崩れ易い。一方、焼成温度が1200℃を超えると、γ−アルミナが相転移してコランダム構造のα−アルミナとなり、アルミナの焼結が進行するため、アンモニア含有ガス処理材の比表面積が低下してしまう。焼成方法としては、特に限定されず、公知の焼成装置を用いて行うことができる。焼成装置としては、バッチ炉、トンネル窯、ロータリーキルン等を用いることができる。
次に、このようにして得られた複合体に金属を担持させる。まず、金属イオン含有水溶液に複合体を含浸させる。含浸後に、エバポレータ、遠心分離装置(低速回転)等を用いて複合体に付着した水分を飛ばし、焼成することで複合体に金属を担持させることができる。例えば、白金を担持させる場合には、ヘキサクロロ白金酸溶液に複合体を含浸させ、水分を飛ばし、500℃程度で2時間焼成する。
なお、水分除去は、野菜水切り器を用いても可能である。また、焼成前に、温風を当てたり、乾燥機に入れたりする方法で、風乾により資材表面の過剰な水分を除去することも有効である。特に、焼成温度を段階的に上げずに複合体を焼成する場合、事前に風乾を行うことで高い熱効率で焼成できる。
また、除去した金属イオン含有水溶液は回収し、繰り返し使用できる。焼成後に焼成体を水素還元してもよい。水素還元は、例えば、焼成体に対し500℃の10%H/Arを100mL/minで2時間流通させることで可能である。水素還元は、特に触媒活性が低下した触媒に実施することで、活性が向上する。
上記の製造方法で得られた処理材にアンモニア含有ガスを通過させることでアンモニア含有ガス中のアンモニアを酸化分解することができる。
[処理方法]
処理材を用いたアンモニア含有ガスの処理方法を説明する。まず、処理材を触媒層として装置に保持させる。そして、処理材を150〜300℃の所定の温度に加熱し、触媒層にアンモニア含有ガスを通気する。処理材の分量は、担持される金属で決まる分解率に応じて調整することが好ましい。このようにして、アンモニア含有ガスを処理し、30%以上の分解率でアンモニアを分解することができる。
[実施例1]
1.1実験方法
(1)試料作製
(粉末状試料の調製)
γ‐アルミナおよびアルミノシリケートを含む複合体を乳鉢で180μm以下に粉砕した。これを約0.3g精秤してナスフラスコに入れ、5.94mlの蒸留水を加えた。90℃に加熱後、7.72×10−3mol/lのヘキサクロロ白金酸溶液1.95mlを滴下して90℃を保持したまま1時間撹拌した。白金溶液を含浸させた後、エパポレータで蒸発乾固させ、粉末状の1wt%Pt試料を調製した。
また同様の方法で5.85×10−2mol/l硝酸ロジウム(III)、0.05mol/lのジアンミン亜硝酸パラジウム、1.26×10−2mol/lの塩化ヘキサンアンミンルテニウムを粉末状の試料に含浸させて担持した。担持量はいずれも金属として1wt%である。
(2)アンモニア分解試験
(粉末状試料を用いたアンモニアガスの分解試験)
日本ベル製触媒評価装置BELCAT(登録商標)B型を用いて触媒層の温度を100、200、300℃の各温度で次のガスを流通させて測定した。使用した試料は50mgである。初めに50ml/minのHe流通下で100℃まで10℃/minで昇温し、温度を保ったまま10分間50ml/minでHeを流通させた。次いで5.09%のNH/Heを50ml/minで10分間流通させて試料表面にNHを吸着させた。その後、50ml/minのHeを5分間流通させて分析管内のNHガスを排出し、ついで5.08%のO/Heガスを50ml/minで10分間触媒層に流通させて試料表面のNHと反応させた。同様の方法で、触媒層の温度を200℃、300℃に設定した条件での分解試験を行った。ガス組成は、日本ベル製オンラインガス分析計BELMASSを用いて各成分のイオン強度を分析した。
1.2結果と考察
調製した1wt%Pt担持試料にNH/Heを吸着後O/Heを流通させてアンモニアの酸化反応による分解を試みた。一般に、アンモニアの分解は以下のように進行する。
4NH+3O→2N+6HO…(1−1)
4NH+5O→4NO+6HO…(1−2)
4NH+7O→4NO+6HO…(1−3)
したがって、分解反応によってN、NO、NOおよびHOが生成することが知られている。そこで、オンラインガス分析を用いてm/z=28(N)、m/z=30(NO)、m/z=44(NO)、m/z=46(NO)のイオン強度変化を測定した。
図1(a)〜(d)は、それぞれN、NO、NOおよびNOガスに対する100、200、300℃におけるイオン強度の経時変化を示すグラフである。(a)のN(m/z=28)のイオン強度は、反応温度が200℃、300℃の条件では、O/Heに切り替えた直後からピークが発現し、試料表面に吸着したNHとOの反応によってNが生成していることを確認した。
また、図1(d)のNO(m/z=46)のイオン強度は、反応温度300℃の条件では、O/Heに切り替えた直後から、ピークが発現した。反応温度200℃の条件では、試料表面に吸着していたNHは上記(1−1)式の反応によりNが生成し、300℃の条件では(1−1)式によるNと(1−3)式によるNOの生成が同時進行することが示唆されている。
図2(a)〜(d)は、それぞれPt、Pd、Rhを1wt%担持した試料ならびに金属未担持の試料に、NH/HeガスとO/Heガスを交互に流通させ、反応温度をそれぞれ100、200、300℃に設定した際のN(m/z=28)のイオン強度変化を測定した結果を示すグラフである。Pt、PdおよびRhは反応温度200℃以上でピークが発現し、Nの生成を確認した一方、金属未担持の試料では、Nのピーク発現はなかった。
[実施例2]
2.1実験方法
(1)試料作製
γ‐アルミナおよびアルミノシリケートを含む複合体20gをナスフラスコに入れ、ヘキサクロロ白金酸溶液を滴下して90℃を保持したまま1時間撹拌した。溶液を含浸させた後、エパポレータで蒸発乾固させ、担持体を得た。その後、500℃、2時間の焼成を行い、0.1wt%Pt担持試料を調製した。
同様の手法で、硝酸ニッケル、硝酸ロジウム(III)、ヘキサクロロ白金酸溶液、塩化ヘキサアンミンルテニウム、ジアンミン亜硝酸パラジウムおよび硫酸銅溶液を使用して、金属担持試料を調製した。
(2)アンモニア分解試験
図3は、アンモニア分解試験に用いた実験装置1の概略図である。内径31mm、長さ400mmの石英ガラス管11内に、石英ウール15で挟み込んだ20gの試料13を入れ、長さ50mm(体積37.7cm)の触媒層16とした。石英ガラス管11は、管状電気炉17内に設置し、触媒層温度を調節した。
アンモニア含有ガスは、2.8%アンモニア水300mlを900ml容量のガラス容器40に入れ、エアーコンプレッサ20を用いて空気を供給し、発生させたものを用いた。空気流量はマスフローコントローラ30で100〜1000ml/minの範囲で調節した。流量調節した空気をアンモニア水にバブリングして、アンモニア含有ガスを触媒層に通過させた。触媒層の入口には、3方コック50を設け、触媒層16の入口側の濃度評価に用いた(Inlet)。触媒層を通過したガスは、蒸留水250mlを入れたメスシリンダ60に、10分間バブリングさせ、溶液中のアンモニア濃度を分析した(Outlet)。
(3)アンモニア濃度評価
アンモニア濃度はJIS K 0400−42−60:2000の吸光光度法により測定した。触媒層通過前後のアンモニアガスの濃度変化より、アンモニア分解率を算出した。
(a)吸光度測定用試料の調製
(発色試薬の調製)
サリチル酸ナトリウム13.0gおよびクエン酸三ナトリウム二水和物13.0gを少量の蒸留水に溶解させた後、乳鉢で粉砕したペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム二水和物を加え、メスフラスコを用いて100mlに希釈した。
(ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム溶液の調製)
水酸化ナトリウム3.2gを少量の蒸留水に溶解させた後、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム二水和物0.2gを加え、メスフラスコを用いて100mlに希釈した。
(標準液の調製)
塩化アンモニウム0.3819gを少量の蒸留水に溶解させた後、メスフラスコを用いて100mlに希釈し、1000ppmアンモニウム態窒素標準液を調整した。調整した1000ppmアンモニウム態窒素標準液をもとに、100ppmアンモニウム態窒素標準液および1ppmアンモニウム態窒素標準液を調整した。
(b)吸光度測定
アンモニアガスを捕集した試料溶液1mlを100mlに希釈し、この溶液を50mlメスフラスコに40ml取り、発色試薬およびジクロロイソシアヌル酸ナトリウム溶液をそれぞれ4mlずつ加えたのち、50mlに調整した後、10分静置し発色させたものを、吸光光度計を用いて、アンモニア濃度を測定した。
アンモニア分解率は、以下式より算出した。
Figure 2021154221
Conversion:アンモニア分解率
inlet:触媒層通過前のガス中のアンモニア濃度
outlet:触媒層通過後のガス中のアンモニア濃度
2.2結果
(1)各種金属担持試料のアンモニア分解性能
図4に、触媒層の温度250℃、空気供給量100ml/min設定条件下、各種金属を0.1wt%担持した試料を用いたアンモニア分解試験結果を示す。
Pd、RuおよびPt担持試料では、90%のアンモニア分解率を24時間継続し達成することを確認した。また、安価な金属であるNiやCu担持試料でも、24時間経過時では、30%程度のアンモニアを分解することが明らかとなった。一方、金属未担持試料では、アンモニアはほとんど分解しなかった。
空気供給量(SV)を100ml/minに固定し、反応温度を100〜450℃に変化させた際の、PtおよびPd0.1wt%担持試料のアンモニア分解率を図5に示す。Pt担持触媒では、温度を変化させても95%の分解率を達成した。Pd担持触媒では、200℃以下の反応温度では、分解率が低下するものの、一定量のアンモニアを分解できることを確認した。
反応温度を250℃に固定し、空気供給量(SV)を100〜500ml/minに変化させた際の、PtおよびPd0.1wt%担持試料のアンモニア分解率を図6(a)、(b)に示す。本試験では、反応開始48時間以降は、24時間毎にアンモニア水を交換した。
Pt担持試料では、空気供給量を変化させても90%の分解率を達成した。Pd担持試料では、空気供給量が500ml/minでは、分解率73%まで低下したものの、その後空気供給速度を100ml/minに戻すことで、アンモニア分解率は93%まで上昇することを確認した。
反応温度を250℃、空気供給量を100ml/minに固定し、Pt担持量を0〜0.1%まで変化させた際の、アンモニア分解率を図7に示す。0.001wt%の担持量でも、90%以上のアンモニア分解率を達成することを確認した。一方、Pt未担持の試料ではアンモニアの分解はほとんどなかった。
1 実験装置
11 石英ガラス管
13 試料
15 石英ウール
16 触媒層
17 管状電気炉
20 エアーコンプレッサ
30 マスフローコントローラ
40 ガラス容器
50 3方コック
60 メスシリンダ

Claims (6)

  1. 触媒層を150℃以上300℃以下に加熱する工程と、
    加熱された前記触媒層にアンモニア含有ガスを通し、アンモニアを窒素ガスと水に酸化分解する工程と、を含み、
    前記触媒層には、γ−アルミナまたはθ−アルミナおよびアルミノシリケートを含む複合体と、前記複合体により担持される金属と、を備える処理材を用いることを特徴とするアンモニア含有ガスの処理方法。
  2. 前記複合体には、前記γ−アルミナが30wt%以上70wt%以下含まれていることを特徴とする請求項1記載のアンモニア含有ガスの処理方法。
  3. 前記金属は、白金、パラジウム、ルテニウム、ニッケル、ロジウムおよび銅からなる群より選ばれる1または複数の組み合わせであることを特徴とする請求項1または請求項2記載のアンモニア含有ガスの処理方法。
  4. 前記複合体に対し、前記金属が0.001wt%以上0.1wt%以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のアンモニア含有ガスの処理方法。
  5. γ−アルミナおよびアルミノシリケートを含む複合体と、
    前記複合体により担持される金属と、を備え、
    前記複合体に対し、前記金属が0.001wt%以上0.1wt%以下であることを特徴とするアンモニア含有ガスの処理材。
  6. γ−アルミナとケイ酸塩水和物とを前記γ−アルミナの含有量が30wt%以上70wt%以下となるように混錬して混錬物を得る工程と、
    前記混錬物を成形する工程と、
    前記成形で得られた成形体を900℃以上1200℃以下で焼成する工程と、
    前記焼成により得られた焼成体に対し、0.001wt%以上0.1wt%以下の金属を担持させる工程と、を含むことを特徴とするアンモニア含有ガスの処理材の製造方法。
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