JP2021153796A5 - - Google Patents

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本発明は、連結式使い捨て着用物品に関する。
連結式使い捨て着用物品においては、表面の幅方向両側に、身体側に起き上がるサイド立体ギャザーがそれぞれ前後方向に沿って延在しているものが一般的となっている(例えば特許文献1、2参照)。このようなサイドギャザーを備えることによって、両サイド立体ギャザー間に排泄物が留まり、特に着用者の脚周り部からの排泄物の漏れが防止される。
一般に、連結式使い捨て着用物品は、パンツタイプ使い捨て着用物品と比べて胴周り方向のフィット性に劣るため、背中やお腹からの漏れを改善するために、ウエスト伸縮領域を設けたり、サイド立体ギャザーの起き上がり部の後端部に、身体側に起き上がるウエスト立体ギャザーが幅方向に沿って設けたりすることも知られている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、従来の連結式使い捨て着用物品は、サイド立体ギャザーの起き上がり部よりも後側に隙間が生じやすく、排泄物がウエスト立体ギャザーを越えてしまうと、製品後端から漏れ出てしまう(後漏れ又は背漏れ)という問題点を有していた。
この問題点を解決するために、サイド立体ギャザーの起き上がり部より後側にウエスト立体ギャザーを追加することも考えられたが、後方のウエスト立体ギャザーは起き上がりが不足しやすいという問題点があった。
他方、同様の問題(前漏れ又は腹漏れ)は、製品後側だけでなく、製品前側においても生じていた。
特開2010-22587号公報 特開2016-32591号公報
そこで本発明の主たる課題は、連結式使い捨て着用物品の後漏れ又は前漏れ防止効果を向上することにある。
上記課題を解決した連結式使い捨て着用物品は以下のとおりである。
<第1の態様>
前後方向中央を含む股間部と、前後方向中央より前側に延びる腹側部分と、前後方向中央より後側に延びる背側部分とを有し、
前記背側部分の両側部に設けられた、前記腹側部分の外面に着脱可能に連結される連結部を有し、
幅方向両側における第1の遮断位置に沿って表面から起き上がる、サイド立体ギャザーを有し、
前記サイド立体ギャザーは、前記第1の遮断位置の幅方向の外側に取り付けられたサイド付根部と、前記サイド付根部から延び出た第1部分と、前記第1部分における前端部及び後端部がそれぞれ倒伏状態で固定されて形成された第1前倒伏部及び第1後倒伏部と、前記第1部分における第1前倒伏部及び第1後倒伏部間の部分が非固定とされて形成された第1起き上がり部と、前記第1起き上がり部の少なくとも先端部に取り付けられた第1立体弾性部材とを有し、
前記第1起き上がり部の少なくとも先端部は、前記第1立体弾性部材とともに前後方向に収縮しているとともに、前後方向に伸長可能であり、
前記第1前倒伏部の間及び前記第1後倒伏部の間の少なくとも一方における第2の遮断位置に沿って表面から起き上がる、ウエスト立体ギャザーを有し、
前記ウエスト立体ギャザーは、前記第2の遮断位置に沿って取り付けられたウエスト付根部と、前記ウエスト付根部からウエスト縁側に延び出た第2部分と、前記第2部分における幅方向の両端部がそれぞれ倒伏状態で固定されて形成された第2倒伏部と、前記第2部分における第2倒伏部間の部分が非固定とされて形成された第2起き上がり部と、前記第2起き上がり部の少なくとも先端部に取り付けられた第2立体弾性部材とを有し、
前記第2起き上がり部の少なくとも先端部は、前記第2立体弾性部材とともに幅方向に収縮しているとともに、幅方向に伸長可能である、
ことを特徴とする連結式使い捨て着用物品。
(作用効果)
本物品のウエスト立体ギャザーは、第2部分がウエスト付根部からウエスト縁側に延び出ていることと、その取付位置が第1前倒伏部の間及び第1後倒伏部の間の少なくとも一方であることとを組み合わせたところに特徴を有する。
すなわち、本ウエスト立体ギャザーは、第2起き上がり部の収縮に伴い第2倒伏部が互いに引き寄せられつつ第2起き上がり部のウエスト縁側が股間側に対して起き上がる。一方、サイド立体ギャザーは、第1起き上がり部の収縮に伴い第1前倒伏部及び第1後倒伏部が互いに引き寄せられつつ第1起き上がり部が起き上がる。ここで、ウエスト立体ギャザーを有する領域は、第1前倒伏部の間及び第1後倒伏部の間の少なくとも一方である。したがって、サイド立体ギャザーによる第1前倒伏部及び第1後倒伏部を互いに引き寄せる作用は、ウエスト立体ギャザーの第2部分をウエスト付根部側に引き寄せる作用も有する。また、第1起き上がり部の収縮及び第2起き上がり部の収縮の方向が交差する部位、つまり第1前倒伏部又は第1後倒伏部のうちウエスト立体ギャザーを有する方は、両方の収縮の影響を受けて装着者の肌側に持ち上がる。
その結果、ウエスト立体ギャザーの第2起き上がり部は、装着者の肌に対する隙間が発生しやすい部位で、隙間の大きさに応じて起き上がり状態が特徴的に変化する。すなわち、当該隙間が小さいうちは、ウエスト立体ギャザーの第2起き上がり部は先端がウエスト縁側に向いており、起き上がり角度も小さく、面で接触する。つまり、漏れのリスクが小さい状態では装着感に優れたフィット性が確保される。一方、当該隙間が大きくなると、ウエスト立体ギャザーの第2起き上がり部は先端側が高く起き上がり、胴周りの締め付けが特に緩くなると、幅方向の中間部が股間側に反り返るか、又は反り返らないものの反り返りに近い状態まで高く起き上がる。つまり、漏れのリスクが大きい状態ではより漏れ防止性に優れた状態に変化する。このようなウエスト立体ギャザーの変化は従来ないものであり、特に経時的な(例えば食事タイミング等による)装着状態の緩みに起因する、後漏れや前漏れに効果的である。
<第2の態様>
展開状態で、前記ウエスト立体ギャザーは、前記連結部よりもウエスト縁側に位置する前記第2立体弾性部材を有する、
第1の態様の連結式使い捨て着用物品。
(作用効果)
連結式使い捨て着用物品では、連結部(前後方向に複数有する場合は最もウエスト縁側のものを意味する)よりウエスト縁側に位置する領域と、肌との間に隙間が生じやすい。したがって、このような連結式使い捨て着用物品に前述のウエスト立体ギャザーを設けるのは好ましい。
<第3の態様>
前記ウエスト立体ギャザーは、前記ウエスト付根部から股間側に延び出た第3部分と、前記第3部分における幅方向の両端部がそれぞれ倒伏状態で固定されて形成された第3倒伏部と、前記第3部分における第3倒伏部間の部分が非固定とされて形成された第3起き上がり部と、前記第3起き上がり部の少なくとも先端部に取り付けられた第3立体弾性部材とを有する、
第1又は2の態様の連結式使い捨て着用物品。
(作用効果)
本態様のウエスト立体ギャザーは、第2部分の股間側に、反対向きで起き上がる第3部分を設けたところに特徴を有する。これにより、第3部分が排泄物の移動を基本的に阻止し、何らかの原因でそれを乗り越えてしまった排泄物について第2部分が漏れを防止するという、二段階の漏れ防止機能が発揮される。ここで、第2部分が前述のように第3部分と基本的に異なる遮断機能を有するため、単に同一の起き上がり部を二重に設けた場合よりも、漏れ防止性に優れたものとなることはいうまでもない。
<第4の態様>
前記第2立体弾性部材は、前後方向に間隔を空けて複数設けられており、
これら第2立体弾性部材は、ウエスト側のものほど展開状態の伸長率が低い、
第1~3のいずれか1つの態様の連結式使い捨て着用物品。
(作用効果)
本態様のように伸長率が異なる複数の第2立体弾性部材が設けられていると、第2起き上がり部の先端側がより反り返りやすくなるため好ましい。
本発明によれば、連結式使い捨て着用物品の後漏れ又は前漏れ防止効果が向上する、等の利点がもたらされる。
テープタイプ使い捨ておむつの展開状態の内面側を示す平面図である。 テープタイプ使い捨ておむつの展開状態の外面側を示す平面図である。 図1のiii-iii断面図である。 図1のiv-iv断面図である。 (a)図1の要部拡大図、(b)ウエスト立体ギャザーの要部拡大図である。 (a)図1のv-v断面図、(b)図1のvi-vi断面図である。 装着状態の要部を示す断面図である。 装着状態の要部を示す断面図である。 使用前のほぼ自然長の状態を示す、テープタイプ使い捨ておむつの斜視図である。 他の例の展開状態の要部を示す断面図である。
図1~図6には、連結式使い捨て着用物品の一例として、テープタイプ使い捨ておむつが示されている。なお、ホットメルト接着剤による接着箇所のうち説明上必要な箇所については、平面図中には斜線模様及び点模様を、また断面図中には点模様をそれぞれ付している。ホットメルト接着剤は、スロット塗布、連続線状又は点線状のビード塗布、スパイラル状、Z状等のスプレー塗布、又はパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)等、公知の手法により塗布することができる。これに代えて又はこれとともに、弾性部材の固定部分では、ホットメルト接着剤を弾性部材の外周面に塗布し、弾性部材を隣接部材に固定することができる。ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在するが、特に限定無く使用できる。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。
このテープタイプ使い捨ておむつは、前後方向LDの中央LCを含む股間部と、前後方向LDの中央LCより前側に延びる腹側部分Fと、前後方向LDの中央LCより後側に延びる背側部分Bとを有している。また、このテープタイプ使い捨ておむつは、股間部を含む範囲に内蔵された吸収体3と、吸収体3の表側を覆う液透過性のトップシート2と、吸収体3の裏側を覆う液不透過性シート1と、液不透過性シート1の裏側を覆い、製品外面を構成する外装不織布12とを有するものである。
以下、各部の素材及び特徴部分について順に説明する。
(吸収体)
吸収体3は、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布からなる繊維集合層を単層又は複数層有する基本構造を有するものである。吸収体3は、必要に応じて粒子状などの高吸収性ポリマーを繊維集合層中に混合したり、繊維集合層中又は繊維集合層の表面に固着したり、繊維集合層間に層状に介在させたりすることができる。吸収体3は、必要に応じてクレープ紙等の包装シート(図示省略)により包むことができる。また、吸収体3の形状は適宜定めることができるが、図示のように股間部を含む前後方向LDの中間部分の幅がその前後両側よりも狭い砂時計形状(括れ形状)の他、長方形等のように、股間部の前側から後側まで延在する形状が好適である。吸収体3における繊維目付けは100~500g/m2程度、厚みは1~15mm程度とすることができる。また、吸収体3における高吸収性ポリマーの目付けは0~300g/m2程度とすることができる。
(液不透過性シート)
液不透過性シート1は、排泄物の裏面への浸み出しを遮断するものである。液不透過性シート1としては、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムの他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。
液不透過性シート1は、前後方向LD及び幅方向WDにおいて吸収体3と同じか又はより広範囲にわたり延びていることが望ましいが、他の遮水手段が存在する場合等、必要に応じて、前後方向LD及び幅方向WDにおいて吸収体3の端部を覆わない構造とすることもできる。
おむつ外面を布のような外観及び肌触りとするために、液不透過性シート1の裏面全体を外装不織布12で覆うことができる。外装不織布12は省略することもでき、その場合には、液不透過性シート1が製品外面を形成することになる。
(トップシート)
トップシート2は液透過性を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、多孔性プラスチックシートなどを用いることができる。
トップシート2は、前後方向LDでは製品前端から後端まで延び、幅方向WDでは吸収体3よりも側方に延びているが、例えば後述するサイド立体ギャザー4の起点が吸収体3の側縁よりも幅方向WDの中央側に位置する場合等、必要に応じて、トップシート2の幅を吸収体3の全幅より短くする等、適宜の変形が可能である。
(サイドフラップ)
図示例のテープタイプ使い捨ておむつは、吸収体3の側方にそれぞれ延出する、吸収体3を有しない一対のサイドフラップSFを有している。サイドフラップSFは、図示例のように、吸収体3を有する部分から連続する素材(外装不織布12等)からなるものであっても、他の素材を取り付けて形成してもよい。
(平面ギャザー)
サイドフラップSFの前後方向LDの中間部には、液不透過性シート1と外装不織布12との間に細長状の脚周り弾性部材7が前後方向LDに沿って伸長状態でホットメルト接着剤等により固定されており、この脚周り弾性部材7の収縮によりサイドフラップSFにはいわゆる平面ギャザーが形成されている。この平面ギャザーにより、おむつの側部が弾性伸縮して脚周りにフィットするようになる。脚周り弾性部材7は脚周りに沿うようにカーブしていてもよい。
左右各側における脚周り弾性部材7の本数は適宜定めることができるが、1~10本程度、より好ましくは3~8本程度が適当であり、複数本とする場合には、その間隔は2~15mm程度、特に6~10mm程度とするのが好ましい。また、各脚周り弾性部材7としては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができ、太さとしては500~1500dtex程度、天然ゴムの場合0.1~3mm程度、特に0.5~3mm程度が好ましい。また、各脚周り弾性部材7の固定時の伸長率は150~250%程度であるのが好ましい。
(ウイング部分)
本テープタイプ使い捨ておむつでは、背側部分Bは股間部よりも幅方向WD外側に延び出たウイング部分を有している。同様に、腹側部分Fも股間部よりも幅方向WD外側に延び出たウイング部分を有している。これらウイング部分は、それ以外の部分と別の部材により形成することもできる。しかし、図示例のようにサイドフラップSFを有する構造において、サイドフラップSFの側部における前後方向LD中間を切断することにより、股間部の側縁からウイング部分の下縁まで続く凹状の脚周り縁Leが形成され、その結果としてウイング部分が形成されていると、製造が容易であるため好ましい。
(連結テープ)
背側部分Bの両側部(図示例ではサイドフラップSFのウイング部分)には、その側縁からそれぞれ突出する連結テープ5が取り付けられるとともに、腹側部分Fの胴周り部表面に幅方向WDに沿ってターゲットシート6が貼着されており、身体への装着に際しては、おむつを身体にあてがった状態で、両側の連結テープ5を腰の各側から腹側外面に回してターゲットシート6に止着する。ターゲットシート6は省略することもでき、その場合には連結テープ5はおむつ外面(図示例の場合外装不織布12)に直に止着される。
図3に示されるように、連結テープ5は、背側部分Bのウエスト側サイドフラップSFにおけるシート間にホットメルト接着剤等の手段により固定された固定部5fと、サイドフラップSFの側縁のシート間から幅方向WDの外側に突出する突出部5eとを有しており、この突出部5eは先端部5pと、この先端部5pよりも基端側の本体部5bとを有している。連結テープ5の先端部5pの内面には、ターゲットシート6との連結のための連結部9として、表面にフック状突起を多数有するメカニカルファスナーのフック材(面ファスナーの雄材)がそれぞれ取り付けられている。また、ターゲットシート6として、腹側部分Fの外面に、フック状突起が着脱可能に掛止される表面を有するもの(メカニカルファスナー(面ファスナー)の雌材)が取り付けられている。おむつ外面の素材自体をターゲットシート6の代わりに用いたり、フック材に代えて粘着剤層を連結部9として用いるとともに、ターゲットシート6として粘着性に富むような表面が平滑な樹脂テープを用いたりすることができる。
また、図1に示されるように、連結テープ5には、前後方向LDの中間部における幅方向WDの外側縁から本体部5b内まで幅方向WDに沿うミシン目10が設けられており、このミシン目10を切り離すことにより、図9に示すように各々が固定部、本体部、先端部及び連結部9を備えた上段部及び下段部に分離することができるものである。ミシン目10に代えて、予め切断等により分離されていても良い。このような連結テープ5は、上段部と下段部とを交差させた状態で、腹側部分Fのターゲットシート6に着脱自在に連結することができる。もちろん、このような上下2段分割タイプに限られず、2段分割しないタイプ等、他の公知の連結テープに応用することもできる。
(サイド立体ギャザー)
図1、図4及び図6にも示されるように、トップシート2上を伝わって横方向に移動する排泄物を阻止し、いわゆる横漏れを防止するために、表面の幅方向WDの両側には、前後方向に延びる第1の遮断位置に沿って表面から起き上がるサイド立体ギャザー4が設けられている。
より詳細には、このサイド立体ギャザー4は、サイドフラップSFを含む領域に固定されたサイド付根部4xと、サイド付根部4xから延び出た第1部分4cと、第1部分4cにおける前端部及び後端部がそれぞれ倒伏状態で固定されて形成された第1前倒伏部4b及び第1後倒伏部4eと、第1部分4cにおける第1前倒伏部4b及び第1後倒伏部4e間の部分が非固定とされて形成された第1起き上がり部4fとを有している。また、第1起き上がり部4fの少なくとも先端部には、第1立体弾性部材4Gが取り付けられている。
図示例のサイド立体ギャザー4の各部は、サイド立体シート4sにより形成されており、このサイド立体シート4sが、第1部分4cの先端(サイド付根部4x側と反対側の端)で二つ折りされることにより、自由部分を含む範囲が二層構造となっている。第1立体弾性部材4Gは、この二層構造の部分の層間に挟まれている。第1立体弾性部材4Gは第1起き上がり部4fにのみ設けることもできるが、図示例のように、第1前倒伏部4bにおける後端部から第1後倒伏部4eにおける前端部まで固定されていると、第1立体弾性部材4Gの収縮力が第1起き上がり部4fの全体にわたり作用するだけでなく、第1前倒伏部4b及び第1後倒伏部4eの端部まで作用するため好ましい。
サイド立体シート4sの内面は、トップシート2の側部上に幅方向WDの接合始端を有し、この接合始端から幅方向WDの外側の部分は各サイドフラップSFの内面、つまり図示例では液不透過性シート1の側部及びその幅方向WDの外側に位置する外装不織布12の側部にホットメルト接着剤などにより接合されている。なお、平面図中の点模様部分はサイド立体ギャザー4の固着部分を示している。
サイド立体ギャザー4の接合始端より幅方向WDの内側は、前後方向の両端部ではトップシート2上に固定されているものの、その間の第1起き上がり部4fは非固定の自由部分である。このため、第1起き上がり部4fが第1立体弾性部材4Gの収縮力により前後方向に収縮しつつ起き上がるとともに、前後方向に伸長可能となり、身体表面に密着するようになる。また、第1起き上がり部4fが第1立体弾性部材4Gの収縮力により前後方向に収縮するのにともない、第1前倒伏部4b及び第1後倒伏部4eを有する部分が互いに近づくように変形する。
図示しないが、よく知られているように、サイド立体ギャザー4の第1部分4cを、幅方向WDの外側の部分から幅方向WDの内側に延在する基端側部分とこの基端側部分の幅方向WDの中央側の端縁から身体側に折り返され幅方向WDの外側に延在する先端側部分とを有する二つ折りした状態で、第1部分4cの前後方向LDの両端部を固定して倒伏部を形成することもできる。
サイド立体シート4sの種類は特に限定されないが、通常の場合、液遮断性を確保するために撥水性のものが用いられる。特に、肌触り及び液遮断性を両立できる点で、スパンボンド層間にメルトブローン層を有する不織布(SMS不織布、SMMS不織布、SSMS不織布、SSMMS不織布)が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。
第1立体弾性部材4Gとしては、糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。第1立体弾性部材4Gは、図1及び図2に示すように各複数本間隔を空けて設ける他、各1本設けることができる。展開状態における第1立体弾性部材4Gの伸長率は適宜定めることができるが、例えば太さ420~1120dtex程度のスパンデックス糸ゴムの場合、230~270%程度とすることができる。
(エンドフラップ)
本テープタイプ使い捨ておむつは、吸収体3の前側及び後側にそれぞれ延出する、吸収体3を有しない一対のエンドフラップEFを有している。エンドフラップEFの構成材はおむつの構造によって変化する。図示例では、エンドフラップEFは、液不透過性シート1、外装不織布12、トップシート2及びサイド立体シート4sのうち、吸収体3の前側及び後側に延びて積層され、かつ互いに接合された部分により形成されているが、これに限定されるものではない。エンドフラップEFを形成するための専用のシートを、吸収体3の前側又は後側に継ぎ足して、エンドフラップEFを形成してもよい。
通常の場合、エンドフラップEFの前後方向LDの寸法は、おむつ全体の前後方向LDの寸法の20~25%程度とすることができる。
(ウエスト立体ギャザー)
他方、図1、図5及び図6に示すように、図示例の使い捨ておむつの後端部(図示例の場合はエンドフラップEF)には、第1後倒伏部4eの間における第2の遮断位置に沿って表面から起き上がる、ウエスト立体ギャザー20が設けられている。より詳細には、図5及び図6にも示すように、ウエスト立体ギャザー20は、エンドフラップEFにおける第2の遮断位置に沿って取り付けられたウエスト付根部22と、ウエスト付根部22からウエスト縁側に延び出た第2部分23と、第2部分23における幅方向WDの両端部がそれぞれ倒伏状態で固定されて形成された第2倒伏部24と、第2部分23における第2倒伏部24間の部分が非固定とされて形成された第2起き上がり部25とを有している。また、第2起き上がり部25の少なくとも先端部(ウエスト縁側の端部)には、第2立体弾性部材21が取り付けられている。
また、図示例のウエスト立体ギャザー20はウエスト立体シート26により形成されており、このウエスト立体シート26が折り返されて形成された二層構造を有している。第2立体弾性部材21は、この二層構造の部分の層間に挟まれ、ホットメルト接着剤等により固定されている。第2立体弾性部材21は第2起き上がり部25にのみ設けることもできるが、図示例のように、一方の第2倒伏部24から他方の第2倒伏部24まで固定されていると、第2立体弾性部材21の収縮力が第2起き上がり部25の全体にわたり作用するだけでなく、第2倒伏部24まで作用するため好ましい。
図示例のウエスト立体シート26の内面は、エンドフラップEF上に前後方向LDの接合始端を有し、この接合始端から後方の部分はエンドフラップEFの内面、つまり図示例ではトップシート2の表面にホットメルト接着剤などにより接合されている。なお、このトップシート2に対するウエスト立体シート26の固着部分は、図1及び図5(a)に右斜め下向きの斜線で示されている。
ウエスト立体ギャザー20の接合始端よりウエスト縁側は、幅方向WDの両端部ではトップシート2上に固定された第2倒伏部24となっているものの、その間の第2起き上がり部25は非固定の自由部分である。このため、第2起き上がり部25が第2立体弾性部材21の収縮力により幅方向WDに収縮しつつ起き上がるとともに、幅方向WDに伸長可能となり、身体表面に密着するようになる。また、第2起き上がり部25が第2立体弾性部材21の収縮力により幅方向WDに収縮するのにともない、一方の第2倒伏部24を有する部分及び他方の第2倒伏部24を有する部分が互いに近づくように変形する。
一方、サイド立体ギャザー4は、第1起き上がり部4fの収縮に伴い第1前倒伏部4b及び第1後倒伏部4eが互いに引き寄せられつつ第1起き上がり部4fが起き上がる。ここで、ウエスト立体ギャザー20を有する領域は、第1後倒伏部4eの間に位置する。したがって、サイド立体ギャザー4による第1前倒伏部及び第1後倒伏部4eを互いに引き寄せる作用(図9中の矢印参照)は、ウエスト立体ギャザー20の第2部分23をウエスト付根部22側に引き寄せる作用(図9中の矢印参照)も有する。また、第1起き上がり部4fの収縮及び第2起き上がり部25の収縮の方向が交差する部位、つまり第1前倒伏部又は第1後倒伏部4eのうちウエスト立体ギャザー20を有する方は、両方の収縮の影響を受けて装着者の肌側に持ち上がる。
その結果、ウエスト立体ギャザー20の第2起き上がり部25は、装着者の肌に対する隙間が発生しやすい部位で、図7~図8(a)に示すように、製品内面と装着者の肌面BSとの隙間の大きさ応じて起き上がり状態が特徴的に変化する。すなわち、当該隙間が小さいうちは、図7(a)に示すように、ウエスト立体ギャザー20の第2起き上がり部25は先端がウエスト縁側に向いており、起き上がり角度も小さく、面で接触する。つまり、漏れのリスクが小さい状態では装着感に優れたフィット性が確保される。一方、当該隙間が大きくなると、図7(b)に示すように、ウエスト立体ギャザー20の第2起き上がり部25は先端側が高く起き上がり、胴周りの締め付けが特に緩くなると、図8(a)及び図9に示すように、幅方向WDの中間部の先端側が股間側に反り返る(又は反り返らないものの反り返りに近い状態まで高く起き上がる)。つまり、漏れのリスクが大きい状態ではより漏れ防止性に優れた状態に変化する。このようなウエスト立体ギャザー20の変化は従来ないものであり、特に経時的な(例えば食事タイミング等による)装着状態の緩みに起因する、後漏れや前漏れに効果的である。
図示例の第2倒伏部24は、第1後倒伏部4eにおけるトップシート2とサイド立体シート4sとの間に挟まれて両シートに対してホットメルト接着剤等の接合手段により接合された部分であるが、第1後倒伏部4eにおけるサイド立体シート4s上に設けられていてもよい。つまり、図示しないが、サイド立体ギャザー4の上にウエスト立体ギャザー20が設けられていてもよい。
ウエスト立体シート26の種類は特に限定されないが、通常の場合、液遮断性を確保するために撥水性のものが用いられる。特に、肌触り及び液遮断性を両立できる点で、スパンボンド層間にメルトブローン層を有する不織布(SMS不織布、SMMS不織布、SSMS不織布、SSMMS不織布)が好適である。不織布は一枚で使用する他、複数枚重ねて使用することもできる。後者の場合、不織布相互をホットメルト接着剤等により接着するのが好ましい。
第2立体弾性部材21としては、糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。第2立体弾性部材21は、図示例のように複数本間隔を空けて設ける他、1本設けるだけでもよい。展開状態における第2立体弾性部材21の伸長率は適宜定めることができるが、例えば太さ600~1300dtex程度のスパンデックス糸ゴムの場合、130~250%程度、特に160~200%程度とすることができる。
第2立体弾性部材21を前後方向LDに間隔を空けて複数本設ける場合、すべての伸長率を同一にしてもよいが、一部又は全部の伸長率を異なるものとすることができる。例えば、ウエスト縁側のものほど展開状態の伸長率が低くなっていると、第2起き上がり部25の先端側がより反り返りやすくなるため好ましい。
第2立体弾性部材21の位置は適宜定めることができるが、先端部(最もウエスト縁側)に位置する第2立体弾性部材21は、ウエスト付根部22の後縁から2~40mm程度離れていると、第2起き上がり部25の先端側がより反り返りやすくなるため好ましい。同様の理由により、先端部(最もウエスト縁側)に位置する第2立体弾性部材21は、エンドフラップEFの前縁から離れていると好ましい。
テープタイプ使い捨ておむつでは、連結部9(前後方向LDに複数有する場合は最もウエスト縁側のものを意味する)よりウエスト縁側に位置する領域と、肌との間に隙間が生じやすい。したがって、展開状態で、ウエスト立体ギャザー20は、連結部9よりもウエスト縁側に位置する第2立体弾性部材21を有すると、前述のウエスト立体ギャザー20の変形が効果的に発現するため好ましい。
図6~図8に示す例のように、ウエスト立体ギャザー20は、ウエスト付根部22から股間側に延び出た第3部分33と、第3部分33における幅方向WDの両端部がそれぞれ倒伏状態で固定されて形成された第3倒伏部34と、第3部分33における第3倒伏部34間の部分が非固定とされて形成された第3起き上がり部35と、第3起き上がり部35の少なくとも先端部に取り付けられた第3立体弾性部材31とを有するのも好ましい。これにより、第3部分33が排泄物の移動を基本的に阻止し、何らかの原因でそれを乗り越えてしまった排泄物について第2部分23が漏れを防止するという、二段階の漏れ防止機能が発揮される。ここで、第2部分23が前述のように第3部分33と基本的に異なる遮断機能を有するため、単に同一の起き上がり部を二重に設けた場合よりも、漏れ防止性に優れたものとなることはいうまでもない。
もちろん、図10に示す例のように、第3部分33は省略することもできる。また、図8(b)に示す例のように、第2部分23を前後方向LDに間隔を空けて複数設けることもできる。
図示例では、ウエスト立体ギャザーの第3部分33が、サイド立体ギャザー4の第1起き上がり部4fを有する前後方向LDの範囲に位置しているが、第3部分33の一部又は全部が第1倒伏部を有する前後方向LDの範囲に位置していてもよい。前者の場合、第3倒伏部34は、サイド付根部4xを有する領域内に位置することとなるが、後者の場合第1後倒伏部4eを有する領域内に位置していてもよい。
また、ウエスト立体ギャザーの第3部分33が、サイド立体ギャザー4の第1起き上がり部4fを有する前後方向LDの範囲に位置している場合、第3起き上がり部35と第1起き上がり部4fとはそれらが重なる部分で接合されていないことが好ましいが、接合されていてもよい。
<その他>
上記例は、背側部分Bにのみウエスト立体ギャザー20を設けているが、これに代えて又はこれとともに、腹側部分Fにもウエスト立体ギャザー20を設けることができる。すなわち、第1前倒伏部4bの間及び第1後倒伏部4eの間の少なくとも一方に、ウエスト立体ギャザー20を設けることができる。
上記説明における不織布としては、部位や目的に応じて公知の不織布を適宜使用することができる。不織布の構成繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維(単成分繊維の他、芯鞘等の複合繊維も含む)の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等、特に限定なく選択することができ、これらを混合して用いることもできる。不織布の柔軟性を高めるために、構成繊維を捲縮繊維とするのは好ましい。また、不織布の構成繊維は、親水性繊維(親水化剤により親水性となったものを含む)であっても、疎水性繊維若しくは撥水性繊維(撥水剤により撥水性となった撥水性繊維を含む)であってもよい。また、不織布は一般に繊維の長さや、シート形成方法、繊維結合方法、積層構造により、短繊維不織布、長繊維不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド(エアスルー)不織布、ニードルパンチ不織布、ポイントボンド不織布、積層不織布(スパンボンド層間にメルトブローン層を挟んだSMS不織布、SMMS不織布等)等に分類されるが、これらのどの不織布も用いることができる。
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前後方向」とは図中に符号LDで示す方向(縦方向)を意味し、「幅方向」とは図中にWDで示す方向(左右方向)を意味し、前後方向と幅方向とは直交するものである。
・「MD方向」及び「CD方向」とは、製造設備における流れ方向(MD方向)及びこれと直交する横方向(CD方向)を意味し、製品の部分によっていずれか一方が前後方向となるものであり、他方が幅方向となるものである。不織布のMD方向は、不織布の繊維配向の方向である。繊維配向とは、不織布の繊維が沿う方向であり、例えば、TAPPI標準法T481の零距離引張強さによる繊維配向性試験法に準じた測定方法や、前後方向及び幅方向の引張強度比から繊維配向方向を決定する簡易的測定方法により判別することができる。
・「表側」とは、着用した際に着用者の肌に近い方を意味し、「裏側」とは、着用した際に着用者の肌から遠い方を意味する。
・「表面」とは部材の、着用した際に着用者の肌に近い方の面を意味し、「裏面」とは部材の、着用した際に着用者の肌から遠い方の面を意味する。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。例えば、伸長率が200%とは、伸長倍率が2倍であることと同義である。
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:2wt%、塩化ナトリウム:0.8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.03wt%、硫酸マグネシウム七水和物:0.08wt%、及びイオン交換水:97.09wt%を混合したもの)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter-MAX ME-500)でゲル強度を測定する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、100倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES-G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:0.098N/cm 2 、及び加圧面積:2cm 2 の条件下で自動測定する。有孔不織布の厚みは、孔及びその周囲の突出部以外の部分で測定する。
・吸水量は、JIS K7223-1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・吸水速度は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。
本発明は、上記例のテープタイプ使い捨ておむつのような連結式使い捨て着用物品に適用できるものである。
1…液不透過性シート、10…ミシン目、2…トップシート、3…吸収体、4…サイド立体ギャザー、4G…第1立体弾性部材、4c…第1部分、4e…第1後倒伏部、4f…第1起き上がり部、4x…サイド付根部、5…連結テープ、6…ターゲットシート、9…連結部、20…ウエスト立体ギャザー、21…第2立体弾性部材、22…ウエスト付根部、23…第2部分、24…第2倒伏部、25…第2起き上がり部、26…ウエスト立体シート、31…第3立体弾性部材、33…第3部分、34…第3倒伏部、35…第3起き上がり部、B…背側部分、EF…エンドフラップ、F…腹側部分、LD…前後方向、SF…サイドフラップ、WD…幅方向。
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