JP2021152142A - トリアリルイソシアヌレート重合体、その製造方法、硬化性組成物及び高分子成形体 - Google Patents

トリアリルイソシアヌレート重合体、その製造方法、硬化性組成物及び高分子成形体 Download PDF

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宏将 棚橋
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Abstract

【課題】液状であって基材への塗布又は含浸が可能であり、揮発性が抑制され耐熱性が優れたトリアリルイソシアヌレート重合体、その製造方法、硬化性組成物及び高分子成形体の提供。【解決手段】30℃において液体であり、かつ30℃における粘度が300mPa・s以上である、トリアリルイソシアヌレート重合体、及びオレフィンメタセシス反応によりトリアリルイソシアヌレートを重合するトリアリルイソシアヌレート重合体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、トリアリルイソシアヌレート重合体、その製造方法、硬化性組成物及び高分子成形体に関する。
トリアリルイソシアヌレート(以下「TAIC」という場合がある。)は、液状であって樹脂への配合や塗布、含侵が可能であるという有利な特性を有し、架橋性エラストマー又は架橋性熱可塑性樹脂のような架橋性高分子の架橋剤として知られている(特許文献1、特許文献2)。
TAICは、プリプレグに含浸させたり、架橋性高分子に練り込んだりして使用される場合がある(特許文献3)。TAICをプリプレグに含浸させて使用する場合、プリプレグを加熱プレスして成形する際に、TAICが揮発してしまうことがある。また、TAICを架橋性高分子に練り込んで使用する場合、TAICと架橋性高分子を混合した後から架橋処理までの間に数日間保管され、その間にTAICが揮発してしまうことがある。いずれの場合も、TAICが揮発してしまうことにより、期待する架橋性能が発揮されないこととなる。
一方で、TAICの重合方法としては、ラジカル重合法が知られている(特許文献4、特許文献5)。
また、有機化学的手法、例えば、1,3−ジアリルイソシアヌレートのナトリウム塩と1,4−ジクロロ−2−ブテンを反応させることにより、TAICの二量体を合成できることも報告されている(特許文献6、特許文献7)。
特開2014−118536号公報 特許第5852234号公報 特許第4228568号公報 特許第2782358号公報 特許第2889971号公報 特開昭54−103881号公報 特開2015−151413号公報
液状であって塗布や含侵が可能であるという特性を維持したまま、TAICの揮発性を抑制する手段の候補の一つとして、TAICをオリゴマー化することが考えられる。
しかしながら、特許文献4、特許文献5に記載のラジカル重合反応では、反応制御が困難であるため、高分子量の固体状の重合体が得られることとなり、液状のTAICオリゴマーを得ることは難しい。
また、特許文献6、特許文献7に記載の高純度のTAICの二量体は、融点が125℃の固体であり、塗布又は含侵が不可能である。また、反応生成物からTAICの二量体を単離するために、ろ過及び再結晶といった煩雑で工業的に不利な工程が必要となる。
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、液状であって基材への塗布又は含侵が可能であり、揮発性が抑制されたトリアリルイソシアヌレート重合体、その製造方法、硬化性組成物及び高分子成形体を提供することを課題とする。
[1] 30℃において液体であり、かつ30℃における粘度が300mPa・s以上である、トリアリルイソシアヌレート重合体。
[2] ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)が480以上である、トリアリルイソシアヌレート重合体。
[3] 重クロロホルムを溶媒として測定温度30℃で測定したH−NMRスペクトルにおいて、4.5〜5.0ppm及び5.4〜5.8ppmにシグナル(ピーク)が観測される、[1]又は[2]に記載のトリアリルイソシアヌレート重合体。
[4] 式(1)で表される構成単位を含む、トリアリルイソシアヌレート重合体。
Figure 2021152142
式(1)中、*は結合点を表す。
[5] 式(2)で表される構造を有する、[1]〜[4]のいずれかに記載のトリアリルイソシアヌレート重合体。
Figure 2021152142
式(2)中、
、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表し、
mは1以上の整数であり、nは0以上の整数であり、m及びnは、3≦m+n≦10を満たし、
は、n≠0であるとき、二重結合、又は炭素−炭素二重結合由来の二価連結基を2個含む四価の連結基を表し、n=0であるとき、式(a)で表される二価の基を表す。
Figure 2021152142
式(a)中、Lは、二重結合、又は炭素−炭素二重結合由来の二価連結基を2個含む四価の連結基を表し、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。
[6] 式(2)で表されるトリアリルイソシアヌレート重合体。
Figure 2021152142
式(2)中、
、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表し、
mは1以上の整数であり、nは0以上の整数であり、m及びnは、3≦m+n≦10を満たし、
は、n≠0であるとき、二重結合、又は炭素−炭素二重結合由来の二価連結基を2個含む四価の連結基を表し、n=0であるとき、式(a)で表される二価の基を表す。
Figure 2021152142
式(a)中、Lは、二重結合、又は炭素−炭素二重結合由来の二価連結基を2個含む四価の連結基を表し、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。
[7] オレフィンメタセシス反応によりトリアリルイソシアヌレートを重合する、[1]〜[6]のいずれかに記載のトリアリルイソシアヌレート重合体の製造方法。
[8] [1]〜[6]のいずれかに記載のトリアリルイソシアヌレート重合体と、架橋性高分子とを含む、硬化性組成物。
[9] [8]に記載の硬化性組成物を硬化して得られる、高分子成形体。
本発明によれば、液状であって基材への塗布又は含侵が可能であり、揮発性が抑制されたトリアリルイソシアヌレート重合体、その製造方法、硬化性組成物及び高分子成形体を提供できる。さらに、本発明により得られるトリアリルイソシアヌレート重合体及び高分子成形体は、トリアリルイソシアヌレートと同等の誘電率を維持したまま、耐熱性にも優れるものである。
図1は、実施例1のTAIC重合体のH NMRスペクトルである。 図2は、実施例2のTAIC重合体のH NMRスペクトルである。 図3は、実施例3のTAIC重合体のH NMRスペクトルである。 図4は、実施例4のTAIC重合体のH NMRスペクトルである。 図5は、実施例5のTAIC重合体のH NMRスペクトルである。 図6は、比較例1のTAIC重合体のH NMRスペクトルである。
「TAIC」は、トリアリルイソシアヌレートを意味する。
「TAIC二量体」は、1,3−ジアリルイソシアヌレートのナトリウム塩と1,4−ジクロロ−2−ブテンを反応させることにより得られる、トリアリルイソシアヌレートの二量体を意味する。
「TAIC重合体」は、トリアリルイソシアヌレート重合体を意味する。本発明では、特に、トリアリルイソシアヌレートをオレフィンメタセシス反応により重合して得られる、トリアリルイソシアヌレートの重合体を意味する。
重合体の構成単位が由来する化合物を単量体という。
「〜」を用いて表される数値範囲は、両端の数値を範囲内に含む。
「GPC」はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(Gel Permeation Chlomatography)の略語である。
化合物の質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、GPCによって測定した、標準ポリスチレン換算分子量である。
単一の分子量を持ち分子量分布がない化合物の分子量は、式量によって表す。
[トリアリルイソシアヌレート重合体]
〈第1の態様〉
本発明のTAIC重合体の第1の態様は、30℃において液体であり、かつ30℃における粘度が300mPa・s以上である、TAIC重合体である。
《融点》
本態様のTAIC重合体は、30℃において液体であることから、その融点は30℃未満である。
本態様のTAIC重合体の融点は、通常、30℃未満であり、25℃未満が好ましく、20℃未満がより好ましく、15℃未満がさらに好ましく、5℃未満がいっそう好ましい。
本態様のTAIC重合体は、液体であることから、架橋性高分子を含むプリプレグ等のシート状の基材に含浸させたり、塗布したりすることができ、取扱い性に優れる。
《粘度(30℃)》
本態様のTAIC重合体の30℃における粘度は、300mPa・s以上であり、400mPa・s以上が好ましく、1000mPa・s以上がより好ましく、4000mPa・s以上がさらに好ましい。前記粘度の上限は特に限定されない。前記粘度は、3000000mPa・s以下が好ましく、750000mPa・s以下がより好ましく、450000mPa・s以下がさらに好ましい。前記粘度は、300〜3000000mPa・sが好ましく、400〜750000mPa・sがより好ましく、4000〜450000mPa・sがさらに好ましい。
前記粘度は、コーンプレート型粘度計を用いて、30℃において、本態様のTAIC重合体を無溶媒で測定して得られる粘度である。粘度の測定方法の詳細は、後述する実施例に記載する。
30℃における粘度が測定できるということは、本態様のTAIC重合体が、30℃において液体であることを意味する。
前記粘度が300mPa・s以上であると、本態様のTAIC重合体の分子量(質量平均分子量)がラジカル重合法により得られるTAIC二量体の分子量(式量)よりも大きい化合物を含むとともに、揮発性が抑制される。また、前記粘度が3000000mPa・s以下であると、プリプレグ等のシート状の基材に含浸させたり、塗布したりすることができ、取扱い性に優れる。
《その他の物性》
(質量平均分子量)
本態様のTAIC重合体の質量平均分子量は、通常、480以上であり、500〜2000が好ましく、500〜1500がより好ましく、500〜1000がさらに好ましい。質量平均分子量の測定方法の詳細は、後述する実施例において説明する。
(揮発性)
本態様のTAIC重合体の揮発性は熱重量示差熱分析装置(TG−DTA)を用いて熱重量分析を行い、重量減少率を求めて評価する。重量減少率の測定方法の詳細は、後述する実施例に記載する。
本態様のTAIC重合体の熱重量分析による重量減少率は、50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましく、20%以下がいっそう好ましい。重量減少率が50%以下であれば、揮発性が充分に抑制されると評価できる。
(耐熱性)
本態様のTAIC重合体の耐熱性は、熱重量示差熱分析装置(TG−DTA)を用いて熱重量分析を行い、熱分解温度を求めて評価する。熱分解温度の測定方法の詳細は、後述する実施例に記載する。
本態様のTAIC重合体の熱分解温度は、400℃以上が好ましい。プリプレグの熱プレス温度が通常200℃程度であるから、TAIC重合体の熱分解温度が400℃以上であれば、充分な耐熱性を有すると評価できる。
(誘電率、誘電正接)
本態様のTAIC重合体を硬化して得られる硬化物の誘電率及び誘電正接は、それぞれ、TAICを硬化して得られる硬化物の誘電率及び誘電正接の70〜130%の値であることが好ましい。前記誘電率及び前記誘電正接がTAICの70〜130%の値であると、従来使用されているTAICを、作業工程に大きな変更を加えることなく、本態様のTAIC重合体によって置き換えることがより容易となる。硬化物の誘電率及び誘電正接は、自動平衡ブリッジ法によって、2MHzで測定した値である。誘電率及び誘電正接の測定方法の詳細は、後述する実施例に記載する。
《構造》
本態様のTAIC重合体は、式(1)で表される構成単位を含むことが好ましい。
本態様のTAIC重合体は、従来のラジカル重合法によって合成されたTAICプレポリマーとは異なり、TAIC単位とTAIC単位とが、炭素−炭素二重結合によって結合している。そのため、本態様のTAIC重合体は、TAICと同様の優れた架橋性を有する。
Figure 2021152142
式(1)中、「*」は、結合点を表す。
結合点には、本態様のTAIC重合体の構成単位又は末端基が結合する。
本態様のTAIC重合体を構成するすべての構成単位のうち、式(1)で表される構成単位の割合は、50モル%以上が好ましく、65モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましく、95モル%以上がいっそう好ましく、100モル%が特に好ましい。
本態様のTAIC重合体は、式(2)で表される構造を有することがより好ましい。
Figure 2021152142
式(2)中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表し、mは1以上の整数であり、nは0以上の整数であり、m及びnは、3≦m+n≦10を満たし、Lは、n≠0であるとき、二重結合、又は炭素−炭素二重結合由来の二価連結基を2個含む四価の連結基を表し、n=0であるとき、式(a)で表される二価の基を表す。
Figure 2021152142
式(a)中、Lは、二重結合、又は炭素−炭素二重結合由来の二価連結基を2個含む四価の連結基を表し、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。
及びLについて、前記炭素−炭素二重結合由来の二価連結基を2個含む四価の連結基は、例えば、TAIC単量体に由来する、炭素−炭素二重結合由来の二価連結基を2個含む四価の連結基であってもよい。
、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、TAIC重合体の製造方法に依存する。例えば、R、R、R、R及びRが、同時に、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基であり、R、R、R、R及びR10が、同時に、水素原子であることがある。
〈第2の態様〉
本発明のTAIC重合体の第2の態様は、GPCにより測定したポリスチレン換算の質量平均分子量(以下、単に「質量平均分子量」という。)が480以上である、TAIC重合体である。
《質量平均分子量》
本態様のTAIC重合体の質量平均分子量は、480以上であり、500〜2000が好ましく、500〜1500がより好ましく、500〜1000がさらに好ましい。質量平均分子量の測定方法の詳細は、後述する実施例において説明する。
本態様のTAIC重合体は、質量平均分子量が480以上であるので、ラジカル重合法により得られるTAIC二量体の分子量(式量)よりも分子量が大きい化合物を含むとともに、揮発性が抑制される。
《その他の特性》
(融点)
本態様のTAIC重合体の融点は、上述した第1の態様のTAIC重合体の融点と同様であり、融点の好適範囲及び有利な効果も同様である。
(粘度(30℃))
本態様のTAIC重合体の30℃における粘度は、通常、300mPa・s以上であり、400mPa・s以上が好ましく、1000mPa・s以上がより好ましく、4000mPa・s以上がさらに好ましい。前記粘度の上限は特に限定されない。前記粘度は、3000000mPa・s以下が好ましく、750000mPa・s以下がより好ましく、450000mPa・s以下がさらに好ましい。前記粘度は、300〜3000000mPa・sが好ましく、400〜750000mPa・sがより好ましく、4000〜450000mPa・sがさらに好ましい。
前記粘度は、コーンプレート型粘度計を用いて、30℃において、本態様のTAIC重合体を無溶媒で測定して得られる粘度である。粘度の測定方法の詳細は、後述する実施例に記載する。
(揮発性)
本態様のTAIC重合体の揮発性は、上述した第1の態様のTAIC重合体の揮発性と同様であり、重量減少率の好適範囲及び有利な効果も同様である。
(耐熱性)
本態様のTAIC重合体の耐熱性は、上述した第1の態様のTAIC重合体の耐熱性と同様であり、熱分解温度の好適範囲及び有利な効果も同様である。
(誘電率、誘電正接)
本態様のTAIC重合体を硬化して得られる硬化物の誘電率及び誘電正接は、それぞれ、上述した第1の態様のTAIC重合体を硬化して得られる硬化物の誘電率及び誘電正接と同様であり、誘電率及び誘電正接の好適範囲及び有利な効果も同様である。
《構造》
本態様のTAIC重合体は、上述した第1の態様のTAIC重合体と同様に、前記した式(1)で表される構成単位を含むことが好ましく、前記した式(2)で表される構造を有することがより好ましい。
本態様のTAIC重合体は、従来のラジカル重合法によって合成されたTAICプレポリマーとは異なり、TAIC単位とTAIC単位とが、炭素−炭素二重結合によって結合している。そのため、本態様のTAIC重合体は、TAICと同様の優れた架橋性を有する。
〈第3の態様〉
本発明のTAIC重合体の第3の態様は、前記した式(1)で表される構成単位を含む、TAIC重合体である。
本態様のTAIC重合体は、従来のラジカル重合法によって合成されたTAICプレポリマーとは異なり、TAIC単位とTAIC単位とが、炭素−炭素二重結合によって結合している。そのため、本態様のTAIC重合体は、TAICと同様の優れた架橋性を有する。
《好ましい構造》
本態様のTAIC重合体は、前記した式(2)で表される構造を有することが好ましい。
《特性》
(質量平均分子量)
本態様のTAIC重合体の質量平均分子量は、上述した第1の態様のTAIC重合体の質量平均分子量と同様であり、質量平均分子量の好適範囲及び有利な効果も同様である。
(融点)
本態様のTAIC重合体の融点は、上述した第1の態様のTAIC重合体の融点と同様であり、融点の好適範囲及び有利な効果も同様である。
(粘度(30℃))
本態様のTAIC重合体の30℃における粘度は、上述した第2の態様のTAIC重合体の30℃における粘度と同様であり、粘度の好適範囲及び有利な効果も同様である。
(揮発性)
本態様のTAIC重合体の揮発性は、上述した第1の態様のTAIC重合体の揮発性と同様であり、重量減少率の好適範囲及び有利な効果も同様である。
(耐熱性)
本態様のTAIC重合体の耐熱性は、上述した第1の態様のTAIC重合体の耐熱性と同様であり、熱分解温度の好適範囲及び有利な効果も同様である。
(誘電率、誘電正接)
本態様のTAIC重合体を硬化して得られる硬化物の誘電率及び誘電正接は、それぞれ、上述した第1の態様のTAIC重合体を硬化して得られる硬化物の誘電率及び誘電正接と同様であり、誘電率及び誘電正接の好適範囲及び有利な効果も同様である。
〈第4の態様〉
本発明のTAIC重合体の第4の態様は、上述した式(2)で表されるTAIC重合体である。
本態様のTAIC重合体は、従来のラジカル重合法によって合成されたTAICプレポリマーとは異なり、TAIC単位とTAIC単位とが、炭素−炭素二重結合によって結合している。そのため、本態様のTAIC重合体は、TAICと同様の優れた架橋性を有する。
《特性》
(質量平均分子量)
本態様のTAIC重合体の質量平均分子量は、上述した第1の態様のTAIC重合体の質量平均分子量と同様であり、質量平均分子量の好適範囲及び有利な効果も同様である。
(融点)
本態様のTAIC重合体の融点は、上述した第1の態様のTAIC重合体の融点と同様であり、融点の好適範囲及び有利な効果も同様である。
(粘度(30℃))
本態様のTAIC重合体の30℃における粘度は、上述した第2の態様のTAIC重合体の30℃における粘度と同様であり、粘度の好適範囲及び有利な効果も同様である。
(揮発性)
本態様のTAIC重合体の揮発性は、上述した第1の態様のTAIC重合体の揮発性と同様であり、重量減少率の好適範囲及び有利な効果も同様である。
(耐熱性)
本態様のTAIC重合体の耐熱性は、上述した第1の態様のTAIC重合体の耐熱性と同様であり、熱分解温度の好適範囲及び有利な効果も同様である。
(誘電率、誘電正接)
本態様のTAIC重合体を硬化して得られる硬化物の誘電率及び誘電正接は、それぞれ、上述した第1の態様のTAIC重合体を硬化して得られる硬化物の誘電率及び誘電正接と同様であり、誘電率及び誘電正接の好適範囲及び有利な効果も同様である。
[トリアリルイソシアヌレート重合体の製造方法]
本発明のTAIC重合体の製造方法は、オレフィンメタセシス反応によりTAIC単量体を重合することを特徴とする。
オレフィンメタセシス反応は、二種類のオレフィン間で結合の組換えが起こる触媒反応である。本発明のTAIC重合体の製造方法では、TAIC単量体間でアリル基が反応して、新たに炭素−炭素二重結合が形成されるとともに、エチレンが1分子脱離する。オレフィンメタセシス反応によるTAIC単量体の重合では、2つの炭素−炭素二重結合から1つの炭素−炭素二重結合が形成される。この点において、炭素−炭素二重結合が開裂して炭素−炭素単結合が形成されるラジカル重合とは異なる。
TAIC単位とTAIC単位とが、炭素−炭素二重結合によって結合していることは、換言すれば、本発明のTAIC重合体は、内部オレフィンを有することである。この内部オレフィンの存在は、核磁気共鳴装置を用いて観測できる。具体的には、重クロロホルムを溶媒として測定温度30℃で測定した1H−NMRスペクトルにおいて、4.5〜5.0ppm及び5.4〜5.8ppmに内部オレフィン由来のシグナル(ピーク)が観測される。
オレフィンメタセシス反応に用いる触媒としては、例えば、モリブデン又はタングステン等の遷移金属元素の化合物が挙げられる(Schrock, R. R.,Hoveyda, A. H.、Molybdenum and Tungsten Imido Alkylidene Complexes as Efficient Olefin‐Metathesis Catalysts、Angewandte Chemie International Edition、第42巻、第38号、2003年10月1日、P.4592-4633)。また、六塩化タングステン、五塩化モリブデン、オキシ四塩化タングステン又はオキシ四塩化モリブデン等の金属ハロゲン化物と、有機スズ化合物又は有機アルミニウム化合物とを反応させて得られる重合触媒も使用できる(Ivin, K. J.,Mol, J. C.、Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization、Academic Pres, San Diego, CA、1997年)。また、ルテニウムの遷移金属化合物も使用できる(Ogba, O. M.,Warner, N. C.,O’Leary, D. J.,Grubbs, R. H.、Recent advances in ruthenium-based olefin metathesis、Chemical Society Reviews、第47巻、第12号、2018年5月1日、p.4510-4544)。中でも、モリブデン又はタングステンの化合物が好ましく、モリブデン又はタングステンのイミド錯体もしくはオキソ錯体がより好ましく、モリブデン又はタングステンのイミド錯体がより好ましく、M(NAr)(CHR11)(OR12の化学式で記載される錯体がより好ましい。この化学式において、Mはモリブデン又はタングステンを表し、Arは置換基を有していてもよいアリール基を表し、R11及びR12は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。
重合反応を行うにあたって、得られるTAIC重合体の分子量を調製するために、重合系にビニル化合物又はジエン化合物を添加してもよい。前記ビニル化合物としては、ビニル基を有する有機化合物であれば特に限定されないが、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、スチレン等が挙げられる。前記ジエン化合物としては、二重結合を2つ有する有機化合物であれば特に限定されないが、例えば、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。
本発明のTAIC重合体の製造は、原料であるTAIC単量体を溶媒に溶解し、触媒存在下で加熱しながら撹拌することにより行うことが好ましい。
加熱の際の温度は、反応速度を向上させるため、30℃以上が好ましく、35℃以上がより好ましい。加熱の際の温度は、溶媒の沸点よりも低ければ特に限定されない。例えば、溶媒としてトルエンを使用する場合、1013hPa下でのトルエンの沸点である約110℃以下が好ましい。
撹拌の強度及び時間は特に限定されない。TAIC重合体の生成が充分に進行するように撹拌することが好ましく、例えば、撹拌時間は10分から8時間の範囲内としてもよい。
前記溶媒は、TAIC単量体を溶解又は分散できるものであれば特に限定されないが、低コストで入手性が良好であることから、例えば、トルエン、ヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフランが挙げられる。
[硬化性組成物]
本発明の硬化性組成物は、上述したTAIC重合体と、架橋性高分子とを含む。
前記架橋性高分子は、従来TAICにより架橋されていた高分子が挙げられる。前記架橋性高分子としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、フッ素樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、さらに、架橋助剤、反応開始剤、フィラー等を含んでもよい。
前記架橋助剤としては、例えば、TAIC、TAIC誘導体、トリメタリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート誘導体、トリアリルシアヌレート、トリアリルシアヌレート誘導体等が挙げられる。
前記反応開始剤としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−(2−エチルヘキシル)カーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシパーオキシド、t−ブチルα−クミルパーオキシド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゼン等が挙げられる。
前記フィラーとしては、例えば、シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、酸化亜鉛、クレー、硫酸バリウム、マイカ、タルク、酸化チタニウム、アルミナ、ガラス繊維等が挙げられる。
[高分子成形体]
本発明の高分子成形体は、上述した本発明の硬化性組成物を硬化して得られる。
本発明の硬化性組成物の硬化は、例えば、加熱により行うことができる。
硬化条件としては、例えば、100〜150℃で1〜10分間加熱して前硬化した後、150〜250℃で1〜5時間加熱して本硬化させる方法が挙げられる。
以下では実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は後述する実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の変形が可能である。
以下の実施例及び比較例において、イソプロピル基を「iPr」、メチル基を「Me」、フェニル基を「Ph」と表記する場合がある。
[測定方法]
〈粘度(30℃)〉
TAIC重合体の粘度は、コーンプレート型粘度計(Brookfield社製、LVDV3T)を用いて測定した。測定温度は30℃であり、TAIC重合体は溶媒に溶解せず、無溶媒で測定した。
TAIC重合体5の粘度は、測定温度30℃において装置の測定限界を超えたため、測定温度を40℃として測定した。
〈質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)〉
TAIC重合体(約5mg)をガラスバイアルに採取したのち、安定剤としてエタノールを含有する試薬特級クロロホルム(エタノール濃度=0.3〜1.0質量%)約5gを加えて一晩静置することで、濃度約0.1質量%の試料溶液を調製した。
得られた試料溶液を0.45μm前処理フィルター(GLサイエンス社製、クロマトディスク13N)にて濾過したものをGPC測定に供した。
次に、カラムとして昭和電工製Shodex HK−404L(4.6×150mm、3.5μm)、Shodex HK−401(4.6×150mm、3μm)及びRI検出器を装着した東ソー社製HLC−8420GPCを使用してGPC測定を行った。
測定条件は、次のとおりとした。
試料注入量:20μL
カラム温度:40℃
溶出溶媒:試薬特級クロロホルム
送液流量:0.7mL/min
換算平均分子量の算出は以下のように行った。すなわち、標準試料として市販の単分散ポリスチレン(東ソー社製、F−128、80、40、20、10、4、2、1、A−5000、2500、1000、500)及びBHT(分子量220)を使用し、ポリスチレン標準試料及びBHTの保持時間と分子量に関する較正曲線を作成したのち、較正曲線に基づいてTAIC重合体のポリスチレン換算質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
〈分解温度(耐熱性)〉
分解温度は以下のように測定した。
TG−DTA(株式会社リガク製の示差熱天秤Thermo plus EVO2 TG−DTA)によって試料(約 5 mg)を30℃で30分間保持したのち、10℃/min.の速度で550℃まで昇温した際に観測された吸熱ピークのピークトップを分解温度とした。
〈評価基板の作製〉
変性ポリフェニレンエーテル樹脂(SABICイノベーションプラスチック社製、SA9000;質量平均分子量(Mw)=1700;末端水酸基数2個;末端水酸基をメタクリル基で変性したもの)の70質量部と、TAIC重合体の30質量部と、パーブチルP(日油社製、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン)の1質量部と、シリカ粒子(アドマテックス社製、SCJ2500−SVJ)の55質量部と、をそれぞれトルエン104質量部に仕込んだ後、80℃で60分撹拌して完全に溶解させて、ワニスを調製した。
調製したワニスを、ガラスクロス(日東紡株式会社製、#2116Eガラス)に含侵させた後、135℃で5分間の加熱乾燥をしてプリプレグを作製した。その際、変性ポリフェニレンエーテル樹脂及び架橋助剤等の、硬化反応により樹脂を構成する成分の含有量(レジンコンテント)が約50質量%となるように調整した。
作製したプリプレグを4枚重ねて、温度200℃、2時間、圧力3MPaの条件で加熱加圧することにより評価基板を作製した。
〈誘電率及び誘電正接〉
評価基板の誘電率及び誘電正接を、自動平衡ブリッジ法(キーサイトテクノロジー株式会社製、プレシジョンLCRメータE4980A)によって、2MHzでの値を測定した。
〈揮発分(揮発性)〉
プリプレグ中のTAIC重合体の揮発分は、TG−DTA(パーキンエルマージャパン社製、STA6000)によって、プレス温度である200℃での揮発分の値を測定した。
加熱条件は、30℃から200℃まで昇温速度130℃/分、200℃で30分間保持、200℃から800℃まで昇温速度200℃/分の条件で測定した。200℃における重量減少量をプリプレグ揮発分W(200)、800℃における重量減少量を全樹脂分W(800)として、プリプレグ中のTAIC重合体の揮発分をW(200)/W(800)として求めた。
[実施例1]
〈TAIC重合体の合成〉
Mo(N−2,6−iPr)(CHCMePh)(OCMe(CF(11.3mg、0.0147mmol)を、2口ナスフラスコに秤量し、トルエン(3mL)を加えて触媒溶液を調製した。
TAIC(19.1g、76.5mmol)を、別の2口ナスフラスコに秤量し、トルエン(20mL)を加えた後、トリ−n−オクチルアルミニウム(0.075mmol)を加えて撹拌し、原料溶液を調製した。
原料溶液に触媒溶液を加え、40℃で8時間の撹拌をした。
撹拌後、反応溶液にベンズアルデヒドを加えて反応を停止させた。
反応停止後、トルエンを減圧留去し、淡黄色粘性液体として、18.7gのTAIC重合体(以下「TAIC重合体1」という。)を得た。
〈測定〉
上述した測定方法によって、TAIC重合体1の粘度、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)、分解温度、誘電率及び誘電正接、並びに揮発分の測定を行った。結果を表1に示す。また、H NMR測定の結果(H NMRスペクトル)を図1に示す。
[実施例2]
〈TAIC重合体の合成〉
Mo(N−2,6−iPr)(CHCMePh)(OCMe(CF(50.0mg、0.0653mmol)を、2口ナスフラスコに秤量し、トルエン(3mL)を加えて触媒溶液を調製した。
TAIC(32.7g、131mmol)を、別の2口ナスフラスコに秤量し、トルエン(5mL)を加えた後、トリ−n−オクチルアルミニウム(0.070mmol)を加えて撹拌し、原料溶液を調製した。
原料溶液に触媒溶液を加え、40℃で20分間の撹拌をした。
撹拌後、反応溶液にベンズアルデヒドを加えて反応を停止させた。
反応停止後、トルエンを減圧留去し、淡黄色粘性液体として、24.8gのTAIC重合体(以下「TAIC重合体2」という。)を得た。
〈測定〉
上述した測定方法によって、TAIC重合体2の粘度、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)、分解温度、誘電率及び誘電正接、並びに揮発分の測定を行った。結果を表1に示す。また、H NMR測定の結果(H NMRスペクトル)を図2に示す。
[実施例3]
〈TAIC重合体の合成〉
Mo(N−2,6−iPr)(CHCMePh)(OCMe(CF(59.4mg、0.0776mmol)を、2口ナスフラスコに秤量し、トルエン(3mL)を加えて触媒溶液を調製した。
TAIC(35.9g、144mmol)を、別の2口ナスフラスコに秤量し、トルエン(5mL)を加えた後、トリ−n−オクチルアルミニウム(0.070mmol)を加えて撹拌し、原料溶液を調製した。
原料溶液に触媒溶液を加え、40℃で40分間の撹拌をした。
撹拌後、反応溶液にベンズアルデヒドを加えて反応を停止させた。
反応停止後、反応容器からトルエンを減圧留去し、淡黄色粘性液体として、29.5gのTAIC重合体(以下「TAIC重合体3」という。)を得た。
〈測定〉
上述した測定方法によって、TAIC重合体3の粘度、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)、分解温度、誘電率及び誘電正接、並びに揮発分の測定を行った。結果を表1に示す。また、H NMR測定の結果(H NMRスペクトル)を図3に示す。
[実施例4]
〈TAIC重合体の合成〉
Mo(N−2,6−iPr)(CHCMePh)(OCMe(CF(60.3mg、0.0788mmol)を、2口ナスフラスコに秤量し、トルエン(3mL)を加えて触媒溶液を調製した。
TAIC(35.7g、143mmol)を、別の2口ナスフラスコに秤量し、トルエン(5mL)を加えた後、トリ−n−オクチルアルミニウム(0.070mmol)を加えて撹拌し、原料溶液を調製した。
原料溶液に触媒溶液を加え、40℃で50分間の撹拌をした。
撹拌後、反応溶液にベンズアルデヒドを加えて反応を停止させた。
反応停止後、反応容器からトルエンを減圧留去し、淡黄色粘性液体として、35.1gのTAIC重合体(以下「TAIC重合体4」という。)を得た。
〈測定〉
上述した測定方法によって、TAIC重合体4の粘度、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)、分解温度、誘電率及び誘電正接、並びに揮発分の測定を行った。結果を表1に示す。また、H NMR測定の結果(H NMRスペクトル)を図4に示す。
[実施例5]
〈TAIC重合体の合成〉
Mo(N−2,6−iPr)(CHCMePh)(OCMe(CF(62.2mg、0.0813mmol)を、2口ナスフラスコに秤量し、トルエン(3mL)を加えて触媒溶液を調製した。
TAIC(35.7g、143mmol)を、別の2口ナスフラスコに秤量し、トルエン(5mL)を加えた後、トリ−n−オクチルアルミニウム(0.070mmol)を加えて撹拌し、原料溶液を調製した。
原料溶液に触媒溶液を加え、40℃で55分間の撹拌をした。
撹拌後、反応溶液にベンズアルデヒドを加えて反応を停止させた。
反応停止後、反応容器からトルエンを減圧留去し、淡黄色粘性液体として、34.0gのTAIC重合体(以下「TAIC重合体5」という。)を得た。
〈測定〉
上述した測定方法によって、TAIC重合体5の粘度、質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)、分解温度、誘電率及び誘電正接、並びに揮発分の測定を行った。結果を表1に示す。また、H NMR測定の結果(H NMRスペクトル)を図5に示す。
[比較例1]
TAICを用いて、上述した測定方法によって、粘度、誘電率及び誘電正接、並びに揮発分の測定及び評価を行った。結果を表2に示す。また、H NMR測定の結果(スペクトル)を図6に示す。
なお、分解温度の測定中に揮発してしまったため、上述した測定方法による分解温度の測定ができなかった。
Figure 2021152142
Figure 2021152142
[結果の説明]
実施例1〜5では、本発明のTAIC重合体の分解温度が400℃以上であり、耐熱性が優れること、揮発分が50質量%以下であり、低揮発性であることが示された。
実施例1〜5の誘電率及び誘電正接は、いずれも小さいほどよいが、比較例1と同等であり、本発明のTAIC重合体は、従来のTAICと比較して、遜色のない誘電特性を有することが示された。
以上より、本発明のTAIC重合体は、液状で基材への塗布又は含侵が可能であり、揮発性が抑制され、耐熱性が優れている。また、本発明のTAIC重合体は、誘電特性が従来のTAICの70〜130%に含まれることから、TAICを代替し得ると考えられる。
本発明のTAIC重合体は、誘電率と低揮発性を両立することができる。さらに、耐熱性が高く、高温での架橋反応にも適用することができる。従来のTAICに代えて使用することができ、プリプレグ等に適用できる。

Claims (9)

  1. 30℃において液体であり、かつ30℃における粘度が300mPa・s以上である、トリアリルイソシアヌレート重合体。
  2. ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)が480以上である、トリアリルイソシアヌレート重合体。
  3. 重クロロホルムを溶媒として測定温度30℃で測定したH−NMRスペクトルにおいて、4.5〜5.0ppm及び5.4〜5.8ppmにシグナル(ピーク)が観測される、請求項1又は2に記載のトリアリルイソシアヌレート重合体。
  4. 式(1)で表される構成単位を含む、トリアリルイソシアヌレート重合体。
    Figure 2021152142
    式(1)中、*は結合点を表す。
  5. 式(2)で表される構造を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトリアリルイソシアヌレート重合体。
    Figure 2021152142
    式(2)中、
    、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表し、
    mは1以上の整数であり、nは0以上の整数であり、m及びnは、3≦m+n≦10を満たし、
    は、n≠0であるとき、二重結合、又は炭素−炭素二重結合由来の二価連結基を2個含む四価の連結基を表し、n=0であるとき、式(a)で表される二価の基を表す。
    Figure 2021152142
    式(a)中、Lは、二重結合、又は炭素−炭素二重結合由来の二価連結基を2個含む四価の連結基を表し、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。
  6. 式(2)で表されるトリアリルイソシアヌレート重合体。
    Figure 2021152142
    式(2)中、
    、R、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表し、
    mは1以上の整数であり、nは0以上の整数であり、m及びnは、3≦m+n≦10を満たし、
    は、n≠0であるとき、二重結合、又は炭素−炭素二重結合由来の二価連結基を2個含む四価の連結基を表し、n=0であるとき、式(a)で表される二価の基を表す。
    Figure 2021152142
    式(a)中、Lは、二重結合、又は炭素−炭素二重結合由来の二価連結基を2個含む四価の連結基を表し、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。
  7. オレフィンメタセシス反応によりトリアリルイソシアヌレートを重合する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のトリアリルイソシアヌレート重合体の製造方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のトリアリルイソシアヌレート重合体と、架橋性高分子とを含む、硬化性組成物。
  9. 請求項8に記載の硬化性組成物を硬化して得られる、高分子成形体。
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