JP2021152135A - 分岐化共役ジエン系重合体の製造方法、ゴム組成物の製造方法、タイヤの製造方法、分岐化共役ジエン系重合体、及び分岐化共役ジエン系重合体組成物 - Google Patents

分岐化共役ジエン系重合体の製造方法、ゴム組成物の製造方法、タイヤの製造方法、分岐化共役ジエン系重合体、及び分岐化共役ジエン系重合体組成物 Download PDF

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省吾 角谷
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Yoshifumi Araki
祥文 荒木
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Abstract

【課題】低燃費性、耐摩耗性、ウェットスキッド抵抗性、及び破壊強度に優れた分岐化共役ジエン系重合体の製造方法を提供できる。【解決手段】アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を重合開始剤として用い、共役ジエン化合物、又は、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を、重合又は共重合することで、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る重合工程と、前記共役ジエン系重合体の活性末端に、分岐化剤としてスチレン誘導体を反応させ分岐構造を導入する分岐化工程と、を有する、分岐化共役ジエン系重合体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、分岐化共役ジエン系重合体の製造方法、ゴム組成物の製造方法、タイヤの製造方法、分岐化共役ジエン系重合体、及び分岐化共役ジエン系重合体組成物に関する。
従来から、環境負荷への観点から、自動車に対する低燃費化要求が高まっている。特に、自動車用タイヤに対しては、地面と直接接するトレッド部に使用される材料に対し、低燃費性の改良が求められている。
近年、転がり抵抗が小さい、すなわち低ヒステリシスロス性を有する材料の開発が求められてきている。
同時に、タイヤ軽量化の流れがあり、そのためには、タイヤトレッド部の厚みを減らす必要があり、それと同時に、耐摩耗性の高い材料が、タイヤトレッド部には求められている。
一方において、タイヤトレッド部に用いられる材料は、安全性の観点から、ウェットスキッド抵抗性に優れることと、及び実用上十分な破壊特性を有していることが要求されている。
上述したような、各種の要求に応える材料として、ゴム状重合体と、カーボンブラック、シリカ等の補強性充填剤とを含むゴム材料が挙げられる。
シリカを含むゴム材料を用いると、低ヒステリシスロス性(低燃費性の指標)とウェットスキッド抵抗性とのバランス向上を図ることができる。また、運動性の高いゴム状重合体の分子末端部に、シリカとの親和性又は反応性を有する官能基を導入することによって、ゴム材料中におけるシリカの分散性を改良し、さらには、シリカ粒子との結合でゴム状重合体の分子末端部の運動性を低減して、ヒステリシスロスを低減化することができる。
一方、耐摩耗性を改良する方法としては、ゴム状重合体の分子量を大きくする、という方法が挙げられる。しかしながら、ゴム状重合体の分子量を大きくすると、ゴム状重合体と、補強性充填剤とを混練する際の加工性が悪化する傾向にある。
かかる事情に鑑み、加工性を損なうことなく、分子量を大きくするために、ゴム状重合体に分岐構造を導入する試みがなされている。
例えば、従来においては、アミノ基を含有するアルコキシシラン類を共役ジエン系重合体活性末端に反応させて得られる変性共役ジエン系重合体とシリカとの樹脂組成物が提案されている。
また、重合体活性末端と多官能性シラン化合物をカップリング反応させて得られる分岐構造を導入した変性共役ジエン系重合体が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
国際公開第2007/114203号パンフレット 国際公開第2016/133154号パンフレット
しかしながら、重合体活性末端と多官能性シラン化合物をカップリング反応させる、という共役ジエン系重合体に分岐構造を導入する方法では、それにより得られる変性共役ジエン系重合体の分岐度は、多官能性シラン化合物の有する重合体活性末端との反応可能基の数に大きく依存し、かつ、反応可能基以上にはならない。合成可能性の観点から、1つの多官能性シランに付与できる反応可能基の数には限界があるため、得られる変性共役ジエン系重合体の分岐度にも限界がある、という問題点を有している。
そこで、本発明においては、主鎖に分岐点を導入することにより、変性剤やカップリング剤のみを使用して共役ジエン系重合体に分岐構造を導入した場合よりも、分岐度の高い共役ジエン系重合体を製造でき、また、主鎖や側鎖の長さを調整できる、重合体設計自由度の高い、分岐化共役ジエン系重合体の製造方法を提供することとし、これにより、低燃費性、耐摩耗性、ウェットスキッド抵抗性、及び破壊強度に優れた分岐化共役ジエン系重合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決するために鋭意研究検討した結果、活性末端を有する共役ジエン系重合体に、分岐化剤として特定のスチレン誘導体を反応させることにより主鎖に分岐点を導入できる分岐化共役ジエン系重合体の製造方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
〔1〕
アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を重合開始剤として用い、共役ジエン化合物、又は、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を、重合又は共重合することで、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る重合工程と、
前記共役ジエン系重合体の活性末端に、分岐化剤としてスチレン誘導体を反応させ分岐構造を導入する分岐化工程と、
を有する、分岐化共役ジエン系重合体の製造方法。
〔2〕
前記分岐化工程時及び/又はその後で、共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物を反応系に追加する工程をさらに有する、前記〔1〕に記載の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法。
〔3〕
前記分岐化工程で得られた共役ジエン系重合体の活性末端に、カップリング剤又は重合停止剤を反応させる反応工程を、さらに有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法。
〔4〕
前記反応工程において、
前記カップリング剤が下記式(3)で表されるシランスルフィド化合物である、前記〔3〕に記載の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法。
Figure 2021152135
(式(3)中、Siはケイ素原子を表し、Oは酸素原子を表し、Sは硫黄原子を表す。
xは1〜3の整数であり、yは0又は1〜2の整数であり、x+yは3である。
1、R2、R4は同じであっても異なっていてもよく、炭素数1〜16のアルキル基を示し、R3は炭素数6〜16のアリール基、炭素数1〜16のアルキレン基、又は炭素数1〜16のアルキル鎖を示す。)
〔5〕
前記スチレン誘導体が、
下記式(1)及び/又は下記式(2)で表される化合物である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法。
Figure 2021152135
Figure 2021152135
(式(1)、(2)中、R1は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、及び炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれるいずれかを示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
1、X2、X3は、単結合、又は炭素、水素、窒素、硫黄、及び酸素からなる群より選ばれるいずれかを含有する有機基である。
1、Y2、Y3は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれるいずれかを示す。それぞれ独立していて同一でもよいし、異なっていてもよい。)
〔6〕
前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の製造方法により分岐化共役ジエン系重合体を得る工程と、
当該分岐化共役ジエン系重合体を10質量%以上含むゴム成分を得る工程と、
前記ゴム成分100質量部に対して、充填剤を、5.0質量部以上150質量部以下、含有させ、ゴム組成物を得る工程と、を有する、ゴム組成物の製造方法。
〔7〕
前記〔6〕に記載のゴム組成物の製造方法によりゴム組成物を得る工程と、
当該ゴム組成物を成形し、タイヤを得る工程と、
を有する、タイヤの製造方法。
〔8〕
ポリマー鎖中に1つ以上の側鎖を有し、
粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による分岐度(Bn)が1以上である、分岐化共役ジエン系重合体であって、
当該分岐化共役ジエン系重合体中に、硫黄原子とケイ素原子を含有し、前記硫黄原子に対する前記ケイ素原子のモル比が1.05以上10未満であり、
100℃で測定されるムーニー粘度が40以上170以下である、
分岐化共役ジエン系重合体。
〔9〕
粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による分岐度(Bn)が、2以上25以下である、前記〔8〕に記載の分岐化共役ジエン系重合体。
〔10〕
前記ポリマー鎖に、アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分を有し、
当該アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分において、側鎖を有する、
前記〔8〕又は〔9〕に記載の分岐化共役ジエン系重合体。
〔11〕
前記アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分が、
下記式(4)又は(5)で表される化合物に基づく単量体単位であって、
下記式(4)又は(5)で表される化合物に基づく単量体単位による高分子鎖の分岐点を有する、前記〔10〕に記載の分岐化共役ジエン系重合体。
Figure 2021152135
Figure 2021152135
(式(4)中、R1は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
2〜R3は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
複数存在する場合のR1〜R3は、各々独立している。
1は、独立したハロゲン原子を表す。
mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。)
(式(5)中、R2〜R5は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。複数存在する場合のR2〜R5は、各々独立している。
2〜X3は、独立したハロゲン原子を表す。
mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。
aは、0〜2の整数を示し、bは、0〜3の整数を示し、cは、0〜3の整数を示す。(a+b+c)は、3を示す。)
〔12〕
分岐化共役ジエン系重合体の少なくとも一端が、下記式(3)で表されるシランスルフィド化合物で変性されている、前記〔8〕乃至〔11〕のいずれか一に記載の分岐化共役ジエン系重合体。
Figure 2021152135
(式(3)中、Siはケイ素原子を表し、Oは酸素原子を表し、Sは硫黄原子を表す。
xは1〜3の整数であり、yは0又は1〜2の整数であり、x+yは3である。
1、R2、R4は同じであっても異なっていてもよく、炭素数1〜16のアルキル基を示し、R3は炭素数6〜16のアリール基、炭素数1〜16のアルキレン基、又は炭素数1〜16のアルキル鎖を示す。)
〔13〕
ポリマー鎖中に1つ以上の側鎖を有し、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による分岐度(Bn)が1以上である、分岐化共役ジエン系重合体であって、当該共役ジエン系重合体中に硫黄原子とケイ素原子を含有し、前記硫黄原子に対する前記ケイ素原子のモル比が1.05以上10未満であり、100℃で測定されるムーニー粘度が40以上170以下である分岐化共役ジエン系重合体を、10質量%以上100質量%未満含有する、分岐化共役ジエン系重合体組成物。
〔14〕
前記分岐化共役ジエン系重合体中に、
ハロゲン化スズ、スズアルコキシド、ハロゲン化ケイ素、及びアルコキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物でカップリングされた分岐化共役ジエン系重合体を含む、前記〔13〕に記載の分岐化共役ジエン系重合体組成物。
本発明によれば、主鎖に分岐点を導入することにより、カップリング剤のみを使用したときよりも分岐度の高い分岐化共役ジエン系重合体を製造でき、また、主鎖や側鎖の長さを調整できる重合体設計自由度の高い、分岐化共役ジエン系重合体の製造方法を提供でき、これにより、低燃費性、耐摩耗性、ウェットスキッド抵抗性、及び破壊強度に優れた分岐化共役ジエン系重合体の製造方法を提供できる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施することができる。
〔分岐化共役ジエン系重合体の製造方法〕
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法は、
アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を重合開始剤として用い、共役ジエン化合物、又は、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を、重合又は共重合することで、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る重合工程と、前記共役ジエン系重合体の活性末端に、分岐化剤としてスチレン誘導体を反応させ分岐構造を導入する分岐化工程と、を有する。
分岐化共役ジエン系重合体を構成する共役ジエン系重合体は、単一の共役ジエン化合物の単独重合体、異なる種類の共役ジエン化合物の重合体すなわち共重合体、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体のいずれであってもよい。
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法によれば、主鎖に分岐点を導入することにより、カップリング剤のみを使用して共役ジエン系重合体に分岐構造を導入した場合よりも分岐度の高い共役ジエン系重合体を製造でき、また、主鎖や側鎖の長さを調整できる。
(重合工程)
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法における重合工程は、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を重合開始剤として用い、共役ジエン化合物、又は、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を、重合又は共重合することで、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る。
重合工程においては、リビングアニオン重合反応による成長反応による重合を行うことが好ましく、これにより、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得ることができる。
<重合開始剤>
重合開始剤としては、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を用いる。
重合開始剤は、有機リチウム系化合物を用いることが好ましく、有機モノリチウム化合物を用いることがより好ましい。
有機モノリチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、低分子化合物の有機モノリチウム化合物、可溶化したオリゴマーの有機モノリチウム化合物が挙げられる。
また、有機モノリチウム化合物は、その有機基とそのリチウムの結合様式において、例えば、炭素−リチウム結合を有する化合物、窒素−リチウム結合を有する化合物、及び錫−リチウム結合を有する化合物のいずれも用いることができる。
重合開始剤の使用量は、目標とする共役ジエン系重合体の分子量によって決めることが好ましい。
重合開始剤の使用量に対する、共役ジエン化合物等の単量体の使用量が、目標とする共役ジエン系重合体の重合度に関係する。すなわち、数平均分子量及び/又は重量平均分子量に関係する傾向にある。
したがって、共役ジエン系重合体の分子量を増大させるためには、重合開始剤を減らす方向に調整するとよく、分子量を低下させるためには、重合開始剤量を増やす方向に調整するとよい。
有機モノリチウム化合物は、共役ジエン系重合体へ窒素原子を導入する一つの手法として用いられるという観点から、好ましくは、置換アミノ基を有するアルキルリチウム化合物、又はジアルキルアミノリチウムである。
この場合、重合開始末端にアミノ基からなる窒素原子を有する、共役ジエン系重合体が得られる。
置換アミノ基とは、活性水素を有しない、又は、活性水素を保護した構造の、アミノ基である。
活性水素を有しないアミノ基を有するアルキルリチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、3−ジメチルアミノプロピルリチウム、3−ジエチルアミノプロピルリチウム、4−(メチルプロピルアミノ)ブチルリチウム、及び4−ヘキサメチレンイミノブチルリチウムが挙げられる。
活性水素を保護した構造のアミノ基を有するアルキルリチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、3−ビストリメチルシリルアミノプロピルリチウム、及び4−トリメチルシリルメチルアミノブチルリチウムが挙げられる。
ジアルキルアミノリチウムとしては、以下のものに限定されないが、例えば、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジ−n−ヘキシルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウム−ジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムモルホリド、1−リチオアザシクロオクタン、6−リチオ−1,3,3−トリメチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、及び1−リチオ−1,2,3,6−テトラヒドロピリジンが挙げられる。
これらの置換アミノ基を有する有機モノリチウム化合物は、重合可能な単量体、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、スチレン等の単量体を少量反応させて、ノルマルヘキサン、シクロヘキサンに可溶化したオリゴマーの有機モノリチウム化合物として用いることもできる。
有機モノリチウム化合物は、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、好ましくは、アルキルリチウム化合物である。この場合、重合開始末端にアルキル基を有する、共役ジエン系重合体が得られる。
前記アルキルリチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、及びスチルベンリチウムが挙げられる。
アルキルリチウム化合物としては、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、n−ブチルリチウム、及びsec−ブチルリチウムが好ましい。
これらの有機モノリチウム化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、他の有機金属化合物と併用してもよい。
前記他の有機金属化合物としては、例えば、アルカリ土類金属化合物、他のアルカリ金属化合物、その他有機金属化合物が挙げられる。
アルカリ土類金属化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、有機マグネシウム化合物、有機カルシウム化合物、及び有機ストロンチウム化合物が挙げられる。また、アルカリ土類金属のアルコキサイド、スルフォネート、カーボネート、及びアミドの化合物も挙げられる。
有機マグネシウム化合物としては、例えば、ジブチルマグネシウム、及びエチルブチルマグネシウムが挙げられる。
その他有機金属化合物としては、例えば、有機アルミニウム化合物が挙げられる。
重合工程において、重合反応様式としては、以下のものに限定されないが、例えば、回分式、連続式の重合反応様式が挙げられる。
連続式においては、1個又は2個以上の連結された反応器を用いることができる。連続式の反応器は、例えば、撹拌機付きの槽型、管型のものが用いられる。連続式においては、好ましくは、連続的に単量体、不活性溶媒、及び重合開始剤が反応器にフィードされ、当該反応器内で重合体を含む重合体溶液が得られ、連続的に重合体溶液が排出される。
回分式の反応器は、例えば、攪拌機付の槽型のものが用いられる。回分式においては、好ましくは、単量体、不活性溶媒、及び重合開始剤がフィードされ、必要により単量体が重合中に連続的又は断続的に追加され、当該反応器内で重合体を含む重合体溶液が得られ、重合終了後に重合体溶液が排出される。
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法において、重合工程で、高い割合で活性末端を有する共役ジエン系重合体を得るには、重合体を連続的に排出し、短時間で次の反応に供することが可能な、連続式が好ましい。連続式においては、反応器の数は特に限定されず、1個又は2個以上の連結された反応器を用いることができる。反応器は、モノマーと重合開始剤を溶液中で十分に接触させられるものが好ましく、撹拌機付きの槽型、管型等のものが用いられる。反応器の数は適宜選択できるが、製造設備の省スペース化の観点から1個が好ましく、生産性向上の観点から2個以上が好ましい。2個以上反応器を用いる場合は、後述する分岐化剤は2基目以降に添加する方がより好ましい。
共役ジエン系重合体の重合工程においては、不活性溶媒中で重合を行うことが好ましい。
不活性溶媒としては、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。炭化水素系溶媒としては、以下のものに限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素及びそれらの混合物からなる炭化水素が挙げられる。
重合反応に供する前に、不純物であるアレン類、及びアセチレン類を有機金属化合物で処理することで、高濃度の活性末端を有する共役ジエン系重合体が得られる傾向にあり、高い変性率の変性共役ジエン系重合体が得られる傾向にあるため好ましい。
重合工程においては、極性化合物(極性物質)を添加してもよい。これにより、芳香族ビニル化合物を共役ジエン化合物とランダムに共重合させることができる。また、極性化合物は、共役ジエン部のミクロ構造を制御するためのビニル化剤としても用いることができる傾向にある。さらに、重合反応の促進等にも効果がある傾向にある。
極性化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−tert−アミラート、カリウム−tert−ブチラート、ナトリウム−tert−ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等を用いることができる。
これらの極性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
極性化合物の使用量は、特に限定されず、目的等に応じて選択することができるが、重合開始剤1モルに対して、0.01モル以上100モル以下であることが好ましい。
このような極性化合物(ビニル化剤)は、共役ジエン系重合体の共役ジエン部分のミクロ構造の調整剤として、所望のビニル結合量に応じて、適量用いることができる。
多くの極性化合物は、同時に共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合において有効なランダム化効果を有し、芳香族ビニル化合物の分布の調整剤として、また、スチレンブロック量の調整剤として用いることができる傾向にある。
共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とをランダム化する方法としては、例えば、特開昭59−140211号公報に記載されているように、スチレンの全量と1,3−ブタジエンの一部とで共重合反応を開始させ、共重合反応の途中で残りの1,3−ブタジエンを断続的に添加する方法を用いてもよい。
重合工程における重合温度は、リビングアニオン重合が進行する温度であることが好ましく、生産性の観点から、0℃以上120℃以下であることがより好ましい。
このような範囲にあることで、重合終了後の活性末端に対する分岐化剤、及びカップリング剤の反応量を充分に確保することができる傾向にある。さらにより好ましくは50℃以上100℃以下である。
(分岐化工程)
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法においては、前記重合工程で得られた共役ジエン系重合体の活性末端に、分岐化剤として、スチレン誘導体を反応させる、分岐化工程を実施する。
分岐化剤が重合活性を維持してモノマーと重合しつつ、分岐化剤の官能基に別の重合体鎖の活性末端が反応することで、重合体に分岐構造が形成される。分岐構造を導入した分岐化共役ジエン系重合体に、さらにモノマー及び分岐化剤と重合、反応させることで更なる分岐構造を形成させることも可能であるし、官能基を有する変性剤と反応させて変性共役ジエン系重合体にしたり、カップリング反応により重合体鎖をさらに伸長させたりすることも可能である。このように、芳香族ビニル化合物として重合反応を継続しつつ、官能基が重合体の活性末端と反応するスチレン誘導体を分岐化剤として使用することにより、分岐化共役ジエン系重合体が得られる。
<分岐化剤>
分岐化工程で使用される、分岐化剤であるスチレン誘導体は、重合の継続性とゲル化防止の観点から、分岐化反応後に分岐部位に活性末端が1つだけ残る骨格が主骨格となる必要があり、さらに、分岐化反応後に形成されたスチレン誘導体部分が他の重合体活性末端と十分に反応する反応性を有している必要がある。
より具体的には、分岐化剤であるスチレン誘導体は、ベンゼン環にビニル基と、リビングアニオン重合の重合体活性末端と定量的に反応する官能基を有する化合物であることが好ましい。当該スチレン誘導体の官能基と、重合体活性末端とが一対一で反応し、官能基が脱離して単結合を形成しつつ、ビニル基が反応器中の他のモノマーと重合反応することにより、重合体に分岐構造が形成される。スチレン誘導体が有するビニル基以外の官能基は、リビングアニオン重合の重合体活性末端との求核置換反応により脱離する基であって、このような官能基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン、エステル基、ホルミル基、ケトン基、アミド基、酸塩化物基、酸無水物基、エポキシ基が挙げられる。
上述したような構造を有することにより、スチレン誘導体がスチレンとして重合活性を維持しつつ主鎖にスチレン誘導体が取り込まれ、活性が維持されている末端にさらに別のモノマーが重合し、これによりポリマー鎖がさらに伸びる。また取り込まれたスチレン誘導体の官能基に、他の重合体鎖の活性末端が反応し、結合を形成することで分岐構造ができる。この反応が繰り返し起こることにより重合体鎖の分岐が増え、ポリマー構造はより複雑に、分子量はより大きくなる。
重合の継続性やポリマー構造の制御性の観点から、スチレン誘導体部分が別の重合体鎖の活性末端と反応した後に脱離する官能基が重合の阻害作用が少ないことも必要となる。
ここで「重合の阻害作用が少ない」とは、例えば、アニオン重合の副反応である、連鎖移動反応、重合の途中失活、重合体の会合度上昇による活性低下等が少ないことを言う。
分岐化剤であるスチレン誘導体が有する官能基は、重合活性を過度に向上させないものである必要があり、さらに重合活性を失活させないものである必要がある。リビングアニオン重合でポリマーを重合する場合、該官能基は活性末端を失活させない官能基として水素原子を有しておらず、ピアソンのHASB則に基づく定義で言うところの硬い塩基であることが重要であり、より具体的にはアルコキシ基やハロゲン基が挙げられる。これらの中から、活性末端との反応性の他、脱離した官能基が重合を阻害しないという観点で、本実施形態の製造方法で用いる分岐化剤としてのスチレン誘導体の構造を選択することができる。
より具体的には、スチレン骨格を主骨格とする下記式(1)、又はジフェニルエチレン骨格を主骨格とする式(2)で表される分岐化剤を用いることが、連鎖移動反応抑制及び活性末端の失活抑制、ゲル化防止の観点から好ましい。
Figure 2021152135
Figure 2021152135
(式(1)、(2)中、R1は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、及び炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれるいずれかを示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
1、X2、X3は、単結合、又は炭素、水素、窒素、硫黄、及び酸素からなる群より選ばれるいずれかを含有する有機基である。
1、Y2、Y3は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれるいずれかを示す。それぞれ独立していて同一でもよいし、異なっていてもよい。)
分岐化工程で使用される、分岐化剤であるスチレン誘導体は、重合の分岐度向上の観点から、前記式(1)中、R1が水素原子であり、Y1は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれるいずれかであることが好ましい。
また、本実施形態においては、分岐化工程で使用される、分岐化剤であるスチレン誘導体は、分岐度向上の観点から、前記式(2)中、Y2は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれるいずれかであることが好ましい。
また、本実施形態においては、分岐化工程で使用される、分岐化剤であるスチレン誘導体は、重合の継続性と分岐度向上の観点から、前記式(1)中、R1が水素原子であり、Y1は、炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子であることがより好ましい。
また、本実施形態においては、分岐化工程で使用される、分岐化剤であるスチレン誘導体は、重合の継続性と分岐度向上の観点から、前記式(2)中、Y2は、アルコキシ基、又はハロゲン原子であり、Y3は、炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子であることがより好ましい。
また、本実施形態においては、分岐化工程で使用される、分岐化剤であるスチレン誘導体は、重合の継続性と分岐度向上、変性率向上の観点から、前記式(1)中、R1が水素原子であり、Y1は、炭素数1〜20のアルコキシ基であることがさらに好ましい。
また、本実施形態においては、分岐化工程で使用される、分岐化剤であるスチレン誘導体は、重合の継続性と分岐度向上、変性率の更なる向上の観点から、前記式(1)中、R1が水素原子であり、X1は単結合であり、Y1は炭素数1〜20のアルコキシ基であることがよりさらに好ましい。
また、本実施形態においては、分岐化工程で使用される、分岐化剤であるスチレン誘導体は、重合の継続性と分岐度向上、変性率の更なる向上の観点から、前記式(2)中、X2は単結合であり、Y2は、炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子であり、X3は単結合であり、Y3は、炭素数1〜20のアルコキシ基、又はハロゲン原子であることがよりさらに好ましい。
前記式(1)で表される分岐化剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリメトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリメトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(2−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(2−ビニルフェニル)シラン、トリメトキシ(4−イソプロペニルフェニル)シラン、トリエトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(4−イソプロペニルフェニル)シラン、トリブトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリメトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリエトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリブトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリメトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリエトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリブトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(2−イソプロペニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリクロロ(4−ビニルフェニル)シラン、トリクロロ(3−ビニルフェニル)シラン、トリクロロ(2−ビニルフェニル)シラン、トリブロモ(4−ビニルフェニル)シラン、トリブロモ(3−ビニルフェニル)シラン、トリブロモ(2−ビニルフェニル)シラン、ジクロロメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジクロロメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジクロロメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジブロモメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジブロモメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジブロモメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルクロロ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルクロロ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルクロロ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブロモ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブロモ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブロモ(2−ビニルフェニル)シラン、トリメトキシ(4−ビニルベンジル)シラン、トリエトキシ(4−ビニルベンジル)シラン、トリプロポキシ(4−ビニルベンジル)シラン、が挙げられる。
これらの中では、トリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリメトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリクロロ(4−ビニルフェニル)シランが好ましく、トリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリメトキシ(4−ビニルベンジル)シラン、トリエトキシ(4−ビニルベンジル)シランがより好ましく、トリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(4−ビニルフェニル)シランが更に好ましい。
前記式(2)で表される分岐化剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、
1−ビス(4−トリメトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリエトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリプロポキシシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリペントキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリイソプロポキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリメトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリエトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリプロポキシシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリペントキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリイソプロポキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(2−トリメトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(2−トリエトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリプロポキシシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(2−トリペントキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(2−トリイソプロポキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジメチルメトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジエチルメトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジプロピルメトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジメチルエトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジエチルエトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジプロピルエトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリメトキシシリルベンジル)エチレン、1,1−ビス(4−トリエトキシシリルベンジル)エチレン、1,1−ビス(4−トリプロポキシシシリルベンジル)エチレン、1,1−ビス(4−トリペントキシシリルベンジル)エチレン、が挙げられる。
これらの中では、1,1−ビス(4−トリメトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリエトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリプロポキシシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリペントキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリイソプロポキシシリルフェニル)エチレンが好ましく、1,1−ビス(4−トリメトキシシリルフェニル)エチレンがさらに好ましい。
前記式(1)、(2)に示す分岐化剤を用いることにより、分岐数が向上し、耐摩耗性と加工性の向上の効果が得られる。
分岐化剤を添加するタイミングは、特に限定されず、目的等に応じて選択することができるが、分岐化共役ジエン系重合体の絶対分子量の向上、カップリング率向上の観点から、重合開始剤添加後、原料転化率が20%以上であるタイミングが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましく、65%以上であることがさらにより好ましく、75%以上であることがよりさらに好ましい。
また、分岐化工程時及び/又はその後、さらに所望の原料であるモノマーを反応系に追添加して、分岐化工程後に重合工程を継続してもよく、前記記載の内容を繰り返してもよい。
なお、分岐化工程の後とは、分岐化剤を添加した後であるものとする。
追加するモノマーは、特に限定されないが、共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物であることが好ましい。特に、分岐化工程時においてモノマーを追加する場合には、共役ジエン系重合体の分岐点での立体障害緩和による変性率向上の観点から、重合工程で使用される共役ジエン系単量体総量、例えばブタジエン総量の5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、15%以上であることがさらに好ましく、20%以上であることがさらにより好ましく、25%以上であることがよりさらに好ましい。かかる場合、特に、連続重合プロセスを用いて、分岐化工程時に、重合工程で使用される共役ジエン系単量体総量、例えばブタジエン総量の5%以上でモノマーの追加を行うことが変性率向上の観点から好ましい。
分岐化剤を添加するタイミング、追加するモノマーの量によって、主鎖や側鎖の長さを調整することができるため、重合体設計自由度が高い。
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法における分岐化工程で得られる、分岐化共役ジエン系重合体の分岐構造は、3分岐以上24分岐以下であることが好ましく、より好ましくは4分岐以上20分岐以下であり、さらに好ましくは5分岐以上18分岐以下である。
24分岐以下にすることにより、官能基を有する変性剤と反応させて変性共役ジエン系重合体にしたり、カップリング反応により重合体鎖をさらに伸長させることが容易となる傾向にあり、3分岐以上にすることにより、得られる分岐化共役ジエン系重合体が加工性及び耐摩耗性に優れる傾向にある。
分岐化剤の添加量は、特に限定されず、目的等に応じて添加量を選択することができるが、共役ジエン系重合体の末端停止反応率の向上、カップリング率の向上、分岐化後の重合の継続性の観点から、活性な重合開始剤量に対して、分岐化剤のモル比が2分の1以下であり100分の1以上であることが好ましく、3分の1以下であり50分の1以上であることがより好ましく、4分の1以下であり30分の1以上であることがさらに好ましく、6分の1以下であり25分の1以上であることがさらにより好ましく、8分の1以下であり12分の1以上であることがよりさらに好ましい。
また、上述したように、分岐化工程時及び/又はその後、さらにモノマーを追添加して、分岐化後に重合工程を継続してもよく、モノマーの追添加の後でさらに分岐化剤を投入し、さらにモノマーの添加を繰り返してもよい。
モノマーを追加することで、分岐点周辺の立体障害の緩和により、重合の継続性の向上とカップリング率及び変性率向上という効果が得られる。これにより、重合体の分子量を増加しつつ、所望の位置で分岐構造を形成することができる。
追加するモノマーは、スチレン等の芳香族ビニルでもブタジエン等の共役ジエン化合物でもこれらの混合物でもよく、最初に重合させるモノマーの種類や比率と同じでも異なってもよいが、重合の継続性の観点からは共役ジエン化合物が好ましい。重合体の耐熱性の向上の観点からは芳香族ビニル化合物を追加することが好ましい。
本実施形態の製造方法における分岐化工程で得られる、分岐化共役ジエン系重合体は、110℃で測定されるムーニー粘度が10以上150以下であることが好ましく、より好ましくは15以上140以下であり、さらに好ましくは20以上130以下である。よりさらに好ましくは30以上100以下である。
ムーニー粘度が前記範囲であると、本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体は加工性及び耐摩耗性に優れる傾向にある。
本実施形態の製造方法における分岐化工程で得られる、分岐化共役ジエン系重合体の重量平均分子量は、10000以上1500000以下であることが好ましく、100000以上1000000以下であることがより好ましく、200000以上900000以下であることがさらに好ましい。
重量平均分子量が前記範囲であると、本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体は、加工性、耐摩耗性、及びこれらの特性バランスに優れる傾向にある。
未変性の分岐化共役ジエン系重合体を製造する場合、重量平均分子量の範囲が100000以上1000000以下に到達するためには、分岐化剤の添加量を重合開始剤に対してモル比で3分の1以下であり5分の1以上の範囲で制御することで、分岐を形成させながらも重合開始剤がカップリング工程前にすべて消費されるのを防ぎつつ、カップリング剤の官能基数を2官能以上にすることが必要である。重量平均分子量の範囲が200000以上900000以下に到達するためには、分岐化剤の添加量を重合開始剤に対してモル比で3分の1以下であり50分の1以上の範囲で制御しつつ、カップリング剤の官能基数を3官能以上にすることが必要である。
変性した分岐化共役ジエン系重合体を製造する場合、重量平均分子量の範囲が100000以上1000000以下に到達するためには、分岐化剤の添加量を重合開始剤に対してモル比で3分の1以下であり50分の1以上の範囲で制御することで、分岐を形成させながらも重合開始剤がカップリング工程前にすべて消費されるのを防ぎつつ、カップリング剤の官能基数を2官能以上にすることが必要であり、重量平均分子量の範囲が200000以上900000以下に到達するためには、分岐化剤の添加量を重合開始剤に対してモル比で3分の1以下であり50分の1以上の範囲で制御しつつ、カップリング剤の官能基数を3官能以上にすることが必要である。
本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体は、共役ジエンモノマーと分岐化剤との重合体であってもよいし、共役ジエンモノマー、分岐化剤及びこれら以外のモノマーとの共重合体であってもよい。
例えば、共役ジエンモノマーがブタジエン又はイソプレンで、これと芳香族ビニル部分を含む分岐化剤とを重合させた場合、重合鎖はいわゆるポリブタジエン又はポリイソプレンで、分岐部分に芳香族ビニル由来の構造を含むポリマーとなる。このような構造を有することで、ポリマー鎖の1本当たりの直線性の向上、及び加硫後の架橋密度の向上が可能で、ポリマーの耐摩耗性の向上という効果を奏する。そのため、タイヤ、樹脂改質、自動車の内装・外装品、防振ゴム、履物などの用途に好適である。
共役ジエン系重合体をタイヤのトレッド用途に供する場合、共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーと分岐化剤との共重合体が好適であり、この用途の共重合体において結合共役ジエン量は40質量%以上100質量%以下であることが好ましく、55質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
また、本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体中の結合芳香族ビニル量は、特に限定されないが、0質量%以上60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。
結合共役ジエン量及び結合芳香族ビニル量が上記範囲であると、加硫物としたときにおける低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランス、耐摩耗性、及び破壊特性により優れる傾向にある。
ここで、結合芳香族ビニル量は、フェニル基の紫外吸光によって測定でき、ここから結合共役ジエン量も求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体において、共役ジエン結合単位中のビニル結合量は、特に限定されないが、10モル%以上75モル%以下であることが好ましく、20モル%以上65モル%以下であることがより好ましい。
ビニル結合量が上記範囲であると、加硫物としたときにおける低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性のバランス、耐摩耗性、及び破壊強度により優れる傾向にある。
ここで、分岐化共役ジエン系重合体がブタジエンとスチレンとの共重合体である場合には、ハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry,21,923(1949))により、ブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−結合量)を求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
分岐化共役ジエン系重合体のミクロ構造については、本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体中の各結合量が上述した数値範囲にあり、さらに、分岐化共役ジエン系重合体のガラス転移温度が−80℃以上−15℃以下の範囲にあるときに、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性のバランスに、より一層優れた加硫物を得ることができる傾向にある。
ガラス転移温度については、ISO 22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とする。
本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体が、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体である場合、当該分岐化共役ジエン系重合体は、芳香族ビニル単位が30以上連鎖しているブロックの数が、少ないか又はないものであることが好ましい。より具体的には、本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体がブタジエン−スチレン共重合体の場合、Kolthoffの方法(I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)により重合体を分解し、メタノールに不溶なポリスチレン量を分析する公知の方法において、芳香族ビニル単位が30以上連鎖しているブロックが、分岐化共役ジエン系重合体の総量に対して、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下である。
本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体が、共役ジエン−芳香族ビニル共重合体である場合、省燃費性能向上の観点から、芳香族ビニル単位が単独で存在する割合が多い方が好ましい。
具体的には、本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体が、ブタジエン−スチレン共重合体の場合、田中らの方法(Polymer,22,1721(1981))として知られているオゾン分解による方法で、前記分岐化共役ジエン系重合体を分解し、GPCによりスチレン連鎖分布を分析した場合、全結合スチレン量に対し、単離スチレン量が40質量%以上であり、スチレンの連鎖が8個以上の連鎖スチレン構造が5.0質量%以下であることが好ましい。
この場合、得られる加硫ゴムが特に低いヒステリシスロスである優れた性能となる傾向にある。
(反応工程)
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法においては、上述した重合工程、分岐工程を経て得られた共役ジエン系重合体の活性末端に対して、カップリング剤、例えば3官能以上の反応性化合物を用いてカップリング反応を行う工程、例えば、下記式(3)に示すシランスルフィド化合物よりなるカップリング剤を用いてカップリング反応を行なう工程、又は、共役ジエン系重合体の活性末端に対して、重合停止剤、例えば2官能以下の反応性化合物を用い重合停止反応を行う工程を実施することが好ましい。
以下、カップリング剤を反応させる工程(カップリング工程)、又は重合停止剤を反応させる工程(重合停止工程)を併せて反応工程という。
反応工程においては、共役ジエン系重合体の活性末端の一端に対してカップリング剤、又は重合停止剤を反応させる。
<カップリング工程>
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法においては、反応工程として、上述した重合工程及び分岐化工程を経て得られた共役ジエン系重合体に対し、カップリング剤によりカップリング反応させることが好ましい。
カップリング反応によって、分子鎖を効率的に長くすることがで、また、3官能以上のカップリング剤を採用することで重合体に分岐を導入することもできる。分岐を形成するという機能は、分岐化剤を使用する工程と共通するものの、カップリング工程で行うことで、公知のカップリング剤を使用して窒素、硫黄、ケイ素等、所望の元素を導入しつつ分岐を形成できる観点から好ましい。
当該カップリング工程は、例えば、共役ジエン系重合体の活性末端に対して、3官能以上の反応性化合物、窒素原子含有基を有するカップリング剤、又は下記式(3)に示すシランスルフィド化合物よりなるカップリング剤(以下、併せて「カップリング剤」と記載する場合がある。)を用いることが好ましい。
反応工程においては、例えば、共役ジエン系重合体の活性末端の一端に対して3官能以上の反応性化合物、窒素原子含有基を有するカップリング剤、又はケイ素と硫黄原子を含有する変性剤である下記式(3)で表されるシランスルフィド化合物で、カップリング反応させることにより、分岐化共役ジエン系重合体を得ることができる。
[3官能以上の反応性化合物]
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法において、カップリング工程で用いられる3官能以上の反応性化合物は、好ましくは、珪素原子を有する3官能以上の反応性化合物である。
珪素原子を有する3官能以上の反応性化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン化シラン化合物、エポキシ化シラン化合物、ビニル化シラン化合物、アルコキシシラン化合物等が挙げられる。
カップリング剤であるハロゲン化シラン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルトリクロロシラン、テトラクロロシラン、トリス(トリメチルシロキシ)クロロシラン、トリス(ジメチルアミノ)クロロシラン、ヘキサクロロジシラン、ビス(トリクロロシリル)メタン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、1,2−ビス(メチルジクロロシリル)エタン、1,4−ビス(トリクロロシリル)ブタン、1,4−ビス(メチルジクロロシリル)ブタン等が挙げられる。
カップリング剤であるエポキシ化シラン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、エポキシ変性シリコーン等が挙げられる。
カップリング剤であるアルコキシシラン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリフェノキシメチルシラン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、メトキシ置換ポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
[窒素原子含有基を有するカップリング剤]
窒素原子含有基を有するカップリング剤としては、以下に限定するものではないが、例えば、イソシアナート化合物、イソチオシアナート化合物、イソシアヌル酸誘導体、窒素原子含有基を有するカルボニル化合物、窒素原子含有基を有するビニル化合物、窒素原子含有基を有するエポキシ化合物、窒素原子含有基を有するアルコキシシラン化合物、窒素原子含有基を有し、かつ1級又は2級のアミンを形成し得る保護化アミン化合物等が挙げられる。
窒素原子含有基を有するカップリング剤において、その窒素原子含有官能基としては、好ましくは活性水素を有さないアミン系化合物に由来する官能基が挙げられ、当該アミン系化合物としては、例えば、3級アミン化合物、上記の活性水素を保護基で置換した保護化アミン化合物が挙げられる。その他の窒素原子含有官能基を形成し得る化合物としては、一般式−N=Cで表されるイミン化合物、及び、前記窒素原子含有基と結合したアルコキシシラン化合物が挙げられる。
窒素原子含有基を有するカップリング剤であるイソシアナート化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメリックタイプのジフェニルメタンジイソシアナート(C−MDI)、フェニルイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、ブチルイソシアナート、1,3,5−ベンゼントリイソシアナート等が挙げられる。
窒素原子含有基を有するカップリング剤であるイソシアヌル酸誘導体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(オキシラン−2−イル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1,3,5−トリス(イソシアナトメチル)−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン、1,3,5−トリビニル−1,3,5−トリアジナン−2,4,6−トリオン等が挙げられる。
窒素原子含有基を有するカップリング剤であるカルボニル化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−エチル−2−イミダゾリジノン、1−メチル−3−(2−メトキシエチル)−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−2−キノロン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、メチル−2−ピリジルケトン、メチル−4−ピリジルケトン、プロピル−2−ピリジルケトン、ジ−4−ピリジルケトン、2−ベンゾイルピリジン、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、N,N−ジメチル−N’,N’−ジフェニル尿素、N,N−ジエチルカルバミン酸メチル、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチル−N’,N’−ジメチルアミノアセトアミド、N,N−ジメチルピコリン酸アミド、N,N−ジメチルイソニコチン酸アミド等が挙げられる。
窒素原子含有基を有するカップリング剤であるビニル化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチルマレイミド、N−メチルフタルイミド、N,N−ビストリメチルシリルアクリルアミド、モルホリノアクリルアミド、3−(2−ジメチルアミノエチル)スチレン、(ジメチルアミノ)ジメチル−4−ビニルフェニルシラン、4,4’−ビニリデンビス(N,N−ジメチルアニリン)、4,4’−ビニリデンビス(N,N−ジエチルアニリン)、1,1−ビス(4−モルホリノフェニル)エチレン、1−フェニル−1−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)エチレン等が挙げられる。
窒素原子含有基を有するカップリング剤であるエポキシ化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アミノ基に結合したエポキシ基含有炭化水素化合物が挙げられ、さらにエーテル基に結合したエポキシ基含有炭化水素化合物も挙げられる。このようなエポキシ化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、一般式(i)で表わされるエポキシ化合物が挙げられる。
Figure 2021152135
前記式(i)中、Rは、2価以上の炭化水素基、又は、エーテル、エポキシ、ケトン等の酸素を有する極性基、チオエーテル、チオケトン等の硫黄を有する極性基、3級アミノ基、イミノ基等の窒素を有する極性基からなる群より選ばれる少なくとも1種の極性基を有する2価以上の有機基である。
2価以上の炭化水素基は、飽和又は不飽和の直鎖状、分岐状、環状であってもよい炭化水素基であり、アルキレン基、アルケニレン基、フェニレン基等を含む。好ましくは、炭素数が1〜20の炭化水素基である。例えば、メチレン、エチレン、ブチレン、シクロヘキシレン、1,3−ビス(メチレン)−シクロヘキサン、1,3−ビス(エチレン)−シクロヘキサン、o−,m−,p−フェニレン、m−,p−キシレン、ビス(フェニレン)−メタン等が挙げられる。
前記式(i)中、R1、R4は、炭素数1〜10の炭化水素基であり、R1、R4は互いに同一でも異なっていてもよい。
前記式(i)中、R2、R5は、水素又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、R2、R5は互いに同一でも異なっていてもよい。
前記式(i)中、R3は炭素数1〜10の炭化水素基、又は下記式(ii)の構造である。
1、R2、R3は、互いに結合した環状構造であってもよい。
また、R3が炭化水素基の場合、Rと互いに結合した環状構造であってもよい。前記の環状構造の場合、R3に結合しているNとRとが直接結合している形態であってもよい。
前記式(i)上記中、nは1以上の整数であって、mは0又は1以上の自然数である。
Figure 2021152135
前記式(ii)中、R1、R2は、前記式(i)のR1、R2と同様に定義され、R1、R2は互いに同一であっても異なっていてもよい。
窒素原子含有基を有するカップリング剤であるエポキシ化合物としては、エポキシ基含有炭化水素基を有するものが好ましく、より好ましくはグリシジル基含有炭化水素基を有するものである。
アミノ基又はエーテル基に結合したエポキシ基含有炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、グリシジルアミノ基、ジグリシジルアミノ基又はグリシドキシ基が挙げられる。さらに好ましい分子構造は、グリシジルアミノ基又はジグリシジルアミノ基、及びグリシドキシ基をそれぞれ有するエポキシ基含有化合物であり、下記一般式(iii)で表わされる化合物が挙げられる。
Figure 2021152135
前記式(iii)中、Rは、前記式(i)のRと同様に定義され、R6は、炭素数1〜10の炭化水素基又は下記式(iv)の構造である。
6が炭化水素基の場合、Rと互いに結合して環状構造であってもよく、その場合は、R6に結合しているNとRとが直接結合している形態であってもよい。
式(iii)中、nは1以上の整数であって、mは0又は1以上の整数である。
Figure 2021152135
窒素原子含有基を有するカップリング剤であるエポキシ化合物としては、特に好ましくは分子中にジグリシジルアミノ基を1個以上及びグリシドキシ基を1個以上有する化合物である。
窒素原子含有基を有するカップリング剤として用いるエポキシ化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、N,N−ジグリシジル−4−グリシドキシアニリン、1−N,N−ジグリシジルアミノメチル−4−グリシドキシ−シクロヘキサン、4−(4−グリシドキシフェニル)−(N,N−ジグリシジル)アニリン、4−(4−グリシドキシフェノキシ)−(N,N−ジグリシジル)アニリン、4−(4−グリシドキシベンジル)−(N,N−ジグリシジル)アニリン、4−(N,N’−ジグリシジル−2−ピペラジニル)−グリシドキシベンゼン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、4,4−メチレン−ビス(N,N−ジグリシジルアニリン)、1,4−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ビス(ジグリシジルアミノ)ベンゾフェノン、4−(4−グリシジルピペラジニル)−(N,N−ジグリシジル)アニリン、2−〔2−(N,N−ジグリシジルアミノ)エチル〕−1−グリシジルピロリジン、N,N−ジグリシジルアニリン、4,4’−ジグリシジル−ジベンジルメチルアミン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルオルソトルイジン、N,N−ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン等が挙げられる。これらのうち特に好ましいものとしては、N,N−ジグリシジル−4−グリシドキシアニリン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンが挙げられる。
窒素原子含有基を有するカップリング剤であるアルコキシシラン化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−モルホリノプロピルトリメトキシシラン、3−ピペリジノプロピルトリエトキシシラン、3−ヘキサメチレンイミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−(4−メチル−1−ピペラジノ)プロピルトリエトキシシラン、1−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−3−メチルヘキサヒドロピリミジン、3−(4−トリメチルシリル−1−ピペラジノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(3−トリエチルシリル−1−イミダゾリジニル)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(3−トリメチルシリル−1−ヘキサヒドロピリミジニル)プロピルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノ−2−(ジメチルアミノメチル)プロピルトリメトキシシラン、ビス(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−N−メチルアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−N−メチルアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)メチルアミン、トリス(トリメトキシシリル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N,N,N’,N’−テトラ(3−トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−シアノプロピルトリメトキシシラン、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−トリメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジメトキシ−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−ブチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−8−(4−メチルピペラジニル)メチル−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン、2,2−ジメトキシ−8−(N,N−ジエチルアミノ)メチル−1,6−ジオキサ−2−シラシクロオクタン等が挙げられる。
窒素原子含有基を有するカップリング剤で、1級又は2級のアミンを形成しうる保護化アミン化合物として、不飽和結合と保護化アミンを分子中に有する化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、4,4’−ビニリデンビス〔N,N−ビス(トリメチルシリル)アニリン〕、4,4’−ビニリデンビス〔N,N−ビス(トリエチルシリル)アニリン〕、4,4’−ビニリデンビス〔N,N−ビス(t−ブチルジメチルシリル)アニリン〕、4,4’−ビニリデンビス〔N−メチル−N−(トリメチルシリル)アニリン〕、4,4’−ビニリデンビス〔N−エチル−N−(トリメチルシリル)アニリン〕、4,4’−ビニリデンビス〔N−メチル−N−(トリエチルシリル)アニリン〕、4,4’−ビニリデンビス〔N−エチル−N−(トリエチルシリル)アニリン〕、4,4’−ビニリデンビス〔N−メチル−N−(t−ブチルジメチルシリル)アニリン〕、4,4’−ビニリデンビス〔N−エチル−N−(t−ブチルジメチルシリル)アニリン〕、1−〔4−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノフェニル〕−1−〔4−N−メチル−N−(トリメチルシリル)アミノフェニル〕エチレン、1−〔4−N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノフェニル〕−1−〔4−N,N−ジメチルアミノフェニル〕エチレン等が挙げられる。
窒素原子含有基を有するカップリング剤で、1級又は2級のアミンを形成しうる保護化アミン化合物であって、アルコキシシランと保護化アミンを分子中に有する化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシラン、N,N−ビス(トリエチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−(4−トリメチルシリル−1−ピペラジノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(3−トリエチルシリル−1−イミダゾリジニル)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(3−トリメチルシリル−1−ヘキサヒドロピリミジニル)プロピルトリメトキシシラン、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−トリメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジメトキシ−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−フェニル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−ブチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−メチル−1−アザ−2−シラシクロペンタン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−エチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、3−(ベンジリデンアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(ベンジリデンアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(ベンジリデンアミノ)プロピルトリプロピルシシラン等が挙げられる。
特に好ましい、窒素原子含有基を有するカップリング剤であるアルコキシシラン化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリプロポキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)―[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−メチル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、ペンタキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ジエチレントリアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)シラン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]シラン、3−トリス[2−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)エトキシ]シリル−1−トリメトキシシリルプロパン、1−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−3,4,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−シクロヘキサン、1−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−3,4,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−シクロヘキサン、3,4,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−シクロヘキシル−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]エーテル、(3−トリメトキシシリルプロピル)ホスフェイト、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)―[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]ホスフェイト、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)ホスフェイト、及びトリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]ホスフェイトが挙げられる。
反応工程で用いるカップリング剤としては、下記式(3)で表されるシランスルフィド化合物が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2021152135
(式(3)中、Siはケイ素原子を表し、Oは酸素原子を表し、Sは硫黄原子を表す。
xは1〜3の整数であり、yは0又は1〜2の整数であり、x+yは3である。
1、R2、R4は同じであっても異なっていてもよく、炭素数1〜16のアルキル基を示し、R3は炭素数6〜16のアリール基、炭素数1〜16のアルキレン基、又は炭素数1〜16のアルキル鎖を示す。)
前記式(3)で表されるカップリング剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリプロポキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリブトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトエチルトリメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトエチルトリエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトエチルトリプロポキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトエチルトリブトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトメチルトリメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトメチルトリエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトメチルトリプロポキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトメチルトリブトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルトリメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルトリエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルトリプロポキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルトリブトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルトリエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルトリプロポキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルトリブトキシシランが挙げられる。
また、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジプロポキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジブトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトエチルメチルジメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトエチルメチルジエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトエチルメチルジプロポキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトエチルメチルジブトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトメチルメチルジメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトメチルメチルジエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトメチルメチルジプロポキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトメチルメチルジブトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルメチルジメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルメチルジエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルメチルジプロポキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルメチルジブトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルメチルジメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルメチルジエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルメチルジプロポキシシランが挙げられる。
また、S−トリメチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルメチルジブトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルジメチルエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルジメチルプロポキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルジメチルブトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトエチルジメチルメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトエチルジメチルエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトエチルジメチルプロポキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトエチルジメチルブトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトメチルジメチルメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトメチルジメチルエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトメチルジメチルプロポキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプトメチルジメチルブトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルジメチルメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルジメチルエトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルジメチルプロポキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルジメチルブトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルジメチルメトキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルジメチルエトキシシランが挙げられる。
また、S−トリメチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルジメチルプロポキシシラン、S−トリメチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルジメチルブトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトプロピルトリエトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトプロピルトリプロポキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトプロピルトリブトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトエチルトリメトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトエチルトリエトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトエチルトリプロポキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトエチルトリブトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトメチルトリメトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトメチルトリエトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトメチルトリプロポキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトメチルトリブトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルトリメトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルトリエトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルトリプロポキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルトリブトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルトリエトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルトリプロポキシシランが挙げられる。
また、S−トリエチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルトリブトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトプロピルメチルジプロポキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトプロピルメチルジブトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトエチルメチルジメトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトエチルメチルジエトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトエチルメチルジプロポキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトエチルメチルジブトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトメチルメチルジメトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトメチルメチルジエトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトメチルメチルジプロポキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトメチルメチルジブトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルメチルジメトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルメチルジエトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルメチルジプロポキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルメチルジブトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルメチルジメトキシシランが挙げられる。
また、S−トリエチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルメチルジエトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプト2−メチルプロピルメチルジプロポキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプト2−メチルプロピルメチルジブトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトプロピルジメチルメトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトプロピルジメチルエトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトプロピルジメチルプロポキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトプロピルジメチルブトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトエチルジメチルメトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトエチルジメチルエトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトエチルジメチルプロポキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトエチルジメチルブトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトメチルジメチルメトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトメチルジメチルエトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトメチルジメチルプロポキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプトメチルジメチルブトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルジメチルメトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルジメチルエトキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルジメチルプロポキシシラン、S−トリエチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルジメチルブトキシシランが挙げられる。
また、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトプロピルトリエトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトプロピルトリプロポキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトプロピルトリブトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトエチルトリメトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトエチルトリエトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトエチルトリプロポキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトエチルトリブトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトメチルトリメトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトメチルトリエトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトメチルトリプロポキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトメチルトリブトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
また、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルトリエトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルトリプロポキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルトリブトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルトリエトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルトリプロポキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルトリブトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトプロピルメチルジプロポキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトプロピルメチルジブトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトエチルメチルジメトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトエチルメチルジエトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトエチルメチルジプロポキシシランが挙げられる。
また、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトエチルメチルジブトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトメチルメチルジメトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトメチルメチルジエトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトメチルメチルジプロポキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトメチルメチルジブトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルメチルジメトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルメチルジエトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルメチルジプロポキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルメチルジブトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルメチルジメトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルメチルジエトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルメチルジプロポキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルメチルジブトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトプロピルジメチルメトキシシランが挙げられる。
また、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトプロピルジメチルエトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトプロピルジメチルプロポキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトプロピルジメチルブトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトエチルジメチルメトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトエチルジメチルエトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトエチルジメチルプロポキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトエチルジメチルブトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトメチルジメチルメトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトメチルジメチルエトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトメチルジメチルプロポキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプトメチルジメチルブトキシシランが挙げられる。
また、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルジメチルメトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルジメチルエトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト2,2ジメチルプロピルジメチルプロポキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2,2−ジメチルプロピルジメチルブトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルジメチルメトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルジメチルエトキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルジメチルプロポキシシラン、S−ジメチルtertブチルシリルメルカプト−2−メチルプロピルジメチルブトキシシランが挙げられる。
<重合工程、分岐化工程、及び反応工程を経て得られる分岐化共役ジエン系重合体>
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法における、上述した反応工程、特にカップリング剤を反応させる工程を経て得られる分岐化共役ジエン系重合体は、下記一般式(i)、若しくは、一般式(A)〜(C)のいずれかで表される、窒素原子含有基を有する化合物に由来する構造を含むことが好ましい。
Figure 2021152135
前記式(i)中、Rは、2価以上の炭化水素基、又は、エーテル、エポキシ、ケトン等の酸素を有する極性基、チオエーテル、チオケトン等の硫黄を有する極性基、3級アミノ基、イミノ基等の窒素を有する極性基から選ばれる少なくとも1種の極性基を有する2価以上の有機基である。
2価以上の炭化水素基は、飽和又は不飽和の直鎖状、分岐状、環状であってもよい炭化水素基であり、アルキレン基、アルケニレン基、フェニレン基等を含む。好ましくは、炭素数が1〜20の炭化水素基である。例えば、メチレン、エチレン、ブチレン、シクロヘキシレン、1,3−ビス(メチレン)−シクロヘキサン、1,3−ビス(エチレン)−シクロヘキサン、o−,m−,p−フェニレン、m−,p−キシレン、ビス(フェニレン)−メタン等が挙げられる。
前記式(i)中、R1、R4は、炭素数1〜10の炭化水素基であり、R1、R4は互いに同一でも異なっていてもよい。
前記式(i)中、R2、R5は、水素又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、R2、R5は互いに同一でも異なっていてもよい。
前記式(i)中、R3は炭素数1〜10の炭化水素基、又は下記式(ii)の構造である。
1、R2、R3は、互いに結合した環状構造であってもよい。
また、R3が炭化水素基の場合、Rと互いに結合した環状構造であってもよい。前記の環状構造の場合、R3に結合しているNとRとが直接結合している形態であってもよい。
前記式(i)上記中、nは1以上の整数であって、mは0又は1以上の整数である。
Figure 2021152135
前記式(ii)中、R1、R2は、前記式(i)のR1、R2と同様に定義され、R1、R2は互いに同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2021152135
(式(A)中、R1〜R4は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基を示し、R5は、炭素数1〜10のアルキレン基を示し、R6は、炭素数1〜20のアルキレン基を示す。
mは、1又は2の整数を示し、nは、2又は3の整数を示し、(m+n)は、4以上の整数を示す。複数存在する場合のR1〜R4は、各々独立している。)
Figure 2021152135
(式(B)中、R1〜R6は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、R7〜R9は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキレン基を示す。
m、n、及びlは、各々独立して、1〜3の整数を示し、(m+n+l)は、4以上の整数を示す。複数存在する場合のR1〜R6は、各々独立している。)
Figure 2021152135
(式(C)中、R12〜R14は、各々独立に、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R15〜R18、及びR20は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、R19及びR22は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R21は、炭素数1〜20のアルキル基又はトリアルキルシリル基を示す。
mは、1〜3の整数を示し、pは、1又は2を示す。
それぞれ複数存在する場合のR12〜R22、m、及びpは、各々独立しており、同じであっても異なっていてもよい。
iは、0〜6の整数を示し、jは、0〜6の整数を示し、kは、0〜6の整数を示し、(i+j+k)は、4〜10の整数である。
Aは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、珪素原子、硫黄原子、及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、活性水素を有しない有機基を表す。)
前記式(A)で表される窒素原子含有基を有するカップリング剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジメトキシ−1−(4−トリメトキシシリルブチル)−1−アザ−2−シラシクロヘキサン、2,2−ジメトキシ−1−(5−トリメトキシシリルペンチル)−1−アザ−2−シラシクロヘプタン、2,2−ジメトキシ−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2,2−ジエトキシ−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−エトキシ,2−エチル−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、2−メトキシ−2−メチル−1−(3−ジメトキシメチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、及び2−エトキシ−2−エチル−1−(3−ジエトキシエチルシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンが挙げられる。
これらの中でも、窒素原子含有基を有するカップリング剤の官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点、並びに加工性の観点から、mが2、nが3を示すものが好ましい。具体的には、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン、及び2,2−ジエトキシ−1−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタンが好ましい。
前記式(A)で表される窒素原子含有基を有するカップリング剤を、重合活性末端に反応させる際の、反応温度、反応時間等については、特に限定されないが、0℃以上120℃以下で、30秒以上反応させることが好ましい。
前記式(A)で表される窒素原子含有基を有するカップリング剤の化合物中のシリル基に結合したアルコキシ基の合計モル数が、重合開始剤のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の添加モル数の0.6倍以上3.0倍以下となる範囲であることが好ましく、0.8倍以上2.5倍以下となる範囲であることがより好ましく、0.8以上2.0倍以下となる範囲であることがさらに好ましい。得られる分岐化共役ジエン系重合体が十分な変性率及び分子量と分岐構造を得る観点から、0.6倍以上とすることが好ましく、加工性改良のために重合体末端同士をカップリングさせ、分岐化共役ジエン系重合体成分を得ることが好ましいことに加え、カップリング剤コストの観点から、3.0倍以下とすることが好ましい。
重合開始剤のモル数は、前記式(A)で表される窒素原子含有基を有するカップリング剤のモル数に対して、好ましくは3.0倍モル以上、より好ましくは4.0倍モル以上である。
前記式(B)で表される窒素原子含有基を有するカップリング剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(トリメトキシシリルメチル)アミン、トリス(2−トリメトキシシリルエチル)アミン、及びトリス(4−トリメトキシシリルブチル)アミンが挙げられる。
これらの中でも、カップリング剤の官能基とシリカ等の無機充填剤との反応性及び相互作用性の観点、並びに加工性の観点から、前記式(B)中、n、m、及びlが全て3を示すものであることが好ましい。好ましい具体例としては、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、及びトリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミンが挙げられる。
前記式(B)で表される窒素原子含有基を有するカップリング剤を、前記分岐化工程で得られた共役ジエン系重合体の活性末端に反応させる際の、反応温度、反応時間等については、特に限定されないが、0℃以上120℃以下で、30秒以上反応させることが好ましい。
前記式(B)で表されるカップリング剤の化合物中のシリル基に結合したアルコキシ基の合計モル数が、上述した重合開始剤を構成するリチウムのモル数の0.6倍以上3.0倍以下となる範囲であることが好ましく、0.8倍以上2.5倍以下となる範囲であることがより好ましく、0.8倍以上2.0倍以下となる範囲であることがさらに好ましい。本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体において十分な変性率及び分子量と分岐構造とを得る観点から、0.6倍以上とすることが好ましく、加工性改良のために重合体末端同士をカップリングさせ、分岐化共役ジエン系重合体成分を得ることが好ましいことに加え、カップリング剤コストの観点から、3.0倍以下とすることが好ましい。
重合開始剤のモル数は、前記式(B)で表される窒素原子含有基を有するカップリング剤のモル数に対して、好ましくは4.0倍モル以上、より好ましくは5.0倍モル以上である。
前記式(C)において、Aは、好ましくは下記一般式(II)〜(V)のいずれかで表される。
Figure 2021152135
(式(II)中、B1は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB1は、各々独立している。)
Figure 2021152135
(式(III)中、B2は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、B3は、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、1〜10の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のB2及びB3は、各々独立している。)
Figure 2021152135
(式(IV)中、B4は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB4は、各々独立している。)
Figure 2021152135
(式(V)中、B5は、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のB5は、各々独立している。)
前記式(C)において、Aが式(II)で表される場合の窒素原子含有基を有するカップリング剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、トリス(3−エトキシシリルプロピル)アミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)―[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラキス(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−エトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、及びペンタキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ジエチレントリアミンが挙げられる。
前記式(C)において、Aが式(III)で表される場合の窒素原子含有基を有するカップリング剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス(2−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス(2−トリエトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジエトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリエトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、N1,N1’−(プロパン−1,3−ジイル)ビス(N1−メチル−N3,N3−ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−1,3−プロパンジアミン)、及びN1−(3−(ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)−N1−メチル−N3−(3−(メチル(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)−N3−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
前記式(C)において、Aが式(IV)で表される場合の窒素原子含有基を有するカップリング剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリメトキシシリルプロピル)シラン、トリス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、(3−トリメトキシシリル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)−ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]シラン、ビス[3−(1−メトキシ−2−トリメチルシリル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]−ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)シラン、及びビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−ビス[3−(1−メトキシ−2−メチル−1−シラ−2−アザシクロペンタン)プロピル]シランが挙げられる。
前記式(C)において、Aが式(V)で表される場合の窒素原子含有基を有するカップリング剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、3−トリス[2−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)エトキシ]シリル−1−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロパン、及び3−トリス[2−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)エトキシ]シリル−1−トリメトキシシリルプロパンが挙げられる。
前記式(C)において、Aは、好ましくは式(II)又は式(III)で表され、kは、0を示す。
このような窒素原子含有基を有するカップリング剤は、入手が容易である傾向にあり、また、本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体を加硫物としたときにおける耐摩耗性及び低ヒステリシスロス性能がより優れるものとなる傾向にある。このような窒素原子含有基を有するカップリング剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、及びビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリスメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
前記式(C)において、より好ましくは、Aが式(II)又は式(III)で表され、kが0を示し、式(II)又は式(III)において、aは2〜10の整数を示す。
これにより、加硫したときにおける耐摩耗性及び低ヒステリシスロス性能がより優れるものとなる傾向にある。
このような窒素原子含有基を有するカップリング剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、及びN1−(3−(ビス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)−N1−メチル−N3−(3−(メチル(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)−N3−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
窒素原子含有基を有するカップリング剤としての前記式(C)で表される化合物の添加量は、共役ジエン系重合体のモル数対カップリング剤のモル数が、所望の化学量論的比率で反応させるよう調整することができ、そのことにより所望の星形高分岐構造が達成される傾向にある。
重合開始剤のモル数は、前記式(C)で表される窒素原子含有基を有するカップリング剤のモル数に対して、好ましくは5.0倍モル以上、より好ましくは6.0倍モル以上である。
この場合、式(C)において、カップリング剤の官能基数((m−1)×i+p×j+k)は、5〜10の整数であることが好ましく、6〜10の整数であることがより好ましい。
本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体は、その重合体中の窒素原子含有基を有する重合体の割合は、変性率で表される。
変性率は好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは65質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは75質量%以上、よりさらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは82質量%以上である。
変性率を60質量%以上とすることにより、加硫物とする際の加工性に優れ、加硫物としたときにおける耐摩耗性及び低ヒステリシスロス性能により優れる傾向にある。
<重合停止工程>
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法においては、上述した重合工程及び分岐化工程を経て得られた共役ジエン系重合体の活性末端に、上述したカップリング剤又は重合停止剤を反応させる反応工程を実施することができる。
重合停止工程としては、例えば、共役ジエン系重合体の活性末端に対して、2官能の反応性化合物を用いて行う重合停止工程、又は、窒素原子含有基を有する重合停止剤(以下、併せて「重合停止剤」と記載する場合がある。)を用いて行う重合停止工程が好ましい。
重合停止工程においては、例えば、上述した分岐化工程で得られた重合体の活性末端に対して、2官能の反応性化合物、又は、窒素原子含有基を有する重合停止剤で、重合停止反応させ、目的とする分岐化共役ジエン系重合体を得ることができる。
[2官能の反応性化合物]
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法において、重合停止工程で用いられる2官能の反応性化合物は、いかなる構造のものでもよいが、好ましくは、珪素原子を有する2官能の反応性化合物であることが好ましい。
[窒素原子含有基を有する重合停止剤]
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法において、重合停止工程で用いられる窒素原子含有基を有する重合停止剤は、いかなる構造のものでもよいが、好ましくは、共役ジエン系重合体と反応する官能基を有していることが好ましい。
前記窒素原子含有基を有する重合停止剤としては、省燃費性能向上の観点から、窒素原子含有基を有するアルコキシ化合物が好ましい。
窒素原子含有基を有する重合停止剤としては、例えば、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)ジメトキシメチルシラン、3−(N,N−ジエチルアミノプロピル)ジメトキシメチルシラン、3−(N,N−ジプロピルアミノプロピル)ジメトキシメチルシラン、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)ジエトキシメチルシラン、3−(N,N−ジエチルアミノプロピル)ジエトキシメチルシラン、3−(N,N−ジプロピルアミノプロピル)ジエトキシメチルシラン、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)ジメトキシエチルシラン、3−(N,N−ジエチルアミノプロピル)ジメトキシエチルシラン、3−(N,N−ジプロピルアミノプロピル)ジメトキシエチルシラン、3−(N,N−ジメチルアミノプロピル)ジエトキシエチルシラン、3−(N,N−ジエチルアミノプロピル)ジエトキシエチルシラン、3−(N,N−ジプロピルアミノプロピル)ジエトキシエチルシラン等が挙げられる。
本実施形態の製造方法により、上述した重合工程、分岐化工程、及び反応工程を経て得られる、分岐化共役ジエン系重合体の分岐構造は、8分岐以上36分岐以下であることが好ましく、より好ましくは10分岐以上24分岐以下であり、さらに好ましくは12分岐以上20分岐以下である。
本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体中の分岐点の総数は2カ所以上が好ましく、3カ所以上がより好ましく、4カ所以上がよりさらに好ましく、5カ所以上がさらにより好ましい。
分岐構造、及び分岐点の総数が上述した範囲であると、加工性及び省燃費性及び耐摩耗性に優れる傾向にある。
分岐化共役ジエン系重合体の分岐構造が8分岐以上36分岐以下であり、かつ変性重合体の場合、分岐点の総数が2カ所以上15カ所以下であるものを構築するためには、分岐化剤のモル比が重合開始剤の2分の1以下であり100分の1以上であり、カップリング剤の官能基数が3官能以上を使用する必要がある。変性を要しない重合体の場合は、分岐点が1か所以上でもよい。
分岐構造が8分岐以上36分岐以下であり、分岐点の総数が3カ所以上12カ所以下であるものを構築するためには、分岐化剤のモル比が重合開始剤の3分の1以下であり50分の1以上であり、カップリング剤の官能基数が4官能以上であるものを使用することが好ましい。
分岐構造が10分岐以上24分岐以下であり、分岐点の総数は4カ所以上10カ所以下を構築するためには、分岐化剤のモル比が重合開始剤の6分の1以下であり25分の1以上であり、カップリング剤の官能基数が5官能以上であるものを使用するのが好ましい。
分岐構造が12分岐以上20分岐以下であり、分岐点の総数が5カ所以上9カ所以下であるものを構築するためには、分岐化剤のモル比が重合開始剤の8分の1以下であり12分の1以上であり、カップリング剤の官能基数が6官能以上であるものを使用することが好ましい。
(縮合反応工程)
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法においては、上述したカップリング工程後、又はカップリング工程前に、縮合促進剤の存在下で縮合反応させる縮合反応工程を行ってもよい。
(水素化工程)
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法においては、共役ジエン部を水素化する水素化工程を実施してもよい。
共役ジエン系重合体の共役ジエン部を水素化する方法は、特に限定されず、公知の方法が利用できる。
好適な水素化の方法としては、触媒の存在下、重合体溶液に気体状水素を吹き込む方法で水素化する方法が挙げられる。触媒としては、特に限定されないが、例えば、貴金属を多孔質無機物質に担持させた触媒等の不均一系触媒;ニッケル、コバルト等の塩を可溶化し有機アルミニウム等と反応させた触媒、チタノセン等のメタロセンを用いた触媒等の均一系触媒が挙げられる。これら中でも、マイルドな水素化条件を選択できる観点から、チタノセン触媒が好ましい。また、芳香族基の水素化は、貴金属の担持触媒を用いることによって行うことができる。
水素化触媒としては、以下のものに限定されないが、例えば、(1)Ni,Pt,Pd,Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni,Co,Fe,Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩等の遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti,Ru,Rh,Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等が挙げられる。さらに、水素化触媒として、特に限定されないが、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報、特開平8−109219号公報に記載された公知の水素化触媒も挙げられる。好ましい水素化触媒としては、チタノセン化合物と還元性有機金属化合物との反応混合物が挙げられる。
(失活剤、中和剤の添加工程)
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法においては、上述したカップリング工程の後、重合体溶液に、必要に応じて、失活剤、中和剤等を添加してもよい。
失活剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール等が挙げられる。
中和剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、バーサチック酸(炭素数9〜11個で、10個を中心とする、分岐の多いカルボン酸混合物)等のカルボン酸;無機酸の水溶液、炭酸ガスが挙げられる。
(ゴム用安定剤の添加工程)
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法においては、重合後のゲル生成を防止する観点、及び加工時の安定性を向上させる観点から、ゴム用安定剤を添加することが好ましい。
ゴム用安定剤としては、以下のものに限定されず、公知のものを用いることができるが、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(以下「BHT」とも記す。)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピオネート、2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤が好ましい。
(ゴム用軟化剤の添加工程)
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法においては、当該分岐化共役ジエン系重合体の生産性、充填剤等を配合して樹脂組成物としたときの加工性をより改善する観点から、必要に応じて、ゴム用軟化剤を添加することができる。
ゴム用軟化剤としては、特に限定されないが、例えば、伸展油、液状ゴム、樹脂等が挙げられる。
ゴム用軟化剤を分岐化共役ジエン系重合体に添加する方法としては、以下のものに限定されないが、ゴム用軟化剤を分岐化共役ジエン系重合体溶液に加え、混合して、ゴム用軟化剤含有の重合体溶液としたものを脱溶媒する方法が好ましい。
好ましい伸展油としては、例えば、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油等が挙げられる。これらの中でも、環境安全上の観点、並びにオイルブリード防止及びウェットグリップ特性の観点から、IP346法による多環芳香族(PCA)成分が3質量%以下であるアロマ代替油が好ましい。アロマ代替油としては、Kautschuk Gummi Kunststoffe 52(12)799(1999)に示されるTDAE(Treated Distillate Aromatic Extracts)、MES(Mild Extraction Solvate)等の他、RAE(Residual Aromatic Extracts)が挙げられる。
好ましい液状ゴムとしては、以下のものに限定されないが、例えば、液状ポリブタジエン、液状スチレン−ブタジエンゴム等が挙げられる。
液状ゴムを添加した際の効果としては、分岐化共役ジエン系重合体と充填剤等とを配合した樹脂組成物としたときの加工性を改善することができることに加え、樹脂組成物のガラス転移温度を低温側にシフトできることで、加硫物としたときにおける耐摩耗性、低ヒステリシスロス性、及び低温特性を改良できる傾向にあることが挙げられる。
ゴム用軟化剤としての樹脂としては、以下のものに限定されないが、例えば、芳香族系石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、テルペン系樹脂、ロジン誘導体(桐油樹脂を含む)、トール油、トール油の誘導体、ロジンエステル樹脂、天然及び合成のテルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、混合脂肪族/芳香族炭化水素樹脂、クマリン−インデン樹脂、フェノール樹脂、p−tert−ブチルフェノール−アセチレン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、モノオレフィンのオリゴマー、ジオレフィンのオリゴマー、水素化芳香族炭化水素樹脂、環式脂肪族炭化水素樹脂、水素化炭化水素樹脂、炭化水素樹脂、水素化桐油樹脂、水素化油樹脂、水素化油樹脂と単官能又は多官能アルコールとのエステル等が挙げられる。これら樹脂は、1種類で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。水素化する場合、不飽和基を全て水添してもよいし、一部残してもよい。
ゴム用軟化剤としての樹脂を添加した際の効果としては、分岐化共役ジエン系重合体と充填剤等とを配合した樹脂組成物としたときの加工性を改善することができることに加え、加硫物としたときにおける破壊強度を改良できる傾向にあること、また樹脂組成物のガラス転移温度を高温側にシフトできることで、ウェットスキッド抵抗性を改良できる傾向にあることが挙げられる。
ゴム用軟化剤としての、伸展油、液状ゴム又は樹脂等の添加量は、特に限定されないが、本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体100質量部に対し、好ましくは1質量部以上60質量部以下、より好ましくは5質量部以上50質量部以下、さらに好ましくは10質量部以上37.5質量部以下である。
ゴム用軟化剤を前記範囲内で添加すると、本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体と充填剤等とを配合した樹脂組成物としたときの加工性が良好となり、加硫物としたときにおける破壊強度及び耐摩耗性が良好となる傾向にある。
(脱溶媒工程)
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法において、得られた分岐化共役ジエン系重合体を、重合体溶液から取得する方法としては、公知の方法を用いることができる。その方法として、特に限定されないが、例えば、スチームストリッピング等で溶媒を分離した後、重合体を濾別し、さらにそれを脱水及び乾燥して重合体を取得する方法、フラッシングタンクで濃縮し、さらにベント押出し機等で脱揮する方法、ドラムドライヤー等で直接脱揮する方法が挙げられる。
〔分岐化共役ジエン系重合体〕
以下、本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体の好ましい形態について説明する。
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の、好ましい形態における分岐化共役ジエン系重合体は、ポリマー鎖中に1つ以上の側鎖を有し、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による分岐度(Bn)が1以上である、分岐化共役ジエン系重合体であって、当該分岐化共役ジエン系重合体中に硫黄原子とケイ素原子を含有し、前記硫黄原子に対する前記ケイ素原子のモル比が1.05以上10未満であり、100℃で測定されるムーニー粘度が40以上170以下であるものとする。
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体が、特に、上記構成を有することにより、加硫物とする際、優れた加工性を有し、加硫物としたときに特に優れた耐摩耗性、破壊強度を示す。
粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による分岐度(Bn)が1以上であることは、重合体鎖が1以上の側鎖を有することを意味する。
ポリマー鎖の構造を特定した上で、ムーニー粘度、硫黄原子に対するケイ素原子のモル数を特定の範囲に特定し、さらに共役ジエン結合単位中のビニル結合量、及び芳香族ビニル化合物量を任意に調整することにより、加硫物とする際の加工性を備えながら、ガラス転移温度(以下、「Tg」とも記す。)を任意に調整することができる。
例えば、共役ジエン結合単位中のビニル結合量、及び芳香族ビニル化合物量を低く設定することにより、分岐化共役ジエン系重合体のTgが低下して、加硫物にしたときにおける耐摩耗性能、破壊強度が向上して、さらに低ヒステリシスロス性に優れたゴム組成物を得られる傾向にある。
また、共役ジエン結合単位中のビニル結合量、及び芳香族ビニル化合物量を高く設定することにより、分岐化共役ジエン系重合体のTgが高くなり、加硫物とする際の加工性能が向上して、さらにウェットスキッド抵抗性に優れたゴム組成物を得られる傾向にある。
(ムーニー粘度)
上述した本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、ポリマー中に1つ以上の側鎖を有し、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による分岐度(Bn)が1以上であり、後述するように側鎖中に分岐構造を有してもよい構造である。
一般的に、分岐構造を有する重合体は、同一の分子量である直鎖状の重合体と比較した場合に、分子の大きさが小さくなる傾向にある。よって重合体の分子の大きさでふるい分け、標準ポリスチレン試料との相対比較法であるゲル浸透クロマトグラフィー(以下「GPC」とも記す。)測定により求められるポリスチレン換算分子量では分岐構造を有する重合体の分子量が過少に評価される傾向にある。
また、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法により測定される絶対分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定により求められるポリスチレン換算分子量と比較すると、光散乱法により分子の大きさを直接観測し、分子量(絶対分子量)を測定するため、高分子の構造やカラム充填剤との相互作用の影響を受けず、共役ジエン系重合体の分岐構造などのポリマー構造に影響されることなく、分子量を正確に測定できる傾向にあるものの、光散乱検出器の検出方法の影響を受け易く、特定の測定条件下における相対的な比較には有効ではあるが、共役ジエン系重合体の真の構造を特定することが難しい。
一方、ムーニー粘度は、分岐化共役ジエン系重合体の分子量、分子量分布、分岐度、軟化剤の含有量の情報を含んだ分岐化共役ジエン系重合体の総合的な特徴を示す指標となる。また、ムーニー粘度の測定方法は、ISO289に規定されており機差による測定値の誤差も小さく、分岐化共役ジエン系重合体の性能を制御する上で極めて有効となる。
一般的には、粘度は分子量に代替する指標とも捉えられるが、分岐構造を有する重合体は、分子量を正確に把握することが難しいことから、本発明者らは本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の要件の一つとしてムーニー粘度を設定した。
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、好ましくは、100℃で測定されるムーニー粘度(以下「ML」とも記す。)が、40以上170以下である。
通常、分子量を下げてMLを低く調整をしたり、軟化剤(オイル等)を加えてMLを低く調整したりした場合には、加硫物にしたときにおける耐摩耗性、破壊強度が損なわれる傾向にある。
すなわち、所望の性能を奏する分岐化共役ジエン系重合体を得るためには、分子量制御あるいはムーニー粘度の制御のみでは不十分であったことから、本実施形態においては、ゴム組成物の弾性率を高める観点で、ムーニー粘度と併せて、ポリマーの側鎖の構造、分岐度、及びポリマー中の硫黄原子に対するケイ素原子のモル比を特定し、ゴム組成物の加工性を損なうことなく加硫物の耐摩耗性、破壊強度の改良を図った。
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、分岐化共役ジエン系重合体の生産性、充填剤等を配合したゴム組成物としたときの加工性、並びに、ゴム組成物を加硫物としたときの耐摩耗性、破壊強度の観点から、100℃で測定されるムーニー粘度が、好ましくは40以上170以下であり、より好ましくは50以上150以下、さらに好ましくは55以上130以下である。
100℃で測定されるムーニー粘度が40以上の場合、加硫物とした際の耐摩耗性、破壊強度が向上する傾向にあり、また、100℃で測定されるムーニー粘度が170以下であると分岐化共役ジエン系重合体の製造に支障が生じることを抑制し、充填剤等を配合したゴム組成物とする際の加工性が良好となる傾向にある。
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体において、ムーニー粘度は、上記のように分子量を調整したり、所定量のゴム用軟化剤を添加することにより制御することができる。
具体的には、分岐化共役ジエン系重合体100質量部に対して、後述するゴム用軟化剤を1質量部以上60質量部以下添加することにより、上記数値範囲に制御することができる。連続重合によって本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体を製造する場合、脱溶剤工程における生産性の観点から、分岐化共役ジエン系重合体の性能を損なわない範囲で、オイルなどで伸展するのが一般的であり、本発明者らは、重合体単体の状態というよりも、伸展して仕上げた状態での物性を特定することで当該重合体の加工性などを適切に制御できることに着目し、軟化剤を添加して仕上げる場合には、軟化剤を含有した状態でムーニー粘度を特定すべきと考え、上述のように定義した。
ムーニー粘度の測定においては、分岐化共役ジエン系重合体を加圧プレスで板状にした試料を用いて、装置にセットし、100℃でまず試料を1分間予熱した後、2rpmでローターを回転させ、その4分後のトルクを測定し、測定した値をムーニー粘度(ML(1+4))とする。より具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
(側鎖)
上述した好ましい形態における本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による分岐度(Bn)が1以上である。このことは、ポリマー鎖中に1つ以上の側鎖を有する構造であることを意味する。
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体における側鎖とは、最長のポリマー鎖から枝分かれしたポリマー鎖が1つ以上あることを示す。
側鎖は、具体的には、後述する分岐化剤を介してポリマー鎖を、最長のポリマー鎖に導入する方法により形成できる。
ポリマー鎖中の側鎖は、後述する分岐化剤の構造と分岐化剤の添加量、及び後述する変性剤の構造を選択することにより、所望の数に制御することができる。
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の側鎖の数は、1以上であり、好ましくは、2以上であり、より好ましくは4以上であり、さらに好ましくは5以上である。
側鎖の数が、前記範囲である分岐化共役ジエン系重合体は、加硫物とする際の加工性に優れ、加硫物とした際に、耐摩耗性、破壊特性に優れる傾向にある。
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の側鎖の数の上限は特に限定されないが、工業的に製造する上で、実用的には25以下であり、より好ましくは23以下であり、さらに好ましくは20以下である。
例えば、本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体のポリマー鎖中の側鎖の数が25以下であると、それぞれ相反する性能である、加硫物とする際の加工性、加硫物とした際の耐摩耗性、破壊特性のバランスに優れる配合物が得られる傾向にある。
また、ポリマー鎖中の側鎖の数が1以上であると、加硫物とする際の加工性が良好となることに加え、それぞれ相反する性能である、加硫物とした際の省燃費性とウェットスキット抵抗性のバランスに優れる配合物が得られる傾向にある。
ポリマー鎖中に1つ以上の側鎖を有する構造は、ポリマー鎖の末端においてカップリング反応を実施することにより分岐構造を導入した、カップリング剤を起点とした、均一なポリマー鎖が星形に結合した構造とすることが一般的に行われていたが、分岐化剤を利用して側鎖を形成する場合には、分岐化剤を添加するタイミング、分岐化剤の構造、及び添加量を調整することで側鎖に結合したポリマー鎖長、ポリマー鎖数、主鎖のポリマー鎖長を任意に調整でき、ポリマー構造を設計する上での自由度が高く、所望する物性バランスのポリマーが得られやすい傾向にあるため好ましい。
分岐化共役ジエン系重合体の側鎖の数は、末端のカップリング反応による分岐と、分岐化剤による分岐の合計になるので、製造する分岐化共役ジエン系重合体の構造、例えばムーニー粘度、ケイ素原子と硫黄原子の比率、分子量、ビニル量、芳香族ビニル量等や、製造工程、例えば、重合開始剤の設定、分岐化工程や変性工程の有無等に応じて、適宜設定することができる。
なお、本実施形態において、カップリング剤の種類、添加量、及び分岐化剤の種類、添加量から理論的に求められる側鎖の数は、後述する粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法により測定される分岐度(Bn)として求めることができる。
(ケイ素原子と硫黄原子を含んだ共役ジエン系重合体)
上述した好ましい形態における本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、ケイ素原子と硫黄原子を含む。
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、分岐度が1以上であって、ケイ素原子と硫黄原子を有していることにより、加硫物とする際の加工性に優れ、加硫物としたときの、耐摩耗性と破壊特性に優れたものとなる。
加硫物とする際の加工性に優れたものとする、という効果の観点からは、ケイ素原子と硫黄原子のモル比率の寄与が大きい傾向にある。具体的には、硫黄原子に対するケイ素原子のモル比(ケイ素原子/硫黄原子)が大きい場合は、分岐化剤の添加量が多くなる場合であり、ポリマー鎖中の側鎖が多い傾向にある。この場合、加硫物とする際の加工性により優れる傾向にある。
上述した好ましい形態の分岐化共役ジエン系重合体において、ケイ素原子と硫黄原子が導入される位置の、特性に対する影響は小さいので、ケイ素原子、硫黄原子はどのように導入されていてもよい。
ケイ素原子は、例えば、共役ジエン系重合体とケイ素原子を有する分岐化剤と反応させることによって、主鎖分岐によって重合体の分岐数を増加させつつ分岐化剤残基として分岐化共役ジエン系重合体中に導入することができる。また、分岐化共役ジエン系重合体とケイ素原子を有する変性剤とを反応させることによって、変性剤残基として分岐化共役ジエン系重合体中に導入することもできる。
硫黄原子は、例えば、共役ジエン系重合体と硫黄原子を有する変性剤とを反応させることによって、変性剤残基として共役ジエン系重合体中に導入することができる。
硫黄原子を有する変性剤を、共役ジエン系重合体の活性末端と反応させると、ポリマー鎖の末端に硫黄原子を配置することができ、ポリマー鎖の末端で加硫することができることから、架橋点からのフリーなポリマー末端が少なくなり、架橋効率が向上し、充填剤としてのシリカ表面とポリマーとの界面が強固となり、省燃費性能に優れるゴム組成物が得られる傾向にある。
(硫黄原子に対するケイ素原子のモル比)
上述した好ましい形態における本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、分岐度が1以上であって、ケイ素原子と硫黄原子含んだ構造であり、硫黄原子に対するケイ素原子のモル比(ケイ素原子/硫黄原子)が、1.05以上10未満であり、好ましくは1.07以上8未満であり、より好ましくは1.1以上7未満であり、さらに好ましくは1.12以上6未満である。
硫黄原子に対するケイ素原子のモル比が、この範囲である分岐化共役ジエン系重合体は、加硫物とした際に、耐摩耗性、破壊特性に優れる傾向にある。
主鎖分岐を形成する分岐化剤がケイ素原子を含有し、末端変性剤が硫黄原子を含有する態様の場合、ケイ素原子は分岐化剤残基と変性剤残基の総量に由来しており、硫黄原子は変性剤残基に由来する。硫黄原子に対するケイ素原子のモル数が大きくなる場合は分岐化剤の添加量が多くなることを示しており、加硫物とする際の加工性に優れる傾向にある。硫黄原子に対するケイ素原子のモル数が小さくなる場合は分岐化剤の添加量が少なくなることを示しており、加硫物とした際に耐摩耗性、破壊特性に優れる傾向にある。
硫黄原子に対するケイ素原子のモル比は、分岐化剤及び変性剤の種類、添加量を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
(分岐度(Bn))
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体中の側鎖の数は、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法によるによる分岐度(Bn)(以下、単に分岐度(Bn)とも記す。)として表すことができる。
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の好ましい形態である、上述した構成の、すなわち、ポリマー鎖中に1つ以上の側鎖を有し、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による分岐度(Bn)が1以上である、分岐化共役ジエン系重合体であって、当該分岐化共役ジエン系重合体中に硫黄原子とケイ素原子を含有し、前記硫黄原子に対する前記ケイ素原子のモル比が1.05以上10未満であり、100℃で測定されるムーニー粘度が40以上170以下である分岐化共役ジエン系重合体においては、加工性、耐摩耗性、破壊強度の観点から、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による分岐度(Bn)が1以上であり、2以上25以下であることが好ましく、3以上20以下であることがより好ましい。
例えば、当該分岐度(Bn)が4以上であるとは、本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体が、実質的に最長の高分子主鎖に対して側鎖の高分子鎖が4本以上であることを意味する。
分岐化共役ジエン系重合体の分岐度(Bn)は粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法により測定される収縮因子(g’)を用いて、g’=6Bn/[(Bn+1)(Bn+2)]と定義される。
一般的に、分岐を有する重合体は、同一の絶対分子量である直鎖状の重合体と比較した場合に、分子の大きさが小さくなる傾向にある。
収縮因子(g’)は、想定上同一の絶対分子量である直鎖状重合体に対する、分子の占める大きさの比率の指標である。すなわち、重合体の分岐度が大きくなれば、収縮因子(g’)は小さくなる傾向にある。
この収縮因子に対して本実施形態では、分子の大きさの指標として固有粘度を用い、直鎖状の重合体は、固有粘度[η]=−3.883M0.771の関係式に従うものとする。前記式中、Mは絶対分子量である。
しかしながら、収縮因子は分子の大きさの減少率を表現しているもので、重合体の分岐構造を正確に表現しているものではない。
そこで分岐化共役ジエン系重合体の各絶対分子量のときの収縮因子(g’)の値を用いて分岐化共役ジエン系重合体の分岐度(Bn)を算出する。算出された「分岐度(Bn)」は、最長の主鎖構造に対して、直接的又は間接的に互いに結合している重合体の数を正確に表現するものである。
算出された分岐度(Bn)は、分岐化共役ジエン系重合体の分岐構造を表現する指標となる。例えば、一般的な4分岐星形高分子(中央部に、4本の重合体鎖が接続)の場合、最長の高分岐主鎖構造に対して高分子鎖の腕が2本結合しており、分岐度(Bn)は2と評価される。
上述した好ましい形態における本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、分岐度(Bn)が1以上であり、好ましくは2以上25以下であるが、かかる場合、星形高分子構造として3分岐から27分岐した星形高分子構造と同様の分岐を有する変性共役ジエン系重合体であることを意味する。
ここで、「分岐」とは、1つの重合体に対して、他の重合体とが直接的又は間接的に結合することにより形成されるものである。また、「分岐度(Bn)」は、最長の主鎖構造に対して、直接的又は間接的に互いに結合している重合体の数である。
分岐度(Bn)が1以上、好ましくは2以上25以下であることにより、本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、加硫物とする際の加工性に極めて優れ、加硫物としたときに耐摩耗性、及び破壊強度に優れる。
一般に絶対分子量が上昇すると加工性が悪化する傾向にあり、直鎖状の高分子構造で絶対分子量を上昇させた場合、加硫物の粘度が大幅に上昇し、加工性が大幅に悪化する。
そのため、重合体中に多数の官能基を導入し、充填剤として配合されるシリカとの親和性及び/又は反応性向上を図っていても、混練工程でシリカを十分に重合体中に分散させられないという問題を生じる。その結果として、導入された官能基の機能が発揮されず、本来期待できるはずの官能基導入による低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性との向上という効果が発揮されないことになってしまう傾向にある。
一方、本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、分岐度(Bn)を1以上、好ましくは2以上25以下に特定したことにより、絶対分子量の上昇に伴う加硫物とする際の粘度の上昇が大幅に抑制されるため、混練工程においてシリカ等と十分に混合するようになり、分岐化共役ジエン系重合体の周りにシリカを分散させることが可能となる。その結果、分岐化共役ジエン系重合体の分子量の大きく設定することで耐摩耗性及び破壊強度の向上が可能になり、かつ、十分な混練によってシリカを重合体周りに分散させ、官能基が作用及び/又は反応することが可能となることで実用上十分な低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とを有するものとすることが可能になる。
分岐化共役ジエン系重合体の絶対分子量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の分岐度(Bn)は、後述する分岐化剤の種類や配合量を調整することにより、所望の値に制御することができる。
(側鎖構造)
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、ポリマー鎖の一部に、アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分を有し、当該アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分において、側鎖を有することが好ましい。
側鎖は、アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分における分岐点で1分岐点以上であり、3分岐点以上であることが好ましく、4分岐点以上であることがより好ましい。
また、側鎖を形成する分岐点は少なくとも1つ以上の高分子鎖を有していることが好ましく、より好ましくは主鎖ではない高分子鎖を2つ以上有しており、さらに好ましくは主鎖ではない高分子鎖を4つ以上有している。
特にアルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体からなる主鎖分岐構造では、29Si−NMRにてシグナル検出を行うと、−45ppm〜−65ppmの範囲、さらに限定的には−50ppm〜−60ppmの範囲に、主鎖分岐構造由来のピークが検出される。
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の好ましい態様は、ポリマー鎖の末端が硫黄原子を含む変性剤により変性されており、ポリマー鎖の一部が、アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分を有し、当該アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分において更なる主鎖分岐構造を有する構造である。
上記のような構造を有する分岐化共役ジエン系重合体を取得する方法としては、例えば、有機リチウム系化合物を重合開始剤として用い、重合を行い、重合中又は重合後にさらに特定の分岐点を与える分岐化剤を添加し、重合を継続した後に特定の分岐率を与える硫黄原子を含む変性剤を用いて変性する方法が挙げられる。このとき、硫黄を含む変性剤の官能基数、添加量を調整することにより変性基を制御でき、分岐化剤の官能基数、添加量、添加のタイミングを調整することにより主鎖分岐構造を制御できる。
このような重合条件の制御手段は、後述する実施例中の製造方法に記載する。
(側鎖構造の詳細)
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、上述したアルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分が、下記式(4)又は(5)で表される化合物に基づく単量体単位であって、下記式(4)又は(5)で表される化合物に基づく単量体単位による高分子鎖の分岐点を有することが好ましい。
また、本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、カップリング剤を用いて得られる分岐化共役ジエン系重合体であることがより好ましく、共役ジエン系重合体の少なくとも一端が、硫黄原子含有基で変性されている変性共役ジエン系重合体であることがさらに好ましい。
Figure 2021152135
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(式(4)中、R1は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
2〜R3は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
複数存在する場合のR1〜R3は、各々独立している。
1は、独立したハロゲン原子を表す。
mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。)
(式(5)中、R2〜R5は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。複数存在する場合のR2〜R5は、各々独立している。
2〜X3は、独立したハロゲン原子を表す。
mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。
aは、0〜2の整数を示し、bは、0〜3の整数を示し、cは、0〜3の整数を示す。(a+b+c)は、3を示す。)
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、上述した式(4)中、R1が水素原子であり、m=0である、前記式(4)で表される化合物に基づく単量体単位を有する分岐化共役ジエン系重合体であることが好ましい。これにより、分岐数が向上し、耐摩耗性と加工性との向上の効果が得られる。
また、本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、前記式(5)中、m=0であり、b=0である、前記式(5)で表される化合物に基づく単量体単位を有する、分岐化共役ジエン系重合体であることが好ましい。これにより、耐摩耗性と加工性との向上効果が得られる。
また、本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、前記式(5)中、m=0、l=0、n=3であり、a=0、b=0であり、c=3である、前記式(5)で表される化合物に基づく単量体単位を有する、分岐化共役ジエン系重合体であることが好ましい。これにより、耐摩耗性と加工性向上の効果が得られる。
また、本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、前記式(4)中、R1が水素原子であり、m=0であり、l=0であり、n=3である、前記式(4)で表される化合物に基づく単量体単位を有する、分岐化共役ジエン系重合体であることがさらに好ましい。これにより、変性率と分岐度とが向上し、省燃費性能、耐摩耗性及び加工性の向上の効果が得られる。
(分岐化剤)
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体においては、主鎖分岐構造を構築する際に、分岐化剤として、下記式(4)又は式(5)で表される分岐化剤を用いることが好ましい。
前記アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分は、下記式(4)又は(5)で表される化合物に基づく単量体単位であり、本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、下記式(4)又は(5)で表される化合物に基づく単量体単位による高分子鎖の分岐点を有する構造であることが好ましい。
Figure 2021152135
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(式(4)中、R1は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
2〜R3は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
複数存在する場合のR1〜R3は、各々独立している。
1は、独立したハロゲン原子を表す。
mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。)
(式(5)中、R2〜R5は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。複数存在する場合のR2〜R5は、各々独立している。
2〜X3は、独立したハロゲン原子を表す。
mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。
aは、0〜2の整数を示し、bは、0〜3の整数を示し、cは、0〜3の整数を示す。(a+b+c)は、3を示す。)
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の主鎖分岐構造を構築する際に使用される分岐化剤は、重合の継続性と分岐度の向上との観点から、好ましくは式(4)のR1が水素原子であり、m=0の化合物であることが好ましい。
また、本実施形態においては、分岐化共役ジエン系重合体の主鎖分岐構造を構築する際に使用される分岐化剤は、分岐度向上の観点から、式(5)中、m=0であり、かつb=0の化合物であることが好ましい。
また、本実施形態においては、分岐化共役ジエン系重合体の主鎖分岐構造を構築する際に使用される分岐化剤は、重合の継続性と、変性率及び分岐度の向上との観点から、式(4)のR1が水素原子であり、m=0であり、l=0であり、n=3である化合物であることがより好ましい。
また、本実施形態においては、分岐化共役ジエン系重合体の主鎖分岐構造を構築する際に使用される分岐化剤は、変性率及び分岐度の向上の観点から、前記式(5)中、m=0、l=0、n=3であり、a=0、b=0、c=3である化合物が好ましい。
前記式(4)で表される分岐化剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、トリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリメトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリメトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(2−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(2−ビニルフェニル)シラン、トリメトキシ(4−イソプロペニルフェニル)シラン、トリエトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリブトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリメトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリエトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリブトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリメトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリエトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリブトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(2−イソプロペニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメトキシメチル(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジエトキシメチル(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジプロポキシメチル(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジブトキシメチル(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジイソプロポキシメチル(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(4−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(3−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルメトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルエトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルプロポキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルブトキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、ジメチルイソプロポキシ(2−イソプロぺニルフェニル)シラン、トリクロロ(4−ビニルフェニル)シラン、トリクロロ(3−ビニルフェニル)シラン、トリクロロ(2−ビニルフェニル)シラン、トリブロモ(4−ビニルフェニル)シラン、トリブロモ(3−ビニルフェニル)シラン、トリブロモ(2−ビニルフェニル)シラン、ジクロロメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジクロロメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジクロロメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジブロモメチル(4−ビニルフェニル)シラン、ジブロモメチル(3−ビニルフェニル)シラン、ジブロモメチル(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルクロロ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルクロロ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルクロロ(2−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブロモ(4−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブロモ(3−ビニルフェニル)シラン、ジメチルブロモ(2−ビニルフェニル)シランが挙げられる。
これらの中では、トリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(4−ビニルフェニル)シラントリイソプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリメトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(3−ビニルフェニル)シラン、トリクロロ(4−ビニルフェニル)シランが好ましく、トリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリエトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリブトキシ(4−ビニルフェニル)シラン、トリイソプロポキシ(4−ビニルフェニル)シラン、がより好ましい。
前記式(5)で表される分岐化剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、1,1−ビス(4−トリメトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリエトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリプロポキシシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリペントキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリイソプロポキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリメトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリエトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリプロポキシシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリペントキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリイソプロポキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(2−トリメトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(2−トリエトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(3−トリプロポキシシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(2−トリペントキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(2−トリイソプロポキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジメチルメトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジエチルメトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジプロピルメトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジメチルエトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジエチルエトキシシリル)フェニル)エチレン、1,1−ビス(4−(ジプロピルエトキシシリル)フェニル)エチレンが挙げられる。
これらの中では、1,1−ビス(4−トリメトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリエトキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリプロポキシシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリペントキシシリルフェニル)エチレン、1,1−ビス(4−トリイソプロポキシシリルフェニル)エチレンが好ましく、1,1−ビス(4−トリメトキシシリルフェニル)エチレン、がより好ましい。
(変性剤)
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体においては、好ましい形態として、当該分岐化共役ジエン系重合体中に硫黄原子とケイ素原子を含有する。
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、所定の変性剤により変性されていることが好ましく、変性工程で用いられる変性剤は、硫黄原子を有している化合物が好ましく、ケイ素原子と硫黄原子とを有している化合物がより好ましい。
本実施形態のケイ素原子と硫黄原子とを含有する分岐化共役ジエン系重合体は、例えば以下に記載するケイ素原子と硫黄原子を含有する変性剤を用いて分岐化共役ジエン系重合体と反応させることで得ることができる。
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、重合及び分岐化工程を経て得られた分岐化共役ジエン系重合体の活性末端に対して、ケイ素原子と硫黄原子を含有する反応性化合物を用いて変性反応を行って得られる分岐化共役ジエン系重合体であることがより好ましい。
ケイ素原子と硫黄原子とを含有する変性剤を用いて変性した分岐化共役ジエン系重合体は、シリカ等の充填剤等を配合したゴム組成物とし、これを加硫としたときに、架橋点からのフリーなポリマー末端が少なくなり、架橋効率が向上し、充填剤としてのシリカ表面とポリマーとの界面が強固となり、省燃費性能に優れる傾向にある。
すなわち、上記変性剤により変性した分岐化共役ジエン系重合体は、シリカの分散性が良好となり充填剤等を配合したゴム組成物の加工性が良好で、またゴム組成物を加硫物としたときに、耐摩耗性、及び破壊強度が良好となる傾向にある。
ケイ素原子と硫黄原子とを含有する変性剤としては、限定されるものではないが、例えば、スルフィド基含有アルコキシシラン化合物が好ましい。より好ましくは、スルフィド基をアルキルシラン化合物で置換したシランスルフィド構造を有する化合物がより好ましい。
スルフィド基をアルキルシラン化合物で置換したシランスルフィド構造は、後述する脱溶剤工程において、アルコキシシランが脱離してチオール基を形成する。生成したチオール基は、シリカ等の充填剤を配合したゴム組成物とする際に、シリカとの相互作用が高まりポリマーへのシリカの分散が向上して省燃費性能が改良され、加工性が良好となる傾向にある。
また、ゴム組成物を加硫物とする際には、ポリマー鎖の末端に導入された硫黄原子によりポリマー鎖の末端が架橋することから、架橋点からのフリーなポリマー末端が少なくなり、架橋効率が向上することで、加硫物としたときの、耐摩耗性と破壊特性優れる傾向にある。
ケイ素原子と硫黄原子とを含有する変性剤としては、下記式(3)で表されるシランスルフィド化合物が好ましく、本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、下記式(3)のシランスルフィド化合物で変性されているものであることが好ましい。
Figure 2021152135
(式(3)中、Siはケイ素原子を表し、Oは酸素原子を表し、Sは硫黄原子を表す。
xは1〜3の整数であり、yは0又は1〜2の整数であり、x+yは3である。
1、R2、R4は同じであっても異なっていてもよく、炭素数1〜16のアルキル基を示し、R3は炭素数6〜16のアリール基、炭素数1〜16のアルキレン基、又は炭素数1〜16のアルキル鎖を示す。)
なお、前記式(3)に示すシランスルフィド化合物の具体例については、上述した通りである。
(カップリング剤)
上述した好ましい形態における本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、特に、ハロゲン化スズ、スズアルコキシド、ハロゲン化ケイ素、及びアルコキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物よりなるカップリング剤でカップリングされたものであることが好ましい。
また、本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体は、上記のようにカップリングされたものを一部に含んでいる分岐化共役ジエン系重合体組成物の態様であってもよく、全部がカップリングされたものであってもよい。
カップリング剤は、カップリング機能のみを有してもよいし、重合体に硫黄及び/又はケイ素を導入する変性機能も兼ね備えたカップリング剤でもよい。
カップリング剤がケイ素及び/又は硫黄を含有しない場合、シリカ等の充填剤を配合したゴム組成物の物性を制御する観点から、前述した変性剤により一部の重合体を変性しつつ、さらにカップリング剤を添加して、残りの未変性の共役ジエン系重合体の分子量及び/又は分岐度を調整することが好ましい。
カップリング剤を加えた分岐化共役ジエン系重合体は、高分子量成分の比率が大きくなり、加硫物としたときの耐摩耗性と破壊特性優れる傾向にある。
カップリング剤としては、ハロゲン化スズ、スズアルコキシド、ハロゲン化ケイ素、及びアルコキシシランからなる群より選択される。これらのカップリング剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
本実施形態において、カップリング剤の好ましい添加量は、重合に関与した重合開始剤のモル数に対する、カップリング剤の官能基のモル数(以下、当量数と記す)は、0以上0.6当量以下であり、より好ましくは0.1当量以上0.5当量以下であり、さらに好ましくは0.2当量以上0.4当量以下である。
カップリング剤の官能基数は、ハロゲン化スズ化合物、ハロゲン化ケイ素化合物の場合には、官能基数はハロゲンのモル数とする。
スズアルコキシド化合物、アルコキシシラン化合物の場合には、一般的に、スズ原子、ケイ素原子に結合したアルコキシ基は全て反応することなく、スズ原子若しくはケイ素原子1個につき1個のアルコキシ基が残る傾向にある。したがって、スズアルコキシド化合物、アルコキシシラン化合物の官能基数は、同じスズ原子若しくはケイ素原子に結合したアルコキシ基の数から1を引いた数とする。より具体的には、テトラアルコキシスズ(シリル)化合物は3官能、トリアルコキシスズ(シリル)化合物は2官能、ジアルコキシスズ(シリル)化合物は1官能、モノアルコキシシリル基は0官能として、カップリング剤の官能基数を算出する。
カップリング剤であるハロゲン化スズ化合物は、以下に限定されるものではないが、例えば、四塩化スズ、四臭化スズ、四フッ化スズ、メチルトリクロロスタンナン、トリス(トリメチルシロキシ)クロロスタンナン、トリス(ジメチルアミノ)クロロスタンナン、ヘキサクロロジスタンナン、ビス(トリクロロスタンナン)メタン、1,2−ビス(トリクロロスタンナン)エタン、1,2−ビス(メチルジクロロスタンナン)エタン、1,4−ビス(トリクロロスタンナン)ブタン、1,4ビス(メチルジクロロスタンナン)ブタン等が挙げられる。
カップリング剤であるハロゲン化ケイ素化合物は、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルトリクロロシラン、テトラクロロシラン、トリス(トリメチルシロキシ)クロロシラン、トリス(ジメチルアミノ)クロロシラン、ヘキサクロロジシラン、ビス(トリクロロシリル)メタン、1,2−ビス(トリクロロシリル)エタン、1,2−ビス(メチルジクロロシリル)エタン、1,4−ビス(トリクロロシリル)ブタン、1,4ビス(メチルジクロロシリル)ブタン等が挙げられる。
カップリング剤であるスズアルコキシド化合物は、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラメトキシスタンナン、テトラエトキシスタンナン、トリフェノキシメチルスタンナン、1,2−ビス(トリエトキシスタンナン)エタンが挙げられる。
カップリング剤であるアルコキシシラン化合物は、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリフェノキシメチルシラン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、メトキシ置換ポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
〔分岐化共役ジエン系重合体組成物〕
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体組成物は、上述した本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法により製造された分岐化共役ジエン系重合体、又は上述した好ましい形態の分岐化共役ジエン系重合体を含有する。
すなわち、分岐化共役ジエン系重合体組成物は、好ましくは、ポリマー鎖中に1つ以上の側鎖を有し、粘度検出器付きGPC−光散乱法により測定される分岐度(Bn)が1以上である、分岐化共役ジエン系重合体であって、当該分岐化共役ジエン系重合体中に硫黄原子とケイ素原子を含有し、前記硫黄原子に対する前記ケイ素原子のモル比が1.05以上10未満であり、100℃で測定されるムーニー粘度が40以上170以下である分岐化共役ジエン系重合体を、10質量%以上100質量%未満含有するものとする。
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体組成物中の、上述した本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体の含有量が10質量%以上であることにより、加硫物とした際に、耐摩耗性、破壊特性に優れる効果が得られる。かかる観点から、分岐化共役ジエン系重合体の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体組成物は、分岐化共役ジエン系重合体中に、上述したカップリング工程により得られたカップリングされた共役ジエン系重合体を含んでいてもよい。
好ましくは、ハロゲン化スズ、スズアルコキシド、ハロゲン化ケイ素、及びアルコキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物でカップリングされた分岐化共役ジエン系重合体を含有してもよい。
また、本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体組成物は、上述した本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体と、ゴム用軟化剤とを含有する態様であってもよい。
かかる構成において、分岐化共役ジエン系重合体100質量部に対し、ゴム用軟化剤は、分岐化共役ジエン系重合体を製造する際の生産性の観点から、1〜60質量部であることが好ましく、5〜55質量部であることがより好ましく、10〜50質量部であることがさらに好ましい。
〔ゴム組成物、及びゴム組成物の製造方法〕
本実施形態のゴム組成物は、上述した本実施形態の製造方法により製造された分岐化共役ジエン系重合体を10質量%以上含むゴム成分と、当該ゴム成分100質量部に対して、5.0質量部以上150質量部以下の充填剤とを含有する。
本実施形態のゴム組成物の製造方法は、上述した製造方法により分岐化共役ジエン系重合体を得る工程と、当該分岐化共役ジエン系重合体を10質量%以上含むゴム成分を得る工程と、当該ゴム成分100質量部に対して、充填剤を5.0質量部以上150質量部以下含有させる工程を含む。
また、前記ゴム成分中に本実施形態の製造方法により得られた分岐化共役ジエン系重合体を10質量%以上含むことにより、省燃費性能、加工性、耐摩耗性向上を図ることができる。
充填剤は、シリカ系無機充填剤を含むことが好ましい。
ゴム組成物は、充填剤としてシリカ系無機充填剤を分散させることで、加硫物とする際の加工性により優れる傾向にあり、加硫物としたときにおける耐摩耗性、破壊強度、及び低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスにより優れる傾向にある。
ゴム組成物が、タイヤ、防振ゴム等の自動車部品、靴等の加硫ゴム用途に用いられる場合にも、シリカ系無機充填剤を含むことが好ましい。
本実施形態のゴム組成物は、上述した製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体を10質量%以上含むゴム成分を、前記充填剤と混合することにより得られる。
ゴム成分は、上述した分岐化共役ジエン系重合体以外のゴム状重合体(以下、単に「ゴム状重合体」という。)を、含有してもよい。
このようなゴム状重合体としては、以下のものに限定されないが、例えば、共役ジエン系重合体又はその水素添加物、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体又はその水素添加物、共役ジエン系化合物とビニル芳香族化合物とのブロック共重合体又はその水素添加物が挙げられ、その他として非ジエン系重合体、天然ゴムが挙げられる。
ゴム状重合体としては、例えば、ブタジエンゴム又はその水素添加物、イソプレンゴム又はその水素添加物、スチレン−ブタジエンゴム又はその水素添加物、スチレン−ブタジエンブロック共重合体又はその水素添加物、スチレン−イソプレンブロック共重合体又はその水素添加物等のスチレン系エラストマー、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はその水素添加物が挙げられる。
非ジエン系重合体としては、以下のものに限定されないが、例えば、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−ヘキセンゴム、エチレン−オクテンゴム等のオレフィン系エラストマー、ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、α、β−不飽和ニトリル−アクリル酸エステル−共役ジエン共重合ゴム、ウレタンゴム、及び多硫化ゴムが挙げられる。
天然ゴムとしては、以下のものに限定されないが、例えば、スモークドシートであるRSS3〜5号、SMR、エポキシ化天然ゴムが挙げられる。
上述した各種ゴム状重合体は、水酸基、アミノ基等の極性を有する官能基を付与した変性ゴムであってもよい。タイヤ用に用いる場合、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、天然ゴム、及びブチルゴムが好ましく用いられる。
ゴム状重合体の重量平均分子量は、ゴム組成物の各種性能と加工特性とのバランスの観点から、2000以上2000000以下であることが好ましく、5000以上1500000以下であることがより好ましい。また、低分子量のゴム状重合体、いわゆる液状ゴムを用いることもできる。
これらのゴム状重合体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体を用いたゴム組成物を上述のゴム状重合体を含むゴム組成物とする場合において、ゴム状重合体に対する上述の分岐化共役ジエン系重合体の含有比率(質量比)は、(上述の分岐化共役ジエン系重合体/ゴム状重合体)として、10/90以上100/0以下が好ましく、20/80以上90/10以下がより好ましく、50/50以上80/20以下がさらに好ましい。
したがって、ゴム成分は、当該ゴム成分の総量(100質量%)に対して、上述の分岐化共役ジエン系重合体を、好ましくは10質量%以上100質量%以下含み、より好ましくは20質量%以上90質量%以下含み、さらに好ましくは50質量%以上80質量%以下含む。
(分岐化共役ジエン系重合体/ゴム状重合体)の含有比率が上記範囲であることにより、加硫物としたときにおける耐摩耗性、破壊強度に優れ、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスも良好なものになる傾向にある。
ゴム組成物に含まれる充填剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、前記シリカ系無機充填剤の他、カーボンブラック、金属酸化物、金属水酸化物が挙げられる。これらの中でも、シリカ系無機充填剤が好ましい。
充填剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ゴム組成物中の充填剤の含有量は、上述の分岐化共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対して、5.0質量部以上150質量部以下であり、20質量部以上100質量部以下が好ましく、30質量部以上90質量部以下がより好ましい。
ゴム組成物において、充填剤の含有量は、充填剤の添加効果が発現する観点から、ゴム成分100質量部に対して5.0質量部以上であり、充填剤を十分に分散させ、ゴム組成物の加工性及び機械強度を実用的に十分なものとする観点から、ゴム成分100質量部に対して150質量部以下である。
シリカ系無機充填剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができるが、SiO2又はSi3Alを構成単位として含む固体粒子が好ましく、SiO2又はSi3Alを構成単位の主成分として含む固体粒子がより好ましい。ここで、主成分とは、シリカ系無機充填剤中に50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上含有される成分をいう。
シリカ系無機充填剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、シリカ、クレイ、タルク、マイカ、珪藻土、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、ガラス繊維等の無機繊維状物質が挙げられる。また、表面を疎水化したシリカ系無機充填剤、シリカ系無機充填剤とシリカ系以外の無機充填剤との混合物も挙げられる。
これらの中でも、強度及び耐摩耗性等の観点から、シリカ及びガラス繊維が好ましく、シリカがより好ましい。
シリカとしては、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、合成ケイ酸塩シリカが挙げられる。これらのシリカの中でも、破壊強度の改良効果及びウェットスキッド抵抗性のバランスに優れる観点から、湿式シリカが好ましい。
ゴム組成物において実用上良好な耐摩耗性及び破壊強度を得る観点から、シリカ系無機充填剤のBET吸着法で求められる窒素吸着比表面積は、100m2/g以上300m2/g以下であることが好ましく、170m2/g以上250m2/g以下であることがより好ましい。
また必要に応じて、比較的比表面積が小さい(例えば、比表面積が200m2/g未満の)シリカ系無機充填剤と、比較的比表面積の大きい(例えば、200m2/g以上の)シリカ系無機充填剤)と、を組み合わせて用いることができる。
特に比較的比表面積の大きい(例えば、200m2/g以上の)シリカ系無機充填剤を用いる場合に、上述の分岐化共役ジエン系重合体を含むゴム組成物は、シリカの分散性を改善し、特に耐摩耗性の向上に効果があり、良好な破壊強度と低ヒステリシスロス性とを高度にバランスさせることができる傾向にある。
ゴム組成物中のシリカ系無機充填剤の含有量は、本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対して、5.0質量部以上150質量部が好ましく、20質量部以上100質量部以下がより好ましい。ゴム組成物において、シリカ系無機充填剤の含有量は、当該シリカ系無機充填剤の添加効果が発現する観点から、ゴム成分100質量部に対して5.0質量部以上であることが好ましく、シリカ系無機充填剤を十分に分散させ、ゴム組成物の加工性及び機械強度を実用的に十分なものとする観点から、ゴム成分100質量部に対して150質量部以下であることが好ましい。
カーボンブラックとしては、以下のものに限定されないが、例えば、SRF、FEF、HAF、ISAF、SAF等の各クラスのカーボンブラックが挙げられる。これらの中でも、窒素吸着比表面積が50m2/g以上、かつ、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が80mL/100g以下のカーボンブラックが好ましい。
ゴム組成物中のカーボンブラックの含有量は、本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対して、0.5質量部以上100質量部以下が好ましく、3.0質量部以上100質量部以下がより好ましく、5.0質量部以上50質量部以下がさらに好ましい。ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ドライグリップ性能、導電性等のタイヤ等の用途に求められる性能を発現する観点から、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上であることが好ましく、分散性の観点から、ゴム成分100質量部に対して100質量部以下であることが好ましい。
金属酸化物とは、化学式MxOy(Mは、金属原子を示し、x及びyは、各々独立して、1〜6の整数を示す。)を構成単位の主成分とする固体粒子のことをいう。
金属酸化物としては、以下のものに限定されないが、例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、及び酸化亜鉛が挙げられる。
金属水酸化物としては、以下のものに限定されないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化ジルコニウムが挙げられる。
本実施形態のゴム組成物の製造方法においては、シランカップリング剤を含有させる工程を実施してもよい。
シランカップリング剤は、ゴム成分と無機充填剤との相互作用を緊密にする機能を有している。具体的には、ゴム成分及びシリカ系無機充填剤のそれぞれに対する親和性又は結合性の基を有しており、硫黄結合部分とアルコキシシリル基又はシラノール基部分とを一分子中に有する化合物が好ましい。
このような化合物としては、特に限定されないが、例えば、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−テトラスルフィド、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−ジスルフィド、ビス−[2−(トリエトキシシリル)−エチル]−テトラスルフィドが挙げられる。
ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量は、上述した無機充填剤100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下が好ましく、0.5質量部以上20質量部以下がより好ましく、1.0質量部以上15質量部以下がさらに好ましい。シランカップリング剤の含有量が上記範囲であると、シランカップリング剤による上記添加効果を一層顕著なものにできる傾向にある。
ゴム組成物は、その加工性の改良を図る観点から、ゴム用軟化剤を含んでもよい。
ゴム用軟化剤の添加量は、上述の本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体を含むゴム成分100質量部に対して、予め上述の分岐化共役ジエン系重合体や他のゴム状重合体に含有してある、ゴム用軟化剤を含んだ量と、ゴム組成物を製造する際に添加するゴム用軟化剤の総量で表される。
ゴム用軟化剤としては、鉱物油、又は、液状若しくは低分子量の合成軟化剤が好適である。
ゴムの軟化、増容、及び加工性の向上を図るために使用されているプロセスオイル又はエクステンダーオイルと呼ばれる鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環、及びパラフィン鎖の混合物であり、パラフィン鎖の炭素数が全炭素中50%以上を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環炭素数が全炭素中30%以上45%以下を占めるものがナフテン系と呼ばれ、芳香族炭素数が全炭素中30%を超えて占めるものが芳香族系と呼ばれている。本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体が共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合体である場合、用いるゴム用軟化剤としては、適度な芳香族含量を有するものが、分岐化共役ジエン系重合体との馴染みがよい傾向にあるため好ましい。
ゴム組成物において、ゴム用軟化剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0質量部以上100質量部以下が好ましく、10質量部以上90質量部以下がより好ましく、30質量部以上90質量部以下がさらに好ましい。ゴム用軟化剤の含有量がゴム成分100質量部に対して100質量部以下であることにより、ブリードアウトを抑制し、ゴム組成物表面のベタツキを抑制する傾向にある。
本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体とその他のゴム状重合体、シリカ系無機充填剤、カーボンブラックやその他の充填剤、シランカップリング剤、ゴム用軟化剤等の添加剤を混合する方法については、以下に限定されないが、例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解混合後、溶剤を加熱除去する方法が挙げられる。
これらのうち、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機による溶融混練法が生産性、良混練性の観点から好ましい。また、ゴム成分とその他の充填剤、シランカップリング剤、及び添加剤とを一度に混練する方法、複数の回数に分けて混合する方法のいずれも適用可能である。
ゴム組成物は、加硫剤により加硫処理を施した加硫組成物としてもよい。加硫剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、有機過酸化物及びアゾ化合物等のラジカル発生剤、オキシム化合物、ニトロソ化合物、ポリアミン化合物、硫黄、硫黄化合物が挙げられる。硫黄化合物には、一塩化硫黄、二塩化硫黄、ジスルフィド化合物、高分子多硫化合物等が含まれる。
ゴム組成物において、加硫剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下が好ましく、0.1質量部以上15質量部以下がより好ましい。加硫方法としては、従来公知の方法を適用でき、加硫温度は、120℃以上200℃以下が好ましく、より好ましくは140℃以上180℃以下である。
加硫に際しては、必要に応じて加硫促進剤、加硫助剤を用いてもよい。
加硫促進剤としては、従来公知の材料を用いることができ、以下のものに限定されないが、例えば、スルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、チオ尿素系、ジチオカルバメート系の加硫促進剤が挙げられる。
また、加硫助剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、亜鉛華、ステアリン酸が挙げられる。
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下が好ましく、0.1質量部以上15質量部以下がより好ましい。
ゴム組成物には、本実施形態の目的を損なわない範囲内で、上述した以外のその他の軟化剤、その他の充填剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、滑剤等の各種添加剤を用いてもよい。
その他の軟化剤としては、公知の軟化剤を用いることができる。
その他の充填剤としては、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウムが挙げられる。
上記の耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、潤滑剤としては、それぞれ公知の材料を用いることができる。
〔タイヤ、及びタイヤの製造方法〕
本実施形態のタイヤは、上述した本実施形態のゴム組成物を含有する。
本実施形態のタイヤの製造方法は、本実施形態の製造方法により分岐化共役ジエン系重合体を得る工程と、当該分岐化共役ジエン系重合体を含有するゴム組成物を得る工程と、当該ゴム組成物を成形する工程を有する。
上述した本実施形態の製造方法により得られる分岐化共役ジエン系重合体を含有するゴム組成物は、タイヤ用ゴム組成物として好適に用いられる。
タイヤ用ゴム組成物は、以下に限定されないが、例えば、省燃費タイヤ、オールシーズンタイヤ、高性能タイヤ、スタッドレスタイヤ等の各種タイヤ:トレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部等のタイヤ各部位への利用が可能である。
本実施形態の分岐化共役ジエン系重合体を含有するタイヤ用ゴム組成物は、加硫物としたときに耐摩耗性能、破壊強度、及び低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスに優れているため、省燃費タイヤ、高性能タイヤのトレッド用として、好適に用いられる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて、本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態は以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
〔第1の実施例〕
第1の実施例として、具体的な実施例及び比較例を挙げて、本実施形態を詳細に説明する。
以下においては、窒素原子含有変性剤でカップリングされている共役ジエン系重合体を「カップリング共役ジエン系重合体」と記載する。
また、未変性の状態の共役ジエン系重合体を「未変性の共役ジエン系重合体」と記載する。表中は単に「共役ジエン系重合体」と記載する。
さらに、分岐化構造を有する共役ジエン系重合体を「分岐化共役ジエン系重合体」と記載する。
実施例及び比較例における各種の物性は下記に示す方法により測定した。
(物性1)重合体ムーニー粘度
未変性の共役ジエン系重合体又は窒素原子含有変性剤でカップリングされている共役ジエン系重合体(以下「カップリング共役ジエン系重合体」とも記す)を試料として、ムーニー粘度計(上島製作所社製の商品名「VR1132」)を用い、ISO 289に準拠し、L形ローターを用いてムーニー粘度を測定した。
測定温度は、未変性の共役ジエン系重合体(表中、単に共役ジエン系重合体と記す。)を試料とする場合には110℃とし、カップリング共役ジエン系重合体を試料とする場合には100℃とした。
まず、試料を1分間試験温度で予熱した後、ローターを2rpmで回転させ、4分後のトルクを測定してムーニー粘度(ML(1+4))とした。
(物性2)ムーニー緩和率
カップリング共役ジエン系重合体を試料として、ムーニー粘度計(上島製作所社製の商品名「VR1132」)を用い、ISO 289に準拠し、L形ローターを用いてムーニー粘度を測定した後に、即座にローターの回転を停止させ、停止後1.6秒間〜5秒間の0.1秒ごとのトルクをムーニー単位で記録し、トルクと時間(秒)を両対数プロットした際の直線の傾きを求め、その絶対値をムーニー緩和率(MSR)とした。
(物性3)分岐度(Bn)
カップリング共役ジエン系重合体の分岐度(Bn)は、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法によって以下とおり測定した。
カップリング共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定装置(Malvern社製の商品名「GPCmax VE−2001」)を使用して、光散乱検出器、RI検出器、粘度検出器(Malvern社製の商品名「TDA305」)の順番に接続されている3つの検出器を用いて測定し、標準ポリスチレンに基づいて、光散乱検出器とRI検出器の測定結果から絶対分子量を、RI検出器と粘度検出器の測定結果から固有粘度を求めた。
直鎖ポリマーは、固有粘度[η]=−3.883M0.771に従うものとして用い、各分子量に対応する固有粘度の比としての収縮因子(g’)を算出した。なお、式中、Mは絶対分子量を表す。
その後、得られた収縮因子(g’)を用いてg’=6Bn/[(Bn+1)(Bn+2)]と定義される分岐度(Bn)を算出した。
溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りテトラヒドロフラン(以下「THF」とも記す。)を使用した。
カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G5000HXL」、及び「TSKgel G6000HXL」を接続して使用した。
測定用の試料20mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液100μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量1mL/分の条件で測定した。
(物性4)分子量
<測定条件1> :
未変性の共役ジエン系重合体又はカップリング共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」)を使用して、RI検出器(東ソー社製の商品名「HLC8020」)を用いてクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用して得られる検量線に基づいて、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)とを求めた。
溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHF(テトラヒドロフラン)を使用した。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用した。
測定用の試料10mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液10μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で測定した。
上記の測定条件1で測定した各種試料の中で、分子量分布(Mw/Mn)の値が1.6未満であった試料は、改めて下記の測定条件2により測定した。測定条件1で測定し、その分子量分布の値が1.6以上であった試料に対しては、測定条件1の測定値を採用した。
<測定条件2> :
未変性の共役ジエン系重合体又はカップリング共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置を使用して、クロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用した検量線に基づいて重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とを求めた。
溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを使用した。カラムは、ガードカラム:東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperH−H」、カラム:東ソー社製の商品名「TSKgel SuperH5000」、「TSKgel SuperH6000」、「TSKgel SuperH7000」を使用した。
オーブン温度40℃、THF流量0.6mL/分の条件で、RI検出器(東ソー社製の商品名「HLC8020」)を用いた。測定用の試料10mgを20mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液20μLをGPC測定装置に注入して測定した。
測定条件1で測定し、その分子量分布の値が1.6未満であった試料に対しては、測定条件2で測定し、その測定値を採用した。
(物性5)変性率
カップリング共役ジエン系重合体の変性率をカラム吸着GPC法で以下のとおり測定した。
カップリング共役ジエン系重合体を試料として、シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに、変性した塩基性重合体成分が吸着する特性を応用することにより、測定した。
試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液を、ポリスチレン系カラムで測定したクロマトグラムと、シリカ系カラムで測定したクロマトグラムと、の差分よりシリカ系カラムへの吸着量を測定し、変性率を求めた。
具体的には、以下に示すとおりである。
また、上記の(物性4)の測定条件1で測定し、その分子量分布の値が1.6以上であった試料に対しては下記の測定条件3で測定し、その測定値を採用した。上記(物性4)の測定条件1で測定し、その分子量分布の値が1.6未満であった試料に対しては下記の測定条件4で測定し、その測定値を採用した。
<試料溶液の調製> :
試料10mg及び標準ポリスチレン5mgを20mLのTHFに溶解させて、試料溶液とした。
<測定条件3> :
ポリスチレン系カラムを用いたGPC測定条件:
東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを溶離液として用い、試料溶液10μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得た。
カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用した。
<測定条件4> :
5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを溶離液として用い、試料溶液20μLを装置に注入して測定した。
カラムは、ガードカラム:東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperH−H」、カラム:東ソー社製の商品名「TSKgel SuperH5000」、「TSKgel SuperH6000」、「TSKgel SuperH7000」を使用した。カラムオーブン温度40℃、THF流量0.6mL/分の条件で、RI検出器(東ソー社製 HLC8020)を用いて測定し、クロマトグラムを得た。
シリカ系カラムを用いたGPC測定条件:東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、THFを溶離液として用い、試料溶液50μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.5ml/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得た。カラムは、商品名「Zorbax PSM−1000S」、「PSM−300S」、「PSM−60S」を接続して使用し、その前段にガードカラムとして商品名「DIOL 4.6×12.5mm 5micron」を接続して使用した。
変性率の計算方法 :
ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、下記式より変性率(%)を求めた。
変性率(%)=[1−(P2×P3)/(P1×P4)]×100
(ただし、P1+P2=P3+P4=100)
(物性6)結合スチレン量
ゴム用軟化剤を含まないカップリング共役ジエン系重合体を試料として、試料100mgを、クロロホルムで100mLにメスアップし、溶解して測定サンプルとした。
スチレンのフェニル基による紫外線吸収波長(254nm付近)の吸収量により、試料であるカップリング共役ジエン系重合体100質量%に対しての結合スチレン量(質量%)を測定した(測定装置:島津製作所社製の分光光度計「UV−2450」)。
(物性7)ブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量)
ゴム用軟化剤を含まないカップリング共役ジエン系重合体を試料として、試料50mgを、10mLの二硫化炭素に溶解して測定サンプルとした。
溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600〜1000cm-1の範囲で測定して、所定の波数における吸光度によりハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry 21,923(1949)に記載の方法)の計算式に従い、ブタジエン部分のミクロ構造、すなわち、1,2−ビニル結合量(mol%)を求めた(測定装置:日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計「FT−IR230」)。
(物性8)GPC−光散乱法測定による分子量(絶対分子量)
カップリング共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC−光散乱測定装置を使用して、クロマトグラムを測定し、溶液粘度及び光散乱法に基づいて重量平均分子量(Mw−i)を求めた(「絶対分子量」ともいう。)。
溶離液はテトラヒドロフランとトリエチルアミンの混合溶液(THF in TEA:トリエチルアミン5mLをテトラヒドロフラン1Lに混合し調整した。)を使用した。
カラムは、ガードカラム:東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn HHR−H」と、カラム:東ソー社製の商品名「TSKgel G6000HHR」、「TSKgel G5000HHR」、「TSKgel G4000HHR」とを接続して使用した。
オーブン温度40℃、THF流量1.0mL/分の条件で、GPC−光散乱測定装置(マルバーン社製の商品名「Viscotek TDAmax」)を用いた。
測定用の試料10mgを20mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液200μLをGPC測定装置に注入して測定した。
〔分岐化共役ジエン系重合体〕
(実施例1−1)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−1)
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口、頂部に出口を有し、攪拌機付槽型反応器である攪拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器として2基連結した。
予め水分除去した、1,3−ブタジエンを18.6g/分、スチレンを10.0g/分、n−ヘキサンを175.2g/分の条件で混合した。この混合溶液を反応基の入口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理用のn−ブチルリチウムを0.103mmol/分で添加、混合した後、反応基の底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.081mmol/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.143mmol/分の速度で、攪拌機で激しく混合する1基目反応器の底部へ供給し、反応器内温を67℃に保持した。
1基目反応器頂部より重合体溶液を連続的に抜き出し、2基目反応器の底部に連続的に供給し70℃で反応を継続し、さらに2基目の頂部よりスタティックミキサーへ供給した。重合が十分に安定したところで、1,3−ブタジエンとスチレンとを共重合しながら、2基目の反応基の底部より、分岐化剤としてトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−1」と略す。)を0.0190mmol/分の速度で添加し、主鎖分岐構造を有する共役ジエン系重合体を得る重合反応及び分岐化反応を行った。
さらに重合反応と分岐化反応が安定したところで、カップリング剤添加前の共役ジエン系重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、110℃のムーニー粘度及び各種の分子量を測定した。物性を表1に示す。
次に、反応器の出口より流出した重合体溶液に、カップリング剤として、テトラエトキシシラン(表中、「A」と略す。)を0.0480mmol/分の速度で連続的に添加し、スタティックミキサーを用いて混合し、カップリング反応した。このとき、反応器の出口より流出した重合体溶液にカップリング剤が添加されるまでの時間は4.8分、温度は68℃であり、重合工程における温度と、カップリング剤を添加するまでの温度との差は2℃であった。カップリング反応後の共役ジエン系重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、結合スチレン量(物性6)及び、ブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量:物性7)を測定した。測定結果を表1に示す。
次に、カップリング反応した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように0.055g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、カップリング反応を終了した。酸化防止剤と同時に、ゴム用軟化剤として重合体100gに対してSRAEオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)が25.0gとなるように連続的に添加し、スタティックミキサーで混合した。スチームストリッピングにより溶媒を除去して、一部の主鎖に下記式(1)で表される化合物である分岐化剤(以下「分岐化剤構造(1)」とも記す。)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の3分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−1)を得た。
試料1−1の物性を表1に示す。
なお、分岐化剤添加前の重合体、分岐化剤添加後の重合体、及びカップリング剤添加後の各工程における重合体について、GPC測定による分子量と、粘度計付きGPC測定による分岐度との比較により、カップリング共役ジエン系重合体の構造を同定した。以下、同様に各試料の構造を同定した。
Figure 2021152135
(式(1)中、R1は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、及び炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれるいずれかを示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
1は、単結合、又は炭素、水素、窒素、硫黄、及び酸素からなる群より選ばれるいずれかを含有する有機基である。
1は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれるいずれかを示す。それぞれ独立していて同一でもよいし、異なっていてもよい。)
(実施例1−2)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−2)
カップリング剤をテトラエトキシシランから1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン(表中、「B」と略す。)に変え、その添加量を0.0360mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の4分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−2)を得た。試料1−2の物性を表1に示す。
(実施例1−3)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−3)
カップリング剤をテトラエトキシシランから1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(表中、「C」と略す。)に変え、その添加量を0.0360mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の4分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−3)を得た。試料1−3の物性を表1に示す。
(実施例1−4)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−4)
カップリング剤をテトラエトキシシランから2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン(表中、「D」と略す。)に変え、その添加量を0.0360mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の4分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−4)を得た。試料1−4の物性を表1に示す。
(実施例1−5)カップリング共役ジエン系重合体(試料1―5)
カップリング剤をテトラエトキシシランからトリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン(表中、「E」と略す。)に変え、その添加量を0.0250mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の6分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−5)を得た。試料1−5の物性を表1に示す。
(実施例1−6)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−6)
カップリング剤をテトラエトキシシランからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「F」と略す。)に変え、その添加量を0.0190mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−6)を得た。試料1−6の物性を表1に示す。
(実施例1−7)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−7)
カップリング剤をテトラエトキシシランからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「F」と略す。)に変え、その添加量を0.0160mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−7)を得た。試料1−7の物性を表1に示す。
(実施例1−8)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−8)
1,3−ブタジエンの添加速度を18.6g/分から24.3g/分、スチレンの添加速度を10.0g/分から4.3g/分に変更し、更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンの添加速度を0.081mmol/分から0.044mmol/分に変更し、カップリング剤をテトラエトキシシランからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「F」と略す。)に変え、その添加量を0.0160mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−8)を得た。試料1−8の物性を表1に示す。
(実施例1−9)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−9)
1,3−ブタジエンの添加速度を18.6g/分から17.1g/分、スチレンの添加速度を10.0g/分から11.5g/分に変更し、更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンの添加速度を0.081mmol/分から0.089mmol/分に変更し、カップリング剤をテトラエトキシシランからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「F」と略す。)に変え、その添加量を0.0160mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−9)を得た。試料1−9の物性を表2に示す。
(実施例1−10)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−10)
極性物質の2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンの添加速度を0.081mmol/分から0.200mmol/分に変更し、カップリング剤をテトラエトキシシランからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「F」と略す。)に変え、その添加量を0.0160mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−10)を得た。試料1−10の物性を表2に示す。
(実施例1−11)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−11)
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランからジメチルメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−2」と略す)に変え、その添加量を0.0350mmol/分に変え、カップリング剤をテトラエトキシシランから1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン(表中、「B」と略す。)に変え、その添加量を0.0360mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の2分岐構造を有し、カップリング剤由来の4分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−11)を得た。試料1−11の物性を表2に示す。
(実施例1−12)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−12)
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランからジメチルメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−2」と略す)に変え、その添加量を0.0350mmol/分に変え、カップリング剤をテトラエトキシシランから2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン(表中、「D」と略す。)に変え、その添加量を0.0360mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の2分岐構造を有し、カップリング剤由来の4分岐星形高分子構造を有するカップリング共役ジエン系重合体(試料1−12)を得た。試料1−12の物性を表2に示す。
(実施例1−13)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−13)
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランからジメチルメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−2」と略す)に変え、その添加量を0.0350mmol/分に変え、カップリング剤をテトラエトキシシランからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「F」と略す。)に変え、その添加量を0.0160mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の2分岐構造を有し、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−13)を得た。試料1−13の物性を表2に示す。
(実施例1−14)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−14)
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランから1,1−ビス(4−(ジメチルメトキシシリル)フェニル)エチレン(表中、「BS−3」と略す)に変え、その添加量を0.0120mmol/分に変え、カップリング剤をテトラエトキシシランから1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン(表中、「B」と略す。)に変え、その添加量を0.0360mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に下記式(2)で表される化合物である分岐化剤(以下「分岐化剤構造(2)」とも記す。)由来の3分岐構造を有し、カップリング剤由来の4分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−14)を得た。試料1−14の物性を表2に示す。
Figure 2021152135
(式(2)中、X2、X3は、単結合、又は炭素、水素、窒素、硫黄、及び酸素からなる群より選ばれるいずれかを含有する有機基である。
2、Y3は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれるいずれかを示す。それぞれ独立していて同一でもよいし、異なっていてもよい。)
(実施例1−15)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−15)
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランから1,1−ビス(4−(ジメチルメトキシシリル)フェニル)エチレン(表中、「BS−3」と略す)に変え、その添加量を0.0120mmol/分に変え、カップリング剤をテトラエトキシシランから2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン(表中、「D」と略す。)に変え、その添加量を0.0360mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(2)由来の3分岐構造を有し、カップリング剤由来の4分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−15)を得た。試料1−15の物性を表2に示す。
(実施例1−16)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−16)
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランから1,1−ビス(4−(ジメチルメトキシシリル)フェニル)エチレン(表中、「BS−3」と略す)に変え、その添加量を0.0120mmol/分に変え、カップリング剤をテトラエトキシシランからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「F」と略す。)に変え、その添加量を0.0160mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(2)由来の3分岐構造を有し、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−16)を得た。試料1−16の物性を表2に示す。
(実施例1−17)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−17)
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランから1,1−ビス(4−トリメトキシシリルフェニル)エチレン(表中、「BS−4」と略す)に変え、その添加量を0.0210mmol/分に変え、カップリング剤をテトラエトキシシランから1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン(表中、「B」と略す。)に変え、その添加量を0.0360mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(2)由来の7分岐構造を有し、カップリング剤由来の4分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−17)を得た。試料1−17の物性を表3に示す。
(実施例1−18)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−18)
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランから1,1−ビス(4−トリメトキシシリルフェニル)エチレン(表中、「BS−4」と略す)に変え、その添加量を0.0210mmol/分に変え、カップリング剤をテトラエトキシシランから2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン(表中、「D」と略す。)に変え、その添加量を0.0360mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(2)由来の7分岐構造を有し、カップリング剤由来の4分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−18)を得た。試料1−18の物性を表3に示す。
(実施例1−19)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−19)
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランから1,1−ビス(4−トリメトキシシリルフェニル)エチレン(表中、「BS−4」と略す)に変え、その添加量を0.0210mmol/分に変え、カップリング剤をテトラエトキシシランからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「F」と略す。)に変え、その添加量を0.0160mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(2)由来の7分岐構造を有し、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−19)を得た。試料1−19の物性を表3に示す。
(実施例1−20)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−20)
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランからトリクロロ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−5」と略す)に変え、その添加量を0.0190mmol/分に変え、カップリング剤をテトラエトキシシランから1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン(表中、「B」と略す。)に変え、その添加量を0.0360mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−20)を得た。試料1−20の物性を表3に示す。
(実施例1−21)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−21)
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランからトリクロロ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−5」と略す)に変え、その添加量を0.0190mmol/分に変え、カップリング剤をテトラエトキシシランから2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン(表中、「D」と略す。)に変え、その添加量を0.0360mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−21)を得た。試料1−21の物性を表3に示す。
(実施例1−22)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−22)
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランからトリクロロ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−5」と略す)に変え、その添加量を0.0190mmol/分に変え、カップリング剤をテトラエトキシシランからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「F」と略す。)に変え、その添加量を0.0160mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−22)を得た。試料1−22の物性を表3に示す。
(実施例1−23)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−23)
分岐化剤のトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−1」と略す)の添加量を0.0190mmol/分から0.0100mmol/分に変え、カップリング剤をテトラエトキシシランからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「F」と略す。)に変え、その添加量を0.0190mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−23)を得た。試料1−23の物性を表3に示す。
(実施例1−24)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−24)
分岐化剤のトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−1」と略す)の添加量を0.0190mmol/分から0.0250mmol/分に変え、カップリング剤をテトラエトキシシランからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「F」と略す。)に変え、その添加量を0.0190mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−24)を得た。試料1−24の物性を表4に示す。
(実施例1−25)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−25)
分岐化剤のトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−1」と略す)の添加量を0.0190mmol/分から0.0350mmol/分に変え、カップリング剤をテトラエトキシシランからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「F」と略す。)に変え、その添加量を0.0190mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−25)を得た。試料1−25の物性を表4に示す。
(実施例1−26)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−26)
カップリング剤をテトラエトキシシランからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「F」と略す。)に変え、その添加量を0.0190mmol/分に変え、ゴム用軟化剤として添加したSRAEオイルに変え、液状ゴム(クラレ社製 液状ポリブタジエン LBR−302)を添加した以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−26)を得た。試料1−26の物性を表4に示す。
(実施例1−27)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−27)
カップリング剤をテトラエトキシシランからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「F」と略す。)に変え、その添加量を0.0190mmol/分に変え、ゴム用軟化剤として添加したSRAEオイルに変え、レジン(ヤスハラケミカル社製 テルペン樹脂 YSレジンPX1250)を添加した以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−27)を得た。試料1−27の物性を表4に示す。
(実施例1−28)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−28)
カップリング剤をテトラエトキシシランからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「F」と略す。)に変え、その添加量を0.0190mmol/分に変え、ゴム用軟化剤として添加したSRAEオイルに変え、ナフテンオイル(Nynas社製 ナフテンオイル Nytex810)を添加した以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−28)を得た。試料1−28の物性を表4に示す。
(実施例1−29)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−29)
カップリング剤をテトラエトキシシランからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「F」と略す。)に変え、その添加量を0.0190mmol/分に変え、ゴム用軟化剤を添加しなかった以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−29)を得た。試料1−29の物性を表4に示す。
(実施例1−30)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−30)
カップリング剤をテトラエトキシシランからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「F」と略す。)に変え、その添加量を0.0190mmol/分に変え、ゴム用軟化剤として添加したSRAEオイルの添加量を重合体100gに対して25.0gから、37.5gに変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−30)を得た。試料1−30の物性を表4に示す。
(実施例1−31)共役ジエン系重合体(試料1−31)
重合が十分に安定したところで、2基目の反応基の底部より、分岐化剤としてトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−1」と略す。)を0.0190mmol/分の速度で添加し、カップリング剤を添加しなかった以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の星形カップリング構造を示さない、共役ジエン系重合体(試料1−31)を得た。試料1−31の物性を表5に示す。
(実施例1−32)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−32)
重合が十分に安定したところで、2基目の反応基の底部より、分岐化剤としてトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−1」と略す。)を0.0190mmol/分の速度で添加し、カップリング剤として、テトラエトキシシラン(表中、「A」と略す。)の添加量を0.0480mmol/分から0.0120mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の3分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−32)を得た。試料1−32の物性を表5に示す。
(実施例1−33)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−33)
重合が十分に安定したところで、2基目の反応基の底部より、分岐化剤としてトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−1」と略す。)を0.0190mmol/分の速度で添加し、カップリング剤として、テトラエトキシシランからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「F」と略す。)に変え、その添加量を0.0038mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−33)を得た。試料1−33の物性を表5に示す。
(実施例1−34)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−34)
重合が十分に安定したところで、2基目の反応基の底部より、分岐化剤としてジメチルメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−2」と略す。)を0.0350mmol/分の速度で添加し、カップリング剤のテトラエトキシシランの添加量を0.0480mmol/分から0.0120mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の2分岐構造を有し、カップリング剤由来の3分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−34)を得た。試料1−34の物性を表5に示す。
(実施例1−35)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−35)
重合が十分に安定したところで、2基目の反応基の底部より、分岐化剤として1,1−ビス(4−(ジメチルメトキシシリル)フェニル)エチレン(表中、「BS−3」と略す)を0.0120mmol/分の速度で添加し、カップリング剤のテトラエトキシシランの添加量を0.0480mmol/分から0.0120mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(2)由来の3分岐構造を有し、カップリング剤由来の3分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−35)を得た。試料1−35の物性を表5に示す。
(実施例1−36)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−36)
カップリング剤をテトラエトキシシランから3−(ベンジリデンアミノ)プロピルトリエトキシシラン(表中、「G」と略す。)に変え、その添加量を0.0620mmol/分に変えた以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の2分岐の星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−36)を得た。試料1−36の物性を表5に示す。
(実施例1−37)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−37)
1基目の反応器に添加する1,3−ブタジエンを18.6g/分から13.95g/分に変更し、2基目の反応基の底部より、分岐化剤と同時に1,3−ブタジエンを4.65g/分添加する以外は、実施例1−1と同様にして、一部の主鎖に分岐化剤構造(1)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の4分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−37)を得た。試料1−37の物性を表5に示す。
(実施例A−1)カップリング共役ジエン系重合体(試料A−1)
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口、頂部に出口を有し、攪拌機付槽型反応器である攪拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器として2基連結した。
予め水分除去した、1,3−ブタジエンを14g/分と、スチレンを10.0g/分、n−ヘキサンを175.2g/分の条件で混合した。
この混合溶液を反応基の入口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理用のn−ブチルリチウムを0.103mmol/分で添加、混合した後、反応基の底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.081mmol/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.143mmol/分の速度で、攪拌機で激しく混合する1基目反応器の底部へ供給し、反応器内温を67℃に保持した。
1基目反応器頂部より重合体溶液を連続的に抜き出し、2基目反応器の底部に連続的に供給し70℃で反応を継続し、さらに2基目の頂部よりスタティックミキサーへ供給した。重合が十分に安定したところで、1,3−ブタジエンとスチレンとを共重合しながら、2基目の反応基の底部より、分岐化剤であるトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−1」と略す。)を0.0190mmol/分の速度で、また並行して1,3−ブタジエンを4.6g/分で添加し、主鎖分岐構造を有する共役ジエン系重合体を得る重合反応及び分岐化反応を行った。
さらに重合反応と分岐化反応が安定したところで、カップリング剤添加前の共役ジエン系重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、110℃のムーニー粘度及び各種の分子量を測定した。物性を表7に示す。
次に、反応器の出口より流出した重合体溶液に、カップリング剤を2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン(表中、「D」と略す。)とし、その添加量を0.0360mmol/分として連続的に添加し、スタティックミキサーを用いて混合し、カップリング反応した。
このとき、反応器の出口より流出した重合体溶液にカップリング剤が添加されるまでの時間は4.8分、温度は68℃であり、重合工程における温度と、カップリング剤を添加するまでの温度との差は2℃であった。
カップリング反応後の共役ジエン系重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、結合スチレン量(物性6)、及びブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量:物性7)を測定した。測定結果を表7に示す。
次に、カップリング反応した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように0.055g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、カップリング反応を終了した。
酸化防止剤と同時に、ゴム用軟化剤として重合体100gに対してSRAEオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)が25.0gとなるように連続的に添加し、スタティックミキサーで混合した。
スチームストリッピングにより溶媒を除去して、一部の主鎖に、上記式(1)で表される化合物である分岐化剤(以下「分岐化剤構造(1)」とも記す。)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の4分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料A−1)を得た。
試料A−1の物性を表7に示す。
なお、分岐化剤添加前の重合体、分岐化剤添加後の重合体、及びカップリング剤添加後の各工程における重合体について、GPC測定による分子量と、粘度計付きGPC測定による分岐度との比較により、カップリング共役ジエン系重合体の構造を同定した。
(実施例A−2)カップリング共役ジエン系重合体(試料A−2)
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口、頂部に出口を有し、攪拌機付槽型反応器である攪拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器として2基連結した。
予め水分除去した、1,3−ブタジエンを14g/分と、スチレンを8.0g/分、n−ヘキサンを175.2g/分の条件で混合した。
この混合溶液を反応基の入口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理用のn−ブチルリチウムを0.103mmol/分で添加、混合した後、反応基の底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.081mmol/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.143mmol/分の速度で、攪拌機で激しく混合する1基目反応器の底部へ供給し、反応器内温を67℃に保持した。
1基目反応器頂部より重合体溶液を連続的に抜き出し、2基目反応器の底部に連続的に供給し70℃で反応を継続し、さらに2基目の頂部よりスタティックミキサーへ供給した。重合が十分に安定したところで、1,3−ブタジエンとスチレンとを共重合しながら、2基目の反応基の底部より、分岐化剤であるトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−1」と略す。)を0.0190mmol/分の速度で、また並行して1,3−ブタジエンを4.6g/分、スチレンを2.0g/分で添加し、主鎖分岐構造を有する共役ジエン系重合体を得る重合反応及び分岐化反応を行った。
さらに重合反応と分岐化反応が安定したところで、カップリング剤添加前の共役ジエン系重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、110℃のムーニー粘度及び各種の分子量を測定した。物性を表7に示す。
次に、反応器の出口より流出した重合体溶液に、カップリング剤を、2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン(表中、「D」と略す。)とし、その添加量を0.0360mmol/分で連続的に添加し、スタティックミキサーを用いて混合し、カップリング反応した。
このとき、反応器の出口より流出した重合体溶液にカップリング剤が添加されるまでの時間は4.8分、温度は68℃であり、重合工程における温度と、カップリング剤を添加するまでの温度との差は2℃であった。カップリング反応後の共役ジエン系重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、結合スチレン量(物性6)及び、ブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量:物性7)を測定した。測定結果を表7に示す。
次に、カップリング反応した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように0.055g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、カップリング反応を終了した。
酸化防止剤と同時に、ゴム用軟化剤として重合体100gに対してSRAEオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)が25.0gとなるように連続的に添加し、スタティックミキサーで混合した。
スチームストリッピングにより溶媒を除去して、一部の主鎖に、上記式(1)で表される化合物である分岐化剤(以下「分岐化剤構造(1)」とも記す。)由来の4分岐構造を有し、カップリング剤由来の4分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料A−2)を得た。試料A−2の物性を表7に示す。
なお、分岐化剤添加前の重合体、分岐化剤添加後の重合体、及びカップリング剤添加後の各工程における重合体について、GPC測定による分子量と、粘度計付きGPC測定による分岐度との比較により、カップリング共役ジエン系重合体の構造を同定した。
〔カップリング共役ジエン系重合体〕
(比較例1−1)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−38)
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口、頂部に出口を有し、攪拌機付槽型反応器である攪拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器として2基連結した。
予め水分除去した、1,3−ブタジエンを18.6g/分、スチレンを10.0g/分、n−ヘキサンを175.2g/分の条件で混合した。この混合溶液を反応基の入口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理用のn−ブチルリチウムを0.103mmol/分で添加、混合した後、反応基の底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.081mmol/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.143mmol/分の速度で、攪拌機で激しく混合する1基目反応器の底部へ供給し、反応器内温を67℃に保持した。
1基目反応器頂部より重合体溶液を連続的に抜き出し、2基目反応器の底部に連続的に供給し70℃で反応を継続し、さらに2基目の頂部よりスタティックミキサーへ供給した。重合が十分に安定したところで、カップリング剤添加前の重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、110℃のムーニー粘度及び各種の分子量を測定した。物性を表6に示す。
次に、反応器の出口より流出した重合体溶液に、カップリング剤として、テトラエトキシシラン(表中、「A」と略す。)を0.0480mmol/分の速度で連続的に添加し、スタティックミキサーを用いて混合し、カップリング反応した。このとき、反応器の出口より流出した重合体溶液にカップリング剤が添加されるまでの時間は4.8分、温度は68℃であり、重合工程における温度と、カップリング剤を添加するまでの温度との差は2℃であった。カップリング反応後の共役ジエン系重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、結合スチレン量(物性6)及び、ブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量:物性7)を測定した。測定結果を表6に示す。
次に、カップリング反応した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように0.055g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、カップリング反応を終了した。酸化防止剤と同時に、ゴム用軟化剤として、重合体100gに対してSRAEオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)が25.0gとなるように連続的に添加し、スタティックミキサーで混合した。スチームストリッピングにより溶媒を除去して、分岐化剤由来の主鎖分岐がなく、カップリング剤由来の3分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−38)を得た。試料1−38の物性を表6に示す。
(比較例1−2)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−39)
カップリング剤をテトラエトキシシランから2,2−ジメトキシ−1−(3−トリメトキシシリルプロピル)−1−アザ−2−シラシクロペンタン(表中、「D」と略す。)に変え、その添加量を0.0360mmol/分に変えた以外は、比較例1−1と同様にして、分岐化剤由来の主鎖分岐がなく、カップリング剤由来の4分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−39)を得た。試料1−39の物性を表6に示す。
(比較例1−3)カップリング共役ジエン系重合体(試料1−40)
カップリング剤をテトラエトキシシランからテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン(表中、「F」と略す。)に変え、その添加量を0.0190mmol/分に変えた以外は、比較例1−1と同様にして、分岐化剤由来の主鎖分岐がなく、カップリング剤由来の8分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料1−40)を得た。試料1−40の物性を表6に示す。
(比較例B−1)カップリング共役ジエン系重合体(試料B−1)
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口、頂部に出口を有し、攪拌機付槽型反応器である攪拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器として2基連結した。
予め水分除去した、1,3−ブタジエンを18.6g/分、スチレンを10.0g/分、n−ヘキサンを175.2g/分の条件で混合した。
この混合溶液を反応基の入口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理用のn−ブチルリチウムを0.103mmol/分で添加、混合した後、反応基の底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.081mmol/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.143mmol/分の速度で、攪拌機で激しく混合する1基目反応器の底部へ供給し、反応器内温を67℃に保持した。
1基目反応器頂部より重合体溶液を連続的に抜き出し、2基目反応器の底部に連続的に供給し70℃で反応を継続し、さらに2基目の頂部よりスタティックミキサーへ供給した。重合が十分に安定したところで、カップリング剤添加前の重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、110℃のムーニー粘度及び各種の分子量を測定した。物性を表7に示す。
次に、反応器の出口より流出した重合体溶液に、トリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−1」と略す。)を0.0190mmol/分の速度で添加し、同時にテトラエトキシシラン(表中、「A」と略す。)を0.0480mmol/分の速度で連続的に添加し、スタティックミキサーを用いて混合し、カップリング反応を行った。
このとき、反応器の出口より流出した重合体溶液にカップリング剤が添加されるまでの時間は4.8分、温度は68℃であり、重合工程における温度と、カップリング剤を添加するまでの温度との差は2℃であった。カップリング反応後の共役ジエン系重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、結合スチレン量(物性6)及び、ブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量:物性7)を測定した。測定結果を表7に示す。
次に、カップリング反応した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように0.055g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、カップリング反応を終了した。酸化防止剤と同時に、ゴム用軟化剤として重合体100gに対してSRAEオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)が25.0gとなるように連続的に添加し、スタティックミキサーで混合した。スチームストリッピングにより溶媒を除去して、カップリング共役ジエン系重合体(試料B−1)を得た。試料B−1の物性を表7に示す。
なお、下記表7の比較例B−1中、「BS−1」が分岐化剤の欄に記載されているが、本例のような、前記「BS−1」と前記「A」とを同時添加した添加方法においては、主鎖分岐点を形成できず、分岐化剤として作用しなかった。
前記「BS−1」添加前の重合体、「BS−1」添加後の重合体、及び前記「A」添加後の各工程における重合体について、GPC測定による分子量と、粘度計付きGPC測定による分岐度との比較により、カップリング共役ジエン系重合体の構造を同定した。
(比較例B−2)カップリング共役ジエン系重合体(試料B−2)
分岐化剤を使用しなかった。
また、カップリング剤として下記(Z−1)で示すカップリング剤(表中、「Z−1」と略す。)を使用し、その添加量を0.0360mmol/分とした。それ以外は、比較例B−1と同様にして、分岐化剤由来の主鎖分岐がなく、カップリング剤由来の10分岐星形高分子構造を有する、カップリング共役ジエン系重合体(試料B−2)を得た。試料B−2の物性を表7に示す。
Figure 2021152135
Figure 2021152135
Figure 2021152135
Figure 2021152135
Figure 2021152135
Figure 2021152135
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Figure 2021152135
(実施例1−38〜1−74、実施例a−1〜2、及び比較例1−4〜1−6、比較例b−1〜2)
表1〜表6に示す試料1−1〜1−40、及び表7に示す試料(A−1〜2、B−1〜2)を原料ゴムとして、以下に示す配合に従い、それぞれの原料ゴムを含有するゴム組成物を得た。
(ゴム成分)
・分岐化共役ジエン系重合体及びカップリング共役ジエン系重合体(試料1−1〜1−40、A−1〜2、B−1〜2)
:80質量部(ゴム用軟化剤抜きの質量部)
・ハイシスポリブタジエン(宇部興産社製の商品名「UBEPOL BR150」)
:20質量部
(配合条件)
各配合剤の添加量は、ゴム用軟化剤を含まないゴム成分100質量部に対する質量部数で示した。
・シリカ1(エボニック デグサ社製の商品名「Ultrasil 7000GR」
窒素吸着比表面積170m2/g):50.0質量部
・シリカ2(ローディア社製の商品名「Zeosil Premium 200MP」
窒素吸着比表面積220m2/g):25.0質量部
・カーボンブラック(東海カーボン社製の商品名「シーストKH(N339)」)
:5.0質量部
・シランカップリング剤(エボニック デグサ社製の商品名「Si75」、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド):6.0質量部
・SRAEオイル(JX日鉱日石エネルギー社製の商品名「プロセスNC140」)
:42.0質量部
(予め、試料1−1〜1−40、A−1〜2、B−1〜2中に含まれるゴム用軟化剤として添加した量を含む)
・亜鉛華:2.5質量部
・ステアリン酸:1.0質量部
・老化防止剤(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン):2.0質量部
・硫黄:2.2質量部
・加硫促進剤1(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフィンアミド)
:1.7質量部
・加硫促進剤2(ジフェニルグアニジン):2.0質量部
・合計:239.4質量部
(混練り方法)
上記した材料を次の方法により混練してゴム組成物を得た。温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.3L)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数30〜50rpmの条件で、原料ゴム(試料1−1〜1−40、試料A−1〜2、試料B−1〜2)、充填剤(シリカ1、シリカ2、カーボンブラック)、シランカップリング剤、SRAEオイル、亜鉛華及びステアリン酸を混練した。このとき、密閉混練機の温度を制御し、排出温度は155〜160℃で各ゴム組成物(配合物)を得た。
次に、第二段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、シリカの分散を向上させるため再度混練した。この場合も、混練機の温度制御により、配合物の排出温度を155〜160℃に調整した。
冷却後、第三段の混練として、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤1、2を加えて混練した。
その後、成型し、160℃で20分間、加硫プレスにて加硫した。
加硫前のゴム組成物、及び加硫後のゴム組成物を評価した。具体的には、下記の方法により評価した。その結果を表8〜表14に示す。
〔特性の評価〕
(評価1)配合物ムーニー粘度
上記で得た第二段の混練後、かつ、第三段の混練前の配合物を試料として、ムーニー粘度計を使用し、ISO 289に準拠して、130℃、1分間の予熱を行った後に、ローターを毎分2回転で4分間回転させた後の粘度を測定した。比較例1−4の結果を100として指数化した。指数が小さいほど加工性が良好であることを示す。
(評価2)引張強度及び引張伸び
JIS K6251の引張試験法に準拠し、引張強度及び引張伸びを測定し、比較例1−4の結果を100として指数化した。指数が大きいほど引張強度及び引張伸び(破壊強度)が良好であることを示す。
(評価3)耐摩耗性
アクロン摩耗試験機(安田精機製作所社製)を使用し、JIS K6264−2に準拠して、荷重44.4N、1000回転の摩耗量を測定し、比較例1−4の結果を100として指数化した。指数が大きいほど耐摩耗性が良好であることを示す。
(評価4)粘弾性パラメータ
レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機「ARES」を使用し、ねじりモードで粘弾性パラメータを測定した。各々の測定値は、比較例1−4のゴム組成物に対する結果を100として指数化した。
0℃において周波数10Hz、ひずみ1%で測定したtanδをウェットスキッド性の指標とした。指数が大きいほどウェットスキッド性が良好であることを示す。
また、50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定したtanδを省燃費性の指標とした。指数が小さいほど省燃費性が良好であることを示す。
さらに、50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定した弾性率(G’)を操縦安定性の指標とした。指数が大きいほど操縦安定性が良好であることを示す。
Figure 2021152135
Figure 2021152135
Figure 2021152135
Figure 2021152135
Figure 2021152135
Figure 2021152135
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表8〜表13に示す通り、実施例1−38〜1−74は、比較例1−4〜1−6と比較して、加硫物とする際の配合物ムーニー粘度が低く良好な加工性を示し、加硫物としたときにおける耐摩耗性、操縦安定性及び破壊強度に優れ、また、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスに優れることが確認された。
表14に示す通り、実施例a−1、a−2は、比較例b−1、b−2と比較して、加硫物とする際の配合物ムーニー粘度が低く良好な加工性を示し、加硫物としたときにおける耐摩耗性、操縦安定性及び破壊強度に優れ、また、低ヒステリシスロス性とウェットスキッド抵抗性とのバランスに優れることが確認された。
〔第2の実施例〕
以下、第2の実施例として、具体的な実施例及び比較例を挙げて、本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態は以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
以下においては、変性剤で変性されている共役ジエン系重合体を「変性共役ジエン系重合体」と記載し、カップリング剤でカップリングされている共役ジエン系重合体を「カップリング共役ジエン系重合体」と記載する。
また、未変性の状態の共役ジエン系重合体を「未変性の共役ジエン系重合体」と記載する。表中は単に「共役ジエン系重合体」と記載する。
さらに、分岐化構造を有する共役ジエン系重合体を「分岐化共役ジエン系重合体」と記載する。
実施例及び比較例における各種の物性は下記に示す方法により測定した。
(物性1)重合体ムーニー粘度
変性反応前の共役ジエン系重合体、ケイ素原子と硫黄原子含有変性剤で変性されている共役ジエン系重合体(変性共役ジエン系重合体)、及びケイ素原子と硫黄原子含有変性剤で変性され、さらにカップリング剤でカップリングされた共役ジエン系重合体(カップリング共役ジエン系重合体)を試料として、ムーニー粘度計(上島製作所社製の商品名「VR1132」)を用い、ISO 289に準拠し、L形ローターを用いてムーニー粘度を測定した。
測定温度は、変性反応前の共役ジエン系重合体を試料とする場合には110℃とし、ケイ素原子と硫黄原子含有変性剤で変性されている共役ジエン系重合体、及びケイ素原子と硫黄原子含有変性剤で変性され、さらにカップリング剤でカップリングされた重合体を試料とする場合には100℃とした。
まず、試料を1分間試験温度で予熱した後、ローターを2rpmで回転させ、4分後のトルクを測定してムーニー粘度(ML(1+4))とした。
(物性2)分岐度(Bn)
共役ジエン系重合体の分岐度(Bn)は、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法によって以下とおり測定した。
前記変性共役ジエン系重合体、及び前記カップリング共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定装置(Malvern社製の商品名「GPCmax VE−2001」)を使用して、光散乱検出器、RI検出器、粘度検出器(Malvern社製の商品名「TDA305」)の順番に接続されている3つの検出器を用いて測定し、標準ポリスチレンに基づいて、光散乱検出器とRI検出器結果から絶対分子量を、RI検出器と粘度検出器の結果から固有粘度を求めた。
直鎖ポリマーは、固有粘度[η]=−3.883M0.771に従うものとして用い、各分子量に対応する固有粘度の比としての収縮因子(g’)を算出した。なお、式中、Mは絶対分子量を表す。
その後、得られた収縮因子(g’)を用いてg’=6Bn/[(Bn+1)(Bn+2)]と定義される分岐度(Bn)を算出した。
溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りテトラヒドロフラン(以下「THF」とも記す。)を使用した。
カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G5000HXL」、及び「TSKgel G6000HXL」を接続して使用した。
測定用の試料20mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液100μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量1mL/分の条件で測定した。
(物性3)ケイ素原子含有量
試料の精製:
前記変性共役ジエン系重合体、及び前記カップリング共役ジエン系重合体を試料として、当該試料をトルエンに溶解後、エタノールとアセトンを容積比7対3で混合した貧溶媒を、試料のトルエン溶液に加え、ポリマーを析出させ、試料中に含まれるゴム用軟化剤、安定剤を取り除いた。
さらに回収したポリマーを再度トルエンに溶解後、前記の貧溶媒を加えポリマーを析出させた。
この操作を5回行った後、40℃に調節した真空乾燥機で5時間乾燥して、完全に試料中に含まれるゴム用軟化剤、安定剤を除いた精製試料(以下、精製試料と記す)を得た。
試料の分解:
精製試料を精秤した後、96%硫酸(原子吸光分析用)5mL、60%硝酸(原子吸光分析用)3mLを加え、マイクロ波分解装置(マイルストーンゼネラル社製 ETHOS−1)を用いて精製試料を酸分解した。酸分解後、純水にて50mLにメスアップしてICP分析用の試料とした。
ケイ素原子量の測定:
上記方法により調整したサンプルを用いて、誘導結合プラズマ発光分析装置(Thermo Fisher Scientific社製 iCAP 7400 Duo)を用いて精製試料中のケイ素量を測定した。
ICP用ケイ素標準液(アジレント社製)を用いて検量線を作成して、精製試料中のケイ素量を定量した。
(物性4)硫黄原子含有量
試料の精製:
前記変性共役ジエン系重合体、及び前記カップリング共役ジエン系重合体を試料として、試料をトルエンに溶解後、エタノールとアセトンを容積比7対3で混合した貧溶媒を、試料のトルエン溶液に加え、ポリマーを析出させ、試料中に含まれるゴム用軟化剤、安定剤を取り除いた。
さらに回収したポリマーを再度トルエンに溶解後、前記の貧溶媒を加えポリマーを析出させた。
この操作を5回行った後、40℃に調節した真空乾燥機で5時間乾燥して、完全に試料中に含まれるゴム用軟化剤、安定剤を除いた精製試料(以下、精製試料と記す)を得た。
硫黄原子量の測定:
微量硫黄分析装置(三菱ケミカルアナリテック社製 TS−2100H)を用いて、酸化分解−紫外蛍光法により、精製試料中の硫黄量を測定した。
ジブチルジスルフィドのトルエン溶液を用いて検量線を作成して、精製試料中の硫黄量を定量した。
(物性5)分子量
測定条件1 :
変性前の共役ジエン系重合体、変性共役ジエン系重合体、及びカップリング共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」)を使用して、RI検出器(東ソー社製の商品名「HLC8020」)を用いてクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用して得られる検量線に基づいて、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)とを求めた。
溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHF(テトラヒドロフラン)を使用した。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用した。
測定用の試料10mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液10μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で測定した。
上記の測定条件1で測定した各種試料の中で、分子量分布(Mw/Mn)の値が1.6未満であった試料は、改めて下記の測定条件2により測定した。
測定条件1で測定し、その分子量分布の値が1.6以上であった試料に対しては、測定条件1で測定した。
測定条件2 :
変性前の共役ジエン系重合体、前記変性共役ジエン系重合体、及び前記カップリング共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置を使用して、クロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用した検量線に基づいて重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とを求めた。
溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを使用した。カラムは、ガードカラム:東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperH−H」、カラム:東ソー社製の商品名「TSKgel SuperH5000」、「TSKgel SuperH6000」、「TSKgel SuperH7000」を使用した。
オーブン温度40℃、THF流量0.6mL/分の条件で、RI検出器(東ソー社製の商品名「HLC8020」)を用いた。測定用の試料10mgを20mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液20μLをGPC測定装置に注入して測定した。
測定条件1で測定し、その分子量分布の値が1.6未満であった試料に対しては、測定条件2で測定した。
(物性6)結合スチレン量
ゴム用軟化剤を含まない変性共役ジエン系重合体、及びカップリング共役ジエン系重合体を試料として、試料100mgを、クロロホルムで100mLにメスアップし、溶解して測定サンプルとした。
スチレンのフェニル基による紫外線吸収波長(254nm付近)の吸収量により、試料である変性共役ジエン系重合体、又はカップリング共役ジエン系重合体100質量%に対しての結合スチレン量(質量%)を測定した(測定装置:島津製作所社製の分光光度計「UV−2450」)。
(物性7)ブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量)
ゴム用軟化剤を含まない変性共役ジエン系重合体、及びカップリング共役ジエン系重合体を試料として、試料50mgを、10mLの二硫化炭素に溶解して測定サンプルとした。
溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600〜1000cm-1の範囲で測定して、所定の波数における吸光度によりハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry 21,923(1949)に記載の方法)の計算式に従い、ブタジエン部分のミクロ構造、すなわち、1,2−ビニル結合量(mol%)を求めた(測定装置:日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計「FT−IR230」)。
〔分岐化共役ジエン系重合体〕
(実施例2−1)変性共役ジエン系重合体(試料2−1)
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口、頂部に出口を有し、攪拌機付槽型反応器である攪拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器として2基連結した。
予め水分除去した、1,3−ブタジエンを18.6g/分、スチレンを10.0g/分、n−ヘキサンを175.2g/分の条件で混合し、混合溶液を得た。この混合溶液を反応基の入口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理用のn−ブチルリチウムを0.103mmol/分で添加、混合した後、反応基の底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.081mmol/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.143mmol/分の速度で、攪拌機で激しく混合する1基目反応器の底部へ供給し、反応器内温を67℃に保持した。
1基目反応器頂部より重合体溶液を連続的に抜き出し、2基目反応器の底部に連続的に供給し70℃で反応を継続し、さらに2基目の頂部よりスタティックミキサーへ供給した。重合が十分に安定したところで、2基目の反応基の底部より、分岐化剤としてトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−1」と略す。)を0.0191mmol/分の速度で添加し、さらに重合反応と分岐化反応が安定したところで、変性剤添加前の共役ジエン系重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、110℃のムーニー粘度及び各種の分子量を測定した。物性を表15に示す。
次に、反応器の出口より流出した重合体溶液に、変性剤として、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシラン(表中、「T−1」と略す。)を0.073mmol/分の速度で連続的に添加し、スタティックミキサーを用いて混合し、変性反応した。このとき、反応器の出口より流出した重合溶液に変性剤が添加されるまでの時間は4.8分、温度は68℃であり、重合工程における温度と、変性剤を添加するまでの温度との差は2℃であった。変性反応した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように0.055g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、変性反応を終了した。酸化防止剤と同時に、ゴム用軟化剤として重合体100gに対してSRAEオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)が25.0gとなるように連続的に添加し、スタティックミキサーで混合した。スチームストリッピングにより溶媒を除去して、変性共役ジエン系重合体(試料2−1)を得た。試料2−1の物性を表15に示す。
(実施例2−2)変性共役ジエン系重合体(試料2−2)
変性剤をS−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシランから、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(表中、「T−2」と略す。)に変え、その添加量を0.145mmol/分に変えた以外は、実施例2−1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料2−2)を得た。試料2−2の物性を表15に示す。
(実施例2−3)カップリング共役ジエン系重合体(試料2−3)
変性剤を添加する前段で、カップリング剤として四塩化スズを、0.011mmol/分の速度で連続的に添加し、スタティックミキサーを用いて混合し、カップリング反応を行った。
その後、変性剤としてS−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシラン(表中、「T−1」と略す。)を、0.045mmol/分の速度で連続的に添加し、後段のスタティックミキサーを用いて混合し、変性反応を行った以外は、実施例2−1と同様にして、カップリング共役ジエン系重合体(試料2−3)を得た。試料2−3の物性を表15に示す。
(実施例2−4)カップリング共役ジエン系重合体(試料2−4)
変性剤を添加する前段で、カップリング剤として四塩化スズを、0.011mmol/分の速度で連続的に添加し、スタティックミキサーを用いて混合し、カップリング反応を行った。
その後、変性剤をS−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシランから、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(表中、「T−2」と略す。)に変え、その添加量を0.099mmol/分に変えて連続的に添加し、後段のスタティックミキサーを用いて混合し、変性反応を行った以外は、実施例2−1と同様にして、カップリング共役ジエン系重合体(試料2−4)を得た。試料2−4の物性を表15に示す。
(実施例2−5)変性共役ジエン系重合体(試料2−5)
1,3−ブタジエンの添加速度を18.6g/分から24.3g/分、スチレンの添加速度を10.0g/分、から4.3g/分に変え、更に、極性物質の2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンの添加量を0.081mmol/分から0.022mmol/分に変え、二基目反応器の温度を80℃とした。このときの、重合工程における温度と、変性剤を添加するまでの温度との差は3℃であり、変性剤を添加した温度は77℃であった。それ以外は、実施例2−1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料2−5)を得た。試料2−5の物性を表15に示す。
(実施例2−6)変性共役ジエン系重合体(試料2−6)
1,3−ブタジエンの添加速度を18.6g/分から17.2g/分、スチレンの添加速度を10.0g/分から11.4g/分に変え、更に、極性物質の2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンの添加量を0.081mmol/分から0.283mmol/分に変え、二基目反応器の温度を65℃とした。このときの、重合工程における温度と、変性剤を添加するまでの温度との差は2℃であり、変性剤を添加した温度は63℃であった。それ以外は、実施例2−1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料2−6)を得た。試料2−6の物性を表15に示す。
(実施例2−7)変性共役ジエン系重合体(試料2−7)
重合開始剤であるn−ブチルリチウムの添加量を0.143mmol/分から0.101mmol/分に変え、極性物質の2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンの添加量を0.081mmol/分から0.059mmol/分に変えた以外は、実施例2−1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料2−7)を得た。試料2−7の物性を表15に示す。
(実施例2−8)変性共役ジエン系重合体(試料2−8)
重合開始剤であるn−ブチルリチウムの添加量を0.143mmol/分から0.152mmol/分に変え、極性物質の2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンの添加量を0.081mmol/分から0.086mmol/分に変えた以外は、実施例2−1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料2−8)を得た。試料2−8の物性を表15に示す。
(実施例2−9)変性共役ジエン系重合体(試料2−9)
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランからジメチルメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−2」と略す)に変え、その添加量を0.0383mmol/分に変えた以外は、実施例2−1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料2−9)を得た。試料2−9の物性を表15に示す。
(実施例2−10)変性共役ジエン系重合体(試料2−10)
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランからジメチルメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−2」と略す)に変え、その添加量を0.0383mmol/分に変え、変性剤をS−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシランからS−トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(表中、「T−2」と略す。)に変え、その添加量を0.145mmol/分に変えた以外は、実施例2−1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料2−10)を得た。試料2−10の物性を表15に示す。
(実施例2−11)変性共役ジエン系重合体(試料2−11)
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランから1,1−ビス(4−(ジメチルメトキシシリル)フェニル)エチレン(表中、「BS−3」と略す)に変え、その添加量を0.0255mmol/分に変えた以外は、実施例2−1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料2−11)を得た。試料2−11の物性を表16に示す。
(実施例2−12)変性共役ジエン系重合体(試料2−12)
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランから1,1−ビス(4−(ジメチルメトキシシリル)フェニル)エチレン(表中、「BS−3」と略す)に変え、その添加量を0.0255mmol/分に変え、変性剤をS−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシランからS−トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(表中、「T−2」と略す。)に変え、その添加量を0.145mmol/分に変えた以外は、実施例2−1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料2−12)を得た。試料2−12の物性を表16に示す。
(実施例2−13)変性共役ジエン系重合体(試料2−13)
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランから1,1−ビス(4−トリメトキシシリルフェニル)エチレン(表中、「BS−4」と略す)に変え、その添加量を0.0109mmol/分に変えた以外は、実施例2−1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料2−13)を得た。試料2−13の物性を表16に示す。
(実施例2−14)変性共役ジエン系重合体(試料2―14)
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランから1,1−ビス(4−トリメトキシシリルフェニル)エチレン(表中、「BS−4」と略す)に変え、その添加量を0.0109mmol/分に変え、変性剤をS−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシランからS−トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(表中、「T−2」と略す。)に変え、その添加量を0.145mmol/分に変えた以外は、実施例2−1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料2−14)を得た。試料2−14の物性を表16に示す。
(実施例2−15)変性共役ジエン系重合体(試料2−15)
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランからトリクロロ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−5」と略す)に変えた以外は、実施例2−1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料2−15)を得た。試料2−15の物性を表16に示す。
(実施例2−16)変性共役ジエン系重合体(試料2−16)
分岐化剤をトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シランからトリクロロ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−5」と略す)に変え、変性剤をS−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシランからS−トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(表中、「T−2」と略す。)に変え、その添加量を0.145mmol/分に変えた以外は、実施例2−1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料2−16)を得た。試料2−16の物性を表16に示す。
(実施例2−17)変性共役ジエン系重合体(試料2−17)
ゴム用軟化剤のSRAEオイルを添加しなかったこと以外は、実施例2−1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料2−17)を得た。試料2−17の物性を表16に示す。
(実施例2−18)変性共役ジエン系重合体(試料2−18)
ゴム用軟化剤として添加したSRAEオイルの添加量を重合体100gに対して、25.0gから37.5gに変更した以外は、実施例2−1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料2−18)を得た。試料2−18の物性を表16に示す。
(実施例2−19)変性共役ジエン系重合体(試料2−19)
ゴム用軟化剤として添加したSRAEオイルに替えて、ナフテンオイル(Nynas社製 ナフテンオイル Nytex810)に変更した以外は、実施例2−1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料2−19)を得た。試料2−19の物性を表16に示す。
(実施例2−20)変性共役ジエン系重合体(試料2−20)
ゴム用軟化剤として添加したSRAEオイルに替えて、液状ゴム(クラレ社製 液状ポリブタジエン LBR−302)に変更した以外は、実施例2−1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料2−20)を得た。試料2−20の物性を表16に示す。
(実施例2−21)変性共役ジエン系重合体(試料2−21)
ゴム用軟化剤として添加したSRAEオイルに替えて、レジン(ヤスハラケミカル社製 テルペン樹脂 YSレジンPX1250)に変更した以外は、実施例2−1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料2−21)を得た。試料2−21の物性を表16に示す。
(実施例2−22)カップリング共役ジエン系重合体(試料2−22)
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、攪拌機付槽型反応器である攪拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器として使用し、n−ヘキサン5000gと反応器内に存在する重合反応の妨げになり得る不純物の中和用としてn−ブチルリチウムを反応器に入れ70℃で5分撹拌した後、室温まで冷却して溶液を抜き出し、反応器内を空にした。
次に、予め不純物を除去した、n−ヘキサン5022g、スチレン286.2g、1,3−ブタジエン478.3g、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン1.83mmol、分岐化剤としてトリメトキシ(4−ビニルフェニル)シラン(表中、「BS−1」と略す。)0.546mmolを反応器に入れ、反応器の内温を40℃にコントロールした。反応器の内温が安定した後、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを4.402mmolを添加し、重合を開始した。
重合開始直後から、反応器内の温度は上昇していき、ピーク温度を迎え、その温度は76℃であった。ピーク温度に達した直後、1,3−ブタジエン53.1gを添加して5分間撹拌した後、ポリマー溶液を少量サンプリングして、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加し、真空乾燥により溶媒を除去して110℃のムーニー粘度及び各種の分子量を測定した。物性を表18に示す。
次に、カップリング剤として四塩化スズ0.314mmolを加え5分間撹拌した。さらに、変性剤としてS−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシラン(表中、「T−1」と略す。)1.286mmolを加え5分間撹拌した。
重合停止剤として、エタノール0.15mmolを加え、反応を停止させ、共役ジエン系重合体を得た。
得られた重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去して、カップリング共役ジエン系重合体(試料2−22)を得た。試料2−22の物性を表18に示す。
(実施例2−23)カップリング共役ジエン系重合体(試料2−23)
変性剤を、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシラン(表中、「T−1」と略す。)から、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(表中、「T−2」と略す。)に変え、その添加量を2.572mmolに変えた以外は、実施例2−22と同様にして、カップリング共役ジエン系重合体(試料2−23)を得た。試料2−23の物性を表18に示す。
〔カップリング又は変性共役ジエン系重合体〕
(比較例2−1)変性共役ジエン系重合体(試料2−24)
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口、頂部に出口を有し、攪拌機付槽型反応器である攪拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器として2基連結した。
予め水分除去した、1,3−ブタジエンを18.6g/分、スチレンを10.0g/分、n−ヘキサンを175.2g/分の条件で混合した。この混合溶液を反応基の入口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理用のn−ブチルリチウムを0.103mmol/分で添加、混合した後、反応基の底部に連続的に供給した。更に、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.081mmol/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.143mmol/分の速度で、攪拌機で激しく混合する1基目反応器の底部へ供給し、反応器内温を67℃に保持した。
1基目反応器頂部より重合体溶液を連続的に抜き出し、2基目反応器の底部に連続的に供給し70℃で反応を継続し、さらに2基目の頂部よりスタティックミキサーへ供給した。重合反応が安定したところで、変性剤添加前の共役ジエン系重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、110℃のムーニー粘度及び各種の分子量を測定した。物性を表17に示す。
次に、反応器の出口より流出した重合体溶液に、変性剤として、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシラン(表中、「T−1」と略す。)を0.073mmol/分の速度で連続的に添加し、スタティックミキサーを用いて混合し、変性反応した。このとき、反応器の出口より流出した重合溶液に変性剤が添加されるまでの時間は4.8分、温度は68℃であり、重合工程における温度と、変性剤を添加するまでの温度との差は2℃であった。変性反応した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように0.055g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、変性反応を終了した。酸化防止剤と同時に、ゴム用軟化剤として重合体100gに対してSRAEオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)が25.0gとなるように連続的に添加し、スタティックミキサーで混合した。スチームストリッピングにより溶媒を除去して、変性共役ジエン系重合体(試料2−24)を得た。試料2−24の物性を表17に示す。
(比較例2−2)変性共役ジエン系重合体(試料2−25)
変性剤をS−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシランから、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(表中、「T−2」と略す。)に変え、その添加量を0.145mmol/分に変えた以外は、比較例2−1と同様にして、変性共役ジエン系重合体(試料2−25)を得た。試料2−25の物性を表17に示す。
(比較例2−3)カップリング共役ジエン系重合体(試料2−26)
変性剤を添加する前段で、カップリング剤として四塩化スズを、0.011mmol/分の速度で連続的に添加し、スタティックミキサーを用いて混合し、カップリング反応を行った。その後、変性剤としてS−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシラン(表中、「T−1」と略す。)を、0.045mmol/分の速度で連続的に添加し、後段のスタティックミキサーを用いて混合し、変性反応を行った以外は、比較例2−1と同様にして、カップリング共役ジエン系重合体(試料2−26)を得た。試料2−26の物性を表17に示す。
(比較例2−4)カップリング共役ジエン系重合体(試料2−27)
変性剤を添加する前段で、カップリング剤として四塩化スズを、0.011mmol/分の速度で連続的に添加し、スタティックミキサーを用いて混合し、カップリング反応を行った。その後、変性剤をS−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシランから、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(表中、「T−2」と略す。)に変え、その添加量を0.099mmol/分に変えて連続的に添加し、後段のスタティックミキサーを用いて混合し、変性反応を行った以外は、比較例2−1と同様にして、カップリング共役ジエン系重合体(試料2−27)を得た。試料2−27の物性を表17に示す。
(比較例2−5)共役ジエン系重合体(試料2−28)
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、攪拌機付槽型反応器である攪拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器として使用し、n−ヘキサン5000gと反応器内に存在する重合反応の妨げになり得る不純物の中和用としてn−ブチルリチウムを反応器に入れ70℃で5分撹拌した後、室温まで冷却して溶液を抜き出し、反応器内を空にした。
次に、予め不純物を除去した、n−ヘキサン5022g、スチレン286.2g、1,3−ブタジエン478.3g、極性物質として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン1.83mmolを反応器に入れ、反応器の内温を40℃にコントロールした。反応器の内温が安定した後、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを4.402mmolを添加し、重合を開始した。
重合開始直後から、反応器内の温度は上昇していき、ピーク温度を迎え、その温度は76℃であった。ピーク温度に達した直後、1,3−ブタジエン53.1gを添加して5分間撹拌した後、ポリマー溶液を少量サンプリングして、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加し、真空乾燥により溶媒を除去して110℃のムーニー粘度及び各種の分子量を測定した。物性を表18に示す。
次に、カップリング剤として四塩化スズ0.314mmolを加え5分間撹拌した。さらに、変性剤としてS−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシラン1.286mmolを加え5分間撹拌した。
重合停止剤として、エタノール0.15mmolを加え、反応を停止させ、共役ジエン系重合体を得た。
得られた重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後、スチームストリッピングにより溶媒を除去して、共役ジエン系重合体(試料2−28)を得た。試料2−28の物性を表18に示す。
(比較例2−6)共役ジエン系重合体(試料2−29)
変性剤を、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルトリメトキシシラン(表中、「T−1」と略す。)から、S−トリメチルシリルメルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(表中、「T−2」と略す。)に変え、その添加量を2.572mmolに変えた以外は、比較例2−5と同様にして、共役ジエン系重合体(試料2−29)を得た。試料2−29の物性を表18に示す。
(実施例2−24〜2−46、及び比較例2−7〜2−12)
表15〜表18に示す試料2−1〜2−29を原料ゴムとして、以下に示す配合に従い、それぞれの原料ゴムを含有するゴム組成物を得た。
(ゴム成分)
・共役ジエン系重合体(試料2−1〜2−29)
:80質量部(ゴム用軟化剤抜き)
・ハイシスポリブタジエン(宇部興産社製の商品名「UBEPOL BR150」)
:20質量部
(配合条件)
各配合剤の添加量は、軟化剤を含まないゴム成分に対する質量部数で示した。
・シリカ1(エボニック デグサ社製の商品名「Ultrasil 7000GR」
窒素吸着比表面積170m2/g):50.0質量部
・シリカ2(ローディア社製の商品名「Zeosil Premium 200MP」
窒素吸着比表面積220m2/g):25.0質量部
・カーボンブラック(東海カーボン社製の商品名「シーストKH(N339)」)
:5.0質量部
・シランカップリング剤(エボニック デグサ社製の商品名「Si75」、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド):6.0質量部
・SRAEオイル(JX日鉱日石エネルギー社製の商品名「プロセスNC140」)
:30.0質量部
(予め、試料2−1〜2−29中に含まれるゴム用軟化剤として添加した量を含む)
・亜鉛華:2.5質量部
・ステアリン酸:1.0質量部
・老化防止剤(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン):2.0質量部
・硫黄:2.2質量部
・加硫促進剤1(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフィンアミド)
:1.7質量部
・加硫促進剤2(ジフェニルグアニジン):2.0質量部
・合計:239.4質量部
(混練り方法)
上記した材料を次の方法により混練してゴム組成物を得た。
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.3L)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数30〜50rpmの条件で、原料ゴム(試料1〜29)、充填剤(シリカ1、シリカ2、カーボンブラック)、シランカップリング剤、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸を混練した。このとき、密閉混合機の温度を制御し、排出温度は155〜160℃で各ゴム組成物(配合物)を得た。
次に、第二段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、シリカの分散を向上させるため再度混練した。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を155〜160℃に調整した。冷却後、第三段の混練として、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤1、2を加えて混練した。その後、成型し、160℃で20分間、加硫プレスにて加硫した。
加硫前のゴム組成物、及び加硫後のゴム組成物を評価した。
具体的には、下記の方法により評価した。
その結果を表19〜表22に示す。
(評価1)配合物ムーニー粘度
上記で得た第二段の混練後、かつ、第三段の混練前の配合物を試料として、ムーニー粘度計を使用し、ISO 289に準拠して、130℃、1分間の予熱を行った後に、ローターを毎分2回転で4分間回転させた後の粘度を測定した。
比較例2−7、2−11の結果を100として指数化した。指数が小さいほど加工性が良好であることを示す。
(評価2)引張強度及び引張伸び
JIS K6251の引張試験法に準拠し、引張強度及び引張伸びを測定し、比較例2−7、2−11の結果を100として指数化した。指数が大きいほど引張強度、引張伸びが良好であることを示す。
(評価3)耐摩耗性
アクロン摩耗試験機(安田精機製作所社製)を使用し、JIS K6264−2に準拠して、荷重44.4N、1000回転の摩耗量を測定し、比較例2−7、2−11の結果を100として指数化した。指数が大きいほど耐摩耗性が良好であることを示す。
(評価4)粘弾性パラメータ
レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機「ARES」を使用し、ねじりモードで粘弾性パラメータを測定した。測定値は、比較例2−7、2−11のゴム組成物に対する結果を100として指数化した。
50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定した弾性率(G’)を操縦安定性の指標とした。指数が大きいほど操縦安定性が良好であることを示す。
Figure 2021152135
Figure 2021152135
Figure 2021152135
Figure 2021152135
Figure 2021152135
Figure 2021152135
Figure 2021152135
Figure 2021152135
実施例2−24〜2−46は、比較例2−7〜2−12と比較して、加硫物とする際の配合物ムーニー粘度が低く良好な加工性を示し、加硫物としたときにおける破壊特性、耐摩耗性に優れ、さらに、操縦安定性が良好なことが確認された。
本発明に係る分岐化共役ジエン系重合体は、タイヤトレッド、自動車の内装及び外装品、防振ゴム、ベルト、履物、発泡体、各種工業用品用途等の分野において産業上の利用可能性がある。

Claims (14)

  1. アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を重合開始剤として用い、共役ジエン化合物、又は、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を、重合又は共重合することで、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得る重合工程と、
    前記共役ジエン系重合体の活性末端に、分岐化剤としてスチレン誘導体を反応させ分岐構造を導入する分岐化工程と、
    を有する、
    分岐化共役ジエン系重合体の製造方法。
  2. 前記分岐化工程時及び/又はその後で、共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物を反応系に追加する工程をさらに有する、
    請求項1に記載の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法。
  3. 前記分岐化工程で得られた共役ジエン系重合体の活性末端に、カップリング剤又は重合停止剤を反応させる反応工程を、
    さらに有する、
    請求項1又は2に記載の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法。
  4. 前記反応工程において、
    前記カップリング剤が下記式(3)で表されるシランスルフィド化合物である、請求項3に記載の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法。
    Figure 2021152135
    (式(3)中、Siはケイ素原子を表し、Oは酸素原子を表し、Sは硫黄原子を表す。
    xは1〜3の整数であり、yは0又は1〜2の整数であり、x+yは3である。
    1、R2、R4は同じであっても異なっていてもよく、炭素数1〜16のアルキル基を示し、R3は炭素数6〜16のアリール基、炭素数1〜16のアルキレン基、又は炭素数1〜16のアルキル鎖を示す。)
  5. 前記スチレン誘導体が、
    下記式(1)及び/又は下記式(2)で表される化合物である、
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載の分岐化共役ジエン系重合体の製造方法。
    Figure 2021152135
    Figure 2021152135
    (式(1)、(2)中、R1は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、及び炭素数6〜20のアリール基からなる群より選ばれるいずれかを示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
    1、X2、X3は、単結合、又は炭素、水素、窒素、硫黄、及び酸素からなる群より選ばれるいずれかを含有する有機基である。
    1、Y2、Y3は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれるいずれかを示す。それぞれ独立していて同一でもよいし、異なっていてもよい。)
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製造方法により分岐化共役ジエン系重合体を得る工程と、
    当該分岐化共役ジエン系重合体を10質量%以上含むゴム成分を得る工程と、
    前記ゴム成分100質量部に対して、充填剤を、
    5.0質量部以上150質量部以下、含有させ、ゴム組成物を得る工程と、
    を有する、ゴム組成物の製造方法。
  7. 請求項6に記載のゴム組成物の製造方法によりゴム組成物を得る工程と、
    当該ゴム組成物を成形し、タイヤを得る工程と、
    を有する、タイヤの製造方法。
  8. ポリマー鎖中に1つ以上の側鎖を有し、
    粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による分岐度(Bn)が1以上である、分岐化共役ジエン系重合体であって、
    当該分岐化共役ジエン系重合体中に、硫黄原子とケイ素原子を含有し、前記硫黄原子に対する前記ケイ素原子のモル比が1.05以上10未満であり、
    100℃で測定されるムーニー粘度が40以上170以下である、
    分岐化共役ジエン系重合体。
  9. 粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による分岐度(Bn)が、2以上25以下である、請求項8に記載の分岐化共役ジエン系重合体。
  10. 前記ポリマー鎖に、アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分を有し、
    当該アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分において、側鎖を有する、
    請求項8又は9に記載の分岐化共役ジエン系重合体。
  11. 前記アルコキシシリル基又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する部分が、
    下記式(4)又は(5)で表される化合物に基づく単量体単位であって、
    下記式(4)又は(5)で表される化合物に基づく単量体単位による高分子鎖の分岐点を有する、請求項10に記載の分岐化共役ジエン系重合体。
    Figure 2021152135
    Figure 2021152135
    (式(4)中、R1は水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
    2〜R3は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。
    複数存在する場合のR1〜R3は、各々独立している。
    1は、独立したハロゲン原子を表す。
    mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。)
    (式(5)中、R2〜R5は、各々独立して、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、その一部分に分岐構造を有していてもよい。複数存在する場合のR2〜R5は、各々独立している。
    2〜X3は、独立したハロゲン原子を表す。
    mは、0〜2の整数を示し、nは、0〜3の整数を示し、lは、0〜3の整数を示す。(m+n+l)は、3を示す。
    aは、0〜2の整数を示し、bは、0〜3の整数を示し、cは、0〜3の整数を示す。(a+b+c)は、3を示す。)
  12. 分岐化共役ジエン系重合体の少なくとも一端が、下記式(3)で表されるシランスルフィド化合物で変性されている、
    請求項8乃至11のいずれか一項に記載の分岐化共役ジエン系重合体。
    Figure 2021152135
    (式(3)中、Siはケイ素原子を表し、Oは酸素原子を表し、Sは硫黄原子を表す。
    xは1〜3の整数であり、yは0又は1〜2の整数であり、x+yは3である。
    1、R2、R4は同じであっても異なっていてもよく、炭素数1〜16のアルキル基を示し、R3は炭素数6〜16のアリール基、炭素数1〜16のアルキレン基、又は炭素数1〜16のアルキル鎖を示す。)
  13. ポリマー鎖中に1つ以上の側鎖を有し、粘度検出器付きGPC−光散乱法測定法による分岐度(Bn)が1以上である、分岐化共役ジエン系重合体であって、
    当該共役ジエン系重合体中に硫黄原子とケイ素原子を含有し、前記硫黄原子に対する前記ケイ素原子のモル比が1.05以上10未満であり、100℃で測定されるムーニー粘度が40以上170以下である分岐化共役ジエン系重合体を、10質量%以上100質量%未満含有する、
    分岐化共役ジエン系重合体組成物。
  14. 前記分岐化共役ジエン系重合体中に、
    ハロゲン化スズ、スズアルコキシド、ハロゲン化ケイ素、及びアルコキシシランからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物でカップリングされた分岐化共役ジエン系重合体を含む、
    請求項13に記載の分岐化共役ジエン系重合体組成物。
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WO2024034673A1 (ja) * 2022-08-12 2024-02-15 旭化成株式会社 共役ジエン系重合体、成形体、共役ジエン系重合体の製造方法、ゴム組成物、及びタイヤ

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