JP2021152000A - グルコース結合ホウ素薬剤 - Google Patents

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宏之 道上
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Abstract

【課題】メルカプトウンデカハイドロドデカボレート(BSH)の薬剤の大きな弱点である細胞膜通過能及び腫瘍特異性を改善し、DDSを使用しない、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に用いられる中性子捕捉療法剤に有用な糖結合ホウ素薬剤を提供する。【解決手段】一般式(I)[式中、Gは、糖の残基を示す。]で表される化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、糖結合ホウ素化合物、その製造方法及びその用途に関する。より詳細には、本発明は、メルカプトウンデカハイドロドデカボレート(BSH;ボロカプテイト)のチオール基を糖の残基と結合して、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に用いられる中性子捕捉療法剤に有用な糖結合ホウ素化合物、その製造方法及びその用途に関する。
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、がん患者にホウ素薬剤を投与して、がん腫瘍部にホウ素薬剤を集積させ、同部位に中性子を照射し、ホウ素と中性子により生じる反応によりがん細胞を殺傷するがん治療法である。がん細胞やがん組織特異的に取り込ませるホウ素薬剤はがん治療における化学療法的な性質を示し、がん細胞やがん組織に対する中性子照射は放射線治療の性質を示すことにより、化学療法と放射線治療の両方の性質を兼ね備えたがん粒子線治療法である。
既存の代表的なホウ素薬剤として、アミノ酸フェニルアラニンにホウ素原子1個が結合した、アミノ酸ホウ素薬剤BPA(p-boronophenylalanine)及び下記の構造式で表される、1分子内にホウ素12個含む20面体立体分子を有るホウ素薬剤BSHがBNCT臨床研究でこれまで使用されてきた。
Figure 2021152000
BPAは、水溶性が低いことに加えて、1分子内にホウ素が1個しかないため分子内ホウ素含有率が5%以下であり、臨床研究において大量のホウ素薬剤が必要であり(500 mgBPA/患者体重(kg))、アミノ酸輸送体低発現の腫瘍へは取り込みが低い。BSHは、長所として、高水溶性、1分子内の高いホウ素含有率、高い安全性を有するが、細胞内取り込み能が無く、腫瘍特異性が無い為、これまで脳腫瘍以外の臨床研究では用いられなかった。脳腫瘍では腫瘍部位での薬剤漏出を狙ったEPR 効果(Enhanced Permeability and Retention effect)により使用されてきたが、腫瘍細胞内への取り込み能が無く、腫瘍選択性が低いことより改良が望まれてきた。その解決方法としては、他の薬物送達システム(DDS:drug delivery system)との併用や腫瘍選択性の生理活性物質との結合や受容体などを介した細胞内取り込み能の獲得などが挙げられている(特許文献1〜5、非特許文献1)。
WO2018/097335 WO2017/175827 特開2018-016590 WO2012/018015 特開2010-183854
本発明の目的は、BSHの薬剤の大きな弱点である細胞膜通過能及び腫瘍特異性を改善し、DDSを使用しない、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に用いられる中性子捕捉療法剤に有用な糖結合ホウ素薬剤を提供することにある。
本発明者らは、鋭意な検討を行った結果、BSHのチオール基を糖の残基と結合した、糖結合ホウ素化合物が、優れた細胞内取り込み能及び腫瘍特異性を奏することを見出し、本発明を完成したものである。
即ち、本発明は、下記の事項に関するものである。
(1)
一般式(I)
Figure 2021152000
[式中、
Gは、糖の残基を示す。ただし、下記の式(i)
Figure 2021152000
及び式(ii)
Figure 2021152000
で表される化合物を除く。]で表される化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
(2)
前記糖が、単糖類、オリゴ糖、多糖類、アミノ基を含む単糖類、アミノ基を含むオリゴ糖、アミノ基を含む多糖類、またはこれらの誘導体である、(1)に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
(3)
糖は、ヘキソース、ヘキソサミン、またはこれらの誘導体を示す、(1)に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
(4)
糖は、グルコース、グルコサミン、またはこれらの誘導体を示す、(1)に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
(5)
一般式(II)
Figure 2021152000
[式中、
は、
(i)ヒドロキシ基、
(ii)置換されていてもよいC〜Cアルキルカルボニルオキシ基、C〜Cアルコキシカルボニルオキシ基、C〜Cアルコキシ基、またはC〜Cシクロアルキルオキシ基、
(iii)アミノ基、
(iv)置換されていてもよいモノ(C〜Cアルキル)アミノ基、ジ(C〜Cアルキル)アミノ基、C〜Cアルキルカルボニルアミノ基、N−(C〜Cアルキルカルボニル)−N−(C〜Cアルキル)アミノ基、C〜Cアルコキシカルボニルアミノ基、またはN−(C〜Cアルコキシカルボニル)−N−(C〜Cアルキル)アミノ基を示し、
、R及びRは、各々独立して水素原子、置換されていてもよいC〜Cアルキルカルボニル基、C〜Cアルコキシカルボニ基、C〜Cアルキル基、またはC〜Cシクロアルキル基を示す。]で表される、(1)に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
(6)
は、ヒドロキシ基、C〜Cアルキルカルボニルオキシ基、アミノ基、またはC〜Cアルキルカルボニルアミノ基を示し、
、R及びRは、各々独立して水素原子、またはC〜Cアルキルカルボニル基を示す、(5)に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
(7)
は、ヒドロキシ基またはアミノ基を示す、(5)に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
(8)
、R及びRは、水素原子を示す、(5)に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
(9)
は、ヒドロキシ基またはアミノ基を示し、
、R及びRは、水素原子を示す、(5)に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
(10)
一般式(III)で表される化合物をBSHと反応させる工程を含む、(5)に記載の一般式(II)で表される化合物の製造方法(式中、Xは、ハロゲン原子を示し、R、R、R及びRは、請求項5で定義した通りである。)。
Figure 2021152000
(11)
(1)〜(9)に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
(12)
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)によるがん治療用である、(11)に記載の医薬組成物。
(13)
(1)〜(9)に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩を活性成分として含有するがん治療用ホウ素中性子捕捉療法剤。
(14)
他のホウ素薬剤と併用することを特徴とする、(13)に記載のがん治療用ホウ素中性子捕捉療法剤。
(15)
がん患者に対し、(12)に記載の医薬組成物を投与し、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)による抗がん処置を含むがんの治療方法。
本発明の糖結合ホウ素化合物は、優れた細胞内取り込み能及び腫瘍特異性を奏するために新しい中性子捕捉療法剤として期待される。
ホウ素中性子捕捉療法は、ホウ素薬剤を出来るだけ特異的に腫瘍細胞に取り込ませ、中性子照射により、ホウ素と中性子の核反応を細胞内で起こし、腫瘍細胞を細胞レベルで殺傷する治療法である。現時点の臨床レベルで、使用可能な薬剤はホウ素アミノ酸誘導体BPAしかない。アミノ酸誘導体であるため、腫瘍細胞への選択的な導入は、アミノ酸輸送体(LAT-1)の発現に左右される。アミノ酸輸送体は、がん組織において正常組織よりも高いのが一般的であるが、腫瘍組織は様々な腫瘍細胞クローンの集合体であるため、アミノ酸をたくさん取り込む細胞もあれば、取り込みが低い細胞もある。現在BPAは臨床化が進んでいるが、1剤だけでBNCTを完結することは不可能である。本発明によれば、本発明の糖結合ホウ素化合物はグルコース輸送体を標的とするものであり、1剤のホウ素薬剤のみでは他の治療同様に治療抵抗性を持つ可能性は十分にある。治療抵抗性を解決するためには、多剤併用によるBNCTの新しい展開が期待される。
本発明は、グルコース輸送体を標的とした、新規ホウ素薬剤であり、BNCT治療に使用可能な新規抗がん剤、治療薬剤である。本発明は、従来のホウ素薬剤BPA と併用可能であり、またがん組織の遺伝子評価によるプレシジョンメディシンに対応可能な薬剤である。
本発明の糖結合ホウ素化合物は、一分子内のホウ素含有率が6〜7倍であるため、薬剤投与量の大幅な減量が期待できる。
本発明の糖結合ホウ素化合物は、遺伝子検査によりGLUT高発現の腫瘍への高集積が期待できる。
本発明によれば、薬物動態評価として糖代謝PET(18F-FDG-PET)を行うことにより、薬剤の適応をシミュレーションすることは可能である。
本発明の糖結合ホウ素化合物は、従来のホウ素薬剤BPAとの併用によりBNCT抵抗性腫瘍への効果が期待できる。
本発明の糖結合ホウ素化合物は、BPA−BNCTで効果のない症例に対する、新規のBNCT開発へつながる。
本発明の糖結合ホウ素化合物は、正常細胞内へ高度に浸潤した腫瘍細胞が増殖している腫瘍組織(正常細胞と腫瘍細胞が混在)において、腫瘍細胞内では嫌気性糖代謝が亢進しているため、本薬剤は腫瘍細胞に特異的に取り込まれる。
図1は、本発明の化合物の細胞増殖アッセイ及び細胞毒性アッセイを示す図である。 図2は、本発明の化合物の腫瘍細胞内の10B濃度測定結果を示す図である。 図3は、本発明の化合物のU87ΔEGFR細胞免疫染色の結果を示す図である。 図4は、周囲グルコース濃度変化による本発明の化合物の細胞内導入効果を示す図である。 図5は、周囲グルコース濃度変化による本発明の化合物のヒト悪性脳腫瘍細胞(U251MG, T98G)内導入効果を示す図である。 図6は、グルコース輸送体(GLUT)を介した本発明の化合物の細胞内導入効果を示す図である。 図7は、本発明の化合物の導入後の中性子照射による腫瘍細胞の殺細胞効果の評価結果を示す図である。 図8は、本発明の化合物の膵癌細胞内への取り込みの評価評価結果を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の化合物
本発明の一実施態様において、一般式(I)
Figure 2021152000
[式中、
Gは、糖の残基を示す。ただし、下記の式(i)
Figure 2021152000
及び式(ii)
Figure 2021152000
で表される化合物を除く。]で表される化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩を提供する。
式(i)及び式(ii)で表される化合物は、Journal of Organometallic Chemistry 798 (2015) 13-23に開示さているが、これらの化合物の用途が開示されていない。
一般式(I)におけるGは糖の残基(以下「糖残基」という。)を表す。糖残基とは糖が有する炭素原子に結合した水酸基を1個除いた残基を表し、糖のヘミアセタール性(アノマー性)の水酸基を除いた残基が好ましい。
Gの糖としては、特に制限されないが、例えば、アルドペントース(リボース、アラビ ノース、キシロース及びリキソース等)、アルドヘキソース(アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース及びタロース等)、アルドヘプトース、ケトペントース(リブロース及びキシルロース等)、ケトヘキソース(プシコース、フルクトース、ソルボース及びタガトース等)、ケトヘプトース(セドヘプツロース及びコリオース等)、並びに、アミノ基を有するこれらの誘導体等の単糖類;ショ糖、マルトース、ラクトース、マルトトリオース、ラフィノース及びマルトテトラオース等のオリゴ糖、並びにアミノ基を有するこれらの誘導体;デンプン、アミロース及びグリコーゲン等の多糖類、並びにアミノ基を有するこれらの誘導体等が挙げられる。なかでも、単糖類が好ましく、ヘキソースまたはヘキソサミンがより好ましく、ヘキソースがさらに好ましく、グルコースが特に好ましい。単糖類は、D体であってもよく、L体であってもよいが、D体が好ましい。
なお、本明細書において、オリゴ糖とは2〜9個の単糖単位を含む化合物を意味し、多糖類とは10個以上の単糖単位を含む化合物を意味する。グリコシド結合する単糖同士は、同じでもよく、異なっていてもよい。また、単糖同士のグリコシド結合は、α−結合であっても、β−結合であってもよい。
ヘキソースとしては、具体的には、グルコース、ガラクトース、マンノース、アロース、アルトロース、グロース、イドース及びタロースが挙げられる。なかでも、グルコースが好ましい。
ヘキソサミンとしては、具体的には、グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミン、 ダウノサミン及びペロサミンが挙げられ、これらのうち、グルコサミンが最も好ましい。
本発明の一般式(I)
Figure 2021152000
で表される化合物の一例としては、一般式(II)
Figure 2021152000
[式中、
は、
(i)ヒドロキシ基、
(ii)置換されていてもよいC〜Cアルキルカルボニルオキシ基、C〜Cアルコキシカルボニルオキシ基、C〜Cアルコキシ基、またはC〜Cシクロアルキルオキシ基、
(iii)アミノ基、
(iv)置換されていてもよいモノ(C〜Cアルキル)アミノ基、ジ(C〜Cアルキル)アミノ基、C〜Cアルキルカルボニルアミノ基、N−(C〜Cアルキルカルボニル)−N−(C〜Cアルキル)アミノ基、C〜Cアルコキシカルボニルアミノ基、またはN−(C〜Cアルコキシカルボニル)−N−(C〜Cアルキル)アミノ基を示し、
、R及びRは、各々独立して水素原子、置換されていてもよいC〜Cアルキルカルボニル基、C〜Cアルコキシカルボニ基、C〜Cアルキル基、またはC〜Cシクロアルキル基を示す。]で表される、化合物が挙げられる。
一般式[II]で表される化合物の好ましい例としては、
(i)Rは、ヒドロキシ基、C〜Cアルキルカルボニルオキシ基、アミノ基、またはC〜Cアルキルカルボニルアミノ基を示し、
、R及びRは、各々独立して水素原子またはC〜Cアルキルカルボニル基を示す、化合物、
(ii)Rは、ヒドロキシ基またはアミノ基を示し、
、R及びRは、水素原子を示す、化合物、
(iii)Rは、ヒドロキシ基又はアミノ基を示し、
、R及びRは、水素原子を示す、化合物が挙げられる。
〜Cアルキル基とは、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する。
〜Cアルキル基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等を含むが、これらに限定されるものではない。
〜Cアルキルカルボニル基とは、(C〜Cアルキル)−C(=O)−基を意味する(ここで、C〜Cアルキル基部分は上記の定義と同じ意味を有する。)。
〜Cアルキルカルボニル基の例は、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基等を含むが、これらに限定されるものではない。
〜Cアルコキシカルボニル基とは、(C〜Cアルキル)−O−C(=O)−基を意味する(ここで、C〜Cアルキル基部分は上記の定義と同じ意味を有する。)。
〜Cアルコキシカルボニル基の例は、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等を含むが、これらに限定されるものではない。
〜Cシクロアルキル基とは、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキ
〜Cシクロアルキル基の具体例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等を含むが、これらに限定されるものではない。
〜Cシクロアルキルオキシ基の具体例は、シクロプロピルオキシ基、シクロブチル基オキシ、シクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基等を含むが、これらに限定されるものではない。
モノ(C〜Cアルキル)アミノ基とは、特に限定しない限り、アルキル部分が上記の意味である(C〜Cアルキル)−NH−基を示し、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ又はn−プロピルアミノ等の基を挙げることができる。
ジ(C〜Cアルキル)アミノ基とは、特に限定しない限り、アルキル部分が上記の意味である(C〜Cアルキル)−N−基を示し、2個のアルキル基は互いに異なっていてもよく、例えば、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、またはメチル−n−プロピルアミノ等の基を挙げることができる。
〜Cアルキルカルボニルアミノ基とは、特に限定しない限り、アルキル部分が上記の意味である(C〜Cアルキル)−C(=O)−NH−基を示し、例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチリルアミノ、またはイソブチリルアミノ等の基を挙げることができる。
N−(C〜Cアルキルカルボニル)−N−(C〜Cアルキル)アミノ基とは、特に限定しない限り、アミノ基の2つの水素原子がそれぞれ(C〜Cアルキル)−C(=O)−基及び(C〜Cアルキル)−基で置換された基を示し、例えば、N−メチルアセチルアミノ、N−メチルプロピオニルアミノ、N−メチルブチリルアミノ、またはN−メチルイソブチリルアミノ等の基を挙げることができる。
〜Cアルコキシカルボニルアミノ基とは、特に限定しない限り、アルコキシ部分が上記の意味である(C〜Cアルコキシ)−C(=O)−NH−基を示し、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、n−プロポキシカルボニルアミノ、またはイソプロポキシカルボニルアミノ等の基を挙げることができる。
N−(C〜Cアルコキシカルボニル)−N−(C〜Cアルキル)アミノ基とは、特に限定しない限り、アミノ基の2つの水素原子がそれぞれ(C〜Cアルコキシ)−C(=O)−基及び(C〜Cアルキル)−基で置換された基を示し、例えば、メトキシカルボニル−(N−メチル)−アミノ、エトキシカルボニル−(N−メチル)−アミノ、n−プロポキシカルボニル−(N−メチル)−アミノ、またはイソプロポキシカルボニル−(N−メチル)−アミノ等の基を挙げることができる。
本発明で使用する前記糖は遊離形態であってもよく、塩の形態であってもよく、溶媒和物の形態であってもよく、または修飾もしくは誘導体化されていてもよい。
本発明で用いたBSHは、分子内にホウ素原子を12個含む結晶体である。
BSHは公知の化合物である。BSHは遊離形態であってもよく、塩の形態であってもよい。BSHの塩としては、ナトリウム塩、アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩等が挙げられるが、これらに限定されものではない。
本明細書に記載の化合物は不斉中心を含んでいてもよく、したがって鏡像異性体として存在してもよい。本明細書に記載の化合物が2つ以上の不斉中心を有する場合、それらはさらにジアステレオマーとして存在してもよい。鏡像異性体およびジアステレオマーはより広いクラスの立体異性体に入る。実質的に純粋な分割された鏡像異性体、そのラセミ混合物、ならびにジアステレオマーの混合物などの、すべての可能な立体異性体は、含まれることが意図される。本明細書において開示する化合物のすべての立体異性体および/またはその薬学的に許容される塩は、含まれることが意図される。特に記載がないかぎり、1つの異性体への言及は任意の可能な異性体に適用される。異性体組成が明記されていない場合はいつも、すべての可能な異性体が含まれる。
本発明の化合物の薬学的に許容される塩としては、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩及びカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例えば、マグネシウム塩及びカルシウム塩等)、アンモニウム塩、モノ−、ジ−またはトリ−低級(アルキルまたはヒドロキシアルキル)アンモニウム塩(例えば、エタノールアンモニウム塩、ジエタノールアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、トロメタミン塩)、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝 酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、メシチレンスルホン酸塩及びナフタレンスルホン酸塩等が挙げられる。また、塩は、無水物、または溶媒和物であってもよく、溶媒和物としては、水和物、メタノール和物、エタノール和物、プロパノール和物及び2−プロパノール和物等が挙げられる。
本発明の化合物の製造方法
本発明の一実施態様において、一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物の製造方法を提供する。
一般式(I)で表される化合物の製造方法としては、例えば、G-Xで表される化合物を塩基の存在下でBSHと反応させることにより一般式(I)で表される化合物を製造することができる(式中、Gは糖の残基を示し、Xは脱離基を示す。)。
Figure 2021152000
一般式(II)で表される化合物の製造方法としては、例えば、一般式(III)で表される化合物を塩基の存在下でBSHと反応させることにより一般式(II)で表される化合物を製造することができる(式中、Xは、脱離基を示し、R、R、R及びRは、前記で定義した通りである。)。
Figure 2021152000
一般式(III)におけるXは脱離基である。一般式(III)におけるXは、上記の反応において脱離基として機能する限りは、いずれの原子または原子団でもよい。一般式(III)におけるXの脱離基の例は、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、C〜Cアルキルスルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基等)、C〜Cハロアルキルスルホニルオキシ基(例えば、ジフルオロメタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基等)、C〜Cアルキル基、またはハロゲン原子を有していてもよいベンゼンスルホニルオキシ基(例えば、ベンゼンスルホニルオキシ基、4−メチルベンゼンスルホニルオキシ基、4−クロロベンゼンスルホニルオキシ基等)等を含むが、これらに限定されるものではない。
(一般式(III)で表される化合物の使用量)
一般式(III)で表される化合物の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、BSHに対して、通常は1当量以上、好ましくは1〜5当量、より好ましくは1〜3当量の範囲を例示できるが、使用量は当業者により適切に調整されることができる。
(塩基)
上記の反応は、塩基の存在下で行われる。反応が進行する限りは、塩基はいずれの塩基でもよい。上記の反応で使用できる塩基の例は、無機塩基及び有機塩基を含むが、これらに限定されるものではない。塩基は、単独でまたは任意の割合の2種以上の組み合わせで使用してもよい。塩基の形態は、反応が進行する限りは、いずれの形態でもよい。塩基の形態は、当業者により適切に選択されることができる。
上記の反応で使用できる無機塩基の例は、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等)、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、アルカリ土類金属炭酸塩(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等)、アルカリ金属炭酸水素塩(例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等)、アルカリ土類金属炭酸水素塩(例えば、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム等)、アルカリ金属水素化物(例えば、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等)等を含むが、これらに限定されるものではない。
上記の反応で使用できる有機塩基の例は、ピリジン類(例えば、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)−ピリジン、4−ピロリジノピリジン、2,6−ルチジン等)、キノリン類及びその異性体(例えば、キノリン、イソキノリン等)、3級アミン(例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等)、2級アミン(例えば、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン等)、1級アミン(例えば、ブチルアミン等)、芳香族アミン(例えば、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン等)、環状アミン(例えば、ピペリジン、モルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデカ−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)等)等を含むが、これらに限定されるものではない。
(塩基の使用量)
上記の反応における塩基の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、一般式(III)で表される化合物に対して、通常は1〜10当量、好ましくは1〜5当量、より好ましくは1〜2当量の範囲を例示することができる。
(溶媒)
上記の反応は、無溶媒で実施されてもよい。しかしながら、円滑な反応の進行、経済効率等の観点から、上記の反応では溶媒が使用されてもよい。上記の反応に使用される溶媒は、反応が進行する限りは、いずれの溶媒でもよい。
上記の反応に使用される溶媒の例は、アミド類、アルキル尿素類、スルホキシド類、スルホン類、エーテル類、ケトン類、カルボン酸エステル類、ニトリル類、芳香族炭化水素誘導体類、脂肪族炭化水素類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類、水及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。
上記の反応に使用される溶媒の好ましい例は、アミド類、アルキル尿素類、スルホキシド類、スルホン類、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせ、より好ましくはアミド類、アルキル尿素類、ケトン類、ニトリル類、芳香族炭化水素誘導体類、ハロゲン化脂肪族炭化水素類及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含む。
上記の反応に使用される溶媒の好ましい具体例は、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、ジメチルスルホン、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジグリム(diglyme)、アセトン、エチルメチルケトン、イソプロピルメチルケトン、イソブチルメチルケトン(MIBK)、アセトニトリル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジクロロメタン及び任意の割合のそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。しかしながら、溶媒は当業者により適切に選択されることができる。
(溶媒の使用量)
上記の反応に使用される溶媒の使用量は、反応が進行する限りは、いずれの量でもよい。反応効率及び操作の容易さ等の観点から、一般式(III)で表される化合物1モルに対して、通常0(ゼロ)〜10L(リットル)、好ましくは0.01〜10L、より好ましくは0.1〜5Lの範囲を例示することができるが、使用量は、当業者により適切に調整されることができる。2種以上の溶媒の組み合わせを用いるときは、2種以上の溶媒の割合は、反応が進行する限りは、いずれの割合でもよい。
(反応温度)
反応温度は、特に制限されない。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、より具体的には、例えば、反応速度と生成物の安定性等の観点から、通常は−20(マイナス20)〜150℃、より好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは20〜80℃の範囲を例示することができるが、反応温度は当業者により適切に調整されることができる。
(反応時間)
反応時間は、特に制限されない。収率、副生成物抑制、経済効率等の観点から、0.5時間〜48時間、好ましくは1時間〜24時間の範囲を例示できるが、反応時間は当業者により適切に調整されることができる。
上記の製造方法において、保護基で水酸基がブロックされている糖の残基Gを使用した場合には、次いで、アルカリ処理等により、保護基を脱離除去する。保護基がアシル基の場合には、アルカリ溶液を加えて加水分解すればよい。例えば、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、またはこれらの混合溶媒中、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウ ムエトキシド及びカリウム−t−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシドのようなアルカリを用いて保護された化合物を処理することにより、保護基を除去する。保護基がアラルキル基の場合には、パラジウム触媒を使った水素添加により除去することができる。糖残基Gの水酸基を脱保護すると、細胞内への本発明の化合物の移行がより促進され、細胞毒性により優れる。
上記の反応で得られる最終生成物一般式(I)または一般式(II)で表される化合物は、濃縮、溶媒抽出、分溜、結晶化、再結晶及びクロマトグラフィー等の公知の手段によって反応混合物から単離、精製できる。
本発明の医薬組成物と用途
本発明の一実施態様において、一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物または有効成分として含有する医薬組成物及びがん治療用ホウ素中性子捕捉療法剤を提供する。
本発明の化合物または薬学的に許容される塩をそのままBNCTのための薬剤として用いてもよく、あるいは医薬上許容される担体または賦形剤を用いて、当業者に公知の方法にて様々な剤形に処方してもよい。使用する担体または賦形剤は当業者に公知であり、適宜選択することができる。本発明の薬剤は、当業者に公知の手段・方法を用い製造することができる。例えば、注射剤や輸液剤を製造する場合は、生理食塩水やリン酸緩衝生理食塩水などの医薬上許容される担体を用いることができる。本発明の薬剤の調製に際し、増粘剤、吸収促進剤、pH調整剤、保存剤、分散剤、湿潤剤、安定剤、防腐剤、懸濁剤、界面活性剤等の医薬上許容される添加剤を用いてもよい。
本発明の薬剤の剤形は特に限定されず、治療すべき癌の部位、大きさ、種類、患者の状態等に応じて適宜選択することができる。本発明の薬剤は液状、半固形、固形のいずれであってもよい。本発明の薬剤の剤形の例としては、注射剤、輸液剤、点鼻剤、点眼剤、ローション剤、スプレー剤、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤、座剤、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、シロップ剤、エアロゾール剤、経皮剤、経粘膜剤、吸入剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。あるいは本発明の薬剤は、投与時に生理食塩水やリン酸緩衝生理食塩水などの医薬上許容される担体に懸濁される凍結乾燥品の形態であってもよい。
本発明の薬剤の投与経路も特に限定されず、治療すべき癌の部位、大きさ、種類、患者の状態等に応じて適宜選択することができる。本発明の薬剤の投与経路の例としては、皮下注射、皮内注射、静脈注射、点滴、経口投与、経粘膜投与、経腸投与、点眼、点鼻、点耳、吸入、経皮投与、腫瘍内投与を含む局所投与、脳室内投与などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の薬剤の用量は、治療すべき癌の種類、部位、大きさ、種類、患者の状態等応じて医師が適宜用量を決定することができる。
本発明の薬剤を患者に投与し、本発明の薬剤が治療すべき部位に到達するに十分な時間が経過した後、中性子を照射する。中性子の照射に際し、原子炉または加速器型中性子発生装置を用い、中性子線量と中性子スペクトル、照射時間等、治療に必要な諸条件を決定する。
本発明の薬剤の投与及び中性子照射を1回ないし複数回行うことができる。上記の回数は、癌の部位や種類、癌の縮小程度、患者の状態等を考慮して、医師が定めうる。
本発明の一実施態様において、一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物または有効成分として含有するがん治療用ホウ素中性子捕捉療法剤を他のホウ素薬剤と併用することを特徴とする、がん治療用ホウ素中性子捕捉療法剤を提供する。その他のホウ素薬剤としては、p−ボロノフェニルアラニン(BPA)、その誘導体及びBSHの誘導体等(特許文献1〜5)が挙げられる。
以下に実施例を示して本発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、実施例は本発明の範囲を限定するものと解してはならない。
化合物cの合成
Figure 2021152000
2,3,4,6-Tetra-O-acetyl-α-D-glucopyranosyl bromide (化合物a)(0.10 g, 0.24 mmol)を超脱水アセトニトリル(15 mL)とトリエチルアミン(2.5 mL)に溶解し、BSH(0.15 g, 0.73 mmol)を加えた。80℃で24時間撹拌した後、溶媒を濃縮し、化合物bを褐色の粘性物質(0.10 g, 0.20 mmol)として得た。次に、これを超脱水メタノール(5 mL)に溶解し、ナトリウムメトキシド(0.02 g, 0.32 mmol)を加え、室温で3時間反応させた。その後、イオン交換水に浸しておいた陽イオン交換樹脂を一滴ずつ反応溶液に加え、中性にした後、吸引ろ過を行い、ろ液をエバポレーターで蒸発留去することで化合物cを透明な粘性物質(0.025 g, 0.068 mmol)として得た。

化合物bのH NMRは下記のとおりである。
Figure 2021152000

化合物cのH NMRは下記のとおりである。
Figure 2021152000

化合物cのMassは下記のとおりである。
Figure 2021152000
化合物fの合成
Figure 2021152000
1-2-Acetamido-2-deoxy-α-D-glucopryanosyl chloride 3,4,6-triacetate (化合物d)(0.50 g,1.37 mmol)を超脱水アセトニトリル(20 mL)とトリエチルアミン(5.5 mL)に溶解し、BSH (0.864 g, 4.11 mmol)を加えた。50℃で4時間撹拌した後、溶媒を濃縮して化合物eを褐色の粘性物質 (0.662 g, 1.23 mmol)として得た。次に、これを超脱水メタノール(5 mL)に溶解し、ナトリウムメトキシド(0.007 g, 0.14mmol)を加えた。室温で3時間反応させた。その後、イオン交換水に浸しておいた陽イオン交換樹脂を一滴ずつ反応溶液に加え、中性にした後、吸引ろ過を行い、ろ液をエバポレーターで蒸発留去することで化合物fを赤色の粘性物質(0.040 g, 0.068 mmol) として得た。

化合物eのH NMRは下記のとおりである。
Figure 2021152000

化合物eのMassは下記のとおりである。
Figure 2021152000
試験例
本発明では、化合物cと化合物f、これらの前駆体である化合物bと化合物eの計4種類のホウ素製剤を使用して実験を行った。
ヒト悪性脳腫瘍(膠芽腫)細胞U87ΔEGFRは、Webster Cavenee, Ph.D. (Department of Cellular & Molecular Medicine, University of California, San Diego, CA, USA)より無償提供頂き、U251MG及びT98Gは、ヒューマンサイエンス研究資源バンク(大阪)より購入した。10%(v/v)ウシ胎児血清 (GE Healthcare, Fairfield CA)、100μg/mLペニシリン-100μg/mLストレプトマイシン(和光純薬工業)を含むDulbecco’s Modified Eagle培地(D-MEM high glucose (4.5 g/L glucose),和光純薬工業)を用いて各細胞を直径10 cmのプラスチック培養皿(BD, Franklin Lakes, NJ) 中で、37℃、5%CO2下で培養した。また、実験に応じて培養液中のグルコース濃度をD-MEM low glucose(1 g/L glucose, 和光純薬工業)とD-MEM glucose free(0 g/L glucose, 和光純薬工業)を用いて調整した。
試験例1
細胞増殖アッセイ及び細胞毒性アッセイ
(Water-Soluble Tetrazolium : WST-1 assay)
各培養液中のグルコース濃度における細胞生存状態をWST-1アッセイで評価した。U87ΔEGFR を96 well プレート (BD)中でD-MEM high glucose (4.5 g/L glucose) を用いて24時間培養後(1×103 cells/100 μL/well)、培養液を各グルコース濃度(4.5, 2.25, 1, 0.5, 0.25, 0 (g/L))に交換し、それぞれ24時間、48時間及び72時間培養した。各時間後、Cell Proliferation Reagent WST-1(Roche, Basel) を10μL/well加え、37℃で2時間インキュベート後、マイクロプレートリーダー(Vient XS, DS ファーマバイオメディカル) で各サンプルの吸光度(450 nm, 690 nm)を測定した。なお、培養液中のグルコース濃度はD-MEM low glucose (1 g/L glucose) とD-MEM glucose free (0 g/L glucose)を用いて調整した。さらに、各薬剤における毒性もWST-1アッセイで評価した。U87ΔEGFRを96 wellプレート(BD)中で24時間培養後(1×103 cells/100μL /well)、各薬剤を25, 50μM分、コントロールとしてリン酸緩衝生理食塩水(PBS,和光純薬工業)を投与し、それぞれ24時間、48時間及び72時間培養した。各時間後、Cell Proliferation Reagent WST-1を10μL/well加え、37℃で2時間インキュベート後、マイクロプレートリーダーで各サンプルの吸光度 (450 nm, 690 nm)を測定した。各薬剤における細胞毒性をWST- 1 assayにより確認した。U87Δ EGFR 細胞に化合物bと化合物c、化合物eと化合物fを各濃度投与した。それぞれ24時間、48時間及び72時間後に吸光度(450 nm, 690 nm)を測定した。どの薬剤もPBSを投与したコントロールとの間に差は観察されず、細胞毒性を示さなかった(図1)。
試験例2
腫瘍細胞内の10B濃度測定(Inductively Coupled Plasma : ICP発光分光分析法)
各ヒト悪性脳腫瘍細胞を6 wellプレート(BD)中で24時間培養後
(10×104 cells/2 mL/well)、培養液に各濃度(10, 25μM)の薬剤を添加した。それぞれ投与12時間、24時間及び48時間後、培養液を除去し細胞をPBSで2回洗浄した。トリプシン(0.25% (w/v)トリプシン-1 mmol/L EDTA、和光純薬工業)を300μL/well 添加し、37℃で2分間培養後、PBSを700μL/well加え細胞を回収した。回収した細胞はホウ素濃度の測定のためにトリパンブルー(Invitrogen)を用いて染色後、自動セルカウンター(Countess(登録商標),Invitrogen)を用いて生細胞数をカウントした。細胞回収後、マイクロ冷却遠心機で遠心(2000 rpm、25℃、10分)を行い、上清を吸引後、61%(v/v)硝酸(HNO3, borondetermination grade,和光純薬工業)を300μL加え、室温で30分間vortex mixerを用いて振盪させることで完全に溶解させた。そこにMilli-Q水を700μL加え、100℃で2時間加熱処理することで得られたサンプルに含まれる10B量、すなわち、細胞内10B濃度を誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-AES, VISTA-PRO, セイコーインスツル)で測定した。ICP-AESにより測定したホウ素含有量及び細胞数測定の結果より、細胞内ホウ素(10B)濃度(ng/106 cell)に換算した。化合物bと化合物c、化合物eと化合物fを最終濃度10, 25μMになるようにU87ΔEGFR細胞に投与し、それぞれ12時間、24時間及び48時間培養後に細胞を回収、ICP-AES 分析装置で細胞内10B濃度を測定した。ネガティブコントロールとしてPBS、対照コントロールとして25μMのBSHを投与した。各薬剤投与群においてBSH単体投与群と比較して数十倍の高濃度細胞内10B濃度が観察され、特に25μMの化合物c(Glucose-BSHの脱アセチル保護)を投与後48時間培養することにより細胞内10B濃度はBSH単体投与群と比較しておよそ200倍にまで増加した。さらに、各薬剤投与群においては投与12時間後より、濃度依存的かつ経時的な細胞内10B濃度の増加が観察され、特に投与後12時間から24時間にかけてより大きな細胞内10B濃度の増加が観察された(図2)。
試験例3
U87ΔEGFR細胞免疫染色
U87ΔEGFRをポリ-L-リジンコートのカバーガラス(4912-040,IWAKI)上で24時間、24 wellプレート(BD)で培養後(1×104 cells/500 μL/well)、培養液に化合物cを25μM添加した。投与6, 12, 24 時間後にて、培養液を除去し細胞をPBSで5回洗浄、4% (w/v)パラホルムアルヒド(PFA,和光純薬工業)を添加し、室温で30分間細胞を固定した。細胞をPBSで洗浄後、0.25%(v/v)TritonX-100を加えた。PBSで3 回洗浄後、1%(w/v)BSAで1時間ブロッキングし、0.1%(v/v) BSAを含む抗BSH抗体溶液(2.5μg/mL)に室温で2時間反応させた(一次抗体反応)。PBSで5分ごとに洗浄後、0.1%(w/v)BSAを含むAlexa-Fluor 488を標識したロバ製抗マウス製抗体(Life Technologies, Carlsbad, CA)溶液(1μg/mL)に室温で1時間反応させた(二次抗体反応)。5分ごとに3回洗浄後、Hoechst 33258 (10μg/mL,同仁化学研究所)で30分間核染色を行った。PBSで洗浄後、プロロング(Invitrogen)で封入することで作製したプレパラートを、共焦点レーザー顕微鏡(LSM780, Zeiss)でBSHの細胞内局在を観察撮影した。次に、細胞内BSH局在を観察するため、最も高濃度な細胞内10B濃度が観察された化合物cを投与後、それぞれ6時間、12時間及び24時間にて細胞免疫染色を行った。投与12時間後では核を含めた細胞全体にBSH が強く観察され、24時間後ではBSHを示す緑の信号が細胞全体にさらに強く観察された(図3)。
試験例4
周囲グルコース濃度の変化による薬剤の細胞内導入効果の確認
ヒト悪性脳腫瘍細胞(U87ΔEGFR)に発現するGLUTを阻害するために、細胞を6wellプレート中で24時間培養後(10×104 cells/2 ml/well)、希釈したGLUT阻害薬WZB117(Sigma-Aldrich)を各濃度(0, 1, 5, 10 (μM))添加後、24時間培養した。各ヒト悪性脳腫瘍細胞(U87ΔEGFR、U251MG、T98G)をグルコース濃度4.5 (g/L) の培養液で24時間培養後、培養液中グルコース濃度1、2.25、4.5 (g/L)に交換した。12時間培養後、化合物bと化合物c、化合物eと化合物fを最終濃度10μM及び25μMになるように各ヒト悪性脳腫瘍細胞に投与し、24時間培養後に細胞を回収、ICP-AES分析装置で細胞内10B 濃度を測定した。ネガティブコントロールとしてPBS、対照コントロールとして25μMのBSHを投与した。各薬剤投与群においてBSH単体投与群と比較して数十倍から数百倍の高濃度細胞内10B濃度が観察された。さらに、各薬剤投与群において培養液中グルコース濃度を下げることにより細胞内10B濃度の増加が観察された(図4)。特に、化合物cの25μM投与群では培養液中グルコース濃度を4.5(g/L)から1 (g/L)に変化させることで5〜6倍もの細胞内10B濃度の増加が観察され、化合物fの25μM投与群では約3倍もの増加が観察された(図4A〜B)。
この取り込み効果の変化は、U87ΔEGFR細胞だけでなく、他のヒト悪性脳腫瘍細胞(U251MG, T98G)を用いても培養液中グルコース濃度を4.5(g/L)から1(g/L)に変化させることで数倍の細胞内10B 濃度の増加が同様に観察された(図5A〜D)。
試験例5
グルコース輸送体(GLUT)を介した薬剤の細胞内導入効果の確認
4.5 (g/L)培養液中グルコース濃度下のU87ΔEGFRにWZB117を1、5、10μM及びコントロール(DMSO)を投与して24時間培養後、化合物bと化合物c、化合物eと化合物fを最終濃度25μMになるように投与した。投与後24時間培養して細胞を回収、ICP-AES分析装置で細胞内10B濃度を測定したところ、何れの薬剤投与群でもWZB117投与濃度に依存的な細胞内10B 濃度の有意な阻害効果が観察された(図6A〜D)。グルコース及びグルコサミン付加ホウ素薬剤であるため、グルコース輸送体を介した細胞内取り込みが主な取り込み経路と仮説たて、検証を行った。細胞増殖に影響のない低濃度(10μM)のGLUT阻害薬WZB117にてほぼ完全な細胞導入効果の阻害結果が得られたため、本薬剤の主な取り込み経路として、グルコース輸送体(GLUT)経路が証明された。グルコースまたはグルコサミンに薬剤を結合しているため、糖としての認識がされるか不明であったが、本薬剤に関してはグルコース輸送体が主な細胞内導入経路であることが証明された(図7)。
試験例6
薬剤導入後の中性子照射による腫瘍細胞の殺細胞効果の評価
京都大学複合原子力研究所(大阪府泉南群熊取町)にて中性子照射24時間前に
Glucose-BSH(化合物c)を終濃度10μMまたは25μM、またはBSH25μMとなるようヒト悪性脳腫瘍細胞株U87ΔEGFRへ投与した。照射直前に培養液を除去し、細胞をPBSで2回洗浄した。トリプシン(0.25 w/v%トリプシン-1 mmol/l EDTA・4Na溶液、和光純薬工業)を添加し、37℃で1分インキュベートし、PBSを加え、細胞を回収した。チューブに細胞を封入し、原子炉にて1 MW中性子照射をそれぞれ5分、15分及び30分行った。ネガティブコントロールとして、ホウ素薬剤なしの中性子照射群を作製し、同時に実験を行った。照射後、再度細胞を回収し、コロニーフォーメーションアッセイ(CFA)を行い、照射後14日後にトリパンブルー染色を行い、コロニー数をカウントし、殺細胞効果を評価した。ホウ素薬剤なしのコントロール群及び従来のホウ素薬剤BSH群では、中性子照射時間に従い軽度の細胞増殖抑制効果を認めたが、化合物cの10μM群及び25μM群では、照射時間及び投与濃度に比例した殺細胞効果を示した。これにより、化合物cの細胞内導入により細胞内へ取り込まれたホウ素薬剤に対しての中性子照射の反応が、ホウ素中性子捕捉反応を起こし、更に殺細胞効果をもたらしたと結論付けた。
試験例7
Glucose-BSH(化合物c)のヒト膵癌細胞内への取り込みの評価
ヒト膵癌細株は、S2-028(東北大学加齢医学研究所 医用細胞資源センター・細胞バンク)BxPC-3(American Type Culture Collection)、PANC-1(American Type Culture Collection),PK45H(RIKEN BioResource Research Center)より購入し、使用した。培養液は、RPMI1640培地(Sigma-Aldrich R8758)に10%FBS(ウシ胎児血清 Thermo Fisher)、1%P/S(ペニシリン-ストレプトマイシン溶液 (×100) nacalai tesque)を添加したものを使用した。ヒト膵癌細胞株は、5%CO2、37℃の細胞培養用インキュベーターにて細胞を培養した。培養中の膵癌細胞株にBPA(borono-phenylalanine,ステラファーマ株式会社)及び Glucose-BSHを細胞培養液内へ添加し、24時間培養を継続した。各薬剤は、最終濃度が、BPA 120μM, 600μM、グルコースBSH10μM ,50μM)となるように使用した。これは、投与薬剤の最終ホウ素濃度が同じとなるように調整したものである。BPAは、1分子内にホウ素原子が1分子、Glucose-BSHは1分子内に12個のホウ素元素が存在することより、上記濃度とした。24時間のインキュベーション後に、細胞回収し、照射ん処理を行った後、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS、Agilent7500cx, 岡山大学資源植物科学研究所)を用いて細胞内へのホウ素濃度を測定した。
CA19-9陰性ヒト膵癌細胞株では、BPAの取り込みが高値の傾向を得た。一方、CA19-9陽性細胞では、Glucose-BSHの取り込みが高値であった。これにより、Glucose-BSHは、ヒト膵癌細胞であっても、取り込み能を有していることが確認された。更に、CA19-9の陽性、陰性は、Glucose-BSHの取り込みを評価するうえで重要な因子であり、CA19-9陽性細動では、CA19-9陰性と比較して、Glucose-BSHの取り込みが高いことが示された。Glucose-BSHは、ヒト膵癌細胞においても、細胞内への取り込みが評価された(図8)。























Claims (15)

  1. 一般式(I)
    Figure 2021152000
    [式中、
    Gは、糖の残基を示す。ただし、下記の式(i)
    Figure 2021152000
    及び式(ii)
    Figure 2021152000
    で表される化合物を除く。]で表される化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
  2. 前記糖が、単糖類、オリゴ糖、多糖類、アミノ基を含む単糖類、アミノ基を含むオリゴ糖、アミノ基を含む多糖類、またはこれらの誘導体である、請求項1に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
  3. 糖は、ヘキソース、ヘキソサミンまたはこれらの誘導体を示す、請求項1に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
  4. 糖は、グルコース、グルコサミンまたはこれらの誘導体を示す、請求項1に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
  5. 一般式(II)
    Figure 2021152000
    [式中、
    は、
    (i)ヒドロキシ基、
    (ii)置換されていてもよいC〜Cアルキルカルボニルオキシ基、C〜Cアルコキシカルボニルオキシ基、C〜Cアルコキシ基、またはC〜Cシクロアルキルオキシ基、
    (iii)アミノ基、
    (iv)置換されていてもよいモノ(C〜Cアルキル)アミノ基、ジ(C〜Cアルキル)アミノ基、C〜Cアルキルカルボニルアミノ基、N−(C〜Cアルキルカルボニル)−N−(C〜Cアルキル)アミノ基、C〜Cアルコキシカルボニルアミノ基、またはN−(C〜Cアルコキシカルボニル)−N−(C〜Cアルキル)アミノ基を示し、
    、R及びRは、各々独立して水素原子、置換されていてもよいC〜Cアルキルカルボニル基、C〜Cアルコキシカルボニ基、C〜Cアルキル基、またはC〜Cシクロアルキル基を示す。]で表される、請求項1に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
  6. は、ヒドロキシ基、C〜Cアルキルカルボニルオキシ基、アミノ基、またはC〜Cアルキルカルボニルアミノ基を示し、
    、R及びRは、各々独立して水素原子またはC〜Cアルキルカルボニル基を示す、請求項5に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
  7. は、ヒドロキシ基またはアミノ基を示す、請求項5に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
  8. 、R及びRは、水素原子を示す、請求項5に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
  9. は、ヒドロキシ基またはアミノ基を示し、
    、R及びRは、水素原子を示す、請求項5に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩。
  10. 一般式(III)で表される化合物をBSHと反応させる工程を含む、請求項5に記載の一般式(II)で表される化合物の製造方法(式中、Xは、ハロゲン原子を示し、R、R、R及びRは、請求項5で定義した通りである。)。
    Figure 2021152000
  11. 請求項1〜9に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
  12. ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)によるがん治療用である、請求項11に記載の医薬組成物。
  13. 請求項1〜9に記載の化合物、その立体異性体またはその薬学的に許容される塩を活性成分として含有するがん治療用ホウ素中性子捕捉療法剤。
  14. 他のホウ素薬剤と併用することを特徴とする、請求項13に記載のがん治療用ホウ素中性子捕捉療法剤。
  15. がん患者に対し、請求項12に記載の医薬組成物を投与し、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)による抗がん処置を含むがんの治療方法。



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