JP2021151812A - 減速機の軸支持構造及びステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】減速機の騒音を低減すること。【解決手段】電動モータ7に連結されたウォーム軸2と、ウォーム軸2に噛み合うウォームホイール1とを備えた減速機100の軸支持構造101は、ウォーム軸2の基端側を回転自在に支持する第1軸受4と、ウォーム軸2の先端側を回転自在に支持する第2軸受11と、第2軸受11を介して、ウォーム軸2をウォームホイール1へ向けて付勢するコイルスプリング12と、を備え、第1軸受4は、内輪142と、外輪141と、内輪142と外輪141との間に配置される複数のボール143と、を有し、軸支持構造101は、ウォーム軸2に対して外輪を傾斜させる傾斜手段をさらに備える。【選択図】図4
Description
本発明は、減速機の軸支持構造及びステアリング装置に関する。
ウォーム減速機を備えたステアリング装置が知られている(特許文献1参照)。ウォーム減速機は、電動モータ等の駆動源により回転駆動されるウォーム軸と、ウォーム軸と噛み合うウォームホイールと、を備える。ウォーム軸は、両端部が軸受によって回転可能に支持される。
このようなウォーム減速機では、ウォーム軸の基端部が電動モータの回転軸に対して揺動可能に連結され、ウォーム軸の先端部が付勢部材によってウォームホイール側に付勢されている。ウォーム軸の基端部を支持する軸受には、内輪が外輪に対して揺動できるように、内部隙間が設けられている。このように、軸受に内部隙間が設けられているため、ウォーム軸に軸方向の力が作用したときに、ウォーム軸とともに内輪が軸方向にわずかに移動することにより、転動体(玉)が外輪又は内輪と衝突して騒音(衝突音)が発生するおそれがある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、減速機の騒音を低減することを目的とする。
本発明は、駆動源に連結された駆動歯車軸と、駆動歯車軸に噛み合う従動歯車とを備えた減速機の軸支持構造であって、駆動歯車軸の基端側を回転自在に支持する第1軸受と、駆動歯車軸の先端側を回転自在に支持する第2軸受と、第2軸受を介して、駆動歯車軸を従動歯車へ向けて付勢する付勢部材と、を備え、第1軸受は、内輪と、外輪と、内輪と外輪との間に配置される複数の転動体と、を有し、軸支持構造は、駆動歯車軸に対して外輪を傾斜させる傾斜手段をさらに備えることを特徴とする。
この発明では、駆動歯車軸に対して第1軸受の外輪を傾斜させる傾斜手段を備えるため、付勢部材による駆動歯車軸の揺動を許容しつつ、駆動歯車軸の軸方向における第1軸受の内部隙間を小さくすることができる。これにより、駆動歯車軸に軸方向の力が作用したときに、駆動歯車軸と共に第1軸受の内輪が軸方向に移動することを抑制できる。よって、減速機の騒音を低減することができる。
本発明は、第1軸受の外輪は、駆動歯車軸の揺動方向に延びる軸を中心として傾斜することを特徴とする。
この発明では、付勢部材による駆動歯車軸の揺動位置に寄らず、駆動歯車軸の軸方向における第1軸受の内部隙間を小さい状態に維持することができる。
本発明は、傾斜手段は、駆動歯車軸のケースに固定される固定部と、第1軸受の外輪を傾斜状態に保持する保持部と、固定部と保持部を連結し、固定部及び保持部と比較して低い剛性を有する連結部と、を有し、固定部と保持部は、連結部を介して互いに傾斜して連結されることを特徴とする。
この発明では、外輪が駆動歯車軸に対して傾斜した状態を安定して維持させることができる。
本発明は、駆動歯車軸に対する外輪が傾斜する向きを設定する傾斜方向設定手段をさらに備え、傾斜方向設定手段は、駆動歯車軸のケースに形成されたピン挿入穴に挿入されるピンと、固定部に形成されピンが係合する係合部と、を有することを特徴とする。
この発明では、外輪が傾斜する向きを所望の向きに設定することができる。
本発明は、減速機の軸支持構造、軸支持構造によって支持される駆動歯車軸、及び駆動歯車軸に噛み合う従動歯車を有する減速機と、駆動源としての電動モータと、を備え、従動歯車は、車輪を転舵するラック軸に電動モータの回転力を伝達する出力軸に設けられ、減速機は、駆動歯車軸の回転を減速して従動歯車に伝達することを特徴とする。
この発明では、騒音の小さい減速機を備えたステアリング装置を提供できる。
本発明によれば、減速機の騒音を低減することができる。
図面を参照して、本発明の実施形態に係る減速機を備えたステアリング装置について説明する。本実施形態では、ステアリング装置として、車両に搭載されドライバーが操舵ハンドルに加える操舵力を補助するパワーステアリング装置10について説明する。
図1及び図2に示すように、パワーステアリング装置10は、減速機100と、駆動源としての電動モータ7と、を備える。減速機100は、電動モータ7の出力シャフト7aに連結され電動モータ7の駆動に伴って回転する駆動歯車軸としてのウォーム軸2と、ウォーム軸2に形成された駆動歯車としてのウォーム2aに噛み合う従動歯車としてのウォームホイール1と、ウォーム軸2及びウォームホイール1を収容するギヤケース3と、ウォーム軸2を支持する軸支持構造101と、を備える。ウォーム軸2と電動モータ7の出力シャフト7aとは、軸ずれを許容する軸連結器19によって連結される。
操舵ハンドル16にはステアリングシャフト20が連結され、ステアリングシャフト20は操舵ハンドル16の回転に伴って回転する。ステアリングシャフト20は、操舵ハンドル16に連係する入力軸21と、ラック軸8に連係する出力軸22と、入力軸21と出力軸22を連結するトーションバー23と、を備える。ウォームホイール1は出力軸22に設けられる。
パワーステアリング装置10は、運転者によるステアリング操作に伴う入力軸21と出力軸22との相対回転によってトーションバー23に作用する操舵トルクを検出するトルクセンサ24と、トルクセンサ24にて検出された操舵トルクに基づいて電動モータ7の駆動を制御するコントローラ25と、をさらに備える。電動モータ7から出力されたトルクは、ウォーム軸2からウォームホイール1に伝達されて出力軸22にアシストトルクとして付与される。パワーステアリング装置10は、トルクセンサ24の検出結果に基づいて電動モータ7の駆動をコントローラ25にて制御して運転者のステアリング操作を補助する。
減速機100は、電動モータ7の駆動に伴ってウォーム軸2が回転すると、ウォーム軸2の回転を減速してウォームホイール1に伝達する。これにより、ウォームホイール1が設けられる出力軸22が回転し、車輪6を転舵するラック軸8に電動モータ7の回転力が伝達される。ウォーム2aには、ウォームホイール1の歯部1aと噛み合う歯部2dが形成される。
図2に示すように、ウォーム軸2は金属製のギヤケース3に収容され、電動モータ7はギヤケース3に取り付けられる。ギヤケース3の端部の開口部は、蓋3aによって封止される。
減速機100の軸支持構造101は、ウォーム軸2の基端側(電動モータ7側)を回転自在に支持する第1軸受4と、ウォーム軸2の先端側(電動モータ7側とは反対側)を回転自在に支持する第2軸受11と、第2軸受11を介して、ウォーム軸2をウォームホイール1へ向けて付勢する付勢部材としてのコイルスプリング12と、を備える。ウォーム軸2は、ギヤケース3内において、一対の軸受(第1軸受4及び第2軸受11)によって回転自在に支持される。なお、ウォーム軸2の軸方向は、単に軸方向(D3)とも称する。
第1軸受4は、環状の外輪141と、環状の内輪142と、外輪141と内輪142との間に配置される転動体としてのボール143と、を有する深溝玉軸受である(図4参照)。第1軸受4は、軸受ケース50に収容された状態でウォーム軸2の基端側を回転自在に支持する。第1軸受4の外輪141は、軸受ケース50内に圧入される。第1軸受4の内輪142は、ウォーム軸2に圧入されることにより固定される。内輪142は、ウォーム軸2の段部2bと筒状のスペーサ51との間で軸方向(D3)に挟持される。スペーサ51は、ウォーム軸2の基端部に圧入された軸連結器19のウォーム側ジョイント9によって支持される。第1軸受4は、ウォームホイール1に向かうウォーム軸2の揺動を許容するための内部隙間144を有する(図4参照)。なお、ウォーム軸2が第1軸受4を中心に揺動する方向は、揺動方向(D1)と称する。また、揺動方向(D1)及び軸方向(D3)に垂直な方向をD2とする。
第2軸受11は、第1軸受4と同様に、環状の外輪と、環状の内輪と、外輪と内輪との間に配置される転動体としてのボールと、を有する深溝玉軸受である。第2軸受11は、軸受ケース70に収容された状態でウォーム軸2の先端側を回転自在に支持する。第2軸受11の内輪は、ウォーム軸2の先端部に挿入されてウォーム軸2に形成された段部2cに係止される。
軸受ケース70は、蓋3aに収容されたガイド部材71に、揺動方向(D1)に移動自在に支持される。軸受ケース70とガイド部材71の間には、付勢部材としてのコイルスプリング12が圧縮状態で介装される。コイルスプリング12は、軸受ケース70を介して、ウォーム2aの歯部2dとウォームホイール1の歯部1aとの隙間が小さくなる方向に、つまりウォーム2aがウォームホイール1に噛み合う方向に、第2軸受11を付勢する。このように、コイルスプリング12は、第2軸受11を介してウォーム軸2をウォームホイール1へ向けて付勢する。第2軸受11を介してウォーム軸2をウォームホイール1へ向けて付勢する構成は、図2に示す構成に限定されることはなく、第2軸受11を介してウォーム軸2をウォームホイール1へ向けて付勢する構成であれば、どのような構成であってもよい。例えば、ギヤケース3における第2軸受11を囲う内周面を、第2軸受11が揺動方向(D1)に移動可能となるように長穴形状に形成し、コイルスプリング12の付勢力によって第2軸受11が長穴内を移動する構成としてもよい。
ギヤケース3内へのウォーム軸2の組み付けが完了した初期状態では、第2軸受11は、コイルスプリング12の付勢力によってウォームホイール1側に付勢され、ウォーム2aとウォームホイール1との間のバックラッシ(隙間)がない状態となる。この状態では、ウォーム軸2は、コイルスプリング12の付勢力によって第1軸受4を支点として傾く。
パワーステアリング装置10の駆動に伴ってウォーム2aとウォームホイール1の歯部1a,2dの摩耗が進むと、コイルスプリング12の付勢力によって第2軸受11が移動し、ウォーム軸2とウォームホイール1との歯部1a,2dのバックラッシが低減する。したがって、バックラッシが安定して低減されるためには、ウォーム軸2がウォームホイール1に向かってスムーズに揺動することが必要となる。
図3は、第1軸受4の外輪141と内輪142が軸方向(D3)に対して傾かずに、両者の軸が一致した状態の断面図である。この状態では、第1軸受4には内部隙間144が設けられる。内部隙間144の存在によって、ウォーム軸2に固定される内輪142は、外輪141に対して揺動可能となる。一方、内部隙間144の存在によって、ウォーム軸2に軸方向(D3)の力が作用すると、内輪142はウォーム軸2と共に軸方向(D3)の内部隙間Xの分だけ軸方向(D3)にわずかに移動する。このため、例えば、切り返し操舵時に電動モータ7からウォーム軸2に軸方向(D3)の力が作用した場合には、ボール143が外輪141又は内輪142と衝突して、騒音(衝突音)が発生するおそれがある。また、路面から車輪6、ラック軸8、出力軸22等を介してウォームホイール1からウォーム軸2に軸方向(D3)の力が作用した場合にも、同様に騒音(衝突音)が発生するおそれがある。
そこで、本実施形態では、ウォーム軸2のスムーズな揺動を許容すると共に、ボール143が外輪141又は内輪142と衝突することに起因した衝突音の発生を防止するために、図4(a)及び図4(b)に示すように、第1軸受4の外輪141は、ウォーム軸2に対して垂直な状態から傾斜して設けられる。つまり、第1軸受4の外輪141は、ウォーム軸2に対して傾斜して設けられる。図4(a)及び図4(b)は、外輪141が、外輪141の中心を通り揺動方向(D1)に延びる軸を中心として傾斜している状態を示す。外輪141がウォーム軸2に対して傾斜して設けられるため、図4(a)からわかるように、軸方向(D3)における第1軸受4の内部隙間Xは0あるいはほぼ0となる。換言すれば、軸方向(D3)における第1軸受4の内部隙間Xが0あるいはほぼ0となるように、外輪141はウォーム軸2に対して傾斜して設けられる。このように、本実施形態では、軸方向(D3)における第1軸受4の内部隙間Xが小さくなるようにした。これにより、ウォーム軸2に軸方向(D3)の力が作用した場合であっても、ボール143が外輪141又は内輪142と衝突することによる騒音の発生が防止される。一方、外輪141がウォーム軸2に対して傾斜して設けられても、図4(a)及び図4(b)に示すように、第1軸受4には径方向の内部隙間144は存在するため、ウォーム軸2の揺動は許容される。このように、本実施形態では、ウォーム軸2の揺動を許容しつつ、騒音の発生を防止することができる。
ここで、図5(a)に示すように、外輪141の傾斜方向がウォーム軸2の揺動方向(D1)と同方向である場合には、ウォーム軸2の揺動に伴って、軸方向(D3)における第1軸受4の内部隙間Xが生じてしまう。一方、図5(b)に示すように、外輪141の傾斜方向がウォーム軸2の揺動方向(D1)と90度ずれている場合には、ウォーム軸2が揺動してもウォーム軸2の揺動位置に寄らず、軸方向(D3)における第1軸受4の内部隙間Xはほぼ0に維持される。このように、外輪141は、ウォーム軸2の揺動方向(D1)と略90度ずれた方向に傾斜するのが好ましい。具体的には、図5(b)に示すように、外輪141は、外輪141の中心を通りウォーム軸2の揺動方向(D1)に延びる軸を中心として傾斜するのが好ましい。このように構成すれば、ウォーム軸2の揺動位置に寄らず、軸方向(D3)における第1軸受4の内部隙間Xをほぼ0に維持することができる。
なお、図3〜図5では、第1軸受4の内輪142の内径は、図2に示すものに比べて小さく図示し、内部隙間144の大きさ、外輪141の傾き量、及び内輪142の揺動量は、誇張して大きく図示している。
次に、主に図6から図8を参照して、ウォーム軸2に対して外輪141を傾斜させる傾斜手段について説明する。
軸支持構造101は、ウォーム軸2に対して外輪141を傾斜させる傾斜手段として、第1軸受4を収容する軸受ケース50(図2参照)と、ギヤケース3に固定され外輪141を傾斜状態に保持するホルダ60と、を有する。図6は、ホルダ60の斜視図であり、図7はホルダ60の側面図であり、図8は第1軸受4の外輪141がホルダ60によって傾斜状態に保持されている図である。
第1軸受4は、図2に示すように、有底筒状の軸受ケース50に収容される。外輪141の外周面は軸受ケース50内に圧入されると共に、外輪141の端部は軸受ケース50の底部に接触する。軸受ケース50の底部には、ウォーム軸2の外径よりも大きな内径を有し、ウォーム軸2が挿通する円形の貫通孔50aが形成される。よって、軸受ケース50が外輪141と共に傾斜しても、軸受ケース50はウォーム軸2に干渉しない。
図6及び図7に示すように、ホルダ60は、ギヤケース3に固定される環状の固定部61と、外輪141を傾斜状態に保持する保持部65と、固定部61と保持部65を連結し、固定部61及び保持部65と比較して低い剛性を有する連結部69と、を有する。
固定部61は、ギヤケース3の内周面に形成された段部3b(図2参照)に接触した状態で、ギヤケース3の内周面にねじ締結された環状のロックナット32(図2参照)によって固定される。このように、固定部61は、ギヤケース3の段部3bとロックナット32とに挟持されて、ギヤケース3に固定される。固定部61の外周面には、ギヤケース3に対するホルダ60の相対回転位置を規定するための切欠部61aが形成される。
保持部65は、端面が外輪141の端面に接触すると共に外周面が軸受ケース50の内周面にねじ締結される環状の軸受接触部66と、軸受接触部66を軸受ケース50にねじ締結する際に工具がチャックされる環状のチャック部67と、軸受接触部66とチャック部67を連結する環状部68と、を有する。
軸受接触部66は、その端面が外輪141の端面のみに接触し、内輪142の端面には接触しない内径に形成される。よって、軸受接触部66からは外輪141のみに対して傾斜させるトルクが付与される。
チャック部67は、工具がチャックされる互いに平行な面67a,67bを有する。この面67a,67bを介して工具から回転トルクが付与され、軸受接触部66は軸受ケース50にねじ締結される。
連結部69は、固定部61の内周面とチャック部67の外周面とにわたって形成されることによって、固定部61と保持部65を連結する。連結部69は、180度ずれた位置に一対形成される。図7に示すように、連結部69は、固定部61に対して保持部65がθ1度傾斜するように、固定部61と保持部65を連結する。つまり、固定部61と保持部65は、連結部69を介して互いに傾斜して連結される。連結部69は、固定部61及び保持部65と同じ素材で形成される。具体的には、金属製である。しかし、連結部69は、環状に形成されず180度ずれた位置に一対形成されるため、固定部61及び保持部65と比較して低い剛性を有する。
連結部69をゴムや樹脂によって形成し、固定部61の内周面とチャック部67の外周面とに接合してもよい。このように構成しても、連結部69は固定部61及び保持部65と比較して低い剛性となる。
次に、主に図2及び図8を参照して、ホルダ60を用いて外輪141を傾斜させる方法について説明する。
軸受ケース50に収容された第1軸受4の内輪142がウォーム軸2に圧入された状態で、ウォーム軸2はギヤケース3に収容される。この状態で、ホルダ60は軸受ケース50に取り付けられる。具体的には、チャック部67に工具を取り付け、工具を用いてホルダ60を回転させ、保持部65の軸受接触部66を軸受ケース50にねじ締結する。軸受接触部66の端面が外輪141に接触するまで、軸受接触部66を軸受ケース50内にねじ込む。
軸受接触部66の端面が外輪141に接触した状態では、軸受接触部66はウォーム軸2の軸方向(D3)に対して垂直である一方、固定部61はウォーム軸2の軸方向(D3)に対して傾斜した状態となる。この状態から、ギヤケース3の内周面にロックナット32をねじ締結することによって、固定部61全体をギヤケース3の段部3bに押し当てる。これにより、軸受接触部66から外輪141に対して傾斜させるトルクが付与され、外輪141は軸受ケース50と共にウォーム軸2の軸方向(D3)に対して傾斜する。この際、連結部69は、軸受接触部66と固定部61が互いに近づく方向に捻じれ、ホルダ60は連結部69が捻じれた状態でギヤケース3に固定される。連結部69の捻じれによる軸受接触部66と固定部61の反発力が外輪141に作用するため、外輪141は、保持部65の軸受接触部66によって傾斜状態で安定して保持される。ホルダ60がギヤケース3に固定された状態では、連結部69の捻じれの分だけ、固定部61に対する保持部65の傾斜角度は小さくなる。つまり、ホルダ60がギヤケース3に固定された後の固定部61に対する保持部65の傾斜角度θ2(図8参照)は、ホルダ60がギヤケース3に固定される前の固定部61に対する保持部65の傾斜角度θ1(図7参照)よりも小さい(θ2<θ1)。なお、図6〜8において、固定部61に対する保持部65の傾斜角度は、誇張して大きく図示している。
軸支持構造101は、ウォーム軸2の軸方向(D3)に対する外輪141が傾斜する向きを設定する手段として、ギヤケース3に形成されたピン挿入穴に挿入されるピン75(図2参照)と、固定部61に形成されピン75が係合する係合部としての切欠部61a(図6参照)と、を有する。ロックナット32を用いて固定部61をギヤケース3の段部3bに押し当てる際、ピン75を用いてギヤケース3に対するホルダ60の相対回転位置を規定する。具体的には、ピン75を、固定部61の外周面の切欠部61aに係合させつつ、ギヤケース3のピン挿入穴に挿入する。なお、切欠部61aに代えて、固定部61に貫通して形成されピン75が挿入されて係合する貫通孔であってもよい。
ピン75によるギヤケース3に対するホルダ60の相対回転位置は、上述したように、外輪141が、ウォーム軸2の揺動方向(D1)に延びる軸を中心として傾斜するように設定される(図8に示す状態)。これにより、ウォーム軸2の揺動位置に寄らず、軸方向(D3)における第1軸受4の内部隙間Xをほぼ0に維持することができる。
ギヤケース3に対するホルダ60の取付性を向上させるために、ホルダ60の固定部61とロックナット32との間、又はホルダ60の固定部61とギヤケース3の段部3bとの間に、ウォーム軸2の軸方向(D3)に圧縮可能な座金を設けるようにしてもよい。
以上で説明した、ウォーム軸2に対して外輪141を傾斜させる傾斜手段は、あくまで一例であって、ウォーム軸2に対して外輪141を傾斜させることができれば、傾斜手段はどのような構成であってもよい。
以上の本実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
第1軸受4の外輪141はウォーム軸2に対して傾斜して設けられるため、ウォーム軸2の揺動を許容しつつ、ウォーム軸2の軸方向(D3)における第1軸受4の内部隙間Xを小さくすることができる。これにより、ウォーム軸2に軸方向の力が作用したときに、ウォーム軸2と共に第1軸受4の内輪142が軸方向に移動することを抑制できる。よって、減速機100の騒音を低減することができる。
また、外輪141は、ウォーム軸2の揺動方向(D1)に延びる軸を中心として傾斜した状態に保持されるため、ウォーム軸2が揺動してもウォーム軸2の揺動位置に寄らず、軸方向(D3)における第1軸受4の内部隙間Xを小さい状態に維持することができる。
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
電動モータ7(駆動源)に連結されたウォーム軸2(駆動歯車軸)と、ウォーム軸2に噛み合うウォームホイール1(従動歯車)とを備えた減速機100の軸支持構造101は、ウォーム軸2の基端側を回転自在に支持する第1軸受4と、ウォーム軸2の先端側を回転自在に支持する第2軸受11と、第2軸受11を介して、ウォーム軸2をウォームホイール1へ向けて付勢するコイルスプリング12(付勢部材)と、を備え、第1軸受4は、内輪142と、外輪141と、内輪142と外輪141との間に配置される複数のボール143(転動体)と、を有し、軸支持構造101は、ウォーム軸2に対して外輪を傾斜させる傾斜手段をさらに備える。
この構成では、ウォーム軸2に対して第1軸受4の外輪141を傾斜させる傾斜手段を備えるため、コイルスプリング12によるウォーム軸2の揺動を許容しつつ、ウォーム軸2の軸方向における第1軸受4の内部隙間Xを小さくすることができる。これにより、ウォーム軸2に軸方向の力が作用したときに、ウォーム軸2と共に第1軸受4の内輪142が軸方向に移動することを抑制できる。よって、減速機100の騒音を低減することができる。
また、第1軸受4の外輪141は、ウォーム軸2の揺動方向に延びる軸を中心として傾斜する。
この構成では、コイルスプリング12によるウォーム軸2の揺動位置に寄らず、ウォーム軸2の軸方向における第1軸受4の内部隙間Xを小さい状態に維持することができる。
また、傾斜手段は、ウォーム軸2のギヤケース3に固定される固定部61と、第1軸受4の外輪141を傾斜状態に保持する保持部65と、固定部61と保持部65を連結し、固定部61及び保持部65と比較して低い剛性を有する連結部69と、を有し、固定部61と保持部65は、連結部69を介して互いに傾斜して連結される。
この構成では、外輪141がウォーム軸2に対して傾斜した状態を安定して維持させることができる。
また、軸支持構造101は、ウォーム軸2に対する外輪141が傾斜する向きを設定する傾斜方向設定手段をさらに備え、傾斜方向設定手段は、ウォーム軸2のギヤケース3に形成されたピン挿入穴に挿入されるピン75と、固定部61に形成されピン75が係合する切欠部61a(係合部)と、を有する。
この構成では、外輪141が傾斜する向きを所望の向きに設定することができる。
また、パワーステアリング装置10(ステアリング装置)は、減速機100の軸支持構造101、軸支持構造101によって支持されるウォーム軸2、及びウォーム軸2に噛み合うウォームホイール1を有する減速機100と、駆動源としての電動モータ7と、を備え、ウォームホイール1は、車輪6を転舵するラック軸8に電動モータ7の回転力を伝達する出力軸22に設けられ、減速機100は、ウォーム軸2の回転を減速してウォームホイール1に伝達する。
この構成では、騒音の小さい減速機100を備えたパワーステアリング装置10を提供できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば、上記実施形態では、駆動歯車としてのウォーム2aと、従動歯車としてのウォームホイール1と、を有するウォームギヤを減速機100として用いる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。駆動歯車としてのハイポイドピニオンと、従動歯車としてのハイポイドホイールと、を有するハイポイドギヤを減速機として用いてもよい。また、ベベルギヤを減速機として用いてもよい。
また、上記実施形態では、パワーステアリング装置10の減速機100に本発明を適用する例について説明したが、コンベア、ウィンチ、工作機械、建設機械等の種々の機械の減速機に本発明を適用することができる。
1・・・ウォームホイール(従動歯車)、2・・・ウォーム軸(駆動歯車軸)、3・・・ギヤケース、4・・・第1軸受、10・・・パワーステアリング装置、11・・・第2軸受、12・・・コイルスプリング(付勢部材)、50・・・軸受ケース、60・・・ホルダ、61・・・固定部、61a・・・切欠部61a(係合部)、65・・・保持部、66・・・軸受接触部、69・・・連結部、75・・・ピン、100・・・減速機、101・・・軸支持構造、141・・・第1軸受の外輪、142・・・第1軸受の内輪、143・・・ボール(転動体)、144・・・第1軸受の内部隙間
Claims (5)
- 駆動源に連結された駆動歯車軸と、前記駆動歯車軸に噛み合う従動歯車とを備えた減速機の軸支持構造であって、
前記駆動歯車軸の基端側を回転自在に支持する第1軸受と、
前記駆動歯車軸の先端側を回転自在に支持する第2軸受と、
前記第2軸受を介して、前記駆動歯車軸を前記従動歯車へ向けて付勢する付勢部材と、を備え、
前記第1軸受は、
内輪と、
外輪と、
前記内輪と前記外輪との間に配置される複数の転動体と、を有し、
前記軸支持構造は、前記駆動歯車軸に対して前記外輪を傾斜させる傾斜手段をさらに備えることを特徴とする減速機の軸支持構造。 - 請求項1に記載の減速機の軸支持構造であって、
前記第1軸受の前記外輪は、前記駆動歯車軸の揺動方向に延びる軸を中心として傾斜することを特徴とする減速機の軸支持構造。 - 請求項1又は2に記載の減速機の軸支持構造であって、
前記傾斜手段は、
前記駆動歯車軸のケースに固定される固定部と、
前記第1軸受の前記外輪を傾斜状態に保持する保持部と、
前記固定部と前記保持部を連結し、前記固定部及び前記保持部と比較して低い剛性を有する連結部と、を有し、
前記固定部と前記保持部は、前記連結部を介して互いに傾斜して連結されることを特徴とする減速機の軸支持構造。 - 請求項3に記載の減速機の軸支持構造であって、
前記駆動歯車軸に対する前記外輪が傾斜する向きを設定する傾斜方向設定手段をさらに備え、
前記傾斜方向設定手段は、
前記駆動歯車軸の前記ケースに形成されたピン挿入穴に挿入されるピンと、
前記固定部に形成され前記ピンが係合する係合部と、を有することを特徴とする減速機の軸支持構造。 - 請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の減速機の軸支持構造、前記軸支持構造によって支持される前記駆動歯車軸、及び前記駆動歯車軸に噛み合う前記従動歯車を有する前記減速機と、
前記駆動源としての電動モータと、を備え、
前記従動歯車は、車輪を転舵するラック軸に前記電動モータの回転力を伝達する出力軸に設けられ、
前記減速機は、前記駆動歯車軸の回転を減速して前記従動歯車に伝達することを特徴とするステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020052636A JP2021151812A (ja) | 2020-03-24 | 2020-03-24 | 減速機の軸支持構造及びステアリング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020052636A JP2021151812A (ja) | 2020-03-24 | 2020-03-24 | 減速機の軸支持構造及びステアリング装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2021151812A true JP2021151812A (ja) | 2021-09-30 |
Family
ID=77887101
Family Applications (1)
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JP2020052636A Pending JP2021151812A (ja) | 2020-03-24 | 2020-03-24 | 減速機の軸支持構造及びステアリング装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021151812A (ja) |
-
2020
- 2020-03-24 JP JP2020052636A patent/JP2021151812A/ja active Pending
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