JP2021151270A - 野菜の生産方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】野菜における食味の向上および硝酸塩の濃度の低下を図る。【解決手段】野菜の生産方法は、第1〜5ステップを有する。第1ステップにおいて播種を行う。第2ステップにおいて第1期間に種子から子葉を出させる。第3ステップにおいて第1期間の次の第2期間に第1養液および第2養液を用いて野菜を育てる。第4ステップにおいて第2期間の次の第3期間に野菜をさらに育てる。第5ステップにおいて野菜を収穫する。第3ステップにおいて第2養液を用いて野菜を育てた後に第1養液を用いて野菜を育てる。第1養液として、1リットル当たりの窒素の含有量が0.2〜0.47mgであり、1リットル当たりの酸化カルシウムの含有量が0.33〜0.83mgである培養液を用いる。第2養液として、1リットル当たりの窒素の含有量が0.06〜0.14mgであり、1リットル当たりの酸化カルシウムの含有量が0.1〜0.25mgである培養液を用いる。【選択図】図1

Description

本開示は、野菜の生産方法およびレタスに関する。
一般的な土耕栽培に代わる植物を生産する方法として、水耕栽培が知られている(例えば、特許文献1〜5の記載を参照)。
特開平6−7047号公報 特許第5300993号公報 国際公開第2015/155914号 特開2017−221177号公報 国際公開第2019/139031号
水耕栽培による野菜の生産については、野菜における食味の向上および硝酸塩の濃度の低下を図る点で改善の余地がある。
野菜の生産方法が開示される。
野菜の生産方法の一態様は、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと、第4ステップと、第5ステップと、を有する。前記第1ステップにおいて、播種を行う。前記第2ステップにおいて、第1期間において種子から子葉を出させる。前記第3ステップにおいて、前記第1期間の次の第2期間において第1養液および第2養液を用いて野菜を育てる。前記第4ステップにおいて、前記第2期間の次の第3期間において野菜をさらに育てる。前記第5ステップにおいて、野菜を収穫する。前記第3ステップにおいて、前記第2養液を用いて野菜を育てた後に、前記第1養液を用いて野菜を育てる。前記第1養液として、1リットル当たりの窒素の含有量が0.2mgから0.47mgであり、1リットル当たりの酸化カルシウムの含有量が0.33mgから0.83mgである培養液を用いる。前記第2養液として、1リットル当たりの窒素の含有量が0.06mgから0.14mgであり、1リットル当たりの酸化カルシウムの含有量が0.1mgから0.25mgである培養液を用いる。
例えば、野菜における食味の向上および硝酸塩の濃度の低下を図ることができる。
図1は、第1実施形態に係る野菜の生産方法における水耕栽培の期間の一例を示す図である。 図2(a)は、播種が行われた状態における栽培現場の一例を概略的に示す斜視図である。図2(b)は、図2(a)の播種が行われた状態における栽培現場を左方から見た一例を概略的に示す図である。 図3(a)は、出芽の状態における栽培現場の一例を概略的に示す斜視図である。図3(b)は、図3(a)の出芽の状態における栽培現場を左方から見た一例を概略的に示す図である。 図4(a)は、育苗期間における栽培現場の一例を概略的に示す斜視図である。図4(b)は、図4(a)の育苗期間における栽培現場を左方から見た一例を概略的に示す図である。 図5(a)は、定植時の状態における栽培現場の一例を概略的に示す斜視図である。図5(b)は、図5(a)の定植時の状態における栽培現場を左方から見た一例を概略的に示す図である。 図6(a)は、育成期間における栽培現場の一例を概略的に示す斜視図である。図6(b)は、図6(a)の育成期間における栽培現場を左方から見た一例を概略的に示す図である。 図7(a)は、照明装置の一例の外観を示す斜視図である。図7(b)は、照明装置の筐体から透光性基板を取り外した状態の一例を示す斜視図である。 図8は、照明装置の一例に係る分解斜視図である。 図9(a)は、光源の外観の一例を示す斜視図である。図9(b)は、図9(a)の光源のうちの2点鎖線で描かれた平面に沿った仮想的な切断面の一例を示す図である。 図10は、光源が発する第1の光に係るスペクトルが太い実線で描かれた図である。 図11は、光が光合成に作用する度合いを波長ごとに示す光合成作用曲線が太い実線で描かれた図である。 図12は、光源が発する第2の光に係るスペクトルが太い実線で描かれた図である。 図13は、第1養液、第2養液、第3養液、第4養液、第1参考養液および第2参考養液のそれぞれの主要な組成を示す図である。
以下、第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。図面においては同様な構成および機能を有する部分に同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。図面は模式的に示されたものである。図2(a)から図9(b)には、右手系のXYZ座標系が付されている。このXYZ座標系では、照明装置10の水平方向に沿った長手方向が+X方向とされ、照明装置10の水平方向に沿った短手方向が+Y方向とされ、+X方向と+Y方向との両方に直交する方向としての上方向が+Z方向とされている。
<1.第1実施形態>
<1−1.野菜の水耕栽培の概要>
図1で示されるように、野菜の水耕栽培の期間は、例えば、第1期間P1と、第2期間P2と、第3期間P3と、を有する。水耕栽培の対象となる野菜(栽培対象野菜ともいう)は、例えば、レタスなどの葉菜類の野菜を含む。
第1期間P1は、播種のタイミング(時刻T0)から発芽を含む育苗開始のタイミング(時刻T1)までの期間(発芽期間ともいう)である。播種のタイミングは、苗床に種子を播くタイミングである。苗床には、例えば、スポンジ、ポリウレタンまたは不織布などが適用される。発芽のタイミングは、苗床において種子から子葉が出るタイミングである。例えば、栽培対象野菜がレタスである場合には、子葉は双葉である。レタスについての播種から発芽を含む育苗までの期間の長さL1は、例えば、7日間前後とされる。
第2期間P2は、発芽を含む育苗までのタイミング(時刻T1)から収穫のタイミング(時刻T4)の所定日数前のタイミング(時刻T3)までの期間である。この第2期間P2は、野菜が主に育つ期間(主育成期間ともいう)である。第2期間P2は、例えば、前期(第2A期間ともいう)P2aと、後期(第2B期間ともいう)P2bと、に分けられる。
第2A期間P2aは、苗を育てる期間(育苗期間ともいう)に相当する。例えば、栽培対象野菜がレタスである場合には、育苗期間の長さL2aは、7日間から14日間程度とされる。第2A期間P2aが終了したタイミング(時刻T2)において、育苗後の苗の間隔を拡大する作業(間隔拡大作業ともいう)を行う。間隔拡大作業は、隣り合う野菜の間で成長に伴って葉が重なり合うことによる光合成の阻害の低減および成長の余地の拡大を目的としたものである。間隔拡大作業としては、例えば、苗床から成長に合わせた培地への育苗後の苗の植え替え(定植ともいう)を行う作業が行われる。培地には、例えば、スポンジ、ポリウレタンまたは不織布などが採用される。定植時には、例えば、株間および条間などの苗の間隔が調整される。間隔拡大作業は、苗を苗床から培地に植え替える定植を行うことなく、苗床の分割および苗の間隔の拡大、あるいは苗の間引きなどによっても実現され得る。
第2B期間P2bは、間隔が拡大された後の苗から野菜を育てる期間(栽培成長期間ともいう)である。例えば、栽培対象野菜がレタスである場合には、栽培成長期間の長さL2bは、10日間から16日間程度とされる。
第3期間P3は、収穫前に野菜をさらに育てる期間(収穫直前期間ともいう)である。収穫直前期間は、野菜の収穫前の所定日数の期間である。収穫直前期間の長さL3は、例えば、1日間から7日間程度とされる。例えば、栽培対象野菜がレタスである場合には、長さL3は、4日間から7日間程度とされる。
以上のことから、水耕栽培による野菜の生産方法は、例えば、順に行われる第1ステップS1から第5ステップS5を有する。第1ステップS1は、播種を行う工程である。第2ステップS2は、第1期間P1において種子から子葉を出させる工程である。第3ステップS3は、第1期間P1の次の第2期間P2において野菜を育てる工程である。第4ステップS4は、第2期間P2の次の第3期間P3において野菜をさらに育てる工程である。第5ステップS5は、野菜を収穫する工程である。このような水耕栽培を行う際には、苗床および培地は、それぞれ野菜を育てるための培養液(養液ともいう)が貯留されている栽培用のトレイなどの容器内に位置している。養液には、状況に適した肥料の成分が溶け込んだ溶液が適用される。また、発芽期間においては、例えば、苗床に播かれた種子の上方から水を供給することで、種子から子葉が出てくる発芽を促進させる。
<1−2.水耕栽培における栽培現場の構成>
播種のタイミングでは、例えば、図2(a)および図2(b)で示されるように、栽培用の容器30aのうちの上側の凹部に位置している苗床31a上に、複数の種子32aが適度な間隔を空けて配列される。容器30aには、例えば、栽培用のトレイなどが適用される。この栽培用のトレイは、例えば、上方から下方向(−Z方向)に向けて平面視した場合に矩形状の外形を有する。この容器30aには、野菜を育てるための養液が貯留された状態にある。このため、苗床31aは、養液に浸された状態にある。また、例えば、容器30aの上方に位置している支持体34に、複数の照明装置10が配列された状態にある。複数の照明装置10は、例えば、適度な間隔を空けて互いに平行となるように配列された状態にある。各照明装置10には、例えば、電源33を介して電力が供給される。
発芽期間としての第1期間P1では、例えば、図2(b)で示されるように、太陽光を利用することなく、1日当たり12時間から16時間程度、各照明装置10の光源を発光させ、各照明装置10から発せられる光を複数の種子32aに照射する。また、複数の種子32aには水を付与する。これにより、各種子32aからの発芽を促す。その結果、例えば、図3(a)および図3(b)で示されるように、複数の種子32aからそれぞれ子葉が出て、複数の野菜の苗32bを得ることができる。図2(b)、図3(b)、図4(b)、図5(b)および図6(b)では、各照明装置10から発せられる光について、光の進行方向が二点鎖線の矢印で示されているとともに、光の外縁が二点鎖線で描かれている。
育苗期間としての第2A期間P2aでは、例えば、図4(a)および図4(b)で示すように、さらに、太陽光を利用することなく、1日当たり12時間から16時間程度、各照明装置10の光源を発光させ、各照明装置10から発せられる光を複数の野菜の苗32bに照射する。これにより、例えば、複数の野菜の苗32bの成長が促進される。
育苗期間が終了すると、例えば、定植によって複数の野菜の苗32bを植え替える。ここでは、例えば、図5(a)および図5(b)で示されるように、栽培用の容器30bのうちの上側の凹部に位置している培地31bに、複数の栽培対象野菜32cとなる複数の野菜の苗32bが適度な間隔を空けて配列される。以下では、野菜の苗32bおよび栽培対象野菜32cを適宜まとめて「野菜」とも称する。容器30bには、例えば、栽培用のトレイなどが適用される。この栽培用のトレイは、例えば、上方から下方向(−Z方向)に向けて平面視した場合に長尺の矩形状の外形を有する。図5(a)および図5(b)の例では、長尺状の4つの容器30bが略平行となるように配置された状態にある。各容器30bには、野菜を育てるための養液が貯留された状態にある。このため、培地31bは、養液に浸された状態にある。また、例えば、容器30aの上方に位置している支持体34に、複数の照明装置10が配列された状態にある。複数の照明装置10は、適度な間隔を空けて互いに平行となるように配列された状態にある。図5(a)および図5(b)の例では、各照明装置10の長手方向は、例えば、容器30bの長手方向に対して直交している状態にある。各照明装置10には、電源33を介して電力が供給される。
栽培成長期間としての第2B期間P2bでは、例えば、図5(b)で示されるように、太陽光を利用することなく、1日当たり12時間から16時間程度、各照明装置10の光源を発光させ、各照明装置10から発せられる光を複数の栽培対象野菜32cに照射する。これにより、複数の栽培対象野菜32cの成長を促進する。
収穫直前期間としての第3期間P3では、例えば、図6(b)で示されるように、太陽光を利用することなく、1日当たり12時間から16時間程度、各照明装置10の光源を発光させ、各照明装置10から発せられる光を複数の栽培対象野菜32cに照射する。これにより、図6(a)および図6(b)で示されるように、複数の栽培対象野菜32cの成長を促進する。
ここで、例えば、複数の照明装置10と、種子32a、野菜の苗32bまたは栽培対象野菜32cとの距離は、適切な距離となるように変更されてもよい。
また、複数の照明装置10には、例えば、第1期間P1と第2A期間P2aと第2B期間P2bと第3期間P3との間で、互いに異なるスペクトルを有する光を発する光源を適用してもよい。また、複数の照明装置10には、例えば、第2A期間P2aと第2B期間P2bとの間で、互いに異なるスペクトルを有する光を発する光源を適用してもよい。
上述したように水耕栽培による野菜の生産方法によれば、太陽光を利用することなく、栽培対象野菜32cを育成することができる。
<1−3.照明装置の構成>
図7(a)、図7(b)および図8で示されるように、照明装置10は、例えば、筐体11と、配線基板12と、複数の光源1と、透光性基板13と、を有する。
<1−3−1.筐体>
筐体11は、例えば、+X方向に沿った長手方向を有する長尺の直方体状の外形を有するとともに、−Z方向を向いている開口を有している。筐体11は、例えば、透光性基板13を保持する機能と、光源1が発する熱を外部に放散させる機能と、を有する。筐体11の材料には、例えば、アルミニウム、銅もしくはステンレスなどの金属またはプラスチックもしくは樹脂などが適用される。筐体11は、例えば、底部21aおよび一対の保持部21bを有する長尺の本体部21と、2つの蓋部22と、を有する。底部21aは、例えば、+X方向に沿った長手方向を有する。一対の保持部21bは、例えば、底部21aの幅方向(+Y方向)の両端部から−Z方向に垂下している状態で+X方向に沿った長手方向を有する。このため、本体部21は、−Z方向(下方向)に向いた開口と、+X方向(長手方向)の両端に位置する開口と、を有する。2つの蓋部22は、例えば、本体部21の+X方向(長手方向)の両端に位置する開口をそれぞれ閉塞している状態にある。また、各保持部21bは、例えば、−Z方向の端部の近傍の部分において、透光性基板13を保持するための+X方向に沿って伸びている溝部を有する。換言すれば、一対の溝部が互いに対向するように位置している。筐体11の長手方向(+X方向)における長さは、例えば、100ミリメートル(mm)から2000mm程度とされる。
<1−3−2.配線基板>
配線基板12は、例えば、筐体11内において筐体11に固定された状態で位置している。配線基板12は、例えば、筐体11内の−Z方向を向いた面に固定されている状態にある。配線基板12には、例えば、リジッド基板、フレキシブル基板またはリジッドフレキシブル基板などのプリント基板が適用される。
<1−3−3.光源>
複数の光源1は、例えば、筐体11内において、配線基板12上に実装されているとともに、筐体11の長手方向に沿って一直線上に配列された状態で位置している。図9(a)および図9(b)で示されるように、光源1は、例えば、基板2、発光素子3、枠体4、封止部材5および波長変換部材6、を有する。
<<基板2>>
基板2は、例えば、絶縁性の基板である。基板2の材料には、例えば、アルミナもしくはムライトなどのセラミック、またはガラスセラミックなどが適用される。基板2の材料には、例えば、複数種類のセラミックが混合された材料、またはセラミックとガラスセラミックとが混合された材料などの複合系材料が適用されてもよい。ここで、例えば、基板2の材料に、金属酸化物の微粒子が分散された高分子樹脂が適用されれば、この基板2の熱膨張率が適宜調整され得る。また、基板2は、例えば、この基板2の内部と外部とを電気的に接続している導体(配線導体ともいう)を有する。配線導体の材料には、例えば、タングステン、モリブデン、マンガンまたは銅などの導電材料が適用される。配線導体は、例えば、タングステンなどの粉末に有機溶剤を添加して得た金属ペーストを、基板2となるセラミックグリーンシートに対して所定のパターンで塗布し、複数のセラミックグリーンシートを積層して焼成することで作製され得る。例えば、配線導体の表面上に、ニッケルまたは金などの鍍金層が被着している状態にあれば、配線導体の酸化が低減され得る。また、基板2の−Z面を向いた面上に、配線導体および鍍金層と離間している状態で金属製の反射層が位置していれば、反射層が−Z方向に向けて光を効率良く反射させることができる。反射層の材料には、例えば、アルミニウム、銀、金、銅またはプラチナなどが適用される。基板2の配線のパターンは、例えば、配線基板12の配線のパターンに対して、半田または導電性接着剤を介して電気的に接続している状態にある。これにより、例えば、配線基板12からの信号が基板2を介して発光素子3に伝わり、発光素子3が発光し得る。配線基板12には、外部に設けられた電源から配線を介して電気が供給される。
<<発光素子3>>
発光素子3は、例えば、基板2上に実装された状態にある。発光素子3は、例えば、基板2上の配線導体の表面に被着している鍍金層上に、ろう材または半田などを介して電気的に接続されている状態にある。発光素子3には、例えば、半導体を用いたpn接合領域における電子と正孔との再結合に応じて光を外部に向かって放出することができる発光ダイオード(LED)が適用される。発光素子3は、透光性基体と、透光性基体上に位置している光半導体層と、を有する。透光性基体には、例えば、有機金属気相成長法または分子線エピタキシャル成長法などの化学気相成長法を用いて、光半導体層を成長させることが可能な基材が適用される。透光性基体の材料には、例えば、サファイア、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、セレン化亜鉛、シリコンカーバイド、シリコンまたは二ホウ化ジルコニウムなどが適用される。透光性基体の厚さは、例えば、50マイクロメートル(μm)から1000μm程度とされる。光半導体層は、例えば、第1半導体層と発光層と第2半導体層とを有する。第1半導体層は、例えば、透光性基体上に位置している。発光層は、例えば、第1半導体層上に位置している。第2半導体層は、例えば、発光層上に位置している。第1半導体層、発光層および第2半導体層の材料には、例えば、III−V族半導体としての窒化物半導体、ガリウム燐またはガリウムヒ素などが適用される。窒化物半導体は、例えば、窒化ガリウム、窒化アルミニウムまたは窒化インジウムなどを含む。第1半導体層の厚さは、例えば、1μmから5μm程度とされる。発光層の厚さは、例えば、25ナノメートル(nm)から150nm程度とされる。第2半導体層の厚さは、例えば、50nmから600nm程度とされる。このような構成を有する発光素子3は、例えば、370nmから420nm程度の波長域の励起光を発することができる。
<<枠体4>>
枠体4は、例えば、基板2上において発光素子3を取り囲むように位置している。枠体4の材料には、例えば、粉末を混合させた樹脂材料が適用される。粉末の材料には、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムもしくは酸化イットリウムなどのセラミック材料または多孔質材料、あるいは酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムもしくは酸化イットリウムなどの金属酸化物が適用される。枠体4は、例えば、基板2上に積層された状態で、基板2に対して樹脂などを介して接続されている状態にある。枠体4は、例えば、発光素子3と接触していない状態で、発光素子3を取り囲むように位置している。枠体4の内壁面は、例えば、+Z方向の端部から−Z方向の端部に向けて、外方に拡がるように位置している。換言すれば、枠体4の内壁面は、例えば、枠体4の内側の空間のXY平面に沿った断面が−Z方向に向かって進むほど拡大するように、Z軸に対して傾斜している状態にある。この場合には、例えば、枠体4の内壁面は、発光素子3から発せられる励起光が反射する面(反射面ともいう)としての機能を有する。ここで、例えば、枠体4を+Z方向に向けて平面視した場合に、枠体4の内壁面の形状が円形状であれば、反射面は、発光素子3が発する光をあらゆる方向に反射させることができる。また、枠体4の内壁面は、例えば、焼結体である枠体4の内周面上に、金属層と、この金属層を被覆している状態にある金属製の鍍金層(鍍金金属層ともいう)と、を有する。ここで、金属層の材料には、例えば、タングステン、モリブデン、銅または銀などの金属が適用される。鍍金金属層には、例えば、ニッケルまたは金などが適用される。このような鍍金金属層は、例えば、発光素子3が発する光を反射させることができる。換言すれば、この場合には、枠体4の内壁面は、発光素子3が発する光を反射させる反射面としての役割を果たし得る。枠体4の内壁面がXY平面に対して傾斜している角度は、例えば、55度から70度程度の角度とされる。
<<封止部材5>>
封止部材5は、例えば、枠体4で囲まれた枠体4の内側の空間のうちの−Z方向の端部に沿った部分を除く領域に充填されている状態で位置している。これにより、封止部材5は、例えば、発光素子3を封止することができる。封止部材5は、例えば、透光性を有する。これにより、封止部材5は、例えば、発光素子3から発せされる光を透過させることができる。封止部材5の材料には、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂などの透光性および絶縁性を有する樹脂が適用される。封止部材5の屈折率は、例えば、1.4から1.6程度とされる。
<<波長変換部材6>>
波長変換部材6は、例えば、枠体4で囲まれた枠体4の内側の空間のうちの−Z方向の端部に沿った領域に位置している。ここでは、例えば、波長変換部材6は、封止部材5の−Z方向を向いた面に沿って位置している。波長変換部材6は、例えば、枠体4の内側の空間に収まるように位置している。波長変換部材6は、例えば、発光素子3が発する光の波長を変換することができる。波長変換部材6は、例えば、蛍光体7を有する。より具体的には、例えば、波長変換部材6は、透光性を有し且つ絶縁性を有する樹脂(絶縁樹脂ともいう)またはガラスに、蛍光体7を含有している形態を有する。絶縁樹脂の材料には、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂またはエポキシ樹脂などの透光性を有する絶縁樹脂が適用される。ここでは、例えば、多数の蛍光体7が、波長変換部材6において略均一に分散している状態で位置している。蛍光体7は、例えば、発光素子3から発せられた光が波長変換部材6の内部に入射すると、この光によって励起されて、光を発することができる。ここで、例えば、蛍光体7に適用される蛍光体を適宜設定することで、光源1から発せられる光のスペクトルを変更することができる。
<1−3−4.透光性基板>
透光性基板13は、例えば、筐体11の−Z方向を向いている開口を閉塞している状態で位置している。透光性基板13の材料には、光源1から発せられる光が透過することが可能な材料が適用される。透光性基板13の材料には、例えば、アクリル樹脂またはガラスなどが適用される。透光性基板13には、例えば、矩形状の表面および裏面を有する板状体が適用される。透光性基板13の長手方向(+X方向)に沿った長さは、例えば、98mmから1998mm程度とされる。透光性基板13は、本体部21の長手方向(+X方向)における+X方向または−X方向の端部に位置する開口から、一対の保持部21bにおける一対の溝部内に差し込んで、+X方向に沿ってスライドさせることにより、複数の光源1から−Z方向において離間した位置で、一対の保持部21bによって保持されている状態となる。そして、照明装置10では、蓋部22が、本体部21の長手方向(+X方向)における+X方向および−X方向の端部に位置する開口をそれぞれ閉塞している状態にある。
<1−4.水耕栽培における照明条件>
上述した水耕栽培では、例えば、野菜に光を照射する照明装置10を適宜変更することで、野菜を育てる際における照明条件を変更することができる。
<1−4−1.第1の光の照射>
第1実施形態では、例えば、野菜の水耕栽培における第3ステップS3において、第2期間P2のうちの少なくとも一部の期間に、500nm以下、具体的には420nmから490nmの可視光の波長域に光強度の最大値(第1最大値ともいう)を有する光(第1の光ともいう)を照射して野菜を育てる。これにより、例えば、野菜におけるグルタミンの含有率および糖度を増大させることができる。したがって、例えば、収穫後の野菜の食味を向上させることができる。なお、光強度(W/m/nm)は、単位面積および単位波長あたりの光の放射照度である。また、例えば、光のスペクトルにおける光強度の大小関係については、光強度の最大値を基準値(例えば、1)とした場合における光強度の相対的な値(相対光強度ともいう)を用いて適宜説明する。
ここでは、例えば、第2期間P2のうちの少なくとも一部の期間に、第1の光を照射して野菜を育てると、次のようなメカニズムで、収穫後の野菜におけるグルタミンの含有率および糖度が増大するものと考えられる。
第2期間P2において野菜の苗32bおよび栽培対象野菜32cに第1の光を照射すると、野菜にストレスが与えられている状態となり、野菜の細胞内において活性酸素が発生する。これに対して、野菜は、例えば、活性酸素から自己の組織を保護するために、クエン酸回路などを活性化させて、クエン酸などの抗酸化物質を野菜内で多量に生じる。ここでは、例えば、α−ケトグルタル酸(2−オキソグルタル酸)およびグルタミン酸が増産される。このとき、例えば、野菜内では、グルタミン合成酵素(GS)およびグルタミン酸合成酵素(GOGAT)を触媒とした反応サイクル(GS/GOGATサイクルともいう)における反応が促進される。このGS/GOGATサイクルでは、例えば、植物の根から吸収されたアンモニウムが、グルタミン合成酵素(GS)を触媒として、グルタミン酸と結合してグルタミンを生成する。この反応で生じたグルタミンは、グルタミン酸合成酵素(GOGAT)を触媒として、2−オキソグルタル酸との反応によって2分子のグルタミン酸を生成する。ここで生成された2分子のグルタミン酸のうち、1分子のグルタミン酸は、グルタミン合成酵素(GS)を触媒として、植物の根から吸収されたアンモニウムと結合する反応に用いられる。残りの1分子のグルタミン酸は、他のアミノ酸の合成に用いられる。このようなGS/GOGATサイクルにおける反応が促進されれば、例えば、グルタミン酸を生成するためのグルタミン酸の前駆体としてのグルタミンが増加する。GS/GOGATサイクルで用いるアンモニウムは、例えば、養液に含まれるアンモニア態窒素および硝酸態窒素から供給される。硝酸態窒素は、例えば、根および葉における還元によってアンモニア態窒素となるため、アンモニウムの素となる。グルタミン合成酵素(GS)は、例えば、野菜が、葉緑体において含有している酵素である。グルタミン酸合成酵素(GOGAT)は、例えば、野菜が含有している酵素である。
また、例えば、野菜は、活性酸素から自己の組織を保護するために、アスコルビン酸およびポリフェノールなどの抗酸化物質を生成する。これらのアスコルビン酸およびポリフェノールは、例えば、グルコースおよびガラクトースなどの糖を用いて合成される。このため、例えば、野菜では、抗酸化物質が自己の組織の保護に必要となる適度な量まで蓄積され、さらに抗酸化物質の前駆体としての糖が増加する。
ここでは、光源1の波長変換部材6に含有されている蛍光体7に、例えば、420nmから490nm程度の蛍光を発する青色蛍光体などを適用すれば、第1の光を野菜に照射することができる。このような青色蛍光体としては、例えば、(Sr,Ca,Ba)10(POCl:Euを採用することができる。この場合には、図10で太い実線で示されるようなスペクトルの光を光源1が発することができる。第1の光には、例えば、赤色光の成分が含まれていてもよい。ただし、例えば、第1の光における赤色光の成分の割合が低いほど、光源1におけるエネルギー消費量が低減され得る。また、野菜に照射される第1の光の光量子束密度は、例えば、1平方メートル当たり80マイクロモル(80μmol/m)以上とされる。野菜に照射される第1の光の光量子束密度は、例えば、100μmol/mから250μmol/m程度とされてもよい。
ここで、例えば、野菜の水耕栽培の期間のうち、第3ステップS3において第1の光を照射して野菜を育てる一部の期間(第1光照射期間ともいう)を適宜設定することで、野菜におけるグルタミンの含有率および糖度を適度に増加させることができる。例えば、第1光照射期間に、第2期間P2の後期(第2B期間)P2bを含ませる設定が考えられる。また、例えば、第1光照射期間の長さを、第1期間P1、第2期間P2および第3期間P3を合計した期間(全期間ともいう)のうちの1/4から1/2の長さとする設定が考えられる。より具体的には、例えば、第1光照射期間を、第2B期間P2bとする設定が考えられる。このように、第1光照射期間を適宜設定することで、例えば、野菜の成長と、野菜におけるグルタミンの含有率および糖度の増加と、をバランス良く実現することができる。これにより、例えば、食味が高い野菜を効率良く生産することができる。また、ここで、例えば、第3ステップの第2B期間P2bにおいて栽培対象野菜32cに照射する第1の光の光量子束密度(光量)を増加させると、収穫後の野菜におけるグルタミンの含有量が増加し得る。
<1−4−2.第2の光の照射>
第1実施形態では、例えば、野菜の水耕栽培における第2ステップS2から第4ステップS4において、第1光照射期間とは異なる期間に、500nmを超える可視光の波長域に光強度の最大値(第2最大値ともいう)を有する光(第2の光ともいう)の照射を行って野菜を育ててもよい。この場合には、例えば、野菜における抗酸化物質の過剰な生成を低減して、収穫後の野菜における過剰な抗酸化物質の存在による苦味を低減し、収穫後の野菜における糖度を増加させることができる。したがって、例えば、野菜の食味を向上させることができる。
ここでは、例えば、第1光照射期間とは異なる期間に、第2の光の照射を行って野菜を育てると、次のようなメカニズムで、収穫後の野菜において、抗酸化物質の過剰な増加が低減され、糖度が増加するものと考えられる。次のメカニズムは、図11で示される、McCree(1972)およびInada(1976)によって示された61種類の植物に係る光合成作用曲線の平均値を示す光合成作用曲線を前提として記載している。
例えば、第1の光の照射の後に、第1の光よりも野菜における光合成を促進させることができる第2の光の照射を行うことで、野菜に与えられるストレスを低減する。これにより、例えば、野菜内における活性酸素の増産および抗酸化物質の過剰な生成が低減される。また、例えば、第2の光の照射によって、野菜内における活性酸素の生成よりも通常の光合成の方が促進される。このため、例えば、有機酸の還元によって野菜の成長に必要なアミノ酸の生成が促進される。また、例えば、第1の光の照射によるクエン酸回路の活性化が停止され、クエン酸回路で生成された有機酸を原料とした還元作用によって、糖の生成が促進される。
ここで、第2の光には、例えば、赤色の波長域の光の成分を多く含む光が適用される。具体的には、第2の光として、例えば、590nmから650nmの波長域に光強度の最大値(最大光強度ともいう)を有するとともに、700nmの波長における光強度の値(第1の値ともいう)が最大光強度の2割以上の値であり且つ800nmの波長における光強度の値(第2の値ともいう)が最大光強度の1割以下の値である光を用いる態様が考えられる。この場合には、例えば、第1の光よりも野菜における光合成を促進させることができる第2の光の照射を行うことで、野菜において活性酸素の生成よりも通常の光合成を促進させることができる。また、例えば、第2の光は、光合成の促進に寄与する度合いが大きな波長の光の成分を幅広く含有しているとともに、第2の光では、光合成の促進に寄与する度合いが小さな波長の光の成分の比率が低い。これにより、例えば、野菜の成長の促進と光の照射に要するエネルギーの消費量の低減とを図ることができる。その結果、例えば、食味の高い野菜を効率良く生産することができる。
また、ここで、第2の光のスペクトルについて、最大となるピーク(最大光強度)を示す波長(第1波長ともいう)をλ1[nm]とする。第2の光のスペクトルについて、第1波長λ1よりも短波長側で第1波長λ1における光強度の50パーセント(%)の光強度となる第1波長λ1に最も近い波長(第2波長ともいう)をλ2[nm]とする。第2の光のスペクトルについて、第1波長λ1よりも長波長側で第1波長λ1における光強度の50%の光強度となる第1波長λ1に最も近い波長(第3波長ともいう)をλ3[nm]とする。この場合には、第2の光のスペクトルとして、例えば、610nmから630nmの波長域において最大光強度を有するとともに、式(1)および式(2)の要件を満たすスペクトルを採用することができる。
λ1−70≦λ2≦λ1−30 ・・・(1)
λ1+30≦λ3≦λ1+70 ・・・(2)
ここでは、例えば、第1波長λ1が、615nmから625nmの範囲内にあれば、第2の光において、光合成の促進に寄与する度合いが小さな750nm以上の波長域の光の成分が少なくなり得る。また、第2の光において、例えば、赤色蛍光体からの光において、540nmから700nmの波長域における光量子束に対する、610nmから630nmの波長域における光量子束の割合が、15%から25%であってもよい。これにより、光源1から発せられる第2の光では、光合成の促進に寄与する度合いが高い540nmから700nmの赤色光の波長域に特定の波長の光が過剰に含まれず、光合成の促進に寄与する度合いが小さく光合成の速度低下を招き得る近赤外線が含まれる割合が低くなる。また、ここで、例えば、第1波長λ1と第2波長λ2との差分の絶対値よりも、第1波長λ1と第3波長λ3との差分の絶対値の方が大きければ、第2の光では、図11で示される光合成作用曲線における赤色光の波長域におけるピーク波長である670nm近傍の光の成分が含まれる割合が増大する。
ここで、第2の光は、例えば、青色から紫色の波長域の光の成分も含んでいてもよい。例えば、第2の光として、例えば、500nm以下の可視光の波長域に最大光強度よりも小さな光強度のピーク(ピーク光強度ともいう)をさらに有する光を用いてもよい。これにより、例えば、第2の光を照射している期間においても、野菜におけるグルタミンの含有率および糖度を向上させることができる。例えば、図11で示される光合成作用曲線によれば、420nmから490nmの青色光の波長域の光も光合成に寄与する。このため、第2の光のスペクトルは、例えば、420nmから490nmの波長域の青色蛍光体から発せられる光の成分のピークを有していてもよい。ここで、例えば、第2の光のスペクトルにおける420nmから490nmの波長域における光強度のピークを示す波長(第4波長ともいう)をλ4[nm]とし、第1波長λ1における光強度(相対光強度)を1とする。この場合には、例えば、第2の光のスペクトルとして、第4波長λ4における光強度(相対光強度)が0.3から0.5であり、赤色蛍光体からの光の540nmから700nmの波長域における光量子束に対する、青色蛍光体からの光の420nmから490nmの波長域における光量子束の割合が、10%から20%であるスペクトルが採用されれば、第2の光は、光合成に必要な赤色光と青色光とをバランス良く有する。
さらに、第2の光は、例えば、緑色の波長域の光の成分を含んでいてもよい。ここで、例えば、図11で示される光合成作用曲線によれば、490nmから540nmの緑色光の波長域の光も光合成にある程度寄与する。このため、第2の光のスペクトルには、490nmから540nmの波長域の緑色蛍光体から発せられる光の成分が適度に含まれていてもよい。具体的には、例えば、第1波長λ1における光強度(相対光強度)を1としたときに、第2の光のスペクトルとして、490nmから540nmの波長域における光強度(相対光強度)の平均値が0.1以上あるいは0.3以上であるスペクトルが採用される。また、第2の光のスペクトルにおいて、例えば、赤色蛍光体からの540nmから700nmの光の波長域における光量子束に対する、緑色蛍光体からの490nmから540nmの光の波長域における光量子束の割合が、5%から15%であってもよい。さらに、第2の光のスペクトルにおいて、例えば、青色蛍光体からの420nmから490nmの光の波長域における光量子束に対する、緑色蛍光体からの490nmから540nmの光の波長域における光量子束の割合が、45%から65%であってもよい。この場合には、第2の光は、光合成に必要な赤色光と青色光と緑色光とをバランス良く有する。ここで、葉の光合成組織は、例えば、葉の表側の柵状組織と葉の裏側の海綿状組織とに分化しており、赤色光および青色光は、葉の表側の柵状組織における葉緑体で吸収されて光合成に寄与する。一方、緑色光は、例えば、葉緑体では吸収されにくいものの、葉の表側の柵状組織を透過して葉の裏側の海綿状組織に届いた緑色光は、海綿状組織において散乱などを繰返すうちに葉緑体で吸収されて光合成に寄与する。したがって、例えば、第2の光に緑色光も適度に含まれていれば、光合成が促進され得る。
ところで、光源1から出射される光には、発光素子3が発する近紫外領域の励起光も含まれるため、第2の光のスペクトルは、例えば、380nmから420nmの波長域にピークを有していてもよい。ここで、例えば、第2の光のスペクトルにおける380nmから420nmの波長域における光強度のピークを示す波長(第5波長ともいう)をλ5[nm]とし、第1波長λ1における光強度(相対光強度)を1とする。この場合には、例えば、第2の光のスペクトルでは、第5波長λ5における光強度(相対光強度)が0.2から0.4であり、赤色蛍光体からの光の540nmから700nmの波長域における光量子束に対する、380nmから420nmの波長域における光量子束の割合が、1%から10%であってもよい。
また、光源1から出射される第2の光については、例えば、色温度が1900Kから2100Kの範囲であり、平均演色評価数(Ra)が70から75の範囲であり、CIE色度座標xy値は、0.4≦x≦0.5および0.3≦y≦0.4の関係を満たしている態様が考えられる。
ここでは、光源1の波長変換部材6に含有されている蛍光体7に、例えば、(Sr,Ca,Ba)10(POCl:Euを用いた青色蛍光体と、(Sr,Ba,Mg)SiO:Eu2+を用いた緑色蛍光体と、(Sr,Ca)AlSiN:Euを用いた赤色蛍光体と、を3:1:46の配合比で適用することで、上記の各要件を満たす第2の光の照射が実現される。この場合には、図12において太い実線で示されるようなスペクトルの光を光源1が発することができる。
図12に示されるスペクトルは、次の特徴を有する。赤色蛍光体からの光の波長域において最大光強度を示す第1波長λ1が約616nmであり、第2波長λ2が約578nmであり、第3波長λ3が約677nmであり、最大光強度に対する半値幅は約100nmである。第1波長λ1と第2波長λ2との差分の絶対値である約38nmよりも、第1波長λ1と第3波長λ3との差分の絶対値である約61nmの方が大きい。赤色蛍光体からの光の540nmから700nmの波長域における光量子束に対する、610nmから630nmの波長域における光量子束の割合は、約20%である。また、青色蛍光体からの光の波長域においてピークを示す第4波長λ4が約453nmであり、第1波長λ1における光強度(相対光強度)を1とするとき、第4波長λ4における光強度(相対光強度)は約0.41であり、赤色蛍光体からの光の540nmから700nmの波長域における光量子束に対する、青色蛍光体からの光の420nmから490nmの波長域における光量子束の割合は、約15%である。また、第1波長λ1における光強度(相対光強度)を1とするとき、緑色蛍光体からの光の490nmから540nmの波長域における光強度(相対光強度)の平均値は約0.21である。赤色蛍光体からの光の540nmから700nmの波長域における光量子束に対する、緑色蛍光体からの光の490nmから540nmの波長域における光量子束の割合は約8.5%であり、青色蛍光体からの光の420nmから490nmの波長域における光量子束に対する、緑色蛍光体からの光の490nmから540nmの波長域における光量子束の割合は、約56%である。さらに、第5波長λ5が約406nmであり、第1波長λ1における光強度(相対光強度)を1とするとき、第5波長λ5における光強度(相対光強度)は約0.36である。
また、野菜に照射される第2の光の光量子束密度は、例えば、1平方メートル当たり80マイクロモル(80μmol/m)以上とされる。野菜に照射される第2の光の光量子束密度は、例えば、100μmol/mから250μmol/m程度とされてもよい。
<1−5.水耕栽培における養液の条件>
上述した水耕栽培では、例えば、栽培用の容器30a,30bに貯留される養液を適宜変更することで、野菜を育てる際に野菜に供給する栄養素を変更することができる。
<1−5−1.第1養液の使用>
第1実施形態では、例えば、野菜の水耕栽培における第3ステップS3において、第1の光を照射して野菜を育てる第1光照射期間に、第1養液を用いて野菜を育ててもよい。第1養液は、例えば、1リットル当たりの窒素(N)の含有量が、0.2mgから0.47mgであり、1リットル当たりの酸化カルシウム(CaO)の含有量が、0.33mgから0.83mgである、培養液である。これにより、例えば、野菜における糖度を増大させることができるとともに、収穫時の野菜における硝酸塩の濃度を低下させることができる。
ここで、第1養液における1リットル当たりの窒素(N)、五酸化二リン(P)、酸化カリウム(KO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)および鉄(Fe)の各含有量は、例えば、図13で示される範囲に設定される。具体的には、第1養液における1リットル当たりの窒素(N)の含有量は、例えば、0.2mgから0.47mgに設定される。第1養液における1リットル当たりの五酸化二リン(P)の含有量は、例えば、0.13mgから0.33mgに設定される。第1養液における1リットル当たりの酸化カリウム(KO)の含有量は、例えば、0.4mgから1mgに設定される。第1養液における1リットル当たりの酸化マグネシウム(MgO)の含有量は、例えば、0.12mgから0.27mgに設定される。第1養液における1リットル当たりの酸化カルシウム(CaO)の含有量は、例えば、0.33mgから0.83mgに設定される。第1養液における1リットル当たりの鉄(Fe)の含有量は、例えば、0.003mgから0.01mgに設定される。
ところで、一般的な水耕栽培では、例えば、第3ステップS3のうち、第2B期間P2bでは第1参考養液を用いて野菜を育て、第2A期間P2aでは第2参考養液を用いて野菜を育てることが考えられる。第1参考養液および第2参考養液は、果菜類、葉菜類および花き類に広く使用される汎用型の培養液である。第1参考養液および第2参考養液における1リットル当たりの窒素(N)、五酸化二リン(P)、酸化カリウム(KO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)および鉄(Fe)の各含有量は、例えば、図13で示される値に設定される。具体的には、第1参考養液における1リットル当たりの窒素(N)の含有量は、例えば、1.3mg程度に設定される。第1参考養液における1リットル当たりの五酸化二リン(P)の含有量は、例えば、0.6mg程度に設定される。第1参考養液における1リットル当たりの酸化カリウム(KO)の含有量は、例えば、2.03mg程度に設定される。第1参考養液における1リットル当たりの酸化マグネシウム(MgO)の含有量は、例えば、1.15mg程度に設定される。第1参考養液における1リットル当たりの酸化カルシウム(CaO)の含有量は、例えば、0.0075mg程度に設定される。第1参考養液における1リットル当たりの鉄(Fe)の含有量は、例えば、0.0135mg程度に設定される。また、第2参考養液における1リットル当たりの窒素(N)の含有量は、例えば、0.52mg程度に設定される。第2参考養液における1リットル当たりの五酸化二リン(P)の含有量は、例えば、0.24mg程度に設定される。第2参考養液における1リットル当たりの酸化カリウム(KO)の含有量は、例えば、0.81mg程度に設定される。第2参考養液における1リットル当たりの酸化マグネシウム(MgO)の含有量は、例えば、0.46mg程度に設定される。第2参考養液における1リットル当たりの酸化カルシウム(CaO)の含有量は、例えば、0.003mg程度に設定される。第2参考養液における1リットル当たりの鉄(Fe)の含有量は、例えば、0.0054mg程度に設定される。
ここで、例えば、第1光照射期間に、第1参考養液および第2参考養液よりも窒素の含有量が少なく且つ酸化カルシウムの含有量が多い第1養液を用いて野菜を育てると、次のようなメカニズムで、収穫後の野菜において、糖度が増大し、硝酸塩の濃度が低下するものと考えられる。
第1光照射期間において、第1養液を用いて野菜を育てると、養液における窒素の含有量の減少によって、養液における硝酸態窒素が減少する。これにより、例えば、収穫時の野菜に含まれる硝酸塩の濃度が減少する。また、例えば、アミノ酸の素となる窒素の供給量が少ないため、窒素と炭素(C)との合成などによるアミノ酸の合成が適度に低減する。これに対して、例えば、第1の光の照射に応じて、野菜は、活性酸素から自己の組織を保護するために、アスコルビン酸およびポリフェノールなどの抗酸化物質を生成する。これらのアスコルビン酸およびポリフェノールは、例えば、グルコースおよびガラクトースなどの糖を用いて合成される。このため、例えば、野菜では、抗酸化物質が自己の組織の保護に必要となる適度な量まで蓄積され、さらに抗酸化物質の前駆体としての糖が増加する。また、例えば、養液における酸化カルシウムの濃度の増加によって、強光適応による抗酸化物質の生成を促進させるため、抗酸化物質の前駆体としての糖が増加する。
<1−5−2.第2養液の使用>
第1実施形態では、例えば、野菜の水耕栽培における第2ステップS2および第3ステップS3において、第1の光を照射して野菜を育てる第1光照射期間よりも前の期間に、第2養液を用いて野菜を育ててもよい。第2養液は、例えば、1リットル当たりの窒素の含有量が0.06mgから0.14mgであり、1リットル当たりの酸化カルシウムの含有量が0.1mgから0.25mgである培養液である。これにより、例えば、収穫時の野菜における硝酸塩の濃度を低下させることができるとともに、光合成の促進によって野菜の成長を促進することができる。
ここで、第2養液における1リットル当たりの窒素(N)、五酸化二リン(P)、酸化カリウム(KO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)および鉄(Fe)の各含有量は、例えば、図13で示される範囲に設定される。具体的には、第2養液における1リットル当たりの窒素(N)の含有量は、例えば、0.06mgから0.14mgに設定される。第2養液における1リットル当たりの五酸化二リン(P)の含有量は、例えば、0.04mgから0.1mgに設定される。第2養液における1リットル当たりの酸化カリウム(KO)の含有量は、例えば、0.12mgから0.3mgに設定される。第2養液における1リットル当たりの酸化マグネシウム(MgO)の含有量は、例えば、0.04mgから0.08mgに設定される。第2養液における1リットル当たりの酸化カルシウム(CaO)の含有量は、例えば、0.1mgから0.25mgに設定される。第2養液における1リットル当たりの鉄(Fe)の含有量は、例えば、0.001mgから0.003mgに設定される。
ところで、一般的な水耕栽培では、例えば、第2ステップS2では上述した第2参考養液を用いて野菜を育て、第3ステップS3のうち、第2B期間P2bでは第1参考養液を用いて野菜を育て、第2A期間P2aでは第2参考養液を用いて野菜を育てることが考えられる。
ここで、例えば、第2ステップS2および第3ステップS3のうちの第1光照射期間よりも前の期間に、第1参考養液および第2参考養液よりも窒素の含有量が少なく且つ酸化カルシウムの含有量が多い第2養液を用いて野菜を育てると、次のようなメカニズムで、収穫後の野菜における硝酸塩の濃度が低下するとともに、光合成の促進によって野菜の成長を促進するものと考えられる。
第2ステップS2および第3ステップS3のうちの第1光照射期間よりも前の期間に、第2養液を用いて野菜を育てると、養液における窒素の含有量の減少によって、養液における硝酸態窒素が減少する。これにより、例えば、収穫時の野菜に含まれる硝酸塩の濃度が減少する。また、例えば、養液における酸化カルシウムの濃度の増加によって、植物における光合成が促進される。
<1−5−3.第3養液の使用>
第1実施形態では、例えば、野菜の水耕栽培における第4ステップS4の第3期間P3において、第3養液を用いて野菜を育ててもよい。第3養液は、例えば、窒素をアンモニア態窒素の形態で含有し、1リットル当たりの窒素の含有量が0.21mgから0.42mgである養液である。これにより、例えば、収穫時の野菜における硝酸塩の濃度を低減しながら、野菜の食味を向上させることができる。
ここで、第3養液は、例えば、アンモニア態窒素としての硫酸アンモニウム((NHSO)の形態で、窒素(N)を含有している態様が考えられる。そして、第3養液における1リットル当たりの窒素(N)の含有量は、例えば、図13で示される範囲に設定される。
ところで、一般的な水耕栽培では、例えば、第4ステップS4では上述した第2参考養液を用いて野菜を育てることが考えられる。
ここで、例えば、第4ステップS4において、第2参考養液よりも窒素の含有量が少なく且つ窒素をアンモニア態窒素の形態で含有している第3養液を用いて野菜を育てると、次のようなメカニズムで、収穫後の野菜における硝酸塩の濃度が低下するとともに、野菜の食味が向上するものと考えられる。
第4ステップS4において、第3養液を用いて野菜を育てると、例えば、養液における硝酸態窒素の減少によって、収穫時の野菜に含まれる硝酸塩の濃度が低下する。また、例えば、第2の光を照射しつつアンモニア態窒素を供給することで、抗酸化物質の過度な生成を低減するとともに、アミノ酸の合成が適度に促進されて味にコクが加わることで野菜の食味が向上する。
<1−5−4.第4養液の使用>
第1実施形態では、例えば、野菜の水耕栽培における第4ステップS4の第3期間P3において、第3養液の代わりに第4養液を用いて野菜を育ててもよい。第4養液は、例えば、1リットル当たりの窒素の含有量が0.01mg以下であり、1リットル当たりの酸化マグネシウムの含有量が0.12mgから0.24mgであり、1リットル当たりの酸化カルシウムの含有量が0.54mgから0.8mgである養液である。これにより、例えば、収穫時の野菜における硝酸塩の濃度を低減しながら、野菜の食味を向上させることができるとともに、光合成の促進によって野菜の成長を促進することができる。
ここで、第4養液における1リットル当たりの窒素(N)、五酸化二リン(P)、酸化カリウム(KO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)および鉄(Fe)の各含有量は、例えば、図13で示される範囲に設定される。具体的には、第4養液における1リットル当たりの窒素(N)の含有量は、例えば、0.01mg以下に設定される。第4養液における1リットル当たりの五酸化二リン(P)の含有量は、例えば、0.2mgから0.4mgに設定される。第4養液における1リットル当たりの酸化カリウム(KO)の含有量は、例えば、0.72mgから1.2mgに設定される。第4養液における1リットル当たりの酸化マグネシウム(MgO)の含有量は、例えば、0.12mgから0.24mgに設定される。第4養液における1リットル当たりの酸化カルシウム(CaO)の含有量は、例えば、0.54mgから0.8mgに設定される。第4養液における1リットル当たりの鉄(Fe)の含有量は、例えば、0.007mgから0.024mgに設定される。
ここで、例えば、第4ステップS4において、第2参考養液と比較して、窒素の含有量が大幅に少なく、酸化マグネシウムの含有量が近く且つ酸化カルシウムの含有量が大幅に多い第4養液を用いて野菜を育てると、次のようなメカニズムで、収穫後の野菜における硝酸塩の濃度が低下するとともに、野菜の食味が向上し、光合成の促進によって野菜の成長を促進するものと考えられる。
第4ステップS4において、第4養液を用いて野菜を育てると、例えば、養液における窒素の濃度の大幅な減少によって、養液における硝酸態窒素が減少し、収穫時の野菜に含まれる硝酸塩の濃度が低下する。また、例えば、養液における窒素の濃度の大幅な減少によって、光合成による代謝のうち、アミノ酸の素となるアンモニア態窒素および硝酸態窒素などの窒素の供給量が少ないため、窒素と炭素(C)との合成などによるアミノ酸の合成が低減する。これにより、例えば、光合成による代謝において、アミノ酸の合成よりも、糖分の前駆体としての有機酸の合成が活発となり、有機酸を原料とした還元作用による糖の生成が促進される。その結果、例えば、光合成の代謝においてアミノ酸よりも糖分が優先して増加する。また、例えば、養液における酸化カルシウムの濃度の増加によって、植物における光合成が促進され、野菜の成長が促進する。また、例えば、養液における酸化マグネシウムの濃度の適切な維持によって、葉緑素(クロロフィル)の構成元素であるマグネシウムが適切に供給され、空気中の二酸化炭素を供給源として吸収された炭素の還元が維持および促進される。これにより、例えば、糖の生成が促進される。
また、例えば、第4ステップにおいて第3養液に代えて第4養液を用いれば、第3養液と比較して第4養液には窒素分以外の種々の養分が含まれているため、野菜の食味がより濃厚な味わいとなり得る。したがって、例えば、野菜の食味として濃厚な味わいを求める場合には第4ステップにおいて第4養液を用い、野菜の食味としてさっぱりした薄味を求める場合には第4ステップにおいて第3養液を用いるなど、目的に応じて第3養液と第4養液とを使い分けてもよい。
<1−6.具体例>
水耕栽培において、第1期間(発芽期間)P1、第2期間(主育成期間)P2の前期(第2A期間)P2aおよび第3期間(収穫直前期間)P3において、第2の光を照射するとともに、第2期間P2の後期(第2B期間)P2bにおいて、第1の光を照射して育てたレタスを、第1具体例の野菜として得た。また、第1期間P1、第2期間P2および第3期間P3の全ての期間において、第2の光を照射して育てたレタスを、第1参考例の野菜として得た。ここでは、照明条件以外は、同一条件として、第1具体例の野菜および第1参考例の野菜をそれぞれ得た。具体的には、第1期間P1および第2A期間P2aに上記の第2養液を用いた。第2B期間P2bに上記の第1養液を用いた。第3期間P3に上記の第3養液を用いた。また、第1具体例の野菜を得た条件をベースとして、第3期間P3に用いる養液を上記の第3養液から上記の第4養液に変更した条件で育てたレタスを、第2具体例の野菜として得た。また、市販されている露地物のミックスサラダから抽出したレタスを第2参考例の野菜として得た。さらに、市販されている露地物の結球レタスを第3参考例の野菜として得た。
そして、第1具体例の野菜、第1参考例の野菜、第2参考例の野菜および第3参考例の野菜を対象として、グルタミンの含有率を測定した。グルタミンの含有率の測定には、液体クロマトグラフ質量分析計(LC−MS)を用いた。より具体的には、島津製作所社製の液体クロマトグラフ(LC−20AC)を用い、ブルカー(BRUKER)社製の質量分析計(compact)を用いた。液体クロマトグラフでは、カラムとして、UHPLC PEEK Colum InterSustain Amide 3μm 2.1×50mmを用いた。クラジエント溶離において、0.1%の酢酸水溶液である液Aと、0.1%の酢酸を含有するアセトニトリルである液Bと、を混合した遊離液における液Bの割合を、測定開始から1分後に99%とし、2分後に80%とし、10分後から15分後に50%とした。遊離液の流量を、毎分0.4ミリリットル(0.4mL/min)とした。カラムの温度を、摂氏40度(40℃)とした。また、質量分析計では、液体クロマトグラフで分離した種々の成分のイオン化法を、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法とした。測定時間は、0.5分間から15分間とした。
ここでは、第1参考例の野菜におけるグルタミンの含有率は27ppm(parts per million)であった。第2参考例の野菜におけるグルタミンの含有率は38ppmであった。第3参考例の野菜におけるグルタミンの含有率は61ppmであった。これに対して、第1具体例の野菜におけるグルタミンの含有率は220ppmであった。換言すれば、グルタミンの含有率が220ppmであるレタスが得られた。これらの測定結果から、例えば、野菜の水耕栽培における第3ステップS3において、第2期間P2のうちの少なくとも一部の期間に、第1の光を照射して野菜を育てると、野菜におけるグルタミンの含有率が増大するものと推察された。
また、第1具体例の野菜、第2具体例の野菜および第2参考例の野菜の野菜を対象として、ブリックス(Brix)値を測定した。Brix値は、糖度として用いられる物理量であり、屈折式の糖度計を用いて測定した。
ここでは、第2参考例の野菜におけるBrix値は0.9であった。これに対して、第1具体例の野菜におけるBrix値は3から5.2であった。換言すれば、Brix値が3から5.2であるレタスが得られた。これらの測定結果から、例えば、野菜の水耕栽培における第3ステップS3において、第2期間P2のうちの少なくとも一部の期間に、第1の光を照射して野菜を育てると、野菜におけるBrix値が増大するものと推察された。また、第2具体例の野菜におけるBrix値は5から6.4であった。換言すれば、Brix値が5から6.4であるレタスが得られた。この測定結果から、例えば、野菜の水耕栽培における第4ステップS4の第3期間P3において、第3養液の代わりに第4養液を用いて野菜を育てると、野菜におけるBrix値がさらに向上しやすくなるものと推察された。
また、別の観点から言えば、例えば、野菜の水耕栽培における第3ステップS3において、第2期間P2のうちの少なくとも一部の期間に、第1の光を照射してレタスを育てることで、Brix値が3以上であるレタスが得られることが確認された。また、例えば、野菜の水耕栽培における第3ステップS3において、第2期間P2のうちの少なくとも一部の期間に、第1の光を照射してレタスを育てることで、グルタミンの含有率が220ppm以上であるレタスが得られることが確認された。したがって、例えば、野菜の食味が向上することが分かった。
また、第1具体例の野菜、第2具体例の野菜および第2参考例の野菜の野菜を対象として、硝酸塩の濃度を測定した。硝酸塩の濃度の測定には、所定量(0.3ミリリットル(mL))以上のサンプルの絞り汁を滴下し、硝酸イオンの濃度を測定することで硝酸塩の濃度を測定するイオン電極法が採用された、コンパクト硝酸イオンメータ(LAQUAtwin<NO3-11C/NO3-11S/NO3-11>)を用いた。
ここでは、第2参考例の野菜における硝酸塩の濃度は1860ppmであった。これに対して、第1具体例の野菜における硝酸塩の濃度は760ppmから1300ppmであった。これらの測定結果から、例えば、一般的な野菜の水耕栽培で用いられる第1参考養液および第2参考養液よりも1リットル当たりの窒素(N)の含有量が低い第1養液および第2養液を用いた野菜の水耕栽培によって、野菜における硝酸塩の濃度が低減されることが確認された。また、別の観点から言えば、例えば、第1養液および第2養液を用いた水耕栽培によってレタスを育てることで、硝酸塩の濃度が1300ppm以下であるレタスが得られることが確認された。したがって、例えば、健康にやさしい野菜を得ることができることが分かった。また、第2具体例の野菜における硝酸塩の濃度は180ppmから1100ppmであった。この測定結果から、例えば、第4ステップS4の第3期間P3において、第3養液よりも1リットル当たりの窒素(N)の含有量がさらに低い第4養液を用いた野菜の水耕栽培によって、野菜における硝酸塩の濃度が低減されやすくなることが確認された。また、別の観点から言えば、例えば、第4養液を用いた水耕栽培によってレタスを育てることで、硝酸塩の濃度が1100ppm以下であるレタスが得られることが確認された。
<1−7.第1実施形態のまとめ>
第1実施形態に係る水耕栽培による野菜の生産方法では、例えば、野菜の水耕栽培の期間のうち、第3ステップS3において、第2期間P2のうちの少なくとも一部の期間に、500nm以下の可視光の波長域に光強度の最大値(第1最大値)を有する第1の光を照射して野菜を育てる。これにより、例えば、野菜におけるグルタミンの含有率および糖度を増大させることができる。したがって、例えば、野菜の食味を向上させることができる。
<2.他の実施形態>
本開示は上述の第1実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更および改良などが可能である。
1 光源
3 発光素子
6 波長変換部材
7 蛍光体
10 照明装置
30a,30b 容器
31a 苗床
31b 培地
32a 種子
32b 苗
32c 栽培対象野菜
33 電源
34 支持体
P1 第1期間
P2 第2期間
P2a 第2A期間
P2b 第2B期間
P3 第3期間
S1 第1ステップ
S2 第2ステップ
S3 第3ステップ
S4 第4ステップ
S5 第5ステップ

Claims (5)

  1. 播種を行う第1ステップと、
    第1期間において種子から子葉を出させる第2ステップと、
    前記第1期間の次の第2期間において第1養液および第2養液を用いて野菜を育てる第3ステップと、
    前記第2期間の次の第3期間において野菜をさらに育てる第4ステップと、
    野菜を収穫する第5ステップと、を有し、
    前記第3ステップにおいて、前記第2養液を用いて野菜を育てた後に、前記第1養液を用いて野菜を育て、
    前記第1養液として、1リットル当たりの窒素の含有量が0.2mgから0.47mgであり、1リットル当たりの酸化カルシウムの含有量が0.33mgから0.83mgである培養液を用い、
    前記第2養液として、1リットル当たりの窒素の含有量が0.06mgから0.14mgであり、1リットル当たりの酸化カルシウムの含有量が0.1mgから0.25mgである培養液を用いる、野菜の生産方法。
  2. 請求項1に記載の野菜の生産方法であって、
    前記第2期間は、苗を育てる育苗期間と、該育苗期間の後に間隔が拡大された苗から野菜を育てる栽培成長期間と、を有しており、
    前記育苗期間に、前記第2養液を用いて野菜を育てるとともに、前記栽培成長期間に、前記第1養液を用いて野菜を育てる、野菜の生産方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の野菜の生産方法であって、
    前記第4ステップにおいて、窒素をアンモニア態窒素の形態で含有し、1リットル当たりの窒素の含有量が0.21mgから0.42mgである、第3養液を用いて野菜を育てる、野菜の生産方法。
  4. 請求項1または請求項2に記載の野菜の生産方法であって、
    前記第4ステップにおいて、1リットル当たりの窒素の含有量が0.01mg以下であり、1リットル当たりの酸化マグネシウムの含有量が0.12mgから0.24mgであり、1リットル当たりの酸化カルシウムの含有量が0.54mgから0.8mgである、第4養液を用いて野菜を育てる、野菜の生産方法。
  5. 請求項1から請求項4の何れか1つの請求項に記載の野菜の生産方法であって、
    前記野菜は、葉菜類の野菜を含む、野菜の生産方法。
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