JP2021147942A - 防火性積層体及び防火性積層体の製造方法 - Google Patents

防火性積層体及び防火性積層体の製造方法 Download PDF

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【課題】耐火性及び消火性を有する防火性積層体の製造方法を提供すること。【解決手段】燃焼によってエアロゾルを発生する消火剤成分と、バインダー樹脂とを含む塗液を調製する工程と、空隙を有する不燃性又は難燃性の基材の表面上に塗液を用いて塗膜を形成する工程と、塗膜を乾燥処理することによって基材の表面上に、消火剤成分とバインダー樹脂とを含む消火剤含有層を形成する工程と、を備える、防火性積層体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、耐火性及び消火性を有する防火性積層体及び当該防火性積層体の製造方法に関する。
ガラスクロス、無機系接着剤層、及び不燃紙が積層されてなる耐火構造用下地材が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016−142108号公報
上記耐火構造用下地材は建築物の天井等に配置されるため、耐火性に加えて、好ましくは消火性をも具備することで、さらなる安全性向上を実現することができる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐火性及び消火性を有する防火性積層体を提供することを目的とする。本発明はまた、防火性積層体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る防火性積層体の製造方法は、燃焼によってエアロゾルを発生する消火剤成分と、バインダー樹脂とを含む塗液を調製する工程と、空隙を有する不燃性又は難燃性の基材の表面上に上記塗液を用いて塗膜を形成する工程と、塗膜を乾燥処理することによって基材の表面上に、消火剤成分とバインダー樹脂とを含む消火剤含有層を形成する工程とを備える。このような製造方法により、耐火性及び消火性を有する防火性積層体を実現することができる。
本発明の一側面に係る防火性積層体は、空隙を有する不燃性又は難燃性の基材と、基材の表面上に設けられており、燃焼によってエアロゾルを発生する消火剤成分と、バインダー樹脂とを含む消火剤含有層と、を備え、基材が、該基材内の消火剤含有層側に消火剤成分及びバインダー樹脂の担持領域を有する。このような防火性積層体は、耐火性及び消火性を有する。
上記製造方法の一態様において、塗液の粘度は100〜5000Pa・sであってよい。これにより、基材中への適度な浸入性、塗膜の均一性等をより高水準で得ることができる。
基材の空隙率は30〜80%であってよい。これにより、耐火性、消火剤含有層の保持性(アンカー効果)、基材としての形状保持性等をより高水準で得ることができる。
消火剤成分は、例えば、バインダー樹脂とともに燃焼して熱エネルギーを発生する無機酸化剤と、ラジカル発生剤とを少なくとも含み、ラジカル発生剤の分解開始温度が90℃〜260℃の範囲である。かかる消火剤成分は、優れた消火性能を有する。消火剤成分は、ラジカル発生剤として、例えば、カリウム塩及びナトリウム塩の少なくとも一方を含む。カリウム塩及びナトリウム塩は燃焼ラジカルを安定化して燃焼の連鎖反応を抑制する作用(負触媒作用)を有する。
消火剤含有層におけるバインダー樹脂の含有率は3〜50質量%であることが好ましい。消火剤含有層におけるバインダー樹脂の含有率が3質量%以上であることで、優れた塗工性を達成でき、他方、50質量%以下であることで、優れた消火性能を達成できる。
消火剤含有層の厚さは、防火性積層体の設置場所、配合すべき消火剤成分の量に応じて適宜設定すればよく、例えば30〜1000μmとすることができる。
基材における担持領域の厚さは、基材の厚さの95%以下であってよい。これにより、耐火性、基材の耐衝撃性、消火剤含有層の保持性、消火性等をより高水準で得ることができる。
本発明によれば、耐火性及び消火性を有する防火性積層体を提供することができる。また、本発明は、防火性積層体の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明に係る消火用積層体の一実施形態を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明に係る消火用積層体の他の実施形態を模式的に示す断面図である。 図3は、本発明に係る消火用積層体の他の実施形態を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<防火性積層体>
図1は、本実施形態に係る防火性積層体の模式断面図である。防火性積層体10は、基材1(基材層)と、消火剤含有層2とをこの順に備える。消火剤含有層2は基材1の一方の表面の少なくとも一部に設けられていればよいが、図1に示すように、表面の全面に設けられていてもよい。基材1は、該基材1内でありかつ消火剤含有層2側に消火剤成分及びバインダー樹脂の担持領域1aを有する。
防火性積層体10は、その消火剤含有層2側が発火する虞のある対象物に対面するようにして用いることができる。対象物から発火した場合、消火剤含有層2から生じるエアロゾルにより初期消火が行われることになる。
(基材)
基材1は空隙を有しており、例えば不燃性若しくは難燃性の繊維を絡ませてなる不織布、あるいは不燃性若しくは難燃性の繊維を編み込む等してなる織布形状を有している。不燃性又は難燃性の繊維としては、例えば、ガラス繊維、セラミック繊維、金属繊維、セルロース繊維、ポリエステル繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、熱硬化性樹脂繊維等が挙げられる。優れた不燃性を有する観点からは、ガラス繊維及びセラミック繊維を用いることができる。基材1としては、ガラスクロス、不燃紙等が挙げられる。基材としては、JIS Z 2150−1966で定める防炎1級に該当する不燃性基材を用いてよい。
ガラスクロスは、ガラス繊維が平面的に編みこまれてなるシート状の基材である。ガラス繊維としては、例えば、汎用の無アルカリガラス繊維(Eガラス)、耐酸性の含アルカリガラス繊維(Cガラス)、高強度で高弾性率のガラス繊維(Sガラス、Tガラス等)、耐アルカリ性ガラス繊維(ARガラス)等が挙げられる。汎用性の観点からは、無アルカリガラス繊維を用いることができる。
ガラス繊維のフィラメント直径は、特に限定されないが、例えば1〜20μmであってよく、3〜12μmであってよい。
ガラスクロスの織組織としては、特に限定されないが、例えば、既知の平織、朱子織、綾織、斜子織、畦織等が挙げられる。汎用性の観点からは、平織及び綾織を用いることができる。
ガラスクロスの織組織の坪量は、特に限定されないが、例えば、耐火性、加工性、軽量化の観点から、10〜1000g/m2とすることができ、20〜700g/m2であってよい。
不燃紙は、火に接しても燃え難い紙材からなるシート状の基材である。不燃紙としては、例えば、ケイ酸マグネシウムを主成分とする無機質紙、ロックウールを主成分とする無機質紙、水酸化アルミニウム等の消炎剤を含有する紙を使用することができる。
ケイ酸マグネシウムを主成分とする無機質紙を不燃紙として用いる場合、耐火性、加工性、軽量化の観点から、不燃紙はケイ酸マグネシウムを70質量%以上含んでよく、また不燃紙の坪量は100〜500g/m2とすることができる。
基材1の空隙率は、耐火性、消火剤含有層の保持性、基材としての形状保持性等の観点から、30〜80%とすることができ、35〜75%であってよい。
基材1の空隙率は、光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡等の顕微鏡を用いて測定することができる。例えば、基材1の厚さに面積を乗じたものを基材1全体の体積とし、目付け量及び嵩高糸の比重から嵩高糸の体積を算出し、基材1全体の体積から嵩高糸の体積を差し引いたものを空隙の体積とし、基材1全体の体積に対する空隙の体積の比率として算出することができる。
基材1の厚さは、耐火性、基材としての形状保持性等の観点から、20μm以上とすることができ、25μm以上であってよい。基材1の厚さの上限は、例えば1mmとすることができる。
(担持領域)
基材1における担持領域1aは、消火剤成分及びバインダー樹脂を含む塗液を用いて基材1の表面上に塗膜を形成する際に、塗液の一部が基材1中に浸入することにより形成される。基材1は、消火剤成分及びバインダー樹脂の担持領域1aと、それらの非担持領域1bとを備えるということができる。
担持領域1aの厚さ(深さということもできる)は、耐火性、基材の耐衝撃性、消火剤含有層の保持性、消火性等の観点から、基材1の厚さの95%以下とすることができ、50%以下であってよい。担持領域1aの厚さは、基材1の空隙率、塗液の粘度等を変更することにより調整することができる。
(消火剤含有層)
消火剤含有層2は、消火剤成分と、バインダー樹脂とを含む層である。消火剤成分は、燃焼によってエアロゾルを発生するものである。消火剤成分は、例えば、無機酸化剤と、ラジカル発生剤とを少なくとも含む。ラジカル発生剤は燃焼ラジカルを安定化して燃焼の連鎖反応を抑制する作用(負触媒作用)を有する。
消火剤含有層2の厚さは、防火性積層体10の設置場所、配合すべき消火剤成分の量に応じて適宜設定すればよい。消火剤含有層2の厚さは、例えば、1mm以下であればよく、30〜1000μmとすることができ、50〜500μmであってよい。
消火剤含有層2の消火剤成分の含有率(消火剤含有層2の質量基準)は、例えば、50〜97質量%であり、好ましくは60〜95質量%であり、より好ましくは70〜92質量%である。消火剤成分の含有率が50質量%以上であることで、優れた消火性能を達成でき、他方、97質量%以下であることで、優れた成形性を達成できる。消火剤成分の単位面積あたりの量は、消火すべき対象に応じて設定すればよい。例えば、ろくそく程度の小さい火力に対しては25g/m以上であればよい。固形燃料1gの火力に対しては90g/m以上であればよい。大規模火災やリチウムイオン電池からの発火などの大きな火力に対しては100g/m以上であることが好ましい。
[消火剤成分]
消火剤含有層2は、上述のとおり、消火剤成分として無機酸化剤とラジカル発生剤とを含む。以下、これらの成分について説明する。
無機酸化剤(以下、場合により、「(A)成分」という。)は、バインダー樹脂とともに燃焼して熱エネルギーを発生する成分である。無機酸化剤として、塩素酸カリウム、過塩素酸カリウム、塩素酸ナトリウム、塩素酸ストロンチウム、塩素酸アンモニウム及び塩素酸マグネシウムが挙げられる。これらのうち、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
ラジカル発生剤(以下、場合により、「(B)成分」という。)は、バインダー樹脂及び無機酸化剤の燃焼により生じた熱エネルギーによりエアロゾル(ラジカル)を発生させるための成分である。ラジカル発生剤として、分解開始温度が90〜260℃の範囲のものを使用することが好ましい。ラジカル発生剤として、カリウム塩及びナトリウム塩が挙げられる。カリウム塩として、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、クエン酸一カリウム、クエン酸二カリウム、クエン酸三カリウム、エチレンジアミン四酢酸三水素一カリウム、エチレンジアミン四酢酸二水素二カリウム、エチレンジアミン四酢酸一水素三カリウム、エチレンジアミン四酢酸四カリウム、フタル酸水素カリウム、フタル酸二カリウム、シュウ酸水素カリウム、シュウ酸二カリウム及び重炭酸カリウムが挙げられる。ナトリウム塩として、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムが挙げられる。これらのうち、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
(A)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、例えば、10〜60質量部であり、好ましくは20〜50質量部であり、より好ましくは35〜45質量部である。(B)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、例えば、45〜90質量部であり、好ましくは50〜80質量部であり、より好ましくは55〜65質量部である。
消火剤含有層2に配合する消火剤成分として、市販品を使用してもよい。市販の消火剤成分として、K−1(商品名、ヤマトプロテック株式会社製)、STAT−X(商品名、日本工機株式会社製)が挙げられる。
[バインダー樹脂]
バインダー樹脂として、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を使用できる。熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ(1−)ブテン系樹脂、ポリペンテン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−プロピレン樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂として、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエンゴム(1,2−BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR、EPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM、ANM)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、多加硫ゴム(T)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM、FZ)、ウレタンゴム(U)等のゴム類、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート樹脂、ポリイソシアヌレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。バインダー樹脂には硬化剤成分が含まれていてよい。
エポキシ樹脂は、消火剤成分との相溶性に優れるとともに、後述のアルコール溶媒に可溶であり且つ安定性が高い点で、バインダー樹脂に適している。エポキシ樹脂は、カリウム塩及びナトリウム塩(ラジカル発生剤)と相溶性に優れるため、厚さが均一の消火剤含有層が得られやすい。これに加え、エポキシ樹脂は湿熱による加水分解及び脆化が生じないため、エポキシ樹脂をバインダー樹脂として含む消火剤含有層は優れた安定性を有する。また、消火剤含有層の燃焼時には約260〜350℃で熱分解が始まり、消火性能を損なうことなく、エアロゾルを発生することができる。
バインダー樹脂として、水蒸気バリア性を有するものを使用することが好ましい。バインダー樹脂は、バインダー樹脂からなる単層フィルムを作製したとき、好ましくは5g・mm/m/day以下、より好ましくは1g・mm/m/day以下の水蒸気透過度(JIS K 7129準拠 40℃/90%RH条件下)を達成できるものが好ましい。かかるバインダー樹脂の市販品として、マクシーブ(商品名、三菱ガス化学株式会社製)が挙げられる。
消火剤含有層2の全量を基準とするバインダー樹脂の含有率は、例えば、3〜50質量%であり、好ましくは5〜40質量%であり、より好ましくは8〜30質量%である。バインダー樹脂の含有率が3質量%以上であることで、優れた塗工性を達成でき、他方、50質量%以下であることで、優れた消火性能を達成できる。
[その他の成分]
消火剤含有層2に配合するその他の成分として、水等の分散剤、溶剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤、無機充填材及び粘着剤が挙げられる。これらの成分は、消火剤含有層2の組成及びバインダー樹脂の種類によって適宜選択すればよい。消火剤含有層2におけるその他の成分の含有率(消火剤含有層2の質量基準)は、例えば、30質量%以下である。
<防火性積層体の製造方法>
防火性積層体10の製造方法は、上記消火剤成分と、上記バインダー樹脂とを含む塗液を調製する工程(塗液調製工程)と、基材1の表面上に塗液を用いて塗膜を形成する工程(塗布工程)と、塗膜を乾燥処理することによって基材1の表面上に消火剤含有層2を形成する工程(乾燥工程)とを備える。
塗液調製工程において、塗液の調製に使用する溶媒として、アルコール溶媒(例えば、エタノール、IPA)が好ましい。アルコール溶媒は消火剤成分の分散性に優れるとともに低揮発性であるため、塗液を調製するための溶媒として適している。溶媒として、酢酸エチルを使用してもよい。消火剤成分及びバインダー樹脂の量に対する溶媒の量比は、所望の塗液粘度に応じて適宜調整すればよい。塗液の粘度は、基材1中への適度な浸入性、塗膜の均一性等の観点から、100〜5000Pa・sとすることができ、150〜3000Pa・sであってよい。
塗布工程は、ウェットコーティングによって実施してもよいし、基材1を塗液に含浸させることによって実施してもよい。
乾燥工程は、溶媒を充分に除去しつつ、かつ消火剤成分の反応を抑制する観点から、例えば塗膜を50〜100℃に加熱することで実施することができる。
防火性積層体10は、発火の懸念がある箇所に容易に設置が可能であり且つ発火時の初期消火に優れた効果を発揮する。このため、火災の拡大を抑制し得る点で有用である。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、基材1と消火剤含有層2の二層構成の防火性積層体10を例示したが、防火性積層体は三層以上の構成を有していてもよく、例えば他の基材、接着剤層等を更に備えてもよい。
図2及び図3は、本発明に係る消火用積層体の他の実施形態を模式的に示す断面図である。図2に示す防火性積層体20は、他の基材3と、接着剤層4と、基材1と、消火剤含有層2とをこの順序で備える。図3に示す防火性積層体30は、基材1と、消火剤含有層2と、接着剤層4と、他の基材3とをこの順序で備える。接着剤層4によりさらに他の基材3を設けることにより、防火性積層体に耐久性及び意匠性を付与することができる。
(他の基材)
他の基材3としては、上記基材1について記載したものと同様のものを用いることができる。
(接着剤層)
接着剤層4は、有機系接着剤及び無機系接着剤を用いて形成することができる。有機系接着剤としては、トーヨーケム株式会社製のSP−205等が挙げられる。無機系接着剤としては、例えば、シリカを主成分とするシリカ系接着剤、セラミックを主成分とするセラミック系接着剤、セメントを主成分とするセメント系接着剤等が挙げられる。接着剤層4は、不燃性接着剤又は難燃性接着剤であることが好ましい。接着剤層4は、耐火性の観点から無機系接着剤であることが好ましい。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
以下の材料を準備した。
[空隙を有する不燃性基材]
・ガラスクロス1(Eガラスよりなる綾織のガラスクロス、坪量640g/m2、厚さ500μm、空隙率69%)
・ガラスクロス2(Eガラスよりなる平織のガラスクロス、坪量23g/m2、厚さ21μm、空隙率57%)
・不燃紙(ケイ酸マグネシウムを主成分(含有率:80質量%)とする不燃紙、坪量350g/m2、厚さ490μm、空隙率71%)
[消火剤成分]
・エアロゾル消化剤(商品名:K−1、ヤマトプロテック株式会社製)
[溶媒]
・エタノール
[バインダー樹脂]
・エポキシ樹脂(商品名:マクシーブM−100、三菱ガス化学株式会社製)
・アミン系のエポキシ樹脂硬化剤(商品名:マクシーブC−93、三菱ガス化学株式会社製)
[接着剤]
・無機系接着剤(アモルファスシリカを主成分とする接着剤)
・有機系接着剤(商品名:SP−205、トーヨーケム株式会社製)
(実施例1)
エアロゾル消火剤にエタノールを加えてスラリーを調製した。得られたスラリーに、バインダー樹脂(エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤)を加えて塗液を調製した。バインダー樹脂とエアロゾル消火剤との混合比は、乾燥後の塗膜の状態における質量比で10:90(消火剤含有層の全量を基準とするバインダー樹脂の含有率が10質量%)とした。塗液の粘度は180Pa・sであった。
ガラスクロス1の一方の面と不燃紙とを無機系接着剤で貼り合わせた。その後、ガラスクロス1の他方の面上に上記塗液を、乾燥状態で120g/m2(乾燥後の塗膜の単位面積あたりの質量)となるように塗布して塗膜を形成した。これを90℃で4分間乾燥させて厚さ80μmの消火剤含有層を形成し、積層体を得た。ガラスクロス1内には消火剤成分及びバインダー樹脂の担持領域が形成されていた。
(実施例2)
基材2(不燃紙)を用いずに、ガラスクロス1の一方の面上に上記塗液を塗布して塗膜を形成した。このこと以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
(実施例3)
ガラスクロス1と不燃紙の一方の面とを無機系接着剤で貼り合わせた。その後、不燃紙の他方の面上に上記塗液を塗布して塗膜を形成した。このこと以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。消火剤含有層の厚さは80μmであった。不燃紙内には消火剤成分及びバインダー樹脂の担持領域が形成されていた。不燃紙内に形成された担持領域は30μmであった。
(実施例4)
ガラスクロス1に代えて不燃紙を用いたこと以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。
(実施例5)
ガラスクロス2の一方の面上に上記塗液を塗布して塗膜を形成した。これを90℃で4分間乾燥させて消火剤含有層を形成した。ガラスクロス2の消火剤含有層が形成された面と不燃紙とを無機系接着剤で貼り合わせた。このこと以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。消火剤含有層の厚さは80μmであった。ガラスクロス2内には消火剤成分及びバインダー樹脂の担持領域が形成されていた。
(実施例6)
無機系接着剤に代えて有機系接着剤を用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
(実施例7)
無機系接着剤に代えて有機系接着剤を用いたこと以外は、実施例3と同様にして積層体を得た。
(実施例8)
塗液調製時に、バインダー樹脂とエアロゾル消火剤との混合比を、乾燥状態の質量比で5:95とした。このこと以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
(実施例9)
塗液調製時に、バインダー樹脂とエアロゾル消火剤との混合比を、乾燥状態の質量比で50:50とした。このこと以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
(実施例10)
塗液調製時に、バインダー樹脂を用いず、すなわちバインダー樹脂とエアロゾル消火剤との混合比を、乾燥状態の質量比で0:100とした。このこと以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
(比較例)
消火剤含有層を形成しなかったこと、また無機系接着剤に代えて有機系接着剤を用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。
<防火性能の評価>
[消火性]
各例で作製した積層体を20mm角の大きさにカットし、評価サンプルとした。アルミ製の容器の内部で蝋燭を燃やし、蝋燭の炎の先端から高さ20mmの位置にまで、評価サンプルの消火剤含有層を近づけた。そして、5秒以内に消火できるか(消火の可否)を確認した。表1に評価結果を示す。なお、実施例5については、評価サンプルのガラスクロス2側を炎に近づけた。
[耐火性]
各例で作製した積層体を20mm角の大きさにカットし、評価サンプルとした。アルミ製の容器の内部で蝋燭を燃やし、蝋燭の炎の先端から高さ20mmの位置にまで、評価サンプルの消火剤含有層側を近づけた。そして、5秒以内の積層体の形状維持具合を確認した。表1に評価結果を示す。なお、実施例5については、評価サンプルのガラスクロス2側を炎に近づけた。
A:基材及び接着剤層の形状が維持された。
B:基材の形状は維持されたが、接着剤層の形状は維持されなかった。
[消火剤性状安定性]
各例で作製した積層体を40℃90%RH環境下に7日間保持した。その後、消火剤含有層の形状を確認したところ、バインダー樹脂を用いた例では消火剤含有層の外観に変化はなかったが、バインダー樹脂を用いなかった実施例10では消火剤含有層の外観に変化(消火剤含有層の変色、膨潤等)があった。
Figure 2021147942
本発明によれば、耐火性に加えて消火性をも有する防火性積層体が提供される。安全性に優れるこのような防火性積層体は、建築物の天井等に好適に用いることができる。
1…基材、1a…担持領域、1b…非担持領域、2…消火剤含有層、3…他の基材、4…接着剤層、10,20,30…防火性積層体。

Claims (10)

  1. 燃焼によってエアロゾルを発生する消火剤成分と、バインダー樹脂とを含む塗液を調製する工程と、
    空隙を有する不燃性又は難燃性の基材の表面上に前記塗液を用いて塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜を乾燥処理することによって前記基材の表面上に、前記消火剤成分と前記バインダー樹脂とを含む消火剤含有層を形成する工程と、
    を備える、防火性積層体の製造方法。
  2. 前記塗液の粘度が100〜5000Pa・sである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記基材の空隙率が30〜80%である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 空隙を有する不燃性又は難燃性の基材と、
    前記基材の表面上に設けられており、燃焼によってエアロゾルを発生する消火剤成分と、バインダー樹脂とを含む消火剤含有層と、を備え、
    前記基材が、該基材内の前記消火剤含有層側に前記消火剤成分及び前記バインダー樹脂の担持領域を有する、防火性積層体。
  5. 前記消火剤成分が、前記バインダー樹脂とともに燃焼して熱エネルギーを発生する無機酸化剤と、ラジカル発生剤とを少なくとも含み、
    前記ラジカル発生剤の分解開始温度が90〜260℃の範囲である、請求項4に記載の防火性積層体。
  6. 前記ラジカル発生剤がカリウム塩及びナトリウム塩の少なくとも一方である、請求項5に記載の防火性積層体。
  7. 前記消火剤含有層の全量を基準とする前記バインダー樹脂の含有率が3〜50質量%である、請求項4〜6のいずれか一項に記載の防火性積層体。
  8. 前記消火剤含有層の厚さが30〜1000μmである、請求項4〜7のいずれか一項に記載の防火性積層体。
  9. 前記担持領域の厚さが前記基材の厚さの95%以下である、請求項4〜8のいずれか一項に記載の防火性積層体。
  10. 前記基材の空隙率が30〜80%である、請求項4〜9のいずれか一項に記載の防火性積層体。
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