JP2021144887A - 飛行時間型質量分析装置、及び、飛行時間型質量分析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】検出器の劣化を抑制し、かつ、低濃度元素と高濃度元素とを共に精度よく測定可能な飛行時間型質量分析装置を提供する【解決手段】試料100へイオンビーム201をパルス状に出射し、イオン粒子395を発生させるビーム照射部10と、イオン粒子395を導入して飛行させる質量分析部30と、質量分析部30に設置され、イオン粒子395を増幅して質量を検出するMCP38と、MCP38に電圧を印加するMCP用電源51と、電圧をゲイン調整するMCP電圧ゲイン設定部81とを備える。MCP電圧ゲイン設定部81は、ビーム照射部10がイオンビーム201を1パルス出射してから次のパルスを出射するまでの間に、前記電圧をゲイン調整する。【選択図】図9

Description

本実施形態は、飛行時間型質量分析装置、及び、飛行時間型質量分析方法に関する。
半導体基板中や、半導体基板上に形成された膜中に存在する元素の質量を分析する装置として、飛行時間型質量分析装置が知られている。
特開平11−288684号公報
本実施形態は、検出器の劣化を抑制し、かつ、低濃度元素と高濃度元素とを共に精度よく測定可能な飛行時間型質量分析装置、及び、飛行時間型質量分析方法を提供することを目的とする。
本実施形態の飛行時間型質量分析装置は、試料へイオンビームをパルス状に出射し、イオン化粒子を発生させるイオン光源と、前記イオン化粒子を導入して飛行させる質量分析チャンバと、前記質量分析チャンバに設置され、飛行した前記イオン化粒子を増幅して質量を検出するMCP型イオン検出器と、前記MCP型イオン検出器に電圧を印加するMCP電圧印加部と、前記電圧をゲイン調整するMCP電圧ゲイン調整部と、を備える。前記MCP電圧ゲイン調整部は、前記イオン光源が前記イオンビームを1パルス出射してから次のパルスを出射するまでの間に、前記電圧をゲイン調整する。
本発明の実施形態にかかる飛行時間型質量分析装置の構成例を示すブロック図。 質量分析部の内部構成の一例を概略的に示すブロック図。 MCPの断面の斜視図。 MCPのマイクロチャネルの斜視図。 イオン検出機構の構成例を示すブロック図。 MCPゲイン電圧と検出強度との関係を説明する図。 MCPゲイン調整部の構成例を示す回路図。 第1実施形態にかかるマススペクトルとMCPゲイン電圧との関係の一例を説明する図。 第1実施形態にかかるマススペクトルとMCPゲイン電圧との関係の別の一例を説明する図。 第1実施形態にかかるマススペクトルとMCPゲイン電圧との関係の変形例を説明する図。 第2実施形態にかかるマススペクトルとMCPゲイン電圧との関係の一例を説明する図。
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態にかかる飛行時間型質量分析装置の構成例を示すブロック図である。本実施形態の飛行時間型質量分析装置1は、ビーム照射部10と、レーザ照射部20と、質量分析部30と、制御部40と、可変電源50と、試料台60と、チャンバ70とを備える。
イオン光源としてのビーム照射部10は、試料台60上に設置された試料100に、イオンビーム201をパルス状に照射する。イオンビーム201は、例えばガリウムイオンを含んだ収束イオンビーム(FIB)である。真空状態のチャンバ70内でイオンビーム201が試料100に照射されると、試料はスパッタされ、その表面から粒子が放出される。
レーザ照射部20は、光源21と、レンズ部22とを有する。光源21は、レーザ光202を放出する。レーザ光202は、レンズ部22で集光されて試料100の上方に照射される。試料100から放出された粒子は、レーザ光202によってイオン化される。レーザ光202によってイオン化されたイオン粒子は、質量分析部30で質量分析される。質量分析部30は、後述するように、MCP(Micrо Channel Plate)38を有する。

図2は、質量分析部の内部構成の一例を概略的に示すブロック図である。図2に示す質量分析部30は、内部に引き込まれたイオン粒子を途中で方向が反転するように飛行させるリフレクトロン型である。具体的には、質量分析チャンバとしての質量分析部30は、引き込み電極31と、レンズ電極32と、第1偏向電極33と、第2偏向電極34と、ドリフト電極35と、R−tоp電極36と、R−bоt電極37と、MCP(Micrо Channel Plate)38とを有する。
引き込み電極31〜R−bоt電極37の各々は、イオン粒子の軌道に沿って配置されている。また、これらの電極は、可変電源50に接続されている。可変電源50は、制御部40の制御に基づいて、各電極に印加する電圧を調整することができる。
引き込み電極31は、電圧が印加されると、試料100と質量分析部30との間に電界を形成する。この電界によって、イオン粒子を質量分析部30内へ引き込む。レンズ電極32は、電圧が印加されることにより、引込電極31によって引き込まれたイオン粒子の飛行経路を収束させられる。
また、第1偏向電極33、第2偏向電極34、及び、ドリフト電極35に印加されるそれぞれの電圧は、可変電源50で調整可能である。第1偏向電極33、第2偏向電極34、及び、ドリフト電極35に印加する電圧を調整することによって、引き込み電極31およびレンズ電極32を通過したイオン粒子がMCP38へ到達できるように軌道調整できる。さらに、R−tоp電極36及びR−bоt電極37に印加する電圧を可変電源50で調整することによって、イオン粒子の飛行方向の反転特性を調整できる。
図3は、MCPの断面の斜視図である。イオン検出器であるMCP38は、マイクロチャネル(貫通孔)384を複数有する基板381を備える。MCP38は、イオン検出器として機能し、複数のマイクロチャネル384の各々は、電子増倍用のチャネルとして機能する。マイクロチャネル384は、基板381の頂面382から基板381の底面383まで延在する。基板381の頂面382は電極材料でコーティングされており、入力側電極385が形成されている。また、基板の381の底面383も電極材料でコーティングされており、出力側電極386が形成されている。入力側電極385と出力側電極386との間には、MCPゲイン調整部81により、MCPゲイン電圧VMCPが印加される。MCPゲイン調整部81は、MCP基準電圧印加部51から供給されるMCP基準電圧VMCP_REFに基づいて、MCPゲイン電圧VMCPを生成する。なお、可変電源50からMCP38に電圧を供給してもよい。すなわち、MCPゲイン調整部81およびMCP基準電圧印加部51が、可変電源50の一部として与えられてもよい。
図4は、MCPのマイクロチャネルの斜視図である。マイクロチャネル(貫通孔)384は、チャネル壁(内壁)391およびチャネル空間393とを有し、電子倍増用のチャネルとして機能する。マイクロチャネル(貫通孔)384の入力側開口部392と出力側開口部394との間に、MCP基準電圧印加部51およびMCPゲイン調整部81によってMCPゲイン電圧VMCPが印加される。MCPゲイン電圧VMCPが印加された状態で、入力側開口部392からチャネル空間393にイオン粒子395が入射されると、チャネル壁(内壁)391にイオン粒子395が衝突して2つ以上の二次電子396が放出される。放出された二次電子396も電位勾配によってチャネル壁(内壁)391に衝突し、更なる二次電子396の放出が繰り返される(二次電子のカスケード増倍)。このようにしてカスケード増倍された多数の二次電子は、出力側開口部394から放射電子397として放出される。
上述のように構成されたMCP38で増倍された放射電子は、イオン検出機構によって計数される。図5は、イオン検出機構の構成例を示すブロック図である。MCP38には、MCPゲイン調整部81からMCPゲイン電圧VMCPが印加されている。MCP38に入射したイオン粒子は、MCP38により増幅されて、放射電子として放出される。MCP38から放出された放射電子、すなわち検出信号(アナログ信号)は、プリアンプ82によって増幅された後、ADコンバータ83でデジタル信号に変換される。デジタル化された検出信号は、シグナルアベレージャ84でS/N比を改善された後、制御部40へ出力される。
制御部40は、プロセッサとしての中央演算処理装置(CPU)41と、RAM42とを備えている。CPU41は、図示しないメモリに記憶されたプログラムに従って動作し、飛行時間型質量分析装置1を構成する各部位(ビーム照射部10、レーザ照射部20、可変電源50など、)の動作や設定を制御する制御機能を有すると共に、質量分析部30から出力される検出信号を分析するデータ分析機能も有する。すなわち、質量分析部30から入力された検出信号を分析し、試料100に含まれる元素を同定して元素ごとに質量を算出する。RAM22は、分析後のデータや各種設定値を格納する。
例えば、半導体基板中に形成したPウェルの濃度の測定など、半導体基板中に存在する元素の質量を分析する場合、試料100に含まれる半導体基板を構成する元素(例えば、28Si(シリコン))の質量に比べ、基板中に打ち込んだ元素(例えば、11B(ボロン))の質量は非常に小さい。例えば、基板である28Siの密度が約5e+22cm−3程度であるのに対し、Pウェルの11B濃度が1e+15cm−3程度である場合、11Bの濃度は28Siの濃度に比べて10−7倍も小さい。このような試料100を分析する場合、質量分析部30内へ引き込まれるイオン粒子の大多数はイオン化された28Siであり、イオン化された11Bはごく微量となる。
MCP38の二次電子増幅率は、MCP38に印加されるMCPゲイン電圧VMCPが高くなるほど大きくなる。従って、低濃度で存在する元素を分析するためには、MCPゲイン電圧VMCPを高くする必要がある。しかし、MCPゲイン電圧VMCPを高くして二次電子増幅率を大きくすると、高濃度で存在する元素については検出器が飽和する状態(生成される二次電子によりチャネル壁391が電荷飽和してしまい、MCPゲイン電圧VMCPを上げても二次電子増幅率が増加しない状態)になる。すなわち、MCPゲイン電圧VMCPを高くしても検出効率が上昇しない状態となる。
また、MCP38は、トータルの出力電荷量がある閾値(例えば、1e−2C・cm−2)を超えると二次電子増幅率の低下が起こり、耐久性が低下してしまう。従って、検出器が飽和状態で分析を行うと、非飽和状態で分析した場合に比べてMCP38の耐久性がはやく低下してしまうので、MCP38の寿命が短くなってしまう。
そこで、本実施形態の飛行時間型質量分析装置1は、試料100中に高濃度に存在する元素の測定時にはMCPゲイン電圧VMCPを下げ、低濃度に存在する元素の測定時にはMCPゲイン電圧VMCPを上げることで、MCP38の劣化を抑制し、かつ、低濃度元素と高濃度元素とを共に精度よく測定する。
以下、MCPゲイン電圧VMCPの制御方法について説明する。以下の説明では、B(ボロン)インプラによりPウェルが形成されたSi(シリコン)半導体基板を試料100とし、検出対象となる低濃度元素を11B、高濃度元素を28Siとする。まず、分析に先立ち、11Bの測定時に用いるMCPゲイン電圧VMCPと、28Siの測定時に用いるMCPゲイン電圧VMCPとを決定する。図6は、MCPゲイン電圧と検出強度との関係を説明する図である。図6において、横軸はMCPゲイン電圧VMCPを示し、縦軸はイオン粒子の検出強度を示す。また、図6において、28Siの検出強度を実線で示し、11Bの検出強度を一点鎖線で示す。
試料100中に多量に含まれる高濃度元素である28Siは、MCPゲイン電圧VMCPが〜Vとなる範囲においては、MCPゲイン電圧VMCPの増加に伴い検出強度が増加している。MCPゲイン電圧VMCPがVを超えると、MCPゲイン電圧VMCPが増加しても検出強度はほぼ一定値となり変化しない。すなわち、28Siの測定においては、MCPゲイン電圧VMCPがV以下の範囲では非飽和状態であり、MCPゲイン電圧VMCPがVを超えると飽和状態になるといえる。
一方、試料100中に少量含まれる低濃度元素である11Bは、MCPゲイン電圧VMCPが測定限界(装置の仕様上の測定可能な上限電圧)であるVまでの間、MCPゲイン電圧VMCPの増加に伴い検出強度が増加している。すなわち、11Bの測定においては、MCPゲイン電圧VMCPが〜Vまでは非飽和状態であるといえる。
以上より、28Si測定時のMCPゲイン電圧VMCPをV11B測定時のMCPゲイン電圧VMCPをVとすることで、高濃度元素による飽和を抑制しつつ、低濃度元素の検出感度を向上させることができるので、低濃度元素も高濃度元素も精度よく測定できる。また、飽和領域で測定を行わないので、MCP38の劣化を抑制することができる。なお、装置の仕様上の測定可能な電圧領域の全てにおいて、MCPゲイン電圧VMCPが増加しても検出強度はほぼ一定値となり変化しない場合、測定可能な電圧の下限電圧をMCPゲイン電圧VMCPとする。
図7は、MCPゲイン調整部81の構成例を示す回路図である。図7に示すMCPゲイン調整部81には、MCP基準電圧印加部51からMCP基準電圧VMCP_REFが入力される入力端子と、MCP38へMCPゲイン電圧VMCPを出力する出力端子との間に、複数の配線が並列に配置されている。(図7は、2本の配線が並列に配置されている例を示している。)各配線には、スイッチSWが一つ設けられている。図7では、上部の配線にスイッチSW1が、下部の配線にSW2が設けられている。
また、各配線には、スイッチSWと出力端子との間に、入力電圧を所望のMCPゲイン電圧に変換するための電圧変換部としての抵抗Rが挿入されている。なお、入力端子から入力されるMCP基準電圧VMCP_REFをそのままMCPゲイン電圧VMCPとして出力する場合のために、抵抗が挿入されていない回路を1本設けるとよい。図7では、上部の配線にはスイッチSW1の後段に抵抗R1が配置されているが、下部の配線には抵抗が挿入されていない。すなわち、配線による電圧降下を無視できるものとすると、各配線から出力される電圧は、入力されるMCP基準電圧VMCP_REFから抵抗Rによる電圧降下分を差し引いた値となる。
図7の回路では、入力MCP基準電圧VMCP_REFの値はVであり、上部配線から出力されるMCPゲイン電圧VMCPは、抵抗R1での電圧降下分を差し引いたVであり、下部配線から出力されるMCPゲイン電圧VMCPは、Vである。すなわち、MCPゲイン電圧VMCPをVとしたい場合は、スイッチSW1をオン、スイッチSW2をオフに切り替えることで、上部の配線のみをアクティブな経路とする。また、MCPゲイン電圧VMCPをVとしたい場合は、スイッチSW1をオフ、スイッチSW2をオフに切り替えることで、下部の配線のみをアクティブな経路とする。
なお、図7に示す回路は、MCPゲイン調整部81の一例であり、可変抵抗により出力電圧値を調整するなど他の回路構成でもよい。
次に、本発明の実施形態における飛行時間型質量分析装置1を用いた測定方法について、図8を用いて説明する。図8は、第1実施形態にかかるマススペクトルとMCPゲイン電圧との関係の一例を説明する図である。図8において、横軸は時間を示している。図8の下段のチャートは、イオンビーム201の照射強度を示している。すなわち、時間tにおいて試料100に対するイオンビーム201の照射を開始し、時間tにおいてイオンビーム201の照射を終了している。図8において、中段のチャートは、イオンビーム201の照射によって放出されレーザ光によってイオン化されたイオン粒子の、MCP38における検出強度(出力マススペクトル)を示している。すなわち、時間tから時間tまでのイオンビーム201の照射によるイオン粒子は、質量分析部30中を飛行した後、その質量や電荷数に応じて、時間t以降に、MCP38に順次到達して検出される。上段のチャートは、MCP38に印加するMCPゲイン電圧VMCPを示している。すなわち、イオンビーム201が1パルス出射されてから次のパルスが出射するまでの間に、MCPゲイン調整部81がMCP38に印加するMCPゲイン電圧VMCPを示している。 中段のチャートの横軸は、イオン粒子の飛行時間(Time оf Flight、TOF)であるが、これは、質量mと電荷数zとの質量電荷比(mass tо chаrge ratiо)m/zに比例した値となる。すなわち、質量分析部30の検出条件が同一である場合、質量や電荷数が同じ元素であれば、TOFは一定の値となる。例えば、11BのTOFはtであり、28SiのTOFはtである。
本実施形態では、この性質を利用し、低濃度元素である11Bの検出時にはMCP38に印加するMCPゲイン電圧VMCPをVに設定し、高濃度元素である28Siの検出時にはMCP38に印加するMCPゲイン電圧VMCPをVに設定して測定する。例えば、MCPゲイン電圧VMCPをVに設定してイオンビーム201の照射を開始し、11BがMCP38に到達する時間tもMCPゲイン電圧VMCPはVのまま測定する。そして、時間tより後、28SiがMCPに到達する時間tよりも前に、MCPゲイン電圧VMCPをVに切り替える。このように、低濃度元素(11B)がMCP38に到達し測定が行われる時のMCPゲイン電圧VMCPを高電圧(V)にすることで、低濃度元素の検出感度を向上させることができ、精度よく測定することができる。また、高濃度元素(28Si)がMCP38に到達し測定が行われる時のMCPゲイン電圧VMCPを低電圧(V)にすることで、高濃度元素による飽和を抑制し、MCP38の劣化を抑制することができる。
以上のように、本実施形態によれば、MCPゲイン電圧VMCPを調整するMCPゲイン調整部81をもうけ、低濃度元素の測定時にはMCPゲイン電圧VMCPを高電圧に設定し、低濃度元素の測定時にはMCPゲイン電圧VMCPを低電圧に設定して測定を行っている。これにより、MCP38の劣化を抑制することができ、かつ、低濃度元素の検出感度を向上させ、低濃度元素も高濃度元素も精度よく測定することができる。
なお、上述では、低濃度元素が1つ(11B)の場合について説明したが、TOFの異なる2つ以上の低濃度元素を測定する場合には、それぞれのTOFにおいて、MCP38に高電圧のMCPゲイン電圧VMCPを加えるようにすればよい。
図9は、第1実施形態にかかるマススペクトルとMCPゲイン電圧との関係の別の一例を説明する図である。例えば、11B、28Siの他に、75Asも分析対象元素であり、75Asは、試料100中に少量含まれる低濃度元素であるものとする。この場合、低濃度元素である11Bと75Asの検出時にはMCP38に印加するMCPゲイン電圧VMCPをVに設定し、高濃度元素である28Siの検出時にはMCP38に印加するMCPゲイン電圧VMCPをVに設定して質量分析を行う。例えば、MCPゲイン電圧VMCPをVに設定してイオンビーム201の照射を開始し、11BがMCP38に到達する時間tもMCPゲイン電圧VMCPはVのまま分析を行う。そして、時間tより後、28SiがMCPに到達する時間tよりも前に、MCPゲイン電圧VMCPをVに切り替える。更に、時間tより後、75AsがMCPに到達する時間tよりも前に、MCPゲイン電圧VMCPをVに切り替える。
このように、低濃度元素(11B、75As)がMCP38に到達し測定が行われる時のMCPゲイン電圧VMCPを高電圧(V)にすることで、低濃度元素の検出感度を向上させることができ、精度よく測定することができる。また、高濃度元素(28Si)がMCP38に到達し測定が行われる時のMCPゲイン電圧VMCPを低電圧(V)にすることで、高濃度元素による飽和を抑制し、MCP38の劣化を抑制することができる。
図10は、第1実施形態にかかるマススペクトルとMCPゲイン電圧との関係の変形例を説明するである。上述では、イオンビーム201の照射を開始する時点では、分析対象元素のうちTOFの一番短いものを測定する際のMCPゲイン電圧VMCPをMCP38に印加していた。これに対し、図10に示す変形例では、MCPゲイン電圧VMCPの基準電圧V(V<V<V)を設け、低濃度元素や高濃度元素の測定時のみ所定の電圧(V、V)に調整する点が異なっている。
具退的には、MCPゲイン電圧VMCPをVに設定してイオンビーム201の照射を開始し、11BがMCP38に到達する時間tの直前に、MCPゲイン電圧VMCPをVに切り替える。そして、時間tの直後に、MCPゲイン電圧VMCPをVに切り替える。そして、28SiがMCPに到達する時間tの直前に、MCPゲイン電圧VMCPをVに切り替える。更に、時間tの直後に、MCPゲイン電圧VMCPをVに切り替える。その後、75AsがMCPに到達する時間tの直前に、MCPゲイン電圧VMCPをVに切り替える。最後に、時間tの直後に、MCPゲイン電圧VMCPをVに切り替える。
このように、低濃度元素測定時と高濃度元素測定時にのみMCPゲイン電圧VMCPを所定の最適な電圧に切り替え、他の時間は基準電圧(中間電圧)で測定することにより、電圧切替時の電圧の変化量が小さくなるので、電圧切替時間を短くすることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態にかかる飛行時間型質量分析装置を用いた測定方法について説明する。本実施形態の飛行時間型質量分析装置は、上述した第1実施形態の飛行時間型質量分析装置1と同様であるので、構成についての説明は省略する。以下、上述した第1実施形態と異なる測定方法についてのみ説明する。
図11は、第2実施形態にかかるマススペクトルとMCPゲイン電圧との関係の一例を説明する図である。通常、イオンビーム201のパルス幅は、例えば、数10ns〜数100ns程度であり、1回の測定時間(マススペクトルの取得時間)も、例えば、数100ns〜数1000ns程度と短い。例えば、質量分析部30中のイオン化粒子の飛行時間や、MCPゲイン調整部81の駆動力によっては、1回の測定時間の中で、MCPゲイン電圧VMCPを、瞬時に立ち下げたり立ち上げたりするのが困難な場合もありうる。すなわち、図11に示すように、電圧の立ち下げ中に高濃度元素の測定タイミング(t)になってしまったり、電圧の立ち上げ中に低濃度元素の測定タイミング(t)になってしまったりする場合もあり得る。
そこで、本実施形態ではMCPゲイン電圧VMCPをモニターし、低濃度元素、及び、高濃度元素の測定タイミング(t、t、t)におけるMCPゲイン電圧VMCPを用いて、検出量の補正を行う。
より具体的には、低濃度元素(11B)、高濃度元素(28Si)および低濃度元素(75)が分析対象元素であるとすると、まず、測定タイミングtにおいて、MCPゲイン電圧VMCPを高電圧(V)にして低濃度元素(11B)の検出がなされる。続いて、測定タイミングtにおいて、高濃度元素(28Si)の検出がなされる。このとき、理想的には、MCPゲイン電圧VMCPは高電圧(V)から低電圧(V)まで十分に低下していることが望ましい。しかし、上述のように、MCPゲイン電圧VMCPの立ち下げ速度が十分でない場合、測定タイミングtにおけるMCPゲイン電圧VMCPは、低電圧(V)ではなくそれより高い電圧Vmeasure_t3となる場合がある。また、測定タイミングtにおいて低濃度元素(75)を検出する際にも、MCPゲイン電圧VMCPが、高電圧(V)ではなくそれより低い電圧Vmeasure_t4となる場合がある。
そこで、本実施形態は、例えば、測定タイミングt、tにおける検出量を、MCPゲイン電圧VMCPのモニター値である電圧Vmeasure_t3、Vmeasure_t4を用いて、それぞれ補正する。電圧モニター値に基づく補正量は、例えば、実験やシミュレーションによって求めることができる。
このように、MCPゲイン電圧VMCPの実測値を用いて検出量の補正を行うことで、MCPゲイン電圧VMCPがターゲット値(V、V)とずれている場合にも、より正確に定量することができる。なお、検出量の補正に際しては、MCPゲイン電圧VMCPのモニターによる実測値を用いてもよいし、事前に推定された補正値などを用いてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、一例として示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…飛行時間型質量分析装置、10…ビーム照射部、20…レーザ照射部、21…光源、22…レンズ部、30…質量分析部、31…引き込み電極、32…レンズ電極、33…第1偏向電極、34…第2偏光電極、35…ドリフト電極、36…R−tоp電極、37…R−bоt電極、38…MCP、40…制御部、41…CPU、42…RAM、50…可変電源、51…MCP基準電圧印加部、60…試料台、70…チャンバ、81…MCPゲイン調整部、82…プリアンプ、83…ADコンバータ、84…シグナルアベレージャ、100…試料、201…イオンビーム、202…レーザ光、381…基板、382…頂面、383…底面、384…マイクロチャネル、385…入力側電極、386…出力側電極、391…チャネル壁、392…入力側開口部、393…チャネル空間、394…出力側開口部、395…イオン粒子、396…二次電子、397…放射電子、

Claims (10)

  1. 試料へイオンビームをパルス状に出射し、イオン化粒子を発生させるイオン光源と、
    前記イオン化粒子を導入して飛行させる質量分析チャンバと、
    前記質量分析チャンバに設置され、飛行した前記イオン化粒子を増幅して質量を検出するMCP型イオン検出器と、
    前記MCP型イオン検出器に電圧を印加するMCP基準電圧印加部と、
    前記電圧をゲイン調整するMCPゲイン調整部と、
    を備え、前記MCPゲイン調整部は、前記イオン光源が前記イオンビームを1パルス出射してから次のパルスを出射するまでの間に、前記電圧をゲイン調整することを特徴とする、飛行時間型質量分析装置。
  2. 前記MCPゲイン電圧調整部は、前記イオン化粒子の飛行時間に応じて前記電圧をゲイン調整することを特徴とする、請求項1に記載の飛行時間型質量分析装置。
  3. 前記MCPゲイン電圧調整部は、前記試料において濃度が低い元素である低濃度元素に対応する前記イオン化粒子が前記MCP型イオン検出器に到達する時点における前記電圧を第1電圧値に調整し、前記試料において濃度が高い元素である高濃度元素に対応する前記イオン粒子が前記MCP型イオン検出器に到達する時点における前記電圧を、前記第1電圧値より低い第2電圧値に調整することを特徴とする、請求項2に記載の飛行時間型質量分析装置。
  4. 前記MCPゲイン電圧調整部は、印加された前記電圧と前記低濃度元素に対応する前記イオン化粒子の検出強度との関係に基づき、前記第1電圧値を設定することを特徴とする、請求項3に記載の飛行時間型質量分析装置。
  5. 前記MCPゲイン電圧調整部は、前記低濃度元素に対応する前記イオン化粒子が増幅された二次電子で前記MCP型イオン検出器が飽和状態にならない範囲内で前記第1電圧値を設定することを特徴とする、請求項4に記載の飛行時間型質量分析装置。
  6. 前記MCPゲイン電圧調整部は、印加された前記電圧と前記高濃度元素に対応する前記イオン化粒子の検出強度との関係に基づき、前記第2電圧値を設定することを特徴とする、請求項3に記載の飛行時間型質量分析装置。
  7. 前記MCPゲイン電圧調整部は、前記高濃度元素に対応する前記イオン化粒子が増幅された二次電子で前記MCP型イオン検出器が飽和状態にならない範囲内で前記第2電圧値を設定することを特徴とする、請求項6に記載の飛行時間型質量分析装置。
  8. 前記試料は不純物元素が注入された半導体基板であることを特徴とする、請求項3乃至請求項7のいずれか一項に記載の飛行時間型質量分析装置。
  9. 前記低濃度元素は前記不純物元素であり、前記高濃度元素は前記半導体基板を構成する元素であることを特徴とする、請求項8に記載の飛行時間型質量分析装置。
  10. 試料へイオンビームをパルス状に出射してイオン化粒子を発生させる工程と、
    前記イオン化粒子を質量分析チャンバに導入して飛行させる工程と、
    飛行した前記イオン化粒子をMCP型イオン検出器に取り込み増幅して質量を検出する工程と、
    を含み、
    前記イオンビームが1パルス出射されてから次のパルスが出射されるまでの間に、前記イオン化粒子の飛行時間に応じて前記MCP型イオン検出器に印加される電圧がゲイン調整されることを特徴とする、飛行時間型質量分析方法。
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