JP2021144224A - 偏光板およびその製造方法、ならびに該偏光板を用いた画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の別の局面によれば、上記の偏光板の製造方法が提供される。この製造方法は、偏光子の一方の面の所定の位置を処理液で処理して、該所定の位置に薄肉部を形成すること;該偏光子の該薄肉部を形成した面と保護層との間に、該薄肉部以外の部分における厚みが23μm以上である粘着剤層を配置すること;および、該粘着剤層を介して該偏光子と該保護層とを積層すること;を含む。
本発明のさらに別の局面によれば、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、上記の偏光板を備え、該偏光板の上記薄肉部がカメラ部に対応する位置に配置されている。
図1は、本発明の1つの実施形態による偏光板の概略平面図であり、図2は、図1の偏光板の要部概略断面図である。偏光板100は、所定の位置に薄肉部12を有する偏光子10と、偏光子10の一方の面に粘着剤層20を介して貼り合わせられた保護層30と、を有する。薄肉部12は、図示例のように、代表的には偏光子の一方の面側の表面が凹んだ凹部14を有する。代表的には図示例のように、保護層30は偏光子10の少なくとも凹部14側に貼り合わせられている。必要に応じて、偏光子のもう一方の側に任意の適切な接着層(接着剤層または粘着剤層)を介して別の保護層(図示せず)が貼り合わせられていてもよい。本発明の実施形態においては、薄肉部12(凹部14)は、実質的に気泡を含まない。本明細書において「実質的に気泡を含まない」とは、黒色部を背景として偏光板における薄肉部を目視した場合に気泡が認識されないことをいう。目視により気泡が認識されない状態とは、好ましくは直径30μm以上、より好ましくは直径20μm以上の気泡が存在しない状態であり得る。本発明の実施形態においては、偏光板100は、保護層30と薄肉部12との間に実質的に気泡を含まないようにして、保護層30と偏光子10とが粘着剤層20を介して貼り合わせられている。さらに、本発明の実施形態においては、粘着剤層20の厚みは23μm以上である。粘着剤層の厚みが23μm以上であることにより、薄肉部に実質的に気泡を含まない状態を実現することができる。加えて、粘着剤層を用いることにより、接着剤層を用いる場合に比べて高温高湿の耐久試験後のスジムラを顕著に抑制することができる。
B−1.偏光子の全体構成
偏光子10は、代表的には、二色性物質を含む樹脂フィルムで構成されている。偏光子10は、上記のとおり、所定の位置に薄肉部12を有する。薄肉部12は、上記のとおり、代表的には偏光子の一方の面側の表面が凹んだ凹部14を有する。薄肉部12は、代表的には非偏光部であり得、1つの実施形態においては、偏光子の他の部分よりも二色性物質の含有量が低い低濃度部であり得る。したがって、本明細書においては、説明すべき事項に応じて、薄肉部を低濃度部または非偏光部と称する場合がある。
樹脂フィルムとしては、偏光子として用いられ得る任意の適切な樹脂フィルムを採用することができる。樹脂フィルムは、代表的には、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、「PVA系樹脂」と称する)フィルムである。
薄肉部12は、上記のとおり、代表的には偏光子の一方の面側の表面が凹んだ凹部14を有する。凹部14は、例えば、偏光子(偏光子中間体)の一方面側のみから脱色液を作用させることにより形成され得る。一方面側のみに凹部が形成され得ることで、外観に対する影響をさらに抑制することができる。本発明の実施形態においては、凹部14は、実質的に気泡を含まない。
粘着剤層20を構成する粘着剤としては、任意の適切な粘着剤が用いられ得る。粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤、アクリルウレタン系粘着剤、有機無機ハイブリッド系粘着剤が挙げられる。好ましくは、アクリル系粘着剤である。光学的透明性に優れ、適切な粘着特性(密着性、凝集性および接着性)を示し、かつ、耐久性(耐候性および耐熱性)に優れるからである。
保護層30は、偏光子の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
偏光板100は、目的に応じて任意の適切な光学機能層をさらに有していてもよい。光学機能層の代表例としては、位相差フィルム(光学補償フィルム)が挙げられる。例えば、偏光子10の保護層30と反対側に位相差フィルムが配置され得る(図示せず)。位相差フィルムの光学特性(例えば、屈折率楕円体、面内位相差、厚み方向位相差)は、目的、画像表示装置の特性等に応じて適切に設定され得る。例えば、画像表示装置がIPSモードの液晶表示装置である場合には、屈折率楕円体がnx>ny>nzである位相差フィルムおよび屈折率楕円体がnz>nx>nyである位相差フィルムが配置され得る。位相差フィルムが上記別の保護層を兼ねてもよい。なお、「nx」はフィルム面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」はフィルム面内で遅相軸と直交する方向の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
以下、本発明の偏光板の製造方法について説明する。便宜上、長尺状の偏光板の製造方法について説明する。枚葉状の偏光板は、得られた長尺状の偏光板を所定のサイズまたは形状に裁断することにより得られ得る。
偏光子を構成する樹脂フィルム(代表的には、PVA系樹脂フィルム)は、単一のフィルムであってもよく、樹脂基材上に形成された樹脂層(代表的には、PVA系樹脂層)であってもよい。PVA系樹脂層は、樹脂基材上にPVA系樹脂を含む塗布液を塗布して形成してもよく、樹脂基材上にPVA系樹脂フィルムを積層して形成してもよい。以下、PVA系樹脂層が塗布形成される場合について簡単に説明するが、PVA系樹脂フィルムを積層する場合についても同様である。樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子は、例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得ること;当該積層体を延伸および染色してPVA系樹脂層を偏光子とすること;により作製され得る。本実施形態においては、延伸は、代表的には積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含む。さらに、延伸は、必要に応じて、ホウ酸水溶液中での延伸の前に積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸することをさらに含み得る。得られた樹脂基材/偏光子の積層体はそのまま用いてもよく(すなわち、樹脂基材を偏光子の保護層としてもよく)、樹脂基材/偏光子の積層体から樹脂基材を剥離し、当該剥離面に目的に応じた任意の適切な保護層を積層して用いてもよい。このような偏光子の製造方法の詳細は、例えば特開2012−73580号公報に記載されている。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。なお、偏光子が単一のPVA系樹脂フィルムである場合には、偏光子は当業界で周知慣用されている方法により作製され得るので、詳細な説明は省略する。
次に、上記F−1項で得られた偏光子中間体の所定の位置に非偏光部を形成する。偏光子(偏光子中間体)が樹脂基材上に塗布されたPVA系樹脂層から形成されたものである場合には、代表的には、樹脂基材/偏光子の積層体または保護層/偏光子の積層体が、非偏光部の形成に供される。偏光子(偏光子中間体)が単一の樹脂フィルムである場合には、代表的には、偏光子単独または保護層/偏光子の積層体が、非偏光部の形成に供される。以下、非偏光部の形成を具体的に説明する。代表例として、保護層/偏光子の積層体(以下、本項において単に偏光板中間体と称する)において偏光子(偏光子中間体)に非偏光部を形成する場合を説明する。その他の構成の偏光子中間体(例えば、樹脂基材/偏光子中間体の積層体、単一の樹脂フィルムである偏光子中間体)についても同様の手順が適用可能であることは当業者に明らかである。
次いで、積層体から第1の表面保護フィルムが除去(代表的には、剥離)される。さらに、積層体の第1の表面保護フィルムを除去した面(偏光子の凹部が形成されている面)と保護層を構成する樹脂フィルムとの間に粘着剤(粘着剤層)が配置される。具体的には、粘着剤層は、偏光子の凹部が形成されている面に形成されてもよく、保護層を構成する樹脂フィルムに形成されてもよい。粘着剤層を介して、偏光子と保護層を構成する樹脂フィルムとが積層される。
本発明の画像表示装置は、上記偏光板を備える。偏光板は画像表示装置のサイズに合わせて裁断されたものである。画像表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機ELデバイスが挙げられる。具体的には、液晶表示装置は、液晶セルと当該液晶セルの片側もしくは両側に配置された上記偏光板とを含む液晶パネルを備える。有機ELデバイスは、視認側に上記偏光板が配置された有機ELパネルを備える。偏光板は、非偏光部が画像表示装置のカメラ部に対応するように配置されている。
デジタルマイクロメーター(アンリツ社製、製品名「KC−351C」)を用いて測定した。
(2)凹部の深さ
走査型電子顕微鏡(ZYGO社製、製品名「New View 7300」)を用いて測定した。
(3)気泡の発生の有無および気泡の個数
実施例、比較例および参考例で得られた偏光板に形成された非偏光部(薄肉部)について気泡の有無を、FPD走査顕微鏡(OLYMPUS社製、製品名「MX61」)を用いて倍率5倍で確認してカウントし、下記の基準で評価した。
○:気泡の発生が認められない
△:気泡が数個認められる
×:気泡が多数発生している
(4)スジムラ
実施例1および参考例1で得られた偏光板をそれぞれ、65℃/90%RHで500時間の耐久試験に供した後、目視により表面の状態を確認した。
樹脂基材として、長尺状で、吸水率0.75%、Tg75℃の非晶質のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(IPA共重合PET)フィルム(厚み:100μm)を用いた。基材の片面に、コロナ処理を施し、このコロナ処理面に、ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(重合度1200、アセトアセチル変性度4.6%、ケン化度99.0モル%以上、日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)を9:1の比で含む水溶液を25℃で塗布および乾燥して、厚み13μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
得られた積層体を、120℃のオーブン内で周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に2.4倍に自由端一軸延伸した(空中補助延伸)。
次いで、積層体を、液温30℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴に、偏光板が所定の透過率となるようにヨウ素濃度、浸漬時間を調整しながら浸漬させた。本実施例では、水100重量部に対して、ヨウ素を0.2重量部配合し、ヨウ化カリウムを1.5重量部配合して得られたヨウ素水溶液に60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温30℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を3重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(水100重量部に対して、ホウ酸を3重量部配合し、ヨウ化カリウムを5重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸)。
その後、積層体を液温30℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
続いて、積層体のPVA系樹脂層表面に、下記に示す接着剤を硬化後の接着剤層厚みが1.0μmとなるように塗布し、保護層(別の保護層に対応する)を構成するゼオン社製ゼオノア系樹脂フィルム(厚み17μm)を貼り合わせ、当該ゼオノア系樹脂フィルム側からIRヒーターを用いて50℃に加温し、下記の紫外線を照射して接着剤を硬化させた。その後、基材をPVA系樹脂層から剥離し、幅約1300mmの長尺状の偏光板(偏光子/別の保護層)を得た。なお、偏光子の厚みは5μmであり、単体透過率は40.8%であった。
(接着剤組成)
N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)40重量部とアクリロイルモルホリン(ACMO)60重量部と光開始剤「IRGACURE 819」(BASF社製)3重量部を混合し、硬化前の粘度が40mPa・Sの接着剤を調製した。
(紫外線)
活性エネルギー線として、紫外線(ガリウム封入メタルハライドランプ、照射装置:Fusion UV Systems,Inc社製のLight HAMMER10、バルブ:Vバルブ、ピーク照度:1600mW/cm2、積算照射量1000/mJ/cm2(波長380〜440nm))を使用した。なお、紫外線の照度は、Solatell社製のSola−Checkシステムを使用して測定した。
粘着剤層の厚みを20μmとしたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
粘着剤層の厚みを12μmとしたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
粘着剤層の厚みを5μmとしたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
粘着剤の代わりに、実施例1で偏光子と別の保護層との貼り合わせに用いた紫外線硬化型接着剤(硬化後の厚み:2.5μm)を用いて、偏光子と保護層とを貼り合わせたこと以外は実施例1と同様にして偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。さらに、上記(4)の手順でスジムラの有無を確認したところ、スジムラの発生が顕著であった。
表1および図6から明らかなように、薄肉部を有する偏光子を含む偏光板において偏光子と保護層とを接着する粘着剤層の厚みを調整することにより、薄肉部の気泡の発生を防止できることがわかる。さらに、粘着剤層の厚みが5μm〜10μmの間に気泡の発生を顕著に抑制し得る閾値的な厚みが存在し、かつ、粘着剤層の厚みが23μm近傍において、所定の条件で認識できる気泡の発生を実質的に完全に防止できる臨界点が存在し得ることが示唆される。さらに、実施例1と参考例1とを比較すると明らかなように、粘着剤層を用いることにより、接着剤層を用いる場合に比べて耐久試験後のスジムラを顕著に抑制できることがわかる。
12 薄肉部
14 凹部
20 接着層
30 保護層
100 偏光板
Claims (3)
- 片側に薄肉部を有する偏光子と、
該偏光子の該薄肉部側に粘着剤層を介して貼り合わせられた保護層と、を有し、
該薄肉部以外の部分における該粘着剤層の厚みが23μm以上である、
偏光板。 - 偏光子の一方の面の所定の位置を処理液で処理して、該所定の位置に薄肉部を形成すること、
該偏光子の該薄肉部を形成した面と保護層との間に、該薄肉部以外の部分における厚みが23μm以上である粘着剤層を配置すること、および
該粘着剤層を介して該偏光子と該保護層とを積層すること、を含む
偏光板の製造方法。 - 請求項1に記載の偏光板を備え、該偏光板の前記薄肉部がカメラ部に対応する位置に配置されている、画像表示装置。
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