JP2021142596A - シミュレーション装置およびプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】軸毎に設定された可動範囲に基づき、機器の挙動をシミュレーションする。【解決手段】複数の関節を有した機器の挙動を推定するシミュレーション装置であって、機器は、それぞれが当該機器の関節に対応した複数の軸を備え、各複数の軸に対応の関節は、当該軸の動きに連動して動作し、シミュレーション装置は、機器に対するダイレクトティーチングの情報であって、複数の軸のうちの1つ以上の軸の可動範囲を含む情報に基づいて、機器に対応する仮想空間に配置された対象の挙動を算出するシミュレーションを実施する第1のシミュレータと、仮想空間をビジュアル化した画像を生成する画像生成部と、を備える。【選択図】図1

Description

本開示は、機器の挙動を推定するシミュレーション装置およびプログラムに関する。
コンピュータを用いたシミュレーションは様々な技術分野に応用されている。このようなシミュレーションをファクトリオートメーション(FA:Factory Automation)に利用した例として、例えば、特開2019−36014号公報(特許文献1)は、機械の動きを制御する制御プログラムを事前に設計するためのシミュレーションを開示する。
特開2019−36014号公報
FAでは、多関節を有した産業用ロボットが備えられる。ロボットの制御プログラムが実行されることによって、各関節は対応の軸の動きに連動して動作し、その結果、ロボットは、ワークを搬送または加工する。制御プログラムの設計時には、各軸の可動範囲は、所定値に設定されていた。ロボットがとり得る位置姿勢(位置および姿勢)によっては、設定された所定値では、可動範囲が関節の動作を過度に制限する、すなわちワークの搬送または加工の動作を制限するように作用するなど可動範囲が適正でない可能性があった。したがって、ロボットの各軸の可動範囲を個別に設定できる環境の提供が望まれていたが、特許文献1のシミュレーションは、当該環境を提供しない。
本開示は、軸毎に設定された可動範囲に基づき、機器の挙動をシミュレーションできる構成を提供することを1つの目的とする。
この開示にかかるシミュレーション装置は、複数の関節を有した機器の挙動を推定するシミュレーション装置であって、機器は、それぞれが当該機器の関節に対応した複数の軸を備え、各複数の軸に対応の関節は、当該軸の動きに連動して動作し、シミュレーション装置は、機器に対するダイレクトティーチングの情報であって、複数の軸のうちの1つ以上の軸の可動範囲を含む情報に基づいて、機器に対応する仮想空間に配置された対象の挙動を算出するシミュレーションを実施する第1のシミュレータと、仮想空間をビジュアル化した画像を生成する画像生成部と、を備える。
上述の開示によれば、機器に対するダイレクトティーチングの情報によって軸毎に設定された可動範囲に基づき、機器の挙動をシミュレーションできる。
上述の開示において、各1つ以上の軸の可動範囲を変更する範囲変更部を、さらに備え、第1のシミュレータは、さらに、各軸の変更された前記可動範囲に基づいて、機器に対応する仮想空間に配置された対象の挙動を算出するシミュレーションを実施する。
上述の開示によれば、シミュレーション装置は、ユーザーが設定した軸の可動範囲を変更しながらシミュレーションを繰り返すことができる。
上述の開示において、仮想空間には、機器に対応の対象とは異なる対象が配置され、異なる対象は、機器の周辺装置に対応する対象を含み、機器に対応する対象の挙動は、当該対象の仮想空間における位置を含み、範囲変更部は、仮想空間における機器に対応の対象と異なる対象との位置間の相対的な関係が特定位置関係を示すとき、各1つ以上の軸の可動範囲を変更する。
上述の開示によれば、シミュレーション装置は、仮想空間における各対象の位置間の相対的な関係が特定位置関係を示すとき、選択されている各軸の可動範囲を変更し、変更後の可動範囲に基づいてシミュレーションを再度実施できる。
上述の開示において、仮想空間には、機器に対応の対象とは異なる対象が配置され、異なる対象は、機器に取付けられるケーブルに対応する仮想空間に配置された対象を含み、機器に対応する仮想空間に配置された対象の挙動に基づき、ケーブルの取付けに関するパラメータを用いて、当該ケーブルに対応する仮想空間に配置された対象の挙動を算出する第2のシミュレータを、さらに備える。
上述の開示によれば、シミュレーション装置は、機器に取付けられるケーブルに対応する仮想空間に配置された対象の挙動を、機器に対応する仮想空間に配置された対象の挙動に基づき算出できる。
上述の開示において、シミュレーション装置は、第2のシミュレータによって算出されたケーブルに対応する対象の挙動に基づき、当該対象にかかる負荷を算出し、範囲変更部は、算出された負荷が所定条件を満たすとき、各1つ以上の軸の可動範囲を変更する。
上述の開示によれば、シミュレーション装置は、ケーブルに対応する対象の挙動に基づく当該対象にかかる負荷が所定条件を満たすとき、各1つ以上の軸の可動範囲を変更し、変更後の可動範囲に基づいてシミュレーションを再度実施できる。
上述の開示において、ダイレクトティーチングの情報は、機器がとるべき位置姿勢を示す教示点に関連づけされた1つ以上の軸の可動範囲の情報を含み、第1のシミュレータは、さらに、教示点が示す位置姿勢と当該教示点に関連づけされた各1つ以上の軸の可動範囲とに基づいて、機器に対応する仮想空間に配置された対象の挙動を算出する。
上述の開示によれば、教示点が示す位置姿勢と当該教示点に関連づけされた各1つ以上の軸の可動範囲とに基づいて、機器に対応する仮想空間に配置された対象の挙動をシミュレーションできる。
上述の開示において、可動範囲は、上限値および下限値を用いて示され、可動範囲を用いて機器を制御するコントローラに、第1のシミュレータが機器の挙動の算出に用いた各1つ以上の軸の可動範囲を示すデータを送信する転送部を、さらに備える。
上述の開示によれば、コントローラはシミュレーション装置から転送されたシミュレーション結果である各軸の適切な可動範囲に基づき、機器を制御することができる。
この開示にかかるプログラムは、コンピュータに、複数の関節を有した機器の挙動を推定する方法を実行させるためのプログラムであって、機器は、それぞれが当該機器の関節に対応した複数の軸を備え、各複数の軸に対応の関節は、当該軸の動きに連動して動作し、方法は、機器に対するダイレクトティーチングの情報であって、複数の軸のうちから1つ以上の軸の可動範囲を含む情報に基づいて、機器に対応する仮想空間に配置された対象の挙動を算出するシミュレーションを実施するステップと、仮想空間をビジュアル化した画像を生成するステップと、を備える。
上述の開示によれば、プログラムが実行されると、機器に対するダイレクトティーチングの情報によって軸毎に設定された可動範囲に基づき、機器の挙動をシミュレーションできる。
本開示によれば、軸毎に設定された可動範囲に基づき、機器の挙動をシミュレーションする構成を提供できる。
本実施の形態に係るシミュレーション装置1の適用例を示す模式図である。 本実施の形態にかかる生産ラインにおけるロボットと周辺装置の一例を模式的に示す図である。 本実施の形態にかかるシミュレーション装置1を実現するためのハードウェア構成の一例を示す模式図である。 本実施の形態にかかるシミュレーション装置1を実現するための機能構成の一例を示す模式図である。 実施の形態にかかるロボット30の各軸の可動範囲の一例を模式的に示す図である。 実施の形態にかかる教示点データ184と位置姿勢データ187の一例を示す図である。 実施の形態にかかる可動範囲を設定するためのUIの画面の一例を模式的に示す図である。 実施の形態にかかる可動範囲データ185の一例を模式的に示す図である。 実施の形態にかかる確認項目データ186の一例を模式的に示す図である。 実施の形態にかかるシミュレーション装置1において実行される処理のフローチャートの一例を示す図である。 実施の形態にかかるシミュレーション装置1において実行される処理のフローチャートの一例を示す図である。 実施の形態にかかるシミュレーションの態様を模式的に示す図である。 実施の形態にかかるシミュレーションの態様を模式的に示す図である。 実施の形態にかかる可動範囲の変更の一例を模式的に示す図である。 実施の形態にかかるシミュレーション結果の表示の一例を示す図である。 図15の領域1200において表示される他の画像の一例を示す図である。 実施の形態にかかるティーチングペンダントの構成を模式的に示す図である。 実施の形態にかかるダイレクトティーチングのシーンを模式的に示す図である。 実施の形態にかかるダイレクトティーチングの処理手順を示すフローチャートである。 実施の形態にかかる位置姿勢データ187の取得の処理手順を示すフローチャートである。 実施の形態にかかるPLC200のハードウェア構成例を示す模式図である。 実施の形態にかかるデータ転送の一例を模式的に示す図である。
以下に、図面を参照しつつ、各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
<A.適用例>
まず、本発明が適用される場面の一例について説明する。本実施の形態に係るシミュレーション装置1は、典型的には、ワークを搬送または加工する機器の一例であるロボットの動作を制御するアプリケーションに適用可能である。また、シミュレーション装置1は、ロボットと、ワークの搬送または加工に関連して動作する1つ以上の機器とを備えるシステムについても総合的に機器の挙動をシミュレーションできる。
この実施の形態では、機器の一例であるロボットは、複数の関節と、各関節に対応した軸とを備える。各関節は、対応する軸の動きに連動して動作する。
また、ロボットの動作のうち、シミュレーションの対象となる動作として、例えばワークの搬送を説明する。搬送の一例として「ピックアンドプレース」を説明する。「ピックアンドプレース」は、搬送されるワークが所定のトラッキングエリアまで到達すると、トラッキングエリア内のワークをロボットで把持して、所定エリアまで搬送し、所定エリアにワークを配置するという、ロボットによる把持・搬送・配置の一連の動作を表す。搬送には、ロボットのアームの先端に装着される「エンドエフェクタ」に相当するロボットハンドが利用される。シミュレーションの対象となるロボットのアプリケーションは、ワークの搬送に限定されず、ワークの組立てまたは加工を実施するアプリケーションであってもよい。
この実施の形態では、「教示点」はロボットがとるべき挙動を表す位置姿勢を示す。例えば、ロボットは、ピックアンドプレースの目標軌道に対応して設定された複数の教示点に従って、位置姿勢を順次変化させることによって、ワークを目標軌道に沿って搬送することができる。
図1は、本実施の形態に係るシミュレーション装置1の適用例を示す模式図である。図1を参照して、シミュレーション装置1は、仮想空間および仮想空間に配置されたオブジェクトを規定する仮想空間情報105を含む。仮想空間における各オブジェクトの挙動が算出されることで、仮想空間情報105の内容は適宜更新される。
シミュレーション装置1は、シミュレーションのためのデータ群180を用いてシミュレーションを実施する。データ群180は、教示点データ184、1以上の教示点のそれぞれに対応して設定される可動範囲データ185、シミュレーションの結果において確認すべき項目を示す確認項目データ186、および位置姿勢データ187を含む。教示点データ184は、複数の教示点を示す。教示点データ184は、例えば、ピックアンドプレースの目標軌道に対応する複数の教示点を示す。可動範囲データ185は、1つ以上の軸のそれぞれに対応して設定された当該軸の可動範囲を示す。位置姿勢データ187は、生産ラインにおいてロボットの周辺に配置される周辺装置と、ケーブルと、ワークとの挙動を表す位置姿勢を示す。周辺装置は、例えば、ワーク搬送のコンベア、ワークを収容するトレイ、各種センサなどを含むが、これらに限定されない。
シミュレーション装置1は、データ群180の教示点データ184および可動範囲データ185を、ダイレクトティーチング情報330を用いて設定する。ダイレクトティーチング情報330は、ロボットに対するダイレクトティーチングの情報であって、ダイレクトティーチングの情報はロボットが有する複数の軸から1つ以上の軸の可動範囲を含んでいる。ダイレクトティーチング情報330は、さらに、ロボットがとるべき位置姿勢を示す教示点に関連づけされた1つ以上の軸の可動範囲の情報を含んでもよい。
シミュレーション装置1は、仮想空間に配置されたワークを搬送するロボットの挙動を算出するロボットシミュレータ160を含む。ロボットシミュレータ160は、「第1のシミュレータ」の一実施例である。シミュレーション装置1は、仮想空間をビジュアル化した画像を生成するビジュアライザ164を含む。ビジュアライザ164は、「画像生成部」の一実施例である。
ロボットシミュレータ160は、可動範囲データ185に基づいて、仮想空間におけるロボットに対応の対象(以下、オブジェクトと呼ぶ)の挙動を算出するシミュレーションを実施する。より特定的には、ロボットシミュレータ160は、教示点が示す位置姿勢と当該教示点に対応の1つ以上の軸それぞれの可動範囲とに基づいて、ロボットに対応する仮想空間に配置されたオブジェクトの挙動を算出する。ロボットシミュレータ160により算出される挙動の情報は、仮想空間情報105に反映される。本実施の形態では、仮想空間情報105に情報を反映するとは、仮想空間情報105を当該情報を記述することにより、仮想空間情報105を更新することを意味する。
上記の可動範囲は、上限値および下限値を用いて示される。シミュレーション装置1は、可動範囲を用いてロボットを制御するプログラマブルロジックコントローラ200(以下、PLC200と呼ぶ)に、ロボットシミュレータ160がロボット30の挙動の算出に用いた各1つ以上の軸の可動範囲を示すデータを送信する転送ツール400を備える。転送ツール400は、「転送部」の一実施例である。
PLC200は、ロボットシミュレータ160がシミュレーションに用いた各1つ以上の軸の可動範囲を示すデータを受信し、受信したデータを用いて、ロボットを制御する。これにより、PLC200は、シミュレーションで挙動の算出に用いた各1つ以上の軸の動きが、受信データが示す可動範囲の上限値および下限値を超えない範囲となるように、ロボットを制御することができる。
ビジュアライザ164は、仮想空間情報105をビジュアル化した画像を生成し、出力する。
これらのコンポーネントおよびモジュールが互いに連携することで、現実のロボットが存在しなくても、現実のロボットがワークを搬送したときに生じるであろうロボットの挙動を正確に算出、すなわち推定できる。また、この算出は、ダイレクトティーチング情報330が示す1つ以上の軸の可動範囲に基づいて実施される。これにより、シミュレーション装置1は、ダイレクトティーチングによって設定された各軸の可動範囲に基づき、機器の挙動をシミュレーションできる環境を提供する。
以下、この実施の形態のより具体的な応用例について説明する。
<B.制御システムの例>
図2は、本実施の形態にかかる生産ラインにおけるロボットと周辺装置の一例を模式的に示す図である。シミュレーション装置1は、FAの生産ラインに備えられる制御システム2のプログラマブルロジックコントローラ200(以下、PLC200と呼ぶ)が制御する実機であるロボット30を含む機器の挙動を算出することが可能なように構成される。図2を参照して、シミュレーション装置1は、たとえば、据え置き型のPC(Personal Computer)、または携帯型のタブレット端末などを含む汎用コンピュータで構成される情報処理装置100に実装され得て、情報処理装置100は、所定のプログラムを実行することにより、ロボット30を含む機器の挙動を算出するシミュレーションを実施する。情報処理装置100は、ユーザーが制御システム2を運用するのを支援するための支援ツールを提供する。支援ツールは、シミュレーションの実行環境、制御システム2のための制御プログラムの設計および実行のための環境、および制御システム2の通信環境等を準備するための設定ツールを含む。これらの支援ツールは、例えばUI(User Interface)によってユーザーに提供される。
図2では、情報処理装置100は、PLC200に通信可能に接続されているが、PLC200と接続されない態様で、シミュレーションを実施することもできる。
図2を参照して、制御システム2は、PLC200、ロボットコントローラ310、サーボモータドライバ531,532および視覚センサ340を含む。PLC200、ロボットコントローラ310およびサーボモータドライバ531,532は、フィールドネットワーク22を介してデイジーチェーンで接続されている。フィールドネットワーク22には、たとえば、EtherCAT(登録商標)が採用される。但し、フィールドネットワーク22は、EtherCATに限定されない。PLC200には、ネットワークを介して情報処理装置100が接続され得る。このネットワークには、有線または無線の任意の通信手段が採用され得る。PLC200および情報処理装置100は、例えばUSB(Universal Serial Bus)に従い通信する。
PLC200は、設計された制御プログラムをフィールドネットワーク22からのセンサの出力値などを含むフィールド値に基づき実行し、実行の結果に従ってロボットコントローラ310またはサーボモータドライバ531,532に対して、それぞれ目標起動に従う目標値を与えることで、ロボット30およびコンベア230の搬送に関連する機器などを制御する。
サーボモータドライバ531,532は、コンベア230のサーボモータ41,42を駆動する。サーボモータ41,42の回転軸にはエンコーダ236,238が配置されている。当該エンコーダは、サーボモータ41,42のフィードバック値として、サーボモータの位置(回転角度)、回転速度、累積回転数などをPLC200へ出力する。
ロボット30とコンベア230は、相互に連携しながらワーク232を移動させる。なお、ここでは説明を簡単にするために、ワーク232の移動を説明するが、移動に限定されない。例えば、ロボット30は、コンベア230上のトレイ9に載置されたワーク232を加工し、加工後のワーク232をピックアンドプレースによって搬送してもよい。
この実施の形態では、図2のように、多関節型のロボット30の一例として、垂直多関節型ロボットが示されるが、多関節型であればよく垂直多関節型に限定されない。図2では、ロボット30の各関節に対応の軸(図示しない)を動かすための関節1300,1301,1302,1303,1304,1305に備えられるモータM(以下、各関節のモータMを「ロボットサーボモータ」とも総称する。)と、ロボットサーボモータを駆動するロボットコントローラ310を例示する。同様に、コンベア230のドライブ装置の一例として、コンベア230に設けられるサーボモータ41,42を駆動するサーボモータドライバ531,532を例示する。
ロボットコントローラ310は、PLC200からの目標値の指令に従い、ロボット30のロボットサーボモータを駆動する。各ロボットサーボモータの回転軸には、対応の関節の軸が連接される。また、各ロボットサーボモータの回転軸にはエンコーダ(図示しない)が配置されている。当該エンコーダは、ロボットサーボモータのフィードバック値として、サーボモータの位置(回転角度)、回転速度、累積回転数などの回転量をロボットコントローラ310へ出力する。ロボットコントローラ310は、ロボット30からの、回転量を示すフィールド値を、上記の指令に対する応答としてPLC200に送信する。PLC200は、フィールド値を受信し、受信したフィールド値に基づき制御プログラムを実行し、実行結果に基づく目標値を示す指令をロボットコントローラ310に送信する。
ロボットコントローラ310には、ロボット30に対するダイレクトティーチングを実施するためのティーチングペンダント300が接続可能である。
サーボモータドライバ531,532は、PLC200からの指令に従い、対応するサーボモータ41,42を駆動する。制御システム2は、さらに、コンベア230に関連して光電センサ6および開閉可能なストッパ8を備える。光電センサ6は、コンベア230の搬送面上に備えられるトレイ9が所定のワークトラッキングエリアの前に到達したことを検出し、検出値をPLC200に送信する。ストッパ8は、指令に従い、トラッキングエリア内に到達したトレイ9を停止(固定)させるように閉動作する。
ロボット30は、コネクタ7を介して、工程に応じた種類のロボットハンド210が脱着自在に装着される。ロボットハンド210の種類は、例えば平行ハンド、多指ハンド、多指関節ハンドなどを含むが、これら限定されず、例えば吸着式によりワーク232を保持する種類も含み得る。
ロボット30は、ロボットコントローラ310を介して受信するPLC200からの指令値に従い、ピックアンドプレースを実施する。具体的には、ロボット30は、コンベア230上のトレイ9に載置されたワーク232をロボットハンド210によりピックし、ピックしたまま所定位置のトレイ55までワーク232を移動させてトレイ55上にワーク232を置く(プレースする)。ロボットハンド210は、指令に従い、ワーク232をピックまたはプレースするためのハンドの開閉動作が制御される。
シミュレーション装置1は、ロボット30の挙動を算出するシミュレーションプログラムと、ロボット30の外部表面に取り付けられる電力または信号を伝送するケーブル341の挙動を算出するシミュレーションプログラムとを実行する。
情報処理装置100は、制御プログラムを、このようなシミュレーションの結果を用いて設計することができる。情報処理装置100によって設計された制御プログラムは、PLC200に送信(またはダウンロード)される。
視覚センサ340は、撮像部350を接続する。撮像部350は、例えば、カメラであって、生産ラインに備えられるロボット30を含む機械、その周辺装置を含む設備およびワーク232などの被写体を撮像する。視覚センサ340は、撮像部350によって撮像された画像を処理するための画像処理部(図示せず)を備え、画像処理部は処理された画像351を出力する。画像351は、立体画像を含み得る。視覚センサ340と撮像部350は一体的に構成されてもよい。
ここでは、ロボット30の周辺装置は、図2に示されるような、光電センサ6、ストッパ8、トレイ9、トレイ55、コンベア230などを含む。
<C.制御と仮想空間の位置>
図2を参照して、ロボット30の制御と仮想空間の挙動について説明する。
ロボット30は、関節1300〜1305のロボットサーボモータそれぞれに連接される軸の動きに連動して、これら関節が動作する。各関節に繋がるアーム306は、軸の動きに連動して3次元の方向に位置姿勢を変更する。このような各アーム306の動作により、ロボット30の挙動が実現される。
同様に、コンベア230も、サーボモータ41,42が回転することでコンベア230および搬送面上のトレイ9が移動する。この移動量(移動の速度、向き、距離など)は、サーボモータ41,42の回転量(回転の向き、角度)により決まる。このようなサーボモータ41,42の駆動により、コンベア230およびトレイ9などの機器の挙動が実現される。
PLC200は、ロボット30の各軸の回転量を時系列に変化する目標値に従い制御し、これにより、各関節に繋がるアーム306の移動の速度と移動に伴う位置姿勢の変化である軌道とは、目標値に従う速度および軌道となるように変化する。
ロボット30の目標値は、例えばPLC200に予め格納されている。ロボットコントローラ310は、PLC200から目標値を示す指令を受信し、受信指令が示す目標値に基づき各ロボットサーボモータの回転量を決定し、決定した回転量を指示する指令(電圧、または電流の信号)を、各ロボットサーボモータに対し出力する。
(c1.仮想空間の座標系)
本実施の形態にかかるロボット30の関節1300〜1305のそれぞれに繋がるアーム306の3次元の仮想空間における位置姿勢を算出する過程の一例を説明する。本実施の形態のシミュレーションでは、ロボットハンド210と、先端のアーム306とは一体化された剛体として扱われる。また、本実施の形態では、3次元の仮想空間における座標系として、ロボット30およびPLC200などが共有するX軸、Y軸およびZ軸で規定されるワールド座標系を例示する。
シミュレーション装置1は、ワールド座標系におけるロボット30に対応のオブジェクトの挙動、すなわち各アーム306に対応のオブジェクトの位置姿勢を算出する際に、例えば、関節1300〜1305のサーボモータの回転量を、それぞれ、A、B、C、D、E、Fとして扱う。シミュレーション装置1は、サーボモータの回転量(A、B、C、D、E、F)に対して、所定関数を用いた演算を施す。これにより、シミュレーション装置1は、先端の関節1300に繋がるアーム306の仮想空間における位置姿勢を示す値PA(x,y,z,xα,yβ,zγ)を算出する。シミュレーション装置1は、関節1301〜1305それぞれに繋がるアーム306についても、上記と同様の演算により、位置姿勢を示す値PA(x,y,z,xα,yβ,zγ)を算出する。これにより、シミュレーション装置1は、ロボット30の各アーム306に対応するオブジェクトの仮想空間における挙動、すなわちロボット30に対応するオブジェクトの挙動を算出することができる。上記に述べた挙動を示す値PA(x,y,z,xα,yβ,zγ)は、位置として仮想空間における座標値(x,y,z)と、姿勢としてX軸、Y軸およびZ軸についての加速度成分であるロール角α、ピッチ角βおよびヨー角γの値(xα,yβ,zγ)との組合せで示される。
シミュレーション装置1は、ロボット30に対応するオブジェクトの仮想空間における挙動(位置姿勢)を算出し、算出された挙動を仮想空間情報105に反映する。
<D.制御システムの全体構成>
次に、本実施の形態にかかるシミュレーション装置1のハードウェア構成の一例について説明する。
図3は、本実施の形態にかかるシミュレーション装置1を実現するためのハードウェア構成の一例を示す模式図である。本実施の形態では、シミュレーション装置1は、図3に示すような情報処理装置100に実装され得る。具体的には、情報処理装置100のプロセッサ102が必要なプログラムを実行することでシミュレーション装置1が実現される。
情報処理装置100は、主たるコンポーネントとして、OS(Operating System)および後述するような各種プログラムを実行するプロセッサ102と、プログラムを実行するために必要なデータを格納する領域および作業領域を提供する主メモリ103と、キーボードやマウスなどのユーザ操作を受付ける「操作受付部」を構成する操作ユニット107と、ディスプレイ109、各種インジケータ、プリンタなどの出力ユニット111と、PLC200と通信するためのネットワークを含む各種ネットワークに接続されるネットワークインターフェイス110と、光学ドライブ113と、外部装置と通信するローカル通信インターフェイス116と、ストレージ120とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス118などを介して相互にデータ通信可能に接続される。
情報処理装置100は、光学ドライブ113によって、コンピュータ読取可能なプログラムを非一時的に格納する光学記憶媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)など)を含むコンピュータ読取可能な記憶媒体114から、各種プログラムまたはデータを読取ってストレージ120などにインストールする。
情報処理装置100で実行される各種プログラムまたはデータは、コンピュータ読取可能な記憶媒体114を介してインストールされてもよいが、ネットワーク上の図示しないサーバ装置などからネットワークインターフェイス110を介してダウンロードする態様でインストールされてもよい。
ストレージ120は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Flash Solid State Drive)などで構成され、プロセッサ102で実行されるプログラムを格納する。具体的には、ストレージ120は、本実施の形態にかかるシミュレーションを実現するためのシミュレーションプログラムとして、物理シミュレーションプログラム122と、周辺情報設定プログラム125と、位置姿勢取得プログラム127と、範囲変更プログラム128と、ロボットシミュレーションプログラム130と、転送プログラム134と、統合プログラム136とを格納する。また、ストレージ120は、シミュレーションの結果を出力するために画像処理プログラム133と、シミュレーションの結果を評価するための評価プログラム135とを含む。また、ストレージ120は、シミュレーションのためのデータとして、物理シミュレーションパラメータ124と、ロボット30に対応するオブジェクトの挙動の再現に必要なパラメータを含むロボットパラメータ132と、図1に示されたデータ群180と、仮想空間におけるオブジェクトをビジュアライズするための画像データ137とを格納する。
物理シミュレーションプログラム122は、実行されると、物理シミュレーションパラメータ124を用いた物理演算によって対象の挙動を算出する。物理シミュレーションプログラム122は、ケーブル341に対応する仮想空間におけるオブジェクトの挙動を算出し、算出された挙動の情報を出力するケーブルシミュレーションプログラム131を含む。
統合プログラム136は、実行されると、物理シミュレーションプログラム122と、周辺情報設定プログラム125と、ロボットシミュレーションプログラム130とを互いに連携させるための処理を実現する。具体的には、統合プログラム136は、典型的には主メモリ103上に、仮想空間のオブジェクトの状態を記述する仮想空間情報105を生成および更新する。物理シミュレーションプログラム122と、周辺情報設定プログラム125と、ロボットシミュレーションプログラム130の実行結果を示す情報を受付けて、仮想空間情報105に反映する。統合プログラム136が提供する機能は、周辺装置と、ロボットハンド210を有するロボット30と、ケーブル341との間の連携に従う挙動および処理を再現する。
画像処理プログラム133は、仮想空間情報105の各オブジェクトの挙動を示す情報と、画像データ137とを用いて、3D(three-dimensional)ビジュアライズデータを生成し、ディスプレイ109に出力する。ディスプレイ109は、3Dビジュアライズデータが示す描画データに従って駆動されることにより、仮想空間におけるオブジェクトの挙動を立体視可能な画像として表示する。画像データ137は、ロボット30のオブジェクトと、周辺装置のオブジェクトと、ロボットハンド210のオブジェクトと、ケーブル341のオブジェクトと、ワーク232のオブジェクトなどを、それぞれ描画するための画像データであって、例えばCAD(Computer Aided Design)データを含む。
評価プログラム135は、シミュレーションの結果を評価する評価処理を実施する。評価処理の詳細は後述する。
図3には、単一の情報処理装置100でシミュレーション装置1を実現する例を示したが、複数の情報処理装置を連係させてシミュレーション装置1を実現するようにしてもよい。この場合には、シミュレーション装置1を実現するために必要な処理の一部を情報処理装置100で実行させるとともに、残りの処理をネットワーク上のサーバ(クラウド)などで実行するようにしてもよい。
<E.機能構成>
次に、本実施の形態にかかるシミュレーション装置1の機能構成の一例について説明する。図4は、本実施の形態にかかるシミュレーション装置1を実現するための機能構成の一例を示す模式図である。図4に示す機能は、典型的には、情報処理装置100のプロセッサ102がプログラムを実行することで実現される。
図4を参照して、シミュレーション装置1は、その機能構成として、仮想空間情報管理モジュール150と、ケーブルシミュレータ154と、評価モジュール155と、ロボットシミュレータ160と、情報設定モジュール170と、ビジュアライザ164と、範囲変更モジュール166と、位置姿勢取得モジュール190と、転送ツール400とを含む。
仮想空間情報管理モジュール150は、統合プログラム136(図3)が実行されることで実現され、シミュレーションが実施される仮想空間の各オブジェクトの挙動を表す位置姿勢などの情報を規定する仮想空間情報105を管理する。
ケーブルシミュレータ154は、ケーブルシミュレーションプログラム131が実行されることで実現される。具体的には、ケーブルシミュレータ154は、ロボット30の挙動の情報に従い、物理シミュレーションパラメータ124に基づきケーブル341に対応するオブジェクトの挙動を算出し、算出された挙動の情報を、仮想空間情報105に反映する。
評価モジュール155は、シミュレーションの結果を評価し、評価結果をディスプレイ109などの出力ユニット111を介して出力する。具体的には、評価モジュール155は、評価プログラム135が実行されることにより実現される。評価モジュール155は、シミュレーションの結果である仮想空間情報105が示す各オブジェクトの挙動の情報に基づきオブジェクトどうしの干渉の有無を検出するとともに、ケーブル341の破損の可能性の有無を検出することにより、評価を実施する。オブジェクトどうしの干渉の有無およびケーブル341の破損の可能性の有無を検出する処理は後述する。
ロボットシミュレータ160は、ロボットシミュレーションプログラム130が実行されることで実現される。ロボットシミュレータ160は、ロボットパラメータ132およびデータ群180のデータに基づいて、ロボット30に対応する仮想空間に配置された各アーム306に対応するオブジェクトの挙動、すなわちロボット30の挙動を算出する。ロボットシミュレータ160により算出されるロボット30の挙動の情報は、仮想空間情報105に反映される。
ビジュアライザ164は、画像処理プログラム133が実行されることで実現される。ビジュアライザ164は、仮想空間情報管理モジュール150が管理する仮想空間情報105に基づいて、仮想空間の各オブジェクト(周辺装置、ロボットハンド210を装着すするロボット30、ケーブル341など)の挙動をビジュアル化して描画する画像データを生成する。
範囲変更モジュール166は、範囲変更プログラム128が実行されることにより実現される。範囲変更モジュール166は、ユーザーが設定した軸の可動範囲を変更する。これにより、データ群180の可動範囲データ185が変更される。ロボットシミュレータ160は、変更後の可動範囲データ185を有するデータ群180を用いて、再度、シミュレーションを実施することができる。
情報設定モジュール170は、周辺情報設定プログラム125が実行されることにより実現される。情報設定モジュール170は、データ群180から周辺装置およびワーク232の挙動(位置姿勢)を示す情報を検索する。検索された挙動の情報は、仮想空間情報105に反映される。
位置姿勢取得モジュール190は、位置姿勢取得プログラム127が実行されることにより実現される。位置姿勢取得モジュール190は、位置姿勢データ187を取得しデータ群180に設定する。位置姿勢取得モジュール190の処理の詳細は、図20で後述する。
転送ツール400は、転送プログラム134が実行されることにより実現される。転送ツール400は、ロボットシミュレータ160によってシミュレーションに用いられた1つ以上の軸の可動範囲を、データ群180から読出し、ネットワークインターフェイス110を介してPLC200に送信する。
図4に示すような各機能が互いに連携することで、シミュレーション対象のワーク搬送システムを構成するロボットハンド210を有したロボット30、周辺装置、ワーク232およびケーブル341などの挙動を再現できる。
<F.ケーブルシミュレーション>
ケーブルシミュレータ154は、ロボット30に取付けられるケーブル341に対応するオブジェクトの3次元の仮想空間における挙動を算出するケーブルシミュレーションを実行する。この3次元の仮想空間は、ロボット30の挙動を算出するための3次元の仮想空間と同一の空間である。
ケーブルシミュレーションは、仮想空間情報105が示すロボット30の挙動に基づいて、ケーブル341に対応するオブジェクトの挙動を算出する。
実施の形態では、仮想空間情報105が示すロボット30の挙動は、ユーザーが設定した可動範囲内で軸の姿勢を所定量(後述するΔAR)ずつ変化させる毎に、変化後の軸の姿勢に基づきロボットシミュレータ160によって算出されたロボット30の時系列の挙動を示す。
ケーブルシミュレータ154は、「第2のシミュレータ」の一実施例である。ケーブルシミュレータ154は、3次元の仮想空間におけるロボット30の時系列の挙動、例えば位置に基づき、ケーブル341のロボット30への取付けに関するケーブルパラメータを用いて、ロボット30と同一仮想空間に配置されたケーブル341の挙動を算出する。ケーブルパラメータは、例えば、ケーブル341の長さ、ケーブル341の取付け位置(すなわち、ロボット30のアームにおけるケーブルの取付位置)などを含むが、これらに限定されない。例えば、挙動に影響を及ぼすようなパラメータ、例えばケーブル341の材料に依存するパラメータ(例えば、ケーブル341の硬さを表すパラメータ)を含んでもよい。ケーブルパラメータは、物理シミュレーションパラメータ124として設定される。
具体的には、ケーブルシミュレータ154は、物理シミュレーションパラメータ124を用いて、物理シミュレーションを実行する。この物理シミュレーションは、ケーブル341に対応するオブジェクトを、隣接する剛体間をジョイントで接合することで複数の剛体が連なるモデル化された剛体リンクとして扱う。
ケーブルシミュレーションは、ロボット30に対応する3次元の仮想空間におけるオブジェクトの所与の挙動に基づき、ケーブルパラメータを用いて、剛体リンクのモデルを表す拘束条件を含む所定の拘束方程式を演算することによって、ケーブル341に対応するオブジェクトの3次元の仮想空間における挙動を算出する。ケーブル341に対応するオブジェクトの挙動は、3次元の仮想空間におけるX,Y,Zの各軸における当該オブジェクトの位置と姿勢を含む。この姿勢は、より特定的には、剛体リンクを構成する各剛体の例えばX軸、Y軸およびZ軸についての加速度成分であるロール角α、ピッチ角βおよびヨー角γの組合せで示される。
<G.軸の可動範囲>
ロボット30の各関節に対応した軸の可動範囲を説明する。図5は、実施の形態にかかるロボット30の各軸の可動範囲の一例を模式的に示す図である。図5を参照して、ロボット30の関節1300,1301,1302,1303,1304,1305のそれぞれに備えられるモータMが、ロボットコントローラ310からの指令に基づく回転量に従い駆動されると、各関節に対応の軸は回転量に従い動く。本実施の形態では、関節1300,1301,1302,1303,1304,1305それぞれに対応の軸を、第6の軸、第5の軸、第4の軸、第3の軸、第2の軸、第1の軸とそれぞれ区別して称する。
これら6個の各軸に対応する関節に繋がるアーム306は、軸の動きに連動して、図中の矢印1400〜1405に示されるような、3次元の方向に挙動を変化させる。例えば、矢印1400は手首のアーム306を曲げる方向の挙動を示し、矢印1401は手首のアーム306を旋回する方向の挙動を示し、矢印1402と1403は、上腕のアーム306を上下に動かす方向の挙動を示し、矢印1404は下腕のアーム306を前後に動かす方向の挙動を示し、矢印1405は下腕のアーム306を旋回させる方向の挙動を示す。
ユーザーは、矢印1400〜1405が示す各軸の可動範囲を、ティーチングペンダント300を操作することにより、データ群180に可動範囲データ185として設定することができる。ロボットシミュレータ160は、ユーザーが各軸について設定した可動範囲に従って、シミュレーションを実施することにより、ロボット30の挙動を算出する。
<H.データ群180と設定>
データ群180のデータと当該データの設定について説明する。
(h1.教示点データと周辺データ)
図6は、実施の形態にかかる教示点データ184と位置姿勢データ187の一例を示す図である。図6を参照して、ロボット30の複数の教示点1841と、各教示点1841に対応付けて位置姿勢データ187が示される。複数の教示点1841は、例えば、ピックアンドプレースの目標軌道に対応して設定された複数の教示点1841を示す。例えば、ロボット30は、アーム先端の位置姿勢を、複数の教示点1841に従って、例えばLOC1→LOC2→LOC3→…LOCi→…と順次変化させることによって、ワーク232を目標軌道に沿って搬送することができる。
各教示点1841に対応の位置姿勢データ187は、ロボット30が当該教示点が示す位置姿勢をとる場合に、周辺装置、ケーブル341およびワーク232がとるであろう位置姿勢を示す。例えば、ロボット30が教示点1841としてLOC1をとる場合、周辺装置、ケーブル341およびワーク232は、それぞれ、位置姿勢PA1、PC1およびPD1をとることを示す。図6のデータは、位置姿勢取得モジュール190により設定される。
(h2.軸の選択と可動範囲の設定)
図7は、実施の形態にかかる可動範囲を設定するためのUIの画面の一例を模式的に示す図である。画面は、ティーチングペンダント300の後述する表示部303のディスプレイにおいて、ダイレクトティーチングを実施中に表示される。ダイレクトティーチングを実施時に、ユーザーは、ロボット30の教示点毎に1つ以上の軸を選択し、選択した1つ以上の軸のそれぞれについて可動範囲を設定する。当該画面を用いたダイレクトティーチングの詳細は、図19で後述する。
図7の画面は、領域1091と1092とを含む。領域1091には、ロボット30の外形をモデル化した画像が表示される。領域1092に表示される情報は、ロボット30の軸毎の可動範囲の設定値が表示される。領域1091のモデル画像は、ロボット30の姿勢を矢印1093の方向に変化させながらダイレクトティーチングを実施することで、各軸の可動範囲を設定できることを示すガイダンス情報に相当する。ダイレクトティーチングを実施中には、各軸の角度は変化する。
領域1092では、例えば、ロボット30の教示点“LOC1”に対応して、第1の軸、第2の軸、第3の軸、第4の軸、第5の軸および第6の軸の6個の軸のそれぞれについて、当該軸の現在の傾き角度(姿勢)を表す現在値1627と、当該軸の現在の可動範囲1624の設定値が表示される。現在値1627は、ティーチングを実施中の各軸の角度を示す。例えば、図7では、ティーチングによって、第2の軸、第3の軸、第5の軸、および第6の軸の各軸の可動範囲1624が設定される状態であることが示される。可動範囲1624の設定値は、下限値1628と上限値1629の組合せで示される。なお、教示点は、“LOC1”に限定されず、他の教示点についても同様に各軸の可動範囲を設定することができる。ティーチングを実施時に、ユーザーが選択された軸について、下限ボタン1728を操作すると、その時に示されている現在値1627が当該軸の可動範囲の下限値1628として設定され、同様に、上限ボタン1729を操作すると、その時に示されている現在値1627が当該軸の可動範囲の上限値1629として設定される。設定された下限値および上限値は画面に反映される。
(h3.可動範囲データ)
図8は、実施の形態にかかる可動範囲データ185の一例を模式的に示す図である。シミュレーション装置1は、可動範囲データ185を、ティーチングペンダント300からのダイレクトティーチング情報330を用いて設定する。図8を参照して、可動範囲データ185は、教示点“LOC1”に対応して、ダイレクトティーチング情報330によって複数の軸1622と、軸1622のそれぞれに対応して、ダイレクトティーチング情報330に基づき設定された可動範囲1624とを含む。可動範囲1624は、下限値1628と上限値1629の組合せで示される。図8では、ダイレクトティーチング情報330が示す第2の軸、第3の軸、第5の軸および第6の軸のそれぞの可動範囲が設定されて、他の軸である第1の軸および第4の軸の可動範囲1624は、教示点“LOC1”に対応のデフォルト値が設定されている。図8は、教示点“LOC1”について設定される各軸に対応の可動範囲データ185を示したが、他の教示点についても同様に各軸に対応の可動範囲データ185を設定することができる。
(h4.確認項目データ186)
図9は、実施の形態にかかる確認項目データ186の一例を模式的に示す図である。確認項目データ186は、ダイレクトティーチング情報330によって設定された各軸の可動範囲が適切であるか否か、すなわシミュレーションにおいて異常が発生していないか否かを評価するために、シミュレーションの結果を用いて確認するべき確認項目1630を示す。確認項目1630は、例えば、「ロボットと周辺装置の干渉」1631と、「ロボットとハンドの干渉」1632と、「ハンドと周辺装置の干渉」1633と、「ケーブルの破損」1634とを含む。確認項目1630の種類は、これらに限定されない。
ユーザーは、異常の確認項目1630のうちから1つ以上を選択する。具体的には、シミュレーション装置1は、操作ユニット107から受付けたユーザー操作に基づき、複数の確認項目のうちから1つ以上の確認項目を選択し、選択された確認項目を確認項目データ186として設定する。図9の確認項目データ186では、例えば、「ロボットと周辺装置の干渉」1631と、「ロボットとハンドの干渉」1632と、「ケーブルの破損」1634とが確認するべき項目として設定されている。
<I.オブジェクトの干渉とケーブルの破損の検出>
評価モジュール155は、シミュレーション装置1によって実施されたシミュレーションの結果を評価する。具体的には、評価モジュール155は、シミュレーション結果である仮想空間情報105が示すオブジェクトの位置姿勢に基づき、オブジェクトどうしの干渉の有無の検出、およびケーブル341の破損の可能性を検出する。
(i1.干渉の検出)
評価モジュール155は、仮想空間情報105が示す各オブジェクトの位置姿勢に基づき、「干渉」の有無を検出する。例えば、「干渉」は、仮想的空間におけるロボット30に対応のオブジェクトと、当該オブジェクトとは異なる1つ以上のオブジェクトが配置される。異なるオブジェクトは、周辺装置、ワーク232、ケーブル341などに対応するオブジェクトを含む。
「干渉」は、ロボット30のオブジェクトおよび異なるオブジェクトからなる複数のオブジェクトのうちのいずれかのオブジェクトの座標(これを、座標Pとする)と他のオブジェクトの座標(これを、座標Qとする)との両者間の相対的な関係が特定の位置関係を示すとの条件が満たされるとき、「干渉」が有ると検知される。
特定の位置関係は、例えば、両者の距離が、閾値以下の距離を含む特定距離であるとことを含む。また、特定位置関係は、例えば、ロボット30の関節に対応の軸の可動範囲を連続的に変化させながらシミュレーションを実施する場合に、ロボット30の挙動(より特定的には各アームの挙動)を示す座標Pと次位の座標Pとを結ぶ軌跡が、他のオブジェクトの座標Qと交差したこと等を含む。オブジェクトどうしの「干渉」を検出するための、特定の位置関係は、これらの位置関係に限定されない。
上記に述べた閾値は、各オブジェクトのサイズ(幅、高さなど)に基づく値であってもよく、例えば、閾値またはオブジェクトのサイズは、例えば画像データ137の各オブジェクトのCADデータに含まれ得る。
(i2.ケーブル破損の可能性の検出)
評価モジュール155は、ケーブルシミュレータ154が算出したケーブル341に対応するオブジェクトの挙動に基づき、ケーブルの破損の可能性の有無を検出する。これにより、ケーブルに対応するオブジェクトの挙動が評価される。評価モジュール155は、例えば、ケーブル341のオブジェクトの挙動から算出される当該オブジェクトにかかる負荷、より特定的には挙動に影響を及ぼすような種類の負荷に基づき、当該挙動を評価する。このような負荷の種類は、限定されないが、例えば伸び、曲げおよびひねり等の少なくとも1つを含み得る。
具体的には、評価モジュール155は、ケーブル341のオブジェクトの挙動に基づき、負荷を算出し、算出された負荷が所定条件を満たすと判定したとき、ケーブル341は破損する可能性がある検出し、当該所定条件が満たされないと判定したとき破損する可能性はないと検出する。評価モジュール155は、検出の結果を示す評価結果を出力する。
上記の所定条件は、例えば、算出された曲げ半径が、ケーブル341の最小曲げ半径(ケーブル341の仕様によって指定された値)を超えるとの条件を示す。なお、この所定条件は、曲げ半径の条件に限定されない。
<J.処理手順>
図10と図11は、実施の形態にかかるシミュレーション装置1において実行される処理のフローチャートの一例を示す図である。図12と図13は、実施の形態にかかるシミュレーションの態様を模式的に示す図である。図14は、実施の形態にかかる可動範囲の変更の一例を模式的に示す図である。
図10と図11に示す各ステップは、典型的には、情報処理装置100のプロセッサ102がプログラム(物理シミュレーションプログラム122、位置姿勢取得プログラム127、範囲変更プログラム128、ロボットシミュレーションプログラム130、画像処理プログラム133、転送プログラム134、評価プログラム135、および、統合プログラム136など)を実行することで実現される。
シミュレーションの実施に際して、ユーザーはローカル通信インターフェイス116を介して後述するティーチングペンダント300から、ダイレクトティーチング情報330を受信し(ステップS3)、受信したダイレクトティーチング情報330に基づき可動範囲データ185を設定する(ステップS5)。これにより、可動範囲データ185には、教示点1621毎に、1つ以上の軸1622それぞれの可動範囲1624が設定される。
情報処理装置100は、ダイレクトティーチングで示される各教示点毎の位置姿勢データ187を取得し、データ群180に設定する(ステップS7)。
また、情報処理装置100は、操作ユニット107からのユーザー操作に基づき、複数の異常の確認項目のうちから選択された1つ以上の確認項目を、確認項目データ186に設定する(ステップS9)。ここでは、ステップS5において、例えば、教示点“LOC1”に対応する1つ以上の軸の可動範囲が設定される。なお、他の教示点であっても、図10の処理によって、各軸の可動範囲を設定することができる。
情報処理装置100は、ユーザー操作に基づき、シミュレーションの実行開始の指示を受付けると(ステップS10)、情報処理装置100は、ステップS5で設定された可動範囲データ185を用いてシミュレーションの処理を実施する(ステップS11)。実施の形態では、ステップS5で可動範囲データ185に設定された軸(すなわち、第2の軸、第3の軸、第4の軸および第5の軸)毎に、当該軸について設定された可動範囲1624を用いてステップS11のシミュレーションが実行される。以下では、シミュレーションの対象となっている軸を、他の軸と区別するために「対象軸」と呼ぶ。
シミュレーションが実行されることによって、仮想空間情報105には、仮想空間における周辺装置、ワーク232、ロボットハンド210を有するロボット30およびケーブル341のそれぞれに対応するオブジェクトの挙動を示す情報が反映される。
情報処理装置100は、仮想空間情報105に反映されたオブジェクトの挙動を示す情報に基づき、シミュレーションの結果を評価するとともに、評価の結果を示す評価情報を出力(表示)する(ステップS12)。情報処理装置100は、確認項目データ186が示す1つ以上の確認項目1630のそれぞれについて、仮想空間情報105が示す各オブジェクトの挙動を示す情報に基づき、干渉の有無を検出し、または、ケーブル破損の可能性を検出する。
情報処理装置100は、ユーザー操作に基づき、「対象軸」の可動範囲を変更するか否かを判定する(ステップS13)。情報処理装置100は、「対象軸」の可動範囲を変更しないと判定すると(ステップS13でNO)、可動範囲データ185において設定された全ての軸についてシミュレーションが実施されたか否かを判定する(ステップS15)。情報処理装置100は、未だ全ての軸についてシミュレーションが実施されていないと判定すると(ステップS15でNO)、「対象軸」を可動範囲データ185が示す次の軸に変更し、変更後の「対象軸」についてシミュレーションを実施する(ステップS11)。全ての軸についてシミュレーションが実施されたと判定されると(ステップS15でYES)、情報処理装置100は転送処理を実施する(ステップS17)。
転送処理では、情報処理装置100は、可動範囲データ185が示す教示点毎の各軸の可動範囲をPLC200に送信する。
情報処理装置100は、ユーザー操作に基づき、「対象軸」の可動範囲を変更すると判定すると(ステップS13でYES)、情報処理装置100は、可動範囲データ185における「対象軸」の可動範囲1624を変更する(ステップS16)。その後、ステップS11において「対象軸」について、変更後の可動範囲1624を用いてシミュレーションが実施される。
ステップS13では、例えば、ユーザーは、シミュレーションの評価結果が「干渉」または「ケーブル破損の可能性」が検知されたことを示す場合は、情報処理装置100に対して対象軸の可動範囲を変更するよう指示する操作を実施する。
ステップS16では、ユーザーの指示に応答して、情報処理装置100は範囲変更モジュール166として、「対象軸」の可動範囲を変更する。例えば、図14に示すように、可動範囲データ185における「対象軸」である例えば第2の軸の下限値を小さくするように変更し、また、「対象軸」である例えば第5の軸の上限値を小さくするように変更する。
図10の処理によれば、ユーザーは、ステップS12で出力されるシミュレーションの評価結果から、対象軸の可動範囲1624を変更して、変更後の可動範囲1624を用いてシミュレーションを再度、実施するべきか否かの判断基準を得ることができる。
したがって、対象軸の可動範囲1624を変更しながら、シミュレーションを繰返し実施することにより、ユーザーは、対象軸の可動範囲1624を最適値、すなわち干渉およびケーブル破損の可能性がない値に調整することができる。シミュレーションにより最適値に調整された各軸の可動範囲のデータは、PLC200に転送される(ステップS17)。これにより、PLC200は、各軸の可動範囲が、最適値の可動範囲(すなわち、上限値1629および下限値1628)を超えない範囲となるように、ロボット30の目標起動を生成し、目標軌道に従う目標値を用いてロボット30を制御することができる。
図11を参照して、ステップS11のシミュレーションの処理手順を説明する。図11のシミュレーションでは、「対象軸」の姿勢(軸のロール角α、ピッチ角βおよびヨー角γの組合せ)を表す変数ARを用いる。変数ARの値は、「対象軸」の可動範囲1624が示す下限値1628〜上限値1629の範囲で、ΔARの値だけ加算(または減算)され得る。ΔARの値は、限定されないが、例えば角度として1度とすることができて、ユーザーが設定することもできる。
まず、情報処理装置100は、「対象軸」の姿勢として初期値が設定された変数ARを用いてロボットシミュレーションを実施する(ステップS31)。情報処理装置100は、シミュレーションの対象となっている教示点LOC(i)が示すロボット30の挙動(位置姿勢)に基づき、変数ARの値だけ「対象軸」の角度を変化させた場合の挙動、すなわちロボット30に対応する仮想空間のオブジェクトの挙動を算出する。この算出は、(c1.仮想空間の座標系)で示された方法を用いることができる。
情報処理装置100は、シミュレーションによって算出されたロボット30に対応のオブジェクトの仮想空間における挙動を、仮想空間情報105に反映する。情報処理装置100は、(AR=AR+ΔAR)に従い変数ARの値を所定量ΔARずつ更新し(ステップS33)、更新後の変数ARの値が「対象軸」の可動範囲1624内の値であるか否かを判定する(ステップS35)。
変数ARは可動範囲1624内の値を示すと判定されると(ステップS35でYES)、情報処理装置100は、更新後の値が設定された変数ARの値を用いてロボットシミュレーションを実施する(ステップS31)。ステップS30〜S35では、「対象軸」の姿勢を可動範囲1624内でΔARの値ずつ変化させる毎にロボット30に対応するオブジェクトの挙動が算出されて、算出された挙動は仮想空間情報105に反映される。したがって、仮想空間情報105には、仮想空間におけるロボット30に対応するオブジェクトの時系列に変化する挙動が反映される。
変数ARは可動範囲1624内の値を示さないと判定されると(ステップS35でNO)、情報処理装置100は、周辺装置などの挙動の情報を設定する(ステップS37)。具体的には、情報処理装置100は、教示点“LOC1”に対応する位置姿勢データ187をデータ群180から検索し、検索された位置姿勢データ187を仮想空間情報105に反映する。これにより、仮想空間情報105には、ロボット30が教示点“LOC1”の位置姿勢をとった場合の周辺装置、ケーブル341およびワーク232に対応するオブジェクトの位置姿勢が反映される。
情報処理装置100は、ステップS31〜S33で算出されたロボット30のオブジェクトの時系列の挙動に基づき、ケーブルシミュレーションを実施する(ステップS39)。ケーブルシミュレーションにより算出されたオブジェクトの挙動の時系列の変化は、仮想空間情報105に反映される。
図11の処理によって、仮想空間情報105には、ロボット30が教示点“LOC1”が示す位置姿勢をとった場合における、周辺装置、ケーブル341およびワーク232に対応するオブジェクトの位置姿勢と、「対象軸」の姿勢を可動範囲1624で変化させて得られたロボット30のオブジェクトの時系列の挙動と、当該時系列の挙動に連動したケーブル341のオブジェクトの時系列の挙動とが反映される。
図12には、第5の軸が「対象軸」である場合のシミュレーションにおける可動範囲が模式的に示され、図13には、第6の軸が「対象軸」である場合のシミュレーションにおける可動範囲が模式的に示される。
<K.シミュレーション結果と評価の表示>
図15は、実施の形態にかかるシミュレーション結果の表示の一例を示す図である。例えば、図10のステップS12でディスプレイ109に表示される画面の一例が示される。図15の画面では、領域1100に、シミュレーション結果として可動範囲データ1096と、異常の確認項目毎の確認結果1097と、対象軸の可動範囲の設定を変更するか否かを選択するために操作されるボタン1098とが表示される。ボタン1098は、ステップS13において、ユーザーによって操作される。
シミュレーション結果として可動範囲データ1096は、例えば、第2の軸を「対象軸」とした場合のシミュレーション終了時における可動範囲の設定値を示す。確認結果1097は、ユーザーがステップS9において設定した確認項目毎に、オブジェクトどうしの干渉の有無、またはケーブルの破損の可能性の有無の評価の結果を示す。また、確認結果1097は、ユーザーが操作可能なボタン1099を含む。
情報処理装置100は、ボタン1099が操作されると、検出された異常を表す画像を領域1200に表示(再生)する。画像は、オブジェクトどうしの干渉が有る場合は異常(干渉)が発生する状態を表す画像を含み、また、ケーブルの破損の可能性が有る場合は異常(破損の可能性)が発生する状態を表す画像を含む。情報処理装置100は、領域1200に、異常が発生したときの「対象軸」の識別子と、その姿勢(例えば、変数ARの値)を示すデータ1021を表示する。図12の領域1200の画像は、例えば、「対象軸」である第2の軸の姿勢の変数ARが52度を示す場合に、ロボット30のアーム306が周辺装置(例えば、トレイ55)と干渉したことを示すポリゴンマーク342を含む。
図16は、図15の領域1200において表示される他の画像の一例を示す図である。図16の画像は、ケーブルの破損の可能性が有る場合の画像である。画像は、「対象軸」である第6の軸付近のケーブル341に破損の可能性があることを示すポリゴンマーク342を含む。
<L.ティーチングペンダントの構成>
図17は、実施の形態にかかるティーチングペンダントの構成を模式的に示す図である。ロボット教示用のティーチングペンダント300は、ロボット30を実際に動かし、その挙動(関節の軸またはエンドエフェクタの位置姿勢)を検出し記憶する可搬式の教示装置である。また、ティーチングペンダント300は、記録された位置姿勢を再生することにより、再生された挙動に基づきロボットを動作させることもできる。
図17を参照して、ティーチングペンダント300とその周辺機器を説明する。ティーチングペンダント300はロボットコントローラ310と有線または無線で通信する。ロボットコントローラ310とティーチングペンダント300との通信には、例えばシリアル通信が用いられる。なお、パラレル通信を用いてもよい。
ロボットコントローラ310は、ロボット制御部312と、通信I/F(Interfaceの略)311とを含む。ロボット制御部312は、PLC200またはティーチングペンダント300からの指令に基づいて、ロボット30に対して指令を出力する。具体的には、ロボット制御部312には、1または複数のサーボドライバが内蔵されており、各サーボドライバは、対応するサーボモータ1300〜1305を指令に基づき制御する。各サーボモータの回転軸にはエンコーダ(図示せず)が設けられている。当該エンコーダは、サーボモータの位置(回転角度)、サーボモータの回転速度、サーボモータの累積回転数などを、対応するサーボドライバにフィードバックする。したがって、PLC200またはティーチングペンダント300からの指令に基づきサーボモータ1300〜1305が駆動された場合、その指令に応じた回転角度などはフィードバックされる。
視覚センサ340は、画像処理部344を含む。撮像部350は、撮像範囲に存在する被写体を撮像する装置であり、主たる構成要素として、レンズや絞りなどの光学系と、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの受光素子とを含む。撮像部350は、画像処理部344からの指令に従って撮像する。
画像処理部344は、撮像制御部346と、通信I/F348とを含む。これらのコンポーネントは図示しないバスを介して互いにデータ通信可能に接続されている。撮像制御部346は、撮像部350からの画像データを処理して、処理後の画像351をフィールドネットワーク22に送信する。
ティーチングペンダント300は、制御部301と、通信I/F302と、表示部303と、ティーチングペンダント300に対するユーザー操作を受付けるための操作部304と、メモリ305を含む。通信I/F302は、ティーチングペンダント300がロボットコントローラ310または情報処理装置100を含む外部の機器と通信するためのインターフェイスである。
制御部301は、ユーザーから操作部304を介して、軸の選択、および選択された軸に対応のモータMに対する指令を受け付ける。制御部201は、当該指令に基づいてサーボモータMを制御するための指令(回転量)を生成し、生成した指令を、ロボットコントローラ310に対して出力する。ロボットコントローラ310は、ティーチングペンダント300からの指令を、選択された軸に対応のモータMに向けて出力する。これにより、モータMはユーザー操作に従う指令に従い駆動されて、ユーザーが選択した軸の角度が指令された角度に調整される。
制御部301はまた、ロボットコントローラ310を介して視覚センサ340から出力される画像351を受付けて、表示部303へ画像を出力する。例えば、画像351は、ユーザー操作に従う指令に従い、ユーザーが選択した軸の角度が調整された状態のロボット30の姿勢を示す画像を含む。これにより、ユーザーは操作部304を介して実施した、軸の選択、および選択された軸に対応のモータMに対する指令(回転量)を、表示部303のロボット30の画像から視覚的に確認することができる。
<M.ダイレクトティーチング>
図18は、実施の形態にかかるダイレクトティーチングのシーンを模式的に示す図である。図19は、実施の形態にかかるダイレクトティーチングの処理手順を示すフローチャートである。図18を参照して、ユーザーが、ロボット30を操作することにより1つ以上の教示点を設定するシーンを説明する。ダイレクトティーチングは、生産ラインに備えられる、いわゆる実機のロボット30に対するティーチングであって、ティーチングは周辺装置、ワークなどはロボット30の周囲には存在しない、例えば生産ラインは停止している環境で実施されるとする。また、説明を簡単にするために、ティーチング時にケーブル341に負荷はかからないとする。
ロボットコントローラ310が有する各サーボモータ1300〜1305のサーボドライバは、図示しないブレーキを有する。ブレーキがかかっている状態では、サーボモータ1300〜1305は隣接する2つのアーム306がなす角度(関節の角度)あるいは回動の回転角度は一定に保たれる。ブレーキが解除されると、補助トルクを用いて、図18に示すように、ユーザーはアーム306を手701,702で所望とする位置姿勢へ調整することができる。
ロボット30が所望する位置姿勢に調整されたとき、ユーザーは、ティーチングペンダント300の操作部304を操作して、教示点の設定を指示する。制御部301に備えられるプロセッサは、当該指示を受付けると、図19の処理を開始する。図19の処理を示すプログラムは、メモリ305に格納されている。
図19を参照して、制御部301は、ユーザー操作から受付つけた指示に基づき、教示点LOC(i)を決定する(ステップS51)。具体的には、制御部301は、ロボットコントローラ310から、各軸に対応するサーボモータの回転角度、すなわち回転量を受信する。制御部301は、第1の軸〜第6の軸それぞれの回転量を取得し、取得した各軸の回転量から、教示点LOC(i)を算出する。これにより、教示点LOC(i)が決定される。
制御部301は、教示点LOC(i)の挙動をとった状態のロボット30の画像を取得する(ステップS53)。具体的には、制御部301はロボットコントローラ310を介して、視覚センサ340にロボット30を撮像するよう指示する。撮像部350は、指示に従いロボット30を撮像し、撮像された画像351を送信する。ティーチングペンダント300は、ロボットコントローラ310を介して画像351を受信する。これにより、制御部301は、教示点LOC(i)の挙動をとった状態のロボット30の画像を取得できる。
制御部301は、教示点LOC(i)の挙動をとった状態のロボット30の各関節の軸の可動範囲を決定する(ステップS55)。具体的には、制御部301は、表示部303に図7の画面を出力する。図7の画面の領域1092の現在値1627は、最初に教示点LOC(i)の挙動をとった状態のロボット30の各関節の軸の角度を示す。この角度は、制御部301が、ロボットコントローラ310から受信した各軸の角度であって、各軸に対応のサーボモータ1300〜1305からフィードバックされた回転量に基づいている。
図18に示されるようにロボット30の関節の角度を手で調整すると、その調整によるモータMの回転量はロボットコントローラ310にフィードバックされる。制御部301は、ロボットコントローラ310から調整後の回転量に基づく角度で、図7の画面の現在値1627を更新する。この調整を繰り返すことにより、ユーザーは、所望する関節の軸の角度の現在値1627が所望する角度を示すとき、下限ボタン1728または上限ボタン1729を操作する。これにより、ユーザーは、所望する各軸について、所望する下限値1628および上限値1629を含む可動範囲1624を設定できる。
制御部301は、図7のUIの画面に設定された情報から、教示点LOC(i)毎にユーザーが選択した1つ以上の軸のそれぞれの可動範囲1624を決定することができる。
制御部301は、ステップS51、S53およびS55において取得された教示点LOC(i)、ロボット30の画像351および各関節の軸の可動範囲を関連づけた情報を生成し、生成した情報(これは、教示点情報と呼ぶ)をメモリ305に格納する。制御部301は、他の教示点についても図19の処理を実行することにより、教示点情報を取得して、メモリ305に格納する。ダイレクトティーチング情報330は、メモリ305に格納された複数の教示点LOC(i)の教示点情報を示す。
<N.位置姿勢データの取得>
図20は、実施の形態にかかる位置姿勢データ187の取得の処理手順を示すフローチャートである。図20の処理は、図10のステップS7において、位置姿勢取得プログラム127が実行されることにより実現される。
情報処理装置100は、例えば生産ラインが稼働時に、撮像部350により撮像された画像351を取得する(ステップS71)。具体的には、ピックアンドプレースの搬送を実施する場合に、ロボット30、周辺装置およびワーク232を撮像視野におさめた複数の画像351を取得する。複数の画像351は、ピックアンドプレースの搬送時間において連続して撮像された画像を含む。
情報処理装置100は、ステップS71で取得された複数の画像351と教示点LOC(i)の画像とを照合する(ステップS73)。具体的には、情報処理装置100は、複数の画像351と、ティーチングペンダント300から受信するダイレクトティーチング情報330に含まれる教示点LOC(i)の画像とを照合する。情報処理装置100は、照合の結果に基づき、教示点LOC(i)の画像が示すロボット30の挙動と同一挙動を示すロボットの画像を含む1つの画像351を、複数の画像351から抽出する。
情報処理装置100は、教示点LOC(i)における周辺装置、ケーブル341およびワーク232の挙動を取得する(ステップS75)。具体的には、情報処理装置100は、上記の抽出された画像351において、ロボット30と周辺装置,ワーク232,ケーブル341との間の相対的な位置関係を検出する。情報処理装置100は、教示点LOC(i)が示すサーボモータの回転量(A、B、C、D、E、F)から算出されるロボット30に対応の仮想空間におけるオブジェクトの位置姿勢を示す値PA(x,y,z,xα,yβ,zγ)と、上記の検出した位置関係とに基づき、周辺装置,ワーク232,ケーブル341の当該仮想空間における位置姿勢を算出する。例えば、所定の換算式を用いて実施される。これにより、ダイレクトティーチング情報330が示すロボット30の各教示点LOC(i)について、仮想空間における周辺装置,ワーク232,ケーブル341に対応のオブジェクトの位置姿勢が取得される。
情報処理装置100は、取得された各教示点LOC(i)に対応する周辺装置,ワーク232,ケーブル341に対応のオブジェクトの位置姿勢を、位置姿勢データ187としてデータ群180に設定する(ステップS77)。
<O.PLC200のハードウェア構成例とデータ転送>
PLC200のハードウェア構成例について説明する。図21は、実施の形態にかかるPLC200のハードウェア構成例を示す模式図である。
図21を参照して、PLC200は、予めインストールされたプログラムをプロセッサが実行することで、制御対象に対する制御を実現する。より具体的には、PLC200は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)などのプロセッサ202と、チップセット204と、メインメモリ206と、揮発性メモリ207と、フラッシュメモリ208と、不揮発性メモリ209と、情報処理装置100と通信するUSBインターフェイス216と、記録媒体220が装着され得るメモリカードインターフェイス218と、内部バスコントローラ222と、フィールドバスコントローラ224とを含む。フラッシュメモリ108は、システムプログラム211およびユーザープログラム212を格納する。
プロセッサ102は、フラッシュメモリ108に格納されたシステムプログラム211およびユーザープログラム212を読出して、メインメモリ106に展開して実行することで、制御対象に対する制御を実現する。ユーザープログラム212は、制御プログラムと、システムサービスプログラムなどを含む。制御プログラムは、ロボット30の目標軌道を計算(生成)する軌道生成プログラム99を含む。軌道生成プログラム99は、例えばインタプリタプログラムを含む。
チップセット204は、各コンポーネントを制御することで、PLC200全体としての処理を実現する。
内部バスコントローラ222は、PLC200と内部バスを通じて連結される他のユニットとの間でデータを遣り取りするインターフェイスである。フィールドバスコントローラ224は、PLC200と図示しないフィールドバスを通じて連結されるI/Oユニットとの間でデータを遣り取りするインターフェイスである。内部バスコントローラ222およびフィールドバスコントローラ224は、対応のI/Oユニット314および316にそれぞれ入力される状態値を取得するとともに、プロセッサ202での演算結果を対応のI/Oユニット314および316から指令値としてそれぞれ出力する。
(o1.データ転送)
図22は、実施の形態にかかるデータ転送の一例を模式的に示す図である。図22を参照して、PLC200は、所定の制御周期77毎に、優先度に従いプログラムを実行する。例えば、優先度の高いプログラム88が実行される。プログラム88は、モーション制御プログラムを含む。プログラム88の実行が終了すると、次位の優先度である軌道生成プログラム99が実行され得る。軌道生成プログラム99は、例えば、複数の制御周期77毎に実行される。さらに優先度の低いシステムサービス10のプログラムが、軌道生成プログラム99の実行周期よりも長い周期で実行される。
ステップS17(図10)で教示点LOC(i)の可動範囲のデータが転送されると、PLC200は、情報処理装置100から受信する可動範囲のデータを不揮発性メモリ209に格納する。具体的には、情報処理装置100は、制御の空き時間、すなわちシステムサービス10が実行される時間を用いて、可動範囲のデータ12を、PLC200の不揮発性メモリ209に格納する(ステップS17)。PLC200は、不揮発性メモリ209に可動範囲データ12が格納されると、その後、軌道生成プログラム99の開始時に、不揮発性メモリ209の可動範囲データ12を読出し、読み出された可動範囲データ12を揮発性メモリ207に格納する(ステップS50)。これにより、揮発性メモリ207に格納されていた旧の可動範囲データ11は、新たな可動範囲データ12に更新(書換)される。ここで、揮発性メモリ207に格納される可動範囲データ11(または可動範囲データ12)は、軌道生成プログラム99が参照するパラメータである。すなわち、軌道生成プログラム99は生成する軌道の目標値が教示点LOC(i)を示すとき、各軸に対応して生成される指令値が、教示点LOC(i)に対応の可動範囲データ11(または可動範囲データ12)が示す下限値〜上限値内を超えないように指令値を生成する。このように、可動範囲データ11(または可動範囲データ12)は、指令値を適正値(すなわち、干渉またはケーブル341の破損を回避し得る値)とする閾値パラメータに相当する。
これにより、シミュレーション装置1で算出された教示点LOC(i)毎の各軸の可動範囲を実機であるPLC200のロボット30の制御に反映することができる。
また、新たな可動範囲データ12を用いて揮発性メモリ207の旧の可動範囲データ11を書き換えるタイミングは、情報処理装置100が指定する時間データ13によって指定してもよい。システムサービス10は、時間データ13が指示するタイミングで、当該書換を実施する。例えば、時間データ13は、生産ラインの段取り替えのタイミングなどを示してもよい。
<P.プログラム>
図10と図11に示すシミュレーションは、図3の情報処理装置100のプロセッサ102がストレージ120などのメモリに格納されるプログラムを実行することにより提供される構成を例示したが、これらの提供される構成の一部または全部を、専用のハードウェア回路(たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)など)を用いて実装してもよい。あるいは、情報処理装置100の主要部を、汎用的なアーキテクチャに従うハードウェアを用いて実現してもよい。この場合には、仮想化技術を用いて、用途の異なる複数のOSを並列的に実行させるとともに、各OS上で必要なアプリケーションを実行させるようにしてもよい。
また、情報処理装置100は、プロセッサを複数個備えてもよい。この場合は、ケーブルシミュレーションは、複数のプロセッサにより実行することが可能である。また、プロセッサ102が複数のコアを含む場合は、ケーブルシミュレーションは、プロセッサ102内の複数のコアにより実行することが可能である。
情報処理装置100の記憶媒体114は、コンピュータその他装置、機械等が記録されたプログラム等の情報を読み取り可能なように、当該プログラム等の情報を、電気的、磁気的、光学的、機械的または化学的作用によって蓄積する媒体である。情報処理装置100のプロセッサ102は、これら記憶媒体から、上記に述べたケーブルシミュレーションにかかるプログラムまたはパラメータを取得してもよい。
<Q.利点>
実施の形態にかかるシミュレーションを利用することにより、ロボット30の各関節に対応の軸の可動範囲を、干渉およびケーブル破損を回避可能な範囲である適正範囲となるように調整することができる。また、シミュレーションでは、「対象軸」の初期設定の可動範囲1624(上限値1629および下限値1628)は、干渉およびケーブル破損の可能性が検出されると、狭める方向に変更される。これにより、「対象軸」の可動範囲1624を、可能な限り広い範囲に決定することができる。「対象軸」の可動範囲1624は可能な限り広い範囲に決定されることで、ロボット30の可動範囲も可能な限り広い範囲に設定することができる。設定された各軸の可動範囲は、PLC200が実行するロボット制御プログラムが参照する可動範囲の閾値に設定することができる。
実施の形態の背景として、ロボット30が備えられる生産ラインでは、例えばワーク搬送を行う際に、ロボット30は、教示時の姿勢とは異なる姿勢で教示点に移動するケースが発生する。例えば、画像センサでワーク232の姿勢を検知し、検知結果に応じて、ピック位置またはプレース位置が現場で補正される場合は、ロボットの姿勢も補正されて、その結果、ロボット30の姿勢は、ロボット制御プログラムによって設計された姿勢とは異なる姿勢をとるケースが発生する。
このようなケースであっても、ロボット制御プログラムが参照する可動範囲は、シミュレーションによって決定された可能な限り広い範囲に設定することができる。したがって、このようなケースであっても、ケーブル341の破損またはロボット30と周辺装置との干渉、またはロボットハンド210と周辺装置の干渉などを回避しながら、ロボット30を用いたワーク搬送を実現できる。
<R.付記>
上述したような本実施の形態は、以下のような技術思想を含む。
[構成1]
複数の関節(1300〜1305)を有した機器(30)の挙動を推定するシミュレーション装置(1)であって、
前記機器は、それぞれが当該機器の関節に対応した複数の軸を備え、
各前記複数の軸に対応の関節は、当該軸の動きに連動して動作し、
前記シミュレーション装置は、
前記機器に対するダイレクトティーチングの情報(330)であって、前記複数の軸のうち1つ以上の軸の可動範囲を含む情報に基づいて、前記機器に対応する仮想空間に配置された対象の挙動を算出するシミュレーションを実施する第1のシミュレータ(160)と、
前記仮想空間をビジュアル化した画像を生成する画像生成部(164)と、を備える、シミュレーション装置。
[構成2]
各前記1つ以上の軸の可動範囲を変更する範囲変更部(166)を、さらに備え、
前記第1のシミュレータは、さらに、
各前記1つ以上の軸の変更された前記可動範囲に基づいて、前記機器に対応する仮想空間に配置された対象の挙動を算出するシミュレーションを実施する、構成1に記載のシミュレーション装置。
[構成3]
前記仮想空間には、前記機器に対応の対象とは異なる対象が配置され、
前記異なる対象は、前記機器の周辺装置に対応する対象を含み、
前記機器に対応する対象の挙動は、当該対象の前記仮想空間における位置を含み、
前記範囲変更部は、前記仮想空間における前記機器に対応の対象と前記異なる対象との位置間の相対的な関係が特定位置関係を示すとき、各軸の可動範囲を変更する、構成2に記載のシミュレーション装置。
[構成4]
前記仮想空間には、前記機器に対応の対象とは異なる対象が配置され、
前記異なる対象は、前記機器に取付けられるケーブル(341)に対応する前記仮想空間に配置された対象(340)を含み、
前記機器に対応する仮想空間に配置された対象の挙動に基づき、ケーブルの取付けに関するパラメータを用いて、当該ケーブルに対応する前記仮想空間に配置された対象の挙動を算出する第2のシミュレータ(154)を、さらに備える、構成2または3に記載のシミュレーション装置。
[構成5]
前記シミュレーション装置は、
前記第2のシミュレータによって算出された前記ケーブルに対応する対象の挙動に基づき、当該対象にかかる負荷を算出し、
前記範囲変更部は、算出された前記負荷が所定条件を満たすとき、各前記1つ以上の軸の可動範囲を変更する、構成4に記載のシミュレーション装置。
[構成6]
前記ダイレクトティーチングの情報は、前記機器がとるべき位置姿勢を示す教示点(LOC(i))に関連づけされた前記1つ以上の軸の可動範囲の情報を含み、
前記第1のシミュレータは、さらに、
前記教示点が示す位置姿勢と当該教示点に関連づけされた各前記1つ以上の軸の可動範囲とに基づいて、前記機器に対応する前記仮想空間に配置された対象の挙動を算出する、構成1から5のいずれか1に記載のシミュレーション装置。
[構成7]
前記可動範囲は、上限値および下限値を用いて示され、
前記可動範囲を用いて前記機器を制御するコントローラ(200)に、前記第1のシミュレータが前記機器の挙動の算出に用いた各前記1つ以上の軸の可動範囲を示すデータを送信する転送部(400)を、さらに備える、構成1から6のいずれか1に記載のシミュレーション装置。
[構成8]
コンピュータ(100)に、複数の関節(1300〜1305)を有した機器(30)の挙動を推定する方法を実行させるためのプログラムであって、
前記機器は、それぞれが当該機器の関節に対応した複数の軸を備え、
各前記複数の軸に対応の関節は、当該軸の動きに連動して動作し、
前記方法は、
前記機器に対するダイレクトティーチングの情報(330)であって、前記複数の軸のうちの1つ以上の軸の可動範囲を含む情報に基づいて、前記機器に対応する仮想空間に配置された対象の挙動を算出するシミュレーションを実施するステップ(S11)と、
前記仮想空間をビジュアル化した画像を生成するステップと、を備える、プログラム。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 シミュレーション装置、2 制御システム、22 フィールドネットワーク、30 ロボット、100 情報処理装置、105 仮想空間情報、122 物理シミュレーションプログラム、124 物理シミュレーションパラメータ、125 周辺情報設定プログラム、127 位置姿勢取得プログラム、128 範囲変更プログラム、130 ロボットシミュレーションプログラム、131 ケーブルシミュレーションプログラム、132 ロボットパラメータ、133 画像処理プログラム、134 転送プログラム、135 評価プログラム、136 統合プログラム、150 仮想空間情報管理モジュール、154 ケーブルシミュレータ、155 評価モジュール、160 ロボットシミュレータ、164 ビジュアライザ、166 範囲変更モジュール、170 情報設定モジュール、180 データ群、184 教示点データ、186 確認項目データ、187 位置姿勢データ、190 位置姿勢取得モジュール、200 プログラマブルロジックコントローラ、300 ティーチングペンダント、310 ロボットコントローラ、330 ダイレクトティーチング情報、340 視覚センサ、341 ケーブル、1624 可動範囲。

Claims (8)

  1. 複数の関節を有した機器の挙動を推定するシミュレーション装置であって、
    前記機器は、それぞれが当該機器の関節に対応した複数の軸を備え、
    各前記複数の軸に対応の関節は、当該軸の動きに連動して動作し、
    前記シミュレーション装置は、
    前記機器に対するダイレクトティーチングの情報であって、前記複数の軸のうちの1つ以上の軸の可動範囲を含む情報に基づいて、前記機器に対応する仮想空間に配置された対象の挙動を算出するシミュレーションを実施する第1のシミュレータと、
    前記仮想空間をビジュアル化した画像を生成する画像生成部と、を備える、シミュレーション装置。
  2. 各前記1つ以上の軸の可動範囲を変更する範囲変更部を、さらに備え、
    前記第1のシミュレータは、さらに、
    各軸の変更された前記可動範囲に基づいて、前記機器に対応する仮想空間に配置された対象の挙動を算出するシミュレーションを実施する、請求項1に記載のシミュレーション装置。
  3. 前記仮想空間には、前記機器に対応の対象とは異なる対象が配置され、
    前記異なる対象は、前記機器の周辺装置に対応する対象を含み、
    前記機器に対応する対象の挙動は、当該対象の前記仮想空間における位置を含み、
    前記範囲変更部は、前記仮想空間における前記機器に対応の対象と前記異なる対象との位置間の相対的な関係が特定位置関係を示すとき、各前記1つ以上の軸の可動範囲を変更する、請求項2に記載のシミュレーション装置。
  4. 前記仮想空間には、前記機器に対応の対象とは異なる対象が配置され、
    前記異なる対象は、前記機器に取付けられるケーブルに対応する前記仮想空間に配置された対象を含み、
    前記機器に対応する仮想空間に配置された対象の挙動に基づき、前記ケーブルの取付けに関するパラメータを用いて、当該ケーブルに対応する前記仮想空間に配置された対象の挙動を算出する第2のシミュレータを、さらに備える、請求項2または3に記載のシミュレーション装置。
  5. 前記シミュレーション装置は、
    前記第2のシミュレータによって算出された前記ケーブルに対応する対象の挙動に基づき、当該対象にかかる負荷を算出し、
    前記範囲変更部は、算出された前記負荷が所定条件を満たすとき、各前記1つ以上の軸の可動範囲を変更する、請求項4に記載のシミュレーション装置。
  6. 前記ダイレクトティーチングの情報は、前記機器がとるべき位置姿勢を示す教示点に関連づけされた前記1つ以上の軸の可動範囲の情報を含み、
    前記第1のシミュレータは、さらに、
    前記教示点が示す位置姿勢と当該教示点に関連づけされた各前記1つ以上の軸の可動範囲とに基づいて、前記機器に対応する前記仮想空間に配置された対象の挙動を算出する、請求項1から5のいずれか1項に記載のシミュレーション装置。
  7. 前記可動範囲は、上限値および下限値を用いて示され、
    前記可動範囲を用いて前記機器を制御するコントローラに、前記第1のシミュレータが前記機器の挙動の算出に用いた各前記1つ以上の軸の可動範囲を示すデータを送信する転送部を、さらに備える、請求項1から6のいずれか1項に記載のシミュレーション装置。
  8. コンピュータに、複数の関節を有した機器の挙動を推定する方法を実行させるためのプログラムであって、
    前記機器は、それぞれが当該機器の関節に対応した複数の軸を備え、
    各前記複数の軸に対応の関節は、当該軸の動きに連動して動作し、
    前記方法は、
    前記機器に対するダイレクトティーチングの情報であって、前記複数の軸のうちの1つ以上の軸の可動範囲を含む情報に基づいて、前記機器に対応する仮想空間に配置された対象の挙動を算出するシミュレーションを実施するステップと、
    前記仮想空間をビジュアル化した画像を生成するステップと、を備える、プログラム。
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