JP2021141949A - 測定装置、およびプログラム - Google Patents

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俊輔 今井
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仁志 富永
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Abstract

【課題】被測定部の内部情報を非接触で測定し得る測定装置を提供する。【解決手段】測定装置は、2つの光パルスをそれぞれ出射する2つの光源、光検出器、およびこれらの構成要素を制御し、前記光検出器から出力された信号を処理する処理回路を備え、前記処理回路は、前記2つの光源に前記2つの光パルスをそれぞれ出射させ、前記光検出器に、前記2つの光パルスが被測定部で反射されることによって生じた2つの反射光パルスの立ち下がり部分をそれぞれ検出させることにより、前記2つの反射光パルスの前記立ち下がり部分の強度に応じた2つの信号をそれぞれ出力させ、前記2つの信号に基づいて、前記被検部の内部の状態を示す第3信号を生成して出力し、前記2つの光パルスの強度が減少ピーク値の90%から10%の強度に低下するまでの時間をそれぞれt1およびt2とすると、|t1−t2|/t1≦0.2を満たす。【選択図】図1A

Description

本開示は、測定装置、およびプログラムに関する。
対象の被測定部を光で照射し被測定部の内部を透過した光を検出することにより、被測定部の内部情報を取得する技術が存在する。例えば、特許文献1は、表面反射成分によるノイズを取り除き、被測定部の内部情報を取得する装置を開示している。
特開平11―164826号公報 特開平4―189349号公報
内部情報の取得における1つの課題は、計測の精度を向上させることである。
本開示は、被測定部の内部情報を精度よく取得し得る測定装置を提供する。
本開示の一態様における測定装置は、第1光パルスを出射する第1光源と、第2光パルスを出射する第2光源と、少なくとも1つの光検出器と、前記第1光源、前記第2光源、および前記光検出器を制御し、前記光検出器から出力された信号を処理する処理回路と、を備え、前記処理回路は、前記第1光源に前記第1光パルスを出射させ、前記第2光源に前記第2光パルスを出射させ、前記光検出器に、前記第1光パルスが対象物の被測定部で反射されることによって生じた第1反射光パルスの立ち下がり期間の少なくとも一部の成分、および前記第2光パルスが前記被測定部で反射されることによって生じた第2反射光パルスの立ち下がり期間の少なくとも一部の成分を検出させることにより、前記第1反射光パルスの前記一部の強度に応じた第1信号、および前記第2反射光パルスの前記一部の強度に応じた第2信号を出力させ、前記第1信号および前記第2信号に基づいて、前記被測定部の内部の状態を示す第3信号を生成して出力し、前記第1光パルスの強度がピーク値の90%から10%の強度に低下するまでの時間をtとし、前記第2光パルスの強度がピーク値の90%から10%の強度に低下するまでの時間をtとすると、|t−t|/t≦0.2を満たす。
本開示によれば、被測定部の内部情報を精度よく取得することができる。
図1Aは、本開示の例示的な実施形態における測定装置を模式的に示す図である。 図1Bは、光検出器の構成の一例を示す図である。 図2Aは、1フレーム内の動作の例を示す図である。 図2Bは、2種類の波長の光による検出動作の他の例を示す図である。 図3Aは、光パルスがインパルス波形を有する場合における、反射光パルスに含まれる表面反射成分および内部散乱成分の時間変化の例を模式的に示す図である。 図3Bは、光パルスが矩形形状の波形を有する場合における、反射光パルスに含まれる表面反射成分および内部散乱成分の時間変化の例を模式的に示す図である。 図3Cは、制御回路による第1光源、第2光源、および光検出器に関する動作の概略を示すフローチャートである。 図4Aは、内部散乱成分のインパルス応答波形を示す図である。 図4Bは、光源から出射された光パルスが有する矩形形状の波形を示す図である。 図4Cは、図4Aに示す波形と図4Bに示す波形とのコンボリューションによって得られた波形を示す図、および当該波形の後端を示す拡大図である。 図5Aは、被測定部の内部に吸収体が存在しない場合における、反射光パルスの検出強度を示すグラフである。 図5Bは、被測定部の内部に吸収体が存在する場合と存在しない場合とにおける、反射光パルスの検出強度の変化量を示すグラフである。 図5Cは、被測定部の内部に吸収体が存在する場合と存在しない場合とにおける、反射光パルスの検出強度の変調度を示すグラフである。 図6は、光パルスの立ち下がり期間と、変調度との関係を示す図である。 図7は、第2光パルスの立ち下がり期間が1nsである場合における、第1光パルスの立ち下り期間と、信号処理回路によって算出された酸素化ヘモグロビン量との関係を示す図である。 図8は、本実施形態における測定装置の具体例を模式的に示す図である。
以下で説明される実施形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、およびステップの順序は、一例であり、本開示の技術を限定する趣旨ではない。以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。さらに、各図において、実質的に同一または類似の構成要素には同一の符号が付されている。重複する説明は省略または簡略化されることがある。
まず、本開示の実施形態の概要を簡単に説明する。
異なる波長を有する2つの光パルスで生体の被測定部を照射することによってそれぞれ得られる2つの反射光パルスを検出することにより、1つの光パルスを照射する構成と比較して、被測定部のより詳細な情報を取得することができる。生体組織に含まれる成分は、光吸収特性および光散乱特性について波長依存性を有するからである。
本開示の実施形態における測定装置は、異なる波長を有する2つの光パルスで被測定部を照射し、2つの反射光パルスの各々の立ち下がり部分を検出する。これにより、被測定部からの表面反射成分によるノイズを抑制した状態で、被測定部の内部情報を非接触で取得することができる。さらに、本開示の実施形態における測定装置によれば、被測定部に照射する2つの光パルスの立ち下がり部分の波形を適切に調整することにより、被測定部の内部情報を効果的に取得することができる。
第1の項目に係る測定装置は、第1光パルスを出射する第1光源と、第2光パルスを出射する第2光源と、少なくとも1つの光検出器と、前記第1光源、前記第2光源、および前記光検出器を制御し、前記光検出器から出力された信号を処理する処理回路と、を備える。前記処理回路は、前記第1光源に前記第1光パルスを出射させ、前記第2光源に前記第2光パルスを出射させ、前記光検出器に、前記第1光パルスが対象物の被測定部で反射されることによって生じた第1反射光パルスの立ち下がり期間の少なくとも一部の成分、および前記第2光パルスが前記被測定部で反射されることによって生じた第2反射光パルスの立ち下がり期間の少なくとも一部の成分を検出させることにより、前記第1反射光パルスの前記一部の強度に応じた第1信号、および前記第2反射光パルスの前記一部の強度に応じた第2信号を出力させ、前記第1信号および前記第2信号に基づいて、前記被測定部の内部の状態を示す第3信号を生成して出力し、前記第1光パルスの強度がピーク値の90%から10%の強度に低下するまでの時間をtとし、前記第2光パルスの強度がピーク値の90%から10%の強度に低下するまでの時間をtとすると、|t−t|/t≦0.2を満たす。
この測定装置では、被測定部の内部情報を精度よく取得することができる。
第2の項目に係る測定装置は、第1の項目に係る測定装置において、前記第1光源が、注入された第1電流に応じた強度の光を出射する第1発光素子と、前記第1電流を調整する第1調整回路とを含む。前記処理回路は、前記第1調整回路を制御することにより、前記第1発光素子から前記第1光パルスを出射させる。
この測定装置では、第1調整回路により、第1発光素子から出射される第1光パルスの波形を調整することができる。
第3の項目に係る測定装置は、第2の項目に係る測定装置において、前記処理回路が、前記第1調整回路を制御し、前記第1発光素子に逆バイアス電圧を印加することにより、前記第1光パルスの出射を抑制する。
この測定装置では、第1光パルスの立ち下がり期間を長くしたり、短くしたりすることができる。
第4の項目に係る測定装置は、第1から第3の項目のいずれかに係る測定装置において、前記第2光源が、注入された第2電流に応じた強度の光を出射する第2発光素子と、前記第2電流を調整する第2調整回路とを含む。前記処理回路は、前記第2調整回路を制御することにより、前記第2発光素子から前記第2光パルスを出射させる。
この測定装置では、第2調整回路により、第2発光素子から出射される第2光パルスの波形を調整することができる。
第5の項目に係る測定装置は、第4の項目に係る測定装置において、前記処理回路が、前記第2調整回路を制御し、前記第2発光素子に逆バイアス電圧を印加することにより、前記第2光パルスの出射を抑制する。
この測定装置では、第2光パルスの立ち下がり期間を長くしたり、短くしたりすることができる。
第6の項目に係る測定装置は、第1から第5の項目のいずれかに係る測定装置において、前記処理回路が、前記第1光源に前記第1光パルスを繰り返し出射させ、前記第2光源に前記第2光パルスを繰り返し出射させ、前記光検出器に、前記第1反射光パルスの前記立ち下がり期間の前記少なくとも一部の成分を繰り返し検出させることにより、前記第1反射光パルスの前記立ち下がり期間の前記少なくとも一部の積算された強度に応じた信号を前記第1信号として出力させ、前記第2反射光パルスの前記立ち下がり期間の前記少なくとも一部の成分を繰り返し検出させることにより、前記第2反射光パルスの前記立ち下がり期間の前記少なくとも一部の積算された強度に応じた信号を前記第2信号として出力させる。
この測定装置では、第1反射光パルスの検出光量および第2反射光パルスの検出光量を増やし、第1信号および第2信号のSN比を向上させることができる。
第7の項目に係る測定装置は、第1から第6の項目のいずれかに係る測定装置において、前記被測定部が、人間の頭部である。前記第3信号は、前記人間の脳活動の状態を示す。
この測定装置では、人間の脳活動の状態を知ることができる。
第8の項目に係る測定装置は、第1から第7の項目のいずれかに係る測定装置において、tおよびtの各々は、1.0ns以上1.2ns以下である。
この測定装置では、被測定部の内部情報を効果的に得ることができる。
第9の項目に係る測定装置は、第1から第8の項目のいずれかに係る測定装置において、前記第1光パルスが、第1波長を有し、前記第2光パルスが、第2波長を有する。前記第2波長は、前記第1波長よりも長い。
この測定装置では、異なる波長を有する第1光パルスおよび第2光パルスにより、被測定部のより詳細な情報を取得することができる。
第10の項目に係る測定装置は、第9の項目に係る測定装置において、|t−t|/t≦0.2、または|t−t|/t≦0.2を満たす。
この測定装置では、被測定部の内部情報を精度よく取得することができる。
第11の項目に係る測定装置は、第10の項目に係る測定装置において、前記第1波長が、650nm以上であり、かつ805nmよりも短く、前記第2波長が、805nmよりも長く、かつ950nm以下である。
この測定装置では、測定対象が生体である場合、被測定部の内部での血液に含まれる酸素化ヘモグロビンの濃度および脱酸素化ヘモグロビンの濃度を精度よく求めることができる。
第12の項目に係る測定装置は、光パルスを出射する光源と、光検出器と、前記光源、および前記光検出器を制御する処理回路と、を備える。前記処理回路は、前記光源に前記光パルスを出射させ、前記光検出器に、前記光パルスが対象物の被測定部で反射されることによって生じた反射光パルスの立ち下がり期間の少なくとも一部の成分を検出させ、前記光パルスの強度がピーク値の90%から10%の強度に低下するまでの時間をtとすると、tは、1.0ns以上1.2ns以下である。
この測定装置では、光源が1つであっても、被測定部の内部情報を効果的に得ることができる。
第13の項目に係るプログラムは、測定装置に用いられるプログラムである。前記測定装置は、第1光パルスを出射する第1光源と、第2光パルスを出射する第2光源と、少なくとも1つの光検出器と、前記第1光源、前記第2光源、および前記光検出器を制御し、前記光検出器から出力された信号を処理する処理回路と、を備える。前記プログラムは、前記処理回路に、前記第1光源に前記第1光パルスを出射させ、前記第2光源に前記第2光パルスを出射させ、前記光検出器に、前記第1光パルスが対象物の被測定部で反射されることによって生じた第1反射光パルスの立ち下がり期間の少なくとも一部の成分、および前記第2光パルスが前記被測定部で反射されることによって生じた第2反射光パルスの立ち下がり期間の少なくとも一部の成分を検出させることにより、前記第1反射光パルスの前記一部の強度に応じた第1信号、および前記第2反射光パルスの前記一部の強度に応じた第2信号を出力させ、前記第1光パルスの強度がピーク値の90%から10%の強度に低下するまでの時間をtとし、前記第2光パルスの強度がピーク値の90%から10%の強度に低下するまでの時間をtとすると、|t−t|/t≦0.2を満たす。
このプログラムでは、第1光源および第2光源から、それぞれ、被測定部の内部情報を精度よく取得するための第1光パルスおよび第2光パルスを出射させることができる。
第14の項目に係るプログラムは、第13の項目に係るプログラムにおいて、前記処理回路に、前記第1信号および前記第2信号に基づいて、前記被測定部の内部の状態を示す第3信号を生成させて出力させる。
このプログラムでは、被測定部の内部情報を精度よく取得することができる。
本開示において、回路、ユニット、装置、部材または部の全部または一部、またはブロック図における機能ブロックの全部または一部は、例えば、半導体装置、半導体集積回路(IC)、またはLSI(large scale integration)を含む1つまたは複数の電子回路によって実行され得る。LSIまたはICは、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップを組み合わせて構成されてもよい。例えば、記憶素子以外の機能ブロックは、1つのチップに集積されてもよい。ここでは、LSIまたはICと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(very large scale integration)、もしくはULSI(ultra large scale integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、FIpld Programmable Gate Array(FPGA)、またはLSI内部の接合関係の再構成またはLSI内部の回路区画のセットアップができるreconfigurable logic deviceも同じ目的で使うことができる。
さらに、回路、ユニット、装置、部材または部の全部または一部の機能または操作は、ソフトウェア処理によって実行することが可能である。この場合、ソフトウェアは1つまたは複数のROM、光学ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録され、ソフトウェアが処理装置(processor)によって実行されたときに、そのソフトウェアで特定された機能が処理装置(processor)および周辺装置によって実行される。システムまたは装置は、ソフトウェアが記録されている1つまたは複数の非一時的記録媒体、処理装置(processor)、および必要とされるハードウェアデバイス、例えばインターフェースを備えていてもよい。
本開示において、「光」とは、可視光(波長が約400nm〜約700nm)だけでなく、紫外線(波長が約10nm〜約400nm)および赤外線(波長が約700nm〜約1mm)を含む電磁波を意味する。
以下、図面を参照しながら、本開示のより具体的な実施形態を説明する。
(実施形態)
[1.測定装置]
まず、図1Aおよび図1Bを参照して、本開示の実施形態における測定装置100の構成を説明する。
図1Aは、本開示の例示的な実施形態における測定装置100を模式的に示す図である。本実施形態における測定装置100は、測定対象物の被測定部10を光で照射し、被測定部10で反射した光を検出することにより、被測定部10の内部情報を非接触で取得する。被測定部10は、例えば測定対象者の頭部であり得る。内部情報は、例えば対象者の脳活動の状態を反映した情報であり得る。用途によっては、測定対象物は、生体以外の物体であってもよい。例えば、液体、気体、食品などの散乱体を対象物にしてもよい。
本実施形態における測定装置100は、第1光源20aと、第2光源20bと、光検出器30と、処理回路40とを備える。処理回路40は、信号処理回路50と、制御回路60とを含む。本明細書では、第1光源20aおよび第2光源20bを、区別せずに「光源20」とも称する。光源20は、被測定部10を照射するための光パルスを出射する。光検出器30は、被測定部10で反射された反射光パルスの一部を検出し、その強度に応じた信号を出力する。信号処理回路50は、光検出器30から出力された信号を処理することにより、被測定部10の内部の状態を示す内部状態信号を生成して出力する。制御回路60は、第1光源20a、第2光源20b、光検出器30、および信号処理回路50を制御する。
以下に、本実施形態における測定装置100の各構成要素を詳細に説明する。
[1−1.第1光源20aおよび第2光源20b]
第1光源20aは、被測定部10を照射するための第1光パルスIp1を出射する。第1光パルスIp1は第1波長を有する。同様に、第2光源20bは、被測定部10を照射するための第2光パルスIp2を出射する。第2光パルスIp2は、第1波長よりも長い第2波長を有する。図1Aに示す例では、第1光源20aの個数は1つであるが、複数であってもよい。第2光源20bの個数についても同様である。用途によっては、第1光源20aおよび第2光源20bの両方を用いる必要はなく、一方だけを用いてもよい。
本明細書では、第1光パルスIp1および第2光パルスIp2を、区別せずに「光パルスI」とも称する。光パルスIは、立ち上がり部分および立ち下がり部分を含む。立ち上がり部分は、光パルスIのうち、その強度が増加を開始してから増加が終了するまでの部分である。立ち下がり部分は、光パルスIのうち、その強度が減少を開始してから減少が終了するまでの部分である。
第1光源20aは、注入された第1電流に応じた強度の光を出射する第1発光素子22aと、第1電流を調整する第1調整回路24aとを含む。同様に、第2光源20bは、注入された第2電流に応じた強度の光を出射する第2発光素子22bと、第2電流を調整する第2調整回路24bとを含む。以下の説明では、第1発光素子22aおよび第2発光素子22bを区別せずに「発光素子22」とも称し、第1調整回路24aおよび第2調整回路24bを区別せずに「調整回路24」とも称する。発光素子22は、例えば、レーザ光を出射するレーザダイオードを含み得る。調整回路24は、例えば、電気的に応答性の速い窒化ガリウム(GaN)半導体を含む電界効果トランジスタ(GaNFET)を含み得る。調整回路24の動作の詳細については後述する。
被測定部10に到達した光パルスIのうち、一部は、被測定部10の表面で反射する表面反射成分Iになり、他の一部は、被測定部10の内部で1回反射もしくは散乱、または多重散乱する内部散乱成分Iになる。表面反射成分Iは、直接反射成分、拡散反射成分、および散乱反射成分の3つを含む。直接反射成分は、入射角と反射角が等しい反射成分である。拡散反射成分は、表面の凹凸形状により拡散して反射する成分である。散乱反射成分は、表面近傍の内部組織によって散乱して反射する成分である。被測定部10をユーザの頭部とした場合、散乱反射成分は、表皮内部で散乱して反射する成分である。以下では、被測定部10の表面で反射する表面反射成分Iはこれら3つの成分を含むとして説明する。また、内部散乱成分Iは、表面近傍の内部組織によって散乱して反射する成分を含まないとして説明する。表面反射成分Iおよび内部散乱成分Iは反射または散乱され、これらの成分の進行方向は変化し、その一部が反射光パルスとして光検出器30に到達する。表面反射成分Iは、ユーザの表面情報、例えば、顔および頭皮の血流情報を含む。内部散乱成分Iは、ユーザの内部情報、例えば、脳血流情報を含む。反射光パルスから内部散乱成分Iを検出する方法については後述する。
第1光パルスIp1の第1波長および第2光パルスIp2の第2波長は、例えば650nm以上950nm以下の波長範囲に含まれる任意の波長であり得る。この波長範囲は、赤色から近赤外線の波長範囲に含まれる。上記の波長範囲は、「生体の窓」と呼ばれており、生体内の水分および皮膚に比較的吸収されにくいという性質を有する。生体を検出対象にする場合、上記の波長範囲の光を使用することにより、検出感度を高くすることができる。ユーザの脳の血流変化を検出する場合、使用される光は、主に酸素化ヘモグロビン(HbO)および脱酸素化ヘモグロビン(Hb)に吸収されると考えられる。一般に、血流に変化が生じると、酸素化ヘモグロビンの濃度および脱酸素化ヘモグロビンの濃度が変化する。この変化に伴い、光の吸収度合いも変化する。したがって、血流が変化すると、検出される光量も時間的に変化する。
酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンとでは、光吸収の波長依存性が異なる。波長が650nm以上であり、かつ805nmより短いとき、脱酸素化ヘモグロビンによる光吸収係数の方が、酸素化ヘモグロビンによる光吸収係数よりも大きい。波長805nmでは、脱酸素化ヘモグロビンによる光吸収係数と、酸素化ヘモグロビンによる光吸収係数とは等しい。波長が805nmより長く、かつ950nm以下であるとき、酸素化ヘモグロビンによる光吸収係数の方が、脱酸素化ヘモグロビンによる光吸収係数よりも大きい。
したがって、第1光パルスIp1の第1波長を650nm以上であり、かつ805nmよりも短く設定し、第2光パルスIp2の第2波長を805nmよりも長く、かつ950nm以下に設定してもよい。第1光パルスIp1および第2光パルスIp2で被測定部10を照射すると、後述する信号処理回路50の処理により、被測定部10の内部での血液に含まれる酸素化ヘモグロビンの濃度および脱酸素化ヘモグロビンの濃度を求めることができる。異なる波長を有する2つの光パルスの照射により、被測定部10のより詳細な内部情報を取得することができる。
本実施形態において、光源20は、ユーザの網膜への影響を考慮して設計され得る。例えば、光源20は、各国で策定されているレーザ安全基準のクラス1を満足し得る。クラス1が満足されている場合、被測定部10が、被爆放出限界(AEL)が1mWを下回るほどの低照度の光で照射される。なお、光源20自体がクラス1を満足する必要はない。例えば、拡散板またはNDフィルタを光源20の前に設置して光を拡散または減衰することにより、レーザ安全基準のクラス1が満たされていてもよい。
[1−2.光検出器30]
光検出器30は、第1光パルスIp1が被測定部10で反射されることによって生じた第1反射光パルスの立ち下がり期間の成分の少なくとも一部の強度に応じた第1信号36aを出力する。同様に、光検出器30は、第2光パルスIp2が被測定部10で反射されることによって生じた第2反射光パルスの立ち下がり期間の成分の少なくとも一部の強度に応じた第2信号36bを出力する。光検出器30のこの検出動作は、制御回路60によって制御される。光パルスの「立ち下がり期間」は、光検出器30の光検出面の位置において、当該光パルスの強度が減少を開始する時点から減少を終了する時点までの期間を指す。より厳密には、「立ち下がり期間」は、当該光パルスの強度が予め設定された上限値を下回った時点から予め設定された下限値に達した時点までの期間を意味する。上限値は当該光パルスの強度のピーク値の例えば90%の値に設定され、下限値は当該ピーク値の例えば10%の値に設定され得る。
本実施形態における測定装置100は2つの光検出器30を備えてもよい。当該2つの光検出器のうち、一方が第1反射光パルスの立ち下がり期間の成分の少なくとも一部を検出して第1信号36aを出力し、他方が第1反射光パルスの立ち下がり期間の成分の少なくとも一部を検出して第2信号36bを出力し得る。すなわち、本実施形態における光検出器30の個数は、少なくとも1つである。
光検出器30は、複数の光電変換素子32と、複数の電荷蓄積部34とを含み得る。具体的には、光検出器30は、2次元に配置された複数の光検出セルを備え得る。そのような光検出器30は、ユーザの2次元情報を一度に取得し得る。本明細書において、光検出セルを「画素」とも称する。光検出器30は、例えば、CCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサなどの任意の撮像素子であり得る。より一般的には、光検出器30は、少なくとも1つの光電変換素子32と、少なくとも1つの電荷蓄積部34とを含む。
光検出器30は、電子シャッタを備え得る。電子シャッタは、撮像のタイミングを制御する回路である。電子シャッタは、受光した光を有効な電気信号に変換して蓄積する1回の信号蓄積の期間と、信号蓄積を停止する期間とを制御する。信号蓄積期間は、「露光期間」とも称する。以下の説明では、露光期間の幅を、「シャッタ幅」とも称する。1回の露光期間が終了し次の露光期間が開始するまでの時間を、「非露光期間」とも称する。
光検出器30は、電子シャッタにより、露光期間および非露光期間を、サブナノ秒、例えば、30psから1nsの範囲で調整することができる。距離の計測が目的である従来のTOFカメラは、光源20から出射され被写体で反射されて戻ってきた光のすべてを検出する。従来のTOFカメラでは、シャッタ幅が光のパルス幅よりも大きい必要があった。これに対し、本実施形態における測定装置100では、被写体の光量を補正する必要がない。このため、シャッタ幅がパルス幅よりも大きい必要はない。シャッタ幅を、例えば、1ns以上30ns以下の値に設定することができる。本実施形態における測定装置100によれば、シャッタ幅を縮小できるため、検出信号に含まれる暗電流の影響を低減することができる。
以下、光検出器30の構成例を説明する。
光検出器30は、撮像面上に2次元的に配列された複数の画素を備え得る。各画素は、例えばフォトダイオードなどの光電変換素子と、1つまたは複数の電荷蓄積部とを備え得る。
図1Bは、光検出器30の構成の一例を示す図である。図1Bにおいて、二点鎖線の枠によって囲まれた領域が1つの画素201に相当する。画素201には、図示されていないが1つのフォトダイオードが含まれる。図1Bでは2行2列に配列された4画素のみを示しているが、実際にはさらに多数の画素が配置され得る。各画素201は、第1浮遊拡散層204および第2浮遊拡散層206を含む。ここで、第1光パルスIp1の波長が650nm以上であり、かつ、805nmよりも短く、第2光パルスIp2の波長が805nmよりも長く、かつ、950nm以下であるとする。第1浮遊拡散層204は、第1光パルスIp1による反射光パルスの受光によって生じた電荷を蓄積する。第2浮遊拡散層206は、第2光パルスIp2による反射光パルスの受光によって生じた電荷を蓄積する。第1浮遊拡散層204および第2浮遊拡散層206に蓄積される信号は、あたかも一般的なCMOSイメージセンサの4画素の信号のように取り扱われ、光検出器30から出力される。
各画素201は、4つの信号検出回路を有する。各信号検出回路は、ソースフォロワトランジスタ309と、行選択トランジスタ308と、リセットトランジスタ310とを含む。各トランジスタは、例えば半導体基板に形成された電界効果トランジスタであるが、これに限定されない。図示されるように、ソースフォロワトランジスタ309の入力端子および出力端子の一方と、行選択トランジスタ308の入力端子および出力端子のうちの一方とが接続されている。ソースフォロワトランジスタ309の入力端子および出力端子の上記一方は、典型的にはソースである。行選択トランジスタ308の入力端子および出力端子の上記一方は、典型的にはドレインである。ソースフォロワトランジスタ309の制御端子であるゲートは、フォトダイオードに接続されている。フォトダイオードによって生成された正孔または電子の信号電荷は、フォトダイオードとソースフォロワトランジスタ309との間の電荷蓄積部である浮遊拡散層に蓄積される。
図1Bには示されていないが、第1浮遊拡散層204および第2浮遊拡散層206はフォトダイオードに接続される。フォトダイオードと、第1浮遊拡散層204および第2浮遊拡散層206の各々との間には、スイッチが設けられ得る。このスイッチは、制御回路60からの信号蓄積パルスに応じて、フォトダイオードと第1浮遊拡散層204および第2浮遊拡散層206の各々との間の導通状態を切り替える。これにより、第1浮遊拡散層204および第2浮遊拡散層206の各々への信号電荷の蓄積の開始と停止とが制御される。本実施形態における電子シャッタは、このような露光制御のための機構を有する。
第1浮遊拡散層204および第2浮遊拡散層206に蓄積された信号電荷は、行選択回路302によって行選択トランジスタ308のゲートがONにされることにより、読み出される。この際、第1浮遊拡散層204および第2浮遊拡散層206の信号電位に応じて、ソースフォロワ電源305からソースフォロワトランジスタ309およびソースフォロワ負荷306へ流入する電流が増幅される。垂直信号線304から読み出されるこの電流によるアナログ信号は、列ごとに接続されたアナログ−デジタル(AD)変換回路307によってデジタル信号データに変換される。このデジタル信号データは、列選択回路303によって列ごとに読み出され、光検出器30から出力される。行選択回路302および列選択回路303は、1つの行の読出しを行った後、次の行の読み出しを行い、以下同様に、すべての行の浮遊拡散層の信号電荷の情報を読み出す。制御回路60は、すべての信号電荷を読み出した後、リセットトランジスタ310のゲートをオンにすることにより、すべての浮遊拡散層をリセットする。これにより、1つのフレームの撮像が完了する。以下同様に、フレームの高速撮像を繰り返すことにより、光検出器30による一連のフレームの撮像が完結する。
本実施形態では、CMOS型の光検出器30の例を説明したが、光検出器30は他の種類の撮像素子であってもよい。光検出器30は、例えば、CCD型であっても、単一光子計数型素子であっても、EMCCDまたはICCDなどの増幅型イメージセンサであってもよい。単画素とすることで測定点は1点となるが、高速レートの検出ができる。
図2Aは、1フレーム内の動作の例を示す図である。図2Aに示すように、1フレーム内で、第1光パルスIp1の発光と第2光パルスIp2の発光とを交互に複数回切り替えてもよい。このようにすることで、2種類の波長による検出画像の取得タイミングの時間差を低減でき、被測定部10に動きがある場合であっても、ほぼ同時に第1光パルスIp1および第2光パルスIp2での撮像が可能である。
図2Bは、2種類の波長の光による検出動作の他の例を示す図である。図2Bに示すように、第1光パルスIp1による反射光パルスの検出と第2光パルスIp2による反射光パルスの検出とを、フレームごとに切り替えてもよい。このような動作は、例えば、第1光パルスIp1の発光と、第2光パルスIp2の発光とをフレームごとに切り替えることによって行われ得る。その場合、各画素201は単数の電荷蓄積部を備えていてもよい。そのような構成によれば、各画素201の電荷蓄積部の数を低減できるため、各画素201のサイズを大きくでき、感度を向上させることができる。
[1−3.処理回路40]
処理回路40に含まれる信号処理回路50は、光検出器30から出力された信号を処理する回路である。信号処理回路50は、光検出器30から出力された第1信号36aおよび第2信号36に基づいて、被測定部10の内部の状態を示す第3信号を生成して出力する。第1光パルスIp1の第1波長が650nm以上であり、かつ805nmよりも短く、第2光パルスIp2の第2波長が850nmよりも長く、かつ950nm以下であるとき、第1信号36aおよび第2信号36bを用いて予め定められた連立方程式を解くことにより、血液中のHbOおよびHbの各濃度の初期値からの変化量を求めることができる。以下の式(1)および式(2)は、連立方程式の例を表す。
Figure 2021141949
Figure 2021141949
ΔHbOおよびΔHbは、それぞれ、血液中のHbOおよびHbの濃度の初期値からの変化量を表す。ε750 OXYおよびε750 deOXYは、それぞれ、波長750nmでのHbOおよびHbのモル吸光係数を表す。ε850 OXYおよびε850 deOXYは、それぞれ、波長850nmでのHbOおよびHbのモル吸光係数を表す。I750 iniおよびI750 nowは、それぞれ、波長750nmでの基準時間(初期時間)とある時間における検出強度を表す。これらの記号は、例えば、脳が賦活していない状態と賦活した状態とにおける検出強度を表す。I850 iniおよびI850 nowは、それぞれ、波長850nmでの基準時間(初期時間)とある時間における検出強度を表す。これらの記号は、例えば、脳が賦活していない状態と賦活した状態とにおける検出強度を表す。
信号処理回路50は、例えばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのプログラマブルロジックデバイス(PLD)、または中央演算処理装置(CPU)もしくは画像処理用演算プロセッサ(GPU)とコンピュータプログラムとの組み合わせによって実現され得る。
処理回路40に含まれる制御回路60は、調整回路24を制御することにより、発光素子22から光パルスIを出射させる。制御回路60は、光源20の光パルスIの出射タイミングと、光検出器30のシャッタタイミングとの時間差を調整する。本明細書では、当該時間差を「位相差」と称することがある。光源20の「出射タイミング」とは、光源20から出射される光パルスが立ち上がりを開始するタイミングである。「シャッタタイミング」とは、露光を開始するタイミングである。制御回路60は、出射タイミングを変化させて位相差を調整してもよいし、シャッタタイミングを変化させて位相差を調整してもよい。
制御回路60は、光検出器30の各画素によって検出された信号からオフセット成分を取り除くように構成されてもよい。オフセット成分は、太陽光もしくは蛍光灯などの環境光、または外乱光による信号成分である。光源20の駆動をOFFにして光源20から光が出射されない状態で、光検出器30によって信号を検出することにより、環境光または外乱光によるオフセット成分が見積もられる。
制御回路60は、例えばプロセッサおよびメモリの組み合わせ、またはプロセッサおよびメモリを内蔵するマイクロコントローラなどの集積回路であり得る。制御回路60は、例えばプロセッサがメモリに記録されたプログラムを実行することにより、例えば出射タイミングとシャッタタイミングとの調整を行ったり、信号処理回路50に信号の処理を実行させたりする。
信号処理回路50および制御回路60は、統合された1つの回路であってもよいし、分離された個別の回路であってもよい。信号処理回路50は、例えば遠隔地に設けられたサーバなどの外部の装置の構成要素であってもよい。この場合、サーバなどの外部の装置は、無線通信または有線通信により、光源20、光検出器30、および制御回路60と相互にデータの送受信を行う。
[1−4.その他]
測定装置100は、被測定部10の2次元像を光検出器30の受光面上に形成する結像光学系を備えてもよい。結像光学系の光軸は、光検出器30の受光面に略直交する。結像光学系は、ズームレンズを含んでいてもよい。ズームレンズの位置が変化すると被測定部10の2次元像の拡大率が変更し、光検出器30上の2次元像の解像度が変化する。したがって、ユーザまでの距離が遠くても、所望の計測領域を拡大して詳細に観察することが可能である。
測定装置100は、被測定部10と光検出器30との間に、光源20から出射される波長帯域の光、またはその近傍の光のみを通過させる帯域通過フィルタを備えていてもよい。これにより、環境光などの外乱成分の影響を低減することができる。帯域通過フィルタは、例えば多層膜フィルタまたは吸収フィルタによって構成され得る。光源20の温度変化およびフィルタへの斜入射に伴う帯域シフトを考慮して、帯域通過フィルタの帯域幅は、20nm以上100nm以下程度の幅を有してもよい。
測定装置100は、被測定部10と光源20との間、および被測定部10と光検出器30との間に、それぞれ偏光板を備えてもよい。この場合、光源20側に配置される偏光板と、光検出器30側に配置される偏光板との偏光方向は、直交ニコルの関係であり得る。これら2つの偏光板の配置により、被測定部10の表面反射成分Iのうち正反射成分、すなわち入射角と反射角が同じ成分が光検出器30に到達することを防ぐことができる。つまり、表面反射成分Iが光検出器30に到達する光量を低減させることができる。
[2.内部散乱成分I2の検出方法]
次に、図3Aから図3Cを参照して、内部散乱成分Iの検出方法を説明する。
図3Aは、光パルスIがインパルス波形を有する場合における、反射光パルスに含まれる表面反射成分Iおよび内部散乱成分Iの時間変化の例を模式的に示す図である。図3Bは、光パルスIが矩形形状の波形を有する場合における、反射光パルスに含まれる表面反射成分Iおよび内部散乱成分Iの時間変化の例を模式的に示す図である。各図の左図は光源20から出射された光パルスIの波形の例を表し、右図は反射光パルスに含まれる表面反射成分Iおよび内部散乱成分Iの波形の例を表す。
図3Aの右図に示すように、光パルスIがインパルス波形を有する場合、表面反射成分Iは、光パルスIと同様の波形を有し、内部散乱成分Iは、表面反射成分Iよりも遅延するインパルス応答波形を有する。これは、内部散乱成分Iが被測定部10内の様々な経路を通過した光線の組み合わせに相当するからである。
図3Bの右図に示すように、光パルスIが矩形形状の波形を有する場合、表面反射成分Iは、光パルスIと同様の波形を有し、内部散乱成分Iは、複数のインパルス応答波形が重畳された波形を有する。本発明者らは、複数のインパルス応答波形の重畳により、光パルスIがインパルス波形を有する場合と比較して、光検出器30が検出する内部散乱成分Iの光量を増幅できることを確認した。反射光パルスの立ち下がり部分で電子シャッタを開始することにより、内部散乱成分Iを効果的に検出することができる。図3Bの右図における破線によって囲まれた領域は、光検出器30の電子シャッタが開放されるシャッタ開放期間の例を表す。矩形パルスのパルス幅が1nsから10nsのオーダであれば、光源20を低い電圧で駆動することができる。したがって、本実施形態における測定装置100の小型化および低コスト化が可能になる。
従来、生体内部の深さ方向において異なる箇所での光吸収係数または光散乱係数などの情報を区別して検出するために、ストリークカメラが使用されている。例えば、特許文献2は、そのようなストリークカメラの一例を開示している。これらのストリークカメラでは、所望の空間分解能で計測するために、パルス幅がフェムト秒またはピコ秒の極超短光パルスが用いられる。これに対し、本実施形態では、表面反射成分Iと内部散乱成分Iとを区別して検出することができる。したがって、光源20から出射される光パルスは、極超短光パルスである必要はなく、パルス幅を任意に選択することができる。
ユーザの頭部を光で照射して脳血流を計測する場合、内部散乱成分Iの光量は、表面反射成分Iの光量の数千分の1から数万分の1程度の非常に小さい値になり得る。さらに、レーザの安全基準を考慮すると、照射できる光の光量は極めて小さくなる。したがって、内部散乱成分Iの検出は非常に難しくなる。その場合でも、光源20が、相対的にパルス幅の大きい光パルスIを出射すれば、時間遅れを伴う内部散乱成分Iの積算量を増加させることができる。これにより、検出光量を増やし、SN比を向上させることができる。
光源20は、例えば、パルス幅が3ns以上の光パルスIを出射し得る。あるいは、光源Lsは、パルス幅が5ns以上、さらに10ns以上の光パルスIを出射してもよい。一方、パルス幅が大きすぎても使用しない光が増えて無駄となるため、光源20は、例えば、パルス幅が50ns以下の光パルスIを出射し得る。あるいは、光源20は、パルス幅が30ns以下、さらに20ns以下の光パルスIを出射してもよい。矩形パルスのパルス幅が数nsから数十nsであれば、光源20を低電圧で駆動することができる。したがって、本実施形態における測定装置100の小型化および低コスト化が可能になる。
光源20の照射パターンは、例えば、照射領域内において、均一な強度分布をもつパターンであってもよい。この点で、本実施形態における測定装置100は、例えば特許文献1に開示された従来の装置とは異なる。特許文献1に開示された装置では、検出器と光源とを3cm程度離し、表面反射成分が、空間的に内部散乱成分から分離される。このため、離散的な光照射とせざるを得ない。これに対し、本実施形態では、表面反射成分Iを時間的に内部散乱成分Iから分離して低減することができる。このため、均一な強度分布を有する照射パターンの光源20を用いることができる。均一な強度分布を有する照射パターンは、光源20から出射される光を拡散板で拡散することによって形成してもよい。
本実施形態では、従来技術とは異なり、被測定部10の照射点直下でも、内部散乱成分Iを検出することができる。被測定部10を空間的に広い範囲にわたって光で照射することにより、計測解像度を高めることもできる。
図3Cは、制御回路60による第1光源20a、第2光源20b、および光検出器30に関する動作の概略を示すフローチャートである。制御回路60は、概略的には図3Cに示す動作を実行することにより、第1反射光パルスおよび第2反射光パルスの各々の立ち下がり期間Tfの少なくとも一部の成分を光検出器30に検出させる。
ステップS101において、制御回路60は、第1光源20aに所定時間だけ第1光パルスIp1を出射させる。このとき、光検出器30の電子シャッタは露光を停止した状態にある。制御回路60は、第1反射光パルスのうち、表面反射成分Iが光検出器30に到達する期間が完了するまで、電子シャッタに露光を停止させる。次に、ステップS102において、制御回路60は、第1反射光パルスのうち、内部散乱成分Iが光検出器30に到達するタイミングで、電子シャッタに露光を開始させる。所定時間経過後、ステップS103において、制御回路60は、電子シャッタに露光を停止させる。ステップ102およびステップ103により、図1Bに示す第1浮遊拡散層204に、信号電荷が蓄積される。当該信号電荷を「第1信号電荷」と称する。
ステップS104において、制御回路60は、第2光源20bに所定時間だけ第2光パルスIp2を出射させる。このとき、光検出器30の電子シャッタは露光を停止した状態にある。制御回路60は、第2反射光パルスのうち、表面反射成分Iが光検出器30に到達する期間が完了するまで、電子シャッタに露光を停止させる。次に、ステップS105において、制御回路60は、第2反射光パルスのうち、内部散乱成分Iが光検出器30に到達するタイミングで、電子シャッタに露光を開始させる。所定時間経過後、ステップS106において、制御回路60は、電子シャッタに露光を停止させる。ステップ105およびステップ106により、図1Bに示す第2浮遊拡散層206に、信号電荷が蓄積される。当該信号電荷を「第2信号電荷」と称する。
続いて、ステップS107において、制御回路60は、上記の信号蓄積を実行した回数が所定の回数に達したか否かを判定する。ステップS107での判定がNoの場合、Yesと判定するまで、ステップS101からステップS106が繰り返される。
ステップS107での判定がYesの場合、ステップS108では、制御回路60は、光検出器30に、第1信号電荷および第2信号電荷に基づいて、第1信号36aおよび第2信号36bをそれぞれ生成させて出力させる。
図3Cに示す動作をまとめる以下のようになる。制御回路60は、第1光源20aに第1光パルスIp1を出射させ、光検出器30に第1反射光パルスの立ち下がり期間の少なくとも一部の成分を検出させる第1動作を実行する。制御回路60は、第2光源20bに第2光パルスIp2を出射させ、光検出器30に第2反射光パルスの立ち下がり期間の少なくとも一部の成分を検出させる第2動作を実行する。制御回路60は、第1動作および第2動作を含む一連の動作を所定回数繰り返す。あるいは、制御回路60は、第1動作を所定回数繰り返し、その後、第2動作を所定回数繰り返してもよい。第1動作と第2動作とを入れ替えてもよい。
図3Cに示す動作により、内部散乱成分Iを高い感度で検出することができる。ユーザの頭部を光で照射して脳血流などの情報を検出する場合、内部での光の減衰率が非常に大きい。例えば、入射光に対して出射光が、100万分の1程度にまで減衰し得る。このため、内部散乱成分Iを検出するには、1パルスの照射だけでは光量が不足する場合がある。レーザ安全性基準のクラス1での照射では、特に光量が微弱である。この場合、光源20が光パルスを複数回出射し、それに応じて光検出器30も電子シャッタによって複数回露光することにより、検出信号を積算して感度を向上することができる。なお、複数回の光出射および露光は必須ではなく、必要に応じて行われる。
次に、図4Aから図4Cを参照して、反射光パルスの波形をさらに詳しく説明する。
図4Aは、内部散乱成分Iのインパルス応答波形を示す図である。図4Aに示すインパルス応答波形は、インパルス波形を有する光パルスIで被測定部10を照射して得られた反射光パルスの強度の時間変化を、モンテカルロシミュレーションを用いて計算することによって得られた。
計算では、人の頭部を模擬した光学特性値が設定された。人の頭部は、額部の頭皮、頭蓋骨、および脳のレイヤから構成されている。設定した光学特性値は、額部の頭皮、頭蓋骨、および脳のレイヤでの等価光散乱係数および光吸収係数である。被測定部10の表面に光パルスIが入射し終わったタイミングを0nsとした。計算において、光検出器30は、被測定部10の表面に配置された。内部散乱成分Iは時間的に指数関数的に減衰するので、光検出器30への到達光は、時間の経過に伴って非常に小さくなる。このため、図4Aにおける縦軸の強度を対数目盛によって表示することにより、低強度の分布が拡大されている。
図4Bは、光源20から出射された光パルスIが有する矩形形状の波形を示す図である。図4Bに示す例では、立ち下がり期間Tfは1nsである。実際に光源20から出射される光パルスIでは、立ち下がりの開始点と終了点が不明瞭であることが多い。このため、例えば、強度がピーク値の90%になる箇所を開始点とし、強度がピーク値の10%になる箇所を終了点として、立ち下がり期間Tfを決定してもよい。
図4Cは、図4Aに示す波形と図4Bに示す波形とのコンボリューションによって得られた波形を示す図である。図4Cの右図は、当該波形の後端部分を示す拡大図である。図4Cに示す波形は、図4Bに示す波形を有する光パルスIで被測定部10を照射して得られた反射光パルスの波形に相当する。図4Cに示す縦軸は、対数目盛によって表示されている。図4Cに示す波形の後端部分では、図3Bの右図に示すように、多数のインパルス応答波形の重畳によって内部散乱成分Iが増幅されたことが確認された。
次に、図5Aおよび図5Bを参照して、被測定部10の内部で血流が増加した場合における、光検出器30によって検出される反射光パルスの強度を説明する。被測定部10の内部での血流の増加の例として、ユーザの脳活動による血流の増加、すなわち脳の賦活が挙げられる。以下の計算は、脳の賦活を模擬するために、被測定部10の表面から深さ10cmの箇所に吸収体が存在するという設定で行われた。
図5Aは、被測定部10の内部に吸収体が存在しない場合における、反射光パルスの検出強度を示すグラフである。当該反射光パルスは、図4Cに示す反射光パルスである。図5Aに示す横軸はシャッタタイミングを表す。シャッタ幅は10nsである。図5Aでは、立ち下がり期間Tfを、基準の1nsから、0%、20%、40%、60%、および80%だけ増加させたそれぞれの場合の検出強度が1つのグラフにプロットされている。図5Aに示す「Tf1ns+0%」、「Tf1ns+20%」、「Tf1ns+40%」、「Tf1ns+60%」、「Tf1ns+80%」は、それぞれ、立ち下がり期間Tf=1ns、1.2ns、1.4ns、1.6ns、および1.8nsを意味する。
図5Bは、被測定部10の内部に吸収体が存在する場合と存在しない場合とにおける、反射光パルスの検出強度の変化量を示すグラフである。検出強度の変化量は、被測定部10の内部に吸収体が存在する場合における検出強度Inowと、被測定部10の内部に吸収体が存在しない場合における検出強度Iiniとの差の絶対値|Inow−Iini|によって得られた。検出強度Inowは、脳が賦活した状態での検出強度であり、検出強度Iiniは、脳が賦活していない状態での検出強度である。検出強度Inowは、前述と同様のモンテカルロシミュレーションを用いて計算することによって得られた。
図5Cは、被測定部10の内部に吸収体が存在する場合と存在しない場合とにおける、反射光パルスの検出強度の変調度Mを示すグラフである。変調度Mは、(Inow−Iini)/Iiniによって計算された。吸収体によって光が吸収されるので、検出強度Inowは、検出強度Iiniよりも低くなる。したがって、変調度は負の値を示す。変調度の絶対値が大きくなるほど、被測定部10の深部での情報がより効果的に得られる。図5Cに示すように、光パルスIの立ち下りの終了点以降にシャッタを開放することにより、変調度の絶対値が大きくなる。光パルスIの立ち下がり期間Tfが長い場合でも、シャッタタイミングを遅延させることにより、変調度Mの絶対値が大きくなる。
しかし、実際には、計算において考慮されていない様々な光ノイズが存在する。当該光ノイズは、例えば暗電流ノイズまたはショットノイズである。当該光ノイズの影響により、シャッタタイミングを遅延させすぎると、図4Cの拡大図に示す内部散乱成分Iがノイズに埋もれ検出信号値が不安定になり得る。シャッタタイミングを遅延させた場合の変調度Mを、立ち下がり期間Tfが短い場合の変調度Mと同じになるように調整しようとしても、上記の光ノイズによってSN比が低下することがある。そのような場合には、立ち下がり期間Tfは短い値に設定され得る。
図6は、光パルスIの立ち下がり期間Tfと、変調度Mとの関係を示す図である。図6に示す例では、前述した検出強度Inowが立ち下がり時間Tfによらず等しくなるように、シャッタタイミングが調整されている。図6に示すように、立ち下がり期間Tfが1nsである場合、変調度Mが−6.2%程度であった。立ち下がり期間Tfが1.2nsである場合、変調度Mが−5.3%程度であった。立ち下がり期間Tfが1nsから20%増加すると、変調度Mの絶対値は15%程度低下した。同様に、立ち下がり期間Tfが1.4nsである場合、変調度Mが−4.8%程度であった。立ち下がり期間Tfが1nsから40%増加すると、変調度Mの絶対値は23%程度低下した。
以上のように、変調度Mは、立ち下がり期間Tfに依存する。変調度Mの絶対値は、立ち下がり期間Tfの増加に伴って減少する。図6に示すように、立ち下がり期間Tfが1.0ns以上1.2ns以下であれば、効果的な変調度Mが得られる。
[3.2つの光パルスを用いた測定]
次に、図7を参照して、第1波長が750nmである第1光パルスIp1と、第2波長が850nmである第2光パルスIp2とで被測定部10を照射して得られる酸素化ヘモグロビン(Oxy−Hb)量を説明する。
図7は、第2光パルスIp2の立ち下がり期間Tfが1nsである場合における、第1光パルスIp1の立ち下り期間Tfと、信号処理回路50によって算出された酸素化ヘモグロビン(Oxy−Hb)量との関係を示す図である。図7に示すように、第1光パルスIp1の立ち下り期間Tfが1.0nsである場合、算出された酸素化ヘモグロビン量は0.18mM・mm程度であった。第1光パルスIp1の立ち下り期間Tfと第2光パルスの立ち下がり期間Tfとが一致する場合、正確な酸素化ヘモグロビン量を算出することができる。
第1光パルスIp1の立ち下り期間Tfが1.2nsである場合、算出された酸素化ヘモグロビン量は0.20mM・mm程度であった。第1光パルスIp1の立ち下がり期間Tfが1nsから20%増加すると、算出された酸素化ヘモグロビン量は11%程度増加した。したがって、2つの光パルスの立ち下がり期間の相対誤差が20%以下であれば、算出された酸素化ヘモグロビン量の誤差を11%程度に抑制することができる。
同様に、第1光パルスIp1の立ち下り期間Tfが1.4nsである場合、算出された酸素化ヘモグロビン量は0.22mM・mm程度であった。第1光パルスIp1の立ち下がり期間Tfが1nsから40%増加すると、算出された酸素化ヘモグロビン量は22%程度増加した。したがって、2つの光パルスの立ち下がり期間の相対誤差が40%以下であれば、算出された酸素化ヘモグロビン量の誤差を22%程度に抑制することができる。
2つの光パルスの立ち下がり期間の相対誤差を、以下のように決定してもよい。第1光パルスIp1の立ち下がり期間Tfを、例えば、その強度がピーク値の90%から10%の強度に低下するまでの時間tとする。第2光パルスIpの立ち下がり期間Tfを、例えば、その強度がピーク値の90%から10%の強度に低下するまでの時間tとする。このとき、2つの光パルスの立ち下がり期間の相対誤差は、|t−t|/t、または|t−t|/tによって表される。
複数の光源が、同一の波長を有する複数の光パルスをそれぞれ出射する場合でも、複数の光パルスの立ち下がり期間Tfが同じであれば、複数の光パルスからそれぞれ得られる複数の変調度Mのばらつきを抑制することができる。
[4.光パルスの立ち下がり期間の調整]
次に、光源20から出射される光パルスIの立ち下り部分がどのようにして形成されるかを説明する。光源20における発光素子22に注入する電流をオフにしても、発光素子22には漏れ電流が注入され、発光素子22からは持続的に光が出射される。光パルスIの立ち下り部分は、漏れ電流による持続的な光の出射によって形成される。したがって、光パルスIの立ち下がり期間Tfは、発光素子22の消灯時における漏れ電流を調整回路24によって調整することによって変化させることができる。
前述したGaNFETを含む調整回路24によって発光素子22に逆バイアスの電圧を印加することにより、発光素子22に注入される漏れ電流を調整することができる。その結果、光パルスIの出射が抑制される。逆バイアスの電圧を強く印加すると、光パルスIの立ち下がり期間Tfが短くなる。逆バイアスの電圧を弱く印加すると、光パルスIの立ち下がり期間Tfが長くなる。
以上のことから、第1発光素子22aに印加する逆バイアスの電圧を第1調整回路24aによって調整し、第2発光素子22bに印加する逆バイアスの電圧を第2調整回路24bによって調整することにより、第1光源20aから出射される第1光パルスの立ち下がり期間Tfと、第2光源20bから出射される第2光パルスの立ち下がり期間Tfとの誤差を低減することが可能になる。
第1光源20aにおける第1発光素子22aおよび第2光源20bにおける第2発光素子22bとして、同一のメーカによって製造された2つの発光素子を用いてもよい。第1発光素子22aおよび第2発光素子22bは同様の構造を有する。このとき、これら2つの発光素子は同一のサブマウント上に形成してもよい。同一のサブマント上に形成することで、2つの発光素子が近接し、温度特性が類似するため、2光源間のTfの温度に対する変動が揃いやすくなる。あるいは、同様の理由で、同一のチップ上に2つのレーザ部を結晶成長させ、第1光パルスと第2光パルスを出力してもよい。同一チップ上に2つの発光素子を形成することで、2つの発光素子がさらに近接し、2光源間の温度特性が一致しやすくなる。サブマウントが同一、またはチップが同一であることから、第1調整回路24aおよび第2調整回路24bによって第1発光素子22aおよび第2発光素子22bにそれぞれ印加する逆バイアスを調整しやすくなる。
第1光源20aおよび第2光源20bを1つのパッケージに収容してもよい。この場合、第1光源20aの温度と、第2光源20bの温度とが近くなる。したがって、第1発光素子22aおよび第2発光素子22bの温度特性のばらつきを抑制することができる。第1調整回路24aおよび第2調整回路24bの温度特性についても同様である。その結果、第1光パルスIp1の立ち下がり期間Tfと、第2光パルスIp2の立ち下がり期間Tfとの誤差を低減させやすくなる。
(測定装置100の具体例)
次に、図8を参照して、本実施形態における測定装置100の具体例を説明する。図8は、本実施形態における測定装置100の具体例を模式的に示す図である。図8に示す例では、測定装置100は、2つの第1光源20aと、2つの第2光源20bと、光検出器30と、不図示の処理回路40と、これらの構成要素を収容する筐体70とを備える。2つの第1光源20a、2つの第2光源20b、および光検出器30は、筐体70から露出している。
測定装置100を正面から見たとき、左側において第1光源20aおよび第2光源20bが1つのパッケージ内にそれぞれ上下に並んで設けられており、右側において第2光源20bおよび第1光源20aが1つのパッケージ内にそれぞれ上下に並んで設けられており、中央において光検出器30が設けられている。2つの第1光源20aは、光検出器30の中心を基準として点対称に配置されている。同様に、2つの第2光源20bは、光検出器30の中心を基準として点対称に配置されている。
2つの第1光源20aからそれぞれ出射された2つの第1光パルスIp1で被測定部10を同時に照射することにより、被測定部10からの第1反射光パルスが得られる。同様に、2つの第2光源20bからそれぞれ出射された2つの第2光パルスIp2で被測定部10を同時に照射することにより、被測定部10からの第2反射光パルスが得られる。被測定部10が光検出器30に対向していれば、2つの第1光源20aおよび2つの第2光源20bの上記の配置により、第1反射パルスの立ち下がり部分の波形と、第2反射パルスの立ち下がり部分の波形とのずれが拡大するのを抑制することができる。
本実施形態における測定装置100は、互いに異なる波長を有する2つ以上の光パルスで被測定部10を照射してもよい。
本開示における測定装置は、被測定部の内部情報を取得することが可能である。本開示における測定装置は、例えば生体センシングに有用である。
10 被測定部
20a 第1光源
20b 第2光源
22a 第1発光素子
22b 第2発光素子
24a 第1調整回路
24b 第2調整回路
30 光検出器
32 光電変換素子
34 電荷蓄積部
40 処理回路
50 信号処理回路
60 制御回路
70 筐体
100 測定装置
201 画素
204 第1浮遊拡散層
206 第2浮遊拡散層
302 行選択回路
303 列選択回路
304 垂直信号線
305 ソースフォロワ電源
306 ソースフォロワ負荷
307 変換回路
308 行選択トランジスタ
309 ソースフォロワトランジスタ
310 リセットトランジスタ

Claims (14)

  1. 第1光パルスを出射する第1光源と、
    第2光パルスを出射する第2光源と、
    少なくとも1つの光検出器と、
    前記第1光源、前記第2光源、および前記光検出器を制御し、前記光検出器から出力された信号を処理する処理回路と、
    を備え、
    前記処理回路は、
    前記第1光源に前記第1光パルスを出射させ、
    前記第2光源に前記第2光パルスを出射させ、
    前記光検出器に、前記第1光パルスが対象物の被測定部で反射されることによって生じた第1反射光パルスの立ち下がり期間の少なくとも一部の成分、および前記第2光パルスが前記被測定部で反射されることによって生じた第2反射光パルスの立ち下がり期間の少なくとも一部の成分を検出させることにより、前記第1反射光パルスの前記一部の強度に応じた第1信号、および前記第2反射光パルスの前記一部の強度に応じた第2信号を出力させ、
    前記第1信号および前記第2信号に基づいて、前記被測定部の内部の状態を示す第3信号を生成して出力し、
    前記第1光パルスの強度がピーク値の90%から10%の強度に低下するまでの時間をtとし、前記第2光パルスの強度がピーク値の90%から10%の強度に低下するまでの時間をtとすると、
    |t−t|/t≦0.2を満たす、
    測定装置。
  2. 前記第1光源は、注入された第1電流に応じた強度の光を出射する第1発光素子と、前記第1電流を調整する第1調整回路とを含み、
    前記処理回路は、前記第1調整回路を制御することにより、前記第1発光素子から前記第1光パルスを出射させる、
    請求項1に記載の測定装置。
  3. 前記処理回路は、前記第1調整回路を制御し、前記第1発光素子に逆バイアス電圧を印加することにより、前記第1光パルスの出射を抑制する、
    請求項2に記載の測定装置。
  4. 前記第2光源は、注入された第2電流に応じた強度の光を出射する第2発光素子と、前記第2電流を調整する第2調整回路とを含み、
    前記処理回路は、前記第2調整回路を制御することにより、前記第2発光素子から前記第2光パルスを出射させる、請求項1から3のいずれかに記載の測定装置。
  5. 前記処理回路は、前記第2調整回路を制御し、前記第2発光素子に逆バイアス電圧を印加することにより、前記第2光パルスの出射を抑制する、
    請求項4に記載の測定装置。
  6. 前記処理回路は、
    前記第1光源に前記第1光パルスを繰り返し出射させ、
    前記第2光源に前記第2光パルスを繰り返し出射させ、
    前記光検出器に、
    前記第1反射光パルスの前記立ち下がり期間の前記少なくとも一部の成分を繰り返し検出させることにより、前記第1反射光パルスの前記立ち下がり期間の前記少なくとも一部の積算された強度に応じた信号を前記第1信号として出力させ、
    前記第2反射光パルスの前記立ち下がり期間の前記少なくとも一部の成分を繰り返し検出させることにより、前記第2反射光パルスの前記立ち下がり期間の前記少なくとも一部の積算された強度に応じた信号を前記第2信号として出力させる、
    請求項1から5のいずれかに記載の測定装置。
  7. 前記被測定部は、人間の頭部であり、
    前記第3信号は、前記人間の脳活動の状態を示す、
    請求項1から6のいずれかに記載の測定装置。
  8. およびtの各々は、1.0ns以上1.2ns以下である、
    請求項1から7のいずれかに記載の測定装置。
  9. 前記第1光パルスは、第1波長を有し
    前記第2光パルスは、第2波長を有し、
    前記第2波長は、前記第1波長よりも長い、
    請求項1から8のいずれかに記載の測定装置。
  10. |t−t|/t≦0.2、または|t−t|/t≦0.2を満たす、
    請求項9に記載の測定装置。
  11. 前記第1波長は、650nm以上であり、かつ805nmよりも短く、
    前記第2波長は、805nmよりも長く、かつ950nm以下である、
    請求項10に記載の測定装置。
  12. 光パルスを出射する光源と、
    光検出器と、
    前記光源、および前記光検出器を制御する処理回路と、
    を備え、
    前記処理回路は、
    前記光源に前記光パルスを出射させ、
    前記光検出器に、前記光パルスが対象物の被測定部で反射されることによって生じた反射光パルスの立ち下がり期間の少なくとも一部の成分を検出させ、
    前記光パルスの強度がピーク値の90%から10%の強度に低下するまでの時間をtとすると、tは、1.0ns以上1.2ns以下である、
    測定装置。
  13. 測定装置に用いられるプログラムであって、
    前記測定装置は、
    第1光パルスを出射する第1光源と、
    第2光パルスを出射する第2光源と、
    少なくとも1つの光検出器と、
    前記第1光源、前記第2光源、および前記光検出器を制御し、前記光検出器から出力された信号を処理する処理回路と、
    を備え、
    前記プログラムは、前記処理回路に、
    前記第1光源に前記第1光パルスを出射させ、
    前記第2光源に前記第2光パルスを出射させ、
    前記光検出器に、前記第1光パルスが対象物の被測定部で反射されることによって生じた第1反射光パルスの立ち下がり期間の少なくとも一部の成分、および前記第2光パルスが前記被測定部で反射されることによって生じた第2反射光パルスの立ち下がり期間の少なくとも一部の成分を検出させることにより、前記第1反射光パルスの前記一部の強度に応じた第1信号、および前記第2反射光パルスの前記一部の強度に応じた第2信号を出力させ、
    前記第1光パルスの強度がピーク値の90%から10%の強度に低下するまでの時間をtとし、前記第2光パルスの強度がピーク値の90%から10%の強度に低下するまでの時間をtとすると、
    |t−t|/t≦0.2を満たす、
    プログラム。
  14. 前記プログラムは、前記処理回路に、前記第1信号および前記第2信号に基づいて、前記被測定部の内部の状態を示す第3信号を生成させて出力させる、
    請求項13に記載のプログラム。
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