以下、本発明の実施例1に係る撮像装置1000について、図を用いて説明する。
図1は、撮像装置1000の構成を説明する概略概念図である。
撮像装置1000は、レンズ交換式のデジタルカメラである。撮像装置1000は、交換レンズ11を取り付けられる。撮像装置1000は、レンズ装置である交換レンズ11が脱着可能な撮像装置である。交換レンズ11内には撮影光学系101が配設され、撮影光学系101によって撮影光束のための光路が形成される。
撮影光学系101による光路を透過した光束は、カメラ本体12に配設された撮像素子102へと到達し、撮像素子102に光軸垂直平面内に配列された画素内のフォトダイオードによって光電変換される。光電変換により得られる信号に対して、画像処理手段がガンマ処理、ノイズ処理等を行って、画像データを生成したうえで、不揮発メモリに書き込むことで、1枚の撮影処理が終了となる。
撮像装置1000は、撮影者の指示によって、焦点検出を行い、所望の被写体が合焦状態の画像を撮影できるようにする。この際には、撮像素子102に配設される画素が測距用画素を兼ねており、この出力を元に焦点検出手段103が被写体の焦点状態を検出する。焦点検出手段103では、この検出結果を受けて、焦点調節光学系108が光軸方向に駆動すべき駆動量が算出され、不図示の焦点調節制御手段によって、焦点調節光学系108が光軸方向にこの駆動量だけ駆動される。焦点検出の詳細については後述する。
また、撮像装置1000は、撮影者が手持ち撮影をする際に発生してしまう、手振れなどの不要な振動を抑制する手段が二つ備わっている。そのひとつは交換レンズ11内に配設された撮影光学系101の一部である像振れ補正光学系109が、光軸垂直平面内でシフト駆動されることで像振れを補正するレンズシフト式像振れ補正手段104である。レンズシフト式像振れ補正手段104は絞りよりも像面側に配設された1枚の凹レンズ(像振れ補正光学系109)を撮影光学系101の光軸に垂直な平面内でシフトすることにより像振れ補正を行っている。ここではレンズシフトにより像振れ補正を実施しているが、それには限定されず、撮影光学系101全体を揺動させて像振れ補正するものや、撮影光学系101の一部である可変プリズムのプリズム角度変化によって像振れ補正するものであっても良い。
もう一つの像振れ補正の手段は、撮像素子102を光軸垂直面内に移動自在に保持し、撮像素子102を駆動することで像振れ補正を行うセンサシフト式像振れ補正手段105である。センサシフト式像振れ補正手段105は、撮像素子を撮影光学系の光軸に垂直な平面内で移動可能な像振れ補正手段の一例である。
これら2つの像振れ補正手段を用いることで、像振れ補正可能な領域が拡大され、撮影される画像の安定化が図られるものである。像振れ補正制御手段107は、これら二つの像振れ補正手段の駆動制御にあたり、焦点検出手段103が焦点検出動作をする際の焦点検出信号の劣化を抑制しながら、割り付け駆動制御を行うものである。保持枠110は、撮影光学系101の最終群を保持する鏡筒のメカ構造である。保持枠110に限った話ではないが、撮像素子の光軸から離れた、高像高領域などでは、このようなメカ構造によって撮影光束が遮られる、所謂「ケラレ」が生じ、焦点検出に影響を与えることが知られている。この「ケラレ」については後述する。
(撮像面位相差測距系)
次に、本発明の実施例である撮像装置1000が実施する焦点検出にについて図2から図9を用いて説明する。
図2は、実施例1に係る撮像装置1000の撮像素子102の画素配列を4列×4行の範囲で、焦点検出画素配列を8列×4行の範囲で示したものである。
撮像装置1000において、図2に示した2列×2行の画素群200は、R(赤)の分光感度を有する画素200Rが左上に、G(緑)の分光感度を有する画素200Gが右上と左下に、B(青)の分光感度を有する画素200Bが右下に配置される。さらに、画素群200を構成する各画素は、2列×1行に配列された第1焦点検出画素201と第2焦点検出画素202により構成されている。
図2に示した撮像素子102は、4列×4行の画素(8列×4行の焦点検出画素)を面上に多数配置し、撮像画像(焦点検出信号)の取得を可能としている。本実施例では、画素の周期Pが4μm、画素数Nが横5575列×縦3725行=約2075万画素、焦点検出画素の列方向周期PAFが2μm、焦点検出画素数NAFが横11150列×縦3725行=約4150万画素の撮像素子として説明を行う。
図2に示した撮像素子102の1つの画素200Gを、撮像素子102の受光面側(+z側)から見た平面図を図3(A)に示し、図3(A)のa−a断面を−y側から見た断面図を図3(B)に示す。尚、図3(B)に記載の「光軸」は、マイクロレンズ305の光軸を示すものである。
図3に示すように、本実施例の画素200Gでは、各画素の受光側に入射光を集光するためのマイクロレンズ305が形成され、x方向にNH分割(2分割)、y方向にNV分割(1分割)された光電変換部301及び光電変換部302が形成される。光電変換部301と光電変換部302は、それぞれ、第1焦点検出画素201と第2焦点検出画素202に対応する。光電変換部301と光電変換部302は、p型層とn型層の間にイントリンシック層を挟んだpin構造フォトダイオード300としても良いし、必要に応じて、イントリンシック層を省略し、pn接合フォトダイオードとしても良い。
各画素には、マイクロレンズ305と、光電変換部301及び光電変換部302との間に、カラーフィルタ306が形成される。また、必要に応じて、副画素毎にカラーフィルタの分光透過率を変えても良いし、カラーフィルタを省略しても良い。
画素200Gに入射した光は、マイクロレンズ305により集光され、カラーフィルタ306で分光されたのち、光電変換部301と光電変換部302で受光される。
光電変換部301と光電変換部302では、受光量に応じて電子とホールが対生成し、空乏層で分離された後、負電荷の電子はn型層(不図示)に蓄積され、一方、ホールは定電圧源(不図示)に接続されたp型層を通じて撮像素子外部へ排出される。光電変換部301と光電変換部302のn型層に蓄積された電子は、転送ゲートを介して、静電容量部(FD)に転送され、電圧信号に変換される。
図3(A)及び図3(B)に示した本実施例の画素構造と瞳分割との対応関係を示した概略説明図を、図4に示す。つまり、図3(A)に示した本実施例の画素構造のa−a断面を+y側から見た断面図と、撮影光学系101の射出瞳面を、図4に示す。図4では、射出瞳面の座標軸と対応を取るために、断面図のx軸とy軸を図3に対して反転させている。
図4で、第1焦点検出画素201の第1瞳部分領域501は、重心が−x方向に偏心している光電変換部301の受光面と、マイクロレンズ305によって、概ね、共役関係になっており、第1焦点検出画素201で受光可能な瞳領域を表している。第1焦点検出画素201の第1瞳部分領域501は、瞳面上で+X側に重心が偏心している。
図4で、第2焦点検出画素202の第2瞳部分領域502は、重心が+x方向に偏心している光電変換部302の受光面と、マイクロレンズ305によって、概ね、共役関係になっており、第2焦点検出画素202で受光可能な瞳領域を表している。第2焦点検出画素202の第2瞳部分領域502は、瞳面上で−X側に重心が偏心している。
また、図4で、瞳領域500は、光電変換部301と光電変換部302(第1焦点検出画素201と第2焦点検出画素202)を全て合わせた際の画素200G全体で受光可能な瞳領域である。
本実施例の撮像素子102と瞳分割との対応関係を示した概略図を図5に示す。撮像面800については後述する。第1瞳部分領域501と第2瞳部分領域502の異なる瞳部分領域を通過した光束は、撮像素子102の各画素に、それぞれ、異なる角度で入射し、2×1分割された第1焦点検出画素201と第2焦点検出画素202で受光される。本実施例は、瞳領域が水平方向に2つに瞳分割されている例である。必要に応じて、垂直方向に瞳分割を行っても良い。
本実施例の撮像素子102は、撮影光学系101の第1瞳部分領域を通過する光束を受光する第1焦点検出画素201と、第1瞳部分領域と異なる撮影光学系101の第2瞳部分領域を通過する光束を受光する第2焦点検出画素202が複数配列されている。また、撮像素子102は、撮影光学系101の第1瞳部分領域と第2瞳部分領域を合わせた瞳領域を通過する光束を受光する撮像画素が複数配列されている。本実施例の撮像素子102では、それぞれの撮像画素が第1焦点検出画素と第2焦点検出画素から構成されている。
本実施例では、撮像素子102の各画素の第1焦点検出画素201の受光信号を集めて第1焦点信号を生成し、各画素の第2焦点検出画素202の受光信号を集めて第2焦点信号を生成して焦点検出を行う。また、撮像素子102の画素毎に、第1焦点検出画素201と第2焦点検出画素202の信号を加算することで、有効画素数Nの解像度の撮像信号を生成する。
以下、本発明の実施例1に係る撮像装置1000の撮像素子102から取得される第1焦点検出信号と第2焦点検出信号のデフォーカス量と像ずれ量の関係について説明する。
図6に、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号のデフォーカス量と第1焦点検出信号と第2焦点検出信号間の像ずれ量の概略関係図を示す。撮像面800に撮像装置1000の撮像素子102(不図示)が配置され、図4、図5と同様に、撮影光学系101の射出瞳が、第1瞳部分領域501と第2瞳部分領域502に2分割される。
デフォーカス量dは、被写体の結像位置から撮像面800までの距離を大きさ|d|として定義される。また、デフォーカス量dは、被写体の結像位置が撮像面800より被写体側にある前ピン状態を負符号(d<0)として定義される。また、デフォーカス量dは、被写体の結像位置が撮像面800より被写体の反対側にある後ピン状態を正符号(d>0)として定義される。被写体の結像位置が撮像面800(合焦位置)にある合焦状態はd=0である。図6で、被写体801は合焦状態(d=0)の例を示しており、被写体802は前ピン状態(d<0)の例を示している。前ピン状態(d<0)と後ピン状態(d>0)を合わせて、デフォーカス状態(|d|>0)とする。
前ピン状態(d<0)では、被写体802からの光束のうち、第1瞳部分領域501(第2瞳部分領域502)を通過した光束は、一度、集光した後、光束の重心位置G1(G2)を中心として幅Γ1(Γ2)に広がり、撮像面800でボケた像となる。ボケた像は、撮像素子102に配列された各画素を構成する第1焦点検出画素201(第2焦点検出画素202)により受光され、第1焦点検出信号(第2焦点検出信号)が生成される。よって、第1焦点検出信号(第2焦点検出信号)は、撮像面800上の重心位置G1(G2)に、被写体802が幅Γ1(Γ2)にボケた被写体像として記録される。被写体像のボケ幅Γ1(Γ2)は、デフォーカス量dの大きさ|d|が増加するのに伴い、概ね、比例して増加していく。同様に、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号間の被写体像の像ずれ量p(=光束の重心位置の差G1−G2)の大きさ|p|も、デフォーカス量dの大きさ|d|が増加するのに伴い、概ね、比例して増加していく。後ピン状態(d>0)でも、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号間の被写体像の像ずれ方向が前ピン状態と反対となるが、同様である。
したがって、本実施例では、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号、もしくは、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号を加算した撮像信号のデフォーカス量の大きさが増加するのに伴い、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号間の像ずれ量の大きさが増加する。
本実施例では、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号のデフォーカス量と像ずれ量の関係性を用いて、位相差方式の焦点検出を行う。
以下、本実施例における位相差方式の焦点検出について説明する。
位相差方式の焦点検出では、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号を相対的にシフトさせて信号の一致度を表す相関量を計算し、相関が良くなるシフト量から像ずれ量を検出する。撮像信号のデフォーカス量の大きさが増加するのに伴い、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号間の像ずれ量の大きさが増加する関係性から、像ずれ量を検出デフォーカス量に変換して焦点検出を行う。
図7に、実施例1に係る焦点検出処理の流れの概略図を示す。なお、図7の動作は、実施例1の焦点検出手段103によって実行される。
ステップS110では、焦点検出手段103は、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号に、それぞれ、信号データ量を抑制するために列方向に3画素加算処理を行い、さらに、RGB信号を輝度Y信号にするためにベイヤ(RGB)加算処理を行う。また、焦点検出手段103は、3行ごとに1行の読み出しを行う、垂直間引き処理を実施する。尚、本実施例では、水平加算及び垂直間引き処理を撮像素子102から読み出した後に実施するが、これに限定されず、撮像素子102内であらかじめ水平加算、垂直間引きの処理がなされるものであってもよい。
ステップS120で、焦点検出手段103は、撮像素子102の有効画素領域の中から焦点調節を行う測距領域を設定する。焦点検出手段103は、焦点検出信号生成手段により、測距領域の第1焦点検出画素の受光信号から第1焦点検出信号を生成し、焦点検出領域の第2焦点検出画素の受光信号から第2焦点検出信号を生成する。
ステップS130では、焦点検出手段103は、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号に、それぞれ、シェーディング補正処理を行う。
以下、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号の瞳ずれによるシェーディングについて説明する。図8に、撮像素子102の周辺像高における第1焦点検出画素201の第1瞳部分領域501、第2焦点検出画素202の第2瞳部分領域502、及び撮影光学系101の射出瞳400の関係を示す。
図8(A)は、撮影光学系101の射出瞳距離Dlと撮像素子102の設定瞳距離Dsが同じ場合である。この場合は、第1瞳部分領域501と第2瞳部分領域502により、撮影光学系101の射出瞳400が、概ね、均等に瞳分割される。
これに対して、図8(B)に示した撮影光学系101の射出瞳距離Dlが撮像素子102の設定瞳距離Dsより短い場合、撮像素子102の周辺像高では、射出瞳400と撮像素子102の入射瞳の瞳ずれを生じ、射出瞳400が不均一に瞳分割されてしまう。同様に、図8(C)に示した撮影光学系101の射出瞳距離Dlが撮像素子102の設定瞳距離Dsより長い場合、撮像素子102の周辺像高では、射出瞳400と撮像素子102の入射瞳の瞳ずれを生じ、射出瞳400が不均一に瞳分割されてしまう。周辺像高で瞳分割が不均一になるのに伴い、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号の強度も不均一になり、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号のいずれか一方の強度が大きくなり、他方の強度が小さくなるシェーディングが生じる。
焦点検出手段103は、焦点検出領域の像高、撮影光学系101のF値(絞り値)、射出瞳距離及び射出瞳光束のケラレ状態に応じて、第1焦点検出信号の第1シェーディング補正係数と、第2焦点検出信号の第2シェーディング補正係数をそれぞれ生成する。焦点検出手段103は、第1シェーディング補正係数を第1焦点検出信号に乗算し、第2シェーディング補正係数を第2焦点検出信号に乗算して、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号のシェーディング補正処理を行う。
位相差方式の焦点検出では、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号の相関を基に、検出デフォーカス量の検出を行う。瞳ずれによるシェーディングが生じると第1焦点検出信号と第2焦点検出信号の相関が低下する場合がある。よって、位相差方式の第1焦点検出では、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号の相関(信号の一致度)を改善し、焦点検出性能を良好とするために、シェーディング補正処理(光学補正処理)を行うことが望ましい。図8中では不図示であるが、射出瞳400を構成する開口以外にも、各光学系を保持するメカ部材や、交換レンズ11の最後群から撮像素子102までのカメラ本体内のメカ部材が存在する。絞り値や像高などによっては、これらのメカ部材によって光束が遮られることがあり、一般にこれを光束の「ケラレ」と称する。第1焦点検出信号と第2焦点検出信号のシェーディングは、このケラレによっても発生し、ケラレが既知である条件においては、ケラレについても加味したシェーディング補正を行うことで、測距精度の低下を防ぐことができる。
撮像装置1000では、シェーディング補正係数SHDが、焦点検出領域の像高と、撮影光学系101のF値(絞り値)、射出瞳距離及びケラレ状態に対応したテーブルとして記憶手段106に格納されている。シェーディング補正係数SHDは、撮影光学系の射出瞳の互いに異なる領域から得られる撮像素子の出力像信号の強度比の一例である。射出瞳距離は交換レンズ毎(ズームレンズであればズームステート毎)に異なる値であるため、それぞれに応じたテーブルが設けられている。また、ケラレ状態は、像振れ補正光学系109の位置によって変化するため、像振れ補正光学系109のストローク量毎にシェーディング補正係数SHDを持たせることで表現されている。撮像装置1000においては、このレンズシフト式像振れ補正手段104のストローク量毎に異なるシェーディング補正係数SHDのテーブルを持つことで、ケラレ情報を保有するものである。センサシフト式像振れ補正手段105が駆動する撮像素子102の位置については、単純な焦点検出領域の像高変化ととらえることができる。そのため、撮像素子102の位置毎のシェーディング補正係数テーブルは保持しなくてもよい場合がある。この場合、レンズシフト式像振れ補正手段104とセンサシフト式像振れ補正手段105の駆動で取りうる相対位置関係を、前述の像振れ補正光学系109のストローク量として保持すればよい。
図7のステップS140では、焦点検出手段103は、第1焦点検出信号と第2焦点検出信号に、フィルタ処理を行う。本実施例のフィルタ処理の通過帯域例を、図9に実線で示す。本実施例では、位相差方式の第1焦点検出により、大デフォーカス状態での焦点検出を行うため、フィルタ処理の通過帯域は低周波帯域を含むように構成される。大デフォーカス状態から小デフォーカス状態まで焦点調節を行う際に、デフォーカス状態に応じて、焦点検出時のフィルタ処理の通過帯域を、図9の1点鎖線のように、より高周波帯域に調整しても良い。
次に、図7のステップS150では、焦点検出手段103は、フィルタ処理後の第1焦点検出信号と第2焦点検出信号を相対的に瞳分割方向にシフトさせるシフト処理を行い、信号の一致度を表す相関量を算出する。
フィルタ処理後のk番目の第1焦点検出信号をA(k)、第2焦点検出信号をB(k)、焦点検出領域に対応する番号kの範囲をWとする。シフト処理によるシフト量をs1、シフト量s1のシフト範囲をΓ1として、相関量CORは、数1により算出される。
シフト量s1の第1シフト処理により、k番目の第1焦点検出信号A(k)とk−s1番目の第2焦点検出信号B(k−s1)を対応させ減算し、シフト減算信号を生成する。生成されたシフト減算信号の絶対値を計算し、焦点検出領域に対応する範囲W内で番号kの和を取り、相関量(第1評価値)COR(s1)を算出する。必要に応じて、各行毎に算出された相関量(第1評価値)を、シフト量毎に、複数行に渡って加算しても良い。
ステップS160では、焦点検出手段103は、相関量から、サブピクセル演算により、相関量が最小値となる実数値のシフト量を算出して像ずれ量p1とする。像ずれ量p1に、焦点検出領域の像高と、撮影光学系101のF値、射出瞳距離及びケラレ情報に応じた変換係数Kをかけて、検出デフォーカス量(Def:請求項中のデフォーカス量に相当)を検出する。換算係数Kは、撮像装置1000が有する記憶手段106に格納されたテーブルデータとして存在する。このテーブルは前述のシェーディング補正と同様に、交換レンズ毎の射出瞳距離に応じたテーブルが設けられている。また、ケラレ状態についても同様に、換算係数Kが、像振れ補正光学系109のストローク量毎に記述される。撮像装置1000においては、この像振れ補正光学系109のストローク量毎に異なる換算係数Kのテーブルを持つことで、ケラレ情報を保有するものである。検出された検出デフォーカス量に対し、フォーカス敏感度を掛けることで、焦点調節光学系108の駆動量が決定される。
図7に示した処理は、静止画撮影モードであれば、不図示のシャッターボタンの半押し動作(SW1)による指示から、合焦確認のための測距が完了するまで、毎フレーム実施される。また、図7に示した処理は、動画撮影モードであれば、毎フレーム実施される。焦点検出領域の像高については、過去の複数のフレームでの、追尾(測距枠の自動選択)の履歴や、二つの像振れ補正手段の駆動位置の履歴から予測し決定される。詳細は後述するが、このときの二つの像振れ補正手段の位置や、その位置からのさらなる駆動によって変化するケラレの影響に応じて、その後優先的に駆動される像振れ補正手段が選択され、これにより焦点検出領域の像高も変更がなされる。
本実施例では、シェーディング補正係数SHD及び変換係数Kをテーブルの形で記憶手段106に格納しているが、これには限定されず、ケラレ情報を瞳面上の2次元的な枠形状として保有し、これを元に係数計算をカメラ内で行って求めるものであってもよい。この2次元的な枠形状が光束形状の一例である。
本実施例では、記憶手段106の場所について特段の記載をしていないが、カメラ本体12側に持たせても良いし、交換レンズ11とカメラ本体12とに分割して持たせても構わない。
次に、本発明の実施例1に係る撮像装置1000の像振れ補正手段である、シフト式像振れ補正手段105の駆動と焦点検出の関係について図10及び図11を用いて説明する。
(センサシフト補正と瞳分割)
図10(A)、図10(C)及び図11A(e)は、中央像高の、また図10(B)、図10(D)及び図11(B)は周辺像高(+X方向)の焦点検出領域の画素群が観察する射出瞳面上での瞳分離の様子を示した模式図である。図10及び図11では撮影光学系101の射出瞳距離Dlと撮像素子102の設定瞳距離Dsとがほぼ等価な系として表している。
射出瞳面と撮像素子102の表面の間に配置された太線は、撮影光学系101の最終群の保持枠110を模式的にあらわしており、図10及び図11においてはこの保持枠110によるケラレは発生していない。
図10(A)を用いてセンサシフト式像振れ補正手段105が駆動範囲中央に位置する際の中央像高での瞳分離の様子について説明する。図10(A)の上段の射出瞳面中央に示された円形形状は、撮影光学系101の絞りの開口により形成される射出瞳400である。中央像高では、撮像素子102の設定瞳距離とほぼ等距離にある撮影光学系101の射出瞳面の光束を略均等に左右分割することがわかる。一方、図10(B)の周辺像高においても、撮影光学系101の射出瞳面の光束を略均等に左右分割可能である。
図10(C)、図10(D)、図11(A)及び図11(B)は、センサシフト式像振れ補正手段105がX方向に駆動した際の、射出瞳面上での瞳分離の様子を示した模式図である。
本実施例中のセンサシフト式像振れ補正手段105は、撮像素子102をXY平面内で駆動可能としている。前述の通り、本実施例では、撮像素子102を構成する第1焦点検出画素201と第2焦点検出画素202はX軸方向に配設されている。そのため、センサシフト式像振れ補正手段105の撮像素子102がX方向に駆動することが焦点検出のための瞳分離に与える影響度が大きい。撮像素子102が+X方向に駆動されれば、撮像素子102は瞳面上で+X方向にシフトした射出瞳400を観察することとなる。したがって、図10(C)及び図10(D)は撮像素子102が−X方向に駆動した場合を、図11(A)及び図11(B)は撮像素子102が+X方向に駆動した場合を示している。
図10(C)及び図10(D)を用いてセンサシフト式像振れ補正手段105が−X方向に変位した際の中央像高での瞳分離の様子について説明する。
前述の通り、撮像素子102が−X方向に変位すると、瞳面上では射出瞳400も−X方向に移動する。これは、撮像素子102が−X方向に変位することで、撮像素子102の中心をとおる撮像面に垂直な軸(中央画素から伸びた上下方向矢印に相当)が撮影光学系101の光軸からずれるために発生する。そのため、射出瞳面上では、図10(C)、図10(D)の上段に示すように、第1部分瞳領域501及び第2部分瞳領域502全体が、射出瞳面内を(図では左方に)移動した形で表現されている。射出瞳400は、厳密にはコサイン四乗則に則り楕円形状になるが、ここでは簡単のため、円形のまま表現している。図10(C)では、射出瞳400が−X方向に移動したために、中央像高でありながら、瞳分割は左右不均等となる。図10(D)でも、図10(C)と同様に、射出瞳400が−X方向に移動し、瞳分割は左右不均等となる。設定瞳距離Dsと射出瞳距離Dlの距離がほぼ同じであるために、図10(C)と図10(D)の不均等性は大きくは変化しない。
図11(A)及び図11(B)を用いてセンサシフト式像振れ補正手段105が+X方向に変位した際の中央像高及び周辺像高(+X方向)での瞳分離の様子について説明する。
図10(C)及び図10(D)とは逆に、撮像素子102が+X方向に変位すると、瞳面上では射出瞳400も+X方向に移動する。これは、撮像素子102が+X方向に変位することで、撮像素子102の中心をとおる撮像面に垂直な軸(中央画素から伸びた上下方向矢印に相当)が撮影光学系101の光軸からずれるために発生する。そのため、射出瞳面上では、図11(A)、図11(B)の上段に示すように、第1部分瞳領域501及び第2部分瞳領域502全体が、射出瞳面内を(図では右方に)移動した形で表現されている。ここでも簡単のため、射出瞳400は円形としている。図11(A)では、射出瞳400が+X方向に移動するものの、太線で示した撮影光学系101の最終群の保持枠110によるケラレは生じていない。しかしながら、射出瞳400が+X方向に移動したために、中央像高でありながら瞳分割は左右不均等となる。
図11(B)では、相対的に撮影光学系101の光軸が、図11(A)で着目する撮像素子102の周辺像高位置から遠ざかるために、射出瞳400が+X方向に移動したために瞳分割は左右不均等となる。D1とDsの距離がほぼ同じであるために、図11(A)と図11(B)の不均等性は大きくは変化しない。
図11(A)及び図11(B)で示したように、撮像素子102が±X方向に変位すると瞳分割は左右不均等となり、撮像素子102の±X方向への変位が大きいほど瞳分割の不均等性は増し、焦点検出信号のうち片側の成分比率がほぼゼロとなる。片側の成分比率がほぼゼロとなると正確な測距が不能となる。そのため、焦点検出信号のうち片方の成分比率がほぼゼロとなるのを防ぐために撮像素子102の±X方向への変位量を制限する必要がある。ただし、焦点検出信号のうち片方の成分比率がほぼゼロとなるような撮像素子102の±X方向への変位量は射出瞳距離Dlや設定瞳距離Dsの距離、最終群の保持枠110などの距離や大きさなどの条件により異なる。
図12及び図13では撮影光学系101の設定瞳距離Dsが撮像素子102の射出瞳距離Dlよりも短い系として表している。
図12(A)、図12(C)及び図13(A)は、中央像高の、また図12(B)、図12(D)及び図13(B)は周辺像高(+X方向)の焦点検出領域の画素群が観察する射出瞳面上での瞳分離の様子を示した模式図である。
射出瞳面と撮像素子102の表面の間に配置された太線は、撮影光学系101の最終群の保持枠110を模式的にあらわしており、図12及び図13においてはこの保持枠110によるケラレは発生していない。
図12(A)を用いてセンサシフト式像振れ補正手段105が駆動範囲中央に位置する際の中央像高での瞳分離の様子について説明する。図12(A)の上段の射出瞳面中央に示された円形形状は、撮影光学系101の絞りの開口により形成される射出瞳400である。中央像高では、撮影光学系101の射出瞳面の光束を略均等に左右分割することがわかる。一方、図12(B)の周辺像高においては瞳面上では射出瞳400が+X方向に移動する。射出瞳面上では、図12(B)の上段に示すように、第1部分瞳領域501及び第2部分瞳領域502全体が、射出瞳面内を(図では左方に)移動した形で表現されている。射出瞳400は、厳密にはコサイン四乗則に則り楕円形状になるが、ここでは簡単のため、円形のまま表現している。図12(B)では、射出瞳400が+X方向に移動したために、瞳分割は左右不均等となる。設定瞳距離Dsが撮像素子102の射出瞳距離Dlよりも短いために、図12(A)と図12(B)の不均等性は大きく変化する。設定瞳距離Dsと射出瞳距離Dlの距離がほぼ同じである図10(A)と図10(B)では不均等性は大きくは変化しない。
図12(C)、図12(D)、図13(A)及び図13(B)は、センサシフト式像振れ補正手段105がX方向に駆動した際の、射出瞳面上での瞳分離の様子を示した模式図である。
実施例中のセンサシフト式像振れ補正手段105は、撮像素子102をXY平面内で駆動可能としている。前述の通り、本実施例では、撮像素子102を構成する第1焦点検出画素201と第2焦点検出画素202はX軸方向に配設されている。そのため、センサシフト式像振れ補正手段105の撮像素子102がX方向に駆動することが焦点検出のための瞳分離に与える影響度が大きい。撮像素子102が+X方向に駆動されれば、撮像素子102は瞳面上で+X方向にシフトした射出瞳400を観察することとなる。したがって、図12(C)及び図12(D)は撮像素子102が−X方向に駆動した場合を、図13(A)及び図13(B)は撮像素子102が+X方向に駆動した場合を示している。
図12(C)及び図12(D)を用いてセンサシフト式像振れ補正手段105が−X方向に変位した際の中央像高での瞳分離の様子について説明する。
前述の通り、撮像素子102が−X方向に変位すると、瞳面上では射出瞳400も−X方向に移動する。これは、撮像素子102が−X方向に変位することで、撮像素子102の中心をとおる撮像面に垂直な軸(中央画素から伸びた上下方向矢印に相当)が撮影光学系101の光軸からずれるために発生する。そのため、射出瞳面上では、図12(C)、図12(D)の上段に示すように、第1部分瞳領域501及び第2部分瞳領域502全体が、射出瞳面内を(図では左方に)移動した形で表現されている。射出瞳400は、厳密にはコサイン四乗則に則り楕円形状になるが、ここでは簡単のため、円形のまま表現している。
図12(C)では、射出瞳400が−X方向に移動したために、中央像高でありながら、瞳分割は左右不均等となる。図12(D)でも、図12(C)と同様に、射出瞳400が−X方向に移動する。図12(A)のように撮像素子102が変位していないときに射出瞳400が+X方向に移動していたため、図12(D)では射出瞳400が−X方向に移動することにより瞳分割の左右不均等性は小さくなる。もちろん、図12(D)において撮像素子102が図よりも大きく−X方向に変位した場合には左右不均等性は大きくなる。
図13(A)及び図13(B)を用いてセンサシフト式像振れ補正手段105が+X方向に変位した際の中央像高及び周辺像高(+X方向)での瞳分離の様子について説明する。
図12(C)及び図12(D)とは逆に、撮像素子102が+X方向に変位すると、瞳面上では射出瞳400も+X方向に移動する。これは、撮像素子102が+X方向に変位することで、撮像素子102の中心をとおる撮像面に垂直な軸(中央画素から伸びた上下方向矢印に相当)が撮影光学系101の光軸からずれるために発生する。そのため、射出瞳面上では、図13(A)、図13(B)の上段に示すように、第1部分瞳領域501及び第2部分瞳領域502全体が、射出瞳面内を(図では右方に)移動した形で表現されている。ここでも簡単のため、射出瞳400は円形としている。
図13(A)では,射出瞳400が+X方向に移動したために、中央像高でありながら瞳分布は左右不均等となる。図13(B)では、相対的に撮影光学系101の光軸が、図13(A)で着目する撮像素子102の周辺像高位置から遠ざかるために、射出瞳400が+X方向に移動したために瞳分割は左右不均等となる。さらに、図12(A)のように撮像素子102が変位していないときに射出瞳400が+X方向に移動していたため、図13(B)ではさらに射出瞳400が+X方向に移動するために左右不均等性が大きくなる。
図12及び図13では、撮影光学系101の設定瞳距離Dsが撮像素子102の射出瞳距離Dlよりも短い系を示している。このような系においては、図10及び図11のように撮影光学系101の射出瞳距離Dlと撮像素子102の設定瞳距離Dsとがほぼ等価な系よりも左右不均衡性が起こりやすくなる。
ここで、撮影光学系101の設定瞳距離Dsを光学系の設定瞳距離と呼ぶ。また、撮影光学系101の射出瞳距離Dlを光学系の射出瞳距離と呼ぶ。また、撮像素子102の設定瞳距離Dsを撮像素子の設定瞳距離と呼ぶ。また、撮像素子102の射出瞳距離Dlを撮像素子の射出瞳距離と呼ぶ。光学系の設定瞳距離が撮像素子の射出瞳距離よりも短い系においては、光学系の射出瞳距離と撮像素子の設定瞳距離とがほぼ等価な系よりも撮像素子の±X方向への変位をより厳しく制限する必要がある。
撮影光学系101の設定瞳距離Dsが撮像素子102の射出瞳距離Dlよりも短い系について説明したが、撮影光学系101の設定瞳距離Dsが撮像素子102の射出瞳距離Dlよりも長い系についても同様である。
図14(C)、図14(D)、図15(A)及び図15(B)は、センサシフト式像振れ補正手段105がX方向に駆動した際の、射出瞳面上での瞳分離の様子を示した模式図である。本実施例中のセンサシフト式像振れ補正手段105は、撮像素子102をXY平面内で駆動可能としている。前述の通り、本実施例では、撮像素子102を構成する第1焦点検出画素201と第2焦点検出画素202はX軸方向に配設されている。そのため、センサシフト式像振れ補正手段105の撮像素子102がX方向に駆動することが焦点検出のための瞳分離に与える影響度が大きい。撮像素子102が+X方向に駆動されれば、撮像素子102は瞳面上で+X方向にシフトした射出瞳400を観察することとなる。したがって、図14(C)及び図14(D)は撮像素子102が−X方向に駆動した場合を、図15(A)及び図15(B)は撮像素子102が+X方向に駆動した場合を示している。
図14(C)及び図14(D)を用いてセンサシフト式像振れ補正手段105が−X方向に変位した際の中央像高での瞳分離の様子について説明する。前述の通り、撮像素子102が−X方向に変位すると、瞳面上では射出瞳400も−X方向に移動する。これは、撮像素子102が−X方向に変位することで、撮像素子102の中心をとおる撮像面に垂直な軸(中央画素から伸びた上下方向矢印に相当)が撮影光学系101の光軸からずれるために発生する。そのため、射出瞳面上では、図14(C)、図14(D)の上段に示すように、第1部分瞳領域501及び第2部分瞳領域502全体が、射出瞳面内を(図では左方に)移動した形で表現されている。射出瞳400は、厳密にはコサイン四乗則に則り楕円形状になるが、ここでは簡単のため、円形のまま表現している。
図14(C)では、射出瞳400が−X方向に移動するものの、太線で示した撮影光学系101の最終群の保持枠110によるケラレは生じていない。しかしながら、射出瞳400が−X方向に移動したために、瞳分割は左右不均等となり、中央像高でありながら、ケラレによるシェーディングが発生する。図14(D)でも、図14(C)と同様に、射出瞳400が−X方向に移動するとともに、撮影光学系101の最終群の保持枠110によるケラレが発生する。この場合、相対的に撮影光学系101の光軸が、図14(D)で着目する撮像素子102の周辺像高位置に近づくために、ケラレ量は図14(B)よりも小さくなり、瞳分割は図14(C)に近い形となる。
図15(A)及び図15(B)を用いてセンサシフト式像振れ補正手段105が+X方向に変位した際の中央像高及び周辺像高(+X方向)での瞳分離の様子について説明する。図14(C)及び図14(D)とは逆に、撮像素子102が+X方向に変位すると、瞳面上では射出瞳400も+X方向に移動する。これは、撮像素子102が+X方向に変位することで、撮像素子102の中心をとおる撮像面に垂直な軸(中央画素から伸びた上下方向矢印に相当)が撮影光学系101の光軸からずれるために発生する。そのため、射出瞳面上では、図15(A)、図15(B)の上段に示すように、第1部分瞳領域501及び第2部分瞳領域502全体が、射出瞳面内を(図では右方に)移動した形で表現されている。ここでも簡単のため、射出瞳400は円形としている。図15(A)では、射出瞳400が+X方向に移動するものの、太線で示した撮影光学系101の最終群の保持枠110によるケラレは生じていない。しかしながら、射出瞳400が+X方向に移動したために、瞳分割は左右不均等となり、中央像高でありながら、ケラレによるシェーディングが発生する。図15(B)では、相対的に撮影光学系101の光軸が、図15(A)で着目する撮像素子102の周辺像高位置から遠ざかるために、撮影光学系101の最終群の保持枠110によるケラレが大きく発生するとともに、射出瞳400が+X方向に移動する。この場合、図14(B)と異なり、ケラレ量が減少するものの、瞳分割の不均等性は増し、焦点検出信号のうち−X側の成分比率がほぼゼロとなる。
図14及び図15では、撮影光学系101の最終群の保持枠110によるケラレが生じる条件下である場合を示している。このような条件下では、焦点検出信号のうち片方の成分比率がほぼゼロとなるような撮像素子102の±X方向への変位量を決定する際に最終群の保持枠110についても考慮に入れなければならない。そこで、撮像素子102の±X方向への駆動の制限量をあらかじめ撮影光学系101の設定瞳距離Ds、撮像素子102の射出瞳距離Dl、最終群の保持枠110を考慮して計算しておき、焦点検出のための駆動量制限量として保持する。撮像素子102の駆動量は焦点検出のための駆動量制限量をもとに駆動量算出手段で算出される。焦点検出のための駆動量制限量は、撮影光学系の駆動量情報の一例である。焦点検出のための駆動量制限量をもとに算出した撮像素子102の駆動量を超えないように撮像素子102を±X方向に駆動することで焦点検出精度を保ちながら振れ補正を行うことが可能になる。
撮像素子102の±X方向の駆動量は大きいほうが振れ補正の性能は上がるため、焦点検出のための駆動量制限量は制限される量が少ないほうが良い。一律に焦点検出のための駆動量制限量を定めるのではなく、それぞれの交換レンズ11やカメラ本体12等の条件ごとに焦点検出のための駆動量制限量を求めることで、それぞれの焦点検出のための駆動量制限量を最大にすることが可能となる。撮影光学系101の設定瞳距離Ds、撮像素子102の射出瞳距離Dl、最終群の保持枠110の情報の各種情報を保持している場合には、次のように処理を行う。すなわち、各種情報を保持している場合には、撮影ごとに焦点検出のための駆動量制限量を算出してもよい。また、各種情報を保持している場合には、初期撮影時に焦点検出のための駆動量制限量を計算しておき、保持しておいても構わない。
焦点検出のための駆動量制限量はカメラ本体12、交換レンズ11どちらで保持してもよく、交換レンズ11とカメラ本体12とに分割して保持しても構わない。
カメラ本体12が焦点検出のための駆動量制限量を保持している場合には、交換レンズ11と組み合わせた場合の焦点検出のための駆動量制限量を保持していないことも考えられる。
焦点検出のための駆動量制限量を保持していない場合には、撮影光学系101の設定瞳距離Ds、撮像素子102の射出瞳距離Dl、最終群の保持枠110の情報を保持しているかを確認する。最終群の保持枠110の情報を保持しておらず、設定瞳距離Ds、射出瞳距離Dlのみ保持している場合には、設定瞳距離Dsと射出瞳距離Dlから焦点検出のための駆動量制限量を算出する。焦点検出のための駆動量制限量は、射出瞳距離Dlから撮像素子102への入射角度が設定瞳距離Dsから求められる入射角特性よりも大きくならないような値にする。最終群の保持枠110の情報を使用せずに焦点検出のための駆動量制限量を求めるため、設定瞳距離Dsと射出瞳距離Dlから求められる焦点検出のための駆動量制限量を基に求めた駆動量で撮像素子102を駆動するとケラレが発生するおそれがある。求められた焦点検出のための駆動量制限量の80%程度になるように駆動量を算出する等によりケラレの発生を回避する。また、焦点検出のための駆動量制限量を算出する際に射出瞳距離Dlから撮像素子102への入射角度を2倍した値が設定瞳距離Dsから求められる入射角特性よりも大きくならないようにする等の方法でも良い。
また、あらかじめ設定瞳距離Dsと射出瞳距離Dlと駆動制限量の関係性をテーブルとしてカメラ本体12が保持しておき、設定瞳距離Dsと射出瞳距離Dlとテーブルを照らし合わせることで焦点検出のための駆動量制限量を算出することも可能である。
図16は、射出瞳距離Dlと焦点検出のための駆動量制限量の関係の一例を示したものである。射出瞳距離Dlが短いほど焦点検出のための駆動量制限量は小さくなる。これらの関係はF値ごとに異なるので、テーブルを作成する場合にはF値ごとにテーブルを作成する。簡易的にするために、もっとも条件の厳しいF値でのテーブルなどを代表で所持して参照してもよい。射出瞳距離ごとにF値と焦点検出のための駆動量制限量のテーブルにする等の組み合わせも考えられる。
焦点検出のための駆動量制限量、設定瞳距離Ds、撮像素子102の射出瞳距離Dl、最終群の保持枠110の情報の各種情報をすべて保持していない場合には、次のように処理を行う。すなわち、各種情報をすべて保持していない場合には、焦点距離情報を保持しているか確認し保持していれば焦点距離情報をもとに焦点検出のための駆動量制限量を算出する。
射出瞳距離Dlと焦点距離情報は近い値になることが多いため、焦点距離情報を射出瞳距離Dlの代わりに使用し焦点検出のための駆動量制限量を算出する。しかし焦点距離情報と射出瞳距離Dlは全く同じ値になるとも限らないため、焦点距離情報を基に算出した焦点検出のための駆動量制限量は射出瞳距離Dlを基に算出した焦点検出のための駆動量制限量よりも信頼性が低い。そこで、焦点距離情報を基に焦点検出のための駆動量制限量を算出する際には算出した焦点検出のための駆動量制限量よりも小さい駆動量で駆動する。
本実施例により、焦点検出信号の成分比率が所定以下となるように像振れ補正を制御することで焦点検出への悪影響が抑制可能となった。つまり、本発明により、像振れ補正のための撮像素子、像振れ補正光学系の駆動を適切に制御することで像振れ補正の効果を最大限活用しながらも焦点検出への悪影響を抑制可能な撮像装置を提供することが可能となった。
なお、駆動制限量は、駆動量情報の一例である。射出瞳距離及び/又は焦点検出情報は、撮影光学系の光学特性の一例である。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。